トラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置
【課題】既存のトラックスケール(演算処理装置を含む)に簡単な構成を付加することで、被計量車両の計量時に該被計量車両の重心高さ位置も同時に計測し得るようにする。
【解決手段】計量台10として、車両の全輪を同時に載せ得る面積の平坦面11とその前方位置に所定高さ段上げした前輪載せ台12を設けたものを使用し、被計量車両の前輪位置と後輪位置を検出し得る車輪位置検出器8を有し、演算処理装置3に、前後変位量算出手段と、車軸間距離算出手段21と、車両傾斜角算出手段22と、前輪軸重算出手段23Aと、後輪軸重算出手段23Bと、前後重心位置算出手段24と、記憶手段32と、前後重心変位量算出手段25と、車両重心高さ位置算出手段26とをそれぞれ備え、平坦面11上で算出した前後重心位置情報と前輪を前輪載せ台12上に載せた状態での前後重心位置情報とから算出された重心変位量と、車両傾斜角算出手段22で算出された車両傾斜角とから、被計量車両の重心高さ位置を算出するようにしている。
【解決手段】計量台10として、車両の全輪を同時に載せ得る面積の平坦面11とその前方位置に所定高さ段上げした前輪載せ台12を設けたものを使用し、被計量車両の前輪位置と後輪位置を検出し得る車輪位置検出器8を有し、演算処理装置3に、前後変位量算出手段と、車軸間距離算出手段21と、車両傾斜角算出手段22と、前輪軸重算出手段23Aと、後輪軸重算出手段23Bと、前後重心位置算出手段24と、記憶手段32と、前後重心変位量算出手段25と、車両重心高さ位置算出手段26とをそれぞれ備え、平坦面11上で算出した前後重心位置情報と前輪を前輪載せ台12上に載せた状態での前後重心位置情報とから算出された重心変位量と、車両傾斜角算出手段22で算出された車両傾斜角とから、被計量車両の重心高さ位置を算出するようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、計量台の四隅付近にそれぞれロードセルを設け、計量台上に被計量車両の全輪を載せたときの各ロードセルからの検出値に基いて被計量車両の重量を計量するようにしたトラックスケールを対象にし、さらに詳しくは被計量車両を計量台上に載せることで被計量車両の重心位置を自動的に計測し得るようにしたトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
計量台上に被計量車両を載せて該被計量車両の重量を計量するようにしたトラックスケールの一例として、例えば特開2006−105845号公報(特許文献1)に示されるものがある。
【0003】
この公知例(特許文献1)のトラックスケールでは、計量台の四隅付近にそれぞれロードセルを設けており、計量台上に被計量車両の全輪を載せたときの各ロードセルで検出されたそれぞれの検出値に基いて演算処理装置で演算(合算)して、被計量車両の重量を計測するようにしたものである。尚、計量台が前後に長いものでは、長さ方向中間部にもロードセルを設けたものがある(ロードセルを合計6個又は8個使用したものがある)。
【0004】
ところで、車両(特に背の高いボックスやコンテナを搭載したトラック)を走行状態でハンドルを大きく切ると、車両全体に大きな遠心力が発生して横転し易くなるが、この横転作用(遠心力)は、車両の重心位置が高位置にあるとき又は該重心位置が四隅の車輪の中心から左右に大きく変位しているときに大きく発生する。特に、該重心位置が高所にあり且つ左右に大きく変位しているときほど、その相乗作用により大きな遠心力が働く(横転事故が一層発生し易くなる)。
【0005】
他方、トラック荷台上のボックスやコンテナ内に荷物を積み込む際には、ある程度、重量バランスを考慮しながら積み込んでいくのが好ましいが、その荷物の積み込みは、主として容積充填効率を第1に考慮しているのが現状であり、積み込み荷物の重量バランスについては非常にアバウトなものであった。尚、トラック荷台上のボックスやコンテナ内に荷物を積み込んだ状態では、荷物込みの車両全体の重心がどのあたりに位置しているかを目視で判断することはできない。
【0006】
従って、現状では、荷物込みの車両全体の重心がどの当たりにあるのか判断することなく道路を走行している場合がほとんどであり、車両の重心位置が高所にあったり又は左右に大きく変位していたりするときには、急ハンドル操作による横転事故の危険を伴うものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−105845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、通常の(例えば特許文献1の)トラックスケールには、被計量車両の重心がどのあたりの位置にあるのかを計測できるものはなく、特に既存のトラックスケールのままでは、被計量車両の重心高さ位置を計測するのは不可能であった。
【0009】
そこで、本願発明者等は、既存のトラックスケール(演算処理装置を含む)に簡単な構成を付加することで、被計量車両の計量時に該被計量車両の重心位置(特に重心高さ位置)も同時に計測し得ることを知見し、ここにトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置を特許出願することに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、被計量車両をトラックスケールの計量台上に載せた状態で、該被計量車両の重心位置(特に重心高さ位置)を計測し得るようにしたものである。尚、本願発明の名称は「トラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置」であるが、以下の説明では、本願発明の名称を単に「車両重心位置計測装置」と表現することがある。
【0011】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明の車両重心位置計測装置は、計量台の四隅付近の下面にそれぞれロードセルを設け、計量台上に被計量車両を載せたときの各ロードセルからの検出値に基いて演算処理装置により被計量車両の重量を計量し得るようにしたトラックスケールに適用されるものである。そして、この請求項1の発明の車両重心位置計測装置は、後述するように前後の車軸間の距離が不明な被計量車両の重心高さ位置を計測し得るようにしたものである。
【0012】
本願で使用するトラックスケールの計量台は、前輪軸と後輪軸の2つの車輪軸しか持たない比較的小型のトラックから、コンテナ載置用のキャリヤを牽引するような前後に多くの車輪軸(例えば4軸程度)を有した大型トラックまで計量し得る面積(長さ)を有したものである。又、計量台の長さが長いものでは、ロードセルの設置箇所として計量台の四隅付近のほかに長さ方向中間部の左右側辺付近にも設けることができる。
【0013】
そして、本願請求項1の車両重心位置計測装置には、次の各構成を有している。
【0014】
まず、計量台として、被計量車両の全輪を同時に載せ得る面積の平坦面とその平坦面の前方位置に該平坦面より所定高さ段上げした前輪載せ台を設けたものを使用している。この計量台の平坦面は水平面である。又、前輪載せ台の平坦面からの段上げ高さは、該前輪載せ台上に被計量車両の前輪が乗降するときに過剰な衝撃(違和感)を受けない程度のものであり、特に限定するものではないが例えば10〜100mm程度の範囲の適宜の高さに設定することができる。この前輪載せ台の段上げ高さを高くする場合は、該前輪載せ台の前後各端縁にスロープを設けるとよい。尚、前輪載せ台の段上げ高さは、不変のものであり、予め記憶手段に前輪載せ台の高さ情報として記憶させておく。
【0015】
計量台の側方位置には、該計量台上に載せられた被計量車両の前輪位置と後輪位置を検出し得る車輪位置検出器を有している。この車輪位置検出器は、計量台上で停止している被計量車両の前後各車輪(左右片側のもの)の位置を検出するもので、光センサーが使用できる。又、この車輪位置検出器は、単一のもので、計量台側方の定位置で且つ車輪高さ位置において前後水平方向の大角度範囲(例えば150°〜160°の範囲)で揺動して、その揺動範囲の障害物(車輪)を監視するものである。そして、この車輪位置検出器は、前後に揺動して、障害物(車輪)を非検知状態から検知したとき(ON時)と検知状態から非検知になったとき(OFF時)に、それぞれその障害物までの距離情報と角度情報を取得してそれらの情報を演算処理装置に出力するようになっている。尚、演算処理装置では、この車輪位置検出器からの距離情報と角度情報を基にして後述の各種データの算出処理がなされる。
【0016】
尚、計量台上に乗り込む被計量車両は、該計量台上のどの位置で停止するか不明であるが、該被計量車両が計量台上のどの位置で停止しても、上記車輪位置検出器が前後に揺動することによって前後の各車輪位置を検出できる。
【0017】
演算処理装置には、被計量車両の重心高さ位置を算出するための各種の算出手段、即ち前後変位量算出手段と、車軸間距離算出手段と、車両傾斜角算出手段と、前輪軸重算出手段と、後輪軸重算出手段と、前後重心位置算出手段と、記憶手段と、前後重心変位量算出手段と、車両重心高さ位置算出手段、とをそれぞれ備えている。
【0018】
上記前後変位量算出手段は、被計量車両を計量台上に載せた状態での車輪位置検出器からの車輪位置情報に基いて被計量車両が前後方向の基準位置(例えば前後のロードセル位置)から前後にどれだけ変位しているかを算出するものである。
【0019】
上記車軸間距離算出手段は、車輪位置検出器で検出した前輪位置と後輪位置とから前後の車軸間の距離を算出するものである。尚、この請求項1の車両重心位置計測装置は、被計量車両の前後車軸間距離が不明なものに適用されるものであり、各被計量車両が計量台上に乗り上げる度に車軸間距離算出手段で当該被計量車両の前後車軸間距離を算出するようになっている。
【0020】
上記車両傾斜角算出手段は、被計量車両の前輪が計量台の前輪載せ台上に載った状態において車軸間距離算出手段で算出された車軸間距離と前輪載せ台の高さとから被計量車両の前後傾斜角を算出するものである。
【0021】
上記前輪軸重算出手段と後輪軸重算出手段は、各ロードセルからの検出値に基いて現状位置での前輪軸重と後輪軸重とをそれぞれ算出するものである。
【0022】
上記前後重心位置算出手段は、前輪軸重算出手段及び後輪軸重算出手段でそれぞれ算出された前輪軸重及び後輪軸重と前後変位量算出手段で算出された車両の前後変位量とから車両重心位置が車両前後方向のどの位置にあるかを算出するものである。
【0023】
上記記憶手段は、被計量車両の全輪が計量台の平坦面上に載っている状態での前後重心位置算出手段で算出された前後重心位置情報を記憶するものである。
【0024】
上記前後重心変位量算出手段は、被計量車両の前輪が計量台の前輪載せ台上に載った状態での前後重心位置算出手段で新たに算出された前後重心位置情報と記憶手段で記憶している平坦面上での前後重心位置情報とを比較してその前後重心変位量を算出するものである。
【0025】
上記車両重心高さ位置算出手段は、前後重心変位量算出手段で算出された前後重心変位量と車両傾斜角算出手段で算出された車両傾斜角とに基いて被計量車両の重心高さ位置を算出するものである。
【0026】
尚、演算処理装置における上記各算出手段による算出方法の詳細については、後述の実施例の項で詳しく説明する。
【0027】
本願請求項1の車両重心位置計測装置は、次のように機能する。まず、被計量車両の全輪が計量台の平坦面上に載った状態で、車輪位置検出器からの車輪位置情報に基いて車軸間距離算出手段により被計量車両の前後の車軸間距離を算出するとともに前後変位量算出手段により被計量車両の前後変位量を算出する。又、車両傾斜角算出手段により車軸間距離算出手段で算出された車軸間距離と前輪載せ台の高さ情報とから、車両傾斜角算出手段により被計量車両の前輪が前輪載せ台上に載った状態での車両傾斜角を算出する。次に、前後変位量算出手段で算出された前後変位量と前輪軸重算出手段及び後輪軸重算出手段でそれぞれ算出された前輪軸重及び後輪軸重とから前後重心位置算出手段により車両の前後重心位置を算出してその前後重心位置情報を記憶手段に記憶しておく。その後、被計量車両を前進させて前輪が前輪載せ台上に載った状態で前後重心位置算出手段により新たに車両の前後重心位置を算出し、その新たな前後重心位置情報と記憶手段で記憶している先の前後重心位置情報(平坦面上での前後重心位置情報)とを比較してその前後重心変位量を前後重心変位量算出手段で算出し、その前後重心変位量と前輪が前輪載せ台上に載った状態での車両傾斜角とに基いて車両重心高さ位置算出手段により車両重心高さ位置を算出できるようになっている。
【0028】
このように、本願請求項1の発明では、計量台(平坦面)の前方位置に所定高さ段上げした前輪載せ台が必要であるが、この前輪載せ台は極めて簡単な構成である。又、車輪位置検出器による前後車輪位置の検出も比較的簡単に行える。そして、それ以外の構成は、演算処理装置に上記各種の算出手段を組込むだけでよいので、全体として簡単な構成で被計量車両の重心高さ位置を計測できるものである。又、この請求項1の車両重心位置計測装置では、当該トラックスケールに未登録の被計量車両であっても、全自動で車両重心位置を計測できる。
【0029】
ところで、このように車両の重心高さ位置を知ることは、道路走行時における車両の横転危険度を予知できるものであり、現状の車両が横転に関する安全性を確保しているかどうかを前以て知ることができる。
【0030】
尚、この請求項1の車両重心位置計測装置では、車両重心高さ位置を算出する前段階で前後重心位置算出手段により車両前後重心位置も算出でき、被計量車両の計量報告書には、各種の計量表示とともに車両前後重心位置や車両重心高さ位置の情報も表示できる。
【0031】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明の車両重心位置計測装置は、被計量車両の前後の車軸間距離が予め判っている場合に適用できるものである。
【0032】
この請求項2の車両重心位置計測装置は、上記請求項1における車軸間距離算出手段(車輪位置検出器からの前・後輪位置情報に基いて車軸間距離を算出するもの)に代えて、予め判っている被計量車両の車軸間距離(実測値)を車軸間距離記憶手段に記憶させておき、該車軸間距離記憶手段に記憶させた車軸間距離を車両傾斜角算出手段において車両傾斜角算出用に利用している。尚、この請求項2の車両重心位置計測装置におけるその他の構成は、上記請求項1のものとほぼ同様である。
【0033】
この請求項2の車両重心位置計測装置では、被計量車両が登録車両の場合は予め前後の車軸間距離も他のデータとともに記憶させておき、被計量車両が非登録車両の場合は計量直前にその都度、当該車両の車軸間距離(車検証等に記載されている実測値)を入力器(キーボード)から入力して車軸間距離記憶手段に記憶させる。
【0034】
そして、この請求項2の車両重心位置計測装置では、上記請求項1に対して被計量車両の車軸間距離に関する情報の入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置により上記請求項1と同様の算出処理が行われて被計量車両の重心高さ位置を計測し得るようになっている。
【0035】
この請求項2のものでは、予め判っている正確な車軸間距離(実測値)を入力することで車軸間距離記憶手段に記憶させるので、請求項1の場合のように車輪位置検出器からの車輪位置情報(検出誤差が生じることがある)に基いて車軸間距離算出手段で算出する場合より、正確な車軸間距離データを提供できる。
【0036】
[本願請求項3の発明]
本願請求項3の発明の車両重心位置計測装置は、被計量車両の前後各軸重(前輪軸重と後輪軸重)をトラックスケールとは別設の軸重計(例えばマットスケール)で計測する場合に適用できるものである。
【0037】
この請求項3の車両重心位置計測装置は、上記請求項1における前輪軸重算出手段と後輪軸重算出手段に代えて、被計量車両の前輪軸重と後輪軸重とを別設の軸重計で計測しておき、その軸重計で計測した前輪軸重と後輪軸重とをトラックスケールでの計量前に入力器(キーボード)でそれぞれ前輪軸重記憶手段と後輪軸重記憶手段に記憶させておく。尚、この請求項3では、別設の軸重計で前輪軸重と後輪軸重とを計測するので、演算処理装置において前後各軸重を算出する必要がない。
【0038】
この請求項3の車両重心位置計測装置では、被計量車両の計量時に、前輪軸重記憶手段と後輪軸重記憶手段にそれぞれ記憶させた前輪軸重及び後輪軸重と、上記請求項1の前後変位量算出手段で算出された前後変位量とから、前後重心位置算出手段により被計量車両の前後重心位置を算出するようにしている。尚、この請求項3の車両重心位置計測装置におけるその他の構成は、上記請求項1のものとほぼ同様である。
【0039】
そして、この請求項3の車両重心位置計測装置では、上記請求項1に対して被計量車両の前輪軸重及び後輪軸重に関する情報の入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置により上記請求項1と同様の算出処理が行われて被計量車両の重心高さ位置を計測し得るようになっている。
【0040】
[本願請求項4の発明]
本願請求項4の発明の車両重心位置計測装置は、上記請求項1における車軸間距離算出手段に代えて上記請求項2の車軸間距離記憶手段を採用しているとともに、上記請求項1における前輪軸重算出手段と後輪軸重算出手段に代えて上記請求項3の前輪軸重記憶手段及び後輪軸重記憶手段を採用している。
【0041】
即ち、この請求項4の車両重心位置計測装置では、予め判っている被計量車両の車軸間距離(実測値)を車軸間距離記憶手段に記憶させておく一方、別設の軸重計で計測した前輪軸重と後輪軸重をそれぞれ前輪軸重記憶手段と後輪軸重記憶手段に記憶させておく。
【0042】
この請求項4の車両重心位置計測装置では、被計量車両の計量時において、車軸間距離記憶手段に記憶している車軸間距離情報に基いて前輪が計量台の前輪載せ台上に載ったときの車両傾斜角を車両傾斜角算出手段で算出する一方、前輪軸重記憶手段と後輪軸重記憶手段にそれぞれ記憶させた前輪軸重及び後輪軸重と上記請求項1の前後変位量算出手段で算出された前後変位量とから、前後重心位置算出手段により被計量車両の前後重心位置を算出するようにしている。尚、この請求項4の車両重心位置計測装置におけるその他の構成は、上記請求項1のものとほぼ同様である。
【0043】
そして、この請求項4の車両重心位置計測装置では、上記請求項1に対して、被計量車両における、車軸間距離に関する情報と、前輪軸重及び後輪軸重に関する情報の各入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置により上記請求項1と同様の算出処理が行われて被計量車両の重心高さ位置を計測し得るようになっている。
【0044】
[本願請求項5の発明]
本願請求項5の発明の車両重心位置計測装置は、前後の車軸間距離が同じ車種の被計量車両の重心位置を計測する場合に適用できるものである。
【0045】
そして、この請求項5の車両重心位置計測装置では、上記請求項1の車両重心位置計測装置における車両傾斜角算出手段で算出される車両傾斜角を、それぞれ不変データである被計量車両の車軸間距離(実測値)と計量台の前輪載せ台の段上げ高さ(実測値)とから求めて車両傾斜角記憶手段に予め記憶させておき、該車両傾斜角記憶手段で記憶させた車両傾斜角を車両重心高さ位置算出手段において車両重心高さ位置算出用に利用している。尚、この請求項5の車両重心位置計測装置におけるその他の構成は、上記請求項1のものとほぼ同様である。
【0046】
この請求項5の車両重心位置計測装置では、前後の車軸間距離が全て同じ被計量車両における各車両ごとの重心高さ位置をそれぞれ計測するものであるが、この場合は各被計量車両の車軸間距離が同じであるので、それぞれ不変データである車軸間距離と前輪載せ台の段上げ高さ(それぞれ実測値)とから、前輪が前輪載せ台上に載った状態での車両傾斜角を求めて、該車両傾斜角を車両傾斜角記憶手段に記憶させている。
【0047】
そして、この請求項5の車両重心位置計測装置では、上記請求項1における上記車両傾斜角に関する情報の入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置により上記請求項1と同様の算出処理が行われて被計量車両の重心高さ位置を計測し得るようになっている。
【0048】
尚、この請求項5のものでは、車軸間距離が同じ被計量車両にしか適用できないが、前輪が前輪載せ台上に載った状態での車両傾斜角を実際の各不変データに基いて机上で求めることができるので、車両傾斜角記憶手段に記憶した車両傾斜角データは正確なものとなる。
【0049】
[本願請求項6の発明]
本願請求項6の発明は、車両重心位置が車両の3次元位置(前後、上下、左右)のどの位置にあるのかを算出し得るようにしたものである。即ち、上記請求項1〜請求項5の車両重心位置計測装置では、車両の前後重心位置を前後重心位置算出手段により算出できるとともに、車両の重心高さ位置を最終的に車両重心高さ位置算出手段により算出できるようになっており、後は車両の左右重心位置を算出できるようにすることで、車両重心の3次元位置を知ることができる。
【0050】
そして、本願請求項6の発明は、上記請求項1〜請求項5の車両重心位置計測装置に次の各構成を付加したものである。
【0051】
まず、左右に位置する2つのロードセル間の中心延長線に対する車輪位置検出器からの水平方向の垂直距離と被計量車両の左右車輪間の距離に関する情報とをそれぞれ記憶手段に記憶させておく。即ち、各ロードセルの設置位置や車輪位置検出器の設置位置は不変データであり、それらのデータから上記ロードセル間の中心延長線に対する車輪位置検出器からの水平方向の垂直距離を実測によりトラックスケール計量室のパソコンの記憶手段(ROM)に記憶させておく。又、被計量車両が契約車両の場合は、その車両の基本データ(プレート番号、空の車両重量、車軸数、左右車輪間の距離等)も予めパソコンに登録(記憶手段で記憶)されており、計量時に当該車両のプレート番号を入力することで、当該被計量車両の基本データを呼び出すことができる。尚、契約車両でない(基本データが登録されていない)被計量車両の場合は、計量前にその左右車輪間の距離に関する情報をパソコンにインプットすればよい。
【0052】
そして、この請求項6で使用される演算処理装置には、上記請求項1〜請求項5に備えている各種算出手段のほかに、後述する左右変位量算出手段と、左右輪重算出手段と、左右重心位置算出手段とをそれぞれ備えている。
【0053】
