説明

トランス

【課題】トランス動作時の損失を低減することのできるトランスを提供する。
【解決手段】少なくとも2つ以上のコイルパターン2を直列接続して成る巻線部を一乃至複数組並列接続して成る1次側巻線ブロックN1と、少なくとも2つ以上のコイルパターン2を直列接続して成る巻線部を一乃至複数組並列接続して成り且つ1次側巻線ブロックN1と電気的に絶縁された2次側巻線ブロックN2とから回路を構成し、1次側巻線ブロックN1を構成する全ての巻線部各々における少なくとも1つ以上のコイルパターン2と、2次側巻線ブロックN2を構成する全ての巻線部各々における少なくとも1つ以上のコイルパターン2との間の距離ができる限り小さくなるようにコイル素子3を積層した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルパターンが形成された基板を積層して成るプレーナ型のトランスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コイルパターンが形成された基板を積層して成るプレーナ型のトランスが知られており、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。このプレーナ型のトランスは、多層プリント基板の各層に1次側並びに2次側を構成する各コイルパターンを交互に設け、同次側のコイルパターンの一端部同士をスルーホールを介して接続して成るコイル素子をトランスベース上に所定枚数積層配置し、トランスベース上に起立配置させた端子ピンを各コイル素子に設けたコイルパターンの他端部に設けたスルーホール内に挿入配置するとともに、各端子ピンと前記他端部に設けたスルーホールとを接続することにより各コイル素子間の同次側のコイルパターン相互の導通をとるもので、1つのコイル素子において1次側及び2次側のコイルパターンを交互に配置してコイルパターン間の磁気結合を高めることで漏れ磁束の発生を抑制し、トランス動作時の損失を低減している。
【0003】
上述のような1次側のコイルパターンと2次側のコイルパターンとが隣接するように積層するプレーナ型のトランスの従来例を以下に示す。この従来例は、図11(a)に示すように、絶縁材料から成る略矩形状の基板1の両面にそれぞれ導電材料から成る同心渦巻き状のコイルパターン2が形成されて成り基板1の厚み方向に沿って積層される複数(図示では5つ)のコイル素子3と、磁性材料から成り複数のコイル素子3の少なくとも一部を囲むコア4とを備え、各基板1の長手方向における両端縁にそれぞれ設けられた複数(図示では10個)の接続端子部5を介して、互いに異なるコイルパターン2間を電気的に接続して回路を構成している。また、各接続端子部5には棒状の外部接続端子5aが突設されており、外部接続端子5aを介して電子回路が実装された他の基板(図示せず)にトランスを表面実装するようになっている。尚、各コイル素子3の間には絶縁性樹脂から成る絶縁体6が充填されており、各コイル素子3間を電気的に絶縁している。
【0004】
コア4は、図11(a)に示すように、断面略コ字状の連結コア40と断面略I字状のI型コア41とでコイル素子3を覆うように配置されている。また、連結コア40の図11(a)における上面には、I型コア41に向かって突出する中足コア(図示せず)が一体に形成されており、各基板1に貫設されてコイルパターン2の渦巻きの中心部を通る貫設孔(図示せず)に挿通される。而して、コア4は各コイルパターン2の渦巻きの中心部に磁路を形成してコイルパターン2間を磁気結合している。尚、中足コアとI型コア41との間にはギャップ(図示せず)が設けられており、該ギャップによってコア4の磁気飽和を防いでいる。
【0005】
本従来例では、図11(b)に示すように、各々3つのコイルパターンN111〜N131,N112〜N132,N113〜N133,N114〜N134を直列接続して成る第1乃至第4の巻線部N11〜N14を並列接続して成る1次側巻線ブロックN1と、各々3つのコイルパターンN211〜N231,N212〜N232を直列接続して成る第5の巻線部N21、第6の巻線部N22を並列接続して成り且つ1次側巻線ブロックN1と電気的に絶縁された2次側巻線ブロックN2とからトランスが構成されており、例えば図11(c)に示すように、1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2とが隣接するようにコイル素子3を積層することで、1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2との間の磁気結合を高め、トランス動作時の損失を低減するようにしている。
【特許文献1】特開平5−135968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例では、例えば第1の巻線部N11のコイルパターンN111〜N131と第5の巻線部N21のコイルパターンN211〜N231との間は隣接しているために高い磁気結合を確保することができるが、第1の巻線部N11のコイルパターンN111〜N131と第6の巻線部N22のコイルパターンN212〜N232との間の積層方向における距離が離れているために磁気結合が低くなっており、トランス動作時の損失を十分に低減することができないという問題があった。
【0007】
