説明

データ配信装置

【課題】品質が異なる映像を効率よく,重要度の高い情報は見落とさずに把握できるように,配信する映像データを切り替えるデータ配信装置を提供する。
【解決手段】データ配信装置401は、映像受信プログラムを使って、ネットワークを介して複数のカメラから受信した映像データを、映像選択プログラム409により、視点切り替え頻度や視点毎の画像の重要度情報を累積することにより、映像データの各画像フレームの表示可否を判断する。また、選択した画像フレームを映像送信プログラム408により、インタフェース402、403経由で配信する。また,各フレームの表示時間を画像の重要度情報に応じて変動し,重要フレームの視認性を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,データ配信装置に関わり,特に,映像を切り替えて配信する見守りシステムにおけるデータ配信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
街角に設置された複数のカメラやセンサなどを通信ネットワークで結び,治安の監視や子供の見守りなどを行う多視点切り替え見守りシステムがある。このようなシステムで効率よく監視や見守りを行うためには,カメラの映像やセンサの情報から重要な情報選択し、表示を切り替える技術が重要となる。
【0003】
映像表示を切り替えるシステムとしては,スポーツ中継などの多視点映像システムがある。この多視点映像システムでは,個人の趣味や嗜好により視点の選択を行う。例えば,特許文献1には,視聴者の嗜好情報に基づいて配信する映像を制御する配信装置が開示されている。
【0004】
一方、監視や見守りにおいては,監視対象の状況により映像の重要度を客観的につけ,配信を制御する場合がある。例えば,特許文献2には,複数の映像撮影装置からの各映像入力に優先度をつけ,その優先度に基づいて選択する入力映像を順次切り替えるように制御するシステムが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003-179908号公報
【特許文献2】特開2004-80560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の装置において、個人の趣味や嗜好により映像の選択を行う場合には,各々の映像の重要度を客観的につけていないため,各々の映像は等品質なものとされる。それに対し、監視や見守りにおいては映像選択の基準がある程度明確になるため,送受信の情報量を削減するために,全く動きの見られない映像などはカメラ側から送信する映像の品質を変動させることがある。特許文献2の装置においては、複数の映像入力の優先度に基づいて、選択する映像入力を順次切り替え、重要度の高い映像入力の選択頻度を高くしている。しかしながら、映像入力中の重要度が高い情報を即座に確認者が見落とすことの無いように表示することはできなかった。
【0007】
本発明の課題は、品質が異なる映像を効率よく,重要度の高い情報は見落とさずに確実に把握できるように,映像を切り替えて配信するデータ配信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明では,上記の課題を解決するため、複数の撮影装置により撮影された映像データをネットワーク経由で受信し,受信した複数の映像データの画像フレームを選択して配信するデータ配信装置であって,ネットワークに接続され、映像データを送受信するインタフェースと、映像データを処理する処理部と、映像データを保管する記憶部とを備え、この処理部は、インタフェースを介して受信する映像データを撮影した複数の撮影装置の切替回数の累積値に基づき、複数の前記撮像装置からの映像データを選択して配信するデータ配信装置を提供する。好適には、この処理部は、切替回数の累積値が予め設定した閾値を超えた際の撮像装置からの映像データを配信する。
【0009】
また、本発明においては、上記の課題を解決するため、複数の撮影装置により撮影された映像データをネットワーク経由で受信し,受信した複数の映像データの画像フレームを選択して,配信するデータ配信装置であって,ネットワークに接続され、映像データを送受信するインタフェースと、映像データを処理する処理部と、映像データを保管する記憶部とを備え、この処理部は、インタフェースを介して受信する映像データの、連続する画像フレームの所定数中の、複数の撮像装置毎の画像フレームの数に基づき、複数の撮像装置からの映像データを選択して配信するデータ配信装置を提供する。好適には、処理部は、複数の撮像装置毎の画像フレームの数を比較し、画像フレームの数が最大の撮像装置からの映像データを選択して配信する。