上記左右変位量算出手段は、被計量車両を計量台上に載せた状態での車輪位置検出器からの車輪位置情報に基いて左右の車輪間の中心延長線が左右のロードセル間の中心延長線に対して左右にどれだけ変位しているかを算出するものである。
【0054】
上記左右輪重算出手段は、被計量車両を計量台上に載せたときの各ロードセルからの検出値に基いて被計量車両における左右各側の車輪群のそれぞれの合計輪重を算出するものである。尚、この左右輪重算出手段は、左輪群全部の合計輪重を算出する左輪群輪重算出手段と、右輪群全部の合計輪重を算出する右輪群輪重算出手段との2つを有している。
【0055】
上記左右重心位置算出手段は、左右輪重算出手段で算出された左右の各合計輪重と左右変位量算出手段で算出された左右変位量とから車両重心位置が車両の左右方向のどの位置にあるかを算出するものである。
【0056】
尚、請求項6の演算処理装置における車両左右重心位置算出のための上記各算出手段による算出方法の詳細については、後述の実施例の項で詳しく説明する。
【0057】
本願請求項6の車両重心位置計測装置は、上記請求項1〜請求項5の機能(車両前後重心位置と車両重心高さ位置の両算出機能)に加えて車両左右重心位置の算出機能を有する。即ち、この請求項6の車両重心位置計測装置では、被計量車両が計量台上に載った状態で左右変位量算出手段により左右車輪間の中心延長線が左右ロードセル間の中心延長線に対して左右にどれだけ変位しているかを算出する一方、左右輪重算出手段により左右の各合計輪重をそれぞれ算出し、左右重心位置算出手段により上記左右の各合計輪重と上記左右変位量とから車両の左右重心位置を算出できるようになっている。
【0058】
従って、この請求項6の車両重心位置計測装置では、請求項1〜請求項5における車両前後重心位置と車両重心高さ位置の両算出に加えて車両左右重心位置も算出できる。即ち、被計量車両の重心位置を前後、左右、上下の3次元的に算出できる。
【発明の効果】
【0059】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の発明の車両重心位置計測装置は、上記構成により、トラックスケールによる被計量車両の計量と同時に、既存のトラックスケールでは不可能であった車両重心高さ位置の算出を行うことができるという効果がある。尚、車両重心高さが高くなるほど、走行時の横転危険度が高くなるが、このように車両の重心高さ位置を知ることは、道路走行時における車両の横転危険度を予知できるものであり、現状の車両が横転に関する安全性を確保しているかどうかを前以て知ることができるものである。
【0060】
又、本願請求項1の発明では、被計量車両の重心高さ位置を算出するのに、平坦面の前方位置に所定高さ段上げした前輪載せ台を設けた計量台と、前後車輪位置を検出する車輪位置検出器とをそれぞれ使用しているが、そのほかは演算処理装置に車両重心高さを算出するための各種算出手段を組込むだけで達成できるので、車両重心位置計測装置の構成が非常に簡単で安価に製作できるという効果もある。
【0061】
又、この請求項1の車両重心位置計測装置では、被計量車両の重心高さ位置算出の過程で前後重心位置算出手段により被計量車両の前後重心位置を算出でき、それによって積荷の前後偏荷重も認知することができる。
【0062】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明では、上記請求項1の車両重心位置計測装置において、被計量車両の車軸間距離を実測値に基いて車両傾斜角記憶手段に記憶しているが、該車軸間距離は実測値であるので正確である。
【0063】
従って、この請求項2の重心位置計測装置では、上記請求項1の効果のほかに、車両傾斜角算出手段で算出される車両傾斜角の基になる車軸間距離が正確であるので、信頼性の高い車両傾斜角を算出でき、それを基にして最終的に車両重心高さ位置算出手段で算出される車両重心高さ位置の算出値が信頼性の高いものとなるという効果がある。
【0064】
[本願請求項3の発明の効果]
本願請求項3の発明では、被計量車両の前輪軸重と後輪軸重とを別設の軸重計で計測しておき、被計量車両をトラックスケールで計量する前に、先に計測している前輪軸重と後輪軸重とを前輪軸重記憶手段と後輪軸重記憶手段にそれぞれ記憶させているので、トラックスケール上での実際の計量時に演算処理装置での前輪軸重と後輪軸重の算出が不要となる。
【0065】
従って、この請求項3の発明では、請求項1と同様に車両重心高さ位置の算出を行えるという効果のほかに、演算処理装置での前輪軸重と後輪軸重の算出が不要となる分、該演算処理装置の構成を簡略にすることができるという効果がある。
【0066】
[本願請求項4の発明の効果]
本願請求項4の発明は、トラックスケールによる計量前に、被計量車両の車軸間距離と前後各軸重をそれぞれ所定の記憶手段に記憶させているので、トラックスケール上での実際の計量時に演算処理装置での車軸間距離の算出と前後各輪重の算出とが不要となる。
【0067】
従って、この請求項4の発明では、請求項1と同様に車両重心高さ位置の算出を行えるという効果のほかに、演算処理装置での車軸間距離の算出と前後各輪重の算出とが不要となる分、請求項3のものより演算処理装置の構成を簡略にすることができるという効果がある。
【0068】
[本願請求項5の発明の効果]
本願請求項5の発明では、上記請求項1の車両重心位置計測装置において、前輪が前輪載せ台上に載ったときの車両傾斜角を、それぞれ不変データである被計量車両の車軸間距離(実測値)と計量台の前輪載せ台の段上げ高さ(実測値)とから求めて車両傾斜角記憶手段に記憶させているが、この車両傾斜角記憶手段に記憶させた車両傾斜角は、それぞれ実測値に基く車軸間距離と前輪載せ台高さとから求められているので正確である。
【0069】
従って、この請求項5の車両重心位置計測装置では、車軸間距離が同じ被計量車両しか適用できないものの、車両傾斜角記憶手段に記憶された車両傾斜角が正確であるので、上記請求項1の効果に加えて、最終的に車両重心高さ位置算出手段で算出される車両重心高さ位置の算出値が信頼性の高いものとなるという効果がある。
【0070】
[本願請求項6の発明の効果]
本願請求項6の発明の車両重心位置計測装置は、上記構成により、請求項1〜請求項5の上記機能(車両前後重心位置と車両重心高さ位置の両算出機能)のほかに車両左右重心位置も算出できるものである。尚、車両重心位置が左右に大きく変位するほど、走行時における横転危険度が高くなるが、このように車両重心位置の左右変位量を知ることは、車両重心高さ位置を認知することに加えて道路走行時における車両の横転危険度を予知するのに重要となるものである。
【0071】
従って、この請求項6の発明では、上記請求項1〜請求項5の効果に加えて、被計量車両の重心位置を前後、左右、上下の3次元的に算出できるので、道路走行時における車両の横転危険度を一層厳格に把握できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本願実施例の車両重心位置計測装置を備えたトラックスケールにおける被計量車両が計量台の平坦面上に載っている状態の平面図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】図1のIII−III矢視拡大図である。
【図4】図1の車両重心位置計測装置における被計量車両の位置算出方法説明図である。
【図5】図1のトラックスケールにおける被計量車両の前輪が計量台の前輪載せ台上に載っている状態の平面図である。
【図6】図1のVI−VI矢視図である。
【図7】図6の一部拡大図である。
【図8】本願実施例の車両重心位置計測装置の概略ブロック図である。
【図9】本願第1実施例の車両重心位置計測装置の詳細ブロック図である。
【図10】本願第2実施例の車両重心位置計測装置の詳細ブロック図である。
【図11】本願第3実施例の車両重心位置計測装置の詳細ブロック図である。
【図12】本願第4実施例の車両重心位置計測装置の詳細ブロック図である。
【図13】本願第5実施例の車両重心位置計測装置の詳細ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1〜図13を参照して本願実施例の車両重心位置計測装置を説明すると、この車両重心位置計測装置は、図1〜図7に示すトラックスケール1を使用する一方、図8(及び図9〜図13)に示す演算処理装置3を使用して、被計量車両5の重心位置を計測し得るようにしたものである。尚、図9は本願請求項1及び請求項6に対応する第1実施例の車両重心位置計測装置のブロック図であり、図10は本願請求項2及び請求項6に対応する第2実施例の車両重心位置計測装置のブロック図であり、図11は本願請求項3及び請求項6に対応する第3実施例の車両重心位置計測装置のブロック図であり、図12は本願請求項4及び請求項6に対応する第4実施例の車両重心位置計測装置のブロック図であり、図13は本願請求項5及び請求項6に対応する第5実施例の車両重心位置計測装置のブロック図である。
【0074】
まず、図1〜図8を参照してこの実施例で使用されるトラックスケール1の全体構成を説明する。
【0075】
トラックスケール1は、図1〜図3に示すように、前後に長い計量台10の四隅付近の下面にそれぞれロードセル13A〜13Dを設け、計量台10上に被計量車両5を載せたときの各ロードセル13A〜13Dからの検出値に基いて、図8に示す演算処理装置(CPU)3により被計量車両5の重量を計量し得るものである。
【0076】
この実施例では、車両重心位置の算出方法を理解し易くするために、ロードセル13A〜13Dは計量台10下面における前後左右の四隅付近に1個ずつ(合計4個)使用したものを採用し、被計量車両5の車輪51A〜51Dは前後左右の4輪のものを採用している。尚、各図において、符号52Aは前輪軸であり、符号52Bは後輪軸である。
【0077】
トラックスケール1の近くには管理室7があり、該管理室7には被計量車両5の計量に関する各種処理を行うコンピュータ2が設置されている。
【0078】
このコンピュータ2には、図8に示すように、演算処理装置(CPU)3のほかに、各種記憶手段(ROM、RAM)31,32、表示器(DISP)33、入力器(KEY)34等を有している。尚、ここでいうコンピュータ2とは、トラックスケール1における計量及び重心位置の計測に関する全処理を行うものである。
【0079】
そして、このトラックスケール1では、被計量車両5を計量台10上に載せると、図8に示すように各ロードセル(LC1〜LC4)13A〜13Dで検出した検出値がそれぞれ増幅器14で増幅された後、A/D変換器15でデジタル信号に変換されて演算処理装置(CPU)3に入力され、該演算処理装置3において各ロードセル13A〜13Dで検出された検出値(デジタル信号)を合算することで、被計量車両5の合計重量を表示器(DISP)33に表示できるようになっている。尚、表示器33に表示された各種データは、計量報告書としてプリントアウトできる。
【0080】
入力器(KEY)34はコンピュータ2のキーボードのことであり、該入力器34により、被計量車両5の基本データ(例えば、車番や車両の空重量等)をコンピュータ2の記憶手段(ROM)31に登録(記憶)できるようになっている。
【0081】
ところで、従来の一般的なトラックスケールでは、被計量車両における各輪重、各軸重、総重量等の重量に関する各種データを算出できるものの、走行時の横転作用に係わる車両の重心位置に関する計測はできないものであった。
【0082】
そこで、本願実施例の車両重心位置計測装置では、トラックスケール1の計量台10上において、各種重量のほかに被計量車両5の重心位置に関する各種データも算出し得るようにしている。
【0083】
この実施例の車両重心位置計測装置では、計量台10に後述の前輪載せ台12を付加している一方、計量台10上に載せられた被計量車両5の前輪位置A(例えば図2のA1又は図6のA2)と後輪位置B(例えば図2のB1又は図6のB2)を検出し得る車輪位置検出器8を有している。
【0084】
計量台10は、被計量車両5の全輪51A〜51Dを同時に載せ得る面積の平坦面11を有し、さらにその平坦面11の前方位置に該平坦面11より所定高さ段上げした前輪載せ台12を設けたものを使用している。計量台10の平坦面11は水平面である。又、前輪載せ台12の平坦面11からの段上げ高さH(図2、図6、図7参照)は、前輪載せ台12上に被計量車両5の前輪52A,52Bが乗降するときに過剰な衝撃(違和感)を受けない程度のものであり、特に限定するものではないが例えば10〜100mm程度の範囲の適宜の高さHに設定されている。尚、この前輪載せ台12の段上げ高さを高くする場合は、該前輪載せ台12の前後各端縁にスロープを設けるとよい。
【0085】
そして、被計量車両5の全輪51A〜51Dが計量台10の平坦面11上に載っている状態(図1、図2の状態)では、全輪51A〜51Dが同一高さに位置している一方、被計量車両5の前輪51A、51Bが計量台10の前輪載せ台12上に載っている状態(図5、図6の状態)では、前輪51A,51B(前輪軸52A)が後輪51C,51D(後輪軸52B)より高所にあって車両全体が若干角度θだけ後方側に下降傾斜するようになっている。
【0086】
車輪位置検出器8は、計量台10上に載せた被計量車両5の前輪位置と後輪位置とをそれぞれ検出し得るもので、光センサーからなる単一の距離センサーを使用している。そして、この車輪位置検出器8は、計量台10の左側方位置における被計量車両5の車輪中心高さと同高さの定位置において、図1及び図5に示すように前後水平方向の大角度範囲α(α=例えば150°〜160°)で揺動して、その揺動範囲の障害物(左側の各車輪51A,51C)を監視するようになっている。即ち、この車輪位置検出器8は、被計量車両5を計量台10上に停止させた状態(車両の停止位置は前後方向及び左右方向にそれぞれ不特定である)で、例えば前方側から後方側に揺動させていくと、図4に示すように左前輪51Aの前端部51Aaを検知したときにONになる一方、該左前輪51Aの後端部51Abから外れたときにOFF(非検知)になり、同様に左後輪51Cの前端部51Caを検知したときにONになる一方、該左後輪51Aの後端部51Cbから外れたときにOFF(非検知)になる。尚、車輪位置検出器8の前後揺動範囲αは、被計量車両5が計量台10上の後端寄りから前端寄りまでの広範囲の何れの位置にあっても前後各輪51A,51Cの位置をそれぞれ検出し得るように設定されている。
【0087】
そして、この車輪位置検出器8は、図4に示すように、それぞれON及びOFFになった時点での、車輪位置検出器8から車輪検知位置又は車輪非検知位置までの各距離E1〜E4と、車輪位置検出器8の前後延長線Rに対する各角度e1〜e4とをそれぞれ検出して、該各距離データ(E1〜E4)と該各角度データ(e1〜e4)を後述する演算処理装置3の所定算出手段(図9の第1実施例の場合では、前後変位量算出手段20、車軸間距離算出手段21、左右変位量算出手段27)にそれぞれ出力するようになっている。尚、図9の前後変位量算出手段20、車軸間距離算出手段21、左右変位量算出手段27での各算出方法は後述する。
【0088】
コンピュータ2の記憶手段(ROM)31には、このトラックスケール1に関する基本データが予め登録(記憶)されているが、このトラックスケール1に関する基本データのうち、後述の車両重心位置の計測に関するものとして、車輪位置検出器8からの前後各ロードセル13A,13Cまでの前後方向距離AL,BLと、左右各ロードセル13A,13B(又は13C,13D)間の中心延長線Pに対する車輪位置検出器8からの水平方向の垂直距離Mと、前輪載せ台12の高さHとをそれぞれ実測に基いて記憶手段(ROM)31に記憶させている。又、この記憶手段(ROM)31には、三角関数に関するデータテーブルが格納されている。
【0089】
又、この記憶手段(ROM)31には、被計量車両5が契約車両の場合は、その車両の基本データ(プレート番号、空の車両重量、車軸数、左右車輪間の距離Dを基にした左右車輪から被計量車両5の左右中心線Qに対する垂直距離1/2D等)も予め記憶手段(ROM)31に記憶されており、計量時に当該車両のプレート番号を入力することで、当該被計量車両5の基本データ(左右重心位置の算出には左右車輪から左右中心線Qに対する垂直距離1/2D)を呼び出すことができる。尚、契約車両でない(基本データが登録されていない)被計量車両5の場合は、計量前にその左右車輪間の距離Dを基にした左右車輪から被計量車両5の左右中心線Qに対する垂直距離1/2Dに関する情報がインプットされる。
【0090】
次に、図9〜図13に示す第1〜第5の各実施例の演算処理装置3について個別に説明する。
【0091】
[図9の第1実施例]
図9に示す第1実施例の演算処理装置3には、被計量車両5の重心位置を算出するための各種の算出手段(図9参照)を有している。即ち、この実施例では、被計量車両5の重心位置が前後方向、左右方向、及び上下方向の3次元方向のどの位置にあるのかを算出し得るようにしたものである。
【0092】
そして、該演算処理装置3(図9)には、前後重心位置を算出する算出手段として、前後変位量算出手段20と前輪軸重算出手段23Aと後輪軸重算出手段23Bと前後重心位置算出手段24を有し、重心高さ位置を算出する算出手段として、上記前後重心位置算出手段24と前後重心変位量算出手段25と車軸間距離算出手段21と車両傾斜角算出手段22と車両重心高さ位置算出手段26とを有し、左右重心位置を算出する算出手段として、左右変位量算出手段27と左輪群輪重算出手段28Aと右輪群輪重算出手段28Bと左右重心位置算出手段29とを有している。以下、上記各算出手段について詳細に説明する。
【0093】
「車軸間距離算出手段21」
まず、先に車軸間距離算出手段21について説明すると、この車軸間距離算出手段21は、被計量車両5を計量台10上に載せた状態で、図4に示すように車輪位置検出器8で検出された各距離データE1〜E4及び各角度データe1〜e4に基いて被計量車両5の前後車輪軸52A,52B間の距離Lを算出するものである。車軸間距離Lは、図4において、車輪位置検出器8から前輪軸52Aまでの前後方向距離L1と車輪位置検出器8から後輪軸52Bまで前後方向距離L2との合計距離であるが、該両距離L1,L2は車輪位置検出器8からの検出データに基いて車軸間距離算出手段21で次のように算出される。
【0094】
被計量車両5が計量台10上に載っている状態で、図4に示すように、車輪位置検出器8が前方側から揺動して該車輪位置検出器8が左側前輪51Aの前端部51Aaを検出した時点で、該車輪位置検出器8から左側前輪前端部51Aaまでの距離データE1と車輪位置検出器8の前後方向延長線Rに対する角度データe1とが車軸間距離算出手段21に出力されて、該車軸間距離算出手段21により車輪位置検出器8から左側前輪前端部51Aaまでの前後方向距離L1aが算出される(L1a=E1×cose1)。次に、車輪位置検出器8が左側前輪51Aの後端部51Abを検出した時点で、同様に該車輪位置検出器8から左側前輪後端部51Abまでの距離データE2と同角度データe2とが車軸間距離算出手段21に出力されて、該車軸間距離算出手段21により車輪位置検出器8から左側前輪後端部51Abまでの前後方向距離L1bが算出される(L1b=E2×cose2)。そして、車軸間距離算出手段21において(L1a+L1b)/2を計算することにより、車輪位置検出器8から前輪軸52A(位置A1)までの前後方向距離L1が算出される。
【0095】
他方、車輪位置検出器8がさらに後方側に揺動して、該車輪位置検出器8が左側後輪51Cの前端部51Caを検出した時点で、該車輪位置検出器8から左側後輪前端部51Caまでの距離データE3と同角度データe3とが車軸間距離算出手段21に出力されて、該車軸間距離算出手段21により車輪位置検出器8から左側後輪先端部51Caまでの前後方向距離L2aが算出される(L2a=E3×cose3)。次に、車輪位置検出器8が左側後輪51Cの後端部51Cbを検出した時点で、同様に該車輪位置検出器8から左側後輪後端部51Cbまでの距離データE4と同角度データe4とが車軸間距離算出手段21に出力されて、該車軸間距離算出手段21により車輪位置検出器8から左側後輪後端部51Cbまでの前後方向距離L2bが算出される(L2b=E4×cose4)。そして、車軸間距離算出手段21において(L2a+L2b)/2を計算することにより、車輪位置検出器8から後輪軸52Bまでの前後方向距離L2が算出される。
【0096】
そして、車軸間距離算出手段21は、最終的に上記L1+L2を計算することによって車軸間距離Lを算出するようになっている。
【0097】
尚、上記の各cos角については、記憶手段(ROM)31に格納されている三角関数のデータテーブルから読み出される。
【0098】
「前後変位量算出手段20」
この前後変位量算出手段20は、被計量車両5が計量台10上に載っている状態(図1、図2の場合及び図5、図6の場合)で、その被計量車両5が前後方向の基準位置(例えば前後のロードセル13A,13Cの位置)に対して前後にどれだけ変位しているかを算出するものである。
【0099】
尚、車輪位置検出器8から前側ロードセル13Aまでの前後方向距離ALと、車輪位置検出器8から後側ロードセル13Cまでの前後方向距離BLとは、予め記憶手段(ROM)31に記憶させている。
【0100】
そして、この前後変位量算出手段20による前後変位量算出方法は、次のように行われる。まず、被計量車両5が図2の位置(全輪51A〜51Dが計量台10の平坦面11上に載っている位置)にあるときには、上記車軸間距離Lの算出方法を援用して、車輪位置検出器8から前輪位置A1までの前後方向距離L1を算出し、記憶手段(ROM)31に記憶している車輪位置検出器8から前ロードセル13Aまでの前後方向距離ALから上記距離L1を減算して、前輪位置A1から前ロードセル13Aまでの距離AL1を求める一方、同様に車輪位置検出器8から後輪位置B1までの前後方向距離L2を算出し、記憶手段(ROM)31に記憶している車輪位置検出器8から後ロードセル13Cまでの前後方向距離BLから上記距離L2を減算して、後輪位置B1から後ロードセル13Cまでの距離BL1を求める。そして、この前後変位量算出手段20では、上記AL1と上記BL1の各距離を比較する(AL1:BL1)ことによって、計量台10上での被計量車両5の前後変位量を算出するようになっている。
【0101】
