説明

トイレ装置

【課題】 便座への着座・離座または立ち上がろうとする動作に連動させて自動的にナースコールを行う設定を簡単に切り替えることができるトイレ装置を提供する。
【解決手段】 便座への着座の有無を検出する着座検出手段5もしくは便座から立ち上がる前であることを検出する離座検出手段15を備えたトイレ装置において、着座検出手段5または離座検出手段15による検出結果に基づいてトイレ装置の外部に信号を出力する送信手段14と、送信手段14による外部への信号出力の要否を指示する指示手段8と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座、ポータブルトイレ、あるいはトイレブース内に設置される紙巻器といったトイレ装置、特に医療機関・介護機関に設置することに好適なトイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療・介護施設の建物内の構造は、複数の病床室に対して一対の男女トイレが設置される集中型と称されるケースが多かったが、近年、病床室に付設してトイレなどの水周り設備を配置する分散型と称される事例が増えている。図9は分散型の例を示したものであり、トイレブースTは単・複数のベッドを備えた病床室40毎に設けられ、介護を担当する管理者の居室であるナースセンター41が、略中央に配置されている。病床室40にはベッド42が配置され、ベッド42内の患者が手の届く範囲に、必要に応じて介護を担当する管理者Bを呼ぶためのナースコールスイッチ43が配置されている。
【0003】
しかし、トイレブースT内での有所見者の動作は管理者にはわからないので、例えば、特許文献1にように長時間便座に着座したままのときには自動的にナースコールを行い、トイレ内で倒れていることを報知する装置が提案されている。
【特許文献1】特開2000−338261号公報 [段落番号 0059]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、医療機関での入院患者あるいは介護機関での介護患者の中には、下肢に障害を有する等の理由のために、トイレを使用する時に自力で便座から起立することを、医師や医学療法士等の指示により禁止されることがある(以下、これら患者、介護患者を有所見者と記す)。有所見者がトイレを使用するときには、看護士、看護士補助者、医学療法士等(以下、管理者と記す)が便座からの立ち上がりを補助する。
【0005】
有所見者がトイレを使いたいときには、ベッド42近くのナースコールスイッチ43を操作してナースコールを行い、管理者を呼び出す。管理者は、有所見者のベッド42からの立ち上がり動作及びトイレブースTへの移動、便座への着座動作を補助する。用便終了までに時間がかかる場合、有所見者は一旦トイレブースTから外に出る。そして、有所見者は、用便後に、トイレ内のナースコールスイッチを押して再度、管理者を呼び出す。管理者は、有所見者の便座からの立ち上がり動作、ベッドへの移動を補助する。
【0006】
一方、有所見者の中には、ナースコールをせずに自力で立ち上がってしまい、障害を悪化させてしまうことがある。そのような事態を防ぐために、便座から立ち上がったことを検出して自動的にナースコールを行う装置があるが、この装置は、便座から立ち上がると自動ナースコールを行うので、補助の必要がない無所見者がトイレを使用した場合においてもナースコールされてしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、便座への着座・離座または立ち上がろうとする動作に連動させて自動的にナースコールを行うための設定を簡単に入り切りすることができるトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、便座への着座の有無を検出する着座検出手段を備えたトイレ装置であって、前記着座検出手段による検出結果に基づいて前記トイレ装置の外部に信号を出力する送信手段と、前記送信手段による外部への信号出力の要否を指示する指示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、便座から立ち上がる前であることを検出する離座検出手段を備えたトイレ装置であって、前記離座検出手段による検出結果に基づいて前記トイレ装置の外部に信号を出力する送信手段と、前記送信手段による外部への信号出力の要否を指示する指示手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、便座への着座・離座または立ち上がろうとする動作等に連動させた自動ナースコールを行うための設定を簡単に入り切りすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の第一の実施形態におけるトイレ装置の構成を示すブロック図である。
