説明

トイレ室の暖房制御システム及び暖房制御方法

【課題】本発明は、使用者がトイレ室を快適に使用でき、しかも、不要な電力の消費を極力抑えて使用コストを低く抑えることのできるトイレ室の暖房制御システム及び暖房制御方法の提供を目的とする。
【解決手段】ヒーターパネル21を有する暖房装置2と、制御装置とを備える。ヒーターパネル21は、第1領域22と第2領域23とを備え、運転によって夫々から輻射熱を放射可能とされている。制御装置は、用便姿勢判定部によって、トイレ室に入室された使用者の用便姿勢が立位か座位かを判定し、立位であるとの判定を行った場合に、第1領域22を運転状態に制御する。一方、座位であるとの判定を行った場合に、第2領域23を運転状態に制御するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ室の暖房を制御する暖房制御システム及び暖房制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、トイレ室の暖房を制御する装置等が知られており、例えば次のようなトイレ暖房装置が提案されている(特許文献1参照)。このトイレ暖房装置は、人体検知手段と、該人体検知手段からの出力により、トイレ内に人が入った時に、例えば熱源としての暖房壁パネルを通電状態とする。また、トイレ内から人が出た時に、その暖房壁パネルの電源を非通電状態とする電源制御手段とを有する。このようにして、トイレ内に人が居ない時に暖房しておくことによる無駄な電力消費を無くすことができるようにしている。
【特許文献1】特開平11−230562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1に記載のものでは、トイレ室に使用者が居る場合は一律にトイレ室内の暖房壁パネルを運転させることになるため、次のような問題点がある。即ち、用便に際し便器に対して立った立位の用便姿勢で行う場合と便座に座った座位の用便姿勢で行う場合とがある。これらの両方の用便姿勢の使用者に対して、暖房壁パネルから直接輻射熱を当てることができるように暖房壁パネルの運転領域を設定すると、何れか一方の用便姿勢の使用者に対応する部分以外の部分にも輻射熱を放射することになる。このような部分へ輻射熱を放射しなくしても、使用者は差し支えない場合も多い。従って、未だ電力の省力化を図る余地がある。
【0004】
本発明は、使用者がトイレ室を快適に使用でき、しかも、不要な電力の消費を極力抑えて使用コストを低く抑えることのできるトイレ室の暖房制御システム及び暖房制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1は、暖房装置と、その暖房装置を制御する制御装置とを備えたトイレ室の暖房制御システムであって、前記暖房装置は、トイレ室の便器に対して左右両側と前方側との少なくとも一方側に配設けられたヒーターパネルを備え、このヒーターパネルは、前記便器に対して立位の用便姿勢の使用者に対応する領域を含む第1領域と、前記便器に対して座位の用便姿勢の使用者に対応する領域を含む第2領域とを備え、それらの第1領域と第2領域とは、互いに選択的に運転可能とされて夫々の領域から輻射熱を放射可能とされ、前記制御装置は、トイレ室に入室された使用者の用便姿勢が前記立位か座位かを判定する用便姿勢判定部を備え、その用便姿勢判定部によって、前記立位であるとの判定を行った場合に、前記第1領域を運転状態に制御し、前記座位であるとの判定を行った場合に、前記第2領域を運転状態に制御するように構成されていることを特徴とするトイレ室の暖房制御システムを提供する。
【0006】
請求項2のように、前記第1領域と第2領域とは、同時に運転可能とされ、前記制御装置は、前記トイレ室に使用者が入室されたか否かを判定する入室判定部を備え、その入室判定部によって、入室されたとの判定を行った場合に、その判定に基づいて、第1領域及び第2領域を運転状態に制御するように構成されていることが好ましい。
【0007】