又、被計量車両5が図6の位置にあるときには、上記と同様に、車軸間距離Lの算出方法を援用して、車輪位置検出器8から前輪位置A2までの前後方向距離L3を算出し、記憶手段(ROM)31に記憶している車輪位置検出器8から前ロードセル13Aまでの前後方向距離ALから上記距離L3を減算して、前輪位置A1から前ロードセル13Aまでの前後方向距離AL2を求める一方、車輪位置検出器8から後輪位置B2までの前後方向距離L4を算出し、記憶手段(ROM)31に記憶している車輪位置検出器8から後側ロードセル13Cまでの前後方向距離BLから上記距離L4を減算して、後輪位置B2から後側ロードセル13Cまでの距離BL2を求める。そして、この前後変位量算出手段20では、上記AL2と上記BL2の各距離を比較する(AL2:BL2)ことによって、計量台10上での被計量車両5の前後変位量を算出できるようになっている。
【0102】
「前輪軸重算出手段23A及び後輪軸重算出手段23B」
この前輪軸重算出手段23Aと後輪軸重算出手段23Bは、被計量車両5が計量台10上に載った状態での各ロードセル13A〜13Dからの各検出値Wa〜Wdに基いて、前輪軸重(AW1又はAW2)と後輪軸重(BW1又はBW2)をそれぞれ算出するものである。
【0103】
尚、以下の説明では、左前ロードセル13Aで検出する重量をWaとし、右前ロードセル13Bで検出する重量をWbとし、左後ロードセル13Cで検出する重量をWcとし、右後ロードセル13Dで検出する重量をWdとするが、各ロードセル13A〜13Dで検出する各検出重量Wa〜Wdは、被計量車両5の計量台10への乗り上げ位置によってそれぞれ変化する。又、図2(全輪51A〜51Dが平坦面11上に載っている)において、符号AW1は左右の各前ロードセル13A、13Bでの各検出重量Wa、Wb(図1)の合計で前輪軸重を表すものであり、符号BW1は左右の各後ロードセル13C、13Dでの各検出重量Wc、Wdの合計で後輪軸重を表すものである。又、図6(前輪51A,51Bが前輪載せ台12上に載っている)において、符号AW2は左右の各前ロードセル13A、13Bでの各検出重量Wa、Wb(図6)の合計で前輪軸重を表すものであり、符号BW2は左右の各後ロードセル13C、13Dでの各検出重量Wc、Wdの合計で後輪軸重を表すものである。
【0104】
そして、前輪軸重算出手段23Aは、左前ロードセル13Aでの検出重量Waと右前ロードセル13Bでの検出重量Wbとを合計することで、現状位置での被計量車両5の前輪軸重(図2の状態では重量AW1、図6の状態では重量AW2)を算出し、後輪軸重算出手段23Bは、左後ロードセル13Cでの検出重量Wcと右後ロードセル13Dでの検出重量Wdとを合計することで、現状位置での被計量車両5の後輪軸重(図2の状態では重量BW1、図6の状態では重量BW2)を算出するようになっている。
【0105】
「前後重心位置算出手段24」
この前後重心位置算出手段24は、上記前輪軸重算出手段23A及び後輪軸重算出手段23Bでそれぞれ算出された前輪軸重(図2のAW1、又は図6のAW2)及び後輪軸重(図2のBW1、又は図6のBW2)と、上記前後変位量算出手段20で算出された被計量車両5の前後変位量(図2におけるAL1:BL1、又は図6におけるAL2:BL2)とから、計量台10上に載せている被計量車両5の前後重心位置G(又はG′)を求めるものである。
【0106】
そして、この前後重心位置算出手段24は、図2の状態及び図6の状態において、それぞれ次の計算を行うようになっている。
【0107】
まず、図2の状態においては、AW1/(AW1+BW1)を計算することにより、被計量車両5の重心Gが前ロードセル13Aから計量台10上の前後方向のどの位置にあるのか算出でき、その計量台10上での前ロードセル13Aからの重心Gまでの距離(AL1+AG)から先に前後変位量算出手段20で求めた前ロードセル13Aから前輪軸52Aまでの距離AL1を減算することで、被計量車両5における前輪軸52Aから重心位置Gまでの前後距離AGを算出することができる。
【0108】
又、同様に、図2において、BW1/(AW1+BW1)の計算(重心Gが後ロードセル13CからBL1+BGの前後距離にあることが算出される)と、該算出距離から先に前後変位量算出手段20で求めた後ロードセル13Cから後輪軸52Bまでの前後距離BL1を減算することで、被計量車両5における後輪軸52Bから重心位置Gまでの前後距離BGを算出することができる。
【0109】
そして、この前後重心位置算出手段24では、図2の状態において、上記AGとBGとから、AG/(AG+BG)及びBG/(AG+BG)を計算することで、被計量車両5の重心Gが前後車輪軸52A,52B間における前後方向のどの位置(AG:BG)にあるのかを算出できる。
【0110】
図2の状態での前後重心位置算出手段24で算出された被計量車両5の前後重心位置情報(AG:BG)は、記憶手段(RAM)32に記憶されて、後述の重心高さ位置算出のための情報として使用される。尚、この前後重心位置の表示としては、AG/(AG+BG)又はBG/(AG+BG)の各計算値で表してもよい。
【0111】
他方、図6の状態においては、AW2/(AW2+BW2)を計算することにより、被計量車両5の重心G′が前ロードセル13Aから計量台10上の前後方向のどの位置にあるのか算出でき、その計量台10上での前ロードセル13Aからの重心G′までの距離(AL2+AG′)から先に前後変位量算出手段20で求めた前ロードセル13Aから前輪軸52Aまでの距離AL2を減算することで、被計量車両5における前輪軸52Aから重心位置G′までの前後距離AG′を算出することができる。
【0112】
又、同様に、図6において、BW2/(AW2+BW2)の計算(重心G′が後ロードセル13CからBL2+BG′の距離にあることが算出される)と、該算出距離から先に前後変位量算出手段20で求めた後ロードセル13Cから後輪軸52Bまでの前後距離BL2を減算することで、被計量車両5における後輪軸52Bから重心位置G′までの前後距離BG′を算出することができる。
【0113】
そして、この前後重心位置算出手段24では、図6の状態において上記AG′とBG′とから、AG′/(AG′+BG′)及びBG′/(AG′+BG′)を計算することで、被計量車両5の重心G′が前後車輪軸52A,52B間における前後方向のどの位置(AG′:BG′)にあるのかを算出できる。尚、この前後重心位置の表示としては、AG′/(AG′+BG′)又はBG′/(AG′+BG′)の各計算値で表してもよい。
【0114】
尚、前輪51A,51Bが前輪載せ台12上に載っている状態(図6の状態)では、被計量車両5が僅かではあるが後方に下降傾斜するので、図6の状態での水平前後方向の車軸間距離(AG′+BG′)は、図2の状態での車軸間距離L(AG+BG)より極めて僅かではあるが短くなっている。
【0115】
「車両傾斜角算出手段22」
この車両傾斜角算出手段22は、図5及び図6に示すように、被計量車両5の前輪51A,51Bが計量台10の前輪載せ台12上に載った状態での車両傾斜角θ(図6、図7)を算出するものである。
【0116】
尚、この車両傾斜角算出手段22は、実際には前輪載せ台12上に載っている前輪51Aの下端面と平坦面11上に載っている後輪51Cの下端面とを結ぶ直線が、水平面である平坦面11に対して前後方向にどれだけ傾斜しているのか算出するもので、後述する車両重心高さ位置を算出するのに必要なものである。
【0117】
この車両傾斜角算出手段22では、先に車軸間距離算出手段21で算出された車軸間距離Lと、予め記憶手段(ROM)31に記憶させている前輪載せ台12の高さHとから、
H/Lに対応するsin角(θ)を記憶手段(ROM)31に格納している三角関数のデータテーブルから求める。尚、この車両傾斜角算出手段22で算出する車両傾斜角θは、被計量車両5の重心高さ位置を求めるために必要なものであり、後述の車両重心高さ位置算出手段26で利用される。
【0118】
「前後重心変位量算出手段25」
この前後重心変位量算出手段25は、記憶手段(RAM)32で記憶している図2の状態での前後重心位置情報(例えばBGの前後距離)と、図6の状態で新たに算出された前後重心位置情報(例えばBG′の前後距離)とを比較して、図7に示すように前後方向の重心変位量T(BG−BG′)を算出するものである。
【0119】
尚、図6の状態での前後重心位置G′は、前輪51A,51Bが前輪載せ台12上に載っている(車両が後方側に下降傾斜している)関係で、全輪51A〜51Dが平坦面11上に載っているときの前後重心位置G(図2)より車両傾斜角θ分だけ後側に変位するが、そのとき図7に符号Tで示す前後方向の重心変位量が発生する。
【0120】
「車両重心高さ位置算出手段26」
この車両重心高さ位置算出手段26は、前後重心変位量算出手段25で算出された前後重心変位量T(図7のBG−BG′)と、車両傾斜角算出手段22で算出された車両傾斜角θとに基いて被計量車両5の重心高さ位置G1(図7)を算出するものである。
【0121】
この車両重心高さ位置算出手段26による重心高さ位置G1(図7)の具体的な算出方法は、次の通りである。
【0122】
即ち、この車両重心高さ位置算出手段26には、前後重心変位量算出手段25で算出された前後重心変位量T(図7のBG−BG′)と、車両傾斜角算出手段22で算出された車両傾斜角θとが入力されるが、求める重心高さ位置G1は、T/tanθの算式で計算できる。尚、tanθは、記憶手段(ROM)31に格納している三角関数のデータテーブルから読み出される。
【0123】
「左右変位量算出手段27」
この左右変位量算出手段27は、計量台10上に載せた被計量車両5が該計量台10に対して左右にどれだけ変位しているかを算出するものであるが、この左右変位量算出手段27による算出に要する基本データとして、左右に位置する2つのロードセル13A,13B(又は13C,13D)間の中心延長線Pに対する車輪位置検出器8からの水平方向の垂直距離Mと、被計量車両5の左右の各車輪51A,51B(又は51C,51D)間の間隔Dを基にした左右車輪から被計量車両5の左右中心線Qに対する垂直距離1/2Dに関する情報とがそれぞれ記憶手段(ROM)31に記憶されている。
【0124】
そして、この左右変位量算出手段27は、計量台10上に載せた被計量車両5の左右中心線Qが左右のロードセル間の中心延長線Pに対して左右にどれだけ変位しているのか、その左右変位量Sを算出するものであり、次のような手順で計算される。
【0125】
まず、図4に示すように、車輪位置検出器8で左側車輪51A(又は51C)を検出したときの、車輪位置検出器8から車輪検出位置(左側前輪前端部51Aaで説明する)までの距離データE1と、そのときの車輪位置検出器8の前後延長線Rに対する角度データe1とにより、該左側前輪前端部51Aaから車輪位置検出器8の前後延長線Rまでの垂直距離N1を計算する。この垂直距離N1の計算は、N1=E1×sine1で求めることができる。尚、sine1は、記憶手段(ROM)31に格納している三角関数のデータテーブルから読み出される。
【0126】
そして、左右変位量算出手段27において、上記N1+上記1/2Dにより、車輪位置検出器8の前後延長線Rと計量台10上に載っている被計量車両5の左右中心線Qまでの距離Nを計算し、さらに該距離Nと、記憶手段(ROM)31に記憶している左右ロードセル間の中心延長線Pと車輪位置検出器8の前後延長線R間の距離Mとを基に、M−Nを計算することにより、計量台10上に載せている被計量車両5(左右中心線Q)が左右ロードセル間の中心延長線Pに対して左右にどれだけ変位(左右変位量S)しているか算出できるようになっている。尚、上記Nが上記Mより大きい(M<N)場合は、車輪位置検出器8の前後延長線Rを基準にして、被計量車両5の左右中心線Qが左右ロードセル間の左右中心線Pより遠い側に位置していることを意味し、上記左右変位量Sが負(−)の値となる。
【0127】
「左輪群輪重算出手段28A」
この左輪群輪重算出手段28Aは、被計量車両5を計量台10上に載せたときの、左前ロードセル13Aと左後ロードセル13Cからの各検出値Wa,Wcを合算する(Wa+Wc)ことで被計量車両5における左側車輪群(51Aと51C)の合計輪重を算出するものである。尚、左前ロードセル13Aと左後ロードセル13Cからの各検出値Wa,Wc(図1)を合算したものを、図3においてLWと表示している。
【0128】
「右輪群輪重算出手段28B」
この右輪群輪重算出手段28Bは、被計量車両5を計量台10上に載せたときの、右前ロードセル13Bと右後ロードセル13Dからの各検出値Wb,Wdを合算する(Wb+Wd)ことで被計量車両5における右側車輪群(51Bと51D)の合計輪重を算出するものである。尚、右前ロードセル13Bと右後ロードセル13Dからの各検出値Wa,Wc(図1)を合算したものを、図3においてRWと表示している。
【0129】
「左右重心位置算出手段29」
この左右重心位置算出手段29は、上記左輪群輪重算出手段28A及び右輪群輪重算出手段28Bで算出された左右の各合計輪重(Wa+Wc=LW及びWb+Wd=RW)と、左右変位量算出手段27で算出された左右変位量Sとから車両重心位置Gが車両の左右方向のどの位置にあるかを算出するものである。
【0130】
即ち、この左右重心位置算出手段29では、図3の状態において、左右の各合計輪重の比(LW:RW)により、重心Gから左ロードセル13Cまでの左右距離LLと該重心Gから右ロードセル13Dまでの左右距離RLを計算し、さらに(LL−RL)/2により計量台10の左右中心線Pから重心Gまでの左右変位量S1を計算するとともに、S+S1を計算することにより、被計量車両5の左右中心線Qから重心Gまでの左右変位距離G2を計算するようになっている。
【0131】
尚、表示器33に対して被計量車両5の左右重心位置を表示するのに、車両の左右中心線Qからの上記左右変位距離G2で表してもよいが、該左右変位距離G2を基にして左右の各車輪51C,51Dから重心Gまでの各左右距離LG,RGに換算して表してもよい。
【0132】
第1実施例(図9)の車両重心位置計測装置は、次のように機能する。尚、この実施例のトラックスケール1では、被計量車両5は、図1において後方側から計量台10上に進入するものである。
【0133】
そして、図1及び図2に示すように、被計量車両5の全輪51A〜51Dが計量台10の平坦面11上に載った状態で、各ロードセル13A〜13Dからの各検出値Wa〜Wdに基いて演算処理装置3により被計量車両5の総重量を計測する一方、図9に示す車両重心位置計測装置によって、まず被計量車両5の前後重心位置と左右重心位置とをそれぞれ算出する。
【0134】
即ち、被計量車両5の前後重心位置の算出は、車輪位置検出器8からの車輪位置情報に基いて前後変位量算出手段20で算出された前後変位量と、前輪軸重算出手段23A及び後輪軸重算出手段23Bでそれぞれ算出された前輪軸重AW1及び後輪軸重BW1とから、前後重心位置算出手段24で上記したように算出される。尚、この前後重心位置算出手段24で算出された前後重心位置情報(AG:BG)又はAG/(AG+BG)は、重心高さ位置算出用のデータと表示器33への出力のために記憶手段(RAM)32に記憶される。
【0135】
又、被計量車両5の左右重心位置の算出は、車輪位置検出器8からの車輪位置情報に基いて左右変位量算出手段27で算出された左右変位量と、左輪群輪重算出手段28A及び右輪群輪重算出手段28Bでそれぞれ算出された左輪群輪重LW及び右輪群輪重RWとから、左右重心位置算出手段29で上記したように算出される。尚、この左右重心位置算出手段29で算出された左右重心位置情報(LG:RG)も、表示器33への出力のために記憶手段(RAM)32に記憶される。
【0136】
そして、被計量車両5の重心高さ位置G1(図7)を計測するには、被計量車両5を図1及び図2に示す平坦面11上から前進させて、図5及び図6に示すように前輪51A,51Bが前輪載せ台12上に載った状態で停止させる。
【0137】
すると、前後重心位置算出手段24により前輪が前輪載せ台12上にある車両5の前後重心位置を新たに算出し、その新たな前後重心位置情報(AG′:BG′)と記憶手段32で記憶している先の前後重心位置情報(AG:BG)とを比較してその前後重心変位量Tを前後重心変位量算出手段25で算出し、その前後重心変位量Tと前輪が前輪載せ台12上に載った状態での車両傾斜角θとに基いて車両重心高さ位置算出手段26により車両重心高さ位置G1(図7)を算出できるようになっている。
【0138】
このように、第1実施例の重心位置計測装置では、被計量車両5の重心高さ位置を算出するのに、計量台(平坦面11)の前方位置に所定高さ段上げした前輪載せ台12が必要であるが、この前輪載せ台12は極めて簡単な構成である。又、車輪位置検出器8による前後車輪位置の検出も比較的簡単に行える。そして、それ以外の構成は、演算処理装置3に上記各種の算出手段を組込むだけでよいので、全体として簡単に構成で被計量車両の重心高さ位置(図7のG1)を計測できるものである。
【0139】
又、この第1実施例(図9)の重心位置計測装置では、演算処理装置3に前後車軸間の距離を算出する車軸間距離算出手段21を設けているので、被計量車両5の重心高さ位置を算出するのに必要な前後の車軸間距離Lを該車軸間距離算出手段21により自動で算出できる。
【0140】
[図10の第2実施例]
図10に示す第2実施例の車両重心位置計測装置は、被計量車両5の前後の車軸間距離Lが予め判っている場合に適用できるものである。
【0141】
そして、この第2実施例(図10)の車両重心位置計測装置は、上記第1実施例(図9)の車両重心位置計測装置における車軸間距離算出手段21に代えて、予め判っている被計量車両5の車軸間距離L(例えば図2の距離L)を車軸間距離記憶手段211に記憶させておき、該車軸間距離記憶手段211に記憶させた車軸間距離Lを車両傾斜角算出手段22において車両傾斜角算出用に利用している。尚、この第2実施例(図10)の車両重心位置計測装置におけるその他の構成は、上記第1実施例(図9)のものとほぼ同様である。
【0142】
この第2実施例の車両重心位置計測装置では、被計量車両5が登録車両の場合は予め前後の車軸間距離Lも他のデータとともに記憶させておき、被計量車両5が非登録車両の場合は計量直前にその都度、当該車両の車軸間距離L(車検証等に記載されている実測値)を入力器((図8のキーボード)34から入力して車軸間距離記憶手段211に記憶させる。
【0143】
そして、この第2実施例の車両重心位置計測装置では、上記第1実施例に対して被計量車両5の車軸間距離Lに関する情報の入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置3により上記第1実施例と同様の算出処理が行われて、被計量車両5の重心位置を前後・左右・上下の3次元的に表し得るようになっている。
【0144】
又、この第2実施例(図10)の車両重心位置計測装置では、予め判っている正確な車軸間距離L(実測値)を入力することで車軸間距離記憶手段211に記憶させるので、上記第1実施例(図9)の場合のように車輪位置検出器8からの車輪位置情報(検出誤差が生じることがある)に基いて車軸間距離算出手段21で算出する場合より、正確な車軸間距離データを提供できる。
【0145】
従って、この第2実施例の重心位置計測装置では、車両傾斜角算出手段22で算出される車両傾斜角θの基になる車軸間距離Lが正確であるので、信頼性の高い車両傾斜角θを算出でき、それを基にして最終的に車両重心高さ位置算出手段26で算出される車両重心高さ位置G1(図3、図7)の算出値が信頼性の高いものとなる。
【0146】
[図11の第3実施例]
図11に示す第3実施例の車両重心位置計測装置は、被計量車両5の前後各軸重(前輪軸重と後輪軸重)をトラックスケール1とは別設の軸重計(例えばマットスケール)で計測する場合に適用できるものである。
【0147】
そして、この第3実施例(図11)の車両重心位置計測装置は、上記第1実施例(図9)における前輪軸重算出手段23Aと後輪軸重算出手段23Bに代えて、被計量車両5の前輪軸重と後輪軸重とを別設の軸重計で計測しておき、その軸重計で計測した前輪軸重と後輪軸重とをトラックスケール1での計量前に入力器(図8のキーボード)34に入力して、それぞれ前輪軸重記憶手段231Aと後輪軸重記憶手段231Bに記憶させておく。この場合、別設の軸重計で前輪軸重と後輪軸重とを計測するので、演算処理装置3において前後各軸重を算出する必要がない。尚、この第3実施例(図11)の車両重心位置計測装置におけるその他の構成は、上記第1実施例(図9)のものとほぼ同様である。
【0148】
この第3実施例の車両重心位置計測装置では、被計量車両5を計量台10上で計量する際に、前輪軸重記憶手段231Aと後輪軸重記憶手段231Bにそれぞれ記憶させた被計量車両5の前輪軸重及び後輪軸重と、車輪位置検出器8からの車輪位置情報に基いて前後変位量算出手段20で算出された前後変位量とから、前後重心位置算出手段24により被計量車両5の前後重心位置を算出するようになっている。
【0149】
そして、この第3実施例の車両重心位置計測装置では、上記第1実施例に対して被計量車両5の前後各軸重に関する情報の入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置3により上記第1実施例と同様の算出処理が行われて、被計量車両5の重心位置を前後・左右・上下の3次元的に表し得るようになっている。
【0150】
又、この第3実施例の車両重心位置計測装置では、被計量車両5の前輪軸重と後輪軸重とを別設の軸重計で計測し、その前後各輪重をそれぞれ前輪軸重記憶手段231Aと後輪軸重記憶手段231Bに記憶させているので、計量台10上での実際の計量時に演算処理装置3で前後各軸重を算出する必要がなく、その分、演算処理装置3の構成を簡略にできる。
【0151】
[図12の第4実施例]
図12に示す第4実施例の車両重心位置計測装置は、上記第1実施例(図9)における車軸間距離算出手段21を上記第2実施例(図10)の車軸間距離記憶手段211に変更しているとともに、上記第1実施例(図9)における前輪軸重算出手段23Aと後輪軸重算出手段23Bとを上記第3実施例(図11)の前輪軸重記憶手段231A及び後輪軸重記憶手段231Bに変更したものである。
【0152】
即ち、この第4実施例の車両重心位置計測装置では、第1実施例(図9)の演算処理装置3に備えている車軸間距離算出手段21に代えて車軸間距離記憶手段211を採用し、予め判っている被計量車両5の車軸間距離(実測値)を該車軸間距離記憶手段211に記憶させる一方、第1実施例(図9)の演算処理装置3に備えている前輪軸重算出手段23A及び後輪軸重算出手段23Bに代えて前輪軸重記憶手段231A及び後輪軸重記憶手段231Bを採用し、別設の軸重計で計測した前輪軸重と後輪軸重とをそれぞれ前輪軸重記憶手段231A及び後輪軸重記憶手段231Bに記憶させるようにしている。
