説明

データ送信装置、データ受信装置

【課題】データの送受信に際して、データバスの本数を極力減少させつつも、クロック信号の周波数が大きくなることを極力抑制する技術を提供する。
【解決手段】データ送信装置101とデータ受信装置102の間には複数のデータバスが設けられている。それぞれのデータバスは、複数のビットのデータを時分割で多重して、データ送信装置101からデータ受信装置102へ転送する。ただし、複数のデータバスのうち、1本のデータバスは、1ビットのデータ及び同期信号を時分割で多重して、データ送信装置101からデータ受信装置102へ転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルデータ(以下、単に「データ」と呼ぶ)を時分割多重して送信するデータ送信装置と、このデータ送信装置からデータを受信するデータ受信装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
1ビットあたりFbps(ビット/秒)(Fは任意の正の実数)のデータをPビット単位(Pは2以上の任意の整数)で送受信するために、データ送信装置とデータ受信装置を、P本の1ビットデータバスと1本のクロックバスで接続する方法がある。この場合、クロックバスで伝送されるクロック信号の周波数(伝送クロック周波数)は、FHz(ヘルツ)である。
【0003】
また、データバスの本数を減らすために、1ビットあたりFbpsのデータPビットのパラレルデータをQビット単位(Qは2以上かつP以下の任意の整数)で時分割多重する方法もある。この方法では、P/Q本(少数以下切り上げ)の1ビットデータバスでデータ送信装置とデータ受信装置を接続する。データバスの本数が減少すれば、データ送信機及びデータ受信機の構成を簡略化でき、コストを削減することができる。この場合、クロックバスで伝送されるクロック信号の周波数は、F×QHzである。また、この場合は、多重化されたデータをデータ受信装置が復号するために、同期信号(「同期データ」とも呼ぶ)を転送するバスをデータ送信装置とデータ受信装置の間に設ける必要がある。
【0004】
なお、同期信号を転送するバスも、同期信号というデータを転送するという意味において、データバスと同様のものと見なすことができる。
【特許文献1】特開平5−175954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
データバスの本数(ビット幅)を少なくするためには、前述のように、Qの値をできるだけ大きくすればよいが、クロック信号の周波数も大きくなる。クロック信号の周波数が大きくなると、データ送信機及びデータ受信機の構成が複雑化し、コストが増大する。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、データの送受信に際して、データバスの本数を極力減少させつつも、クロック信号の周波数が大きくなることを極力抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のデータ送信装置は、F(F;正の実数)bpsのデータをQ(Q;2以上の整数)本、時分割多重して(F×Q)bpsの第1の多重データを生成する、S(S;1以上の整数)個の第1の多重手段と、(Q−1)ビット長の同期データを生成する生成手段と、Fbpsのデータ1本と前記同期データとを交互に時分割多重して(F×Q)bpsの第2の多重データを生成する第2の多重手段と、(F×Q)Hzのクロック信号を生成するクロック信号生成手段と、前記S個の前記第1の多重データと、前記第2の多重データと、前記クロック信号とを、(S+2)ビット幅のデータ伝送路を用い、前記クロック信号に同期させてデータ受信装置に対して送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のデータ受信装置は、Fbps(F;正の実数)のデータQ(Q;2以上の整数)ビットが時分割多重されている(F×Q)bpsの第1の多重データをS(S;1以上の整数)個と、Fbpsのデータ1ビットと(Q−1)ビットの同期データが時分割多重されている(F×Q)bpsの第2の多重データと、(F×Q)Hzの第2のクロック信号とを、該第2のクロック信号に同期してデータ送信装置から受信する受信手段と、前記同期データに基づいて、S個の前記第1の多重データと前記第2の多重データを、(Q×S+1)個のFbpsのデータに復号する復号手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
なお、その他の本発明の特徴は、添付図面及び以下の発明を実施するための最良の形態における記載によってさらに明らかになるものである。
【発明の効果】
【0010】
以上の構成により、本発明によれば、データの送受信に際して、データバスの本数を極力減少させつつも、クロック信号の周波数が大きくなることを極力抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念および下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0012】