【0010】
更に、本発明においては、上記の課題を解決するため、撮影装置により撮影された映像データをネットワーク経由で受信し,受信した映像データを配信するデータ配信装置であって,ネットワークに接続され、映像データとして、重要度情報を含む画像フレームを送受信するインタフェースと、インタフェースを介して受信した映像データを記憶する記憶部と、画像フレームを重要度情報に基づき配信処理を行う処理部とを備え、この処理部は、画像フレームの重要度情報に基づいて画像フレームの表示時間を制御するデータ配信装置を提供する。この撮影装置が複数の場合は、処理部は、複数の撮像装置からの画像フレームの重要度情報を、連続する前記画像フレームの所定数中の、撮像装置各々の重要度情報の累積値に基づき、表示すべき前記画像フレームを選択するよう制御するデータ配信装置を提供する。好適には、処理部は、最後に配信された画像フレームの重要度情報と、重要度情報の累積値に基づき今回選択された前記画像フレームの重要度情報とを比較することにより、今回配信する前記画像データを決定するデータ配信装置を提供する。
【0011】
すなわち、本発明では,重要な情報を即座に表示するため,特定の時間間隔ではなく各画像フレームの受信時に映像の表示可否を,視点切り替え頻度や視点毎の画像フレームの数を累積して評価する。また,各画像フレームの表示時間を重要度情報に応じて変動し,重要フレームの視認性を高める。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成により、重要情報を見落とさずに即座に視認することが可能なデータ配信装置を提供することができる。
【0013】
このように品質が異なる映像を効率よく,重要度の高い情報は,映像の1フレームのみに現れるような情報であっても見落とさずに把握可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明において、画像フレームの重要度を示す情報である重要度情報を、単に「重要度」と表現する場合がある点に留意されたい。
【0015】
図1は,本発明を実施する形態の一例である多視点切り替え見守りシステムの全構成を示している。
【0016】
同図において、撮像装置である第1のカメラ101,第2のカメラ102,第3のカメラ3103はそれぞれ回線111,回線112,回線113を通してデータ配信装置104に撮影映像を配信する。データ配信装置104は,例えば視聴対象107の映る映像など、視聴者106の要望に従い受信映像から該当する映像を抽出し,回線114を通してデータ表示装置105に配信する。
【0017】
図2A,Bは,図1の構成のカメラ101〜103とデータ配信装置104の間の回線111〜113を流れる映像データのフォーマットの一例を示す。カメラ101〜103がデータ配信装置104に対して映像データをIPパケットとして送信する場合には,同図Aのフォーマット201に示すように,IPパケットの送信元のカメラのIPアドレスである送信元IP202によりカメラ101〜103を識別可能である。203は、送信先のデータ配信装置のIPアドレスである送信先IPを示す。映像データ205の内容を示す映像情報ヘッダ204には,視聴対象107やその重要度を示す情報(重要度情報)を含む。
【0018】
カメラ101〜103の映像データを他の中間装置が仲介してデータ配信装置105に送信する場合には,図2Bのフォーマット206に示すように、図示されない中間装置が介在した場合、IPパケットの送信元IP207によりカメラ101〜103を識別できないため,映像データ210の内容を示す映像情報ヘッダ209中にカメラ101〜103を識別するための情報を含む。
【0019】
また、図3は,図1の構成のデータ配信装置104とデータ表示装置105の間の回線114を流れる映像データのフォーマットの例を示す。図2のフォーマット同様、302はデータ配信装置を示す送信元IP、303はデータ表示装置を示す送信先IP、304は映像情報ヘッダ、305は映像データを示している。
【0020】
