説明

トイレ用固形洗浄剤

【課題】
陰イオン性界面活性剤を主剤として使用した水洗トイレ用固形洗浄剤において、水への膨潤を抑えて溶解性を制御することにより使用期間を通して均一な溶解性と優れた持続性を有し、さらに、高濃度の陰イオン性界面活性剤を配合しても溶解性を制御することができると共に洗浄効果の高いトイレ用固形洗浄剤を提供する。
【解決手段】
下記一般式
R1COO−R2−SO3M
(ここでR1は炭素数7〜21のアルキル基、R2は炭素数2〜3のアルキル基、Mはアルカリ金属を示す)
で表される陰イオン性界面活性剤を含有するトイレ用固形洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗トイレ用の固形洗浄剤に関するものであり、さらにはロータンク型水洗トイレの蓋に設置して、洗浄水に溶解してトイレボウルの洗浄効果を高める洗浄剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水洗トイレ用の固形洗浄剤には、水洗タンク内の洗浄水中に沈下、浸漬し徐々に溶解させるいわゆるインタンクタイプのものと、タンクの蓋の上に設置して、流入する水により徐々に溶解させるいわゆるオンタンクタイプの2種類がある。いずれのタイプも、徐々に溶解する界面活性剤や香料などの有効成分により、適当な期間、持続的にトイレボウル内の洗浄、防汚効果、芳香付与効果を発揮するように設計されている。
【0003】
従来、このような目的の製剤設計については多くの提案がなされている。基本的な性能が、有効成分が徐々に水に溶解し洗浄効果や防汚効果を発揮させることにあるから、界面活性剤、賦形剤、徐溶化剤および香料などの機能物質の選択、組み合わせが多く見られる。例えば、結合保持剤としてプロピレンオキシド−エチレンオキシド共重合物を溶解速度調節剤として尿素や無機アルカリ金属塩を併用した水洗トイレット用自動芳香洗浄剤(特許文献1)、ポリオキシエチレン化合物と有機イソシアネート化合物とを反応して得られる水溶性固状ウレタン化合物を使用した水洗トイレット用自動芳香洗浄組成物(特許文献2)、エチレングリコールもしくはプロピレングリコールの重合体又はそれらの共重合体の末端水酸基を特定の置換基で保護した化合物を担体主成分とする水洗トイレット用固形洗浄剤(特許文献3)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルを含有する貯水式水洗トイレ洗浄剤組成物(特許文献4)、ポリオキシエチレンジステアレートと酸化ワックスを含有させた貯水式水洗トイレ洗浄芳香剤組成物(特許文献5)、水溶性多価ヒドロキシ化合物と多価カルボン酸とのエステルを使用した水洗トイレ用固形洗浄剤(特許文献6)などの非イオン界面活性剤を応用したものが開示されている。また、水溶性の高分子の応用で有効成分の持続性を高める方法として、ポリアルキレングリコール、高級アルコールおよび高級アルコールのエチレンオキシド付加物、ベンズアルデヒドとソルビトールの縮合物またはポリエチレンオキシドを使用した水洗トイレ用芳香洗浄剤組成物(特許文献7)、親水性の単量体と水に難溶または不溶性の単量体と必要により他の単量体との共重合体を使用した水洗トイレット用自動芳香洗浄剤用徐溶化剤(特許文献8)などが開示されている。これらの非イオン界面活性剤や水溶性高分子による製剤化の目的は、もっぱら保形性の向上や香料などの有効成分の持続性の向上にあり、洗浄力が弱いなどの欠点を有している。
【0004】
このような欠点を改善するため、洗浄力に優れる陰イオン界面活性剤を使用して、持続的に高い洗浄性、防汚性の賦与を実現する試みも数多くなされている。例えば、脂肪酸アルカリ金属塩、非イオン界面活性剤、カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を使用したトイレ用オンタンク固形洗浄剤(特許文献9)、N−アシルタウリン塩又はN−アシルアミノ酸塩と非イオン界面活性剤を使用した水洗トイレオンタンク用固形洗浄剤(特許文献10)、アルキル硫酸エステル塩、非イオン界面活性剤を使用した水洗トイレオンタンク用固形洗浄剤(特許文献11)、α−スルホ脂肪酸エステル塩、非イオン界面活性剤を使用した水洗トイレオンタンク用固形洗浄剤(特許文献12)、α−オレフィンスルホン酸塩、非イオン界面活性剤を使用した水洗トイレオンタンク用固形洗浄剤の使用(特許文献13)が開示されている。さらには、界面活性剤として陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤とを含有し、高分子量ポリエチレンオキサイドを配合して洗浄剤の一部崩壊を抑制したトイレ用固形洗浄剤(特許文献14)などが開示されている。しかし、これらはいずれも陰イオン界面活性剤のみでは保形成が悪く溶解性が高すぎるため、高融点の非イオン界面活性剤や水溶性の高分子との組合せが必要であった。また、洗浄性を高めるため、陰イオン界面活性剤の配合量を増加させた場合、溶解性が高くなり持続性を確保することが難しくなるという欠点を有している。
【0005】
【特許文献1】特開昭51−039705号公報
【特許文献2】特開昭55−131098号公報
【特許文献3】特開昭58−025398号公報
【特許文献4】特開昭59−024797号公報