【0153】
そして、この第4実施例の車両重心位置計測装置では、被計量車両5の計量時において、車軸間距離記憶手段211に記憶している車軸間距離情報に基いて、図5及び図6に示すように前輪51A,51Bが計量台10の前輪載せ台12上に載ったときの車両傾斜角θを車両傾斜角算出手段22で算出する一方、前輪軸重記憶手段231Aと後輪軸重記憶手段231Bにそれぞれ記憶させた前輪軸重及び後輪軸重と、前後変位量算出手段20で算出された前後変位量とから、前後重心位置算出手段24により被計量車両5の前後重心位置を算出するようにしている。尚、この第4実施例におけるその他の構成は、上記第1実施例(図9)のものとほぼ同様である。
【0154】
そして、この第4実施例の車両重心位置計測装置では、上記第1実施例(図9)に対して、被計量車両5における、車軸間距離に関する情報と、前輪軸重及び後輪軸重に関する情報の各入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置3により上記第1実施例と同様の算出処理が行われて、被計量車両5の重心位置を前後・左右・上下の3次元的に表し得るようになっている。
【0155】
この第4実施例の車両重心位置計測装置では、計量台10上での実際の計量時に、演算処理装置3で車軸間距離及び前後各軸重を算出する必要がなく、その分、演算処理装置3の構成を一層簡略にできる。
【0156】
[図13の第5実施例]
図13に示す第5実施例の車両重心位置計測装置は、前後の車軸間距離Lが同じ車種の被計量車両5の重心位置を計測する場合に適用できるものである。
【0157】
そして、この第5実施例(図13)の車両重心位置計測装置では、上記第1実施例〜第4実施例(図9〜図12)の車両重心位置計測装置における車両傾斜角算出手段22で算出される車両傾斜角θを、それぞれ不変データである被計量車両5の車軸間距離L(実測値)と計量台10の前輪載せ台12の段上げ高さH(実測値)とから求めて車両傾斜角記憶手段221(図13)に予め記憶させておき、該車両傾斜角記憶手段221で記憶させた車両傾斜角θを車両重心高さ位置算出手段26において車両重心高さ位置算出用に利用している。尚、この第5実施例の車両重心位置計測装置におけるその他の構成は、上記第1実施例(図9)又は第2実施例(図10)のものとほぼ同様である。
【0158】
この第5実施例(図13)の車両重心位置計測装置では、前後の車軸間距離Lが全て同じ被計量車両5における各車両ごとの重心高さ位置G1(図3、図7)をそれぞれ計測するものであるが、この場合は各被計量車両5の車軸間距離Lが同じであるので、それぞれ不変データである車軸間距離Lと前輪載せ台12の段上げ高さH(それぞれ実測値)とから、前輪51A,51Bが前輪載せ台12上に載った状態での車両傾斜角θを求めて、該車両傾斜角θを車両傾斜角記憶手段221に記憶させている。
【0159】
そして、この第5実施例(図13)の車両重心位置計測装置では、上記第1実施例〜第4実施例(図9〜図12)における上記車両傾斜角θに関する情報の入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置3により上記第1実施例〜第4実施例と同様の算出処理が行われて、被計量車両5の重心位置を前後・左右・上下の3次元的に表し得るようになっている。
【0160】
尚、図13の第5実施例では、車両傾斜角記憶手段221を第1実施例(図9)のものに組み込んでいるが、第2実施例〜第4実施例(図10〜図12)のいずれかのものに組み込むこともできる。
【0161】
この第5実施例の車両重心位置計測装置では、前輪51A,51Bが前輪載せ台12上に載ったときの車両傾斜角θ(図6、図7)を、それぞれ不変データである被計量車両5の車軸間距離L(実測値)と計量台の前輪載せ台12の段上げ高さH(実測値)とから求めて車両傾斜角記憶手段221に記憶させているが、この車両傾斜角記憶手段221に記憶させた車両傾斜角θは、それぞれ実測値に基く車軸間距離Lと前輪載せ台高さHとから求められているので正確である。
【0162】
従って、この第5実施例(図13)の車両重心位置計測装置では、車軸間距離Lが同じ被計量車両5しか適用できないものの、車両傾斜角記憶手段221に記憶された車両傾斜角θが正確であるので、最終的に車両重心高さ位置算出手段26で算出される車両重心高さ位置G1(図3、図7)の算出値が信頼性の高いものとなる。
【0163】
ところで、上記第1〜第5の各実施例のように、車両の重心位置Gを知ることは、道路走行時における車両の横転危険度を予知できるものであり、現状の車両が横転に関する安全性を確保しているかどうかを前以て知ることができる。
【0164】
そして、本願の各実施例の重心位置計測装置では、被計量車両5の重心位置Gを前後、左右、上下の3次元的に算出できるので、道路走行時における車両の横転危険度を一層厳格に把握できる。
【0165】
又、本願の各実施例では、車輪位置検出器8として計量台10の片側にのみ設置して、左右片側の車輪位置のみを検出するようにしているが、他の実施例では該車輪位置検出器8を計量台10の左右両側(合計2台)に設置することもできる。その場合(車輪位置検出器8を左右2台使用した場合)は、左右各側から左右の車輪の位置情報を検出できるので、計量台10上の被計量車両5の左右変位量Sを算出するのに、予め左右の車輪間の距離Dを記憶手段(ROM)31に記憶させておく必要がない。
【0166】
又、上記の各実施例では、被計量車両5として、前後2軸(合計4輪)のものを採用しているが、前後に3軸以上の車両でも、本願実施例の重心位置計測装置の基本思想を基にして被計量車両5の重心位置Gを3次元的に算出することができる。尚、3軸以上の車両では、車輪位置検出器8における検出対象車輪を最前輪のものと最後輪のものとする。
【0167】
さらに、ロードセルを前後の間に左右一対付加したもの(例えば6個のロードセルを使用したもの)では、その前後中間に位置するロードセルで検出された重量値を前後いずれかのロードセルで検出された重量値に加算して、各種の算出を行うようにする。
【符号の説明】
【0168】
1はトラックスケール、2はコンピュータ、3は演算処理装置、5は被計量車両、8は車輪位置検出器、10は計量台、11は平坦面、12は前輪載せ台、13A〜13Dはロードセル、20は前後変位量算出手段、21は車軸間距離算出手段、22は車両傾斜角算出手段、23Aは前輪軸重算出手段、23Bは後輪軸重算出手段、24は前後重心位置算出手段、25は前後重心変位量算出手段、26は車両重心高さ位置算出手段、27は左右変位量算出手段、28Aは左輪群輪重算出手段、28Bは右輪群輪重算出手段、29は左右重心位置算出手段、31は記憶手段(ROM)、32は記憶手段(RAM)、51A〜51Dは車輪、52A,52Bは車輪軸、211は車軸間距離記憶手段、221は車両傾斜角記憶手段、231Aは前輪軸重記憶手段、231Bは後輪軸重記憶手段、A1,A2は前輪位置、B1,B2は後輪位置である。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、計量台の四隅付近にそれぞれロードセルを設け、計量台上に被計量車両の全輪を載せたときの各ロードセルからの検出値に基いて被計量車両の重量を計量するようにしたトラックスケールを対象にし、さらに詳しくは被計量車両を計量台上に載せることで被計量車両の重心位置を自動的に計測し得るようにしたトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
計量台上に被計量車両を載せて該被計量車両の重量を計量するようにしたトラックスケールの一例として、例えば特開2006−105845号公報(特許文献1)に示されるものがある。
【0003】
この公知例(特許文献1)のトラックスケールでは、計量台の四隅付近にそれぞれロードセルを設けており、計量台上に被計量車両の全輪を載せたときの各ロードセルで検出されたそれぞれの検出値に基いて演算処理装置で演算(合算)して、被計量車両の重量を計測するようにしたものである。尚、計量台が前後に長いものでは、長さ方向中間部にもロードセルを設けたものがある(ロードセルを合計6個又は8個使用したものがある)。
【0004】
ところで、車両(特に背の高いボックスやコンテナを搭載したトラック)を走行状態でハンドルを大きく切ると、車両全体に大きな遠心力が発生して横転し易くなるが、この横転作用(遠心力)は、車両の重心位置が高位置にあるとき又は該重心位置が四隅の車輪の中心から左右に大きく変位しているときに大きく発生する。特に、該重心位置が高所にあり且つ左右に大きく変位しているときほど、その相乗作用により大きな遠心力が働く(横転事故が一層発生し易くなる)。
【0005】
他方、トラック荷台上のボックスやコンテナ内に荷物を積み込む際には、ある程度、重量バランスを考慮しながら積み込んでいくのが好ましいが、その荷物の積み込みは、主として容積充填効率を第1に考慮しているのが現状であり、積み込み荷物の重量バランスについては非常にアバウトなものであった。尚、トラック荷台上のボックスやコンテナ内に荷物を積み込んだ状態では、荷物込みの車両全体の重心がどのあたりに位置しているかを目視で判断することはできない。
【0006】
従って、現状では、荷物込みの車両全体の重心がどの当たりにあるのか判断することなく道路を走行している場合がほとんどであり、車両の重心位置が高所にあったり又は左右に大きく変位していたりするときには、急ハンドル操作による横転事故の危険を伴うものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−105845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、通常の(例えば特許文献1の)トラックスケールには、被計量車両の重心がどのあたりの位置にあるのかを計測できるものはなく、特に既存のトラックスケールのままでは、被計量車両の重心高さ位置を計測するのは不可能であった。
【0009】
そこで、本願発明者等は、既存のトラックスケール(演算処理装置を含む)に簡単な構成を付加することで、被計量車両の計量時に該被計量車両の重心位置(特に重心高さ位置)も同時に計測し得ることを知見し、ここにトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置を特許出願することに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、被計量車両をトラックスケールの計量台上に載せた状態で、該被計量車両の重心位置(特に重心高さ位置)を計測し得るようにしたものである。尚、本願発明の名称は「トラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置」であるが、以下の説明では、本願発明の名称を単に「車両重心位置計測装置」と表現することがある。
【0011】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明の車両重心位置計測装置は、計量台の四隅付近の下面にそれぞれロードセルを設け、計量台上に被計量車両を載せたときの各ロードセルからの検出値に基いて演算処理装置により被計量車両の重量を計量し得るようにしたトラックスケールに適用されるものである。そして、この請求項1の発明の車両重心位置計測装置は、後述するように前後の車軸間の距離が不明な被計量車両の重心高さ位置を計測し得るようにしたものである。
【0012】
本願で使用するトラックスケールの計量台は、前輪軸と後輪軸の2つの車輪軸しか持たない比較的小型のトラックから、コンテナ載置用のキャリヤを牽引するような前後に多くの車輪軸(例えば4軸程度)を有した大型トラックまで計量し得る面積(長さ)を有したものである。又、計量台の長さが長いものでは、ロードセルの設置箇所として計量台の四隅付近のほかに長さ方向中間部の左右側辺付近にも設けることができる。
【0013】
そして、本願請求項1の車両重心位置計測装置には、次の各構成を有している。
【0014】
まず、計量台として、被計量車両の全輪を同時に載せ得る面積の平坦面とその平坦面の前方位置に該平坦面より所定高さ段上げした前輪載せ台を設けたものを使用している。この計量台の平坦面は水平面である。又、前輪載せ台の平坦面からの段上げ高さは、該前輪載せ台上に被計量車両の前輪が乗降するときに過剰な衝撃(違和感)を受けない程度のものであり、特に限定するものではないが例えば10〜100mm程度の範囲の適宜の高さに設定することができる。この前輪載せ台の段上げ高さを高くする場合は、該前輪載せ台の前後各端縁にスロープを設けるとよい。尚、前輪載せ台の段上げ高さは、不変のものであり、予め記憶手段に前輪載せ台の高さ情報として記憶させておく。
【0015】
計量台の側方位置には、該計量台上に載せられた被計量車両の前輪位置と後輪位置を検出し得る車輪位置検出器を有している。この車輪位置検出器は、計量台上で停止している被計量車両の前後各車輪(左右片側のもの)の位置を検出するもので、光センサーが使用できる。又、この車輪位置検出器は、単一のもので、計量台側方の定位置で且つ車輪高さ位置において前後水平方向の大角度範囲(例えば150°〜160°の範囲)で揺動して、その揺動範囲の障害物(車輪)を監視するものである。そして、この車輪位置検出器は、前後に揺動して、障害物(車輪)を非検知状態から検知したとき(ON時)と検知状態から非検知になったとき(OFF時)に、それぞれその障害物までの距離情報と角度情報を取得してそれらの情報を演算処理装置に出力するようになっている。尚、演算処理装置では、この車輪位置検出器からの距離情報と角度情報を基にして後述の各種データの算出処理がなされる。
【0016】
尚、計量台上に乗り込む被計量車両は、該計量台上のどの位置で停止するか不明であるが、該被計量車両が計量台上のどの位置で停止しても、上記車輪位置検出器が前後に揺動することによって前後の各車輪位置を検出できる。
【0017】
演算処理装置には、被計量車両の重心高さ位置を算出するための各種の算出手段、即ち前後変位量算出手段と、車軸間距離算出手段と、車両傾斜角算出手段と、前輪軸重算出手段と、後輪軸重算出手段と、前後重心位置算出手段と、記憶手段と、前後重心変位量算出手段と、車両重心高さ位置算出手段、とをそれぞれ備えている。
【0018】
上記前後変位量算出手段は、被計量車両を計量台上に載せた状態での車輪位置検出器からの車輪位置情報に基いて被計量車両が前後方向の基準位置(例えば前後のロードセル位置)から前後にどれだけ変位しているかを算出するものである。
【0019】
上記車軸間距離算出手段は、車輪位置検出器で検出した前輪位置と後輪位置とから前後の車軸間の距離を算出するものである。尚、この請求項1の車両重心位置計測装置は、被計量車両の前後車軸間距離が不明なものに適用されるものであり、各被計量車両が計量台上に乗り上げる度に車軸間距離算出手段で当該被計量車両の前後車軸間距離を算出するようになっている。
【0020】
上記車両傾斜角算出手段は、被計量車両の前輪が計量台の前輪載せ台上に載った状態において車軸間距離算出手段で算出された車軸間距離と前輪載せ台の高さとから被計量車両の前後傾斜角を算出するものである。
【0021】
上記前輪軸重算出手段と後輪軸重算出手段は、各ロードセルからの検出値に基いて現状位置での前輪軸重と後輪軸重とをそれぞれ算出するものである。
【0022】
上記前後重心位置算出手段は、前輪軸重算出手段及び後輪軸重算出手段でそれぞれ算出された前輪軸重及び後輪軸重と前後変位量算出手段で算出された車両の前後変位量とから車両重心位置が車両前後方向のどの位置にあるかを算出するものである。
【0023】
上記記憶手段は、被計量車両の全輪が計量台の平坦面上に載っている状態での前後重心位置算出手段で算出された前後重心位置情報を記憶するものである。
【0024】
上記前後重心変位量算出手段は、被計量車両の前輪が計量台の前輪載せ台上に載った状態での前後重心位置算出手段で新たに算出された前後重心位置情報と記憶手段で記憶している平坦面上での前後重心位置情報とを比較してその前後重心変位量を算出するものである。
【0025】
上記車両重心高さ位置算出手段は、前後重心変位量算出手段で算出された前後重心変位量と車両傾斜角算出手段で算出された車両傾斜角とに基いて被計量車両の重心高さ位置を算出するものである。
【0026】
尚、演算処理装置における上記各算出手段による算出方法の詳細については、後述の実施例の項で詳しく説明する。
【0027】
本願請求項1の車両重心位置計測装置は、次のように機能する。まず、被計量車両の全輪が計量台の平坦面上に載った状態で、車輪位置検出器からの車輪位置情報に基いて車軸間距離算出手段により被計量車両の前後の車軸間距離を算出するとともに前後変位量算出手段により被計量車両の前後変位量を算出する。又、車両傾斜角算出手段により車軸間距離算出手段で算出された車軸間距離と前輪載せ台の高さ情報とから、車両傾斜角算出手段により被計量車両の前輪が前輪載せ台上に載った状態での車両傾斜角を算出する。次に、前後変位量算出手段で算出された前後変位量と前輪軸重算出手段及び後輪軸重算出手段でそれぞれ算出された前輪軸重及び後輪軸重とから前後重心位置算出手段により車両の前後重心位置を算出してその前後重心位置情報を記憶手段に記憶しておく。その後、被計量車両を前進させて前輪が前輪載せ台上に載った状態で前後重心位置算出手段により新たに車両の前後重心位置を算出し、その新たな前後重心位置情報と記憶手段で記憶している先の前後重心位置情報(平坦面上での前後重心位置情報)とを比較してその前後重心変位量を前後重心変位量算出手段で算出し、その前後重心変位量と前輪が前輪載せ台上に載った状態での車両傾斜角とに基いて車両重心高さ位置算出手段により車両重心高さ位置を算出できるようになっている。
【0028】
このように、本願請求項1の発明では、計量台(平坦面)の前方位置に所定高さ段上げした前輪載せ台が必要であるが、この前輪載せ台は極めて簡単な構成である。又、車輪位置検出器による前後車輪位置の検出も比較的簡単に行える。そして、それ以外の構成は、演算処理装置に上記各種の算出手段を組込むだけでよいので、全体として簡単な構成で被計量車両の重心高さ位置を計測できるものである。又、この請求項1の車両重心位置計測装置では、当該トラックスケールに未登録の被計量車両であっても、全自動で車両重心位置を計測できる。
【0029】
ところで、このように車両の重心高さ位置を知ることは、道路走行時における車両の横転危険度を予知できるものであり、現状の車両が横転に関する安全性を確保しているかどうかを前以て知ることができる。
【0030】
尚、この請求項1の車両重心位置計測装置では、車両重心高さ位置を算出する前段階で前後重心位置算出手段により車両前後重心位置も算出でき、被計量車両の計量報告書には、各種の計量表示とともに車両前後重心位置や車両重心高さ位置の情報も表示できる。
【0031】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明の車両重心位置計測装置は、被計量車両の前後の車軸間距離が予め判っている場合に適用できるものである。
【0032】
この請求項2の車両重心位置計測装置は、上記請求項1における車軸間距離算出手段(車輪位置検出器からの前・後輪位置情報に基いて車軸間距離を算出するもの)に代えて、予め判っている被計量車両の車軸間距離(実測値)を車軸間距離記憶手段に記憶させておき、該車軸間距離記憶手段に記憶させた車軸間距離を車両傾斜角算出手段において車両傾斜角算出用に利用している。尚、この請求項2の車両重心位置計測装置におけるその他の構成は、上記請求項1のものとほぼ同様である。
【0033】
この請求項2の車両重心位置計測装置では、被計量車両が登録車両の場合は予め前後の車軸間距離も他のデータとともに記憶させておき、被計量車両が非登録車両の場合は計量直前にその都度、当該車両の車軸間距離(車検証等に記載されている実測値)を入力器(キーボード)から入力して車軸間距離記憶手段に記憶させる。
【0034】
そして、この請求項2の車両重心位置計測装置では、上記請求項1に対して被計量車両の車軸間距離に関する情報の入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置により上記請求項1と同様の算出処理が行われて被計量車両の重心高さ位置を計測し得るようになっている。
【0035】
この請求項2のものでは、予め判っている正確な車軸間距離(実測値)を入力することで車軸間距離記憶手段に記憶させるので、請求項1の場合のように車輪位置検出器からの車輪位置情報(検出誤差が生じることがある)に基いて車軸間距離算出手段で算出する場合より、正確な車軸間距離データを提供できる。
【0036】
[本願請求項3の発明]
本願請求項3の発明の車両重心位置計測装置は、被計量車両の前後各軸重(前輪軸重と後輪軸重)をトラックスケールとは別設の軸重計(例えばマットスケール)で計測する場合に適用できるものである。
【0037】
この請求項3の車両重心位置計測装置は、上記請求項1における前輪軸重算出手段と後輪軸重算出手段に代えて、被計量車両の前輪軸重と後輪軸重とを別設の軸重計で計測しておき、その軸重計で計測した前輪軸重と後輪軸重とをトラックスケールでの計量前に入力器(キーボード)でそれぞれ前輪軸重記憶手段と後輪軸重記憶手段に記憶させておく。尚、この請求項3では、別設の軸重計で前輪軸重と後輪軸重とを計測するので、演算処理装置において前後各軸重を算出する必要がない。
【0038】
この請求項3の車両重心位置計測装置では、被計量車両の計量時に、前輪軸重記憶手段と後輪軸重記憶手段にそれぞれ記憶させた前輪軸重及び後輪軸重と、上記請求項1の前後変位量算出手段で算出された前後変位量とから、前後重心位置算出手段により被計量車両の前後重心位置を算出するようにしている。尚、この請求項3の車両重心位置計測装置におけるその他の構成は、上記請求項1のものとほぼ同様である。
【0039】
そして、この請求項3の車両重心位置計測装置では、上記請求項1に対して被計量車両の前輪軸重及び後輪軸重に関する情報の入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置により上記請求項1と同様の算出処理が行われて被計量車両の重心高さ位置を計測し得るようになっている。
【0040】
[本願請求項4の発明]
本願請求項4の発明の車両重心位置計測装置は、上記請求項1における車軸間距離算出手段に代えて上記請求項2の車軸間距離記憶手段を採用しているとともに、上記請求項1における前輪軸重算出手段と後輪軸重算出手段に代えて上記請求項3の前輪軸重記憶手段及び後輪軸重記憶手段を採用している。
