説明

トナー及び現像剤

【課題】耐オフセット性、低温定着性、耐熱保存性、耐汚染性及び定着離型性に優れ、高精細及び高品質な画像を形成できるトナー等の提供。
【解決手段】少なくとも結着樹脂を含有するトナー組成物液を貯留する貯留部に設けた薄膜に形成された同じ開口径の複数のノズルからトナー組成液を機械的振動手段により周期的に気相中に放出して液滴化する周期的液滴化工程と、トナー粒子形成工程とを含むトナーの製造方法によって製造され、機械的振動手段が薄膜に対して平行振動面を有し、振動面が垂直方向に縦振動する振動手段であり、結着樹脂が少なくとも1種のポリエステル樹脂を含有し、1種のポリエステル樹脂が又は2種以上のポリエステル樹脂の少なくともいずれかが、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、カルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂を含有するトナーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、静電印刷、プリンタ、ファクシミリ、静電記録等における静電荷像を現像するためのトナー及び現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真、静電記録、静電印刷等において使用される現像剤は、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている静電潜像担持体に一旦付着され、次に転写工程において静電潜像担持体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において紙面に定着される。その際、潜像保持面上に形成される静電荷像を現像するための現像剤として、キャリアとトナーからなる二成分系現像剤及び、キャリアを必要としない一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。
従来より、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナーとしては、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の結着樹脂(トナーバインダーとも呼ぶ)を着色剤等と共に溶融混練し、微粉砕したもの、いわゆる粉砕トナーが広く用いられている。
また、最近では、懸濁重合法、乳化重合凝集法等によるトナー製造法、いわゆるケミカルトナーが検討されている。ケミカルトナーの製造法の一つに、ポリマー溶解懸濁法と呼ばれる、体積収縮を伴う工法が検討されている(特許文献1参照)。この工法は、トナー材料を低沸点有機溶媒等の揮発性溶剤に分散、溶解させ、これを分散剤の存在する水系媒体中で乳化、液滴化した後に揮発性有機溶剤を除去するものである。この工法は、懸濁重合法や乳化重合凝集法と異なり、適用可能な樹脂に汎用性が広く、特に透明性や定着後の画像部の平滑性が要求されるフルカラープロセスに有用なポリエステル樹脂を用いることができる点で優れている。
【0003】
しかし、上記のようなケミカルトナー工法は、水系媒体中で分散剤を使用することを前提としているために、分散剤がトナー表面に残存し、トナーの帯電特性において環境安定性が損なわれたり、分散剤を除去するために大量の洗浄水を必要とする等の欠点があった。
そこで、これに代わるトナーの製造方法として、圧電パルスを利用して微少液滴を形成し、更にこれを乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献2参照)。また、ノズル内の熱膨張を利用して微少液滴を形成し、乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献3参照)。更に、音響レンズを利用して微少液滴を形成し、乾燥固化する工法が提案されている(特許文献4参照)。他にも、熱硬化性樹脂やUV硬化樹脂を含有させたトナー原料を分散質として、分散媒中に微分散した分散液を、ノズルから液滴として間欠的に吐出した後、液滴を凝集させ、熱硬化樹脂もしくはUV硬化樹脂を硬化させて粒子形成の安定化を図る方法も提案されている(特許文献5及び6参照)。
【0004】
しかし、これらの工法では、一つのノズルから単位時間あたりに吐出できる液滴数が少なく、生産性が悪いという問題があった。また、液滴同士の合一による粒度分布の広がりが避けられず、単一分散性の点で満足できるものでは無かった。
【0005】
一方、電子写真技術の発展に伴い、低温定着性に優れたトナーが要求される一方で、耐オフセット性、及び耐熱保存性(耐ブロッキング性)という低温定着性とは相反する特性を持ったトナーが必要とされている。
このような要求に対し、芳香族系ポリエステル樹脂を用いたトナーが多く提案されているが、トナーの製造時における粉砕性に劣るという欠点がある。そこで、粉砕性に優れる脂肪族系アルコールをモノマーとして使用した低分子量ポリエステルと高分子量ポリエステルをブレンドする方法が提案されている(特許文献7参照)。しかし、脂肪族系アルコールを用いた低分子量ポリエステルは、その構造上、ガラス転移温度が低いため、トナーの耐熱保存性が悪化し、低温定着性と耐オフセット性、耐熱保存性を高いレベルで両立することは困難である。
【0006】
これに対し、1,2−プロパンジオールのような分岐型の脂肪族アルコールから構成されるアルコール成分と、カルボン酸成分からなるポリエステルを結着樹脂として用いたトナーが提案されている(特許文献8及び9参照)。前述のトナーは、従来の低速機から高速機の幅広い画像形成装置に対して、優れた低温定着性を有し、耐オフセット性及び耐熱保存性を高いレベルで両立できる点に優れている。また、粉砕性にも優れるため、粉砕方式のトナーとして生産性にも利点がある。
しかし、これらのトナーは粉砕性に優れる一方で、現像器内部における撹拌ストレスによって破砕されやすい。特に粉砕トナーは形状が不定形であることが要因となり、微粉が発生しやすい。このため、微粉が現像剤中のキャリアや、帯電部材等を汚染し、画像品質に悪影響を与えるといった課題がある。また、脂肪酸エステルや脂肪族炭化水素系の離型剤(ワックス)の分散性に優れるものであったが、反面として定着時の画像離型性が得られ難くなるという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、小粒径、かつこれまでにない粒度の単一分散性を有した粒子であることにより、流動性や帯電特性といったトナーに求められる多くの特性値において、これまでのトナーの製造方法にみられた粒子による変動の幅が全くないか、非常に少ない上に、耐オフセット性、低温定着性、耐熱保存性、耐汚染性、定着離型性のいずれにも優れ、高解像度で、高精細及び高品質な画像を形成でき、長期にわたって画像劣化のないトナー及び現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を溶剤に溶解乃至分散させたトナー組成液を貯留する貯留部に設けた薄膜に形成された同じ開口径の複数のノズルから、前記トナー組成液を機械的振動手段により周期的に気相中に放出して液滴化する周期的液滴化工程と、
前記液滴化された前記トナー組成液を固化させてトナー粒子を形成するトナー粒子形成工程と、を含むトナーの製造方法によって製造されるトナーであって、
前記機械的振動手段が、前記薄膜に対して平行振動面を有し、該振動面が垂直方向に縦振動する振動手段であり、
前記結着樹脂が少なくとも1種のポリエステル樹脂を含有し、該1種のポリエステル樹脂が、又は該2種以上のポリエステル樹脂の少なくともいずれかが、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、カルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂を含有することを特徴とするトナーである。
<2> 機械的振動手段による液の共振現象を利用して、トナー組成液を薄膜に形成された同じ開口径の複数のノズルから周期的に気相中に放出し液滴化する前記<1>に記載のトナーである。
<3> 機械的振動手段が、ホーン型振動子である前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
<4> 結着樹脂が、軟化点Tm(A)が120℃以上160℃以下のポリエステル樹脂(A)と、軟化点Tm(B)が80℃以上120℃未満のポリエステル樹脂(B)とを含有してなり、前記ポリエステル樹脂(A)及び(B)の少なくともいずれかが、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、カルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂である前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> ポリエステル樹脂(A)のアルコール成分が、更に1,3−プロパンジオールを含有する前記<4>に記載のトナーである。
<6> 離型剤が、カルナウバワックスである前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーである。
<7> トナーにおける質量平均粒径(D)と個数平均粒径(Dn)の比(D/Dn)が、1.00〜1.10である前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーである。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーを含有することを特徴とする現像剤である。
【0009】
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散させたトナー組成液を貯留する貯留部に設けた薄膜に形成された同じ開口径の複数のノズルから、前記トナー組成液を機械的振動手段により周期的に気相中に放出し液滴化する周期的液滴化工程と、
前記液滴化された前記トナー組成液を固化させてトナー粒子を形成するトナー粒子形成工程と、を含むトナーの製造方法によって製造されるトナーであって、
前記機械的振動手段が、前記薄膜に対して平行振動面を有し、該振動面が垂直方向に縦振動する振動手段であり、
前記結着樹脂が少なくとも1種のポリエステル樹脂を含有し、該1種のポリエステル樹脂が、又は該2種以上のポリエステル樹脂の少なくともいずれかが、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、カルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂を含有する。
本発明のトナーにおいては、前記トナーの結着樹脂が、低温定着性と、耐ホットオフセット性や耐熱保存性の両立性に優れている。また、前記結着樹脂を本発明におけるトナー製造方法に用いると、トナー組成液が液滴化された時に、離型剤が液滴内部に移動するため、最終的に得られるトナーの表面には離型剤が殆ど露出した状態では存在しない。また、離型剤は液滴中でやや凝集した状態で存在し、十分な定着離型性を発揮するのに適度な分散径を保つ。更に、小粒径、かつこれまでにない粒度の単一分散性を有した粒子が製造できるため、流動性や帯電特性といったトナーに求められる多くの特性値において、これまでの製造方法にみられた粒子による変動の幅が全くないか、非常に少ないトナーが得られる。また、粒子形状も球形に近いものが得られるため、現像器中でのトナー破砕による微粉発生がなくなり、トナー最表面には離型剤が露出していないので、キャリアや帯電部材のトナー汚染が著しく改善される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、小粒径、かつこれまでにない粒度の単一分散性を有した粒子であることにより、流動性や帯電特性といったトナーに求められる多くの特性値において、これまでのトナーの製造方法にみられた粒子による変動の幅が全くないか、非常に少ない上に、耐オフセット性、低温定着性、耐熱保存性、耐汚染性、定着離型性のいずれにも優れ、高解像度で、高精細及び高品質な画像を形成でき、長期にわたって画像劣化のないトナー及び現像剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明トナーの製造装置の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明のトナーの製造装置の液滴噴射ユニットの説明に供する拡大説明図である。
【図3】図3は、図2を下側から見た底面説明図である。
【図4】図4は、本発明のトナーの製造装置の液滴噴射ユニットの振動発生手段を構成するステップ型のホーン型振動子の例を示す模式的説明図である。
【図5】図5は、本発明のトナーの製造装置の液滴噴射ユニットの振動発生手段を構成するエクスポネンシャル型のホーン型振動子の例を示す模式的説明図である。
