説明

トピラメートの小児科用製剤

本発明は、トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩を有効成分として含有しかつ有機溶媒を含有して成る水含有量が低い液状予備濃厚組成物、前記組成物と水性媒体を混合することで得ることができる経口投与用液状組成物およびそれらの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年5月25日付けで出願したヨーロッパ出願番号05104491.5および2005年6月14日付けで出願した米国仮出願連続番号60/690,391(これら両方の内容は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩を有効成分として含有しかつ有機溶媒を含有して成る水含有量が低い液状予備濃厚組成物、前記予備濃厚組成物を水性媒体と一緒に混合することで得ることができる経口投与用液状組成物およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
トピラメート、即ち化学的にはスルファミン酸2,3:4,5−ビス−O−(1−メチルエチリデン)β−D−フルクトピラノースは下記の構造:
【0004】
【化1】

【0005】
で表される。
【0006】
トピラメートはヒトてんかん臨床試験で補助療法として有効であるか或は単純および複雑部分てんかんおよび二次性全身性発作を治療する時の単剤療法として有効であることが示されており(非特許文献1、2、3、4)、現在、米国、欧州および世界全体に渡る選択された他の市場で単純および複雑部分てんかん、一次もしくは二次性全身性発作およびレノックス・ガストー症候群を伴う発作にかかっている患者における発作を治療する目的で市販されている。
【0007】
より最近になって、トピラメートは成人における片頭痛の予防に関して認可され、現在、米国、欧州および世界全体に渡る選択された他の市場で市販されている。
【0008】
トピラメートを包含する種類の新規な抗てんかん性化合物が特許文献1(これは引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されている。加うるに、トピラメートおよび関連化合物の製造方法も特許文献1および2(これらは引用することによって本明細書に組み入れら)に開示されている。
【0009】
特許文献3は、生物学的活性を示す化合物を経粘膜投与するための口腔スプレー組成物
およびソフトバイト(soft bite)ゼラチンカプセルに関する。
【0010】
トピラメートを網膜神経細胞の保護で用いることが特許文献4に記述されている。それには注射用または点眼液としての水溶液が開示されている。
【0011】
特許文献5は、液状投薬形態の徐放性トピラメート製剤に関する。
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,513,006号
【特許文献2】米国特許第5,387,700号
【特許文献3】US2003/0077227
【特許文献4】WO 02/102369
【特許文献5】WO 2005/048981
【非特許文献1】E.FAUGHT、B.J.WILDER、R.E.RAMSEY、R.A.REIFE、L.D.KRAMER、G.W.PLEDGER、R.M.KARIM他、Epilepsia 1995、36(S4)、33
【非特許文献2】S.K.SACHDEO、R.C.SACHDEO、R.A.REIFE、P.LIMおよびG.PLEDGER、Epilepsia 1995、36(S4)、33
【非特許文献3】T.A.GLAUSER、Epilepsia 1999、40(S5)、S71−80
【非特許文献4】R.C.SACHDEO、Clin.Pharmacokinet.1998、34、335−346
【発明の開示】
【0013】
本発明は、小児科用途で用いるに適した液状の経口用トピラメート製剤に関する。
【0014】
小児科用途では、投与が容易なことから液状の経口製剤の方が固体状の投薬形態物、例えば錠剤またはカプセルなどに比べて非常に適する。
【0015】
しかしながら、トピラメートは水性媒体中で加水分解に敏感であり、従って通常の経口用途用水溶液として調製するのは不可能である。そのような水溶液は、非常に限られた貯蔵寿命を示すであろう。
【0016】
トピラメートを液状の非水性予備濃厚組成物、特に水含有量が低い液状の予備濃厚組成物、より詳細には本質的に有機溶媒に入っている液状の予備濃厚組成物として調製することによって、許容され得る貯蔵寿命を示す製剤がもたらされ得る。
