トイレの和洋改修方法および高強度複合コンクリート板
【課題】和風便器の上部を除去して新たな床面を形成し、その上に洋風便器を設置するトイレの和洋改修方法において、和風便器の破損や抜け落ちが防止され、且つ施工作業が容易なトイレの和洋改修方法を提供する。
【解決手段】和風便器10の前隠し部13のみを除去する。次いで、和風便器10の排水口11に連通するように排水パイプ21を立ち上げる。次いで、和風便器10の上部内に蓋材22を嵌め込み、その上側に、繊維を含有させて強化したコンクリート板23aの片面にステンレス板などの金属板23bを接着してなる高強度複合コンクリート板23を被せ、ボルト24によってレベル調整する。この高強度複合コンクリート板23の周囲に自硬性材料26を供給して均す。硬化後、洋風便器30を設置する。
【解決手段】和風便器10の前隠し部13のみを除去する。次いで、和風便器10の排水口11に連通するように排水パイプ21を立ち上げる。次いで、和風便器10の上部内に蓋材22を嵌め込み、その上側に、繊維を含有させて強化したコンクリート板23aの片面にステンレス板などの金属板23bを接着してなる高強度複合コンクリート板23を被せ、ボルト24によってレベル調整する。この高強度複合コンクリート板23の周囲に自硬性材料26を供給して均す。硬化後、洋風便器30を設置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、和風便器が設置されているトイレルームを洋風便器が設置されたトイレルームに改修するためのトイレの和洋改修方法に係り、特にコンクリート等よりなる床スラブ上に和風便器が設置されている場合に採用されるトイレの和洋改修方法および高強度複合コンクリート板に関する。
【背景技術】
【0002】
事務所ビル等の和風トイレルームにあっては、コンクリート製床スラブに和風便器設置用の開口が設けられ、この開口に上方から嵌め込むようにして和風便器が設置されている。和風便器の排水口には、スラブ下を引き回された排便管が接続されている。
このような和風トイレルームを洋風便器が設置された洋風トイレルームに改修する場合、和風便器をすべてハツリ落し、排便管を立て直し、スラブ開口に補強筋を配筋してコンクリートで埋めて床を構築し、その後洋風便器を設置することが行われている。しかしながら、この工法では、階下へ和風便器の解体ガラが落下したり排便管の移動などのために階下からの工事も必要となり、工期が長くなり、コストも嵩むものとなっていた。
【0003】
階上からだけの和洋改修が可能な工法として、特許文献1には、トイレルームの床に設置された和風便器の上部を除去し、該和風便器の排水口に対して連通するように排水パイプを立ち上げ、該和風便器内を速硬性モルタルなどの自硬性充填物で埋め、その後、その上に洋風便器を設置する工法が記載されている。
また、同特許文献1には、トイレルームの床に設置された和風便器の上部を除去した後、該和風便器の内面から周囲床面にかけてガラス繊維マットを貼着すること、自硬性材料の上を横断するようにプレートを設置し、その上に洋風便器を設置することが記載されている。
【特許文献1】特開2005−256467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、自硬性材料としてモルタルを用いているが、モルタルを浸透して和風便器内に水が入らないようにモルタルを密実に仕上げることが必要となり、施工に手間がかかる。
また、モルタルの重量分だけ和風便器が重くなる。
本発明は、和風便器の上部を除去して新たな床面を形成し、その上に洋風便器を設置するトイレの和洋改修方法において、和風便器内にモルタルを充填することが不要であり、しかも和風便器内に水が浸透することが十分に防止され、且つ施工作業が容易なトイレの和洋改修方法を提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、モルタルを充填することを不要にしたトイレの和洋改修方法において、和風便器の上面を覆って新たな床材となるに適した高強度複合コンクリート板、或は、和風便器の上面を覆う用途ばかりでなく、高強度を必要とする部分への使用に適した高強度複合コンクリート板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のトイレの和洋改修方法は、前記和風便器の上部の少なくとも前隠し部を除去する工程と、前記和風便器の排水口に対して連通するように排水パイプを立ち上げる工程と、前記和風便器の上部内に蓋材を嵌め込む工程と、前記蓋材および前記和風便器の上側並びに前記和風便器周囲の床を覆うように、コンクリート板の少なくとも片面に金属板を取着してなる高強度複合コンクリート板を設置する工程と、床上に自硬性材料を供給する工程と、その後、前記洋風便器を設置する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0007】
請求項2のトイレの和洋改修方法は、請求項1において、少なくとも片面に金属板を取着した前記コンクリート板が、繊維を含有した繊維強化コンクリート板からなることを特徴とするものである。
請求項3のトイレの和洋改修方法は、請求項2において、前記繊維強化コンクリート板が、セメント、平均粒径1.0μm以下のポゾラン質微粉末、最大粒径2mm以下の細骨材、金属繊維若しくは有機質繊維、平均粒径3〜20μmの石英粉末、平均粒度1mm以下の繊維状粒子若しくは薄片状粒子、減水剤および水を含む配合物からなることを特徴とするものである。
【0008】
請求項4の高強度複合コンクリート板は、コンクリート板の少なくとも片面に金属板を取着してなる高強度複合コンクリート板であることを特徴とするものである。
請求項5の高強度複合コンクリート板は、請求項4において、少なくとも片面に金属板を取着した前記コンクリート板が、繊維を含有した繊維強化コンクリート板からなることを特徴とするものである。
請求項6の高強度複合コンクリート板は、請求項5において、前記繊維強化コンクリート板が、セメント、平均粒径1.0μm以下のポゾラン質微粉末、最大粒径2mm以下の細骨材、金属繊維若しくは有機質繊維、平均粒径3〜20μmの石英粉末、平均粒度1mm以下の繊維状粒子若しくは薄片状粒子、減水剤および水を含む配合物からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のトイレの和洋改修方法にあっては、和風便器の上部内に蓋材を嵌め込み、この蓋材の上側に高強度複合コンクリート板を配置し、高強度複合コンクリート板周囲の床に自硬性材料を供給する。従って、和風便器内にモルタルなどの充填物を充填しないため、和風便器が重量物とならず、該和風便器を支持している床スラブへの負荷を少なくすることができる。また、和風便器を覆う高強度複合コンクリート板は、新たな床面の一部を構成する。この新たな床面には、改修工事中、作業者が乗ったり、或いは、洋風に改修された後は、トイレを使用する人が乗ったりするが、モルタル等を充填しない和風便器は中空であるので、新たな床面がその上に乗る人の重量を支えることとなる。このような新たな床面は、コンクリート板の少なくとも片面に金属板を取着した高強度複合コンクリート板で構成されるから、圧縮および引張、曲げに強く、人が乗ったときに撓んでふわふわしたり、或いは、曲げ力の作用によって破損したりする恐れがない。
【0010】
このように、本発明の高強度複合コンクリート板は、コンクリート板の少なくとも片面に金属板を取着してなる。コンクリート板は、撓むことがほとんどなく、強度的に大変強いが、曲げに弱い。本発明の高強度複合コンクリート板では、少なくとも片面に金属板が取着されているので、曲げに対しても高強度となる。このため、床材や壁材としての使用や、他の高強度を要求される部位への適用等、広い範囲への使用が可能である。
【0011】
本発明の高強度複合コンクリート板では、コンクリート板に繊維を含ませることができる。繊維としては、スチールファイバや炭素繊維などの高強度、高弾性率の繊維を使用することができる。この繊維で強化されたコンクリート板に金属板を取着した高強度複合コンクリート板では、更に耐曲げ性に優れるので、厚さが薄く、それでいて高強度の板材とすることができる。
【0012】
上記の繊維を含ませたコンクリート板としては、セメント、平均粒径1.0μm以下のポゾラン質微粉末、最大粒径2mm以下の細骨材、金属繊維若しくは有機質繊維、平均粒径3〜20μmの石英粉末、平均粒度1mm以下の繊維状粒子若しくは薄片状粒子、減水剤および水を含む配合物から構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施形態により具体的に説明する。
[第1の実施形態]
図1〜図10は、第1の実施形態を示す。そのうち、図1〜図4(a)および図5〜図7は第1の実施形態に係るトイレの和洋改修方法によるトイレの改修手順を示す縦断面図、図4(b)は、和風便器の落下および飛散防止用シートの配置を示す平面図である。図8は洋風便器設置前のトイレ床面の斜視図、図9(a)は洋風便器設置後の縦断面図、図9(b)は同図(a)のB付近の拡大図、図10は床材の拡大断面図である。
【0014】
図1に示すように、トイレルームの床1に和風便器設置用開口2が設けられ、この開口2に上方から嵌め込まれるようにして陶器製の和風便器10が設置されている。この実施形態では、床1は、コンクリート製の床スラブ本体と、該床スラブ本体の上面に形成されたモルタルやタイル等よりなる仕上げ層とからなる。
和風便器10は、便鉢12、この便鉢12の前部から立設された前隠し部(金隠し部)13、便鉢12の前部に設けられた排水トラップ15、便鉢12の下方に位置されて排水トラップ15に連なる排水口11を有してなる構成のものである。そして、図示の通り、床1の下側空間に排便管3が配設され、この排便管3と和風便器10の排水口11とが接続されている。また、和風便器10には、図示しない給水タンクからの水を便鉢12に供給するための給水管14が接続され、
【0015】
以下に、この和風トイレを洋風トイレに改修するための施工手順について説明する。
まず、図1および図2に示すように、和風便器10の前隠し部13のみをダイヤモンドカッター等を用いて切除する。和風便器10の前隠し部13以外の上縁部は除去せずに残しておく。
次に、図3のように便鉢12の底部のうち排水口11の上方に位置する部分をダイヤモンドカッター等で切除して開放口12aをあけ、排水口11が便鉢12の上方へ露見するようにする。また、排水トラップ15内の溜水を除去する。
次に、図4(a)のように、この和風便器10の露出面(便鉢12や排水トラップ15等の内側面、並びに該便鉢12の上縁部)に、該和風便器10の落下および飛散防止用シート20を貼り付ける。
【0016】
この実施形態では、該落下および飛散防止用シート20は、不織布の片面にプチルゴムやゴム化アスファルトコンパウンド等の粘着材料を付着ないし含浸させてなる自己粘着性
シートである。ただし、本発明において落下および飛散防止用シート20として用いられる自己粘着性シートの材質および構成はこれに限定されるものではなく、これ以外の種々の自己粘着性シートを落下および飛散防止用シート20として用いることができる。
【0017】
この実施形態では、図4(b)の通り、該落下および飛散防止用シート20は帯状のものとなっており、複数本の落下および飛散防止用シート20を、該和風便器10を縦横複数方向に横切るように貼り付けている。
なお、この落下および飛散防止用シート20の貼り付けに当っては、該落下および飛散防止用シート20が和風便器10の全面にわたって付着するのが望ましいが、部分的に該落下および飛散防止用シート20が付着していない箇所が存在していてもよい。
【0018】
和風便器10の全面にわたって飛散防止用シート20を貼り付けた場合には、後述する、和風便器10の上部内に嵌め込まれる蓋材22(図5参照)と、この落下および飛散防止用シート20とが防水シートとしても機能し、床の防水性も高いものとなる。
この落下および飛散防止用シート20の貼り付け後、図5のように、排水口11に対して連通するように排水パイプ21を立ち上げる。詳しくは、該排水口11に上方から排水パイプ21の下端側を差し込む。なお、この排水パイプ21の下端部にはガスケット21aを装着しておく。
【0019】
