説明

トイレ用設備

【課題】トイレ室の限られたスペースに電気機器を効率的に配置でき、メンテナンスも容易なトイレ用設備を提供する。
【解決手段】トイレ室の壁面に沿って設けられる棚板と、前記棚板の下方に設けられるペーパーホルダと、前記棚板の下方において前記ペーパーホルダの背後に設けられる電気機器と、を備えたことを特徴とするトイレ用設備が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ用設備に関し、具体的には、トイレ室に設置され、棚板と、ペーパーホルダと、電源などの電気機器と、を有するトイレ用設備に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の生活にとってトイレは切り離すことができない存在であり、「暖房式便座」や「温水洗浄便座装置」などの革新的な機構が付加されるに伴って、利便性や快適性が向上してきた。
今後、トイレ室は、さらに快適で心地よい空間とすることが望ましく、例えば、室内を暖房する電気機器や、芳香を発生させる電気機器、また、間接照明機器や、音響を発生する電気機器(例えば特許文献1)などを設ける技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−143039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、トイレ室のスペースは限られており、これら電気機器の配置には工夫が必要である。またさらに、これらの電気機器を設けるにあたって、その電源や制御用の電気機器も必要となる場合があり、この電源や制御用の電気機器の配置についても同様の工夫が必要とされる
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、トイレ室の限られたスペースに電気機器を効率的に配置でき、メンテナンスも容易なトイレ用設備を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、トイレ室の壁面に沿って設けられる棚板と、前記棚板の下方に設けられるペーパーホルダと、前記棚板の下方において前記ペーパーホルダの背後に設けられる電気機器と、を備えたことを特徴とするトイレ用設備が提供される。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、トイレ室の限られたスペースに電気機器を効率的に配置でき、メンテナンスも容易なトイレ用設備が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付す。
【0007】
図1は、本発明の実施の形態に係るトイレ用設備が設置されたトイレ室を例示する模式図である。
また、図2は、本実施形態のトイレ用設備を例示する模式斜視図である。
【0008】
図1に例示したトイレ室900には、第1の方向Xに延在した棚板100と、その下に取り付けられたリモコン200と、が設けられている。リモコン200は、例えば、トイレ室900に設けられた便器800の便蓋や便座を電動により開閉したり、また温水洗浄便座装置810を操作するために用いることができる。ここで、温水洗浄便座装置810は、便座802に座った使用者の「おしり」などに向けて水を噴射し洗浄可能とした装置である。またさらに、リモコン200は、図示しない照明機器、音楽や効果音などを発生する音響機器、テレビやラジオなどの機器、暖房などの空調機器などを操作するために用いることも可能である。
【0009】
リモコン200の下には、トイレットペーパー590を保持するペーパーホルダ500が設けられている。また、棚板100の下には、キャビネット600、602などを設置してもよい。また、棚板100には、水栓170を付設した手洗いボウル160を設けてもよい。また、トイレ室900の壁面に鏡910を設けて、ドレッサーとしての機能を付与してもよい。
【0010】
棚板100は、天板110と、その前縁に設けられた幕板120と、を有する。リモコン200は、天板110の下に設けられ、幕板120に設けられた開口(あるいは切り欠き)を介してその操作面が露出している。
【0011】
そして、図2に表したように、本実施形態においては、棚板100の下のペーパーホルダ500の背後に、電気機器610が設けられている。電気機器610は、例えば、リモコン200や、トイレ室900に設置される照明装置、音響装置、暖房装置、空調装置などに電力を供給する電源である。また、電気機器610は、例えば、これら照明装置、音響装置、暖房装置、空調装置などを制御する制御部であってもよい。あるいは、電気機器610は、これら照明装置、音響装置、暖房装置、空調装置などのいずれかであってもよい。
【0012】
本実施形態によれば、ペーパーホルダ500の背後に電気機器610を配置することにより、この空間を有効に活用し、使用者に圧迫感を与えることもない。またトイレ室900の見栄えをすっきりとさせ、美観を損ねることもない。また、ペーパーホルダ500の背後に配置することで、水などがかかりにくく、電子部品や可動部を有する電気機器の故障や動作不良も防ぐことができる。また、ホコリや汚れも付着しにくい。またさらに、ペーパーホルダ500の背後でトイレ室900の床面から浮かせて配置することにより、便器800から水が万が一溢れでたような場合でも、電気機器610の冠水を防止できる。
【0013】
図3は、本実施形態のトイレ用設備の取付構造を例示する模式断面図である。
棚板100の下には、リモコン200が取り付けられている。そして、リモコン200の前部の下にはペーパーホルダ500が固定ピース510により固定されている。一方、ペーパーホルダ500の背後において、棚板100の裏面にL型アングル350がネジ352により取り付けられている。L型アングル350にはネジ孔351が設けられている。電気機器610は、L型アングル350に設けられたネジ孔351にネジ353を締め付けることにより取り付けられている。
【0014】