【0017】
トピラメートが水性媒体中で加水分解に敏感であることを考慮して、本予備濃厚組成物の水含有量を低くする。これに関して、水含有量が低いことは、当該組成物に入っている水の濃度が好適には約5重量%以下、より好適には2.5重量%以下、更により好適には約1重量%以下であるか、或は当該組成物に水が実質的に入っていないことを意味する。
【0018】
これに関連して、水が実質的に入っていないことは、当該組成物に入っている水の濃度が好適には約0.3重量%以下、更により好適には約0.2重量%以下であることを意味する。
【0019】
従って、本発明は、トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩を有効成分として含有しかつ有機溶媒を含有して成る水含有量が低い液状予備濃厚組成物に関する。
【0020】
本明細書で用いる如き用語「予備濃厚」は、使用前に希釈、好適には水性媒体で希釈すべき濃縮製剤を表すことを意味し、例えば、そのような予備濃厚物を薬局で調剤する時に水性媒体で希釈してもよい。
【0021】
本発明の好適な態様における本液状予備濃厚組成物は溶液である。前記有機溶媒は本有効成分および追加的材料(本組成物に存在させてもよい)に充分な安定性と溶解性を与えるべきである。
【0022】
液状の予備濃厚液を固体状の予備濃厚物と比べた時、それは水性媒体を用いて再構成させて液状の溶液を生じさせようとする時に充分に混合することで満足されるが、固体状の予備濃厚物の場合にはその固体状の予備濃厚物が再構成時に完全に溶解することに注意を払う必要があるか、或は固体状の予備濃厚物が再構成時に懸濁液を生じる場合には結果として生じた懸濁液がむらなく分散したままであるか或は振とうすることで容易に分散し得ることに注意を払う必要があることで、液状の予備濃厚液の方が有利である。
【0023】
本発明の製剤は小児科用途を意図したものであることから、本予備濃厚組成物に含有させる有機溶媒は好適には小児科用途に適した有機溶媒である。そのような有機溶媒の例は、エタノール;グリセロール;PEG(ポリエチレングリコール)、例えばPEG 300、PEG 400、PEG 500またはPEG 600、特にPEG 300、PEG 400またはPEG 600、より特別にはPEG 300またはPEG 400など;プロピレングリコール;またはこれらの混合物である。
【0024】
従って、本発明は、好適な態様において、トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩を有効成分として含有しかつエタノール;グリセロール;PEG、例えばPEG 300、PEG 400、PEG 500またはPEG 600など、プロピレングリコールまたはこれらの混合物から選択した有機溶媒を含有して成る液状の予備濃厚組成物に関し、ここで、前記予備濃厚組成物は低い水含有量を有する。
【0025】
前記有機溶媒は、好適にはグリセロール;PEG、例えばPEG 300、PEG 400、PEG 500またはPEG 600、特にPEG 300、PEG 400またはPEG 600、より特別にはPEG 300またはPEG 400など;プロピレングリコールまたはこれらの混合物;より好適にはグリセロール;PEG、特にPEG 400;グリセロールとPEG、特にPEG 400、プロピレングリコールまたはこれらの混合物から選択した別の有機溶媒の混合物;またはPEG、特にPEG 400とプロピレングリコールの混合物である。より好適には、そのような有機溶媒はグリセロールとPEG 400の混合物である。
【0026】
本明細書の上に既に示したように、本組成物は、トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩を有効成分として含有して成る。トピラメートの適切な製薬学的に許容され得る付加塩には、製薬学的に許容され得る無機および有機塩基から生じさせた塩が含まれる。適切な塩基から生じさせた塩には、アルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム)およびコリンの塩が含まれる。米国特許第6,559,293号およびPCT国際出願公開番号WO 2003/070738およびWO 2003/006467にトピラメート塩の製造および使用が記述されている。
【0027】
トピラメートの塩基性塩は再構成時に本液状組成物のpHを高くする可能性があり、これは、本組成物に存在させてもよい防腐剤が示す抗菌活性に対して影響を与え得る。塩はまた本組成物の他の成分とも相互作用する可能性がある。従って、本組成物の有効成分は好適にはトピラメート遊離酸である。