この排水パイプ21の上端側は、和風便器10の上面よりも上方に突出させておく。
次いで、この和風便器10の上部に蓋材22を装着する。この蓋材22としては、断熱
性および切削性がよく、該和風便器10の上部内に候め込みやすいところから、発泡スチロールなどの発泡合成樹脂板が好適である。
蓋材22を装着するには、和風便器10の上面の開口形状に合わせてこの蓋材の原板をカットする。また、この蓋材22のうち前記排水パイプ21と重なる部分に、該排水パイプ21を挿通するための孔22aを形成する。そして、この孔22aに排水パイプ21を挿通しつつ、蓋材22を和風便器10内に嵌め込む。この際、該蓋材22の側周面と和風便器10の内周面との間、および前記開口と排水パイプ21との間に、シーリング材22bを充填する(図5(b))。
図5のように、蓋材22を、その上面が和風便器10の上面と略面一状となるように和風便器10内に飲め込むのが好ましい。なお、複数の蓋材22を、和風便器10内で突き合わせるようにして嵌め込んでもよい。
【0020】
次に、図6の通り、この蓋材22の上側および和風便器10周囲の床1を覆うように高強度複合コンクリート板23を被せる。この高強度複合コンクリート板23は、図10に示すように、コンクリート板23aの片面(図10で下面)に金属板23bを接着により取着した複合板からなる。なお、この高強度複合コンクリート板23にも、蓋材22と同様の孔23dが形成されている。
コンクリート板23aとしては、通常のセメントコンクリートからなるコンクリート板であっても良く、通常のセメントコンクリートに細い鉄筋を埋め込んだコンクリート板であっても良い。
【0021】
更に、コンクリート板23aとしては、補強繊維を混入させた繊維強化コンクリート板から構成しても良い。この繊維強化コンクリート板は、例えば、基材としてのセメント、珪砂などの細骨材、補強繊維などから構成される。補強繊維としては、合成樹脂繊維や鋼などの金属繊維、特にステンレスなどの特殊鋼繊維や炭素繊維などの高強度、高弾性率の繊維が好ましい。このような補強繊維を含有したコンクリート板23aは、通常のコンクリートに比べ、圧縮強度、引張強度、および曲げ強度に優れ、特に、曲げ強度おいては通常のコンクリートの10倍程度の大きな強度を有する。なお、この補強繊維を混合した繊維強化コンクリートの一種に、ダクタル(DUCTAL:登録商標)と称されるものがある。
【0022】
金属板23bとしては、鋼板やアルミ板などの各種の金属板が考えられるが、強度や美観などからしてもステンレス板が好ましい。金属板23bをコンクリート板23aに接着する接着剤としては、エポキシ系接着剤などを使用する。なお、図10に、コンクリート板23aと金属板23bとを接着する接着剤を符号23cで示した。
【0023】
高強度複合コンクリート板23は、コンクリート板23aが通常のセメントコンクリートからなっていても、金属板23bが片面に取着されているので、金属板23bに曲げ力を負担させる使い方をすることにより、耐圧縮性は勿論、コンクリートの弱点とされてきた耐曲げ性にも優れたものとなる。コンクリート板23aは、コンクリートがもともと撓み難い性質を備えているので、床材として好適するが、本実施形態では、片面に金属板23bが取着されていることによって薄くても耐曲げ性に優れた高強度のものとすることができ、従って、軽量で搬送や手扱いがし易くなる。更にコンクリート板23aに補強繊維を混入した繊維強化コンクリート板を使用することにより、より一層薄く、高強度のものとすることができる。
【0024】
本実施形態では、コンクリート板23aとしては、繊維強化コンクリート板を使用し、金属板23bとしては、ステンレス板を使用するものとした。このような高強度複合コンクリート板23は、金属板23bが曲げ力(引張り力)を負担するように、前述のように金属板23bを下面側にして和風便器10上に被せられている。
【0025】
ここで、本実施形態において使用する繊維強化コンクリート板を形成するための配合物の構成材料およびその配合割合について説明する。なお、以下の構成材料およびその配合割合は、上述のダクタル(DUCTAL:登録商標)と称される配合物のものである。
繊維強化コンクリート板の形成のために用いられる配合物は、セメント、平均粒径1.0μm以下のポゾラン質微粉末、最大粒径2mm以下の細骨材、金属繊維若しくは有機質繊維、平均粒径3〜20μmの石英粉末、平均粒度1mm以下の繊維状粒子若しくは薄片状粒子、減水剤および水を含むものである。本実施形態においては、これらの材料を含む配合物を成形および硬化させて、板状のセメント質硬化体を得て、これにステンレス板を接着したものを用いのである。具体的には、繊維強化コンクリート板23aを12mm厚とし、これの片面に厚さ0.5mmのステンレス板23bをエポキシ系接着剤により接着したものを使用した。
【0026】
繊維強化コンクリート板の形成のために用いられるセメントの種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメント等を用いることができる。
早期強度発現性を向上させようとする場合は、早強ポルトランドセメントを使用することが好ましく、配合物の流動性を向上させようとする場合は、中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
【0027】
ポゾラン質微粉末としては、平均粒径1.0μm以下のものが用いられる。平均粒径が1.0μmを超えると、硬化体の強度発現性が低下するので、好ましくない。
ポゾラン質微粉末としては、例えば、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカゾル、沈降シリカなどが挙げられる。中でも、シリカフュームおよびシリカダストは、平均粒径が1.0μm以下であり、粉砕等を行なう必要がないので、コスト的に有利である。
【0028】
ポゾラン質微粉末の配合量は、配合物の流動性や硬化体の強度発現性の観点から、セメント100質量部に対して、5〜50質量部とするのが好ましい。
該配合量が5質量部未満または50質量部を超えると、配合物の流動性が低下し、成形等の作業が困難となる。また、硬化体の強度発現性および耐久性が低下するうえ、硬化体の使用開始後に、硬化体の一部に欠けや剥れ等が発生するおそれがあり、それに伴う外観の悪化も生じ得るので、好ましくない。
【0029】
細骨材としては、最大粒径2mm以下のものが用いられる。細骨材の最大粒径が2mmを超えると、硬化体の強度発現性が低下するので好ましくない。
なお、硬化体の強度発現性等の観点から、最大粒径が1.5mm以下の細骨材を用いることが好ましい。
細骨材としては、例えば、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂又はこれらの混合物等を使用することができる。
細骨材の配合量は、配合物の流動性や、硬化体の強度発現性、さらには、自己収縮や乾燥収縮の低減、水和発熱量の低減等の観点から、セメント100質量部に対して、好ましくは50〜250質量部、より好ましくは80〜180質量部である。
【0030】
補強用の繊維としては、金属繊維若しくは有機質繊維が用いられる。
金属繊維としては、例えば、鋼繊維、アモルファス繊維等が挙げられる。中でも、鋼繊維は、高い強度を有し、かつコストや入手のし易さの点でも優れているため、好ましく用いられる。
金属繊維の形状および寸法は、好ましくは、長さが2mm以上で、長さ/直径の比が20以上であり、より好ましくは、長さが2〜30mmで、長さ/直径の比が20〜200である。
金属繊維の長さが2mm未満では、曲げ強度を向上させる効果が低下するので、好ましくない。該長さが30mmを超えると、混練の際にファイバーボールが生じ易くなるので、好ましくない。
金属繊維の長さ/直径の比が20未満では、同一配合量(同一体積)での本数が少なくなり、曲げ強度を向上させる効果が低下するので、好ましくない。該比が200を超えると、金属繊維自身の強度が不足し、張力を受けた際に切れ易くなるので、好ましくない。
金属繊維の配合量は、配合物中の体積割合で、好ましくは0.1〜6%、より好ましくは0.5〜5.5%である。該配合量が0.1%未満では、硬化体の曲げ強度が低下することがある。該配合量が6%を超えると、混練時の作業性等を確保するために単位水量を増加しなければならず、硬化体の強度の低下を招くことがある。
【0031】
有機質繊維としては、例えば、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、炭素繊維等が挙げられる。中でも、ビニロン繊維およびポリプロピレン繊維は、高い強度を有し、かつコストや入手のし易さの点でも優れているため、好ましく用いられる。
有機質繊維の形状および寸法は、好ましくは、長さが2mm以上で、長さ/直径の比が20以上であり、より好ましくは、長さが2〜30mmで、長さ/直径の比が20〜500である。
有機質繊維の長さが2mm未満では、破壊強度を向上させる効果が低下するので、好ましくない。該長さが30mmを超えると、混練の際にファイバーボールが生じ易くなるので、好ましくない。
有機質繊維の長さ/直径の比が20未満では、同一配合量(同一体積)での有機質繊維の本数が少なくなり、破壊強度を向上させる効果が低下するので、好ましくない。該比が500を超えると、有機質繊維自身の強度が不足し、張力を受けた際に切れ易くなるので、好ましくない。
【0032】
有機質繊維の配合量は、配合物中の体積割合で、好ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.5〜8.0%である。該配合量が0.1%未満では、破壊エネルギーが低下することがある。該配合量が10%を超えると、混練時の作業性等を確保するために単位水量を増加しなければならず、硬化体の強度の低下を招くことがある。
金属繊維と有機質繊維は、併用してもよい。この場合、金属繊維および有機質繊維の配合量(合計量)は、配合物中の体積割合で、好ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.5〜8.0%である。
【0033】
石英粉末としては、平均粒径3〜20μm(好ましくは4〜10μm)のものが用いられる。該平均粒径が上記範囲外では、配合物の流動性や硬化体の強度発現性が低下するので、好ましくない。
石英粉末としては、例えば、石英や非晶質石英、オパール質やクリストバライト質のシリカ含有粉末等が挙げられる。
石英粉末の配合量は、配合物の流動性や硬化体の強度発現性の観点から、好ましくは、セメント100質量部に対して5〜50質量部である。
【0034】
繊維状粒子若しくは薄片状粒子としては、平均粒度1mm以下のものが用いられる。平均粒度が1mmを超えると、硬化体の強度発現性が低下するので、好ましくない。
なお、本明細書中において、繊維状粒子若しくは薄片状粒子の「粒度」とは、その最大寸法の大きさ(特に、繊維状粒子ではその長さ)を意味する。
繊維状粒子としては、例えば、ウォラストナイト、ボーキサイト、ムライト等が挙げられる。
薄片状粒子としては、例えば、マイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、アルミナフレーク等が挙げられる。
【0035】
繊維状粒子若しくは薄片状粒子の配合量(ただし、これら2種の粒子を併用する場合は合計量)は、配合物の流動性、および硬化体の強度発現性や靱性の観点から、好ましくは、セメント100質量部に対して3〜35質量部である。
なお、繊維状粒子としては、硬化体の靱性を高める観点から、長さ/直径の比で表される針状度が3以上のものを用いるのが好ましい。
減水剤としては、例えば、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系等の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤又は高性能AE減水剤を使用することができる。中でも、ポリカルボン酸系の高性能減水剤および高性能AE減水剤は、減水効果が大きいため、好ましく用いられる。
【0036】
減水剤の配合量は、セメント100質量部に対して、固形分換算で好ましくは0.1〜4.0質量部、より好ましくは0.3〜1.5質量部である。該配合量が0.1質量部未満では、混練が困難になるとともに、配合物の流動性が低下するので、好ましくない。該配合量が4.0質量部を超えると、硬化体の強度発現性が低下するので、好ましくない。