この問題を解決するために、例えば巻線部毎にコイルパターン2を一括して基板1の片面に積層するように構成すれば、必要となるコイル素子3が少なくなるために各巻線部の間の磁気結合を高めることが可能である。しかし、この場合では、各巻線部のターン数が多くなるとコイルパターン2の断面積が小さくなり、巻線抵抗が大きくなることで結果的にトランス動作時の損失が大きくなるという問題がある。また、巻線抵抗を小さくするために基板1の面積を大きくすることで必要となるコイルパターン2の断面積を確保することも考えられるが、この場合にはトランスの大型化やコストの増大を招く虞がある。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、トランス動作時の損失を低減することのできるトランスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、絶縁材料から成る基板の両面にそれぞれ導電材料から成るコイルパターンが形成されて成り基板の厚み方向に沿って積層される複数のコイル素子と、磁性材料から成り複数のコイル素子の少なくとも一部を囲むコアとを備え、互いに異なるコイルパターン間を電気的に接続して回路が構成されるプレーナ型のトランスであって、前記回路は、少なくとも2つ以上のコイルパターンを直列接続して成る巻線部を一乃至複数組並列接続して成る1次側巻線ブロックと、少なくとも2つ以上のコイルパターンを直列接続して成る巻線部を一乃至複数組並列接続して成り且つ1次側巻線ブロックと電気的に絶縁された2次側巻線ブロックとから成り、1次側巻線ブロックを構成する全ての巻線部各々における少なくとも1つ以上のコイルパターンと、2次側巻線ブロックを構成する全ての巻線部各々における少なくとも1つ以上のコイルパターンとの間の距離ができる限り小さくなるようにコイル素子が積層されたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、回路を構成する全ての巻線部からそれぞれ1つずつ任意に選択したコイルパターンが形成された複数のコイル素子から成る積層ブロックを複数積層したことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、積層ブロックは、1次側巻線ブロックのコイルパターンと2次側巻線ブロックのコイルパターンとが隣接するように積層した一乃至複数の積層部から成ることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、任意の積層ブロックにおける1次側巻線ブロックのコイルパターン及び2次側巻線ブロックのコイルパターンの積層順と、前記積層ブロックと隣接する積層ブロックにおける1次側巻線ブロックのコイルパターン及び2次側巻線ブロックのコイルパターンの積層順とが互いに異なることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1項の発明において、1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックのうち巻線電流が大きい方の巻線ブロックは、巻線電流が小さい方の巻線ブロックよりも多くの巻線部を並列接続して成ることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項の発明において、2次側巻線ブロックを構成する各巻線部は、それぞれ互いに異なる負荷が接続され且つ各巻線部の両端の少なくとも何れか一方が互いに電気的に絶縁されることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか1項の発明において、1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックの何れとも電気的に絶縁された一乃至複数のコイルパターンから成る第3の巻線ブロックを有し、第3の巻線ブロックのコイルパターンは、1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックのコイルパターンが形成される基板とは異なる基板に形成されることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項1乃至6の何れか1項の発明において、1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックの何れとも電気的に絶縁された一乃至複数の単線コイルから成る第3の巻線ブロックを有し、第3の巻線ブロックは、複数のコイル素子とコアとの間に配置されることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項7又は8の発明において、第3の巻線ブロックは、コイル素子の積層方向において1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックよりもコアに設けられたギャップに近い側に配置されることを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れか1項の発明において、1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックのそれぞれにおいて、各コイルパターンにおいて互いに同電位となる箇所同士を電気的に接続して成ることを特徴とする。
【0019】
請求項11の発明は、請求項1乃至10の何れか1項の発明において、コイル素子は、基板の両面にそれぞれ1次側巻線ブロックのコイルパターン及び2次側巻線ブロックのコイルパターンが形成されて成り、コイルパターンに印加される電圧の昇順又は降順に積層されることを特徴とする。
【0020】
請求項12の発明は、請求項11の発明において、基板の積層方向における厚みを、基板の両面各々に形成されたコイルパターンそれぞれに印加される電圧の差に応じて変化させることを特徴とする。
【0021】
請求項13の発明は、請求項1乃至12の何れか1項の発明において、少なくとも最外層のコイル素子の基板上に、導電材料から成り電子回路を構成する電子部品が実装される導体パターンが形成されたことを特徴とする。
【0022】
