説明

トイレの換気扇制御装置

【課題】 トイレ使用者の入退室を正しく判定し、判定結果に従って換気扇を的確かつ経済的に制御できる換気扇制御装置を提供する。
【解決手段】 トイレ使用者の入室時に、ドアセンサー4の出力を監視し、出力が開から閉に変化したときに、入室監視タイマーを始動する。入室監視タイマーに設定された入室監視時間が終了する前に、人感センサー5が人を感知すると、換気扇6がONする。トイレ使用者の退室時には、人感センサー5が人を感知した状態で、ドアセンサー4の出力が閉から開に変化した時点で、退室監視タイマーを始動する。退室監視タイマーに設定された退室監視時間が終了すると、換気扇タイマーが始動する。そして、換気扇タイマーに設定された遅延制御時間が終了すると、換気扇がOFFする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレに設備された換気扇を自動制御する換気扇制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用トイレや公衆トイレに設備された換気扇は、照明器具と同様、消し忘れた場合に多くの電力を浪費する。そこで、従来、センサーやタイマーを用いて、換気扇のON/OFFを自動的に制御する種々の換気扇制御装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された換気扇制御装置では、人感センサーがトイレ使用者の入室を検出したときに、換気扇と照明器具をONし、人感センサーの出力が検出状態から非検出状態へ変化したときに、遅延タイマーの設定時間経過後に換気扇と照明器具をOFFしている。
【0004】
特許文献2に記載された換気扇制御装置では、ドアセンサーがドアの開状態を検出したときに、入室と判断して換気扇をONし、ドアの閉状態を検出したときに、退室と判断して換気扇をOFFし、ドアを閉め忘れたときに、人感センサーを代用して入室を判定している。
【0005】
特許文献3に記載された換気扇制御装置では、感知範囲が異なる複数の人感センサーを使用し、各センサーの反応タイミングに基づいて入室と退室を判定し、判定結果に従って換気扇の運転を制御している。
【0006】
【特許文献1】特開平6−249477号公報
【特許文献2】特開平10−170040号公報
【特許文献3】特開平11−223552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の換気扇制御装置では、人感センサーが人体から放射される熱線(赤外線)量の変化に反応するため、人が在室していても動きがなければ、退室したと誤判定し、遅延タイマーの設定時間経過後に換気扇がOFFしてしまう。そうならないように設定時間を長くすると、実際の在室時間が短い場合でも、換気扇が必要以上の時間で回転するため、電力の無駄遣いが懸念される。
【0008】
特許文献2の換気扇制御装置では、ドアの閉め忘れに備えて人感センサーを代用しているが、開け放しのドアからペット等の小動物が侵入したときに、人が入室したと誤判定し、換気扇が無駄に回転することがある。特許文献3の換気扇制御装置は、入退室を判定するために複数の人感センサーが必要になるうえ、入室後に人が転倒した場合などに、退室したと誤判定する可能性もある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、トイレ使用者の入退室を正しく判定し、判定結果に従って換気扇を的確かつ経済的に制御できる換気扇制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の換気扇制御装置は、トイレのドアの開閉を検知するドアセンサーと、トイレ内の人を感知する人感センサーと、ドアセンサー及び人感センサーの出力に基づいてトイレの換気扇をON/OFF制御する制御手段とを備え、次のような制御を行うことを特徴とする。
【0011】
(A)ドアセンサーの出力が開から閉に変化した後に、人感センサーが人を感知したときに換気扇をONし、人感センサーが人を感知している状態で、ドアセンサーの出力が閉から開に変化した後に換気扇タイマーを始動し、換気扇タイマーに設定された遅延制御時間が終了した時点で換気扇をOFFする。
【0012】
(B)ドアセンサーの出力が開から閉に変化したときに入室監視タイマーを始動し、入室監視タイマーに設定された入室監視時間が終了する前に、人感センサーが人を感知したときに換気扇をONする。
