説明

トラマドールの少なくとも1つの形の放出が改良された医薬組成物

【課題】トラマドール、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形を含む、放出が改良された医薬組成物を提供する。
【解決手段】トラマドール、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形を含む、放出が改良された医薬組成物であって、その組成物が2時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約0%から約30%(重量)までが放出され、4時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約5%から約22%(重量)までが放出され、6時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約15%から約38%(重量)以上が放出され、8時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約40%(重量)以上が放出されるよなインビトロの溶解特性(USP Basket法により、37℃で900mL 0.1N HCl中で75rpmで測定)を示す医薬組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、参考として本明細書に組み入れた2002年2月21日出願の米国仮出願第60/357,851号に対して優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は経口投与用の放出が改良された製剤、それらの製剤の製造法およびそれらの医学的使用に関する。具体的には、本発明はトラマドール(tramadol)、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形の放出が改良された医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
米国特許第3,652,589に最初に記載されたトラマドールは、鎮痛性シクロアルカノール置換フェノールエステルで、シクロアルキル環に塩基性アミン基を有し、化学名はトランス−(±)−2−[(ジメチルアミノ)メチル] −(3−メトキシフェニル)シクロヘキサノールである。臨床データは、トラマドールには呼吸抑制、便秘、耐性および乱用傾向のようなオピオイド拮抗薬の通常の副作用がないが、顔面潮紅および発汗を生じうることを示唆することから、トラマドールは完全なオピオイド様または非オピオイド様のいづれでもない機構によって、鎮痛作用を生じると考えられている。非オピオイドおよびオピオイド活性の組み合わせのために、トラマドールは非常にユニークな鎮痛剤であり、経口製剤を調製する多くの試みがなされている。
【0004】
中等度から重度の疼痛の治療に、トラマドール、より具体的にはその塩酸塩を含む錠剤、カプセル、ドロップおよび坐薬の形の従来の製剤または速放性製剤が長年商業的に利用可能で、使用されている。トラマドールの速放性製剤の臨床上の有効性は多数の単回投与および多回投与試験で確認されており、疼痛の病因によって、70%から90%の患者で満足な鎮痛が得られている。トラマドールの速放性製剤は産科、婦人科、眼科、腹部および口腔外科手術で有効性が証明されている。また、トラマドールの速放性製剤は、背部痛、変形性関節症、癌性疼痛、神経障害性疼痛および整形外科疼痛を含む様々な病因の慢性疼痛の患者での長期臨床試験で検討されている。
【0005】
しかしながら、トラマドールの速放性製剤は制御されたトラマドールの放出を提供しない。例えば、トラマドールの速放性製剤は、米国で、トラマドール塩酸塩の錠剤として、ULTRAM(登録商標)と云う商品名でMcNeil Pharmaceuticals社から商業的に入手できる。第53版Physician’s Desk Reference copyright 1999.p2255には、ULTRAM(登録商標)製品のトラマドールの最高血漿濃度は単回経口投与(100mg)後、約1.6時間、多回経口投与(100mg q.i.d)後、約2.3時間で生じると記載されている。トラマドールの消失半減期が短いため、慢性疼痛において、鎮痛剤の至適濃度を維持するためには、4から6時間毎にトラマドールの速放性製剤を患者に投与する必要がある。
【0006】
トラマドールの速放性製剤に要求される投与回数に関する困難を克服するために、放出性を改良したトラマドールの製剤化の多くの試みがなされている。例えば米国特許第5,395,626,5,474,786,5,645,858,5,478,577,5,591,452,6,254,887,5,601,842,5,580,578,5,639,476,5,811,126,5,849,240,5,891,471,5,965,163,5,958,452,5,965,161,5,478,577,5,580,578,5,648,096,5,672,360,5,811,126,5,879,705,5,968,551,5,980,941,6,068,858,6,077,532,6,077,533および6,254,887号参照。このような放出性を改良したトラマドールの製剤は、胃腸管内でトラマドールの放出を制御することを目的とし、トラマドールが特定の予め定めた速度で放出される目的の結果が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的はトラマドールの少なくとも1つの形を含む放出性が改良された医薬組成物を調製することである。
【0008】
本発明の他の目的は、該組成物が、有効な鎮痛を提供する、患者への経口投与に適している、トラマドールの少なくとも1つの形を含む放出性が改良された医薬組成物を調製することである。
【0009】
本発明の更なる目的および他の目的は、次の本発明の要約およびその態様の詳細な記述から、当業者には明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの態様に従って、トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形を、医薬的に許容できる少なくとも1つの賦形剤と組み合わせて含む、1日1回の投与に適した経口投与用の放出が改良された医薬組成物であって、患者に経口投与した時に、その組成物が、速放性組成物と本質的に同等なバイオアイオアベオラビリティーを維持しつつ、トラマドールの少なくとも1つの形の速放性組成物よりも統計的に有意に低い平均血漿変動指数を生ずる、放出が改良された医薬組成物が提供される。
【0011】
本発明の他の態様に従って、トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形を、医薬的に許容できる少なくとも1つの賦形剤と組み合わせて含む、1日1回の投与に適した経口投与用の放出が改良された医薬組成物であって、患者に経口投与した時に、トラマドールの少なくとも1つの形の速放性組成物によって生じるよりも低い、トラマドールの少なくとも1つの形の平均最大血漿濃度を生じ、濃度−時間曲線下面積(AUC)および平均最低血漿濃度(Cmin)が速放性組成物のそれと本質的に同等である、放出が改良された医薬組成物が提供される。
【0012】
本発明の他の態様に従って、トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形を、医薬的に許容できる少なくとも1つの賦形剤と組み合わせて含む、1日1回の投与に適した経口投与用の放出が改良された医薬組成物であって、患者に経口投与した時に、その組成物が、平均最大血漿濃度(Cmax)とトラマドールの少なくとも1つの形の速放性医薬組成物によって生じるAUCの約−20%から+25%の範囲内の血漿濃度対時間曲線(AUC)下面積の両方を有する、トラマドールの少なくとも1つの形の平均最大血漿濃度(Cmax)を生じる、放出が改良された医薬組成物が提供される。
【0013】
本発明の1つの態様において、トラマドールの少なくとも1つの形はトラマドール塩酸塩であり、該速放性医薬組成物は米国FDAによって承認された新医薬品申請第20281、75963,75980,75974,76003,75968,75983,76100,75986,75960,75982,75977,75981または75962号の主題である。
【0014】
本発明の他の態様に従って、トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形を、医薬的に許容できる少なくとも1つの賦形剤と組み合わせて含む、1日1回の投与に適した経口投与用の放出が改良された医薬組成物であって、その組成物が、2時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約0%から約30%(重量)までが放出され、4時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約5%から約22%(重量)までが放出され、6時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約15%から約38%(重量)までが放出され、8時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約40%(重量)超が放出されるようなインビトロの溶解特性(USP Basket法により、37℃で900mL 0.1N HCl中で75rpmで測定)を示す、医薬組成物が提供される。
【0015】
本発明の他の態様に従って、トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形を、医薬的に許容できる少なくとも1つの賦形剤と組み合わせて含む、1日1回の投与に適した経口投与用の放出が改良された医薬組成物であって、その組成物が、2時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約2%から約10%(重量)までが放出され、4時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約12%から約20%(重量)までが放出され、6時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約30%から約38%(重量)までが放出され、8時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約48%(重量)から約56%(重量)までが放出され、10時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約64%から約72%(重量)までが放出され、12時間後にトラマドールの少なくとも1つの形の約76%(重量)超が放出されるような、インビトロの溶解特性(USP Basket法により、37℃で900mL 0.1N HCl中で75rpmで測定)を示す、医薬組成物が提供される。
【0016】
本発明の他の態様に従って、
(i)トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形と、少なくとも1つの医薬的に許容できる賦形剤とを含むコアと、
(ii)少なくとも1つの非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマー、少なくとも1つの可塑剤および少なくとも1つの水溶性ポリマーを含むコーティングとを含む、1日1回の投与に適した経口投与用の放出が改良された医薬組成物が提供される。
【0017】
本発明の他の態様に従って、
(i)トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形と少なくとも1つの医薬的に許容できる賦形剤とを含むコアと、
(ii)少なくとも1つの非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマー、少なくとも1つの可塑剤および少なくとも1つの水溶性ポリマーを含むコーティングであって、少なくとも1つの該非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーの割合がコーティングの乾燥重量の約20%から90%まで変化し、少なくとも1つの該可塑剤がコーティングの乾燥重量の約5%から30%まで変化し、少なくとも1つの該水溶性ポリマーがコーティングの乾燥重量の約10%から75%まで変化するコーティングとを含む、放出が改良された医薬組成物が提供される。
【0018】
本発明の他の態様に従って、
(i)トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形と少なくとも1つの医薬的に許容できる賦形剤とを含むコアと、
(ii)少なくとも1つの非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマー、少なくとも1つの可塑剤および少なくとも1つの水溶性ポリマーを含むコーティングとを含む、1日1回の投与に適した経口投与用の放出が改良された医薬組成物であって、その組成物が、2時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約0%から約30%(重量)までが放出され、4時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約5%から約22%(重量)までが放出され、6時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約15%から約38%(重量)までが放出され、8時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約40%(重量)超が放出されるようなインビトロの溶解特性(USP Basket法により、37℃で900mL 0.1N HCl中で75rpmで測定)を示す、医薬組成物が提供される。
【0019】
本発明の他の態様に従って、
(i)トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形と少なくとも1つの医薬的に許容できる賦形剤とを含むコアと、
(ii)少なくとも1つの非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマー、少なくとも1つの可塑剤および少なくとも1つの水溶性ポリマーを含むコーティングとを含む、1日1回の投与に適した経口投与用の放出が改良された医薬組成物であって、その組成物が、2時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約2%から約10%(重量)までが放出され、4時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約12%から約20%(重量)までが放出され、6時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約30%から約38%(重量)までが放出され、8時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約48%から約56%(重量)までが放出され、10時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約64%から約72%(重量)までが放出され、12時間後にトラマドールの少なくとも1つの形の約76%(重量)超が放出されるような、インビトロの溶解特性(USP Basket法により、37℃で900mL 0.1N HCl中で75rpmで測定)を示す、医薬組成物が提供される。
【0020】
本発明の他の態様に従って、
(i)トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形と少なくとも1つの医薬的に許容できる賦形剤とを含むコアと、
(ii)少なくとも1つの非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマー、少なくとも1つの可塑剤および少なくとも1つの水溶性ポリマーを含むコーティングであって、少なくとも1つの該非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーの割合がコーティングの乾燥重量の約20%から90%まで変化し、少なくとも1つの該可塑剤がコーティングの乾燥重量の約5%から30%まで変化し、少なくとも1つの該水溶性ポリマーがコーティングの乾燥重量の約10%から75%まで変化するコーティングとを含む、1日1回の投与に適した経口投与用の放出が改良された医薬組成物であって、その組成物が、2時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約0%から約30%(重量)までが放出され、4時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約5%から約22%(重量)までが放出され、6時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約15%から約38%(重量)までが放出され、8時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約40%(重量)超が放出されるようなインビトロの溶解特性(USP Basket法により、37℃で900mL 0.1N HCl中で75rpmで測定)を示す、医薬組成物が提供される。
