説明

トリアシルグリセロールリパーゼファミリーのLLGポリペプチド、組成物、酵素的加水分解における使用のための方法、タンパク質及び遺伝子治療

【課題】脂質代謝を制御するタンパク質を提供する。
【解決手段】ポリペプチド様リポタンパク質リパーゼ、前記ポリペプチドをコードしている核酸、アンチセンス配列及び前記ポリペプチドに対する抗体を開示する。また、組換え系における前記ポリペプチドの製造方法並びに前記ペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストをスクリーニングするための前記ポリペプチドの使用が開示される。更に、脂質代謝障害治療のための方法及び組成物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2つの同時係属出願第60/032,254号及び第60/032,783号の利益を主張する。ともに1996年12月6日に出願された。

発明の技術分野
本発明は、トリアシルグリセロールリパーゼファミリーのポリペプチド、前記ポリペプチドをコードしている核酸、前記核酸に由来するアンチセンス配列及び前記ポリペプチドに対する抗体に関する。更に本発明は、組換え技術を使用した前記ポリペプチドの調製、及び、前記ポリペプチドのアゴニスト及びアンタゴニストをスクリーニングするための前記ポリペプチドの使用に関する。更に本発明は、前記ポリペプチド、前記ポリペプチドをコードする前記核酸配列の、脂質及びリポタンパク質代謝障害の治療(遺伝子治療を含む)用医薬組成物における治療学的使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
A) 脂質
脂質は水不溶性有機生体分子であり、貯蔵、輸送及びエネルギー代謝並びに膜の構造及び流動性を含む多様な生物学的機能の重要な構成要素である。脂質は、人及び他の動物の2つのソースに由来する。脂質のあるものは食事の脂肪及び油として摂取され、他の脂質はヒト又は動物によって生合成される。哺乳類において、体重の少なくとも10%は、脂質(その大部分はトリアシルグリセロールの形である)である。
トリアシルグリセロール(トリグリセリド及びトリアシルグリセリドとしても知られている)は、グリセロールをエステル化する3つの脂肪酸から構成される。
食事性トリアシルグリセロールは、エネルギー源として脂肪組織に貯蔵されるか又は消化管においてトリアシルグリセロールリパーゼ(最も重要なのは膵性リパーゼである)によって加水分解される。トリアシルグリセロールは、リポタンパク質の形で組織間を輸送される。
リポタンパク質は、血漿において見られるミセル様集合物であり、異なる種類の脂質及びタンパク質を変動する割合で含んでいる(アポタンパクと呼ばれている)。血漿リポタンパク質には5つの主なクラスがあり、その主な機能は脂質輸送である。密度が増加する順に、これらのクラスは、キロミクロン、超低密度リポタンパク質(VLDL)、中間密度リポタンパク質(IDL)、低密度リポタンパク質(LDL)及び高密度リポタンパク質(HDL)である。脂質の多くの型が各リポタンパク質クラスと結合することが見出されているにもかかわらず、各クラスは主に一種類の脂質を輸送する。前記したトリアシルグリセロールは、キロミクロン、VLDL及びIDLにおいて輸送される。一方、リン脂質及びコレステロールエステルはそれぞれ、HDL及びLDLにおいて輸送される。
リン脂質はグリセロールリン酸のジ脂肪酸エステルであり、ホスフェートに結合する極性基を含んでいる。リン脂質は細胞の膜の重要な構造上の構成成分である。リン脂質は、ホスホリパーゼと呼ばれる酵素によって加水分解される。典型的なリン脂質であるホスファチジルコリンは、大部分の真核細胞膜の主な構成成分である。
コレステロールは、細胞膜の重要な構成成分だけでなく、ステロイドホルモン及び胆汁酸の代謝前駆体である。ヒト及び他の動物において、コレステロールは食事で摂取され、更に肝臓及び他の組織においても合成される。コレステロールは、組織間を、LDL及び他のリポタンパク質のコレステリルエステルの形で輸送される。
膜は、あらゆる生細胞を囲み、細胞内の及び細胞外のコンパートメント間のしきりとして役立つ。さらに膜は、真核生物の核を囲み、小胞体を形成し、例えば軸索を囲むミエリン鞘等における専門機能を提供する。典型的な膜は、約40%の脂質及び60%タンパク質を含む。しかし、この値はかなり変動する。主な脂質構成成分は、リン脂質、特にホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミン並びにコレステロールである。膜の物理化学的特性、例えば流動性は、リン脂質の脂肪酸プロフィール又はコレステロール含量の修飾によって変化させることができる。膜脂質の組成及び組織化の調節によっても、膜に依存する細胞の機能、例えば受容体活性、エンドサイトーシス及びコレステロール流動性が調節される。
【0003】
B) 酵素
