説明

トランスホイール

【課題】小ローラのがたつきを少なし、トランスホイールの耐久性を高める。
【解決手段】ローラコンベヤ用の搬送ローラの外周に沿って、その搬送ローラの回転方向に交差する方向に回転する小ローラ3を複数設け、前記小ローラ3は、搬送物に接する周面3cと、その周面3cを挟む両端面3b,3b間を貫通する支持軸挿通孔3aとを備え、前記各小ローラ3は、前記支持軸挿通孔3aに挿通された支持軸4によって、それぞれ前記搬送ローラのホイール本体5に対して回転自在に支持され、その支持軸4は前記ホイール本体5に設けた軸受け部6に支持されており、前記支持軸挿通孔3aは、前記両端面3b,3bへの各開口部3dから前記両端面3b,3b間の中央部3eに向かって徐々に大径となっており、前記支持軸4の最外縁4aは、前記支持軸挿通孔3aの内面に沿って線接触しているトランスホイールとしたので、小ローラ3のがたつきを少なし、トランスホイールの耐久性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送用のローラコンベヤに用いられるトランスホイールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
トランスホイールは、ローラコンベヤの搬送ローラとして使用される。特に、ローラコンベヤに載せられた搬送物、又は載せようとする搬送物を、そのコンベヤの搬送方向に交差する方向にスライドさせる箇所に用いられる。例えば、一のローラコンベヤの途中から他のコンベヤが分岐して設けられている場合等において、その分岐部分に係る搬送ローラが挙げられる。
【0003】
この種のトランスホイール1の構成は、例えば、図9(a)(b)(c)に示すように、ローラコンベヤの搬送方向に回転する搬送ローラのホイール本体5の外周に沿って、小ローラ3が複数組み込まれたものが一般的である。
【0004】
搬送ローラのホイール本体5は、通常は強化プラスチック製のものが採用され、その中央の軸孔8にコンベヤの回転軸(図示せず)が挿通されて、その回転軸とともに一体に図中矢印Aの方向、あるいはその反対方向へ回転するようになっている。
【0005】
また、各小ローラ3は、前記コンベヤの回転軸に直交する同一面内に配置されて、それぞれ支持軸4周りに図中矢印Bの方向、あるいはその反対方向へ回転自在となっている。
【0006】
この小ローラ3は、搬送物に接する周面3cと、その周面3cを挟む両端面3b,3b間を貫通する支持軸挿通孔3aとを備えている。
各小ローラ3は、支持軸挿通孔3aに挿通された前記支持軸4によって、それぞれ前記ホイール本体5に対して回転自在に支持されている。その支持軸4は、前記各小ローラ3の両側で前記ホイール本体5に設けた軸受け部6に支持されている。
【0007】
ホイール本体5は、上記軸孔8の軸方向に沿って2分割されたホイール部材5a,5aが嵌め合わされて一体に固定されるようになっている。
【0008】
その嵌め合わせの際に、一方のホイール部材5aに形成したピン穴2aに、他方のホイール部材5aに形成したピン2が嵌って両者が位置決めされるとともに、その各ホイール部材5a,5aに形成された凹部7a,7aが対向して小ローラ収納部7を、同じく溝部6a,6aが対向して前記軸受け部6を形成するようになっている。
【0009】
なお、このトランスホイール1を使用した搬送コンベヤの例としては、例えば、下記特許文献1がある。また、トランスホイール1としては、他にも、例えば、図10(a)(b)に示すものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−289849号公報(第8頁第10図、第9頁第8図第9図)
【特許文献2】特開2007−182301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記図10に示すトランスホイール1によれば、小ローラ3を支える支持軸4は、搬送ローラの外周に沿って環状を成すものである。したがって、その支持軸4の最も外側に当たる縁、すなわち支持軸4の最外縁4aは弧状を成している。