【0021】
本発明の他の態様に従って、
(i)トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形と少なくとも1つの医薬的に許容できる賦形剤とを含むコアと、
(ii)少なくとも1つの非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマー、少なくとも1つの可塑剤および少なくとも1つの水溶性ポリマーを含むコーティングであって、少なくとも1つの該非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーの割合がコーティングの乾燥重量の約20%から90%まで変化し、少なくとも1つの該可塑剤の割合がコーティングの乾燥重量の約5%から30%まで変化し、少なくとも1つの該水溶性ポリマーの割合がコーティングの乾燥重量の約10%から75%まで変化するコーティングとを含む、1日1回の投与に適した経口投与用の放出が改良された医薬組成物であって、その組成物が、2時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約2%から約10%(重量)までが放出され、4時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約12%から約20%(重量)までが放出され、6時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約30%から約38%(重量)までが放出され、8時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約48%から約56%(重量)までが放出され、10時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約64%から約72%(重量)までが放出され、12時間後にトラマドールの少なくとも1つの形の約76%(重量)超が放出されるような、インビトロの溶解特性(USP Basket法により、37℃で900mL 0.1N HCl中で75rpmで測定)を示す、医薬組成物が提供される。
【0022】
本発明の他の態様に従って、トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形と少なくとも1つの医薬的に許容できる賦形剤とを組み合わせて含む、1日1回の投与に適した経口投与用の放出が改良された医薬組成物であって、患者に投与された時に、その医薬組成物が約80ng/mlから約500ng/mlのトラマドールの少なくとも1つの形の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する、放出が改良された医薬組成物が提供される。
【0023】
本発明の他の態様に従って、トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形と少なくとも1つの医薬的に許容できる賦形剤とを組み合わせて、1日1回の投与に適した経口投与用の放出が改良された医薬組成物であって、患者に投与された時に、その医薬組成物が約4時間から約14時間の範囲の、トラマドールの少なくとも1つの形の平均最大血漿濃度(Tmax)までの時間を提供する、医薬組成物が提供される。
【0024】
本発明の他の態様に従って、トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形と少なくとも1つの医薬的に許容できる賦形剤とを組み合わせて含む、1日1回の投与に適した経口投与用の放出が改良された医薬組成物であって、患者に投与された時に、その医薬組成物が約1000ng.hr/mlから約10000ng.hr/mlの範囲の曲線下面積(AUC)を有する血漿濃度−時間曲線を提供する、医薬組成物が提供される。
【0025】
本発明のある態様において、医薬組成物中に、中等度から中等度に重度の疼痛の管理に有効な量のトラマドールの少なくとも1つの形が存在する。
【0026】
本発明のある態様において、該医薬組成物はトラマドールの少なくとも1つの形を、約25mgから約800mg以上を含む。
【0027】
本発明のある態様において、該医薬組成物はトラマドールの少なくとも1つの形を、約50mgから約400mg以上を含む。
【0028】
本発明のある態様において、該医薬組成物はトラマドールの少なくとも1つの形を、約100mgから約300mg以上を含む。
【0029】
本発明のある態様において、トラマドールの少なくとも1つの形はトラマドール塩酸塩である。
【0030】
本発明のある態様において、該コアは顆粒、回転楕円体、マイクロスフェア、ビーズ、シーズ、ペレット、マイクロタブレット、錠剤、カプセルおよびその組み合わせからなる群から選ばれた形である。
【0031】
本発明のある態様において、該コアは錠剤の形である。
【0032】
本発明のある態様において、放出性が改良された医薬組成物は1日1回の投与に適している。
【0033】
本発明のある態様において、少なくとも1つの該医薬的に許容できる賦形剤は、少なくとも1つの放出速度を制御する医薬的に許容できる担体、少なくとも1つの希釈剤、少なくとも1つの潤滑剤、少なくとも1つの結合剤、少なくとも1つの充填剤およびその組みあわせからなる群から選ばれる。
【0034】
本発明のある態様において、少なくとも1つの医薬的に許容できる該賦形剤は、少なくとも1つの希釈剤である。
【0035】
本発明のある態様において、少なくとも1つの該希釈剤はラクロース、微結晶性セルロース、マニトールおよびその組み合わせからなる群から選ばれる。
【0036】
本発明のある態様において、少なくとも1つの医薬的に許容できる該賦形剤は、少なくとも1つの潤滑剤である。
【0037】
本発明のある態様において、少なくとも1つの該潤滑剤はステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、グリセリルベヘネート、タルク、ステアリルフマル酸ナトリウム塩およびその組み合わせからなる群から選ばれる。
【0038】
本発明のある態様において、少なくとも1つの該潤滑剤はステアリルフマル酸ナトリウム塩である。
【0039】
本発明のある態様において、少なくとも1つの医薬的に許容できる該賦形剤は、少なくとも1つの結合剤である。
【0040】
本発明のある態様において、少なくとも該結合剤は改質澱粉、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよびその組み合わせからなる群から選ばれる。
【0041】
本発明のある態様において、少なくとも1つの該結合剤はポリビニルアルコールである。
【0042】
本発明のある態様において、少なくとも1つの医薬的に許容できる該賦形剤は、少なくとも1つの充填剤である。
【0043】
本発明のある態様において、少なくとも1つの該充填剤はラクロース、微結晶性セルロース、およびその組み合わせからなる群から選ばれる。
【0044】
本発明のある態様において、少なくとも1つの該充填剤は微結晶性セルロースである。
【0045】
医薬の技術分野において、放出性が改良された医薬組成物には少なくとも3つの型がある;即ち遅延性、徐放性および遅延性であり徐放性である医薬組成物である。遅延性医薬組成物は胃腸管の上部での薬物の放出を防ぐためにデザインされることが多い。この型の医薬組成物を調製するために使われる改良された放出性コーティングは通常、医薬の技術分野で腸溶性コーティングと呼ばれている。徐放性医薬組成物はある期間に亘って、薬物の放出を延ばすためにデザインされ、その結果は持続したまたは制御された放出性コーティングによって達成される。
【0046】
本発明のある態様において、放出性が改良された医薬組成物は徐放性医薬組成物である。
【0047】
本発明のある態様において、少なくとも1つの医薬的に許容できる該賦形剤は、少なくとも1つの放出速度を制御する医薬的に許容できる担体である。
【0048】
本発明のある態様において、少なくとも1つの放出速度を制御する医薬的に許容できる該担体は、トラマドールの少なくとも1つの形と共にマトリックスに組み込んでもよく、および/または放出速度を制御するコーティングとして施してもよい。
【0049】
本発明のある態様において、該マトリックスは、トラマドールの少なくとも1つの形の、改良した放出を提供するコーティングを有する正常な放出マトリックスである。
【0050】
本発明のある態様において、少なくとも1つの放出速度を制御する医薬的に許容できる該担体は、少なくとも1つの徐放性の医薬的に許容できる担体である。
【0051】
本発明のある態様において、少なくとも1つの徐放性の医薬的に許容できる担体は、少なくとも1つの固体の徐放性の医薬的に許容できる担体である。
【0052】
本発明のある態様において、少なくとも1つの固体の徐放性の医薬的に許容できる担体は、少なくとも1つの固体の徐放性の医薬的に許容できるポリマーである。
【0053】
本発明のある態様において、少なくとも1つの固体の徐放性の医薬的に許容できる該ポリマーは、少なくとも1つの親水性水溶性ポリマー、少なくとも1つの疎水性非水溶性ポリマーおよびその組み合わせからなる群から選ばれる。
【0054】
本発明のある態様において、改良された放出コーティングは、半透過性である。
【0055】
本発明のある態様において、改良された放出コーティングは、少なくとも1つの非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーを含む。
【0056】
本発明のある態様において、少なくとも1つの該非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーは、エチルセルロースである。
【0057】
本発明のある態様において、該改良された放出コーティングは、更に少なくとも1つの水溶性ポリマーを含む。
【0058】
本発明のある態様において、少なくとも1つの該水溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドンである。
【0059】
本発明のある態様において、改良された該放出コーティングは、更に少なくとも1つの可塑剤を含む。
【0060】
本発明のある態様において、少なくとも1つの該可塑剤は、ジブチルセバケートである。
【0061】
本発明のある態様において、少なくとも1つの該非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーは、エチルセルロースであり、少なくとも1つの該水溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドンであり、少なくとも1つの該可塑剤は、ジブチルセバケートである。
【0062】
本発明のある態様において、放出性が改良された該放出性医薬組成物は、錠剤の形である。
【0063】
本発明の他の態様において、
(i)トラマドール、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせ、ポリビニルアルコール、二酸化シリコンおよびステアリルフマル酸ナトリウム塩からなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形を含むコアと、
(ii)エチルセルロース、ポリビニルピロリドンおよびジブチルセバケートを含むコーティングであって、エチルセルロースの割合がコーティングの乾燥重量の約20%から約90%まで変化し、ジブチルセバケートの割合がコーティングの乾燥重量の約5%から約30%まで変化し、ポリビニルピロリドンの割合がコーティングの乾燥重量の約10%から約75%まで変化するコーティングとを含む、放出が改良された医薬組成物であって、その組成物が、2時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約0%から約30%(重量)までが放出され、4時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約5%から約22%(重量)までが放出され、6時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約15%から約38%(重量)までが放出され、8時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約40%(重量)超が放出されるような、インビトロの溶解特性(USP Basket法により、37℃で900mL 0.1N HCl中で75rpmで測定)を示す、医薬組成物が提供される。
【0064】
本発明の他の態様において、
(i)トラマドール、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせ、ポリビニルアルコール、二酸化シリコンおよびステアリルフマル酸ナトリウム塩からなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形を含むコアと、
(ii)エチルセルロース、ポリビニルピロリドンおよびジブチルセバケートを含むコーティングであって、エチルセルロースの割合がコーティングの乾燥重量の約20%から約90%まで変化し、ジブチルセバケートの割合がコーティングの乾燥重量の約5%から約30%まで変化し、ポリビニルピロリドンの割合がコーティングの乾燥重量の約10%から約75%まで変化するコーティングとを含む、放出が改良された医薬組成物であって、その組成物が、2時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約2%から約10%までが放出され、4時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約12%から約20%までが放出され、6時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約30%から約38%までが放出され、8時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約48%から約56%までが放出され、10時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約64%から約72%までが放出され、12時間後にトラマドールの少なくとも1つの形の約76%超が放出されるようなインビトロの溶解特性(USP Basket法により、37℃で900mL 0.1N HCl中で75rpmで測定)を示す、医薬組成物が提供される。
【0065】
本発明のある態様において、該医薬組成物は更にトラマドールの少なくとも1つの形を含む速放性コーティングでコーティングされる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】ロット番号2159,2162および2165に従って製剤化した、100mgトラマドールHCl ER錠のインビトロの溶解特性の比較を示す。
【図2】ロット番号2159,2162および2165に従って製剤化したトラマドールHCl ER錠(100mg×2)の1日1回投与後の、平均血漿トラマドール濃度(ng/ml)の時間経過の、Ultram(50mg×2)q.i.dとの比較を示す。
【図3】ロット番号2159,2162および2165に従って製剤化した、トラマドールHCl ER錠(100mg×2)の1日1回投与後の、平均血漿デスメチルトラマドール濃度(ng/ml)の時間経過の、Ultram(50mg×2)q.i.dとの比較を示す。
【図4】ロット番号2162に従って製剤化した、トラマドールHCl ER錠(100mg×2)の1日1回、5日間投与後の、1日目の平均血漿トラマドール濃度(ng/ml)の、Ultram(50mg×2)q.i.dとの比較を示す。
【図5】ロット番号2162に従って製剤化した、トラマドールHCl ER錠(100mg×2)の1日1回、5日間投与後の、5日目の平均血漿トラマドール濃度(ng/ml)の、Ultram(50mg×2)q.i.dとの比較を示す。
【図6】ロット番号2162に従って製剤化した、トラマドールHCl ER錠(100mg×2)の1日1回、5日間投与後の、1日目の平均血漿デスメチルトラマドール濃度(ng/ml)の、Ultram(50mg×2)q.i.dとの比較を示す。
