説明

トイレ装置

【課題】トイレ内で音楽を再生する機器において、容易に音楽の入れ替えができ、特殊な防水機構を必要とせず、かつ電池寿命の心配が要らないトイレ装置を提供する。
【解決手段】便器上に配置する本体10と、本体10内にあって人体局部を洗浄する洗浄手段11と、洗浄手段11を電気的に制御する制御手段12と、商用電源より給電し制御手段12に電流を供給する安定化電源13と、本体外にあって制御手段12との通信手段を有するリモコン部14と、リモコン部14内にあって音楽の録音および再生機能を有する音楽再生手段16と、音楽再生手段16に電流を供給する電池17と、安定化電源13から電池への充電手段22を備えることにより、音楽データを本体10内にもつ必要がないので、メディアを交換するためのスロットを本体10に設ける必要がなく、本体の防水構造を簡易化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリモコンで音楽再生可能なトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の記憶媒体を備えたトイレ装置は、トイレ装置の機体内部に記憶媒体を固定的に設置した音声記憶媒体とスピーカを備え、記憶媒体に記録した音楽を含む音声データをスピーカから出力し、トイレ用音響装置として使用している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図9は、特許文献1に記載された従来の衛生洗浄装置を示すものである。図9に示すように便器本体1の上部に便座2と便蓋3が載置してあり、便器1の後方には局部洗浄装置4と洗浄タンク5が設置してあり、これらはタンクカバ6で隠蔽されている、タンクカバ6の内部には記録媒体7と制御装置8が設置してあり、タンクカバ6の側面にスピーカ9が設置してある。
【特許文献1】特開2003−176559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこの方法では、使用者の好みに合わせて様々な楽曲に交換しようとしたとき本体内に録音手段を持たなくてはならなかった。すなわちメディアを交換するためのメディア交換手段を本体上に構成したとき、防水構造をとるなどの必要が出てくる。
【0005】
いっぽう、着脱してトイレ室外に持ち出すことの出来るリモコンに録音手段を持つことが出来ればこの問題がなくなるが、一般に増幅部、スピーカ等の再生手段は満足できる音量と音質を得るためには大きなスピーカおよび増幅回路が必要であり、これを動作させる電源を電池にて構成しようとした場合、音量や音質や電池寿命の何れかを犠牲にしなければならないという課題を有していた。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、リモコン部に音楽再生機能を有しつつ本体側よりの給電手段を有し、更に電磁誘導による給電を用いることでリモコンを通常使用する位置におくだけで給電することが出来る、使い勝手の高いトイレ装置を提供する事を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために本発明のトイレ装置は、便器上に配置する本体と、本体内にあって人体局部を洗浄する洗浄手段と、洗浄手段を電気的に制御する制御手段と、商用電源より給電し制御手段に電流を供給する安定化電源と、本体外にあって制御手段との通信手段を有するリモコン部と、リモコン部内にあって音楽の録音および再生機能を有する音楽再生手段と、音楽再生手段に電流を供給する電池と、安定化電源から電池手段への充電手段を備えたものである。
【0008】
これによって、音楽データを本体内にもつ必要がないので、たとえばメモリーカード等のメディアを交換するためのスロットを本体側に有す必要がなく、防水構造を施す必要がなく、構造を簡易化できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のトイレ装置によれば、リモコン側に音楽再生手段と、録音部をリモコン側に有
しているので容易にリモコンをはずしトイレ外に持ち出して音楽を入れ替えることの出来る、きわめて使い勝手の良い音楽再生機能つきトイレ装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、便器上に配置する本体と、本体内にあって人体局部を洗浄する洗浄手段と、洗浄手段を電気的に制御する制御手段と、商用電源より給電し制御手段に電流を供給する安定化電源と、本体外にあって制御手段との通信手段を有するリモコン部と、リモコン部内にあって音楽の録音および再生機能を有する音楽再生手段と、音楽再生手段に電流を供給する電池と、安定化電源から電池への充電手段を備えることにより、音楽データを本体内にもつ必要がないので、たとえばメモリーカード等のメディアを交換するためのスロットを本体側に有す必要がなく、防水構造等の複雑な構造にする必要がなく、本体の構造を簡易化できる。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明の音楽再生手段を、音楽データを保持する録音部と、録音部よりデータを取り出す再生部と、再生部の信号を増幅する増幅部と、増幅部の信号を音に変換するスピーカ部からなり、録音部は電気的な入力手段を介して音楽データを入力および削除することが出来る構成とすることにより、音楽再生手段に録音した音楽データは自由に更新することができるため、使用者の好みに合わせて音楽データを選択再生することができる。