このようにすれば、トイレ室900の壁面に電気機器610を取り付ける必要がなく、例えばトイレ室900の壁面の強度が十分でないような場合でも電気機器610を確実に取り付けることができる。
ただし、トイレ室900の壁面の強度が得られる場合には、電気機器610を壁面に取り付けてもよい。
【0015】
また一方、本実施形態においては、ペーパーホルダ500は着脱可能とすることができる。
図4は、ペーパーホルダ500の取付を表す組立図である。
また、図5は、固定ピースの拡大図である。
リモコン200は、例えば筐体300に収容可能とすることができる。この場合、筐体300は、第1の方向Xとは略直交する第2の方向Yに沿った1条の固定部において棚板100に固定されている。すなわち、筐体300は、その上面の左右両端に一対の凸部324を有し、また中央付近に一対のガイド330を有する。一方、棚板100の裏面には、レール340がネジ342により固定される。棚板100の裏面にレール340を取り付け、正面側からガイド330を嵌合させて筐体300を挿入することにより、筐体300を棚板100に取り付けることができる。
【0016】
一方、ペーパーホルダ500は、その取付用孔512に固定ピース510の先端を挿入し、さらに筐体300に設けられた取付用孔(図示せず)に固定ピース510の先端を挿入して固定ピース510を90度ほど回転させ締め付ける。すると、固定ピース510の拡張部510Pが筐体300に設けられた取付用孔の中で係止され、筐体300に固定することができる。なお、棚板100の天板110は、化粧板として表層を形成する上板112と、補強のための下板114と、を積層させた構造としてもよい。
【0017】
ペーパーホルダ500を取り外す際には、ペーパー590を取り外した後に、固定ピース510を反対方向に90度ほど回転させる。すると、固定ピース510の拡張部510Pの係止が解除され、固定ピース510を筐体300に設けられた取付用孔から抜き取ることができる。このようにして、ペーパーホルダ500を棚板100の下から取り外すことができる。
【0018】
本実施形態によれば、まずペーパーホルダ500からペーパー590を取り外すことによりその背後に設置された電気機器610の一部が露出し、例えば、電気機器610の修理や交換などのメンテナンス作業を容易に実行することができる。またさらに、上述の如くペーパーホルダ500を取り外すことにより、その背後に設置された電気機器610の全体を露出させ、さらに容易にメンテナンス作業を実行できる。
【0019】
図6は、トイレ室におけるトイレ用設備の配置関係を例示する模式平面図である。
ペーパーホルダ500は、通常は、便器800の後方側ではなく、便器800の前端800Pの前後にあわせて配置される。つまり、ペーパーホルダ500は、便器800の後方脇の狭いスペースに配置されることはない。本実施形態によれば、このような位置に配置されるペーパーホルダ500の背後に電気機器610を設けることにより、そのメンテナンス作業の際にも、便器800の後方脇の狭いスペースに作業者が手を伸ばす必要はなく、便器800の前端800Pの前後の広いスペースにおいて、楽に作業することができる。
【0020】
図7は、電気機器610を備えたトイレシステムを例示するブロック図である。
トイレ室900には、温水洗浄便座装置810の他に、例えば電気温水器ユニット615、サウンドユニット620、照明ユニット630、芳香ユニット640、室内暖房ユニット700などを設けることができる。これらのユニットの動作は、リモコン200により制御することができる。そして、ペーパーホルダ500の背後には、これらユニット及びリモコン200に電力を供給する電源を内蔵した電気機器610を設けることができる。
【0021】
なお、図7に例示したシステムにおいては、温水洗浄便座装置810からリモコン200への人体検知情報の送信は電波により実行される。一方、リモコン200から温水洗浄便座装置810やその他の各ユニットへの制御信号の送信は、赤外線により実行される。このように異なる媒体を用いることで、人体検知情報と制御信号とが干渉することを防止できる。また、人体検知情報を電波で送信することにより、例えば、温水洗浄便座装置810からみてカウンターの奥にリモコン200の電波受信部230が設置されたような場合でも、人体検知情報を確実に伝送できる。
【0022】
図8は、電源を内蔵した電気機器610を例示する模式図である。
電気機器610には、上述した電気温水器ユニット615などに電力を供給するためのコンセント612が設けられている。またここで、温水洗浄便座装置810や電気温水器ユニット615、あるは室内暖房ユニット700などのトイレ室900に設置される各種の電気装置に供給する電力量を電気機器610において統合管理してもよい。すなわち、通常の電気配線においては、一回線が100ボルトで15アンペアとされる。従って、トイレ室900に供給される一回線の電力量がこの上限を超えないように、電気機器610において管理し、電気機器610から各ユニットに供給する電力量をコントロールすることができる。例えば、温水洗浄便座装置810において温水を吐水している間は、電気温水器ユニット615や室内暖房ユニット700に供給する電力を制限し、合計で100ボルトで15アンペアを越えないようにすることができる。
【0023】
図9は、電気機器610のもうひとつの具体例を表す模式図である。
本具体例においては、電気機器610に、サウンドユニット620と照明ユニット630と芳香ユニット640が内蔵されている。すなわち、電気機器610の筐体には、スピーカ622と、照明用光源632と、芳香を含む空気を放出する放出口642が設けられている。
【0024】
ペーパーホルダ500の背後にスピーカ622を配置しても、スピーカ622からの音響はペーパーホルダ500の周囲の空間から放出され、便器800の前に立っている使用者や便座802に座った状態の使用者に対して心地よいサウンドを提供することができる。
【0025】