【特許文献5】特開昭60−127400号公報
【特許文献6】特開2001−234190号公報
【特許文献7】特開昭53−058507号公報
【特許文献8】特開昭63−317597号公報
【特許文献9】特開平11−092796号公報
【特許文献10】特開2000−273483号公報
【特許文献11】特開2000−273484号公報
【特許文献12】特開2000−273486号公報
【特許文献13】特開2000−273487号公報
【特許文献14】特開2005−023176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、陰イオン性界面活性剤を主剤として使用した水洗トイレ用固形洗浄剤において、水への膨潤を抑えて溶解性を制御することにより使用期間を通して均一な溶解性と優れた持続性を有し、さらに、高濃度の陰イオン界面活性剤を配合しても溶解性を制御することができると共に洗浄効果の高いトイレ用固形洗浄剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の陰イオン性界面活性剤を配合したトイレ用固形洗浄剤が、フラッシング時の水との接触による膨潤を抑えることにより溶解性を制御し、使用期間を通して均一な溶解性と優れた持続性を有すると共に優れた洗浄効果を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、下記一般式
R1COO−R2−SO3M
(ここでR1は炭素数7〜21のアルキル基、R2は炭素数2〜3のアルキル基、Mはアルカリ金属を示す)
で表される陰イオン性界面活性剤を含有するトイレ用固形洗浄剤を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、陰イオン性界面活性剤がヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウムである前記トイレ用固形洗浄剤を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、陰イオン性界面活性剤の含有量が45%〜95%である前記トイレ用固形洗浄剤を提供するものである。
【0011】
本発明は、さらに高分子量ポリエチレンオキサイドを0.1〜5重量%含有する前記トイレ用固形洗浄剤を提供するものである。
【0012】
さらにまた、本発明は、前記高分子量ポリエチレンオキサイドの平均分子量が400万〜800万であるものを含有する前記トイレ用固形洗浄剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のトイレ用固形洗浄剤は、主たる界面活性剤としてヤシ油脂肪酸アルキルエステルスルホン酸アルカリ金属塩を用いることにより、フラッシング時の水との接触による膨潤が抑えられると共に溶解性が制御され、使用期間を通して均一な溶解性と優れた持続性、さらに高い洗浄力が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のトイレ用固形洗浄剤は、下記式
R1COO−R2−SO3M
(ここでR1は炭素数7〜21のアルキル基、R2は炭素数2〜3のアルキル基、Mはアルカリ金属を示す)
で表される陰イオン性界面活性剤を有効成分として含有することを特徴とする。
【0015】
上記した一般式で表される陰イオン性界面活性剤のアルカリ金属塩としては、ナトリウムが好適である。前記一般式で表される陰イオン性界面活性剤を具体的に挙げれば、例えば、ヤシ油脂肪酸とイセチオン酸との縮合物のナトリウム塩であるヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウムなどが好適である。
【0016】
本発明の前記一般式で表される陰イオン性界面活性剤の配合量は、トイレ用固形洗浄剤の総重量に対して、好ましくは45重量%〜95重量%、より好ましくは60重量%〜80重量%であり、この範囲よりも陰イオン性界面活性剤の配合量が少ない場合は、得られる固形洗浄剤は洗浄効果が充分発揮できなかったり、無機塩類などの賦形剤の配合割合が多くなり、固形化しがたくなる傾向になる。
【0017】
従来の陰イオン性界面活性剤を配合したトイレ用固形洗浄剤においては、陰イオン性界面活性剤が水に膨潤し溶解しやすい、また、使用途中でひび割れ、崩壊が起こるなど固形洗浄剤としての持続性に欠けるという課題があった。これらの課題を解決するために、高融点の非イオン界面活性剤や水溶性の高分子との組合せが必要であったが、本発明の前記一般式で表される陰イオン性界面活性剤は、高濃度に配合しても、フラッシュ時の水との接触による膨潤を抑え溶解性を制御すると共に、使用途中でのひび割れ、崩壊などの保形性を改善し、固形洗浄剤としての持続性が得られ、単独で使用することができる。
【0018】
本発明のトイレ用固形洗浄剤にはトイレ用固形洗浄剤の保形性および溶解性の調整のために、高分子量ポリエチレンオキサイドを配合することができる。その配合量は、前記一般式で表される陰イオン性界面活性剤の配合量にもよるが、トイレ用固形洗浄剤の総重量に対して、0.1〜5%、好ましくは、1〜3%である。
【0019】
高分子量ポリエチレンオキサイドを配合することにより、本発明のトイレ用固形洗浄剤の溶解性を相乗的に低下させ、該洗浄剤の保形性及び使用期間の持続性を制御することができる。
