説明

トナー粒子の製造装置および製造方法

【課題】湿式で造粒されるトナー粒子の製造装置及び製造方法において、トナー粒子分散液からトナー粒子を効率良く分離・洗浄して得られた湿潤トナー粒子ケーキの含水率を低下させることが可能なトナー粒子の製造装置及び製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明の特徴は、液状分散媒体中でトナー粒子を生成させた後、得られたトナー粒子分散液を脱液して該液状分散媒体から湿潤状態のトナー粒子を分離し、得られた湿潤トナー粒子ケーキを洗浄する濾過工程、濾過工程により得られた湿潤トナー粒子ケーキを乾燥する乾燥工程を少なくとも含むトナー粒子の製造方法において、該濾過工程は該湿潤トナー粒子ケーキを圧搾しながら通気する圧搾通気機構を具備したベルトフィルターによって行うことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット法の如き画像形成方法における静電荷潜像を現像するためのトナーに含有されるトナー粒子の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
懸濁重合法・溶解懸濁法では液状分散媒体中で所望の粒径を有するトナー粒子を形成してトナー粒子の分散液を得る。その後、濾過装置のような固液分離装置に代表される分離手段を用いてトナー粒子の分散液からトナー粒子を分離し、洗浄して不純物を除去する。得られた湿潤トナー粒子のケーキは、乾燥、そして必要に応じて分級を行い、その後所定の添加剤を加えてトナーを製造する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、乳化重合法では、まず重合性単量体、重合開始剤、界面活性剤、さらに必要に応じて架橋剤、連鎖移動剤、その他添加剤を含んだ単量体組成物を水系媒体中に撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有する乳化樹脂粒子を得る。一方で着色剤を界面活性剤を含有している水系媒体中に均一に微分散させ、前記乳化樹脂粒子と会合(凝集及び融着)させて所望の粒径を有するトナー粒子の分散液を得る。
【0004】
その後は、懸濁重合法、溶解懸濁法と同様にしてろ過・洗浄・乾燥・分級を経てトナーを製造する(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
この様な湿式で造粒されるトナー粒子は、液状分散媒体中で生成するため、その表面が液状分散媒体中に分散または溶解している各種成分によって影響を受け易い。例えば、懸濁重合法では液状分散媒体として、一般に、各種の分散安定剤を含有する水系媒体が用いられているが、生成するトナー粒子の表面には、この分散安定剤が付着する。
【0006】
また、懸濁重合法で生成するトナーでは、帯電性を向上させるために、一般に、正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を重合性単量体組成物中に含有させて重合している。極性が高い帯電制御剤は、その一部が水系分散媒体中に溶解し、生成するトナー粒子の表面に付着する。重合後のろ過・洗浄工程において、このトナー粒子表面に付着した各種成分が十分かつ均一に洗浄され、除去されていないと、トナーの帯電量分布がブロードとなり、特に高温高湿条件下では、画像濃度が低下したり、カブリが発生し易くなる。
【0007】
更に、乳化凝集法でトナー粒子を生成する場合、乳化剤として界面活性剤を使用する必要がある。生成するトナー粒子表面に界面活性剤が多く残存すると、画像濃度の低下、カブリの発生が懸濁重合法よりも顕著に発生する傾向がある。そのため、湿式で造粒するトナー粒子の製造方法において、生成したトナー粒子を洗浄するための様々な方法が提案されている。
【0008】
例えば、ろ過洗浄機として、ろ布と真空トレイが密着したベルトフィルターを用いて、トナー粒子の分散液からトナー粒子を分離し、洗浄する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に記載の方法によれば、トナー粒子の分散液からトナー粒子を効率良く分離洗浄して優れた画像特性を有するトナーが得られる。
【0009】
この方法は優れた分離・洗浄方法ではある。しかし、近年、ユーザーによるニーズの多様化により電子写真画像は写真画質の如き高精細な画像が求められている。電子写真画像において高精細な画像を得るため、有効な手段の1つとしてトナー粒子の小粒径化がある。粉砕法でこの小粒径化を行うと多大な粉砕エネルギーが必要なため好ましくない。一方、湿式造粒法においはトナー粒子の小粒径化は容易である。しかし、この小粒径化を行うとトナー粒子の分散液からトナー粒子を分離する際、水切れ性が悪く、得られた湿潤トナー粒子のケーキの含水率が大きくなる傾向にある。これは湿潤トナー粒子で形成するケーキの単位容積あたりの粒子の表面積が増加するためと考えられる。この水切れ性の悪化は、前記したトナー粒子の表面に付着した各種成分の洗浄不足につながる。
【0010】
この水切れ性悪化を回避するための方法として、ダイタランシー効果を利用したろ過・洗浄方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この方法では衝撃・振動によりダイタランシー効果が得られてケーキが液状化することによって含水率低下が得られると記載されている。しかしながら、本方法に対して、ケーキの含水率を低下させることが要望されている。
【0011】
また、特許文献5、6に記載の固液分離装置によれば、固液分離後に、温風をトナーケーキに送付し、トナーケーキの水分量10質量%以下まで乾燥できるとの記載がある。しかしながら、この装置では、水分量10質量%以下を達成するには、非常に長い時間を要してしまう。更に、固液分離、トナーケーキの排出にも長時間を要してしまい、生産性が著しく低下してしまう。
【0012】
洗浄性・水切れ性の向上に加え、生産性の向上も要求されている。
【0013】
また、圧搾ロールが具備された濾布走行式のベルトフィルターが提案されている(例えば、特許文献7参照)。この装置は、上下2つの圧搾ロールの間にケーキを通過させることで、圧搾脱水を行い、ケーキの含水率を低下させる装置である。
【0014】
トナー粒子の分散液からトナー粒子を分離・洗浄する手段としてこの装置を使用した場合、十分に含水率を低下させることができない。
【0015】
【特許文献1】特開昭51−14895号公報
【特許文献2】特開平5−265252号公報
【特許文献3】特開2002−365839号公報
【特許文献4】特開2004−302099号公報
【特許文献5】特開2005−156937号公報
【特許文献6】特開2005−193123号公報
【特許文献7】特開平10−309409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上述の如き問題を解決したトナー粒子の製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。即ち、本発明は、湿式で造粒されるトナー粒子の製造方法において、トナー粒子分散液からトナー粒子を効率良く分離・洗浄して得られた湿潤トナー粒子のケーキの含水率を低下させるトナー粒子の製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
更に本発明は、トナー粒子分散液からトナー粒子を効率良く分離・洗浄して優れた画像特性を有するトナー粒子の製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者等は、鋭意検討の結果、ベルトフィルター上に形成されたトナー粒子から成るケーキに対して良好なケーキ形成を維持しながら適当な圧縮気体を通気させることにより、得られる湿潤トナー粒子のケーキの含水率が低下することを見出し、本発明を完成させた。
【0019】
更には、湿潤トナー粒子ケーキの含水率を低下させることにより、トナー粒子表面に付着した各種成分の均一な洗浄が可能となり、得られたトナーは優れた画像特性を形成することを見出し、本発明を完成させた。
【0020】
すなわち、本発明は、以下の特徴事項を有する:
水系分散媒体中で製造されたトナー粒子を分散媒体から濾別するろ布走行式ベルトフィルター用の脱水装置を有するトナー粒子の製造装置であり、
前記脱水装置は濾別された湿潤トナー粒子ケーキに通気して脱水する通気手段と、通気される気体をシールするシール手段とが具備され、
(I)前記シール手段は、弾性を有する回転可能な少なくとも一つのシール通気ロールの少なくとも一部を、前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子ケーキまたは、これらの両方にに押付ける方式であり、
(II)前記通気手段は、前記シール通気ロールに設けられた気体吐出部を有する通気ユニット
であることを特徴とするトナー粒子の製造装置;
水系分散媒体中で製造されたトナー粒子を通気しながら気体をシールする脱水機構を具備したろ布走行式ベルトフィルターを用いて固液分離して、湿潤トナー粒子ケーキを形成する濾過工程を少なくとも有するトナー粒子の製造方法において、
(I)前記シール手段は、弾性を有する回転可能な少なくとも一つのシール通気ロールの少なくとも一部を、前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子のケーキまたは、これらの両方に押付ける方式であり、
(II)前記通気手段は前記シール通気ロールに設けられた気体吐出部を有する通気ユニット
であることを特徴とするトナー粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、トナー粒子の分散液からトナー粒子を効率良く分離・洗浄することが可能であり、得られた湿潤トナー粒子のケーキの含水率を低下させ得るトナー粒子の製造方法を提供することができる。更には、トナー粒子表面に付着した各種成分の均一な洗浄が可能であり、優れた画像特性を有するトナー粒子の製造装置及び製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図1を用いて本発明のトナー粒子の製造装置及び製造方法の好ましい一態様について説明する。
