説明

トイレ装置

【課題】流水音を発生させてトイレ使用者の排泄音の音消しと、流水音発生に必要とする電力消費を少なくすることである。
【解決手段】便器1と、排泄物を流すための洗浄水の便器への通水を制御する給水制御装置を備え、前記給水制御装置は、水源から流れる洗浄水の便器への通水と停止を行う電磁弁10と、電磁弁からの通水量が所定量となったときに電磁弁の通水動作を停止させる水量制御手段11aと、人体を検知する人体検知手段12と、人体検知手段からの人体検知信号により、電磁弁を作動させて便器へ洗浄水を通水させる制御を行う制御手段11を具備し、さらに、電磁弁からの洗浄水の通水作用により生じる流水音を発生する水受け皿16、タンク6を設けたトイレ装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音を発するように洗浄水を通水させることで排泄音を聞こえにくくする流水音発生装置を具備したトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレの使用時に発生する音が外部に漏れることを防ぐように考慮した「音消し」の効果を得るトイレ装置が知られている。前記「音消し」の手段としては、予め音声データとしてメモリに蓄えられている擬似流水音を、トイレの使用時に再生することによって、排泄音を聞こえにくくするような擬似流水音発生装置が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の「音消し」手段としては、洗浄用の水を貯留するタンクを設け、トイレの使用時において、次の便器の洗浄用に備えたタンク内の貯水を、電動ポンプを利用して汲み上げ、そして落下させることにより、擬似的に流水音を発生させ、その流水音により他人に排泄音を聞かれないようにした擬似流水音発生装置付きトイレ装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】実開平1−147073号公報
【特許文献2】特開2002−115301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の前者の場合、予め音声データとしてメモリに蓄えられており、機械的な音の要素が強く、擬似流水音が流れていても排泄音との区別が容易にでき、「音消し」の擬似音としては十分でなく改善の余地がある。
【0005】
また、同じく後者の場合は、タンク中の洗浄水を、パイプを介してポンプにより一定高さに汲み上げ、そして落下させることにより発生する音によって「音消し」を行う構成であるため、構造の複雑化とポンプを駆動する電力を必要とし、消費電力の削減及び構造の点から改善が求められる構成である。
【0006】
上記従来の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、ポンプで水を一定高さにくみ上げ、落下させる複雑な構成を用いることなく、流水音を発生させて排泄音の音消しが可能でかつ、流水音発生に必要とする電力消費を少なくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、便器と、排泄物を流すための洗浄水の前記便器への通水を制御する給水制御装置を備え、前記給水制御装置は、水源から流れる洗浄水の前記便器への通水と停止を行う給水手段と、前記給水手段からの通水量が所定量となったときに前記給水手段の通水動作を停止させる水量制御手段と、人体を検知する人体検知手段と、前記人体検知手段からの人体検知信号により、前記給水手段を作動させて前記便器へ洗浄水を通水させる制御を行う制御手段を具備し、さらに、前記給水手段からの洗浄水の通水作用により生じる流水音を発生する発音手段を設けたトイレ装置である。
【0008】
これにより、給水手段の通水動作により水源から直接に流れ出た洗浄水により発音手段が流水音を発するので、排泄音の音消しが簡単かつ安価に可能となり使い勝手のよいトイレ装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のトイレ装置は、使用時に発生する気がかりな排泄音を、洗浄水の便器あるいはタンクへの給水手段の通水動作により水源から直接に流れ出た洗浄水により発音手段が流水音を発して排泄音の音消しをするので、連続して擬似音を発生させる電気的な装置が不要でかつ、人工的な流水音でないから、構成が簡単でかつ消費電力の削減を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、便器と、排泄物を流すための洗浄水の前記便器への通水を制御する給水制御装置を備え、前記給水制御装置は、水源から流れる洗浄水の前記便器への通水と停止を行う給水手段と、前記給水手段からの通水量が所定量となったときに前記給水手段の通水動作を停止させる水量制御手段と、人体を検知する人体検知手段と、前記人体検知手段からの人体検知信号により、前記給水手段を作動させて前記便器へ洗浄水を通水させる制御を行う制御手段を具備し、さらに、前記給水手段からの洗浄水の通水作用により生じる流水音を発生する発音手段を設けたものである。