【0020】
また、高分子量ポリエチレンオキサイドの平均分子量も溶解性に影響を及ぼし、分子量が大きくなるに従い、使用時の溶解性を低下させることができる。高分子量ポリエチレンオキサイドの平均分子量は400万を超えるものが好ましく、特に、平均分子量が600万〜800万であるものがさらに好ましい。本発明のトイレ用固形洗浄剤の溶解性を低下させ、該洗浄剤の保形性及び使用期間の持続性をさらに制御することができる。
【0021】
本発明の陰イオン性界面活性剤は単独でも使用できるが、他の陰イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤と組み合わせて使用することもできる。陰イオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルカンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、高級アルコールスルホ脂肪酸エステル、アシル化アミノ酸類のアルカリ金属塩などがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0022】
また、非イオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールの酸化エチレン付加物、脂肪酸の酸化エチレン付加物、多価アルコールの脂肪酸エステルおよびその酸化エチレン付加物、ソルビタン脂肪酸エステルおよびその酸化エチレン付加物、硬化ヒマシ油の酸化エチレン付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドおよびその酸化エチレン付加物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体などがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0023】
また、トイレ用固形洗浄剤の硬さやまとまり、押し出し時の流動性などの固形物性などを調整する成分として、脂肪酸や高級アルコールなどが用いられる。脂肪酸や高級アルコールのアルキル鎖長は炭素数12〜18が好適に用いられる。
【0024】
本発明のトイレ用固形洗浄剤に用いられるその他の成分として、一般にトイレ用固形洗浄剤に用いられる一般的な成分を使用することができる。例えば、キレート剤、グリコール系の溶剤、増量剤として用いられる硫酸ナトリウムなどの無機塩類、色素、殺菌剤、香料、消臭剤などを適宜用いることができる。特に香料は、具体的には、次のようなものが例示できるが、特に限定されるものではなく、天然及び合成の広い範囲の香料を利用することができる。具体的には、炭化水素類としては、例えば、オシメン、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、ミルセン、ジヒドロミルセン、リモネン、テルピノーレン、α−フェランドレン、p−サイメン、β−カリオフィレン、β−ファルネセン、ビサボレン、セドレン、バレンセン、ツヨプセン、ロンギホレンなどを挙げることができる。
【0025】
アルコール類としては、例えば、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ミルセノール、ラバンジュロール、ムゴール、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシシトロネロール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、3,6−ジメチル−3−オクタノール、エチルリナロール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、l−メントール、カルベオール、ペリラアルコール、4−ツヤノール、ミルテノール、α−フェンキルアルコール、ファルネソール、ネロリドール、セドレノール、シス−3−ヘキセノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、プレノール、10−ウンデセノール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、p−t−ブチルシクロヘキサノール、サンダロール(Givaudan社商品名)、バクダノール(IFF社商品名)、フェニルエチルアルコール、ヒドロトロパアルコール、アニスアルコール、3−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アミルシンナミックアルコールなどを挙げることができる。
【0026】