トリアシルグリセロールリパーゼは、体内の脂質代謝のおいていくつかの中枢の役割を演ずる酵素のファミリーである。ヒトのトリアシルグリセロールリパーゼファミリーの3つのメンバーが文献に記載されている:膵性リパーゼ、リポタンパク質リパーゼ、及び、肝性リパーゼ(Goldberg, I.J., Le, N.-A., Ginsberg, H.N., Krauss, R.M., and Lindgren, F.T. (1988) J. Clin. Invest. 81,561-568; Goldberg, I.J., Le, N., Paterniti J.R., Ginsberg, H.N., Lindgren, F.T., and Brown, W.V. (1982) J. Clin. Invest. 70,1184-1192; Hide, W.A., Chan, L., and Li, W.-H. (1992) J. Lipid. Res. 33,167-178)。膵性リパーゼは、主に食事性脂質の加水分解に対して責任を負う。膵性リパーゼの変種が、文献に記載されているが、それらの生理的役割はが決定されていない(Giller, T., Buchwald, P., Blum-Kaelin, D., and Hunziker, W. (1992) J. Biol. Chem. 267,16509-16516)。リポタンパク質リパーゼは、体内のトリグリセリドの分配及び利用の責任を負う主な酵素である。リポタンパク質リパーゼは、キロミクロン及びVLDLのトリグリセリドを加水分解する。肝性リパーゼは、IDL及びHDLのトリグリセリドを加水分解して、リポタンパク質の再構築に対して責任を負う。更に肝性リパーゼは、ホスホリパーゼとしても機能し、HDLのリン脂質を加水分解する。
ホスホリパーゼは、リポタンパク質のリン脂質成分及び膜のリン脂質の代謝及び再構築において重要な役割を果たす。更にホスホリパーゼは、アラキドン酸の遊離、続くプロスタグランジン、ロイコトリエン及び種々の炎症過程に関連する他の脂質の形成において役割を果たす。
これらのリパーゼ遺伝子によってコードされるリパーゼポリペプチドは、分泌を容易にするリーダーシグナルペプチドを有する長さ約450のアミノ酸である。
リパーゼタンパク質は、2つの主要なドメインから構成される(Winkler, K., D'Arcy, A., and Hunziker, W. (1990) Nature 343, 771-774)。アミノ末端ドメインは触媒部位を含み、カルボキシルドメインは基質結合、コファクター会合及び細胞受容体との相互作用について責任を負うと考えられる(Wong, H., Davis, R.C., Nikazy, J., Seebart, K.E., and Schotz, M.C. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88,11290-11294; van Tilbeurgh, H., Roussel, A., Lalouel, J.-M., and Cambillau, C. (1994) J. Biol. Chem. 269,4626-4633; Wong, H., Davis, R.C., Thuren, T., Goers, J.W., Nikazy, J., Waite, M., and Schotz, M.C. (1994) J. Biol. Chem. 269,10319-10323; Chappell, D.A., Inoue, I., Fry, G.L., Pladet, M.W., Bowen, S.L., Iverius, P.-H., Lalouel, J.-M., and Strickland, D.K. (1994) J. Biol. Chem. 269,18001-18006)。ファミリーのメンバー間のアミノ酸ホモロジーの全体的なレベルは、酵素機能に関連する構造的ホモロジーに対応するホモロジーが高い局所領域に関して22〜65%である。
天然リポタンパク質リパーゼ・タンパク質はグリコシル化される。グリコシル化haLPL酵素活性に必要である(Semenkovich, C.F., Luo, C.-C., Nakanishi, M.K., Chen, S.-H., Smith, L C., and Chan L. (1990) J. Biol. Chem. 265, 5429-5433)。肝性リポタンパク質リパーゼにはN結合性(N-linked)グリコシル化について2つの部位が存在し、膵性リパーゼには1つ存在する。加えて、4組のシステインは、酵素活性のための構造的完全性の維持にとって重要であるジスルフィド架橋を形成する(Lo, J.-Y., Smith, L.C., and Chan, L. (1995) Biochem. Biophys. Res. Commun. 206, 266-271; Brady, L., Brzozowski, A.M., Derewenda, Z.S., Dodson, E., Dodson G., Tolley, S., Turkenburg, J.P., Christiansen, L., Huge-Jensen B., Norskov, L., Thim, L., and Menge, U. (1990) Nature 343, 767-770)。