[第1の実施形態]
<データ伝送システム100の構成>
図1は、第1の実施形態に係るデータ伝送システム100を示す図である。データ伝送システム100は、データ送信装置101及びデータ受信装置102から構成される。データ送信装置101とデータ受信装置102は、1本のクロックバスであるクロックバス103と、2本の1ビットデータバスであるデータバス0(104)及びデータバス1(105)とにより、相互に接続されている。なお、データバスの本数は2本に限られず、2本以上の任意の本数でよい。
【0013】
<第1の実施形態の特徴>
本実施形態では、5ビット単位のデータをデータ送信装置101からデータ受信装置102に転送するものとして説明する。すなわち、前述の背景技術で説明したPの値が5であるものとする。
【0014】
このとき、前述の背景技術で説明したQの値は、3又は4の値を取りうる。すなわち、5ビット単位のデータを、3又は4ビット単位で時分割多重すれば、2本のデータバスを用いて5ビット単位のデータをデータ送信装置101からデータ受信装置102に転送することができる。
【0015】
従来の方法では、多重化されたデータをデータ受信装置102が復号するために、2本のデータバスに加えて、同期信号を転送する専用のバスをデータ送信装置101とデータ受信装置102の間に設ける必要がある。本実施形態では、同期信号を転送する専用のバスを設けずに、2本のデータバスを用いて5ビット単位のデータと同期信号(同期ビットパターン)をデータ送信装置101からデータ受信装置102に転送することを可能にする。そのために、本実施形態では、Q=4とする。
【0016】
なお、Q=5とすれば、従来の技術でも2本のデータバス(そのうち1本は同期信号を転送する専用のバス)で5ビット単位のデータをデータ送信装置101からデータ受信装置102に転送することは可能である。しかし、課題として前述したように、Qの値を大きくすればクロックバス103を流れるクロック信号の周波数も大きくなり、装置のコストが増加する。そこで、本実施形態では、データバスの本数を2本に抑えつつも、クロック信号の周波数を4倍(Q倍)に留める。
【0017】
以下、Q=4とすればよい理由を、データ送信装置101及びデータ受信装置102の構成と併せて説明する。
【0018】
<データ送信装置101の構成>
図2は、データ送信装置101の構成を示すブロック図である。図3は、データ送信装置101内部を流れる種々の信号のタイミングを示す図である。
【0019】
SD0(201)〜SD4(205)は、データ送信装置101からデータ受信装置102へ転送する5ビット単位のデータを示す。SCLK206は、SD0(201)〜SD4(205)の転送速度(Fbps)に同期したクロック信号を示す。
【0020】
SCLK206とSD0(201)のタイミングを図3に示す。図3に示すように、SCLK206が立ち上がるタイミングでSD0(201)が次々とデータ送信装置101に入力される。すなわち、SCLK206の1周期の間に、SD0(201)が1ビット、データ送信装置101に入力される。図示しないが、SD1(202)〜SD4(205)も、SD0(201)と同様である。
【0021】
なお、本実施形態では、SCLK206や後述するCLK230などが「立ち上がる」タイミングでデータ入力などの処理が行われるものとする。しかし、「立ち下がる」タイミングで処理が行われるようにデータ送信装置101やデータ受信装置102などを構成してもよい。
【0022】
4逓倍器225は、SCLK206の周波数を4倍した周波数のクロック信号(CLK230)を生成する。CLK230は、クロックバス103を介してデータ受信装置102に転送される。
【0023】
CLK230のタイミングを図3に示す。図3においてSCLK206とCLK230を比較すれば明らかなように、CLK230の周波数は、SCLK206の周波数の4倍である。
【0024】
カウンタ226は、SCLK206とCLK230の位相関係を示すためのものであり、リセット発生器223は、カウンタ226にリセット信号224を与えてカウンタ226の値を0にするためのものである。カウンタ226の初期値は0であり、CLK230の入力を受けるたびにカウントアップする。リセット発生器223は、SCLK206の立ち上がりとCLK230の立ち上がりが一致するときにリセット信号224をカウンタ226に与える。したがって、カウンタ226は0〜3の値を取る。
【0025】
リセット信号224とカウンタ出力227のタイミングを図3に示す。図3に示すように、カウンタ出力227の値はCLK230が立ち上がるたびにカウントアップされるが、リセット信号224の立ち上がりのタイミングでは0にリセットされる。
【0026】
DFF207〜DFF211は、SD0(201)〜SD4(205)の5ビットのデータを、SCLK206の間遅延させる遅延回路として動作するフリップフロップ回路(Delay Flip Flop)である。すなわち、SD0(201)〜SD4(205)の値は、SCLK206の1周期の間、DFF207〜DFF211に保持される。
