説明

トランスホーミング増殖因子βファミリータンパク質の折りたたみ

トランスホーミング増殖因子βスーパーファミリーに属するタンパク質の折りたたみのための組成物および方法が、開示される。この組成物および方法は、このようなタンパク質が発現系において産生される際に適正に折りたたまれていない場合に、このタンパク質の生物学的に活性な産物に折りたたむことを可能にする。1つの局面において、本発明は、以下によって変性ポリペプチドの折りたたみを誘導する方法を特徴とする:(1)変性ポリペプチドを提供する工程;ならびに(2)このポリペプチドをこのポリペプチドの折りたたみを誘導するために有効な量の再折りたたみ緩衝液と接触させる工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年8月19日に出願された仮特許出願第60/602,825号の優先権を主張する。この仮特許出願の全内容は、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、トランスホーミング増殖因子βスーパーファミリーに属するタンパク質の再折りたたみ(refolding)のための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
アルテミン(Artemin)およびエノビン(Enovin)としても公知であるニューブラスチン(neublastin)は、24kDaの分泌型ホモ二量体タンパク質であり、このタンパク質は、末梢神経系および中枢神経系のニューロン(例えば、ドパミン作動性ニューロン)の生存を促進する(非特許文献1、非特許文献2、GenBankTMAF120274)。ニューブラスチンをコードする遺伝子は、クローニングされており、かつ、配列決定されている(非特許文献2、非特許文献3)。
【0004】
ニューブラスチンは、神経膠細胞株由来神経栄養因子(GDNF)リガンドファミリーのメンバーである。GDNFメンバーは、細胞レベルで、レセプターチロシンキナーゼ(RET)を活性化する。RETは、コレセプター(co−receptor)でありGDNFファミリーレセプターα(GFRα)である、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合型膜タンパク質(これは、RETについてのリガンド特異性を提供する)と会合する。4種のGFRα(GFRα1〜GFRα4)が、公知である。ニューブラスチンは、RETと共にGFRα3に結合して三重シグナル伝達複合体を形成し(非特許文献1、非特許文献3)、この複合体は、主に侵害受容の感覚ニューロン上に局在する(非特許文献4)。これらのニューロンは、痛みおよび損傷を検出する。したがって、ニューブラスチンは、ニューロパシーの一般的処置において(より具体的には、神経障害性疼痛の処置において)、臨床的用途を有する。
【0005】
ニューブラスチンおよび他のGDNFファミリーメンバーは、トランスホーミング増殖因子β(TGFβ)スーパーファミリーのメンバーであり、したがって、類似する間隔の7つの保存的システイン残基(これらの残基は、システイン節(cystein knot)の構造を形成する)の存在によって特徴付けられる(非特許文献5)。各単量体は、2つのジスルフィド結合を含み、これらのジスルフィド結合は、第3のジスルフィドを取り囲む閉鎖型構造(closed loop structure)を形成して、固い節構造を形成する。各単量体の中に含まれる第7のシステインは、分子間ジスルフィド結合を形成し、共有結合して、最終産物である二量体を形成する(非特許文献6)。
【0006】
TGFβファミリーメンバーは、プレプロタンパク質として合成され、シグナルペプチドおよびプロドメイン(pro−domain)の切断後、最終的に成熟型ホモ二量体として分泌される(非特許文献6、非特許文献7を参照のこと)。シグナルペプチドおよびプロドメインの両方は、TGFβファミリーメンバーの適切な分泌を媒介する(非特許文献6、非特許文献8)。
【非特許文献1】Baudetら,Development,2000年,第127巻,p.4335
【非特許文献2】Rosebladら,Mol.CellNeurosci.,2000年,第15巻,第2号,p.199
【非特許文献3】Balohら,Neuron,1998年,第21巻,p.1291
【非特許文献4】Orozcoら,Eur.J.Neurosci.,2001年,第13巻,第11号,p.2177
【非特許文献5】Saarma,Microsc.Res.Tech.,1999年,第45巻,p.292
【非特許文献6】Rattenhollら,J.Mol.Biol.,2000年,第305巻,p.523
【非特許文献7】Fairlieら,J.Biol.Chem.,2001年,第276巻,第20号,p.16911
【非特許文献8】Rattenhollら,Eur.J.Biochem.,2001年,第268巻,p.3296
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要旨)
本発明は、少なくとも部分的に、特定の緩衝組成物が、変性ポリペプチドの再折りたたみの誘導に特に有効であるという知見に基づく。本明細書中で記載される組成物および方法は、タンパク質の再折り畳みを誘導し、それによって適切な三次元構造およびそれに伴う生物学的活性を有するポリペプチドを生じるために開発された。
【0008】
1つの局面において、本発明は、以下によって変性ポリペプチドの折りたたみ(folding)を誘導する方法を特徴とする:(1)変性ポリペプチドを提供する工程;ならびに(2)このポリペプチドをこのポリペプチドの折りたたみを誘導するために有効な量の再折りたたみ緩衝液と接触させる工程であって、ここで、この再折りたたみ緩衝液は、以下を含有する:(i)25mM〜150mMの濃度のpH5.8〜pH8.0のリン酸カリウムもしくはリン酸ナトリウム、(ii)0.3M〜2Mの濃度のグアニジン−HCl、(iii)0.25M〜1Mの濃度のL−アルギニン、(iv)0.05%〜1%の濃度のTween−80、ならびに(v)1mM〜4mMの濃度の酸化グルタチオンおよび0.05mM〜0.8mMの濃度の還元グルタチオンであって、ここで、酸化グルタチオン:還元グルタチオンの比が、5:1〜20:1である、酸化グルタチオンおよび還元グルタチオン。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記変性ペプチドは、TGFβスーパーファミリーメンバーを含むポリペプチドである。
【0010】
「TGFβスーパーファミリーメンバー」は、本明細書中で使用される場合、TGFβスーパーファミリーの野生型メンバーと同一の配列を有するタンパク質、この野生型タンパク質の生物学的活性を保持する短縮形態(truncate)、またはこの野生型タンパク質(全長タンパク質もしくは成熟型タンパク質)の少なくとも70%の配列同一性を有し、かつこの野生型タンパク質の生物学的活性を保持する改変体をいう。TGFβスーパーファミリーのメンバーとしては、例えば、TGF−β、増殖分化因子、骨形成タンパク質、アクチビン、インヒビン、および神経膠細胞株由来神経栄養因子が挙げられる。いくつかの実施形態において、改変体は、全長野生型タンパク質に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性を有し、そしてこの野生型タンパク質の生物学的活性を保持する。いくつかの実施形態において、改変体は、成熟型野生型タンパク質に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性を有し、そしてこの野生型タンパク質の生物学的活性を保持する。
【0011】
本明細書中で記載される方法において使用される「再折りたたみ緩衝液」成分の濃度の記載は、変性ポリペプチドを有する反応液中に存在する再折りたたみ緩衝液成分の最終濃度をいう(この折りたたみ反応液の他の成分の添加前の、再折りたたみ緩衝液のストック溶液における成分の濃度をいうのではない)。
【0012】
本明細書中で使用される場合、「ポリペプチドの折りたたみを誘導する」とは、ポリペプチドの三次構造の誘導をいい、そして関連する生物学的活性(これは、野生型タンパク質の生物学的活性に対応する)の獲得をいう。
【0013】
TGFβスーパーファミリーメンバーは、神経膠細胞株由来神経栄養因子(GDNF)ファミリーメンバーであってもよい。「GDNFファミリーメンバー」とは、本明細書中で使用される場合、GDNFファミリーの野生型メンバーと同一である配列を有するタンパク質、この野生型タンパク質の生物学的活性を保持する短縮形態、またはこの野生型タンパク質(全長タンパク質もしくは成熟型タンパク質)の少なくとも70%の配列同一性を有し、かつこの野生型タンパク質の生物学的活性を保持する改変体をいう。GDNFファミリーのメンバーとしては、GDNF、ニュールツリン(neurturin)、ニューブラスチン、およびパーセフィン(persephin)が挙げられる。いくつかの実施形態において、改変体は、全長野生型タンパク質に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性を有し、そしてこの野生型タンパク質の生物学的活性を保持する。いくつかの実施形態において、改変体は、成熟型野生型タンパク質に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性を有し、そしてこの野生型タンパク質の生物学的活性を保持する。
【0014】