【0012】
このため、支持軸4の途中に屈曲部がなく、その支持軸4の製作や、小ローラ3への支持軸4の挿通が容易である。
【0013】
このとき、支持軸4は、前記小ローラ3の支持軸挿通孔3aの内面に当接することで、搬送物の荷重が、小ローラ3、支持軸4、ホイール本体5、コンベヤの回転軸へと伝達される。
【0014】
すなわち、小ローラ3の支持軸挿通孔3aは、図10(b)に示すように、両端面3b,3bへの各開口部3dから前記両端面3b,3b間の中央部3eに向かって徐々に小径となっている。
これは、円弧状の支持軸4に対して、小ローラ3を回転可能とするためであり、また、小ローラ3を樹脂で成形する際に、その支持軸挿通孔3a内に入り込んでいた型枠を抜き取る際の抜き勾配を確保するためでもある。支持軸挿通孔3aが、両開口部3dから中央部3eに向かって小径になっていないと、型枠を抜き取ることができないからである。
【0015】
このため、搬送物の荷重(矢印a参照)は、小ローラ3から支持軸4の最外縁4aに対して、図10(b)にそれぞれ示す1点(接点p)で伝達されることとなる。これは、小ローラ3の支持軸挿通孔3aの内面と、支持軸4の最外縁4aとの接触が、上記1点での点接触だからである。
【0016】
また、仮に、図10(c)に示すように、両端面3b,3bへの各開口部3d間の全長に亘って同一内径となっている場合も、搬送物の荷重は、小ローラ3から支持軸4の最外縁4aに対して、点接触している1点(接点p)で伝達されることとなる。
【0017】
このように、荷重の伝達が1点で行われることは、小ローラ3他、各部部材の耐久性の問題上、好ましくない場合もある。また、小ローラ3の支持軸挿通孔3aの内面と支持軸4の外面とが点接触すると、図10(b)(c)に矢印b,cで示す方向に、支持軸4に対して小ローラ3のがたつきが生じやすくなるという問題もある。
【0018】
そこで、この発明は、小ローラのがたつきを少なし、トランスホイールの耐久性を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するために、この発明は、ローラコンベヤ用の搬送ローラの外周に沿って、その搬送ローラの回転方向に交差する方向に回転する小ローラを複数設け、前記小ローラは、搬送物に接する周面と、その周面を挟む両端面間を貫通する支持軸挿通孔とを備え、前記各小ローラは、前記支持軸挿通孔に挿通された支持軸によって、それぞれ前記搬送ローラのホイール本体に対して回転自在に支持され、その支持軸は前記ホイール本体に設けた軸受け部に支持されており、前記支持軸挿通孔は、前記両端面への各開口部から前記両端面間の中央部に向かって徐々に大径となっており、前記支持軸の最外縁は、前記支持軸挿通孔の内面に沿って線接触、又は複数箇所で点接触していることを特徴とするトランスホイールの構成を採用した。
【0020】
この構成によれば、小ローラの支持軸挿通孔は、両端面への各開口部から前記両端面間の中央部に向かって徐々に大径となっており、支持軸の最外縁は、その支持軸挿通孔の内面に沿っていることから、荷重の伝達が支持軸挿通孔の内面に沿って分散して行われる。 このため、小ローラ他、各部部材の耐久性が高まり、支持軸に対する小ローラのがたつきも生じにくくなる。
【0021】
なお、支持軸の最外縁と支持軸挿通孔の内面との接触は、その支持軸挿通孔の内面に沿って、点接触箇所が複数箇所分布している構成とすることもできるし、あるいは、その支持軸挿通孔の内面に沿って線接触している構成を採用することもできる。このとき、点接触箇所と線接触箇所の両方が介在していてもよい。また、両者を線接触とする場合は、その線接触箇所は、支持軸挿通孔の全長に亘るようにすると、さらに好ましい。
【0022】
この線接触箇所を有する構成において、前記支持軸は、前記搬送ローラの外周に沿う弧状を成し、前記支持軸挿通孔内の空間は、前記両端面への各開口部から前記両端面間の中央部に向かって徐々に大径となる樽形を成している構成を採用することができる。すなわち、支持軸が搬送ローラの外周に沿う弧状を成す場合は、その支持軸の最外縁が線接触する支持軸挿通孔は、その内部の空間を樽型とすることにより線接触の延長を長くでき、線接触箇所を支持軸挿通孔の全長に亘るものとすることも可能となる。
