説明

トナーベースの印刷物をコーティングするオーバープリント組成物

【課題】熱衝撃に暴露された後の熱クラッキングに抵抗性を有し、引っ掻きを伴わない(without scratching)、加熱、太陽光、加圧および、研磨剤(abrasives)に耐えることができ、上書きが可能であり、印字のオフセットに抵抗性を有するような、トナーベースの印刷物のためのオーバープリント組成物を提供する。
【解決手段】オーバープリント組成物は、少なくとも1種のオリゴマーと、少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種の光重合開始剤と、少なくとも1種の界面活性剤と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、トナーベースの印刷物をコーティングするためのオーバープリント組成物(overprint compositions)に関する。このオーバープリント組成物は、たとえば、画像耐久度、熱安定性、耐光性、および耐汚れ性など、トナーベースの印刷物(toner−based print)に対して各種のメリットを与える。本発明はさらに、熱衝撃(thermal shock)の後、コーティングしたトナーベースの印刷物における熱クラッキングの程度を評価することによって、熱クラッキングを抑制または防止することにも関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法のような、トナーベースの画像を発生させる通常の方法においては、電荷保持表面、たとえば感光体(photoreceptor)に均一に帯電させることによって、静電潜像を電子写真表面に形成させる。次いで、その帯電させた領域を、元の画像に対応する活性化照射のパターンで選択的に電荷を逃がす(dissipate)。その表面に残る潜像電荷パターンは、照射に暴露されなかった領域に対応する。次いで、その感光体を、トナーを含む1つまたは複数の現像ハウジングに通すことにより、トナーが、静電引力によって電荷パターンで付着するので、その潜像電荷パターンが可視化される。次いでその現像された画像を、画像形成表面に定着させるか、または受像基材、たとえば紙に転写させ、適切な定着技術によりそれに定着させて、電子写真印刷、すなわちトナーベースの印刷物が得られる。
【0003】
印刷物を保護するための公知の方法としては、トナーベースの印刷物のためのトナーにワックスを添加すること、および、基材にオーバープリントコーティングを施すことによって、その印刷物を研磨性物質から保護し、たとえば、トナーベースの印刷物およびインキベースの印刷物(toner−based and ink−based prints)に対して耐引っ掻き性を付与する。オーバープリントコーティングは、オーバープリントワニス(varnish)または組成物と呼ばれることも多いが、典型的には、乾燥および/または硬化させることが可能な液膜コーティングである。一般に硬化(curing)は、乾燥または加熱によるか、あるいは紫外線や低電圧電子ビームを当てることによって、オーバーコートの成分を重合(架橋)させることにより実施する。しかしながら、公知のオーバープリントコーティング、たとえば、米国特許第4,070,262号明細書、米国特許第4,071,425号明細書、米国特許第4,072,592号明細書、米国特許第4,072,770号明細書、米国特許第4,133,909号明細書、米国特許第5,162,389号明細書、米国特許第5,800,884号明細書、米国特許第4,265,976号明細書、および米国特許第5,219,641号明細書などに記載されているものでは、トナーベースの印刷物を充分保護することには成功していない。
【0004】
たとえば、インキベースの印刷物に対し特に作られたコーティングは、コーティング樹脂とトナー樹脂との間の熱膨張係数に違いがあるため、トナーベースの印刷物に対しては効果的に機能しない。したがって、そのトナーベースの印刷物を高温および/または高圧に暴露させると、トナーが膨張して、印刷物の表面にヘアラインクラック(hairline cracks)が生成する原因となる。ヘアラインクラックによって基板(substrate)が露出し、そのために、クラックが非常に目立ち、画像の品質を低下させる。このことは、たとえば自動車用の取扱説明書や表紙などにおいては特に重大な問題となるが、その理由は、そこに印刷されているものが、高温に連続して数時間暴露されても、それに耐えるだけではなく、きれいな外観を維持することを必要とされるからである。同様に、トナーベースの印刷物に適用可能な公知のコーティングは、たとえば、熱クラッキングや印字のオフセット(document offset)などのトナーに特有な問題を効果的に防止したり抑制したりすることができない。
【0005】
さらに、公知のコーティング配合物では、印刷物の上に液状マーカーで上書きすることが原因の、ビードアップ(bead−up)や汚れ(smear)から、電子写真印刷を保護することができない。ビーディングや汚れ(beading and smearing)をもたらすことなくきれいに上書きができるということは、多くの商用用途、たとえばレストランのメニューやカレンダーなどでは、極めて重要なことである。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,070,262号明細書
【特許文献2】米国特許第4,071,425号明細書
【特許文献3】米国特許第4,072,592号明細書
【特許文献4】米国特許第4,072,770号明細書
【特許文献5】米国特許第4,133,909号明細書
【特許文献6】米国特許第5,162,389号明細書
【特許文献7】米国特許第5,800,884号明細書
【特許文献8】米国特許第4,265,976号明細書