【0041】
即ち、この請求項4の車両重心位置計測装置では、予め判っている被計量車両の車軸間距離(実測値)を車軸間距離記憶手段に記憶させておく一方、別設の軸重計で計測した前輪軸重と後輪軸重をそれぞれ前輪軸重記憶手段と後輪軸重記憶手段に記憶させておく。
【0042】
この請求項4の車両重心位置計測装置では、被計量車両の計量時において、車軸間距離記憶手段に記憶している車軸間距離情報に基いて前輪が計量台の前輪載せ台上に載ったときの車両傾斜角を車両傾斜角算出手段で算出する一方、前輪軸重記憶手段と後輪軸重記憶手段にそれぞれ記憶させた前輪軸重及び後輪軸重と上記請求項1の前後変位量算出手段で算出された前後変位量とから、前後重心位置算出手段により被計量車両の前後重心位置を算出するようにしている。尚、この請求項4の車両重心位置計測装置におけるその他の構成は、上記請求項1のものとほぼ同様である。
【0043】
そして、この請求項4の車両重心位置計測装置では、上記請求項1に対して、被計量車両における、車軸間距離に関する情報と、前輪軸重及び後輪軸重に関する情報の各入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置により上記請求項1と同様の算出処理が行われて被計量車両の重心高さ位置を計測し得るようになっている。
【0044】
[本願請求項5の発明]
本願請求項5の発明の車両重心位置計測装置は、前後の車軸間距離が同じ車種の被計量車両の重心位置を計測する場合に適用できるものである。
【0045】
そして、この請求項5の車両重心位置計測装置では、上記請求項1の車両重心位置計測装置における車両傾斜角算出手段で算出される車両傾斜角を、それぞれ不変データである被計量車両の車軸間距離(実測値)と計量台の前輪載せ台の段上げ高さ(実測値)とから求めて車両傾斜角記憶手段に予め記憶させておき、該車両傾斜角記憶手段で記憶させた車両傾斜角を車両重心高さ位置算出手段において車両重心高さ位置算出用に利用している。尚、この請求項5の車両重心位置計測装置におけるその他の構成は、上記請求項1のものとほぼ同様である。
【0046】
この請求項5の車両重心位置計測装置では、前後の車軸間距離が全て同じ被計量車両における各車両ごとの重心高さ位置をそれぞれ計測するものであるが、この場合は各被計量車両の車軸間距離が同じであるので、それぞれ不変データである車軸間距離と前輪載せ台の段上げ高さ(それぞれ実測値)とから、前輪が前輪載せ台上に載った状態での車両傾斜角を求めて、該車両傾斜角を車両傾斜角記憶手段に記憶させている。
【0047】
そして、この請求項5の車両重心位置計測装置では、上記請求項1における上記車両傾斜角に関する情報の入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置により上記請求項1と同様の算出処理が行われて被計量車両の重心高さ位置を計測し得るようになっている。
【0048】
尚、この請求項5のものでは、車軸間距離が同じ被計量車両にしか適用できないが、前輪が前輪載せ台上に載った状態での車両傾斜角を実際の各不変データに基いて机上で求めることができるので、車両傾斜角記憶手段に記憶した車両傾斜角データは正確なものとなる。
【0049】
[本願請求項6の発明]
本願請求項6の発明は、車両重心位置が車両の3次元位置(前後、上下、左右)のどの位置にあるのかを算出し得るようにしたものである。即ち、上記請求項1〜請求項5の車両重心位置計測装置では、車両の前後重心位置を前後重心位置算出手段により算出できるとともに、車両の重心高さ位置を最終的に車両重心高さ位置算出手段により算出できるようになっており、後は車両の左右重心位置を算出できるようにすることで、車両重心の3次元位置を知ることができる。
【0050】
そして、本願請求項6の発明は、上記請求項1〜請求項5の車両重心位置計測装置に次の各構成を付加したものである。
【0051】
まず、左右に位置する2つのロードセル間の中心延長線に対する車輪位置検出器からの水平方向の垂直距離と被計量車両の左右車輪間の距離に関する情報とをそれぞれ記憶手段に記憶させておく。即ち、各ロードセルの設置位置や車輪位置検出器の設置位置は不変データであり、それらのデータから上記ロードセル間の中心延長線に対する車輪位置検出器からの水平方向の垂直距離を実測によりトラックスケール計量室のパソコンの記憶手段(ROM)に記憶させておく。又、被計量車両が契約車両の場合は、その車両の基本データ(プレート番号、空の車両重量、車軸数、左右車輪間の距離等)も予めパソコンに登録(記憶手段で記憶)されており、計量時に当該車両のプレート番号を入力することで、当該被計量車両の基本データを呼び出すことができる。尚、契約車両でない(基本データが登録されていない)被計量車両の場合は、計量前にその左右車輪間の距離に関する情報をパソコンにインプットすればよい。
【0052】
そして、この請求項6で使用される演算処理装置には、上記請求項1〜請求項5に備えている各種算出手段のほかに、後述する左右変位量算出手段と、左右輪重算出手段と、左右重心位置算出手段とをそれぞれ備えている。
【0053】
上記左右変位量算出手段は、被計量車両を計量台上に載せた状態での車輪位置検出器からの車輪位置情報に基いて左右の車輪間の中心延長線が左右のロードセル間の中心延長線に対して左右にどれだけ変位しているかを算出するものである。
【0054】
上記左右輪重算出手段は、被計量車両を計量台上に載せたときの各ロードセルからの検出値に基いて被計量車両における左右各側の車輪群のそれぞれの合計輪重を算出するものである。尚、この左右輪重算出手段は、左輪群全部の合計輪重を算出する左輪群輪重算出手段と、右輪群全部の合計輪重を算出する右輪群輪重算出手段との2つを有している。
【0055】
上記左右重心位置算出手段は、左右輪重算出手段で算出された左右の各合計輪重と左右変位量算出手段で算出された左右変位量とから車両重心位置が車両の左右方向のどの位置にあるかを算出するものである。
【0056】
尚、請求項6の演算処理装置における車両左右重心位置算出のための上記各算出手段による算出方法の詳細については、後述の実施例の項で詳しく説明する。
【0057】
本願請求項6の車両重心位置計測装置は、上記請求項1〜請求項5の機能(車両前後重心位置と車両重心高さ位置の両算出機能)に加えて車両左右重心位置の算出機能を有する。即ち、この請求項6の車両重心位置計測装置では、被計量車両が計量台上に載った状態で左右変位量算出手段により左右車輪間の中心延長線が左右ロードセル間の中心延長線に対して左右にどれだけ変位しているかを算出する一方、左右輪重算出手段により左右の各合計輪重をそれぞれ算出し、左右重心位置算出手段により上記左右の各合計輪重と上記左右変位量とから車両の左右重心位置を算出できるようになっている。
【0058】
従って、この請求項6の車両重心位置計測装置では、請求項1〜請求項5における車両前後重心位置と車両重心高さ位置の両算出に加えて車両左右重心位置も算出できる。即ち、被計量車両の重心位置を前後、左右、上下の3次元的に算出できる。
【発明の効果】
【0059】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の発明の車両重心位置計測装置は、上記構成により、トラックスケールによる被計量車両の計量と同時に、既存のトラックスケールでは不可能であった車両重心高さ位置の算出を行うことができるという効果がある。尚、車両重心高さが高くなるほど、走行時の横転危険度が高くなるが、このように車両の重心高さ位置を知ることは、道路走行時における車両の横転危険度を予知できるものであり、現状の車両が横転に関する安全性を確保しているかどうかを前以て知ることができるものである。
【0060】
又、本願請求項1の発明では、被計量車両の重心高さ位置を算出するのに、平坦面の前方位置に所定高さ段上げした前輪載せ台を設けた計量台と、前後車輪位置を検出する車輪位置検出器とをそれぞれ使用しているが、そのほかは演算処理装置に車両重心高さを算出するための各種算出手段を組込むだけで達成できるので、車両重心位置計測装置の構成が非常に簡単で安価に製作できるという効果もある。
【0061】
又、この請求項1の車両重心位置計測装置では、被計量車両の重心高さ位置算出の過程で前後重心位置算出手段により被計量車両の前後重心位置を算出でき、それによって積荷の前後偏荷重も認知することができる。
【0062】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明では、上記請求項1の車両重心位置計測装置において、被計量車両の車軸間距離を実測値に基いて車両傾斜角記憶手段に記憶しているが、該車軸間距離は実測値であるので正確である。
【0063】
従って、この請求項2の重心位置計測装置では、上記請求項1の効果のほかに、車両傾斜角算出手段で算出される車両傾斜角の基になる車軸間距離が正確であるので、信頼性の高い車両傾斜角を算出でき、それを基にして最終的に車両重心高さ位置算出手段で算出される車両重心高さ位置の算出値が信頼性の高いものとなるという効果がある。
【0064】
[本願請求項3の発明の効果]
本願請求項3の発明では、被計量車両の前輪軸重と後輪軸重とを別設の軸重計で計測しておき、被計量車両をトラックスケールで計量する前に、先に計測している前輪軸重と後輪軸重とを前輪軸重記憶手段と後輪軸重記憶手段にそれぞれ記憶させているので、トラックスケール上での実際の計量時に演算処理装置での前輪軸重と後輪軸重の算出が不要となる。
【0065】
従って、この請求項3の発明では、請求項1と同様に車両重心高さ位置の算出を行えるという効果のほかに、演算処理装置での前輪軸重と後輪軸重の算出が不要となる分、該演算処理装置の構成を簡略にすることができるという効果がある。
【0066】
[本願請求項4の発明の効果]
本願請求項4の発明は、トラックスケールによる計量前に、被計量車両の車軸間距離と前後各軸重をそれぞれ所定の記憶手段に記憶させているので、トラックスケール上での実際の計量時に演算処理装置での車軸間距離の算出と前後各輪重の算出とが不要となる。
【0067】
従って、この請求項4の発明では、請求項1と同様に車両重心高さ位置の算出を行えるという効果のほかに、演算処理装置での車軸間距離の算出と前後各輪重の算出とが不要となる分、請求項3のものより演算処理装置の構成を簡略にすることができるという効果がある。
【0068】
[本願請求項5の発明の効果]
本願請求項5の発明では、上記請求項1の車両重心位置計測装置において、前輪が前輪載せ台上に載ったときの車両傾斜角を、それぞれ不変データである被計量車両の車軸間距離(実測値)と計量台の前輪載せ台の段上げ高さ(実測値)とから求めて車両傾斜角記憶手段に記憶させているが、この車両傾斜角記憶手段に記憶させた車両傾斜角は、それぞれ実測値に基く車軸間距離と前輪載せ台高さとから求められているので正確である。
【0069】
従って、この請求項5の車両重心位置計測装置では、車軸間距離が同じ被計量車両しか適用できないものの、車両傾斜角記憶手段に記憶された車両傾斜角が正確であるので、上記請求項1の効果に加えて、最終的に車両重心高さ位置算出手段で算出される車両重心高さ位置の算出値が信頼性の高いものとなるという効果がある。
【0070】
[本願請求項6の発明の効果]
本願請求項6の発明の車両重心位置計測装置は、上記構成により、請求項1〜請求項5の上記機能(車両前後重心位置と車両重心高さ位置の両算出機能)のほかに車両左右重心位置も算出できるものである。尚、車両重心位置が左右に大きく変位するほど、走行時における横転危険度が高くなるが、このように車両重心位置の左右変位量を知ることは、車両重心高さ位置を認知することに加えて道路走行時における車両の横転危険度を予知するのに重要となるものである。
【0071】
従って、この請求項6の発明では、上記請求項1〜請求項5の効果に加えて、被計量車両の重心位置を前後、左右、上下の3次元的に算出できるので、道路走行時における車両の横転危険度を一層厳格に把握できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本願実施例の車両重心位置計測装置を備えたトラックスケールにおける被計量車両が計量台の平坦面上に載っている状態の平面図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】図1のIII−III矢視拡大図である。
【図4】図1の車両重心位置計測装置における被計量車両の位置算出方法説明図である。
【図5】図1のトラックスケールにおける被計量車両の前輪が計量台の前輪載せ台上に載っている状態の平面図である。
【図6】図1のVI−VI矢視図である。
【図7】図6の一部拡大図である。
【図8】本願実施例の車両重心位置計測装置の概略ブロック図である。
【図9】本願第1実施例の車両重心位置計測装置の詳細ブロック図である。
【図10】本願第2実施例の車両重心位置計測装置の詳細ブロック図である。
【図11】本願第3実施例の車両重心位置計測装置の詳細ブロック図である。
【図12】本願第4実施例の車両重心位置計測装置の詳細ブロック図である。
【図13】本願第5実施例の車両重心位置計測装置の詳細ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1〜図13を参照して本願実施例の車両重心位置計測装置を説明すると、この車両重心位置計測装置は、図1〜図7に示すトラックスケール1を使用する一方、図8(及び図9〜図13)に示す演算処理装置3を使用して、被計量車両5の重心位置を計測し得るようにしたものである。尚、図9は本願請求項1及び請求項6に対応する第1実施例の車両重心位置計測装置のブロック図であり、図10は本願請求項2及び請求項6に対応する第2実施例の車両重心位置計測装置のブロック図であり、図11は本願請求項3及び請求項6に対応する第3実施例の車両重心位置計測装置のブロック図であり、図12は本願請求項4及び請求項6に対応する第4実施例の車両重心位置計測装置のブロック図であり、図13は本願請求項5及び請求項6に対応する第5実施例の車両重心位置計測装置のブロック図である。
【0074】
まず、図1〜図8を参照してこの実施例で使用されるトラックスケール1の全体構成を説明する。
【0075】
トラックスケール1は、図1〜図3に示すように、前後に長い計量台10の四隅付近の下面にそれぞれロードセル13A〜13Dを設け、計量台10上に被計量車両5を載せたときの各ロードセル13A〜13Dからの検出値に基いて、図8に示す演算処理装置(CPU)3により被計量車両5の重量を計量し得るものである。
【0076】
この実施例では、車両重心位置の算出方法を理解し易くするために、ロードセル13A〜13Dは計量台10下面における前後左右の四隅付近に1個ずつ(合計4個)使用したものを採用し、被計量車両5の車輪51A〜51Dは前後左右の4輪のものを採用している。尚、各図において、符号52Aは前輪軸であり、符号52Bは後輪軸である。
【0077】
トラックスケール1の近くには管理室7があり、該管理室7には被計量車両5の計量に関する各種処理を行うコンピュータ2が設置されている。
【0078】
このコンピュータ2には、図8に示すように、演算処理装置(CPU)3のほかに、各種記憶手段(ROM、RAM)31,32、表示器(DISP)33、入力器(KEY)34等を有している。尚、ここでいうコンピュータ2とは、トラックスケール1における計量及び重心位置の計測に関する全処理を行うものである。
【0079】
そして、このトラックスケール1では、被計量車両5を計量台10上に載せると、図8に示すように各ロードセル(LC1〜LC4)13A〜13Dで検出した検出値がそれぞれ増幅器14で増幅された後、A/D変換器15でデジタル信号に変換されて演算処理装置(CPU)3に入力され、該演算処理装置3において各ロードセル13A〜13Dで検出された検出値(デジタル信号)を合算することで、被計量車両5の合計重量を表示器(DISP)33に表示できるようになっている。尚、表示器33に表示された各種データは、計量報告書としてプリントアウトできる。
【0080】
入力器(KEY)34はコンピュータ2のキーボードのことであり、該入力器34により、被計量車両5の基本データ(例えば、車番や車両の空重量等)をコンピュータ2の記憶手段(ROM)31に登録(記憶)できるようになっている。
【0081】
ところで、従来の一般的なトラックスケールでは、被計量車両における各輪重、各軸重、総重量等の重量に関する各種データを算出できるものの、走行時の横転作用に係わる車両の重心位置に関する計測はできないものであった。
【0082】
そこで、本願実施例の車両重心位置計測装置では、トラックスケール1の計量台10上において、各種重量のほかに被計量車両5の重心位置に関する各種データも算出し得るようにしている。
【0083】
この実施例の車両重心位置計測装置では、計量台10に後述の前輪載せ台12を付加している一方、計量台10上に載せられた被計量車両5の前輪位置A(例えば図2のA1又は図6のA2)と後輪位置B(例えば図2のB1又は図6のB2)を検出し得る車輪位置検出器8を有している。
【0084】
計量台10は、被計量車両5の全輪51A〜51Dを同時に載せ得る面積の平坦面11を有し、さらにその平坦面11の前方位置に該平坦面11より所定高さ段上げした前輪載せ台12を設けたものを使用している。計量台10の平坦面11は水平面である。又、前輪載せ台12の平坦面11からの段上げ高さH(図2、図6、図7参照)は、前輪載せ台12上に被計量車両5の前輪52A,52Bが乗降するときに過剰な衝撃(違和感)を受けない程度のものであり、特に限定するものではないが例えば10〜100mm程度の範囲の適宜の高さHに設定されている。尚、この前輪載せ台12の段上げ高さを高くする場合は、該前輪載せ台12の前後各端縁にスロープを設けるとよい。
【0085】
そして、被計量車両5の全輪51A〜51Dが計量台10の平坦面11上に載っている状態(図1、図2の状態)では、全輪51A〜51Dが同一高さに位置している一方、被計量車両5の前輪51A、51Bが計量台10の前輪載せ台12上に載っている状態(図5、図6の状態)では、前輪51A,51B(前輪軸52A)が後輪51C,51D(後輪軸52B)より高所にあって車両全体が若干角度θだけ後方側に下降傾斜するようになっている。
【0086】
車輪位置検出器8は、計量台10上に載せた被計量車両5の前輪位置と後輪位置とをそれぞれ検出し得るもので、光センサーからなる単一の距離センサーを使用している。そして、この車輪位置検出器8は、計量台10の左側方位置における被計量車両5の車輪中心高さと同高さの定位置において、図1及び図5に示すように前後水平方向の大角度範囲α(α=例えば150°〜160°)で揺動して、その揺動範囲の障害物(左側の各車輪51A,51C)を監視するようになっている。即ち、この車輪位置検出器8は、被計量車両5を計量台10上に停止させた状態(車両の停止位置は前後方向及び左右方向にそれぞれ不特定である)で、例えば前方側から後方側に揺動させていくと、図4に示すように左前輪51Aの前端部51Aaを検知したときにONになる一方、該左前輪51Aの後端部51Abから外れたときにOFF(非検知)になり、同様に左後輪51Cの前端部51Caを検知したときにONになる一方、該左後輪51Aの後端部51Cbから外れたときにOFF(非検知)になる。尚、車輪位置検出器8の前後揺動範囲αは、被計量車両5が計量台10上の後端寄りから前端寄りまでの広範囲の何れの位置にあっても前後各輪51A,51Cの位置をそれぞれ検出し得るように設定されている。
【0087】
そして、この車輪位置検出器8は、図4に示すように、それぞれON及びOFFになった時点での、車輪位置検出器8から車輪検知位置又は車輪非検知位置までの各距離E1〜E4と、車輪位置検出器8の前後延長線Rに対する各角度e1〜e4とをそれぞれ検出して、該各距離データ(E1〜E4)と該各角度データ(e1〜e4)を後述する演算処理装置3の所定算出手段(図9の第1実施例の場合では、前後変位量算出手段20、車軸間距離算出手段21、左右変位量算出手段27)にそれぞれ出力するようになっている。尚、図9の前後変位量算出手段20、車軸間距離算出手段21、左右変位量算出手段27での各算出方法は後述する。
【0088】
コンピュータ2の記憶手段(ROM)31には、このトラックスケール1に関する基本データが予め登録(記憶)されているが、このトラックスケール1に関する基本データのうち、後述の車両重心位置の計測に関するものとして、車輪位置検出器8からの前後各ロードセル13A,13Cまでの前後方向距離AL,BLと、左右各ロードセル13A,13B(又は13C,13D)間の中心延長線Pに対する車輪位置検出器8からの水平方向の垂直距離Mと、前輪載せ台12の高さHとをそれぞれ実測に基いて記憶手段(ROM)31に記憶させている。又、この記憶手段(ROM)31には、三角関数に関するデータテーブルが格納されている。
【0089】
又、この記憶手段(ROM)31には、被計量車両5が契約車両の場合は、その車両の基本データ(プレート番号、空の車両重量、車軸数、左右車輪間の距離Dを基にした左右車輪から被計量車両5の左右中心線Qに対する垂直距離1/2D等)も予め記憶手段(ROM)31に記憶されており、計量時に当該車両のプレート番号を入力することで、当該被計量車両5の基本データ(左右重心位置の算出には左右車輪から左右中心線Qに対する垂直距離1/2D)を呼び出すことができる。尚、契約車両でない(基本データが登録されていない)被計量車両5の場合は、計量前にその左右車輪間の距離Dを基にした左右車輪から被計量車両5の左右中心線Qに対する垂直距離1/2Dに関する情報がインプットされる。
【0090】
次に、図9〜図13に示す第1〜第5の各実施例の演算処理装置3について個別に説明する。
【0091】
[図9の第1実施例]
図9に示す第1実施例の演算処理装置3には、被計量車両5の重心位置を算出するための各種の算出手段(図9参照)を有している。即ち、この実施例では、被計量車両5の重心位置が前後方向、左右方向、及び上下方向の3次元方向のどの位置にあるのかを算出し得るようにしたものである。
【0092】
そして、該演算処理装置3(図9)には、前後重心位置を算出する算出手段として、前後変位量算出手段20と前輪軸重算出手段23Aと後輪軸重算出手段23Bと前後重心位置算出手段24を有し、重心高さ位置を算出する算出手段として、上記前後重心位置算出手段24と前後重心変位量算出手段25と車軸間距離算出手段21と車両傾斜角算出手段22と車両重心高さ位置算出手段26とを有し、左右重心位置を算出する算出手段として、左右変位量算出手段27と左輪群輪重算出手段28Aと右輪群輪重算出手段28Bと左右重心位置算出手段29とを有している。以下、上記各算出手段について詳細に説明する。