【0012】
トイレブース内に設置されたトイレ装置100は、便座への着座の有無を検出する着座検出手段5と、用便を終えて便座から立ち上がろうとする人を検出可能な離座検出手段15と、信号を外部に出力する送信手段14と、個人認証手段17と、前記信号出力の要否の切替を指示する指示手段8を備えている。
【0013】
コントローラ19は、着座検出手段5、離座検出手段15、指示手段8、個人認証手段17からの信号を受信し、受信した信号に基づいてトイレ装置100の外部に信号を送信する送信手段14の動作を制御する。送信手段14が出力する信号はトイレ装置100が設置されたトイレブース内に設置したナースコールスイッチ9が受信し、ナースセンター11又は管理者Bに対してコール信号を発信する。
【0014】
管理者Bがトイレ装置100に近づいているときは、トイレ装置100の個人認証手段17が管理者Bが持つ携帯端末13を認識し、送信手段14の信号出力の要否を切替可能な状態にする。この状態において、指示手段8の操作による信号出力の要否の切替をコントローラ19が受付ける。管理者Bが不在のときには、指示手段8による信号出力の要否の切替はコントローラ19が受付けない。
【0015】
このように、管理者Bの存在に基づいて送信手段14の信号出力の要否を切替可能とすることで、便座への着座・離座または立ち上がろうとする動作に連動させて自動ナースコールを行う設定を管理者Bが簡単に行うことができる。また、自動ナースコールの設定を便座に座った有所見者が解除するのを防ぐことができる。
【0016】
なお、送信手段14はナースコールスイッチ9に信号を出力するようにしているが、送信手段14からナースセンター11や管理者Bの携帯端末13に直接コールするようにしてもよい。
【0017】
図2は、本発明の第二の実施形態におけるトイレ装置の構成を示すブロック図である。
【0018】
トイレブース内に設置されたトイレ装置100は、用便を終えて便座から立ち上がろうとする人を検出可能な離座検出手段15と、信号を外部に出力する送信手段14と、個人認証手段17と、前記信号出力の要否の切替を指示する指示手段8を備えている。
【0019】
コントローラ19は、離座検出手段15、指示手段8、個人認証手段17からの信号を受信し、受信した信号に基づいてトイレ装置100の外部に信号を送信する送信手段14の動作を制御する。送信手段14が出力する信号はトイレ装置100が設置されたトイレブース内に設置したナースコールスイッチ9が受信し、ナースセンター11又は管理者Bに対してナースコールを発信する。
【0020】
管理者Bがトイレ装置100に近づいているときは、トイレ装置100の個人認証手段17が管理者Bが持つ携帯端末13を認識し、送信手段14の信号出力の要否を切替可能な状態にする。この状態において、指示手段8の操作による信号出力の要否の切替をコントローラ19が受付ける。管理者Bが不在のときには、指示手段8の操作による信号出力の要否の切替はコントローラ19が受付けない。
【0021】
このように、管理者Bの存在に基づいて送信手段14の信号出力の要否を切替可能とすることで、便座から立ち上がろうとする動作に連動させて自動ナースコールを行う設定を管理者Bが簡単に行うことができる。また、自動ナースコールの設定を便座に座った有所見者が解除するのを防ぐことができる。
【0022】
なお、送信手段14はナースコールスイッチ9に信号を出力するようにしているが、送信手段14からナースセンター11や管理者Bの携帯端末13に直接コールするようにしてもよい。
【0023】
図3は、本発明の第三の実施形態におけるトイレ装置の構成を示すブロック図である。
【0024】
トイレ装置100は、便座への着座の有無を検出する着座検出手段5と、用便を終えて便座から立ち上がろうとする人を検出可能な離座検出手段15と、信号を外部に出力する送信手段14と、離座検出手段15を起動する離座検出手段起動手段16と、個人認証手段17と、前記離座検出手段起動手段16の動作を指示する指示手段8を備えている。