又、本発明の請求項3は、トイレ室の便器に対して左右両側と前方側との少なくとも一方側に設けられ前記便器に対して立位の用便姿勢の使用者に対応する領域を含む第1領域とその便器に対して座位の用便姿勢の使用者に対応する領域を含む第2領域とを選択的に運転可能とされてそれらの領域夫々から輻射熱を放射可能なヒーターパネルを備えた暖房装置と、その暖房装置を制御する制御装置とを用いてトイレ室の暖房を制御する暖房制御方法であって、前記制御装置に、前記立位か座位かの用便姿勢を判定させ、立位であるとの判定を行った場合に、第1領域を運転状態にさせ、座位であるとの判定を行った場合に、第2領域を運転状態にさせる処理を行わせることを特徴とするトイレ室の暖房制御方法を提供することにより、前記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1及び請求項3によれば、制御装置は、用便姿勢判定部によって、立位であるとの判定を行った場合に、第1領域を運転状態に制御し、座位であるとの判定を行った場合に、第2領域を運転状態に制御する。
【0009】
これにより、立位の用便姿勢でも座位の用便姿勢でもその姿勢の全体に輻射熱を受けることができ、使用者は十分に暖かさを感じることができる。
【0010】
一方、各用便姿勢に応じてヒーターパネルにおける必要最小限の領域を運転させることができ、不要な電力の消費を極力抑えることができ、使用コストを従来に比べて低く抑えることができる。
【0011】
請求項2によれば、制御装置は、入室判定部によって、入室されたとの判定を行った場合に、第1領域及び第2領域を運転状態に制御するため、入室してきた使用者は、即座に暖かさを感じることができ、その状態で、用便姿勢に入ることができる。よって、使用者は、快適にトイレ室を使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態のトイレ室の暖房制御システムを施したトイレ室の概略図、図2は、その暖房制御システムに用いられる暖房装置のヒーターパネルの概略説明図、図3(a)は、その暖房装置のヒーターパネルの第1領域を運転状態にした説明図、図3(b)は、その暖房装置のヒーターパネルの第2領域を運転状態にした説明図、図4は、その暖房装置を説明するためのブロック図、図5は、同暖房制御システムに用いられる制御装置を説明するためのブロック図である。
【0013】
この第1実施形態のトイレ室の暖房制御システムは、図1に示すように、トイレ室1に設けられた暖房装置2と、暖房装置2に制御信号を有線又は無線(この実施形態では、無線)により送信することによって暖房装置2の運転を制御する制御装置3とを備えている。
【0014】
この実施形態の暖房装置2は、トイレ室1における便器4の左右の両側夫々に設置されたヒーターパネル21を備えている。ヒーターパネル21は、夫々、四角形状のものから構成され、内部に、図示しないヒーター線が配設されている。
【0015】
この実施形態では、ヒーター線は、図2、図3に示すように、便器4に対して立位の用便姿勢の使用者に対応する領域22aを含む第1領域22と、その便器4に対して座位の用便姿勢の使用者に対応する領域23aを含む第2領域23とに、夫々、通電可能、即ち運転可能に配設されている。
【0016】
これにより、第1領域22と第2領域23との夫々から、通電に伴って、輻射熱を放射できるようになっている。
【0017】
又、この実施形態の暖房装置2は、図4に示すように、操作部25を備えている。この操作部25は、第1領域運転部26と、第2領域運転部27と、第1領域運転停止部28と、第2領域運転停止部29と、受信部30とを備えている。
【0018】
第1領域運転部26は、制御装置3から、第1領域22の運転を開始させるための制御信号である第1領域運転開始信号を受信した場合にその第1領域運転開始信号に基づいてヒーターパネル21の第1領域22を運転状態にする。
【0019】
第2領域運転部27は、制御装置3から、第2領域23の運転を開始させるための制御信号である第2領域運転開始信号を受信した場合にその第2領域運転開始信号に基づいてヒーターパネル21の第2領域23を運転状態にする。
【0020】
第1領域運転停止部28は、制御装置3から、暖房装置2のヒーターパネル21の第1領域22の運転を停止させるための制御信号である第1領域運転停止信号を受信した場合にその第1領域運転停止信号に基づいて、その運転を停止状態にする。
【0021】
第2領域運転停止部29は、制御装置3から、暖房装置2のヒーターパネル21の第2領域23の運転を停止させる制御信号である第2領域運転停止信号を受信した場合にその第2領域運転停止信号に基づいて、その運転を停止状態にする。