図4は,図1に示した多視点切り替え見守りシステム中のデータ配信装置104の基本構成を示す機能構成ブロックである。データ配信装置401は,インタフェース402,403、および映像データを処理する映像処理部404を備える。映像処理部404は映像処理用メモリ405および映像処理用プロセッサ406を備える。映像処理用メモリ405には、映像処理用プロセッサ406で実行される映像受信プログラム407,映像送信プログラム408,映像選択プログラム409や,映像データを記憶する映像管理DB410、映像保管領域411、一時保管領域412を備える。映像受信プログラム407、映像送信プログラム408は、それぞれインタフェース402、403を介して映像データを受送信するためのプログラムである。また、映像選択プログラム409は、撮像装置から受信した映像データから、視聴者のデータ表示装置に表示するために配信する映像データを選択するためのプログラムである。
【0021】
データ配信装置401の映像処理部404は、視聴者からの映像データ配信要求をインタフェース402、403から受信すると、映像受信プログラム407により、受信映像の情報を映像管理DB410に保管し、受信映像データを映像保管領域411に保管する。また、データ配信装置401は、視聴者からの映像データ配信要求をインタフェース402、403から受信すると、映像選択プログラム409により映像管理DB410から、映像データ配信要求に該当する映像を抽出し、映像送信プログラム408により配信する。一時保管領域412には、映像選択プログラムの409の処理に必要な一時的な情報、例えば後で説明する種々のデータの累積値や切替回数等を保管する。以上説明した機能構成は、中央処理部(Central Processing Unit:CPU)、記憶部(メモリ)、ネットワークインタフェースを有する、通常のサーバ等のコンピュータシステムで構成可能であることは言うまでもない。
【0022】
図5に,図4の映像管理DB410の一例を示す。映像管理DB410は映像データの撮影時刻501,映像データの識別子502,映像データを撮影したカメラ情報503,映像データに含まれる視聴対象情報504,映像データの重要度情報505から構成される。撮影時刻501は図2の映像情報ヘッダ204、209に含まれる場合には、それらの映像情報ヘッダの内容により,映像情報ヘッダに含まない場合にはデータ配信装置104が映像データを受信した時刻により,生成する。
【実施例1】
【0023】
図6は,第1の実施例に係わる映像選択方式の1つである,カメラ切替回数の累積値による制御の例を模式的に示す図である。等しいフレームレートのカメラ1の映像601とカメラ2の映像602を受信する配信装置の入力は603となる。フレームレートが等しいためカメラ1とカメラ2の映像が交互に繰り返され,そのまま映像として出力すると視認が非常に困難な映像になる。配信装置への入力603におけるカメラ切替回数は604となり,切替回数の閾値を3として,閾値を超える時点606で配信装置が出力する映像のカメラを固定する。配信装置の出力は605となり,カメラ1とカメラ2の映像の混在が抑制されるため,視認が容易な映像になる。
【0024】
図7は,図6に示した第1に実施例の処理フローを示す。同図中、701−715は処理フローの各ステップを示す。以下の処理フロー図面においても同様である。データ配信装置104は画像を受信する(702)と,カメラ情報を抽出(703)し,抽出したカメラ情報が保存しているカメラ情報と一致するかを判定(704)する。一致している場合にはカメラ切替回数を減算(705)し,一致していない場合にはカメラ切替回数を加算(706)する。
【0025】
ステップ705でカメラ切替回数を減算した場合には,カメラ切替回数が閾値を下回ったかを判定(707)し,下回っている場合にはカメラの固定を解除(708)する。ステップ706でカメラ切替回数を加算した場合には,カメラ切替回数が閾値を上回ったかを判定(709)し,上回っている場合にはカメラの固定を開始(710)する。次に受信画像のカメラ情報を保存(711)し,画像を表示するカメラが固定されているかを判定(712)する。カメラが固定されていない場合と固定されているが受信画像のカメラ情報と一致する場合には受信画像を表示(714)し,カメラが固定されており受信画像のカメラ情報と一致しない場合には受信画像を表示せずに終了(715)する。
【0026】
図8は,図6,図7に示した第1の実施例のカメラ切替回数では配信映像の制御ができない例を示す。異なるフレームレートのカメラ1の映像801とカメラ2の映像802を受信する配信装置104への入力は803となる。このとき,カメラ切替回数は804となり,一定量を維持し,閾値3を超えないため,図6,図7と同様の制御では,配信装置104の出力は805となり,カメラ1の映像にカメラ2の映像が混入し続けることとなる。
【実施例2】
【0027】