【図7】ロット番号2162に従って製剤化した、トラマドールHCl ER錠(100mg×2)の1日1回、5日間投与後の、5日目の平均血漿デスメチルトラマドール濃度(ng/ml)の、Ultram(50mg×2)q.i.dとの比較を示す。
【図8】ロット番号2162に従って製剤化した、トラマドールHCl ER錠(100mg×2)の1日1回、5日間投与後の、1日目の平均血漿デスメチルトラマドール濃度(ng/ml)の、Ultram(50mg×2)q.i.dとの比較を示す。
【図9】ロット番号2162と2165に従って製剤化した、トラマドールHCl ER錠(100mg×3)の1日1回、5日間投与後の、5日目の平均血漿トラマドール濃度の、Ultram(50mg×2)t.i.dとの比較を示す。
【図10】ロット番号2162と2165に従って製剤化した、トラマドールHCl ER錠(100mg×3)の1日1回、5日間投与後の、1日目の平均血漿デスメチルトラマドール濃度の、Ultram(50mg×2)t.i.dとの比較を示す。
【図11】ロット番号2162と2165に従って製剤化した、トラマドールHCl ER錠(100mg×3)の1日1回、5日間投与後の、1日目の平均血漿デスメチルトラマドール濃度の、Ultram(50mg×2)t.i.dとの比較を示す。
【図12】ロット番号1から4に従って製剤化した、トラマドールHCl 100mg ER錠のインビトロ溶解特性を示す。
【図13】実施例4に従って製剤化した、200mgトラマドールHCl ER錠のインビトロ溶解特性を示す。
【図14】ロット番号5から7に従って製剤化した、200mgトラマドールHCl ER錠のインビトロ溶解特性を示す。
【図15】本発明の態様に従って製剤化した、トラマドールHCl 100mg ER錠(2×100mg1日1回)とトラマドールHCl 200mg ER錠(1×200mg1日1回)の経口投与後の平均トラマドール血漿濃度−時間特性の比較を示す。
【図16】本発明の態様に従って製剤化した、トラマドールHCl 100mg ER錠(2×100mg1日1回)とトラマドールHCl 200mg ER錠(1×200mg1日1回)の経口投与後の平均M1血漿濃度−時間特性の比較を示す。
【図17】10時間の一夜絶食後に、本発明の態様に従って製剤化した、2つの100mgトラマドールHCl ER錠または本発明の態様に従って製剤化した200mgトラマドールHCl ER錠の投与後の平均血漿トラマドール濃度−時間特性の時間経過を示す。
【図18】10時間の一夜絶食後に、本発明の態様に従って製剤化した、2つの100mgトラマドールHCl ER錠または本発明の態様に従って製剤化した、200mgトラマドールHCl ER錠の投与後の、平均血漿M1濃度−時間特性の時間経過を示す。
【図19】10時間の一夜絶食後に、本発明の態様に従って製剤化した、2つの100mgトラマドールHCl ER錠または本発明の態様に従って製剤化した、200mgトラマドールHCl ER錠の投与後の、平均血漿M5濃度−時間特性の時間経過を示す。
【図20】絶食下または摂食下で、本発明の態様に従って製剤化した、200mgトラマドールHCl ER錠の単回投与後の、平均血漿トラマドール濃度(ng/ml)の時間経過を示す。
【図21】絶食下または摂食下で、本発明の態様に従って製剤化した、200mgトラマドールHCl ER錠の単回投与後の、平均血漿M1濃度(ng/ml)の時間経過を示す。
【図22】絶食下または摂食下で、本発明の態様に従って製剤化した、200mgトラマドールHCl ER錠の単回投与後の、平均血漿M5濃度(ng/ml)の時間経過を示す。
【図23】トラマドールHCl ER錠およびプラセボについての、関節炎疼痛強度VASスコア(主要評価項目)における、ベースラインから異なる試験時点までのLS平均変化の比較。
【図24】トラマドールHCl ER錠およびプラセボについての、関節炎疼痛強度VASスコア(主要評価項目)における、ベースラインから異なる試験時点までのLS平均変化の比較。
【図25】各副次的評価項目関する、トラマドールHCl ER錠およびプラセボについての、ベースラインから12週目までのLS平均変化の比較。
【発明を実施するための形態】
【0067】
(好ましい実施形態の詳細な記載)
本発明は、制御された放出医薬組成物からなり、ある態様では、トラマドールの少なくとも1つの形を含む錠剤であり、該医薬組成物はコアとコーティングを含む。
【0068】
コアは、トラマドール、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形(1つの態様では、トラマドール塩酸塩である)と、少なくとも医薬的に許容できる賦形剤(1つの態様では、潤滑剤、結合剤および/または充填剤、およびオプションで流動促進剤並びに他の医薬的に許容できる賦形剤)とを含む。
【0069】
本発明に用いられるトラマドールの少なくとも1つの形は医薬技術における従来のトラマドールの任意の形であってもよい。本発明に用いられるトラマドールの少なくとも1つの形はトラマドールであってもよい。本発明に用いられるトラマドールの少なくとも1つの形は、例えば(+)−トラマドールおよび(−)−トラマドールのような個別の光学活性トラマドールの鏡像異性体であってもよい。本発明に用いられるトラマドールの少なくとも1つの形は、医薬的に許容できるトラマドールの塩であってもよい。本発明によるトラマドールの少なくとも1つの形として用いられる適切な医薬的に許容できる塩は、例えば医薬的に許容できる酸付加塩のような、従来から当技術分野で知られているものである。本発明によるトラマドールの少なくとも1つの形として用いられる適切な医薬的に許容できる酸付加塩は、塩酸塩、臭酸塩、沃酸塩、サッカリネート塩等であってもよい。1つの態様では、トラマドールの少なくとも1つの形はトラマドール塩酸塩である。
【0070】
本発明に用いられる少なくとも1つの潤滑剤は、医薬技術において従来から使用されている任意の潤滑剤であってもよい。本発明に用いられる少なくとも1つの潤滑剤は、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、グリセリルベヘネート、タルク、鉱油(PEG中)、ステアリルフマル酸ナトリウム塩等である。1つの態様では、少なくとも1つの潤滑剤はステアリルフマル酸ナトリウム塩である。
【0071】
本発明に用いられる少なくとも1つの結合剤は、医薬技術において従来から使用されている任意の結合剤であってもよい。本発明に用いられる少なくとも1つの結合剤は、改質澱粉、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーであってもよい。1つの態様では、少なくとも1つの該結合剤はポリビニルアルコールである。
【0072】
本発明に用いられる少なくとも1つの充填剤は、医薬技術において従来から使用されている任意の充填剤であってもよい。本発明に用いられる少なくとも1つの該充填剤は、ラクトース、結晶性セルロース等であってもよい。1つの態様では、少なくとも1つの該充填剤は結晶性セルロースである。
【0073】
本発明に用いられる少なくとも1つの該流動促進剤は、医薬技術において従来から使用されている任意の流動促進剤であってもよい。1つの態様において、本発明に用いられる少なくとも1つの該流動促進剤は、コロイド状二酸化シリコンである。コロイド状二酸化シリコンは、例えばDegussaによって供給されるAEROSIL(登録商標)が適するであろう。同様のコロイド状二酸化シリコンは他の供給業者からも入手できる。好適には、用いられるコロイド状二酸化シリコンはAEROSIL(登録商標)200である。
【0074】
上記の結合剤、潤滑剤、充填剤、流動促進剤および存在してもよい他の医薬的に許容できる賦形剤は、例えば、Handbook of Pharmaceutical Additives:An International Guide to More Than 6000 Products by Trade Name, Chemical, Function, and Manufacturer, MIchael and Irene Ash (Eds.); Gower Publishing Ltd.; Aldershot, Hampshire, England, 1995のような関連文献に見出せる。
【0075】
コア中の成分の相対的な量は好ましくは次の通りである。コア中の該トラマドールの少なくとも1つの形の割合は、コアの乾燥重量の約70%および約98%の間で変化してもよい。コア中の少なくとも1つの該潤滑剤の割合はコアの乾燥重量の約0.5%および約10%の間で変化してもよい。コア中の少なくとも1つの結合剤または少なくとも1つの充填剤の割合は、コアの乾燥重量の約1%および約25%の間で変化してもよい。
【0076】
コアの製造方法は次の通りにできる。
該トラマドールの少なくとも1つの形を、1つの態様では造粒機(流動床造粒機である必要はない)で、少なくとも1つの結合剤と造粒する。少なくとも1つの該結合剤を先ず適切な溶媒(1つの態様では水)に溶解または分散する。ついで、その少なくとも1つの結合剤の溶液または懸濁液を、造粒機(1つの態様では流動床造粒機)中のトラマドールの少なくとも1つの形に噴霧する。例えばGlatt(Germany)またはAeromatic(Switzerland)によって製造されている流動床造粒機をこの操作に用いることができる。造粒を実施するのに、代替法として従来の混合器または高せん断混合器を用いることができる。必要ならば、トラマドールの少なくとも1つの形を造粒段階に先立って、充填剤と混合することができる。一度乾燥した顆粒は、他の医薬的に許容できる賦形剤(特に少なくとも1つの潤滑剤)のみならず、少なくとも1つの流動促進剤および加工性を改善するのに適した医薬的に許容できる他の任意の賦形剤と混合できる。顆粒の混合物(1つの態様では少なくとも1つの潤滑剤との)およびオプションで少なくとも1つの流動促進剤を錠剤にプレスする。替わりに、トラマドールの少なくとも1つの形と少なくとも1つの潤滑剤を造粒機中(1つの態様では流動床造粒機中)で混合し、少なくとも1つの潤滑剤の融点まで加熱して顆粒を作ることができる。ついで、この混合物を少なくとも1つの充填剤と混合し、錠剤に圧縮する。また、トラマドールの少なくとも1つの形と少なくとも1つの潤滑剤(1つの態様ではポリビニルアルコール)を造粒機中(1つの態様では流動床造粒機中)で混合し、ついで得られた顆粒を錠剤にプレスすることも可能である。錠剤は標準的な技術で得られ、1つの態様では適切なパンチ(punch)に適合した(回転)プレス(例えばManesty Betapress(登録商標))上で得られる。得られた錠剤は以降、錠剤コアと云う。
【0077】
錠剤コアは、ついでトラマドールの少なくとも1つの形の制御された放出を達成するためにデザインされた、半透過性コーティングでコーティングされる。
【0078】
コーティングは、少なくとも1つの可塑剤および少なくとも1つの水溶性ポリマーと共に、少なくとも1つの非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーを含む。
【0079】
本発明に用いられる少なくとも1つの非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーは、医薬技術で使用される従来の任意の非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーであってもよい。本発明に用いられる少なくとも1つの非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーは、エチルセルロースのようなセルロースエーテル、セルロースアセテートのようなセルロースエステル、ポリビニルアルコール等であってもよい。1つの態様では、少なくとも1つの該非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーはエチルセルロースである。エチルセルロースは、例えばDow Chemical Companyによって供給されるETHOCEL(登録商標)が適している。同様なエチルセルロースは他の供給業者からも入手できる。好適には、用いられるエチルセルロースはETHOCEL(登録商標)PR,より好適には、ETHOCEL(登録商標)PR100である。
【0080】
本発明に用いられる少なくとも1つの該可塑剤は医薬技術で使用される従来の任意の可塑剤であってもよい。本発明に用いられる少なくとも1つの該可塑剤はクエン酸エステルのようなエステル、ヒマシ油のような油、ポリエチレングリコールのような各種分子量のポリアルキレングリコールであってもよい。1つの態様では、少なくとも1つの可塑剤はジブチルセバケートである。
【0081】
本発明に用いられる少なくとも1つの該水溶性ポリマーは、医薬技術で使用される従来の任意の水溶性ポリマーであってもよい。1つの態様では、少なくとも1つの該水溶性ポリマーはポリビニルピロリドンである。少なくとも1つのポリビニルピロリドンは、例えばBASF AGによって供給されるKOLLIDON(登録商標)が適している。同様なポリビニルピロリドンは、他の供給業者からも入手できる。好適には、用いられるポリビニルピロリドンはKOLLIDON(登録商標)90Fである。
【0082】
例えば、アクリル酸誘導体(Rohm PharmaからEUDRAGIT(登録商標)の商品名で入手できる)、着色剤等のような、他の医薬的に許容できる賦形剤をコーティングの中に用いることができる。
【0083】
コーティング中の成分の相対的な量は、好適には次の通りである。コーティング中の少なくとも1つの該非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマー(1つの態様ではエチルセルロースである)の割合はコーティング中で、コーティングの乾燥重量の約20%から約90%の間で変化してもよい。コーティング中で、少なくとも1つの該水溶性ポリマー(1つの態様ではポリビニルピロリドンである)の割合は、コーティングの乾燥重量の約10%から75%の間で変化してもよい。コーティング中で、少なくとも1つの該可塑剤(1つの態様ではジブチルセバケートである)の割合はコーティングの乾燥重量の約5%から約30%の間で変化してもよい。成分の相対的割合、特に、少なくとも1つの該非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーの少なくとも1つの該水溶性ポリマーに対する割合は、所望の放出特性(より遅い放出が望まれる場合は、一般的に、少なくとも1つの該非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーの量を多くして得られる)に依存して変化できる。
【0084】
コーティングのプロセスは次の通りにできる。エチルセルロース、ジブチルセバケートおよびポリビニルピロリドンを変性アルコールのような溶媒にプロペラ攪拌器を用いて完全な溶解が達成するまで溶解する。得られた溶液を穿孔コーティングパンを用いて錠剤コアに噴霧する。
【0085】
コーティング/錠剤コアの重量比は例えば約1/30と約3/10の間、好ましくは約1/10である。
【0086】
錠剤はトラマドールの少なくとも1つの形の量を約25mgから約800mg以上を含む。
【0087】
従って本発明は、トラマドール、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびその組み合わせからなる群から選ばれたトラマドールの少なくとも1つの形を含む、放出が制御された医薬組成物であって、その組成物が2時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約0%から約30%(重量)までが放出され、4時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約5%から約22%(重量)までが放出され、6時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約15%から約38%(重量)までが放出され、8時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約40%(重量)超が放出されるような溶解特性を示す医薬組成物を提供する。
【0088】
本発明のある態様では、放出が制御された医薬組成物は徐放性錠剤であって、その錠剤は
(i)トラマドール塩酸塩、ポロリビニルアルコール、コロイド状二酸化シリコンおよびジステアリルフマル酸ナトリウム塩を含むコアと
(ii)エチルセルロース、ポリビニルピロリドンおよびジブチルセバケートを含むコーティングとを含む。
【0089】
本発明の好ましい態様の詳細を次の実施例で説明するが、この実施例に制限されないことを理解すべきである。
【実施例1】
【0090】
例1:100mg トラマドールHCl ER錠
次の100mg トラマドールHCl ER錠製剤を調製した。
【表1】

