説明

トナーの製造装置及びトナーの製造方法、並びにトナー

【課題】高い周波数での連続駆動による連続的な液滴吐出を実現でき、非常に高い生産性を有し、初期の液滴の合一のない、粒度分布がシャープなトナーを安定的に製造できるトナーの製造装置の提供。
【解決手段】少なくとも1つの吐出孔が開口された液柱共鳴液室内のトナー組成液に振動発生部によって振動を付与して液柱共鳴による圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を液滴状に吐出する液滴吐出手段と、前記液滴を気流によって搬送し、固化する液滴固化手段とを有し、前記液滴固化手段が、前記液滴の放出方向下流側に配置され、前記気流を下流側に案内する気流案内孔を有し、前記気流案内孔が、開口径が最小となる絞り部と、入口部とを有し、前記気流案内孔における開口面が、前記吐出孔の表面から前記絞り部に向かうに従い、漸次縮小する入口部テーパ形状であるトナーの製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーの製造装置及びトナーの製造方法、並びにトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
均一性を要する樹脂微粒子としては、電子写真用のトナー微粒子、液晶パネルのスペーサー粒子、電子ペーパー用の着色微粒子、医薬品の薬剤担持体としての微粒子など、様々な用途で利用されている。均一な微粒子を製造する方法としては、ソープフリー重合法など、液中で反応を誘起して均一な粒子径の樹脂微粒子を得る方法が知られているが、水溶液中で微粒子を反応させるために、製品には含まれないが水溶液中に生成する副生物により、該水溶液の反応溶液としての再利用が困難であるため環境負荷の高い製造方法である。また、金属微粒子の一例としては、ボールはんだ粒子、その他、均一なシリコーン微粒子を使った太陽電池などが近年注目されている。
【0003】
従来、トナーの製造方法の一般的な方法として粉砕法が知られている。この粉砕法では、先ずトナー組成物を二本のロール、二軸の押出機などにより溶融混練して冷却した後、粗粉砕処理、微粉砕処理、分級処理が行われる。必要に応じて、ヘンシェルミキサーなどで流動化剤などの外添剤の混合処理が行われる。前記粗粉砕処理では、ロートプレックス、パルペライザーなどが用いられ、前記微粉砕処理では、ジェットミル、ターボミルなどが使用される。また、前記分級処理では、エルボジェット、各種の風力分級装置などの公知の製造装置が用いられる。
【0004】
粉砕法以外の他のトナー製造方法として、噴霧法が知られている。前記噴霧法は、液体を加圧して吐出孔から噴霧する一流体吐出孔(加圧吐出孔)噴霧機、液体と圧縮気体を混合して噴霧する多流体スプレー吐出孔噴霧機、回転する円盤を用いて液体を遠心力により液滴化する回転円盤型噴霧機などを用いてトナー組成液を気相中で液滴化する方法である。このような噴霧法では、噴霧と乾燥を同時に行うスプレードライシステムという市販の装置を用いることができる。このスプレードライシステムを用いても十分な乾燥ができない場合は、流動床乾燥等の二次乾燥を行い、必要に応じてヘンシェルミキサーなどで流動化剤などの外添剤の混合を行う。
【0005】
しかしながら、前記粉砕法や前記噴霧法で小粒径のトナーを製造すると微粉含有量が非常に多くなるという欠点がある。微粉は、キャリアや現像装置を汚染しやすいため分級工程で除去せねばならないが、多くの微粉を除去するため、生産性の低下や製造コストが高くなるという問題がある。
【0006】
また、さらなる他のトナー製造方法として、吐出造粒法が知られている。この吐出造粒法は、前記噴霧法のように液体を滴化して固化させる部分は同一であるが、振動発生手段を用いてトナーと同程度の直径を持つ吐出孔から液滴を吐出する部分で異なる。この吐出造粒法の一つとして、加圧室を一方向に加圧してノズルから液柱を発生させ、微弱な超音波振動によって液柱を分断して液滴化し、これを乾燥固化してトナー化するトナー製造方法及びその装置が提案されている(特許文献1参照)。このようなトナー製造装置では、液滴吐出ユニットの加圧室に供給するトナー組成液を収容するトナー組成液収容器を備え、このトナー組成液収容器には、収容されるトナー組成液を撹拌して、流れを生じさせる撹拌部材が配置されることが一般的である。そして、トナー組成液収容器では、撹拌部材によって流れを生じさせることで、トナー組成液中で各材料が均一に分散した状態を保つことができ、トナー組成液中で各材料が不均一に分散した材料不均一分散状態となることを抑制できる。トナー組成液に対して一方向に加圧して貫通孔より液柱を形成する。そして、形成された液柱に振動発生手段によって微小な振動を与えてレイリー分裂を誘起させて均一な液滴を形成している。そして、その液滴を固化させてトナー母体粒子を製造する。このようなレイリー分裂方式は、液を加圧して吐出させるため、振動発生手段による微弱な振動を発生させるだけでよく、低い電圧で粒子化することが可能であるというメリットがある。
【0007】
しかしながら、前記トナー製造方法では、レイリー分裂を利用するために吐出孔の内径の2倍程度となる粒径の液滴を形成する必要があるため、小粒径のトナーを製造する際、吐出孔の内径を小さくする必要があり、更には、貯留部において液が一方向的に加圧され、トナーの組成によって吐出孔内部にトナー成分の詰まりが発生するという問題があった。
【0008】
さらに、前記吐出造粒法を用いた他の従来例として、ヘッド部ではトナー原料を貯留する原料貯留部に貯留されている原料全体を均一に加圧して吐出させる加圧パルス動作が行われ、吐出孔からトナー原料が吐出される液滴吐出方法が知られている(特許文献2参照)。以下、この文献に開示されている液滴吐出の原理について図17を用いて概説する。図17中には原料貯留部内の圧力値も併記してある。この液滴吐出方法は、原料貯留部内で以下に示す3つの状態を繰り返す動作を行い、間欠的に液滴を形成する方法である。ヘッド部は、第一の状態として、吐出信号が入力されていない、即ち、図17の(a)に示すように、圧電体に変形が生じず、原料貯留部に容積変化が生じず、吐出孔から原料液が吐出されない状態にある。次に、第二の状態として、吐出信号が入力され、図17の(b)、(c)に示すように、圧電体が原料貯留部内部側に変位し、原料貯留部の体積が減少する。このとき、原料貯留部全体内の圧力が均一に瞬間的に高まり、吐出孔から液滴が吐出される。このとき、原料貯留部と連通し、かつ原料液を収容するフィーダーと呼ばれる原料収容部(図示せず)側にも原料が流れている。次に、第三の状態として、1液滴の原料の吐出が終了した後、図17の(d)、(e)に示すように、電圧の印加を停止し、圧電素子がほぼ元の形状に戻る。このとき、原料貯留部内の原料液には負圧力が作用し、吐出量に見合った量の原料液が原料収容部から原料貯留部へ流れて供給される。
【0009】
しかしながら、前記液滴吐出方法は、原料貯留部内で三つの状態を繰り返す動作を行って原料液を間欠的に吐出する方法であり、この動作において吐出により減少した原料液を原料貯留部内に供給した後、原料液が吐出されない第一の状態を経る必要がある。そのため、前記液滴吐出方法では、この第一の状態の時間に相当する分、製造工程時間全体から鑑みれば時間的なロスが発生し、かつその時間的なロス分に相当するトナーの生産効率を低下させてしまうという問題がある。
また、この液滴吐出方法では、一般的に大きな液滴が形成されてしまうため、乾式トナー粒子を得るためには、小さな径の吐出部とするか、原料の希釈を行う必要があった。しかし、吐出部のサイズを小さくすると、必然的にトナー構成要素として必須の顔料、必要に応じて添加する離型剤などの固形分散体が閉塞する確率が飛躍的に高まるため、生産安定性に問題がある。
更に、原料を希釈すると、希釈液を乾燥固化させるエネルギーが大きくなり、よって生産効率が大きく低下するという問題がある。また、生産効率が低下することで原料貯留部に原料液を貯留する時間が長時間となり、よって原料液の滞留が発生し、長期的な生産においてトナー原料分の固着が発生してしまうという問題もある。
【0010】
また、吐出造粒法を用いた他の従来例として、ヘッド部において複数の吐出孔が形成された薄膜を振動させることにより、貯留部に供給され、貯留されるトナー組成液を、複数の吐出孔から吐出し、液滴放出方向下流側に配された吐出孔形成領域に対応する絞り部を通じて液滴放出方向に流れる気流を形成する気流形成手段を備えることで、吐出された液滴の液滴間隔を広げ、液滴の合一を防止しつつ、液滴を固化させてトナー母体粒子を製造するトナーの製造方法及び製造装置が開示されている(特許文献3参照)。
【0011】
しかしながら、前記トナーの製造方法では、液滴放出方向下流側に配された吐出孔形成領域に対応する絞り部を通じて液滴放出方向に流れる気流を形成する気流路形成部材を備えることで、吐出された液滴の液滴間隔を広げ、粒度分布がシャープなトナーを製造することができるが、初期、即ち、液滴吐出直後の液滴の合一防止については、十分ではなく、検討の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高い周波数での連続駆動による連続的な液滴吐出を実現でき、非常に高い生産性を有し、初期の液滴の合一のない、粒度分布がシャープなトナーを安定的に製造できるトナーの製造方法及びトナーの製造装置、並びにトナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも1つの吐出孔からトナー組成液を液滴状に吐出する液滴吐出手段と、前記液滴を気流によって搬送し、固化する液滴固化手段とを有するトナー製造装置であって、
前記トナー組成液が、トナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散させてなり、
前記液滴吐出手段が、前記吐出孔が開口された液柱共鳴液室と、該液柱共鳴液室内の前記トナー組成液に振動を付与する振動発生部とを有し、該振動発生部によって前記液柱共鳴液室内の前記トナー組成液に振動を付与して液柱共鳴による圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を液滴状に吐出し、
前記液滴固化手段が、前記液滴の吐出方向下流側に配置され、前記気流を下流側に案内する気流案内孔を有し、
前記気流案内孔が、開口径が最小となる絞り部と、入口部とを有し、
前記気流案内孔における前記吐出孔の開口軸と垂直な開口面が、前記入口部において、前記吐出孔の表面から前記絞り部に向かうに従い、漸次縮小するテーパ形状であることを特徴とするトナーの製造装置である。
<2> 気流案内孔が、出口部を更に有し、
前記気流案内孔における吐出孔の開口軸と垂直な開口面が、前記出口部において、絞り部から液滴の搬送方向下流側に向かうに従い、漸次拡大するテーパ形状である前記<1>に記載のトナーの製造装置である。
<3> 液滴固化手段が、液柱共鳴液室の外周から気流案内孔に気流を流通させる気流流路を更に有し、前記気流流路が、液滴の吐出方向に均一な速度分布を有する気流を形成する前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
<4> 吐出孔が、1つの液柱共鳴液室に、複数形成された前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
<5> 液柱共鳴液室の長手方向の両端における、少なくとも一部に反射壁面が設けられた前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
<6> トナー組成液に対して、下記式(1)が成立する周波数fの振動を付与する前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
f=N×c/(4L) ・・・式(1)
(ただし、式中、Lは、液柱共鳴液室の長手方向の長さ、cは、トナー組成液の音波の速度、Nは、整数をそれぞれ表す。)
<7> トナー組成液に対して、下記式(2)が成立する周波数fの振動を付与する前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le) ・・・式(2)
(ただし、式中、Lは、液柱共鳴液室の長手方向の長さ、Leは、液供給路側の端部と、該端部に最も近い吐出孔の中心部との距離、cは、トナー組成液の音波の速度、Nは、整数をそれぞれ表す。)
<8> トナー組成液に対して、下記式(3)が成立する周波数fの振動を付与する前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・式(3)
(ただし、式中、Lは、液柱共鳴液室の長手方向の長さ、Leは、液供給路側の端部と、該端部に最も近い吐出孔の中心部との距離、cは、トナー組成液の音波の速度、Nは、整数をそれぞれ表す。)
<9> Le/L>0.6である前記<7>から<8>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
<10> 振動の周波数が、300kHz以上の高周波振動である前記<1>から<9>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
<11> 少なくとも1つの吐出孔からトナー組成液を液滴状に吐出する液滴吐出工程と、前記液滴を気流によって搬送し、固化する液滴固化工程とを含むトナー製造方法であって、
前記トナー組成液が、トナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散させてなり、
前記液滴吐出工程が、前記吐出孔が開口された液柱共鳴液室内の前記トナー組成物に振動を付与して液柱共鳴による圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成物を液滴状に吐出し、
前記液滴固化工程が、前記液滴の吐出方向下流側に配置され、前記気流を下流側に案内する気流案内孔を介して、前記液滴を気流によって搬送することを含み、
前記気流案内孔が、開口径が最小となる絞り部と、入口部とを有し、
前記気流案内孔における前記吐出孔の開口軸と垂直な開口面が、前記入口部において、前記吐出孔の表面から前記絞り部に向かうに従い、漸次縮小するテーパ形状であることを特徴とするトナーの製造方法である。
<12> 気流案内孔が、出口部を更に有し、
前記気流案内孔における吐出孔の開口軸と垂直な開口面が、前記出口部において、絞り部から液滴の搬送方向下流側に向かうに従い、漸次拡大するテーパ形状である前記<11>に記載のトナーの製造方法である。
<13> 液滴固化工程が、液柱共鳴液室の外周から気流案内孔に気流を流通させることを更に含み、前記気流が、液滴の吐出方向に均一な速度分布を有する前記<11>から<12>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<14> 前記<11>から<13>のいずれかに記載のトナーの製造方法により得られたことを特徴とするトナーである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、高い周波数での連続駆動による連続的な液滴吐出を実現でき、非常に高い生産性を有し、初期の液滴の合一のない、粒度分布がシャープなトナーを安定的に製造できるトナーの製造方法及びトナーの製造装置、並びにトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るトナー製造装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】図2は、図1の液滴吐出手段における液滴吐出ヘッドの構成を示す断面図である。