【0028】
本発明の好適な態様では、水性媒体で希釈した時に結果として意図した患者集団の全体に投与可能、即ち0から約6歳の範囲の乳児および子供に投与可能な製剤をもたらす予備濃厚組成物を提供する。従って、好適には、結果としてもたらされる製剤がもたらすトピラメート投与量が1kg当たり約1から約10mgの範囲内になるようにする。このことは、その再構成させた製剤が好適には乳児への正確な投薬をもたらすばかりでなく意図した患者集団の中の年齢が高い方の子供にも許容され得る有機溶媒量で適切な投薬をもたらすことを意味する。
【0029】
従って、本発明の予備濃厚組成物が含有するトピラメートもしくはこれの製薬学的に許容され得る付加塩の量を好適には約10mg/mlから約40mg/ml(トピラメート相当)の範囲、より好適には約15mg/mlから約40mg/mlの範囲、更により好適には約20mg/mlから約40mg/mlの範囲の濃度にし、最も好適には約30mg/mlにする。
【0030】
本発明は、また、本発明に従う予備濃厚組成物を水性媒体、好適には水、より好適には精製水と一緒に混合することで得ることができる液状組成物、好適には溶液にも関する。好適には、前記液状組成物を少なくとも2回の投与で用いる。より好適には、そのような液状組成物を1日から数週間、例えば4または6週間に及ぶ投与で用いる。本予備濃厚液を希釈することで少なくとも2回の投与で用いることができる製剤が即座に生じることは、当該患者の体重を基にして投薬量を容易に調整することができることを意味する。希釈した製剤を投与する方が希釈していない高濃縮液、従ってしばしば粘度が高い組成物を投与するよりも精度が高い。
【0031】
本予備濃厚組成物を希釈することで得ることができる液状組成物は好適には経口投与に適する。
【0032】
水性媒体を用いて本予備濃厚組成物を再構成させる結果としてもたらされた組成物が含有するトピラメートもしくはこれの製薬学的に許容され得る付加塩の量が好適には約2.5から約10mg/ml(トピラメート相当)の範囲、より好適には約5から約10mg/mlの範囲の濃度になるようにし、最も好適には約5mg/mlになるようにする。
【0033】
微生物、例えば細菌、酵母および菌・カビなどが本製剤中で増殖するのを防止するか或は遅らせる1種以上の防腐剤を存在させることで、本予備濃厚組成物または水性媒体を用いて本予備濃厚液を再構成させる結果としてもたらされる液状組成物が示す貯蔵寿命を向上させることができる。従って、本発明の予備濃厚組成物に好適には1種以上の防腐剤を含有させる。有機溶媒自身は本発明の組成物にも希釈した後の組成物にも充分な抗菌活性を与えない可能性があるか或は特定の微生物に対して活性を示さない可能性がある。防腐剤の組み合わせを用いるとPharmacopoeiaに明記されている微生物の数に対する要求の順守を保持しながら防腐剤を単独で用いた場合に比べて防腐剤量を少なくすることが可能になる。そのように防腐剤の濃度を低くすると望まれない副作用の危険性が低下する。
【0034】
製薬学的に許容され得る防腐剤には、第四級アンモニウム塩、例えば塩化ベンザルコニウムなど、アルコール、例えばベンジルアルコールなど、有機酸もしくは塩およびこれらの誘導体、例えば安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウムなど、パラベン、例えばパラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、パラヒドロキシ安息香酸エチルまたはパラヒドロキシ安息香酸ブチルなど、水保護剤;クロオルヘキシジン(chloorhexidine)ジアセテート,−ジグルコネートなどが含まれる。本組成物の意図した使用を考慮
すると、そのような防腐剤は好適には小児科用途に適する防腐剤である。好適な防腐剤はパラベン、例えばパラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、パラヒドロキシ安息香酸エチルまたはパラヒドロキシ安息香酸ブチル、特にパラヒドロキシ安息香酸メチルまたはパラヒドロキシ安息香酸プロピルなどである。
【0035】
そのような防腐剤を本組成物に本予備濃度組成物または再構成後の液状組成物に充分な抗菌活性を与える濃度で存在させる。結果として再構成された液状組成物中の防腐剤濃度が使用する実際の防腐剤に応じて好適には約3%(重量/重量)以下、より好適には約2.5%(重量/重量)以下、より好適には約2%(重量/重量)以下の範囲になるようにする。