【0013】
(C)人感センサーが人を感知している状態で、ドアセンサーの出力が閉から開に変化したときに退室監視タイマーを始動し、退室監視タイマーに設定された退室監視時間が終了したときに換気扇タイマーを始動する。
【0014】
また、本発明の換気扇制御装置は、換気扇の動作状態をトイレと別の部屋に設けた表示器に表示させる通信手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の換気扇制御装置によれば、ドアセンサーと人感センサーを併用しているので、トイレ使用者の入退室を正しく判定し、判定結果に従って換気扇を的確かつ経済的にON/OFF制御できるという効果がある。
【0016】
特に、トイレ使用者の入室時に、入室監視時間を設定するので、ドアを開け閉めしたが入室しなかったような場合に、換気扇をOFFした状態に保持し、電力の浪費を防止できるという利点がある。
【0017】
トイレ使用者の退室時には、退室監視時間を設定するので、ドアを閉めずに退室した場合に換気扇を早期にOFFできるとともに、ドアの一度の開閉で使用者が入れ替わった場合に換気扇を継続運転できるという利点がある。
【0018】
また、本発明の換気扇制御装置は、換気扇の動作状態を通信手段により別の部屋の表示器に表示させるので、トイレまで行かなくても、別の部屋からトイレの使用状態を容易に確認できるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は家庭用トイレに設備された換気扇と照明器具を制御するトイレ機器制御システムの全体的な構成を示す。この制御システム1は、トイレに設置された換気扇制御装置2と、トイレと別の部屋に設置された表示装置3とから構成されている。なお、トイレ機器制御システム1は、家庭用トイレに限定されず、事業所のトイレや公衆トイレなどにも適用できる。
【0020】
換気扇制御装置2の回路基板(図示略)には、トイレのドアの開閉を検知するドアセンサー4と、トイレに入室した使用者の動きを感知する人感センサー5と、換気扇6と照明器具7を別々にON/OFFするリレー8,9と、リレー8,9の駆動回路10,11と、タイマー制御用の時間設定スイッチ12と、別室の表示装置3と通信を行う通信回路13と、これら各部を制御するCPU14と、電源回路15とが実装されている。ドアセンサー4は、回路基板と別の場所に設置し、回路基板に接続する構成としてもよい。
【0021】
CPU14は換気扇6と照明器具7の制御に必要なタイマー機能を備え、トイレ使用者の入室を契機に入室監視タイマーを始動し、退室を契機に退室監視タイマーを始動し、退室監視タイマーがタイムアップしたときなどに換気扇タイマーを始動する。タイマー制御用の時間設定スイッチ12では、入室監視タイマーに入室監視時間を、退室監視タイマーに退室監視時間を、換気扇タイマーに換気扇6の遅延制御時間を、それぞれトイレの使用条件に適応する値で設定することができる。
【0022】
表示装置3は、居間や管理室等に設置され、その回路基板上に換気扇制御装置2と通信を行う通信回路17と、トイレの使用状態を表示する表示器18と、これらを制御するCPU19と、電源回路20とを備えている。通信回路17は有線または無線で換気扇制御装置2の通信回路13に接続され、CPU19が換気扇制御装置2からの受信情報を表示器18に表示させる。換気扇制御2及び表示装置3の電源回路15,20は、商用電源を整流し、安定した直流電源を生成し、それぞれの回路基板に電源を供給する。
【0023】
図2は換気扇制御装置2の設置形態を示す。換気扇制御装置2のケーシング21は、トイレ22の出入口23の上方において、壁24の内面に取り付けられている。この位置において、ドアセンサー4がドア25の開閉を検知し、人感センサー5が感知範囲26に存在するトイレ使用者を感知する。そして、ドアセンサー4と人感センサー5を併用し、使用者が入室したときに照明器具7と換気扇6をONし、退室した後に照明器具7と換気扇6をOFFし、換気扇6と照明器具7のON/OFF情報を表示装置3に送信するようになっている。
【0024】
次に、換気扇制御装置2の動作について説明する。図3は入室時の制御シーケンスをタイムチャートで示す。使用者がトイレ22のドア25を開けると、ドアセンサー4の出力が閉から開に変化し、照明器具7がONする。使用者が室内に入りドア25を閉じると、ドアセンサー4の出力が開から閉に変化する。その後、人感センサー5が入室者を感知(ON)し、換気扇6がONする。こうすれば、ドアセンサー4と人感センサー5を併用し、使用者の入室を正しく検出し、換気扇6を的確に動作させることができる。
