説明

トイレ装置

【課題】処理対象物を短時間で細かく粉砕できるようにしたトイレ装置を提供する。
【解決手段】本発明のトイレ装置は、排泄された汚物、トイレットペーパ及び汚物とトイレットペーパを処理対象物として、この処理対象物を粉砕する粉砕機構部2を備える。粉砕機構部2は、処理対象物が洗浄水とともに取り込まれる粉砕容器2Aと、洗浄水とともに粉砕容器2Aに取り込まれた処理対象物を粉砕して流動体と成す一対の固定粉砕歯2B及び回転粉砕歯2Cと、回転粉砕歯2Cを支持する軸2Dと、固定粉砕歯2B及び回転粉砕歯2Cの相対回転動作で粉砕容器2A内に水流を発生させる仕切り部材2Eを備える。固定粉砕歯2Bは、歯部20Bに、円周方向に沿って延びる複数の誘導溝23Bが径方向に沿って形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設のトイレ室以外の居室等に設置され、既設トイレの便器と接続して使用されるトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、介護を必要とする人のために、介護用のポータブルトイレ装置が使用されている。このポータブルトイレ装置は、便座に腰を掛ける腰掛式(洋式)の形態が多い。ポータブルトイレ装置は、汚物及びトイレットペーパ等の処理対象物を受け入れて排出するための容器を備えた形態や、排水を自然流下で行う形態が一般的である。
【0003】
特許文献1には、排水管勾配を得られない場所において、強制的に排出する手段として攪拌手段及び圧送排水手段を備えたトイレ装置が提案されている。このトイレ装置によれば、攪拌手段として、プロペラタイプや刃付き金属ブレード、円盤上面に撹拌羽根を突設した洗濯機タイプが開示されている。この攪拌手段により処理対象物を粉砕して、圧送排水手段により排出する。
【0004】
特許文献2には、破砕機構を備えたトイレ装置が開示されている。このトイレ装置によれば、破砕機構として、回転破砕刃及び円盤を備えている。この回転破砕刃が円盤上に配置され、円盤上の処理対象物を回転破砕刃により破砕する。この円盤には複数のスリット(開孔)が設けられ、細かく破砕された処理対象物はこのスリットを通過して容器内を循環する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3985344号
【特許文献2】特開2008−86880号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来例に係る特許文献1の攪拌手段や特許文献2の破砕機構によれば、刃付き金属ブレードや歯を構成するスリットを備えた円盤等を用いて、汚物を破砕して細かくしている。しかしながら、破砕刃では、処理対象物に含まれる豆類などの固形物や繊維質の野菜、トイレットペーパ等を短時間で細かく破砕することが困難であり、そのままの個体形状を保ったままの状態で残る問題があった。このため、従来は、粉砕時間が長くなっていた。また、スリットに処理対象物を通して破砕する方式では、処置対象物の粉砕後の大きさがスリットの幅により規定され、細かく粉砕することが困難であった。
【0007】
そこで、本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、処理対象物を短時間で細かく粉砕できるようにしたトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、排泄された汚物、トイレットペーパ、または汚物とトイレットペーパを処理対象物とし、処理対象物と洗浄水とを便器本体で受容するとともに粉砕機構部によって粉砕して流動体と成し、流動体を廃棄場所へ導いて排出するトイレ装置であって、粉砕機構部は、歯部が対向して相対回転する一対の粉砕歯と、粉砕歯を収容する有底状の粉砕容器を備え、粉砕歯は、内周側から外周側へ延びる複数の凸部を円周方向に並べて歯部が形成され、歯部の間の凹部で、粉砕歯の相対回転により水流を発生させる溝部が形成されるトイレ装置である。
【0009】
本発明では、粉砕機構部では、洗浄水とともに処理対象物が粉砕容器に取り込まれ、一対の粉砕歯が相対回転されると、粉砕歯の円周方向と粉砕歯の内周側から外周側へ向かう方向の水流が発生する。
【0010】
一対の粉砕歯の間に取り込まれた処理対象物は、粉砕歯の相対回転による歯部の動き、及び粉砕歯の相対回転により発生する水流で、対向する歯部の間に入って、歯部の動きで粉砕される。
【0011】
これにより、粉砕歯の対向する歯部の間に処理対象物が入りやすくなり、処理対象物を所望の粒度に粉砕できると共に、処理対象物を所望の粒度に粉砕するまでの時間を短くすることができる。
【0012】
また、本発明は、排泄された汚物、トイレットペーパ、または汚物とトイレットペーパを処理対象物とし、処理対象物と洗浄水とを便器本体で受容するとともに粉砕機構部によって粉砕して流動体と成し、流動体を廃棄場所へ導いて排出するトイレ装置であって、粉砕機構部は、歯部が対向して相対回転する一対の粉砕歯と、粉砕歯を収容する有底状の粉砕容器を備え、一対の粉砕歯の間に取り込まれた処理対象物を、粉砕歯の相対回転及び粉砕歯の相対回転により発生する水流で、対向する歯部の間に誘導する誘導手段を備えたトイレ装置である。
【0013】
本発明では、粉砕機構部では、洗浄水とともに処理対象物が粉砕容器に取り込まれ、一対の粉砕歯が相対回転されると、粉砕歯の間に取り込まれた処理対象物は、粉砕歯の相対回転による歯部の動き、及び粉砕歯の相対回転により発生する水流で、対向する歯部の間に入るように誘導されて、歯部の動きで粉砕される。
【0014】
これにより、粉砕歯の対向する歯部の間に処理対象物が入りやすくなり、処理対象物を所望の粒度に粉砕できると共に、処理対象物を所望の粒度に粉砕するまでの時間を短くすることができる。
【0015】
更に、本発明は、排泄された汚物、トイレットペーパ、または汚物とトイレットペーパを処理対象物とし、処理対象物と洗浄水とを便器本体で受容するとともに粉砕機構部によって粉砕して流動体と成し、流動体を廃棄場所へ導いて排出するトイレ装置であって、粉砕機構部は、歯部が対向して相対回転する一対の粉砕歯と、粉砕歯を収容する有底状の粉砕容器を備え、粉砕歯は、内周側から外周側へ延びる複数の凸部を円周方向に並べて歯部が形成され、歯部の間の凹部で、粉砕歯の相対回転により水流を発生させる溝部が形成されると共に、一対の粉砕歯のうちの下側に配置される粉砕歯は、内周側より外周側が低い凸状を成して形成され、一対の粉砕歯のうちの上側に配置される粉砕歯は、下側の粉砕歯の凸状に倣う凹状を成して形成されるトイレ装置である。
【0016】
本願発明では、一対の粉砕歯の対向する面は、内周側が高く外周側が低くなるように傾斜していることで、粉砕歯の間に処理対象物及び洗浄水とともに処理対象物が粉砕された流動体が滞留することを防止できる。
【0017】
また、本発明は、排泄された汚物、トイレットペーパ、または汚物とトイレットペーパを処理対象物とし、処理対象物と洗浄水とを便器本体で受容するとともに粉砕機構部によって粉砕して流動体と成し、流動体を廃棄場所へ導いて排出するトイレ装置であって、粉砕機構部は、歯部が対向して相対回転する一対の粉砕歯と、粉砕歯を収容する有底状の粉砕容器を備え、粉砕歯は、内周側から外周側へ延びる複数の凸部を円周方向に並べて歯部が形成され、歯部の間の凹部で、粉砕歯の相対回転により水流を発生させる溝部が形成されると共に、粉砕機構部は、粉砕容器の底部に流動体を排出する排出口を備え、粉砕容器は、底部が排出口に向かって下降する方向に傾斜して設けられるトイレ装置である。
【0018】
更に、本発明は、排泄された汚物、トイレットペーパ、または汚物とトイレットペーパを処理対象物とし、処理対象物と洗浄水とを便器本体で受容するとともに粉砕機構部によって粉砕して流動体と成し、流動体を廃棄場所へ導いて排出するトイレ装置であって、粉砕機構部は、歯部が対向して相対回転する一対の粉砕歯と、粉砕歯を収容する有底状の粉砕容器を備え、粉砕歯は、内周側から外周側へ延びる複数の凸部を円周方向に並べて歯部が形成され、歯部の間の凹部で、粉砕歯の相対回転により水流を発生させる溝部が形成され、一対の粉砕歯のうちの下側に配置される粉砕歯は、粉砕容器に固定される固定粉砕歯で構成され、一対の粉砕歯のうちの上側に配置される粉砕歯は、回転駆動される回転粉砕刃で構成されると共に、粉砕機構部は、粉砕容器の底部に流動体を排出する排出口を備え、粉砕容器は、固定粉砕刃の周辺部に底部が排出口に向かって下降する方向に傾斜して設けられるトイレ装置である。
【0019】
本発明では、粉砕容器は、底部が排出口に向かって下降する方向に傾斜しているので、流動体を粉砕容器から排出する際に、流動体が自重で排出口に向かって流れるようになり、流動体の滞留を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、粉砕歯の対向する歯部の間に処理対象物が入りやすくなり、処理対象物を所望の粒度に粉砕できると共に、処理対象物を所望の粒度に粉砕するまでの時間を短くすることができる。
【0021】
また、本発明によれば、処理対象物や、処理対象物を粉砕して生成した流動体の滞留を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態のトイレ装置の機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図2】本実施の形態のトイレ装置の全体構成の一例を示す側断面図である。
【図3】本実施の形態のトイレ装置の要部構成の一例を示す破断斜視図である。
【図4】本実施の形態の粉砕機構部の一例を示す斜視図である。
【図5】本実施の形態の粉砕機構部の一例を示す側断面図である。
【図6】本実施の形態の粉砕機構部の一例を示す側断面図である。
【図7】本実施の形態の粉砕機構部の一例を示す要部側断面図である。
【図8】本実施の形態の粉砕機構部の一例を示す分解斜視図である。
【図9】本実施の形態の固定粉砕歯の一例を示す斜視図である。
【図10】本実施の形態の固定粉砕歯の一例を示す要部拡大斜視図である。
【図11】本実施の形態の回転粉砕歯の一例を示す斜視図である。
【図12】本実施の形態のトイレ装置の動作の一例を示すタイムチャートである。
【図13】本実施の形態のトイレ装置における粉砕動作の一例を示すフローチャートである。
【図14】本実施の形態のトイレ装置におけるすすぎ動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】本実施の形態のトイレ装置における粉砕動作の一例を示すタイムチャートである。
【図16】本実施の形態のトイレ装置におけるすすぎ動作の一例を示すタイムチャートである。
【図17】本実施の形態の粉砕機構部の動作例を示す側断面図である。
【図18】本実施の形態の粉砕機構部の動作例を示す側断面図である。
【図19】本実施の形態の粉砕機構部の動作例を示す斜視図である。
【図20】本実施の形態の粉砕機構部の動作例を示す要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明のトイレ装置の実施の形態について説明する。