【0027】
DFF207〜DFF211が保持するデータを、図3に示す。図3に示すように、SCLK206の1周期の間、例えばD0_1〜D4_1のように、同じタイミングでデータ受信装置102に入力されたSD0(201)〜SD4(205)の値がDFF207〜DFF211に保持される。
【0028】
SYNC発生器217は、多重化されたデータをデータ受信装置102が復号するため同期信号を発生させるためのものである。SYNC発生器217は、SCLK206に同期して、同期信号をバス218〜220に出力する。同期信号の詳細は、後述する。
【0029】
セレクタ221は、カウンタ出力227の値に従って、DFF207〜DFF210の出力(すなわちSD0(201)〜SD3(204))のうちいずれかをDATA0(228)として選択する。DATA0(228)は、データバス0(104)を介してデータ受信装置102に転送される。これにより、SD0(201)〜SD3(204)からなるFbpsのデータ4ビットが時分割多重され、(F×4)bpsの多重データとなる。
【0030】
セレクタ222は、カウンタ出力227の値に従って、DFF211の出力(すなわちSD4(205))及びバス218〜220の出力のうちいずれかをDATA1(229)として選択する。DATA1(229)は、データバス1(105)を介してデータ受信装置102に転送される。これにより、SD4(205)及び同期信号からなるFbpsのデータ4ビットが時分割多重され、(F×4)bpsの多重データとなる。
【0031】
DATA0(228)及びDATA1(229)の値を、図3に示す。図3において、S0、S1、S2は、それぞれバス218〜220の出力を示す。また、S0_nはn番目のバス218の出力を示す。ただし、nは相対的な値であり、0や負の値も取りうる。S1、S2に関しても同様である。
【0032】
図3から明らかなように、カウンタ出力227の値が0のときはSD0(201)、SD4(205)がそれぞれDATA0(228)、DATA1(229)として選択される。同様に、カウンタ出力227の値が1のときはSD1(202)とS0が、2のときはSD2(203)とS1が、3のときはSD3(204)とS2が、それぞれ選択される。
【0033】
SYNC発生器217が発生する同期信号について説明する。本実施形態では、SYNC発生器217は、S0=0、S1=1、S2=0というビットパターンの同期信号を発生するものとする。なお、本実施形態において、同期信号は3ビット、すなわち、(Q−1)ビットである。
【0034】
図4は、カウンタ出力227に応じたDATA1(229)の内容と、DATA1(229)の移動加算結果を示す図である。移動加算結果とは、あるタイミングまでの直近のmビット(本実施形態では、m=Q=4)を加算した値を意味する。例えば、DATA1(229)としてS0_1が選択されているタイミングでは、移動加算結果は、S1_0+S2_0+D4_1+S0_1=1である。また、図4において、上から3番目の列はDATA1(229)の実際の値(0又は1)を示す。
【0035】
同期信号は、S0=0、S1=1、S2=0のビットパターンであるため、移動加算結果は、SD4(205)の値に応じて1又は2となる。すなわち、SD4(205)が0の場合、移動加算結果は1であり、SD4(205)が1の場合、移動加算結果は2である。
【0036】
また、移動加算結果が変化するタイミング(図4におけるA,Bのタイミング)は、SD4(205)が変化するタイミングと一致する。詳細はデータ受信装置102の構成と併せて説明するが、この特徴を使うことで、データ受信装置102で多重化されたデータを復号することが可能となる。
【0037】
なお、同期信号のビットパターンとしては、S0=0、S1=1、S2=0に限られるものではなく、DATA1(229)の移動加算結果がSD4(205)の変化に応じて変化し得る限り、任意のパターンを用いることができる。
【0038】
以上の構成により、データ送信装置101は、SD0(201)〜SD3(204)からなる多重データと、SD4(205)及び同期信号からなる多重データと、CLK230とを、CLK230に同期させてデータ受信装置102に対して送信する。
【0039】
<データ受信装置102の構成>
図5は、データ受信装置102の構成を示すブロック図である。
【0040】
データ受信装置102は、クロックバス103、データバス0(104)、及びデータバス1(105)を介して、DATA0(228)、DATA1(229)、及びCLK230を、CLK230に同期してデータ送信装置101から受信する。より詳細には、データ受信装置102は、データバス0(104)からはSD0(201)〜SD3(204)からなる多重データを受信し、データバス1(105)からはSD4(205)及び同期信号からなる多重データを受信する。
【0041】
移動加算器510は、DFF504〜DFF506及び加算器507〜加算器509を備え、移動加算結果516を出力する。移動加算結果516は、図4を参照して説明した移動加算結果と同一のものである。
【0042】