なお、減水剤は、液状と粉末状のいずれでも使用可能である。
【0037】
水量は、セメント100質量部に対して、好ましくは10〜30質量部、より好ましくは15〜25質量部である。該量が10質量部未満では、混練が困難になるとともに、配合物の流動性が低くなるので、好ましくない。該量が30質量部を超えると、硬化体の強度発現性が低下するので、好ましくない。
配合物の混練方法は、特に限定されるものではなく、例えば、
(1)水、減水剤以外の材料を予め混合して、プレミックス材を調製し、該プレミックス材、水および減水剤をミキサに投入し、混練する方法;
(2)水以外の材料(ただし、減水剤としては粉末状のものを使用する。)を予め混合して、プレミックス材を調製し、該プレミックスおよび水をミキサに投入し、混練する方法;
(3)各材料を、それぞれ個別にミキサに投入し、混練する方法;
などが挙げられる。
混練に用いるミキサとしては、通常のコンクリートの混練に用いられる任意のタイプのミキサを用いることができ、例えば、揺動型ミキサ、パンタイプミキサ、二軸練りミキサ等が挙げられる。
【0038】
混練後、所定の型枠内に配合物を投入して成形し、その後、養生すれば、繊維強化コンクリート板23aが完成する。なお、養生方法としては、気中養生、水中養生、蒸気養生等が挙げられる。
【0039】
本実施形態での配合物の物性は、次の通りである。
本実施形態で用いられる配合物は、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定したフロー値が、230mm以上であり、流動性に優れるものである。そのため、配合物の混練作業や、型枠内に投入して成形する作業等を容易に行なうことができる。特に、型枠内の隅々まで配合物が行き渡るので、板とする場合に限られず、所望の形状を有する成形体を高精度で製造する場合に有利である。
【0040】
この配合物が硬化してなる硬化体は、130MPa以上の圧縮強度と、20MPa以上の曲げ強度を発現するうえ、構造的に極めて緻密に形成されているので、機械的強度や耐久性の低下が生じ難い。
また、水と接触しても、内部に水が浸入することがなく、金属繊維が含まれている場合であっても、金属繊維に錆が発生せず、金属繊維による補強効果を長年に亘って維持することができる。
さらに、欠けや剥れ等が発生し難いので、外観が良好な状態に保持される。
以下、本実施形態で繊維強化コンクリート板の製造に用いられる配合物の調製例およびその物性の測定値を説明する。
【0041】
[使用材料]
以下に示す材料を使用した。
1)セメント;低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)
2)ポゾラン質微粉末;シリカフューム(平均粒径:0.25μm)
3)細骨材;珪砂5号
4)金属繊維;鋼繊維(直径:0.2mm、長さ:15mm)
5)有機質繊維;ビニロン繊維(直径:0.3mm、長さ:15mm)
6)減水剤;ポリカルボン酸系高性能AE減水剤
7)水;水道水
8)石英粉末(平均粒径:7μm)
9)繊維状粒子;ウォラストナイト(平均長さ:0.3mm、長さ/直径の比:4)
[配合例1]
(1)材料および配合割合
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、細骨材120質量部、高性能AE減水剤1.0質量部(固形分換算値)、水22質量部、石英粉末32質量部、ウォラストナイト24質量部、鋼繊維(配合物中の体積割合:2%)を二軸練りミキサに投入し、混練して、配合物を得た。
(2)配合物のフロー値
前記配合物のフロー値を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。その結果、フロー値は250mmであった。
(3)配合物の強度
前記配合物をφ50×100mmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生し、硬化体(3本)を得た。該硬化体の圧縮強度(3本の平均値)は230MPaであった。
また、前記配合物を4×4×16cmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生し、硬化体(3本)を得た。該硬化体の曲げ強度(3本の平均値)は45MPaであった。
(4)配合物の透水係数
前記配合物をφ50×100mmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生し、硬化体(3本)を得た。該硬化体の透水係数を、「地盤工学会基準JGS 0231(土の透水試験方法)」の変水位透水試験方法で測定した。その結果、水の浸透は認められず、透水係数は0であった。
【0042】
[配合例2]
(1)材料および配合割合
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、細骨材120質量部、高性能AE減水剤1.0質量部(固形分換算値)、水22質量部、石英粉末32質量部、ウォラストナイト24質量部、ビニロン繊維(配合物中の体積割合:3%)を二軸練りミキサに投入し、混練して、配合物を得た。
(2)配合物のフロー値
該配合物のフロー値を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。その結果、フロー値は240mmであった。
(3)配合物の強度
前記配合物をφ50×100mmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生し、硬化体(3本)を得た。該硬化体の圧縮強度(3本の平均値)は、150MPaであった。
【0043】
また、前記配合物を4×4×16cmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生し、硬化体(3本)を得た。該硬化体の曲げ強度(3本の平均値)は、22MPaであった。
(4)配合物の透水係数
前記配合物をφ50×100mmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生し、硬化体を得た。該硬化体の透水係数を、「地盤工学会基準JGS 0231(土の透水試験方法)」の変水位透水試験方法で測定した。その結果、水の浸透は認められず、透水係数は0であった。
【0044】
本発明者は、上述の繊維強化コンクリート板にステンレス板を接着してなる高強度複合コンクリート板の強度を確認するために、試料を作製し、曲げ試験を行った。試料は、上記の配合例1に示された材料および配合割合にて混合物を得てこの混合物を型枠に入れ、縦600mm、横750mm、厚さ10mmの繊維強化コンクリート板を作製した。そして、このコンクリート板に厚さ0.5mmのステンレス板をエポキシ系接着剤にて接着し、複合コンクリート板を得た。
【0045】
この複合コンクリート板の長辺と平行な中心線上において、板の中心点から105mm離れた点を中心にして直径120mmの孔(排水パイプ22を通すための孔23d)を形成し、発明品試料とした。この発明品試料に対し、ステンレス板が接着されていない点だけが異なる繊維強化コンクリート板のみの試料を作成し、これを比較品試料とした。
【0046】
そして、これら試料について曲げ試験を行った。曲げ試験は、試料を、縦400mm、横650mmの開口を持った台盤上に、試料の中心が台盤の開口の中心と一致するようにして、試料の四辺部が台盤の開口の周辺部により支えられるようにセット(発明品試料については、ステンレス板が下側になるようにセット)し、そして、試料の四辺部を台盤にエポキシ系樹脂で接着し、この状態で、前記長辺と平行な中心線上において、試料の中心から孔の反対側へ75mm離れた点に上から集中荷重を加え、その集中荷重を1kNずつ大きくしてゆくという内容のものである。
【0047】
この曲げ試験の結果、比較品試料は、10kNで破壊した。破壊前の試験荷重である9kNでは、比較品試料は、荷重作用点においての撓み量が9.6mmであった。これに対し、発明品試料は、28kNでも破損せず、また、比較品試料の破壊前の試験荷重である9kNのときの荷重作用点における撓み量は2.5mmであった。この曲げ試験の結果から、本発明の高強度複合コンクリート板は、撓み難く、しかも、耐曲げ性に優れた板材であることが理解される。
このような撓み難さ、耐曲げ性の向上は、繊維強化コンクリート板にステンレス板を中着した場合に限られず、コンクリート板に金属板を取着した複合コンクリート板に共通して見られた。
【0048】
さて、前述のようにして和風便器10の上に被せられた高強度複合コンクリート板23のコーナー部などの周縁部の下面側には、レベル調整用のボルト24が上下方向螺進可能に螺着されている。このボルト24にはロック用のナット25が螺着されている。
このボルト24の下方への突出長さを調節することにより高強度複合コンクリート板23を水平にする。この際、高強度複合コンクリート板23を和風便器10の上縁からごく僅か上方に離隔させ、高強度複合コンクリート板23にガタツキが生じないようにするのが好ましい。なお、このようにすれば、後述の洋風便器30の荷重が和風便器10にかからないようになる。このように、高強度複合コンクリート板23が和風便器10から離間して配置されても、高強度複合コンクリート板23は前述のように高強度であるから、資材を持った作業者が高強度複合コンクリート板23の上に乗ってもほとんど撓まず、安全に作業することができる。
【0049】
次いで、図7に示すように、排水パイプ21の上端のうち高強度複合コンクリート板23から突出する部分を切断し、この排水パイプ21に図8に示す排水ソケット27を装着する。
【0050】
その後、図8および図9の通り、この和風便器10の周囲の床1上に自硬性材料26を供給し、平坦に均す。自硬性材料26としては、軽量・速乾・無収縮性のモルタルが好適であり、その上面のレベルが、高強度複合コンクリート板23の上面と面一となるようにするのが好ましいが、自硬性材料26の上にタイル張りをする場合には、高強度複合コンクリート板23の上面よりも低いレベルとしておく。自硬性材料26の上を塩化ビニルシートなどのシート材で仕上げ処理する場合、自硬性材料26のレベルを高強度複合コンクリート板23の上面と面一とし、高強度複合コンクリート板23の上も該シート材で覆うようにしてもよい。なお、自硬性材料26を高強度複合コンクリート板23の下側にも充填するのが好ましい。
自硬性材料26を供給して均す場合、高強度複合コンクリート板23が高強度であり、その厚さを薄くできるので、自硬性材料26の厚さも薄くすることができ、材料費を低減できる。
【0051】
なお、排水パイプ21の上端側のうち高強度複合コンクリート板23から突出する部分を切断除去し、該排水パイプ21の上端に排水ソケット27を装着する工程は、自硬性材料26を供給して硬化させた後であってもよい。また、図示では省略されているが、必要に応じ、該自硬性材料26の上面にタイル張り等の床の表面の仕上げ処理が行われる。そして、排水ソケット27を介して洋風便器30の排水口と排水パイプ21とを接続しつつ、高強度複合コンクリート板23上に洋風便器30を設置する。洋風便器30は、その全体が高強度複合コンクリート板23上に載置されてもよく、一部が高強度複合コンクリート板23からはみ出してもよい。
【0052】
このトイレの和洋改修方法にあっては、和風便器10の前隠し部13のみを切断除去し、和風便器10のリムを残し、このリムを床1の開口2の縁部に係止させたままとしているので、和風便器10の床1への係止強度が高い。また、和風便器10に蓋材22を装着しており、和風便器10内への水の浸入が防止される。また、和風便器10内に充填物を充填しないので、和風便器10が重量物とならず、該和風便器10を支持している床スラブ1や、該和風便器10の落下および飛散防止用シート20への負荷を少なくすることができる。また、該シート20を貼ってあるので、万一、和風便器10がひび割れした場合でも、落下する危険性が少ない。更に、和風便器10に高強度コンクリート板23を被せてこれを新たな床面の一部とするので、作業者が新たな床面に乗ってもふわふわせず、作業し易く、また、高強度コンクリート板23の厚さを薄くすることができるので、自硬性材料26の使用量を少なくできる。