【0024】
<本実施の形態のトイレ装置の概要構成例>
図1は、本実施の形態のトイレ装置の機能の一例を示す機能ブロック図、図2は、本実施の形態のトイレ装置の全体構成の一例を示す側断面図、図3は、本実施の形態のトイレ装置の要部構成の一例を示す破断斜視図である。まず、各図を参照して、本実施の形態のトイレ装置100の概要について説明する。
【0025】
本実施の形態のトイレ装置100は、図示しない建物において介護対象者が居る居室等に設置され、トイレ室に設置される既設のトイレ5と接続されて、トイレシステムが構成される。トイレ装置100は、便器本体1と、粉砕機構部2と、圧送タンク3と、給水タンク4を備え、給水タンク4が既設のトイレ5の給水タンク50に洗浄水を供給する図示しない給水口から分岐させた給水管101と接続され、圧送タンク3が排出管102でトイレ5の既設の便器51と接続される。
【0026】
トイレ装置100は、排泄された汚物、トイレットペーパ、または汚物とトイレットペーパ等を処理対象物として、利用者の排泄行為及び排泄行為の後処理により処理対象物が便器本体1で受容されると共に、便器洗浄動作により便器本体1に給水タンク4から洗浄水が供給される。
【0027】
便器本体1で洗浄水とともに受容された処理対象物は、便器本体1から粉砕機構部2に送られ、粉砕動作により粉砕機構部2で粉砕されて洗浄水と混合され、流動性の高い流動体が生成される。粉砕機構部2で生成された流動体は搬送動作により圧送タンク3に送られ、圧送動作により空気の圧力でトイレ5の既設の便器51へ圧送されて、トイレ装置100から排出される。
【0028】
<本実施の形態のトイレ装置の粉砕機構部の構成例>
図4は、本実施の形態の粉砕機構部の一例を示す斜視図、図5及び図6は、本実施の形態の粉砕機構部の一例を示す側断面図、図7は、本実施の形態の粉砕機構部の一例を示す要部側断面図、図8は、本実施の形態の粉砕機構部の一例を示す分解斜視図である。また、図9は、本実施の形態の固定粉砕歯の一例を示す斜視図、図10は、本実施の形態の固定粉砕歯の一例を示す要部拡大斜視図、図11(a),図11(b)は、本実施の形態の回転粉砕歯の一例を示す斜視図である。次に、各図を参照して、本実施の形態の粉砕機構部の2の詳細について説明する。
【0029】
粉砕機構部2は、処理対象物が洗浄水とともに取り込まれる粉砕容器2Aと、洗浄水とともに粉砕容器2Aに取り込まれた処理対象物を粉砕して流動体と成す一対の固定粉砕歯2B及び回転粉砕歯2Cと、回転粉砕歯2Cを支持する軸2Dと、固定粉砕歯2B及び回転粉砕歯2Cの相対回転動作で粉砕容器2A内に水流を発生させる仕切り部材2Eを備える。
【0030】
粉砕機構部2は、円筒形状の粉砕容器2Aの底部に円盤状の固定粉砕歯2Bが設けられ、固定粉砕歯2Bの上側に円盤状の回転粉砕歯2Cが設けられる。粉砕容器2Aは、固定粉砕歯2Bの外周と粉砕容器2Aの内周面との間の底部で、粉砕容器2Aの周辺部に排出溝20Aが設けられ、有底状を成している。
【0031】
粉砕容器2Aは、排出溝20Aと繋がる内周面に排出口21Aが設けられる。排出溝20Aは、排出口21Aに対して直径方向に対向する位置から、固定粉砕歯2Bの外周に沿った円周方向に、排出口21Aに向かって下降する方向に傾斜しており、流動体等を排出口21Aに向かって流す構成である。
【0032】
粉砕容器2Aは、内部に回転粉砕歯2C及び仕切り部材2E等の部品を取り付けられるようにするため、図8に示すように上面が開口した構成で、開口した上面を塞ぐ蓋部22Aが設けられる。蓋部22Aは、粉砕容器2Aの上面の形状に合わせた円板形状で、中心から所定の方向に偏らせた位置に開口部23Aが設けられる。
【0033】
開口部23Aは、蓋部22Aの表裏を貫通する本例では円形の開口で、蓋部22Aが粉砕容器2Aに取り付けられると、図6に示すように、粉砕容器2Aの径方向に沿って、排出口21Aと対向する位置に配置される。粉砕容器2Aと蓋部22Aは、水密性を保持できるように、例えば、粉砕容器2Aの上面に設けた溝部にOリング等の封止部材24Aが嵌められ、封止部材24Aが径方向に押しつぶされるようにして、蓋部22Aが取り付けられる。蓋部22Aと粉砕容器2Aは、例えば、蓋部22Aの円周方向に沿った複数個所を、図示しないネジ等で粉砕容器2Aに固定できるようにして、蓋部22Aの円周方向に沿った全体で、水密性が得られるようにする。
【0034】
粉砕容器2Aは、底部の本例では中心に、回転粉砕歯2Cが取り付けられる軸2Dを支持する軸支持部26Aが設けられ、蓋部22Aの本例では中心に、軸2Dを支持する軸支持部27Aと、軸2Dが通る軸穴部28Aが設けられる。
【0035】
更に、粉砕容器2Aは、内周面の所定の位置に、仕切り部材2Eが取り付けられる取付溝部29Aが設けられる。取付溝部29Aは、後述するように、仕切り部材2Eの形状に合わせて、本例では粉砕容器2Aの径方向に対向する2箇所と、排出口21Aの上部の1箇所に設けられる。
【0036】
粉砕容器2Aと固定粉砕歯2Bは、例えば一体の構成でも良いし、独立した部品を組み合わせた構成でも良い。トイレ装置100では、処理対象物が主に排泄された汚物やトイレットペーパであるので、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cを樹脂材料で構成することができる。また、粉砕容器2Aも樹脂材料で構成することができる。
【0037】
そこで、粉砕容器2Aと固定粉砕歯2Bを、樹脂材料で一体の構成としても良い。粉砕容器2Aと固定粉砕歯2Bが一体の構成では、粉砕容器2Aの底部に排出溝20Aと所定の形状の固定粉砕歯2Bと軸支持部26Aが一体で成形される。
【0038】
一方、粉砕容器2Aと固定粉砕歯2Bが独立した部品を組み合わせた構成では、粉砕容器2Aの底部に排出溝20Aと固定粉砕歯2Bの図示しない取付部と軸支持部26Aが一体で成形され、固定粉砕歯2Bが粉砕容器2Aの底部に回転不可及び上下方向に移動不可能に固定される。粉砕容器2Aと固定粉砕歯2Bが独立した部品を組み合わせた構成では、粉砕容器2Aを樹脂材料で構成すると共に、固定粉砕歯2B及び回転粉砕歯2Cを粉砕容器2Aと異なる材料、例えば金属材料で構成することもできる。
【0039】
固定粉砕歯2Bは粉砕歯の一例で、回転粉砕歯2Cと対向する上面に歯部20Bと溝部21Bと取込部22Bが設けられる。歯部20Bは、図9等に示すように、断面形状が本例では下辺より上辺が短い台形で、円盤状の固定粉砕歯2Bの内周側から外周側へ延びる複数の凸部を円周方向に並べて形成され、溝部21Bは、歯部20Bの間の凹部で形成される。取込部22Bは、固定粉砕歯2Bの内周側の所定の領域に、歯部20B及び溝部21Bを非形成とした非凹凸面を設けて構成される。
【0040】
固定粉砕歯2Bは、直線状に延在する歯部20Bと溝部21Bが、円周方向に沿った所定の領域毎に、所定の本数ずつ放射方向に沿って平行に配置される。固定粉砕歯2Bは、径方向に対向する領域では、歯部20Bと溝部21Bが同じ向きで配置され、円周方向に隣接する領域では、一方の領域の歯部20B及び溝部21Bに対して他方の領域の歯部20B及び溝部21Bが放射方向に対して傾斜する向きで配置される。
【0041】
各領域毎の歯部20Bと溝部21Bは、固定粉砕歯2Bの径方向に沿った長さが、固定粉砕歯2Bの円盤形状に合わせて、円周方向に沿った一の方向から他の方向に向けて短くなる構成で、固定粉砕歯2Bの上面において、取込部22Bの外周側の歯部20B及び溝部21Bが設けられる歯部形成領域では、円周方向に歯部20Bと溝部21Bが設けられていない領域が少なくなるように配置される。
【0042】
固定粉砕歯2Bは、歯部20Bに誘導溝23Bが設けられる。誘導溝23Bは誘導手段の一例で、固定粉砕歯2Bの円周方向に沿って延びる複数の溝部が、固定粉砕歯2Bの径方向に沿って形成される。誘導溝23Bの深さは、図10に示すように、歯部20Bの間の溝部21Bより浅く構成され、誘導溝23Bの底部と溝部21Bの底面との間に、溝部21Bの底面に対し誘導溝23Bの底部が高い凸状の段差が形成される。
【0043】
固定粉砕歯2Bの円周方向に沿った誘導溝23Bの形状は、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの相対回転の中心に対して同心の円弧状とする。固定粉砕歯2Bの円周方向に沿った誘導溝23Bの他の形状としては、相対回転の軌跡に対して傾斜した円弧状でも良い。また、相対回転の接線方向に沿った直線状でも良いし、接線方向に対して傾斜した直線状でも良い。
【0044】
誘導溝23Bの断面形状は、V状とする。誘導溝23Bの他の断面形状としては、下辺より上辺が長い逆台形状でも良いし、矩形でもよい。また、誘導溝23Bの側面の上下方向に沿った形状は、平面状でも良いし曲面状でも良い。
【0045】
固定粉砕歯2Bは、溝部21Bに誘導突起24Bが設けられる。誘導突起24Bは誘導手段の一例で、固定粉砕歯2Bの内周側から内周側へ延在する溝部21Bの所定の位置に、溝部21Bの底面より突出し、歯部20Bより高さが低い凸状部材を設けて形成される。
【0046】
固定粉砕歯2Bは、図5及び図6に示すように、取込部22Bと歯部20B及び溝部21Bが、固定粉砕歯2Bの内周側から外周側へ向けて高さが低くなる方向に傾斜して、回転粉砕歯2Cと対向する上面が、内周側より外周側が低い凸状を成して略円錐状となっており、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間に取り込まれた流動体等が、固定粉砕歯2B及び回転粉砕歯2Cの内周側から外周側へ流れる構成となっている。
【0047】
回転粉砕歯2Cは粉砕歯の一例で、図11(a)に下側から見た斜視図で示すように、固定粉砕歯2Bと対向する下面に歯部20Cと溝部21Cが設けられる。歯部20Cは、断面形状が本例では下辺より上辺が短い台形で、円盤状の回転粉砕歯2Cの内周側から外周側へ延びる複数の凸部を円周方向に並べて形成され、溝部21Cは、歯部20Cの間の凹部で形成される。
【0048】
回転粉砕歯2Cは、直線状に延在する歯部20Cと溝部21Cが、円周方向に沿った所定の領域毎に、所定の本数ずつ放射方向に沿って平行に配置される。回転粉砕歯2Cは、径方向に対向する領域では、歯部20Cと溝部21Cが同じ向きで配置され、円周方向に隣接する領域では、一方の領域の歯部20C及び溝部21Cに対して他方の領域の歯部20C及び溝部21Cが放射方向に対して傾斜する向きで配置される。
【0049】
各領域毎の歯部20Cと溝部21Cは、回転粉砕歯2Cの径方向に沿った長さが、回転粉砕歯2Cの円盤形状に合わせて、円周方向に沿った一の方向から他の方向に向けて短くなる構成で、回転粉砕歯2Cの下面において、歯部20C及び溝部21Cが設けられる歯部形成領域では、円周方向に歯部20Cと溝部21Cが設けられていない領域が少なくなるように配置される。
【0050】