請求項14の発明は、請求項1乃至13の何れか1項の発明において、1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックのうち巻線電流が大きい方の巻線ブロックにおいて、該巻線ブロックを構成するコイルパターンの少なくとも一部をコイル素子の最外層に積層することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、1次側巻線ブロックを構成する全ての巻線部各々における少なくとも1つ以上のコイルパターンと、2次側巻線ブロックを構成する全ての巻線部各々における少なくとも1つ以上のコイルパターンとの間の積層方向における距離をできる限り小さくすることで、1次側巻線ブロックのコイルパターンと2次側巻線ブロックのコイルパターンとの間の磁気結合を高めることができ、したがってトランス動作時の損失を低減することができる。
【0024】
請求項2の発明によれば、全ての巻線部からそれぞれ1つずつ任意に選択したコイルパターンが形成された複数のコイル素子から成る積層ブロックを最小単位として積層することで、積層方向において互いに最も離れた巻線部間の距離を最小とすることができ、したがって1次側巻線ブロックのコイルパターンと2次側巻線ブロックのコイルパターンとの間の磁気結合を高めることができる。
【0025】
請求項3の発明によれば、1次側巻線ブロックのコイルパターンと2次側巻線ブロックのコイルパターンとが隣接するように積層した積層部を最小単位として積層することで、1次側巻線ブロックのコイルパターンと2次側巻線ブロックのコイルパターンとの間の距離を極力狭めることができ、したがって磁気結合を高めることができる。
【0026】
請求項4の発明によれば、任意の積層ブロック及び該積層ブロックと隣接する積層ブロックそれぞれにおける1次側巻線ブロックのコイルパターン及び2次側巻線ブロックのコイルパターンの積層順を互いに異ならせることで、1次側巻線ブロックのコイルパターンと2次側巻線ブロックのコイルパターンとの間の距離を極力狭めることができ、したがって磁気結合を高めることができる。
【0027】
請求項5の発明によれば、巻線電流が大きい方の巻線ブロックを巻線電流が小さい方の巻線ブロックよりも多くの巻線部を並列接続して構成することで、巻線抵抗を小さくすることができ、したがってトランス動作時の巻線抵抗における損失を低減することができる。
【0028】
請求項7の発明によれば、1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックの何れとも電気的に絶縁された第3の巻線ブロックを設け、第3の巻線ブロックのコイルパターンを1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックのコイルパターンが形成される基板とは異なる基板に形成したので、例えば制御回路用の巻線ブロックをトランス内部に設けた場合にも1次側巻線ブロックのコイルパターンと2次側巻線ブロックのコイルパターンとの間の磁気結合を確保することができる。
【0029】
請求項8の発明によれば、例えば制御回路用の巻線ブロックを単線コイルで形成し且つ複数のコイル素子とコアとの間に配置したので、コイル素子とコアとの間のスペースに自由に巻線ブロックを配置することができる。
【0030】
請求項9の発明によれば、第3の巻線ブロックをコイル素子の積層方向においてコアのギャップに近い側に設けることで、相対的に1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックをコアのギャップから離れた場所に配置することができ、したがってギャップからの漏れ磁束の影響を抑えることができてトランス動作時の損失を低減することができる。
【0031】
請求項10の発明によれば、各コイルパターンにおいて互いに同電位となる箇所同士を電気的に接続することで、コイルパターン形成時及び引き回し時のバラツキ等によって電流が何れかの巻線部に集中するのを回避することができる。
【0032】
請求項11の発明によれば、コイル素子は、基板の両面にそれぞれ1次側巻線ブロックのコイルパターン及び2次側巻線ブロックのコイルパターンが形成されて成り、コイルパターンに印加される電圧の昇順又は降順に積層されるので、隣接するコイルパターン間の電位差を極力小さくすることができ、したがって基板間に充填される絶縁体の積層方向における厚みを薄くすることができる。
【0033】
請求項12の発明によれば、基板の積層方向における厚みを、基板の両面各々に形成されたコイルパターンそれぞれに印加される電圧の差に応じて変化させることで、基板の積層方向における厚みを薄くすることができる。
【0034】
請求項13の発明によれば、少なくとも最外層のコイル素子の基板上に導体パターンを形成することで電子回路を構成する電子部品を実装することができ、電子回路を構成するための基板を別途設ける必要が無く、したがって製造コストを低減することができる。
【0035】
請求項14の発明によれば、巻線電流が大きい方の巻線ブロックを構成するコイルパターンの少なくとも一部を最外層に積層することで、放熱性を高めることができ、したがってコイルパターンの温度上昇を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係るトランスの各実施形態について図面を用いて説明する。尚、各実施形態のトランスの基本的な構成は従来例のトランスの構造と共通であるので、以下の説明では特に断りの無い限りトランスの構造は従来例のトランスの構造と同一であるものとして説明を省略する。
【0037】
(実施形態1)
以下、実施形態1について図1を用いて説明する。本実施形態は基板1に形成されるコイルパターン2の積層順に特徴があり、従来例の回路(図11(b)参照)を例に挙げると、1次側巻線ブロックN1を構成する全ての巻線部N11〜N14各々における少なくとも1つ以上のコイルパターン2と、2次側巻線ブロックN2を構成する全ての巻線部N21〜N22各々における少なくとも1つ以上のコイルパターン2との間の積層方向における距離(以下、単に「距離」と呼ぶ)ができる限り小さくなるようにコイル素子3を積層している。
【0038】