移動加算結果516は、2つの経路に分かれて判定部512に入力される。第1の経路では、移動加算結果516は判定部512に直接入力される。第2の経路では、移動加算結果516はDFF511によりCLK230の1クロック分遅延させられてから判定部512に入力される。したがって、判定部512は、移動加算結果516が変化するタイミング(図4におけるA,Bのタイミング)を検出することができる。
【0043】
カウンタ513は、図2のカウンタ226と同様、CLK230の入力を受けるたびにカウントアップする。また、図示しないが、カウンタ513の値が3の時にCLK230の入力を受けると、カウンタ513の値は0にリセットされる。
【0044】
復号回路514は、DATA0(228)、DATA1(229)、及びカウンタ513の値から、受信したデータをSD0(201)〜SD4(205)に復号し、バス517〜バス521に出力する。具体的には、カウンタ513の値が0〜3のときは、復号回路514はDATA0(228)の値をそれぞれSD0(201)〜SD3(204)として出力する。同様に、カウンタ513の値が0のときは、復号回路514はDATA1(229)の値をSD4(205)として出力するが、カウンタ513の値が1〜3のときは、DATA1(229)の値は同期信号であるため、無視する(出力しない)。
【0045】
4分周期515は、CLK230を4分周(1/4倍)して、SD0(201)〜SD4(205)に同期したクロック信号であるSCLK206を生成し、バス516に出力する。このとき、4分周期515はカウンタ513の値を利用して、SD0(201)〜SD4(205)とSCLK206の関係が、図3に示す関係になるようにSCLK206を生成する。
【0046】
次に、図6を参照して、データ受信装置102がデータ送信装置101と同期を取り、復号回路514がデータ送信装置101から受信したデータを復号する処理の流れを説明する。
【0047】
ステップS601で、復号回路514は、CLK230の入力を受けると、前述のようにカウンタ513の値に従って、データ送信装置101から受信したデータを復号する。この時点では、データ送信装置101とデータ受信装置102の同期が取れているとは限らない。
【0048】
ステップS602で、判定部512は、移動加算結果516が1から2又は2から1へ変化したか否かを判定する。移動加算結果516が1から2又は2から1へ変化した場合はステップS603に進み、そうでない場合はステップS601に戻る。
【0049】
ステップS603で、判定部512は、カウンタ513の値を1にセットする。これにより、データ送信装置101とデータ受信装置102の同期が取れる。次いでステップS601に戻り、同様の処理を繰り返すが、これ以降のステップS601におけるデータの復号では、データ送信装置101とデータ受信装置102の同期が取れている。
【0050】
ステップS603でカウンタ513の値を1にセットする理由を、図4を参照して説明する。例えば、判定部512が、移動加算結果516が1から2に変化したことを検知したタイミング(Aのタイミング)では、DATA1(229)はD4_3である。したがって、次にCLK230が入力されたときに、復号回路514はDATA1(229)がS0_3であると判断する必要がある(したがって、実際には、復号回路514はDATA1(229)を出力しない)。そのためには、カウンタ513の値は1である必要がある。なお、図3から明らかなように、このとき、復号回路514は、DATA0(228)をD1_3であると判断し、バス518に出力する。
【0051】
<第1の実施形態の拡張>
本実施形態では、セレクタの数がセレクタ221とセレクタ222の2個であるものとしてデータ送信装置101及びデータ受信装置102を説明した。しかし、当業者であれば、セレクタの数が2個以外の場合にも、同様のコンセプトをデータ送信装置101及びデータ受信装置102に容易に適用することができる。
【0052】
このとき、R個(Rは2以上の自然数)のうち、1つのセレクタには1ビットのデータとQ−1ビットの同期信号が入力され、それ以外のセレクタにはQビットのデータが入力される。例えば、第1の実施形態において、P=9、Q=4とすれば、9ビットのデータを4ビット、4ビット、1ビットに分けて、3つのデータバスによりデータ送信装置101からデータ受信装置102へ転送することができる。
【0053】
また、本実施形態では、P=5、Q=4であるとして、データ送信装置101及びデータ受信装置102を説明した。しかし、当業者であれば、P=5以外の場合にも、同様のコンセプトをデータ送信装置101及びデータ受信装置102に容易に適用することができる。以下、P=5以外の場合を簡単に説明する。
【0054】
P=5以外の場合は、Q=(P/(R−1);少数以下切り捨て)−1とする(ただし、R>=2)。また、データ送信装置101のセレクタ221及びセレクタ222は、Q個のデータから1つを選択することができる。これに応じて、DFF207などの数も適宜増減される。SYNC発生器217は、Q−1ビットの同期信号を出力する。4逓倍器225は、SCLK206を、4倍ではなくQ倍にする。カウンタ226は、0〜(Q−1)の値を取る。詳細は省略するが、これらの変更に合わせて、データ送信装置101に種々の変更が加えられる。