なお、本例では、図11(b)に上側から見た斜視図で示すように、回転粉砕歯2Cの上面に、歯部20Cの配置に合わせて凹部が形成されている。これは、回転粉砕歯2Cの製造工程で、回転粉砕歯2Cの歪み等の発生を抑えるために設けられるもので、回転粉砕歯2Cの上面は非凹凸面であっても良い。
【0051】
回転粉砕歯2Cは、固定粉砕歯2Bの取込部22Bと対向する内周側の所定の領域に吸込口22Cが設けられる。吸込口22Cは、回転粉砕歯2Cの中心部に設けられるハブ23Cと、歯部20C及び溝部21Cが設けられる部位を繋ぐ複数の腕部24Cの間に、回転粉砕歯2Cの上面から下面まで貫通する開口を設けて構成される。
【0052】
回転粉砕歯2Cは、軸2Dが取り付けられる軸取付穴部25Cがハブ23C中心に設けられる。軸取付穴部25Cは、軸2Dに設けた動力伝達面20Dの形状に合わせて平面と円周面を組み合わせた形状の貫通穴をハブ23Cに設けて構成される。
【0053】
回転粉砕歯2Cは、図5及び図6に示すように、歯部20C及び溝部21Cが、回転粉砕歯2Cの内周側から外周側へ向けて高さが低くなる方向に傾斜して、固定粉砕歯2Bと対向する下面が、固定粉砕歯2Bの凸状に倣うように、内周側より外周側が低い凹状を成して略逆円錐状となっており、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間に取り込まれた流動体等が、固定粉砕歯2B及び回転粉砕歯2Cの内周側から外周側へ流れる構成となっている。
【0054】
軸2Dは、軸方向に沿った中間部分に動力伝達面20Dが設けられる。動力伝達面20Dは、軸2Dの円周面の一部を平面状として構成され、本例では、軸2Dの径方向に対向する2箇所に動力伝達面20Dが設けられる。動力伝達面20Dは、軸2Dの軸方向に沿った長さが、回転粉砕歯2Cのハブ23Cの厚さより所定量長く構成される。
【0055】
動力伝達面20Dが設けられた部位の軸2Dの外径と、回転粉砕歯2Cの軸取付穴部25Cの内径の関係は、軸2Dが回転粉砕歯2Cの軸取付穴部25Cに挿入されると、軸2Dの動力伝達面20Dが軸取付穴部25Cの平面と接し、かつ、回転粉砕歯2Cが軸2Dの軸方向に沿って移動可能に構成される。
【0056】
これにより、回転粉砕歯2Cは、軸2Dに対して回転が不可能な状態で支持され、軸2Dの回転動作が回転粉砕歯2Cに伝達される。また、回転粉砕歯2Cは、軸2Dに対して動力伝達面20Dの範囲で軸方向に沿って移動可能に支持される。
【0057】
固定粉砕歯2Bは、粉砕容器2Aと一体または粉砕容器2Aに固定され、回転粉砕歯2Cは、図7に破線で示すように、軸2Dの動力伝達面20Dの範囲で固定粉砕歯2Bに対して上下動が可能であり、固定粉砕歯2Bの歯部20Bと回転粉砕歯2Cの歯部20Cの間に誘導隙間Dが形成されるようにして、誘導手段が構成される。
【0058】
軸2Dは、動力伝達面20Dの下側に、軸2Dの軸方向に沿った下端部分を中間部分より径が細い円柱形状として、軸方向に段差が形成される軸受支持部21Dが設けられる。また、軸2Dは、動力伝達面20Dが設けられる中間部分の上側に、軸2Dの軸方向に沿った上端部分を中間部分より径が細い円柱形状として、軸方向に段差が形成される軸受支持部22Dが設けられ、軸受支持部22Dの上側に、円周面の一部を平面状とした動力伝達部23Dが設けられる。
【0059】
軸2Dは、粉砕容器2Aの軸支持部26Aに挿入された軸受24Dに、軸受支持部21Dが挿入されて、粉砕容器2Aの底部に回転可能に支持される。軸受24Dは、本例では、粉砕容器2Aの軸支持部26Aに挿入される外径と軸2Dの軸受支持部21Dが挿入される内径を有し、摩擦係数の低い材質で構成された円筒状の部材で、外周面に設けた溝にOリング等の封止部材24Daが嵌められて外周側に封止構造を有する。また、粉砕容器2Aの軸支持部26Aは、軸2Dが貫通するような開口を設けないことで、粉砕容器2Aの底部に設けられる軸支持部26Aからの水漏れを防ぐ構成となっている。
【0060】
軸2Dは、軸受支持部22Dに軸受25Dと軸受26Dが挿入され、軸受25Dと軸受26Dが蓋部22Aの軸支持部27Aに挿入されて、動力伝達部23Dが軸穴部28Aから突出する形態で、蓋部22Aに回転可能に支持される。
【0061】
軸受25Dは、本例では、蓋部22Aの軸支持部27Aに挿入される外径と軸2Dの軸受支持部22Dが挿入される内径を有した円筒状の部材で、外周面に設けた溝にOリング等の封止部材25Daが嵌められると共に、内周面に設けた溝にOリング等の封止部材25Dbが嵌められて外周側と内周側の両方に封止構造を有する。
【0062】
軸受25Dの上側に配置される軸受26Dは、本例ではボールベアリングで構成され、軸受25Dが外周側と内周側の両方に封止構造を持つことで、軸受26Dに対して封止構造となると共に、蓋部22Aの軸穴部28Aからの水漏れを防ぐ構成となっている。このように、回転粉砕歯2Cが取付けられた軸2Dが、粉砕容器2Aの軸支持部26A及び蓋部22Aの軸支持部27Aにそれぞれ軸受を介して支持されると、軸2Dは回転可能で、かつ、上下方向の移動は規制される。
【0063】
仕切り部材2Eは、回転粉砕歯2Cの上面で粉砕容器2A内を仕切る仕切り板20Eと、仕切り板20Eを支持する支持板21Eを備える。仕切り板20Eは、回転粉砕歯2Cの回転動作により発生する円周方向の水流を、回転粉砕歯2Cの内周側に設けた吸込口22Cに向ける配置で、回転粉砕歯2Cの径方向に粉砕容器2Aの内部を仕切る位置に設けられる。
【0064】
仕切り板20Eは、本例では、粉砕容器2Aの中心に設けられる軸2Dに対して偏らせた位置で蓋部22Aに設けられた開口部23Aと、粉砕容器2Aの径方向に沿って開口部23Aと対向する位置で粉砕容器2Aに設けられた排出口21Aの間で、回転粉砕歯2Cの径方向に粉砕容器2Aの内部を仕切る位置に設けられる。
【0065】
粉砕容器2Aは、仕切り板20Eで仕切られた開口部23Aが設けられる側の空間で、洗浄水とともに処理対象物が取り込まれる取込空間22Eが形成される。トイレットペーパ等のある程度大きな処理対象物を取り込めるようにするため、取込空間22Eを大きくし、かつ、回転粉砕歯2Cの回転動作により発生する円周方向の水流を、回転粉砕歯2Cの吸込口22Cに向けるためには、粉砕容器2Aを径方向の略中心で仕切るように仕切り板20Eを設けることが望ましい。一方、粉砕容器2Aの中心には回転粉砕歯2Cの軸2Dが設けられる。
【0066】
そこで、本例では、仕切り板20Eが延在する長手方向の中央部近傍を、軸2Dを退避する形状に湾曲させて、仕切り板20Eと軸2Dの間に隙間が形成される退避部23Eが設けられる。退避部23Eは、軸2Dに対して開口部23Aが設けられる側の反対に仕切り板20Eを湾曲させる形状とすることで、取込空間22Eを大きくし、かつ、回転粉砕歯2Cの吸込口22Cから吸い込まれる水流が発生しやすくする。
【0067】
仕切り部材2Eは、仕切り板20Eの長手方向の両端部が、粉砕容器2Aの内周面で径方向に対向させて設けた取付溝部29Aに挿入されて、粉砕容器2Aに支持される。また、仕切り板20Eの長手方向の中央部に支持板21Eの一方の端部が取り付けられ、支持板21Eの他方の端部が、粉砕容器2Aの内周面で排出口21Aの上部に設けた取付溝部29Aに挿入されて、粉砕容器2Aに支持される。
【0068】
このように、長手方向の両端が支持される仕切り板20Eの中央部を支持板21Eで支持して、仕切り部材2Eを粉砕容器2Aの内周面の3箇所で支持することで、板状の仕切り板20Eの強度を、軸2Dで仕切り板を支持する構成とすることなく向上させている。
【0069】
仕切り部材2Eは、仕切り板20Eと回転粉砕歯2Cの間に、回転粉砕歯2Cの回転動作により発生する水流の一部を通す導水部24Eが設けられる。導水部24Eは、回転粉砕歯2Cの歯部20C及び溝部21Cの非形成面である上面と対向する仕切り板20Eの下面と回転粉砕歯2Cの上面の間に、洗浄水とともに取り込まれた処理対象物及び粉砕途中の処理対象物で、所定の大きさより小さいものが通るような隙間を設けて構成される。
【0070】
上述したように、回転粉砕歯2Cは、軸2Dに沿って固定粉砕歯2Bに対して上下動が可能であり、回転粉砕歯2Cの上下方向の可動範囲に対し、導水部24Eによる隙間を大きく構成することで、回転粉砕歯2Cが可動範囲の上限まで上昇しても、仕切り板20Eと回転粉砕歯2Cの間に導水部24Eが形成されるようになっている。
【0071】
なお、支持板21Eは、仕切り板20Eを支持する強度が保てれば良いので、支持板21Eと回転粉砕歯2Cの上面との間には、水流の妨げにならないように、導水部24Eと比較して大きな空間が形成されるように支持板21Eの下面に開口が設けられる。
【0072】
仕切り部材2Eは、仕切り板20Eと粉砕容器2Aの上面を塞ぐ蓋部22Aの間に付着抑制部25Eが設けられる。付着抑制部25Eは、回転粉砕歯2Cとの非対向部位である仕切り板20Eの上面に、仕切り板20Eが延在する長手方向の両端側から中央へ向かって仕切り板20Eの高さが低くなり、回転粉砕歯2Cの回転動作で発生する水流が弱い回転粉砕歯2Cの内周側で仕切り板20Eと蓋部22Aとの隙間が広がる傾斜を設けて構成される。
【0073】
<本実施の形態のトイレ装置の全体構成例>
次に、各図を参照して、本実施の形態のトイレ装置100の全体の構成について説明する。
【0074】
トイレ装置100は、便器本体1に開閉可能な便座蓋1a及び便座1bが設けられる。トイレ装置100は、便座蓋1aの開閉動作に応じて処理が行われる。このため、トイレ装置100は、便座蓋1aの開閉を検知する便座蓋開閉検知センサ10Sが設けられる。便座蓋開閉検知センサ10Sは、本例では給水タンク4の外装部分に設けられる。
【0075】
また、トイレ装置100は、便器本体1内に溜る水が規定量を超えて溢れないようにするため、便器本体1内に溜った水の量を検知する満水センサ11Sが便器本体1に設けられる。
【0076】
トイレ装置100は、便器本体1の下側に粉砕機構部2が配置され、便器本体1の下部を筒状として形成された排出口12と、粉砕機構部2に設けた開口部23Aが、開口部23Aを開閉する仕切り弁13を有した仕切り弁開閉機構部14で接続される。
【0077】
仕切り弁開閉機構部14は、便器本体1の排出口12と粉砕機構部2の開口部23Aを接続する接続部15と、仕切り弁13を開閉する投入口モータ16Mと、投入口モータ16Mの駆動力を仕切り弁13に伝達するリンク機構等で構成される駆動力伝達機構部17と、仕切り弁13が開いたことを検知する投入口開位置検出スイッチ16S1と、仕切り弁13が閉じたことを検知する投入口閉位置検出スイッチ16S2が設けられる。
【0078】
接続部15は、内周側に薄膜のゴムで構成されるリング状の封止部材18aが取り付けられ、封止部材18aを押し広げるようにして、便器本体1の排出口12が挿入される。
【0079】
また、接続部15は、粉砕機構部2の開口部23Aの内周側に取り付けられたOリング等で構成される封止部材18bを押し潰すようにして、粉砕機構部2の開口部23Aに挿入される。
【0080】