【0036】
本発明の組成物にまた1種以上の抗酸化剤、例えばメタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、ビタミンE、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビルなど、または錯体形成剤、例えばEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)、クエン酸、酒石酸、ヘキサメタ燐酸ナトリウムなどを含有させることも可能である。本組成物の意図した使用用途を考慮して、そのような抗酸化剤または錯体形成剤は好適には小児科用途に適するそれらである。好適な抗酸化剤はBHA、BHT、ビタミンEまたは没食子酸プロピルである。
【0037】
そのような抗酸化剤または錯体形成剤を本予備濃厚組成物に本予備濃厚組成物または再構成後に結果としてもたらされる液状組成物を酸化に対して充分に保護する濃度で存在させる。そのような抗酸化剤の濃度が本予備濃厚組成物または再構成後に結果としてもたらされる液状組成物の一般に約0.2%(重量/体積)以下の量になるようにしかつ錯体形成剤の量が約3%(重量/体積)以下の量になるようにする。
【0038】
本組成物がOの存在下で起こす劣化からそれを保護する目的で、また、本予備濃厚組成物および/または本予備濃厚組成物が入っている容器から空気を例えば脱気および処理を不活性な雰囲気、例えばアルゴンまたはN雰囲気下などで実施することで除去することも可能である。特に、有機溶媒にPEGまたはプロピレングリコールを含める時にそれが本発明の好適な態様である。
【0039】
本予備濃厚組成物を好適には容器の中に入れるが、その容器の大きさをこれが本組成物を再構成させるに適した量の水性媒体を収容し得るように本組成物自身の体積を考慮して大きくする。そのような容器に入っている本組成物の上に存在するOの量は好適には約7%以下である。
【0040】
従って、本発明は、また、本発明の予備濃厚組成物が適切な量で入っている容器にも関する。好適には、前記容器が本予備濃厚組成物の体積の少なくとも2倍の体積を収容し得るようにする。より好適には、前記容器が本予備濃厚組成物を1部および水性媒体を5部収容し得るようにする。
【0041】
本発明の予備濃厚組成物にまた再構成後に当該防腐剤が示す抗菌活性が維持され得るようなpH値がもたらされるようにpH調整剤を含有させることも可能である。
【0042】
再構成後の液状組成物が示すpHが好適には約5から約8、より好適には約5.5から約7.5の範囲になるようにし、最も好適には約7になるようにする。
【0043】
pH調整剤として、酸、例えば燐酸、こはく酸、酒石酸、乳酸またはクエン酸などと塩基、特に水酸化ナトリウム、燐酸水素ジナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、クエン酸ナ
トリウムなどを適切な量で含有する混合物を含んで成る緩衝剤系が使用可能である。別法として、また、酸、例えば塩酸など、または塩基、例えば水酸化ナトリウムなどを添加することでpHを調整することも可能である。そのようなpH調整剤は有機溶媒を含有して成る本予備濃厚組成物に可溶であるべきであることを考慮して、酸または塩基が好適である。特に塩基が好適であり、より特別には水酸化ナトリウムが好適である。
【0044】
そのような塩基、特に水酸化ナトリウムが本予備濃厚組成物中で示す溶解を促進させかつ前記塩基、特に水酸化ナトリウムと有機溶媒、例えばPEGなどの間で起こり得る相互作用を防止する目的で、好適には、そのような塩基を本予備濃厚組成物に、トピラメートが水の存在下で加水分解に敏感であることを考慮して本予備濃厚組成物の水含有量を低くすること、好適には加える水の量を本組成物の約5重量%以下、より好適には約2.5重量%以下、更により好適には約1重量%以下にするか或は本組成物に水を実質的に含有させないことを考慮に入れて、限られた量の水に入っている水溶液として添加する。
【0045】
本発明の予備濃厚組成物が示す貯蔵寿命は好適には約2年間でありかつ再構成後の組成物を好適には約6週間に及んで用いることができる。その再構成後の組成物を好適には低温、例えば冷蔵庫に入れて貯蔵する。
【0046】