【0023】
図1に示されるベルトフィルターは、ろ布2がガイドロール1間に張架され、ガイドロール1の回転により矢印Cの方向に連続又は間欠駆動される。ろ布2の下方には、1体もしくは複数に分割された固定式の真空トレイ4が設置されている。この真空トレイ4には真空ポンプ(図示しない)により真空作用が得られる構造を有している。
【0024】
上記した種々の湿式造粒法により得られたトナー粒子の分散液中のトナー粒子の表面には、各種の分散安定剤が存在する。この分散安定剤を溶解、又は除去するため、それぞれの湿式造粒方法に適した前処理を行う。この前処理を行った後、トナー粒子の分散液は、送液口3を介してろ布2上に供給され、該真空作用によりケーキ形成工程にて濾過、脱水される。
【0025】
例えば、懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナー粒子の表面に存在する分散剤を溶解させるために酸処理を行うが、この際、発泡現象を伴いやすい。この発泡現象はケーキ形成工程でのろ過・脱水効果に悪影響を及ぼし、効率を低下させる恐れがある。よって酸処理を行う際には、発泡を抑制する機器、方法を選択することが好ましい。
【0026】
ろ別された濾液は、真空トレイに集められ、図示しない濾液管より図示しない真空タンクヘ送られる。この時、該真空作用を有効に働かせるためには、ろ布2は間欠駆動させることが好ましく、真空作用が得られている間は、ろ布2と真空トレイ4が密着しており摺擦しないことが好ましい。連続駆動であると、ろ布2と真空トレイ4が密着性に不具合が生じ易く、高真空度を得るのが難しい。高真空度が得られないと濾過、脱水効果が低下し、液状分散媒体からトナー粒子を効果的に分離することが困難となる。
【0027】
次に濾過、脱水されたケーキ5とろ布2は、ガイドロール1の回転により矢印Cの方向に送られて、上部に1基乃至複数基のケーキ洗浄装置7を有する洗浄工程に送られる。ケーキ洗浄装置7からは、必要に応じて1種又は複数種の洗浄液が散布され、ケーキ5中の溶解性又は分散物質が洗浄・除去される。そして、真空トレイ4に集められた濾液と共にこれらの物質は排出される。この時も上記したように高真空度を得るため、ろ布2と真空トレイ4が密着しており摺擦しないことが好ましい。
【0028】
次に、洗浄されたケーキ5とろ布2は、ガイドロール1の回転により矢印Cの方向に送られて、脱水工程に送られる。脱水工程は図1に示すように複数のスパン(図1内では脱水工程が2スパンの図が描かれている)に分かれていることが好ましく、さらに脱水工程のスパンには、通気脱水機構が備わっていることが好ましい。
【0029】
本発明にかかる通気脱水機構としては、図示するシール通気ロール機構8である。
【0030】
前記シール通気ロール機構8は、ろ布走行式ベルトフィルターに少なくとも一つ具備されていれば、効果が得られるが、複数具備されている場合には、より大きな効果がある。
【0031】
シール通気ロール機構が複数備わっていると、ろ布の進行方向に対して、上流側に設置されているシール通気ロールによって、通気脱水が行なえなかった、湿潤トナー粒子のケーキのエリアが合った場合でも、下流側のシール通気ロール機構で、通気脱水処理を確実にカバーできるため、脱水作用が有効に働く。
【0032】
また、シール通気ロール機構を複数にすることで、湿潤トナー粒子のケーキの脱水エリアを各シール通気ロールでシェアすることにより、ろ間欠運動の1スパンのストロークの設計の自由度が広がるほか、シール通気ロール1つあたりの直径も低く押さえられるため、装置全体の高さもコンパクトに収めることができるなどの、メリットがある。
【0033】
シール通気ロールには、図2のごとくシール通気ロール凹部9を複数設けていることが好ましい。シール通気ロール凹部9の形状は図2のような形状に限定されることはないが、シール通気ロールの少なくとも一部を、ろ布または湿潤トナー粒子のケーキ、または、これら両方に接触させた際に、シール通気ロールの少なくとも一部と、ろ布または湿潤トナー粒子のケーキまたはこれら両方との間に空間が生まれる形状であることが好ましい。
【0034】
シール通気ロールには、図2の10のごとくシール部を設けていることが好ましい。シール通気ロールのシール部の形状は図2のような形状に限定されることはないが、シール通気ロールを、ろ布または湿潤トナー粒子のケーキ、または、これら両方に接触させる際に、確実に所望の接圧で接触し、後に述べる通気用の気体の洩れを防ぐような機能が備わっていることが好ましい。
【0035】
シール通気ロールは、通気脱水を行うため、図2の11のごとく気体を吐出するための、気体吐出部が備わっていることが好ましい。気体吐出部の形状は図2のような形状に限定されることはないが、少なくとも1つの気体供給用のノズルであっても良い。
【0036】
また、気体吐出部は、図3の11のごとく、穿孔材質を用いて広面積から均一に気体供給ができるような部材を用いても良い。
【0037】
また、気体吐出部は、図4のごとく、ロール全体を穿孔材質にし、シール通気ロールに凹部がない形状を採用したとしても、湿潤トナー粒子接触部において、広面積から均一に気体供給が可能であれば、良好な脱水効果が得られる。
【0038】
吐出部の機能がなければ、湿潤トナー粒子に対して、圧搾を行うことが出来ても、通気が行われないために、充分な水分除去効果が得られない。
【0039】
また、圧縮気体出口11がケーキ5の状態により詰まりを起こす場合等は、フィルター、又はメッシュで覆って詰まりを防止しても良い。
【0040】
ロール全体を穿孔材質にし、シール通気ロールに凹部がない形状を採用したとしても、湿潤トナー粒子接触部において、広面積から均一に気体供給が可能であれば、良好な脱水効果が得られる。
【0041】
また、気体吐出部は、図2、図3、図4のごとく、分割されていることが好ましい。シール通気ロールが、前記ろ布または前記湿潤トナー粒子のケーキ、または、これらの両方に対して、接触する面のそれぞれに対して1系統ずつ具備されていることが好適である。
【0042】
また、気体の流通経路は、気体吐出部を気体が通過した後でも、シール通気ロールが、前記ろ布または前記湿潤トナー粒子のケーキ、または、これらの両方に対して、接触する面のそれぞれに対して区切られていることが好ましい。
【0043】
更には、前記シール通気ロールで通気動作を行う際には、前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子のケーキ、または、これらの両方に対して、シール通気ロールが接触している部分の面に該当する系統の、気体吐出経路のみが選択されて、該当系統のみに通気が行われることが好ましい。
【0044】
気体吐出経路の選択は、バルブの開閉の如き周知慣用制御方法での方法で行えば良い。気体吐出経路が選択的に行われずに、通気動作が行われる場合には、シール通気ロールが、前記ろ布または前記湿潤トナー粒子ケーキまたは、これらの両方に対して、接触する面以外の系統の気体吐出経路から気体が噴出してしまい、粉塵が舞うことや、圧縮気体のロスというデメリットがあるために好ましくない。
【0045】
シール通気ロール機構8は図5に示す接離機構12により、弾性を有するシール通気ロールの湿潤トナー粒子ケーキとの接触部、がケーキ5に対して接離可能な構造となっていることが好ましい。
【0046】
接離機構12が働き、シール通気ロールの湿潤トナー粒子ケーキとの接触部が、ケーキ5に接し、圧搾が行われる。この際、圧縮気体出口11から圧縮気体が通気されてケーキ5に含まれる水分が減少して良好に含水率が低減される。また、水分とともにトナー粒子表面に付着した各種成分がトナー粒子から分離し、均一な洗浄が行える。
【0047】
接離機構12は、上記ケーキ5との接離運動が可能であれば特に限定されるものではないが油圧機構であることが好ましい。油圧機構であるとシール部9とケーキ5が接する際の圧力が調整し易く、接離運動の制御にも有効である。
【0048】
前記したようにろ布2は間欠駆動させることが好ましい。
【0049】
ろ布の間欠運動の中で、通気脱水を行っている間は、前記シール通気ロールの湿潤トナー粒子ケーキとの接触部が、湿潤トナー粒子ケーキに圧接する圧力P1は、
100(kPa)≦P1≦900(kPa)
であることが好ましい。この圧力P1はシール通気ロールの湿潤トナー粒子のケーキとの接触部がケーキ5と接触する面積のうち単位面積あたりを押さえつける力として定義される。後述するようにケーキ5に圧縮気体を通気させる際に圧縮気体がケーキ外を通過しないためのシール圧として働く。よって、P1<100(kPa)であると圧縮気体出口11から圧縮気体が通気される際、シール圧力不足となり、良好なケーキ状態が維持できなくなる。良好なケーキが維持できないとケーキ5が破裂の如く飛び散ったり、クラックが入ってしまうため、トナー粒子の表面に付着した各種成分をトナー粒子から分離することが困難になる。また、1000(kPa)<P1であるとP1の圧力でケーキ5内のトナー粒子が変形したりして悪影響を及ぼす恐れがあるために好ましくない。
【0050】
前記したシール通気ロールの湿潤トナー粒子のケーキとの接触部に使用する部材としては、上記シールが充分可能な部材であれば特に限定されるものではないが、部材の引っ張り強さをDとすると3(Mpa)≦D≦30(Mpa)が好ましい。3(Mpa)>Dであると部材の耐久性が悪く、30(Mpa)<Dであると良好なシールが得られない。その中でも特に好ましい部材はEPDM(エチレンプロピレンゴム)である。
【0051】
一方、ろ布2が間欠運動している間のろ布走行時には、接離機構を連動させてケーキ5とシール通気ロールの湿潤トナー粒子のケーキとの接触部の圧力を弱めることが望ましい。
【0052】
具体的には、ろ布の間欠運動の中で、ろ布走行を行っている間は、前記シール通気ロールの湿潤トナー粒子のケーキとの接触部が湿潤トナー粒子のケーキに圧接する圧力P2は、
0(kPa)≦P2≦200(kPa)
であることが好ましい。この圧力P2は、P1と同様にシール通気ロールの湿潤トナー粒子のケーキとの接触部がケーキ5と接触する面積のうち単位面積あたりを押さえつける力として定義される。
【0053】
200(kPa)<P2であるとろ布走行時に、ろ布と真空トレイ4との摩擦力が大きくなり、ろ布走行時の駆動に必要な動力も大きくなるほか、摩擦によるろ布の傷みの影響も大きくなるために、好ましくない。