【0091】
錠剤コアの調製
トラマドール塩酸塩とコロイド状二酸化シリコンを混合し、1.0mmのスクリーンを通した。ポリビニルアルコールを純水に溶解した。トラマドール塩酸塩とコロイド状二酸化シリコンの混合粉末を、流動床造粒機Glatt GPCG1中で、ポリビニルアルコールの水性溶液と造粒し,ついで乾燥した。造粒後、顆粒をステアリルフマル酸ナトリウム塩と混合し、ついで1.0mmのスクリーンを通した。混合物をManesty Betapressを用いて錠剤コアに圧縮した。
【表2】

【0092】
コーティングの調製
エチルアルコールとイソプロパノールを秤量し、混合した。ジブチルセバケートとエチルセルロースを加え、プロペラ攪拌器Coframo RZR1を用いて攪拌しながらエチルアルコールとイソプロパノールに溶解した。エチルセルロースとジブチルセバケートを完全に溶解させた。ポリビニルピロリドンを加えた。すべての成分が溶解するまで溶液を攪拌した。溶液を#7ノズルを有するBee Internationalの高圧ホモジェナイザーMini DeBee 2000を通した。錠剤コアは多孔コーティングパン(coating pan)O’Hara Labcoat III 36”Pan ,Vector LCDS中で、コーティング溶液を用いてコーティングした。
【0093】
コーティングのパラメーター
入口温度: 48.5−49.5℃
出口温度: 38.5−39.5℃
床温度: 37.5−38.5℃
噴霧速度: 300g/分
噴霧空気/パターン: 25/25psi
ガン/床の距離: 6”
ガン間距離: 6”
パン速度: 12.0rpm
【0094】
コ−ティング量
直径: 6mm
厚さ: 4.65mm
カップ(cup)高さ: 1.02mm
表面: 112mm2
割合: 100%
量: 16mg
【0095】
溶解方法
ロット番号(♯)2159,2162および2165に従って製剤化した100mgトラマドールHCl ER錠のインビトロの溶解試験を実施した。トラマドールHCl ER錠のインビトロの溶解特性を測定するために、本明細書で実施したすべてのインビトロの溶解試験に次の溶解条件を用いた。
【0096】
装置: USPバスケット(10メッシュ)
溶解媒体: 0.1N HCl
容量(容器): 900ml
浴温度: 37℃(±0.5℃)
波長: 271nm
フローセル(Flow cell)厚さ: 1cm
回転速度: 75rpm
全試験時間: 900分
試料採取間隔: 30分
【0097】
【表3】

【0098】
図1はロット番号2159,2162および2165に従って製剤化した100mgトラマドールHCl ER錠のインビトロの溶解特性を比較する。
【0099】
試験番号401(B99−401PK−TRAP03)
正常で健常な喫煙しない男性ボランティアで、トラマドールHCl徐放性錠(2×100mg)の3つの製剤とUltram(登録商標)錠(50mgq.i.d)の4期、単回投与、非盲検、絶食下、バイオアベイラビリティー比較パイロット試験を行った。
【0100】
このパイロット試験は、絶食下で、Ultram(登録商標)(Ortho−McNeil Pharmaceuticals)錠(50mgq.i.d)に対して、3つの新しいトラマドールHCl ER錠(2×100mg)のバイオアベイラビリティーを評価した。
【0101】
このパイロット試験は、16名の正常で健常な喫煙しない男性ボランティアと2名の予備ボランティアでのバランスのとれた無作為化、4期、4治療、4連続クロスオーバーデザインである。
【0102】
18名の被験者がこの試験に参加した。14名の被験者が試験を終了した;14名の被験者が評価可能であった。すべての被験者は喫煙者でなく、年令が18歳から45歳の間(両数字を含む)で、男性と女性の望ましい体重表によって計算された被験者の身長と骨格に関する理想体重の±15%以内の体重を有した。
【0103】
試験時期は1週間のウオッシュアウト期間で隔てられた。薬物含量の分析のための血液採取は0.0時(投与前)、各薬物投与後1.0,2.0,3.0,4.0,6.0,8.0,10.0,12.0,16.0,20.0,24.0,30.0および48.0時に行った。薬物含量分析のための採血は0.0時(投与前)、対照薬物投与後1.0,2.0,3.0,4.0,5.0(投与前)、6.0,7.0、8.0,9.0、10.0,11.0(投与前)、12.0,13.0、14.0、15.0(投与前)、16.0,17.0,18.0、20.0,24.0、30.0、36.0および48.0時に行った。
治療A: トラマドールHCl ER 200mg錠
ロット番号2159
治療B: トラマドールHCl ER 200mg錠
ロット番号2162
治療C: トラマドールHCl ER 200mg錠
ロット番号2165
治療D: Ultram(登録商標)錠
管理番号:CDA2225;使用期限:4/01
(Ortho−McNeil Pharmaceuticals,USA)
【0104】
試験された3つの100mg徐放トラマドール製剤(2x1001日1回)はUltram(登録商標)錠を1日4回(それぞれ、1回目の投与後5,11および15時間後に2回目、3回目および4回目を投与)(図2および3参照)に比べて、トラマドールとモノ−O−デスメチルトラマドールの血漿濃度−時間特性の延長を示した。更にER製剤はUltram(登録商標)速放性錠の同等用量と比べて同等のAUCを示した。AUCおよびAUCの90%幾何平均信頼区間はすべての3つ試験製剤について80%から125%の範囲内であった。製剤2162と2165は、80%から125%の範囲内の90%幾何平均信頼区間から明らかなように、Ultram(登録商標)に対して同等のCmaxを示した。平均薬物動態パラメーターおよび幾何平均AUCおよびCmaxの比の90%信頼区間を、トラマドールについて表3aと表3bに、O−デスメチルトラマドールについて表4aと4bに示す。表3aはまた、ERトラマドール製剤と速放性錠の間に代謝物の比(M1のAUC/トラマドール)に明らかな差がないことを示している。Ultram(登録商標)治療後の半減期は徐放製剤に比べてわずかに短かった。
【0105】
【表4】

【0106】
図2はロット番号2159,2162および2165に従って製剤したトラマドールHCl ER 錠(100mgx2)の1日1回投与の平均血漿トラマドール濃度(ng/ml)の時間経過のUltram(登録商標)(50mgx2)q.i.dとの比較を示す。
【0107】
【表5】

【0108】
【表6】

【0109】
図3はロット番号2159,2162および2165に従って製剤したトラマドールHCl ER 錠(100mgx2)の1日1回投与後の平均血漿O−デスメチルトラマドール濃度(ng/ml)のUltram(登録商標)(50mgx2)q.i.dとの比較を示す。
【0110】
【表7】

【0111】
試験番号99103(B99−416−TRAP03)
正常で健常な喫煙しない男性および女性ボランティアで、トラマドールHCl徐放錠(2×100mg)とUltram(登録商標)を比較した2期、反復投与、非盲検、絶食下、バイオアベイラビリティー比較パイロット試験を行った。
【0112】
この試験の目的は、正常で健常な喫煙しない男性および女性ボランティアで、定常状態下で、トラマドール塩酸塩の新しい徐放製剤(2x100mg)とUltram(登録商標)(50mgq.i.d)の吸収速度と程度を比較することであった。この比較は臨床条件下でのUltram(登録商標)の投与を反映している。
【0113】
この定常状態でのパイロット試験は、16名の正常で健常な喫煙しない男性および女性ボランティアと4名の予備ボランティア(合計男性11名および女性9名)での無作為化、2期クロスオーバー試験デザインであった。
【0114】
20名の被験者がこの試験に参加した。15名の被験者が試験を終了した;15名の被験者が評価可能であった。すべての被験者は喫煙者でなく、年令が18歳から45歳の間(両数字を含む)で、男性と女性の望ましい体重表によって計算された被験者の身長と骨格に関する理想体重の±15%以内の体重を有した。すべての女性被験者は授乳しておらず、妊娠テストは陰性で、許容できる避妊法を使用していた。
【0115】
試験時期は1週間のウオッシュアウト期間で隔てられた。薬物含量の分析のための血液採取は試験製品(トラマドール ER錠(2x100mg、治療A、ロット番号2162)に対して次のように行った:1日目−0.0時(投与前)、各薬物投与後1.0,2.0,3.0,4.0,6.0,8.0,10.0,12.0,16.0,20.0,24時;2日目、3日目および4日目−0.0時(投与前)、5日目−0.0時(投与前)、各薬物投与後1.0,2.0,3.0,4.0,6.0,8.0,10.0,12.0,16.0,20.0,24,30.0,36.0および48.0時。
【0116】
薬物含量分析のための採血は対照製品(Ultram(登録商標)錠q.i.d.、治療B,ロット番号CDA2225)に対して次のように行った:1日目−0.0時(投与前)、薬物投与後1.0,2.0,3.0,4.0,5.0(投与前)、6.0,7.0、8.0,9.0、10.0,11.0(投与前)、12.0,13.0、14.0、15.0(投与前)、16.0,17.0,18.0、20.0および24.0時; 2日目、3日および4日目−0.0時(投与前);5日目−0.0(投与前)、薬物投与後1.0,2.0,3.0,4.0,6.0,7.0、8.0,9.0、10.0,11.0(投与前)、12.0,13.0、14.0、15.0(投与前)、16.0,17.0,18.0、20.0、24.0、30.0、36.0および48.0時。
治療A: 2錠のトラマドールHCl ER 100mg錠(ロット番号2162−Biovail Corporation International,Canada)1日1回(7AM頃)、5日連続
治療B: Ultram(登録商標)(トラマドールHCl ER 50mg錠、Ortho−McNeil Pharmaceuticals,USA)
(ロット番号DA2225)q.i.d(7AM,12PM,6PMおよび10PM頃)、5日間連続。
【0117】
本試験では、反復投与条件下で、ロット番号2162を速放性Ultram(登録商標)と比較した。徐放性製剤は一貫して単回および反復投与の両方で行った。トラマドールHCl ER 錠とUltram(登録商標)の反復投与後のトラマドールの全般的半減期はそれぞれ7.3時間および6.7時間であった。トラマドールの定常状態濃度はトラマドールHCl ER 錠では3回目の投与(試験3日目)で達成され、Ultram(登録商標)では、5回目の投与(試験2日目)で達成された。トラマドールおよびM1の単回および反復投与の平均薬物動態データをそれぞれ表5a−5bおよび6a−6bに示す。トラマドールHCl ER 錠(ロット番号2162)と速放性Ultram(登録商標)(ロット番号CDAA2225)の定常状態の生物学的同等性が確認された。AUCおよびCmaxの90%信頼区間は、未変化体およびO−デスメチルトラマドールともに80%から125%の限界の範囲内であった。トラマドールHCl ER 錠(ロット番号2162)の1日1回投与はUltram(登録商標)の1日4回よりも定常状態(70%)での変動率が低かった。
【0118】
【表8】

