説明

トイレ室用自動照明装置

【課題】簡便な装置でありながら、使用者の手を煩わすことなくトイレ室の照明を必要な場合にだけ点灯でき、誤作動も生じにくいトイレ室自動照明装置の提供。
【解決手段】トイレ室の扉の外側に配置させた把手による扉の開閉に連動させてトイレ室内の照明を点灯又は消灯させるトイレ室用自動照明装置であって、扉が開いたことを上記把手の動きを介して感知する第1の感知手段と、該感知した情報をトイレ室内の照明を点灯させる点灯信号に変換するための点灯信号変換手段と、扉が閉じたことを上記把手の動きを介して感知する第2の感知手段と、該感知した情報をトイレ室内の照明を消灯させる消灯信号に変換するための消灯信号変換手段と、これらの変換手段より出力された信号を認識し、認識した信号に応じてトイレ室内の照明を点灯又は消灯に切り替えるための切替手段とを少なくとも有していることを特徴とするトイレ室用自動照明装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ室用自動照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ室内における、照明の点灯又は消灯の切り替えは、一般的に、トイレ室外の壁面に設置されているスイッチを使用者が手動で操作することにより行われている。しかしながら、使用者にとって、スイッチを手動で操作することは煩わしく、特に、トイレ室の使用後に照明用のスイッチを切り忘れることも多い。スイッチを切り忘れるとトイレ室内の照明がついたままの状態となって電力が無駄に消費されることになり、省エネの点でも問題がある。また、高齢化社会においては、トイレ室の使用の際に介護者を必要とする場合も多く、さらに、もの忘れの問題も深刻であり、使用者の手を煩わすことなくトイレ室の照明を必要な場合にだけ点灯できる装置があれば、非常に有用である。この問題に対しては、従来より種々の検討がなされており、トイレ室の照明を自動的に点灯又は消灯するための様々な工夫が提案されており、その一部は実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、トイレ室の扉付近に使用者が入退室したことを検知する人体横切り検知器を配置することにより、この検知器からの信号でトイレ室内への使用者の入退室を判断し、この判断結果に基づきトイレ室の照明を自動的に点灯又は消灯させるトイレ用自動スイッチを設ける方法が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、トイレ室の使用者の入室および退室を事前に検知する光センサをトイレ室内外に設けてあり、これらの光センサによる使用者の入退室に応じた検知信号に基づいて、トイレ室の照明を自動的に点灯又は消灯させるトイレ自動システムが提案されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、赤外線エネルギにより人体の存在を検出する赤外線センサ部の出力により照明を点灯させ、手動スイッチ入力判断部の出力により照明の消灯を行う人体検出機能付配線器具を設ける方法が提案されている。また、トイレ室内の人の入退室を検知するために圧力センサを利用した装置もある(特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】特開昭64−66325号公報
【特許文献2】特開平8−228965号公報
【特許文献3】特開2001−237085号公報
【特許文献4】特開平5−290979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記したこれらの方法は、いずれも装置が大掛かりであり、特に一般家庭における利用という点では改良の余地がある。また、赤外線などの光センサを用いて人間の動きを検知することにより作動する方法においては、使用者の個体差や動きの違いにより、使用者の動きを正確に検知できないという問題もある。さらに、不必要なとき、例えば、トイレ室の扉付近を使用者以外のものが通りかかった際にも光センサが反応してしまうことがあり、誤作動が生じやすいという問題もある。また、別の問題として、従来のトイレ室の扉の多くは、扉に取り付けられた把手を回してから、トイレ室へ入退室する必要があった。