【0023】
また、これらの各構成からなるトランスホイールの製造方法であって、前記小ローラは、前記支持軸挿通孔の内径が最大の部分の断面を挟んで分割された一方の端面寄りの部材と他方の端面寄りの部材とが別々に樹脂成形され、その別々に成形された前記一方の端面寄りの部材と他方の端面寄りの部材とを、前記支持軸挿通孔の内径が最大の部分の断面で接合することを特徴とするトランスホイールの製造方法を採用することができる。
【0024】
また、他の構成からなるトランスホイールの製造方法としては、前記小ローラは、前記支持軸挿通孔の孔中心線を通る断面を挟んで分割された複数の部材が別々に樹脂成形され、その別々に成形された部材同士を、前記支持軸挿通孔の孔中心線を通る断面で接合することを特徴とするトランスホイールの製造方法を採用することができる。
【0025】
これらの構成によれば、小ローラを樹脂で成形する際に、その支持軸挿通孔内に入り込んでいた型枠を容易に抜き取ることができる。すなわち、小ローラを構成する部材が、前記支持軸挿通孔の内径が最大の部分の断面(支持軸挿通孔の孔中心線に交差する断面)、あるいは、前記支持軸挿通孔の孔中心線を通る断面で分割して成形されるから、その分割面側に型枠を抜き取ることが可能である。
【発明の効果】
【0026】
この発明は、小ローラの支持軸挿通孔を、両端面への各開口部から両端面間の中央部に向かって徐々に大径とし、支持軸の最外縁を、支持軸挿通孔の内面に沿うようにしたので、小ローラのがたつきを少なくし、トランスホイールの耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】一実施形態の分解斜視図
【図2】同実施形態の断面図
【図3】同実施形態の分解斜視図
【図4】同実施形態の斜視図
【図5】図4の断面図
【図6】他の実施形態の断面図
【図7】(a)(b)は、小ローラの製造方法を示す説明図
【図8】(a)(b)は、それぞれ、さらに他の実施形態の要部拡大断面図
【図9】従来例を示し、(a)は分解斜視図、(b)は斜視図、(c)は要部拡大断面図
【図10】従来例を示し、(a)は断面図、(b)は(a)の要部拡大断面図、(c)は(b)の変形例を示す要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
一実施形態を図1乃至図5に基づいて説明する。この実施形態のトランスホイール10は、ローラコンベヤの幅方向の回転軸に沿って複数並列して設けられ、且つ、その回転軸が搬送方向に沿って多数列並列されて設けられた各搬送ローラのうち、搬送物を前記幅方向にスライド(横移動)させる必要がある箇所の搬送ローラに採用される。
【0029】
トランスホイール10の構成は、搬送物である物品を送り出す方向(図4に示す矢印Aの方向)に回転自在に支持されているホイール本体5の外周に沿って、そのホイール本体5の回転方向に直交する方向(矢印Bの方向)に回転する小ローラ3が8個設けられている。この小ローラ3の設置数は、コンベヤ上の搬送物の横移動が円滑に行われる限りにおいて任意である。
【0030】
各小ローラ3は、搬送物に接する周面3cと、その周面3cを挟む両端面3b,3b間を貫通する支持軸挿通孔3aとを備えている。
【0031】
各小ローラ3は、その支持軸挿通孔3aに挿通された支持軸4によって、それぞれ前記搬送ローラのホイール本体)に対して回転自在に支持されている。また、その支持軸4はホイール本体5に設けた軸受け部6に支持されている。
なお、この実施形態では、ホイール本体5及び小ローラ3は強化プラスチック製、支持軸4は断面円形の金属製となっている。
【0032】
その支持軸4は、小ローラ3の支持軸挿通孔3a内に入り込む部分を含めて、その全長に亘って搬送ローラの外周に沿う弧状を成している。