【0054】
また、該圧縮気体はコスト面から圧縮空気であることが好ましく、更に好ましくは除湿された乾燥空気が好適である。圧縮気体の圧力P3は、
10(kPa)≦P3≦700(kPa)
であることが好ましい。10(kPa)>P3であると通気が少なく、所望の含水率低下が得られにくい。また700(kPa)<P3であると圧縮気体製造に高コストとなるばかりか前記した良好なケーキ状態維持が困難となる。
【0055】
脱水されたケーキ5は、ガイドロール1によってもたらされる曲率により、ろ布3より剥離される。
【0056】
得られた湿潤トナー粒子のケーキの含水率は30%以下であることが好ましい。30%を超えると後工程の乾燥工程への輸送に支障をきたしたり、乾燥工程自身の効率が低下して好ましくない。また、該乾燥工程は熱気流中に該湿潤トナー粒子のケーキを粉粒状に分散させて、熱気流と並流に送りながら乾燥する気流乾燥であることが好ましい。気流乾燥は短時間に大量の湿潤トナー粒子を低コストで乾燥が可能である。
【0057】
本発明のトナー粒子の製造方法は、磁性トナー粒子の製造方法にも好ましく用いることができる。例えば、懸濁重合法による湿式造粒法の場合の磁性トナー粒子を製造する場合に使用される磁性体について、以下に説明する。
【0058】
磁性トナーに使用される磁性体は、その表面が疎水化されていることが好ましい。磁性体を疎水化する際は、水系媒体中で、磁性体粒子を一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いることが非常に好ましい。この疎水化処理方法は、気相中で処理するより磁性体粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性体粒子間の帯電反発作用が働くため、磁性体はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
【0059】
カップリング剤を水系媒体中で加水分解しながら磁性体表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要がない。また、これまで気相中では磁性体粒子同士が合一しやすくて、良好な処理を施すことが困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになるため、疎水化の効果は絶大である。
【0060】
本発明に係わる磁性体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、下記一般式
mSiYn
[式中、Rはアルコオキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す]
で示されるものである。
【0061】
例えば、以下のものが挙げられる。ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン。
【0062】
この中でも、磁性体の分散性をより向上させるためには2重結合を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、フェニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。これは、特に懸濁重合を行う場合、2重結合を有するカップリング剤で処理すると、磁性体と重合性単量体とのなじみが良好になる為であると考えられ、トナー粒子中での磁性体の分散性が良好なものとなる。
【0063】
しかし、これら2重結合を有するカップリング剤のみの使用では、磁性体に十分な疎水性を持たせることは困難であり、疎水性が十分でない磁性体がトナー表面に露出する影響により、トナーの粒度分布も広いものとなってしまう。この理由は定かではないが、カップリング剤自身の疎水性や、磁性体表面の活性基との反応性、及び磁性体表面の被覆性が劣ることによるものであると考えている。このため、十分な疎水性を得る為に以下の式で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を併用することがより好ましい。
p2p+1−Si−(OCq2q+13
[式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す]
【0064】
上記式において、pが2より小さいと疎水化処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが困難であり、トナー粒子からの磁性粒子の露出を抑制するのが難しくなる。また、pが20より大きいと、疎水性は十分になるが、磁性体粒子同士の合一が多くなり、磁性体粒子を十分に分散性させることが困難になり、粒度分布がブロード気味になる。また、qが3より大きいとシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなる。
【0065】
より好ましくは、上記式においてpが3〜15の整数であり、qが1又は2であるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用することである。
【0066】
その処理量は磁性体100質量部に対して、シランカップリング剤が総量で0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部である。磁性体の表面積、カップリング剤の反応性に応じて処理剤の量を調整することが好ましい。
【0067】
また、上記疎水化処理時に用いられる水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水系媒体として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1〜5質量%添加するのが良い。pH調整剤としては、塩酸の如き無機酸が挙げられ、有機溶剤としてはアルコール類等が挙げられる。
【0068】
なお、複数種のシランカップリング剤を用いる場合、同時に又は時間差をもって複数種のカップリング剤を投入し、磁性体の処理を行う。
【0069】
こうして得られる磁性体は粒子の凝集が見られず、個々の粒子表面が均一に疎水化処理されているため、磁性体の重合性単量体中での分散性は良好なものとなる。
【0070】
本発明のトナーにおいて用いられる磁性体は、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい。また、磁性体は四三酸化鉄、γ−酸化鉄等、酸化鉄を主成分とするものである。これらを1種または2種以上併用して用いられる。これら磁性体は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましくは2〜30m2/g、より好ましくは3〜28m2/gであり、更にモース硬度が5〜7のものが好ましい。
【0071】
例えば、懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナーに用いられる磁性体は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して、10〜200質量部を用いることが好ましい。より好ましくは20〜180質量部を用いることである。10質量部未満ではトナーの着色力が乏しく、カブリの抑制も困難である。一方、200質量部を超えると、得られたトナーのトナー担持体への磁力による保持力が強まり現像性が低下したり、個々のトナー粒子への磁性体の均一な分散が難しくなるだけでなく、定着性が低下してしまう。
【0072】
なお、トナー中の磁性体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7で測定する。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃までトナーを加熱し、100℃から750℃まで間の減量質量%を結着樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性体量とする。
【0073】
本発明に係わる磁性トナーに用いられる磁性体は、例えばマグネタイトの場合、下記方法で製造される。第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量または当量以上の水酸化ナトリウムの如きアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHを7以上(好ましくはpH8〜14)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粒子の芯となる種晶をまず生成する。
【0074】
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6〜14に維持しながら空気を吹込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。酸化反応の終期に液のpHを調整し、磁性酸化鉄が一次粒子になるよう十分に撹拌し、カップリング剤を添加して十分に混合撹拌し、撹拌後に濾過し、乾燥し、軽く解砕することで疎水性処理磁性酸化鉄粒子が得られる。或いは、酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄粒子を、乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを調整し、十分撹拌しながらシランカップリング剤を添加し、カップリング処理を行っても良い。いずれにせよ、酸化反応終了後に乾燥工程を経ずに表面処理を行うことが肝要であり、本発明における重要なポイントの一つである。
【0075】
第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、更に塩化鉄等が可能である。
【0076】
水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法において、硫酸鉄を用いる場合、一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び硫酸鉄の溶解度からその水溶液は鉄濃度0.5〜2mol/lのものが用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。また、反応に際しては、空気量が多い程、また反応温度が低いほど微粒化しやすい。