しかしながら、高齢化社会においては把手を回すことなく扉の開閉が容易に行うことができる便利な方法が望まれている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、簡便な装置によって、使用者の手を煩わすことなくトイレ室の照明を必要な場合にだけ点灯できるトイレ室用自動照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記に挙げた課題は、以下の本発明により解決される。即ち、本発明は、トイレ室の扉の外側に配置させた把手による扉の開閉に連動させてトイレ室内の照明を点灯又は消灯させるトイレ室用自動照明装置であって、扉が開いたことを上記把手の動きを介して感知する第1の感知手段と、該感知した情報をトイレ室内の照明を点灯させる点灯信号に変換するための点灯信号変換手段と、扉が閉じたことを上記把手の動きを介して感知する第2の感知手段と、該感知した情報をトイレ室内の照明を消灯させる消灯信号に変換するための消灯信号変換手段と、これらの変換手段より出力された信号を認識し、認識した信号に応じてトイレ室内の照明を点灯又は消灯に切り替えるための切替手段とを少なくとも有していることを特徴とするトイレ室用自動照明装置である。
【0010】
また、本発明のトイレ室用自動照明装置は、前記把手は、扉内に位置している連結部材が、扉を開閉する方向に1〜5mmの範囲内で可動する構造を有し、かつ、前記第1及び第2の感知手段は、通電状態を切り換える押圧スイッチを有してなり、該押圧スイッチを上記連結部材が可動して押すことで、扉の開閉を感知するように構成されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明のトイレ室用自動照明装置は、さらに、第1の感知手段で感知した情報を、トイレ室内に設置された換気扇、空気清浄機器及び冷暖房機器からなる群から選ばれる少なくとも1つの機器を作動させる作動信号に変換するための作動信号変換手段と、第2の感知手段が感知した情報を、作動した状態にある上記機器を停止させる停止信号に変換するための停止信号変換手段と、これらの変換手段により出力された信号が作動又は停止信号のいずれであるかを認識して、認識した信号に応じてトイレ室内に設置された上記機器を作動又は停止に切り替えるための機器用切替手段とを有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡便な装置でありながら、使用者の手を煩わすことなくトイレ室の照明を必要な場合にだけ点灯でき、誤作動も生じにくいトイレ室自動照明装置が提供される。また、本発明のトイレ室自動照明装置を採用することにより、トイレ室の扉を、従来のように把手を回して開閉させる方式から、より簡単な方式である、把手の押し引きにより開閉させる方式に変更することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明のトイレ室用自動照明装置(以下、単に「自動照明装置」という場合がある。)について説明する。本発明の自動照明装置は、トイレ室の扉の外側に配置させた把手による扉の開閉に連動してトイレ室内の照明が点灯又は消灯するようにしたものである。その構成は、扉が開いたことを上記把手の動きを介して感知するための第1の感知手段と、該感知した情報をトイレ室内の照明を点灯させる点灯信号に変換するための点灯信号変換手段と、扉が閉じたことを上記把手の動きを介して感知するための第2の感知手段と、該感知した情報をトイレ室内の照明を消灯させる消灯信号に変換するための消灯信号変換手段と、これらの変換手段より出力された信号を認識し、認識した信号に応じてトイレ室内の照明を点灯又は消灯に切り替えるための切替手段とからなる。
【0014】
すなわち、本発明の自動照明装置は、トイレ室の扉の外側(入室側)に配置させた把手で扉を開閉した場合に、把手の動きを介して扉が開閉されたことを感知し、感知した情報をトイレ室内の照明を点灯或いは消灯させる点灯信号或いは消灯信号に変換し、これらの信号に応じてトイレ室内の照明を点灯又は消灯に切り替えることで、トイレ室内の照明を必要な場合にだけ点灯するように構成されている。上記の構成は、極めて簡単であるため、本発明の自動照明装置は、トイレ室の形態に合わせて、様々な形態や設置方法を採ることができ、また、通常のトイレ室を多少改良するだけで簡単に設置することができる。