【0022】
受信部30は、例えば上記第1領域運転開始信号、第2領域運転開始信号、第1領域運転停止信号、第2領域運転停止信号を制御装置3から受信する。
【0023】
又、暖房装置2は、この実施形態では、図示しないが、記録装置であるメモリ、CPU、表示装置である表示部、入力装置であるボタンキー、制御装置3と通信するための通信インターフェース等を備えている。
【0024】
そして、上記CPUは、図4の操作部25の第1領域運転部26、第2領域運転部27、第3領域運転開始部28、第2領域運転停止部29、受信部30として機能する。
【0025】
制御装置3は、図5に示すように入室判定部31と、用便姿勢判定部32と、退室判定部33と、送信部34とを備えている。
【0026】
入室判定部31は、トイレ室に使用者が入室したか否かを、トイレ室に設けられた入退室検出手段としての入退室検出用赤外線センサ30a(図1に図示)による検出データに基づいて判定する。
【0027】
より詳しくは、この実施形態の入退室検出用赤外線センサは、トイレ室の出入り口を通る使用者に赤外線が遮られるように設置されている。そして、この入退室検出用赤外線センサは、トイレ室の出入り口から入ってくる使用者が赤外線を遮ると、それを検出するとともに、その入室したことの検出データを制御装置3に送信する。それを受信した制御装置3は、トイレ室に使用者が入室されたとの判定を行う。
【0028】
又、制御装置3は、上記入室されたとの判定を行った場合、第1領域運転開始信号及び第2領域運転開始信号を生成し、それらを暖房装置2に送信する。
【0029】
退室判定部33は、使用者がトイレ室から退室したか否かを、上記入退室検出用赤外線センサによる検出データに基づいて判定する。詳しくは、トイレ室の出入り口から出て行く使用者が赤外線を遮ると、それを検出するとともに、その退室したことの検出データを制御装置3に送信する。それを受信した制御装置3は、使用者がトイレ室から退室されたとの判定を行う。
【0030】
又、制御装置3は、上記退室されたとの判定を行った場合、第1領域運転停止信号又は第2領域運転停止信号を生成し、それらの信号を暖房装置2に送信する。
【0031】
用便姿勢判定部32は、用便に際して使用者の用便姿勢が便器4に対して立った状態の立位か又は便器4の便座に座った状態の座位かを、トイレ室に設けられた用便姿勢検出手段としての用便姿勢検出用赤外線センサ30b(図1に図示)による検出データに基づいて判定する。
【0032】
詳しくは、この実施形態における用便姿勢検出用赤外線センサ30bは、便器4に対して立位の使用者に遮られるように設置されている。そして、この用便姿勢検出用赤外線センサは、用便に際して便器4の前に立った使用者が赤外線を遮るとそれを連続的に検出するとともに、その検出データを連続的に制御装置3に送信する。
【0033】
そして、制御装置3は、用便姿勢検出用赤外線センサ30bから受信する検出データが所定時間(例えば5秒)以上である場合に、その受信した検出データに基づいて使用者の用便姿勢が立位であるとの判定を行う。
【0034】
又、制御装置3は、使用者の用便姿勢が立位であるとの判定を行った場合、第2領域運転停止信号を生成し、その第2領域運転停止信号をエアコン2に送信する。
【0035】
一方、制御装置3は、用便姿勢検出用赤外線センサから受信する検出データが所定時間よりも短い場合に、その受信した検出データに基づいて使用者の用便姿勢が座位であるとの判定を行う。
【0036】
又、制御装置3は、使用者の用便姿勢が座位であるとの判定を行った場合、第1領域運転停止信号を生成し、その第1領域運転停止信号を暖房装置2に送信する。
【0037】
送信部34は、例えば第1領域運転開始信号、第2領域運転開始信号、第1領域運転停止信号、第2領域運転停止信号を暖房装置2に送信する。
【0038】
又、制御装置3は、図示しないが、記録装置であるメモリ、CPU、表示装置である表示部、入力装置であるボタンキー、暖房装置と通信するための通信インターフェース等を備えている。
【0039】
そして、上記CPUは、図5の入室判定部31と、用便姿勢判定部32と、退室判定部33と、送信部34として機能する。
【0040】
次に、この第1実施形態のシステムの動作について、図6に基づいて説明する。まず、制御装置3は、トイレ室1に使用者が入室された否かを、入退室検出用赤外線センサ30aによる検出データに基づいて判定する(図6、ステップS1)。