【特許文献9】米国特許第5,219,641号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、特に商業印刷用途においては、オーバープリントコーティング特性、たとえば(これらに限定される訳ではないが)、熱安定性および光安定性ならびに耐汚れ性のような性能を与える、保護組成物が必要とされている。より詳しくは、シリコーン定着器オイル(silicone fuser oil)(電子写真基材で一般的に使用されている)の上で濡れることができ、上書きが可能で、熱クラッキングを抑制または防止し、印字のオフセットを抑制または防止し、画像を太陽光や熱から保護するなどの性能を有するオーバープリントコーティングが必要とされている。放射線硬化性オーバープリント組成物を用いてコーティングする、本発明の組成物と方法は、このような必要性を満たすものである。
【0008】
本発明が目的としているのは、熱衝撃に暴露された後の熱クラッキングに抵抗性を有し、引っ掻きを伴わない(without scratching)、加熱、太陽光、加圧および、研磨剤(abrasives)に耐えることができ、上書きが可能であり、印字のオフセットに抵抗性を有するような、トナーベースの印刷物を製作するための方法である。したがって、本発明がさらに目的としているのは、印刷物を熱、光、研磨剤および/または圧力に暴露させた場合であっても、画像の耐久性と安定性が得られるように設計された放射線硬化性(radiation curable)オーバープリント組成物である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも1種のオリゴマーと、少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種の光重合開始剤と、少なくとも1種の界面活性剤と、を含む、放射線硬化性オーバープリント組成物を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のオーバープリント組成物によれば、オーバープリント組成物でコーティングした印刷物を硬化させれば、前記コートされた印刷物を、熱衝撃の後に熱クラッキングを実質的に示さないようにすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
それらに加えて、本発明のオーバープリント組成物は、電子写真基板とトナーの粗面(roughness)の中に入り込み、そのために平滑な膜(level film)が形成されて光沢度が向上するので、トナーベースの印刷物の総合的な外観を改良する。たとえばカラー画像を形成させるためにトナーの堆積高さ(pile height)にばらつきがあるような場合によく観察される、光沢差を抑制または排除するのには、これは望ましいことである。このことは、画像の黒色の部分が、画像のほぼ白色の部分と隣り合っているような場合に、特に顕著となる。本発明のオーバープリント組成物を用いれば、そのような差は無視できる。
【0012】
本発明はさらに、印刷基材の少なくとも1つの表面に塗布した、放射線硬化可能な(radiation curable)、好ましくは紫外線(UV)硬化可能な、オーバープリント組成物を含むトナーベースの印刷物にも関する。塗布されるUV硬化可能なオーバープリント組成物には、UV硬化可能なオリゴマー/モノマー、光重合開始剤、および界面活性剤の均一な混合物が含まれる。本発明の組成物を用いて印刷物をコーティングすることによって、硬化をさせた後では保護バリアとして機能するオーバーコートの下に、トナーが効果的に埋め込まれる。
【0013】
硬化させた後のオーバープリント組成物が、トナーベースの印刷物を熱クラッキングから保護する、あるいは、少なくとも熱クラッキングの発生を抑制する能力は、熱衝撃、たとえば、高温および/または高圧に暴露させた後で、画像解析システムを使用して、熱クラック領域(Thermal Crack Area,TCA)を測定することによって定量化することが可能である。このTCAの値が高いほど、クラックが目立ち、画像品質の劣化が著しい。トナーベースの印刷物を熱クラッキングから保護する、放射線硬化性オーバープリント組成物は、(熱衝撃後で)約0%〜約0.05%の範囲、好ましくは、スキャナーノイズにもよるが、約0.05%未満のTCA値を有する。
【0014】
本発明の実施の態様において、硬化させ熱衝撃に暴露させた後には、オーバープリント組成物がクラッキングを全く示さないか、または少なくとも実質的にクラッキングが無い。ここで、「実質的にクラッキングが無い」という用語は、オーバープリント組成物でコーティングした印刷物が、オーバープリント組成物を硬化させ印刷を熱衝撃に暴露させた後で、少なくともそのようなクラッキングを測定または定量するのに用いる方法における測定誤差の範囲内において、クラッキングを示さない、ということを意味している。たとえば、本明細書で記載するように、クラッキングを、TCA値を用いて測定または定量する場合には、好ましいTCA値は約0.05%未満である。このように、実施の態様においては、TCA値は熱衝撃に暴露させた後で、たとえばスキャナーの解像度の変動によるスキャナーノイズにもよるが、約0.0〜約0.05%、好ましくは約0.05%未満である。
【0015】
本発明はさらに、トナーベースの印刷物を形成させるための方法にも関し、それに含まれるのは、静電画像を発生させる工程、その静電画像を、トナーを用いて現像する工程、その現像されたトナーベースの画像を基材に転写する工程、その現像されたトナーベースの画像に放射硬化性オーバープリント組成物を塗布する工程、およびその組成物を硬化させる工程であり、それにより、得られるトナーベースの印刷物が、熱衝撃に暴露させても熱クラッキングから保護される。
【0016】