アルデヒド類としては、例えば、シトラール、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、α−メチレンシトロネラール、ミルテナール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、3,7−ジメチルオクタナール、アセトアルデヒド、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、n−オクタナール、n−ノナナール、2−メチルオクタナール、n−デカナール、ウンデカナール、2−メチルデカナール、ドデカナール、テトラデカナール、シス−3−ヘキセナール、トランス−2−ヘキセナール、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、シス−4−デセナール、トランス−2−デセナール、10−ウンデセナール、トランス−2−ウンデセナール、トランス−2−ドデセナール、3−ドデセナール、2,4−ヘキサジエナール、2,4−デカジエナール、2,4−ドデカジエナール、シクロシトラール、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、シトラールプロピレングリコールアセタール、シトロネラールシクロモノグリコールアセタール、アセトアルデヒドエチルリナリルアセタール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、オクタナールジメチルアセタール、ノナナールジエチルアセタール、デカナールジメチルアセタール、デカナールジエチルアセタール、2−メチルウンデカナールジメチルアセタール、ベンズアルデヒド、p−イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、p−イソプロピルヒドラトロパルアルデヒド、シクラメンアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、p−メチルフェノキシアセトアルデヒド、ベンズアルデヒドジエチルアセタール、アミルシンナミックアルデヒドジエチルアセタール、ヘリオトロピンジメチルアセタール、アセトアルデヒドエチルフェニルエチルアセタール、アセトアルデヒド2−フェニル−2,4−ペンタンジオールアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタールなどを挙げることができる。
【0027】
ケトン類としては、例えば、カンファー、メントン、ピペリテノン、ゲラニルアセトン、アセチルセドレン、ヌートカトン、ヨノン、メチルヨノン、アリルヨノン、イロン、ダマスコン、ダマセノン、イソダマスコン、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、2−ウンデカノン、2−トリデカノン、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、メチレンテトラメチルヘプタノン、2,3−ヘキサジオン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフラノン、p−メチルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、ベンジリデンアセトン、ラズベリーケトン、メチルナフチルケトン、ベンゾフェノン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノン、ホモフロナール(Givaudan社商品名)、マルトール、エチルマルトール、4,7−ジヒドロ−2−イソペンチル−2−メチル−1,3−ジオキセピン、アセト酢酸エチルエチレングリコールケタールなどを挙げることができる。
【0028】
エステル類としては、例えば、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸オクチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トランス−2−ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸ジメチルウンデカジエニル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸テトラヒドロムゴール、酢酸ラバンジュリル、酢酸ネロリドール、酢酸ジヒドロクミニル、酢酸テルピニル、酢酸シトリル、酢酸ノピル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸3−ペンテニルテトラヒドロピラニル、酢酸ミラルディル、酢酸2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルメチル、プロピオン酸デセニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸スチラリル、酪酸オクチル、酪酸ネリル、酪酸シンナミル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸シス−3−ヘキセニル、イソ吉草酸フェニルエチル、3−ヒドロキシヘキサン酸メチル、安息香酸メチル、安息香酸ゲラニル、安息香酸リナリル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸リナリル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸オイゲニル、フェニル酢酸ゲラニル、フェニル酢酸シトロネリル、フェニル酢酸メンチル、サリチル酸アミル、ヘキサン酸リナリル、ヘキサン酸シトロネリル、オクタン酸リナリル、アンゲリカ酸イソプレニル、ゲラン酸メチル、ゲラン酸エチル、シクロゲラン酸メチル、アセト酢酸エチル、2−ヘキシルアセト酢酸エチル、ベンジルアセト酢酸エチル、2−エチル酪酸アリル、3−ヒドロキシ酪酸エチルなどを挙げることができる。