以下、代表的な形態のトイレ室に、好ましい形態の自動照明装置を設置した場合を例にして本発明の構成を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の自動照明装置の一実施形態を設置したトイレ室の概要を示す斜視図である。図2は、図1におけるトイレ室の扉の概略横断面図である。先ず、本実施形態の自動照明装置を設置したトイレ室10には、図1に示すように、その天井に、照明12が配置され、その出入り口に、一端側が蝶番(不図示)により枢軸されている回動式の扉11が配置されている。また、この回動式の扉11の、枢軸されている側の反対側の端部には、扉11を開閉するための把手(トイレ室10外側の把手20、トイレ室内側の把手21)がそれぞれ独立して設けられている(図1及び2参照)。本発明の自動照明装置においては、トイレ室外側の把手20の動きを介して扉11の開閉が感知されるように構成されていれば足る。一方、トイレ室内側の把手21については、扉11を開閉する機能を有すればよく、必要により、トイレ室内側の把手21又はその周辺に、扉11を閉めた状態で固定して施錠するための施錠具(不図示)を設けることができる。また、例示したトイレ室10の扉11では、図2に示したように、バネ22Aによって扉11の側端面から出し入れされる構造を有する凸形状の掛け金22が配置されており、扉11を閉じた状態で固定できるようになっている。また、この形状の掛け金22を配置していることにより、扉11の把手20を従来のように把手を回すことなく、単純に引く操作をするだけで、扉を開けることが可能となっている。なお、本発明の自動照明装置を設けたトイレ室10に最適な掛け金22の構造については後述する。しかし、本発明の自動照明装置を設置した際の扉11は、少なくとも、トイレ室10外側の把手20の動きを介して扉11の開閉が感知できる構造を有していればよく、それ以外のものは全て簡略化するなど様々な形態にすることが可能である。
【0016】
本段落においては、上記した扉11に最適に配置される掛け金22の構造について説明する。上記トイレ室10における扉11の掛け金22を、図2に示すように、バネ22Aによって扉11の側端面から出し入れされる、扉の厚さ方向の両方に傾斜面を有する凸形状とした場合、従来の掛け金と比べて、以下の特徴を有する。先ず、従来の一般的な掛け金は、扉の厚さ方向の一方の側部が傾斜面で形成され、他方の側部が垂直面で形成されており、扉の側端面から突出して配置されている。そして、この形態の掛け金は、扉の側端面(掛け金部分)に対向する部分に設けられている掛け金の受けとなる溝の側面と、上記垂直面側とが引っかかる状態となって扉面や把手を単純に押し引き操作したのみでは扉は開かないようになっている。このため、従来の掛け金は、把手の回動操作と連動して扉11内に後退するように形成されており、これにより扉を開けることが可能となる。このように、従来の掛け金は、扉を開けるために把手を回動操作する必要があり、非常に煩わしく、特に、手の不自由な人やお年寄りにとっては困難な作業になることもあった。一方、図2に示す、上記したバネ22Aによって扉11の側端面から出し入れされる構造を有する凸形状(扉の厚さ方向の両側部が、傾斜面で形成されている)の掛け金22は、把手(20、21)や扉面を単純に押し引き操作するのみで扉11が開くようになっている。すなわち、使用者が扉11を開ける際、両側部が傾斜面である掛け金22は、扉11の側部(掛け金22部分)に対向する部分に設けられている掛け金22の受けとなる溝と接することにより、扉11内部に押し込まれるようになっている。そして、把手(20、21)の操作と連動させることなく、把手(20、21)や扉面を押し引き操作するのみで扉11を開けることができる。一方、扉11の揺れや振動などの軽い動きに対しては、掛け金22の傾斜面と上記溝との摩擦力が働き、扉11が意図せず開くことがないように調整されている。すなわち、図2に示すような構造の掛け金22において、両側部の傾斜面は、上記の機能が発揮できるように傾斜の角度が調整されており、例えば、それぞれ、30〜60度の範囲にすることができる。このように把手(20、21)や壁面を押し引き操作するのみで、扉11を開けることができるようにする掛け金22の構造としては、その他に扉11の側端部(端部)とこれに対応する部分に磁石をそれぞれ配置させた形態が挙げられる(不図示)。
【0017】