特に、この実施形態では、全ての小ローラ3を環状を成す1本の支持軸4で支持しており、その各小ローラ3は、環状を成す支持軸4の周方向に1箇所設けられた開口部4dから、順にその支持軸4に挿通されるようになっている。
【0033】
なお、図中の符号3gは、小ローラ3の両端面3b,3bにおいて、前記開口部4dの周囲に設けた環状の突部3gである。この突部3gにより、小ローラ3の端面3bと、ホイール本体5との接触抵抗を低減している。
【0034】
また、この実施形態では、全ての小ローラ3を1本の環状の支持軸4で支持しているが、これ実施形態以外にも、例えば、全ての小ローラ3のうち、いくつかを1本の支持軸4で支持し、残りを別の支持軸4で支持することで、合計2本の支持軸4を用いる構成、あるいは、その支持軸4の数を増やして、例えば、3本や4本の支持軸4を用いる構成、さらには、全ての小ローラ3をそれぞれ別々の支持軸4で支持した構成等も考えられる(図6参照)。
【0035】
また、各小ローラ3の支持軸挿通孔3aは、図2(a)(b)に示すように、前記両端面3b,3bへの各開口部3dから前記両端面3b,3b間の中央部3eに向かって徐々に大径となっている。
この実施形態では、支持軸挿通孔3a内の空間は、その図2(a)(b)に示すように、両端面3b,3bへの各開口部3dから前記両端面3b,3b間の中央部3eに向かって徐々に大径となる樽形を成している。
【0036】
このため、図2の断面図における支持軸4の最も外側に当たる縁(軸孔8の中心から最も遠い部分の縁)、すなわち、支持軸4の最外縁4aは支持軸挿通孔3aの内面に沿っている。さらに、その支持軸挿通孔3aの内面において、支持軸4の最外縁4aは、支持軸挿通孔3aの全長に亘って線接触した状態である。この線接触は、小ローラ3が回転しても常に維持される。支持軸挿通孔3a内の空間が樽形だからである。なお、支持軸4の最内縁4bは支持軸挿通孔3aの内面との間に空間を介在させた状態である。
【0037】
ホイール本体5は、従来例と同様、コンベヤの回転軸を挿通する軸孔8の軸方向に沿って2分割されたホイール部材5a,5aが嵌め合わされて一体に固定されるようになっている。その嵌め合わせの際に、一方のホイール部材5aに形成したピン穴2aに、他方のホイール部材5aに形成したピン2が嵌って両者が位置決めされるとともに、その各ホイール部材5a,5aに形成された凹部7a,7aが対向して小ローラ収納部7を、同じく溝部6a,6aが対向して前記軸受け部6を形成するようになっている(図3及び図5参照)。
【0038】
その軸受け部6の形態は、支持軸4を支えることができるように、隣り合う小ローラ収納部7,7間において、その支持軸4がぴったりと嵌る形状に形成されている。支持軸4が、その軸受け部6に嵌って支持されるので、その支持ががたつかず、よりしっかりとしたものとなる。
【0039】
なお、この実施形態では、支持軸4が全周に亘って弧状(環状)を成すので、軸受け部6の形状も、その支持軸4の弧状部分がぴったりと嵌る弧状に形成されているが、例えば、支持軸4に設けた屈曲部を軸受け部6で支持する場合は、その軸受け部6も対応する屈曲形状にすることが望ましい(従来例の図9(c)の要部参照)。
【0040】
このトランスホイール10を組立てる際には、例えば、環状を成す支持軸4の周方向1箇所設けられた開口部4dを押し広げておき、その拡げられた開口部4dにおいて、支持軸4の端部4cから順に小ローラ3を挿通していくことができる。その状態で、一方のホイール部材5aの凹部7aへ小ローラ3を、各溝部6aへ対応する支持軸4の各部を収納して、その後、もう一方のホイール部材5aを重ねて固定すればよい。
【0041】
このような構成としたことにより、支持軸4の最外縁4aは、図2(b)に示すように、小ローラ3の支持軸挿通孔3aの内面に、その全長に亘って線接触する。また、支持軸挿通孔3a内の空間が樽形を成すため、その線接触は、小ローラ3の回転に伴うその小ローラ3の如何なる方位(支持軸4の軸周り方位)においても維持される。