具体的には、図1に示すように、第1の巻線部N11のコイルパターンN111、第5の巻線部N21のコイルパターンN211、第2の巻線部N12のコイルパターンN112、第6の巻線部N22のコイルパターンN212、第1の巻線部N11のコイルパターンN121の順番となるようにコイル素子3を積層することで、第1の巻線部N11の一部と第5の巻線部N21の一部とが隣接し、第2の巻線部N12の一部と第5の巻線部N21の一部とが隣接し、第2の巻線部N12の一部と第6の巻線部N22の一部とが隣接し、第1の巻線部N11の一部と第6の巻線部N22の一部とが隣接する。更に、第3の巻線部N13のコイルパターンN113、第5の巻線部N21のコイルパターンN221、第4の巻線部N14のコイルパターンN114、第6の巻線部N22のコイルパターンN222、第3の巻線部N13のコイルパターンN123の順番となるようにコイル素子3を積層することで、第3の巻線部N13の一部と第5の巻線部N21の一部とが隣接し、第4の巻線部N14の一部と第5の巻線部N21の一部とが隣接し、第4の巻線部N14の一部と第6の巻線部N22の一部とが隣接し、第3の巻線部N13の一部と第6の巻線部N22の一部とが隣接する。尚、図1に図示されている残りのコイルパターン2の積層順は一例であって、これ以外の積層順であっても構わない。
【0039】
したがって、1次側巻線ブロックN1の全ての巻線部N11〜N14のそれぞれの一部と、2次側巻線ブロックN2の全ての巻線部N21,N22のそれぞれの一部とが隣接するように積層されるため、従来例(図11(c)参照)と比較して1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2との間の磁気結合を高めることができ、したがってトランス動作時の損失を低減することができる。
【0040】
尚、本実施形態では1次側巻線ブロックN1の全ての巻線部N11〜N14のそれぞれの一部と、2次側巻線ブロックN2の全ての巻線部N21,N22のそれぞれの一部とが隣接するように積層しているが、必ず隣接するように積層しなければならないわけではなく、1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2との間の距離をできる限り小さくできれば良い。
【0041】
(実施形態2)
以下、実施形態2について図2を用いて説明する。本実施形態は、全ての巻線部からそれぞれ1つずつ任意に選択したコイルパターン2が形成された複数のコイル素子3から成る積層ブロックを複数積層したことに特徴がある。具体的には、従来例の回路(図11(b)参照)を例に挙げると、全ての巻線部N11〜N22からそれぞれ1つずつ、計6つのコイルパターンN111,N112,N113,N114,N211,N212を選択し、これら6つのコイルパターンN111〜N212を3枚の基板1の両面にそれぞれ形成した3つのコイル素子3から積層ブロックAを構成している(図2(a),(b)参照)。尚、残りのコイルパターン2についても上記と同様に積層ブロックを構成しているが、本実施形態では積層ブロックAについてのみ説明し、他の積層ブロックについては説明を省略する。
【0042】
ここで、例えば従来のように積層ブロックを構成することを考慮せず、単に1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2とが隣接するように積層した場合、図2(c)に示すように、第1の巻線部N11と第6の巻線部N22との間の距離の最小値、即ちコイルパターンN131とコイルパターンN212との間の距離が長いために第1の巻線部N11と第6の巻線部N22との間で十分な磁気結合を確保することができない。これに対して、上述のように積層ブロックAを構成した場合には、第1の巻線部N11と第6の巻線部N22との間の距離の最小値、即ちコイルパターンN111とコイルパターンN212との間の距離が短くなり、十分な磁気結合を確保することができる。
【0043】
上述のように、全ての巻線部N11〜N22からそれぞれ1つずつ任意に選択したコイルパターン2が形成された複数のコイル素子3から成る積層ブロックを最小単位として積層することで、互いに最も離れた巻線部各々のコイルパターン2間の距離を最小とすることができ、したがって1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2との間の磁気結合を高めることができる。
【0044】
尚、本実施形態のように、積層ブロックは1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2とが隣接するように積層した一乃至複数の積層部を最小単位として構成されることが望ましい(図2(b)参照)。このように構成することで、1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2との間の距離を極力狭めることができ、磁気結合を高めることができる。
【0045】
(実施形態3)
以下、実施形態3について図3を用いて説明する。本実施形態は、実施形態2の積層ブロックAに隣接する積層ブロックB(図3(a)参照)におけるコイルパターン2の積層順と、積層ブロックAにおけるコイルパターン2の積層順とを互いに異ならせていることに特徴がある。具体的には、図3(b)に示すように、積層ブロックAでは、第1の巻線部N11のコイルパターンN111、第5の巻線部N21のコイルパターンN211、第2の巻線部N12のコイルパターンN112、第3の巻線部N13のコイルパターンN113、第6の巻線部N22のコイルパターンN212、第4の巻線部N14のコイルパターンN114の順番でコイルパターン2が積層されており、積層ブロックBでは、第1の巻線部N11のコイルパターンN121、第6の巻線部N22のコイルパターンN222、第2の巻線部N12のコイルパターンN122、第3の巻線部N13のコイルパターンN123、第5の巻線部N21のコイルパターンN221、第4の巻線部N14のコイルパターンN124の順番でコイルパターン2が積層されている。
【0046】