図1又は図2に示した本実施形態の自動照明装置を構成する上述した各手段は、トイレ室10の、扉11の内部や、トイレ室10内の天井に配置された照明12の近くに設けられている。具体的には、図2に示すように、扉11の内部には、トイレ室10の外側に配置された把手20の動きを介して扉11が開閉されたことを感知するための第1又は第2の感知手段(1、2)と、これらが感知した情報をトイレ室10内の照明12を点灯又は消灯させる点灯又は消灯信号に変換するための点灯又は消灯信号変換手段(3、4)がそれぞれ設けられている。また、トイレ室10の照明12の近くには、図1に示すように、点灯又は消灯信号変換手段(3、4)から出力された点灯又は消灯信号を認識してトイレ室10内の照明12を点灯又は消灯させるための切替手段5が設けられている。以下、これらについて説明する。
【0018】
本実施形態における第1又は第2の感知手段(1、2)は、トイレ室10の扉11の外側に配置されている把手20の、扉11内部の構造を下記のようにしたことで、先に述べた機能を発現している。本実施形態では、まず、トイレ室10の扉11のトイレ室10外側の把手20が、図2に示すように、扉11内に位置している連結部材20Bが、扉11を開閉する方向(図示した例では扉の厚さ方向)に、僅かにスライドするように構成されている。スライドする範囲としては、数ミリ程度、より好ましくは、1〜5mm程度、僅かにスライドするように構成すればよい。この程度の僅かなスライドであれば、使用者が把手20を持って扉11を開閉した際に、その動きに違和感を感じることは殆どなく、この動きを何ら意識することなく使用できる。もちろん、5mmよりも大きくスライドするように構成しても同様の機能のものが得られるが、扉11の開閉のたびに把手20がガタつく印象を与えるので好ましくない。
【0019】
さらに、第1及び第2の感知手段(1、2)は、通電状態を切り換える押圧スイッチ(1A、2A)を有してなり、該押圧スイッチ(1A、2A)を上記連結部材20Bがスライドして押すことで、扉11の開閉を感知するように構成されている。具体的には、トイレ室10の扉11の外側に配置されている把手20は、使用者が持つために外部に露出している部分である把手本体20Aと、該把手本体20Aから扉11の本体内部に棒状に延出し、把手20を僅かにスライドできる状態に扉11の本体に取付けるための連結部材20Bと、該連結部材20Bに形成された、把手20のスライドを扉11の本体内部との引っかかりにより停止させる突部20Cとから構成されている(図2参照)。このため、トイレ室10の使用者が、把手20(把手本体20A)をトイレ室10の外側から手前に引いて扉11を開けた際に、把手20がトイレ室10の外側方向(扉11を開ける方向)に一定距離スライドすることとなる。一方、トイレ室10の使用者が使用後に、把手20(把手本体20A)をトイレ室10内側へ押すと、把手20が、トイレ室10の内側方向(扉11を閉める方向)に一定距離スライドすることとなる(図2の扉11の開閉方向c、把手20のスライド移動方向a参照)。
【0020】
そして、第1の感知手段1は、トイレ室10の使用者が、把手20を手前に引いたことを感知できるように、上記した突部20Cと接触できる位置に設置されている(図2参照)。一方、第2の感知手段2は、トイレ室10の使用者が、把手20を押したことを感知できるように、上記した突部20Cと接触できる位置に設置されている(図2参照)。本実施形態において、第1又は第2の感知手段(1、2)の構成は、押圧スイッチ(1A、2A)と、該押圧スイッチ(1A、2A)が押圧されて一時的に通電状態となる回路基板とから形成されている(図2参照)。そして、把手20が僅かにスライドすることで、突部20Cが、この押圧スイッチ(1A、2A)を押圧し、押圧スイッチ(1A、2A)が押圧されることで絶縁状態の回路基板は一時的に通電状態となる。そして、これにより発生した電流が、感知手段(1、2)の感知した情報として点灯又は消灯信号変換手段(3、4)へと送られる。なお、把手20を構成している連結部材20Bと、該連結部材20Bが配置される扉11内部には、把手の突部20Cが各感知手段(1、2)と接触する位置で静止状態となるように磁石23をそれぞれ設けることができる(図2参照)。これらの磁石23は、使用者が意図しない把手20のスライド移動を防止するためのものであり、これらの互いに引き付け合う力は、軽い振動では把手20のスライドが起こらず、使用者による把手20の操作のときには抵抗なくスライドできるように調整されている。