いくつかの実施形態において、GDNFファミリーメンバーは、ニューブラスチンタンパク質である。「ニューブラスチンタンパク質」とは、本明細書中で使用される場合、野生型ニューブラスチン(例えば、ヒトニューブラスチン)と同一である配列を有するタンパク質、この野生型タンパク質の生物学的活性を保持する短縮形態、またはこの野生型タンパク質(全長タンパク質もしくは成熟型タンパク質)の少なくとも70%の配列同一性を有し、かつこの野生型タンパク質の生物学的活性を保持する改変体をいう。いくつかの実施形態において、改変体は、全長野生型タンパク質に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性を有し、そしてこの野生型タンパク質の生物学的活性を保持する。いくつかの実施形態において、改変体は、成熟型野生型タンパク質(例えば配列番号1のアミノ酸残基108〜220)に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%の配列同一性を有し、そしてこの野生型タンパク質の生物学的活性を保持する。ニューブラスチンタンパク質は、例えば、配列番号1のアミノ酸残基122〜220から構成されてもよく、配列番号1のアミノ酸残基117〜220から構成されてもよく、配列番号1のアミノ酸残基108〜220から構成されてもよい。
【0015】
上記方法は、上記再折りたたみ緩衝液によって折りたたみを誘導する前に、上記ポリペプチドを、細菌(例えば、E.coli)中で発現させる工程をさらに包含する。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドは、上記再折りたたみ緩衝液によって折りたたみを誘導する前に、不溶性形態で細菌中で発現され、そしてこの不溶性ポリペプチドは、このポリペプチドを変性させるために有効な量の可溶化緩衝液に接触させられる。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、0.30M〜0.5Mの濃度のL−アルギニンを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.30Mの濃度のL−アルギニンを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.35Mの濃度のL−アルギニンを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、0.35Mの濃度のL−アルギニンを含有する。
【0017】
いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、0.1%〜1%の濃度のTween−80を含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、0.1%〜0.5%の濃度のTween−80を含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.1%の濃度のTween−80を含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、0.1%の濃度のTween−80を含有する。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、5:1〜10:1の比の酸化グルタチオンおよび還元グルタチオンを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、5:1の比の酸化グルタチオンおよび還元グルタチオンを含有する。いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、1mM〜2mMの濃度の酸化グルタチオンを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、1mMの濃度の酸化グルタチオンを含有する。
【0019】
いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、0.5M〜1.0Mの濃度のグアニジン−HClを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.5Mの濃度のグアニジン−HClを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、0.5Mの濃度のグアニジン−HClを含有する。
【0020】
いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、25mM〜100mMの濃度のリン酸カリウムを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、25mM〜75mMの濃度のリン酸カリウムを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも50mMの濃度のリン酸カリウムを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、50mMの濃度のリン酸カリウムを含有する。いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、pH7.0〜pH8.0のリン酸カリウムを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、pH7.5〜pH8.0のリン酸カリウムを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、約pH7.8のリン酸カリウムを含有する。
【0021】
上記折りたたみ緩衝液は、必要に応じて、以下の成分:(i)50mMの濃度のpH7.8のリン酸カリウム、(ii)0.5Mの濃度のグアニジン−HCl、(iii)0.35Mの濃度のL−アルギニン、(iv)0.1%の濃度のTween−80、(v)1mMの濃度の酸化グルタチオン、および(vi)0.2mMの濃度の還元グルタチオンを含有してもよく、またはこれらの成分から構成されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、上記折りたたみ緩衝液は、(i)50mMの濃度のpH7.8のリン酸カリウム、(ii)0.5Mの濃度のグアニジン−HCl、(iii)0.35Mの濃度のL−アルギニン、(iv)0.1%の濃度のTween−80、(v)1mMの濃度の酸化グルタチオン、および(vi)0.2mMの濃度の還元グルタチオンから構成されない。
【0023】
いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、尿素および/またはグリシンを含有しない。
【0024】
他の局面において、本発明の特徴は、1〜10の係数で希釈される場合に、ニューブラスチンポリペプチドの折りたたみを誘導するために有効な量の再折りたたみ緩衝液を含有する組成物であって、上記再折りたたみ緩衝液は、以下の成分:(i)25mM〜150mMの濃度のpH5.8〜pH8.0の範囲のpHを有するリン酸カリウムもしくはリン酸ナトリウム;(ii)0.3M〜2Mの濃度のグアニジン−HCl;(iii)0.25M〜1Mの濃度のL−アルギニン;(iv)0.05%〜1%の濃度のTween−80;ならびに(v)1mM〜4mMの濃度の酸化グルタチオンおよび0.05mM〜0.8mMの濃度の還元グルタチオンであって、ここで、酸化グルタチオン:還元グルタチオンの比が、5:1〜20:1である酸化グルタチオンおよび還元グルタチオン、を、上記濃度の1〜10倍の濃度で含有する。このような組成物は、必要に応じて、折りたたみ反応の開始前に他の成分によって希釈される、ストック溶液として使用され得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、0.30M〜0.5Mの濃度の1〜10倍でL−アルギニンを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.30Mの濃度の1〜10倍でL−アルギニンを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.35Mの濃度の1〜10倍でL−アルギニンを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、0.35Mの濃度の1〜10倍でL−アルギニンを含有する。
【0026】
いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、0.1%〜1%の濃度の1〜10倍でTween−80を含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、0.1%〜0.5%の濃度の1〜10倍でTween−80を含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.1%の濃度の1〜10倍でTween−80を含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、0.1%の濃度の1〜10倍でTween−80を含有する。
【0027】
いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、5:1〜10:1の比の酸化グルタチオンおよび還元グルタチオンを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、5:1の比の酸化グルタチオンおよび還元グルタチオンを含有する。いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、1mM〜2mMの濃度の1〜10倍で酸化グルタチオンを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、1mMの濃度の1〜10倍で酸化グルタチオンを含有する。