【0119】
図4はロット番号2162に従って製剤したトラマドールHCl ER錠(100mgx2)の1日1回5日間投与後1日目の平均血漿トラマドール濃度(ng/ml)のUltram(登録商標)(50mgx2)q.i.dとの比較を示す。
【0120】
図5はロット番号2162に従って製剤したトラマドールHCl ER錠 (100mgx2)の1日1回、5日間投与後5日目の平均血漿トラマドール濃度のUltram(登録商標)(50mgx2)q.i.dとの比較を示す。
【0121】
【表9】

【0122】
【表10】

【0123】
図6はロット番号2162に従って製剤したトラマドールHCl ER錠(100mgx2)の1日1回、5日間投与後1日目の平均血漿デスメチルトラマドール濃度のUltram(登録商標)(50mgx2)q.i.dとの比較を示す。
【0124】
図7はロット番号2162に従って製剤したトラマドールHCl ER錠 (100mgx2)の1日1回、5日間投与後5日目の平均血漿デスメチルトラマドール濃度のUltram(登録商標)(50mgx2)q.i.dとの比較を示す。
【0125】
【表11】

【0126】
試験番号2282(B99−424PK−TRAP03)
正常で健常な喫煙しない男性および女性ボランティアで、トラマドール塩酸塩徐放性錠(3×100mg)の2製剤の1日1回投与とUltram(登録商標)錠(2x50mg)の1日3回投与を比較した3期、反復投与、非盲検、絶食下、バイオアベイラビリティー比較パイロット試験を行った。
【0127】
この試験の目的は、正常で健常な喫煙しない男性および女性ボランティアで、定常状態下で、1日1回投与した、2つのトラマドール塩酸塩の新しい徐放性製剤(3x100mg)と1日3回投与したUltram(登録商標)(2x50mg)の吸収速度と程度を比較することであった。この比較は臨床条件下でのUltram(登録商標)の投与を反映している。
【0128】
このパイロット試験は、15名の正常で健常な喫煙しない男性および女性ボランティアと3名の予備ボランティア(合計男性11名および女性9名)での無作為化、3期クロスオーバー試験デザインであった。18名の被験者がこの試験に参加した。14名の被験者が試験を終了した;14名の被験者が評価可能であった。すべての被験者は喫煙者でなく、年令が18歳から45歳の間(両数字を含む)で、男性と女性の望ましい体重表によって計算された被験者の身長と骨格に関する理想体重の±15%以内の体重を有した。すべての女性被験者は授乳しておらず、妊娠テストは陰性で、許容できる避妊法を使用していた。
【0129】
試験時期は1週間のウオッシュアウト期間で隔てられた。薬物含量の分析のための血液採取は2つの試験製品(トラマドール ER錠(3x100mg)、治療A(ロット番号2162)と治療B(ロット番号2165)))に対して次のように行った:1日目−0.0時(投与前)、投与後1.0,2.0,3.0,4.0,6.0,8.0,10.0,12.0,16.0,20.0時;2日目、3日目および4日目−0.0時投与前)、5日目−0.0時(投与前)、投与後1.0,2.0,3.0,4.0,5.0(投与前)、6.0,7.0、8.0,9.0、10.0,11.0(投与前)、12.0,13.0,14.0、16.0,20.0,24,30.0,36.0および48.0時。
【0130】
薬物含量分析のための採血は対照製品(Ultram(登録商標)50mg錠q.i.d.、治療C)について次のように行った:1日目−0.0時(投与前)、薬物投与後1.0,2.0,3.0,4.0,5.0(投与前)、6.0,7.0、8.0,9.0、10.0,11.0(投与前)、12.0,13.0、14.0、、16.0,および20.0時; 2日目、3日および4日目−0.0時(投与前);5日目−0.0時(投与前)、薬物投与後1.0,2.0,3.0,4.0,5.0(投与前)、6.0,7.0、8.0,9.0、10.0,11.0(投与前)、12.0,13.0、14.0、16.0,20.0、24.0、30.0、36.0および48.0時。
治療A: 3錠のトラマドールHCl ER 100mg錠(ロット番号2162−Biovail Corporation International,Canada)1日1回(7AM頃)、5日連続
治療B: 3錠のトラマドールHCl ER 100mg錠(ロット番号2165−Biovail Corporation International,Canada)1日1回(7AM頃)、5日連続
治療C: 2錠のUltram(登録商標)(トラマドールHCl ER 100mg錠、Ortho−McNeil Pharmaceuticals,USA)(ロット番号CDA2225)q.i.d(7AM,12PMおよび6PM頃)、5日連続。
【0131】
本試験は正常で健常な男性および女性ボランティアで、定常状態の条件下で、2つの代表的なトラマドールHCl ER 錠製剤(ロット番号2162およびロット番号2165)(3×100mg)1日1回投与とUltram(登録商標)(2×50mg)1日3回投与を比較するために行った。この比較は臨床条件下でUltram(登録商標)の投与を反映している。
【0132】
徐放性製剤は一貫して単回および反復投与条件下で行った。トラマドールの反復投与後の全般的半減期はトラマドールHCl ER 錠製剤(ロット番号2162)で7.3時間、トラマドールHCl ER 錠製剤(ロット番号2165) で6.9時間、速放性Ultram(登録商標)で6.4時間であった。トラマドールの定常状態濃度はトラマドールHCl ER 錠(ロット番号2162およびロット番号2165)の3回目の投与(試験3日目)で達成され、Ultram(登録商標)では、7回目の投与(試験3日目)で達成された。トラマドールおよびM1の単回および反復投与の平均薬物動態データをそれぞれ表7a−7bおよび8a−8bに示す。トラマドールHCl ER 錠(ロット番号2162およびロット番号2165)と速放性Ultram(登録商標)(ロット番号CDAA2225)の定常状態の生物学的同等性が確認された。トラマドールHCl ER 錠(ロット番号2162)の未変化体およびO−デスメチルトラマドールのAUCおよびCmaxおよびトラマドールHCl ER 錠(ロット番号2165)の未変化体およびO−デスメチルトラマドールのAUCの90%信頼区間は80%から125%の限界範囲内であった。ロット番号2165のO−デスメチルトラマドールのCmaxは限界内であった。
【0133】
ロット番号2162は、トラマドールおよびO−デスメチルトラマドールのAUCおよびCmaxの90%信頼区間が80%から125%の限界内であったことから、Ultram(登録商標)のt.i.dおよびq.i.d投与の両方に対して定常状態の生物学的同等性を示した。
【0134】
【表12】

【0135】
【表13】

【0136】
【表14】

【0137】
【表15】

【0138】
図8はロット番号2162と2165に従って製剤したトラマドールHCl ER錠(100mgx3)の1日1回、5日間投与後1日目の平均血漿トラマドール濃度のUltram(登録商標)(50mgx2)t.i.dとの比較を示す。
【0139】
図9はロット番号2162と2165に従って製剤したトラマドールHCl ER錠 (100mgx3)の1日1回、5日間投与後5日目の平均血漿トラマドール濃度のUltram(登録商標)(50mgx2)t.i.dとの比較を示す。
【0140】
図10はロット番号2162と2165に従って製剤したトラマドールHCl ER錠(100mgx3)の1日1回、5日間投与後1日目の平均血漿デスメチルトラマドール濃度とUltram(登録商標)(50mgx2)t.i.dの比較を示す。
【0141】
図11はロット番号2162と2165に従って製剤したトラマドールHCl ER錠 (100mgx3)の1日1回、5日間投与後1日目の平均血漿デスメチルトラマドール濃度のUltram(登録商標)(50mgx2)t.i.dとの比較を示す。
【実施例2】
【0142】
例2:100mgトラマドールHCl ER錠
次の100mgトラマドールHCl ER錠製剤を調製した。
錠剤コア製剤
錠剤コア製剤は実施例1と同じであった。錠剤コアは実施例1に記載したプロセスに従って調製した。
【0143】
【表16】

【0144】
コーティングプロセスは次のパラメーターに従って実施した。
−30psi噴霧圧
−40℃製品温度
−5g/分/kg噴霧速度
【実施例3】
【0145】
例3:100mgトラマドールHCl ER錠
次の100mgトラマドールHCl ER錠製剤を調製した。
錠剤コア製剤
錠剤コアの製剤は実施例1と同じであった。錠剤コアは実施例1に記載したプロセスに従って調製した。
【0146】
【表17】


コーティング製剤
錠剤コアコーティング溶液は実施例1に記載したプロセスに従って調製した。
【0147】
【表18】

【0148】
【表19】

【0149】
図12はロット番号1−4に従って製剤化したトラマドールHCl 100mg ER錠のインビトロの溶解特性を示す。
【実施例4】
【0150】
例4:200mgトラマドールHCl ER錠
次の200mgトラマドールHCl ER錠製剤を調製した。
【0151】
【表20】


錠剤コア製剤
錠剤コアは実施例1に記載したプロセスに従って調製した。
【0152】
【表21】


コーティング製剤
錠剤コアコーティング溶液は実施例1に記載したプロセスに従って調製した。
【0153】
【表22】

【0154】
図13は実施例4に従って製剤化した200mgトラマドールHCl ER錠のインビトロの溶解特性を示す。
【実施例5】
【0155】
例5:200mgトラマドールHCl錠
次のトラマドールHCl製剤を調製した。
錠剤コア製剤
錠剤コア製剤は実施例4と同じである。
錠剤コアの調製
錠剤コアは実施例1に記載したプロセスに従って調製した。
【0156】
【表23】


コーティングプロセスは次のパラメーターに従って実施した。
−30psi噴霧圧
−40℃製品温度
−5g/分/kg噴霧速度
【実施例6】
【0157】
例6:200mgトラマドールHCl ER錠
次のトラマドールHCl ER剤を調製した。
錠剤コア製剤
錠剤コア製剤は実施例4と同じである。
錠剤コアの調製
錠剤コアは実施例1に記載したプロセスに従って調製した。
【0158】
【表24】


コーティングの調製
錠剤コアコーティング溶液は実施例1に記載したプロセスに従って調製した。
【0159】
【表25】

【0160】
溶解方法
溶解方法は実施例1に記載したプロセスに従って実施した。
【0161】
【表26】


図14はロット番号5から7に従って製剤化した200mgトラマドールHCl ER錠のインビトロの溶解特性を示す。
【実施例7】
【0162】
例7
正常で健常な喫煙しない男性被験者でトラマドールHCl徐放性錠(2x100mgvs1x200mg)の2期、クロスオーバー、非盲検、単回投与、絶食下、バイオアベイラビリティー比較試験を実施した。
【0163】
7.1:要約
12名の試験を終了した被験者の予備的データに基づいて、200mg強度のトラマドールHCl ER錠は2x100mgとして投与された100mg強度に比例する。
【0164】
7.2:試験の目的
この試験は、絶食条件下の単回投与でのトラマドールHCl ER錠の2つの強度(2x100mgvs1x200mg)の用量強度比例性を測定するためにデザインした。
【0165】
7.3:試験のデザイン
単回投与、非盲検、2期、2連続、クロスオーバーデザインである。治療は1週間のウオッシュアウト期間によって隔てられた。各時期の1日目に、被験者は無作為化計画に従って、次の治療の1つを2つの離れた場面で投与された。
治療A:10時間の1夜絶食後、0.0時に、2つのトラマドールHCl徐放性100mg錠を240mLの水とともに服用(総1日用量=200mg)。
治療B:10時間の1夜絶食後、0.0時に、1つのトラマドールHCl徐放性200mg錠を240mLの水とともに服用(総1日用量=200mg。
【0166】
7.4:要約と結論
この試験は、絶食条件下での単回投与のトラマドールHCl ER錠の2つの強度(2x100mgvs1x200mg)の用量強度比例性を測定することを意図した。合計12名の男性被験者がBiovail Contract Researchで投与された。12名の試験を終了した被験者の予備的血漿データを用いて、トラマドールとM1代謝物の薬物動態と統計解析を行った。12名の試験を終了した被験者に基づいたトラマドールとM1についての平均血漿濃度vs時間のプロットをそれぞれ図15と16に示す。各人の薬物動態パラメーターを表18a,18b,19aおよび19bに示す。
【0167】
すべての被験者で、トラマドールのAUC0-tとCmaxの幾何平均(1x200mg/2x100mg)の比はそれぞれ1.11と1.17であった。対応した90%信頼区間はそれぞれ97%−125%と103%−133%であった。M1代謝物について、AUC0-tとCmaxの幾何平均(1x200mg/2x100mg)の比はそれぞれ1.05と1.11であった。対応した90%信頼区間はそれぞれ96%−116%と102%−121%であった。
【0168】
結論として、すべての解析対象で、AUC0-tとCmaxの90%信頼区間が80%−125%の範囲内であったので、200mg強度のトラマドールHCl ER錠は2x100mgとして投与した100mg強度に比例した。
【0169】
【表27】