更に、接続部15は、粉砕機構部2の開口部23Aを閉じた仕切り弁13の上面と接するように、薄板のゴムで構成されるリング状の封止部材18cが取り付けられる。
【0081】
これにより、便器本体1の排出口12と粉砕機構部2の開口部23Aの接続箇所で、水密性が保たれる。
【0082】
粉砕機構部2は、上述した回転粉砕歯2Cを駆動する粉砕歯駆動部2Fが設けられる。粉砕歯駆動部2Fは、回転粉砕歯2Cを駆動する粉砕用モータ20Fと、粉砕用モータ20Fの軸に取り付けられる第1の小プーリ21Fと、第1の大プーリと第2の小プーリが同軸に配置される減速プーリ22Fと、回転粉砕歯2Cの軸2Dに設けた動力伝達部23Dに取り付けられた第2の大プーリ23Fを備える。
【0083】
また、第1の小プーリ21Fと減速プーリ22Fの第1の大プーリに掛けられる第1のベルト24Fと、減速プーリ22Fの第2の小プーリと第2の大プーリ23Fに掛けられる第2のベルト25Fが設けられる。
【0084】
これにより、粉砕用モータ20Fが駆動されると、回転数は減速しトルクは増幅して回転粉砕歯2Cに駆動力が伝達される。
【0085】
粉砕機構部2は、粉砕容器2Aに設けた排出口21Aを開閉する排出弁開閉機構部2Gが設けられる。排出弁開閉機構部2Gは排出口21Aを開閉する排出弁20Gを駆動する排出弁モータ21Gと、排出弁モータ21Gの駆動力を排出弁20Gに伝達するラックギアとピニオンギア等で構成される駆動力伝達機構部22Gと、排出弁20Gが開いたことを検知する排出弁開位置検出スイッチ23S1と、排出弁20Gが閉じたことを検知する排出弁閉位置検出スイッチ23S2が設けられる。
【0086】
トイレ装置100は、粉砕機構部2の下側に圧送タンク3が配置される。圧送タンク3はタンク部の一例で、直管状の形状でも良いが、本例では、粉砕機構部2の粉砕容器2Aの周辺部を囲むように、曲げられた形状を有する。圧送タンク3は、入口側となる一方の端部側から、出口側となる他方の端部側へ向けて下降する方向に傾斜させて、トイレ装置100の底部に配置される。圧送タンク3は、本例では樹脂製のパイプとL状のジョイント等を組み合わせて構成され、曲げられた形状を有したタンク構造物を低コストで実現している。
【0087】
圧送タンク3は、入口側となる一方の端部側と粉砕機構部2の排出口21Aが連結管3aにより接続されている。粉砕機構部2で生成された流動体は、排出口21Aから自重で圧送タンク3に送るため、連結管3aと圧送タンク3の接続箇所が、排出口21Aより低い位置に設けられる必要がある。
【0088】
このため、トイレ装置100は、粉砕機構部2の下側に圧送タンク3が配置される構成としているが、圧送タンク3を、粉砕容器2Aの周辺部を囲むような曲げられた形状とすることで、曲げられた圧送タンク3の間に形成された空間に、粉砕機構部2の一部を入れるような実装構造を実現できる。また、圧送タンク3の直径を大きくすることなく、圧送タンク3を長くして、容量の拡大を図ることができる。
【0089】
このように、粉砕機構部2の実装高さを低くできれば、粉砕機構部2の上側の便器本体1の実装高さも低く抑えることができ、便器本体1の実装高さを低くできれば、便座1bの高さを低くできるので、介護者等がトイレ装置100を使用する際の使い勝手を向上できる。
【0090】
トイレ装置100は、圧送タンク3に圧縮空気を供給するエアコンプレッサ6が設けられる。圧送タンク3は、入口側となる一方の端部側とエアコンプレッサ6が空気供給管3bにより接続される。また、圧送タンク3は、出口側となる他方の端部側に排出配管3cが接続される。排出配管3cは、排出管102が着脱可能に接続される排出ジョイント部3dが設けられ、排出管102を排出ジョイント部3dに接続することで、排出配管3cを通して圧送タンク3と排出管102が接続される。
【0091】
トイレ装置100は、空気供給管3bに圧力センサ60が設けられる。トイレ装置100は、粉砕機構部2の排出口21Aを開くことで流動体が圧送タンク3に送られ、排出口21Aを閉じた後、エアコンプレッサ6が駆動されて圧縮空気が空気供給管3bから圧送タンク3に供給される。
【0092】
圧縮空気が圧送タンク3に供給されると、圧送タンク3内の流動体は、空気の圧力で排出管102からトイレ5の既設の便器51へ圧送されて、トイレ装置100から排出される。
【0093】
トイレ装置100は、エアコンプレッサ6が駆動されると、圧力センサ60で検知される空気圧を監視し、流動体の空気による圧送が終了したか否かを判断する。また、排出管102の詰まり等で、流動体が正常に圧送できない状態であるか否かを判断する。
【0094】
トイレ装置100は、空気供給管3bを分岐して粉砕機構部2の粉砕容器2Aと接続されるエア抜き管3eが設けられ、エア抜き管3eを開閉するエア抜き電磁弁61が設けられる。トイレ装置100は、粉砕機構部2から圧送タンク3に流動体を送る搬送動作でエア抜き電磁弁61を開いて、圧送タンク3内の空気を粉砕容器2Aに逃がすことで、流動体が圧送タンク3に流れやすくしている。
【0095】
また、トイレ装置100は、圧力センサ60で検知される空気圧が規定の値以上となると、エア抜き電磁弁61を開くことで、空気を粉砕容器2Aに逃がすことができる構成となっている。
【0096】
トイレ装置100は、給水タンク4に給水配管4aが接続される。給水配管4aは、給水管101が着脱可能に接続される給水ジョイント部4bが設けられ、給水管101を給水ジョイント部4bに接続することで、給水配管4aを通して給水タンク4と給水管101が接続される。
【0097】
トイレ装置100は、給水タンク4に接続される給水配管4aに、給水タンク4への給水の有無を切り換えるタンク電磁弁40aと、給水タンク4への給水量を検知する第1の流量センサ40bが設けられる。
【0098】
給水タンク4は、便器本体1と洗浄水供給管41で接続され、便器本体1への給水の有無を切り換える洗浄水弁42と、洗浄水弁42を開閉する洗浄水弁モータ43が設けられる。
【0099】
また、トイレ装置100に便座1bとして温水洗浄便座装置1cが設置される構成では、タンク電磁弁40aの上流側で給水配管4aから便座用給水配管4cが分岐され、便座用給水配管4cが温水洗浄便座装置1cと接続される。便座用給水配管4cには、温水洗浄便座装置1cへの給水の有無を切り換える便座電磁弁44aと、温水洗浄便座装置1cへの給水量を検知する第2の流量センサ44bが設けられる。
【0100】
トイレ装置100は、マイクロコンピュータ等で構成される制御装置110と、操作ボタン等を有した操作部111が設けられる。制御装置110は、便座蓋開閉検知センサ10Sで検知される便座蓋1aの開閉動作、または、操作部111の操作に応じて、粉砕動作の準備動作、便器本体1の洗浄動作、処理対象物の粉砕動作、流動体の搬送動作、流動体の圧送動作、便器本体1と粉砕機構部2等のすすぎ準備動作及びすすぎ動作を、所定のプログラム及び上述した各センサ及びスイッチのから入力される信号に基づき実行する。
【0101】
<本実施の形態のトイレ装置の動作例>
図12は、本実施の形態のトイレ装置の動作の一例を示すタイムチャートで、次に、各図を参照して本実施の形態のトイレ装置の動作について説明する。
【0102】
トイレ装置100では、便座蓋1aの操作及び操作部111の操作が制御装置110で監視され、操作に応じて処理が実行される。トイレ装置100では、便座蓋1aが開くと、例えば、便座蓋開閉検知センサ10Sの出力がOFFからONに変化することで、便座蓋1aが開いたことを示す便座蓋開信号が便座蓋開閉検知センサ10Sから制御装置110に入力される。
【0103】
制御装置110は、便座蓋開信号が入力されると、準備動作を実行する。準備動作では、制御装置110は、便座蓋開信号が入力され便座蓋1aが開いたことを検知して所定の待機時間が経過すると、タンク電磁弁40aを開く。また、温水洗浄便座装置1cが取り付けられた構成では、便座電磁弁44aを開く。
【0104】
タンク電磁弁40aが開くと、給水タンク4に水(上水)が供給されることで給水タンク4に水が溜められると共に、給水タンク4へ給水されていることを示す給水検知信号が第1の流量センサ40bから制御装置110に入力される。一方、温水洗浄便座装置1cは、制御装置110での制御と独立した制御が行われており、便座電磁弁44aを開いても、温水洗浄便座装置1cでの洗浄動作が開始されなければ、温水洗浄便座装置1cに水(上水)は供給されず、第2の流量センサ44bでは給水が検知されず、便座水未検知信号が制御装置110に入力され続ける。
【0105】
制御装置110は、タンク電磁弁40aを開いて給水時間t1が経過すると、タンク電磁弁40aを閉じる。タンク電磁弁40aを閉じると、給水タンク4への給水が停止され、第1の流量センサ40bで給水が検知されなくなることで、給水が停止したことを示す給水未検知信号が第1の流量センサ40bから制御装置110に入力される。
【0106】
さて、後述する便器洗浄動作では、便器本体1で受容した排泄された汚物や、トイレットペーパ等を含む処理対象物が、仕切り弁13を開けることで便器本体1から粉砕機構部2に取り込まれる。このとき、便器本体1に溜められている洗浄水の量が多いと、処理対象物が飛散する場合がある。そこで、便器洗浄動作に移行する前に、洗浄水を粉砕機構部2に流すようにしても良い。
【0107】
このため、制御装置110は、便座蓋開信号が入力され便座蓋1aが開いたこと検知すると同時、または、便座蓋1aが開いたこと検知して所定の待機時間が経過すると、投入口モータ16Mを駆動して、仕切り弁13を所定量開く。
【0108】
また、温水洗浄便座装置1cでの洗浄動作が開始されると、温水洗浄便座装置1cへの給水が開始されることで、温水洗浄便座装置1cへ給水されていることを示す便座水検知信号が第2の流量センサ44bから制御装置110に入力される。温水洗浄便座装置1cに供給される水は、便器本体1で回収されるため、第2の流量センサ44bで検知される水の量は、便器本体1内に溜る水の量と関連し、便器本体1内に溜る水の量が増える。
【0109】
このため、制御装置110は、便座水検知信号が入力されて温水洗浄便座装置1cの使用が検知されると同時、または、所定の待機時間が経過した後、投入口モータ16Mを駆動して、仕切り弁13を所定量開くようにしても良い。
【0110】
仕切り弁13が所定量開くと、投入口閉位置検出スイッチ16S2から投入口閉未検知信号が制御装置110に入力される。一方、仕切り弁13Sを全開してはいないので、投入口開位置検出スイッチ16S1から投入口開未検知信号が制御装置110に入力される。
【0111】
これにより、制御装置110は、仕切り弁13が所定量開いたことを検知可能となる。仕切り弁13が所定量開くと、便器本体1内に貯められた水が粉砕機構部2の粉砕容器2Aに流れる。なお、仕切り弁13の開度は、便器本体1に溜められた水の全量が粉砕容器2Aに流れるような間隔とする。また、温水洗浄便座装置1cの使用時に仕切り弁13を所定量開くことで、便器本体1内の水が溢れることを防ぐ。
【0112】