このため、搬送物からの小ローラ3、支持軸4への荷重の伝達が支持軸挿通孔3aの内面に沿って分散して行われる。このため、小ローラ3他、各部部材の耐久性が高まり、支持軸4に対する小ローラ3のがたつきも生じにくくなる。
【0042】
この実施形態では、全周に亘って弧状部分が連続する環状の支持軸4を用いたが、少なくとも、小ローラ3の支持軸挿通孔3a内に入り込む部分が、搬送ローラの外周に沿う弧状を成している場合は、上記のように、内部空間が樽形を成す支持軸挿通孔3aを備えた小ローラ3を採用することができる。
【0043】
これらの各構成からなるトランスホイールを製造するに際し、まず、各小ローラ3の支持軸挿通孔3aに支持軸4を挿通して、2分割されたホイール部材5a,5aのいずれかの側の溝部6aに支持軸4を収容する。また、このとき、小ローラ3は同じ側のホイール部材5aの凹部7aに収容された状態とする。この状態で、ホイール部材5a,5a同士を嵌め合わせて一体に固定する。ホイール部材5a,5a同士が嵌め合わせ方法については、前述の通りである。
【0044】
この嵌め合わせによって、支持軸4が、各小ローラ3の両側で前記ホイール本体5に設けた軸受け部6に支持され、各小ローラ3は、小ローラ収納部7内に収容され、支持軸4の軸周りに回転自在となる。
【0045】
ホイール部材5aの樹脂成形の方法は従来通りであるので説明を省略し、小ローラ3を樹脂成形する際の製造方法について説明する。
【0046】
図7(a)に示す製造方法において、小ローラ3は、前記支持軸挿通孔3aの内径が最大の部分の断面11を挟んで2分割して製造される。この支持軸挿通孔3aの内径が最大の部分の断面11は、支持軸挿通孔3aの孔中心線12に直交する面方向を有する断面である。ただし、型枠の抜き取りに影響しない限りにおいて、孔中心線12に直交する面方向に対してやや角度を持った断面とすることは差し支えない。
【0047】
この分割面11(支持軸挿通孔3aの内径が最大の部分の断面11)を挟んで、一方の端面3b寄りの部材13aと他方の端面3b寄りの部材13bとが別々に樹脂成形され、その別々に成形された前記一方の端面寄りの部材13aと他方の端面寄りの部材13bとを、その分割面11(支持軸挿通孔3aの内径が最大の部分の断面11)で接合している。
【0048】
この接合の際に、一方の部材13aに形成したピン穴14aに、他方の部材13bに形成したピン14bが嵌って両者が位置決めされるようになっている。このとき、ピン14bがピン穴14a内に圧入されるようにすれば、両部材13a,13b同士の接合が容易である。なお、ピン14b、ピン穴14aを省略することもできる。また、ピン14b、ピン穴14aの有無に関わらず、接着剤により両部材13a,13bを接合してもよい。
【0049】
この小ローラ3の製造方法、トランスホイールの製造方法によれば、小ローラ3を樹脂で成形する際に、その支持軸挿通孔3a内に入り込んでいた型枠を容易に抜き取ることができる。分割面11に近づくにつれて、支持軸挿通孔3a内の空間が広くなるからである。
すなわち、小ローラ3を構成する部材13a,13bが、前記支持軸挿通孔3aの内径が最大の部分の断面(支持軸挿通孔の孔中心線に直交する断面)を分割面11として分割して成形されるから、その両部材13a,13bのそれぞれにおいて、支持軸挿通孔3a内に入り込んでいた型枠をその分割面11側に抜き取ることが可能である。
【0050】
また、他の構成からなるトランスホイールの製造方法としては、図7(b)に示す製造方法が考えられる。
【0051】
この製造方法において、小ローラ3は、支持軸挿通孔3aの孔中心線12を通る断面15を挟んで2分割して製造される。
この支持軸挿通孔3aの孔中心線12を通る断面15は、支持軸挿通孔3aの孔中心線12を通って小ローラ3を二等分する断面である。支持軸挿通孔3aの孔中心線12に並行な線を含む断面のうち、この孔中心線12を通る断面15において、支持軸挿通孔3aの内径が最大となる。
【0052】
この分割面15(支持軸挿通孔3aの孔中心線12を通る断面15)を挟んで分割された二つの部材13a’,13b’が別々に樹脂成形され、その別々に成形された部材13a’,13b’同士を、その分割面15(支持軸挿通孔3aの孔中心線12を通る断面15)で接合している。