ここで、第1の巻線部N11と第5の巻線部N21、第2の巻線部N12と第5の巻線部N21、第3の巻線部N13と第6の巻線部N22、第4の巻線部N14と第6の巻線部N22との間ではコイルパターン2が隣接しているが、第1の巻線部N11と第6の巻線部N22、第2の巻線部N12と第6の巻線部N22、第3の巻線部N13と第5の巻線部N21、第4の巻線部N14と第5の巻線部N21との間ではコイルパターン2が隣接していない。そこで、積層ブロックBのコイルパターン2の積層順を上述のようにすることで、第1の巻線部N11と第6の巻線部N22、第2の巻線部N12と第6の巻線部N22、第3の巻線部N13と第5の巻線部N21、第4の巻線部N14と第5の巻線部N21との間でもコイルパターン2が隣接するので、磁気結合を更に高めることができる。
【0047】
(実施形態4)
以下、実施形態4について図4を用いて説明する。本実施形態は、1次側巻線ブロックN1及び2次側巻線ブロックN2のうち巻線電流が大きい方の巻線ブロックにおいて、巻線電流が小さい方の巻線ブロックよりも巻線部を多く並列接続していることに特徴がある。具体的には、1次側巻線ブロックN1の方が巻線電流が大きい場合、図4(a)に示すように、各々2つのコイルパターンN111〜N121,N112〜N122を直列接続して成る第1の巻線部N11と第2の巻線部N12を並列接続することで1次側巻線ブロックN1を構成し、2つのコイルパターンN211及びN221を直列接続して成る第3の巻線部N21で2次側巻線ブロックN2を構成している。
【0048】
上述のように、巻線電流の大きい方の巻線ブロックにおける巻線部の並列接続数を多くすることで、巻線抵抗を小さくすることができ、したがってトランス動作時の巻線抵抗における損失を低減することができる。
【0049】
ところで、本実施形態では、図4(b)に示すように、第1の巻線部N11のコイルパターンN111、第3の巻線部N21のコイルパターンN211、第2の巻線部N12のコイルパターンN112、第1の巻線部N11のコイルパターンN121、第3の巻線部N21のコイルパターンN221、第2の巻線部N12のコイルパターンN122の順番でコイルパターン2を積層している。このように積層することで、第1の巻線部N11のコイルパターン2が第3の巻線部N21の何れのコイルパターン2とも隣接し、また第2の巻線部N12のコイルパターン2が第3の巻線部N21の何れのコイルパターン2とも隣接する。したがって、1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2との間の距離をできる限り小さくすることができ、磁気結合を高めることができる。
【0050】
更に、各コイルパターン2に印加される電圧を考慮した図4(c)に示すような積層順、即ち、第1の巻線部N11のコイルパターンN111、第3の巻線部N21のコイルパターンN211、第2の巻線部N12のコイルパターンN122、第2の巻線部N12のコイルパターンN112、第3の巻線部N21のコイルパターンN221、第1の巻線部N11のコイルパターンN121の順番でコイルパターン2を積層しても構わない。このように積層することで、第2の巻線部N12の高圧側のコイルパターンN112と第3の巻線部N21の低圧側のコイルパターンN211とが隣接し、第2の巻線部N12の低圧側のコイルパターンN122と第3の巻線部の高圧側のコイルパターンN211とが隣接して積層されるため、1次側巻線ブロックN1の高圧側及び低圧側のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2の高圧側及び低圧側のコイルパターン2との間で磁気結合を更に高めることができる。
【0051】
尚、2次側巻線ブロックN2の方が巻線電流が大きい場合は、図4(d)に示すように、2つのコイルパターンN111及びN121を直列接続して成る第1の巻線部N11で1次側巻線ブロックN1を構成し、各々2つのコイルパターンN211〜N221,N212〜N222を直列接続して成る第2の巻線部N21と第3の巻線部N22を並列接続することで2次側巻線ブロックN2を構成すればよく、この場合におけるコイルパターン2の積層順も、図4(e)に示すように、1次巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2との間の距離ができる限り小さくなるようにするのが望ましい。
【0052】
(実施形態5)
以下、実施形態5について図5を用いて説明する。本実施形態は、図5(a)に示すように、実施形態4において直列に接続されていた2次側巻線ブロックN2の第3の巻線部N21の2つのコイルパターンN211,N221の接続端を電気的に絶縁し、コイルパターンN211に第1の負荷回路8aを、コイルパターンN221に第2の負荷回路8bを接続している。尚、コイルパターン2の積層順は実施形態4と同様である(図5(b)参照)。
【0053】
ここで、従来のように単に1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2とを交互に積層した場合には、図5(c)に示すように、第1の巻線部N11のコイルパターンN111,N121と2次側巻線ブロックN2のコイルパターンN221との間の距離、及び第2の巻線部N12のコイルパターンN112,N122と2次側巻線ブロックN2のコイルパターンN211との間の距離が離れているために磁気結合を十分に確保することができない。また、第1の巻線部N11のコイルパターンN111,N121がコア4のギャップ4aから離れた場所に配置され、第2の巻線部N12のコイルパターンN112,N122がコア4のギャップ4aから近い場所に配置されるため、第1の巻線部N11と第2の巻線部N12とでコイルパターン2のインダクタンス値(以下、「L値」と呼ぶ)にバラツキが生じ、第1の負荷回路8a及び第2の負荷回路8bに対してトランスの設計通りの電力供給を行うことができないという問題がある。
【0054】