【0053】
[第2の実施形態]
図11〜図16は本発明の第2の実施形態を示すもので、この図11〜図16を参照して、和風便器10の上縁全体を除去する工法について説明する。
図11は前記第1の実施形態の図2に相当する断面図である。この図11の通り、和風便器10のうち床1から上側の部分をダイヤモンドカッター等で切断除去し、床1と和風便器10の切断面とを面一とする。ただし、和風便器10の切断面が床1の上面よりも若干上位となるようにしてもよい。この場合には、高強度複合コンクリート板23とこの切断面との間に若干の隙間をあけ、高強度複合コンクリート板23から荷重が和風便器10にかからないようにする。
【0054】
次いで、図12(前記実施形態の図4(a)に相当)の通り、落下および飛散防止用シート20を和風便器10の内面に貼着する。次いで、図13の通りステンレスワイヤなどの高強度線材31の一端を和風便器10に掛け、他端を床1のビス32に連結して和風便器10の落下防止対策を行う。高強度線材31の該一端は、和風便器10に設けた開放口12aに挿通されたり、フック33を介して該開放口12aの縁部に掛止される。ビス32は、床1の上面に打ち込まれている。
排水パイプ21を立てた後、前記実施形態と同様に蓋材22を和風便器10に装着する。この際、蓋材22の上面のレベルは、床1の上面と面一か又はそれよりもごく僅か(例えば5mm以内)低位とする。
【0055】
次いで、図13および図14に示す通り、高強度複合コンクリート板23を和風便器10およびその周囲の床1を覆うように被せ、排水パイプ21に排水ソケット27を装着する。
なお、和風便器10の切断面および蓋材22と高強度複合コンクリート板23との間には変成シリコーン系接着剤などの弾性接着剤を介在させるのが好ましい。また、高強度複合コンクリート板23と床1とは二液性エポキシ系接着剤などによって接着する。
【0056】
その後、図16に示す通り、高強度複合コンクリート板23の周囲に自硬性材料26を供給して均す。自硬性材料26が硬化した後、洋風便器30を設置する。この実施形態では、洋風便器30のレベルが第1の実施形態よりも低いものとなる。
なお、図16に示すように、ビス32が高強度複合コンクリート板23よりも外側となるように打っておくと、高強度複合コンクリート板23を床1に面当り状に当てることができ、ガタつきが防止される。
【0057】
[第3の実施形態]
上記各実施形態では、床1は開口2の縁部に至るまでスラブにて構成されているが、図17の通り、スラブ1Aに比較的大きな開口2Aを設け、この開口2Aの内面にモルタル1Mを詰めるようにした和風トイレルームも存在する。
【0058】
このような和風トイレルームを改修する場合には、図18のように高強度複合コンクリート板23としてスラブ1Aに掛かる十分に大きいものを用いる。
図18は和風便器10の上部を全周にわたって切除する図11〜図16の実施形態に適用した例であるが、前隠し部13のみを切除する図1〜図9の実施形態の場合も同様に適用される。即ち、この場合には、ボルト24がスラブ1Aに当るように十分に大きい高強度複合コンクリート板23を用いる。
【0059】
[第4の実施形態]
図19は、床1がスラブ1aと、仕上げ層として、その上に張り付けモルタル1cを介してタイル1bが貼り付けられたトイレルームを改修する一例を示している。この場合、和風便器10のうちタイル1bの上面よりも上位部分のみを切断除去してもよいが、スラブ1aの上面が露呈するようにタイル1bおよび張り付けモルタル1cよりなる仕上げ層のみを和風便器10の上縁と共に切断除去してもよい。その後の処置は図1〜図9、図11〜図16のいずれの方法としてもよい。
この実施形態によると、洋風便器30のレベルがさらに低いものとなる。
【0060】
[その他の実施形態]
本発明では、図20のように、落下および飛散防止用シート20が和風便器10の切断した上縁面をも覆うように貼着されてもよい。また、図示はしないが、和風便器10の周囲の床1上面にまで落下および飛散防止用シート20を張り出して貼着してもよい。
図11〜図16の実施形態では、ビス32を高強度複合コンクリート板23よりも外側に配置しているが、図21のように高強度複合コンクリート板23の下側にビス32を配置してもよい。図21の符号35は、蓋材22と高強度複合コンクリート板23との間の弾性接着剤を示し、36は高強度複合コンクリート板23を床1に接着するエポキシ系接着剤を示す。
【0061】
本発明では、落下および飛散防止用シート20の貼着に先立って和風便器10の露出面の少なくとも一部に、鉄ブラシで擦ることなどにより擦過傷を付けておいてもよい。このようにすると、落下および飛散防止用シート20と和風便器10との結合強度が高まり、和風便器10の保持強度が極めて高くなる。
【0062】
上記実施形態では、落下および飛散防止用シート20は自己粘着性シートにより構成されているが、本発明においては、自己粘着性シート以外の材料により落下および飛散防止用シート20を構成し、接着剤等により、和風便器10に貼り付けるようにしてもよい。
【0063】
該落下および飛散防止用シート20としては、ガラス繊維マットや金属繊維マット、カーボン繊維(カーボンファイバー)マットなどの種々の繊推マットに接着剤を含浸させたものを用いてもよい。なお、コスト、取り扱い性の良さ並びに接着後の和風便器10の保持強度の高さから、ガラス繊維マットが好適である。また、この場合、接着剤としては、該ガラス繊維マットと和風便器10の表面のガラス質との接着力の高さから、エポキシ樹脂系のものが好適である。
【0064】
このようにガラス繊維マット等よりなる落下および飛散防止用シート20を接着剤で和風便器10の露出面に貼着する場合にも、この貼着に先立ち、該露出面を鉄ブラシで擦るなどして該露出面の少なくとも一部、好ましくは接着剤が付着される部分全体に擦過傷を付けておくことにより、該飛散防止用シート20と和風便器10との接着力を高めることができる。
なお、本発明においては、接着剤をガラス繊維マット等の繊維マットに対し現場にて付着ないし含浸させて用いるようにしてもよい。
【0065】
本発明においては、蓋材22を和風便器10に嵌め込むのに先立ち、該和風便器10内に発泡樹脂製ビーズを充填してもよい。
【0066】
このように、和風便器10内に発泡樹脂製ビーズを充填し、蓋材22を、このビーズ上に載せるようにして和風便器10内に嵌め込むようにすることにより、該蓋材22が充填物の重量や床上荷重等によって和風便器10内に落ち込むのを防止することができる。なお、このビーズ26は発泡樹脂製であり、軽量であることから、このビーズを和風便器10内に充填しても、これによって和風便器10に過度に大きな荷重が掛かることはない。
また、万一、和風便器10内に水が浸入しても、このように和風便器10内にビーズが充填されていることにより、該和風便器10内に水が溜まりにくく、万一、和風便器10にひび割れ等の破損が生じた場合でも、一度に大量の水が階下に漏れ出すことがない。
【0067】
本発明では、洋風便器30は、その設置時の前後方向が、トイレルームに元々設置されていた和風便器10の前後方向と交差方向となるように設置されてもよく、同方向あるいは逆方向となるようにしてもよい。
上記実施形態では、高強度複合コンクリート板23を設置した後、自硬性材料26を供給して均すようにしているが、先に自硬性材料26を和風便器10の切断面又は蓋材22の上面レベルに合わせて供給して均し、その後、高強度複合コンクリート板23を設置するようにしてもよい。
【0068】
高強度複合コンクリート板23において、コンクリート板23aへの金属板23bの取着手段としては、接着剤23cによるものに限られない。例えば、金属板23bに突部を設け、コンクリート板23aを型成形する際に、金属板23bの突部がコンクリート板23a内に埋め込まれるようする取着構成としてもよい。
高強度複合コンクリート板23は、コンクリート板23aの両面に金属板23bを取着したものであっても良い。
【0069】
本発明の高強度複合コンクリート板は、トイレの和洋改修の際に床材の一部に用いるものに限られず、建築物の床材や壁材として用いる他、例えば開水路の蓋として用いても良い等、その用途は種々考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るトイレの和洋改修方法によるトイレルームの改修手順の説明図その1
【図2】トイレルームの改修手順の説明図その2
【図3】トイレルームの改修手順の説明図その3
【図4】トイレルームの改修手順の説明図その4
【図5】トイレルームの改修手順の説明図その5
【図6】トイレルームの改修手順の説明図その6
【図7】トイレルームの改修手順の説明図その7
【図8】トイレルームの改修手順の説明図その8
【図9】洋風便器設置後の縦断面図である。
【図10】高強度複合コンクリート板の部分的な拡大断面図
【図11】本発明の第2の実施形態に係るトイレの和洋改修方法によるトイレルームの改修手順の説明図その1
【図12】トイレルームの改修手順の説明図その2
【図13】トイレルームの改修手順の説明図その3
【図14】トイレルームの改修手順の説明図その4
【図15】トイレルームの改修手順の説明図その5
【図16】トイレルームの改修手順の説明図その6
【図17】本発明の第3の実施形態に係るトイレの和洋改修方法によるトイレルームの改修手順の説明図その1
【図18】トイレルームの改修手順の説明図その2
【図19】本発明の第4の実施形態に係るトイレの和洋改修方法によるトイレルームの改修手順の説明図
【図20】その他の実施形態に係るトイレの和洋改修方法によるトイレの改修手順の説明図
【図21】更に異なる他の実施形態に係るトイレの和洋改修方法によるトイレの改修手順の説明図
【符号の説明】
【0071】
図中、1は床、1A,1aは床スラブ、1bはタイル、1cは張り付けモルタル、1Mはモルタル、2,2Aは和風便器設置用開口、3は排便管、10は和風便器、11は排水口、12は便鉢、13は前隠し部、15は排水トラップ、20は落下および飛散防止用シート、21は排水パイプ、22は蓋材、23は高強度複合コンクリート板、23aはコンクリート板、23bは金属板、24はボルト、25はナット、26は自硬性材料、27は排水ソケット、31は高強度線材、32はビス、33はフックを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、和風便器が設置されているトイレルームを洋風便器が設置されたトイレルームに改修するためのトイレの和洋改修方法に係り、特にコンクリート等よりなる床スラブ上に和風便器が設置されている場合に採用されるトイレの和洋改修方法および高強度複合コンクリート板に関する。
【背景技術】
【0002】
事務所ビル等の和風トイレルームにあっては、コンクリート製床スラブに和風便器設置用の開口が設けられ、この開口に上方から嵌め込むようにして和風便器が設置されている。和風便器の排水口には、スラブ下を引き回された排便管が接続されている。
このような和風トイレルームを洋風便器が設置された洋風トイレルームに改修する場合、和風便器をすべてハツリ落し、排便管を立て直し、スラブ開口に補強筋を配筋してコンクリートで埋めて床を構築し、その後洋風便器を設置することが行われている。しかしながら、この工法では、階下へ和風便器の解体ガラが落下したり排便管の移動などのために階下からの工事も必要となり、工期が長くなり、コストも嵩むものとなっていた。
【0003】
階上からだけの和洋改修が可能な工法として、特許文献1には、トイレルームの床に設置された和風便器の上部を除去し、該和風便器の排水口に対して連通するように排水パイプを立ち上げ、該和風便器内を速硬性モルタルなどの自硬性充填物で埋め、その後、その上に洋風便器を設置する工法が記載されている。
また、同特許文献1には、トイレルームの床に設置された和風便器の上部を除去した後、該和風便器の内面から周囲床面にかけてガラス繊維マットを貼着すること、自硬性材料の上を横断するようにプレートを設置し、その上に洋風便器を設置することが記載されている。
【特許文献1】特開2005−256467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、自硬性材料としてモルタルを用いているが、モルタルを浸透して和風便器内に水が入らないようにモルタルを密実に仕上げることが必要となり、施工に手間がかかる。