【図6】図6は、本発明のトナーの製造装置の液滴噴射ユニットの振動発生手段を構成するコニカル型のホーン型振動子の例を示す模式的説明図である。
【図7】図7は、本発明のトナーの製造装置の液滴噴射ユニットの他例の説明に供する拡大説明図である。
【図8】図8は、本発明のトナーの製造装置の液滴噴射ユニットの更に他の例の説明に供する拡大説明図である。
【図9】図9は、本発明のトナーの製造装置の液滴噴射ユニットの更にまた他の例の説明に供する拡大説明図である。
【図10】図10は、図9の液滴噴射ユニットを複数個配置した例の説明に供する説明図である。
【図11A】図11Aは、液滴噴射ユニットによる液滴化の動作原理の説明に供する薄膜の模式的説明図である。
【図11B】図11Bは、液滴噴射ユニットによる液滴化の動作原理の説明に供する薄膜の模式的説明図である。
【図12】図12は、基本振動モードを説明するための説明図である。
【図13】図13は、2次振動モードを説明するためのる説明図である。
【図14】図14は、3次振動モードを説明するための説明図である。
【図15】図15は、薄膜の中央部に凸部を形成した場合の説明図である。
【図16】図16は、本発明に係る液共振方式のトナーの製造装置の一例を示す概略構成図である。
【図17A】図17Aは、図16のトナーの製造装置の液滴噴射ユニットを説明するための拡大説明図である。
【図17B】図17Bは、図16のトナーの製造装置の液滴噴射ユニットを説明するための拡大説明図である。
【図17C】図17Cは、図16のトナーの製造装置の液滴噴射ユニットを説明するための拡大説明図である。
【図18】図18は、本発明に係る液共振方式のトナーの製造装置におけるノズルの断面形状を2段型とする方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(トナー)
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を溶剤に溶解乃至分散させたトナー組成液を用い、周期的液滴化工程と、トナー粒子形成工程とを含むトナーの製造方法により製造される。
【0013】
<トナー組成液>
前記トナー組成液は、結着樹脂を各種溶剤に溶解し、着色剤を分散、かつ離型剤を分散又は溶解したもの、また、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を熱溶融混練し得られた混練物を各種溶剤に一度溶解又は分散した液を用いてもよい。更に、トナー組成液は、必要に応じてその他の成分を含有する。
【0014】
−結着樹脂−
前記結着樹脂は、少なくとも1種のポリエステル樹脂を含有する。
前記ポリエステル樹脂が1種の場合には、該1種のポリエステル樹脂が、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、カルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂を含有する。
前記ポリエステル樹脂が2種以上の場合には、該2種以上のポリエステル樹脂の少なくともいずれかが、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、カルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂を含有する。
【0015】
−−アルコール成分−−
前記アルコール成分に用いられる炭素数3の分岐鎖型のアルコールである1,2−プロパンジオールは、炭素数2以下のアルコールと対比して耐オフセット性を維持したまま低温定着性を向上させるのに有効であり、炭素数4以上の分岐鎖型アルコールと対比してガラス転移温度の低下に伴う保存性の低下防止に有効であり、極めて低い温度での定着が可能となり、同時に耐熱保存性、耐ホットオフセット性が両立できる。特に1,2−プロパンジオールの含有量が、2価のアルコール成分中、65モル%以上であるときは、優れた低温定着性と耐オフセット性を発揮する。
【0016】
また、本発明において結着樹脂は、軟化点の異なる2種の前記ポリエステル樹脂を使用するのが、低温定着性と耐ホットオフセット性、耐熱保存性の観点から好ましい。本発明において、軟化点の異なる2種のポリエステル樹脂をそれぞれポリエステル樹脂(A)及びポリエステル樹脂(B)、それぞれの軟化点を軟化点Tm(A)、軟化点Tm(B)とする。前記ポリエステル系樹脂(A)は、軟化点Tm(A)が120℃以上160℃以下であり、130℃以上155℃以下が好ましく、135℃以上155℃以下がより好ましい。前記ポリエステル系樹脂(B)は、軟化点Tm(B)が80℃以上120℃未満であり、85℃以上115℃以下が好ましく、90℃以上110℃以下がより好ましい。
軟化点Tm(A)及びTm(B)を上記範囲とすることで、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性を両立し、極めて良好な定着品質を得ることが可能となる。また、より優れた定着品質を得るための好ましい条件としては、前記Tm(A)とTm(B)との差〔ΔTm;Tm(A)−Tm(B)〕は、10℃以上が好ましく、15℃〜55℃がより好ましく、20℃〜50℃が更に好ましい。
【0017】
また、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性を両立するためのより好ましい条件としては、前記ポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)と質量比〔((A)/(B))は、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、30/70〜70/30が更に好ましい。
このような特性を備えた前記高軟化点のポリエステル系樹脂(A)は耐ホットオフセット性の向上に、前記低軟化点のポリエステル系樹脂(B)は低温定着性の向上にそれぞれ寄与し、前記ポリエステル系樹脂(A)と、前記ポリエステル系樹脂(B)との併用は、低温定着性と耐ホットオフセット性との両立に有効である。
【0018】
前記ポリエステル樹脂(A)及び前記ポリエステル樹脂(B)のアルコール成分としては、1,2−プロパンジオールの含有量が2価のアルコール成分中65モル%以上であり、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上が更に好ましい。前記1,2−プロパンジオール以外の2価のアルコール成分としては、1,3−プロパンジオール、炭素数の異なるエチレングリコール、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールF、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等の脂肪族ジアルコールなどが挙げられる。前記2価のアルコール成分の含有量は、アルコール成分中60モル%以上が好ましく、60モル%〜95モル%がより好ましく、65モル%〜90モル%が更に好ましい。
【0019】
前記ポリエステル樹脂(A)のアルコール成分には、低温定着性の観点から、1,3−プロパンジオールが含有されていることが好ましい。前記ポリエステル系樹脂(A)のアルコール成分における1,2−プロパンジオールと1,3−プロパンジオールのモル比(1,2−プロパンジオール/1,3−プロパンジオール)は、99/1〜65/35が好ましく、95/3〜70/30がより好ましく、95/3〜75/25が更に好ましい。
また、アルコール成分中に3価以上のアルコール成分が含まれていると、耐ホットオフセット性の向上に効果が上げられる。3価以上のアルコール成分の含有量は、アルコール成分の総量中、0モル%〜20モル%が好ましく、5モル%〜30モル%がより好ましい。3価以上の多価アルコール成分としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられ、特に、低温定着性を阻害しないことから、グリセリンが好ましい。
【0020】
前記ポリエステル樹脂(A)及び前記ポリエステル樹脂(B)のアルコール成分には、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などの芳香族アルコールが含有されていてもよい。
【0021】
−−カルボン酸成分−−
前記ポリエステル樹脂(A)及び前記ポリエステル樹脂(B)のカルボン酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などが挙げられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
これらの中でも、樹脂の耐熱保存性、機械的強度の観点から、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸化合物が含有されていることが好ましい。芳香族多価カルボン酸化合物の樹脂の含有量は、カルボン酸成分中、40モル%〜95モル%が好ましく、50モル%〜90モル%がより好ましく、60モル%〜80モル%が更に好ましい。
【0022】
また、上記のカルボン酸化合物の中でも、炭素数2〜5の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有している場合、特に粉砕性、低温定着性、防汚染性に優れたトナーが得られる。炭素数2〜5の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、フマル酸、メサコン酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、などが挙げられ、特にイタコン酸、イタコン酸無水物が好適に用いられる。炭素数2〜5の脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、5モル%〜60モル%が好ましく、10モル%〜50モル%がより好ましく、20モル%〜40モル%が更に好ましい。
【0023】
また、前記カルボン酸成分には、ロジンが含有されていてもよい。多環芳香環を有するロジンにより、従来の脂肪族系アルコール系ポリエステルが有していた吸水性が低下し、高温高湿下での帯電量低下に対する効果がより一層高まる。前記ロジンとは、松類から得られる天然樹脂であり、その主成分は、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸等の樹脂酸、又はこれらの混合物である。前記ロジンは、パルプを製造する工程で副産物として得られるトール油から得られるトールロジン、生松ヤニから得られるガムロジン、松の切株から得られるウッドロジン等に大別されるが、本発明におけるロジンは、低温定着性の観点から、トールロジンが好ましい。また、不均化ロジンや水素化ロジンなどの変性ロジンであってもよいが、本発明においては、低温定着性及び保存性の観点から、変性をしていない、いわゆる生ロジンを使用することが好ましい。前記ロジンは、保存性の向上及び臭気の観点から、精製ロジンであることが好ましい。
【0024】
−−エステル化触媒−−
前記アルコール成分と前記カルボン酸成分との縮重合は、エステル化触媒の存在下で行うことが好ましい。前記エステル化触媒としては、p−トルエンスルホン酸等のルイス酸類、チタン化合物、Sn−C結合を有さない錫(II)化合物が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は両者を併用して用いられる。これらの中でも、チタン化合物、Sn−C結合を有さない錫(II)化合物が特に好ましい。
前記チタン化合物としては、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、又はアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
【0025】
前記チタン化合物としては、例えばチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(CO)〕、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート〔Ti(C10N)(CO)〕、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(C11O)〕、チタンジエチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(CO)〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(OHC16O)〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(C1837O)〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(CO)〕、チタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C14N)(CO)〕などが挙げられる。これらの中でも、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが特に好ましく、これらは、例えばマツモト交商株式会社製の市販品としても入手可能である。