【0025】
指示手段8は離座検出手段起動手段16による離座検出手段15の起動の有無を指示する。コントローラ19は、離座検出手段15、個人認証手段17からの信号を受信し、受信した信号に基づいてトイレ装置100の外部に信号を送信する送信手段14の動作を制御する。送信手段14が出力する信号はトイレ装置100が設置されたトイレブース内に設置したナースコールスイッチ9が受信し、ナースセンター11又は管理者Bに対してナースコールを発信する。
【0026】
管理者Bがトイレ装置100に近づいているときは、トイレ装置100の個人認証手段17が管理者Bが持つ携帯端末13を認識し、指示手段8の操作による離座検出手段起動手段16の設定切替をコントローラ19が受付可能な状態にする。管理者Bが不在のときには、指示手段8の操作による離座検出手段起動手段16の設定切替をはコントローラ19が受付けない。
【0027】
このように、管理者Bの存在に基づいて離座検出手段起動手段16の設定切替を受付可能とすることで、離座検出手段15の検出結果に基づく送信手段からの信号出力の要否が切り替わるので、便座から立ち上がろうとする動作に連動させて自動ナースコールを行う設定を管理者Bが簡単に行うことができる。また、自動ナースコールの設定を便座に座った有所見者が解除するのを防ぐことができる。
【0028】
なお、送信手段14はナースコールスイッチ9に信号を出力するようにしているが、送信手段14からナースセンター11や管理者Bの携帯端末13に直接コールするようにしてもよい。
【0029】
ここで、トイレ装置100は、例えば、便器、便座、温水洗浄便座、あるいは病床室に置かれたポータブルトイレ、トイレブース内に設置された紙巻器、リモコン装置、便座の前に倒立可能に設けられて使用者が前向きに倒れることを防止する身体補助具6、等の単独の部材、もしくは複数の部材を組合わせたものとすることができる。
【実施例】
【0030】
以下、トイレ装置の実施例を説明する。
【0031】
図4は、トイレ装置の第一の実施例を示す斜視図である。
【0032】
トイレブース内に設置されたトイレ装置100は、洋風大便器1の上方で開閉可動する便座2及び衛生洗浄装置3、手すり4、便座使用者が前向きに倒れることを防止する身体補助具6、横壁に設置された個人認証器7とで構成されている。
【0033】
洋風大便器1の側方には、便座使用者の着座・離座の動作を補助するために手すり4を設置している。なお、本実施例では手すり4を床に固定しているが、トイレブースの横壁に固定したり、洋風大便器1に固定してもよい。
【0034】
衛生洗浄装置3には、使用者が着座した時にしか衛生洗浄動作を行わせないようインターロックを掛ける目的で、着座検出手段5を設けている。着座検出手段5としては、センシング動作を使用者が不自覚で実施できるよう、赤外線を利用した光電センサー方式が採用される。なお、使用者とトイレの清掃者を区分けするために、検知距離を限定する測距センサー方式を設けることもできる。さらに、便座2内に設けたヒーターを利用した静電容量変化を利用した方式であっても良い。
【0035】
手すり4には、使用者が前向きに倒れることを防止する身体補助具6が倒立自在に連結されている。使用者が起立する時には、身体補助具6を立てる必要があるので、身体補助具6の動きを検知すれば、使用者が便座2から立ち上がろうとしていることを事前に検知する離座検出手段とすることができる。すなわち、身体補助具6の回動を支持する側の手すり4に身体補助具6の回動を検出するセンサを内蔵させて、身体補助具6の回動角度から身体補助具6が起立しているか倒れているかを検出し、身体補助具6が倒れている状態から起立した状態への変化を捉えて便座使用者の離座を事前に検出することができる。また、これに代えて、身体補助具6を受ける側の手すり4に、身体補助具6が装着されたことを検出するセンサを内蔵させて、身体補助具6が起立しているか倒れているかを検出してもよい。
【0036】