【0093】
「車軸間距離算出手段21」
まず、先に車軸間距離算出手段21について説明すると、この車軸間距離算出手段21は、被計量車両5を計量台10上に載せた状態で、図4に示すように車輪位置検出器8で検出された各距離データE1〜E4及び各角度データe1〜e4に基いて被計量車両5の前後車輪軸52A,52B間の距離Lを算出するものである。車軸間距離Lは、図4において、車輪位置検出器8から前輪軸52Aまでの前後方向距離L1と車輪位置検出器8から後輪軸52Bまで前後方向距離L2との合計距離であるが、該両距離L1,L2は車輪位置検出器8からの検出データに基いて車軸間距離算出手段21で次のように算出される。
【0094】
被計量車両5が計量台10上に載っている状態で、図4に示すように、車輪位置検出器8が前方側から揺動して該車輪位置検出器8が左側前輪51Aの前端部51Aaを検出した時点で、該車輪位置検出器8から左側前輪前端部51Aaまでの距離データE1と車輪位置検出器8の前後方向延長線Rに対する角度データe1とが車軸間距離算出手段21に出力されて、該車軸間距離算出手段21により車輪位置検出器8から左側前輪前端部51Aaまでの前後方向距離L1aが算出される(L1a=E1×cose1)。次に、車輪位置検出器8が左側前輪51Aの後端部51Abを検出した時点で、同様に該車輪位置検出器8から左側前輪後端部51Abまでの距離データE2と同角度データe2とが車軸間距離算出手段21に出力されて、該車軸間距離算出手段21により車輪位置検出器8から左側前輪後端部51Abまでの前後方向距離L1bが算出される(L1b=E2×cose2)。そして、車軸間距離算出手段21において(L1a+L1b)/2を計算することにより、車輪位置検出器8から前輪軸52A(位置A1)までの前後方向距離L1が算出される。
【0095】
他方、車輪位置検出器8がさらに後方側に揺動して、該車輪位置検出器8が左側後輪51Cの前端部51Caを検出した時点で、該車輪位置検出器8から左側後輪前端部51Caまでの距離データE3と同角度データe3とが車軸間距離算出手段21に出力されて、該車軸間距離算出手段21により車輪位置検出器8から左側後輪先端部51Caまでの前後方向距離L2aが算出される(L2a=E3×cose3)。次に、車輪位置検出器8が左側後輪51Cの後端部51Cbを検出した時点で、同様に該車輪位置検出器8から左側後輪後端部51Cbまでの距離データE4と同角度データe4とが車軸間距離算出手段21に出力されて、該車軸間距離算出手段21により車輪位置検出器8から左側後輪後端部51Cbまでの前後方向距離L2bが算出される(L2b=E4×cose4)。そして、車軸間距離算出手段21において(L2a+L2b)/2を計算することにより、車輪位置検出器8から後輪軸52Bまでの前後方向距離L2が算出される。
【0096】
そして、車軸間距離算出手段21は、最終的に上記L1+L2を計算することによって車軸間距離Lを算出するようになっている。
【0097】
尚、上記の各cos角については、記憶手段(ROM)31に格納されている三角関数のデータテーブルから読み出される。
【0098】
「前後変位量算出手段20」
この前後変位量算出手段20は、被計量車両5が計量台10上に載っている状態(図1、図2の場合及び図5、図6の場合)で、その被計量車両5が前後方向の基準位置(例えば前後のロードセル13A,13Cの位置)に対して前後にどれだけ変位しているかを算出するものである。
【0099】
尚、車輪位置検出器8から前側ロードセル13Aまでの前後方向距離ALと、車輪位置検出器8から後側ロードセル13Cまでの前後方向距離BLとは、予め記憶手段(ROM)31に記憶させている。
【0100】
そして、この前後変位量算出手段20による前後変位量算出方法は、次のように行われる。まず、被計量車両5が図2の位置(全輪51A〜51Dが計量台10の平坦面11上に載っている位置)にあるときには、上記車軸間距離Lの算出方法を援用して、車輪位置検出器8から前輪位置A1までの前後方向距離L1を算出し、記憶手段(ROM)31に記憶している車輪位置検出器8から前ロードセル13Aまでの前後方向距離ALから上記距離L1を減算して、前輪位置A1から前ロードセル13Aまでの距離AL1を求める一方、同様に車輪位置検出器8から後輪位置B1までの前後方向距離L2を算出し、記憶手段(ROM)31に記憶している車輪位置検出器8から後ロードセル13Cまでの前後方向距離BLから上記距離L2を減算して、後輪位置B1から後ロードセル13Cまでの距離BL1を求める。そして、この前後変位量算出手段20では、上記AL1と上記BL1の各距離を比較する(AL1:BL1)ことによって、計量台10上での被計量車両5の前後変位量を算出するようになっている。
【0101】
又、被計量車両5が図6の位置にあるときには、上記と同様に、車軸間距離Lの算出方法を援用して、車輪位置検出器8から前輪位置A2までの前後方向距離L3を算出し、記憶手段(ROM)31に記憶している車輪位置検出器8から前ロードセル13Aまでの前後方向距離ALから上記距離L3を減算して、前輪位置A1から前ロードセル13Aまでの前後方向距離AL2を求める一方、車輪位置検出器8から後輪位置B2までの前後方向距離L4を算出し、記憶手段(ROM)31に記憶している車輪位置検出器8から後側ロードセル13Cまでの前後方向距離BLから上記距離L4を減算して、後輪位置B2から後側ロードセル13Cまでの距離BL2を求める。そして、この前後変位量算出手段20では、上記AL2と上記BL2の各距離を比較する(AL2:BL2)ことによって、計量台10上での被計量車両5の前後変位量を算出できるようになっている。
【0102】
「前輪軸重算出手段23A及び後輪軸重算出手段23B」
この前輪軸重算出手段23Aと後輪軸重算出手段23Bは、被計量車両5が計量台10上に載った状態での各ロードセル13A〜13Dからの各検出値Wa〜Wdに基いて、前輪軸重(AW1又はAW2)と後輪軸重(BW1又はBW2)をそれぞれ算出するものである。
【0103】
尚、以下の説明では、左前ロードセル13Aで検出する重量をWaとし、右前ロードセル13Bで検出する重量をWbとし、左後ロードセル13Cで検出する重量をWcとし、右後ロードセル13Dで検出する重量をWdとするが、各ロードセル13A〜13Dで検出する各検出重量Wa〜Wdは、被計量車両5の計量台10への乗り上げ位置によってそれぞれ変化する。又、図2(全輪51A〜51Dが平坦面11上に載っている)において、符号AW1は左右の各前ロードセル13A、13Bでの各検出重量Wa、Wb(図1)の合計で前輪軸重を表すものであり、符号BW1は左右の各後ロードセル13C、13Dでの各検出重量Wc、Wdの合計で後輪軸重を表すものである。又、図6(前輪51A,51Bが前輪載せ台12上に載っている)において、符号AW2は左右の各前ロードセル13A、13Bでの各検出重量Wa、Wb(図6)の合計で前輪軸重を表すものであり、符号BW2は左右の各後ロードセル13C、13Dでの各検出重量Wc、Wdの合計で後輪軸重を表すものである。
【0104】
そして、前輪軸重算出手段23Aは、左前ロードセル13Aでの検出重量Waと右前ロードセル13Bでの検出重量Wbとを合計することで、現状位置での被計量車両5の前輪軸重(図2の状態では重量AW1、図6の状態では重量AW2)を算出し、後輪軸重算出手段23Bは、左後ロードセル13Cでの検出重量Wcと右後ロードセル13Dでの検出重量Wdとを合計することで、現状位置での被計量車両5の後輪軸重(図2の状態では重量BW1、図6の状態では重量BW2)を算出するようになっている。
【0105】
「前後重心位置算出手段24」
この前後重心位置算出手段24は、上記前輪軸重算出手段23A及び後輪軸重算出手段23Bでそれぞれ算出された前輪軸重(図2のAW1、又は図6のAW2)及び後輪軸重(図2のBW1、又は図6のBW2)と、上記前後変位量算出手段20で算出された被計量車両5の前後変位量(図2におけるAL1:BL1、又は図6におけるAL2:BL2)とから、計量台10上に載せている被計量車両5の前後重心位置G(又はG′)を求めるものである。
【0106】
そして、この前後重心位置算出手段24は、図2の状態及び図6の状態において、それぞれ次の計算を行うようになっている。
【0107】
まず、図2の状態においては、AW1/(AW1+BW1)を計算することにより、被計量車両5の重心Gが前ロードセル13Aから計量台10上の前後方向のどの位置にあるのか算出でき、その計量台10上での前ロードセル13Aからの重心Gまでの距離(AL1+AG)から先に前後変位量算出手段20で求めた前ロードセル13Aから前輪軸52Aまでの距離AL1を減算することで、被計量車両5における前輪軸52Aから重心位置Gまでの前後距離AGを算出することができる。
【0108】
又、同様に、図2において、BW1/(AW1+BW1)の計算(重心Gが後ロードセル13CからBL1+BGの前後距離にあることが算出される)と、該算出距離から先に前後変位量算出手段20で求めた後ロードセル13Cから後輪軸52Bまでの前後距離BL1を減算することで、被計量車両5における後輪軸52Bから重心位置Gまでの前後距離BGを算出することができる。
【0109】
そして、この前後重心位置算出手段24では、図2の状態において、上記AGとBGとから、AG/(AG+BG)及びBG/(AG+BG)を計算することで、被計量車両5の重心Gが前後車輪軸52A,52B間における前後方向のどの位置(AG:BG)にあるのかを算出できる。
【0110】
図2の状態での前後重心位置算出手段24で算出された被計量車両5の前後重心位置情報(AG:BG)は、記憶手段(RAM)32に記憶されて、後述の重心高さ位置算出のための情報として使用される。尚、この前後重心位置の表示としては、AG/(AG+BG)又はBG/(AG+BG)の各計算値で表してもよい。
【0111】
他方、図6の状態においては、AW2/(AW2+BW2)を計算することにより、被計量車両5の重心G′が前ロードセル13Aから計量台10上の前後方向のどの位置にあるのか算出でき、その計量台10上での前ロードセル13Aからの重心G′までの距離(AL2+AG′)から先に前後変位量算出手段20で求めた前ロードセル13Aから前輪軸52Aまでの距離AL2を減算することで、被計量車両5における前輪軸52Aから重心位置G′までの前後距離AG′を算出することができる。
【0112】
又、同様に、図6において、BW2/(AW2+BW2)の計算(重心G′が後ロードセル13CからBL2+BG′の距離にあることが算出される)と、該算出距離から先に前後変位量算出手段20で求めた後ロードセル13Cから後輪軸52Bまでの前後距離BL2を減算することで、被計量車両5における後輪軸52Bから重心位置G′までの前後距離BG′を算出することができる。
【0113】
そして、この前後重心位置算出手段24では、図6の状態において上記AG′とBG′とから、AG′/(AG′+BG′)及びBG′/(AG′+BG′)を計算することで、被計量車両5の重心G′が前後車輪軸52A,52B間における前後方向のどの位置(AG′:BG′)にあるのかを算出できる。尚、この前後重心位置の表示としては、AG′/(AG′+BG′)又はBG′/(AG′+BG′)の各計算値で表してもよい。
【0114】
尚、前輪51A,51Bが前輪載せ台12上に載っている状態(図6の状態)では、被計量車両5が僅かではあるが後方に下降傾斜するので、図6の状態での水平前後方向の車軸間距離(AG′+BG′)は、図2の状態での車軸間距離L(AG+BG)より極めて僅かではあるが短くなっている。
【0115】
「車両傾斜角算出手段22」
この車両傾斜角算出手段22は、図5及び図6に示すように、被計量車両5の前輪51A,51Bが計量台10の前輪載せ台12上に載った状態での車両傾斜角θ(図6、図7)を算出するものである。
【0116】
尚、この車両傾斜角算出手段22は、実際には前輪載せ台12上に載っている前輪51Aの下端面と平坦面11上に載っている後輪51Cの下端面とを結ぶ直線が、水平面である平坦面11に対して前後方向にどれだけ傾斜しているのか算出するもので、後述する車両重心高さ位置を算出するのに必要なものである。
【0117】
この車両傾斜角算出手段22では、先に車軸間距離算出手段21で算出された車軸間距離Lと、予め記憶手段(ROM)31に記憶させている前輪載せ台12の高さHとから、
H/Lに対応するsin角(θ)を記憶手段(ROM)31に格納している三角関数のデータテーブルから求める。尚、この車両傾斜角算出手段22で算出する車両傾斜角θは、被計量車両5の重心高さ位置を求めるために必要なものであり、後述の車両重心高さ位置算出手段26で利用される。
【0118】
「前後重心変位量算出手段25」
この前後重心変位量算出手段25は、記憶手段(RAM)32で記憶している図2の状態での前後重心位置情報(例えばBGの前後距離)と、図6の状態で新たに算出された前後重心位置情報(例えばBG′の前後距離)とを比較して、図7に示すように前後方向の重心変位量T(BG−BG′)を算出するものである。
【0119】
尚、図6の状態での前後重心位置G′は、前輪51A,51Bが前輪載せ台12上に載っている(車両が後方側に下降傾斜している)関係で、全輪51A〜51Dが平坦面11上に載っているときの前後重心位置G(図2)より車両傾斜角θ分だけ後側に変位するが、そのとき図7に符号Tで示す前後方向の重心変位量が発生する。
【0120】
「車両重心高さ位置算出手段26」
この車両重心高さ位置算出手段26は、前後重心変位量算出手段25で算出された前後重心変位量T(図7のBG−BG′)と、車両傾斜角算出手段22で算出された車両傾斜角θとに基いて被計量車両5の重心高さ位置G1(図7)を算出するものである。
【0121】
この車両重心高さ位置算出手段26による重心高さ位置G1(図7)の具体的な算出方法は、次の通りである。
【0122】
即ち、この車両重心高さ位置算出手段26には、前後重心変位量算出手段25で算出された前後重心変位量T(図7のBG−BG′)と、車両傾斜角算出手段22で算出された車両傾斜角θとが入力されるが、求める重心高さ位置G1は、T/tanθの算式で計算できる。尚、tanθは、記憶手段(ROM)31に格納している三角関数のデータテーブルから読み出される。
【0123】
「左右変位量算出手段27」
この左右変位量算出手段27は、計量台10上に載せた被計量車両5が該計量台10に対して左右にどれだけ変位しているかを算出するものであるが、この左右変位量算出手段27による算出に要する基本データとして、左右に位置する2つのロードセル13A,13B(又は13C,13D)間の中心延長線Pに対する車輪位置検出器8からの水平方向の垂直距離Mと、被計量車両5の左右の各車輪51A,51B(又は51C,51D)間の間隔Dを基にした左右車輪から被計量車両5の左右中心線Qに対する垂直距離1/2Dに関する情報とがそれぞれ記憶手段(ROM)31に記憶されている。
【0124】
そして、この左右変位量算出手段27は、計量台10上に載せた被計量車両5の左右中心線Qが左右のロードセル間の中心延長線Pに対して左右にどれだけ変位しているのか、その左右変位量Sを算出するものであり、次のような手順で計算される。
【0125】
まず、図4に示すように、車輪位置検出器8で左側車輪51A(又は51C)を検出したときの、車輪位置検出器8から車輪検出位置(左側前輪前端部51Aaで説明する)までの距離データE1と、そのときの車輪位置検出器8の前後延長線Rに対する角度データe1とにより、該左側前輪前端部51Aaから車輪位置検出器8の前後延長線Rまでの垂直距離N1を計算する。この垂直距離N1の計算は、N1=E1×sine1で求めることができる。尚、sine1は、記憶手段(ROM)31に格納している三角関数のデータテーブルから読み出される。
【0126】
そして、左右変位量算出手段27において、上記N1+上記1/2Dにより、車輪位置検出器8の前後延長線Rと計量台10上に載っている被計量車両5の左右中心線Qまでの距離Nを計算し、さらに該距離Nと、記憶手段(ROM)31に記憶している左右ロードセル間の中心延長線Pと車輪位置検出器8の前後延長線R間の距離Mとを基に、M−Nを計算することにより、計量台10上に載せている被計量車両5(左右中心線Q)が左右ロードセル間の中心延長線Pに対して左右にどれだけ変位(左右変位量S)しているか算出できるようになっている。尚、上記Nが上記Mより大きい(M<N)場合は、車輪位置検出器8の前後延長線Rを基準にして、被計量車両5の左右中心線Qが左右ロードセル間の左右中心線Pより遠い側に位置していることを意味し、上記左右変位量Sが負(−)の値となる。
【0127】
「左輪群輪重算出手段28A」
この左輪群輪重算出手段28Aは、被計量車両5を計量台10上に載せたときの、左前ロードセル13Aと左後ロードセル13Cからの各検出値Wa,Wcを合算する(Wa+Wc)ことで被計量車両5における左側車輪群(51Aと51C)の合計輪重を算出するものである。尚、左前ロードセル13Aと左後ロードセル13Cからの各検出値Wa,Wc(図1)を合算したものを、図3においてLWと表示している。
【0128】
「右輪群輪重算出手段28B」
この右輪群輪重算出手段28Bは、被計量車両5を計量台10上に載せたときの、右前ロードセル13Bと右後ロードセル13Dからの各検出値Wb,Wdを合算する(Wb+Wd)ことで被計量車両5における右側車輪群(51Bと51D)の合計輪重を算出するものである。尚、右前ロードセル13Bと右後ロードセル13Dからの各検出値Wa,Wc(図1)を合算したものを、図3においてRWと表示している。
【0129】
「左右重心位置算出手段29」
この左右重心位置算出手段29は、上記左輪群輪重算出手段28A及び右輪群輪重算出手段28Bで算出された左右の各合計輪重(Wa+Wc=LW及びWb+Wd=RW)と、左右変位量算出手段27で算出された左右変位量Sとから車両重心位置Gが車両の左右方向のどの位置にあるかを算出するものである。
【0130】
即ち、この左右重心位置算出手段29では、図3の状態において、左右の各合計輪重の比(LW:RW)により、重心Gから左ロードセル13Cまでの左右距離LLと該重心Gから右ロードセル13Dまでの左右距離RLを計算し、さらに(LL−RL)/2により計量台10の左右中心線Pから重心Gまでの左右変位量S1を計算するとともに、S+S1を計算することにより、被計量車両5の左右中心線Qから重心Gまでの左右変位距離G2を計算するようになっている。
【0131】
尚、表示器33に対して被計量車両5の左右重心位置を表示するのに、車両の左右中心線Qからの上記左右変位距離G2で表してもよいが、該左右変位距離G2を基にして左右の各車輪51C,51Dから重心Gまでの各左右距離LG,RGに換算して表してもよい。
【0132】
第1実施例(図9)の車両重心位置計測装置は、次のように機能する。尚、この実施例のトラックスケール1では、被計量車両5は、図1において後方側から計量台10上に進入するものである。
【0133】
そして、図1及び図2に示すように、被計量車両5の全輪51A〜51Dが計量台10の平坦面11上に載った状態で、各ロードセル13A〜13Dからの各検出値Wa〜Wdに基いて演算処理装置3により被計量車両5の総重量を計測する一方、図9に示す車両重心位置計測装置によって、まず被計量車両5の前後重心位置と左右重心位置とをそれぞれ算出する。
【0134】
即ち、被計量車両5の前後重心位置の算出は、車輪位置検出器8からの車輪位置情報に基いて前後変位量算出手段20で算出された前後変位量と、前輪軸重算出手段23A及び後輪軸重算出手段23Bでそれぞれ算出された前輪軸重AW1及び後輪軸重BW1とから、前後重心位置算出手段24で上記したように算出される。尚、この前後重心位置算出手段24で算出された前後重心位置情報(AG:BG)又はAG/(AG+BG)は、重心高さ位置算出用のデータと表示器33への出力のために記憶手段(RAM)32に記憶される。
【0135】
又、被計量車両5の左右重心位置の算出は、車輪位置検出器8からの車輪位置情報に基いて左右変位量算出手段27で算出された左右変位量と、左輪群輪重算出手段28A及び右輪群輪重算出手段28Bでそれぞれ算出された左輪群輪重LW及び右輪群輪重RWとから、左右重心位置算出手段29で上記したように算出される。尚、この左右重心位置算出手段29で算出された左右重心位置情報(LG:RG)も、表示器33への出力のために記憶手段(RAM)32に記憶される。
【0136】
そして、被計量車両5の重心高さ位置G1(図7)を計測するには、被計量車両5を図1及び図2に示す平坦面11上から前進させて、図5及び図6に示すように前輪51A,51Bが前輪載せ台12上に載った状態で停止させる。
【0137】
すると、前後重心位置算出手段24により前輪が前輪載せ台12上にある車両5の前後重心位置を新たに算出し、その新たな前後重心位置情報(AG′:BG′)と記憶手段32で記憶している先の前後重心位置情報(AG:BG)とを比較してその前後重心変位量Tを前後重心変位量算出手段25で算出し、その前後重心変位量Tと前輪が前輪載せ台12上に載った状態での車両傾斜角θとに基いて車両重心高さ位置算出手段26により車両重心高さ位置G1(図7)を算出できるようになっている。
【0138】
このように、第1実施例の重心位置計測装置では、被計量車両5の重心高さ位置を算出するのに、計量台(平坦面11)の前方位置に所定高さ段上げした前輪載せ台12が必要であるが、この前輪載せ台12は極めて簡単な構成である。又、車輪位置検出器8による前後車輪位置の検出も比較的簡単に行える。そして、それ以外の構成は、演算処理装置3に上記各種の算出手段を組込むだけでよいので、全体として簡単に構成で被計量車両の重心高さ位置(図7のG1)を計測できるものである。
【0139】
又、この第1実施例(図9)の重心位置計測装置では、演算処理装置3に前後車軸間の距離を算出する車軸間距離算出手段21を設けているので、被計量車両5の重心高さ位置を算出するのに必要な前後の車軸間距離Lを該車軸間距離算出手段21により自動で算出できる。
【0140】
[図10の第2実施例]
図10に示す第2実施例の車両重心位置計測装置は、被計量車両5の前後の車軸間距離Lが予め判っている場合に適用できるものである。
【0141】
そして、この第2実施例(図10)の車両重心位置計測装置は、上記第1実施例(図9)の車両重心位置計測装置における車軸間距離算出手段21に代えて、予め判っている被計量車両5の車軸間距離L(例えば図2の距離L)を車軸間距離記憶手段211に記憶させておき、該車軸間距離記憶手段211に記憶させた車軸間距離Lを車両傾斜角算出手段22において車両傾斜角算出用に利用している。尚、この第2実施例(図10)の車両重心位置計測装置におけるその他の構成は、上記第1実施例(図9)のものとほぼ同様である。