【0021】
本実施形態において、点灯又は消灯信号変換手段(3、4)は、第1又は第2の感知手段(1、2)とそれぞれ配線されており、第1の感知手段1より送られた情報は、トイレ室10内の照明12を点灯させるための点灯信号に変えられ、第2の感知手段2より送られた情報は、トイレ室10内の照明12を消灯させるための消灯信号に変えられる。本実施形態において、これらの変換手段(3、4)は、図2に示すように、赤外線送信機6と全て一体となって扉11内の任意の位置に設けられており、また、この赤外線送信機6における赤外線ランプは、図1に示すように、トイレ室10内の照明12の近傍に設けられた赤外線受信機7に向けられている。そして、本実施形態において、点灯又は消灯信号変換手段(3、4)は通電することにより作動するように設計された回路基板により形成されており、第1又は第2の感知手段(1、2)より送られた電流により作動して、変換した点灯又は消灯信号を赤外線送信機6により発信するようになっている。なお、上述した第1又は第2の感知手段(1、2)や点灯又は消灯信号変換手段(3、4)に供給される電源は、これらを家庭用電源に接続することにより得てもよいが、扉11内部に電池を内蔵させることによって得ることもできる。
【0022】
本実施形態において、赤外線発信機6から赤外線によって発信された点灯/消灯信号は、トイレ室10内の照明12近傍に設置された赤外線受信機7によって受信される(図1参照)。さらに、受信された点灯又は消灯信号は、赤外線受信機7と一体となって天井に設置されている切替手段5により、点灯信号又は消灯信号のいずれであるかが認識される。そして、認識した各信号に応じて照明12は点灯又は消灯に切り替えられる。このように赤外線受信機7と切替手段5とが一体化した部材としては、例えば、オーム電機社の商品名「天井照明器具専用赤外線リモコンスイッチ」や、野田テック社の商品名「リモコンスイッチ」などの、照明の点灯/消灯の切り替えを行うための切替手段が内蔵された受信機本体を利用することができる。なお、このような受信機本体を用いる場合、天井に設置された照明12を接続するための接続具に、先ず、上記受信機本体を接続し、該受信機本体に照明12を接続するように設置する。これにより、上記受信機本体と照明12の両方に電源が供給される。
【0023】
次に、トイレの扉11が引き戸式である場合に、好ましい実施形態の自動照明装置を設置した構成について説明する。この場合には、トイレ室の扉11の外側に配置させた把手20を左右に引くことで、扉11の開閉操作が行われる。図3は、本実施形態の自動照明装置を採用した際の引き戸式の扉の概略横断面図である。先ず、本実施形態の自動照明装置を設置したトイレ室10においては、その引き戸式の扉11のトイレ室10の外側の把手20が、扉11の開閉方向(左右)にスライドするように構成させればよい。例えば、先に述べた回動式の扉11を有するトイレ室10に設置した形態と同じようにして、把手20が左右にスライドするように構成してもよいが、図3に示すような状態に構成させてもよい。図3に示した例では、把手20が、所定の角度、回動可能な状態に扉11の本体に取り付けられている。具体的には、トイレ室10の外側に配置されている把手20は、使用者が操作する部分である把手本体20Aと、該把手本体20Aから棒状に延出し、扉11の本体内部に回動可能に挿入されて扉11の本体と連結する連結部材20Bとから構成されている。また、この把手20が回動するための支点20Eは、該連結部材20Bの中央部分に形成されている。そして、トイレ室10の使用者が、把手20(把手本体20A)をトイレ室10外側から右方向に引くと、把手20が左回転しながら扉11が開くようになっている。一方、トイレ室10の使用者が、把手20(把手本体20A)をトイレ室10外側から左方向に引くと、把手20が右回転しながら扉11が閉じるようになっている(図3の扉11の開閉方向d、把手20の回動方向b参照)。なお、把手20を構成している連結部材20Bと、該連結部材20Bが配置される扉11内部の任意の位置には、把手20が振動などで意図せず動いてしまうのを防止するために、把手20の連結部材20Bが各感知手段(1、2)と接触する位置で静止状態となるように磁石23をそれぞれ設けることができる(不図示)。