水性媒体を用いて再構成させた後の液状組成物の飲み易さが向上するように、トピラメートのにがい味を隠す目的で、本組成物に甘味剤1種または2種以上および/または風味剤1種または2種以上を添加することも可能である。適切な甘味剤には、スクロース、グルコース、フルクトースまたは強力甘味剤、即ち甘味力がスクロースに比べて高い(例えばスクロースより少なくとも10倍甘い)作用剤が含まれる。適切な強力甘味剤には、アスパルタム、サッカリン、サッカリンナトリウムもしくはカリウムもしくはカルシウム、アセサルフェームカリウム、スクラロース、アリタム、キシリトール、シクラメート、ネオメートネオヘスペリジンジヒドロカルコンまたはこれらの混合物、タウマリン、パラチニト、ステビオシド、レバウジオシド、Magnasweet(商標)が含まれる。そのような甘味剤全体の濃度を再構成後の液状組成物を基準にして有効にゼロから約300mg/mlの範囲になるようにしてもよい。そのような甘味剤は好適にはスクラロースである。
【0047】
適切な風味剤には、果実風味剤、例えばトゥッティフルッティ、チェリー、ラスベリー、クロフサスグリまたはストリベリーフレーバーなど、またはより強力な風味剤、例えばキャラメルチョコレートフレーバー、キャラメルスィートトーン、ミントクールフレーバー、ファンタジーフレーバー、バニラ、グレナディン、ガラナ、マスキング風味剤(Givaudan、特にマスキング風味剤11031−31)などが含まれる。また、風味剤の組み合わせを用いることも可能である。そのような風味物質全体の濃度が再構成後の液状組成物を基準にして約0.5%(重量/体積)以下、好適には約0.01%から約0.5%(重量/体積)、より好適には約0.03%から約0.2%、最も好適には約0.05%から約0.15%の範囲になるようにする。本組成物に好適にはグレナディンとマスキング風味剤、特にマスキング風味剤11031−31(Givaudan)を含めた組み合わせを風味剤として含有させるか、或は別法として、本組成物に少なくともミントフレーバーを風味剤として含有させる。
【0048】
本発明の好適な態様では、本組成物に甘味剤1種または2種以上と風味剤1種または2種以上の両方を含有させる。
【0049】
本発明に従う興味の持たれる組成物は下記を含有して成る:
【0050】
【表1】

【0051】
本発明は、また、本発明の予備濃厚組成物を製造する方法にも関し、この方法は、トピ
ラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩と場合により追加的材料を有機溶媒に入れて混合しながら溶解させた後に有機溶媒を加えて最終体積にする段階を含んで成る。
【0052】
より詳細には、本発明は、本発明の予備濃厚組成物を製造する方法に関し、この方法は、下記の段階:
a)1種以上の防腐剤を有機溶媒に溶解させ、
b)トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩をa)の溶液に溶解させ、c)甘味剤1種または2種以上および/または風味剤1種または2種以上をb)の溶液に溶解させ、
d)有機溶媒をc)の溶液に最終体積になるまで加え、
e)場合により、適切な量の塩基を水に溶解させた後、前記溶液をd)の下で得た溶液に加えてもよい、
段階を含んで成る。
【0053】
本分野の技術者は、本発明の組成物を製造する前記一般的経路に修飾を例えば特定の材料をこの上に示した段階以外の段階で添加することなどで受けさせることができるであろう。例えば、甘味剤1種または2種以上および/または風味剤1種または2種以上を最初に溶解させた後にトピラメートを溶解させることも可能である。
【0054】
実験部分
組成物A:
トピラメート(遊離酸) 30mg
パラヒドロキシ安息香酸メチル 21.6mg
パラヒドロキシ安息香酸プロピル 2.4mg
スクラロース 30mg
グレナディン風味剤 4.8mg
マスキング風味剤、特に
マスキング風味剤11031−31(Givaudan) 2.4mg
水酸化ナトリウム 約pH7にする適量(該組
成物を再構成させた時のp
H値を反映)
精製水 7.5μl
ポリエチレングリコール400(PEG 400) 500mg
グリセロール 約1000μlにする適量

100Lバッチの場合の組成物A
トピラメート(遊離酸) 3.0kg
パラヒドロキシ安息香酸メチル 2.16kg
パラヒドロキシ安息香酸プロピル 0.24kg
スクラロース 3.0kg
グレナディン風味剤 0.48kg
マスキング風味剤、特に
マスキング風味剤11031−31(Givaudan) 0.24kg
水酸化ナトリウム 約pH7にする適量(該組
成物を再構成させた時のp
H値を反映)
精製水 0.75L
ポリエチレングリコール400(PEG 400) 50.0kg
グリセロール 約100Lにする適量