【0041】
このステップS1において、制御装置3は、未だ入室されないとの判定を行った場合、制御を戻す。一方、ステップS1において、制御装置3は、入室されたとの判定を行った場合、その判定に基づいて、第1領域運転開始信号及び第2領域運転開始信号を生成してそれらを暖房装置2に送信する。
【0042】
例えば図7に示すように、時刻t1で、使用者がトイレ室に入室すると、制御装置3は、入室されたとの判定を行い、そして、その判定に基づいて第1領域運転開始信号及び第2領域運転開始信号を生成して暖房装置2に送信する。
【0043】
第1領域運転開始信号及び第2領域運転開始信号を受信した暖房装置2(の操作部25)は、受信した第1領域運転開始信号に基づいて、第1領域22の運転を開始し運転状態(ON)するとともに、受信した第2領域運転開始信号に基づいて、第2領域23の運転を開始し運転状態にする(図6、ステップS2)。
【0044】
その後、制御装置3は、使用者の用便姿勢が便器4に対して立位か又は座位かを、用便姿勢検出用赤外線センサ30bによる検出データに基づいて判定する(図6、ステップS3)。
【0045】
このステップS3において、制御装置3は、立位であるとの判定を行った場合、その判定に基づいて、第2領域運転停止信号を生成して暖房装置2に送信する。
【0046】
例えば図6に示すように、時刻t2で、例えば男の使用者が便器4に対して立った状態で小便をすると、制御装置3は、立位であるとの判定を行い、そして、この判定に基づいて第2領域運転停止信号を生成して暖房装置2に送信する。
【0047】
第2領域運転停止信号を受信した暖房装置2は、受信したその第2領域運転停止信号に基づいて、図3(a)に示すように、第2領域23の運転を停止し(OFF)、第1領域22のみの運転状態にする(図6、ステップS4)。
【0048】
その後、制御装置3は、使用者がトイレ室1から退室されたか否かを、入退室検出用赤外線センサ30aによる検出データに基づいて判定する(図6、ステップS5)。このステップS5において、未だ退室されていないとの判定を行った場合は、制御を戻し、退室されるのを待つ。
【0049】
一方、ステップS5において、退室されたとの判定を行った場合は、その判定に基づいて第1領域運転停止信号を生成し、暖房装置2に送信する。第1領域運転停止信号を受信した暖房装置2は、第1領域22の運転を停止する(図6、ステップS6)。
【0050】
例えば図7に示すように、時刻t3で、使用者が退室すると、制御装置3は、退室したとの判定を行い、そして、その判定に基づいて第1領域運転停止信号を生成して暖房装置2に送信する。
【0051】
上記ステップS3において、制御装置3が、座位であるとの判定を行った場合、その判定に基づいて、第1領域運転停止信号を生成して暖房装置2に送信する。第1領域運転停止信号を受信した暖房装置2は、受信したその第1領域運転停止信号に基づいて、図3(b)に示すように、第1領域22の運転を停止し第2領域23のみの運転状態にする(図6、ステップS7)。
【0052】
その後、制御装置3は、使用者がトイレ室1から退室されたか否かを、入退室検出用赤外線センサ30aによる検出データに基づいて判定する(図6、ステップS8)。ステップS8において、未だ退室されていないとの判定を行った場合は、制御を戻し、退室されるのを待つ。
【0053】
一方、ステップS8において、退室されたとの判定を行った場合は、その判定に基づいて第2領域運転停止信号を生成し、暖房装置2に送信する。第2領域運転停止信号を受信した暖房装置2は、第2領域23の運転を停止する(図6、ステップS9)。
【0054】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態における制御装置3は、先の第1実施形態と同様に、入室判定部31、用便姿勢判定部32、退室判定部33及び送信部34を備えている(図5参照)。
【0055】
ただし、この第2実施形態においては、入室判定部31によって入室されたとの判定を行った場合でも、先の第1実施形態のように、第1領域運転開始信号及び第2領域運転開始信号を生成しない。従って、暖房装置2は、入室されても第1領域22及び第2領域23の運転を行わない。