これに対して、本実施形態のコイルパターン2の積層順であれば、図5(b)に示すように、1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2との間の距離をできる限り小さくすることで磁気結合を高めることができる。更に、第1の巻線部N11のコイルパターンN111及び第2の巻線部N12のコイルパターンN112がギャップ4aから離れた場所に配置され、第1の巻線部N11のコイルパターンN121及び第2の巻線部N12のコイルパターンN122がギャップ4aから近い場所に配置されるために、第1の巻線部N11及び第2の巻線部N12におけるコイルパターン2のL値のバラツキを抑えることができ、第1の負荷回路8a及び第2の負荷回路8bに対してトランスの設計通りの電力供給を行うことができる。
【0055】
(実施形態6)
以下、実施形態6について図6を用いて説明する。本実施形態は、1次側巻線ブロックN1及び2次側巻線ブロックN2の何れとも電気的に絶縁された第3の巻線ブロックN3を有している点に特徴がある。第3の巻線ブロックN3は、例えば電源から供給される電圧の制御を行う制御回路用の電源トランスとして用いられ、図6(a)に示すように、1次側巻線ブロックN1及び2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2が形成される基板1とは異なる基板1の両面にそれぞれコイルパターン2を形成したコイル素子3から成る。尚、1次側巻線ブロックN1及び2次側巻線ブロックN2の構成は実施形態5と同じであるので、ここでは説明及び各巻線ブロックのコイルパターン2の図番号を省略する。
【0056】
上述のように、第3の巻線ブロックN3のコイルパターン2を1次側巻線ブロックN1及び2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2が形成される基板1とは異なる基板1に形成することで、1次側巻線ブロックN1及び2次側巻線ブロックN2と第3の巻線ブロックN3との間で磁気結合するのを極力防ぐことができる。したがって、第3の巻線ブロックN3をトランス内部に設けた場合にも1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2との間の磁気結合を確保することができる。
【0057】
また、本実施形態では、1次側巻線ブロックN1及び2次側巻線ブロックN2をコア4のギャップ4aから離れた場所に配置し、第3の巻線ブロックN3をコア4のギャップ4aから近い場所に配置するようにしている。このようにすることで、コア4のギャップ4aからの漏れ磁束が1次側巻線ブロックN1及び2次側巻線ブロックN2に与える影響を抑えることができ、トランス動作時の損失を低減することができる。
【0058】
尚、図6(b)に示すように、第3の巻線ブロックN3を単線コイル20を巻き回したボビン9から構成し、該ボビン9をコイル素子3とコア4との間に配置するようにしても構わない。この場合、コイル素子3とコア4との間のスペースに自由に第3の巻線ブロックN3を配置することができる。また、コイル素子3の積層数を増やして第3の巻線ブロックN3を構成する場合と比較して製造コストを低減することができる。
【0059】
(実施形態7)
以下、実施形態7について図7を用いて説明する。本実施形態は、1次側巻線ブロックN1及び2次側巻線ブロックN2のそれぞれにおいて、各コイルパターン2において互いに同電位となる箇所同士を電気的に接続することに特徴がある。
【0060】
本実施形態の回路は、図7に示すように、1次側巻線ブロックN1を2つのコイルパターンN111,N121を直列接続した第1の巻線部N11と、2つのコイルパターンN112,N122を直列接続した第2の巻線部N12とを並列接続して構成し、2次側巻線ブロックN2を2つのコイルパターンN211,N221を直列接続した第3の巻線部N21と、2つのコイルパターンN212,N222を直列接続した第4の巻線部N22とを並列接続して構成している。尚、巻線ブロック毎でコイルパターン2のターン数が全て等しいものとする。
【0061】
ここで、本実施形態では、同電位である第1の巻線部N11のコイルパターンN111の低圧側の一端と第2の巻線部N12のコイルパターンN112の低圧側の一端、第1の巻線部N11のコイルパターンN121の高圧側の一端と第2の巻線部N12のコイルパターンN122の高圧側の一端、第3の巻線部N21のコイルパターンN211の低圧側の一端と第4の巻線部N22のコイルパターンN212の低圧側の一端、第3の巻線部N21のコイルパターンN221の高圧側の一端と第4の巻線部N22のコイルパターンN222の高圧側の一端を各々電気的に接続している。
【0062】
上述のように、各巻線ブロックにおいて同電位である部位同士を電気的に接続することで、各部位の電位が安定するとともに、コイルパターン2形成時及び引き回し時のバラツキ等によって電流が何れかの巻線部に集中するのを回避することができる。尚、第1の巻線部N11のコイルパターン121、第2の巻線部N12のコイルパターンN122、第3の巻線部N21のコイルパターンN221、第4の巻線部N22のコイルパターンN222の低圧側の一端を接地する場合は、これらコイルパターン2を有するコイル素子3を内側に配置することが望ましい。
【0063】
(実施形態8)
以下、実施形態8について図8を用いて説明する。本実施形態の回路は、図8(a)に示すように、1次側巻線ブロックN1を2つのコイルパターンN111,N121を直列接続した第1の巻線部N11と、2つのコイルパターンN112,N122を直列接続した第2の巻線部N12とを並列接続して構成し、2次側巻線ブロックN2を2つのコイルパターンN211,N221を直列接続した第3の巻線部N21と、2つのコイルパターンN212,N222を直列接続した第4の巻線部N22とを並列接続して構成している。
【0064】