【0029】
フェノール類としては、例えば、チモール、カルバクロール、β−ナフトールイソブチルエーテル、アネトール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、グアヤコール、クレオゾール、ベラトロール、ハイドロキノンジメチルエーテル、2,6−ジメトキシフェノール、4−エチルグアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、エチルイソオイゲノール、tert−ブチルハイドロキノンジメチルエーテルなどを挙げることができる。
【0030】
エーテル類としては、例えば、デシルビニルエーテル、α−テルピニルメチルエーテル、イソプロキセン(IFF社商品名)、2,2−ジメチル−5−(1−メチル−1−プロ
ペニル)−テトラヒドロフラン、ローズフラン、1,4−シネオール、ネロールオキサイ
ド、2,2,6−トリメチル−6−ビニルテトラヒドロピラン、メチルヘキシルエーテル、オシメンエポキシド、リモネンオキサイド、ルボフィクス(Firmenich社商品名)、カリオフィレンオキサイド、リナロールオキサイド、5−イソプロペニル−2−メチル−2−ビニルテトラヒドロフラン、テアスピラン、ローズオキサイドなどを挙げることができる。
【0031】
ラクトン類としては、例えば、γ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、ジャスミンラクトン、メチルγ−デカラクトン、ジャスモラクトン、プロピリデンフタリド、δ−ヘキサラクトン、δ−2−デセノラクトン、ε−ドデカラクトン、ジヒドロクマリン、クマリンなどを挙げることができる。
【0032】
酸類としては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、桂皮酸、フタール酸、アビエチン酸、バニリン酸、ピロガロールなどを挙げることができる。
【0033】
合成ムスクとしては、例えば、ムスコン、シクロペンタデカノン、5−シクロヘキサデセン−1−オン、シクロペンタデカノリド、アンブレットリド、シクロヘキサデカノリド、ムスクアンブレット、6−アセチルヘキサメチルインダン、6−アセチルヘキサテトラリン、ガラクソリド(IFF社商品名)などを挙げることができる。
【0034】
又、天然香料としては、例えば、アビエス、アンブレット・シード、アンジェリカ、アニス、アルモアゼ、ベージル、ベイ、ベルガモット、バーチ、ボア・ド・ローズ、カラムス、カンファー、カナンガ、キャラウェイ、カルダモン、カシア、シダーウッド、カモミル、シトロネラ、コスタス、クミン、ディル、エレミ、ユーカリ、ガルバナム、ゼラニウム、ジンジャー、グレープフルーツ、グアイアック、ガーデニア、ヒノキ、ホウショウ、ヒアシンス、ジャスミン、ジュニパ・ベリー、ラブダナム、ラバンジン、ラベンダー、レモン、レモングラス、ライム、リナロエ、ミモザ、ミント、オークモス、オレンジフラワー、イリス、パチョリ、パルマローザ、ペパーミント、ローズ、クラリー・ゼージ、サンダル、チュベローズ、ベチバー、スミレ、イラン・イランなどの精油などを挙げることができる。
【0035】
その他、香料化学総覧,1,2,3[奥田治著 廣川書店出版]、Perfume and flavor Chemicals,1,2[Steffen Arctander著]、合成香料
[印藤元一著 化学工業日報社出版]などに記載の香料化合物を挙げることができる。
【0036】
本発明のトイレ用固形洗浄剤は、押し出し成形、プレス成形、打錠などで容易に製造できる。例えば、粉末状態の配合成分をVブレンダーなどの粉末混合機でブレンドし、次いで液体成分を加えて、ニーダーやロールなどで充分混練したのち、エクストルーダーなどで押し出したり金型を用いてプレスして成形することができる。
【0037】
以下に実施例をあげて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0038】
実施例1〜9および比較例1〜5
実施例および比較例で用いた構成成分として表1および表2に示した配合処方を用いて固形洗浄剤を調製し、トイレ用固形洗浄剤の溶解性を試験した。但し、表1および表2中の配合量は重量%である。
[トイレ用固形洗浄剤の調製]
本発明の陰イオン性界面活性剤として、ホスタポンSCI85G(クラリアントジャパン株式会社;ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウム)、他の一般的な陰イオン性界面活性剤として、リポランPJ400(ライオン株式会社製;アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム)、エマール10パウダー(花王株式会社製;ラウリル硫酸ナトリウム)を使用し、また、高分子量ポリエチレンオキサイドとして、ペオ(PEO;住友精化株式会社製)を使用して調製した。表1および表2に記載の配合量にて各成分を良く混合し、ロールで混練し、その5gを内径約3mmのの打錠用臼に入れ、約100Kgfでプレス成形して、円盤状のトイレ用固形洗浄剤を作製した。