図9は,第2の実施例に係わる映像選択方式を示す。本実施例では、上述した図8の例を制御するため,複数の受信フレーム、すなわち連続する複数の受信画像フレームの所定数中に含まれるカメラ毎のフレーム数による制御を行う。図8と同様、カメラ1の映像901とカメラ2の映像902を受信する配信装置104の入力は903となる。このとき,受信フレームのうち新しく受信した5フレームに含まれるカメラ1のフレーム数は904,カメラ2のフレーム数は905となる。受信5フレームに含まれるカメラ毎のフレーム数が他のカメラよりも多く,カメラ毎のフレーム数が閾値3以上の場合にフレームを出力すると,配信装置104の出力は906となり,図8に示した例のような映像の混入は除去される。
【0028】
図10は,図9の第2の実施例の映像選択方式の処理フローを示す。データ配信装置104は映像を受信する(1002)と,カメラ情報を抽出(1003)し,設定フレーム数に含まれるカメラ毎のフレーム数を計算(1004)する。次に,受信画像のカメラが画像表示に関するフレーム数の閾値を超えているかを判定(1005)し,超えている場合には,受信画像のカメラが他のカメラと比較してカメラ毎のフレーム数が最も多いかを判定(1006)する。カメラ毎のフレーム数が最も多い場合には受信画像を表示(1007)する。
【0029】
図11は,図9,図10に示す複数の受信フレームに含まれるカメラ毎のフレーム数では配信映像の制御が出来ない例を示す。図6と同様、等しいフレームレートのカメラ1の映像(1101)とカメラ2の映像(1102)を受信する配信装置の入力は1103となり,カメラ1とカメラ2の映像が交互に繰り返される。このとき,受信5フレームに含まれるカメラ1のフレーム数は1104,カメラ2のフレーム数は1105となり,同じ値を交互に繰り返すため,図9と同様の制御では,配信装置の出力は1106となり,カメラ1の映像とカメラ2の映像が交互に繰り返される。
【実施例3】
【0030】
図12は,第3の実施例の映像選択方式に係わり、図11の例を制御可能とするため,実施例1のカメラ切替回数(累積値)と実施例2の複数の受信フレームに含まれるカメラ毎のフレーム数を組合せて制御を行う。図11と同様にカメラ1の映像1201とカメラ2の映像1202を受信する配信装置104の入力は1203,受信5フレームでのカメラ1のフレーム数は1204,カメラ2のフレーム数は1205となる。受信5フレームの制御により選択されるフレームは1206となり,このときカメラ切替回数は1207となる。切替回数1207の閾値を3として,閾値を超える1209の時点で出力する映像のカメラを固定することにより,配信装置の出力は1208となる。
【0031】
図13は,図12に示した実施例3の処理フローを示す。データ配信装置104は映像を受信する(1302)と,カメラ情報を抽出(1303)し,設定フレーム数(ここでは5)に含まれるカメラ毎のフレーム数を計算(1304)する。次に,受信画像のカメラが画像表示に関するフレーム数の閾値を超えているかを判定(1305)し,超えている場合には,受信画像のカメラが他のカメラと比較してカメラ毎のフレーム数が最も多いかを判定(1306)する。カメラ毎のフレーム数が最も多い場合には抽出したカメラ情報が保存しているカメラ情報と一致するかを判定(1307)する。一致している場合にはカメラ切替回数1207を減算(1308)し,一致していない場合にはカメラ切替回数を加算(1309)する。1308でカメラ切替回数を減算した場合には,カメラ切替回数が閾値を下回ったかを判定(1310)し,下回っている場合にはカメラの固定を解除(1311)する。1309でカメラ切替回数を加算した場合には,カメラ切替回数が閾値を上回ったかを判定(1312)し,上回っている場合にはカメラの固定を開始(1313)する。次に受信画像のカメラ情報を保存(1314)し,画像を表示するカメラが固定されているかを判定(1315)する。カメラが固定されていない場合と固定されているが受信画像のカメラ情報と一致する場合には受信画像を表示(1317)し,カメラが固定されており受信画像のカメラ情報と一致しない場合には受信画像を表示せずに終了(1318)する。なお、ステップ1314で保存される受信画像のカメラ情報とは、図12の選択フレーム1206の画像の情報となる。
【0032】
図14は,図9,図10に示す複数の受信フレームに含まれるカメラ毎のフレーム数では、望ましい配信映像の制御が出来ない第2の例を示す。図9と同様に、異なるフレームレートのカメラ1の映像1401とカメラ2の映像1402を受信する配信装置の入力は1403,受信5フレームでのカメラ1のフレーム数は1404,カメラ2のフレーム数は1405となる。カメラ1、2の映像1401、1402は括弧内数で示す重要度についての情報(重要度情報)が含まれている。このとき,配信装置104の出力は1406となり,重要度の高いフレーム1407(カメラ2の重要度(10)のフレーム)が表示されない。