【0028】
いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、0.5M〜1.0Mの濃度の1〜10倍でグアニジン−HClを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.5Mの濃度の1〜10倍でグアニジン−HClを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、0.5Mの濃度の1〜10倍でグアニジン−HClを含有する。
【0029】
いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、25mM〜100mMの濃度の1〜10倍でリン酸カリウムを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、25mM〜75mMの濃度の1〜10倍でリン酸カリウムを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも50mMの濃度の1〜10倍でリン酸カリウムを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、50mMの濃度の1〜10倍でリン酸カリウムを含有する。いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、pH7.0〜pH8.0のリン酸カリウムを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、pH7.5〜pH8.0のリン酸カリウムを含有する。他の実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、約pH7.8のリン酸カリウムを含有する。
【0030】
上記再折りたたみ緩衝液は、必要に応じて、以下の成分:(i)50mMの濃度のpH7.8のリン酸カリウム;(ii)0.5Mの濃度のグアニジン−HCl;(iii)0.35Mの濃度のL−アルギニン;(iv)0.1%の濃度のTween−80;(v)1mMの濃度の酸化グルタチオン;および(vi)0.2mMの濃度の還元グルタチオンを、上記濃度の1〜10倍の濃度で含有してもよく、または上記濃度の1〜10倍の上記成分で構成されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、(i)50mMの濃度のpH7.8のリン酸カリウム、(ii)0.5Mの濃度のグアニジン−HCl、(iii)0.35Mの濃度のL−アルギニン、(iv)0.1%の濃度のTween−80、(v)1mMの濃度の酸化グルタチオンおよび(vi)0.2mMの濃度の還元グルタチオンから構成されない。
【0032】
いくつかの実施形態において、上記再折りたたみ緩衝液は、尿素および/またはグリシンを含有しない。
【0033】
本明細書中に記載される組成物および方法は、適切に再折りたたみされた大量のTGFβスーパーファミリータンパク質(例えば、ニューブラスチン)の再折りたたみおよび精製を、適切に折りたたみされた生物学的に活性な産物を生じない宿主(例えば、細菌)中でこのタンパク質が産生される環境において、可能にするという点で有利である。
【0034】
他に規定されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されている意味と同一の意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と同等であるかもしくは均等である方法および材料が、本発明の実施もしくは試験において使用され得るが、例示的な方法および材料が、以下に記載される。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、その全体が参考として援用される。矛盾する場合、定義を含めて本出願が支配する。材料、方法および実施例は、例示に過ぎず、限定を意味しない。
【0035】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(詳細な説明)
本発明は、TGFβスーパーファミリーに属する変性ポリペプチドの折りたたみの誘導のための組成物および方法を提供する。特定の組成物を変性ニューブラスチン(TGFβスーパーファミリーおよびGDNFサブファミリーのメンバーである)の折りたたみを誘導するための特定の組成物の適用は、添付の実施例において記載される。ニューブラスチンは、TGFβスーパーファミリーおよびGDNFサブファミリーに共通するシステイン節構造を有するので、本明細書中に記載される再折りたたみ緩衝液は、TGFβスーパーファミリーおよびGDNFサブファミリーに属する他のポリペプチドの折りたたみの誘導において有効であることが予測される。
【0037】
(ニューブラスチン)
天然のヒトプレプロニューブラスチンポリペプチドは、220個のアミノ酸の長さであり、以下の配列を有する:
【0038】
【化1】

ヒトニューブラスチンシグナルペプチドは、1位のメチオニン(下線)で始まり、そして39位のアラニン(下線)で終わる。ヒトニューブラスチンの全長プロドメインは、40位のセリン(下線)で始まり、そして107位のアルギニン(下線)で終わる。成熟型ヒトニューブラスチンポリペプチドは、カルボキシ末端の113個のアミノ酸から構成され、108位のアラニンで始まり、220位のグリシンで終わる。本明細書中で記載される組成物および方法は、変性ニューブラスチンタンパク質(全長ニューブラスチン、成熟型ニューブラスチン(シグナルペプチドおよびプロドメインを欠く)、または成熟型ニューブラスチンの生物学的に活性な短縮形態もしくは改変体が挙げられる)の有効な折りたたみを提供する。
【0039】
本明細書中に記載の方法に従って折りたたまれたニューブラスチンタンパク質は、長さにおいて変動し得る。成熟型ヒトニューブラスチンポリペプチドは、プレプロニューブラスチンのカルボキシ末端の113個のアミノ酸から構成され得るが、有用なニューブラスチン生物学的活性を達成するために、この113個のアミノ酸の全てが必要なわけではない。アミノ末端短縮(truncation)は、許容され得る。したがって、ニューブラスチンポリペプチドは、天然のヒトニューブラスチンのカルボキシ末端の99〜113個のアミノ酸に対応し得る(すなわち、その長さは、99個、100個、101個、102個、103個、104個、105個、106個、107個、108個、109個、110個、111個、112個、もしくは113個のアミノ酸であり得る)。ニューブラスチンのカルボキシ末端の104個および113個のアミノ酸から構成されるニューブラスチンポリペプチドは、以下の実施例において例示される。
【0040】
長さにおける変動に加えて、このニューブラスチンポリペプチドは、配列において変動し得る。特に、特定のアミノ酸置換が、本明細書中に記載されるニューブラスチンの生物学的活性の認め得る(appreciable)喪失を伴わずに、ニューブラスチン配列内に導入され得る。例示的な実施形態において、ポリペプチドは、配列番号1に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%同一であり得る(または配列番号1のアミノ酸108〜220に対して70%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%同一であり得る)。配列番号1(もしくは配列番号1のアミノ酸108〜220)に記載された配列と配列において異なっている改変体ニューブラスチンポリペプチドは、1個以上の保存的アミノ酸置換、1個以上の非保存的アミノ酸置換、および/または欠失もしくは挿入を含み得る。いくつかの実施形態において、改変体ニューブラスチンポリペプチドは、配列番号1(もしくは配列番号1のアミノ酸108〜220)と比較して少なくとも1個のアミノ酸置換を含み、このアミノ酸置換は、ポリマーが結合し得る内部ポリマー結合部位(例えば、ポリエチレングリコール部分のようなポリアルキレングリコール部分)を提供する(例として、ニューブラスチン改変体が、WO02/060929に記載され、その内容は、本明細書中で参考として援用される)。いくつかの実施形態において、改変体ニューブラスチンポリペプチドは、配列番号1(もしくは配列番号1のアミノ酸108〜220)と比較して少なくとも1個のアミノ酸置換(例えば、非保存的置換)を含み、このアミノ酸置換は、ヘパリン結合を減少させる(例えば、R155E、R156E、R158E、もしくはR155、156E、または成熟型ニューブラスチンポリペプチドの対応する位置における1つ以上のこれらの置換)。
【0041】
保存的置換は、代表的に、1つのアミノ酸と、類似の特性を有する別のアミノ酸との置換を含み、例えば、以下の群の中での置換である:バリン、アラニンおよびグリシン;ロイシン、バリン、およびイソロイシン;アスパラギン酸およびグルタミン酸;アスパラギンおよびグルタミン;セリン、システイン、およびトレオニン;リジンおよびアルギニン;ならびにフェニルアラニンおよびチロシン。非極性疎水性アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが挙げられる。極性中性アミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンが挙げられる。正に荷電した(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、リジンおよびヒスチジンが挙げられる。負に荷電した(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。上述の極性の群、塩基性の群および酸性の群のメンバーの1つの、同じ群の別のメンバーによる置換は、保存的置換であると判断され得る。