【0077】
このようにして製造された疎水性磁性体粒子を材料とした磁性トナーを使用することにより、安定したトナーの帯電性が得られ、転写効率が高く、高画質及び高安定性が可能となる。
【0078】
上記のようにして得られた磁性体は、トナー粒子に含有される着色剤としても好適に用いることができる。本発明で製造されるトナーに好適に用いることのできる上記磁性体以外の着色剤として、カーボンブラック及び以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤が挙げられる。
【0079】
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。具体的には、顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191及びC.I.バットイエロー1、3、20。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162が挙げられる。これらのものが単独で或いは2以上が併用して用いられる。
【0080】
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。具体的には、マゼンタ顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166,169,177,184,185,202,206,207,209,220,221,238、254;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35。マゼンタ用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52,58,63,81,82,83,84,100,109,111,121,122;C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27;C.I.ディスパースバイオレット1の如き油溶染料;C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40;C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28の如き塩基性染料、これらのものが単独で或いは2以上が併用して用いられる。
【0081】
シアン色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。具体的には、シアン顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66;C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45、染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95が挙げられる。これらのものが単独で或いは2以上が併用して用いられる。
【0082】
これらの着色剤は、単独で又は2種以上を混合し、また更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐侯性、OHP透明性及びトナー中への分散性の点から選択される。例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、着色剤の添加量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して1〜20質量部が用いられる。
【0083】
本発明で製造されるトナー粒子は離型剤を含有していても良い。本発明においてトナー粒子に使用可能な離型剤としては、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックスおよびその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体。誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。更には、以下のものが挙げられる。高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸の如き脂肪酸、或いはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス。
【0084】
ワックスの具体的な例としては、以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業社);ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学社);サゾールH1、H2、C80、C105、C77(シューマン・サゾール社);HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精鑞株式会社);ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社);木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODAにて入手可能)。
【0085】
トナー粒子には、荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用できる。更に、例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナー粒子を製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。ネガ系荷電制御剤として、以下のものが挙げられる。サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物;アゾ染料或いはアゾ顔料の金属塩または金属錯体;スルフォン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物;ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン。ポジ系荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物。
【0086】
荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法とトナー粒子に外部添加する方法とがある。これらの荷電制御剤の使用量としては、重合性単量体又は結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではない。内部添加する場合は、好ましくは、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合、トナー粒子100質量部に対し好ましくは0.005〜1.0質量部、より好ましくは0.01〜0.3質量部である。
【0087】
本発明において例えば乳化重合法や懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナー粒子の製造に使用される重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
【0088】
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド。
【0089】
本発明のトナーの製造方法において例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、重合性単量体に樹脂を添加して重合しても良い。重合性単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基の如き親水性官能基を有する重合性単量体ユニットをトナー粒子中に導入したいときには、以下の共重合体又は重合体の状態で導入することが好ましい。これらとスチレン又はエチレンの如きビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、或いはグラフト共重合体如き共重合体の形で、或いはポリエステル、ポリアミドの如き重縮合体、ポリエーテル、ポリイミンの如き重付加重合体。
【0090】
本発明において、上記重合性単量体に添加して使用されるポリエステル樹脂を構成するアルコール成分と酸成分を以下に例示する。アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、式(I)で示されるビスフェノール誘導体又は該式(I)で表される化合物の水添物;
【0091】
【化1】

[式中、Rはエチレン基またはプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。]
または、下記式(II)で表されるジオール又は該式(II)で表される化合物の水添物。
【0092】
【化2】

【0093】
2価のカルボン酸としては、以下のものが挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸またはその無水物、また更に炭素数6〜18のアルキルまたはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物。
【0094】
更に、アルコール成分として、以下のものが挙げられる。グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコール。酸成分としては、以下のものが挙げられる。トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物の如き多価カルボン酸。
【0095】
前記ポリエステル樹脂は全成分中45〜55モル%がアルコール成分であり、55〜45モル%が酸成分であることが好ましい。また、本発明においては、得られるトナー粒子の物性に悪影響を及ぼさない限り2種以上のポリエステル樹脂を併用したり、例えば、シリコーンやフルオロアルキル基含有化合物により変性したりして物性を調整することも好適に行われる。また、このような極性官能基を含む高分子重合体を使用する場合、その重量平均分子量は5,000以上が好ましく用いられる。