【0026】
その他の好ましいチタン化合物の具体例としては、テトラ−n−ブチルチタネート〔Ti(CO)〕、テトラプロピルチタネート〔Ti(CO)〕、テトラステアリルチタネート〔Ti(C1837O)〕、テトラミリスチルチタネート〔Ti(C1429O)〕、テトラオクチルチタネート〔Ti(C17O)〕、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネート〔Ti(C17O)(OHC16O)〕、ジミリスチルジオクチルチタネート〔Ti(C1429O)(C17O)〕などが挙げられる。これらの中でも、テトラステアリルチタネート、テトラミリスチルチタネート、テトラオクチルチタネート、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネートが好ましく、これらは、例えばハロゲン化チタンを対応するアルコールと反応させることにより得ることもできるが、ニッソー株式会社等の市販品としても入手可能である。
【0027】
前記チタン化合物の存在量は、前記アルコール成分及び前記カルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01質量部〜1.0質量部が好ましく、0.1質量部〜0.7質量部がより好ましい。
【0028】
前記Sn−C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn−O結合を有する錫(II)化合物、Sn−X(ただし、Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn−O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
前記Sn−O結合を有する錫(II)化合物としては、例えばシュウ酸錫(II)、ジ酢酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジラウリル酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、ジオレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);ジオクチロキシ錫(II)、ジラウロキシ錫(II)、ジステアロキシ錫(II)、ジオレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)などが挙げられる。
【0029】
前記Sn−X(ただし、Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物としては、例えば塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)などが挙げられ、これらの中でも、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(RCOO)Sn(ただし、Rは炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(RO)Sn(ただし、Rは炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるジアルコキシ錫(II)、SnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(RCOO)Snで表される脂肪酸錫(II)、酸化錫(II)がより好ましく、ジオクタン酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、酸化錫(II)が更に好ましい。
前記Sn−C結合を有していない錫(II)化合物の存在量は、前記アルコール成分及び前記カルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01質量部〜1.0質量部が好ましく、0.1質量部〜0.7質量部がより好ましい。
前記チタン化合物と前記Sn−C結合を有していない錫(II)化合物とを併用する場合、チタン化合物と錫(II)化合物の総存在量は、前記アルコール成分及び前記カルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01〜1.0質量部が好ましく、0.1〜0.7質量部がより好ましい。
【0030】
前記アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、例えば、前記エステル化触媒の存在下、不活性ガス雰囲気中にて、180℃〜250℃の温度で行うことができる。ポリエステル系樹脂の軟化点は反応時間により調整することができる。
前記ポリエステル樹脂(A)及び(B)のガラス転移温度は、定着性、保存性及び耐久性の観点から、45℃〜75℃が好ましく、50℃〜70℃がより好ましく、50℃〜65℃が更に好ましい。前記酸価は、帯電性と環境安定性の観点から、1〜80mgKOH/gが好ましく、10〜50mgKOH/gがより好ましい。
【0031】
本発明において、ポリエステル樹脂(A)及び(B)は、結晶性とは異なる非晶質ポリエステルであることが好ましい。本明細書において、「非晶質ポリエステル」とは、軟化点とガラス転移温度(Tg)の差が30℃以上あるポリエステルをいう。
なお、前記ポリエステル系樹脂(A)及び(B)は、変性されたポリエステル樹脂であってもよい。該変性されたポリエステル樹脂とは、フェノール、ウレタン等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂をいう。
前記結着樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の結着樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の他の樹脂が併用されていてもよいが、前記ポリエステル樹脂(A)及びポリエステル樹脂(B)の総含有量は、結着樹脂中、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、実質的に100質量%であることが特に好ましい。
【0032】
−離型剤−
前記離型剤(ワックス)としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
【0033】
前記離型剤としては、更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に直鎖のアルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸、プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、あるいは長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール、ソルビトール等の多価アルコール、リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド、メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス、ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物、植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0034】
更に、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン、低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオレフィン、放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス、炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基の如き官能基を有する炭化水素系ワックス、炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物、これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸の如きビニルモノマーでグラフト変性したワックスが挙げられる。
【0035】
また、これらの離型剤を、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
特に粉砕法で製造されるトナーの場合、結着樹脂と離型剤の界面で粉砕されやすいため、トナーの表面に離型剤が露出し、感光体やキャリアへのフィルミングを発生させる等の問題があるが、本発明における結着樹脂は、離型剤の分散性が極めて良好であり、結着樹脂と離型剤の相溶作用により、離型剤がトナーから離脱しにくい。このため、従来のトナーと較べて、フィルミングの発生が極めて少ない。特に本発明に用いる結着樹脂に対しては、上記の離型剤の中でも、カルナウバワックスが最も良好な分散性を示すので更に好ましい。前記カルナウバワックスの中でも、遊離脂肪酸を脱離したものが特に好ましい。
【0036】
前記離型剤の融点としては、定着性と耐オフセット性のバランスを取るために、60〜120℃が好ましく、70〜110℃がより好ましい。前記融点が60℃未満であると、耐ブロッキング性が低下することがあり、120℃を超えると、耐オフセット効果が発現しにくくなることがある。
また、2種以上の異なる種類の離型剤を併用することにより、離型剤の作用である可塑化作用と離型作用を同時に発現させることができる。可塑化作用を有する離型剤の種類としては、例えば、融点の低い離型剤、分子の構造上に分岐のあるものや極性基を有する構造のもの、などが挙げられる。離型作用を有する離型剤としては、融点の高い離型剤が挙げられ、その分子の構造としては、直鎖構造のものや、官能基を有さない無極性のものが挙げられる。使用例としては、2種以上の異なる離型剤の融点の差が10℃〜100℃のものの組み合わせや、ポリオレフィンとグラフト変性ポリオレフィンの組み合わせ、などが挙げられる。
2種の離型剤を選択する際には、同様構造の離型剤の場合は、相対的に、融点の低い離型剤が可塑化作用を発揮し、融点の高い離型剤が離型作用を発揮する。この時、融点の差が10〜100℃の場合に、機能分離が効果的に発現する。10℃未満では機能分離効果が表れにくいことがあり、100℃を超える場合には相互作用による機能の強調が行われにくいことがある。このとき、機能分離効果を発揮しやすくなる傾向があることから、少なくとも一方の離型剤の融点が60〜120℃が好ましく、70〜110℃がより好ましい。
【0037】
前記離型剤は、相対的に、枝分かれ構造のものや官能基の如き極性基を有するものや主成分とは異なる成分で変性されたものが可塑作用を発揮し、より直鎖構造のものや官能基を有さない無極性のものや未変性のストレートなものが離型作用を発揮する。好ましい組み合わせとしては、エチレンを主成分とするポリエチレンホモポリマー又はコポリマーとエチレン以外のオレフィンを主成分とするポリオレフィンホモポリマー又はコポリマーの組み合わせ、ポリオレフィンとグラフト変成ポリオレフィンの組み合わせ、アルコールワックス、脂肪酸ワックス又はエステルワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせ、フイシャートロプシュワックス又はポリオレフィンワックスとパラフィンワックス又はマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、フィッシャートロプシュワックスとポルリオレフィンワックスの組み合わせ、パラフィンワックスとマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス又はモンタンワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせが挙げられる。
いずれの場合においても、トナー保存性と定着性のバランスをとりやすくなることから、トナーのDSC測定において観測される吸熱ピークにおいて、60〜120℃の領域に最大ピークのピークトップ温度があることが好ましく、70〜110℃の領域に最大ピークを有しているのがより好ましい。本発明においては、DSCにおいて測定される離型剤(ワックス)の吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもって離型剤の融点とする。