【0042】
本明細書中に記載される方法において使用されるポリペプチドは、ニューブラスチンタンパク質に加えて、異種のアミノ酸配列を含み得る。本明細書中でアミノ酸配列についていうために使用される場合、「異種」は、特定の宿主細胞に対して異種である供給源に由来する配列、または同じ宿主に由来する場合はその元の形態から改変されている配列を意味する。異種配列の例としては、異種シグナル配列(例えば、天然のラットアルブミンシグナル配列、改変ラットシグナル配列、またはヒト成長ホルモンシグナル配列)またはニューブラスチンタンパク質の精製のために使用される配列(例えば、ヒスチジンタグ)が挙げられる。
【0043】
(ニューブラスチン活性)
本明細書中で記載される方法において使用されるニューブラスチンポリペプチドは、天然のニューブラスチンの生物学的活性の少なくとも1つを示す。生物学的に活性なニューブラスチンポリペプチドは、二量体化の際に、GFRα3と共にRETに結合し得、そしてRET二量体化および自己リン酸化を誘導し得るポリペプチドである(例えば、Sanicolaら,1997,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:6238を参照)。レセプター結合およびレセプター自己リン酸化を決定する任意の方法が、ニューブラスチンポリペプチドの生物学的活性を評価するために使用され得る。例えば、実施例3において記載されるKIRAアッセイが、ニューブラスチン生物学的活性を評価するために使用され得る(また、Sadickら,1996,Anal.Biochem.,235(2):207を参照のこと)。
【0044】
(再折りたたみ緩衝液)
一般に、本明細書中に記載される方法において使用される再折りたたみ緩衝液は、以下の成分を含有する: (i)25mM〜150mMの濃度のリン酸カリウム;(ii)0.3M〜2Mの濃度のグアニジン−HCl;(iii)0.25M〜1Mの濃度のL−アルギニン;(iv)0.05%〜1%の濃度のTween−80;ならびに(v)1mM〜4mMの濃度の酸化グルタチオンおよび0.05mM〜0.8mMの濃度の還元グルタチオンであって、ここで、酸化グルタチオン:還元グルタチオンの比が、5:1〜20:1である酸化グルタチオンおよび還元グルタチオン。
【0045】
いくつかの実施形態において、25mM〜150mMの濃度のリン酸ナトリウムが、リン酸カリウムの代わりに使用され得る。これらの方法において使用されるリン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウムのpHは、一般に、pH5.8〜pH8.0の範囲内である。さらに、いくつかの実施形態において、Tween−20もしくはNP40のような界面活性剤が、0.05%〜1%の濃度のTween−80の代わりに使用され得る。
【0046】
変性ポリペプチドの折りたたみの誘導に対する特定の再折りたたみ緩衝液の有効性は、特定の緩衝液中での変性ポリペプチドのインキュベーション後に、吸光度(PD320)を測定することによって評価され得る(実施例1および図2を参照)。このようなアッセイにおいて検出される吸光度は、沈殿した、不適切に折りたたまれたタンパク質の存在を示す。添付の実施例における実施例2において示されるように、低い吸光度の読み取りは、この緩衝液が、変性ポリペプチドの折りたたみの誘導において有効であることを示す。折りたたまれたポリペプチドの生物学的活性もまた、本明細書中で記載されるインビトロ生物学的アッセイおよび/またはインビボ生物学的アッセイによって測定され得る。
【0047】
以下は、本発明の実施例である。これらは、決して本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0048】
(実施例1:ニューブラスチン再折りたたみ緩衝液の同定)
組換えニューブラスチンを、10ヒスチジンタグ標識化(histidine−tagged)融合タンパク質(図1)として、E.coliにおいて、T7プロモーターの制御下で発現させた。ヒトおよびラットの113個アミノ酸形態および104個アミノ酸形態の両方とも、そのそれぞれの構築物(図1)に由来し、そして、本明細書中に記載される方法によってこれらを再折りたたみし、そして精製した。113個アミノ酸形態および104個アミノ酸形態の開始点を、図1において下線および太字で示す。
【0049】
E.coli中で発現される際、ニューブラスチンは、封入体(IB)内に不溶性タンパク質として含まれる。したがって、可溶性かつ生物活性な産物を得るために、ニューブラスチンをIBから単離しそして再折りたたみしなければならない。ニューブラスチンを発現するE.coliをPBS中でGaulin pressを用いて溶菌し、その後遠心分離することにより、封入体を得た。他に記載しない限り、全ての遠心分離を4℃で実施し、他の全ての工程を室温で実施した。適切に再折りたたみされたニューブラスチンの最大可能収量を得るために、細胞屑を含まないIBペレットを用いて開始することが有利である。これを達成するために、IBペレットを秤量し、そしてIB洗浄緩衝液(20mM Tris(pH8.5)および0.5M EDTA;タンパク質1gあたり8ml)中でさらなる洗浄に供した。IBペレットを、15,000×gで20分間の遠心分離によって収集し、濁った上清を捨て、そして夾雑する脂質の除去を補助するために2%のTriton−X 100を含む同じ緩衝液(タンパク質1gあたり8ml)で再び洗浄した。界面活性剤を含有しない洗浄緩衝液(タンパク質1gあたり8ml)を用いて最終洗浄を実施してTween−80を除去し、そして上清を再び捨てた。
【0050】
新しく作製した可溶化緩衝液(6M グアニジン−HCl、0.05M リン酸カリウム(pH7.8)、0.1M DTT、および1.0mM EDTA)をペレットに加え、そしてポリトロンミキサーを用いてよく混合した。完全な可溶化を確実にするため、この混合物を、室温で一晩撹拌した。翌日、この溶液を10,000rpmで20分間の遠心分離によって清澄化した。この上清を、新しい容器にデカントし、そして残った不溶性ペレットを秤量して、回収率の推定を可能にした。このプロセスによっては、全てのタンパク質が可溶化したわけではなかった。この時点で、標準的Bradfordタンパク質アッセイを、コントロールとしての可溶化状態のBSAと共に用いて、可溶性タンパク質を定量した。
【0051】
どの特定の緩衝液条件が高収量の適切に折りたたまれたニューブラスチンをもたらし得るかを決定するために、96ウェルプレート中に潜在的な再折りたたみ緩衝液のアレイを調製した(表1を参照のこと)。
【0052】
(表1:96ウェルプレート再折りたたみ緩衝液マップ)
【0053】
【表1】

表1に示されるように、グアニジンHCl(0.5M)、還元グルタチオン(0.2mM)およびリン酸カリウム(pH7.8;50mM)を、プレート全体を通して一定に保ち、一方で、L−アルギニン、酸化グルタチオンおよびTween−80の濃度を変えた。L−アルギニンを、0.15Mから0.35Mまで変動させ(同様に0.8MまでのL−アルギニンの添加を行う)、一方で酸化グルタチオンを、1mMから4mMまで変動させた。さらに、Tween−80を、0%から1%まで変動させた。いくつかの場合、グリシンは、再折りたたみの間L−アルギニンと置換され得るので、L−アルギニンを除いて同一である全ての緩衝液成分(25mM〜100mMの範囲のグリシンで置換されている)を入れた別個のプレートを調製した。
【0054】
各ウェルの中の緩衝液の最終容量は、280μlであった(還元グルタチオンを、ストック溶液から新しく加えた)。次いで、20μlの可溶化ニューブラスチンを、0.1mg/mlの最終濃度で各ウェルに加えた。吸光度を、48時間にわたってモニタリングした。何らかの検出した吸光度は、沈殿の存在および適切に再折りたたみされなかったタンパク質の存在を示した。
【0055】
沈殿の最大の出現は、0.15MのL−アルギニンを含有するウェルで観察され、一方、最少量の沈殿は、0.35MのL−アルギニンを含有するウェルで観察された(図2)。0.35MのL−アルギニンを含有するウェルのうち、全体的な最良の結果は、0.1%のTween−80を含有するウェルで観察された。最もよい再折りたたみは、酸化グルタチオン対還元グルタチオンの比が20:1である場合に観察された(しかし、5:1の比を、本明細書中に記載されるさらなる(再折りたたみ緩衝液中で必要とされる酸化グルタチオンの量を減少させるための)実験のために選択した)。これらの基準に基づき、以下の実施例において示す再折りたたみ緩衝液系を使用した。これらの系は、高収量かつ適切に再折りたたみされたニューブラスチンを提供した。全ての緩衝液条件下で、L−アルギニンのグリシンによる置き換えは、ニューブラスチン沈殿を生じた。
【0056】
(実施例2:ニューブラスチンの再折りたたみおよび精製)