【0025】
また、ドアセンサー4の出力が開から閉に変化した時点で、入室監視タイマーを始動し、入室監視タイマーが動作している間に、人感センサー5がONした時点で、使用者がトイレ22に入室したと判定し、入室監視タイムカウントを停止する。そして、入室監視タイマーに設定された入室監視時間が終了した後に人感センサー5がONした場合は、これを入室と判定しない。使用者がドア25を開いて入室せず、そのままドア25を閉じた場合は、入室監視時間中に人感センサー5がONしないので、換気扇6がOFFした状態に保持される。したがって、無駄な回転や誤動作を防ぎ、換気扇6を経済的に運転することができる。
【0026】
図4は退室時の制御シーケンスをタイムチャートで示す。退室時には、人感センサー5がONした状態で、使用者がトイレ22の内側からドア25を開ける。すると、ドアセンサー4の出力が閉から開に変化し、退室監視タイマーが始動する。使用者がトイレ22の外に出ると、人感センサー5がOFFし、外からドア25を閉じると、ドアセンサー4の出力が開から閉に変化する。その後、退室監視タイマーに設定された退室監視時間が終了した時点で退室を判定し、これを契機に、照明器具7がOFFし、換気扇タイマーが始動(ON)し、所定の遅延制御時間が終了した時点で換気扇6がOFFする。
【0027】
したがって、退室時も、ドアセンサー4と人感センサー5を併用し、トイレ使用者の退室を正しく判定し、照明器具7と換気扇6を確実にOFFできる。特に、ドア25が開いた後に退室監視時間を設定しているので、ドアを閉めて退室した場合のみならず、ドア25を開けたまま退室した場合でも、退室監視時間が終了した時点で、使用者の退室を正しく判定できる。また、退室監視時間が終了する前に、開いたドア25から次の使用者が続けて入室した場合は、換気扇タイマーが始動していないので、換気扇6をOFFすることなく、継続運転できるという利点もある。
【0028】
次に、上記制御シーケンスの具体的な処理を図5〜図10に基づいて説明する。図5は換気扇制御装置2のCPU14が実行するメイン処理を示し、図6は処理状態の遷移を示す。メイン処理(S50)は、使用者の不在時に実行する非在室処理(S70)、入室時に実行する入室監視処理(S80)、在室時に実行する在室処理(90)、退室時に実行する退室監視処理(S100)の四つのサブルーチンで構成されている。CPU14は定期的に現在の処理状態を確認し(S60)、ドアセンサー4、人感センサー5、入・退室監視タイマーの動作を契機として、各サブルーチンを順次実行する(図6参照)。
【0029】
図7に示す非在室処理(S70)は、使用者がトイレ22に在室していないと判定しているときに実行する。ここでは、ドア25の開閉状態を確認し(S71)、開いたことを検知した場合に(閉→開)、照明器具7をONする(S72)。ドア25が閉じたことを検知した場合は(開→閉)、処理を入室監視処理に移し(S73)、入室監視タイマーを始動する(S74)。ドア25の状態が不変である場合は(その他)、換気扇6の動作状態を確認し(S75)、ONしている場合に、換気扇タイマーの遅延制御時間を監視し(S76)、この時間が終了した時点で換気扇6をOFFする(S77)。
【0030】
図8に示す入室監視処理(S80)は、非在室を判定している状態でドア25が閉じたことを契機に実行する。ドア25を開け閉めしたが入室しない挙動を想定し、最初に入室監視タイマーの監視時間をチェックする(S81)。入室監視時間が終了していない場合は、人感センサー5の出力に基づき入室チェックを行う(S82)。人感センサー5がONすると、換気扇6をONし(S83)、処理を在室処理に移す(S84)。一方、入室監視時間が終了した場合は、入室しなかったと判断し、照明器具7をOFFし(S85)、処理を非在室処理に移し(S86)、換気扇タイマーを始動する(S87)。
【0031】
図9に示す在室処理(S90)は、使用者がトイレ22に在室していると判定しているときに実行する。ここでは、ドアセンサー4の出力に基づいてドア25の開閉状態を確認する(S91)。そして、ドア25が開いたことを検知した場合に(閉→開)、処理を退室監視処理に移し(S92)、退室監視タイマーを始動する(S93)。
【0032】