【図3】図3は、図1の液滴吐出手段の構成を示すA−A’線断面図である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施形態に係るトナー製造装置の気流案内孔の一例を示す模式図である。
【図4B】図4Bは、本発明の一実施形態に係るトナー製造装置の気流案内孔の他の一例を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係るトナー製造装置主要部の一例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係るトナー製造装置主要部の他の一例を示す図である。
【図7】図7は、液滴吐出ヘッドの液柱共鳴室内の液柱共鳴現象の様子を示す概略図である。
【図8】図8は、N=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
【図9】図9は、N=4、5の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
【図10】図10は、液滴吐出手段における液滴吐出ヘッド内の液柱共鳴液室で生じる液柱共鳴現象の様子を示す概略図である。
【図11】図11は、実際の液滴吐出の様子を示す図である。
【図12】図12は、駆動周波数と液滴吐出速度周波数特性を示す特性図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態に係るトナー製造装置の液滴吐出ヘッドの一例を示す図である。
【図14】図14は、本発明の一実施形態に係るトナー製造装置の液滴吐出ヘッドの他の一例を示す図である。
【図15】図15は、本発明の一実施形態に係るトナー製造装置の液滴吐出ヘッドの他の一例を示す図である。
【図16】図16は、液滴吐出手段の比較例を示す図である。
【図17】図17は、従来のトナー製造装置におけるトナー液滴ヘッドの液滴動作の様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(トナーの製造方法及びトナーの製造装置)
本発明のトナーの製造方法は、液滴吐出工程と、液滴固化工程とを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明のトナーの製造装置は、液滴吐出手段と、液滴固化手段とを少なくとも有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
【0017】
<液滴吐出工程及び液滴吐出手段>
前記液滴吐出工程は、少なくとも1つの吐出孔からトナー組成液を液滴状に吐出する工程である。本発明においては、前記液滴吐出工程において、前記吐出孔が開口された液柱共鳴液室内の前記トナー組成液に振動を付与して液柱共鳴により圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を液滴状に吐出することを必要とし、該液滴吐出工程は、前記液滴吐出手段により実施することができる。
【0018】
前記液滴吐出手段は、前記吐出孔が開口された液柱共鳴液室と、該液柱共鳴液室内の前記トナー組成液に振動を付与する振動発生部とを有し、該振動発生部によって前記液柱共鳴液室内の前記トナー組成液に振動を付与して液柱共鳴による圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を液滴状に吐出することを必要とする。
【0019】
<<吐出孔>>
前記吐出孔としては、前記圧力定在波の腹となる領域に形成されたものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記圧力定在波の腹となる領域の少なくとも1つに対して、複数形成されたものが好ましく、また、1つの液柱共鳴液室に、複数形成されたものが好ましい。
【0020】
前記圧力定在波の腹となる領域とは、液柱共鳴定在波の圧力波において振幅が大きく、圧力変動が大きい領域であり、かつ液滴を吐出するのに十分な大きさの圧力変動を有する領域である。そのような圧力定在波の腹となる領域としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記圧力定在波の振幅が極大となる位置(速度定在波としての節)から極小となる位置に向かって±1/3波長が好ましく、±1/4波長がより好ましい(図7参照)。前記吐出孔が、前記圧力定在波の腹となる領域に形成されていると、複数の吐出孔が開口されていても、それぞれの吐出孔からほぼ均一な液滴を形成することができ、更には、効率的に液滴の吐出を行うことができ、低い電圧で駆動することができ、吐出孔の詰まりも生じ難くなる点で好ましい。
【0021】
前記1つの液柱共鳴液室に形成された吐出孔の個数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1つでも構わないが、複数個配置することが生産性の観点から好ましく、2個〜100個が好ましく、4個〜60個がより好ましい。前記吐出孔の個数が、100個を超えると、100個の吐出孔から所望のトナー組成液の液滴を形成させる場合に、前記振動発生部に与える電圧を高く設定する必要が生じ、前記振動発生部の挙動が不安定となることがある。
【0022】
前記吐出孔の開口径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜40μmが好ましく、2μm〜15μmがより好ましく、6μm〜12μmが特に好ましい。前記開口径が、1μm未満であると、形成される液滴が非常に小さくなるためトナーを得ることができない場合がある。また、トナー組成液の成分として顔料などの固形微粒子が含有された場合、前記吐出孔の閉塞が頻繁に発生して生産性が低下する恐れがある。また、前記開口径が、40μmを超えると、トナー液滴の直径が大きく、これを乾燥固化させて所望のトナー粒子径を得る場合、有機溶媒でトナー組成を非常に希薄な液に希釈する必要がある場合があり、一定量のトナーを得るために乾燥エネルギーが大量に必要となってしまい、不都合となる。一方、前記開口径が、6μm〜12μmであると、吐出孔が開口する部材を製造する際に、多数の吐出孔の孔径ばらつきを小さく保つことができ、吐出孔を密集させて生産性を高く保つことができるため有利である。
なお、前記吐出孔の開口径とは、吐出孔の液滴が吐出される側に位置する開口部の直径であり、真円であれば直径を意味し、楕円、又は四角形、六角形、八角形等の多角形乃至正多角形であれば平均径を意味する。
【0023】
前記複数の吐出孔の形状としては、互いに異なる形状のものを含み、前記複数の吐出孔の間でトナー組成液を均一に吐出できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
このような吐出孔の形状としては、例えば、前記吐出孔の開口径が液滴(トナー組成液)の吐出方向に向かって小さくなるテーパ角を有するテーパ形状が好ましい。
ここで、「テーパ角」とは、前記吐出孔の開口軸と、前記吐出孔の形成面の厚み方向の断面における、前記吐出孔の断面形状の側面とのなす角度をいい、「吐出孔の開口軸」とは、前記吐出孔の開口面(吐出孔の形成面の厚み方向に対して垂直な面)に対する垂線を意味する。なお、「テーパ」とは、例えば、線形テーパ、指数関数テーパ、放物線テーパ、及びこれらの組合せなどが挙げられる。
【0024】
また、複数の吐出孔が形成された場合、圧力定在波の腹となる領域の1つにおける前記吐出孔間のピッチ(隣接する吐出孔の中心部間の最短間隔)は、20μm〜200μmが好ましく、30μm〜135μmがより好ましい。前記吐出孔間のピッチが20μm未満であると、隣合う吐出孔より放出された液滴同士が衝突して大きな滴となってしまう確率が高くなり、トナーの粒径分布悪化につながる。
前記吐出孔間のピッチは、複数の吐出孔間において、全て等間隔であってもよく、少なくとも1つのピッチが異なっていてもよいが、等間隔であることが、均一な粒径のトナーを得ることができる点で好ましい。
【0025】
<<液柱共鳴液室>>
前記液柱共鳴液室とは、後述する液柱共鳴現象の原理に従い、前記振動発生部によって付与される振動により圧力定常波を形成することができる液室であり、該圧力定在波の腹となる領域に吐出孔が形成され、液柱共鳴液室の長手方向の端部にトナー組成液供給のための連通口を有してなり、必要に応じて、前記液柱共鳴液室の長手方向の片端乃至両端における、少なくとも一部に該長手方向の軸と垂直な反射壁面を有する。前記液柱共鳴液室としては、該液柱共鳴液室の長手方向と平行な壁の1つに配置された振動発生部を有することが好ましく、また、該振動発生部が配置された壁と対面する壁に前記吐出孔が形成されたことが好ましい。
前記液柱共鳴液室の形状としては、前記振動により圧力定常波を形成することができれば特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、四角柱(長方体)、円柱、円すい台などが挙げられる。
前記液柱共鳴液室の長手方向の両端における、少なくとも一部に反射壁面が設けられることが好ましい。ここで、「反射壁面」とは、液体の音波を反射させる程度に硬質な部材、例えば、アルミ、ステンレス等の金属部材、シリコーン等の部材などにより形成された壁面をいう。
また、図2に示すように、前記液柱共鳴液室の長手方向の両端の壁面間の長さLは、後述するような液柱共鳴原理に基づいて決定される。また、図3に示すように、前記液柱共鳴液室の幅Wとしては、液柱共鳴に余分な周波数を与えないように、前記液柱共鳴液室の長さLの2分の1より小さいことが好ましい。
【0026】
また、前記液柱共鳴液室としては、前記振動の駆動周波数においてトナー組成液の共鳴周波数に影響を与えない程度の高い剛性を持つ材質により形成されたフレームがそれぞれ接合されて形成されたことが好ましく、そのような材質としては、例えば、金属、セラミックス、シリコーンなどが挙げられる。
【0027】
更に、前記液柱共鳴液室は、生産性を飛躍的に向上させるために1つの液滴吐出手段に対して複数配置されることが好ましい。1つの液滴吐出手段に対して設置される液柱共鳴液室の個数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、操作性と生産性が両立できる点において、100個〜2,000個が好ましく、100個〜1,000個がより好ましく、100個〜400個が特に好ましい。
ここで、各々の前記液柱共鳴液室には、液供給のための流路が液共通供給路から連通接続されており、前記液共通供給路は、複数の前記液柱共鳴液室と連通している。
【0028】
<<振動発生部>>
前記振動発生部としては、所定の周波数で駆動でき、液柱共鳴液室内の前記トナー組成液に振動を付与するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧電体、超音波振動発生体などが挙げられる。
前記圧電体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶などの材質から形成された圧電体などが挙げられる。前記圧電セラミックスは、一般に変位量が小さいため、積層して使用されることが多い。前記超音波振動発生体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁歪素子などが挙げられる。
前記振動発生部は、弾性板に貼りあわせた形態であることが好ましく、該弾性板は、振動発生部が接液しないように液柱共鳴液室の壁の一部を形成することが好ましい。
更に、前記振動発生部は、1つの液柱共鳴液室毎に個別に制御できるように配置されることが好ましい。また、液柱共鳴液室の配置にあわせて、弾性板を介してブロック状の圧電体などの振動発生部を配置することが、それぞれの液柱共鳴液室を個別制御できる観点から好ましい。
【0029】
先ず、本発明のトナーの製造装置における液滴吐出手段による液滴形成のメカニズムについて説明する。
前記液柱共鳴液室(例えば、図1及び2の液滴吐出ヘッド11内の液柱共鳴液室18)において生じる液柱共鳴現象の原理について説明すると、前記液柱共鳴液室内の前記トナー組成液の音速をcとし、前記振動発生部(例えば、図2の振動発生部20)から媒質である前記トナー組成液に与えられた駆動周波数をfとした場合、前記トナー組成液の共鳴が発生する波長λは、
λ=c/f ・・・式(A)
の関係にある。
【0030】
ここで、前記液柱共鳴液室が、両側固定端の場合、乃至両側固定端と等価である場合、前記液柱共鳴液室の長手方向の両端における反射壁面間の長さを、液柱共鳴液室の長手方向の長さLとする。この場合、長さLが波長λの4分の1の偶数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、下記式(B)で表される。
L=(N/4)λ ・・・式(B)
(但し、Nは、偶数)
なお、固定端と等価である場合とは、ある端において圧力の逃げ部がないとみなすことができる場合であり、例えば、ある端において反射壁面の高さが、トナー組成液供給のための連通口の高さの2倍以上である場合、及びある端において反射壁面の面積が、トナー組成液供給のための連通口の開口部の面積の2倍以上である場合などを指す。
図2において、液柱共鳴液室18の固定端側のフレームの端部から液共通供給路17側の端部までの長さが、長さLに相当する。また、液共通供給路17側のフレームの端部の高さh1(=約80μm)は、連通口の高さh2(=約40μm)の約2倍あり当該端部が閉じている両側固定端と等価であるとみなすことができる。
【0031】
また、両端が完全に開いている両側開放端の場合、乃至両側開放端と等価である場合にも上記式(B)が成り立つ。
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端)の場合、つまり片側固定端の場合、乃至片側開放端の場合には、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、上記式(B)のNが奇数で表される場合に相当する。なお、両側開放端の場合は、Lが波長の4分の1の偶数倍に相当する。
【0032】
最も効率の高い駆動周波数fは、上記式(A)及び上記式(B)より、
f=N×c/(4L) ・・・式(1)
(L:液柱共鳴液室の長手方向の長さ、c:トナー組成液の音波の速度、N:整数)
と導かれる。
したがって、本発明のトナーの製造方法及び製造装置において、前記トナー組成液に対して、上記式(1)が成立する周波数fの振動を付与することが好ましい。しかし、実際には、トナー組成液が共鳴を減衰させる粘性を持つために、無限に振動が増幅されるわけではなく、Q値を持ち、後述する式(2)、式(3)に示すように、式(1)に示す最も効率の高い駆動周波数fの近傍の周波数でも共鳴が発生する。
【0033】