実施例1に記載される緩衝液分析の結果を適用して、本実施例および以下の実施例において使用した以下の再折りたたみ緩衝液を調製した:0.5M グアニジン−HCl、0.35M L−アルギニン、50mM リン酸カリウム(pH7.8)、0.2mM 還元グルタチオン、1mM 酸化グルタチオン、および0.1% Tween−80。再折りたたみ緩衝液を、新しく作製した。可溶化したタンパク質を、0.05〜0.5mg/mlの最終タンパク質濃度で、迅速に再折りたたみ緩衝液中に希釈した。平均で、0.1mg/mlの可溶化ニューブラスチンを使用した。この混合物を、室温で、少なくとも48時間インキュベートした。撹拌は必要なかった。
【0057】
(Ni−IMACクロマトグラフィーを使用した宿主細胞夾雑物除去)
L−アルギニンを、0.35Mから0.175Mまで希釈し、NiがIMAC樹脂に浸出するのを避けた。これは、以下の方法のいずれかを使用して実施され得る。アルギニンを、0.5M グアニジン−HClを用いて適切な濃度まで直接希釈し得る。単独での水の使用はしなかった。なぜなら、グアニジン濃度が維持されない場合、ニューブラスチンが沈殿し得(グアニジン−HClは、以下で記載するカチオン性クロマトグラフィー工程まで緩衝液中で維持されなければならない)、回収産物の大部分の喪失をもたらし得るからである。L−アルギニンの直接希釈は、作業容量を実質的に増大し、および必要とされるグアニジンの量を増大するので、タンパク質を、Millipore接線フローPelliconユニットを用いて、元の量の1/20に濃縮した。濃縮後、0.5Mのグアニジンを用いて、L−アルギニンを、0.175Mまで希釈した。
【0058】
L−アルギニン希釈溶液を、カラム洗浄緩衝液(40mM イミダゾールおよび0.5M グアニジンHCl)で事前に平衡化したNi−NTA IMACカラムに、50〜100ml/分の流速で適用した。ニューブラスチンは、ヒスチジンタグを介してNi−NTAマトリックスに結合した。フロースルー液中に産物は観察されなかった。5カラム容量の洗浄緩衝液での洗浄後、ニューブラスチンを、0.5M グアニジン中0.2M イミダゾールを用いて溶出した。カラム洗浄緩衝液(ニューブラスチン非含有)を捨てた。タンパク質回収を、Bradfordアッセイを使用してモニタリングした。さらに、宿主細胞夾雑物を、この時点からモニタリングした。
【0059】
(プロテアーゼ消化によるニューブラスチンからのヒスチジンタグ分離)
必要なニューブラスチンの長さ(113個のアミノ酸または104個のアミノ酸)に依存して、2つの可能なヒスチジンタグ除去手順のうちの1つを行った。
【0060】
野生型の113個のアミノ酸のニューブラスチン産物を作製するために、Endo Lys Cを使用して、タグ中に含まれるリジン残基のC末端を切断した。ニューブラスチン1gあたり5ユニットのEndo Lys C(WAKO,カタログ番号129−02541)を、Ni−NTA溶出物からの物質に添加した。緩衝液置換もしくはpH調整は必要なかった(いくつかの場合、10mM Hepes(pH7.8)を用いた緩衝液置換を使用し、この置換は効率的に作用した)。ニューブラスチンおよびプロテアーゼを、一晩室温で撹拌し続けながらインキュベートした。
【0061】
ニューブラスチンの104個のアミノ酸の形態を作製するため、ヒスチジンタグ標識化産物を、トリプシン(Cooper Biomedical #3740)を1:2000のトリプシン対ニューブラスチンの比で用いて処理した。やはり、緩衝液置換もしくはpH調整は必要なかった。この混合物を、一晩室温で撹拌し続けながらインキュベートした。
【0062】
Ni−NTA樹脂を、洗浄緩衝液(0.5M グアニジン−HClおよび0.04M イミダゾール)で平衡化した。ニューブラスチン調製物内のイミダゾール濃度を、0.5M グアニジン−HClを用いて0.04M〜0.2Mに調整した後、この物質を、Ni−NTA樹脂に、50〜100ml/分の流速で適用した。タグ標識化されていないニューブラスチンを含有するカラムフロースルー液を、収集し、Bradfordアッセイを用いてニューブラスチンについてモニタリングした。Ni−NTA樹脂を再生するため、ヒスチジンタグを、0.5M グアニジンHCl中0.2M イミダゾールを用いて溶出した。この物質を、樹脂フロースルー液とともにSDS/PAGEに供し、プロテアーゼ消化の有効性を確立した。
【0063】
前の工程からのNi−NTAフロースルー液を、ddHOの添加によって0.35M グアニジン−HClに調整した。より高い濃度のグアニジンは、ニューブラスチンがカチオン性マトリックスに結合するのを妨げ得る。C−100フィルター結合カートリッジ(Sartorious,カタログ番号C100X)を、C−100洗浄緩衝液(5mM リン酸ナトリウム(pH6.5)および0.35M NaCl)で平衡化した。
【0064】
SP−Sepharose(AmershamPharmacia)は、C−100膜フィルターと置き換わり得る。しかし、C−100の表面積は古典的カラムクロマトグラフィーと比較して大きいので、C−100を選択した。ニューブラスチンをSP−Sepharose上で精製する場合、ニューブラスチンの局所的凝集は、より大きなカラム直径の選択および/またはタンパク質負荷の低減によって防止し得る。このことは、ニューブラスチンの高い局所的濃縮を防止する。ニューブラスチンの高い局所的濃縮は、特にリン酸ナトリウム緩衝液を用いる場合に、四量体形成および産物沈殿に寄与し得る。
【0065】
0.35M グアニジン−HCl中のニューブラスチンを、50〜100ml/分の流速でC−100フィルターに適用し、その後、C−100洗浄緩衝液を用いてフィルターの広範囲な洗浄を行った。この工程は、いかなる残留するヒスチジンタグ、内毒素、およびニューブラスチン単量体をも除去する。ニューブラスチン二量体を、5mM リン酸ナトリウム(pH6.5)および1M 塩化ナトリウムを用いてC−100マトリックスからタンパク質を溶出することによって回収した。この溶出を、280nmにおけるUV吸収によってモニタリングし、そしてニューブラスチンピークを、1つの容器に収集した。
【0066】
(ニューブラスチン濃縮および緩衝液置換)
ニューブラスチンを、Millipore Biomax−10接線フロー濾過によって濃縮し、そして同じユニットを5ダイアフィルトレーション容量の5mM リン酸ナトリウム(pH6.5)および0.15M 塩化ナトリウムに対してダイアフィルトレーションした。最終タンパク質濃度を1.0〜1.5mg/mlにすることを目的とし、2.0mg/mlを超える濃度を許容しないように努力した。さもなければ、この処方物中でニューブラスチンが沈殿し始めて、大量のタンパク質を失い得る。一旦、産物を1.0mg/mlまで濃縮し、そして5mM リン酸ナトリウム(pH6.5)および0.15M 塩化ナトリウム中に処方してから、ニューブラスチンを便利な大きさに等分し、そして必要なときまで−70℃で保存した。
【0067】
(実施例3:ニューブラスチンの分析的性質決定)
実施例2で記載した精製したニューブラスチンを、種々の分析用試験に供して、純度、一次アミノ酸配列、生物活性、およびジスルフィド構造完全性を検証した。
【0068】
(純度および分子量のSDS/PAGE推定)
ニューブラスチン再折りたたみ/精製工程の各々から得たサンプルを、非還元条件下で、4〜20%アクリルアミドゲルを通したSDS/PAGE分析に供した。ニューブラスチン最終産物は、24,000Daの還元可能な二量体として移動し、98%を超える純度と推定された。
【0069】
(再折りたたみラットニューブラスチンの質量分析)
再折りたたみされた産物の純度を推定し、そして質量を決定するために、ニューブラスチンを、ZMD質量分析計上で質量分析に供した。ニューブラスチンを、8M尿素中で変性させ、そしてDTTで処理して、全てのジスルフィド結合を還元し、そして二量体を単量体に変換してから、分析した。同定された主要なシグナルは、10〜113個のラットニューブラスチン残基を表し、予測通り、これが調製物中の主要な種であることが示唆される。しかし、10991Daにおける主要なシグナルを同定し、これがロイシン欠失に対応すると予測した。そして11076Daにおけるシグナルを、少量のアルギニンからリジンへの置換であると予測した。低レベルのピークは、酸化、アセトニトリル付加物およびTFA付加物に対応する。また、ニューブラスチンの少量の106アミノ酸形態を同定した。トリプシン関連のピークは同定されなかった。
【0070】
(AspNペプチドマッピングによるラット104アミノ酸ニューブラスチンの性質決定)
AspNペプチドマッピングを、ヒスチジンタグを除去するためのトリプシン消化によって産生したニューブラスチンにおいて実施した。このバッチを、いくつかの他のニューブラスチン調製物(野生型ラット113アミノ酸形態、野生型ヒト113アミノ酸形態、ヒト104アミノ酸形態を含む)と比較した。結果は、このバッチが予測どおり、Met92における8%の酸化、Leu61における5%の欠失、低レベルのArgからLysへの突然変異および1%未満のAsn95における脱アミドを有することを示した。
【0071】
(ラット104アミノ酸ニューブラスチンのジスルフィド分析)
ジスルフィド分析を、ラット104アミノ酸ニューブラスチンにおいて実施した。野生型ラット113アミノ酸ニューブラスチンを、参照として平行に分析した。約150μLの再折りたたみされかつ精製されたニューブラスチンを、ジスルフィドマッピングのために使用した。結果は、2つのサンプル中の全てのジスルフィド結合は、同等であることを示し、このことは予測通りであった。ニューブラスチンモノマーのプロフィールは、主要なモノマーのピークのすぐ前に溶出した低レベルのピーク下の面積を除き、参照のプロフィールと類似する。これらの早期溶出ピークは、部分的に、酸化モノマーを含んでいることが予測され、これらのピークは、下流の質量マッピングに含めなかった。ジスルフィド結合したペプチドを含む画分を、プールし、そしてDHBをマトリックスとして用いるMALDI−TOF質量分析法によって分析した。このデータは、AspN/トリプシン消化後のラット104アミノ酸ニューブラスチンは、予測通りであり、ジスルフィド結合性の混在の証拠はないことを示した。