図10に示す退室監視処理(S100)は、在室を判定している状態でドア25が開いたことを契機に実行する。ドア25を開けたまま退室する挙動を想定し、最初に退室監視タイマーの監視時間をチェックする(S101)。退室監視時間が終了していない場合は、ドアセンサー4によりドア25の開閉状態を確認する(S102)。開いたドア25から次の使用者が入室し、ドア25が閉じたことを検知した場合は(開→閉)、処理を入室監視処理に移す(S103)。一方、退室監視時間が終了した場合は、ドア25の状態に係りなく退室が完了したと判断し、照明器具7をOFFし(S104)、処理を非在室処理に移し(S105)、換気扇タイマーを始動する(S106)。
【0033】
以上詳述したように、この実施形態の換気扇制御装置2によれば、ドアセンサー4と人感センサー5を併用し、これらに入室監視タイマーと退室監視タイマーを組み合わせ、トイレ使用者の入退室を正確に判定し、判定結果に基づいて換気扇6と照明器具7を的確かつ経済的に制御できる。また、換気扇6と照明器具7の動作状態を通信手段13により表示装置3の表示器18に表示させ、トイレ22から離れた別室で換気扇6と照明器具7の使用状態を容易に確認することができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるもではなく、例えば、図1に示すトイレ機器制御システム1を用い、換気扇6と照明器具7に加えて電動便器を制御したり、照明器具7を既設の照明コントローラで制御し、換気扇6のみを制御したりすることもできる。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成や処理手順を適宜に変更して実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態を示すトイレ機器制御システムの構成図である。
【図2】換気扇制御装置の設置形態を示すトイレの立面図である。
【図3】トイレ入室時の制御シーケンスを示すタイムチャートである。
【図4】トイレ退室時の制御シーケンスを示すタイムチャートである。
【図5】換気扇制御プログラムのメイン処理を示すフローチャートである。
【図6】サブルーチンの遷移を示す模式図である。
【図7】非在室処理を示すフローチャートである。
【図8】入室監視処理を示すフローチャートである。
【図9】在室処理を示すフローチャートである。
【図10】退室監視処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
1 トイレ機器制御システム
2 換気扇制御装置
3 表示装置
4 ドアセンサー
5 人感センサー
6 換気扇
7 照明器具
12 時間設定スイッチ
13 通信回路
14 CPU
18 表示器
22 トイレ
25 ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレのドアの開閉を検知するドアセンサーと、トイレ内の人を感知する人感センサーと、ドアセンサー及び人感センサーの出力に基づいてトイレの換気扇をON/OFF制御する制御手段とを備え、ドアセンサーの出力が開から閉に変化した後に、人感センサーが人を感知したときに換気扇をONし、人感センサーが人を感知している状態で、ドアセンサーの出力が閉から開に変化した後に換気扇タイマーを始動し、換気扇タイマーに設定された遅延制御時間が終了した時点で換気扇をOFFすることを特徴とする換気扇制御装置。
【請求項2】
前記ドアセンサーの出力が開から閉に変化したときに入室監視タイマーを始動し、入室監視タイマーに設定された入室監視時間が終了する前に、人感センサーが人を感知したときに換気扇をONすることを特徴とする請求項1記載の換気扇制御装置。
【請求項3】
前記人感センサーが人を感知している状態で、ドアセンサーの出力が閉から開に変化したときに退室監視タイマーを始動し、退室監視タイマーに設定された退室監視時間が終了したときに換気扇タイマーを始動することを特徴とする請求項1又は2記載の換気扇制御装置。
【請求項4】
換気扇の動作状態をトイレと別の部屋に設けた表示器に表示させる通信手段を備えたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の換気扇制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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