【0011】
かかる構成とすることにより、人体検知信号を受けた制御手段は給水手段を通水動作させ、水源から直接に給水手段に流入し、流れ出た洗浄水により発音手段が流水音を発するので、トイレ装置の利用に伴い発生する気がかりな排泄音を、洗浄水の流水音によって抑制することができるため、電気的に擬似音を発生するポンプ等の装置を不要とし、また、音発生のための構成を複雑化することがなく、かつ消費電力を削減することができるとともに、流水音であるため、排泄音よりも大きな音となりやすく、適切な「音消し」作用が期待できる。
【0012】
また、洗浄水の給水手段からの通水動作に伴う流出水により流水音を発する発音手段音を音源とすることにより、通水動作で「音消し」と「音消し」のための独自動作が不要になり、音消しのために無駄に神経を使うことがなく、使い勝手を向上することができる。
【0013】
第2の発明は、便器と、排泄物を流すための洗浄水を貯めるタンクと、前記洗浄水の前記タンクへの通水を制御する給水制御装置を備え、前記給水制御装置は、水源から流れる洗浄水の前記タンクへの通水と停止を行う給水手段と、前記タンク内の貯水量が所定量となったときに前記給水手段の通水動作を停止させる水量制御手段と、人体を検知する人体検知手段と、前記人体検知手段からの人体検知信号により、前記給水手段を作動させて前記タンク内に洗浄水を貯留する制御手段を具備し、さらに、前記給水手段からの洗浄水の通水作用により生じる流水音を発生する発音手段を設けたものである。
【0014】
かかる構成とすることにより、トイレ装置の利用に伴い発生する気がかりな音響を、洗浄水のタンクへの給水音によって抑制することができるため、電気的に擬似音を発生するポンプ等の装置を不要とし、音発生のための構成を複雑化することがなく、かつ消費電力を削減することができる。しかも、給水音は、水流音であるため、排泄音よりも大きな音となりやすく、適切な「音消し」作用が期待できる。
【0015】
また、前記洗浄水の給水動作に伴う音源とすることにより、給水動作で「音消し」と「音消し」のための独自動作が不要になり、音消しのために無駄に神経を使うことがなく、使い勝手を向上することができる。
【0016】
さらに、タンク内には使用時に洗浄水を確保することとなるため、通常は、タンク内に一定量の洗浄水を溜めることがなく、タンク内の大部分を乾燥状態に維持することができる。その結果、長時間の一定量の貯水に伴うタンク内への水垢の付着等の不具合を抑制することができ、また、排泄中にタンク内での洗浄水の確保を行うため、排泄後の洗浄動作
も円滑に行うことができる。
【0017】
第3の発明は、特に、第1の発明または第2の発明において、発音手段は、給水手段の通水動作に伴う洗浄水の水流の衝突によって発生する衝突部材より構成したものである。
【0018】
かかる構成とすることにより、例えばタンクの内壁を衝突部材と兼ねさせることができ、また、前記タンクとは別体で、例えば通水手段の出口付近に衝突部材を設ける構成も可能となる。
【0019】
従って、通水手段の出口から出た洗浄水は、水流が衝突部材に衝突して周囲に飛び散るなどして流水音を発し、また、例えば数個の孔を空けた衝突部材であれば前記した洗浄水の衝突作用による流水音と、衝突時に前記孔を通過した洗浄水による流水音も重なり、形状により発生音を大きくする構成にもでき、その結果、前記タンクの内壁、あるいは前記衝突部材の形状を適宜変化させることにより、衝突音に変化を与えることができ、「音消し」効果を得るための適切な形状設定とすることもできる。
【0020】
第4の発明は、特に、第2の発明または第3の発明において、発音手段は、タンク内部に設け、かつ一定量の水を受ける水受け皿を具備する構成としたものである。
【0021】
かかる構成とすることにより、通水動作した給水手段から流れ出た洗浄水を水受け皿で、一旦、受けることにより、通水に伴う洗浄水の衝突音を、水を受けた時の音と、水受け皿から溢れ出て落下した洗浄水の水音とで形成することができ、その結果、電力等を必要としないで排泄音の音消しができることはもちろん、さらに水受け皿から溢れ出て落下した洗浄水の流水音作用で、結果的に前記音消し作用の時間延長を図ることも可能となり、「音消し」の構成を簡略化することができる。
【0022】
第5の発明は、特に、第4の発明において、水受け皿は、その底面、あるいは側面に排水用の孔、あるいは切欠きを設けたものである。
【0023】