温水洗浄便座装置1cでの洗浄動作が終了すると、温水洗浄便座装置1cへの水の供給が停止し、第2の流量センサ44bから便座水未検知信号が制御装置110に入力される。
【0113】
便座蓋1aが閉じると、便座蓋1aが閉じたことを示す便座蓋閉信号が便座蓋開閉検知センサ10Sから制御装置110に入力される。制御装置110は、便座蓋閉信号が入力されると、便器洗浄動作を実行する。
【0114】
便器洗浄動作では、制御装置110は、便座蓋閉信号が入力され便座蓋1aが閉じたこと検知して所定の待機時間が経過すると、洗浄水弁モータ43を駆動して洗浄水弁42を開く。洗浄水弁モータ43には、図示しないセンサが設けられ、洗浄水弁42の開閉が検知される。
【0115】
また、便器洗浄動作では、制御装置110は、便座蓋閉信号が入力され便座蓋1aが閉じたこと検知して所定の待機時間が経過すると、投入口モータ16Mを駆動して、仕切り弁13を全開にする。
【0116】
仕切り弁13が全開になると、投入口開位置検出スイッチ16S1から投入口開検知信号が制御装置110に入力される、これにより、制御装置110は、仕切り弁13が全開したことを検知可能となる。
【0117】
便器洗浄動作では、洗浄水弁42が開くことで、給水タンク4から便器本体1に洗浄水が供給される。また、仕切り弁13が開くことで、便器本体1で受容された排泄された汚物、トイレットペーパ、または汚物とトイレットペーパ等処理対象物が、洗浄水と共に粉砕機構部2の粉砕容器2Aに取り込まれる。
【0118】
そして、洗浄水弁42を開く動作と、仕切り弁13を開く動作をほぼ同時とすることで、洗浄水を仕切り弁13に当てながら、仕切り弁13を開くことができ、仕切り弁13の上面を洗浄水で洗浄可能となる。
【0119】
制御装置110は、投入口開位置検出スイッチ16S1から投入口開検知信号が入力された後、取込時間t2が経過すると、投入口モータ16Mを駆動して、仕切り弁13を全閉にする。
【0120】
仕切り弁13が閉じる動作を開始すると、投入口開位置検出スイッチ16S1から投入口開未検知信号が制御装置110に入力された後、投入口閉位置検出スイッチ16S2から投入口閉検知信号が制御装置110に入力されることで、制御装置110は、仕切り弁13が閉じたことを検知する。
【0121】
制御装置110は、仕切り弁13が閉じたことを検知すると、処理対象物の粉砕機構部2への取り込みが完了したと判断し、粉砕動作を実行する。粉砕動作では、便器洗浄動作から継続して洗浄水弁42が開かれている。これに対し、仕切り弁13は全閉としたことで、便器本体1に水が溜められる。
【0122】
制御装置110は、投入口閉位置検出スイッチ16S2から投入口閉検知信号が入力されて処理対象物の粉砕機構部2への取り込みが完了したと判断して所定の待機時間が経過すると、粉砕用モータ20Fを駆動して回転粉砕歯2Cを回転させる。粉砕機構部2での粉砕動作の詳細は後述するが、回転粉砕歯2Cを正逆両方向に繰り返し回転させることで、処理対象物を細かくすり潰すようにして粉砕し、洗浄水と混合させて流動体を生成する。
【0123】
さて、給水タンク4を小型化すると、トイレ装置100の小型化を図ることができる。一方、給水タンク4の容量が小さくなることで、便器本体1に給水タンク4から供給可能な水量が減る。そこで、粉砕動作と並行して便器本体1に水を溜める動作で、洗浄水弁42を閉じる前の所定のタイミングで、タンク電磁弁40aを一定時間開き、給水タンク4に水を一定量供給して便器本体1の溜め水に用いる。
【0124】
制御装置110は、洗浄水弁42を開いて洗浄水供給時間t3が経過すると、洗浄水弁モータ43を駆動して洗浄水弁42を閉じる。これにより、便器本体1への水の供給が停止される。なお、給水タンク4から便器本体1への水の供給を停止したときに、給水タンク4内の水量が所定量以下となるように、給水量や給水時間が設定され、居室等に設置されるトイレ装置100で、必要以上の水を溜めないようにしている。
【0125】
制御装置110は、粉砕用モータ20Fを駆動して回転粉砕歯2Cを回転させ、粉砕動作を開始して粉砕時間t4が経過すると、処理対象物の粉砕が完了したと判断し、粉砕用モータ20Fの駆動を停止して搬送動作を実行する。また、制御装置110は、搬送動作と並行して、搬送動作の開始タイミングより所定時間早いタイミングで、すすぎ準備動作を実行する。
【0126】
搬送動作では、制御装置110は、粉砕用モータ20Fの駆動を停止して所定の待機時間が経過すると、排出弁モータ21Gを駆動して排出弁20Gを開く。排出弁20Gを開く動作を開始すると、排出弁閉位置検出スイッチ23S2から排出弁閉未検知信号が制御装置110に入力された後、排出弁開位置検出スイッチ23S1から排出弁開検知信号が制御装置110に入力されることで、制御装置110は、排出弁20Gが開いたことを検知する。
【0127】
制御装置110は、排出弁開位置検出スイッチ23S1から排出弁開検知信号が入力され排出弁20Gが開いたことを検知すると、エア抜き電磁弁61を開く。排出弁20Gが開くと、流動体が粉砕機構部2から圧送タンク3へ流れる。
【0128】
このとき、圧送タンク3内の空気がエア抜き管3eを通り粉砕容器2Aに流れることで、ある容量の空間である圧送タンク3に流動体が流れる際に、流動体の体積に比例した空気を粉砕容器2Aに逃がすことができ、粉砕容器2Aから圧送タンク3への流動体の流れを速くすることができる。よって、流動体を圧送タンク3に搬送する動作の時間を短縮できる。なお、粉砕容器2A内の流動体を圧送タンク3に搬送する動作では、粉砕容器2Aと便器本体1との間の仕切り弁13は閉じているので、臭気が便器本体1から漏れることが防止される。
【0129】
制御装置110は、排出弁20Gが開くことで排出弁開位置検出スイッチ23S1から排出弁開検知信号が入力された後、搬送時間t5が経過すると、排出弁モータ21Gを駆動して、排出弁20Gを全閉にする。
【0130】
排出弁20Gが閉じる動作を開始すると、排出弁開位置検出スイッチ23S1から排出弁開未検知信号が制御装置110に入力された後、排出弁閉位置検出スイッチ23S2から排出弁閉検知信号が制御装置110に入力されることで、制御装置110は、排出弁20Gが閉じたことを検知する。また、排出弁20Gを閉じる動作と同時に、エア抜き電磁弁61を閉じる。
【0131】
制御装置110は、排出弁20Gが閉じたことを検知すると、流動体の圧送タンク3への搬送が完了したと判断し、圧送動作を実行する。なお、本例では、搬送動作において粉砕用モータ20Fの駆動を停止しているが、粉砕動作時よりも低速で回転粉砕歯2Cを回転駆動しても良い。搬送動作で回転粉砕歯2Cを低速で1方向または正逆両方向に回転させることで、流動体の排出中に固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間から流動体を排出する水流を発生させて、流動体の滞留を防止することができ、搬送動作後の粉砕容器2A内がより清浄になり、悪臭等を防止することができる。
【0132】
一方、搬送動作と並行して行われるすすぎ準備動作では、制御装置110は、粉砕用モータ20Fの駆動の停止と同じタイミングで、タンク電磁弁40aを開く。タンク電磁弁40aが開くと、給水タンク4に水が供給されて溜められ、給水検知信号が制御装置110に入力される。
【0133】
制御装置110は、タンク電磁弁40aを開いて給水時間t1が経過すると、タンク電磁弁40aを閉じる。タンク電磁弁40aを閉じると、給水タンク4への給水が停止され、給水未検知信号が第1の流量センサ40bから制御装置110に入力される。
【0134】
制御装置110は、すすぎ準備動作で給水未検知信号が入力されると、圧送動作と並行して、圧送動作の開始タイミングより所定時間早いタイミングで、すすぎ動作での便器洗浄動作を実行する。
【0135】
圧送動作では、制御装置110は、排出弁閉位置検出スイッチ23S2から排出弁閉検知信号が入力され、排出弁20Gが閉じたことを検知した後、所定の待機時間が経過すると、エアコンプレッサ6の駆動を開始する。
【0136】
エアコンプレッサ6が駆動されると、圧縮空気が圧送タンク3に供給され、圧送タンク3内の流動体は、空気の圧力で排出管102からトイレ5の既設の便器51へ圧送されて、トイレ装置100から排出される。
【0137】
ここで、トイレ装置100で既設のトイレ5を制御できるようにして、トイレ装置100から流動体等をトイレ5の既設の便器51に圧送した後、トイレ5でも洗浄動作を行えるようにする。また、トイレ装置100の使用を開始した時点で、トイレ5側で使用者等に通報できるようにしても良い。
【0138】
制御装置110は、エアコンプレッサ6が駆動されると、圧力センサ60で検知される空気圧を監視する。圧送タンク3、圧送タンク3内と排出管102、あるいは排出管102に流動体が残っている状態では、圧力センサ60で検知される空気圧は、流動体が残っていない状態と比較して高い。
【0139】
そこで、制御装置110は、圧力センサ60で検知される空気圧が、例えば所定の閾値を越えていると、流動体が残っていると判断してエアコンプレッサ6の駆動を継続する。そして、圧力センサ60で検知される空気圧が、例えば所定の閾値以下になると、流動体の圧送が完了したと判断してエアコンプレッサ6の駆動を停止し、圧送動作を終了する。
【0140】
一方、圧送動作と並行して行われるすすぎ動作での便器洗浄動作では、制御装置110は、タンク電磁弁40aを閉じて給水未検知信号が第1の流量センサ40bから入力された後、所定の待機時間が経過すると、洗浄水弁モータ43を駆動して洗浄水弁42を開く。
【0141】
ここで、圧送動作とすすぎ動作での便器洗浄動作は、粉砕機構部2の排出弁20Gが閉じられた状態で行われるので、圧送動作におけるエアコンプレッサ6の駆動開始のタイミングより前に、洗浄水弁42を開く動作を行うこととする。このように、すすぎ動作の開始タイミングを、搬送動作に伴う各動作より前にすることで、粉砕動作からすすぎ動作に要する全処理時間を短縮できる。
【0142】
また、すすぎ動作での便器洗浄動作では、制御装置110は、洗浄水弁モータ43の駆動を開始して所定の待機時間が経過すると、投入口モータ16Mを駆動して、仕切り弁13を全開にする。
【0143】
仕切り弁13が開く動作を開始すると、投入口閉位置検出スイッチ16S2から投入口閉未検知信号が制御装置110に入力された後、投入口開位置検出スイッチ16S1から投入口開検知信号が制御装置110に入力される。
【0144】
すすぎ動作での便器洗浄動作では、洗浄水弁42が開くことで、給水タンク4から便器本体1に洗浄水が供給される。また、仕切り弁13が開くことで、便器本体1を洗浄した洗浄水が、粉砕機構部2の粉砕容器2Aに取り込まれる。
【0145】
制御装置110は、投入口開位置検出スイッチ16S1から投入口開検知信号が入力された後、取込時間t6が経過すると、投入口モータ16Mを駆動して、仕切り弁13を全閉にする。すすぎ動作での便器洗浄動作では、処理対象物を含まない洗浄水を粉砕容器2Aに取り込めば良いので、通常の便器洗浄動作での取込時間t2に比較して、取込時間t6を短くしている。
【0146】