【0096】
また、上記以外の樹脂を重合性単量体組成物中に添加しても良い。用いられる樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリスチレン;ポリビニルトルエンの如きスチレン置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。これらは、単独で又は混合して使用できる。
【0097】
これら樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部超添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなるためである。
【0098】
更に、単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合しても良い。
【0099】
本発明のトナーの製造方法において、重合性単量体の重合反応を開始させるために重合開始剤を使用する。重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体100質量部に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行うと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることが出来る。重合開始剤例としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;
ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレートの如き過酸化物系重合開始剤。
【0100】
本発明のトナーを製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量は重合性単量体100質部に対して0.001〜15質量部である。
【0101】
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物。これらが単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
【0102】
本発明において例えば懸濁重合法による湿式造粒法を選択した場合の具体的なトナー製造方法について説明する。
【0103】
まず、重合性単量体中に顔料、離型剤、荷電制御剤、架橋剤の如きトナーとして必要な成分及びその他の添加剤を適宜加えて、均一に溶解または分散させて着色剤含有重合性単量体組成物を得る。この時、必要に応じて温調操作を行っても良い。この着色剤含有重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中にて懸濁し造粒する。
【0104】
このとき着色剤含有重合性単量体組成物の造粒を行うと同時に、又は造粒を行った後、重合開始剤を添加して上記組成物の重合を行う(重合工程)。重合開始剤添加の具体的な時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前、重合反応中に追加の重合性単量体或いは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることも出来る。
【0105】
造粒後は、温調を行いながら通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
【0106】
トナー粒子を製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難いため好ましい。無機分散剤としては、以下のものが挙げられる。燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛の如き燐酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムの如き無機水酸化物;シリカ、ベントナイト、アルミナの如き無機酸化物。
【0107】
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用することが好ましい。0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0108】
界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム。
【0109】
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて前記無機分散剤粒子を生成させて用いることが出来る。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。無機分散剤は、重合終了後に酸又はアルカリで溶解して、ろ過、洗浄等の次工程によりほぼ完全に取り除くことが出来る。
【0110】
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。また、残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げることは可能である。重合反応の終了後、得られたトナー粒子分散液は前期した本発明にかかる圧搾通気機構付きのベルトフィルターにて濾過、洗浄した後、好ましくは気流乾燥装置によって乾燥する。
【0111】
一般的に得られたトナー粒子は分級工程において所望の粒径範囲外の粗粉や微粉が除去され、トナー粒子が得られる。なお、分級工程は従来トナーの製造に用いられる公知の方法により行うことができ、特に限定されない。分級工程を経て得られたトナー粒子に無機微粉体等の外添剤を混合して該トナー粒子表面に付着させることによって、トナーを得ることができる。本発明においては、製造工程から分級工程を省き直接トナーを得ることも、また更に高精度な分級工程を行って、精度良く粗粉や微粉をカットすることも、望ましい形態の一つである。
【0112】
本発明において、トナーには上記外添剤のうち流動化剤として個数平均一次粒子径が4〜80nmの無機微粒子が添加されることも好ましい形態である。
【0113】
本発明で用いられる無機微粒子としては、シリカ,アルミナ,酸化チタンが挙げられる。例えば、ケイ酸微粉体としてはケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3-の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において、塩化アルミニウム,塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって生成した、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体も使用可能である。
【0114】
平均一次粒径が4〜80nmの無機微粒子の添加量は、トナー母粒子に対して0.1〜3.0質量%であることが好ましい。添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%超では定着性が悪くなることがある。なお、無機微粉末の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
【0115】
無機微粒子は、疎水化処理されたものであることが高温高湿環境下での特性から好ましい。疎水化処理の処理剤としては、以下のものが挙げられる。シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物。これらの処理剤を単独で或いは併用して用いても良い。
【0116】
無機微粒子の処理方法としては、例えば第一段反応としてシリル化反応を行ってシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成する方法が挙げられる。
【0117】
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、更には3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粒子に安定性が無く、熱および機械的な応力により画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
【0118】
シリコーンオイルとしては、以下のものが挙げられる。ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル。
【0119】
シリコーンオイルの処理の方法としては、例えばシラン化合物で処理された無機微粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。或いは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解或いは分散させた後、無機微粒子を加えて混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粒子の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
【0120】
シリコーンオイルの処理量は無機微粒子100質量部に対し1〜40質量部、好ましくは3〜35質量部が良い。
【0121】
本発明で用いられるシリカは、トナーに良好な流動性を付与させる為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積が20〜350m2/gの範囲内のものが好ましく、25〜300m2/gのものがより好ましい。
【0122】
比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
【0123】
また、本発明のトナーは、クリーニング性向上等の目的で、更に一次粒径が30nmを超える、より好ましくは一次粒径が50nm以上の無機又は有機の球状に近い微粒子を、外添剤としてトナー粒子に添加して含有することも好ましい形態のひとつである。この無機又は有機の微粒子は比表面積が50m2/g未満(より好ましくは比表面積が30m2/g未満)のものを好ましく用いることができる。このような微粒子として、例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子が好ましく用いられる。