かかる構成とすることにより、前記水受け皿に貯まった水を、前記排水用の穴、あるいは切欠きのような増音手段からタンク内に溜まった水面へ落下させることにより、給水が停止した後も、水受け皿に溜まっていた水のタンク内に溜まった水面への落下が続き、しばらく継続して音を発生させることができるため、「音消し」のための音出し時間を、さらに延長することができる。
【0024】
第6の発明は、特に、第2〜第5のいずれか1つに記載の発明において、タンク内の水量を検知する水量検知手段を設け、前記水量検知手段が所定量以上の貯水を検知したときの満水信号を受けて水量制御手段は給水手段を閉じさせるものである。
【0025】
かかる構成とすることにより、「音消し」のための給水に伴うタンク内での過剰貯水の注意を促し、またタンクからの溢水に伴う浸水破損を抑制することができる。さらに、誤使用に起因する給水動作の故障発生を抑制することができる。
【0026】
第7の発明は、特に、第2〜第5のいずれか1つに記載の発明において、タンク内の水量を検知する水量検知手段を設け、前記水量検知手段から所定量以上の貯水を検知したときに、タンクから洗浄水を流し便器の洗浄を行う自動洗浄手段を設けたものである。
【0027】
かかる構成とすることにより、水量検知手段から所定量以上の貯水信号を受けた自動洗浄手段が作用して洗浄水をタンクから便器へ流出させるので、誤ってタンク内に貯水された状態が継続することによる洗浄水のタンクからの溢れを防止することができ、また、タ
ンク内に所定量以上の洗浄水が溜まりすぎによる、給水手段からの洗浄水の落下による流水音の発生に支障をきたすことなく、「音消し」のための給水動作を正常に動作させることができる。
【0028】
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つに記載の発明において、給水手段による給水時間、もしくは単位時間当たりの給水量を制御する給水時間調整手段を設けたものである。
【0029】
かかる構成とすることにより、水道等の給水源の水圧等の環境が異なった場合であっても、必要とする「音消し」時間に応じた給水時間を設定することができ、音消しの時間を幅広く調整することができる。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0031】
(実施の形態1)
図1(a)、(b)は本発明の実施の形態1にかかるトイレ装置の概観図で、図2は本発明の実施の形態1におけるトイレ装置の構成を説明するブロック図である。図3は、同装置の動作を説明するフローチャートである。
【0032】
図1および図2において、トイレ装置100は、便器1と、便器1に取り付けられた便座2と、便座2を覆う便蓋4より構成されている。そして、便器2の背部(後部)には、給水源である水道管5に直結されたタンク6が設けられている。そして、図1(a)は、便蓋4を開いたトイレ装置100の状態を示す。
【0033】
タンク6は、便器1を洗浄する洗浄水3が通過する通り道と、洗浄水を貯留する作用及び排泄音が外部に漏れるのを打ち消す流水音を発する発音手段(詳細は後述する)の一部を構成すものである。洗浄水3は、図2に示すように水道管5に接続してタンク6内に位置する給水手段としての電磁弁10を通過して出口10aから水道圧により勢いよく吐出して衝突部材としてのタンク6の内壁に衝突しながら、かつ落下して流水音を発するものである。
【0034】
従って、洗浄水3、タンク6、電磁弁10は少なくとも本実施の形態の特徴である、使用者が便座2に着座して排泄した際に発生する排泄音が外部に漏れるのを打ち消す音消し作用を成す、流水音を発する発音手段を構成するものである。
【0035】
排水口7は、使用者が便器1に排泄した排泄物を排水し、かつ便器1を洗浄できるように便器1の位置に臨んでタンク6の底部に設けられ、洗浄水3をタンク6に一定量貯留するために常時閉塞弁8によって閉塞されている。操作レバー9は、常時閉塞弁8を開閉するためタンク6の側面外(図1(b)に示す)に設けられ、便器1内の排泄物を流して便器1を洗浄する際には手動で操作レバー9を回し点線の位置に常時閉塞弁8を動かし排水口7を開いて洗浄水を流し、手を離せば再び閉じられる構成となっている。その構成は、周知のため、詳細な説明を省略する。
【0036】
制御手段11は、マイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成され、以下に説明する本発明のトイレ装置100の全体の動作、作用と、以下に説明する図3に示すフローチャートを実行するためのプログラムが記憶されているものである。
【0037】
この制御手段11は、人体(用便をする使用者)が便座2に着座したことを検知する人体検知手段12からの信号を受信すると、電磁弁10に信号を送り開成させて洗浄水3を