【0055】
100Lバッチの場合の組成物Aの合成
ポリエチレングリコール400を適切な容器に仕込んだ。パラヒドロキシ安息香酸メチルおよびパラヒドロキシ安息香酸プロピルを加えた後の混合物を防腐剤が溶解するまで混合した。その溶液にトピラメートを加えた後、その混合物をトピラメートが溶解するまで混合した。その溶液にスクラロースを加えた後、混合した。グレナディン風味剤およびマスキング風味剤11031−31(Givaudan)を加えた後の混合物を混合した。グリセロールを最終体積になるまで加えた後、その溶液を均一になるまで混合した。水酸化ナトリウムを精製水に溶解させ、その溶液を前記容器に加えた後、その混合物を混合した。その溶液を不活性な雰囲気、好適にはN下で撹拌した。その溶液を濾過(25μm)した後、ガラス瓶(100ml)の中に充填した(15ml)。前記段階を不活性な雰囲気下で実施した。
【0056】
組成物Aを投与する前に好適には精製水で予備濃厚液が1部で精製水が5部の比率になるように希釈しておく。前記部は好適には体積部である。
【0057】
従って、投与を実施する前に前記100mlの瓶に水を用いた再構成を受けさせることで90mlにしてもよい。この再構成を好適には薬剤師が小児科用経口トピラメート製剤を調剤する時に実施する。
【0058】
本発明のさらなる面は、本予備濃厚組成物または予備濃厚物再構成後の組成物を薬剤として用いること、特にトピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩の投与によって治療可能な病気、例えば単純および複雑部分てんかん、一次もしくは二次性全身性発作およびレノックス・ガストー症候群を伴う発作にかかっている患者における発作、片頭痛などに苦しんでいる患者、特に乳児および子供を治療する薬剤を製造する目的で用いることに関する。本発明は、更に、トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩の投与によって治療可能な病気、例えば単純および複雑部分てんかん、一次もしくは二次性全身性発作およびレノックス・ガストー症候群を伴う発作にかかっている患者における発作、片頭痛などに苦しんでいる患者、特に乳児および子供を治療する方法にも関し、ここでは、前記乳児および子供に本発明の組成物または予備濃厚物再構成後の組成物を治療的に有効な量で投与することで治療する。
【0059】
トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩の1日当たりの必要投薬量、1回投与当たりの量および投薬頻度は、治療すべき状態、前記状態のひどさおよび治療すべき患者に伴って変わる。本分野の技術者は投与すべき最適な投薬量を容易に決定することができ、これは投与様式、製剤の濃度および病気状態の進行に伴って変わるであろう。加うるに、治療すべき個々の患者に関連した要因(患者の性、年齢、体重、食事、身体活動、投与時間および付随する病気および薬剤を包含)の結果として投薬量を調整する必要もあり得る。
【0060】
この上に示した明細で例示の目的で示した実施例を伴わせて本発明の原理を教示してきたが、本発明の実施は本請求項およびこれらの相当物の範囲内に入る如き通常の変形、適応形および/または修飾形の全部を包含すると理解する。また、用語「約」を明らかに用いるか或は量的表現を伴わないで用いるかに拘わらず、本明細書に示す量は全て実際に示した値を指すことを意味しかつまた本分野の通常の技術を基にして妥当に言及することが可能な如き前記所定値の近似値(そのような所定値に関する実験および/または測定条件が原因の近似値を包含)を指すことも意味するとも理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩を有効成分として含有し、そして有機溶媒を含有して成る液状予備濃厚組成物であって、かつ、水含有量が低い、上記組成物。
【請求項2】
溶液である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
有機溶媒がエタノール、グリセロール、PEG、プロピレングリコールまたはこれらの混合物から選択される請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
有機溶媒がグリセロール、PEG、プロピレングリコールまたはこれらの混合物から選択される請求項3記載の組成物。
【請求項5】
有機溶媒がグリセロール;PEG 400;グリセロールとPEG 400、プロピレングリコールまたはこれらの混合物から選択される別の有機溶媒の混合物;またはPEG