【0142】
この第2実施例の車両重心位置計測装置では、被計量車両5が登録車両の場合は予め前後の車軸間距離Lも他のデータとともに記憶させておき、被計量車両5が非登録車両の場合は計量直前にその都度、当該車両の車軸間距離L(車検証等に記載されている実測値)を入力器((図8のキーボード)34から入力して車軸間距離記憶手段211に記憶させる。
【0143】
そして、この第2実施例の車両重心位置計測装置では、上記第1実施例に対して被計量車両5の車軸間距離Lに関する情報の入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置3により上記第1実施例と同様の算出処理が行われて、被計量車両5の重心位置を前後・左右・上下の3次元的に表し得るようになっている。
【0144】
又、この第2実施例(図10)の車両重心位置計測装置では、予め判っている正確な車軸間距離L(実測値)を入力することで車軸間距離記憶手段211に記憶させるので、上記第1実施例(図9)の場合のように車輪位置検出器8からの車輪位置情報(検出誤差が生じることがある)に基いて車軸間距離算出手段21で算出する場合より、正確な車軸間距離データを提供できる。
【0145】
従って、この第2実施例の重心位置計測装置では、車両傾斜角算出手段22で算出される車両傾斜角θの基になる車軸間距離Lが正確であるので、信頼性の高い車両傾斜角θを算出でき、それを基にして最終的に車両重心高さ位置算出手段26で算出される車両重心高さ位置G1(図3、図7)の算出値が信頼性の高いものとなる。
【0146】
[図11の第3実施例]
図11に示す第3実施例の車両重心位置計測装置は、被計量車両5の前後各軸重(前輪軸重と後輪軸重)をトラックスケール1とは別設の軸重計(例えばマットスケール)で計測する場合に適用できるものである。
【0147】
そして、この第3実施例(図11)の車両重心位置計測装置は、上記第1実施例(図9)における前輪軸重算出手段23Aと後輪軸重算出手段23Bに代えて、被計量車両5の前輪軸重と後輪軸重とを別設の軸重計で計測しておき、その軸重計で計測した前輪軸重と後輪軸重とをトラックスケール1での計量前に入力器(図8のキーボード)34に入力して、それぞれ前輪軸重記憶手段231Aと後輪軸重記憶手段231Bに記憶させておく。この場合、別設の軸重計で前輪軸重と後輪軸重とを計測するので、演算処理装置3において前後各軸重を算出する必要がない。尚、この第3実施例(図11)の車両重心位置計測装置におけるその他の構成は、上記第1実施例(図9)のものとほぼ同様である。
【0148】
この第3実施例の車両重心位置計測装置では、被計量車両5を計量台10上で計量する際に、前輪軸重記憶手段231Aと後輪軸重記憶手段231Bにそれぞれ記憶させた被計量車両5の前輪軸重及び後輪軸重と、車輪位置検出器8からの車輪位置情報に基いて前後変位量算出手段20で算出された前後変位量とから、前後重心位置算出手段24により被計量車両5の前後重心位置を算出するようになっている。
【0149】
そして、この第3実施例の車両重心位置計測装置では、上記第1実施例に対して被計量車両5の前後各軸重に関する情報の入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置3により上記第1実施例と同様の算出処理が行われて、被計量車両5の重心位置を前後・左右・上下の3次元的に表し得るようになっている。
【0150】
又、この第3実施例の車両重心位置計測装置では、被計量車両5の前輪軸重と後輪軸重とを別設の軸重計で計測し、その前後各輪重をそれぞれ前輪軸重記憶手段231Aと後輪軸重記憶手段231Bに記憶させているので、計量台10上での実際の計量時に演算処理装置3で前後各軸重を算出する必要がなく、その分、演算処理装置3の構成を簡略にできる。
【0151】
[図12の第4実施例]
図12に示す第4実施例の車両重心位置計測装置は、上記第1実施例(図9)における車軸間距離算出手段21を上記第2実施例(図10)の車軸間距離記憶手段211に変更しているとともに、上記第1実施例(図9)における前輪軸重算出手段23Aと後輪軸重算出手段23Bとを上記第3実施例(図11)の前輪軸重記憶手段231A及び後輪軸重記憶手段231Bに変更したものである。
【0152】
即ち、この第4実施例の車両重心位置計測装置では、第1実施例(図9)の演算処理装置3に備えている車軸間距離算出手段21に代えて車軸間距離記憶手段211を採用し、予め判っている被計量車両5の車軸間距離(実測値)を該車軸間距離記憶手段211に記憶させる一方、第1実施例(図9)の演算処理装置3に備えている前輪軸重算出手段23A及び後輪軸重算出手段23Bに代えて前輪軸重記憶手段231A及び後輪軸重記憶手段231Bを採用し、別設の軸重計で計測した前輪軸重と後輪軸重とをそれぞれ前輪軸重記憶手段231A及び後輪軸重記憶手段231Bに記憶させるようにしている。
【0153】
そして、この第4実施例の車両重心位置計測装置では、被計量車両5の計量時において、車軸間距離記憶手段211に記憶している車軸間距離情報に基いて、図5及び図6に示すように前輪51A,51Bが計量台10の前輪載せ台12上に載ったときの車両傾斜角θを車両傾斜角算出手段22で算出する一方、前輪軸重記憶手段231Aと後輪軸重記憶手段231Bにそれぞれ記憶させた前輪軸重及び後輪軸重と、前後変位量算出手段20で算出された前後変位量とから、前後重心位置算出手段24により被計量車両5の前後重心位置を算出するようにしている。尚、この第4実施例におけるその他の構成は、上記第1実施例(図9)のものとほぼ同様である。
【0154】
そして、この第4実施例の車両重心位置計測装置では、上記第1実施例(図9)に対して、被計量車両5における、車軸間距離に関する情報と、前輪軸重及び後輪軸重に関する情報の各入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置3により上記第1実施例と同様の算出処理が行われて、被計量車両5の重心位置を前後・左右・上下の3次元的に表し得るようになっている。
【0155】
この第4実施例の車両重心位置計測装置では、計量台10上での実際の計量時に、演算処理装置3で車軸間距離及び前後各軸重を算出する必要がなく、その分、演算処理装置3の構成を一層簡略にできる。
【0156】
[図13の第5実施例]
図13に示す第5実施例の車両重心位置計測装置は、前後の車軸間距離Lが同じ車種の被計量車両5の重心位置を計測する場合に適用できるものである。
【0157】
そして、この第5実施例(図13)の車両重心位置計測装置では、上記第1実施例〜第4実施例(図9〜図12)の車両重心位置計測装置における車両傾斜角算出手段22で算出される車両傾斜角θを、それぞれ不変データである被計量車両5の車軸間距離L(実測値)と計量台10の前輪載せ台12の段上げ高さH(実測値)とから求めて車両傾斜角記憶手段221(図13)に予め記憶させておき、該車両傾斜角記憶手段221で記憶させた車両傾斜角θを車両重心高さ位置算出手段26において車両重心高さ位置算出用に利用している。尚、この第5実施例の車両重心位置計測装置におけるその他の構成は、上記第1実施例(図9)又は第2実施例(図10)のものとほぼ同様である。
【0158】
この第5実施例(図13)の車両重心位置計測装置では、前後の車軸間距離Lが全て同じ被計量車両5における各車両ごとの重心高さ位置G1(図3、図7)をそれぞれ計測するものであるが、この場合は各被計量車両5の車軸間距離Lが同じであるので、それぞれ不変データである車軸間距離Lと前輪載せ台12の段上げ高さH(それぞれ実測値)とから、前輪51A,51Bが前輪載せ台12上に載った状態での車両傾斜角θを求めて、該車両傾斜角θを車両傾斜角記憶手段221に記憶させている。
【0159】
そして、この第5実施例(図13)の車両重心位置計測装置では、上記第1実施例〜第4実施例(図9〜図12)における上記車両傾斜角θに関する情報の入手方法が異なるものの、その他は演算処理装置3により上記第1実施例〜第4実施例と同様の算出処理が行われて、被計量車両5の重心位置を前後・左右・上下の3次元的に表し得るようになっている。
【0160】
尚、図13の第5実施例では、車両傾斜角記憶手段221を第1実施例(図9)のものに組み込んでいるが、第2実施例〜第4実施例(図10〜図12)のいずれかのものに組み込むこともできる。
【0161】
この第5実施例の車両重心位置計測装置では、前輪51A,51Bが前輪載せ台12上に載ったときの車両傾斜角θ(図6、図7)を、それぞれ不変データである被計量車両5の車軸間距離L(実測値)と計量台の前輪載せ台12の段上げ高さH(実測値)とから求めて車両傾斜角記憶手段221に記憶させているが、この車両傾斜角記憶手段221に記憶させた車両傾斜角θは、それぞれ実測値に基く車軸間距離Lと前輪載せ台高さHとから求められているので正確である。
【0162】
従って、この第5実施例(図13)の車両重心位置計測装置では、車軸間距離Lが同じ被計量車両5しか適用できないものの、車両傾斜角記憶手段221に記憶された車両傾斜角θが正確であるので、最終的に車両重心高さ位置算出手段26で算出される車両重心高さ位置G1(図3、図7)の算出値が信頼性の高いものとなる。
【0163】
ところで、上記第1〜第5の各実施例のように、車両の重心位置Gを知ることは、道路走行時における車両の横転危険度を予知できるものであり、現状の車両が横転に関する安全性を確保しているかどうかを前以て知ることができる。
【0164】
そして、本願の各実施例の重心位置計測装置では、被計量車両5の重心位置Gを前後、左右、上下の3次元的に算出できるので、道路走行時における車両の横転危険度を一層厳格に把握できる。
【0165】
又、本願の各実施例では、車輪位置検出器8として計量台10の片側にのみ設置して、左右片側の車輪位置のみを検出するようにしているが、他の実施例では該車輪位置検出器8を計量台10の左右両側(合計2台)に設置することもできる。その場合(車輪位置検出器8を左右2台使用した場合)は、左右各側から左右の車輪の位置情報を検出できるので、計量台10上の被計量車両5の左右変位量Sを算出するのに、予め左右の車輪間の距離Dを記憶手段(ROM)31に記憶させておく必要がない。
【0166】
又、上記の各実施例では、被計量車両5として、前後2軸(合計4輪)のものを採用しているが、前後に3軸以上の車両でも、本願実施例の重心位置計測装置の基本思想を基にして被計量車両5の重心位置Gを3次元的に算出することができる。尚、3軸以上の車両では、車輪位置検出器8における検出対象車輪を最前輪のものと最後輪のものとする。
【0167】
さらに、ロードセルを前後の間に左右一対付加したもの(例えば6個のロードセルを使用したもの)では、その前後中間に位置するロードセルで検出された重量値を前後いずれかのロードセルで検出された重量値に加算して、各種の算出を行うようにする。
【符号の説明】
【0168】
1はトラックスケール、2はコンピュータ、3は演算処理装置、5は被計量車両、8は車輪位置検出器、10は計量台、11は平坦面、12は前輪載せ台、13A〜13Dはロードセル、20は前後変位量算出手段、21は車軸間距離算出手段、22は車両傾斜角算出手段、23Aは前輪軸重算出手段、23Bは後輪軸重算出手段、24は前後重心位置算出手段、25は前後重心変位量算出手段、26は車両重心高さ位置算出手段、27は左右変位量算出手段、28Aは左輪群輪重算出手段、28Bは右輪群輪重算出手段、29は左右重心位置算出手段、31は記憶手段(ROM)、32は記憶手段(RAM)、51A〜51Dは車輪、52A,52Bは車輪軸、211は車軸間距離記憶手段、221は車両傾斜角記憶手段、231Aは前輪軸重記憶手段、231Bは後輪軸重記憶手段、A1,A2は前輪位置、B1,B2は後輪位置である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量台(10)の四隅付近の下面にそれぞれロードセル(13A〜13D)を設け、上記計量台(10)上に被計量車両(5)を載せたときの各ロードセル(13A〜13D)からの検出値に基いて演算処理装置(3)により被計量車両(5)の重量を計量し得るようにしたトラックスケールにおいて、
上記計量台(10)は、被計量車両(5)の全輪(51A〜51D)を同時に載せ得る面積の平坦面(11)とその平坦面(11)の前方位置に該平坦面(11)より所定高さ段上げした前輪載せ台(12)を設けたものを使用する一方、
上記計量台(10)上に載せられた被計量車両(5)の前輪位置と後輪位置を検出し得る車輪位置検出器(8)を有し、
上記演算処理装置(3)は、
被計量車両(5)を計量台(10)上に載せた状態での上記車輪位置検出器(8)からの車輪位置情報に基いて被計量車両(5)が前後方向の基準位置から前後にどれだけ変位しているかを算出する前後変位量算出手段(20)と、
上記車輪位置検出器(8)で検出した前輪位置と後輪位置とから前後の車軸間の距離(L)を算出する車軸間距離算出手段(21)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態において上記車軸間距離算出手段(21)で算出された車軸間距離(L)と上記前輪載せ台(12)の高さ(H)とから被計量車両(5)の前後傾斜角(θ)を算出する車両傾斜角算出手段(22)と、
上記各ロードセル(13A〜13D)からの検出値(Wa〜Wd)に基いて現状位置での前輪軸重と後輪軸重とをそれぞれ算出する前輪軸重算出手段(23A)及び後輪軸重算出手段(23B)と、
上記前輪軸重算出手段(23A)及び上記後輪軸重算出手段(23B)でそれぞれ算出された前輪軸重及び後輪軸重と上記前後変位量算出手段(20)で算出された前後変位量とから車両重心位置(G又はG′)が車両前後方向のどの位置にあるかを算出する前後重心位置算出手段(24)と、
被計量車両(5)の全輪が計量台(10)の平坦面(11)上に載っている状態での上記前後重心位置算出手段(24)で算出された前後重心位置情報を記憶する記憶手段(32)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態での上記前後重心位置算出手段(24)で新たに算出された前後重心位置情報と上記記憶手段(32)で記憶している平坦面(11)上での上記前後重心位置情報とを比較してその前後重心変位量(T)を算出する前後重心変位量算出手段(25)と、
上記前後重心変位量算出手段(25)で算出された前後重心変位量(T)と上記車両傾斜角算出手段(22)で算出された車両傾斜角(θ)とに基いて被計量車両(5)の重心高さ位置(G1)を算出する車両重心高さ位置算出手段(26)、
とをそれぞれ備えている、
ことを特徴とするトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置。
【請求項2】
計量台(10)の四隅付近の下面にそれぞれロードセル(13A〜13D)を設け、上記計量台(10)上に被計量車両(5)を載せたときの各ロードセル(13A〜13D)からの検出値に基いて演算処理装置(3)により被計量車両(5)の重量を計量し得るようにしたトラックスケールにおいて、
上記計量台(10)は、被計量車両(5)の全輪(51A〜51D)を同時に載せ得る面積の平坦面(11)とその平坦面(11)の前方位置に該平坦面(11)より所定高さ段上げした前輪載せ台(12)を設けたものを使用する一方、
上記計量台(10)上に載せられた被計量車両(5)の前輪位置と後輪位置を検出し得る車輪位置検出器(8)を有し、
計量すべき被計量車両(5)の前後の車軸間の距離(L)が予め判っている場合に該被計量車両(5)の車軸間距離(L)を記憶する車軸間距離記憶手段(211)を設けているとともに、
上記演算処理装置(3)は、
被計量車両(5)を計量台(10)上に載せた状態での上記車輪位置検出器(8)からの車輪位置情報に基いて被計量車両(5)が前後方向の基準位置から前後にどれだけ変位しているかを算出する前後変位量算出手段(20)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態において上記車軸間距離記憶手段(211)で記憶している車軸間距離(L)と上記前輪載せ台(12)の高さ(H)とから被計量車両(5)の前後傾斜角(θ)を算出する車両傾斜角算出手段(22)と、
上記各ロードセル(13A〜13D)からの検出値(Wa〜Wd)に基いて現状位置での前輪軸重と後輪軸重とをそれぞれ算出する前輪軸重算出手段(23A)及び後輪軸重算出手段(23B)と、
上記前輪軸重算出手段(23A)及び上記後輪軸重算出手段(23B)でそれぞれ算出された前輪軸重及び後輪軸重と上記前後変位量算出手段(20)で算出された前後変位量とから車両重心位置(G又はG′)が車両前後方向のどの位置にあるかを算出する前後重心位置算出手段(24)と、
被計量車両(5)の全輪が計量台(10)の平坦面(11)上に載っている状態での上記前後重心位置算出手段(24)で算出された前後重心位置情報を記憶する記憶手段(32)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態での上記前後重心位置算出手段(24)で新たに算出された前後重心位置情報と上記記憶手段(32)で記憶している平坦面(11)上での上記前後重心位置情報とを比較してその前後重心変位量(T)を算出する前後重心変位量算出手段(25)と、
上記前後重心変位量算出手段(25)で算出された前後重心変位量(T)と上記車両傾斜角算出手段(22)で算出された車両傾斜角(θ)とに基いて被計量車両(5)の重心高さ位置(G1)を算出する車両重心高さ位置算出手段(26)、
とをそれぞれ備えている、
ことを特徴とするトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置。
【請求項3】
計量台(10)の四隅付近の下面にそれぞれロードセル(13A〜13D)を設け、上記計量台(10)上に被計量車両(5)を載せたときの各ロードセル(13A〜13D)からの検出値に基いて演算処理装置(3)により被計量車両(5)の重量を計量し得るようにしたトラックスケールにおいて、
上記計量台(10)は、被計量車両(5)の全輪(51A〜51D)を同時に載せ得る面積の平坦面(11)とその平坦面(11)の前方位置に該平坦面(11)より所定高さ段上げした前輪載せ台(12)を設けたものを使用する一方、
上記計量台(10)上に載せられた被計量車両(5)の前輪位置と後輪位置を検出し得る車輪位置検出器(8)を有し、
計量すべき被計量車両(5)の前輪軸重と後輪軸重とを別設の軸重計で計測した場合の該前輪軸重と後輪軸重とをそれぞれ記憶する前輪軸重記憶手段(231A)と後輪軸重記憶手段(231B)を設けているとともに、
上記演算処理装置(3)は、
被計量車両(5)を計量台(10)上に載せた状態での上記車輪位置検出器(8)からの車輪位置情報に基いて被計量車両(5)が前後方向の基準位置から前後にどれだけ変位しているかを算出する前後変位量算出手段(20)と、
上記車輪位置検出器(8)で検出した前輪位置と後輪位置とから前後の車軸間の距離(L)を算出する車軸間距離算出手段(21)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態において上記車軸間距離算出手段(21)で算出された車軸間距離(L)と上記前輪載せ台(12)の高さ(H)とから被計量車両(5)の前後傾斜角(θ)を算出する車両傾斜角算出手段(22)と、
上記前輪軸重記憶手段(231A)で記憶している前輪軸重と上記後輪軸重記憶手段(231B)で記憶している後輪軸重と上記前後変位量算出手段(20)で算出された前後変位量とから車両重心位置(G又はG′)が車両前後方向のどの位置にあるかを算出する前後重心位置算出手段(24)と、
被計量車両(5)の全輪が計量台(10)の平坦面(11)上に載っている状態での上記前後重心位置算出手段(24)で算出された前後重心位置情報を記憶する記憶手段(32)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態での上記前後重心位置算出手段(24)で新たに算出された前後重心位置情報と上記記憶手段(32)で記憶している平坦面(11)上での上記前後重心位置情報とを比較してその前後重心変位量(T)を算出する前後重心変位量算出手段(25)と、
上記前後重心変位量算出手段(25)で算出された前後重心変位量(T)と上記車両傾斜角算出手段(22)で算出された車両傾斜角(θ)とに基いて被計量車両(5)の重心高さ位置(G1)を算出する車両重心高さ位置算出手段(26)、
とをそれぞれ備えている、
ことを特徴とするトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置。
【請求項4】
計量台(10)の四隅付近の下面にそれぞれロードセル(13A〜13D)を設け、上記計量台(10)上に被計量車両(5)を載せたときの各ロードセル(13A〜13D)からの検出値に基いて演算処理装置(3)により被計量車両(5)の重量を計量し得るようにしたトラックスケールにおいて、
上記計量台(10)は、被計量車両(5)の全輪(51A〜51D)を同時に載せ得る面積の平坦面(11)とその平坦面(11)の前方位置に該平坦面(11)より所定高さ段上げした前輪載せ台(12)を設けたものを使用する一方、
上記計量台(10)上に載せられた被計量車両(5)の前輪位置と後輪位置を検出し得る車輪位置検出器(8)を有し、
計量すべき被計量車両(5)の前後の車軸間の距離(L)が予め判っている場合に該被計量車両(5)の車軸間距離(L)を記憶する車軸間距離記憶手段(211)を設け、
さらに計量すべき被計量車両(5)の前輪軸重と後輪軸重とを別設の軸重計で計測した場合の該前輪軸重と後輪軸重とをそれぞれ記憶する前輪軸重記憶手段(231A)と後輪軸重記憶手段(231B)を設けているとともに、
上記演算処理装置(3)は、
被計量車両(5)を計量台(10)上に載せた状態での上記車輪位置検出器(8)からの車輪位置情報に基いて被計量車両(5)が前後方向の基準位置から前後にどれだけ変位しているかを算出する前後変位量算出手段(20)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態において上記車軸間距離記憶手段(211)で記憶している車軸間距離(L)と上記前輪載せ台(12)の高さ(H)とから被計量車両(5)の前後傾斜角(θ)を算出する車両傾斜角算出手段(22)と、