出口10aから流出させてタンク6の壁に衝突、かつ落下させて流水音を発生させ、排泄中は継続して排泄音の音消し作用を発音手段に行わせ、使用者が便座2から立ち上がれば人体検知手段12からの人体検知信号がなくなるので、電磁弁10に閉じる信号を送り電磁弁10に閉動作を行わせる。
【0038】
人体検知手段12は便座の回転軸に設けられたスイッチで構成され、人体が便座に着座し、便座軸に加重がかかると着座による人体検知信号が制御手段11に発信される。水量検知手段13は、タンク6に設けてタンク6内の貯水が一定量以上になると検知信号を発信し、この信号を受けた制御手段11はタンク6が満水になり洗浄水が溢れないように電磁弁10を閉じさせ給水を停止する。
【0039】
時間調整手段14は、制御手段11と電磁弁10の間に電気的に接続され、人体検知手段12からの人体検知信号を取り込んだ制御手段11からの制御信号を受けて電磁弁10の動作を制御し、給水時間、もしくは単位時間当たりの給水量を制御する。
【0040】
従って、時間調整手段14は水道等の給水源の水圧等の環境変化、各使用者の便座着座時間の差に応じて、必要とする「音消し」時間を変更する給水時間を設定できるように構成され、音消しの時間を幅広く調整することができる。
【0041】
例えば、使用者の便座着座時間が普通の人より長くて、制御手段11は用便のため便座2に着座した人体検知手段12からの信号を受けて電磁弁10を開成に制御し、洗浄水3がタンク6に注がれて流水音による排泄音の音消し作用が行われるものの、洗浄水3がタンク6の所定量以上にに達する場合は、時間調整手段14に信号を送り電磁弁10の開成を絞り所定量以上にならないように電磁弁10の開成具合を調節する。そして、前記とは反対に使用者の便座着座時間が普通の人より短くて、便器1の洗浄に必要な所定量の洗浄水が溜まらないほどの場合は、人体検知手段12からの着座無信号を受けた制御手段11は時間調整手段14に信号を送り電磁弁10の開成時間を延長制御し給水量の調節を行う。
【0042】
もちろん、水道の水圧が低い場合にも同様に制御手段11が時間調整手段14に信号を送り電磁弁10の開成を制御し給水量の調節を行う。
【0043】
さらに、制御手段11は水量制御手段11aを有し、人体検知手段12により便座2への人体の着座有りの信号を受け、かつ水量検知手段13によりタンク6の洗浄水が一定量を満たしていると検知され、一定量オーバーとしての信号を水量検知手段13より受けた時、その水量制御手段11aが常時閉塞弁8を自動で開き、洗浄水3を流し所定量以下にしておき、発音手段が効率よく流水音を発するようにしている。もちろん、タンク6の洗浄水3が所定量となったときに、これを検知した水量検知手段13からの信号を受けて電磁弁10の通水動作を停止させる機能も有することになる。従って、常時閉塞弁8は手動と自動とで開閉できるように構成してある。
【0044】
次に上記構成のトイレ装置の動作、作用を図3に示すフローチャートを使用して説明する。
【0045】
使用者が用便をするためトイレ室に入室して便蓋4の自動開成した便座2に着座すると、ステップ1で人体検知手段12により便座2への人体の着座の有無を判別する(以下、ステップ1をS1と表示し、ステップ2をS2と順に表示する)。そして、着座が無ければスタートに戻り、また、着座が人体検知手段12により検知されるとS2にてタンク6内に洗浄水が所定量、存在するかどうか水量検知手段13により判定する。
【0046】
そして、S2でタンク6内に洗浄水が一定量を満たしていると検知された場合、一定量オーバーとしての信号を水量検知手段13より受けた制御手段11の水量制御手段11aが常時閉塞弁8を開成させて便器1に洗浄水を流しS3で自動洗浄するとともに、過剰貯水の注意を促し、またタンク6からの溢水に伴う浸水破損を抑制と、誤使用に起因する給水動作の故障発生を抑制する。
【0047】
S2で水量検知手段13によりタンク6内に洗浄水が一定量を満たしていないと検知された場合、この信号とS1での人体検知手段12よりの人体検知信号とを受けた制御手段11は、電磁弁10に開成の制御信号を送り、開成した電磁弁10よりタンク6内にS4で音消しを兼ねた洗浄水3の給水が開始されるとともに、それによる出口10aからの洗浄水が勢いよくタンク6の壁に衝突して流水音を発し、使用者の用便の排泄音が外部に漏れるのを打消す作用となる。
【0048】
そして、S5で時間調整手段14は、S6での一般的な使用者よりも長い時間、人体検知手段12からの人体の着座有りの信号を受けた制御手段11からの制御信号を受けた時、時間延長や水道の水圧低下の場合、電磁弁10を制御し、給水時間、もしくは単位時間当たりの給水量を制御し、音消しの時間を幅広く調整することができる。
【0049】