仕切り弁13が閉じる動作を開始すると、投入口開位置検出スイッチ16S1から投入口開未検知信号が制御装置110に入力された後、投入口閉位置検出スイッチ16S2から投入口閉検知信号が制御装置110に入力される。
【0147】
制御装置110は、仕切り弁13が閉じたことを検知すると、処理対象物の粉砕機構部2への取り込みが完了したと判断し、すすぎ動作を実行する。すすぎ動作では、すすぎ動作での便器洗浄動作から継続して洗浄水弁42が開かれている。これに対し、仕切り弁13は全閉としたことで、便器本体1に水が溜められる。
【0148】
また、すすぎ動作と並行して便器本体1に水を溜める動作で、洗浄水弁42を閉じる前の所定のタイミングで、タンク電磁弁40aを一定時間開き、給水タンク4に水を一定量供給して便器本体1の溜め水に用いる。
【0149】
制御装置110は、投入口閉位置検出スイッチ16S2から投入口閉検知信号が入力されて洗浄水の粉砕機構部2への取り込みが完了したと判断して所定の待機時間が経過すると、粉砕用モータ20Fを駆動して回転粉砕歯2Cを回転させる。粉砕機構部2でのすすぎ動作の詳細は後述するが、粉砕動作より短時間で回転粉砕歯2Cを正逆両方向に繰り返し回転させることで、粉砕容器2A内を洗浄する。
【0150】
制御装置110は、洗浄水弁42を開いて洗浄水供給時間t3が経過すると、洗浄水弁モータ43を駆動して洗浄水弁42を閉じる。これにより、便器本体1への水の供給が停止される。
【0151】
制御装置110は、粉砕用モータ20Fを駆動して回転粉砕歯2Cを回転させ、すすぎ動作を開始してすすぎ時間t7が経過すると、すすぎ洗浄が完了したと判断し、粉砕用モータ20Fの駆動を停止してすすぎ動作での搬送動作を実行する。
【0152】
すすぎ動作での搬送動作では、制御装置110は、粉砕用モータ20Fの駆動を停止して所定の待機時間が経過すると、排出弁モータ21Gを駆動して排出弁20Gを開く。排出弁20Gを開く動作を開始すると、排出弁閉位置検出スイッチ23S2から排出弁閉未検知信号が制御装置110に入力された後、排出弁開位置検出スイッチ23S1から排出弁開検知信号が制御装置110に入力される。
【0153】
制御装置110は、排出弁開位置検出スイッチ23S1から排出弁開検知信号が入力され排出弁20Gが開いたことを検知すると、エア抜き電磁弁61を開く。排出弁20Gが開くと、洗浄水が粉砕機構部2から圧送タンク3へ流れる。
【0154】
このとき、圧送タンク3内の空気がエア抜き管3eを通り粉砕容器2Aに流れることで、粉砕容器2Aから圧送タンク3への洗浄水の流れを速くすることができる。よって、洗浄水を圧送タンク3に搬送する動作の時間を短縮できる。
【0155】
制御装置110は、排出弁20Gが開くことで排出弁開位置検出スイッチ23S1から排出弁開検知信号が入力された後、搬送時間t5が経過すると、排出弁モータ21Gを駆動して、排出弁20Gを全閉にする。
【0156】
排出弁20Gが閉じる動作を開始すると、排出弁開位置検出スイッチ23S1から排出弁開未検知信号が制御装置110に入力された後、排出弁閉位置検出スイッチ23S2から排出弁閉検知信号が制御装置110に入力される。また、排出弁20Gを閉じる動作と同時に、エア抜き電磁弁61を閉じる。
【0157】
制御装置110は、排出弁20Gが閉じたことを検知すると、洗浄水の圧送タンク3への搬送が完了したと判断し、すすぎ動作での圧送動作を実行する。なお、本例では、すすぎ動作での搬送動作において粉砕用モータ20Fの駆動を停止しているが、すすぎ動作時よりも低速で回転粉砕歯2Cを回転駆動しても良い。すすぎ動作後の搬送動作で回転粉砕歯2Cを低速で1方向または正逆両方向に回転させることで、洗浄水の排出中に固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間から流動体を排出する水流を発生させて、洗浄水の滞留を防止することができ、すすぎ動作後の粉砕容器2A内がより清浄になり、悪臭等を防止することができる。
【0158】
すすぎ動作での圧送動作では、制御装置110は、排出弁閉位置検出スイッチ23S2から排出弁閉検知信号が入力され、排出弁20Gが閉じたことを検知した後、所定の待機時間が経過すると、エアコンプレッサ6の駆動を開始する。
【0159】
エアコンプレッサ6が駆動されると、圧縮空気が圧送タンク3に供給され、圧送タンク3内の洗浄水は、空気の圧力で排出管102からトイレ5の既設の便器51へ圧送されて、トイレ装置100から排出される。
【0160】
制御装置110は、エアコンプレッサ6が駆動されると、圧力センサ60で検知される空気圧を監視し、圧力センサ60で検知される空気圧が、例えば所定の閾値を越えていると、洗浄水が残っていると判断してエアコンプレッサ6の駆動を継続する。
【0161】
そして、圧力センサ60で検知される空気圧が、例えば所定の閾値以下になると、洗浄水の圧送が完了したと判断してエアコンプレッサ6の駆動を停止し、すすぎ動作での圧送動作を終了する。なお、すすぎ動作での圧送動作では、洗浄水を空気で圧送するので、圧送に要する期間は流動体を圧送する動作と比較して短くなる。なお、トイレ装置100から洗浄水をトイレ5の既設の便器51に圧送した後、トイレ5でも洗浄動作を行えるようにする。
【0162】
<本実施の形態のトイレ装置の粉砕機構部の動作例>
図13は、本実施の形態のトイレ装置における粉砕動作の一例を示すフローチャート、図14は、本実施の形態のトイレ装置におけるすすぎ動作の一例を示すフローチャートである。
【0163】
また、図15は、本実施の形態のトイレ装置における粉砕動作の一例を示すタイムチャート、図16は、本実施の形態のトイレ装置におけるすすぎ動作の一例を示すタイムチャートである。次に、各図を参照して本実施の形態のトイレ装置の粉砕機構部の動作について説明する。
【0164】
上述した粉砕動作では、ほぐし粉砕処理と本粉砕処理が実行される。粉砕動作が開始されると、まず、ほぐし粉砕処理が実行される。ほぐし粉砕処理では、図13にステップSA1に示すように、所定のほぐし時間T1の間、粉砕用モータ20Fを正転させて回転粉砕歯2Cを正転させた後、ステップSA2に示すように、粉砕用モータ20Fの停止に要する時間等を考慮して設定された所定の待機時間T2の間、粉砕用モータ20Fの駆動を停止する。
【0165】
次に、ステップSA3に示すように、ほぐし時間T1の間、粉砕用モータ20Fを逆転させて回転粉砕歯2Cを逆転させた後、ステップSA4に示すように、待機時間T2の間、粉砕用モータ20Fの駆動を停止する。
【0166】
ほぐし粉砕処理では、上述したステップSA1〜SA4までの回転粉砕歯2Cの正転動作と逆転動作を、予め設定された所定のほぐし回数であるM回繰り返して行ったか否かをステップSA5で判断し、回転粉砕歯2Cのほぐし時間T1毎の正転動作と逆転動作がM回繰り返して行われると、ほぐし粉砕処理を終了する。
【0167】
ほぐし粉砕処理が終了すると、本粉砕処理が実行される。本粉砕処理では、図13にステップSA6に示すように、ほぐし時間T1より長い所定の粉砕時間T3の間、粉砕用モータ20Fを正転させて回転粉砕歯2Cを正転させた後、ステップSA7に示すように、所定の待機時間T2の間、粉砕用モータ20Fの駆動を停止する。
【0168】
次に、ステップSA8に示すように、粉砕時間T3の間、粉砕用モータ20Fを逆転させて回転粉砕歯2Cを逆転させた後、ステップSA9に示すように、待機時間T2の間、粉砕用モータ20Fの駆動を停止する。
【0169】
本粉砕処理では、上述したステップSA6〜SA9までの回転粉砕歯2Cの正転動作と逆転動作を、予め設定された所定の粉砕回数であるN回繰り返して行ったか否かをステップSA10で判断し、回転粉砕歯2Cの粉砕時間T3毎の正転動作と逆転動作がN回繰り返して行われると、本粉砕処理を終了して粉砕動作が完了する。
【0170】
上述したように、ほぐし粉砕処理では、本粉砕処理より短いほぐし時間T1で回転粉砕歯2Cを正逆両方向に回転させることで、粉砕容器2A内で水流の向きが短時間で変わり、特に、トイレットペーパと洗浄水とを短時間で混合して、トイレットペーパの繊維をほぐして水溶化することができる。また、本粉砕処理では、ほぐし粉砕処理より長い粉砕時間T3で回転粉砕歯2Cを正逆両方向に回転させることで、処理対象物を排出管102を通して圧縮空気で圧送可能な所望の状態に流動体化できる。そして、ほぐし時間T1を粉砕時間T3より短く、かつ、回数を少なくすることで、粉砕動作での全体の粉砕時間t4を短くできる。
【0171】
上述したすすぎ動作では、図14にステップSB1に示すように、所定のすすぎ時間T4の間、粉砕用モータ20Fを正転させて回転粉砕歯2Cを正転させた後、ステップSB2に示すように、所定の待機時間T2の間、粉砕用モータ20Fの駆動を停止する。
【0172】
次に、ステップSB3に示すように、すすぎ時間T4の間、粉砕用モータ20Fを逆転させて回転粉砕歯2Cを逆転させた後、ステップSA4に示すように、待機時間T2の間、粉砕用モータ20Fの駆動を停止する。
【0173】
すすぎ動作では、上述したステップSB1〜SB4までの回転粉砕歯2Cの正転動作と逆転動作を、予め設定された所定のすすぎ回数であるL回繰り返して行ったか否かをステップSB5で判断し、回転粉砕歯2Cのすすぎ時間T4毎の正転動作と逆転動作がL回繰り返して行われると、すすぎ動作を完了する。
【0174】
すすぎ動作では、洗浄水で粉砕容器2A内を洗浄できれば良いので、すすぎ動作において回転粉砕歯2Cを回転させる時間であるすすぎ時間T4は、粉砕時間T3より短く設定され、例えば、ほぐし時間T1と同じ時間に設定される。これにより、粉砕動作での粉砕時間t4よりすすぎ動作でのすすぎ時間t7を短くして、全体の処理時間を短縮している。
【0175】
図17及び図18は、本実施の形態の粉砕機構部の動作例を示す側断面図、図19は、本実施の形態の粉砕機構部の動作例を示す斜視図、図20は、本実施の形態の粉砕機構部の動作例を示す要部拡大斜視図である。次に、各図を参照して、回転粉砕歯2Cの回転による粉砕動作の詳細について説明する。
【0176】
上述したように、固定粉砕歯2Bの歯部20B及び溝部21Cと、回転粉砕歯2Cの歯部20C及び溝部21Cは、回転体及び回転体と対向した非回転体の内周側から外周側へ直線状に延びる凹凸形状である。
【0177】
これにより、上述した粉砕動作で、粉砕容器2Aに洗浄水とともに処理対象物が取り込まれ、回転粉砕歯2Cが回転すると、図17及び図18に示すように、回転粉砕歯2Cの歯部20C及び溝部21Cと、固定粉砕歯2Bの歯部20B及び溝部21Bに沿って、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間で、内周側から外周側へ向かう水流P1が発生する。
【0178】