【0012】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の充電手段を、本体内にある安定化電源の出力をリモコン部まで導くケーブル部と、ケーブル部の先端に取り付けた第1の接点と、リモコン部側に配し電池手段につながる第2の接点からなる構成とすることにより、リモコン部の電池手段は本体内の安定化電源を使用して充電することができ、しかもリモコン部に商用電力を直接供給するする必要がなく、漏電対策等を簡易化できるため、リモコン部を小型軽量化することができる。
【0013】
第4の発明は、特に、第3の発明における第1の接点を、リモコン部を壁に取り付けるハンガー機構を有し、リモコンをハンガー機構に取り付けたとき第1の接点と第2の接点が電気的に結合する構成としたことにより、リモコン部をハンガー機構に取り付けることにより、リモコン部の電池を充電することができるため、通常の使用状態においた電池の充電を意識する必要がなく、使い勝手のよいトイレ装置を提供することができる。
【0014】
第5の発明は、特に、第3または第4の発明における第1の接点は、給電コイル部とコイル部にパルス状の電流を供給するためのパルス発信部と第2の接点と電気的に絶縁するための絶縁手段からなり、第2の接点は受電コイル部と受電コイルに発生した誘導電流を安定化するための第2の安定化電源からなる構成とすることにより、第1の接点と第2の接点は絶縁手段を介して電流を供給することができるため、第1の接点と第2の接点の充電部を露出する必要がなく防水および漏電対策を容易に行うことができる。
【0015】
以下本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施形態における、トイレ装置全体のブロック図を示すものであり、図2は音楽再生手段のブロック図を示し、図3は充電手段の模式図を示すものである。
【0017】
トイレ装置の本体10は温水を噴出して人体局部を洗浄するための洗浄手段11を有するが、これはノズルやポンプやヒーター等の複数の構成部品からなり、これらの動きを制御手段12により制御する。前記洗浄手段11はノズル(図示せず)やポンプ(図示せず
)とそれらを稼動する直流モーター(図示せず)を備えており、それらは安定化電源13より供給する直流電流により付勢している。
【0018】
前記制御手段12の操作は、本体10とは別に設けたリモコン部14の通信手段15を介して動作の指示を行う。
【0019】
また、本発明のトイレ装置はトイレ内で好みの音楽を聴きたいというニーズに対応するため、リモコン部14内部に音楽再生手段16とそれを付勢するための電池17を内蔵している。
【0020】
図2に示すように、音楽再生手段16は、録音部18は複数の楽曲をデジタル的に保持するメモリー装置からなり、再生部19は録音部18よりデータを読み出しD/A変換することによってアナログの音声信号に変換し、増幅部20は再生部19の出力を所定の利得で増幅しスピーカ部21にて音に変換する。これらの音楽再生手段16の各機能を付勢するための電力は前記電池17から給電される。
【0021】
しかしながら高音質、大音量で長時間聞き続けると電池17が消耗してしまうため、本体10内にある安定化電源13より充電するための充電手段22を備えている。
【0022】
図3に示すように充電手段22は本体10の安定化電源13より電力を供給するケーブル部23が第1の接点24に接続してあり、第1の接点24はリモコン部14を保持するハンガー機構25を兼ね備えた構成となっている。第1の接点の内部では、ケーブル部23がパルス発信部26に繋がり、パルス発信部26は給電コイル27にパルス状の電流を供給する。
【0023】
一方、リモコン部14をハンガー機構25に保持したとき、リモコン部14内に配設した第2の接点28は第1の接点24に対応する位置に固定される。このとき第2の接点28の受電コイル29が絶縁手段30を介して給電コイル27対峙する位置に固定されるので、電磁的に結合し受電コイル28にはパルス電流が発生し、第2の安定化電源13に供給し、第2の安定化電源31はパルス電流を直流化し電池17に供給する構成であり、リモコン部14をハンガー機構25に保持することにより自動的に常時充電を行う。
【0024】
また、録音部18のデータは外部から通信手段を用いて書き換えが可能な構成となっている。本実施の形態においてはプロトコルとしてUSBの標準規格を用いており、リモコン部14をパーソナルコンピューターの近傍に持っていき、USBを介してくパーソナルコンピューターと接続することにより、音楽データの入力および削除を行うことができる。