【0055】
また、詳細は省略するが、データ受信装置102にも種々の変更が加えられる。例えば、移動加算器510は、4ビットではなく、Qビットの移動加算結果を出力するように構成される。
【0056】
SYNC発生器217が出力する同期信号のビットパターンは、例えば、S0=0、S1=1、S2=0、S3=0となる(P=6の場合)。これにより、P=5の場合と同様、データ受信装置102の判定部512は、DATA1(229)が変化するタイミングを検出して、データ受信装置102はデータ送信装置101と同期を取ることができる。
【0057】
以上の拡張により、データ送信装置101に入力されるデータのビット数の単位(すなわちPの値)が変化しても、データバスの本数を極力減少させつつも、クロック信号の周波数が大きくなることを極力抑制することが可能となる。
【0058】
<第1の実施形態のまとめ>
以上説明したように、本実施形態によれば、データ送信装置101とデータ受信装置102の間には複数のデータバスが設けられている。それぞれのデータバスは、複数のビットのデータを時分割で多重して、データ送信装置101からデータ受信装置102へ転送する。ただし、複数のデータバスのうち、1本のデータバスは、1ビットのデータ及び同期信号を時分割で多重して、データ送信装置101からデータ受信装置102へ転送する。
【0059】
これにより、データ送信装置101とデータ受信装置102の間におけるデータの送受信に際して、データバスの本数を極力減少させつつも、クロック信号の周波数が大きくなることを極力抑制することが可能となる。
【0060】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、データ送信装置101からデータ受信装置102へ転送するデータのうちSD4(205)の値が変化することを利用して、データ受信装置102がデータ送信装置101と同期を取ることを説明した。したがって、SD4(205)が変化しない場合(SD4(205)が固定データである場合)は、データ送信装置101とデータ受信装置102を同期させることができない。
【0061】
第2の実施形態では、SD4(205)が変化しない場合でも、データ送信装置101とデータ受信装置102を同期させることができる方法を説明する。
【0062】
なお、本実施形態において、データ送信装置101及びデータ受信装置102の構成は、SYNC発生器217及び判定部512を除き、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0063】
<SYNC発生器217について>
SYNC発生器217は通常、第1の実施形態と同様、S0=0、S1=1、S2=0というビットパターンの同期信号を発生する(図4参照)。しかし、SYNC発生器217に入力されるSD4(205)の値(図2参照)が所定の期間(例えばSCLK206の3周期分)変化しない場合、SYNC発生器217は第1の実施形態とは異なるパターンの同期信号を発生する。以下、図7を参照して説明する。
【0064】
図7(a)は、SD4(205)の値が0から変化しない場合の同期信号の変化を示す図である。この場合、SYNC発生器217は、SCLK206の1周期分だけ、S0=0、S1=0、S2=0というビットパターンの同期信号を発生する。これにより、DATA1(229)の移動加算結果が1から0又は0から1に変化するタイミング(図7(a)におけるC,Dのタイミング)が発生する。
【0065】
図7(b)は、SD4(205)の値が1から変化しない場合の同期信号の変化を示す図である。この場合、SYNC発生器217は、SCLK206の1周期分だけ、S0=1、S1=1、S2=0というビットパターンの同期信号を発生する。これにより、DATA1(229)の移動加算結果が2から3又は3から2に変化するタイミング(図7(b)におけるE,Fのタイミング)が発生する。
【0066】
<判定部512について>
判定部512は、第1の実施形態と同様、移動加算結果516が変化するタイミングを検出する。ただし、第1の実施形態とは異なり、移動加算結果516が変化するタイミングは、図4におけるA,Bのタイミングに加えて、図7におけるC,D,E,Fのタイミングである場合もある。
【0067】
したがって、図6のステップS602及びS603における処理が、第1の実施形態と異なる。判定部512は移動加算結果516が変化したことを検出すると、移動加算結果516の変化が1から2又は2から1の場合はカウンタ513の値を1にセットする(第1の実施形態と同様)。しかし、移動加算結果516の変化が1から0又は0から1の場合はカウンタ513の値を3にセットする。また、移動加算結果516の変化が2から3又は3から2の場合はカウンタ513の値に2をセットする。カウンタ513の値を3又は2にセットする理由は、第1の実施形態においてカウンタ513の値を1にセットする理由と同様であるため、説明を省略する。