400とプロピレングリコールの混合物である請求項4記載の組成物。
【請求項6】
有機溶媒がグリセロールとPEG 400の混合物である前請求項のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
有効成分がトピラメート遊離酸である前請求項のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩の濃度が約10mg/mlから約40mg/ml(トピラメート相当)の範囲である前請求項のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩の濃度が約20mg/mlから約40mg/ml(トピラメート相当)の範囲である請求項8記載の組成物。
【請求項10】
トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩の濃度が約30mg/ml(トピラメート相当)である請求項9記載の組成物。
【請求項11】
更に1種以上の防腐剤も含有して成る前請求項のいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
1種以上の防腐剤がパラベンである請求項11記載の組成物。
【請求項13】
更に1種以上の甘味剤および/または風味剤も含有して成る前請求項のいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
更に塩基も含有して成る前請求項のいずれか1項記載の組成物。
【請求項15】
水含有量が約2.5重量%以下である前請求項のいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】
水含有量が約1重量%以下である請求項15記載の組成物。
【請求項17】
下記の組成:
トピラメート(遊離酸) 30mg
パラヒドロキシ安息香酸メチル 21.6mg
パラヒドロキシ安息香酸プロピル 2.4mg
スクラロース 30mg
グレナディン風味剤 4.8mg
マスキング風味剤11031−31 2.4mg
水酸化ナトリウム 約pH7にするに適量(該
組成物を再構成させた時の
pH値を反映)
精製水 7.5μl
ポリエチレングリコール400 500mg
グリセロール 約1000μlにする適量を有する前請求項のいずれか1項記載の組成物。
【請求項18】
前請求項のいずれか1項記載の組成物を水性媒体と一緒に混合することで得ることができる経口投与用液状組成物。
【請求項19】
溶液である請求項18記載の液状組成物。
【請求項20】
トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩の濃度が約2.5から約10mg/ml(トピラメート相当)の範囲である請求項18または19記載の液状組成物。
【請求項21】
トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩の濃度が約5から約10mg/mlの範囲である請求項20記載の液状組成物。
【請求項22】
トピラメートまたはこれの製薬学的に許容され得る付加塩の濃度が約5mg/mlである請求項21記載の液状組成物。
【請求項23】
請求項17記載の組成物を約1部および水性媒体を約5部含有して成る請求項18から22のいずれか1項記載の液状組成物。
【請求項24】
薬剤として用いるための請求項18から23のいずれか1項記載の液状組成物。
【請求項25】
単純および複雑部分てんかん、一次もしくは二次性全身性発作およびレノックス・ガストー症候群を伴う発作にかかっている患者における発作、片頭痛を治療する薬剤を製造するための請求項18から23のいずれか1項記載液状組成物の使用。
【請求項26】
請求項1から17のいずれか1項記載の組成物が入っている容器。
【請求項27】
請求項17記載の組成物が約15ml入っている請求項26記載の容器。
【請求項28】
約100ml収容し得る請求項27記載の容器。

【公表番号】特表2008−542237(P2008−542237A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512825(P2008−512825)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062518
【国際公開番号】WO2006/125774
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】