【実施例4】
【0033】
図15は,第4の実施例に係わり、図14の例を制御可能とするため,複数のカメラ毎の受信フレーム各々に含まれる重要度情報による制御を行う。図14と同様にカメラ1の映像1501とカメラ2の映像1502を受信する配信装置104の入力は1503となる。このとき,受信フレームのうち新しく受信した5フレームに含まれるカメラ1の重要度は1504,カメラ2の重要度は1505となる。受信5フレームに含まれるカメラ毎の重要度情報が他のカメラよりも多く,カメラ毎の重要度情報が閾値(6)以上の場合にフレームを出力すると,配信装置の出力は1506となり,重要度の高いフレーム1507(カメラ2の重要度(10)のフレーム)が表示される。
【0034】
図16は,図15の実施例4の処理フローを示す。データ配信装置104は映像を受信する(1602)と,カメラ情報を抽出(1603),重要度を抽出(1604)し,設定フレーム数に含まれるカメラ毎の重要度を計算(1605)する。次に,受信画像のカメラが画像表示に関する重要度の閾値を超えているかを判定(1606)し,超えている場合には,受信画像のカメラが他のカメラと比較してカメラ毎の重要度が最も多いかを判定(1607)する。カメラ毎の重要度が最も多い場合には受信画像を表示(1608)する。
【実施例5】
【0035】
図17は,第5の実施例の映像選択方式に係わり、カメラ切替回数と複数の受信フレームに含まれるカメラ毎の重要度情報による制御を組合せて制御を行う。カメラ1の映像1701とカメラ2の映像1702を受信する配信装置の入力は1703となる。このとき,受信5フレームに含まれるカメラ1の重要度は1704,カメラ2の重要度は1705となる。先の実施例同様、受信5フレームに含まれるカメラ毎の重要度が他のカメラよりも多く,カメラ毎の重要度情報が閾値(6)以上の場合にフレームを出力すると,選択されるフレームは1706となり,このときカメラ切替回数は1707となる。切替回数1707の閾値を3として,閾値(6)を超える1711の時点で出力する映像のカメラを固定する。以上により,重要度の高いフレーム1709を含む1708が配信装置104の出力となる。
【0036】
図18は,図17に示した実施例5の処理フローを示す。データ配信装置104は映像を受信する(1802)と,カメラ情報を抽出(1803),重要度を抽出(1804)し,設定フレーム数に含まれるカメラ毎の重要度を計算(1805)する。次に,受信画像のカメラが画像表示に関する重要度の閾値を超えているかを判定(1806)し,超えている場合には,受信画像のカメラが他のカメラと比較してカメラ毎の重要度が最も多いかを判定(1807)する。カメラ毎の重要度が最も多い場合には抽出したカメラ情報が保存しているカメラ情報と一致するかを判定(1808)する。一致している場合にはカメラ切替回数を減算(1809)し,一致していない場合にはカメラ切替回数を加算(1810)する。ステップ1809でカメラ切替回数を減算した場合には,カメラ切替回数が閾値を下回ったかを判定(1811)し,下回っている場合にはカメラの固定を解除(1812)する。ステップ1810でカメラ切替回数を加算した場合には,カメラ切替回数が閾値を上回ったかを判定(1813)し,上回っている場合にはカメラの固定を開始(1814)する。次に受信画像のカメラ情報を保存(1815)し,画像を表示するカメラが固定されているかを判定(1816)する。カメラが固定されていない場合と固定されているが受信画像のカメラ情報と一致する場合には受信画像を表示(1818)し,カメラが固定されており受信画像のカメラ情報と一致しない場合には受信画像を表示せずに終了(1819)する。なお、ステップ1815で保存される受信画像のカメラ情報は、図17の選択フレーム1706の画像の情報になる。
【0037】
図17の実施例5では,重要度の高いフレームを含む配信装置104の出力1708が得られるが,重要度の高いフレーム1709の表示は等しいカメラからの重要度の低いフレーム1710の表示により上書きされてしまうため,重要度の高いフレーム1709の表示時間は短くなり,見落としてしまう可能性がある。
【実施例6】
【0038】