図8にN=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示し、かつ図9にN=4、5の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示す。定在波は、疎密波(縦波)であるが、図8及び図9のように表記することが一般的である。実線が速度定在波、点線が圧力定在波を示す。例えば、N=1の片側固定端の場合を示す図8の(a)からわかるように、閉口端で速度分布の振幅がゼロとなり、開口端で速度分布の振幅が最大となる。液柱共鳴液室の長手方向の両端の間の長さをLとし、トナー組成液が液柱共鳴する波長をλとしたとき、整数Nが1〜5の場合に定在波が最も効率よく発生する。また、両端の開閉状態によっても定在波パターンが異なるため、それらも併記した。後述するが、吐出孔の開口や供給側の開口の状態によって、端部の条件が決まる。なお、音響学において、開口端とは、長手方向の媒質(液)の移動速度が極大となる端であり、逆に圧力がゼロとなる。閉口端においては、逆に媒質の移動速度がゼロとなる端と定義される。閉口端は、音響的に硬い壁として考え、波の反射が発生する。理想的に完全に閉口、乃至開口している場合は、波の重ね合わせによって図8及び図9のような形態の共鳴定在波を生じる。しかし、吐出孔数、吐出孔の開口位置によっても定在波パターンが変動する。上記式(1)より求めた位置からずれた位置に共鳴周波数が現れるが、適宜駆動周波数を調整することで安定吐出条件を作り出すことができる。例えば、トナー組成液の音速cが1,200m/s、液柱共鳴液室の長さLが1.85mmで、両端に壁面が存在し、両側固定端と完全に等価のN=2の共鳴モードを用いた場合、上記式(B)より、最も効率の高い共鳴周波数は、324kHzと導かれる。他の例では、トナー組成液の音速cが1,200m/s、液柱共鳴液室の長さLが1.85mmで、両端に壁面が存在し、両側固定端と等価のN=4の共鳴モードを用いた場合、上記式(B)より、最も効率の高い共鳴周波数は、648kHzと導かれる。したがって、同じ形状の液柱共鳴液室においても、駆動周波数を調整することによって、より高次の共鳴を利用することができる。
前記振動の周波数としては、液柱共鳴液室の形状などに応じて適宜設定することができ、一義的に選択できるものではないが、300kHz以上の高周波振動であることが好ましく、300kHz〜1,000kHzがより好ましい。
【0034】
なお、図1及び図2に示す本実施形態の液滴吐出手段の液滴吐出ヘッドにおける液柱共鳴液室は、両端が閉口端状態と等価であるか、吐出孔の開口の影響で、音響的に軟らかい壁として説明できるような端部であることが周波数を高めるためには好ましいが、それに限らず開放端であってもよい。ここでの吐出孔の開口の影響とは、音響インピーダンスが小さくなり、特にコンプライアンス成分が大きくなることを意味する。よって、図8の(b)及び図9の(a)のような液柱共鳴液室の長手方向の両端に壁面を形成する構成は、両側固定端の共鳴モード、そして吐出孔側が開口とみなす片側開放端の全ての共鳴モードが利用できるために、好ましい。
【0035】
また、吐出孔の開口数、開口配置位置、吐出孔の断面形状も駆動周波数を決定する因子となり、駆動周波数は、これに応じて適宜決定することができる。例えば、吐出孔の数を多くすると、徐々に固定端であった液柱共鳴液室の先端の拘束が緩くなり、ほぼ開口端に近い共鳴定在波が発生し、駆動周波数が高くなる。更に、最も液供給路側に存在する吐出孔の開口配置位置を起点に緩い拘束条件となる。また、吐出孔の断面形状がラウンド形状となったりフレームの厚さによる吐出孔の体積が変動したり、実際上の定在波が短波長となり、駆動周波数よりも高くなる。このように決定された駆動周波数で振動発生部に電圧を与えたとき、振動発生部が変形し、駆動周波数にて最も効率よく共鳴定在波を発生する。また、共鳴定在波が最も効率よく発生する駆動周波数の近傍の周波数でも液柱共鳴定在波が発生する。つまり、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さをL、液供給路側の端部と、該端部に最も近い吐出孔の中心部との距離をLeとしたとき、L及びLeの両方の長さを用いて下記式(2)及び式(3)で決定される範囲の駆動周波数fを主成分とした駆動波形を用いて振動発生部を振動させる。そして、液柱共鳴を誘起して液滴を吐出孔から吐出することが可能である。
したがって、本発明のトナーの製造方法及び製造装置において、前記トナー組成液に対して、下記式(2)及び式(3)のいずれかが成立する周波数fの振動を付与することが好ましい。
【0036】
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le) ・・・式(2)
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・式(3)
(L:液柱共鳴液室の長手方向の長さ、Le:液供給路側の端部と、該端部に最も近い吐出孔の中心部との距離、c:トナー組成液の音波の速度、N:整数)
【0037】
なお、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さLと、液供給路側の端部と、該端部に最も近い吐出孔の中心部との距離Leの比がLe/L>0.6であることが好ましい。
【0038】
以上説明した液柱共鳴現象の原理に基づいて、前記液柱共鳴液室において圧力定在波が形成され、前記液柱共鳴液室の圧力定在波の腹となる領域に形成された吐出孔において連続的に液滴吐出が発生する。
【0039】
<液滴固化工程及び液滴固化手段>
前記液滴固化工程は、前記液滴を気流によって搬送し、固化する工程であり、前記液滴固化手段により実施することができる。前記液滴固化手段は、前記液滴を気流によって搬送し、固化する手段である。
本発明における液滴固化工程は、前記液滴の放出方向下流側に配置され、前記気流を下流側に案内する気流案内孔を介して、前記液滴を気流によって搬送することを含み、前記気流案内孔が、開口径が最小となる絞り部と、入口部とを有し、前記気流案内孔における前記吐出孔の開口軸と垂直な開口面が、前記入口部において、前記吐出孔の表面から前記絞り部に向かうに従い、漸次縮小するテーパ形状であることを必要とする。
また、本発明における液滴固化手段は、前記液滴の放出方向下流側に配置され、前記気流を下流側に案内する気流案内孔を有し、前記気流案内孔が、開口径が最小となる絞り部と、入口部とを有し、前記気流案内孔における前記吐出孔の開口軸と垂直な開口面が、前記入口部において、前記吐出孔の表面から前記絞り部に向かうに従い、漸次縮小するテーパ形状であることを必要とする。
【0040】
<<気流案内孔>>
前記気流案内孔は、開口径が最小となる絞り部と、入口部とを有し、前記液滴の吐出方向下流側に設けられ、前記気流を下流側に案内する。
本発明において前記気流案内孔における前記吐出孔の開口軸と垂直な開口面は、前記入口部において、前記吐出孔の表面から前記絞り部に向かうに従い、漸次縮小するテーパ形状(入口部テーパ形状)であることを必要とする。
前記気流案内孔の開口面が、前記入口部テーパ形状であることにより、前記入口部を通過する液滴において、前記気流に接する外部に位置する液滴と、内部に位置する液滴との速度差が少なくなり、各液滴が有する運動エネルギーの差が少なくなるため、複数の吐出孔から吐出された液滴の速度差による液滴同士の接触を防ぎ、液滴吐出直後の合一が防止される。
前記絞り部を備えることにより、前記気流の速度が増加し、前記液滴の速度が増加し、前に吐出された液滴と後に吐出された液滴の液滴間隔が増加することで、液滴同士の合一が防止される。
また、前記気流案内孔が、出口部を更に有し、前記気流案内孔における前記吐出孔の開口軸と垂直な開口面が、前記出口部において、前記絞り部から前記液滴の搬送方向下流側に向かうに従い、漸次拡大するテーパ形状(出口部テーパ形状)であることが好ましい。
前記気流案内孔の開口面が、前記出口部テーパ形状であることにより、出口部における気流流路が広がり、前記気流が加速され、液滴間隔が広がることにより、液滴同士の合一が防止される。
ここで、「開口面」とは、前記吐出孔の開口軸に対して垂直な平面上に位置する前記気流案内孔の開口が形成された面を意味する。また、「開口径」とは、前記吐出孔の開口軸方向の断面における前記気流案内孔の開口径(開口幅)を意味する。
また、「テーパ形状」とは、前記吐出孔の開口軸方向の断面において、前記吐出孔の開口軸と、前記気流案内孔の断面形状の側面とがテーパ角を有することをいい、「テーパ」とは、例えば、線形テーパ、指数関数テーパ、放物線テーパ、及びこれらの組合せなどが挙げられる。
【0041】
図4A及びBは、本発明の一実施形態に係るトナー製造装置の気流案内孔の一例を示す模式図であり、それぞれ(A)前記入口部テーパ形状のみを有する第1の形態、及び、(B)前記入口部テーパ形状及び前記出口部テーパ形状を有する第2の形態を示す。
【0042】
第1の形態及び第2の形態でいう「前記入口部において、前記吐出孔の表面から前記絞り部に向かうに従い、漸次縮小するテーパ形状」とは、横軸に吐出孔の表面を含む面からの距離x(吐出孔の開口軸上の位置に相当)をとり、縦軸に前記気流案内孔の開口径Dをとったときに、グラフが1本の連続線で描かれることを意味する。吐出孔の表面を含む面(x=0)から絞り部の入口側端部を含む開口面(x=x)に至るまでのグラフは、傾きが負の領域(dD/dx<0)のみからなるものであってもよいし、傾きが負の領域と傾きがゼロの領域(dD/dx=0)が混在するものであってもよい。これらの中でも、傾きが負の領域(dD/dx<0)のみからなるものが好ましい。
【0043】
傾きが負の領域(dD/dx<0)においては、傾きが常に一定(線形テーパ)であっても異なっていてもよい。例えば、本発明の気流案内孔の開口径は、傾きが負の領域(dD/dx<0)のみからなるものである場合、吐出孔の表面から絞り部の入口側端部に向かうにしたがって徐々にdD/dxが大きくなる態様(絶対値が小さくなる態様)をとることができる。
【0044】
第2の形態でいう「前記出口部において、前記絞り部から前記液滴の搬送方向下流側に向かうに従い、漸次拡大するテーパ形状」とは、横軸に吐出孔の表面を含む面からの距離x(吐出孔の開口軸上の位置に相当)をとり、縦軸に前記気流案内孔の開口径Dをとったときに、グラフが1本の連続線で描かれることを意味する。絞り部の入口側端部を含む開口面(x=x)から前記液滴の搬送方向下流側端部を含む開口面(x=x)に至るまでのグラフは、傾きが正の領域(dD/dx>0)のみからなるものであってもよいし、傾きが正の領域と傾きがゼロの領域(dD/dx=0)が混在するものであってもよい。これらの中でも、傾きが正の領域(dD/dx>0)のみからなるものが好ましい。
【0045】
傾きが正の領域(dD/dx>0)においては、傾きが常に一定(線形テーパ)であっても異なっていてもよい。例えば、本発明の気流案内孔の開口面は、傾きが正の領域(dD/dx>0)のみからなるものである場合、絞り部の出口側端部から前記液滴の搬送方向下流側に向かうにしたがって徐々にdD/dxが大きくなる態様(絶対値が大きくなる態様)をとることができる。
【0046】
前記気流案内孔の形状としては、上記を満たす限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、前記排気孔の入口部乃至出口部が線形テーパを有する場合、図5に示す各種パラメータにより規定することができる。
図5は、本発明の一実施形態に係るトナー製造装置主要部の一例を示す図である。図5(a)は、液滴吐出手段及び気流案内孔を示す断面図であり、図5(b)は、吐出孔の配置及び絞り部を示す底面図である。
気流案内孔入口部角度βを、前記吐出孔の開口軸方向の断面において、前記吐出孔の開口軸と、前記気流案内孔の入口部の断面形状の側面とのなす角度とする場合、前記気流案内孔入口部角度βとしては、15°〜85°が好ましく、30°〜80°がより好ましい。また、前記気流案内孔入口部角度βは、複数設けられていてもよい。
また、前記気流案内孔入口部角度βを形成するコーナーは、コーナー半径を有してもよく、そのようなコーナー半径としては、1mm〜50mmが好ましく、2mm〜20mmがより好ましい。
【0047】
絞り部位置Hを、前記吐出孔の表面と、前記絞り部の入口側端部との距離(図4A及びBにおけるxに相当)とする場合、前記絞り部位置Hとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mm〜20mmが好ましく、3mm〜15mmがより好ましい。
また、絞り部長さLを、前記絞り部の入口側端部と、前記絞り部の出口側端部との距離(図4A及びBにおけるx−xに相当)とする場合、前記絞り部長さLとしては、前記気流案内孔の形状を規定する他の各種パラメータによって異なり、一概に規定することができないが、1mm〜100mmが好ましく、2mm〜80mmがより好ましい。
絞り部の開口幅Bとしては、前記吐出孔の配置幅と同じ乃至広ければ特に制限なく、用いる前記液柱共鳴液室、前記吐出孔の配置、前記気流案内孔の形状を規定する他の各種パラメータなどに応じて、適宜選択することができる。ここで、「吐出孔の配置幅」とは、1つ乃至複数の液柱共鳴室に複数配置された前記吐出孔において外周部に位置する吐出孔の外縁を結んだ直線乃至曲線で囲まれた吐出孔の配置エリアにおける、開口軸方向の断面の開口径(開口幅)を意味する。
【0048】
気流案内孔出口部角度γを、前記吐出孔の開口軸方向の断面において、前記吐出孔の開口軸と、前記気流案内孔の出口部の断面形状の側面とのなす角度とする場合、気流案内孔出口部角度γとしては、2.5°〜80°が好ましく、2.5°〜60°がより好ましい。
前記絞り部における気流速度Vとしては、前記吐出孔から吐出される液滴の初速度よりも速いことが好ましく、そのような速度としては、該初速度によって異なり、一概に規定することができないが、5m/s〜100m/sが好ましく、5m/s〜50m/sがより好ましい。
【0049】
また、線形テーパを前記気流案内孔の入口部乃至出口部に備える図5のような実施形態の他に、指数関数テーパを前記気流案内孔の入口部乃至出口部に備える図6のような実施形態も好ましく用いることができる。
図6は、本発明の一実施形態に係るトナー製造装置主要部の他の一例を示す図である。図6(a)は、液滴吐出手段及び気流案内孔を示す断面図であり、図6(b)は、吐出孔の配置及び絞り部を示す底面図である。
【0050】
<<気流流路>>
本発明のトナーの製造方法において、前記液滴吐出工程は、前記液柱共鳴液室の外周から前記気流案内孔に気流を流通させることを更に含み、前記気流が、前記液滴の吐出方向に均一な速度分布を有することが好ましい。ここで、このことは、後述する気流流路により実施することができる。
本発明のトナーの製造装置において、前記液滴吐出手段は、前記液柱共鳴液室の外周から前記気流案内孔に気流を流通させる気流流路を更に有することが好ましい。
前記気流流路は、前記液柱共鳴液室の外周から前記気流案内孔に気流を流通させる流路であり、前記入口部テーパ形状により気流が制御されることにより、前記液滴の吐出方向に均一な速度分布を有する気流を形成する。前記気流によって、空気抵抗などによる前記液滴の減速を抑制することができ、よって、液滴同士が接触及び合一して液滴の粒径が大きくなることを防止できる。また、気流の乱れを防止し、前記気流の圧力損失を抑えることができる。