ここで、前記離型剤又はトナーのDSC測定機器として示差走査熱量計(島津製作所製、TA−60WS、及びDSC−60)を用い、測定されるDSC曲線から求めた。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行った。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるものを用いた。
本発明のトナーにおける前記離型剤の総含有量としては、結着樹脂に対して0.2〜30質量%であることで好ましい分散状態が得られるが、1〜20質量部がより好ましく、3〜15質量部が特に好ましい。
【0038】
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用のものとしては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
マゼンタ用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、177、179、202、206、207、209、211;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
シアン用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36などが挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー0−16、1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、180;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36などが挙げられる。
【0040】
前記着色剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
【0041】
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリp−クロロスチレン樹脂、ポリビニルトルエン樹脂などが挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0043】
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。前記フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。前記混合又は混練には、例えば三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
【0044】
−帯電制御剤−
本発明において、トナーの帯電量を制御するための帯電制御剤を用いてもよい。帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれもオリエント化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも保土谷化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれもヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット株式会社製);キナクリドン、アゾ系顔料;スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
【0046】
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、前記トナーの各成分と共に前記有機溶剤に直接、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
【0047】
−溶剤−
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン等のエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネート等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン等のピロリドン類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものであり、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
前記クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。前記ポリマー微粒子としては、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、などが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
【0049】
<トナーの製造方法>
以下、従来のトナーの製造方法である粉砕法と本発明の製造方法である振動噴射法について説明する。
【0050】
前記粉砕法は、従来から行われている一般的なトナーの製造方法であり、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を二本ロールや二軸押し出し機などにより溶融混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕、分級を行い、必要に応じてヘンシェルミキサーなどで流動化剤などの外添剤の混合を行う方法である。粗粉砕ではロートプレックスやパルペライザー、微粉砕ではジェットミルやターボミル、分級ではエルボジェットや各種の風力分級装置等の公知の製造装置を用いることができる。
【0051】
前記振動噴射法は、同じ開口径の複数のノズルを有する薄膜を機械的に振動させることによって、該ノズルからトナー組成液を周期的に放出することにより均一粒径の液滴を生成し、乾燥してトナー粒子を得る方法である。機械的振動手段は、ノズルを有する膜に対して垂直方向に振動すればどのような配置でもよいが、本発明においては、複数のノズルを有する薄膜に対して平行振動面を有し、垂直方向に縦振動する機械的手段(機械的縦振動手段)を用いる方式が好適に用いられる。
【0052】
まず、機械的縦振動手段を設けたトナー製造装置の一例について図1の模式的構成図を参照して説明する。
トナーの製造装置1は、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を溶剤に溶解乃至分散させたトナー組成液を同じ開口径の複数のノズルから周期的に放出し、気相中で液滴化する周期的液滴化工程における液滴化手段としての液滴噴射ユニット2と、この液滴噴射ユニット2が上方に配置され、液滴噴射ユニット2から放出される液滴化されたトナー組成液の液滴を固化してトナー粒子Tを形成する粒子形成工程における粒子化手段としての粒子形成部3と、粒子形成部3で形成されたトナー粒子Tを捕集するトナー捕集部4と、トナー捕集部4で捕集されたトナー粒子Tがチューブ5を介して移送され、移送されたトナー粒子Tを貯留するトナー貯留手段としてのトナー貯留部6と、トナー組成液10を収容する原料収容部7と、この原料収容部7内から液滴噴射ユニット2に対してトナー組成液10を送液する配管(送液管)8と、稼動時などにトナー組成液10を圧送供給するためのポンプ9とを備えている。
また、原料収容部7からのトナー組成液10は、液滴噴射ユニット2による液滴化現象により自給的に液滴噴射ユニット2に供給されるが、装置稼働時等には上述したように補助的にポンプ9を用いて液供給を行う構成としている。
【0053】
次に、液滴噴射ユニット2について説明する。
図2は、液滴噴射ユニット2の概略断面説明図、図3は、図2を下側から見た要部底面説明図である。
この液滴噴射ユニット2は、複数のノズル(吐出口)11が形成された薄膜12と、この薄膜12を振動させる機械的振動手段(以下「振動手段という)13と、薄膜12と振動手段13との間にトナー組成液10を供給する貯留部(液流路)14を形成する流路部材15とを備えている。
前記複数のノズル11を有する薄膜12は、前記振動手段13の振動面13aに対して平行に設置されており、薄膜12の一部がハンダ又はトナー組成液に溶解しない樹脂結着材料によって流路部材15に接合固定されており、振動手段13の振動方向とは実質的に垂直な位置関係となる。前記振動手段13の振動発生手段21の上下面に電圧信号が付与されるように、通信手段24が設けられており、駆動信号発生源23からの信号を機械的振動に変換することができる。電気信号を与える通信手段としては、表面を絶縁被覆されたリード線が適している。また、振動手段13は後述する各種ホーン型振動子、ボルト締めランジュバン型振動子など、振動振幅の大きな素子を用いることが、効率的かつ安定なトナー生産には好適である。
【0054】
振動手段13は、振動を発生する振動発生手段21と、この振動発生手段21で発生した振動を増幅する振動増幅手段22とで構成され、駆動回路(駆動信号発生源)23から所要周波数の駆動電圧(駆動信号)が振動発生手段21の電極21a、21b間に印加されることによって、振動発生手段21に振動が励起され、この振動が振動増幅手段22で増幅され、薄膜12と平行に配置される振動面13aが周期的に振動し、この振動面13aの振動による周期的な圧力によって薄膜12が所要周波数で振動する。
この振動手段13としては、薄膜12に対して確実な縦振動を一定の周波数で与えることができるものであれば特に制限はなく、適宜選択して使用することができるが、薄膜12を振動させることから、振動発生手段21にはバイモルフ型のたわみ振動の励起される圧電体21Aが好ましい。圧電体21Aは、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する機能を有する。具体的には、電圧を印加することにより、たわみ振動が励起され、薄膜12を振動させることが可能となる。
【0055】
振動発生手段21を構成する圧電体21Aとしては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さい為、積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子や、水晶、LiNbO3、LiTaO3、KNbO3、等の単結晶、などが挙げられる。
振動手段13は、ノズル11を有する薄膜12に対して垂直方向の振動を与えるものであれば、どのような配置でもよいが、振動面13aと薄膜12とは平行に配置される。
図示した例では振動発生手段21と振動増幅手段22で構成される振動手段13としてホーン型振動子を用いており、このホーン型振動子は、圧電素子などの振動発生手段21の振幅を振動増幅手段22としてのホーン22Aで増幅することができるため、機械的振動を発生する振動発生手段21自体は小さな振動でよく、機械的負荷が軽減するために生産装置としての長寿命化につながる。
【0056】
ホーン型振動子としては、公知の代表的なホーン形状でよく、例えば図4に示すようなステップ型、図5に示すようなエクスポネンシャル型、図6に示すようなコニカル型などを挙げることができる。これらのホーン型振動子は、ホーン22Aの面積の大きい面に圧電体21Aが配置され、圧電体21Aは縦振動を利用し、ホーン22Aの効率的な振動を誘起し、ホーン22Aに面積の小さい面を振動面13aとして、この振動面13aが最大振動面となるように設計されている。圧電体21の上方と下方にはリード線24が配置され、駆動回路23より交流電圧信号を与える。これらホーン振動子の最大振動面は、13aとなるように形状を設計されるものである。
また、振動手段13としては、特に高強度なボルト締めランジュバン型振動子を用いることもできる。このボルト締めランジュバン型振動子は圧電セラミックスが機械的に結合されており、高振幅励振時に破損することがない。
【0057】
貯留部及び前記機械的振動手段、前記薄膜の構成を、図2の概略図を用いて詳細に説明する。貯留部14には、液供給チューブ18が少なくとも1箇所設けられており、一部断面図に示されるように、流路を通じて液貯留部に液を導入する。また、必要に応じて気泡排出チューブ19を設けることも可能である。この流路部材15に取り付けた図示しない支持部材によって液滴噴射ユニット2が粒子形成部3の天面部に設置保持されている。なお、ここでは、粒子形成部3の天面部に液滴噴射ユニット2を配置している例で説明しているが、粒子形成部3となる乾燥部側面壁又は底部に液滴噴射ユニット2を設置する構成とすることもできる。
機械的振動を発生する振動手段13の大きさは、発振振動数の減少に伴い大きくなることが一般的であり、必要な周波数に応じて、適宜振動手段に直接穴あけ加工を施し貯留部を設けることができる。また、貯留部全体を効率的に振動させることも可能である。
この場合、振動面とは、前記複数のノズルを有する薄膜が貼り合わされた面と定義される。
【0058】
このような構成の液滴噴射ユニット2の異なる例について図7及び図8を参照して説明する。