【0053】
この接合の際に、一方の部材13a’に形成したピン穴14a’に、他方の部材13b’に形成したピン14b’が嵌って両者が位置決めされるようになっている点は、前述の例と同様である。このピン14b’がピン穴14a’内に圧入されるようにすれば、両部材13a’,13b’同士の接合が容易である。また、ピン14b’、ピン穴14a’を省略することもでき、ピン14b’、ピン穴14a’の有無に関わらず、接着剤により両部材13a’,13b’を接合してもよい点も同様である。
【0054】
この小ローラ3の製造方法、トランスホイールの製造方法によっても、小ローラ3を樹脂で成形する際に、その支持軸挿通孔3a内に入り込んでいた型枠を容易に抜き取ることができる。分割面15に近づくにつれて、支持軸挿通孔3a内の空間が広くなるからである。
すなわち、小ローラ3を構成する部材13a’,13b’が、前記支持軸挿通孔3aの孔中心線12を通る断面を分割面15として分割して成形されるから、その両部材13a’,13b’のそれぞれにおいて、支持軸挿通孔3a内に入り込んでいた型枠をその分割面15側に抜き取ることが可能である。
【0055】
なお、小ローラ3を構成する部材を、孔中心線12周りに、3つ以上の部材に分割して樹脂成形することも可能である。このとき、分割面15は、例えば、孔中心線12を中心として外径方向に等分方位に放射状に設定できる。
【0056】
また、変形例として、例えば、図8(a)(b)に示すものも考えられる。まず、図8(a)に示す変形例では、小ローラ3の支持軸挿通孔3aの内面が、4つの円錐面3fで構成されている。
【0057】
この変形例においても、小ローラ3の支持軸挿通孔3a内の空間は、両端面3b,3bへの各開口部3dから前記両端面3b,3b間の中央部3eに向かって徐々に大径となっている。
【0058】
このため、円弧状を成す支持軸4の最外縁4aは、その支持軸挿通孔3aの内面に沿っており、その支持軸挿通孔3aの内面において、4つの各円錐面3fに対して支持軸4がそれぞれ接点pで点接触した状態である。点接触箇所が複数あるので、搬送物からの小ローラ3、支持軸4への荷重の伝達が支持軸挿通孔の内面に沿って分散して行われる。このため、小ローラ3他、各部部材の耐久性が高まり、支持軸4に対する小ローラ3のがたつきも生じにくくなる。なお、この点接触箇所は、支持軸挿通孔3aの内面に沿って数が多いほど好ましい。
【0059】
また、図8(b)に示す変形例では、支持軸4のうち、小ローラ3の支持軸挿通孔3a内に入り込む部分の形状が、屈曲部4eを挟んでその両側に直線部を有するものとなっている。
【0060】
このため、支持軸挿通孔3a内の空間の形状を、図示するようないわゆる紡錘型としている。この変形例においても、小ローラ3の支持軸挿通孔3a内の空間は、両端面3b,3bへの各開口部3dから前記両端面3b,3b間の中央部3eに向かって徐々に大径となっている。
【0061】
すなわち、支持軸挿通孔3aの内面が支持軸4の最外縁4aに線接触し得るよう、小ローラ3の両端面3b,3bへの各開口部3dから、両端面3b,3b間の中央部3eに向かって徐々に大径となる2つの円錐面3fが介在する。
【0062】
この構成において、支持軸4の最外縁4aは、小ローラ3の支持軸挿通孔3aの内面に、その全長に亘って線接触し得るようになっている。また、支持軸挿通孔3a内の空間が紡錘形を成すため、その線接触は、小ローラ3の回転に伴うその小ローラ3の如何なる方位(支持軸4の軸周り方位)においても維持される。
【0063】
また、この変形例以外にも、線接触箇所を支持軸挿通孔3aの全長とせず、その一部とする構成や、点接触箇所を断続的に配置する構成も考えられる。
【0064】
これらの変形例においても、例えば、上述の図7に示すように、小ローラ3を構成する部材を分割して、それぞれ別々に樹脂成形した後、それらを接合する小ローラ3の製造方法を採用することができる。
【0065】