前記気流流路の形状としては、上記を満たす限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0051】
また、前記液滴吐出手段は、前記液柱共鳴液室の外周を覆い、前記気流流路を形成する外周部分と、前記気流案内孔とを有する気流流路形成容器を備えてもよい。前記気流流路形成容器を備える場合、前記液柱共鳴液室の形状に対応した前記気流流路形成容器の形状としたことが好ましい。
また、前記気流流路形成容器の形状に対応させ、前記液柱共鳴液室の外周部に気流制御部材を設けたことがより好ましい。前記気流制御部材を更に備えることにより、前記気流流路を自在に変更でき、前記液滴の吐出方向に均一な速度分布を有する気流を形成することによって、空気抵抗などによる前記液滴の減速を抑制することができ、よって、液滴同士が接触及び合一して液滴の粒径が大きくなることを防止できる。また、気流の乱れを防止し、前記搬送気流の圧力損失を抑えることができる。
気流制御部材角度αを、前記吐出孔の開口軸方向の断面において、前記吐出孔の開口軸と、前記気流制御部材の断面形状の側面とのなす角度とし、これが線形テーパである場合(図5参照)、気流制御部材角度αとしては、10°〜85°が好ましく、30°〜80°がより好ましい。
【0052】
前記液滴を固化する方法としては、液滴を固化させて粒子化できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の方法を選択することができ、例えば、液滴に含まれる有機溶媒を乾燥気体へ蒸発させ、乾燥による収縮固化を行う方法などが挙げられる。
【0053】
以下、本発明のトナーの製造方法を実施するトナーの製造装置の一実施形態について図1〜3の模式的構成図を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るトナー製造装置の全体構成を示す断面図である。図2は、図1の液滴吐出手段における液滴吐出ヘッドの構成を示す断面図である。図3は、図1の液滴吐出手段の構成を示すA−A’線断面図である。図1に示す本実施形態のトナー製造装置1は、液滴吐出手段10、及び液滴固化手段の一部である乾燥捕集ユニット30を含む。
【0054】
前記液滴吐出手段10は、前記吐出孔によって外部と連通する液滴吐出領域を有する液室であって、後述する条件下のもとで前記液柱共鳴による圧力定在波が発生する前記液柱共鳴液室内の前記トナー組成液を液滴として前記吐出孔から吐出する液滴吐出ヘッド11を複数配置する。
また、液滴吐出手段10は、トナー原料であるトナー組成液14を収容する原料収容部13と、原料収容部13に収容されているトナー組成液14を液供給管16を通して液滴吐出ヘッド11内の後述する液共通供給路17に供給し、更に、液戻り管22を通って原料収容部13に戻すために液供給管16内のトナー組成液14を圧送する液循環ポンプ15とを含む。更に、液滴吐出ヘッド11は、図2に示すように、液共通供給路17及び液柱共鳴液室18を含む。液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路17と連通されている。また、液柱共鳴液室18は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面にトナー液滴21を吐出する吐出孔19と、吐出孔19と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生部20とを有している。なお、振動発生部20には、図示していない高周波電源が接続されている。
【0055】
液滴吐出ヘッド11の外周部には、気流制御部材36と気流流路形成容器37からなる気流流路12が設けられており、液滴吐出ヘッド11から吐出した前記トナー組成液のトナー液滴21は、気流流路12に図示していない気流発生部から圧送された搬送気流33を流すことで乾燥捕集ユニット30側に搬送される。トナー液滴21は、重力のみではなく、搬送気流33によって強制的に搬送されるため、吐出されたトナー液滴21が空気抵抗によって減速されることを抑制できる。これにより、トナー液滴21を連続的に吐出したときに、前に吐出されたトナー液滴21が空気抵抗によって減速し、後に吐出されたトナー液滴21が前に吐出されたトナー液滴21に追い付くことで、トナー液滴21同士が接触して合一してしまい、トナー液滴21の粒径が大きくなることを防止できる。更に、気流流路形成容器37は、絞り部40を有する気流案内孔を備えており、絞り部40で搬送気流速度が増加する。これにより、トナー液滴速度が増加し、前に吐出されたトナー液滴21と後に吐出されたトナー液滴21の液滴間隔が増加することで、トナー液滴21同士の合一を防止できる。
【0056】
ここで、気流制御部材36は、気流流路12を自在に変更でき、気流導入経路の調整を行うとともに、搬送気流33の乱れを防止し、搬送気流33の圧力損失を抑えるよう形成される。また、気流制御部材36の形状としては、前記の条件を満たしていれば特に制限されず、例えば、図5及び図6に示すように、気流流路形成容器37の形状に対応した形状とすることが、気流を制御する観点から好ましい。このような構成とすることにより、搬送気流33を搬送方向気流に効率よく変換することができるとともに、搬送気流33の速度分布を均一にすることによって、トナー液滴21毎に均一な運動エネルギーを付与することができるため、複数の吐出孔から吐出された液滴の速度差によって液滴同士が接触し合一することを防止できる。
【0057】
また、気流流路形成容器37の絞り部40入口側(気流案内孔入口部、図4A及びBにおける0≦x≦x部分に相当)の開口径は、吐出孔19の開口面から絞り部40に向かうに従って狭くなっており、よって、前記入口部及び絞り部40において、搬送気流33の乱れを防止しつつ、トナー液滴21の搬送気流33の速度分布が均一となるよう形成される。ここで、気体の乱れとは、淀み、渦流などの発生のことである。また、気流流路形成容器37の絞り部40入口側の形状としては、前記の条件を満たしていれば特に制限されず、例えば、図5に示す線形テーパ形状の他に、図6に示すように指数関数テーパ形状であってもよい。
気流流路形成容器37の絞り部40入口側で、トナー液滴21の搬送気流33の速度分布を均一にすることによって、上述したように、液滴同士が接触し合一してしまうことを防止できる。
【0058】
更に、気流流路形成容器37の絞り部40出口側(気流案内孔出口部、図4A及びBにおけるx≦x≦x部分に相当)の開口径は、絞り部40からトナー液滴21の搬送方向下流側に向かうに従って広くなっており、よって、前記出口部において気流流路12が広がることで外周方向へ搬送気流33が流れ、液滴間隔を広げることができ、液滴同士の接触を防止することができる。また、気流流路形成容器37の絞り部40出口側の形状としては、前記の条件を満たしていれば特に制限されず、例えば図5に示す線形テーパ形状の他に、図5に示すように指数関数テーパ形状であってもよい。
気流流路形成容器37の絞り部40出口側で、トナー液滴21の搬送気流33が加速され、液滴間隔が広がることにより、液滴同士の接触し合一してしまうことを防止できる。
【0059】
また、図1に示す乾燥捕集ユニット30は、チャンバ31及びトナー捕集部32を含む。チャンバ31内では、図示していない気流発生部によって発生する乾燥気流38と搬送気流33が合流した大きな下降気流39が形成されている。なお、気流発生部としては、上流部分に送風機を設けて加圧する方法と、トナー捕集部32より吸引して減圧する方法のいずれを採用することもできる。また、トナー捕集部32には、鉛直方向に平行な軸周りに回転するような回転気流を発生させる回転気流発生装置(図示せず)が配置されている。更に、トナー捕集部32には、チャンバ31と連通するトナー捕集チューブ34を通った乾燥及び固化されたトナー粒子を貯留するトナー貯留部35を有している。
【0060】
次に、本実施形態のトナー製造装置におけるトナー製造工程について説明する。
図1に示す原料収容部13に収容されているトナー組成液14は、トナー組成液14を循環させるための液循環ポンプ15によって液供給管16を通って、図3に示す液滴吐出手段10の液共通供給路17内に流入し、図2に示す液滴吐出ヘッド11の液柱共鳴液室18に供給される。そして、トナー組成液14が充填されている液柱共鳴液室18内には、振動発生部20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、圧力定在波の腹となる領域に形成された吐出孔19からトナー液滴21が吐出される。
【0061】
液共通供給路17を通過したトナー組成液14は、液戻り管22を流れて原料収容部13に戻される。トナー液滴21の吐出によって液柱共鳴液室18内のトナー組成液14の量が減少すると、液柱共鳴液室18内の液柱共鳴定在波の作用による吸引力が作用し、液共通供給路17から供給されるトナー組成液14の流量が増加する。そして、液柱共鳴液室18内にトナー組成液14が補充される。また、液柱共鳴液室18内にトナー組成液14が補充されると、液共通供給路17を通過するトナー組成液14の流量が元に戻る。そして、液供給管16及び液戻り管22には、装置内を循環するトナー組成液14の流れが再び形成された状態となる。
【0062】
一方、液滴吐出ユニット10の液滴吐出ヘッド11から吐出されたトナー液滴21は、図1に示すように、気流制御部材36と気流流路形成容器37により形成された気流流路12に、図示していない気流発生部から圧送された搬送気流33を流すことにより、重力によってのみではなく、搬送気流33によって強制的に乾燥捕集ユニット30側に搬送され、更に、図示していない気流発生部によって発生する乾燥気流38と搬送気流33が合流した大きな下降気流39によって下方に向けて搬送される。
ここで、気流流路形成容器37の絞り部40入口側では、該内側面積が、吐出孔19の開口面から絞り部40に向かうに従って狭くなることにより、搬送気流33の乱れが防止され、トナー液滴21の搬送気流33の速度分布が均一になり(つまり、気流が形成され)、上述したように、液滴同士が接触し合一してしまうことが防止される。
また、気流流路形成容器37の絞り部40出口側では、該開口径が、絞り部40からトナー液滴21の吐出方向下流側に向かうに従って広くなることにより、搬送気流33が加速され、液滴間隔が広がることにより、液滴同士の接触が防止される。
【0063】
次に、トナー捕集部32における図示していない回転気流発生装置が発生させる回転気流と下降気流39とによって、トナー捕集部32を構成する円錐状内壁面に沿って螺旋気流が形成される。そして、トナー粒子は、その螺旋気流にのって層流状態で乾燥、固化される。乾燥、固化されたトナー粒子は、トナー捕集チューブ34を通ってトナー貯留部35に収納される。
【0064】
また、図3からわかるように、吐出孔19を液柱共鳴液室18内の幅方向に設ける構成を採用することは、吐出孔19の開口を多数設けることができ、よって生産効率が高くなるために好ましい。また、吐出孔19の開口配置によって液柱共鳴周波数が変動するため、液柱共鳴周波数は、液滴の吐出を確認して適宜決定することが望ましい。
【0065】
次に、液滴吐出手段における液滴吐出ヘッド内の液柱共鳴液室で生じる液柱共鳴現象の様子について、当該様子を示す図10を用いて説明する。なお、同図において、液柱共鳴液室内に記した実線は、液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における速度をプロットした速度分布を示し、液共通供給路側から液柱共鳴液室への方向を+とし、その逆方向を−とする。また、液柱共鳴液室内に記した点線は、液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における圧力値をプロットした圧力分布を示し、大気圧に対して正圧を+とし、負圧を−とする。また、正圧であれば図中の下方向に圧力が加わることになり、負圧であれば図中の上方向に圧力が加わることになる。更に、同図において、上述したように液共通供給路側が開放されているが液共通供給路17と液柱共鳴液室18とが連通する開口の高さ(図2に示す高さh2)に比して固定端となるフレームの高さ(図2に示す高さh1)が約2倍以上である。そのため、液柱共鳴液室18は、ほぼ両側固定端であるという近似的な条件のもとでの速度分布及び圧力分布の時間的なそれぞれの変化を示している。
【0066】
図10の(a)は、液滴吐出時の液柱共鳴液室18内の圧力波形と速度波形を示している。また、図10の(b)は、液滴吐出直後の液引き込みを行った後再びメニスカス圧が増加してくる。これらの同図の(a)、(b)に示すように、液柱共鳴液室18における吐出孔19が設けられている流路内での圧力が極大となっている。その後、同図の(c)に示すように、吐出孔19付近の正の圧力が小さくなり、負圧の方向へ移行して液滴21が吐出される。
【0067】
そして、図10の(d)に示すように、吐出孔19付近の圧力が極小になる。このときから液柱共鳴液室18へのトナー組成液14の充填が始まる。その後、同図の(e)に示すように、吐出孔19付近の負の圧力が小さくなり、正圧の方向へ移行する。この時点で、トナー組成液14の充填が終了する。そして、再び、同図の(a)に示すように、液柱共鳴液室18の液滴吐出領域の正の圧力が極大となって、吐出孔19から液滴21が吐出される。このように、液柱共鳴液室内には、振動発生部の高周波駆動によって液柱共鳴による定在波が発生し、また圧力が最も大きく変動する位置となる液柱共鳴による定在波の腹に相当する液滴吐出領域に吐出孔19が配置されていることから、当該腹の周期に応じてトナー液滴21が吐出孔19から連続的に吐出される。
【0068】
次に、実際に液柱共鳴現象によって液滴が吐出された構成の一例について説明する。この一例は、図2において液柱共鳴液室18の長手方向の両端間の長さLが1.85mm、N=2の共鳴モードである。また、第一から第四の吐出孔がN=2モード圧力定在波の腹の位置に吐出孔を配置し、駆動周波数を340kHzのサイン波で行った吐出をレーザーシャドウグラフィ法にて撮影した様子を図11に示す。同図からわかるように、非常に径の揃った、速度もほぼ揃った液滴の吐出が実現している。また、図12は、駆動周波数290kHz〜395kHzの同一振幅サイン波にて駆動した際の液滴速度周波数特性を示す特性図である。同図からわかるように、第一から第四の吐出孔において駆動周波数が340kHz付近では各吐出孔からの吐出速度が均一となって、かつ最大吐出速度となっている。この特性結果から、液柱共鳴周波数の第二モードである340kHzにおいて、液柱共鳴定在波の腹の位置で均一吐出が実現していることがわかる。また、図12の特性結果から、第一モードである130kHzにおいての液滴吐出速度ピークと、第二モードである340kHzにおいての液滴吐出速度ピークとの間では、液滴が吐出しないという液柱共鳴の特徴的な液柱共鳴定在波の周波数特性が液柱共鳴液室内で発生していることがわかる。
【0069】
また、圧電体への印加電圧を増加させることで、吐出速度も液滴直径も単調増加の傾向にあり、印加電圧を調整することにより、所望の吐出速度、乃至所望のトナー粒子の径に応じた液滴直径を調整することができる。