図7に示す例は、振動手段80(13)として、振動発生部としての圧電体81及び振動増幅部としてのホーン82で構成されるホーン型振動子80を用いて、ホーン82の一部に貯留部(流路)14を形成したものである。この液滴噴射ユニット2は、ホーン型振動子80のホーン82に一体形成した固定部(フランジ部)83によって粒子形成部3(乾燥手段)の壁面に固定されていることが好ましい、振動の損失を防ぐ観点から、図示しない弾性体を用いて固定してもよい。
図8に示す例は、振動手段90(13)として、振動発生部としての圧電体91A、91B及びホーン92A、92Bがボルトで機械的に強固に固定されて構成されるボルト締めランジュバン型振動子90を用いて、ホーン92Aに貯留部(流路14)を形成したものである。周波数条件により、素子が大きくなる場合もあり、図示のように振動子の一部に流体導入/排出路及び貯留部を加工し、複数の薄膜を有する金属薄膜を貼り付けることができる。
なお、図1では、液滴噴射ユニット2が1個だけ粒子形成部3に取付けられている例を示しているが、複数個の液滴噴射ユニット2を粒子形成部3(乾燥塔)上部に並列にすることが、生産性向上の観点から好ましく、その個数は100〜1000個の範囲であることが、制御性の観点から好ましい。この場合、液滴噴射ユニット2の各貯留部14には配管8を介して原料収容部(共通液溜め)7に通じ、トナー組成液10が供給される構成とする。トナー組成液10は、液滴化に伴って自給的に供給される構成とすることもできるし、また、装置稼働時等、補助的にポンプ9を用いて液供給を行う構成とすることもできる。
【0059】
液滴噴射ユニットの他の例について図9を参照して説明する。なお、図9は同液滴噴射ユニットの模式的断面説明図である。
この液滴噴射ユニット2は、前述した例と同様に、ホーン型振動子を振動手段13を用いて、この振動発生手段13の周囲を囲んでトナー組成液10を供給する流路部材15を配置し、振動発生手段13のホーン22に薄膜12と対向する部分に貯留部14を形成している。更に、流路部材15の周囲に所要の間隔を置いて気流35を流す気流路37を形成する気流路形成部材36を配置している。なお、図示を簡略化するため、薄膜12のノズル11は1個で示しているが、前述したように複数個設けられている。
また、図10に示すように、複数、例えば制御性の観点からは100〜1,000個の液滴噴射ユニット2を、粒子形成部3を構成する乾燥塔の上部に並べて配置する。これにより、より生産性の向上を図ることができる。
【0060】
次に、この液滴化手段としての液滴噴射ユニット2による液滴形成のメカニズムについて説明する。
上述したように液滴噴射ユニット2は、貯留部14に臨む複数のノズル11を有する薄膜12に、機械的振動手段である振動手段13によって発生した振動を伝播させて、薄膜12を周期的に振動させ、比較的大面積(直径1mm以上)の領域に複数のノズル11を配置し、それら複数のノズル11より液滴を周期的に、安定に形成して放出することができるようになる。
図11A及び図11Bに示すような単純円形膜12の周辺部12Aを固定した場合、基本振動は周辺が節になり、図12に示すように、薄膜の中心Oで変位ΔLが最大(ΔLmax)となる断面形状となり、振動方向に周期的に上下振動する。
また、図13及び図14に示すような、より高次のモードが存在することが知られている。これらのモードは、円形膜内に、同心円状に節を1乃至複数持ち、実質的に軸対称な変形形状である。また、図15に示すように、中心部が凸形状12cとすることで液滴の進行方向を制御し、かつ振動振幅量を調整することが可能である。
【0061】
円形薄膜の振動により、円形膜各所に設けられたノズル近傍の液体には、膜の振動速度Vに比例した音圧Pacが発生する。音圧は、媒質(トナー組成液)の放射インピーダンスZの反作用として生じることが知られており、音圧は、放射インピーダンスと膜振動速度Vmの積で下記式(1)の方程式を用いて表される。
ac(r,t)=Z・V(r,t) (1)
膜の振動速度Vは時間とともに周期的に変動しているため時間(t)の関数であり、例えばサイン波形、矩形波形など、様々な周期変動を形成することが可能である。また、前述のとおり、膜の各所で振動方向の振動変位は異なっており、Vは、膜上の位置座標の関数でもある。本発明で用いられる膜の振動形態は、上述のとおり軸対象である。したがって、実質的には半径(r)座標の関数となる。
【0062】
以上のように、分布を持った膜の振動変位速度に対して、それに比例する音圧が発生し、音圧の周期的変化に対応してトナー組成液が、気相へ吐出される。
気相へ周期的に排出されたトナー組成液は、液相と気相との表面張力差によって球体を形成するため、液滴化が周期的に発生する。
液滴化を可能とする膜の振動周波数としては20kHz〜2.0MHzの領域が用いられ、50kHz〜500kHzの範囲がより好適に用いられる。20kHz以上の振動周期であれば、液体の励振によって、トナー組成液中の顔料やワックスなどの微粒子の分散が促進される。
更には、前記音圧の変位量が、10kPa以上となることによって、上述の微粒子分散促進作用がより好適に発生する。
ここで、形成される液滴の直径は、前記膜のノズル近傍における振動変位が大きいほど大きくなる傾向にあり、振動変位が小さい場合、小滴が形成されるか、又は液滴化しない。このような、各ノズル部位における液滴サイズのばらつきを低減するためには、ノズル配置を、膜振動変位の最適な位置に規定することが必要である。
【0063】
本発明においては、図12〜図14で説明されるように、前記機械的振動手段により発生するノズル近傍における膜の振動方向変位ΔLの最大値ΔLmaxと最小値ΔLminの比R(=ΔLmax/ΔLmin)が、2.0以内である部位にノズルが配置することにより、上記液滴サイズのばらつきを、高画質な画像を提供することのできるトナー微粒子として必要な領域に保てることを見出した。
トナー組成液の条件を変更し、粘度20mPa・s以下、表面張力20mN/m乃至75mN/mの領域においてサテライトの発生開始領域が同様であったことから、前記音圧の変位量が、500kPa以下であることが必要となる更に好適には、100kPa以下である。
【0064】
ノズルを有する薄膜は、先にも述べたように、トナー組成物の溶解乃至分散液を、吐出させて液滴とする部材である。
この薄膜12の材質、ノズル11の形状としては、特に制限はなく、適宜選択した形状とすることができるが、例えば、薄膜12は厚み5μm〜500μmの金属板で形成され、かつ、ノズル11の開口径が3〜30μmであることが、ノズル11からトナー組成液10の液滴を噴射させるときに、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から好ましい。前記ノズル11の開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。また、複数のノズル11の個数は、2〜3,000個が好ましく、複数のノズルの開口径は同じである。
【0065】
液共振方式のトナーの製造装置の一例を図16に、液滴噴射ユニット例を図17A〜図17Cに示す。その基本的な構成は機械的縦振動方式とほぼ同一であるが、機械的縦振動方式が振動発生手段によりノズルを有する薄膜を振動させて液滴化しているのに対して、液共振方式ではノズルを有する薄膜の振動によるのではなく、液の共振により液滴化している点が異なる。
したがって、薄膜は振動しない程度に強度を高めている。材質としては、シリコンやシリコン酸化物などが用いられ、シリコン基板、特にSOI(Silicon on Insulator)基板を用いることがノズルの形成の面でも望ましい。なお、ノズルの開口径に対して膜厚が非常に厚い場合はノズルの断面形状を2段型とすることにより吐出性が向上する。
図17Bは液滴噴射ユニット2の概略断面説明図であり、図17Aはより詳細に説明するための組立図であり、図17Cは図17A、図17Bに示した液滴噴射ユニットによる液滴形成の説明図である。
この液滴噴射ユニット2は、複数のノズル(吐出口)11が形成された薄膜12と、振動手段13と、薄膜12と振動手段13との間に少なくとも樹脂、着色剤、及び特定のフェノール系樹脂を含有するトナー組成液10を供給する貯留部(液流路)14を形成する貯留部構成部材15とを備えている。振動手段と貯留部壁との間には、振動を伝達させないための、振動分離部材26により位置を固定されている構成が望ましいが、振動手段の、振動振幅の小さい節の部分27を介して壁に直接固定する形態でも構わない。液貯留部14には、液供給、及び液循環に用いる配管18を通じてトナー組成液10が供給される。
振動手段13や振動増幅手段22は前述の機械的縦振動手段を用いる膜振動方式の説明において記述したものが同様に使用できる。
液貯留部の隔壁を構成する部材は金属やセラミックス、プラスチックなど一般的な材質のうち、噴霧液に溶解しない、かつ噴霧液の変性を起こさないようなもので構成される。また、液貯留部14は複数の隔壁によって、複数の液貯留領域29に分割される。このように隔壁で分割することにより数十kHz駆動において、液室内の振動圧力分布が均等になるため均等な吐出が可能となり、また共振周波数を高める効果も期待できる。
【0066】
次に、この液滴化手段としての液滴噴射ユニット2による液滴形成のメカニズムについて図17Cを参照して説明する。振動手段により振動面13aに発生した振動は貯留部内の液に伝達し、貯留部内の液は液共振現象を起こす。薄膜12に設けられた複数のノズルにおいて、液は均質に加圧された状態において気体側に放出される。この液全体の共振の作用によって、全てのノズルから均等に液が噴出され、更には、トナー組成液に多く含有される、分散微粒子が前記薄膜の貯留部面に沈着することなく貯留部を浮遊するため、安定的に液を噴射し続けることができる構成となっている。
【0067】
次に、ノズルの断面形状を2段型とする方法を図18を用いて説明する。シリコン基板両面にレジスト111をコートし(11a)、ノズルパターンが形成されたフォトマスクで覆い、紫外線を露光し、レジスト111をノズルパターンとして形成する(11b)。支持層112面側からICP放電を用いた異方性ドライエッチングを行い、第1のノズル孔115を形成し、活性層114面側を同様の異方性ドライエッチングを行って第2のノズル116を形成し(11c)、最後に誘電体層113をフッ酸系エッチング液により取り除き、2段の貫通孔を得る(11d)ことが、深堀りノズル形状を均等に形成する上で最も好ましい。また、図示しないが、シリコン基板としてはSOI基板ではなく、単層のシリコン基板でも同様の方法でノズルを形成することができる。その際には、エッチング時間を調整することにより、第1のノズル孔の深さ及び第2のノズル孔の深さを調整することが可能である。
【0068】
ノズル11の形状としては、特に制限はなく、適宜選択した形状とすることができるが、例えば、薄膜12は厚み30〜1000μmでかつ、ノズル11の開口径が4〜15μmであることが、ノズル11からトナー組成液10の液滴を噴射させるときに、均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から好ましい。前記ノズル11の開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。また、ノズル11の個数は、2〜3,000個が好ましく、複数のノズルの開口径は同じである。
振動手段13は、例えば積層型PZTや、後述する超音波振動子と超音波ホーンを組み合わせたものなど、高い振幅において機械的超音波振動を液に与えることができるものであればどのようなものでも構わない。
振動手段により発生した振動は貯留部内の液に伝達し、貯留部内の液は液共振現象を起こす。薄膜に設けられた複数のノズルにおいて、液は均質に加圧された状態において気体側に放出される。この液全体の共振の作用によって、全てのノズルから均等に液が噴出され、更には、トナー組成液に多く含有される、分散微粒子が前記薄膜の貯留部面に沈着することなく貯留部を浮遊するため、安定的に液を噴射しつづけることができる構成となっている。
複数のノズルを設けた薄膜を機械的に振動させる場合はノズル詰りが発生しづらいという利点があるが、薄膜面積が広いと均一振動が得られずに液滴の粒度分布なる場合がある。これに対し、液共振方式は各ノズルにほぼ等しい振動圧力が与えられるため広い薄膜でも狭粒度分布の液滴が得られやすい。
液滴から溶剤を除去する乾燥工程(粒子形成工程)は、加熱した乾燥窒素などの気体中に液滴を放出し行われる。必要であれば、更に流動床乾燥や真空乾燥といった二次乾燥が行われ、トナーが得られる。
【0069】
本発明において、トナーに流動性や帯電性等の機能を付与するために、トナー表面に外添剤を添加させてもよい。前記外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど);金属酸化物(例えばチタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)又はこれらの疎水化物、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、チタニア粒子、疎水化されたチタニア微粒子、が好適に挙げられる。