【0170】
【表28】

【0171】
図15は、本発明の態様に従って製剤化したトラマドールHCl 100mg ER錠(2x100mg1日1回)とトラマドールHCl 200mgER錠(1x200mg1日1回)の経口投与から得られた平均血漿トラマドール濃度−時間特性の比較を示す。
【0172】
【表29】

【0173】
【表30】

【0174】
図16は、本発明の態様に従って製剤化したトラマドールHCl 100mg ER錠(2x100mg1日1回)とトラマドールHCl 200mg ER錠(1x200mg1日1回)の経口投与から得られた平均血漿M1濃度−時間特性の比較を示す。
【実施例8】
【0175】
例8
正常で健常な喫煙しない男性被験者で、トラマドールHCl徐放性錠(2x100mgvs1x200mg)の2期、クロスオーバー、非盲検、単回投与、絶食下、バイオアベイラビリティー比較試験を実施した。
【0176】
8.1:要約
23名の試験を終了した被験者の予備的データに基づいて、200mg強度のトラマドールHCl ER錠は2x100mgとして投与した100mg強度に比例する。
【0177】
8.2:試験の目的
この試験は、絶食条件下の単回投与での、2つの強度(2x100mgvs1x200mg)のトラマドールHCl ER錠の用量強度比例性を測定するためにデザインした。
【0178】
8.3:試験のデザイン
単回投与、非盲検、2期、2連続、クロスオーバーデザインである。治療は1週間のウオッシュアウト期間によって隔てられた。各時期の1日目に、被験者は無作為化計画に従って、次の治療の1つを2つの異なる場面で投与された。
治療A:10時間の1夜絶食後、0.0時に、2つのトラマドールHCl徐放性100mg錠を240mLの水とともに服用(総1日用量=200mg)。
治療B:10時間の1夜絶食後、0.0時に、1つのトラマドールHCl徐放性200mg錠を240mLの水とともに服用(総1日用量=200mg)。
【0179】
8.4:要約と結論
この試験は、絶食条件下で、単回投与での、トラマドールHCl ER錠の2つの強度(2x100mgvs1x200mg)の用量強度比例性を測定することを意図した。合計24名の男性被験者がBiovail Contract Researchで投与された。試験を終了した23名の被験者の予備的血漿データを用いてトラマドール、M1およびM5の薬物動態と統計解析を行った。試験を終了した23名の被験者に基づいたトラマドール、M1およびM5についての平均血漿濃度vs時間のプロットをそれぞれ図17,18および19に示す。各人の薬物動態パラメーターを表20,21,および22に示す。
【0180】
すべての被験者で、トラマドールのAUC0-tとCmaxの幾何平均(1x200mg/2x100mg)の比はそれぞれ1.00と1.00であった。対応した90%信頼区間はそれぞれ96.3%−104.17%と92.2%−109.12%であった。M1代謝物について、AUC0-tとCmaxの幾何平均(1x200mg/2x100mg)の比はそれぞれ1.00と0.97であった。対応した90%信頼区間はそれぞれ95.6%−104.61%と90.3%−104.39%であった。M5代謝物について、AUC0-tとCmaxの幾何平均(1x200mg/2x100mg)の比はそれぞれ0.98と0.99であった。対応した90%信頼区間はそれぞれ92.6%−104.72%と90.9%−107.25%であった。
【0181】
結論として、すべての解析対象で、AUC0-tとCmaxの90%信頼区間が80%−125%の範囲内であったので、200mg強度のトラマドールHCl ER錠は2x100mgとして投与した100mg強度に比例した。
【0182】
【表31】

【0183】
図17は10時間の一夜絶食後の、本発明の態様に従って製剤化した2つの100mgトラマドールHCl ER錠または本発明の態様に従って製剤化した1つの200mgトラマドールHCl ER錠投与後の平均血漿トラマドール濃度(ng/ml)の経時変化を示す。
【0184】
【表32】

【0185】
図18は10時間の一夜絶食後の、本発明の態様に従って製剤化した2つの100mgトラマドールHCl ER錠または本発明の態様に従って製剤化した1つの200mgトラマドールHCl ER錠投与後の平均血漿M1濃度(ng/ml)の経時変化を示す。
【0186】
【表33】

【0187】
図19は10時間の一夜絶食後の、本発明の態様に従って製剤化した2つの100mgトラマドールHCl ER錠または本発明の態様に従って製剤化した1つの200mgトラマドールHCl ER錠投与後の平均血漿M5濃度(ng/ml)の経時変化を示す。
【実施例9】
【0188】
例9
正常で健常な喫煙しない男性被験者で、トラマドールHCl徐放性200mg錠の2期、クロスオーバー、非盲検、単回投与、摂食下、バイオアベイラビリティー比較試験を実施した。
【0189】
9.1:要約
試験を終了した20名の被験者の予備的データに基づいて、食事が単回投与後のトラマドールHCl ER錠200mgのトラマドール、M1およびM5代謝物の吸収の速度および程度を有意に減少した。
【0190】
9.2:試験の目的
この試験は、単回投与後の食事のトラマドールHCl ER200mg錠への影響を評価するためにデザインした。
【0191】
9.3:試験のデザイン
単回投与、非盲検、2期、2連続、クロスオーバーデザインである。治療は1週間のウオッシュアウト期間によって隔てられた。各時期の1日目に、10時間の1夜絶食後に被験者は無作為化計画に従って、次の治療の1つを2つの異なる場面で投与された。
治療A: 高脂肪含有朝食の完全な摂取5分以内の0.0時に、1つのトラマドールHCl徐放性200mg錠を240mLの水とともに服用。
治療B: 10時間の1夜絶食後の0.0時に、1つのトラマドールHCl徐放性200mg錠を240mLの水とともに服用。
【0192】
9.4:要約と結論
この試験は、単回経口投与後のトラマドールHCl ER200mg錠への食事の影響を評価することを意図した。合計24名の男性被験者がBiovail Contract Researchで投与された。試験を終了した22名の被験者の予備的血漿データを用いて薬物動態と統計解析を行った。試験を終了した20名の被験者に基づいたトラマドール、M1およびM5についての平均血漿濃度vs時間のプロットをそれぞれ図20,21および22に示す。各人の薬物動態パラメーターを表23,24,および25に示す。
【0193】
すべての被験者で、トラマドールのAUC0-tとCmaxの幾何平均(摂食/絶食)の比はそれぞれ0.76と0.73であった。M1代謝物について、AUC0-tとCmaxの幾何平均(摂食/絶食)の比はそれぞれ0.75と0.76であった。M5代謝物について、AUC0-tとCmaxの幾何平均(摂食/絶食)の比はそれぞれ0.73と0.73であった。
【0194】
被験者番号(♯)12と18を除いてデータ解析を行うと、トラマドールのAUC0-tとCmaxの幾何平均の比はそれぞれ0.79と0.73であった。M1代謝物について、AUC0-tとCmaxの幾何平均(摂食/絶食)の比はそれぞれ0.78と0.76であった。M5代謝物について、AUC0-tとCmaxの幾何平均(摂食/絶食)の比はそれぞれ0.75と0.72であった。
【0195】
この結果に基づいて、トラマドールHCl ER200mg錠への食事の顕著な影響が見られると結論した。食事下で、トラマドールHCl ER200mg錠の単回投与によるトラマドールとその代謝物の吸収の速度と程度は絶食下での投与と比べて有意に低かった。
【0196】
【表34】

【0197】
図20は絶食または摂食条件下で、本発明の態様に従って製剤化した1つの200mgトラマドールHCl ER錠の単回投与後の平均血漿トラマドール濃度(ng/ml)の経時的変化を示す。
【0198】
【表35】

【0199】
図21は絶食または食事下で、本発明の態様に従って製剤化した1つの200mgトラマドールHCl ER錠の単回投与後の平均血漿M1濃度(ng/ml)の経時変化を示す。
【0200】
【表36】