また、モルタルの重量分だけ和風便器が重くなる。
本発明は、和風便器の上部を除去して新たな床面を形成し、その上に洋風便器を設置するトイレの和洋改修方法において、和風便器内にモルタルを充填することが不要であり、しかも和風便器内に水が浸透することが十分に防止され、且つ施工作業が容易なトイレの和洋改修方法を提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、モルタルを充填することを不要にしたトイレの和洋改修方法において、和風便器の上面を覆って新たな床材となるに適した高強度複合コンクリート板、或は、和風便器の上面を覆う用途ばかりでなく、高強度を必要とする部分への使用に適した高強度複合コンクリート板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のトイレの和洋改修方法は、前記和風便器の上部の少なくとも前隠し部を除去する工程と、前記和風便器の排水口に対して連通するように排水パイプを立ち上げる工程と、前記和風便器の上部内に蓋材を嵌め込む工程と、前記蓋材および前記和風便器の上側並びに前記和風便器周囲の床を覆うように、コンクリート板の少なくとも片面に金属板を取着してなる高強度複合コンクリート板を設置する工程と、床上に自硬性材料を供給する工程と、その後、前記洋風便器を設置する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0007】
請求項2のトイレの和洋改修方法は、請求項1において、少なくとも片面に金属板を取着した前記コンクリート板が、繊維を含有した繊維強化コンクリート板からなることを特徴とするものである。
請求項3のトイレの和洋改修方法は、請求項2において、前記繊維強化コンクリート板が、セメント、平均粒径1.0μm以下のポゾラン質微粉末、最大粒径2mm以下の細骨材、金属繊維若しくは有機質繊維、平均粒径3〜20μmの石英粉末、平均粒度1mm以下の繊維状粒子若しくは薄片状粒子、減水剤および水を含む配合物からなることを特徴とするものである。
【0008】
請求項4の高強度複合コンクリート板は、コンクリート板の少なくとも片面に金属板を取着してなる高強度複合コンクリート板であることを特徴とするものである。
請求項5の高強度複合コンクリート板は、請求項4において、少なくとも片面に金属板を取着した前記コンクリート板が、繊維を含有した繊維強化コンクリート板からなることを特徴とするものである。
請求項6の高強度複合コンクリート板は、請求項5において、前記繊維強化コンクリート板が、セメント、平均粒径1.0μm以下のポゾラン質微粉末、最大粒径2mm以下の細骨材、金属繊維若しくは有機質繊維、平均粒径3〜20μmの石英粉末、平均粒度1mm以下の繊維状粒子若しくは薄片状粒子、減水剤および水を含む配合物からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のトイレの和洋改修方法にあっては、和風便器の上部内に蓋材を嵌め込み、この蓋材の上側に高強度複合コンクリート板を配置し、高強度複合コンクリート板周囲の床に自硬性材料を供給する。従って、和風便器内にモルタルなどの充填物を充填しないため、和風便器が重量物とならず、該和風便器を支持している床スラブへの負荷を少なくすることができる。また、和風便器を覆う高強度複合コンクリート板は、新たな床面の一部を構成する。この新たな床面には、改修工事中、作業者が乗ったり、或いは、洋風に改修された後は、トイレを使用する人が乗ったりするが、モルタル等を充填しない和風便器は中空であるので、新たな床面がその上に乗る人の重量を支えることとなる。このような新たな床面は、コンクリート板の少なくとも片面に金属板を取着した高強度複合コンクリート板で構成されるから、圧縮および引張、曲げに強く、人が乗ったときに撓んでふわふわしたり、或いは、曲げ力の作用によって破損したりする恐れがない。
【0010】
このように、本発明の高強度複合コンクリート板は、コンクリート板の少なくとも片面に金属板を取着してなる。コンクリート板は、撓むことがほとんどなく、強度的に大変強いが、曲げに弱い。本発明の高強度複合コンクリート板では、少なくとも片面に金属板が取着されているので、曲げに対しても高強度となる。このため、床材や壁材としての使用や、他の高強度を要求される部位への適用等、広い範囲への使用が可能である。
【0011】
本発明の高強度複合コンクリート板では、コンクリート板に繊維を含ませることができる。繊維としては、スチールファイバや炭素繊維などの高強度、高弾性率の繊維を使用することができる。この繊維で強化されたコンクリート板に金属板を取着した高強度複合コンクリート板では、更に耐曲げ性に優れるので、厚さが薄く、それでいて高強度の板材とすることができる。
【0012】
上記の繊維を含ませたコンクリート板としては、セメント、平均粒径1.0μm以下のポゾラン質微粉末、最大粒径2mm以下の細骨材、金属繊維若しくは有機質繊維、平均粒径3〜20μmの石英粉末、平均粒度1mm以下の繊維状粒子若しくは薄片状粒子、減水剤および水を含む配合物から構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施形態により具体的に説明する。
[第1の実施形態]
図1〜図10は、第1の実施形態を示す。そのうち、図1〜図4(a)および図5〜図7は第1の実施形態に係るトイレの和洋改修方法によるトイレの改修手順を示す縦断面図、図4(b)は、和風便器の落下および飛散防止用シートの配置を示す平面図である。図8は洋風便器設置前のトイレ床面の斜視図、図9(a)は洋風便器設置後の縦断面図、図9(b)は同図(a)のB付近の拡大図、図10は床材の拡大断面図である。
【0014】
図1に示すように、トイレルームの床1に和風便器設置用開口2が設けられ、この開口2に上方から嵌め込まれるようにして陶器製の和風便器10が設置されている。この実施形態では、床1は、コンクリート製の床スラブ本体と、該床スラブ本体の上面に形成されたモルタルやタイル等よりなる仕上げ層とからなる。
和風便器10は、便鉢12、この便鉢12の前部から立設された前隠し部(金隠し部)13、便鉢12の前部に設けられた排水トラップ15、便鉢12の下方に位置されて排水トラップ15に連なる排水口11を有してなる構成のものである。そして、図示の通り、床1の下側空間に排便管3が配設され、この排便管3と和風便器10の排水口11とが接続されている。また、和風便器10には、図示しない給水タンクからの水を便鉢12に供給するための給水管14が接続され、
【0015】
以下に、この和風トイレを洋風トイレに改修するための施工手順について説明する。
まず、図1および図2に示すように、和風便器10の前隠し部13のみをダイヤモンドカッター等を用いて切除する。和風便器10の前隠し部13以外の上縁部は除去せずに残しておく。
次に、図3のように便鉢12の底部のうち排水口11の上方に位置する部分をダイヤモンドカッター等で切除して開放口12aをあけ、排水口11が便鉢12の上方へ露見するようにする。また、排水トラップ15内の溜水を除去する。
次に、図4(a)のように、この和風便器10の露出面(便鉢12や排水トラップ15等の内側面、並びに該便鉢12の上縁部)に、該和風便器10の落下および飛散防止用シート20を貼り付ける。
【0016】
この実施形態では、該落下および飛散防止用シート20は、不織布の片面にプチルゴムやゴム化アスファルトコンパウンド等の粘着材料を付着ないし含浸させてなる自己粘着性
シートである。ただし、本発明において落下および飛散防止用シート20として用いられる自己粘着性シートの材質および構成はこれに限定されるものではなく、これ以外の種々の自己粘着性シートを落下および飛散防止用シート20として用いることができる。
【0017】
この実施形態では、図4(b)の通り、該落下および飛散防止用シート20は帯状のものとなっており、複数本の落下および飛散防止用シート20を、該和風便器10を縦横複数方向に横切るように貼り付けている。
なお、この落下および飛散防止用シート20の貼り付けに当っては、該落下および飛散防止用シート20が和風便器10の全面にわたって付着するのが望ましいが、部分的に該落下および飛散防止用シート20が付着していない箇所が存在していてもよい。
【0018】
和風便器10の全面にわたって飛散防止用シート20を貼り付けた場合には、後述する、和風便器10の上部内に嵌め込まれる蓋材22(図5参照)と、この落下および飛散防止用シート20とが防水シートとしても機能し、床の防水性も高いものとなる。
この落下および飛散防止用シート20の貼り付け後、図5のように、排水口11に対して連通するように排水パイプ21を立ち上げる。詳しくは、該排水口11に上方から排水パイプ21の下端側を差し込む。なお、この排水パイプ21の下端部にはガスケット21aを装着しておく。
【0019】
この排水パイプ21の上端側は、和風便器10の上面よりも上方に突出させておく。
次いで、この和風便器10の上部に蓋材22を装着する。この蓋材22としては、断熱
性および切削性がよく、該和風便器10の上部内に候め込みやすいところから、発泡スチロールなどの発泡合成樹脂板が好適である。
蓋材22を装着するには、和風便器10の上面の開口形状に合わせてこの蓋材の原板をカットする。また、この蓋材22のうち前記排水パイプ21と重なる部分に、該排水パイプ21を挿通するための孔22aを形成する。そして、この孔22aに排水パイプ21を挿通しつつ、蓋材22を和風便器10内に嵌め込む。この際、該蓋材22の側周面と和風便器10の内周面との間、および前記開口と排水パイプ21との間に、シーリング材22bを充填する(図5(b))。
図5のように、蓋材22を、その上面が和風便器10の上面と略面一状となるように和風便器10内に飲め込むのが好ましい。なお、複数の蓋材22を、和風便器10内で突き合わせるようにして嵌め込んでもよい。
【0020】
次に、図6の通り、この蓋材22の上側および和風便器10周囲の床1を覆うように高強度複合コンクリート板23を被せる。この高強度複合コンクリート板23は、図10に示すように、コンクリート板23aの片面(図10で下面)に金属板23bを接着により取着した複合板からなる。なお、この高強度複合コンクリート板23にも、蓋材22と同様の孔23dが形成されている。
コンクリート板23aとしては、通常のセメントコンクリートからなるコンクリート板であっても良く、通常のセメントコンクリートに細い鉄筋を埋め込んだコンクリート板であっても良い。
【0021】
更に、コンクリート板23aとしては、補強繊維を混入させた繊維強化コンクリート板から構成しても良い。この繊維強化コンクリート板は、例えば、基材としてのセメント、珪砂などの細骨材、補強繊維などから構成される。補強繊維としては、合成樹脂繊維や鋼などの金属繊維、特にステンレスなどの特殊鋼繊維や炭素繊維などの高強度、高弾性率の繊維が好ましい。このような補強繊維を含有したコンクリート板23aは、通常のコンクリートに比べ、圧縮強度、引張強度、および曲げ強度に優れ、特に、曲げ強度おいては通常のコンクリートの10倍程度の大きな強度を有する。なお、この補強繊維を混合した繊維強化コンクリートの一種に、ダクタル(DUCTAL:登録商標)と称されるものがある。
【0022】
金属板23bとしては、鋼板やアルミ板などの各種の金属板が考えられるが、強度や美観などからしてもステンレス板が好ましい。金属板23bをコンクリート板23aに接着する接着剤としては、エポキシ系接着剤などを使用する。なお、図10に、コンクリート板23aと金属板23bとを接着する接着剤を符号23cで示した。
【0023】
高強度複合コンクリート板23は、コンクリート板23aが通常のセメントコンクリートからなっていても、金属板23bが片面に取着されているので、金属板23bに曲げ力を負担させる使い方をすることにより、耐圧縮性は勿論、コンクリートの弱点とされてきた耐曲げ性にも優れたものとなる。コンクリート板23aは、コンクリートがもともと撓み難い性質を備えているので、床材として好適するが、本実施形態では、片面に金属板23bが取着されていることによって薄くても耐曲げ性に優れた高強度のものとすることができ、従って、軽量で搬送や手扱いがし易くなる。更にコンクリート板23aに補強繊維を混入した繊維強化コンクリート板を使用することにより、より一層薄く、高強度のものとすることができる。