本発明は、少なくとも1種の放射線硬化性オリゴマー/モノマーと、少なくとも1種の光重合開始剤と、少なくとも1種の界面活性剤と、を含む、無溶媒の(solvent−free)、放射線硬化性オーバープリント組成物を提供する。
【0017】
未硬化の状態では、この組成物は低粘度の液状物である。たとえば、紫外光線、電子ビームエネルギーなどの適当な硬化のためのエネルギー源に暴露させることによって、光重合開始剤(photoinitiator)がそのエネルギーを吸収し、反応を開始させ、その液状組成物を、硬化したオーバーコートへと転換させる。組成物中のモノマーおよびオリゴマーは、硬化源に暴露されることで重合し、容易に架橋してポリマーネットワークを形成する、官能基を含んでいる。このポリマーネットワークによって、電子写真印刷に、たとえば、熱および光安定性(thermal and light stability)、ならびに耐汚れ性および耐引っ掻き性(smear and scratch resistance)が与えられる。したがって、その組成物は熱および日光にさらされる基材(substrate)の上の画像をコーティングするのには特によく適しているが、その理由は、その組成物が画像をクラッキングおよび退色から保護し、画像耐久度(image permanence)を与え、汚れやビーディングなしで、上書きを可能とするからである。
【0018】
オーバープリント組成物の他の利点は、電子ビーム照射、たとえば、特定の米国政府機関宛のある種の郵便物の、細菌およびウイルスを殺すために使用されるタイプの照射、から、電子写真印刷を保護する能力があるということである。約95〜110℃の温度で、非常に高いレベルの照射が要求されるので、目に見えるようなスチームが発生する。そのため、照射された郵便物は、黄変することも多く、また紙がもろくなることも多い。コンパクトディスク、フロッピー(登録商標)ディスクなどのプラスチックは溶融して、この照射プロセスには耐えられない。それに加えて、ほとんどのトナーベースの書類では、印字のオフセットが起こり、照射の後では互いにくっついてしまう。このオーバープリント組成物によって、そのような書類を、照射があっても耐えられるようにすることができる。
【0019】
本発明のオーバープリント組成物には一般に、少なくとも1種の放射線硬化性オリゴマー/モノマーと、少なくとも1種の光重合開始剤と、少なくとも1種の界面活性剤と、を含む。より詳しくは、このオーバープリント組成物には、少なくとも1種のアクリレート化したオリゴマー、ポリエーテルまたはポリエステルアクリレート、たとえば、高分子量、低粘度の不飽和三官能アクリル樹脂(unsaturated trifunctional acrylic resin);少なくとも1種の低表面張力、低粘度の二官能または三官能の(di− or tri−functional)アクリレートモノマー;化学的に不飽和なプレポリマー(オリゴマーおよびモノマー)の光重合、すなわち、硬化を開始させるのに使用される少なくとも1種のUV光重合開始剤;および少なくとも1種の界面活性剤が含まれる。
【0020】
この組成物のオリゴマー成分は、比較的疎水性であるのが好ましい。そのようなオリゴマーは、必要な防湿性(moisture barrier properties)を有する印刷物の放射線硬化層を与えるのに役立つが、その理由は、オリゴマーの疎水性が高くなるほど、防湿性能(moisture barrier properties)が向上するからである。その結果、湿分が紙の内部に浸透しにくくなり、そのため、紙がしわになったり、カールしたりすることを最小限に抑えることができる。好適なアクリレート化オリゴマーの例としては、アクリレート化ポリエステル類、アクリレート化ポリエーテル類、アクリレート化エポキシ類、およびウレタンアクリレート類などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。好適なオリゴマーを非限定的に挙げれば、下記の基本構造を有するポリエーテルアクリレートオリゴマー類がある。
【化1】


【0021】
上記の基本構造を有するポリエーテルアクリレートオリゴマー類としては、たとえば、アミン変性ポリエーテルアクリレートオリゴマーであるラロマー PO94F(Laromer PO94F, Laromerは登録商標)(ビーエーエスエフ コーポレーション、ノースカロライナ州シャーロット(BASF Corp., Charlotte, NC))がある。
【0022】
モノマーは、たとえば、粘度低下剤として、組成物を硬化させた場合にはバインダとして、接着促進剤(adhesion promoter)として、そして架橋剤として、機能する。好適なモノマーは、低分子量、低粘度、そして低表面張力であって、UV光に暴露すると重合する官能基を含んでいる。このモノマーは、1種または複数のジアクリレート類またはトリアクリレート類(di− or tri−acrylates)を含む、多官能アルコキシル化またはポリアルコキシル化アクリルモノマー(polyfunctional alkoxylated or polyalkoxylated acrylic monomers)であるのが好ましい。好適な多官能アルコキシル化またはポリアルコキシル化アクリレートは、以下に示す(つまり、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびグリセリルトリアクリレートの)アルコキシル化(alkoxylated)、好ましくは、エトキシル化、またはプロポキシル化変性物(ethoxylated, or propoxylated, variants)から選択することができる。より好ましい実施の態様においては、このモノマーとして、たとえば、SR−9003(サルトマー・カンパニー・インコーポレーテッド、ペンシルバニア州エクストン(Sartomer Co., Inc., Exton, PA))のような、ジプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(propoxylated neopentyl glycol diacrylate)、が挙げられるが、これは次に示す構造のものである:
【化2】

【0023】
好適な光重合開始剤は、UV光重合開始剤であって、非限定的にそれらの例を挙げれば、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン類、ベンゾイン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン類、トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシド類、アゾ化合物類、アントラキノン類および置換アントラキノン類、たとえば、アルキル置換またはハロ置換アントラキノン類、その他の置換または非置換多核キノン類、アセトホン類(acetophones)、チオキサントン類、ケタール類、アシルホスフィン類、およびそれらの混合物などがある。より好ましくは、光重合開始剤は下記の化合物の1つまたはそれらの混合物である:たとえば、イルガキュア(Irgacure, 登録商標)184(チバ・ガイギー・コーポレーション、ニューヨーク州タリータウン(Ciba−Geigy Corp., Tarrytown, NY))のような、下記の化3に示す構造式で表される、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンに代表される、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(hydroxyclyclohexylphenyl ketone);
【化3】


【0024】
たとえば、ルシリン(Lucirin, 登録商標)TPO−L(ビーエーエスエフコーポレーション(BASF Corp.))のような、下記の化4に示す構造式で表される、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネートに代表される、トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシド(trimethylbenzoylphenylphosphine oxide);などがある。
【化4】


【0025】
第4の主要成分である界面活性剤は一般に、必要があれば、硬化させる前に、組成物の表面張力を低下させ、基材表面を濡らし平滑化させるために使用される。そのような能力がある界面活性剤であれば、何を使用してもよい。好ましい界面活性剤として、非限定的ではあるが、フルオロ化アルキルエステル類や、次の化5に示す構造を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン類(polyether modified polydimethylsiloxanes)を挙げることができる。
【化5】


【0026】
上記化5において、R基は、たとえば、BYK(登録商標)−UV3510(BYKヘミーGmbH、ドイツ国ヴェーゼル(BYK Chemie GmbH, Wesel, Germany))およびBYK(登録商標)−348(BYKヘミーGmbH)などの官能性変性基(functional modifications)、及び、たとえば、ゾニル(Zonyl, 登録商標)FSO−100(イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー、デラウェア州ウィルミントン(E. I. Du Pont de Nemours and Co., Wilmington, DE))などの、RfCHCHO(CHCHO)H(ここで、Rf=F(CFCF)y、x=0〜約15、y=1〜約7)の式をもつフルオロ界面活性剤、などである。
【0027】
任意成分としての添加剤の例を非限定的に挙げれば、光安定剤(light stabilizers)、UV吸収剤(UV照射を吸収し、それを熱エネルギーに変換し、最終的には放散する)、抗酸化剤、光学的増白剤(画像の外観およびマスキングの黄変を改良することができる)、チキソトロピック剤、ディウェッティング(dewetting)剤、スリップ剤、発泡剤、消泡剤、流動化剤(flow agents)、ワックス、オイル、可塑剤、バインダ、導電剤、防カビ剤、殺菌剤、有機および/または無機フィラー粒子、レベリング剤(たとえば異なった光沢度を作ったり、抑制したりする薬剤)、乳白剤、帯電防止剤、分散剤、顔料、染料などがある。この組成物にはインヒビター、好ましくはヒドロキノンが含まれていてもよいが、このものは、貯蔵時に、オリゴマーおよびモノマー成分の重合を禁止、または少なくとも遅らせることにより、組成物を安定化させ、それによって、この組成物の使用期限(shelf life)を延ばすことができる。しかしながら、添加剤は硬化速度に関してはマイナスの効果を有する可能性があるので、任意成分の添加剤を用いたオーバープリント組成物を配合する場合には注意が必要である。
【0028】
その組成物が基材を濡らす能力は一般に、その粘度と表面張力に依存する。たとえば、表面張力が低ければ、その組成物で覆われる表面積が大きくなり、その結果、基材を充分に濡らすことになるであろう。好適な組成の調製(composition formulations)は、約25℃で測定したときの表面張力が、約15ダイン/cm〜約40ダイン/cm(約15mN/m〜約40mN/m)の範囲、より好ましくは約18ダイン/cm〜約21ダイン/cm(約18mN/m〜約21mN/m)の範囲である。約25℃で測定したときの表面張力が約20ダイン/cm(約20mN/m)となるのが好適である。
【0029】