図19は,第6の実施例の映像選択方式に係わり、出力フレームと受信フレームの重要度情報の差により,重要度の高いフレームの表示を維持し,重要度の高いフレームの表示を見落とす可能性を小さくする。カメラ1の映像1901を受信する配信装置の入力は1902となる。このとき,配信装置104が最後に出力したフレームと受信フレームの重要度の差は1903となり,受信フレームの重要度の差が閾値(−5)以上の場合にフレームを出力すると,配信装置104の出力は1904となり,重要度の高いフレーム1905の表示は次に重要度が高いフレーム1908を表示するときまで維持される。また、保存画像の重要度を一定値(例えば−2)減算する。すなわち、フレームの重要度の情報に基づいて、フレームの配信期間が制御され、重要度の高いフレームは、配信される配信期間、表示される表示時間を長くすることができる。
【0039】
図20は,図19に示した実施例5の処理フローを示す。データ配信装置104は映像を受信する(2002)と,重要度を抽出(2003)し,受信画像と保存画像の重要度の差は閾値(−5)よりも大きいかを判定(2004)する。閾値を超えている場合には,受信画像を保存(2005)し,受信画像を表示(2006)する。閾値を超えていない場合には,保存画像の重要度を一定値減算する(2007)。
【実施例7】
【0040】
図21は,第7の実施例の映像選択方式に係わり、カメラ切替回数と複数の受信フレームに含まれるカメラ毎の重要度情報,出力フレームと受信フレームの重要度情報の差による制御を組合せる制御を行う。カメラ1の映像2101とカメラ2の映像2102を受信する配信装置の入力は2103となる。このとき,受信5フレームでのカメラ1の重要度は2104,カメラ2の重要度は2105となる。受信5フレームに含まれるカメラ毎の重要度が他のカメラよりも多く,カメラ毎の重要度が閾値(6)以上の場合にフレームを出力すると,選択されるフレームは2106となり,配信装置104が最後に出力したフレームと選択フレームの重要度の差は2107となる。
【0041】
この重要度の差2107が第2の閾値(+4)以上の場合にはカメラの切替回数(2108)を0に初期化しカメラの固定を解除する。重要度の差(2107)が第1の閾値(―4)以上の場合には,カメラの切替回数(2108)の閾値を3として,閾値を超える2114の時点で出力する映像のカメラを固定する。以上により,重要度の高いフレーム2110および2115を含む2109が配信装置104の出力となる。
【0042】
図22は,図21に示した実施例7の処理フローを示す。データ配信装置104は映像を受信する(2202)と,カメラ情報を抽出(2203),重要度を抽出(2204)し,設定フレーム数に含まれるカメラ毎の重要度を計算(2205)する。次に,受信画像のカメラが画像表示に関する重要度の閾値を超えているかを判定(2206)し,超えていない場合には終了(2224)する。閾値を超えている場合には,受信画像のカメラが他のカメラと比較してカメラ毎の重要度が最も多いかを判定(2207)し,最も多くはない場合には終了(2224)する。
【0043】
カメラ毎の重要度が最も多い場合には受信画像と保存画像の重要度の差が第2の閾値(+4)よりも大きいかを判定(2208)する。第2の閾値を超えている場合には,カメラ切替回数を初期化(2209)し,カメラの固定を解除(2215)する。第2の閾値を超えていない場合には,受信画像と保存画像の重要度の差が第1の閾値(−4)よりも大きいかを判定(2210)する。第2の閾値を超えていない場合には,保存画像の重要度を一定値(−2)減算(2211)し,終了(2224)する。
【0044】
第2の閾値を超えている場合には,抽出したカメラ情報が保存しているカメラ情報と一致するかを判定(2212)する。一致している場合にはカメラ切替回数を減算(2213)し,一致していない場合にはカメラ切替回数を加算(2216)する。2213でカメラ切替回数を減算した場合には,カメラ切替回数が閾値を下回ったかを判定(2214)し,下回っている場合にはカメラの固定を解除(2215)する。2216でカメラ切替回数を加算した場合には,カメラ切替回数が閾値を上回ったかを判定(2217)し,上回っている場合にはカメラの固定を開始(2218)する。次に受信画像のカメラ情報を保存(2219)し,画像を表示するカメラが固定されているかを判定(2220)する。カメラが固定されていない場合と固定されているが受信画像のカメラ情報と一致する場合には受信画像を保存(2222),表示(2223)し,カメラが固定されており受信画像のカメラ情報と一致しない場合には受信画像を表示せずに終了(2224)する。
【0045】