【0072】
(キナーゼレセプター活性化酵素結合免疫イムノソルベント(immunosorbant)を用いるニューブラスチン活性のアッセイ)
ニューブラスチン活性を、NB41A3−mRL3細胞においてc−Retリン酸化を刺激するその能力によって決定した。NB41A3−mRL3細胞は、RetおよびGFRa3を発現する接着性マウス神経芽腫細胞株である。NB41A3−mRL3細胞を、10% FBSを補充したDMEM中に、24ウェルプレート中に1ウェルあたり2×10細胞でプレート培養し、そして37℃および5% COで18時間培養した。培地の除去および1ウェルあたり1mlのPBSでの細胞の洗浄後、細胞を、113アミノ酸ニューブラスチンもしくは104アミノ酸ニューブラスチンのいずれかを含有するDMEMで、37℃および5% COで10分間刺激した。ニューブラスチン活性を停止するために、培地を除去し、そして細胞をPBSで直ちに洗浄して、その後、10mM Tris(pH8.0)、0.5% NP40、0.2% DOC、50mM NaF、0.1mM NaVO、および1mM PMSFで溶解させた。4℃で1時間のインキュベーション後、溶解物を、反復的なピペッティングにより撹拌し、そして抗RET mAb(AA.GE7.3)でコーティングした96ウェルELISAプレートに(1ウェルあたり0.25mlで)移した。このウェルを、ブロッキング緩衝液(1% 正常マウス血清および3% BSAを含有するTBST)により室温で1時間ブロッキングし、その後、TBSTのみで6回洗浄した。リン酸化RETを、捕獲したレセプターをHRP−結合体化ホスホチロシン抗体(4G10;1ウェルあたり0.2μg)と共に(2時間)インキュベーションすることによって検出した。インキュベーション後、ウェルを、TBSTで6回洗浄し、そしてHRP活性を、450nmで比色定量アッセイにより検出した。溶解物もしくは溶解緩衝液のみで処理したウェルからの吸光度の値を測定し、バックグラウンド補正し、そしてデータを活性混合物中に存在するニューブラスチンの濃度の関数としてプロットした。ラット104アミノ酸ニューブラスチンは、113アミノ酸ニューブラスチンのポジティブコントロールと同等に、KIRAアッセイにおいて活性であった。このことは、再折りたたみ/精製プロセスが、生物学的に活性な産物を生じることを示す。
【0073】
(内毒素アッセイ)
Limulus Amebocyte Lysateアッセイおよび製造業者推奨条件(BioWhittaker)を用い、各々の精製工程における内毒素レベルを検出した。内毒素のほとんど大部分は、最初のNi−NTA洗浄工程の間に除去されている。トリプシンの添加後、内毒素レベルがわずかに上がったことを観察した。このことは、おそらく、使用したトリプシン調製物中の内毒素に起因する。大量の洗浄緩衝液によるC100カラムの洗浄は、残留する内毒素を除去するために有用であると考えられる。最終産物中の内毒素レベルは、最大受容可能レベルより十分に下であった。
【0074】
(宿主細胞タンパク質アッセイ)
Cygnus TechnologiesからのE.coli宿主細胞タンパク質アッセイキットおよび製造業者推奨条件を使用し、宿主細胞タンパク質夾雑を、精製工程の各々においてモニタリングした。このキットは、ELISAベースのアッセイであり、これは、宿主細胞タンパク質に対して1ng/mlまでの感度を有する。上の内毒素の結果と同様に、宿主タンパク質排除(clearance)のほとんどは、最初のNi−NTAクロマトグラフィーの間およびC100洗浄の間に起こった。宿主細胞タンパク質を、最終産物の0.0001%未満であると決定した。
【0075】
(トリプシン排除アッセイ)
トリプシン排除を、N−T−BOC−GLN−ALA−ARG 7−アミド−4−メチルクマリンHClを基質として用いる蛍光ベースのアッセイ(これは、40ng/ml未満までの感度を有する)を用いてモニタリングした。添加したトリプシンの全てではなくともほとんどが、C100フロースルー洗浄によって除去された。最終産物中に残留するトリプシンの量は、0.004%未満(感度レベル未満)であった。
【0076】
(ヒスチジンタグ検出ELISA)
抗ポリヒスチジン抗体を用いるヒスチジンタグELISAを、最終調製物中に残留するヒスチジンタグ標識化ニューブラスチンをモニタリングするために展開した。予測した通り、ヒスチジンタグの大部分を、最初のNi−NTA前の物質中で見出し、そしてはNi−NTAフロースルー中には存在しなかった。このことは、ヒスチジンタグ標識化ニューブラスチンの大部分が、Ni−NTA樹脂に結合したことを示す。この物質を0.2M イミダゾール溶出により、樹脂から溶出した。このアッセイの感度は、約0.3μg/mlであり、そして最終産物中で同定したヒスチジンタグ標識化ニューブラスチンの最終量を、タンパク質全体の0.12%、すなわち0.88mgであると決定した。
【0077】
(宿主細胞DNA検出アッセイ)
宿主細胞DNAの排除を、ELISAベースのサンドイッチアッセイにおいてアビジンに結合した一本鎖DNA結合タンパク質を使用するアッセイを用いて、モニタリングした。このアッセイは、E.coli DNAの約200pg/mlまでの感度を示した。一本鎖DNA結合アッセイに基づき、最終ニューブラスチン調製物が、0.0001%未満の夾雑する宿主細胞DNAを有することを決定した。上述の他のアッセイと同様に、最初のNi−NTAクロマトグラフィー工程およびC100洗浄工程は、出発物質中のDNA不純物の除去において最も効率的であった。
【0078】
(104アミノ酸ニューブラスチンで処置した慢性狭窄損傷(CCI)ラット)
ニューブラスチン処置CCIラットは、ビヒクル処置コントロールと比較して、触覚異痛の軽減を示した。ニューブラスチン処置CCIラットは、同側の脚にかけたより大きな力に耐え得た。触覚異痛を、von Frey Hairによって上げ下げ法を適用して評価した(Chaplanら,1994)。ラットを、7日目、10日目、14日目、17日目および21日目に、侵害受容閾値の変化について検査した。適用したvon Frey Hairについて、偽(sham)(n=3)は、試験期間の間、異なるグラム閾値を示さなかったが、一方、全てのCCIラットは、その基線の値と比較して、より低い閾値を有した。ニューブラスチン−104 1mg/Kg処置ラット(n=8)およびニューブラスチン−104 3mg/Kg処置ラット(n=7)は、ビヒクル処置コントロール(n=8)と比較して、より高い閾値に耐え得た。ニューブラスチン処置動物によって耐えられた力は、CCI実施後17日目および21日目において統計的に有意であった(p<0.05)。温熱性痛覚過敏は、実施後21日目に、3mg/Kg用量を用いたニューブラスチン処置CCIラットにおいて低減し、1mg/Kg用量を用いたラットよりも高い効力を示した。温熱性痛覚過敏を、Hargreavesデバイスを用いて決定し、熱除去潜伏時間を評価した。ラットを、脚下部の除去潜伏時間について、7日目、10日目、14日目、17日目および21日目に検査した。偽(n=3)は、試験期間の間、脚下部の除去潜伏時間の変化を示さなかったが、一方、全てのCCIラットは、基線の値と比較して、より短い脚下部の除去潜伏時間を有した。ニューブラスチン−104 1mg/Kg(n=8)およびニューブラスチン−104 3mg/Kg(n=7)は、CCI誘導後、14日目、16日目および21日目に、ビヒクル処置コントロール(n=8)と比較して、より長い熱刺激の適用に耐え得た。104アミノ酸ニューブラスチン 3mg/Kg処置ラットは、104アミノ酸ニューブラスチン 1mg/Kg処置ラットと比較して、実施後21日目に、有意に高い潜伏時間を示した。ニューブラスチン処置動物による脚除去潜伏時間の長さは、CCI実施後14日目、17日目および21日目に統計的に有意であった(p<0.05)。
【0079】
ニューブラスチンで処置したCCIラットは、無能力試験(incapacitance test)によって示されたように、慢性狭窄した後脚に対してより多い重量を適用可能であった。無能力を、無能力尺度(incapacitance meter)を用いて決定し、各脚の重量配分を評価した。基線において、ラットは、その脚に同じ重量を分配していたが、損傷後、同側の脚にはより少ない重量を適用した。偽(n=4)は、試験期間の間、その脚の間の重量分配の変化を示さなかったが、一方、全てのCCIラットは、その基線の値と比較して、CCIを患う脚に対してより少ない重量を適用した。104アミノ酸ニューブラスチン 1mg/Kg(n=8)および104アミノ酸ニューブラスチン 3mg/Kg(n=7)は、ビヒクル処置コントロール(n=8)と比較して、より多い重量を同側の脚に適用した。ニューブラスチン処置マウスにおける損傷した脚の無能力は、CCI実施後14日目、17日目および21日目において、統計的に有意であった(p<0.05)。
【0080】