【0068】
なお、SYNC発生器217が発生する同期信号のパターンとしては、判定部512が図4及び図7におけるA〜Fのタイミングを区別して検出できる限り、任意のパターンを用いることができる。「A〜Fのタイミングを区別」するためには、それぞれのタイミングにおいて、移動加算結果516が異なる変化をしなければならないことに注意されたい。例えば、Aのタイミングにおいて移動加算結果516は1から2に変化するため、Cのタイミングにおいては、移動加算結果516はそれ以外(本実施形態では1から0)の変化をしなければならない。
【0069】
<第2の実施形態の拡張>
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様、データ送信装置101のセレクタの数を2個以外にしたり、Pの値を5以外にしたりすることができる。この場合のSYNC発生器217が発生する同期信号のパターンも、判定部512が図4及び図7におけるA〜Fのタイミングを区別して検出できるようにすればよい。
【0070】
<第2の実施形態のまとめ>
以上説明したように、本実施形態によれば、SD4(205)の値が変化しない場合、SYNC発生器217は、SCLK206の1周期分だけ異なるパターンの同期信号を発生させる。
【0071】
これにより、SD4(205)の値が変化しない場合でも移動加算結果516を変化させることができるため、データ受信装置102はデータ送信装置101と同期を取ることが可能となる。
【0072】
[その他の実施形態]
上述した各実施の形態の処理は、各機能を具現化したソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供してもよい。そして、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによって、前述した実施形態の機能を実現することができる。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピィ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどを用いることができる。或いは、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることもできる。
【0073】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけではない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれている。
【0074】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれてもよい。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1の実施形態に係るデータ伝送システム100を示す図である。
【図2】データ送信装置101の構成を示すブロック図である。
【図3】データ送信装置101内部を流れる種々の信号のタイミングを示す図である。
【図4】カウンタ出力227に応じたDATA1(229)の内容と、DATA1(229)の移動加算結果を示す図である。
【図5】データ受信装置102の構成を示すブロック図である。
【図6】データ受信装置102がデータ送信装置101と同期を取り、復号回路514がデータ送信装置101から受信したデータを復号する処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】カウンタ出力227及びSD4(205)に応じたDATA1(229)の内容と、DATA1(229)の移動加算結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
F(F;正の実数)bpsのデータをQ(Q;2以上の整数)本、時分割多重して(F×Q)bpsの第1の多重データを生成する、S(S;1以上の整数)個の第1の多重手段と、
(Q−1)ビット長の同期データを生成する生成手段と、
Fbpsのデータ1本と前記同期データとを交互に時分割多重して(F×Q)bpsの第2の多重データを生成する第2の多重手段と、
(F×Q)Hzのクロック信号を生成するクロック信号生成手段と、
前記S個の前記第1の多重データと、前記第2の多重データと、前記クロック信号とを、(S+2)ビット幅のデータ伝送路を用い、前記クロック信号に同期させてデータ受信装置に対して送信する送信手段と、