トイレブースの横壁にはトイレ内に入った人を認証する個人認証器7及びナースコールスイッチ9が設置されている。認証方法としては、管理者Bが随時携帯する携帯端末13(PHS方式が好ましい)又はRF−IDを埋め込んだカードやタグなどを利用して、トイレに入っている人が管理者Bであるかを判別する。個人認証器7には、コントローラ19及び送信手段14が内蔵されている。コントローラ19は、着座検出手段5または手すり4からの着座・離座に関する信号を光通信等により受信し、それに基づいて送信手段14から外部に信号を出力させる。また、個人認証器7にはスイッチレバー式の指示手段8が設けられており、管理者Bがトイレにいるときに指示手段8を操作した場合にのみ、外部への信号出力の要否を切り替えられるようになっている。もちろん、ナースコールスイッチ9は、有所見者Aが用便終了後に直接操作してもよい。
【0037】
有所見者Aに携帯端末を持たせることもできる。この場合には、個人認証器7が有所見者Aの携帯端末を認証した場合に、外部への信号出力の要否を切り替えられるようにしてもいいし、有所見者Aと管理者Bの双方を認識した場合にのみ、外部への信号出力の要否を切り替えられるようにしてもよい。さらには、個人認証器7が有所見者Aと管理者Bの双方を認識した場合には、外部への信号出力を自動的に「要」に設定してもよい。
【0038】
送信手段14は、有線または無線の通信媒体を介してナースコールスイッチ9に信号を送信し、ナースコールスイッチ9がナースセンター11内の報知パネル12や管理者Bが携帯する携帯端末13にコール信号を送信する。
【0039】
以下、本実施例における複数の動作を図5〜7を用いて説明する。
【0040】
図5は、第一の動作を示すフローチャートである。S101で本発明のシーケンスがスタートする。まず、管理者Bの存在の有無を個人認証器7で判断する(S102)。管理者Bが存在する場合には、指示手段8を操作して着座・離座に関する信号をトイレ装置外への出力許可を「要」とする(S103)。ここで、管理者Bが個人認証器7の認証可能エリアから外れると(S104)、外部への信号出力の要否を「要」に確定する(S105)。便座使用者が用便を終え(S106)、便座2からの離座を検出(着座検出手段5の着座未検出、身体補助具6の起立)する(S107)。離座を検出しない場合(着座検出手段5の着座検出、身体補助具6の倒伏)は、ナースセンターの報知パネル12にグリーン表示する。離座を検出した場合には、管理者Bの存在の有無を個人認証器7で判断する(S108)。管理者Bが存在する場合には、便座使用者が自発的にナースコールスイッチ9を操作した状況であるので、ここでフローは終了する(S109)。管理者Bが存在しない場合は、用便を終えてもナースコールスイッチ9を操作しなかったことととらえ、ナースコールを自動的に行う。ここで、ナースコールの種類を離座検出状態によって変えることができる(S110)。着座検出手段5が着座を検出しており且つ身体補助具6が起立姿勢であることをセンサが検出した場合には、便座使用者が立ち上がろうとしているので離座開始の注意を発するナースコールA(警告音+報知パネル12にイエロー表示)を実行させる(S111)。着座検出手段5が着座を検出せず且つ身体補助具6が起立していることをセンサが検出した場合には、既に便座使用者が自力で立ち上がっているので転倒の危険があるとの注意を発するナースコールB(異常警告音+報知パネル12にレッド表示)を実行させる(S112)。なお、まれではあるが、身体補助具6が倒伏姿勢のままそれを乗り越えるように便座2から立ち上がってしまうこともあるので、着座検出手段5が着座を検出せず且つ身体補助具6が倒伏していることをセンサが検出した場合にも、ナースコールBを実行させる。
【0041】
なお、本フローチャートでは、S110で着座検出手段5及び身体補助具6の検出結果に連動させてナースコールの種類を選択したが、着座検出手段5の検出結果のみに連動させたり、あるいは身体補助具6の検出結果のみに連動させて、単にナースコールを行うようにしてもよい。
【0042】
この動作シーケンスにより、用便終了後にナースコールスイッチが操作されなくても、便座から立ち上がった状態または便座から立ち上がろうとする動作に連動させて自動的にナースコールを行う設定を、管理者Bの存在を条件として管理者Bが簡単に行うことができる。また、自動ナースコールの設定を便座2に座った有所見者Aが解除するのを防ぐことができる。さらに、管理者Bを認証している場合には自動ナースコールを行わないので、無駄なナースコールは行われない。また、有所見者Aの離座しようとする状態に応じてナースコールの種類を変えれば、緊急度を報知することができる。
【0043】