上記前輪軸重記憶手段(231A)で記憶している前輪軸重と上記後輪軸重記憶手段(231B)で記憶している後輪軸重と上記前後変位量算出手段(20)で算出された前後変位量とから車両重心位置(G又はG′)が車両前後方向のどの位置にあるかを算出する前後重心位置算出手段(24)と、
被計量車両(5)の全輪が計量台(10)の平坦面(11)上に載っている状態での上記前後重心位置算出手段(24)で算出された前後重心位置情報を記憶する記憶手段(32)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態での上記前後重心位置算出手段(24)で新たに算出された前後重心位置情報と上記記憶手段(32)で記憶している平坦面(11)上での上記前後重心位置情報とを比較してその前後重心変位量(T)を算出する前後重心変位量算出手段(25)と、
上記前後重心変位量算出手段(25)で算出された前後重心変位量(T)と上記車両傾斜角算出手段(22)で算出された車両傾斜角(θ)とに基いて被計量車両(5)の重心高さ位置(G1)を算出する車両重心高さ位置算出手段(26)、
とをそれぞれ備えている、
ことを特徴とするトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置。
【請求項5】
計量台(10)の四隅付近の下面にそれぞれロードセル(13A〜13D)を設け、上記計量台(10)上に被計量車両(5)を載せたときの各ロードセル(13A〜13D)からの検出値に基いて演算処理装置(3)により被計量車両(5)の重量を計量し得るようにしたトラックスケールにおいて、
上記計量台(10)は、被計量車両(5)の全輪(51A〜51D)を同時に載せ得る面積の平坦面(11)とその平坦面(11)の前方位置に該平坦面(11)より所定高さ段上げした前輪載せ台(12)を設けたものを使用する一方、
上記計量台(10)上に載せられた被計量車両(5)の前輪位置と後輪位置を検出し得る車輪位置検出器(8)を有し、
前後の車軸間の距離(L)が一定である被計量車両(5)を計量する場合に該被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態での上記被計量車両(5)の車軸間距離(L)と上記前輪載せ台(12)の高さ(H)とから求められた被計量車両(5)の前後傾斜角(θ)を記憶する車両傾斜角記憶手段(221)を設けているとともに、
上記演算処理装置(3)は、
被計量車両(5)を計量台(10)上に載せた状態での上記車輪位置検出器(8)からの車輪位置情報に基いて被計量車両(5)が前後方向の基準位置から前後にどれだけ変位しているかを算出する前後変位量算出手段(20)と、
上記各ロードセル(13A〜13D)からの検出値(Wa〜Wd)に基いて現状位置での前輪軸重と後輪軸重とをそれぞれ算出する前輪軸重算出手段(23A)及び後輪軸重算出手段(23B)と、
上記前輪軸重算出手段(23A)及び上記後輪軸重算出手段(23B)でそれぞれ算出された前輪軸重及び後輪軸重と上記前後変位量算出手段(20)で算出された前後変位量とから車両重心位置(G又はG′)が車両前後方向のどの位置にあるかを算出する前後重心位置算出手段(24)と、
被計量車両(5)の全輪が計量台(10)の平坦面(11)上に載っている状態での上記前後重心位置算出手段(24)で算出された前後重心位置情報を記憶する記憶手段(32)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態での上記前後重心位置算出手段(24)で新たに算出された前後重心位置情報と上記記憶手段(32)で記憶している平坦面(11)上での上記前後重心位置情報とを比較してその前後重心変位量(T)を算出する前後重心変位量算出手段(25)と、
上記前後重心変位量算出手段(25)で算出された前後重心変位量(T)と上記車両傾斜角記憶手段(221)で記憶されている車両傾斜角(θ)とに基いて被計量車両(5)の重心高さ位置(G1)を算出する車両重心高さ位置算出手段(26)、
とをそれぞれ備えている、
ことを特徴とするトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項おいて、
左右に位置する2つのロードセル(13Aと13B、13Cと13D)間の中心延長線(P)に対する車輪位置検出器(8)からの水平方向の垂直距離(M)と被計量車両(5)の左右の各車輪(51Aと51B、51Cと51D)間の距離に関する情報とをそれぞれ記憶手段(31)に記憶させておき、
上記演算処理装置(3)に、
被計量車両(5)を計量台(10)上に載せた状態での上記車輪位置検出器(8)からの車輪位置情報に基いて左右の車輪間の中心延長線(Q)が左右のロードセル間の中心延長線(P)に対して左右にどれだけ変位しているかを算出する左右変位量算出手段(27)と、
被計量車両(5)を計量台(10)上に載せたときの各ロードセル(13A〜13D)からの検出値(Wa〜Wd)に基いて被計量車両(5)における左右各側の車輪群(51Aと51C、51Bと51D)のそれぞれの合計輪重(LW、RW)を算出する左輪群輪重算出手段(28A)及び右輪群輪重算出手段(28B)と、
上記左輪群輪重算出手段(28A)及び上記右輪群輪重算出手段(28B)で算出された左右の各合計輪重(LW、RW)と上記左右変位量算出手段(27)で算出された左右変位量(S)とから車両重心位置(G)が車両の左右方向のどの位置にあるかを算出する左右重心位置算出手段(29)、
とをそれぞれ備えている、
ことを特徴とするトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置。
【請求項1】
計量台(10)の四隅付近の下面にそれぞれロードセル(13A〜13D)を設け、上記計量台(10)上に被計量車両(5)を載せたときの各ロードセル(13A〜13D)からの検出値に基いて演算処理装置(3)により被計量車両(5)の重量を計量し得るようにしたトラックスケールにおいて、
上記計量台(10)は、被計量車両(5)の全輪(51A〜51D)を同時に載せ得る面積の平坦面(11)とその平坦面(11)の前方位置に該平坦面(11)より所定高さ段上げした前輪載せ台(12)を設けたものを使用する一方、
上記計量台(10)上に載せられた被計量車両(5)の前輪位置と後輪位置を検出し得る車輪位置検出器(8)を有し、
上記演算処理装置(3)は、
被計量車両(5)を計量台(10)上に載せた状態での上記車輪位置検出器(8)からの車輪位置情報に基いて被計量車両(5)が前後方向の基準位置から前後にどれだけ変位しているかを算出する前後変位量算出手段(20)と、
上記車輪位置検出器(8)で検出した前輪位置と後輪位置とから前後の車軸間の距離(L)を算出する車軸間距離算出手段(21)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態において上記車軸間距離算出手段(21)で算出された車軸間距離(L)と上記前輪載せ台(12)の高さ(H)とから被計量車両(5)の前後傾斜角(θ)を算出する車両傾斜角算出手段(22)と、
上記各ロードセル(13A〜13D)からの検出値(Wa〜Wd)に基いて現状位置での前輪軸重と後輪軸重とをそれぞれ算出する前輪軸重算出手段(23A)及び後輪軸重算出手段(23B)と、
上記前輪軸重算出手段(23A)及び上記後輪軸重算出手段(23B)でそれぞれ算出された前輪軸重及び後輪軸重と上記前後変位量算出手段(20)で算出された前後変位量とから車両重心位置(G又はG′)が車両前後方向のどの位置にあるかを算出する前後重心位置算出手段(24)と、
被計量車両(5)の全輪が計量台(10)の平坦面(11)上に載っている状態での上記前後重心位置算出手段(24)で算出された前後重心位置情報を記憶する記憶手段(32)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態での上記前後重心位置算出手段(24)で新たに算出された前後重心位置情報と上記記憶手段(32)で記憶している平坦面(11)上での上記前後重心位置情報とを比較してその前後重心変位量(T)を算出する前後重心変位量算出手段(25)と、
上記前後重心変位量算出手段(25)で算出された前後重心変位量(T)と上記車両傾斜角算出手段(22)で算出された車両傾斜角(θ)とに基いて被計量車両(5)の重心高さ位置(G1)を算出する車両重心高さ位置算出手段(26)、
とをそれぞれ備えている、
ことを特徴とするトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置。
【請求項2】
計量台(10)の四隅付近の下面にそれぞれロードセル(13A〜13D)を設け、上記計量台(10)上に被計量車両(5)を載せたときの各ロードセル(13A〜13D)からの検出値に基いて演算処理装置(3)により被計量車両(5)の重量を計量し得るようにしたトラックスケールにおいて、
上記計量台(10)は、被計量車両(5)の全輪(51A〜51D)を同時に載せ得る面積の平坦面(11)とその平坦面(11)の前方位置に該平坦面(11)より所定高さ段上げした前輪載せ台(12)を設けたものを使用する一方、
上記計量台(10)上に載せられた被計量車両(5)の前輪位置と後輪位置を検出し得る車輪位置検出器(8)を有し、
計量すべき被計量車両(5)の前後の車軸間の距離(L)が予め判っている場合に該被計量車両(5)の車軸間距離(L)を記憶する車軸間距離記憶手段(211)を設けているとともに、
上記演算処理装置(3)は、
被計量車両(5)を計量台(10)上に載せた状態での上記車輪位置検出器(8)からの車輪位置情報に基いて被計量車両(5)が前後方向の基準位置から前後にどれだけ変位しているかを算出する前後変位量算出手段(20)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態において上記車軸間距離記憶手段(211)で記憶している車軸間距離(L)と上記前輪載せ台(12)の高さ(H)とから被計量車両(5)の前後傾斜角(θ)を算出する車両傾斜角算出手段(22)と、
上記各ロードセル(13A〜13D)からの検出値(Wa〜Wd)に基いて現状位置での前輪軸重と後輪軸重とをそれぞれ算出する前輪軸重算出手段(23A)及び後輪軸重算出手段(23B)と、
上記前輪軸重算出手段(23A)及び上記後輪軸重算出手段(23B)でそれぞれ算出された前輪軸重及び後輪軸重と上記前後変位量算出手段(20)で算出された前後変位量とから車両重心位置(G又はG′)が車両前後方向のどの位置にあるかを算出する前後重心位置算出手段(24)と、
被計量車両(5)の全輪が計量台(10)の平坦面(11)上に載っている状態での上記前後重心位置算出手段(24)で算出された前後重心位置情報を記憶する記憶手段(32)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態での上記前後重心位置算出手段(24)で新たに算出された前後重心位置情報と上記記憶手段(32)で記憶している平坦面(11)上での上記前後重心位置情報とを比較してその前後重心変位量(T)を算出する前後重心変位量算出手段(25)と、
上記前後重心変位量算出手段(25)で算出された前後重心変位量(T)と上記車両傾斜角算出手段(22)で算出された車両傾斜角(θ)とに基いて被計量車両(5)の重心高さ位置(G1)を算出する車両重心高さ位置算出手段(26)、
とをそれぞれ備えている、
ことを特徴とするトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置。
【請求項3】
計量台(10)の四隅付近の下面にそれぞれロードセル(13A〜13D)を設け、上記計量台(10)上に被計量車両(5)を載せたときの各ロードセル(13A〜13D)からの検出値に基いて演算処理装置(3)により被計量車両(5)の重量を計量し得るようにしたトラックスケールにおいて、
上記計量台(10)は、被計量車両(5)の全輪(51A〜51D)を同時に載せ得る面積の平坦面(11)とその平坦面(11)の前方位置に該平坦面(11)より所定高さ段上げした前輪載せ台(12)を設けたものを使用する一方、
上記計量台(10)上に載せられた被計量車両(5)の前輪位置と後輪位置を検出し得る車輪位置検出器(8)を有し、
計量すべき被計量車両(5)の前輪軸重と後輪軸重とを別設の軸重計で計測した場合の該前輪軸重と後輪軸重とをそれぞれ記憶する前輪軸重記憶手段(231A)と後輪軸重記憶手段(231B)を設けているとともに、
上記演算処理装置(3)は、
被計量車両(5)を計量台(10)上に載せた状態での上記車輪位置検出器(8)からの車輪位置情報に基いて被計量車両(5)が前後方向の基準位置から前後にどれだけ変位しているかを算出する前後変位量算出手段(20)と、
上記車輪位置検出器(8)で検出した前輪位置と後輪位置とから前後の車軸間の距離(L)を算出する車軸間距離算出手段(21)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態において上記車軸間距離算出手段(21)で算出された車軸間距離(L)と上記前輪載せ台(12)の高さ(H)とから被計量車両(5)の前後傾斜角(θ)を算出する車両傾斜角算出手段(22)と、
上記前輪軸重記憶手段(231A)で記憶している前輪軸重と上記後輪軸重記憶手段(231B)で記憶している後輪軸重と上記前後変位量算出手段(20)で算出された前後変位量とから車両重心位置(G又はG′)が車両前後方向のどの位置にあるかを算出する前後重心位置算出手段(24)と、
被計量車両(5)の全輪が計量台(10)の平坦面(11)上に載っている状態での上記前後重心位置算出手段(24)で算出された前後重心位置情報を記憶する記憶手段(32)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態での上記前後重心位置算出手段(24)で新たに算出された前後重心位置情報と上記記憶手段(32)で記憶している平坦面(11)上での上記前後重心位置情報とを比較してその前後重心変位量(T)を算出する前後重心変位量算出手段(25)と、
上記前後重心変位量算出手段(25)で算出された前後重心変位量(T)と上記車両傾斜角算出手段(22)で算出された車両傾斜角(θ)とに基いて被計量車両(5)の重心高さ位置(G1)を算出する車両重心高さ位置算出手段(26)、
とをそれぞれ備えている、
ことを特徴とするトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置。
【請求項4】
計量台(10)の四隅付近の下面にそれぞれロードセル(13A〜13D)を設け、上記計量台(10)上に被計量車両(5)を載せたときの各ロードセル(13A〜13D)からの検出値に基いて演算処理装置(3)により被計量車両(5)の重量を計量し得るようにしたトラックスケールにおいて、
上記計量台(10)は、被計量車両(5)の全輪(51A〜51D)を同時に載せ得る面積の平坦面(11)とその平坦面(11)の前方位置に該平坦面(11)より所定高さ段上げした前輪載せ台(12)を設けたものを使用する一方、
上記計量台(10)上に載せられた被計量車両(5)の前輪位置と後輪位置を検出し得る車輪位置検出器(8)を有し、
計量すべき被計量車両(5)の前後の車軸間の距離(L)が予め判っている場合に該被計量車両(5)の車軸間距離(L)を記憶する車軸間距離記憶手段(211)を設け、
さらに計量すべき被計量車両(5)の前輪軸重と後輪軸重とを別設の軸重計で計測した場合の該前輪軸重と後輪軸重とをそれぞれ記憶する前輪軸重記憶手段(231A)と後輪軸重記憶手段(231B)を設けているとともに、
上記演算処理装置(3)は、
被計量車両(5)を計量台(10)上に載せた状態での上記車輪位置検出器(8)からの車輪位置情報に基いて被計量車両(5)が前後方向の基準位置から前後にどれだけ変位しているかを算出する前後変位量算出手段(20)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態において上記車軸間距離記憶手段(211)で記憶している車軸間距離(L)と上記前輪載せ台(12)の高さ(H)とから被計量車両(5)の前後傾斜角(θ)を算出する車両傾斜角算出手段(22)と、
上記前輪軸重記憶手段(231A)で記憶している前輪軸重と上記後輪軸重記憶手段(231B)で記憶している後輪軸重と上記前後変位量算出手段(20)で算出された前後変位量とから車両重心位置(G又はG′)が車両前後方向のどの位置にあるかを算出する前後重心位置算出手段(24)と、
被計量車両(5)の全輪が計量台(10)の平坦面(11)上に載っている状態での上記前後重心位置算出手段(24)で算出された前後重心位置情報を記憶する記憶手段(32)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態での上記前後重心位置算出手段(24)で新たに算出された前後重心位置情報と上記記憶手段(32)で記憶している平坦面(11)上での上記前後重心位置情報とを比較してその前後重心変位量(T)を算出する前後重心変位量算出手段(25)と、
上記前後重心変位量算出手段(25)で算出された前後重心変位量(T)と上記車両傾斜角算出手段(22)で算出された車両傾斜角(θ)とに基いて被計量車両(5)の重心高さ位置(G1)を算出する車両重心高さ位置算出手段(26)、
とをそれぞれ備えている、
ことを特徴とするトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置。
【請求項5】
計量台(10)の四隅付近の下面にそれぞれロードセル(13A〜13D)を設け、上記計量台(10)上に被計量車両(5)を載せたときの各ロードセル(13A〜13D)からの検出値に基いて演算処理装置(3)により被計量車両(5)の重量を計量し得るようにしたトラックスケールにおいて、
上記計量台(10)は、被計量車両(5)の全輪(51A〜51D)を同時に載せ得る面積の平坦面(11)とその平坦面(11)の前方位置に該平坦面(11)より所定高さ段上げした前輪載せ台(12)を設けたものを使用する一方、
上記計量台(10)上に載せられた被計量車両(5)の前輪位置と後輪位置を検出し得る車輪位置検出器(8)を有し、
前後の車軸間の距離(L)が一定である被計量車両(5)を計量する場合に該被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態での上記被計量車両(5)の車軸間距離(L)と上記前輪載せ台(12)の高さ(H)とから求められた被計量車両(5)の前後傾斜角(θ)を記憶する車両傾斜角記憶手段(221)を設けているとともに、
上記演算処理装置(3)は、
被計量車両(5)を計量台(10)上に載せた状態での上記車輪位置検出器(8)からの車輪位置情報に基いて被計量車両(5)が前後方向の基準位置から前後にどれだけ変位しているかを算出する前後変位量算出手段(20)と、
上記各ロードセル(13A〜13D)からの検出値(Wa〜Wd)に基いて現状位置での前輪軸重と後輪軸重とをそれぞれ算出する前輪軸重算出手段(23A)及び後輪軸重算出手段(23B)と、
上記前輪軸重算出手段(23A)及び上記後輪軸重算出手段(23B)でそれぞれ算出された前輪軸重及び後輪軸重と上記前後変位量算出手段(20)で算出された前後変位量とから車両重心位置(G又はG′)が車両前後方向のどの位置にあるかを算出する前後重心位置算出手段(24)と、
被計量車両(5)の全輪が計量台(10)の平坦面(11)上に載っている状態での上記前後重心位置算出手段(24)で算出された前後重心位置情報を記憶する記憶手段(32)と、
被計量車両(5)の前輪(51A,51B)が上記前輪載せ台(12)上に載った状態での上記前後重心位置算出手段(24)で新たに算出された前後重心位置情報と上記記憶手段(32)で記憶している平坦面(11)上での上記前後重心位置情報とを比較してその前後重心変位量(T)を算出する前後重心変位量算出手段(25)と、
上記前後重心変位量算出手段(25)で算出された前後重心変位量(T)と上記車両傾斜角記憶手段(221)で記憶されている車両傾斜角(θ)とに基いて被計量車両(5)の重心高さ位置(G1)を算出する車両重心高さ位置算出手段(26)、
とをそれぞれ備えている、
ことを特徴とするトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項おいて、
左右に位置する2つのロードセル(13Aと13B、13Cと13D)間の中心延長線(P)に対する車輪位置検出器(8)からの水平方向の垂直距離(M)と被計量車両(5)の左右の各車輪(51Aと51B、51Cと51D)間の距離に関する情報とをそれぞれ記憶手段(31)に記憶させておき、
上記演算処理装置(3)に、
被計量車両(5)を計量台(10)上に載せた状態での上記車輪位置検出器(8)からの車輪位置情報に基いて左右の車輪間の中心延長線(Q)が左右のロードセル間の中心延長線(P)に対して左右にどれだけ変位しているかを算出する左右変位量算出手段(27)と、
被計量車両(5)を計量台(10)上に載せたときの各ロードセル(13A〜13D)からの検出値(Wa〜Wd)に基いて被計量車両(5)における左右各側の車輪群(51Aと51C、51Bと51D)のそれぞれの合計輪重(LW、RW)を算出する左輪群輪重算出手段(28A)及び右輪群輪重算出手段(28B)と、
上記左輪群輪重算出手段(28A)及び上記右輪群輪重算出手段(28B)で算出された左右の各合計輪重(LW、RW)と上記左右変位量算出手段(27)で算出された左右変位量(S)とから車両重心位置(G)が車両の左右方向のどの位置にあるかを算出する左右重心位置算出手段(29)、
とをそれぞれ備えている、
ことを特徴とするトラックスケールにおける被計量車両の重心位置計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−93158(P2012−93158A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239351(P2010−239351)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000156422)鎌長製衡株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000156422)鎌長製衡株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
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