なお、上記の各実施形態では、小ローラ3の回転方向は、ホイール本体5の回転方向に対して直角としたが、その小ローラ3の回転方向は、ホイール本体5の回転方向に対して直角以外であってもよく、例えば、ローラコンベヤと分岐コンベヤ等との交差角度に応じて、45度、60度等自在に設定することができる。
【符号の説明】
【0066】
1,10 トランスホイール
2 ピン
2a ピン孔
3 小ローラ
3a 支持軸挿通孔
3b 端面
3c 周面
3d 開口部
3e 中央部
3f 円錐面
4 支持軸
4a 最外縁
4b 最内縁
4c 端部
4d 開口部
4e 屈曲部
5 ホイール本体
5a ホイール部材
6 軸受け部
6a 溝部
7 小ローラ収納部
7a 凹部
8 軸孔
p 接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラコンベヤ用の搬送ローラの外周に沿って、その搬送ローラの回転方向に交差する方向に回転する小ローラ(3)を複数設け、前記小ローラ(3)は、搬送物に接する周面(3c)と、その周面(3c)を挟む両端面(3b,3b)間を貫通する支持軸挿通孔(3a)とを備え、前記各小ローラ(3)は、前記支持軸挿通孔(3a)に挿通された支持軸(4)によって、それぞれ前記搬送ローラのホイール本体(5)に対して回転自在に支持され、その支持軸(4)は前記ホイール本体(5)に設けた軸受け部(6)に支持されており、
前記支持軸挿通孔(3a)は、前記両端面(3b,3b)への各開口部(3d)から前記両端面(3b,3b)間の中央部(3e)に向かって徐々に大径となっており、前記支持軸(4)の最外縁(4a)は、前記支持軸挿通孔(3a)の内面に沿って線接触、又は複数箇所で点接触していることを特徴とするトランスホイール。
【請求項2】
前記支持軸(4)の最外縁(4a)は、前記支持軸挿通孔(3a)の内面に線接触することを特徴とする請求項1に記載のトランスホイール。
【請求項3】
前記線接触する箇所は、前記支持軸挿通孔(3a)の全長に亘ることを特徴とする請求項2に記載のトランスホイール。
【請求項4】
前記支持軸(4)は、前記搬送ローラの外周に沿う弧状を成し、前記支持軸挿通孔(3a)内の空間は、前記両端面(3b,3b)への各開口部(3d)から前記両端面(3b,3b)間の中央部(3e)に向かって徐々に大径となる樽形を成していることを特徴とする請求項2又は3に記載のトランスホイール。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載のトランスホイールの製造方法であって、前記小ローラ(3)は、前記支持軸挿通孔(3a)の内径が最大の部分の断面(11)を挟んで分割された一方の端面(3b)寄りの部材(13a)と他方の端面(3b)寄りの部材(13b)とが別々に樹脂成形され、その別々に成形された前記一方の端面(3b)寄りの部材(13a)と他方の端面(3b)寄りの部材(13b)とを、前記支持軸挿通孔(3a)の内径が最大の部分の断面(11)で接合することを特徴とするトランスホイールの製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載のトランスホイールの製造方法であって、前記小ローラ(3)は、前記支持軸挿通孔(3a)の孔中心線(12)を通る断面(15)を挟んで分割された複数の部材(13a’,13b’)が別々に樹脂成形され、その別々に成形された部材(13a’,13b’)同士を、前記支持軸挿通孔(3a)の孔中心線(12)を通る断面(15)で接合することを特徴とするトランスホイールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−241073(P2011−241073A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116210(P2010−116210)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000240938)片山チエン株式会社 (4)
【Fターム(参考)】