を備えることを特徴とするデータ送信装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記同期データと時分割多重するデータの値に基づいて、前記同期データのビットパターンを決定することを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記同期データと時分割多重するデータの値が変化すると、前記第2の多重データの前記データを最後とする連続したQビットの加算結果が、前記データの1ビット前のビットを最後とする連続したQビットの加算結果と変化するように、前記同期データのビットパターンを決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ送信装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記同期データと時分割多重するデータがあらかじめ定められた回数連続して同一の値である場合に、前記第2の多重データのうち、任意のビットを最後とする連続したQビットの加算結果が、前記任意のビットの1ビット前のビットを最後とする連続したQビットの加算結果と変化するように、前記同期データのビットパターンを変更することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ送信装置。
【請求項5】
Fbps(F;正の実数)のデータQ(Q;2以上の整数)ビットが時分割多重されている(F×Q)bpsの第1の多重データをS(S;1以上の整数)個と、Fbpsのデータ1ビットと(Q−1)ビットの同期データが時分割多重されている(F×Q)bpsの第2の多重データと、(F×Q)Hzの第2のクロック信号とを、該第2のクロック信号に同期してデータ送信装置から受信する受信手段と、
前記同期データに基づいて、S個の前記第1の多重データと前記第2の多重データを、(Q×S+1)個のFbpsのデータに復号する復号手段と、
を備えることを特徴とするデータ受信装置。
【請求項6】
前記第2の多重データのうち、前記受信手段により受信中のビットを含む、直近に受信したQビットのデータの和である移動加算結果の変化を判定する判定手段をさらに備え、
前記復号手段は、前記移動加算結果の変化を利用することにより、前記データ送信装置による、S個の前記第1の多重データと、前記第2の多重データの送信に同期して、前記復号を行うことを特徴とする請求項5に記載のデータ受信装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデータ送信装置と、請求項5又は6に記載のデータ受信装置とを備えることを特徴とするデータ伝送システム。
【請求項8】
F(F;正の実数)bpsのデータをQ(Q;2以上の整数)本、時分割多重して(F×Q)bpsの第1の多重データを生成する、S(S;1以上の整数)個の第1の多重工程と、
(Q−1)ビット長の同期データを生成する生成工程と、
Fbpsのデータ1本と前記同期データとを交互に時分割多重して(F×Q)bpsの第2の多重データを生成する第2の多重工程と、
(F×Q)Hzのクロック信号を生成するクロック信号生成工程と、
前記S個の前記第1の多重データと、前記第2の多重データと、前記クロック信号とを、(S+2)ビット幅のデータ伝送路を用い、前記クロック信号に同期させてデータ受信装置に対して送信する送信工程と、
を備えることを特徴とするデータ送信方法。
【請求項9】
Fbps(F;正の実数)のデータQ(Q;2以上の整数)ビットが時分割多重されている(F×Q)bpsの第1の多重データをS(S;1以上の整数)個と、Fbpsのデータ1ビットと(Q−1)ビットの同期データが時分割多重されている(F×Q)bpsの第2の多重データと、(F×Q)Hzの第2のクロック信号とを、該第2のクロック信号に同期してデータ送信装置から受信する受信工程と、
前記同期データに基づいて、S個の前記第1の多重データと前記第2の多重データを、(Q×S+1)個のFbpsのデータに復号する復号工程と、
を備えることを特徴とするデータ受信方法。
【請求項10】
F(F;正の実数)bpsのデータをQ(Q;2以上の整数)本、時分割多重して(F×Q)bpsの第1の多重データを生成する、S(S;1以上の整数)個の第1の多重工程と、
(Q−1)ビット長の同期データを生成する生成工程と、
Fbpsのデータ1本と前記同期データとを交互に時分割多重して(F×Q)bpsの第2の多重データを生成する第2の多重工程と、
(F×Q)Hzのクロック信号を生成するクロック信号生成工程と、
前記S個の前記第1の多重データと、前記第2の多重データと、前記クロック信号とを、(S+2)ビット幅のデータ伝送路を用い、前記クロック信号に同期させてデータ受信装置に対して送信する送信工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
Fbps(F;正の実数)のデータQ(Q;2以上の整数)ビットが時分割多重されている(F×Q)bpsの第1の多重データをS(S;1以上の整数)個と、Fbpsのデータ1ビットと(Q−1)ビットの同期データが時分割多重されている(F×Q)bpsの第2の多重データと、(F×Q)Hzの第2のクロック信号とを、該第2のクロック信号に同期してデータ送信装置から受信する受信工程と、
前記同期データに基づいて、S個の前記第1の多重データと前記第2の多重データを、(Q×S+1)個のFbpsのデータに復号する復号工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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