【0070】
−トナー組成液及びトナー組成物−
前記トナー組成液は、トナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散させてなり、前記トナー組成物は、少なくとも樹脂、着色剤、離型剤を含み、さらに、必要に応じて、顔料分散液などのその他の成分を含む。
本発明のトナーの製造方法に使用されるトナー組成液及びトナー組成物としては、従来の電子写真用トナーと同じものが使用できる。すなわち、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂、エポキシ系樹脂などの樹脂を各種有機溶媒に溶解し、微分散した着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤などのトナー材料を前記トナー製造方法により微小液滴とし乾燥固化させることで、目的とするトナー(トナー母体粒子)を作製することが可能である。さらに、必要に応じて流動性向上剤やクリーニング性向上剤などを表面に添加してトナーを得てもよい。
【0071】
−−樹脂−−
前記樹脂としては、少なくとも結着樹脂が挙げられる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができ、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等のビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。
【0072】
前記スチレン系単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フエニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、乃至その誘導体などが挙げられる。
【0073】
前記アクリル系単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、アクリル酸のエステル類などが挙げられる。前記アクリル酸のエステル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどが挙げられる。
【0074】
前記メタクリル系単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸のエステル類などが挙げられる。前記メタクリル酸のエステル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどが挙げられる。
【0075】
本発明に係るトナーにおいて、結着樹脂のビニル重合体、又は共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等のアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの等のエーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類などが挙げられる。
【0076】
その他の前記架橋剤として、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物なども挙げられる。
また、前記架橋剤として、例えば、商品名MANDA(日本化薬社製)等のポリエステル型ジアクリレート類などが挙げられる。
【0077】
また、前記架橋剤として、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート等の多官能の架橋剤などが挙げられる。
【0078】
前記架橋剤の添加量としては、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部であることが好ましく、0.03質量部〜5質量部であることがより好ましい。
これらの架橋剤のうち、トナー用樹脂における定着性、耐オフセット性の点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好ましい。これらの中でも、スチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
【0079】
本発明のビニル重合体乃至共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2',4'−ジメチル−4'−メトキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジークミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルべンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−エトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチル−オキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレートなどが挙げられる。
【0080】
前記結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂の場合、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)に可溶分のGPCによる分子量分布で、分子量3千〜5万(数平均分子量換算)の領域に少なくとも1つのピークが存在する。また、分子量10万以上の領域に少なくとも1つのピークが存在する樹脂が、定着性、オフセット性、保存性の点で好ましい。
また、THF可溶分としては、分子量分布10万以下の成分が50%〜90%となるような結着樹脂が好ましく、分子量5千〜3万の領域にメインピークを有する結着樹脂がより好ましく、5千〜2万の領域にメインピークを有する結着樹脂が特に好ましい。
【0081】
前記結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂などのビニル重合体のときの酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gが特に好ましい。
【0082】
ポリエステル系重合体を構成するモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、乃至ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオールなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂を架橋させるためには、3価以上の多価アルコールや3価以上の酸を併用することが好ましい。
【0083】
前記3価以上の多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。
【0084】
ポリエステル系重合体を形成する酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物などが挙げられる。
また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、乃至これらの無水物、部分低級アルキルエステルなどが挙げられる。
【0085】
前記結着樹脂がポリエステル系樹脂の場合は、樹脂成分のTHF可溶成分の分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのが、トナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましい。また、THF可溶分の分子量10万以下の成分が70%〜100%となるような結着樹脂が吐出性の面から好ましい。更に、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。
【0086】
前記結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、その酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましい。また、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが特に好ましい。
【0087】
本発明において、前記結着樹脂の分子量分布は、THFを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
【0088】
前記結着樹脂としては、前記ビニル重合体成分及びポリエステル系樹脂成分の少なくともいずれか中に、これらの両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含む樹脂も使用することができる。前記ポリエステル系樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸乃至その無水物などが挙げられる。前記ビニル重合体成分を構成するモノマーとしては、カルボキシル基乃至ヒドロキシ基を有するもの、アクリル酸エステル類乃至メタクリル酸エステル類などが挙げられる。
【0089】
また、ポリエステル系重合体、ビニル重合体とその他の結着樹脂を併用する場合、全体の結着樹脂の酸価が、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gである樹脂を60質量%以上有することが好ましい。
【0090】
本発明において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、以下の方法により求めることができる。基本操作は、JIS K−0070に準ずる。
(1)試料は、予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5g〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをWgとする。例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤、磁性体などの酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2)300mlのビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150mlを加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とし、以下の式(C)で算出する。ただしfは、KOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W ・・・式(C)
【0091】
前記結着樹脂及び前記結着樹脂を含む組成物のガラス転移温度(Tg)としては、トナー保存性の観点から、35℃〜80℃が好ましく、40℃〜70℃がより好ましい。
前記ガラス転移温度(Tg)が、35℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすくなることがあり、80℃を超えると、定着性が低下することがある。
【0092】
−−着色剤−−
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0093】
前記着色剤の含有量としては、トナーに対して1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。
【0094】
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。
前記マスターバッチとともに混練される樹脂としては、先に挙げた変性、未変性ポリエステル樹脂の他に、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0095】
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得る事ができる。
この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の、水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため、乾燥する必要がなく、好適に使用される。
混合混練するには、3本ロールミルなどの高せん断分散装置が好適に使用される。
【0096】
前記マスターバッチの使用量としては、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましい。
【0097】
また、前記マスターバッチ用の樹脂としては、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1〜100で、前記着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10〜50で、前記着色剤を分散させて使用することがより好ましい。
前記酸価が、30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1未満であるとき、及び、アミン価が100を超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。
前記酸価は、例えば、JIS K0070に記載の方法により測定することができ、前記アミン価は、例えば、JIS K7237に記載の方法により測定することができる。
【0098】
−−−顔料分散液−−−
また、前記着色剤は、顔料分散液に分散させた着色剤分散液として用いることもできる。
前記顔料分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができるが、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、そのような市販品としては、例えば、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)などが挙げられる。
【0099】
前記顔料分散剤の重量平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるスチレン換算重量での、メインピークの極大値の分子量で、500〜100,000が好ましく、これらの中でも、顔料分散性の観点から、3000〜100,000がより好ましく、5,000〜50,000が特に好ましく、5,000〜30,000が最も好ましい。前記分子量が、500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、100,000を超えると、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
【0100】
前記分散剤のトナーにおける配合比率としては、着色剤に対して0.1質量%〜10質量%が好ましい。前記配合比率が、0.1質量%未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10質量%を超えると、高湿下での帯電性が低下することがある。
【0101】
−−離型剤−−