【0070】
前記シリカ微粒子としては、例えばHDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H1303(いずれも、ヘキスト社製);R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。前記チタニア微粒子としては、例えばP−25(日本アエロジル株式会社製);STT−30、STT−65C−S(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF−140(富士チタン工業株式会社製);MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれも、テイカ株式会社製)などが挙げられる。前記疎水化された酸化チタン微粒子としては、例えばT−805(日本アエロジル株式会社製);STT−30A、STT−65S−S(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF−500T、TAF−1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製);MT−100S、MT−100T(いずれも、テイカ株式会社製);IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
【0071】
前記疎水化されたシリカ微粒子、疎水化されたチタニア微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子を得るためには、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。
前記疎水化処理剤としては、例えばジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
【0072】
また、無機微粒子にシリコーンオイルを必要ならば熱を加えて処理したシリコーンオイル処理無機微粒子も好適である。
前記無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。これらの中でも、シリカ、二酸化チタンが特に好ましい。
前記シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル又はメタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0073】
前記無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、1nm〜100nmが好ましく、3nm〜70nmがより好ましい。前記平均粒径が1nm未満であると、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくいことがあり、100nmを超えると、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけてしまうことがある。前記外添剤としては、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の平均粒径は1nm〜100nmが好ましく、5nm〜70nmがより好ましい。また、疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも2種類含み、かつ30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。
前記外添剤の添加量は、前記トナーに対し0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.3質量%〜3質量%がより好ましい。
【0074】
前記外添剤として樹脂微粒子も添加することができる。例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン;メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系;熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。このような樹脂微粒子を併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。前記樹脂微粒子の添加量は、前記トナーに対し0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
【0075】
本発明に係るトナーは、上述したトナーの製造装置を用いたトナーの製造方法により製造されたトナーであり、これにより、粒度分布が極めて単分散なものが得られる。
具体的には、前記トナーの粒度分布(質量平均粒径/数平均粒径)としては、1.00〜1.10、更に好ましくは1.00〜1.05の範囲内にあるのが好ましい。また、質量平均粒径としては、1μm〜20μmの範囲内にあることが好ましく、高画質化の観点より、より好ましくは3μm〜10μmである。
ここで、前記トナーの質量平均粒径、及び数平均粒径は、次のようにして求めることができる。
・測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:100μm
・解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
・分散液:エマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
・分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させる。
・測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から質量平均粒径、数平均粒径を求める。
【0076】
(現像剤)
本発明の現像剤は、前記トナーを少なくとも含有してなり、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像剤担持体としての現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がなく、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
【0077】
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
【0078】
前記芯材の粒径としては、平均粒径(体積平均粒径(D50))で、10μm〜200μmが好ましく、40μm〜100μmがより好ましい。前記平均粒径(体積平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
【0079】
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えばアミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー(フッ化三重(多重)共重合体)、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が特に好ましい。
【0080】
前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、一般的に知られているシリコーン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂;アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等で変性したシリコーン樹脂、などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、ストレートシリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、信越化学工業株式会社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)、などが挙げられる。
なお、シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
【0081】
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01質量%〜5.0質量%が好ましい。前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
【0082】
前記現像剤が二成分現像剤である場合には、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90〜98質量%が好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
前記二成分現像剤のトナーとキャリアの混合割合は、一般にキャリア100質量部に対しトナー1〜10.0質量部が好ましい。
【実施例】
【0083】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
下記例において、「樹脂の軟化点」、「樹脂のガラス転移温度(Tg)」、「樹脂の酸価」は、以下のようにして測定を行った。
【0084】
<樹脂の軟化点の測定>
フローテスター(島津製作所製、CFT−500D)を用い、試料として1gの樹脂を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
【0085】
<樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、DSC210)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミニウムパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
【0086】
<樹脂の酸価>
JIS K0070に記載の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
【0087】
(合成例1)
−ポリエステル樹脂の合成1−
表1及び表2に示す樹脂A1、A6、A8、A10、及びB1〜B7のアルコール成分、テレフタル酸、及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、精留塔、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコ内に入れ、窒素雰囲気下、230℃で15時間縮重合反応させた後、230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、イタコン酸を投入し、210℃まで2時間かけて昇温を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、ポリエステル樹脂(樹脂A1、A6、A8、A10、B1〜B7)を合成した。
【0088】
(合成例2)
−ポリエステル樹脂の合成2−
表1及び表2に示す樹脂A2〜A5、A7、A9のアルコール成分、テレフタル酸、及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、精留塔、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコ内に入れ、窒素雰囲気下、230℃で15時間縮重合反応させた後、230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、イタコン酸を投入し、200℃で8時間反応を行った。180℃まで冷却した後、無水トリメリット酸を投入し、210℃まで2時間かけて昇温を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、ポリエステル樹脂(樹脂A2〜A5、A7、A9)を合成した。
【0089】
【表1−1】

【表1−2】

*アルコール成分及びカルボン酸成分の使用量における括弧内の値はモル比である。
*エステル化触媒の使用量は、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して0.5質量部である。
*BPA−EOは、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物を示す。
【0090】
【表2−1】

【表2−2】

*アルコール成分及びカルボン酸成分の使用量における括弧内の値はモル比である。
*エステル化触媒の使用量は、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して0.5質量部である。