【0024】
本実施形態では、コンクリート板23aとしては、繊維強化コンクリート板を使用し、金属板23bとしては、ステンレス板を使用するものとした。このような高強度複合コンクリート板23は、金属板23bが曲げ力(引張り力)を負担するように、前述のように金属板23bを下面側にして和風便器10上に被せられている。
【0025】
ここで、本実施形態において使用する繊維強化コンクリート板を形成するための配合物の構成材料およびその配合割合について説明する。なお、以下の構成材料およびその配合割合は、上述のダクタル(DUCTAL:登録商標)と称される配合物のものである。
繊維強化コンクリート板の形成のために用いられる配合物は、セメント、平均粒径1.0μm以下のポゾラン質微粉末、最大粒径2mm以下の細骨材、金属繊維若しくは有機質繊維、平均粒径3〜20μmの石英粉末、平均粒度1mm以下の繊維状粒子若しくは薄片状粒子、減水剤および水を含むものである。本実施形態においては、これらの材料を含む配合物を成形および硬化させて、板状のセメント質硬化体を得て、これにステンレス板を接着したものを用いのである。具体的には、繊維強化コンクリート板23aを12mm厚とし、これの片面に厚さ0.5mmのステンレス板23bをエポキシ系接着剤により接着したものを使用した。
【0026】
繊維強化コンクリート板の形成のために用いられるセメントの種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメント等を用いることができる。
早期強度発現性を向上させようとする場合は、早強ポルトランドセメントを使用することが好ましく、配合物の流動性を向上させようとする場合は、中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
【0027】
ポゾラン質微粉末としては、平均粒径1.0μm以下のものが用いられる。平均粒径が1.0μmを超えると、硬化体の強度発現性が低下するので、好ましくない。
ポゾラン質微粉末としては、例えば、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカゾル、沈降シリカなどが挙げられる。中でも、シリカフュームおよびシリカダストは、平均粒径が1.0μm以下であり、粉砕等を行なう必要がないので、コスト的に有利である。
【0028】
ポゾラン質微粉末の配合量は、配合物の流動性や硬化体の強度発現性の観点から、セメント100質量部に対して、5〜50質量部とするのが好ましい。
該配合量が5質量部未満または50質量部を超えると、配合物の流動性が低下し、成形等の作業が困難となる。また、硬化体の強度発現性および耐久性が低下するうえ、硬化体の使用開始後に、硬化体の一部に欠けや剥れ等が発生するおそれがあり、それに伴う外観の悪化も生じ得るので、好ましくない。
【0029】
細骨材としては、最大粒径2mm以下のものが用いられる。細骨材の最大粒径が2mmを超えると、硬化体の強度発現性が低下するので好ましくない。
なお、硬化体の強度発現性等の観点から、最大粒径が1.5mm以下の細骨材を用いることが好ましい。
細骨材としては、例えば、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂又はこれらの混合物等を使用することができる。
細骨材の配合量は、配合物の流動性や、硬化体の強度発現性、さらには、自己収縮や乾燥収縮の低減、水和発熱量の低減等の観点から、セメント100質量部に対して、好ましくは50〜250質量部、より好ましくは80〜180質量部である。
【0030】
補強用の繊維としては、金属繊維若しくは有機質繊維が用いられる。
金属繊維としては、例えば、鋼繊維、アモルファス繊維等が挙げられる。中でも、鋼繊維は、高い強度を有し、かつコストや入手のし易さの点でも優れているため、好ましく用いられる。
金属繊維の形状および寸法は、好ましくは、長さが2mm以上で、長さ/直径の比が20以上であり、より好ましくは、長さが2〜30mmで、長さ/直径の比が20〜200である。
金属繊維の長さが2mm未満では、曲げ強度を向上させる効果が低下するので、好ましくない。該長さが30mmを超えると、混練の際にファイバーボールが生じ易くなるので、好ましくない。
金属繊維の長さ/直径の比が20未満では、同一配合量(同一体積)での本数が少なくなり、曲げ強度を向上させる効果が低下するので、好ましくない。該比が200を超えると、金属繊維自身の強度が不足し、張力を受けた際に切れ易くなるので、好ましくない。
金属繊維の配合量は、配合物中の体積割合で、好ましくは0.1〜6%、より好ましくは0.5〜5.5%である。該配合量が0.1%未満では、硬化体の曲げ強度が低下することがある。該配合量が6%を超えると、混練時の作業性等を確保するために単位水量を増加しなければならず、硬化体の強度の低下を招くことがある。
【0031】
有機質繊維としては、例えば、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、炭素繊維等が挙げられる。中でも、ビニロン繊維およびポリプロピレン繊維は、高い強度を有し、かつコストや入手のし易さの点でも優れているため、好ましく用いられる。
有機質繊維の形状および寸法は、好ましくは、長さが2mm以上で、長さ/直径の比が20以上であり、より好ましくは、長さが2〜30mmで、長さ/直径の比が20〜500である。
有機質繊維の長さが2mm未満では、破壊強度を向上させる効果が低下するので、好ましくない。該長さが30mmを超えると、混練の際にファイバーボールが生じ易くなるので、好ましくない。
有機質繊維の長さ/直径の比が20未満では、同一配合量(同一体積)での有機質繊維の本数が少なくなり、破壊強度を向上させる効果が低下するので、好ましくない。該比が500を超えると、有機質繊維自身の強度が不足し、張力を受けた際に切れ易くなるので、好ましくない。
【0032】
有機質繊維の配合量は、配合物中の体積割合で、好ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.5〜8.0%である。該配合量が0.1%未満では、破壊エネルギーが低下することがある。該配合量が10%を超えると、混練時の作業性等を確保するために単位水量を増加しなければならず、硬化体の強度の低下を招くことがある。
金属繊維と有機質繊維は、併用してもよい。この場合、金属繊維および有機質繊維の配合量(合計量)は、配合物中の体積割合で、好ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.5〜8.0%である。
【0033】
石英粉末としては、平均粒径3〜20μm(好ましくは4〜10μm)のものが用いられる。該平均粒径が上記範囲外では、配合物の流動性や硬化体の強度発現性が低下するので、好ましくない。
石英粉末としては、例えば、石英や非晶質石英、オパール質やクリストバライト質のシリカ含有粉末等が挙げられる。
石英粉末の配合量は、配合物の流動性や硬化体の強度発現性の観点から、好ましくは、セメント100質量部に対して5〜50質量部である。
【0034】
繊維状粒子若しくは薄片状粒子としては、平均粒度1mm以下のものが用いられる。平均粒度が1mmを超えると、硬化体の強度発現性が低下するので、好ましくない。
なお、本明細書中において、繊維状粒子若しくは薄片状粒子の「粒度」とは、その最大寸法の大きさ(特に、繊維状粒子ではその長さ)を意味する。
繊維状粒子としては、例えば、ウォラストナイト、ボーキサイト、ムライト等が挙げられる。
薄片状粒子としては、例えば、マイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、アルミナフレーク等が挙げられる。
【0035】
繊維状粒子若しくは薄片状粒子の配合量(ただし、これら2種の粒子を併用する場合は合計量)は、配合物の流動性、および硬化体の強度発現性や靱性の観点から、好ましくは、セメント100質量部に対して3〜35質量部である。
なお、繊維状粒子としては、硬化体の靱性を高める観点から、長さ/直径の比で表される針状度が3以上のものを用いるのが好ましい。
減水剤としては、例えば、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系等の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤又は高性能AE減水剤を使用することができる。中でも、ポリカルボン酸系の高性能減水剤および高性能AE減水剤は、減水効果が大きいため、好ましく用いられる。
【0036】
減水剤の配合量は、セメント100質量部に対して、固形分換算で好ましくは0.1〜4.0質量部、より好ましくは0.3〜1.5質量部である。該配合量が0.1質量部未満では、混練が困難になるとともに、配合物の流動性が低下するので、好ましくない。該配合量が4.0質量部を超えると、硬化体の強度発現性が低下するので、好ましくない。
なお、減水剤は、液状と粉末状のいずれでも使用可能である。
【0037】
水量は、セメント100質量部に対して、好ましくは10〜30質量部、より好ましくは15〜25質量部である。該量が10質量部未満では、混練が困難になるとともに、配合物の流動性が低くなるので、好ましくない。該量が30質量部を超えると、硬化体の強度発現性が低下するので、好ましくない。
配合物の混練方法は、特に限定されるものではなく、例えば、
(1)水、減水剤以外の材料を予め混合して、プレミックス材を調製し、該プレミックス材、水および減水剤をミキサに投入し、混練する方法;
(2)水以外の材料(ただし、減水剤としては粉末状のものを使用する。)を予め混合して、プレミックス材を調製し、該プレミックスおよび水をミキサに投入し、混練する方法;
(3)各材料を、それぞれ個別にミキサに投入し、混練する方法;
などが挙げられる。
混練に用いるミキサとしては、通常のコンクリートの混練に用いられる任意のタイプのミキサを用いることができ、例えば、揺動型ミキサ、パンタイプミキサ、二軸練りミキサ等が挙げられる。
【0038】
混練後、所定の型枠内に配合物を投入して成形し、その後、養生すれば、繊維強化コンクリート板23aが完成する。なお、養生方法としては、気中養生、水中養生、蒸気養生等が挙げられる。
【0039】
本実施形態での配合物の物性は、次の通りである。
本実施形態で用いられる配合物は、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定したフロー値が、230mm以上であり、流動性に優れるものである。そのため、配合物の混練作業や、型枠内に投入して成形する作業等を容易に行なうことができる。特に、型枠内の隅々まで配合物が行き渡るので、板とする場合に限られず、所望の形状を有する成形体を高精度で製造する場合に有利である。
【0040】
この配合物が硬化してなる硬化体は、130MPa以上の圧縮強度と、20MPa以上の曲げ強度を発現するうえ、構造的に極めて緻密に形成されているので、機械的強度や耐久性の低下が生じ難い。
また、水と接触しても、内部に水が浸入することがなく、金属繊維が含まれている場合であっても、金属繊維に錆が発生せず、金属繊維による補強効果を長年に亘って維持することができる。
さらに、欠けや剥れ等が発生し難いので、外観が良好な状態に保持される。
以下、本実施形態で繊維強化コンクリート板の製造に用いられる配合物の調製例およびその物性の測定値を説明する。
【0041】
[使用材料]
以下に示す材料を使用した。
1)セメント;低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)
2)ポゾラン質微粉末;シリカフューム(平均粒径:0.25μm)
3)細骨材;珪砂5号
4)金属繊維;鋼繊維(直径:0.2mm、長さ:15mm)
5)有機質繊維;ビニロン繊維(直径:0.3mm、長さ:15mm)
6)減水剤;ポリカルボン酸系高性能AE減水剤
7)水;水道水
8)石英粉末(平均粒径:7μm)
9)繊維状粒子;ウォラストナイト(平均長さ:0.3mm、長さ/直径の比:4)
[配合例1]
(1)材料および配合割合