この組成物の粘度は、温度によって変わるが、約50cP〜約300cP(約0.05Pa・s〜約0.3Pa・s)の範囲である。温度が約20℃〜約30℃の範囲のときの、組成物の粘度が、約100cP〜約200cP(約0.1Pa・s〜約0.2Pa・s)の範囲となるのが好ましい。より好ましくは、25℃での粘度が約100cP(約0.1Pa・s)である。許容可能な粘度を得るためには、オリゴマー:モノマー比は、好ましくは約0.67:1から約9:1まで、より好ましくは、約1.5:1から約4:1までである。
【0030】
この組成物の成分は、以下の順で混合するのが好ましい。すなわち、約60〜約70%のオリゴマー、非限定的な例を挙げれば、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、たとえば、Laromer(登録商標)PO94Fを濃度約67.8%;約20〜約40%のモノマー、非限定的な例を挙げれば、ジプロポキシル化(propoxylated)ネオペンチルグリコールジアクリレート、たとえば、SR−9003を濃度約27%;約2.0〜約7.0%のUV光重合開始剤、非限定的な例を挙げれば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、たとえば、Irgacure(登録商標)184を濃度約5.1%;そして、約0.05〜約5.0%、より好ましくは、約0.1〜約1.0%の界面活性剤、非限定的な例を挙げれば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、たとえば、BYK(登録商標)−UV3510を濃度約0.1%。これらの成分を合わせて混合するが、それぞれの成分添加の間も、好ましくはマグネチックスターラーまたはオーバーヘッド撹拌器(overhead mixer)を用いて簡単な撹拌を行い、さらにその後に、最低でも約2時間撹拌を続けて、オリゴマーを溶解させる。その配合物は、必要に応じて、加熱して粘度を低下させてもよい。
【0031】
この組成物は、たとえば紙など各種の電子写真基材に塗布することが可能であるが、その場合、基材が表面との反応無しで表面を完全に濡らすための定着器オイル(機能性(functionalized)シリコーンオイル)の残分を有している。場合によっては、その上にコーティングした添加剤を含んでいてもよい。基材には各種の添加剤を含むことができるが、その非限定的な例として、カール防止化合物(たとえば、トリメチロールプロパン);殺虫剤(biocides);湿潤剤;キレート剤;およびそれらの混合物;ならびに、トナーおよび/または基材の、性能および/または価値を高めるための、電子写真技術においては周知の任意の添加剤などが挙げられる。
【0032】
この組成物は、画像形成の後で、任意のタイミングで印刷基材に塗布することができ、基材全体、画像全体、基材の一部、または画像の一部に塗布することが可能である。基材の上のトナーベースの画像は、前もって適切な各種電子写真方法により作っておくのが好ましいが、その方法には、たとえば静電画像を発生させる工程、その静電画像をトナーで現像させる工程、および、その現像されたトナーベースの画像を基材へ転写させる工程を含む方法あるいは、それらの改良法など、電子写真業界では周知のものが挙げられる。
【0033】
さらに詳しくは、本明細書に開示される、オーバープリント組成物を用いてコーティングされる画像を生成させる方法に含まれるのは:光導電画像形成部材の上に静電潜像を発生させる工程と、その潜像をトナーで現像させる工程と、その現像された静電画像を基材へ転写させる工程と、基材またはその一部、および/または画像またはその一部をオーバープリント組成物を用いてコーティングする工程と、その組成物を硬化させる工程、である。画像を現像させるための各種の方法が当業者には公知であるが、たとえば、カスケード法、タッチダウン法、パウダー・クラウド(powder cloud)法、磁気ブラシ法などが挙げられる。その現像された画像を基材に転写させるための方法の非限定的な例を挙げれば、コロトロンまたはバイアスロールを使用する方法がある。定着工程(fixing step)は、各種適切な方法により実施することができるが、たとえば、フラッシュ定着、加熱定着、加圧定着、蒸気定着(vapor fusing)などがある。好適な画像形成方法、装置およびシステムは当業者に公知であって、非限定的にそれらの例を挙げれば、以下の米国特許に記載されているようなものである:米国特許第4,585,884号明細書、米国特許第4,584,253号明細書、米国特許第4,563,408号明細書、米国特許第4,265,990号明細書、米国特許第6,180,308号明細書、米国特許第6,212,347号明細書、米国特許第6,187,499号明細書、米国特許第5,966,570号明細書、米国特許第5,627,002号明細書、米国特許第5,366,840号明細書;米国特許第5,346,795号明細書、米国特許第5,223,368号明細書、および米国特許第5,826,147号明細書。これらの特許の全て開示を参考として引用し本明細書に援用する。
【0034】
オーバープリント組成物を塗布するためには、通常使用される液膜コーティング装置(liquid film coating device)を使用することができるが、そのような例を非限定的に挙げれば、ロールコーター、ロッドコーター、ブレード、ワイヤバー、浸漬(dips)、エアナイフ、カーテンコーター、スライドコーター、ドクターナイフ、スクリーンコーター、グラビアコーター、たとえば、オフセットグラビアコーター、スロットコーター、および押出しコーターなどがある。それらの装置は、通常と同じようにして使用することができるが、たとえば、ダイレクトロールコーティングおよびリバースロールコーティング(direct and reverse roll coating)、ブランケットコーティング(blanket coating)、ダンプナーコーティング(dampner coating)、カーテンコーティング、平版コーティング、スクリーンコーティング、およびグラビアコーティングなどがある。好ましい実施の態様においては、組成物のコーティングおよび硬化は、2台または3台のロールコーターとUV硬化ステーションを使用して実施する。組成物の堆積(deposition)の典型的なレベルは、単位面積当たりの質量で表して、約1g/m〜約10g/mの範囲、好ましくは約5g/mである。