【0201】
図22は絶食または食事下で、本発明の態様に従って製剤化した1つの200mgトラマドールHCl ER錠の単回投与後の平均血漿M5濃度(ng/ml)の経時変化を示す。
【実施例10】
【0202】
例10:トラマドール ERの骨関節炎試験
【0203】
10.1:全般的試験のデザインと計画
膝の骨関節炎治療におけるトラマドール ER錠とプラセボの有効性と安全性の12週間、多施設共同二重盲検、無作為化、用量漸増並行群間比較試験を実施した。最低140名の患者が試験を終了することを確実にするために、膝の機能分類クラスI−IIIの骨関節炎に関連した中等度から重度の疼痛のある18歳から75歳の約245の患者を試験に登録する計画を立てた。同意文書に署名後、スクリーニングで、選択基準および除外基準に適合した患者が2日から7日のウオッシュアウト期間に入り、その間すべての鎮痛剤の使用を中止した。試験(ベースライン、来院2)の1週目の開始時に、膝関節指数のvisual analog scale(VAS)で40以上の疼痛強度を報告した評価可能な患者をトラマドール ER錠またはプラセボのいづれかに割り付けた。
【0204】
トラマドール ER錠に割り付けた患者は100mgQDで開始し、少なくとも3日間それらの用量を維持した。4日目および週の残り(来院3のために患者がクリニックに戻るまで)では、患者は副作用の忍容性に基づいて、200mgQDまで増量することが許された。来院3以降は、患者は200mgの ERQDのトラマドールの最低用量に維持されなければならず、疼痛の軽快の適切性および副作用の忍容性に基づいて、必要ならば用量を漸増した。プラセボ群に無作為化された患者は偽物の用量増量を受けた。1週目から12週目まで、200mgの最低用量が維持された場合は、更に増量または減量することが許された。適切な用量の調整に反応しない患者または許容できない副作用のある患者では、治療を中止し、適宜替わりの鎮痛剤治療を開始した。患者は1週目(来院3)、2週目(来院4)、4週目(来院5)、8週目(来院6)、12週目(来院7)または早期中止時に来院し、有効性と安全性の評価を行った。
【0205】
10.2:有効性の評価項目
有効性の主要評価は、患者の来院時の関節炎疼痛強度VAS(visual analog scale)であった。関節炎VASは最も一般的に用いられているバリデートされた疼痛強度評価法で、薬物製品の鎮痛の能力を評価するためにFDAが推奨しているものである。
【0206】
疼痛はまた、WOMAC骨関節指数を用いる有効性の副次的評価として評価された。WOMACは骨関節炎において、治療への反応性を評価するための、バリデートされ、国際的に認識され、広く使用されている多次元手段である。それは骨関節炎における3つの主要な困難な症状である、疼痛、関節の堅さと身体機能を評価する。更に、医師は患者に疾患の全体評価を提供し、患者は有効性の他の副次的評価として就寝時の質問表に反応を記録した。
【0207】
10.3:結果
合計246名の患者が無作為化し、安全性を評価できた。この内、219名がintent-to-treat(ITT)集団に対して評価可能であった。ITT集団には、ベースライン来院時(来院2)および治療についての最初の主要評価項目の採取点である1週目の来院時(来院3)に記録された主要有効性情報を有するすべての安全性評価可能な患者が含まれた。ITT集団はまた、治療の有効性がないために、1週目の来院前に脱落したすべての患者を含んだ。柔軟な用量プログラムに従ったトラマドールERの平均1日用量は約300mgであった。登録した患者の年令の中央値は61歳で、骨関節炎の持続の中央値は10年であった。
【0208】
トラマドールERは、評価された主要評価項目およびすべての副次的評価項目に関して、プラセボと比較して骨関節炎に関連した疼痛強度の統計的に有意で、且つ臨床的に意義のある低減を示した。
【0209】
10.4:主要評価項目に関する反応
図23では、1週目から12週目の平均に基づいて、トラマドールERとプラセボに関して、VASスコアのベースラインからのLS平均変化を比較している。主要評価項目(12週に亘るベースラインからのLS平均変化)では、トラマドールERとプラセボで、それぞれ39.5%(30.4mm)と21.5%(17.7mm)の関節炎疼痛強度VASのベースラインからの変化があった(LS平均差2.7mm、p<0.001)。図24は2つの治療群についての週毎のLS平均変化を示す。治療の差は、患者がトラマドールER100mgまたは200mgの用量のいづれかを受けていた最初の来院(1週目)で現れた(ベースラインからの変化24.8%[19.6mm]vs14.0%[11.1mm],LS平均差8.5mm、p=0.003)。2週目の治療の終わりに、トラマドールERへの反応はプラセボに比べて増加した(ベースラインからの変化35.7%[27.4mm]vs19.3%[15.7mm],LS平均差11.7mm、p<0.001)。12週までに、トラマドールERへの反応(ベースラインからのLS平均の変化)は48.6%[37.4mm]であるのに対して、プラセボへの反応は27.0%[22.1mm]であった(LS平均差は15.3mm、p<0.001)。
【0210】
10.5:副次的評価項目に関する反応
図25は各副次的評価項目について、トラマドールERとプラセボのベースラインから12週目までのLS平均の変化を比較している。
【0211】
10.5.1:WOMACサブスケール
WOMACの3つの次元、即ち疼痛、堅さおよび身体機能についての結果は主な所見に対して同様であった。トラマドールER錠はWOMACに関して疼痛、堅さおよび身体機能の改善においてプラセボよりも有意に良好であった。
【0212】
12週目で、WOMACの疼痛サブスケールで、トラマドールERはプラセボと有意に相違した(ベースラインからの変化44.6%[155.9mm]vs24.8%[86.9mm],0−100mmスケールで、LS平均差13.8mm、p<0.001)。
【0213】
12週目で、WOMACの堅さサブスケールで、トラマドールERはプラセボと有意に相違した(ベースラインからの変化43.4%[63.9mm]vs18.1%[33.8mm],0−100mmスケールで、LS平均差15.0mm、p<0.001)。
【0214】
12週目で、WOMACの身体機能サブスケールで、トラマドールERはプラセボと有意に相違した(ベースラインからの変化43.8%[518.3mm]vs21.3%[270.4mm],0−100mmスケールで、LS平均差14.6mm、p<0.001)。
【0215】
12週目で、WOMACの複合スコアで、トラマドールERへの反応はプラセボと有意に相違した(ベースラインからの変化42.2%[727.9mm]vs22.8%[391.2mm],0−100mmスケールで、LS平均差14.4mm、p<0.001)。
【0216】
3.5.2:平坦な表面上のWOMAC疼痛歩行
過去の複数の試験はWOMAC疼痛サブスケールからの1つの項目を主要評価項目として利用している。WOMACサブスケールについての幾つか質問は階段を歩いて「上る」または「下りる」(高齢者が好む国内の幾つかの地域、例えばアリゾナ、ニューメキシコ、フロリダ等は階段が少ない)に関するので、「平坦な表面上の疼痛歩行」と言うWOMAC疼痛サブスケールの質問が好むバイオメトリックスの専門家もある。
【0217】
12週目で、平坦な表面上のWOMAC疼痛歩行で、トラマドールERはプラセボと有意に相違した(ベースラインからの変化40.9%[29.9mm]vs15.7%[15.9mm]、LS平均差14.4mm、p<0.001)。これも図25に示す。
【0218】
10.5.3:患者の骨関節炎の全体評価
12週目で、患者の骨関節炎の全体評価で、トラマドールERはプラセボと有意に相違した(ベースラインからの変化33.0%[33.2mm]vs24.4%[18.5mm]、LS平均差14.7mm、p<0.001)。
【0219】
10.6:安全性の結果
陽性対照を置かないプラセボ対照試験があった。従って、ULTRAM(登録商標)製品のデータとの直接比較は不可能である。しかし、ULTRAM(登録商標)製品の添付文書との間接的な比較は可能である。表1に慢性非悪性疼痛におけるULTRAM(登録商標)の有害事象の累積発現率のデータを示す。本試験の期間は12週間であるので、90日の比較が最も適切である。有害事象は定性的に同様であった。しかし、最も一般的に見られた有害事象の発現率はわずか7日間のULTRAM(登録商標)治療と比べて、トラマドールERの90日間の治療後で、一般に低かった。
【0220】
【表37】