図6は、第二の動作を示すフローチャートである。S201で本発明のシーケンスがスタートする。ここで便座2への着座の有無を着座検出手段5で検出し(S202)、管理者Bの存在の有無を個人認証器7で判断する(S203)。管理者Bが不在のときに着座検出した場合には有所見者Aが自力でベッドから立ち上がり便座2に着座したことを示すので、この段階で転倒の危険があるとの注意を発するナースコールBを実行させる。このナースコールにて管理者Bはトイレに移動するので、用便後に便座使用者が自力で立ち上がるのを補助することが可能となる。なお、S203移行のフローは第一の動作と同じであるので、説明を省略する。
【0044】
この第二の動作は、例えばポータブルトイレのように患者一人にトイレ一つを専用的に使用させるケースに、特に好適である。
【0045】
この動作シーケンスにより、用便終了後にナースコールスイッチが操作されなくても、便座から立ち上がった状態または便座から立ち上がろうとする動作に連動させて自動的にナースコールを行う設定を、管理者Bの存在を条件として管理者Bが簡単に行うことができる。また、自動ナースコールの設定を便座2に座った有所見者が解除するのを防ぐことができる。管理者Bが不在の状態での着座検出で自動ナースコールを行えば、有所見者Aが自力でトイレに行った場合にも、便座からの立ち上がりを管理者Bが補助することが可能となる。さらに、管理者Bを認証している場合には自動ナースコールを行わないので、無駄なナースコールは行われない。また、有所見者Aの離座しようとする状態に応じてナースコールの種類を変えれば、緊急度を報知することができる。
【0046】
図7は、第三の動作を示すフローチャートである。S301で本発明のシーケンスがスタートする。ここで便座2への着座の有無を着座検出手段5で検出し(S302)、有所見者Aの存在の有無を個人認証器7で判断する(S303)。着座検出したときに有所見者Aが不在の場合には、便座に座った人は有所見者Aでは無いのでここでフローは終了する(S304)。着座検出したときに有所見者Aが存在する場合には有所見者Aが便座2に着座したことを示すので、指示手段8の操作に基づき外部への信号出力の要否を「要」に確定する(S305)。S305以降のフローは第一の動作と同じであるので、説明を省略する。
【0047】
なお、このフローチャートによれば、有所見者Aが着座した場合には、自動的に外部への信号出力を「要」としてもよい。また、有所見者Aと管理者Bの双方を認識した場合にのみ外部への信号出力を「要」としてもよい。
【0048】
この動作シーケンスにより、用便終了後にナースコールスイッチが操作されなくても、便座から立ち上がった状態または便座から立ち上がろうとする動作に連動させて自動的にナースコールを行う設定を、有所見者Aの存在を条件として管理者Bが簡単に行うことができる。また、自動ナースコールの設定を便座2に座った有所見者が解除するのを防ぐことができる。さらに、着座した人が有所見者Aでない場合には自動ナースコールを行わないようにしているので、無駄なナースコールは行われない。
【0049】
図8は、トイレ装置の第二の実施例を示す斜視図である。なお、第一の実施例と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省いている。
【0050】
この実施例のトイレ装置においては、トイレブースの横壁に衛生洗浄装置3を操作するためのリモコン21が設置され、便座2に着座した人から見えない側のリモコン21の側面にスライドスイッチ式の指示手段22が設けられている。このスライドスイッチ22は、便座2に座った人からは見えないので、管理者Bのみがスライドスイッチ22の設定を切り替えることができるが、管理者Bが設定した内容を便座に座った人が勝手に変更することができない。よって、用便終了後にナースコールスイッチ9が操作されなくても、便座から立ち上がろうとする動作に連動させて自動的にナースコールを行う設定を管理者Bが簡単に行うことができ、さらに自動ナースコールの設定を便座2に座った有所見者が解除するのを防ぐことができる。
【0051】
なお、本発明は、上述した実施例に拘泥されず、種々の形態で実施することができる。
【0052】
ナースコールで報知した後に、便座使用者が変わらないのに再度ナースコールで報知するるのを防ぐために、着座動作が継続している間及び離座から所定時間以内においてはナースコールを一回もしくは限られた回数しか報知しないように設定することができる。
【0053】