固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間で、内周側から外周側へ向かう水流P1が発生すると、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの内周側は周囲より圧力が低下する。回転粉砕歯2Cは、内周側に吸込口22Cが設けられることで、水流P1によって吸込口22から固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間に吸い込まれる水流P2が発生する。
【0179】
また、回転粉砕歯2Cが回転すると、図19に示すように、回転粉砕歯2Cの上面、回転粉砕歯2C及び固定粉砕歯2Bの外周側の周囲、及び回転粉砕歯2Cと固定粉砕歯2Bの間で、円周方向の水流P3が発生する。
【0180】
更に、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間で内周側から外周側へ向かう水流P1が、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの外周から排出されることで、粉砕容器2Aの内周面に沿うような円周方向の水流P3及び吸込口22から吸い込まれる水流P2により、粉砕容器2A内で循環する水流P4が発生する。
【0181】
これにより、粉砕容器2Aに洗浄水とともに取り込まれた処理対象物は、水流P2により吸込口22から固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間に吸い込まれる。固定粉砕歯2Bは、吸込口22と対向する部位に歯部等の凹凸形状の無い取込部22bが形成されることで、トイレットペーパ等の比較的大きな処理対象物を、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間に取り込みやすくなっている。吸込口22から固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間に吸い込まれた処理対象物は、水流P1により、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間を、回転粉砕歯2Cの歯部20C及び溝部21Cと、固定粉砕歯2Bの歯部20B及び溝部21Bに沿って、内周側から外周側へ向かって流れる。
【0182】
固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間を内周側から外周側へ向かって流れる処理対象物は、回転粉砕歯2Cと固定粉砕歯2Bの相対回転による対向する歯部20Bと歯部20Cの円周方向への動き、及び円周方向の水流P3で、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの対向する歯部20Bと歯部20Cの間に取り込まれる。
【0183】
固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cは、歯部20Bと歯部20Cの対向する面が摺るような間隔で軸2Dに支持されており、歯部20Bと歯部20Cの間に取り込まれた処理対象物は、すり潰されて細かく粉砕される。
【0184】
また、回転粉砕歯2Cを正逆両方向に回転させて、歯部20Bと歯部20Cの相対的な円周方向への動き、及び円周方向の水流P3を周期的に逆転させることで、処理対象物を歯部20Bと歯部20Cの間に取り込み易くする。
【0185】
更に、本例では、固定粉砕歯2Bの歯部20Bに円周方向に沿って延びる誘導溝23Bが設けられている。これにより、図20に示すように、処理対象物に含まれる固形物やトイレットペーパ等の繊維質のもの等、比較的大きな処理対象物であっても、回転粉砕歯2Cと固定粉砕歯2Bの正逆方向の相対回転による対向する歯部20Bと歯部20Cの円周方向への動き、及び円周方向の水流P3等で、処理対象物が誘導溝23Bを通ることで粉砕されたり、誘導溝23Bから対向する歯部20Bと歯部20Cの間に入るように誘導される。
【0186】
よって、比較的大きな処理対象物であっても、対向する歯部20Bと歯部20Cの間に取り込まれるまでの時間を短縮でき、粉砕動作の時間を短縮できる。なお、本例では、固定粉砕歯2Bの全ての歯部20Bに誘導溝23Bを設けたが、一部の歯部に20Bに誘導溝23Bを設ける構成でも良い。また、固定粉砕歯2Bの歯部20Bには誘導溝を設けずに、回転粉砕歯2Cの全ての歯部20Cまたは一部の歯部20Cに誘導溝を設ける構成でも良い。更に、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの両方の全ての歯部または一部の歯部に誘導溝を設ける構成でも良い。
【0187】
また、本例では、固定粉砕歯2Bの溝部21Bに誘導突起24Bが設けられている。これにより、図20に示すように、水流P1により固定粉砕歯2Bの溝部21Bに沿って流れる処理対象物は、矢印E1に示すように、誘導突起24Bに乗り上げて、回転粉砕歯2Cと固定粉砕歯2Bの正逆方向の相対回転による対向する歯部20Bと歯部20Cの円周方向への動き、及び円周方向の水流P3で、溝部21Bから対向する歯部20Bと歯部20Cの間及び誘導溝23Bに入るように誘導される。
【0188】
よって、粒状の処理対象物等であっても、対向する歯部20Bと歯部20Cの間に取り込まれるまでの時間を短縮でき、粉砕動作の時間を短縮できる。なお、本例では、固定粉砕歯2Bの複数の溝部21Bに対して、同心円上に一列で誘導突起24Bを設けたが、複数列に設けても良い。また、螺旋上に一列または複数列で誘導突起24Bを設けても良い。更に、ランダムな配置で誘導突起24Bを設けても良い。また、固定粉砕歯2Bには誘導突起を設けずに、回転粉砕歯2Cに誘導突起を設けても良く、更に、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの両方に誘導突起を設けても良い。
【0189】
更に、本例では、回転粉砕歯2Cは、固定粉砕歯2Bに対して上下動が可能である。これにより、対向する歯部20Bと歯部20Cの隙間に入りづらいような大きさの処理対象物が固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間に取り込まれると、回転粉砕歯2Cと固定粉砕歯2Bの相対回転による対向する歯部20Bと歯部20Cの円周方向への動き、及び円周方向の水流P3等で、図7に破線で示すように、回転粉砕歯2Cが上側に動いて対向する歯部20Bと歯部20Cの間隔が広がって誘導隙間Dが形成され、対向する歯部20Bと歯部20Cの間に入るように誘導される。
【0190】
よって、処理対象物の大きさによらず、対向する歯部20Bと歯部20Cの間に取り込まれるまでの時間を短縮でき、粉砕動作の時間を短縮できる。
【0191】
固定粉砕歯2Bは、取込部22Bと歯部20B及び溝部21Bが、固定粉砕歯2Bの内周側から外周側へ向けて高さが低くなる方向に傾斜して、回転粉砕歯2Cと対向する上面が、内周側より外周側が低い凸状を成して略円錐状となっている。
【0192】
また、回転粉砕歯2Cは、歯部20C及び溝部21Cが、回転粉砕歯2Cの内周側から外周側へ向けて高さが低くなる方向に傾斜して、固定粉砕歯2Bと対向する下面が、固定粉砕歯2Bの凸状に倣うように、内周側より外周側が低い凹状を成して略逆円錐状となっている。
【0193】
これにより、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間に取り込まれた処理対象物、及び処理対象物を粉砕して生成した流動体が、固定粉砕歯2B及び回転粉砕歯2Cの内周側から外周側へ自重で流れ、誘導突起24Bに乗り上げやすくなると共に、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間で滞留することを防止できる。
【0194】
粉砕機構部2では、固定粉砕歯2Bの周辺部に設けられた排出溝20Aが、排出口21Aに向かって下降する方向に傾斜している。これにより、回転粉砕歯2Cの回転で、排出溝20Aに沿うように傾斜した円周方向の水流を発生させることができ、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの対向する歯部20Bと歯部20Cの間に処理対象物を取り込みやすくなる。
【0195】
また、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの対向する面が略円錐状となっていることでも、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの外周から排出される水流が水平面に対して傾斜し、排出溝20Aの傾斜及び回転粉砕歯2Cの正逆回転と共に、対向する歯部20Bと歯部20Cの間に処理対象物を取り込みやすくなるような循環流を発生させることができる。
【0196】
更に、排出溝20Aが排出口21Aに向かって下降する方向に傾斜し、かつ、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの対向する面が略円錐状となっていることで、粉砕動作が完了して搬送動作を実行する際に、回転粉砕歯2Cの回転が停止しても、流動体が固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間で内周側から外周側へ自重で流れ、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間で滞留することを防止できる。なお、搬送動作を実行する際に、回転粉砕歯2Cを粉砕動作より低速で回転させることとすれば、流動体の自重に加えて固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間で内周側から外周側へ向かう水流P1等により流動体の排出をより促進することができる。また、固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの外周から排出溝20Aに排出された流動体が、排出口21A方向に流れ、粉砕容器2A内に滞留させることなく排出口21Aから圧送タンク3へ搬送できる。
【0197】
粉砕機構部2では、回転粉砕歯2Cの上面で粉砕容器2Aを仕切る仕切り部材2Eが設けられる。これにより、回転粉砕歯2Cの回転により発生する円周方向の水流P3は、仕切り部材2Eの仕切り板20Eに当てられて吸込口22Cに向かう水流P5が生成され、吸込口22Cへ誘導される。
【0198】
よって、上述した便器洗浄動作で仕切り弁13を開いて粉砕機構部2の粉砕容器2Aの取込空間22Eに洗浄水とともに取り込まれた処理対象物は、回転粉砕歯2Cの回転により発生する円周方向の水流P3により仕切り板20Eに当てられ、水流P5により吸込口22Cに向けられて、吸込口22から固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間に吸い込まれる。
【0199】