前記離型剤としては、特に制限はなく、ワックス類として通常使用されるものを適宜選択することができ、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
【0102】
前記離型剤のその他の例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、その他の直鎖アルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸;プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、その他の長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール;ソルビトール等の多価アルコール;リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド;メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0103】
前記離型剤のより好適な例としては、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン、低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒等の触媒を用いて重合したポリオレフィン、放射線、電磁波、光等を利用して重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス、炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基等の官能基を有する炭化水素系ワックス、炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物、これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸等のビニルモノマーでグラフト変性したワックスなどが挙げられる。
【0104】
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも前記離型剤として好ましく用いられる。
【0105】
前記離型剤の融点としては、定着性と耐オフセット性のバランスを取るために、70℃〜140℃であることが好ましく、70℃〜120℃であることがより好ましい。
前記融点が、70℃未満では耐ブロッキング性が低下することがあり、140℃を超えると耐オフセット効果が発現しにくくなることがある。
【0106】
また、2種以上の異なる種類のワックスを併用することにより、ワックスの作用である可塑化作用と離型作用を同時に発現させることができる。可塑化作用を有するワックスの種類としては、例えば融点の低いワックス、分子の構造上に分岐のあるものや極性基を有する構造のものなどが挙げられる。離型作用を有するワックスとしては、融点の高いワックスが挙げられ、その分子の構造としては、直鎖構造のものや、官能基を有さない無極性のものが挙げられる。使用例としては、2種以上の異なるワックスの融点の差が10℃〜100℃のものの組み合わせや、ポリオレフィンとグラフト変性ポリオレフィンの組み合わせなどが挙げられる。
【0107】
2種のワックスを選択する際には、同様構造のワックスの場合は、相対的に、融点の低いワックスが可塑化作用を発揮し、融点の高いワックスが離型作用を発揮する。この時、融点の差が10℃〜100℃の場合に、機能分離が効果的に発現する。10℃未満では機能分離効果が表れにくいことがあり、100℃を超える場合には相互作用による機能の強調が行われにくいことがある。このとき、機能分離効果を発揮しやすくなる傾向があることから、少なくとも一方のワックスの融点が70℃〜120℃であることが好ましく、70℃〜100℃であることがより好ましい。
【0108】
前記ワックスは、相対的に、枝分かれ構造のものや官能基の如き極性基を有するものや主成分とは異なる成分で変性されたものが可塑作用を発揮し、より直鎖構造のものや官能基を有さない無極性のものや未変性のストレートなものが離型作用を発揮する。好ましい組み合わせとしては、エチレンを主成分とするポリエチレンホモポリマー乃至コポリマーとエチレン以外のオレフィンを主成分とするポリオレフィンホモポリマー乃至コポリマーとの組み合わせ、ポリオレフィンとグラフト変成ポリオレフィンとの組み合わせ、アルコールワックス、脂肪酸ワックス乃至エステルワックスと炭化水素系ワックスとの組み合わせ、フイシャートロプシュワックス乃至ポリオレフィンワックスとパラフィンワックス乃至マイクロクリスタルワックスとの組み合わせ、フィッシャトロプシュワックスとポルリオレフィンワックスとの組み合わせ、パラフィンワックスとマイクロクリスタルワックスとの組み合わせ、カルナバワックズ、キャンデリラワックス、ライスワックス乃至モンタンワックスと炭化水素系ワックスとの組み合わせなどが挙げられる。
【0109】
いずれの場合においても、トナー保存性と定着性のバランスをとりやすくなることから、トナーのDSC測定において観測される吸熱ピークにおいて、70℃〜110℃の領域に最大ピークのピークトップ温度があることが好ましく、70℃〜110℃の領域に最大ピークを有しているのがより好ましい。
【0110】
前記離型剤の総含有量としては、前記結着樹脂100質量部に対し、0.2質量部〜20質量部が好ましく、0.5質量部〜10質量部がより好ましい。
【0111】
なお、本発明では、示差走査熱量測定(DSC)において測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもって離型剤の融点とする。
前記離型剤及びトナーの融点を測定するためのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計が好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるものを用いる。
【0112】
−−有機溶剤−−
前記有機溶剤としては、前記トナー組成物を溶解乃至分散できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素類、アルコール類の溶剤が好ましく用いられ、特にテトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0113】
−−トナー組成液の調製方法−−
前記トナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散することによりトナー組成液を得ることができる。
前記トナー組成液の調製には、ホモミキサーやビーズミルなどを用いて、着色剤や離型剤といった分散体がノズルの開口径に対して充分微細とすることが吐出孔の詰りを防止するために重要となる。
前記トナー組成液の固形分としては、3質量%〜40質量%であることが好ましい。前記固形分が3質量%未満であると、生産性が低下するだけでなく、着色剤や離型剤微粒子といった分散体が沈降や凝集を起こしやすくなりためトナー粒子ごとの組成が不均一になりやすくトナー品質が低下する場合がある。前記固形分が40質量%を超えると、小粒径のトナーが得られない場合がある。
【0114】
<トナー>
本発明のトナーは、上述した本発明のトナー製造方法によって得られたトナーであり、これにより、粒度分布が単分散なものが得られる。
本発明のトナーは、更に必要に応じて、流動性向上剤などの添加剤などを含むことができる。
【0115】
前記トナーの粒度分布(重量平均粒径/個数平均粒径)としては、1.00〜1.15が好ましく、1.00〜1.05がより好ましい。
また、前記トナーの重量平均粒径としては、1μm〜20μmが好ましく、3μm〜10μmがより好ましい。
【0116】
前記トナーの重量平均粒径、個数平均粒径及び粒度分布は、例えば、フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)により測定することができる。前記フロー式粒子像分析装置としては、例えば、東亜医用電子株式会社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000を用いることができる。また、トナーに限らず、トナー粒子、添加剤などについてもこの方法により同様に測定することができる。
【0117】
前記フロー式粒子像分析装置を使用した測定方法に関して以下に説明する。
まず、測定範囲10−3cmに存在する粒子(例えば、円相当径0.60μm以上、159.21μm未満の粒子)の数が20個以下となるように、フィルタを通して微細なごみを取り除いた水を調製し、該水10mlにノニオン系界面活性剤(好ましくは和光純薬社製コンタミノンN)を数滴加え、更に測定試料を5mg加え、超音波分散器STM社製UH−50で20kHz、50W/10cmの条件で1分間分散処理を行い、更に合計5分間の分散処理を行い、測定試料の粒子濃度が4,000〜8,000個/10−3cm(測定円相当径範囲の粒子を対象として)となるよう調製した試料分散液を用いて、下記の手順に従い、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定する。
【0118】
調製した試料分散液を、フラットで偏平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)に通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラがフローセルに対して相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。
【0119】
約1分間で、1,200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、0.06μm〜400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行う。
【0120】
−流動性向上剤−
本発明に係るトナーには、流動性向上剤を添加してもよい。該流動性向上剤は、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善(流動しやすくなる)するものである。
【0121】
前記流動性向上剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナなどの金属酸化物の微粉末、及びそれらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ;フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末などが挙げられる。これらの中でも、微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナが好ましく、また、これらをシランカップリング剤やシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカがより好ましい。
【0122】
前記流動性向上剤の粒径としては、平均一次粒径として、0.001μm〜2μmが好ましく、0.002μm〜0.2μmがより好ましい。
【0123】
前記微粉末シリカは、ケイ素ハロゲン化含物の気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ乃至ヒュームドシリカと称されるものである。
【0124】
前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば、AEROSIL(日本アエロジル社商品名、以下同じ)−130、−300、−380、−TT600、−MOX170、−MOX80、−COK84;Ca−O−SiL(CABOT社商品名)−M−5、−MS−7、−MS−75、−HS−5、−EH−5;Wacker HDK(WACKER−CHEMIE社商品名)−N20 V15、−N20E、−T30、−T40;D−CFineSi1ica(ダウコーニング社商品名);Franso1(Fransi1社商品名)などが挙げられる。
【0125】
更には、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が、好ましくは30%〜80%の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化は、シリカ微粉体と反応乃至物理吸着する有機ケイ素化合物などで化学的乃至物理的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法が挙げられる。
【0126】
前記有機ケイ素化合物としては、例えば、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジビニルクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、へキサメチルジシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、α−クロルエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、へキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフエニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し、未端に位置する単位にそれぞれSiに結合した水酸基を0〜1個含有するジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。更に、ジメチルシリコーンオイルなどのシリコーンオイルが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0127】
前記流動性向上剤の個数平均粒径としては、5nm〜100nmが好ましく、5nm〜50nmがより好ましい。
【0128】
前記流動性向上剤の比表面積としては、BET法で測定した窒素吸着による比表面積で、30m/g以上が好ましく、60m/g〜400m/gがより好ましい。
前記流動性向上剤が表面処理された微粉体の場合、その比表面積としては、20m/g以上が好ましく、40m/g〜300m/gがより好ましい。
【0129】
前記流動性向上剤の添加量としては、トナー粒子100質量部に対して0.03質量部〜8質量部が好ましい。
【0130】
−その他の添加剤−
本発明に係るトナーには、その他の添加剤として、静電潜像担持体・キャリアの保護、クリーニング性の向上、熱特性・電気特性・物理特性の調整、抵抗調整、軟化点調整、定着率向上等を目的として、金属石けん、フッ素系界面活性剤、フタル酸ジオクチル等;導電性付与剤として酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化アンチモン等;酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ等の無機微粉体などを必要に応じて添加することができる。前記無機微粉体は、必要に応じて疎水化してもよい。