*BPA−EOは、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物を示す。
【0091】
(製造例1)
−キャリアの製造−
二成分現像剤に用いられるキャリアを以下のようにして製造した。
下記組成の被覆材をスターラーで10分間分散して被覆液を調製し、この被覆液と、芯材(Mnフェライト粒子、質量平均粒径=35μm)5,000質量部を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながら被覆を行うコーティング装置に投入して、前記被覆液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間焼成して、キャリアを製造した。
〔被覆材の組成〕
・トルエン・・・450質量部
・シリコーン樹脂(SR2400、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、不揮発分50質量%)・・・450質量部
・アミノシラン(SH6020、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)・・・10質量部
・カーボンブラック・・・10質量部
【0092】
(実施例1)
<トナー1の製造>
以下のようにして、トナー1を製造した。
−着色剤分散液の調製−
まず、着色剤としての、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(Regal400、Cabot社製)20質量部、顔料分散剤2質量部を、酢酸エチル78質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。該顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)を使用した。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。更に、1μmの細孔を有するフィルター(PTFE製)を通過させ、サブミクロン領域まで分散させた液を調製した。
【0093】
−ワックス分散液の調製−
撹拌羽と温度計をセットした容器に、表3に記載の結着樹脂としてのポリエステル樹脂(A)を30質量部、表3に記載のワックスを10質量部、酢酸エチル160質量部を仕込み、85℃に加温し20分間撹拌し、ポリエステル樹脂及びワックスを溶解させた後、急冷しワックスの微粒子を析出させた。このワックス分散液をダイノーミルを用いて強力なせん断力により更に細かく分散し、ワックスの最大粒径が1μm以下になるよう調整した。
【0094】
−トナー組成液の調製−
前記カーボンブラック分散液を50質量部(内カーボンブラック10質量部)、前記ワックス分散液を100質量部(内ワックス5質量部、ポリエステル樹脂(A)15質量部)、表3に記載のポリエステル樹脂(A)の固形分20質量%酢酸エチル溶液を425質量部(内ポリエステル樹脂(A)85質量部)を加え、更に固形分濃度が15質量%となるように酢酸エチルを加え、攪拌羽を有するミキサーを使用し10分間撹拌混合して、トナー組成液を調製した。
【0095】
−トナーの作製−
得られたトナー組成液を、図1に示したトナー製造装置のノズル1に供給し、下記トナーの作製条件で45℃の窒素中に液滴を吐出させた後、該液滴を乾燥固化し、サイクロンで捕集した後、40℃で3日間送風乾燥を行い、黒色微粒子を得た。
使用したノズルプレートは、外径8.0mmで厚み20μmのニッケル板に、真円形状の直径8μmの吐出孔を、電鋳法による加工で作製した。吐出孔は各吐出孔間の距離が100μmとなるように千鳥格子状に、ノズルプレートの中心の直径5mmの範囲にのみ設けた。この場合の計算上の有効吐出孔数は1,000個となり、これらの吐出孔の直径(開口径)はすべて同じである。
〔トナー作製条件〕
乾燥空気流量 :分散用窒素ガス 2.0L/分、
:装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分
装置内温度 :38〜40℃
ノズル振動数 :180kHz
圧電体印加電圧 :10V
【0096】
次に、この黒色微粒子を風力分級により粒度分布を整え、トナー母体粒子1を作製した。
次いで、トナー母体粒子100質量部に対し、添加剤(HDK−2000、クラリアント株式会社製)1.0質量部、酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)0.5質量部をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、トナー1を作製した。
【0097】
<二成分現像剤の製造>
二成分現像剤に用いられるキャリアとしては、上記製造したキャリア(シリコーン樹脂により0.5μmの平均厚さでコーティングされた平均粒径35μmのフェライトキャリア)と、該キャリア100質量部に対し、得られたトナー7質量部を容器に加え、容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いて48rpmで3分間均一混合し帯電させ、二成分現像剤1を作製した。
【0098】
(実施例2〜11)
実施例1のトナー組成液の調製を、前記カーボンブラック分散液を50質量部(内カーボンブラック10質量部)、前記ワックス分散液を100質量部(内ワックス5質量部、ポリエステル樹脂(A)15質量部)、表3に記載のポリエステル樹脂(A)の固形分20質量%酢酸エチル溶液を175質量部(内ポリエステル樹脂(A)35質量部)、表3に記載のポリエステル樹脂(B)の固形分20質量%酢酸エチル溶液を250質量部(内ポリエステル樹脂(B)50質量部)、を加え、更に固形分濃度が15質量%となるように酢酸エチルを加え、攪拌羽を有するミキサーを使用し10分間撹拌混合して、トナー組成液を調製するように変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー2〜11及び現像剤2〜11を作製した。
【0099】
(実施例12)
実施例2で得られたトナー組成液を、図16に示したトナー製造装置の液滴噴射ユニットに供給し、45℃の窒素中に液滴を吐出させた後、該液滴を乾燥固化し、サイクロンで捕集した後、40℃で3日間送風乾燥を行い、トナー母体粒子12を作製した。
薄膜(ノズルプレート)は500μm厚のSOI基板を用い、ノズルは図18に示す開口部115の直径が100μm、開口部116の直径が8.5μmの2段形状(凸形状)として形成し、開口部116を液が放出される側として用いた。開口部116の数は1,000個であり、これら開口部116の直径はすべて同じであり、各吐出孔間の距離が100μmとなるように千鳥格子状に設けた。液貯留部は均等分割された液貯留領域で構成されているものを用いた。本実施例で用いた加振周波数及び液貯留部の構成を以下に示す。
<液貯留部構成及び駆動周波数>
・加振周波数:32.7kHz(共振周波数)
・液貯留部分割数(液貯留領域の個数):6
・液貯留部長手方向寸法A:8mm
・液貯留部短手方向寸法B:8mm
・1の液貯留領域当りのノズル数:480
【0100】
次に、この黒色微粒子を風力分級により粒度分布を整え、トナー母体粒子を作製した。
次いで、トナー母体粒子100質量部に対し、添加剤(HDK−2000、クラリアント株式会社製)1.0質量部、酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)0.5質量部をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、トナー12を作製した。
二成分現像剤に用いられるキャリアとしては、上記製造したキャリア(シリコーン樹脂により0.5μmの平均厚さでコーティングされた平均粒径35μmのフェライトキャリア)と、該キャリア100質量部に対し、得られたトナー7質量部を容器に加え、容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いて48rpmで3分間均一混合し帯電させ、二成分現像剤12を作製した。
【0101】
(比較例1)
実施例1において、表3のトナー13に記載のポリエステル樹脂(A)を用いるように変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー13及び二成分現像剤13を作製した。
【0102】
(比較例2及び参考例1〜4)
実施例1のトナー組成液の調製を、カーボンブラック分散液を50質量部(内カーボンブラック10質量部)、前記ワックス分散液を100質量部(内ワックス5質量部、ポリエステル樹脂(A)15質量部)、表3に記載のポリエステル樹脂(A)の固形分20質量%酢酸エチル溶液を175質量部(内ポリエステル樹脂(A)35質量部)、表3に記載のポリエステル樹脂(B)の固形分20質量%酢酸エチル溶液を250質量部(内ポリエステル樹脂(B)50質量部)、を加え、更に固形分濃度が15質量%となるように酢酸エチルを加え、攪拌羽を有するミキサーを使用し10分間撹拌混合して、トナー組成液を調製するように変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー14〜18及び二成分現像剤14〜18を作製した。
【0103】
[比較例3]
表3に示すトナー19の使用樹脂であるポリエステル樹脂(A)(樹脂A2)50質量部、ポリエステル樹脂(B)(樹脂B1)50質量部、パラフィンワックス(HNP−9PD、日本精蝋株式会社製、融点76.1℃)5質量部、及びカーボンブラック(Regal400、Cabot社製)10質量部を、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で100〜130℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物は室温まで冷却後、ハンマーミルにて200〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、質量平均粒径が4.2±0.3μmとなるように粉砕エアー圧を適宜調整しながら微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で、質量平均粒径が5.0±0.3μm、4μm以下の微粉量が50個数%以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、トナー母体粒子を得た。
次いで、トナー母体粒子100質量部に対し、添加剤としてシリカ(HDK−2000、クラリアント株式会社製)1.0質量部、及び酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)0.5質量部をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、トナー19を製造した。
二成分現像剤に用いられるキャリアとしては、上記製造したキャリア(シリコーン樹脂により0.5μmの平均厚さでコーティングされた平均粒径35μmのフェライトキャリア)と、該キャリア100質量部に対し、得られたトナー7質量部を容器に加え、容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いて48rpmで3分間均一混合し帯電させ、二成分現像剤19を作製した。
【0104】
【表3】

表3に記載されている離型剤のパラフィンワックスには、HNP−9PD(日本精蝋株式会社製、融点76.1℃)、脱遊離脂肪酸カルナウバワックスには、WA−03(東亞化成株式会社製、融点82.8℃)を用いた。
【0105】
次に、得られた各トナーについて、以下のようにして、質量平均粒径(D)、比(D/Dn)、及び耐熱保存性を評価した。結果を表4に示す。
【0106】
<トナーの質量平均粒径(D)及び比(D/Dn)>
前記トナーの質量平均粒径、及び比(D/Dn)は、次のようにして求めた。
・測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:100μm
・解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
・分散液:エマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
・分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させた。
・測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から質量平均粒径(D)、数平均粒径(Dn)、D/Dnを求めた。
【0107】
<トナーの耐熱保存性>