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、細骨材120質量部、高性能AE減水剤1.0質量部(固形分換算値)、水22質量部、石英粉末32質量部、ウォラストナイト24質量部、鋼繊維(配合物中の体積割合:2%)を二軸練りミキサに投入し、混練して、配合物を得た。
(2)配合物のフロー値
前記配合物のフロー値を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。その結果、フロー値は250mmであった。
(3)配合物の強度
前記配合物をφ50×100mmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生し、硬化体(3本)を得た。該硬化体の圧縮強度(3本の平均値)は230MPaであった。
また、前記配合物を4×4×16cmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生し、硬化体(3本)を得た。該硬化体の曲げ強度(3本の平均値)は45MPaであった。
(4)配合物の透水係数
前記配合物をφ50×100mmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生し、硬化体(3本)を得た。該硬化体の透水係数を、「地盤工学会基準JGS 0231(土の透水試験方法)」の変水位透水試験方法で測定した。その結果、水の浸透は認められず、透水係数は0であった。
【0042】
[配合例2]
(1)材料および配合割合
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、細骨材120質量部、高性能AE減水剤1.0質量部(固形分換算値)、水22質量部、石英粉末32質量部、ウォラストナイト24質量部、ビニロン繊維(配合物中の体積割合:3%)を二軸練りミキサに投入し、混練して、配合物を得た。
(2)配合物のフロー値
該配合物のフロー値を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。その結果、フロー値は240mmであった。
(3)配合物の強度
前記配合物をφ50×100mmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生し、硬化体(3本)を得た。該硬化体の圧縮強度(3本の平均値)は、150MPaであった。
【0043】
また、前記配合物を4×4×16cmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生し、硬化体(3本)を得た。該硬化体の曲げ強度(3本の平均値)は、22MPaであった。
(4)配合物の透水係数
前記配合物をφ50×100mmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生し、硬化体を得た。該硬化体の透水係数を、「地盤工学会基準JGS 0231(土の透水試験方法)」の変水位透水試験方法で測定した。その結果、水の浸透は認められず、透水係数は0であった。
【0044】
本発明者は、上述の繊維強化コンクリート板にステンレス板を接着してなる高強度複合コンクリート板の強度を確認するために、試料を作製し、曲げ試験を行った。試料は、上記の配合例1に示された材料および配合割合にて混合物を得てこの混合物を型枠に入れ、縦600mm、横750mm、厚さ10mmの繊維強化コンクリート板を作製した。そして、このコンクリート板に厚さ0.5mmのステンレス板をエポキシ系接着剤にて接着し、複合コンクリート板を得た。
【0045】
この複合コンクリート板の長辺と平行な中心線上において、板の中心点から105mm離れた点を中心にして直径120mmの孔(排水パイプ22を通すための孔23d)を形成し、発明品試料とした。この発明品試料に対し、ステンレス板が接着されていない点だけが異なる繊維強化コンクリート板のみの試料を作成し、これを比較品試料とした。
【0046】
そして、これら試料について曲げ試験を行った。曲げ試験は、試料を、縦400mm、横650mmの開口を持った台盤上に、試料の中心が台盤の開口の中心と一致するようにして、試料の四辺部が台盤の開口の周辺部により支えられるようにセット(発明品試料については、ステンレス板が下側になるようにセット)し、そして、試料の四辺部を台盤にエポキシ系樹脂で接着し、この状態で、前記長辺と平行な中心線上において、試料の中心から孔の反対側へ75mm離れた点に上から集中荷重を加え、その集中荷重を1kNずつ大きくしてゆくという内容のものである。
【0047】
この曲げ試験の結果、比較品試料は、10kNで破壊した。破壊前の試験荷重である9kNでは、比較品試料は、荷重作用点においての撓み量が9.6mmであった。これに対し、発明品試料は、28kNでも破損せず、また、比較品試料の破壊前の試験荷重である9kNのときの荷重作用点における撓み量は2.5mmであった。この曲げ試験の結果から、本発明の高強度複合コンクリート板は、撓み難く、しかも、耐曲げ性に優れた板材であることが理解される。
このような撓み難さ、耐曲げ性の向上は、繊維強化コンクリート板にステンレス板を中着した場合に限られず、コンクリート板に金属板を取着した複合コンクリート板に共通して見られた。
【0048】
さて、前述のようにして和風便器10の上に被せられた高強度複合コンクリート板23のコーナー部などの周縁部の下面側には、レベル調整用のボルト24が上下方向螺進可能に螺着されている。このボルト24にはロック用のナット25が螺着されている。
このボルト24の下方への突出長さを調節することにより高強度複合コンクリート板23を水平にする。この際、高強度複合コンクリート板23を和風便器10の上縁からごく僅か上方に離隔させ、高強度複合コンクリート板23にガタツキが生じないようにするのが好ましい。なお、このようにすれば、後述の洋風便器30の荷重が和風便器10にかからないようになる。このように、高強度複合コンクリート板23が和風便器10から離間して配置されても、高強度複合コンクリート板23は前述のように高強度であるから、資材を持った作業者が高強度複合コンクリート板23の上に乗ってもほとんど撓まず、安全に作業することができる。
【0049】
次いで、図7に示すように、排水パイプ21の上端のうち高強度複合コンクリート板23から突出する部分を切断し、この排水パイプ21に図8に示す排水ソケット27を装着する。
【0050】
その後、図8および図9の通り、この和風便器10の周囲の床1上に自硬性材料26を供給し、平坦に均す。自硬性材料26としては、軽量・速乾・無収縮性のモルタルが好適であり、その上面のレベルが、高強度複合コンクリート板23の上面と面一となるようにするのが好ましいが、自硬性材料26の上にタイル張りをする場合には、高強度複合コンクリート板23の上面よりも低いレベルとしておく。自硬性材料26の上を塩化ビニルシートなどのシート材で仕上げ処理する場合、自硬性材料26のレベルを高強度複合コンクリート板23の上面と面一とし、高強度複合コンクリート板23の上も該シート材で覆うようにしてもよい。なお、自硬性材料26を高強度複合コンクリート板23の下側にも充填するのが好ましい。
自硬性材料26を供給して均す場合、高強度複合コンクリート板23が高強度であり、その厚さを薄くできるので、自硬性材料26の厚さも薄くすることができ、材料費を低減できる。
【0051】
なお、排水パイプ21の上端側のうち高強度複合コンクリート板23から突出する部分を切断除去し、該排水パイプ21の上端に排水ソケット27を装着する工程は、自硬性材料26を供給して硬化させた後であってもよい。また、図示では省略されているが、必要に応じ、該自硬性材料26の上面にタイル張り等の床の表面の仕上げ処理が行われる。そして、排水ソケット27を介して洋風便器30の排水口と排水パイプ21とを接続しつつ、高強度複合コンクリート板23上に洋風便器30を設置する。洋風便器30は、その全体が高強度複合コンクリート板23上に載置されてもよく、一部が高強度複合コンクリート板23からはみ出してもよい。
【0052】
このトイレの和洋改修方法にあっては、和風便器10の前隠し部13のみを切断除去し、和風便器10のリムを残し、このリムを床1の開口2の縁部に係止させたままとしているので、和風便器10の床1への係止強度が高い。また、和風便器10に蓋材22を装着しており、和風便器10内への水の浸入が防止される。また、和風便器10内に充填物を充填しないので、和風便器10が重量物とならず、該和風便器10を支持している床スラブ1や、該和風便器10の落下および飛散防止用シート20への負荷を少なくすることができる。また、該シート20を貼ってあるので、万一、和風便器10がひび割れした場合でも、落下する危険性が少ない。更に、和風便器10に高強度コンクリート板23を被せてこれを新たな床面の一部とするので、作業者が新たな床面に乗ってもふわふわせず、作業し易く、また、高強度コンクリート板23の厚さを薄くすることができるので、自硬性材料26の使用量を少なくできる。
【0053】
[第2の実施形態]
図11〜図16は本発明の第2の実施形態を示すもので、この図11〜図16を参照して、和風便器10の上縁全体を除去する工法について説明する。
図11は前記第1の実施形態の図2に相当する断面図である。この図11の通り、和風便器10のうち床1から上側の部分をダイヤモンドカッター等で切断除去し、床1と和風便器10の切断面とを面一とする。ただし、和風便器10の切断面が床1の上面よりも若干上位となるようにしてもよい。この場合には、高強度複合コンクリート板23とこの切断面との間に若干の隙間をあけ、高強度複合コンクリート板23から荷重が和風便器10にかからないようにする。
【0054】
次いで、図12(前記実施形態の図4(a)に相当)の通り、落下および飛散防止用シート20を和風便器10の内面に貼着する。次いで、図13の通りステンレスワイヤなどの高強度線材31の一端を和風便器10に掛け、他端を床1のビス32に連結して和風便器10の落下防止対策を行う。高強度線材31の該一端は、和風便器10に設けた開放口12aに挿通されたり、フック33を介して該開放口12aの縁部に掛止される。ビス32は、床1の上面に打ち込まれている。
排水パイプ21を立てた後、前記実施形態と同様に蓋材22を和風便器10に装着する。この際、蓋材22の上面のレベルは、床1の上面と面一か又はそれよりもごく僅か(例えば5mm以内)低位とする。
【0055】
次いで、図13および図14に示す通り、高強度複合コンクリート板23を和風便器10およびその周囲の床1を覆うように被せ、排水パイプ21に排水ソケット27を装着する。
なお、和風便器10の切断面および蓋材22と高強度複合コンクリート板23との間には変成シリコーン系接着剤などの弾性接着剤を介在させるのが好ましい。また、高強度複合コンクリート板23と床1とは二液性エポキシ系接着剤などによって接着する。
【0056】
その後、図16に示す通り、高強度複合コンクリート板23の周囲に自硬性材料26を供給して均す。自硬性材料26が硬化した後、洋風便器30を設置する。この実施形態では、洋風便器30のレベルが第1の実施形態よりも低いものとなる。
なお、図16に示すように、ビス32が高強度複合コンクリート板23よりも外側となるように打っておくと、高強度複合コンクリート板23を床1に面当り状に当てることができ、ガタつきが防止される。
【0057】
[第3の実施形態]
上記各実施形態では、床1は開口2の縁部に至るまでスラブにて構成されているが、図17の通り、スラブ1Aに比較的大きな開口2Aを設け、この開口2Aの内面にモルタル1Mを詰めるようにした和風トイレルームも存在する。
【0058】
このような和風トイレルームを改修する場合には、図18のように高強度複合コンクリート板23としてスラブ1Aに掛かる十分に大きいものを用いる。
図18は和風便器10の上部を全周にわたって切除する図11〜図16の実施形態に適用した例であるが、前隠し部13のみを切除する図1〜図9の実施形態の場合も同様に適用される。即ち、この場合には、ボルト24がスラブ1Aに当るように十分に大きい高強度複合コンクリート板23を用いる。
【0059】
[第4の実施形態]