ここで、本実施形態では、各コイル素子3の基板1の両面にそれぞれ1次側巻線ブロックN1及び2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2を形成するとともに、コイルパターン2に印加される電圧が大きい順にコイルパターン2を積層している。具体的には、図8(b)に示すように、同図における一番上の基板1の両面には、それぞれ電源の高圧側に接続される第1の巻線部N11のコイルパターンN111及び負荷の高圧側に接続される第3の巻線部N21のコイルパターンN211が形成され、同図における上から2番目の基板1の両面には、それぞれ電源の高圧側に接続される第2の巻線部N12のコイルパターンN112及び負荷の高圧側に接続される第4の巻線部N22のコイルパターンN212が形成される。同図における下から2番目の基板1の両面には、それぞれ電源の低圧側に接続される第1の巻線部N11のコイルパターンN121及び負荷の低圧側に接続される第3の巻線部N21のコイルパターンN221が形成され、同図における一番下の基板1の両面には、それぞれ電源の低圧側に接続される第2の巻線部N12のコイルパターンN122及び負荷の低圧側に接続される第4の巻線部N22のコイルパターンN222が形成される。
【0065】
上述のようにコイルパターン2を積層することで、各基板1における1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2との電位差を極力小さくすることができる。したがって、各基板1間に充填された絶縁体6の積層方向における厚みを薄くすることができるために、1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2との間の磁気結合を高めることができるとともに、トランスを小型に設計することができる。また、トランスを小型に設計しない場合には、各基板1の積層方向における厚みを薄くするとともに、各コイルパターン2の積層方向における厚みを厚くすることができるので、巻線抵抗を低減することが可能である。
【0066】
尚、図8(c)に示すように、1次側巻線ブロックN1のコイルパターン2と2次側巻線ブロックN2のコイルパターン2との電位差が小さければ小さいほど、基板1の積層方向における厚みを薄くするようにしても構わない。この場合にも、上記と同様の効果を奏することができる。
【0067】
(実施形態9)
以下、実施形態9について図9を用いて説明する。本実施形態は、図9に示すように、最外層のコイル素子3の基板1上面に、導電材料から成り電子回路を構成する複数の電子部品10が実装される導体パターン2aを基板1上面に形成されたコイルパターン2と一体に形成している。したがって、コイル素子3の基板1と一般的な電子回路用の基板とを兼用することができ、電子回路用の基板を別途設ける必要が無く、製造コストを低減することができる。また、本実施形態では表面実装用の外部接続端子5aが不必要であるために更に製造コストを低減することができる。更に、表面実装する際の外部接続端子5aの接触抵抗による損失を考慮する必要もない。
【0068】
ところで、上記各実施形態において、1次側巻線ブロックN1及び2次側巻線ブロックN2のうち巻線電流が大きい方の巻線ブロックのコイルパターン2の少なくとも一部を最外層のコイル素子3の基板1上に形成するのが望ましい。このようにすることで、巻線電流が大きい、即ち熱を発生し易い巻線ブロックのコイルパターン2が外気に触れるために放熱性を高めることができ、コイルパターン2の温度上昇を抑制することができる。また、トランスの周囲を放熱用のシリコン等で充填する、若しくは、図10に示すように、最外層のコイル素子3の基板1上に形成されたコイルパターン2の上に絶縁体7aを介して金属製の放熱体7を設けるようにすれば、より放熱性を高めることができて望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態1のトランスを示すコイルパターンの積層順の一例を示す基板の断面図である。
【図2】本発明の実施形態2のトランスを示す図で、(a)は回路図で、(b)はコイルパターンの積層順の一例を示す基板の断面図で、(c)は従来のコイルパターンの積層順の一例を示す基板の断面図である。
【図3】本発明の実施形態3のトランスを示す図で、(a)は回路図で、(b)はコイルパターンの積層順の一例を示す基板の一部断面図である。
【図4】本発明の実施形態4のトランスを示す図で、(a)は1次側の巻線部を並列接続した場合の回路図で、(b)は1次側の巻線部を並列接続した場合の基板の断面図で、(c)は印加電圧を考慮して積層した場合の基板の断面図で、(d)は2次側の巻線部を並列接続した場合の回路図で、(e)は2次側の巻線部を並列接続した場合の基板の断面図である。
【図5】本発明の実施形態5のトランスを示す図で、(a)は回路図で、(b)は一部断面図で、(c)は従来例を示す一部断面図である。
【図6】本発明の実施形態6のトランスを示す図で、(a)は基板に第3の巻線ブロックのコイルパターンを形成した場合を示す断面図で、(b)は第3の巻線ブロックを単線コイルで構成した場合を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態7のトランスを示す回路図である。
【図8】本発明の実施形態8のトランスを示す図で、(a)は回路図で、(b)は基板の積層方向の厚みが同一である場合を示す基板の断面図で、(c)は基板の積層方向の厚みが基板毎に異なる場合を示す基板の断面図である。
【図9】本発明の実施形態9のトランスを示す全体斜視図である。
【図10】最外層のコイル素子の基板上に放熱体を設けた場合を示す断面図である。
【図11】従来のトランスを示す図で、(a)は全体斜視図で、(b)は回路図で、(c)はコイルパターンの積層順の一例を示す基板の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 基板
2 コイルパターン
3 コイル素子
4 コア
N1 1次側巻線ブロック
N2 2次側巻線ブロック