冷却異痛試験において、ニューブラスチン処置CCIラットとビヒクル処置CCIラットとの間に、統計的に有意な差はなかったが、ニューブラスチン処置ラットは、10日目においてより短い持続時間を有する傾向があった。冷却異痛を、5分間の試験時間にわたって、4℃で冷やした冷たい銅板を用いて決定した。ラットを、その基線の値と比較した脚除去持続時間の上昇について、7日目、10日目、14日目、17日目および21日目に、試験した。基線において、冷たさに反応した動物はいなかった。偽(n=3)は、試験期間の間中、脚除去持続時間の上昇を示さなかったが、一方、両方全てのCCIラットは、その基線の値と比較して、脚除去持続時間上昇を有した。104アミノ酸ニューブラスチン 1mg/Kg(n=8)および3mg/Kg(n=7)は、CCI誘導後の14日目、17日目および21日目において、ビヒクルコントロールと比較してより短い時間にわたって、損傷した脚を上昇させたが、ニューブラスチン処置動物による脚除去の持続時間は、統計的に有意ではなかった。
【0081】
(他の実施形態)
本発明は、その詳細な説明に関連して記載されているが、上記の記載は、例示を目的とし、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲の限定を意図しない。他の局面、利点および改変は、以下の特許請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、ヒトおよびラットのニューブラスチンの113個のアミノ酸および104個のアミノ酸の配列を示す。
【図2】図2は、表1(1%の濃度のTween−80を含有する緩衝液4は示さない)において詳述される再折りたたみ緩衝液の可溶化ニューブラスチンのインキュベーション後に検出された吸光を図示するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性ポリペプチドの折りたたみを誘導する方法であって、該方法は、以下:
トランスホーミング増殖因子β(TGFβ)スーパーファミリーメンバーを含む変性ポリペプチドを提供する工程;ならびに
該ポリペプチドに、該ポリペプチドの折りたたみを誘導するために有効な量の再折りたたみ緩衝液を接触させる工程であって、ここで、該再折りたたみ緩衝液は、(i)25mM〜150mMの濃度のpH5.8〜pH8.0のリン酸カリウムもしくはリン酸ナトリウム、(ii)0.3M〜2Mの濃度のグアニジン−HCl、(iii)0.25M〜1Mの濃度のL−アルギニン、(iv)0.05%〜1%の濃度のTween−80、ならびに(v)1mM〜4mMの濃度の酸化グルタチオンおよび0.05mM〜0.8mMの濃度の還元グルタチオンであって、ここで、酸化グルタチオン:還元グルタチオンの比が、5:1〜20:1である酸化グルタチオンおよび還元グルタチオン、を含有する工程
を、包含する、方法。
【請求項2】
前記再折りたたみ緩衝液は、0.30M〜0.5Mの濃度のL−アルギニンを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.30Mの濃度のL−アルギニンを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.35Mの濃度のL−アルギニンを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記再折りたたみ緩衝液は、0.35Mの濃度のL−アルギニンを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記再折りたたみ緩衝液は、0.1%〜1%の濃度のTween−80を含有する、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記再折りたたみ緩衝液は、0.1%〜0.5%の濃度のTween−80を含有する、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.1%の濃度のTween−80を含有する、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記再折りたたみ緩衝液は、0.1%の濃度のTween−80を含有する、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記再折りたたみ緩衝液は、5:1〜10:1の比の酸化グルタチオンおよび還元グルタチオンを含有する、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記再折りたたみ緩衝液は、5:1の比の酸化グルタチオンおよび還元グルタチオンを含有する、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記再折りたたみ緩衝液は、1mM〜2mMの濃度の酸化グルタチオンを含有する、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記再折りたたみ緩衝液は、1mMの濃度の酸化グルタチオンを含有する、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記再折りたたみ緩衝液は、0.5M〜1.0Mの濃度のグアニジン−HClを含有する、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.5Mの濃度のグアニジン−HClを含有する、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記再折りたたみ緩衝液は、0.5Mの濃度のグアニジン−HClを含有する、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記再折りたたみ緩衝液は、25mM〜100mMの濃度のリン酸カリウムを含有する、請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記再折りたたみ緩衝液は、25mM〜75mMの濃度のリン酸カリウムを含有する、請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも50mMの濃度のリン酸カリウムを含有する、請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記再折りたたみ緩衝液は、50mMの濃度のリン酸カリウムを含有する、請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記再折りたたみ緩衝液は、pH7.0〜pH8.0のリン酸カリウムを含有する、請求項1〜請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記再折りたたみ緩衝液は、pH7.5〜pH8.0のリン酸カリウムを含有する、請求項1〜請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記再折りたたみ緩衝液は、約pH7.8のリン酸カリウムを含有する、請求項1〜請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記折りたたみ緩衝液は、(i)50mMの濃度のpH7.8のリン酸カリウム、(ii)0.5Mの濃度のグアニジン−HCl、(iii)0.35Mの濃度のL−アルギニン、(iv)0.1%の濃度のTween−80、(v)1mMの濃度の酸化グルタチオン、および(vi)0.2mMの濃度の還元グルタチオンから構成されない、請求項1〜請求項23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記再折りたたみ緩衝液は、(i)50mMの濃度のpH7.8のリン酸カリウム、(ii)0.5Mの濃度のグアニジン−HCl、(iii)0.35Mの濃度のL−アルギニン、(iv)0.1%の濃度のTween−80、(v)1mMの濃度の酸化グルタチオン、および(vi)0.2mMの濃度の還元グルタチオンを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記再折りたたみ緩衝液は、(i)50mMの濃度のpH7.8のリン酸カリウム、(ii)0.5Mの濃度のグアニジン−HCl、(iii)0.35Mの濃度のL−アルギニン、(iv)0.1%の濃度のTween−80、(v)1mMの濃度の酸化グルタチオン、および(vi)0.2mMの濃度の還元グルタチオンから構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記再折りたたみ緩衝液が、尿素を含有しない、請求項1〜請求項23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記再折りたたみ緩衝液が、グリシンを含有しない、請求項1〜請求項23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記TGFβスーパーファミリーメンバーが、神経膠細胞株由来神経栄養因子(GDNF)ファミリーメンバーである、請求項1〜請求項28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記GDNFファミリーメンバーは、ニューブラスチンタンパク質である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ニューブラスチンタンパク質は、配列番号1のアミノ酸残基122〜220を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ニューブラスチンタンパク質は、配列番号1のアミノ酸残基117〜220を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記ニューブラスチンタンパク質は、配列番号1のアミノ酸残基108〜220を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