耐熱保存性は、針入度試験器(日科エンジニアリング株式会社製)を用いて測定した。具体的には、各トナーを10g計量し、温度20〜25℃、40〜60%RHの環境下で30mlのガラス容器(スクリューバイアル)に入れ、蓋を閉めた。トナーを入れたガラス容器を100回タッピングした後、温度を50℃にセットした恒温槽に24時間放置した後、針入度試験器で針入度を測定し、下記の評価基準により耐熱保存性を評価した。針入度の値が大きいほど、耐熱保存性に優れる。
〔評価基準〕
◎:針入度が30mm以上
○:針入度が20mm〜29mm
△:針入度が15mm〜19mm
×:針入度が8mm〜14mm
××:針入度が7mm以下
【0108】
次いで、各二成分現像剤を、画像形成装置に装填して、画像形成を行い、以下のようにして、各種性能評価を行った。画像形成装置には、非接触帯電方式、二成分現像方式、直接転写方式、ブレードクリーニング方式、及び外部加熱のローラ定着方式を採用した画像形成装置デジタル複合機imagio MP 7500(コピースピード75枚/A4サイズ横、株式会社リコー製)を用いた。結果を表4に示す。
【0109】
<低温定着性>
前記画像形成装置を用い、厚紙の転写紙(株式会社NBSリコー製、複写印刷用紙<135>)に、トナー付着量0.80±0.02mg/cmの単色ベタ画像を作成し、定着ローラーの温度を変化させて定着を行い、得られた定着画像表面を描画試験器(AD−401、上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とし、下記基準により低温定着性を評価した。なお、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。
〔評価基準〕
◎:定着下限温度が140℃以下
○:定着下限温度が141℃以上150℃以下
△:定着下限温度が151℃以上160℃以下
×:定着下限温度が161℃以上170℃以下
××:定着下限温度が171℃以上
【0110】
<耐ホットオフセット性>
前記画像形成装置を用い、普通紙の転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)に、トナー付着量0.60±0.02mg/cmの単色ベタ画像を作成し、定着ローラーの温度を変化させて定着試験を行い、ホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生しない上限温度を定着上限温度とし、下記基準で耐ホットオフセット性を評価した。なお、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3mmの位置に作成した。
〔評価基準〕
◎:定着上限温度が230℃以上
○:定着上限温度が210℃以上230℃未満
△:定着上限温度が190℃以上210℃未満
×:定着上限温度が180℃以上190℃未満
××:定着上限温度が180℃未満
【0111】
<定着離型性>
前記画像形成装置を用い、普通紙の転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200(横目))にトナー付着量0.85±0.1mg/cmのベタ画像を作成し、定着ローラ又はローラーの温度を変化させて定着試験を行い、定着ニップ出口付近に定着紙と定着ベルトを分離させるために配置された分離爪に、A4サイズ横方向に排紙された定着画像が接触することで発生する定着画像上の傷跡の程度を目視評価した。傷跡の程度は、ランク見本により5段階で評価され、傷跡若しくはジャムが全く発生しない上限温度を定着離型性の指標とした。なお、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から1mmの位置に作成した。
〔評価基準〕
◎:定着上限温度が230℃以上
○:定着上限温度が210℃以上230℃未満
△:定着上限温度が190℃以上210℃未満
×:定着上限温度が180℃以上190℃未満
××:定着上限温度が180℃未満
【0112】
<初期画質>
初期の画像品質は、前記画像形成装置を用いて、画像評価チャートを出力し、カブリ、画像濃度、及びカスレなどの有無について評価した。異常の有無、及び画質のランク評価を目視評価し以下の5段階に分けて判定した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全く観察されず良好である。
○:原画と比較するとごく僅かな色合い、画像濃度、地肌部の汚れなどの違いが観察されるが、実用上問題なく良好である。
△:色調(色合い)、画像濃度、地肌部の汚れなどにやや変化が感じられる。
×:色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどが明らかで問題となる。
××:色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどがひどく、正常な画像が得ることができない。
【0113】
<経時安定性>
経時の画像品質は、前記画像形成装置を用いて、12%画像面積の画像チャートを400,000枚ランニング出力した後、画像評価チャートを出力し、前記初期画質評価と同様の評価を行い、初期画像との比較を行って、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全く観察されず良好である。
○:初期画像と比較すると、ごく僅かな色合い、画像濃度、地肌部の汚れなどの違いが観察されるが通常温湿度の環境下では問題無いレベルである。
△:初期画像と比較すると、色調(色合い)、画像濃度、地肌部の汚れなどにやや変化が感じられる。
×:初期画像と比較すると、色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどが明らかで問題となる。
××:初期画像と比較すると、色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどがひどく、正常な画像が得ることができない。
【0114】
<現像ローラ汚染性>
前記画像形成装置を用い、50%画像面積の画像チャートを100,000枚ランニング出力した後に、現像機内の現像ローラ上のトナー固着状態を目視評価を行った。出力画像の異常の有無も考慮し、以下の5段階に分けて判定した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全くなく、ローラ上のトナー固着はない。
○:画像異常が全くないが、ローラ上にうっすらとトナー固着が見られる。
△:若干の異常画像が見られ、ローラ上にも明らかなトナー固着が見られる。
×:明らかな画像異常が見られ、ローラ上のトナー固着がひどく、問題のあるレベル。
××:明らかな画像異常が見られ、ローラ上のトナー固着がひどく、正常な画像が得ることができない。
【0115】
<キャリア汚染性>
前記画像形成装置を用い、50%画像面積の画像チャートを100,000枚ランニング出力した後の現像剤を抜き取り、現像剤を目開き32μmのメッシュが張られたゲージ内に適量入れ、エアブローを行い、トナーとキャリアを分離した。得られたキャリア1.0gを50mlガラス瓶に入れ、クロロホルム10mlを加えて、50回手振りして、10分間静置させた。その後、上澄みのクロロホルム溶液をガラスセルに入れ、濁度計を用いてクロロホルム溶液の透過率を測定し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:透過率が95%以上
○:透過率が90%以上94%以下
△:透過率が80%以上89%以下
×:透過率が70%以上79%以下
××:透過率が69%以下
【0116】
【表4−1】

【表4−2】

【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明のトナーは、小粒径、かつこれまでにない粒度の単一分散性を有した粒子であることにより、流動性や帯電特性といったトナーに求められる多くの特性値において、これまでのトナーの製造方法にみられた粒子による変動の幅が全くないか、非常に少ない上に、耐オフセット性、低温定着性、耐熱保存性、耐汚染性、定着離型性のいずれにも優れ、高解像度で、高精細・高品質な画像を形成し、長期にわたって画像劣化のないので、例えばレーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機、直接又は間接の電子写真多色画像現像方式を用いたフルカラー複写機、フルカラーレーザープリンター、及びフルカラー普通紙ファックス等に幅広く使用できる。
【符号の説明】
【0118】
1 トナーの製造装置
2 液滴噴射ユニット
3 粒子形成部(溶媒除去部)
4 トナー捕集部
5 チューブ
6 トナー捕集部
7 原料収容部
8 配管
9 ポンプ
10 トナー組成液
11 ノズル
12 薄膜
13 振動手段
13a 振動面
14 貯留部
15 流路部材
18 液供給チューブ
21 振動発生手段
21A 圧電体
22 振動増幅手段
22A ホーン
23 駆動回路(駆動信号発生源)
24 通信手段
31 液滴
35 気流
36 気流路形成部材
37 気流路
80 ホーン型振動子
81 圧電体
82 ホーン
83 固定部
90 ランジュバン型振動子
91 圧電体
92 ホーン
111 レジスト
112 支持層
113 誘電体層
114 活性層
115 第1のノズル孔
116 第2のノズル孔
T トナー粒子
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開平7−152202号公報
【特許文献2】特開2003−262976号公報
【特許文献3】特開2003−280236号公報
【特許文献4】特開2003−262977号公報
【特許文献5】特開2006−28432号公報
【特許文献6】特開2006−28433号公報
【特許文献7】特開2002−287427号公報
【特許文献8】特開2007−155978号公報
【特許文献9】特開2008−129411号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を溶剤に溶解乃至分散させたトナー組成液を貯留する貯留部に設けた薄膜に形成された同じ開口径の複数のノズルから、前記トナー組成液を機械的振動手段により周期的に気相中に放出して液滴化する周期的液滴化工程と、
前記液滴化された前記トナー組成液を固化させてトナー粒子を形成するトナー粒子形成工程と、を含むトナーの製造方法によって製造されるトナーであって、
前記機械的振動手段が、前記薄膜に対して平行振動面を有し、該振動面が垂直方向に縦振動する振動手段であり、
前記結着樹脂が少なくとも1種のポリエステル樹脂を含有し、該1種のポリエステル樹脂が、又は該2種以上のポリエステル樹脂の少なくともいずれかが、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、カルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂を含有することを特徴とするトナー。
【請求項2】
機械的振動手段による液の共振現象を利用して、トナー組成液を薄膜に形成された同じ開口径の複数のノズルから周期的に気相中に放出し液滴化する請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
機械的振動手段が、ホーン型振動子である請求項1から2のいずれかに記載のトナー。
【請求項4】
結着樹脂が、軟化点Tm(A)が120℃以上160℃以下のポリエステル樹脂(A)と、軟化点Tm(B)が80℃以上120℃未満のポリエステル樹脂(B)とを含有してなり、前記ポリエステル樹脂(A)及び(B)の少なくともいずれかが、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、カルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂である請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
【請求項5】
ポリエステル樹脂(A)のアルコール成分が、更に1,3−プロパンジオールを含有する請求項4に記載のトナー。
【請求項6】
離型剤が、カルナウバワックスである請求項1から5のいずれかに記載のトナー。
【請求項7】
トナーにおける質量平均粒径(D)と個数平均粒径(Dn)の比(D/Dn)が、1.00〜1.10である請求項1から6のいずれかに記載のトナー。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のトナーを含有することを特徴とする現像剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−210709(P2010−210709A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54154(P2009−54154)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】