以上詳述してきた本発明は,例えば,監視や見守りシステムにおける映像表示制御に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明が適用されるシステムの基本構成を示す図である。
【図2A】各実施例に係わるカメラとデータ配信装置の間を流れる映像データのフォーマットの一例を示す図である。
【図2B】各実施例に係わるカメラとデータ配信装置の間を流れる映像データのフォーマットの他の例を示す図である。
【図3】各実施例に係わるデータ配信装置とデータ表示装置の間を流れる映像データのフォーマットを示す図である。
【図4】各実施例に係わるにデータ配信装置の基本構成を示す図である。
【図5】各実施例に係わる映像管理DBを示す図である。
【図6】第1の実施例に係わる、カメラ切替回数による制御の例を示す図である。
【図7】第1の実施例に係わる、カメラ切替回数による制御の処理フローを示す図である。
【図8】カメラ切替回数により制御ができない例を示す図である。
【図9】第2の実施例に係わる、複数の受信フレームに含まれるカメラ毎のフレーム数による制御の例を示す図である。
【図10】第2の実施例に係わる、複数の受信フレームに含まれるカメラ毎のフレーム数による制御の処理フローを示す図である。
【図11】複数の受信フレームに含まれるカメラ毎のフレーム数により制御できない第1の例を示す図である。
【図12】第3の実施例に係わる、カメラ切替回数と複数の受信フレームに含まれるカメラ毎のフレーム数による制御を組合せて制御する例を示す図である。
【図13】第3の実施例に係わる、カメラ切替回数と複数の受信フレームに含まれるカメラ毎のフレーム数による制御を組合せる制御の処理フローを示す図である。
【図14】複数の受信フレームに含まれるカメラ毎のフレーム数により制御できない第2の例を示す図である。
【図15】第4の実施例に係わる、複数の受信フレームに含まれるカメラ毎の重要度による制御の例を示す図である。
【図16】第4の実施例に係わる、複数の受信フレームに含まれるカメラ毎の重要度による制御の処理フローを示す図である。
【図17】第5の実施例に係わる、カメラ切替回数と複数の受信フレームに含まれるカメラ毎の重要度による制御を組合せて制御する例を示す図である。
【図18】第5の実施例に係わる、カメラ切替回数と複数の受信フレームに含まれるカメラ毎の重要度による制御を組合せる制御の処理フローを示す図である。
【図19】第6の実施例に係わる、重要度が高いフレームの表示を維持する制御の例を示す図である。
【図20】第6の実施例に係わる、重要度が高いフレームの表示を維持する制御の処理フローを示す図である。
【図21】第7の実施例に係わる、カメラ切替回数と複数の受信フレームに含まれるカメラ毎の重要度による制御,重要度が高いフレームの表示を維持する制御を組合せて制御する例を示す図である。
【図22】第7の実施例に係わる、カメラ切替回数と複数の受信フレームに含まれるカメラ毎の重要度による制御,重要度が高いフレームの表示を維持する制御を組合せる制御の処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0047】
101,102,103…カメラ
104…データ配信装置
105…データ表示装置
106…視聴者
107…視聴対象
111,112,113,114…回線
201,206…カメラとデータ配信装置の間のデータフォーマット
202,207…送信元IP
203,208…送信先IP
204,209…映像情報ヘッダ
205,210…映像データ
301…データ配信装置とデータ受信装置の間のデータフォーマット
302…送信元IP
303…送信先IP
304…映像情報ヘッダ
305…映像データ
401…データ配信装置
402,403…インタフェース
404…映像処理部
405…映像処理用メモリ
406…映像処理用プロセッサ
407…映像受信プログラム
408…映像送信プログラム
409…映像選択プログラム
410…映像保管DB。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮影装置により撮影された映像データをネットワーク経由で受信し,受信した複数の前記映像データの画像フレームを選択して配信するデータ配信装置であって,
前記ネットワークに接続され、前記映像データを送受信するインタフェースと、
前記映像データを処理する処理部と、
前記映像データを保管する記憶部とを備え、
前記処理部は、前記インタフェースを介して受信する前記映像データを撮影した複数の前記撮影装置の切替回数の累積値に基づき、複数の前記撮像装置からの前記映像データを選択して配信する、