【0124】
実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の外添剤をトナー粒子に外添して用いることができる。他の外添剤としては、以下のものが挙げられる。ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤;酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末の如き流動性付与剤;ケーキング防止剤。また、逆極性の有機微粒子又は無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの外添剤も表面を疎水化処理して用いることが可能である。
【0125】
本発明により製造されたトナーは、一成分現像剤として使用できる。例えば、一成分系現像剤として、磁性体をトナー中に含有する重合トナーの場合には、現像スリーブ中に内蔵されたマグネットを利用し、重合トナーを搬送及び帯電する方法がある。しかし、必ずしも上記のような一成分現像剤に限られる必要はなく、二成分現像剤として用いても良い。
【0126】
二成分系現像剤として用いる場合には、上記トナーと共に磁性キャリアを用いる。磁性キャリアは、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムから選ばれる元素が単独で又は複合フェライト状態で用いられる。磁性キャリアの形状としては、球状、扁平又は不定形がある。更に磁性キャリア粒子表面状態の微細構造(例えば表面凹凸性)をもコントロールすることが好ましい。一般的には、上記無機酸化物を焼成、造粒することにより、予め磁性キャリアコア粒子を生成した後、このキャリアコア粒子を樹脂でコーティングする方法が用いられている。磁性キャリアのトナーへの負荷を軽減する目的から、無機酸化物と樹脂を混練後、粉砕、分級することにより低密度分散キャリアを得る方法や、無機酸化物とモノマーとの混練物を直接水系媒体中にて懸濁重合させて真球状の磁性キャリアを得る方法も利用することが可能である。
【0127】
これらのうち、上記キャリアコア粒子の表面を樹脂で被覆してなる被覆キャリアが特に好ましい。キャリアコア粒子の表面を樹脂で被覆する方法としては、樹脂を溶剤中に溶解又は懸濁して塗布することによりキャリアコアに付着させる方法、又は単に樹脂粉体とキャリアコア粒子とを混合して付着させる方法が適用できる。
【0128】
キャリア粒子表面への固着物質としてはトナー材料により異なるが、例えば以下のもの挙げられる。ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂。これらは単独或は複数で用いられる。
【0129】
キャリアの磁性特性は以下のものが良い。磁気的に飽和させた後の、磁界の強さ79.6kA/mにおける磁化の強さ(σ1000)は3.77〜37.7μWb/cm3であることが好ましい。更に高画質化を達成するために、12.6〜31.4Wb/cm3であることがより好ましい。この磁化の強さが37.7μWb/cm3より大きい場合には、高画質なトナー画像が得られにくくなる。一方、3.77Wb/cm3未満であると、磁気的な拘束力も減少するためにキャリア付着を生じやすい。
【0130】
本発明で用いられるトナーと磁性キャリアとを混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度が2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%であると通常良好な結果が得られる。
【0131】
本発明で用いたそれぞれの測定方法について以下に述べる。
【0132】
(1)トナーの粒度分布の測定及び個数変動係数の算定
トナーの粒度分布は種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターを用いて行うことが好ましい。
【0133】
測定装置としてはコールターカウンターマルチサイザーI型あるいはII型あるいはIIe型(コールター社製)を用い、個数平均分布、体積平均分布を出力するインターフェイス(日科機製)及び一般的なパーソナルコンピューターを接続し、特級又は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を電解液として調製する。
【0134】
測定法としては前記電解水溶液130ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を1.5ml加え、さらに測定試料を10mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約2分間分散処理を行い、前記コールターカウンターマルチサイザーII型により、アパチャーとして100μmアパチャーを用いて、個数を基準として2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して、それから各種値を求める。
【0135】
また上記個数分布における変動係数は下記式から算出される。
変動係数(%)=[S/D1]×100
[式中、Sはトナー粒子の個数分布における標準偏差を示し、D1はトナー粒子の個数平均径(μm)を示す。]
【0136】
(2)湿潤トナー粒子洗浄状態の評価
洗浄状態は、湿潤トナー粒子表面に残存する分散安定剤量によって評価した。残存分散安定剤量については、蛍光X線分析装置(RIX3000)を用い定量分析した。この残存分散安定剤量は、帯電性の観点から180ppm以下であることが好ましい。
【0137】
(3)含水率の測定
本発明における含水率は、湿潤トナー粒子5gをアルミ皿に採取し、それを精秤(A[g])し、105℃に設定した乾燥機に1時間放置し、冷却後精秤(B[g])し、以下の式で計算した値である。
含水率[%]=((A−B)/A)×100
【実施例】
【0138】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。
【0139】
〔実施例1〕
イオン交換水700質量部に、0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、クレアミックスCLS−30S(エム・テクニック社製)を用いて、4500rpmにて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液68質量部を添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
【0140】
一方、
(モノマー) スチレン 170質量部
n−ブチルアクリレート 30質量部
(着色剤) C.I.ピグメントレッド150 10質量部
(荷電制御剤) E−88(オリエント化学工業社製) 2質量部
(極性レジン) 飽和ポリエステル 15質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(重合モル比10:12)、Tg=68℃、Mw=10000、Mw/Mn=5.12)
(離型剤) ポリエチレンワックス 6質量部
(Mn=850、融点:107℃、25℃における針入度:1)
上記材料を60℃に加温し、均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8質量部を溶解し、着色剤含有重合性単量体組成物を調製した。
【0141】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、クレアミックスにて4500rpmで15分間撹拌し、着色剤含有重合性単量体組成物を造粒した。
【0142】
その後、フルゾーン撹拌翼(神鋼パンテック社製)で撹拌しつつ、70℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、フルゾーン撹拌翼で撹拌を続けながら飽和水蒸気(ピュアスチーム/スチーム圧力205kPa/温度120℃)を導入した。飽和水蒸気の導入を開始から20分後、容器内の内容物の温度は100℃に達し、蒸留留分が出始めた。所定量の留分を得ることで残存モノマーを留去し、冷却してトナー粒子分散液を得た。
【0143】
トナー粒子分散液に塩酸を加えてトナー粒子表面のリン酸カルシウム塩を溶解した後、発泡を抑制しつつ、図1乃至図3に示す圧搾通気機構を具備したベルトフィルター(月島機械社製、シンクロフィルター改造型)に送り、下記の条件にて脱水・洗浄して、湿潤トナー粒子のケーキを得た。
【0144】
<圧搾通気機構方式のベルトフィルターの脱水・洗浄などの運転条件>
濾過面積 :0.15m2
スラリー供給量 :150kg/時間

ベルトスピード :停止時間/移動時間=10/1の割合で稼動させ、平均0.7m/分
洗浄水の量 :50kg/時間
真空度 :−70kPa
シール通気ロール :図2に示す、凹部付き形状で気体吐出部が穿孔タイプロール
圧搾圧(シール圧) :500kPa
通気圧 :400kPa
圧搾時間 :70秒(最終スパンに圧搾通気機構を設置し、最終スパンにベルトが停止する時間75秒中の70秒圧搾した)
通気時間 :60秒(圧搾時間70秒中の60秒通気した)
【0145】
上記により得られた湿潤トナー粒子の含水率は20%であった。また、この時の湿潤トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は100ppmであり良好なものであった。
【0146】
その後、湿潤トナー粒子のケーキを解砕しつつ以下の条件で気流乾燥を行いトナー粒子を得た。
【0147】
<気流乾燥機乾燥条件>
気流乾燥機(セイシン企業社製:フラッシュジェットドライヤー:配管径0.1016m)
吹込み温度:90℃
吹込み風量:10m3/min
湿潤トナー粒子供給量:50kg/hr
【0148】
上記で得られたトナー粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカを1.0質量部添加し、混合機にて混合しトナーを得た。本実施例において得られたトナーの重量平均粒径は、6.8μmであった。
【0149】