これにより、吸込口22から固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間に吸い込まれる処理対象物の量を増やすことができる。また、回転粉砕歯2Cを正逆両方向に回転させることで、取込空間22E内で循環する水流の向きが反転し、吸込口22から固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間に吸い込まれる処理対象物の量を更に増やすことができ、処理対象物を所望の粒度に粉砕するまでの時間を短くすることができる。
【0200】
粉砕機構部2では、仕切り板20Eの下面と回転粉砕歯2Cの上面の間に、円周方向の水流P3が通るような導水部24Eが設けられる。これにより、回転粉砕歯2Cの回転により発生する円周方向の水流P3の一部は、導水部24Eを通り仕切り板20Eを挟んで取込空間22Eと反対側の空間に流れ込む。
【0201】
よって、仕切り板20Eの取込空間22E側と反対側の空間の両方で、吸込口22Cに向かう水流P5を発生させることができ、吸込口22Cから固定粉砕歯2Bと回転粉砕歯2Cの間に吸い込まれる処理対象物の量をより増やすことができ、処理対象物を所望の粒度に粉砕するまでの時間を短くすることができる。
【0202】
粉砕機構部2では、仕切り板20Eの上面に付着抑制部25Eが設けられる。これにより、回転粉砕歯2Cの回転により発生する円周方向の水流P3が弱い粉砕容器2Aの内周側では、仕切り板20Eと粉砕容器2Aの蓋部22Aとの隙間が広げられることで、処理対象物に含まれる繊維物が仕切り板20E上に付着することを防ぐことができ、粉砕容器2A内の残留物を減らすことができる。
【0203】
粉砕機構部2では、粉砕容器2Aを径方向の略中心で仕切るように仕切り板20Eが設けられることで、取込空間22Eを大きくすることができ、トイレットペーパ等の大きな処理対象物でも、仕切り板20Eを有した粉砕容器2A内に取り込むことができる。そして、粉砕機構部2では、軸2Dを避けるため、仕切り板20Eと軸2Dの間に隙間が形成される退避部23Eが仕切り板20Eに設けられる。これにより、処理対象物に含まれる繊維物が軸2D及び軸2D近傍の仕切り板20Eに付着することを防ぐことができ、粉砕容器2A内の残留物を減らすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0204】
本発明は、家庭や公共施設等に設置される一般的なトイレ装置や、屋外その他での簡易的に設置使用されたり、車載用等として使用されたりするポータブルトイレ装置や、介護用のトイレ装置に適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0205】
1・・・便器本体、1a・・・便座蓋、1b・・・便座、1c・・・温水洗浄便座装置、10S・・・便座蓋開閉検知センサ、11S・・・満水センサ、12・・・排出口、13・・・仕切り弁、14・・・仕切り弁開閉機構部、15・・・接続部、16M・・・投入口モータ、16S1・・・投入口開位置検出スイッチ、16S2・・・投入口閉位置検出スイッチ、17・・・駆動力伝達機構部、18a・・・封止部材、18b・・・封止部材、18c・・・封止部材、2・・・粉砕機構部、2A・・・粉砕容器、20A・・・排出溝、21A・・・排出口、22A・・・蓋部、23A・・・開口部、24A・・・封止部材、26A・・・軸支持部、27A・・・軸支持部、28A・・・軸穴部、29A・・・取付溝部、2B・・・固定粉砕歯、20B・・・歯部、21B・・・溝部、22B・・・取込部、23B・・・誘導溝、24B・・・誘導突起、2C・・・回転粉砕歯、20C・・・歯部、21C・・・溝部、22C・・・吸込口、23C・・・ハブ、24C・・・腕部、25C・・・軸取付穴部、2D・・・軸、20D・・・動力伝達面、21D・・・軸受支持部、22D・・・軸受支持部、23D・・・動力伝達部、24D・・・軸受、24Da・・・封止部材、2E・・・仕切り部材、20E・・・仕切り板、21E・・・支持板、22E・・・取込空間、23E・・・退避部、24E・・・導水部、25E・・・付着抑制部、2F・・・粉砕歯駆動部、20F・・・粉砕用モータ、21F・・・第1の小プーリ、22F・・・減速プーリ、23F・・・第2の大プーリ、24F・・・第1のベルト、25F・・・第2のベルト、2G・・・排出弁開閉機構部、20G・・・排出弁、21G・・・排出弁モータ、22G・・・駆動力伝達機構部、23S1・・・排出弁開位置検出スイッチ、23S2・・・排出弁閉位置検出スイッチ、3・・・圧送タンク、3a・・・連結管、3b・・・空気供給管、3c・・・排出配管、3d・・・排出ジョイント部、3e・・・エア抜き管、4・・・給水タンク、4a・・・給水配管、4b・・・給水ジョイント部、4c・・・便座用給水配管、40a・・・タンク電磁弁、40b・・・第1の流量センサ、41・・・洗浄水供給配管、42・・・洗浄水弁、43・・・洗浄水弁モータ、44a・・・便座電磁弁、44b・・・第2の流量センサ、5・・・トイレ、50・・・給水タンク、51・・・便器、6・・・エアコンプレッサ、60・・・圧力センサ、61・・・エア抜き電磁弁、100・・・トイレ装置、101・・・給水管、102・・・排出管、110・・・制御装置、111・・・操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄された汚物、トイレットペーパ、または汚物とトイレットペーパを処理対象物とし、前記処理対象物と洗浄水とを便器本体で受容するとともに粉砕機構部によって粉砕して流動体と成し、前記流動体を廃棄場所へ導いて排出するトイレ装置であって、
前記粉砕機構部は、歯部が対向して相対回転する一対の粉砕歯と、前記粉砕歯を収容する有底状の粉砕容器を備え、
前記粉砕歯は、内周側から外周側へ延びる複数の凸部を円周方向に並べて前記歯部が形成され、前記歯部の間の凹部で、前記粉砕歯の相対回転により水流を発生させる溝部が形成される
ことを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
排泄された汚物、トイレットペーパ、または汚物とトイレットペーパを処理対象物とし、前記処理対象物と洗浄水とを便器本体で受容するとともに粉砕機構部によって粉砕して流動体と成し、前記流動体を廃棄場所へ導いて排出するトイレ装置であって、
前記粉砕機構部は、歯部が対向して相対回転する一対の粉砕歯と、前記粉砕歯を収容する有底状の粉砕容器を備え、
一対の前記粉砕歯の間に取り込まれた前記処理対象物を、前記粉砕歯の相対回転及び前記粉砕歯の相対回転により発生する水流で、対向する前記歯部の間に誘導する誘導手段を備えた
ことを特徴とするトイレ装置。
【請求項3】
排泄された汚物、トイレットペーパ、または汚物とトイレットペーパを処理対象物とし、前記処理対象物と洗浄水とを便器本体で受容するとともに粉砕機構部によって粉砕して流動体と成し、前記流動体を廃棄場所へ導いて排出するトイレ装置であって、
前記粉砕機構部は、歯部が対向して相対回転する一対の粉砕歯と、前記粉砕歯を収容する有底状の粉砕容器を備え、
前記粉砕歯は、内周側から外周側へ延びる複数の凸部を円周方向に並べて前記歯部が形成され、前記歯部の間の凹部で、前記粉砕歯の相対回転により水流を発生させる溝部が形成されると共に、
前記一対の粉砕歯のうちの下側に配置される粉砕歯は、内周側より外周側が低い凸状を成して形成され、
前記一対の粉砕歯のうちの上側に配置される粉砕歯は、下側の前記粉砕歯の凸状に倣う凹状を成して形成される
ことを特徴とするトイレ装置。
【請求項4】
排泄された汚物、トイレットペーパ、または汚物とトイレットペーパを処理対象物とし、前記処理対象物と洗浄水とを便器本体で受容するとともに粉砕機構部によって粉砕して流動体と成し、前記流動体を廃棄場所へ導いて排出するトイレ装置であって、
前記粉砕機構部は、歯部が対向して相対回転する一対の粉砕歯と、前記粉砕歯を収容する有底状の粉砕容器を備え、
前記粉砕歯は、内周側から外周側へ延びる複数の凸部を円周方向に並べて前記歯部が形成され、前記歯部の間の凹部で、前記粉砕歯の相対回転により水流を発生させる溝部が形成されると共に、
前記粉砕機構部は、前記粉砕容器の底部に前記流動体を排出する排出口を備え、
前記粉砕容器は、前記底部が前記排出口に向かって下降する方向に傾斜して設けられる
ことを特徴とするトイレ装置。
【請求項5】
排泄された汚物、トイレットペーパ、または汚物とトイレットペーパを処理対象物とし、前記処理対象物と洗浄水とを便器本体で受容するとともに粉砕機構部によって粉砕して流動体と成し、前記流動体を廃棄場所へ導いて排出するトイレ装置であって、
前記粉砕機構部は、歯部が対向して相対回転する一対の粉砕歯と、前記粉砕歯を収容する有底状の粉砕容器を備え、
前記粉砕歯は、内周側から外周側へ延びる複数の凸部を円周方向に並べて前記歯部が形成され、前記歯部の間の凹部で、前記粉砕歯の相対回転により水流を発生させる溝部が形成され、
前記一対の粉砕歯のうちの下側に配置される粉砕歯は、前記粉砕容器に固定される固定粉砕歯で構成され、
前記一対の粉砕歯のうちの上側に配置される粉砕歯は、回転駆動される回転粉砕刃で構成されると共に、
前記粉砕機構部は、前記粉砕容器の底部に前記流動体を排出する排出口を備え、
前記粉砕容器は、前記固定粉砕刃の周辺部に前記底部が前記排出口に向かって下降する方向に傾斜して設けられる
ことを特徴とするトイレ装置。
【請求項6】
前記一対の粉砕歯のうちの少なくとも一方の粉砕歯は、前記粉砕歯の相対回転により対向する前記粉砕歯の間で発生する前記粉砕歯の内周側から外周側へ向かう水流で、対向する前記粉砕歯の間に前記処理対象物を吸い込む吸込口が内周側に形成される
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記粉砕機構部は、一対の前記粉砕歯の間に取り込まれた前記処理対象物を、前記粉砕歯の相対回転及び前記粉砕歯の相対回転により発生する水流で、対向する前記歯部の間に誘導する誘導手段を備えた
ことを特徴とする請求項1、または請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項8】
前記誘導手段は、少なくとも一方の前記粉砕歯の全てまたは一部の前記歯部に、前記粉砕歯の円周方向に沿って延びる複数の誘導溝を、前記粉砕歯の径方向に沿って形成した
ことを特徴とする請求項2または請求項7記載のトイレ装置。
【請求項9】
前記誘導手段は、少なくとも一方の前記粉砕歯の全てまたは一部の前記溝部に、前記歯部より高さが低い1個または複数の誘導突起を形成した
ことを特徴とする請求項2、請求項7または請求項8記載のトイレ装置。
【請求項10】
一対の前記粉砕歯の少なくとも一方が、前記粉砕歯の間に取り込まれた前記処理対象物により、前記粉砕歯の相対回転で、対向する前記歯部の間隔が接離する方向に移動可能に設けられる
ことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−36684(P2012−36684A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179843(P2010−179843)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】