請求項1〜請求項33のいずれか1項に記載の方法であって、該方法は、前記再折りたたみ緩衝液によって折りたたみを誘導する前に、前記ポリペプチドを、細菌中で発現させる工程をさらに包含する、方法。
【請求項35】
前記細菌は、E.coliである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
請求項34もしくは請求項35に記載の方法であって、ここで、前記ポリペプチドは、前記再折りたたみ緩衝液によって折りたたみを誘導する前に、不溶性形態で細菌中で発現され、そして該不溶性ポリペプチドは、該ポリペプチドを変性させるために有効な量の可溶化緩衝液に接触させられる、方法。
【請求項37】
1〜10の係数で希釈される場合に、ニューブラスチンポリペプチドの折りたたみを誘導するために有効な量の再折りたたみ緩衝液を含有する組成物であって、前記再折りたたみ緩衝液は、以下の成分:(i)25mM〜150mMの濃度のpH5.8〜pH8.0の範囲のpHを有するリン酸カリウムもしくはリン酸ナトリウム;(ii)0.3M〜2Mの濃度のグアニジン−HCl;(iii)0.25M〜1Mの濃度のL−アルギニン;(iv)0.05%〜1%の濃度のTween−80;ならびに(v)1mM〜4mMの濃度の酸化グルタチオンおよび0.05mM〜0.8mMの濃度の還元グルタチオンであって、ここで、酸化グルタチオン:還元グルタチオンの比が、5:1〜20:1である酸化グルタチオンおよび還元グルタチオン、を、該濃度の1〜10倍の濃度で含有する、組成物。
【請求項38】
前記再折りたたみ緩衝液は、0.30M〜0.5Mの濃度の1〜10倍でL−アルギニンを含有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.30Mの濃度の1〜10倍でL−アルギニンを含有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
前記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.35Mの濃度の1〜10倍でL−アルギニンを含有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項41】
前記再折りたたみ緩衝液は、0.35Mの濃度の1〜10倍でL−アルギニンを含有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項42】
前記再折りたたみ緩衝液は、0.1%〜1%の濃度の1〜10倍でTween−80を含有する、請求項37〜請求項41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項43】
前記再折りたたみ緩衝液は、0.1%〜0.5%の濃度の1〜10倍でTween−80を含有する、請求項37〜請求項41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項44】
前記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.1%の濃度の1〜10倍でTween−80を含有する、請求項37〜請求項41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項45】
前記再折りたたみ緩衝液は、0.1%の濃度の1〜10倍でTween−80を含有する、請求項37〜請求項41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項46】
前記再折りたたみ緩衝液は、5:1〜10:1の比の酸化グルタチオンおよび還元グルタチオンを含有する、請求項37〜請求項45のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項47】
前記再折りたたみ緩衝液は、5:1の比の酸化グルタチオンおよび還元グルタチオンを含有する、請求項37〜請求項45のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項48】
前記再折りたたみ緩衝液は、1mM〜2mMの濃度の1〜10倍で酸化グルタチオンを含有する、請求項37〜請求項45のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項49】
前記再折りたたみ緩衝液は、1mMの濃度の1〜10倍で酸化グルタチオンを含有する、請求項37〜請求項45のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
前記再折りたたみ緩衝液は、0.5M〜1.0Mの濃度の1〜10倍でグアニジン−HClを含有する、請求項37〜請求項49のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項51】
前記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも0.5Mの濃度の1〜10倍でグアニジン−HClを含有する、請求項37〜請求項49のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項52】
前記再折りたたみ緩衝液は、0.5Mの濃度の1〜10倍でグアニジン−HClを含有する、請求項37〜請求項49のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項53】
前記再折りたたみ緩衝液は、25mM〜100mMの濃度の1〜10倍でリン酸カリウムを含有する、請求項37〜請求項52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項54】
前記再折りたたみ緩衝液は、25mM〜75mMの濃度の1〜10倍でリン酸カリウムを含有する、請求項37〜請求項52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項55】
前記再折りたたみ緩衝液は、少なくとも50mMの濃度の1〜10倍でリン酸カリウムを含有する、請求項37〜請求項52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項56】
前記再折りたたみ緩衝液は、50mMの濃度の1〜10倍でリン酸カリウムを含有する、請求項37〜請求項52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項57】
前記再折りたたみ緩衝液は、pH7.0〜pH8.0のリン酸カリウムを含有する、請求項37〜請求項56のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項58】
前記再折りたたみ緩衝液は、pH7.5〜pH8.0のリン酸カリウムを含有する、請求項37〜請求項56のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項59】
前記再折りたたみ緩衝液は、約pH7.8のリン酸カリウムを含有する、請求項37〜請求項56のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項60】
前記再折りたたみ緩衝液は、(i)50mMの濃度のpH7.8のリン酸カリウム、(ii)0.5Mの濃度のグアニジン−HCl、(iii)0.35Mの濃度のL−アルギニン、(iv)0.1%の濃度のTween−80、(v)1mMの濃度の酸化グルタチオンおよび(vi)0.2mMの濃度の還元グルタチオンから構成されない、請求項37〜請求項59のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項61】
前記再折りたたみ緩衝液は、以下の成分:(i)50mMの濃度のpH7.8のリン酸カリウム;(ii)0.5Mの濃度のグアニジン−HCl;(iii)0.35Mの濃度のL−アルギニン;(iv)0.1%の濃度のTween−80;(v)1mMの濃度の酸化グルタチオン;および(vi)0.2mMの濃度の還元グルタチオンを、該濃度の1〜10倍の濃度で含有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項62】
前記再折りたたみ緩衝液は、以下の成分:(i)50mMの濃度のpH7.8リン酸カリウム;(ii)0.5Mの濃度のグアニジン−HCl;(iii)0.35Mの濃度のL−アルギニン;(iv)0.1%の濃度のTween−80;(v)1mMの濃度の酸化グルタチオン;および(vi)0.2mMの濃度の還元グルタチオンの、該濃度の1〜10倍の濃度で構成される、請求項37に記載の組成物。
【請求項63】
前記再折りたたみ緩衝液は、尿素を含有しない、請求項37〜請求項59のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項64】
前記再折りたたみ緩衝液は、グリシンを含有しない、請求項37〜請求項59のいずれか1項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−510720(P2008−510720A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528062(P2007−528062)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/029638
【国際公開番号】WO2006/023782
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】