【0039】
[溶解性の評価]
1リットルのビーカーに25℃の水を1リットルとり、ビーカーの上部に直径10cm、60メッシュのステンレス製の篩を金網部分が水没するようにセットする。この篩にプレス成形したトイレ用固形洗浄剤をのせ、水全体をマグネチツクスターラーで穏やかに攪拌し、該洗浄剤が完全に溶解するまでの時間を測定した。
[溶解性の評価結果]
表1および表2に評価結果を示す。ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウムの配合割合がトイレ用固形洗浄剤の溶解性に大きく影響を与える。表2の比較例1〜5に示すように、従来使用されているα−オレフィンスルホン酸ナトリウムやラウリル硫酸ナトリウムを主な界面活性剤として使用した場合は、溶解しやすく、高分子量ポリエチレンオキシドを添加しても持続性を高めることはできなかった。一方、表1の実施例1〜9に示すように、ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウムを45%以上用いた場合は、まず、実施例1および2の結果から、本発明のトイレ用固形洗浄剤であるヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウムを主な界面活性剤として使用した場合、比較例1〜5と比べ、トイレ用固形洗浄剤の溶解時間が延び特段に持続性に優れていることがわかる。また、実施例3〜9の結果から、高分子量ポリエチレンオキサイドを配合した場合は、実施例1および2と比較してさらに溶解に時間がかかり、より優れた持続性を付与することがわかった。
【0040】
【表1】

【0041】
SCI: ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウム
AOS: α−オレフィンスルホン酸ナトリウム
AS : ラウリル硫酸ナトリウム
PEO: ポリエチレンオキシド
EDTA−2Na:エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム
【0042】
【表2】

【0043】
[実用評価]
トイレ用固形洗浄剤のフラッシング試験による持続性評価として下記の実用的試験を行う。表1および表2の実施例3、4および比較例3、5の配合処方に基づき、各配合成分をロールで混練、押し出し成形をし、直径20mm、重量約25gの円柱状にカットし試料を作成した。これらの試料をオンタンク洗浄剤用の容器(株式会社小林製薬製「ブルーレットおくだけ」貝殻容器)にいれ、家庭用トイレのロータンクの手洗い部に置き、実用的試験に供した。この家庭用トイレのロータンクには、レバーの操作回数を計測できるカウンターを設置し、手洗い部に供給される水量は、1回当たり4.5リットルに設定した。水の温度は特にコントロールせずに、定期的に水温を測り、記録した。水温は実験期間中で20℃〜25℃の範囲であった。試料の重量を定期的に測り、使用回数に対して溶解率を計算してプロットした。
【0044】
[実用評価結果]
図1に示すとおり、比較例3および5は持続性に欠けるが、本発明のヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウムを主剤として調製したトイレ用固形洗浄剤である実施例3および4については、持続性に充分満足できる結果を示した。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】トイレ用固形洗浄剤のフラッシング試験による持続性評価を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式
R1COO−R2−SO3M
(ここでR1は炭素数7〜21のアルキル基、R2は炭素数2〜3のアルキル基、Mはアルカリ金属を示す)
で表される陰イオン性界面活性剤を含有することを特徴とするトイレ用固形洗浄剤。
【請求項2】
陰イオン性界面活性剤がヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウムである請求項1に記載のトイレ用固形洗浄剤。
【請求項3】
陰イオン性界面活性剤の含有量が45%〜95%である請求項1または2に記載のトイレ用固形洗浄剤。
【請求項4】
さらに、高分子量ポリエチレンオキサイドを0.1〜5重量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載のトイレ用固形洗浄剤。
【請求項5】
高分子量ポリエチレンオキサイドの平均分子量が400万〜800万であるものを含有する請求項4記載のトイレ用固形洗浄剤。

【図1】
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【公開番号】特開2008−150462(P2008−150462A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338779(P2006−338779)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000214537)長谷川香料株式会社 (176)
【Fターム(参考)】