【0025】
以上のように、本実施の形態においては、ハンガー機構とリモコン部に給電コイル有する第1の接点と受電コイルを備えた第2の接点を備えることにより、リモコン部をハンガー機構に保持することにより自動的に常時充電を行うことができるため、長時間音楽を再生しても電池が消耗してしまうことがない。
【0026】
また、USBを介してリモコン部とパーソナルコンピューターを接続することにより、リモコン内に組み込んだ音楽再生手段の音楽データを更新することができるため、常に最新の好みの音楽を視聴することができ、トイレを快適に使用することができる。
【0027】
なお、本実施の形態においては、充電手段の第1の接点と第2の接点は給電コイルと受電コイルによる誘導電流により無接触で行うことにより、確実な防水構造が容易に実施できる構成としたが、これに限るものでなく、金属接点を直接接触する構成でもよく、この
場合構造が簡単になるため、生産性が向上しコスト低減を図ることは可能となる。
【0028】
また、本実施の形態においては、音楽データの更新はUSBを介してパーソナルコンピューターと有線で接続する構成としたが、これに限るものではなく、IRDA等の他のプロトコルを採用しても良く、また、ワイヤレスによりパーソナルコンピューターと交信する構成も考えられる。また、音楽再生手段から取り出し可能な記憶メディアを録音部に使用することにより、音楽データを更新する構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明にかかるトイレ装置は、リモコン部に音楽再生手段を設け、ハンガーに収めるだけで非接触で充電できるようにしたので、浴室で使用する給湯器のリモコンで音楽再生する等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1におけるトイレ装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における音楽再生手段のブロック図
【図3】本発明の実施の形態1における充電手段の模式図
【図4】従来のトイレ装置の斜視図
【符号の説明】
【0031】
10 本体
11 洗浄手段
12 制御手段
13 安定化電源
14 リモコン部
15 通信手段
16 音楽再生手段
17 電池
18 録音部
19 再生部
20 増幅部
21 スピーカ部
22 充電手段
23 ケーブル部
24 第1の接点
25 ハンガー機構
26 パルス発信部
27 給電コイル
28 第2の接点
29 受電コイル
30 絶縁手段
31 第2の安定化電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器上に配置する本体と、本体内にあって人体局部を洗浄する洗浄手段と、洗浄手段を電気的に制御する制御手段と、商用電源より給電し制御手段に電流を供給する安定化電源と、本体外にあって制御手段との通信手段を有するリモコン部と、リモコン部内にあって音楽の録音および再生機能を有する音楽再生手段と、音楽再生手段に電流を供給する電池と、安定化電源から電池への充電手段を備えたトイレ装置。
【請求項2】
音楽再生手段は、音楽データを保持する録音部と、録音部よりデータを取り出す再生部と、再生部の信号を増幅する増幅部と、増幅部の信号を音に変換するスピーカ部からなり、録音部は電気的な入力手段を介して音楽データを入力および削除することが出来る請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
充電手段は、本体内にある安定化電源の出力をリモコン部まで導くケーブル部と、ケーブル部の先端に取り付けた第1の接点と、リモコン部側に配し電池手段につながる第2の接点からなる請求項1または2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
第1の接点は、リモコン部を壁に取り付けるハンガー機構を有し、リモコンをハンガー機構に取り付けたとき第1の接点と第2の接点が電気的に結合する構成とした、請求項3に記載のトイレ装置。
【請求項5】
第1の接点は、給電コイル部とコイル部にパルス状の電流を供給するためのパルス発信部と第2の接点と電気的に絶縁するための絶縁手段からなり、第2の接点は受電コイル部と受電コイルに発生した誘導電流を安定化するための第2の安定化電源からなる、請求項3または4に記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−348544(P2006−348544A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174589(P2005−174589)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】