そして、S6で人体検知手段12より人体が便座2から離れたことを検知(着座検知無)すると、この信号を受けた制御手段11は電磁弁10に閉じる信号を出し、S7で電磁弁10は閉じて給水を停止し、使用者はS8で操作レバー9を回して常時閉塞弁8を開き、、使用者の用便の排泄音が外部に漏れるのを打消す作用時間(S4からS6までの使用者の排泄中)でタンク6に貯水した洗浄水3を排水口7から便器1に流し、S8で便器1を洗浄し終了となる。
【0050】
なお、本発明の実施の形態1において、人体検知手段12は便座軸に設けたが、便座の脚部に設けたり、トイレ装置本体部18やリモコン部(図示せず)に設けた光学式の便座への着座を検知する人体検知センサとしてもよい。また、本発明のトイレ装置100は、従来周知である、排泄後の人体の局部を温水で洗浄する局部洗浄装置、洗浄後の濡れた局部を温風で乾燥させる乾燥装置、そして脱臭装置等をトイレ装置本体部18に設けてあり、これらの運転停止の操作をトイレ室の壁に設けたリモコン部で行うものである。
【0051】
このように本実施の形態によれば、使用者の便座に着座しての排泄中の音が外部に漏れるのを打消す作用は、給水動作を音源とするため、電気的に擬似音を発生する装置を不要とし、かつポンプ等の循環装置が不要であるため、流水音発生のための構成を複雑化することなく、簡単に構成できる。
【0052】
(実施の形態2)
次に図4に示す本発明の実施の形態2のトイレ装置について説明する。本実施の形態は、実施の形態1の発明と異なる部分が、タンク6内部の流水音を発生する発音手段の構成であり、他の構成は実施の形態1の発明と同様であるので、図1(a)、(b)、図3を利用すると共に、図1と同じ符号を図4に付して詳細な説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0053】
図4において、タンク6内部には、電磁弁10の出口10aから水道圧で勢い良く出た洗浄水3が衝突壁16aに衝突する位置まで長く設定された出口10aを臨まし、かつ高くした衝突壁16aを有する洗浄水3を受ける水受け皿16を設け、さらに水受け皿16には内部に溜まった水を流出させてタンク6内に落下させる多数の排水孔17を設けてある。排水孔17は、少なくとも水受け皿16の底面、あるいは側面に設けられもので、本実施の形態では底面、側面の両方に設けてある。
【0054】
従って、使用者の便座に着座して排泄中の音が外部に漏れるのを打消す発音手段は、洗浄水3、電磁弁10、出口10a、水受け皿16、タンク6等で構成することになる。そして、音消しの流水音は、洗浄水3が衝突壁16aに衝突する時の音と多数の排水孔17から流出してタンク6内に落下する時の音になるものである。
【0055】
上記構成のトイレ装置において、動作と作用は、基本的に実施の形態1において説明した図3に示すフローチャートと同じである。そして、トイレを使用する使用者がトイレ室内に入室し、便座2に着座すると人体検知手段12が着座検知の信号を出力し、この信号とタンク6内が所定量以下の洗浄水である水量検知手段13からの信号を取り込んだ制御装置11は、電磁弁10に開成の信号を送り、開いた電磁弁10の出口10aから洗浄水3が勢い良く水受け皿16に給水される。
【0056】
そして、出口10aから水受け皿16に給水された洗浄水3は、先ず、水受け皿16の衝突壁16aに衝突して砕け、この時に目的の流水音(衝突音と水流音)を発して使用者の排泄音の音消し作用を行い、続いて水受け皿16に洗浄水3が溜まりながら溢れ出てタンク6に落下する流水音と多数の排水孔17から流出してタンク6内に落下する時の流水音を形成し、これらが混合していちだんと高い音にすることができる。
【0057】
特に、水受け皿16に貯まった水を、多数の排水孔17からタンク6内に溜まった水面へ落下させることにより、電磁弁10の給水が停止した後もしばらく継続して音を発生させる時間延長の作用を有することになる。従って、例えば使用者が便座から立ちあがって、用便後の衣服等を身につける音も打消すことが可能になる。
【0058】
なお、排水孔17は本実施の形態の構成に限るものではなく、水受け皿16に切り欠きなどを構成するようにしてもよい。切り欠きや水受け皿16の流水落下部の形状を変形させて落下時、貯水と落下した水とが発生させる音が増加するような形状であればどのような構成でもよい。
【0059】
このように本実施の形態によれば、実施の形態1に記載した発明と同様の作用効果を期待できるのはもちろんのこと、さらにタンク6内に排水孔16aを有する水受け皿16を設け、これに洗浄水3を給水させていったん受け止め、さらにタンク6内に落下させ、2度の流水音を発する発音手段なので、流水音が高くなり使用者の排泄音の音消し作用を高めることができるとともに、給水停止後も排泄音の音消し作用を実行でき、容易に音消し作用の延長を図ることができ、タンク容量の縮小もできながら必要な洗浄水量を確保できる。