また、衛生洗浄装置3の側方に袖形状の操作部を有する場合、便座上方と便座前方に光電センシング装置の投光方向を分け、便座に座った状態と便座から立ち上がろうとしている状態の両方をセンシングできるようにしても良い。
【0054】
さらに、指示手段8は、便座2に座った人から操作不可能なように、トイレブースTの外に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のトイレ装置の第一の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明のトイレ装置の第二の実施形態を示すブロック図である。
【図3】本発明のトイレ装置の第三の実施形態を示すブロック図である。
【図4】本発明のトイレ装置の第一の実施例を示す斜視図である。
【図5】本発明のトイレ装置の第一の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明のトイレ装置の第二の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明のトイレ装置の第三の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明のトイレ装置の第二の実施例を示す斜視図である。
【図9】医療・介護機関建築物における分散型のトイレ設置状況を示す平面図である。
【符号の説明】
【0056】
1…洋風大便器
2…便座
3…衛生洗浄装置
4…手すり
5…着座検出手段
6…身体補助具
7…個人認証器
8…スイッチレバー(指示手段)
9…ナースコールスイッチ
11…ナースセンター
12…報知パネル
13…携帯端末
14…送信手段
15…離座検出手段
16…離座検出手段起動手段
17…認証手段
19…コントローラ
21…リモコン
22…スライドスイッチ(指示手段)
100…トイレ装置
A…有所見者
B…管理者
T…トイレブース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座への着座の有無を検出する着座検出手段を備えたトイレ装置であって、
前記着座検出手段による検出結果に基づいて前記トイレ装置の外部に信号を出力する送信手段と、
前記送信手段による外部への信号出力の要否を指示する指示手段と、
を備えたことを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
便座から立ち上がる前であることを検出する離座検出手段を備えたトイレ装置であって、
前記離座検出手段による検出結果に基づいて前記トイレ装置の外部に信号を出力する送信手段と、
前記送信手段による外部への信号出力の要否を指示する指示手段と、
を備えたことを特徴とするトイレ装置。
【請求項3】
前記離座検出手段は、便座の前に倒立自在に設けた身体補助具が起立したことを検出するセンサとしたことを特徴とする請求項2記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記トイレ装置は個人認証手段を備え、
前記指示手段は、前記個人認証手段が管理者を認証していることを条件として、前記外部への信号出力の要否を切替可能としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記トイレ装置は個人認証手段を備え、
前記指示手段は、前記個人認証手段が前記信号出力要である特定個人を認証していることを条件として前記外部への信号出力を行うように設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記個人認証手段が前記管理者を認証している場合には、前記送信手段は前記外部への信号の出力を実行しないことを特徴とする請求項4又は5記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記指示手段は、前記便座に着座した人から見えない位置に設けた操作スイッチであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−136559(P2008−136559A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323701(P2006−323701)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】