【0035】
この組成物の放射線硬化性オリゴマーおよびモノマー成分の架橋を開始させるために使用するエネルギー源としては、たとえばスペクトルの紫外線または可視光線の波長を有する放射線のような、化学線作用のある(actinic)ものや、たとえば電子ビーム照射のような、加速粒子や、たとえば加熱または赤外線照射のような、熱的エネルギー、などが挙げられる。そのエネルギーが化学線照射であるのが好ましいが、その理由は、そのようなエネルギーは架橋の開始および架橋の速度(rate)の調節に優れているからである。好適な化学線照射源を、非限定的に例示すれば、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、タングステンフィラメントランプ、レーザー、太陽光などが挙げられる。
【0036】
紫外線照射、特にUV光の下で、高速コンベヤ(たとえば、約20〜約70m/分)を用いた中圧(medium pressure)水銀ランプによる照射が好ましく、その場合UV照射は、波長約200〜約500nmで、約1秒未満の間与える。高速コンベヤの速度を約15〜約35m/分とし、波長約200〜約450nmのUV光を約10〜約50ミリ秒(ms)間照射するのがより好ましい。UV光源の発光スペクトルは通常、UV重合開始剤の吸収スペクトルと重なっている。場合によっては使用される硬化装置(curing equipment)としては、UV光を焦点に集めたり拡散させたりする反射板や、UV光源により発生する熱を除去するための冷却システムなどがあるが、これらに限定される訳ではない。
【0037】
この組成物を塗布し硬化させた後で、印刷物を熱衝撃に暴露させ、その熱クラック領域(TCA)を測定するが、その方法に含まれるのは、たとえば、コーティングした印刷物上の画像をスキャンする工程;そのスキャンした画像を、コンピュータで読み取り可能な画像フォーマットの中へ取り込む工程;コンピュータでフォーマットした画像をセーブする工程;そして、その画像をイメージ・ビルダー・プログラム(image builder program)を用いて解析する工程である。好ましくは熱衝撃に暴露させた後のTCA値は、スキャナーの解像度の変動によるスキャナーノイズにもよるが、約0.0〜約0.05%、好ましくは約0.04%未満、より好ましくは約0.03%未満、さらにより好ましくは0.02%未満、さらにより好ましくは約0.01%未満である。
【0038】
より具体的には、TCAは、以下の3つの工程を含む方法により測定する。
(i)コーティングした印刷物の上の画像をスキャンする工程であって、たとえばフラットベッドスキャナー(たとえば、パワー・ルック(Power Look, 登録商標)IIIスキャナー(ユーマックス・データ・システムズ・インコーポレーテッド、台湾(Umax Data Systems Inc., Hsichu, Taiwan))を用いてスキャンして、その画像をデジタルデータに変換する工程。画像をスキャンする場合、以下の設定で行うのが好ましい:解像度は高、たとえば約600dpi;輝度設定は高、たとえば約255;コントラスト設定、約0;およびガンマ設定は高、たとえば約3.0;
【0039】
(ii)そのスキャンされた画像をコンピュータで読み取り可能な画像フォーマットの中へ取り込み、セーブする工程、そのような画像フォーマットとしては、たとえば、タグド・イメージ・ファイル(tagged image file)(.tif)、ビットマップ・ファイル(bitmap file)(.bmp)、グラフィック・インターチェンジ・ファイル(graphic interchange file)(.gif)、アップル(Apple, 登録商標)マッキントッシュ(Macintosh, 登録商標)ピクチャー・ファイル(Picture file)(.pict)(アップル・コンピュータ・インコーポレーテッド、カリフォルニア州キューパチーノ(Apple Computer, Inc., Cupertino, CA))、ジョイント・フォトグラフィック・エキスパート・グループ・ファイル(joint photographic experts group file)(.jpeg)、エンキャプシュレーテッド・ポストスクリプト・ファイル(encapsulated postscript file)(.eps)、またはフォトショップ・ドキュメント・ファイル(photoshop document file)(.psd)などが採用でき、各種好適な画像編集プログラム、たとえば、アドビ・フォトショップ(Adobe Photoshop, 登録商標)プログラム(アドビ・システムズ・インコーポレーテッド、カリフォルニア州サンホセ(Adobe Systems, Inc., San Jose, CA))を使用する。編集プログラムにおける設定は「圧縮無し」とするのが好ましく、また、そのため、この設定が適しているファイルフォーマットを用いるのが好ましい;
【0040】