【0056】
また、用便姿勢判定部32によって、トイレ室に入室された使用者の用便姿勢が立位であるとの判定を行った場合に、第1領域運転開始信号を生成して暖房装置2に送信する。そして、それを受信した暖房装置2は、第1領域22の運転を開始する。
【0057】
一方、座位であるとの判定を行った場合に、第2領域運転開始信号を生成して暖房装置2に送信する。そして、それを受信した暖房装置2は、第2領域23の運転を開始する。その他は、第1実施形態のものと同構成を採っている。
【0058】
このように構成された第2実施形態の動作について、図8に基づいて説明する。まず、制御装置3は、先の第1実施形態と同様に、トイレ室1に使用者が入室された否かを、入退室検出用赤外線センサ30aによる検出データに基づいて判定する(図8、ステップS11)。
【0059】
そして、ステップS11において、制御装置3は、未だ入室されないとの判定を行った場合、制御を戻す。一方、入室されたとの判定を行った場合、その判定を記憶するが、上述のように、第1領域運転開始信号及び第1領域運転開始信号の生成は行わない。
【0060】
その後、制御装置3は、使用者の用便姿勢が便器4に対して立位か又は座位かを判定する(図8、ステップS12)。そして、立位であるとの判定を行った場合、第1領域運転開始信号を生成して暖房装置2に送信する。
【0061】
第1領域運転開始信号を受信した暖房装置2は、受信したその第1領域運転開始信号に基づいて、第1領域22の運転を開始し第1領域22を運転状態にする(図8、ステップS13)。
【0062】
その後、制御装置3は、使用者がトイレ室1から退室されたか否かを、入退室検出用赤外線センサ30aによる検出データに基づいて判定する(図8、ステップS14)。このステップS14において、未だ退室されていないとの判定を行った場合は、制御を戻し、退室されるのを待つ。
【0063】
一方、ステップS14において、退室されたとの判定を行った場合は、その判定に基づいて第1領域運転停止信号を生成し、暖房装置2に送信する。そして、第1領域運転停止信号を受信した暖房装置2は、第1領域22の運転を停止する(図8、ステップS15)。
【0064】
上記ステップS12において、制御装置3が、座位であるとの判定を行った場合、第2領域運転開始信号を生成して暖房装置2に送信する。第2領域運転開始信号を受信した暖房装置2は、受信したその第2領域運転開始信号に基づいて、第2領域23の運転を開始し第2領域23を運転状態にする(図8、ステップS16)。
【0065】
その後、制御装置3は、使用者がトイレ室1から退室されたか否かを、入退室検出用赤外線センサ30aによる検出データに基づいて判定する(図8、ステップS17)。このステップS17において、未だ退室されていないとの判定を行った場合は、制御を戻し、退室されるのを待つ。
【0066】
一方、ステップS17において、退室されたとの判定を行った場合は、その判定に基づいて第2領域運転停止信号を生成し、暖房装置2に送信する。そして、第2領域運転停止信号を受信した暖房装置2は、第2領域23の運転を停止する(図8、ステップS18)。
【0067】
以上のように、この第2実施形態では、入室されただけでは暖房装置は運転を開始せず、用便姿勢を判断してその判断に応じて第1領域22又は第2領域23の運転を開始する。従って、より一層の省エネルギー化を図ることができる。
【0068】
尚、上記第1実施形態及び第2実施形態では、用便姿勢が立位か座位かの制御装置の判定を、用便姿勢検出用赤外線センサ30bによる検出データに基づいて行っているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。
【0069】
例えば、人や動物などの温度をもつものから自然に放射されている赤外線による温度変化を検知する焦電センサを用いて立位又は座位の使用者を検出し、その検出データに基づいて用便姿勢が立位又は座位の判定を行うようにしても良い。又、便器4の便座に圧力検知器を付設し、使用者が便座に着座した際にかかる圧力に基づいて座位であるか否かを検出し、その検出データに基づいて、用便姿勢が立位か座位かの判定を行っても良い。
【0070】
又、上記第1実施形態及び第2実施形態では、ヒーターパネル21を、便器4の左右両側に設置しているが、この形態のものに限らず、例えば便器4の左右両側と前方側との少なくとも一方側に設置すれば良く、適宜変更できる。