<画像性能の評価>
画像性能は温度30℃,湿度80%の環境下で連続3000枚の耐久テストを行い、カブリを測定して評価した。耐久テストはキヤノン社製カラーレーザープリンターLBP−2360を用いて行った。
【0150】
紙上のカブリについては、反射式濃度計(TOKYODENSHOKUCO.,LTD社製REFLECTOMETER ODEL TC−6DS)を用いて測定した。即ち、反射濃度計で測定したプリンと後の白地部の反射濃度最悪値をDsとし、プリント前の用紙について反射濃度計で測定した反射濃度平均値をDrとした時に、これらの値の差(Ds−Dr)を求め、これを紙上カブリとした。この紙上カブリ量が2%以下の場合は、実質的に紙上カブリのない良好な画像であったが、2%を超えると紙上カブリが目立つ不鮮明な画像であった。
【0151】
本実施例では、3000枚耐久後の画像について評価したが、耐久中、問題のないカブリのレベルであった。結果を表1にまとめる。
【0152】
〔実施例2〕
実施例1の運転条件において
圧搾圧(シール圧) :900kPa
通気圧 :700kPa
にした以外は実施例1と同様の操作を行い、評価を行った結果を表1に示す。
【0153】
〔実施例3〕
実施例1の運転条件において
圧搾圧(シール圧) :100kPa
通気圧 :10kPa
にした以外は実施例1と同様の操作を行い、評価を行った結果を表1に示す。
【0154】
〔実施例4〕
実施例1の運転条件において
湿潤トナー粒子ケーキの洗浄を行わない、すなわち
洗浄水の量 :0kg/時間
にした以外は実施例1と同様の操作を行い、評価を行った結果を表1に示す。
【0155】
〔実施例5〕
実施例1の運転条件において
シール通気ロール :図3に示す、凹部付き形状で気体吐出部がノズルタイプロール
にした以外は実施例1と同様の操作を行い、評価を行った結果を表1に示す。
【0156】
〔実施例6〕
実施例1の運転条件において
シール通気ロール :図4に示す、凹部なし形状でロール表面全体が穿孔材質を用いたロール
にした以外は実施例1と同様の操作を行い、評価を行った結果を表1に示す。
【0157】
〔実施例7〕
イオン交換水700質量部に、0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、クレアミックスCLS−30S(エム、テクニック社製)を用いて、4500rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68質量部を添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
【0158】
一方、
(モノマ−) スチレン 170質量部
n−ブチルアクリレート 40質量部
(着色剤) シランカップリング剤処理磁性体(下記の「磁性体の製造」参照)
180質量部
(荷電制御剤)E−88(オリエント化学工業社製) 2質量部
(極性レジン)飽和ポリエステル 15質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(重合モル比10:12)、Tg=68℃、Mw=10000、Mw/Mn=5.12)
(離型剤) ポリエチレンワックス 5質量部
(Mn=850、融点:107℃、25℃における針入度:1)
上記した処方を60℃に加温し、均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤tert−ブチルペルオキシピバレート8質量部を溶解し、磁性体含有重合性単量体組成物を調製した。
【0159】
前記水系媒体中に上記着色剤含有重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、クレアミックスにて4500rpmで15分間撹拌し、磁性体含有重合性単量体組成物を造粒した。
【0160】
その後、フルゾーン撹拌翼(神鋼パンテック社製)で撹拌しつつ、70℃に昇温し、8時間反応させた。重合反応終了後、フルゾーン撹拌翼で撹拌を続けながら飽和水蒸気(ピュアスチーム/スチーム圧力205kPa/温度120℃)を導入した。飽和水蒸気の導入を開始から20分後、容器内の内容物の温度は100℃に達し、蒸留留分が出始めた。所定量の留分を得ることで残存モノマーを留去し、冷却して磁性トナー粒子分散液を得た。
【0161】
その後は、スラリー供給量を200kg/時間にした以外は実施例1と同様の操作をして磁性トナー粒子を得た。
【0162】
得られた磁性トナー粒子100質量部と、個数平均一次粒径12nmのシリカ微粉体(BET比表面積180m2/g)にヘキサメチルジシラザンで処理をした後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が120m2/gの疎水性シリカ微粉体(個数平均一次粒子径12nm)1.0質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、磁性トナーを得た。本実施例において得られたトナーの重量平均粒径は、6.4μmであった。
【0163】
−磁性体の製造−
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で1.5質量%のヘキサメタ燐酸ソーダ、鉄元素に対して珪素元素換算で1.5質量%の珪酸ソーダを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
【0164】
水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
【0165】
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。このスラリーを濾過、洗浄した。次に、この含水スラリーを別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを約4.5に調整し、十分撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランを磁性酸化鉄100質量部に対し2.0質量部添加し、加水分解を行った。その後、分散液のpHを約10にし、縮合反応を行い、カップリング処理を行った。生成した疎水性磁性微粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、得られた粒子を解砕処理した。得られた磁性微粒子は、体積平均粒径が0.20μmであった。
【0166】
<画像性能の評価>
画像性能は温度30℃,湿度80%の環境下で連続5000枚の耐久テストを行い、カブリを測定して評価した。耐久テストはキヤノン社製LBP−1760を用いて行なった。
【0167】
紙上のカブリについては、反射式濃度計(TOKYODENSHOKUCO.,LTD社製REFLECTOMETER ODEL TC−6DS)を用いて測定した。即ち、反射濃度計で測定したプリンと後の白地部の反射濃度最悪値をDsとし、プリント前の用紙について反射濃度計で測定した反射濃度平均値をDrとした時に、これらの値の差(Ds−Dr)を求め、これを紙上カブリとした。この紙上カブリ量が2%以下の場合は、実質的に紙上カブリのない良好な画像であったが、2%を超えると紙上カブリが目立つ不鮮明な画像であった。
【0168】
本実施例では、5000枚耐久後の画像について評価したが、耐久中、問題のないカブリのレベルであった。結果を表1にまとめる。
【0169】
〔比較例1〕
実施例1の脱水・洗浄条件において、ローラーによる圧搾通気機構を働かさせず実施例1と同様の操作を行った。この結果、湿潤トナー粒子の含水率が36%と非常に高かったため気流乾燥機の湿潤トナー粒子供給量を25kg/hrに落として乾燥を行った。その他は実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0170】
〔比較例2〕
実施例8の磁性体トナー粒子を脱水・洗浄にあたってローラーによる圧搾通気機構を働かさせず実施例8と同様の操作を行った。この結果、湿潤トナー粒子の含水率が37%と非常に高かったため、気流乾燥機の湿潤トナー粒子供給量を25kg/hrに落として乾燥を行った。その他は実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0171】
〔比較例3〕
実施例1と同様にして得られたトナー粒子の分散液を、図6に示す態様の通気機構が無い圧搾ロールを具備するベルトフィルターに送り、下記の条件以外は、実施例1と同様の操作を行った。
上部圧搾ロール :回転可能に固定。
下部圧搾ロール :回転可能及び上部圧搾ロールに加圧可能に駆動。
下部圧搾ロール押付け圧 :0.3Mpa
【0172】
この結果、湿潤トナー粒子の含水率が33%と非常に高かったため、気流乾燥機の湿潤トナー粒子供給量を30kg/hrに落として乾燥を行った。その他は実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0173】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明にかかる圧搾通気機構である、シール通気ロールを具備したベルトフィルター概略図である。
【図2】本発明にかかるシール通気ロールの概略図である。(凹部付き形状で気体吐出部が穿孔タイプロール)
【図3】本発明にかかるシール通気ロールの概略図である。(凹部付き形状ので気体吐出部がノズルタイプロール)
【図4】本発明にかかるシール通気ロールの概略図である。(凹部なし形状でロール表面全体が穿孔材質を用いたロール)
【図5】本発明にかかるシール通気ロールの接離機構の概略図である。
【図6】従来の他の固液分離及び脱水装置の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0175】
1 ガイドロール
2 ろ布
3 送液口
4 真空トレイ
5 ケーキ
6 ろ布洗浄装置
7 ケーキ洗浄装置
8 シール通気ロール機構
9 シール通気ロールの凹部
10 シール通気ロールのシール部
11 圧縮気体吐出部
12 接離機構
13 圧縮気体導入口
40 上部圧搾ロール
41 下部圧搾ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系分散媒体中で製造されたトナー粒子を分散媒体から濾別するろ布走行式ベルトフィルター用の脱水装置を有するトナー粒子の製造装置であり、