(iii)各種適切なイメージ・ビルダー・プログラムを使用して画像解析をする工程で、そのようなプログラムとしては、たとえば、ナショナル・インストルメンツ(National Instruments, 登録商標)アイマック(IMAQ, 登録商標)イメージ・ビルダー(Image Builder)6.0(ナショナル・インストルメンツ・コーポレーション、テキサス州オースチン(National Instruments Corp., Austin, TX))があり、その最小画像領域は、約800×800ピクセル(約640000ピクセル)である。パーティクル・フィルターを使用して、スキャナーノイズなどが原因の、約0〜約50ピクセルスポットを除去するのが好ましい。画像解析においては、スレショルデッド・イメージ(thresholded image)を生成させ、そのスレショルデッド・イメージに対してピクセルカウントを行って、TCA値を得る。
【0041】
イメージ・ビルダー・プログラムは、スレショルデッド・イメージを見るために使用してもよく、そのためには、画像をスキャンし、次いで、画像を編集して、粒子領域と背景領域にセグメント分けを行なう。モノクローム画像の場合には、一般的には、1つのスレショルド間隔(threshold interval)(これは、階調間隔(gray-level interval)とも呼ばれる)を求めて、スレショルド間隔よりも上のピクセルは全部1とし、そしてスレショルド間隔より下のピクセルは全部ゼロとする(バイナリーイメージ)。カラー画像の場合には、スレショルデッド・イメージのそれぞれの色成分について1つずつで、3つのスレショルド間隔を求めなければならない。
【0042】
TCA解析をする場合、少なくとも約640,000ピクセルを含む画像では、ベタのブラック・ターゲットのスレショルド間隔は(0〜255のスケールで)76である。したがって、スレショルド値76を超えるピクセルが0.1%より多いスレショルデッド・イメージは、熱クラッキングを示し、それに対して、76のスレショルド値よりも低いピクセルが約0.1%より低いスレショルデッド・イメージは、熱クラッキングを示していないということになる。
【0043】
本発明について、以下の実施例によりさらに説明するが、これらは、本発明を限定するものではない。これらの実施例は、説明することだけを目的としたものである。本発明は、本明細書に引用された、原料、条件、プロセスパラメーターなどによって、限定されることを意図しているものではない。部およびパーセントは、特に断らない限り、重量基準である。
【実施例】
【0044】
[実施例1]
オーバープリント組成物の成分を以下の順で合わせたが、それぞれの成分を添加する間も、オーバーヘッド撹拌器を用いて簡単な撹拌を行った:67.8%のアミン変性ポリエーテルアクリレートオリゴマー(3388グラム、Laromer(登録商標)PO94F、27%のジプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(1351グラム、SR−9003)、5.1%のUV光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(241グラム、Irgacure(登録商標)184)およびエチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート(15グラム、Lucirin(登録商標)TPO−L)、ならびに0.1%のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(5.0グラム、BYK(登録商標)−UV3510)。これらの混合物を室温で約4時間、オーバーヘッド撹拌器を用いて高剪断で撹拌し、オリゴマーを溶解させた。
【0045】
そのオーバープリント組成物を、各種の電子写真印刷の上に、厚み約5μmになるようにコーティングした。次いで組成物を、ドーンSPE(Dorn SPE)3本ロールコーター(ドーンSPEインコーポレーテッド(Dorn SPE, Inc.)製)とUV硬化ステーションハウジングを用いて硬化させたが、硬化ステーションには、高速UV光(約15〜約35m/分)でUV波長約200〜約450nmの中圧水銀ランプを用いた。
【0046】
[実施例2]
市販されているコーティング(サバラン・ケミカルズ(Sovereign Chemicals)(サバラン・スペシャルティ・ケミカルズ・インコーポレーテッド(Sovereign Specialty Chemicals, Inc.))からの#L9048)を、アイゲン3(iGen3, 登録商標)(ゼロックス・コーポレイション)トナーまたはオフセットインキのいずれかを含む数種の基材に塗布した。次いでそれらの基材を、4g/cmの圧力(約2連のCXペーパーをシミュレート)を用いて、表1に示した条件下で「アウディ・サーマル・ショック・テスト(Audi Thermal Shock Test)」にかけた。この試験は、アウディ(Audi)において自動車の取扱説明書を評価するのに実際に用いられている試験法である。
【表1】

【0047】
アウディ・サーマル・ショック・テストにおいて、熱クラッキングに関して重視されている指標は、トナー流動由来の圧力によって基材上に現れるクラックである。アウディ・サーマル・ショック・テストにおいて、このコーティング材料のもとでは、オフセットインキのサンプルではクラッキングの徴候は認められなかったが、それに対して、トナーサンプルではクラックが認められた(表2)。アウディ・サーマル・ショック・テストにおける基材としては、マッコイ・グロス(McCoy Gloss)(サッピ・ファイン・ペーパーズ(Sappi Fine Papers))、マッコイ・シルク(McCoy Silk)(サッピ・ファイン・ペーパーズ(Sappi Fine Papers))、およびクロムコート(KromeKote, 登録商標)(スマート・ペーパーズLLC、オハイオ州ハミルトン(Smart Papers, LLC, Hamilton, OH))、を用いた。
【表2】

【0048】
[実施例3]