また、ポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン等の滑剤、酸化セシウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、ケーキング防止剤、トナー粒子と逆極性の白色微粒子乃至黒色微粒子などを、現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0131】
これらの添加剤は、帯電量コントロール等の目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤などで処理することも好ましい。
【0132】
現像剤を調製する際には、現像剤の流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、先に挙げた疎水性シリカ微粉末などの無機微粒子を添加混合してもよい。外添剤の混合には、一般の粉体の混合機を適宜選択して使用することができるが、内部温度を調節可能なジャケットなどを装備した混合機を使用することが好ましい。外添剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中乃至漸次、外添剤を加えていけばよいし、混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを変化させてもよく、はじめに強い負荷を、次に比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。使用できる混合機の例としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。
【0133】
得られたトナーの形状をさらに調節する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結着樹脂、着色剤を含むトナー材料を溶融混練後、微粉砕したものをハイブリタイザー、メカノフュージョン等を用いて機械的に形状を調節する方法、いわゆるスプレードライ法と呼ばれるトナー材料をトナーバインダーが可溶な溶剤に溶解分散後、スプレードライ装置を用いて脱溶剤化して球形トナーを得る方法、水系媒体中で加熱することにより球形化する方法などが挙げられる。
【0134】
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。前記無機微粒子の一次粒子径としては、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。
【0135】
前記無機微粒子のBET法による比表面積としては、20m/g〜500m/gが好ましい。前記無機微粒子のトナーに対する使用割合としては、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.01質量%〜2.0質量%がより好ましい。
【0136】
その他の添加剤としては、高分子系微粒子、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系樹脂、乃至熱硬化性樹脂による重合体粒子などが挙げられる。
【0137】
このような添加剤は、表面処理剤で処理することにより、疎水性を上げ、高湿度下においても添加剤自身の劣化を防止することができる。
前記表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好適に挙げられる。
【0138】
静電潜像担持体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子などを挙げることかできる。前記ポリマー微粒子としては、比較的粒度分布が狭いことが好ましく、該ポリマー微粒子の体積平均粒径としては、0.01μm〜1μmが好ましい。
【0139】
<<現像剤>>
本発明のトナーは、一成分現像剤として使用してもよく、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
【0140】
−キャリア−
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェライト、マグネタイト等のキャリア、樹脂コートキャリアなどを挙げることができる。前記樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材とからなる。前記被覆材に使用する樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂などが好適に挙げられる。この他にも、アイオモノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等のキャリアの被覆材として使用できる樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0141】
また、前記キャリアとして、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。前記樹脂コートキャリアにおいて、キャリアコアの表面を少なくとも樹脂被覆剤で被覆する方法としては、例えば、樹脂を溶剤中に溶解乃至懸濁せしめて塗布したキャリアコアに付着せしめる方法、単に粉体状態で混合する方法などが挙げられる。前記樹脂コートキャリアに対する樹脂被覆材の使用割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂コートキャリア100質量部に対して、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜1質量%がより好ましい。
【0142】
2種以上の混合物の前記樹脂被覆材で前記磁性体を被覆する使用例としては、(1)酸化チタン微粉体100質量部に対してジ、メチルジクロロシランとジメチルシリコーンオイル(質量比1:5)の混合物12質量部で処理したもの、(2)シリカ微粉体100質量部に対して、ジメチルジクロロシランとジメチルシリコーンオイル(質量比1:5)の混合物20質量部で処理したものなどが挙げられる。前記樹脂被覆材としては、例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物、シリコーン樹脂などが好適に使用され、これらの中でも、シリコーン樹脂が特に好ましい。
【0143】
前記含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンとスチレン−メタクリ酸メチル共重合体との混合物、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合(共重合体質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体質量比20〜60:5〜30:10:50)との混合物などが挙げられる。前記シリコーン樹脂としては、含窒素シリコーン樹脂及び含窒素シランカップリング剤と、シリコーン樹脂とが反応することにより生成された、変性シリコーン樹脂が挙げられる。
【0144】
前記キャリアコアの磁性材料としては、例えば、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄等の酸化物、鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又はこれらの合金などが挙げられる。また、これらの磁性材料に含まれる元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムが挙げられる。これらの磁性材料の中でも、銅、亜鉛、及び鉄成分を主成分とする銅−亜鉛−鉄系フェライト、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分とするマンガン−マグネシウム−鉄系フェライトが特に好適に挙げられる。
【0145】
前記キャリアの体積抵抗値としては、キャリアの表面の凹凸度合い、被覆する樹脂の量を適宜調整することにより設定することができ、例えば、10Ω・cm〜1010Ω・cmが好ましい。前記キャリアの粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4μm〜200μmが好ましく、10μm〜150μmがより好ましく、20μm〜100μmが特に好ましい。その中でも、樹脂コートキャリアの粒径としては、50%粒径が20μm〜70μmが最も好ましい。2成分系現像剤では、キャリア100質量部に対して、本発明のトナー1質量部〜200質量部で使用することが好ましく、キャリア100質量部に対して、トナー2質量部〜50質量部で使用するのがより好ましい。
【0146】
本発明のトナーを用いた現像方法においては、従来の電子写真法に使用する静電潜像担持体が全て使用できる。例えば、有機静電潜像担持体、非晶質シリカ静電潜像担持体、セレン静電潜像担持体、酸化亜鉛静電潜像担持体などが好適に使用可能である。
【実施例】
【0147】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
【0148】
以下に、本実施の形態のトナー製造装置における液滴吐出ヘッドの吐出孔の開口数やパターンと配置と定在波の関係、気流制御部材の形状の例を示す。以下の各実施例において実験的に吐出周波数を探索することにより共鳴周波数を知ることができる。また、各条件でトナー組成液を吐出させ、トナー母体粒子を得、その後外添加処理を行ったトナーの評価を行った結果を併せて示す。
【0149】
(実施例1)
後述の通り作製したトナー組成液を、液滴吐出手段として図13に示す液滴吐出ヘッドと、図5に示す気流案内孔及び気流流路とを有する図1のトナーの製造装置を用いて以下のような条件で、液滴を吐出させた。
【0150】
−着色剤分散液の調製−
先ず、着色剤として、カーボンブラック分散液を調製した。
カーボンブラック(Regal400、Cabot社製)17質量部、及び顔料分散剤(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ社製)3質量部を、酢酸エチル80質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用して一次分散させた。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、5μm以上の凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。
【0151】
−ワックス分散液の調製−
次に、ワックス分散液を調製した。
カルナバワックス18質量部、ワックス分散剤2質量部を、酢酸エチル80質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。この一次分散液を攪拌しながら80℃まで昇温しカルナバワックスを溶解した後、室温まで液温を下げ、最大粒径が3μm以下となるようワックス粒子を析出させた。ワックス分散剤としては、ポリエチレンワックスにスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したものを使用した。得られた分散液を、更にダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、最大粒径が1μm以下になるよう調整した。
【0152】
−トナー組成液の調製−
次に、結着樹脂としての樹脂、前記着色剤分散液及び前記ワックス分散液を添加した下記組成からなるトナー組成分散液を調製した。
結着樹脂としてのポリエステル樹脂(数平均分子量:6,000、重量平均分子量:40,000)100質量部、前記着色剤分散液30質量部、ワックス分散液30質量部、及び酢酸エチル840質量部を、攪拌羽を有するミキサーを使用して10分間攪拌を行い、均一に分散させた。溶媒希釈のショックによる顔料、ワックス粒子などの凝集が発生することはなかった。
【0153】
−トナーの作製−
得られたトナー組成液を、液滴吐出手段として図13に示す液滴吐出ヘッドと、図5に示す気流案内孔及び気流流路とを有する図1のトナー製造装置を用い、以下の液滴吐出条件及び液滴搬送条件で、液滴を吐出させた。その後、該液滴を搬送、乾燥固化し、サイクロン捕集し、さらに30℃にて48時間送風乾燥することにより、トナー母体粒子を作製した。
【0154】
図13(a)は、液滴吐出ヘッドの断面図であり、(b)は、吐出孔の配置を示す断面図である。同図に示す液滴吐出ヘッドは、液柱共鳴液室18内の固定端側に吐出孔19が2個開口するとともに液柱共鳴液室18の液共通供給路側端に反射壁を設け、液柱共鳴液室内のトナー組成液に振動を付与する振動発生部20として圧電素子を有する。また、前記液滴吐出ヘッドでは、液柱共鳴液室の長手方向の長さLは、1.85mmであり、振動発生部20により駆動周波数328kHzの振動が液柱共鳴液室内のトナー組成液に付与され、これにより、両端ともにほぼ固定端のN=2の共鳴モードの液柱共鳴による圧力定在波が形成される。この条件において、圧力定在波の腹となる領域は、±1/4波長となる領域であり、液供給路側の端部から0mm〜0.46mmの領域である。この領域に、吐出孔開口部8.0μm、吐出孔間のピッチ130μmの吐出孔19が2個開口されている。
この実施例1は、共鳴ピーク周波数での駆動の結果を示している。共鳴ピークとは、共鳴状態の速度共鳴定在波の節で液柱共鳴定在波の腹、つまり圧力が最も高くなる状態であり、実験的に液滴を吐出させ、上述した図12のように速度が極大となる周波数として決定することができる。
〔液滴吐出条件〕
トナー組成液比重 :ρ=1.1888g/cm
吐出孔数 :2個
駆動周波数 :328kHz
印加電圧サイン波ピーク値:8.0V
装置内温度 :27℃〜28℃
形成された液滴粒径 :11.4μm
なお、前記液滴粒径は、図11と同様に、レーザーシャドウグラフィ法にて吐出を撮影し、形成された液滴の2次元画像の面積から同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出した。
【0155】
気流案内孔及び気流流路を図5に示す構成において、以下の液滴搬送条件にして、トナー母体粒子を得た。
〔液滴搬送条件〕
気流制御部材角度α :30°
気流案内孔入口部第1角度β1:30°
気流案内孔入口部第2角度β2:80°
絞り部位置H :7mm
絞り部長さL :3mm
絞り部開口幅B :5mm
気流案内孔出口部角度γ :60°
絞り部搬送気流速度V :25.0m/s
【0156】
乾燥固化したトナー母体粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルタで吸引捕集した。捕集した粒子の粒度捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000、東亜医用電子社株式会社製)で下記に示す測定条件において測定したところ、重量平均粒径(D4)が5.7μm、個数平均粒径(Dn)が5.5μmであり、D4/Dnが1.04の粒度分布がシャープなトナー母体粒子が得られた。
〔測定条件〕
試料分散液の分散条件 :20kHz、50W/10cm;1分間×6セット
超音波分散器 :UH−50(株式会社エスエムテー製)