前記脱水装置は濾別された湿潤トナー粒子ケーキに通気して脱水する通気手段と、通気される気体をシールするシール手段とが具備され、
(I)前記シール手段は、弾性を有する回転可能な少なくとも一つのシール通気ロールの少なくとも一部を、前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子ケーキまたは、これらの両方にに押付ける方式であり、
(II)前記通気手段は、前記シール通気ロールに設けられた気体吐出部を有する通気ユニット
であることを特徴とするトナー粒子の製造装置。
【請求項2】
前記通気ユニットは、前記シール通気ロールに複数設けられており、通気を行う際は、前記シール通気ロールの、前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子のケーキまたは、これらの両方に対する接触面に対して設置されている通気ユニットのみを選択して、前記気体を流通させることを特徴とする請求項1に記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項3】
前記シール通気ロールは、複数のロール凹部を有しており、ロール凹部内空間部分に気体吐出部を具備していることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項4】
前記ロール凹部、と前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子のケーキまたは、これらの両方から構成される空間に前記気体出部から気体を吐出し、前記湿潤トナー粒子のケーキに通気して脱水することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項5】
前記気体吐出部は穿孔を有し、穿孔より気体を吐出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項6】
前記シール通気ロールは、前記ベルトフィルターのろ布の走行運動と同調して、ろ布と同じ速度で回転運動を行う事を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項7】
前記ベルトフィルターがろ布間欠運動型のベルトフィルターであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項8】
前記シール通気ロールは、前記ろ布間欠運動型ベルトフィルターの間欠運動と連動して、前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子のケーキまたは、これらの両方に圧接する圧力を調整することが可能であり、通気脱水時に前記シール通気ロールが前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子のケーキまたは、これらの両方に圧接する圧力P1は、
100(kPa)≦P1≦900(kPa)
であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項9】
前記シール通気ロールは、前記ろ布間欠運動型ベルトフィルターの間欠運動と連動して、前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子ケーキまたは、これらの両方に圧接する圧力を調整することが可能であり、ろ布走行時に前記シール通気ロールが前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子ケーキまたは、これらの両方に圧接する圧力P2は、
0(kPa)≦P2≦200(kPa)
であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項10】
水系分散媒体中で製造されたトナー粒子を通気しながら気体をシールする脱水機構を具備したろ布走行式ベルトフィルターを用いて固液分離して、湿潤トナー粒子ケーキを形成する濾過工程を少なくとも有するトナー粒子の製造方法において、
(I)前記シール手段は、弾性を有する回転可能な少なくとも一つのシール通気ロールの少なくとも一部を、前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子のケーキまたは、これらの両方に押付ける方式であり、
(II)前記通気手段は前記シール通気ロールに設けられた気体吐出部を有する通気ユニット
であることを特徴とするトナー粒子の製造方法。
【請求項11】
前記通気ユニットは、前記シール通気ロールに複数設けられており、通気を行う際は、前記シール通気ロールの、前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子のケーキまたは、これらの両方に対する接触面に対して設置されている通気ユニットのみを選択して、前記気体を流通させることを特徴とする請求項10に記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項12】
前記シール通気ロールは、複数のロール凹部を有しており、ロール凹部内の空間部分に気体吐出部を具備していることを特徴とする請求項10または11に記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項13】
前記ロール凹部、と前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子のケーキまたは、これらの両方から構成される空間に前記気体出部から気体を吐出し、前記湿潤トナー粒子のケーキに通気して脱水することを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項14】
前記気体吐出部は穿孔を有し、穿孔より気体を吐出することを特徴とする請求項10乃至13のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項15】
前記シール通気ロールは、前記ベルトフィルターのろ布の走行運動と同調して、ろ布と同じ速度で回転運動を行う事を特徴とする請求項10乃至14のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項16】
前記ベルトフィルターがろ布間欠運動型のベルトフィルターであることを特徴とする請求項10乃至15のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項17】
前記シール通気ロールは、前記ろ布間欠運動型ベルトフィルターの間欠運動と連動して、前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子のケーキまたは、これらの両方に圧接する圧力を調整することが可能であり、通気脱水時に前記シール通気ロールが前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子ケーキまたは、これらの両方に圧接する圧力P1は、
100(kPa)≦P1≦900(kPa)
であることを特徴とする請求項10乃至16のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項18】
前記シール通気ロールは、前記ろ布間欠運動型ベルトフィルターの間欠運動と連動して、前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子のケーキまたは、これらの両方に圧接する圧力を調整することが可能であり、ろ布走行時に前記シール通気ロールが前記ろ布、または前記湿潤トナー粒子ケーキまたは、これらの両方に圧接する圧力P2は、
0(kPa)≦P2≦200(kPa)
であることを特徴とする請求項10乃至17のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項19】
前記気体は圧縮気体であり、通気圧力P3は、
10(kPa)≦P3≦700(kPa)
であることを特徴とする請求項10乃至18のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項20】
水系分散媒体中で製造されたトナー粒子を含有するスラリーを脱液して洗浄前湿潤トナー粒子のケーキを得、得られた洗浄前湿潤トナー粒子のケーキを洗浄して洗浄水を含有している湿潤トナー粒子のケーキを得、洗浄水を含有している湿潤トナー粒子の前記ケーキに前記脱水機構により通気脱水して湿潤トナー粒子のケーキを形成する濾過工程を有することを特徴とする請求項10乃至19のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項21】
前記トナー粒子は、重合性単量体及び着色剤を少なくとも有する重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合して生成されたトナー粒子であることを特徴とする請求項10乃至20のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項22】
前記トナー粒子は、水系分散媒体中で微小樹脂粒子と着色剤とを少なくとも凝集させることにより生成したトナー粒子であることを特徴とする請求項10乃至20のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項23】
前記着色剤は非磁性の着色剤であることを特徴とする請求項21又は22に記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項24】
前記着色剤はシランカップリング剤で処理された磁性微粉体であることを特徴とする請求項21又は22に記載のトナー粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−122755(P2008−122755A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307590(P2006−307590)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】