【0071】
また、ヒーターパネル21は、トイレ室1の壁または扉とは別途に設けた形態のものであっても良いが、それらの壁や扉に内設した形態のものであっても良い。
【0072】
又、上記第1実施形態及び第2実施形態では、暖房装置と制御装置とを別途に設けているが、例えば制御装置を暖房装置に組み込んで付設した形態のものであっても良く、適宜変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態のトイレ室の暖房制御システムを施したトイレ室の概略図である。
【図2】その暖房制御システムに用いられる暖房装置のヒーターパネルの説明図である。
【図3】図3(a)は、ヒーターパネルの第1領域を運転状態にした説明図、図3(b)は、ヒーターパネルの第2領域を運転状態にした説明図である。
【図4】その暖房制御システムに用いられる暖房装置の運転部を説明するためのブロック図である。
【図5】その暖房制御システムに用いられる制御装置を説明するためのブロック図である。
【図6】第1実施形態のトイレ室の暖房制御システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】第1実施形態における暖房装置の運転と、入室及び退室と、用便姿勢の関係を示す説明図である。
【図8】第2実施形態のトイレ室の暖房制御システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1 トイレ室
2 暖房装置
3 制御装置
4 便器
21 ヒーターパネル
22 第1領域
23 第2領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房装置と、その暖房装置の運転を制御する制御装置とを備えたトイレ室の暖房制御システムであって、
前記暖房装置は、トイレ室の便器に対して左右両側と前方側との少なくとも一方側に配設けられたヒーターパネルを備え、
このヒーターパネルは、前記便器に対して立位の用便姿勢の使用者に対応する領域を含む第1領域と、前記便器に対して座位の用便姿勢の使用者に対応する領域を含む第2領域とを備え、
それらの第1領域と第2領域とは、互いに選択的に運転可能とされて夫々の領域から輻射熱を放射可能とされ、
前記制御装置は、トイレ室に入室された使用者の用便姿勢が前記立位か座位かを判定する用便姿勢判定部を備え、その用便姿勢判定部によって、前記立位であるとの判定を行った場合に、前記第1領域を運転状態に制御し、前記座位であるとの判定を行った場合に、前記第2領域を運転状態に制御するように構成されていることを特徴とするトイレ室の暖房制御システム。
【請求項2】
前記第1領域と第2領域とは、同時に運転可能とされ、
前記制御装置は、前記トイレ室に使用者が入室されたか否かを判定する入室判定部を備え、その入室判定部によって、入室されたとの判定を行った場合に、その判定に基づいて、第1領域及び第2領域を運転状態に制御するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のトイレ室の暖房制御システム。
【請求項3】
トイレ室の便器に対して左右両側と前方側との少なくとも一方側に設けられ前記便器に対して立位の用便姿勢の使用者に対応する領域を含む第1領域とその便器に対して座位の用便姿勢の使用者に対応する領域を含む第2領域とを選択的に運転可能とされてそれらの領域夫々から輻射熱を放射可能なヒーターパネルを備えた暖房装置と、その暖房装置を制御する制御装置とを用いてトイレ室の暖房を制御する暖房制御方法であって、
前記制御装置に、前記立位か座位かの用便姿勢を判定させ、立位であるとの判定を行った場合に、第1領域を運転状態にさせ、座位であるとの判定を行った場合に、第2領域を運転状態にさせる処理を行わせることを特徴とするトイレ室の暖房制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−229045(P2009−229045A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78660(P2008−78660)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】