試料分散液の粒子濃度 :4000〜8000個/10−3cm
測定対象粒子の円相当径:0.60μm以上159.21μm未満
【0157】
−外添処理−
乾燥固化したトナー母体粒子をサイクロン捕集した後、トナー母体粒子に対して疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量%を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて外添処理を行い、トナーを作製した。
【0158】
−キャリアの作製−
被覆層材料としてのシリコーン樹脂をトルエンに分散させて、被覆層分散液を調製した後、加温状態にて、芯材(平均粒径50μmの球形フェライト粒子)にスプレーコートし、焼成し、冷却後、被覆層の平均厚み0.2μmのキャリアを作製した。
【0159】
−現像剤の作製−
得られたトナー4質量部に対し、前記キャリア96質量部を混合して二成分現像剤を作製した。
【0160】
<評価方法>
<<細線再現性>>
作製した現像剤を、市販の複写機(イマジオネオ271、株式会社リコー製)の現像器部分を改良した改造機に入れ、画像占有率7%の印字率で、株式会社リコー製6000ペーパーを用いてランニングを実施した。その時の初期10枚目の画像及び3万枚目の画像の細線部を、原稿の細線部と比較評価した。具体的には、光学顕微鏡を用いて100倍で拡大観察し、ラインの抜けの状態を段階見本と比較しながら、◎、○、△、×の4段階で評価した。なお、◎>○>△>×の順に画像品質が高いことを表し、特に、×の評価は、製品として採用できないレベルであることを示す。結果を表1に示す。下記の表1には、実施例1以降の実施例2〜10及び比較例1〜3の細線再現性の評価結果も併せて一覧にしている。
【0161】
(実施例2)
実施例1において、気流制御部材を外し、即ち、気流制御部材角度αを0°とした以外は、実施例1と同様の液滴作製条件及び液滴搬送条件にして、トナーを得た。
得られたトナーについて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0162】
(実施例3)
実施例2において、気流案内孔出口部角度γを90°、即ち、テーパを設けず、ストレート形状とした以外は、実施例2と同様の液滴作製条件及び液滴搬送条件にして、トナーを得た。
得られたトナーについて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0163】
(実施例4)
実施例1において、図14に示す液滴吐出ヘッドとし、以下の液滴吐出条件とした以外は、実施例1と同様の液滴吐出条件及び液滴搬送条件にして、トナーを得た。
図14(a)は、液滴吐出ヘッドの断面図であり、(b)は、吐出孔の配置を示す断面図である。同図に示す液滴吐出ヘッドは、液柱共鳴液室18内の固定端側に吐出孔19が4個開口するとともに液柱共鳴液室18の液共通供給路側端に反射壁を設け、液柱共鳴液室内のトナー組成液に振動を付与する振動発生部20として圧電素子を有する。また、前記液滴吐出ヘッドでは、液柱共鳴液室の長手方向の長さLは、1.85mmであり、振動発生部20により駆動周波数344kHzの振動が液柱共鳴液室内のトナー組成液に付与され、これにより、図13の実施例1と比べて固定端側が吐出孔の開口の影響でやや緩い拘束状態となるが、両端ともにほぼ固定端のN=2の共鳴モードの液柱共鳴による圧力定在波が形成される。この条件において、圧力定在波の腹となる領域は、±1/4波長となる領域であり、液供給路側の端部から0mm〜0.46mmの領域である。この領域に、吐出孔開口部8.0μm、吐出孔間のピッチ130μmの吐出孔19が4個開口されている。
〔液滴吐出条件〕
吐出孔数 :4個
駆動周波数 :344kHz
得られたトナーについて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0164】
(実施例5)
実施例4において、気流制御部材を外し、即ち、気流制御部材角度αを0°とした以外は、実施例4と同様の液滴吐出条件及び液滴搬送条件にして、トナーを得た。
得られたトナーについて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0165】
(実施例6)
実施例5において、気流案内孔出口部角度γを90°、即ち、テーパを設けず、ストレート形状とした以外は、実施例5と同様の液滴吐出条件及び液滴搬送条件にして、トナーを得た。
得られたトナーについて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0166】
(実施例7)
実施例1において、図15に示す液滴吐出ヘッドとし、以下の液滴作製条件とした以外は、実施例1と同様の液滴吐出条件及び液滴搬送条件にして、トナーを得た。
図15(a)は、液滴吐出ヘッドの断面図であり、(b)は、吐出孔の配置を示す断面図である。同図に示す液滴吐出ヘッドは、液柱共鳴液室18内の固定端側に吐出孔19が36個開口するとともに液柱共鳴液室18の液共通供給路側端に反射壁を設け、液柱共鳴液室内のトナー組成液に振動を付与する振動発生部20として圧電素子を有する。また、前記液滴吐出ヘッドでは、液柱共鳴液室の長手方向の長さLは、1.85mmであり、振動発生部20により駆動周波数468kHzの振動が液柱共鳴液室内のトナー組成液に付与され、これにより、固定端側が緩い拘束の固定端となるが、両端ともにほぼ固定端のN=2の共鳴モードの液柱共鳴による圧力定在波が形成される。この条件において、圧力定在波の腹となる領域は、±1/4波長となる領域であり、液供給路側の端部から0mm〜0.46mmの領域である。この領域に、吐出孔開口部8.0μm、吐出孔間のピッチ130μmの吐出孔19が36個開口されている。
同図に示す液滴吐出ヘッドは、液柱共鳴液室18内の固定端側に吐出孔19が36個開口としたことで、液柱共鳴液室長Lのおおよそ3分の1の範囲まで吐出孔が設けられたことになる。
〔液滴吐出条件〕
吐出孔数 :36個
駆動周波数 :468kHz
得られたトナーについて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0167】
(実施例8)
実施例7において、気流制御部材を外し、即ち、気流制御部材角度αを0°とした以外は、実施例7と同様の液滴吐出条件及び液滴搬送条件にして、トナーを得た。
得られたトナーについて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0168】
(実施例9)
実施例8において、気流案内孔出口部角度γを90°、即ち、テーパを設けず、ストレート形状とした以外は、実施例8と同様の液滴吐出条件及び液滴搬送条件にして、トナーを得た。
得られたトナーについて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0169】
(実施例10)
実施例1において、気流案内孔入口部第2角度β2が5°〜90°まで滑らかに変化するように変更し、気流案内孔出口部角度γが15°〜60°まで滑らかに変化するように変更させた図6に示す構成とした以外は、実施例1と同様の液滴吐出条件及び液滴搬送条件にして、トナーを得た。
得られたトナーについて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0170】
(比較例1)
実施例1において、気流案内孔及び気流流路を図16に示す構成において、以下の液滴搬送条件とした以外は、実施例1と同様の液滴吐出条件及び液滴搬送条件にして、トナーを得た。
〔液滴搬送条件〕
気流制御部材角度α :気流制御部材未使用(0°)
気流案内孔入口部第1角度β1: 0°
気流案内孔入口部第2角度β2:90°
気流案内孔出口部角度γ :90°
得られたトナーについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
【0171】
(比較例2)
実施例4において、比較例1と同様の液滴搬送条件とした以外は、実施例4と同様の液滴吐出条件にして、トナーを得た。
得られたトナーについて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0172】
(比較例3)
実施例7において、比較例1と同様の液滴搬送条件とした以外は、実施例7と同様の液滴吐出条件として、トナーを得た。
得られたトナーについて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0173】
【表1】

【符号の説明】
【0174】
1 トナーの製造装置
10 液滴吐出手段
11 液滴吐出ヘッド
12 気流流路
13 原料収容部
14 トナー組成液
15 液循環ポンプ
16 液供給管
17 液共通供給路
18 液柱共鳴液室
19 吐出孔
20 振動発生部
21 トナー液滴
22 液戻り管
30 乾燥捕集ユニット
31 チャンバ
32 トナー捕集部
33 搬送気流
34 トナー捕集チューブ
35 トナー貯留部
36 気流制御部材
37 気流流路形成容器
38 乾燥気流
39 下降気流
40 絞り部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0175】
【特許文献1】特開2007−199463号公報
【特許文献2】特許第3786034号公報
【特許文献3】特開2008−286947号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの吐出孔からトナー組成液を液滴状に吐出する液滴吐出手段と、前記液滴を気流によって搬送し、固化する液滴固化手段とを有するトナー製造装置であって、
前記トナー組成液が、トナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散させてなり、
前記液滴吐出手段が、前記吐出孔が開口された液柱共鳴液室と、該液柱共鳴液室内の前記トナー組成液に振動を付与する振動発生部とを有し、該振動発生部によって前記液柱共鳴液室内の前記トナー組成液に振動を付与して液柱共鳴による圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を液滴状に吐出し、
前記液滴固化手段が、前記液滴の吐出方向下流側に配置され、前記気流を下流側に案内する気流案内孔を有し、
前記気流案内孔が、開口径が最小となる絞り部と、入口部とを有し、
前記気流案内孔における前記吐出孔の開口軸と垂直な開口面が、前記入口部において、前記吐出孔の表面から前記絞り部に向かうに従い、漸次縮小するテーパ形状であることを特徴とするトナーの製造装置。
【請求項2】
気流案内孔が、出口部を更に有し、
前記気流案内孔における吐出孔の開口軸と垂直な開口面が、前記出口部において、絞り部から液滴の搬送方向下流側に向かうに従い、漸次拡大するテーパ形状である請求項1に記載のトナーの製造装置。
【請求項3】
液滴固化手段が、液柱共鳴液室の外周から気流案内孔に気流を流通させる気流流路を更に有し、前記気流流路が、液滴の吐出方向に均一な速度分布を有する気流を形成する請求項1から2のいずれかに記載のトナーの製造装置。
【請求項4】
吐出孔が、1つの液柱共鳴液室に、複数形成された請求項1から3のいずれかに記載のトナーの製造装置。
【請求項5】
液柱共鳴液室の長手方向の両端における、少なくとも一部に反射壁面が設けられた請求項1から4のいずれかに記載のトナーの製造装置。
【請求項6】
トナー組成液に対して、下記式(1)が成立する周波数fの振動を付与する請求項1から5のいずれかに記載のトナーの製造装置。
f=N×c/(4L) ・・・式(1)
(ただし、式中、Lは、液柱共鳴液室の長手方向の長さ、cは、トナー組成液の音波の速度、Nは、整数をそれぞれ表す。)
【請求項7】
トナー組成液に対して、下記式(2)が成立する周波数fの振動を付与する請求項1から6のいずれかに記載のトナーの製造装置。
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le) ・・・式(2)
(ただし、式中、Lは、液柱共鳴液室の長手方向の長さ、Leは、液供給路側の端部と、該端部に最も近い吐出孔の中心部との距離、cは、トナー組成液の音波の速度、Nは、整数をそれぞれ表す。)
【請求項8】
トナー組成液に対して、下記式(3)が成立する周波数fの振動を付与する請求項1から7のいずれかに記載のトナーの製造装置。
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・式(3)
(ただし、式中、Lは、液柱共鳴液室の長手方向の長さ、Leは、液供給路側の端部と、該端部に最も近い吐出孔の中心部との距離、cは、トナー組成液の音波の速度、Nは、整数をそれぞれ表す。)
【請求項9】
Le/L>0.6である請求項7から8のいずれかに記載のトナーの製造装置。
【請求項10】
振動の周波数が、300kHz以上の高周波振動である請求項1から9のいずれかに記載のトナーの製造装置。
【請求項11】
少なくとも1つの吐出孔からトナー組成液を液滴状に吐出する液滴吐出工程と、前記液滴を気流によって搬送し、固化する液滴固化工程とを含むトナー製造方法であって、
前記トナー組成液が、トナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散させてなり、
前記液滴吐出工程が、前記吐出孔が開口された液柱共鳴液室内の前記トナー組成物に振動を付与して液柱共鳴による圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成物を液滴状に吐出し、
前記液滴固化工程が、前記液滴の吐出方向下流側に配置され、前記気流を下流側に案内する気流案内孔を介して、前記液滴を気流によって搬送することを含み、
前記気流案内孔が、開口径が最小となる絞り部と、入口部とを有し、
前記気流案内孔における前記吐出孔の開口軸と垂直な開口面が、前記入口部において、前記吐出孔の表面から前記絞り部に向かうに従い、漸次縮小するテーパ形状であることを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項12】
気流案内孔が、出口部を更に有し、
前記気流案内孔における吐出孔の開口軸と垂直な開口面が、前記出口部において、絞り部から液滴の搬送方向下流側に向かうに従い、漸次拡大するテーパ形状である請求項11に記載のトナーの製造方法。
【請求項13】
液滴固化工程が、液柱共鳴液室の外周から気流案内孔に気流を流通させることを更に含み、前記気流が、液滴の吐出方向に均一な速度分布を有する請求項11から12のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれかに記載のトナーの製造方法により得られたことを特徴とするトナー。

【図1】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−93644(P2012−93644A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242499(P2010−242499)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】