また、ペーパーホルダ500の背後の隠れたスペースに設けた放出口642から芳香を含む空気を放出させることにより、芳香を効果的に拡散させることができる。すなわち、ペーパーホルダ500の背後から放出された芳香は、ペーパーホルダ500によって拡散が適度に抑制されて、トイレ室900の全体に広がる。使用者はペーパーホルダ500の近傍においてトイレを使用するので、使用者に対して効率的に芳香を感じさせることができる。またさらに、ペーパーホルダ500の背後に放出口642を設けることで、芳香成分がペーパー590に付着し、使用者がペーパー590を使用する時にも芳香を感ずることができるという効果も得られる。
【0026】
また、ペーパーホルダ500の背後に照明用光源632を設けた場合、光はペーパーホルダ500の周囲から漏れ出るようになり、間接照明の効果が得られる。
図10は、照明用光源632から光Lが放射されるようすを例示する模式図である。
照明用光源632は、符号Lで表したように、トイレ室900の床面に向けて斜め下方に光を放射させることができる。例えば、夜間に起きた使用者がトイレを利用する時に、トイレ室900の天井の照明は明るすぎて眩しく感じる場合が多い。このような場合に、ペーパーホルダ500の背後からの間接照明により床面を照らすことで、眩しさを感じさせず、ペーパーホルダ500や便器800などの位置も十分に視認可能とすることができる。
【0027】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をした。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
前述の具体例に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、電気機器610は、電源や前述した各ユニットに限定されず、その他、各種の電気回路や電気部品などを内蔵することができる。
【0028】
また、筐体300を設けず、その内部に収容されるリモコン200などの電気機器を各実施例において筐体300と同様の方法で取り付けたものも本発明の範囲に包含される。
【0029】
また、棚板や筐体、リモコン、ブラケット、ガイド、レール、取付具などの各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施例が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態に係るトイレ用設備が設置されたトイレ室を例示する模式図である。
【図2】本実施形態のトイレ用設備を例示する模式斜視図である。
【図3】本実施形態のトイレ用設備の取付構造を例示する模式断面図である。
【図4】ペーパーホルダ500の取付を表す組立図である。
【図5】固定ピースの拡大図である。
【図6】トイレ室におけるトイレ用設備の配置関係を例示する模式平面図である。
【図7】電気機器610を備えたトイレシステムを例示するブロック図である。
【図8】電源を内蔵した電気機器610を例示する模式図である。
【図9】電気機器610のもうひとつの具体例を表す模式図である。
【図10】照明用光源632から光Lが放射されるようすを例示する模式図である。
【符号の説明】
【0031】
100 棚板、110 天板、112 上板、114 下板、120 幕板、160 ボウル、170 水栓、200 リモコン、230 電波受信部、300 筐体、324 凸部、330 ガイド、340 レール、342 ネジ、350 L型アングル、351 ネジ孔、352、353 ネジ、500 ペーパーホルダ、510 固定ピース、510P 拡張部、512 取付用孔、590 トイレットペーパー、600 キャビネット、610 電気機器、612 コンセント、615 電気温水器ユニット、620 サウンドユニット、622 スピーカ、630 照明ユニット、632 照明用光源、640 芳香ユニット、642 放出口、700 室内暖房ユニット、800 便器、800P 前端、802 便座、810 温水洗浄便座装置、900 トイレ室、910 鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室の壁面に沿って設けられる棚板と、
前記棚板の下方に設けられるペーパーホルダと、
前記棚板の下方において前記ペーパーホルダの背後に設けられる電気機器と、
を備えたことを特徴とするトイレ用設備。
【請求項2】
前記ペーパーホルダは、着脱可能とされたことを特徴とする請求項1記載のトイレ用設備。
【請求項3】
前記トイレ室に設けられる温水洗浄便座装置を操作可能としたリモコンをさらに備え、
電気機器は、前記リモコンに電力を供給することを特徴とする請求項1または2に記載のトイレ用設備。
【請求項4】
前記棚板の裏面に固定されるL型アングルをさらに備え、
前記電気機器は、前記L型アングルに固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトイレ用設備。
【請求項5】
前記電気機器は、音響を発生させるスピーカを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のトイレ用設備。
【請求項6】
前記電気機器は、芳香を含む空気を放出する放出口を有することを特徴とする請求項1〜5にいずれか1つに記載の電トイレ用設備。
【請求項7】
前記電気機器は、照明用光源を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のトイレ用設備。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−237774(P2008−237774A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86002(P2007−86002)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】