【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材料から成る基板の両面にそれぞれ導電材料から成るコイルパターンが形成されて成り基板の厚み方向に沿って積層される複数のコイル素子と、磁性材料から成り複数のコイル素子の少なくとも一部を囲むコアとを備え、互いに異なるコイルパターン間を電気的に接続して回路が構成されるプレーナ型のトランスであって、前記回路は、少なくとも2つ以上のコイルパターンを直列接続して成る巻線部を一乃至複数組並列接続して成る1次側巻線ブロックと、少なくとも2つ以上のコイルパターンを直列接続して成る巻線部を一乃至複数組並列接続して成り且つ1次側巻線ブロックと電気的に絶縁された2次側巻線ブロックとから成り、1次側巻線ブロックを構成する全ての巻線部各々における少なくとも1つ以上のコイルパターンと、2次側巻線ブロックを構成する全ての巻線部各々における少なくとも1つ以上のコイルパターンとの間の距離ができる限り小さくなるようにコイル素子が積層されたことを特徴とするトランス。
【請求項2】
前記回路を構成する全ての巻線部からそれぞれ1つずつ任意に選択したコイルパターンが形成された複数のコイル素子から成る積層ブロックを複数積層したことを特徴とする請求項1記載のトランス。
【請求項3】
前記積層ブロックは、1次側巻線ブロックのコイルパターンと2次側巻線ブロックのコイルパターンとが隣接するように積層した一乃至複数の積層部から成ることを特徴とする請求項2記載のトランス。
【請求項4】
任意の積層ブロックにおける1次側巻線ブロックのコイルパターン及び2次側巻線ブロックのコイルパターンの積層順と、前記積層ブロックと隣接する積層ブロックにおける1次側巻線ブロックのコイルパターン及び2次側巻線ブロックのコイルパターンの積層順とが互いに異なることを特徴とする請求項2又は3記載のトランス。
【請求項5】
前記1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックのうち巻線電流が大きい方の巻線ブロックは、巻線電流が小さい方の巻線ブロックよりも多くの巻線部を並列接続して成ることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のトランス。
【請求項6】
前記2次側巻線ブロックを構成する各巻線部は、それぞれ互いに異なる負荷が接続され且つ各巻線部の両端の少なくとも何れか一方が互いに電気的に絶縁されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のトランス。
【請求項7】
前記1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックの何れとも電気的に絶縁された一乃至複数のコイルパターンから成る第3の巻線ブロックを有し、第3の巻線ブロックのコイルパターンは、1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックのコイルパターンが形成される基板とは異なる基板に形成されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のトランス。
【請求項8】
前記1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックの何れとも電気的に絶縁された一乃至複数の単線コイルから成る第3の巻線ブロックを有し、第3の巻線ブロックは、複数のコイル素子とコアとの間に配置されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のトランス。
【請求項9】
前記第3の巻線ブロックは、コイル素子の積層方向において1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックよりもコアに設けられたギャップに近い側に配置されることを特徴とする請求項7又は8記載のトランス。
【請求項10】
前記1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックのそれぞれにおいて、各コイルパターンにおいて互いに同電位となる箇所同士を電気的に接続して成ることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載のトランス。
【請求項11】
前記コイル素子は、基板の両面にそれぞれ1次側巻線ブロックのコイルパターン及び2次側巻線ブロックのコイルパターンが形成されて成り、コイルパターンに印加される電圧の昇順又は降順に積層されることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載のトランス。
【請求項12】
前記基板の積層方向における厚みを、基板の両面各々に形成されたコイルパターンそれぞれに印加される電圧の差に応じて変化させることを特徴とする請求項11に記載のトランス。
【請求項13】
少なくとも最外層のコイル素子の基板上に、導電材料から成り電子回路を構成する電子部品が実装される導体パターンが形成されたことを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載のトランス。
【請求項14】
前記1次側巻線ブロック及び2次側巻線ブロックのうち巻線電流が大きい方の巻線ブロックにおいて、該巻線ブロックを構成するコイルパターンの少なくとも一部をコイル素子の最外層に積層することを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載のトランス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−177486(P2008−177486A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11586(P2007−11586)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】