また、トイレ室10内側の把手21は、トイレ室外側の把手21とは独立して設けられている。また、引き戸式の扉11を確実に閉じることができるように、扉の掛け金22と、これに対応する壁部分は、それぞれ磁石により形成させることができる(図3参照)。本実施形態において、扉11のその他の箇所の構造は、従来と同様の構造にすることができ、例えば、扉11の内側にトイレ室10の扉11を施錠するための施錠具などを設けることができる。また、扉11の外側には、トイレ室10を使用中であるか否かを知らせる表示部材を設けてもよく、さらに、この表示部材は、上記した施錠具と一体化させることもできる。
【0024】
そして、本実施形態において、第1の感知手段1は、図3に示すように、トイレ室10の使用者が、把手20(把手本体20A)を右方向に引いたことを感知できるように、把手20の把手本体20Aと反対側の端部20D(連結部材2Bに形成されている)と接触できる位置に設置されている。一方、第2の感知手段2は、図3に示すように、トイレ室10の使用者が、把手20(把手本体20A)を左方向に引いたことを感知できるように、把手20の把手本体20Aと反対側の端部20Dと接触できる位置に設置されている。また、各感知手段(1、2)における連結部材2Bと接触する部分には、上述した実施形態と同様に、押圧スイッチ(1A、2A)が形成されている。
【0025】
本実施形態において、このようにして、第1又は第2の感知手段(1、2)が感知した情報は、例えば、上述した実施形態と同じようにして設置された、点灯又は消灯信号変換手段(3、4)により、それぞれ、点灯又は消灯信号に変換される。その後、照明12付近に設置された切替手段5がこれらの信号を受信し、切替手段5が点灯又は消灯信号のいずれであるかを認識するとともに照明12を点灯又は消灯に切り替える。
【0026】
以上、代表的な形態のトイレ室10に、好ましい実施形態の自動照明装置を採用した場合を例に説明したが、本発明の自動照明装置の実施形態や、これを採用するトイレ室10の形態は、本発明の要旨を変更しない限りにおいて、他の形態であってもよい。例えば、トイレ室10の形態にあっては、扉11の形状や開閉の向き、把手20の構造、照明12の位置などが異なっていてもよい。また、把手20は、上述したようなスライドや回動する動きに限定されず、可動する構造を有していればよい。上記で説明したトイレ室外側の把手20の構造は、トイレ室20の扉11を開く場合と、閉じる場合で異なる動きをするように形成されているが、第1の感知手段と第2の感知手段(1、2)を兼用することにより、扉11を開く場合と、閉じる場合で同じ動きをする把手20を備えた扉11にも採用することができる。この場合、兼用した感知手段(1、2)は、例えば、扉11の把手20付近の内部に、操作された把手20と接触するように設けることができ、この感知手段(1、2)で感知した情報を変換手段(3、4)で交互に点灯又は消灯信号に変換する。そして、これらの信号を交互に受信した切替手段5が、トイレ室内の照明12を点灯又は消灯状態に切り替えるように調整される。また、例えば、第1又は第2の感知手段(1、2)を兼用させた形態としては、図4に示すような形態にすることも可能である。
【0027】
さらに、本発明の自動照明装置は、第1の感知手段1が感知した情報をトイレ室10内の換気扇、トイレ室10内の空気を清浄化させる空気清浄機器又はトイレ室10内の温度を調整する冷暖房機器などの機器を作動させる作動信号に変換するための作動信号変換手段と、第2の感知手段2が感知した情報をトイレ室10内の作動した状態にある上記機器を停止させる停止信号に変換するための停止信号変換手段と、これらの変換手段により出力された信号が作動又は停止信号のいずれであるかを認識して、認識した信号に応じてトイレ室10内の上記機器を作動又は停止に切り替えるための機器用切替手段とを有していてもよい。これにより、トイレ10室内の換気扇などの機器も、トイレ室10外側の把手20の操作と連動させて自動的に作動又は停止させることが可能となる。
【0028】