【0060】
なお、上記実施の形態において、電磁弁10と、水量制御手段11aと、人体検知手段12と、制御手段11とにより本発明の給水制御装置を構成する。また、図3で示すS3の自動洗浄を実行する自動洗浄手段は、排水口7、常時閉塞弁8、制御手段11、水量検知手段13で構成する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明にかかるトイレ装置は、実際の流水音で音消しが可能で、流水音を発生させるための伝道部材を追加して流水音を発生させるものではないので、他の水回り設備装置に関して、流水音による音消しが必要な装置に応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】(a)本発明の実施の形態1におけるトイレ装置の便蓋開状態の概観図(b)同トイレ装置の便蓋閉状態の概観図
【図2】本発明の実施の形態1におけるトイレ装置の構成説明図
【図3】本発明の実施の形態1におけるトイレ装置のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態2におけるトイレ装置の構成説明図
【符号の説明】
【0063】
1 便器
2 便座
3 洗浄水
6 タンク(衝突部材)
10 電磁弁(給水手段)
11 制御装置
11a 水量制御手段
12 人体検知手段
13 水量検知手段
14 給水時間調整手段
16 水受け皿(衝突部材)
17 排水孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器と、排泄物を流すための洗浄水の前記便器への通水を制御する給水制御装置を備え、前記給水制御装置は、水源から流れる洗浄水の前記便器への通水と停止を行う給水手段と、前記給水手段からの通水量が所定量となったときに前記給水手段の通水動作を停止させる水量制御手段と、人体を検知する人体検知手段と、前記人体検知手段からの人体検知信号により、前記給水手段を作動させて前記便器へ洗浄水を通水させる制御を行う制御手段を具備し、さらに、前記給水手段からの洗浄水の通水作用により生じる流水音を発生する発音手段を設けたトイレ装置。
【請求項2】
便器と、排泄物を流すための洗浄水を貯めるタンクと、前記洗浄水の前記タンクへの通水を制御する給水制御装置を備え、前記給水制御装置は、水源から流れる洗浄水の前記タンクへの通水と停止を行う給水手段と、前記タンク内の貯水量が所定量となったときに前記給水手段の通水動作を停止させる水量制御手段と、人体を検知する人体検知手段と、前記人体検知手段からの人体検知信号により、前記給水手段を作動させて前記タンク内に洗浄水を貯留する制御手段を具備し、さらに、前記給水手段からの洗浄水の通水作用により生じる流水音を発生する発音手段を設けたトイレ装置。
【請求項3】
前記発音手段は、給水手段の通水動作に伴う洗浄水の水流の衝突によって発生する衝突部材より構成した請求項1または2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記発音手段は、前記タンク内部に設け、かつ一定量の水を受ける水受け皿を具備する構成とした請求項2または請求項3に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記水受け皿は、その底面、あるいは側面に排水孔、あるいは切欠きを設けた請求項4に記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記タンク内の水量を検知する水量検知手段を設け、前記水量検知手段から所定量以上の貯水を検知した信号を受けて水量制御手段は給水手段を閉じさせる請求項1〜5のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記タンク内の水量を検知する水量検知手段を設け、前記水量検知手段が所定量以上の貯水を検知したときに、前記タンクから洗浄水を流し便器の洗浄を行う自動洗浄手段を設けた請求項2〜5のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項8】
前記給水手段による給水時間、もしくは単位時間当たりの給水量を制御する給水時間調整手段を設けた請求項1〜7のいずれか1項に記載のトイレ装置。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−203202(P2010−203202A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52829(P2009−52829)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】