【0221】
10.7:結論
トラマドールERは、疼痛の軽快の適切性と副作用の忍容性に基づいて、200mg、300mgまたは400mgの用量において、12週間に亘って、1日1回の錠剤を漸増または漸減した柔軟な投与プログラムの後に、プラセボと比べて骨関節症に関連した疼痛の統計的に有意で臨床的に意味のある低下を示した。トラマドールERの平均1日用量は約300mgと推定された。主要有効性評価項目はvisual analog scale(VAS)上で測定した疼痛強度であった。有効性の副次的評価項目はWOMAC骨関節炎指数の疼痛強度、堅さおよび身体機能サブスケール、患者と医師の関節炎の全体評価、不適切な疼痛軽快による患者の脱落および患者の睡眠の評価であった。
【0222】
治療の最初の週の終わり、および、その後のすべての週で、トラマドールERは疼痛の低減でプラセボに対して統計的に優れていた。トラマドールER群の疼痛改善の大きさ(ベースラインからの変化)は12週の治療を通して週毎に増加した(1週目で25%および12週目で47%)。12週目までに、トラマドールで治療された患者はプラセボに比べて平均疼痛軽快スコアで臨床的に重要な15mmの差を報告した。この差は非常に有意であった(p<0.001)。1週目から12週目の間の平均に基づいて、トラマドールERで治療された患者は、プラセボに比べて平均疼痛軽快スコアで統計的に非常に有意で、臨床的に重要な14mmの差を達成した(P<0.001)。副次的評価項目の結果は、主要評価項目と結果と並行して、すべての結果で統計的にトラマドールERが優れていた。
【0223】
報告された有害事象は定性的にUltramのそれと類似していた。しかし、発現率はULTRAM(登録商標)について以前に報告されたそれよりもトラマドールERで低かった。
【0224】
12週のプラセボ対照試験の結果は、200mgから400mgQDの用量で投与したトラマドールERは、骨関節炎の主要な症状、即ち、疼痛、堅さおよび身体機能を顕著に改善することを示している。トラマドールERの安全性の特徴は、ULTRAM(登録商標)のそれと一致しているが、幾つかの有害事象は従来の対照よりも頻度が低いようである。
【0225】
10.8:臨床上の意味
本試験において、有効性の評価に従来の評価項目を使用して、トラマドールERは関節炎疼痛強度VASにおいて、それぞれ12週に亘っての平均(評価項目)および12週時点での平均として表した場合、ベースラインから、それぞれ30.4mmと37.4mmの変化を示した。しかし、殆どのそのような試験と一致して、プラセボ治療は関節炎疼痛強度 VAS において、それぞれ12週に亘っての平均(評価項目)および12週時点での平均として表した場合、ベースラインから、それぞれ17.7mmと22.1mmの変化を示した。従って、関節炎疼痛強度 VAS において、それぞれ12週に亘っての平均(評価項目)および12週時点での平均として表した場合、実際の治療の差(トラマドールERへ反応し、プラセボへの反応が少ない)はベースラインからの、それぞれ12.7mmと15.3mmの変化である。
【0226】
トラマドールERの治療後の薬理学的反応(主要および副次的評価項目での)の時間経過と大きさの詳細な検討は、これが明白な薬物作用であること示している:反応の大きさは時間とともに増加し、すべての作用(疼痛、堅さ、身体機能、患者の全体評価)は方向性で一致しており、一般的に同等なサイズである。
【0227】
骨関節炎において、トラマドールERに対する鎮痛反応の頑健性を測定するために、2つの基準が利用できる。1つの手法はリウマチ学会の推定法を用いるものである。他の手法は最近承認され、商業的に成功している薬物の骨関節炎における重要な試験の結果を用いるものである。
【0228】
学会のリウマチの専門家を含むコンセンサス開発(3ラウンドのDelphi運動)において、患者の全般的疼痛評価における15mmの治療差が臨床試験の目的についての最低の臨床的に重要な差(MCID)と考えられた(Bellamy N, Carette S, Ford PM et al. Osteoarthritis Antirheumatic Drug Trials. II. Tables for caluculating sample size for clinical trials. J Rheumatol 1992;19:444−50; Bellamy N, Carette S, Ford PM et al. Osteoarthritis Antirheumatic Drug Trials. III. Data for Clinical Trials−Results of a Concensus Development(Delphi) Eercise. J Rheumatology 1992;19:3,451−457)。しかし、最近発表された試験において、WOMACの疼痛、堅さおよび身体機能のサブスケールのスコアの3つの次元上の臨床的に認知できる最低の改善(MCPI)はそれぞれ9.7,9.3および10mmであった(Beaton DE, Bombardier C, Katz J et al. Looking for important change/difference in studies of responsiveness.J Rheumatol 2001;28;400−405 )
【0229】
そのNDAに骨関節炎の重要な治験が含まれている他の承認された鎮痛剤のデータを情報公開(FOI)の下にFDAから入手した。多剤との直接の比較は困難であり、トラマドールと同じクラス(セロトニン、ノルアドレナリンおよびオピオイド作用の組み合わせ)の薬物はないが、他の鎮痛剤に関するデータはトラマドールER試験結果に背景を提供する。
【0230】
ロフェコキシブ(VIOXX(登録商標))は1日用量12.5mgで骨関節炎の治療に承認されている;1日25mg(最大用量)に増量することで、ベネフィットが得られる患者があると云うコメントが付けられている。骨関節炎におけるロフェコキシブの有効性試験の期間は6週間であった。主要評価項目として、WOMACの評価項目「平坦な表面上の疼痛歩行」が用いられた。殆どの症例で6週間に亘るベースラインからのLS変化が比較の基礎を形成した。ロフェコキシブ12.5mgとプラセボの間の平均の差は14.3mm(試験番号029)、12.4mm(試験番号033)、15.4mm(試験番号040)および9.0(試験番号058)であった。同様に陽性対照とプラセボの間の平均差は13.5mm(イブプロフェン、2400mg、試験番号033)、14.6mm(イブプロフェン、2400mg、試験番号040)および10mm(ナブメトン[レラフェン(登録商標)]、1500mg、試験番号058)であった。
【0231】
セレコキシブ(CELEBREX(登録商標))は1日用量200mgで骨関節炎の治療に承認されている。重要な臨床試験は6または12週間のプラセボ対照試験であり、且つナプロキセンを陽性対照に用いていた。試験番号020と054が重要な臨床試験であり、試験番号040と087がセレコキシブ100mgBIDvs.200mgQDのプラセボ対照評価であった。それぞれの試験には、関節炎疼痛VASの患者の評価を含む複数の評価項目があった。セレコキシブ100mgBIDとプラセボの間のベースラインからの疼痛VASの変化におけるLS平均差は8.0mm(12週試験;試験番号020)、12.2mm(12週試験;試験番号054)、13.9mm(6週試験;セレコキシブ100mgBID;試験番号040)および13.1mm(6週試験;セレコキシブ200mgQD;試験番号040)、6.2mm(6週試験;セレコキシブ100mgBID;試験番号087)および8.5mm(6週試験;セレコキシブ100mgBID;試験番号087)であった。同様に、陽性対照とプラセボの間の平均差は7.6mm(ナプロキセン500mgBID;試験番号020)および11.2mm(ナプロキセン500mgBID;試験番号054)であった。
【0232】
本試験の結果は、トラマドールERが約300mgQD(200mgから400mgの範囲)の用量でOAに頑健な鎮痛反応を与えることを示している。反応の大きさはNSAIDおよびCOX−2阻害剤に優らないとしても、少なくとも同等である。その1日1回投与の利点によって、トラマドールERは慢性疼痛を治療している臨床医の治療装備への重要な追加になるであろう。
【実施例11】
【0233】
例11
慢性下部背部疼痛の治療における、200mgと300mgのトラマドールHCl徐放性錠とプラセボの有効性と安全性を比較する二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験を実施した。
【0234】
11.1:試験の概要
慢性下部背部疼痛の患者における、徐放性トラマドール(トラマドールER)300mと200mg1日1回(QD)経口(PO)投与とプラセボの鎮痛作用の有効性と安全性を比較するために、最低360名の患者を含む、多施設共同二重盲検、反復投与、無作為化、プラセボ対照、並行群間比較試験をデザインした。
【0235】
11.2:被験者
毎日鎮痛剤の治療を要する慢性(6ヶ月以上)下部背部疼痛患者。
【0236】
11.3:デザイン
非盲検観察期間に続く二重盲検、無作為化、反復投与、プラセボ対照試験。患者は進行中の1年間の非盲検延長試験に回してもよい。
【0237】
11.4:治療プログラム
トラマドールER100mgから始め、300mgQDの耐性用量を達成し、トラマドールER300mgQDの安定した維持用量で1週間治療する、2週間のトラマドールERの用量漸増を含む、3週間の非盲検観察期間。観察期間後、患者は次の二重盲検治療の1つに無作為化された。
8:00A.M.トラマドールER300mgQD
8:00A.M.トラマドールER200mgQD
8:00A.M.プラセボQD
【0238】
11.5:登録期間
5ヶ月
【0239】
11.6:治療期間
スクリーニング(来院1)において、評価可能患者は臨床試験を受け、ついで2日から7日のウオッシュアウト期間に入り、この間すべての鎮痛剤の使用を中止した。来院2(3週目)で、visual analog scaleで40mm以上の疼痛強度を報告した評価可能患者は、3週間の非盲検観察期間に入った。患者はトラマドールER100mgQDを開始し、この用量で少なくとも3日間維持された。4日目と残りの週(2週目に来院3でクリニックに戻るまで)の間、患者は副作用の忍容性に基づいて、用量を200mgQDに増加した。来院3(2週目)から始めて、患者は200mgQDのトラマドールERの最低用量に維持され、副作用の忍容性に基づいて、用量を増加(即ち300mgQD)した。来院4(1週目)から始めて、患者はトラマドールERの用量を300mgQDに増量し、この用量で1週間維持した。観察期間の残りの間、更なる用量の調整は許されなかった。適切な用量調整に対し反応しなかった患者または許容できない副作用の患者で、治療は中止し、適宜替わりの鎮痛剤治療を行った。3週間の観察期間の終わりに、トラマドールER300mgQDの投与を受けている評価可能な患者は、12週間の二重盲検、無作為化試験に入った。来院5(0週目)で、患者はトラマドールER300mgQD、トラマドールER200mgQDまたはプラセボQDの投与に無作為に割り付けられた。治験薬投与の投与は毎日8:00A.M.に行った。二重盲検期間では用量の調整は許されなかった。二重盲検試験の薬物治療を忍容できない患者および許容できない疼痛管理の患者は試験から脱落した。患者は1週目(来院6)、2週目(来院7)、4週目(来院8)、8週目(来院9))および12週目(来院10)、または早期中止時に有効性および安全性評価のために来院した。来院10で治験薬を中止し、患者は1週間後、試験治療後の来院(来院11,13週目)まで非オピオイド鎮痛剤で治療された。来院10と来院11の間、患者に電話し、トラマドールを含むオピオイド鎮痛剤を服用していないことを確認した。患者が非オピオイド鎮痛剤で管理できなかった場合、およびオピオイド鎮痛剤またはトラマドールのインターベンションが必要であった場合は、来院10後1週間より早く来院11を予定した。来院11で、患者は身体依存性および有害事象の評価を完了した。
【0240】
11.7:施設数
30施設
【0241】
11.8:被験者数
最低360名の患者(治療毎に120名の患者)を提供するために600名の患者を登録した。
【0242】
11.9:有効性
各来院時、患者に、現在の疼痛強度と前の来院以降の疼痛強度をvisual analog scale(VAS)を用いて評価するよう依頼し、患者は治験薬の全般的評価を提供した。主要評価項目は前の来院以降の患者の疼痛強度VASスコアであった。副次的評価項目には、患者の現在の疼痛強度、患者の全体評価、Roland Disability Index,患者の睡眠の評価および非有効性による治療の早期中止が含まれた。
【0243】
11.10:安全性
安全性は、各来院時にバイタルサイン(心拍数、呼吸数、仰臥位、座位および立位の血圧)および非指示有害事象質問表によって評価した。スクリーニング時と各来院時に、早期終了を含め、患者は失神、オルソスタシス(orthostasis)、眩暈、意識消失および紅潮(血管拡張)を評価された。試験を通して有害事象を観察した。身体検査はスクリーニング(来院1)および最後の来院(来院11)または早期終了時に行った。臨床検査はスクリーニング時(来院1)、3週目(来院2)、ベースライン(0週目、来院5)、1週目(来院6)および12週目(来院10)または早期終了時に行った。妊娠の可能性のある女性は、血清妊娠テストをスクリーニング時(来院1)、3週目(来院2)、ベースライン(0週目、来院5)、1週目(来院6)、4週目(来院8)、8週目(来院9)および12週目(来院10)または早期終了時に行った。スクリーニング時(来院1)の血清妊娠テスト結果が、観察期間の開始時に中央検査室から入手できない場合は、施設で尿妊娠テストを行った。EKGはスクリーニング時(来院1)、ベースライン時(0週目、来院5)および12週目(来院10)または早期終了時に行った。患者はスクリーニング来院時後の各来院時にAddiction Research Center Inventory(ARCI)Short書式に記入した。患者は観察期間開始時(来院2)、12週目(来院10)、13週目(来院11)、または早期終了時に身体依存性質問表に記入した。
【0244】
これまでに本発明の好ましい態様の詳細を記載したが、記載は発明の原理を単に説明するためのもので、制限的なものではないことを理解すべきである。請求項に定義した本発明の範囲から離れることなく、上に記載した本発明の特別な態様に対して、多くの修飾、変更および適合を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1日1回投与に適した錠剤の形状の放出が改良された経口投与用医薬組成物であって、
(i)トラマドール、そのラセミ混合物、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるトラマドールの少なくとも1つの形と、医薬的に許容できる少なくとも1つの賦形剤とを含むコア;並びに
(ii)少なくとも1つの非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマー、少なくとも1つの可塑剤および少なくとも1つの水溶性ポリマーを含む改良された放出性コーティングであって、少なくとも1つの該非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーの割合がコーティングの乾燥重量の約20%から約90%まで変化し、少なくとも1つの該可塑剤がコーティングの乾燥重量の約5%から約30%まで変化し、少なくとも1つの該水溶性ポリマーがコーティングの乾燥重量の約10%から約75%まで変化する、改良された放出性コーティング;
を含み、該組成物はトラマドールの少なくとも1つの形の遅延された放出を提供する、上記医薬組成物。
【請求項2】
患者に経口投与した時に、前記組成物が速放性組成物と本質的に同等なバイオアイオアベオラビリティーを維持しつつ、トラマドールの少なくとも1つの形の速放性組成物よりも統計的に有意に低い平均血漿変動指数を生ずる、請求項1に記載の放出が改良された医薬組成物。
【請求項3】
患者に経口投与した時に、前記組成物がトラマドールの少なくとも1つの形の速放性組成物によって生じるよりも低い、トラマドールの少なくとも1つの形の平均最大血漿濃度(Cmax)を生じ、濃度−時間曲線下面積(AUC)および平均最低血漿濃度(Cmin)が速放性組成物のそれと本質的に同等である、請求項1又は2に記載の放出が改良された医薬組成物。
【請求項4】
患者に経口投与した時に、前記組成物がトラマドールの少なくとも1つの形の平均最大血漿濃度(Cmax)を生じ、血漿濃度−時間曲線下面積(AUC)が、トラマドールの少なくとも1つの形の速放性医薬組成物によって生じるそれの約−20%から+25%の範囲内にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載された放出が改良された医薬組成物。
【請求項5】
トラマドールの少なくとも1つの形がトラマドール塩酸塩であり、速放性医薬組成物が米国FDAによって承認された新医薬品申請第N20281号の主題である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
トラマドール、その鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるトラマドールの少なくとも1つの形を含む、放出が改良された医薬組成物であって、その組成物が、2時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約0%から約30%(重量)までが放出され、4時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約5%から約55%(重量)までが放出され、12時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約50%(重量)超が放出され、24時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約80%(重量)超が放出されるようなインビトロの溶解特性(USP Basket法により、37℃で900mL 0.1N HCl中で75rpmで測定)を示す、請求項1〜5のいずれか一項に記載された放出が改良された医薬組成物。
【請求項7】
前記組成物が2時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約0%から約30%(重量)までが放出され、4時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約5%から約22%(重量)までが放出され、6時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約15%から約38%(重量)までが放出され、8時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約40%(重量)超が放出されるようなインビトロの溶解特性(USP Basket法により、37℃で900mL 0.1N HCl中で75rpmで測定)を示す、請求項6に記載された放出が改良された医薬組成物。
【請求項8】
前記組成物が2時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約2%から約10%(重量)までが放出され、4時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約12%から約20%(重量)までが放出され、6時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約30%から約38%(重量)までが放出され、8時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約48%から約56%までが放出され、10時間後に、トラマドールの少なくとも1つの形の約64%から約72%までが放出され、12時間後にトラマドールの少なくとも1つの形の約76%超が放出されるようなインビトロの溶解特性(USP Basket法により、37℃で900mL 0.1N HCl中で75rpmで測定)を示す、請求項7に記載された放出が改良された医薬組成物。
【請求項9】
患者に経口投与した時に、前記医薬組成物が、トラマドールの少なくとも1つの形の約80ng/mlから約500ng/mlの平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する、請求項1〜8のいずれか一項に記載された放出が改良された医薬組成物。
【請求項10】
患者に経口投与した時に、前記医薬組成物が、約4時間から約14時間の範囲のトラマドールの少なくとも1つの形の平均最大血漿濃度(Tmax)までの時間を提供する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の放出が改良された医薬組成物。
【請求項11】
患者に経口投与した時に、前記医薬組成物が、約1000ng.hr/mlから約10000ng.hr/mlの範囲の曲線下面積を有する血漿濃度−時間曲線を提供する、放出が改良された医薬組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの該非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーがエチルセルロースである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の放出が改良された医薬組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの該水溶性ポリマーがポリビニルピロリドンである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の放出が改良された医薬組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの該可塑剤がジブチルセバケートである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の放出が改良された医薬組成物。
【請求項15】
少なくとも1つの該非水溶性、水透過性フィルム形成ポリマーがエチルセルロースであり、少なくとも1つの該水溶性ポリマーがポリビニルピロリドンであり、少なくとも1つの該可塑剤がジブチルセバケートである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の放出が改良された医薬組成物。
【請求項16】
該コア中の少なくとも1つの該医薬的に許容できる賦形剤が、少なくとも1つの潤滑剤、少なくとも1つの結合剤、少なくとも1つの流動促進剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の放出が改良された医薬組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの潤滑剤がステアリルフマル酸ナトリウムであり、少なくとも1つの結合剤がポリビニルアルコールであり、少なくとも1つの流動促進剤がコロイド状二酸化シリコンである、請求項16記載の放出が改良された医薬組成物。
【請求項18】
(i)トラマドール塩酸塩、ポリビニルアルコール、コロイド状二酸化シリコンおよびステアリルフマル酸ナトリウムを含むコア、および
(ii)エチルセルロース、ポリビニルピロリドンおよびジブチルセバケートを含むコーティング、
を含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載された放出が改良された医薬組成物。
【請求項19】
前記トラマドールの少なくとも1つの形がトラマドール塩酸塩であり、該トラマドール塩酸塩が約50mgから約400mgの量で存在する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の放出が改良された医薬組成物。
【請求項20】
該組成物が錠剤の形である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の放出が改良された医薬組成物。
【請求項21】
前記組成物が遅延した放出性を有し、それによって実質的に胃腸間の上部での薬物の薬物放出が防がれる、請求項1〜20のいずれか一項に記載の放出が改良された医薬組成物。
【請求項22】
前記組成物が、少なくとも1つのトラマドールの形の1時間で約0ng/mLの血漿濃度をもたらす遅延した放出性を有する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の放出が改良された医薬組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2010−155864(P2010−155864A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86646(P2010−86646)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【分割の表示】特願2003−570772(P2003−570772)の分割
【原出願日】平成15年2月21日(2003.2.21)
【出願人】(510008813)バイオヴェイル ラボラトリーズ インターナショナル エスアールエル (2)
【Fターム(参考)】