また、本発明の自動照明装置を設置させたトイレ室10は、従来のトイレ室10と同様に、予備的に、トイレ室10外側近くの壁などに、照明12専用の切替スイッチを設置していてもよい。また、本発明の自動照明装置は、自身の電源をON又はOFFに切り替えるスイッチを備えていることが好ましい。これにより、昼間などの照明を点灯させる必要がない場合に、本発明の自動照明装置が作動するのを停止させることができる。さらには、自動照明装置自体の電源をON又はOFFにする切り替えをトイレ室10内の明るさに反応して自動的に行えるようにするために、上記赤外線受信部7などにトイレ室10の明るさを識別するためのセンサと該センサが識別した情報により自動照明装置の電源をON又はOFFに切り替える自動スイッチを設けていてもよい。すなわち、例えば、このセンサがトイレ室10が十分に明るい状態にあると判断した場合は、自動スイッチは、トイレ室10の照明12を消灯させたまま自動照明装置が働かない状態に維持させる。一方、これ以外の場合にあっては、自動スイッチが、本発明の自動照明装置の電源をON状態となるように切り替える。これにより、本発明の自動照明装置は、より省エネで使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の自動照明装置の一実施形態を設置したトイレ室の概要を示す斜視図。
【図2】図1におけるトイレ室の扉の概略横断面図。
【図3】本発明の他の実施形態を設置したトイレ室における引き戸式の扉の概略横断面図。
【図4】本発明の他の実施形態を設置したトイレ室における回動式の扉の概略横断面図。
【符号の説明】
【0030】
1:第1の感知手段
1A:押圧スイッチ
2:第2の感知手段
2A:押圧スイッチ
3:点灯信号変換手段
4:消灯信号変換手段
5:切替手段
6:赤外線送信機
7:赤外線受信機
10:トイレ室
11:扉
12:照明
13:壁面
20:トイレ室外側の把手
20A:把手本体
20B:連結部材
20C:突部
20D:把手本体と反対側の端部
20E:支点
21:トイレ室内側の把手
22:掛け金
22A:バネ
23:磁石
24:カバー
a、b:トイレ室外側の把手の可動方向
c、d:トイレ室の扉の開閉方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室の扉の外側に配置させた把手による扉の開閉に連動させてトイレ室内の照明を点灯又は消灯させるトイレ室用自動照明装置であって、扉が開いたことを上記把手の動きを介して感知する第1の感知手段と、該感知した情報をトイレ室内の照明を点灯させる点灯信号に変換するための点灯信号変換手段と、扉が閉じたことを上記把手の動きを介して感知する第2の感知手段と、該感知した情報をトイレ室内の照明を消灯させる消灯信号に変換するための消灯信号変換手段と、これらの変換手段より出力された信号を認識し、認識した信号に応じてトイレ室内の照明を点灯又は消灯に切り替えるための切替手段とを少なくとも有していることを特徴とするトイレ室用自動照明装置。
【請求項2】
前記把手は、扉内に位置している連結部材が、扉を開閉する方向に1〜5mmの範囲内で可動する構造を有し、かつ、前記第1及び第2の感知手段は、通電状態を切り換える押圧スイッチを有してなり、該押圧スイッチを上記連結部材が可動して押すことで、扉の開閉を感知するように構成されている請求項1に記載のトイレ室用自動照明装置。
【請求項3】
さらに、第1の感知手段で感知した情報を、トイレ室内に設置された換気扇、空気清浄機器及び冷暖房機器からなる群から選ばれる少なくとも1つの機器を作動させる作動信号に変換するための作動信号変換手段と、第2の感知手段が感知した情報を、作動した状態にある上記機器を停止させる停止信号に変換するための停止信号変換手段と、これらの変換手段により出力された信号が作動又は停止信号のいずれであるかを認識して、認識した信号に応じてトイレ室内に設置された上記機器を作動又は停止に切り替えるための機器用切替手段とを有した請求項1又は2に記載のトイレ室用自動照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−272075(P2009−272075A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119612(P2008−119612)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願人】(394014353)電子理化工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】