ことを特徴とするデータ配信装置。
【請求項2】
請求項1記載のデータ配信装置であって、
前記処理部は、前記切替回数の累積値が予め設定した閾値を超えた際の前記撮像装置からの前記映像データを配信する、
ことを特徴とするデータ配信装置。
【請求項3】
複数の撮影装置により撮影された映像データをネットワーク経由で受信し,受信した複数の前記映像データの画像フレームを選択して配信するデータ配信装置であって,
前記ネットワークに接続され、前記映像データを送受信するインタフェースと、
前記映像データを処理する処理部と、
前記映像データを保管する記憶部とを備え、
前記処理部は、前記インタフェースを介して受信する前記映像データの、連続する前記画像フレームの所定数中の、複数の前記撮像装置毎の前記画像フレームの数に基づき、複数の前記撮像装置からの前記映像データを選択して配信する、
ことを特徴とするデータ配信装置。
【請求項4】
請求項3記載のデータ配信装置であって、
前記処理部は、連続する前記画像フレームの所定数中の、複数の前記撮像装置毎の前記画像フレームの数を比較し、前記画像フレームの数が最大の前記撮像装置からの前記映像データを選択して配信する、
ことを特徴とするデータ配信装置。
【請求項5】
請求項3記載のデータ配信装置であって、
前記処理部は、連続する前記画像フレームの所定数中の、複数の前記撮像装置毎の前記画像フレームの数に基づき、複数の前記撮像装置からの前記映像データを選択し、前記撮像装置の切替回数が、予め設定した閾値を超えた際に選択された前記撮像装置の前記映像データを配信する、
ことを特徴とするデータ配信装置。
【請求項6】
請求項5記載のデータ配信装置であって、
前記処理部は、連続する前記画像フレームの所定数中の、複数の前記撮像装置毎の前記画像フレームの数を比較し、前記画像フレームの数が最大の前記撮像装置からの前記映像データを選択する、
ことを特徴とするデータ配信装置。
【請求項7】
撮影装置により撮影された映像データをネットワーク経由で受信し,受信した前記映像データを配信するデータ配信装置であって,
前記ネットワークに接続され、前記映像データとして、重要度情報を含む画像フレームを受信するインタフェースと、
前記インタフェースを介して受信した前記映像データを記憶する記憶部と、
前記画像フレームを前記重要度情報に基づき配信処理を行う処理部とを備え、
前記処理部は、前記画像フレームの前記重要度情報に基づいて、前記画像フレームの表示時間を制御する、
ことを特徴とするデータ配信装置。
【請求項8】
請求項7記載のデータ配信装置であって、
前記撮影装置は複数であり、
前記処理部は、複数の前記撮像装置からの前記画像フレームの前記重要度情報を、連続する前記画像フレームの所定数中の、前記撮像装置各々の前記重要度情報の累積値に基づき、表示すべき前記画像フレームを選択するよう制御する、
ことを特徴とするデータ配信装置。
【請求項9】
請求項8記載のデータ配信装置であって、
前記処理部は、前記重要度情報の累積値に基づき切替られた、複数の前記撮像装置の切替回数が、予め定めた閾値を超えた際に選択された前記撮像装置からの前記画像データを配信する、
ことを特徴とするデータ配信装置。
【請求項10】
請求項8記載のデータ配信装置であって、
前記処理部は、最後に配信された前記画像フレームの前記重要度情報と、前記重要度情報の累積値に基づき今回選択された前記画像フレームの前記重要度情報とを比較することにより、今回配信する前記画像データを決定する、
ことを特徴とするデータ配信装置。
【請求項11】
請求項10記載のデータ配信装置であって、
前記処理部は、前記重要度情報の比較差が、予め定められた第1の閾値を超えた後の、前記重要度情報の累積値に基づき切替られた、複数の前記撮像装置の切替回数が、所定値を越えた際に選択された前記撮像装置からの前記画像データを配信する、
ことを特徴とするデータ配信装置。
【請求項12】
請求項11記載のデータ配信装置であって、
前記処理部は、前記重要度情報の比較差が、予め定められた第2の閾値を超えた際の前記撮像装置の前記画像データを配信する、
ことを特徴とするデータ配信装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−41535(P2010−41535A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203831(P2008−203831)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】