図19は、床1がスラブ1aと、仕上げ層として、その上に張り付けモルタル1cを介してタイル1bが貼り付けられたトイレルームを改修する一例を示している。この場合、和風便器10のうちタイル1bの上面よりも上位部分のみを切断除去してもよいが、スラブ1aの上面が露呈するようにタイル1bおよび張り付けモルタル1cよりなる仕上げ層のみを和風便器10の上縁と共に切断除去してもよい。その後の処置は図1〜図9、図11〜図16のいずれの方法としてもよい。
この実施形態によると、洋風便器30のレベルがさらに低いものとなる。
【0060】
[その他の実施形態]
本発明では、図20のように、落下および飛散防止用シート20が和風便器10の切断した上縁面をも覆うように貼着されてもよい。また、図示はしないが、和風便器10の周囲の床1上面にまで落下および飛散防止用シート20を張り出して貼着してもよい。
図11〜図16の実施形態では、ビス32を高強度複合コンクリート板23よりも外側に配置しているが、図21のように高強度複合コンクリート板23の下側にビス32を配置してもよい。図21の符号35は、蓋材22と高強度複合コンクリート板23との間の弾性接着剤を示し、36は高強度複合コンクリート板23を床1に接着するエポキシ系接着剤を示す。
【0061】
本発明では、落下および飛散防止用シート20の貼着に先立って和風便器10の露出面の少なくとも一部に、鉄ブラシで擦ることなどにより擦過傷を付けておいてもよい。このようにすると、落下および飛散防止用シート20と和風便器10との結合強度が高まり、和風便器10の保持強度が極めて高くなる。
【0062】
上記実施形態では、落下および飛散防止用シート20は自己粘着性シートにより構成されているが、本発明においては、自己粘着性シート以外の材料により落下および飛散防止用シート20を構成し、接着剤等により、和風便器10に貼り付けるようにしてもよい。
【0063】
該落下および飛散防止用シート20としては、ガラス繊維マットや金属繊維マット、カーボン繊維(カーボンファイバー)マットなどの種々の繊推マットに接着剤を含浸させたものを用いてもよい。なお、コスト、取り扱い性の良さ並びに接着後の和風便器10の保持強度の高さから、ガラス繊維マットが好適である。また、この場合、接着剤としては、該ガラス繊維マットと和風便器10の表面のガラス質との接着力の高さから、エポキシ樹脂系のものが好適である。
【0064】
このようにガラス繊維マット等よりなる落下および飛散防止用シート20を接着剤で和風便器10の露出面に貼着する場合にも、この貼着に先立ち、該露出面を鉄ブラシで擦るなどして該露出面の少なくとも一部、好ましくは接着剤が付着される部分全体に擦過傷を付けておくことにより、該飛散防止用シート20と和風便器10との接着力を高めることができる。
なお、本発明においては、接着剤をガラス繊維マット等の繊維マットに対し現場にて付着ないし含浸させて用いるようにしてもよい。
【0065】
本発明においては、蓋材22を和風便器10に嵌め込むのに先立ち、該和風便器10内に発泡樹脂製ビーズを充填してもよい。
【0066】
このように、和風便器10内に発泡樹脂製ビーズを充填し、蓋材22を、このビーズ上に載せるようにして和風便器10内に嵌め込むようにすることにより、該蓋材22が充填物の重量や床上荷重等によって和風便器10内に落ち込むのを防止することができる。なお、このビーズ26は発泡樹脂製であり、軽量であることから、このビーズを和風便器10内に充填しても、これによって和風便器10に過度に大きな荷重が掛かることはない。
また、万一、和風便器10内に水が浸入しても、このように和風便器10内にビーズが充填されていることにより、該和風便器10内に水が溜まりにくく、万一、和風便器10にひび割れ等の破損が生じた場合でも、一度に大量の水が階下に漏れ出すことがない。
【0067】
本発明では、洋風便器30は、その設置時の前後方向が、トイレルームに元々設置されていた和風便器10の前後方向と交差方向となるように設置されてもよく、同方向あるいは逆方向となるようにしてもよい。
上記実施形態では、高強度複合コンクリート板23を設置した後、自硬性材料26を供給して均すようにしているが、先に自硬性材料26を和風便器10の切断面又は蓋材22の上面レベルに合わせて供給して均し、その後、高強度複合コンクリート板23を設置するようにしてもよい。
【0068】
高強度複合コンクリート板23において、コンクリート板23aへの金属板23bの取着手段としては、接着剤23cによるものに限られない。例えば、金属板23bに突部を設け、コンクリート板23aを型成形する際に、金属板23bの突部がコンクリート板23a内に埋め込まれるようする取着構成としてもよい。
高強度複合コンクリート板23は、コンクリート板23aの両面に金属板23bを取着したものであっても良い。
【0069】
本発明の高強度複合コンクリート板は、トイレの和洋改修の際に床材の一部に用いるものに限られず、建築物の床材や壁材として用いる他、例えば開水路の蓋として用いても良い等、その用途は種々考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るトイレの和洋改修方法によるトイレルームの改修手順の説明図その1
【図2】トイレルームの改修手順の説明図その2
【図3】トイレルームの改修手順の説明図その3
【図4】トイレルームの改修手順の説明図その4
【図5】トイレルームの改修手順の説明図その5
【図6】トイレルームの改修手順の説明図その6
【図7】トイレルームの改修手順の説明図その7
【図8】トイレルームの改修手順の説明図その8
【図9】洋風便器設置後の縦断面図である。
【図10】高強度複合コンクリート板の部分的な拡大断面図
【図11】本発明の第2の実施形態に係るトイレの和洋改修方法によるトイレルームの改修手順の説明図その1
【図12】トイレルームの改修手順の説明図その2
【図13】トイレルームの改修手順の説明図その3
【図14】トイレルームの改修手順の説明図その4
【図15】トイレルームの改修手順の説明図その5
【図16】トイレルームの改修手順の説明図その6
【図17】本発明の第3の実施形態に係るトイレの和洋改修方法によるトイレルームの改修手順の説明図その1
【図18】トイレルームの改修手順の説明図その2
【図19】本発明の第4の実施形態に係るトイレの和洋改修方法によるトイレルームの改修手順の説明図
【図20】その他の実施形態に係るトイレの和洋改修方法によるトイレの改修手順の説明図
【図21】更に異なる他の実施形態に係るトイレの和洋改修方法によるトイレの改修手順の説明図
【符号の説明】
【0071】
図中、1は床、1A,1aは床スラブ、1bはタイル、1cは張り付けモルタル、1Mはモルタル、2,2Aは和風便器設置用開口、3は排便管、10は和風便器、11は排水口、12は便鉢、13は前隠し部、15は排水トラップ、20は落下および飛散防止用シート、21は排水パイプ、22は蓋材、23は高強度複合コンクリート板、23aはコンクリート板、23bは金属板、24はボルト、25はナット、26は自硬性材料、27は排水ソケット、31は高強度線材、32はビス、33はフックを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に和風便器が設置されたトイレルームを洋風便器が設置されたトイレルームに改修するトイレの和洋改修方法において、
前記和風便器の上部の少なくとも前隠し部を除去する工程と、
前記和風便器の排水口に対して連通するように排水パイプを立ち上げる工程と、
前記和風便器の上部内に蓋材を嵌め込む工程と、
前記蓋材および前記和風便器の上側並びに前記和風便器周囲の床を覆うように、コンクリート板の少なくとも片面に金属板を取着してなる高強度複合コンクリート板を設置する工程と、
床上に自硬性材料を供給する工程と、
その後、前記洋風便器を設置する工程と、
を有することを特徴とするトイレの和洋改修方法。
【請求項2】
請求項1のトイレの和洋改修方法において、
前記高強度複合コンクリート板において、その前記コンクリート板は、繊維を含有した繊維強化コンクリート板からなることを特徴とするトイレの和洋改修方法。
【請求項3】
請求項2のトイレの和洋改修方法において、
前記繊維強化コンクリート板は、セメント、平均粒径1.0μm以下のポゾラン質微粉末、最大粒径2mm以下の細骨材、金属繊維若しくは有機質繊維、平均粒径3〜20μmの石英粉末、平均粒度1mm以下の繊維状粒子若しくは薄片状粒子、減水剤および水を含む配合物からなることを特徴とするトイレの和洋改修方法。
【請求項4】
コンクリート板の少なくとも片面に金属板を取着してなる高強度複合コンクリート板。
【請求項5】
請求項4の高強度複合コンクリート板において、
前記コンクリート板は、繊維を含有した繊維強化コンクリート板からなることを特徴とする高強度複合コンクリート板。
【請求項6】
請求項5の高強度複合コンクリート板において、
前記繊維強化コンクリート板は、セメント、平均粒径1.0μm以下のポゾラン質微粉末、最大粒径2mm以下の細骨材、金属繊維若しくは有機質繊維、平均粒径3〜20μmの石英粉末、平均粒度1mm以下の繊維状粒子若しくは薄片状粒子、減水剤および水を含む配合物からなることを特徴とする高強度複合コンクリート板。
【請求項1】
床に和風便器が設置されたトイレルームを洋風便器が設置されたトイレルームに改修するトイレの和洋改修方法において、
前記和風便器の上部の少なくとも前隠し部を除去する工程と、
前記和風便器の排水口に対して連通するように排水パイプを立ち上げる工程と、
前記和風便器の上部内に蓋材を嵌め込む工程と、
前記蓋材および前記和風便器の上側並びに前記和風便器周囲の床を覆うように、コンクリート板の少なくとも片面に金属板を取着してなる高強度複合コンクリート板を設置する工程と、
床上に自硬性材料を供給する工程と、
その後、前記洋風便器を設置する工程と、
を有することを特徴とするトイレの和洋改修方法。
【請求項2】
請求項1のトイレの和洋改修方法において、
前記高強度複合コンクリート板において、その前記コンクリート板は、繊維を含有した繊維強化コンクリート板からなることを特徴とするトイレの和洋改修方法。
【請求項3】
請求項2のトイレの和洋改修方法において、
前記繊維強化コンクリート板は、セメント、平均粒径1.0μm以下のポゾラン質微粉末、最大粒径2mm以下の細骨材、金属繊維若しくは有機質繊維、平均粒径3〜20μmの石英粉末、平均粒度1mm以下の繊維状粒子若しくは薄片状粒子、減水剤および水を含む配合物からなることを特徴とするトイレの和洋改修方法。
【請求項4】
コンクリート板の少なくとも片面に金属板を取着してなる高強度複合コンクリート板。
【請求項5】
請求項4の高強度複合コンクリート板において、
前記コンクリート板は、繊維を含有した繊維強化コンクリート板からなることを特徴とする高強度複合コンクリート板。
【請求項6】
請求項5の高強度複合コンクリート板において、
前記繊維強化コンクリート板は、セメント、平均粒径1.0μm以下のポゾラン質微粉末、最大粒径2mm以下の細骨材、金属繊維若しくは有機質繊維、平均粒径3〜20μmの石英粉末、平均粒度1mm以下の繊維状粒子若しくは薄片状粒子、減水剤および水を含む配合物からなることを特徴とする高強度複合コンクリート板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−280782(P2008−280782A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126892(P2007−126892)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(591135691)日本コンクリート株式会社 (5)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(500020427)株式会社INAXエンジニアリング (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(591135691)日本コンクリート株式会社 (5)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(500020427)株式会社INAXエンジニアリング (2)
【Fターム(参考)】
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