2種の市販のコーティング(Sovereign Chemicals #L9048およびサン・ケミカルズ(Sun Chemicals)#1170(サン・ケミカル・コーポレーション(Sun Chemical Corp.)))と、実施例1で調製したオーバープリント組成物とを、同一の条件下で評価し、アウディ・サーマル・ショック・テストにかけた。コーティングした基材(マッコイ・グロス・100#・カバー(McCoy Gloss 100# Cover)(サッピ・ファイン・ペーパーズ(Sappi Fine Papers))、およびゼロックス・デジタル・グロス・100#・カバー(Xerox(登録商標)Digital Gloss 100# Cover)(ゼロックス・コーポレイション))に対して、iGen3(登録商標)トナーを用いた画像を、4g/cmの圧力(約2連のCXペーパーをシミュレート)を用いて、表1に示した条件下でアウディ・サーマル・ショック・テストにかけた。
【0049】
図1からわかるように、Sun Chemicals #1170をコーティングとして用いた場合には強い熱クラッキングが起きており(図1A、図1B)、Sovereign Chemicals #L9048をコーティングとして用いた場合にも実質的に熱クラッキングが起きている(図1C、図1D)が、本発明のオーバープリント組成物(OPV−3)を用いた場合には熱クラッキングは起きていない(図1E、図1F)。表3に、図1A〜1Fで観察された結果をまとめた。
【表3】

【0050】
[実施例4]
2種の市販のコーティング(Sovereign Chemicals #L9048およびSun Chemicals #1170)および実施例1のオーバープリント組成物を、下記の基材にコーティングし、硬化させてから、同一の条件下で評価し、アウディ・サーマル・ショック・テスト(表1)にかけた。用いた基材は、McCoy Gloss、McCoy Silk、Xerox(登録商標)Digital Gloss、およびKromeKote(登録商標)で、それにiGen3(登録商標)トナーを用いた画像(100%ブラック画像)を載せた。
【0051】
TCA値の測定は以下の工程に従って行った:(1)印刷物上の画像をスキャンする工程:Power Look(登録商標)IIIスキャナーを用い、次の設定値を使用:解像度600dpi、輝度255、コントラスト0、ガンマ3.0;(2)画像を取り込みセーブする工程:Adobe Photoshop(登録商標)7.0を用いて、(.tif)フォーマットで取り込み(圧縮なし);(3)画像を解析する工程:National Instruments(登録商標) IMAQ(登録商標)Image Builder 6.0を使用した(最小画像領域:800×800ピクセル)。スレショルド間隔は、ピクセルカウントが(0〜255のスケールで)76のところとした(76より大=クラッキングあり、76未満=クラッキング無し)。パーティクル・フィルターを適用して、0〜50のピクセルスポット(スキャナーノイズなど)を除いた。表4に示すように、本発明のオーバープリント組成物のみが、受容可能な平均TCA値、すなわち、約0%〜約0.05%を与えた。
【表4】

【0052】
[実施例5]
Xerox(登録商標)デジタル・カラー・グロス・100#(ゼロックス・コーポレイション)の上の電子写真印刷を、コーティングなしのままか、または実施例1のオーバープリント組成物を約5gsmでコーティングして、通常の照射量(normal dose)の電子ビーム照射にかけた、すなわち、印刷物を電子ビームシステム(その内部温度は、約95〜110℃)の中を2回通過させた。水蒸気の出ている印刷物(steaming prints)を、数時間そのまま放冷してから、観察した。
【0053】
表5に見られるように、コーティングした印刷物はこの照射プロセスにも耐えられたが、そのことは、この照射プロセスでの間に、その印刷物が受けた照射と2次的な発熱に耐えたということを表している。表5の中の最初の2つのサンプルは、異なったタイプの郵便物、たとえば、折りたたみの有無の違いである。
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1A】サン・ケミカルズコーティング#1170をコーティングに用いたトナーベースの印刷物上での熱クラッキングを示す写真である。
【図1B】サン・ケミカルズコーティング#1170をコーティングに用いたトナーベースの印刷物上での熱クラッキングを示す写真である。
【図1C】サバラン・ケミカルズコーティング#L9048をコーティングに用いたトナーベースの印刷物上での熱クラッキングを示す写真である。
【図1D】サバラン・ケミカルズコーティング#L9048をコーティングに用いたトナーベースの印刷物上での熱クラッキングを示す写真である。
【図1E】本発明のオーバープリント組成物をコーティングに用いたトナーベースの印刷物上での熱クラッキングを示す写真である。
【図1F】本発明のオーバープリント組成物をコーティングに用いたトナーベースの印刷物上での熱クラッキングを示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のオリゴマーと、
少なくとも1種のモノマーと、
少なくとも1種の光重合開始剤と、
少なくとも1種の界面活性剤と、
を含む、放射線硬化性オーバープリント組成物であって、
オーバープリント組成物でコーティングした印刷物を硬化させれば、前記コートされた印刷物を、熱衝撃の後に熱クラッキングを実質的に示さないようにすることが可能である、放射線硬化性オーバープリント組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【公開番号】特開2006−11379(P2006−11379A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134072(P2005−134072)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】