トリアシルグリセロールリパーゼファミリーのメンバーは、多くの保存された構造上の特徴を共有する。そのような特徴の1つは、「GXSXG」モチーフである。そこにおいて、中央のセリン残基は、3残基を含む「触媒三つ組残基」のうちの1つである(Winkler, K., D'Arcy, A., and Hunziker, W. (1990) Nature 343, 771-774; Faustinella, F., Smith, L.C., and Chan, L. (1992) Biochemistry 31,7219-7223)。保存されたアスパラギン酸及びヒスチジン残基は、触媒三つ組残基の残り部分を形成する。19〜23アミノ酸(「ふた領域(lid region)」)の短いスパンは、両親媒性ヘリックス構造を形成し、酵素の触媒作用のポケットをカバーする(Winkler, K., D'Arcy, A., and Hunziker, W. (1990) Nature 343, 771-774)。この領域はファミリーのメンバー間で異なり、このスパンが酵素に対する基質特異性を与えるということが最近決定された(Dugi, K.A., Dichek H.L., and Santamarina-Fojo, S. (1995) J. Biol. Chem. 270, 25396-25401)。肝性リパーゼとリポタンパク質リパーゼとの比較により、トリアシルグリセロールリパーゼとホスホリパーゼとの間の酵素活性の違いはこのふた領域によって部分的に媒介されていることが証明された(Dugi, K.A., Dichek H.L., and Santamarina-Fojo, S. (1995) J. Biol. Chem. 270, 25396-25401)。
トリアシルグリセロールリパーゼは、異なる程度のヘパリン結合活性を有する。
リポタンパク質リパーゼは、最も高いヘパリン親和性を有し、この結合活性はアミノ末端ドメインの正に荷電した残基の伸長に位置付けられる(Ma, Y., Henderson, H.E., Liu, M.-S., Zhang, H., Forsythe, I.J., Clarke-Lewis, I., Hayden, M.R., and Brunzell, J.D. J. Lipid Res. 35, 2049-2059)。内皮表層に対するリポタンパク質リパーゼの局在化(Cheng, C.F., Oosta, G.M., Bensadoun, A., and Rosenberg, R.D. (1981) J. Biol. Chem. 256, 12893-12896)は、主に表層プロテオグリカンへの結合により媒介される(Shimada K., Gill, P.J., Silbert, J.E., Douglas, W.H.J., and Fanburg, B.L. (1981) J. Clin. Invest. 68, 995-1002; Saxena, U., Klein, M.G., and Goldberg, I.J. (1991) J. Biol. Chem. 266, 17516-17521; Eisenberg, S., Sehayek, E., Olivecrona, T., and Vlodavsky, I. (1992) J. Clin Invest. 90,2013-2021)。これは、LDLと細胞表面との間の橋の役をすることによりLDL取りこみを促進することを許容する結合活性である(Mulder, M., Lombardi, P., Jansen, H., vanBerkel T.J., Frants R.R., and Havekes, L.M. (1992) Biochem. Biophys. Res. Comm. 185, 582-587; Rutledge, J.C., and Goldberg, I.J., (1994) J. Lipid Res. 35. 1152-1160; Tsuchiya, S., Yamabe, M., Yamaguchi, T., Kobayashi, Y., Konno, T., and Tada, K. (1980) Int. J. Cancer 26,171-176)。
リポタンパク質リパーゼ及び肝性リパーゼは、両方とも活性化補助因子タンパク質:リポタンパク質リパーゼについてのアポリポタンパクCII及び膵性リパーゼのためのコリパーゼと共同して機能することが公知である
ヒトの膵性リパーゼ、肝性リパーゼ及びリポタンパク質リパーゼをコードしている遺伝子の配列が報告されている(それぞれ、ジェンバンク受託番号#M93285、#J03540及び#M15856)。ヒト肝性リパーゼ及び膵性リパーゼのメッセンジャーRNAの長さは、それぞれ約1.7及び1.8kbである。3.6及び3.2kbの2つのmRNA転写物は、ヒトリポタンパク質リパーゼ遺伝子から作成する。これら2つの転写物は、代替のポリアデニル化シグナルを利用し、翻訳効率が異なる(Ranganathan, G., Ong, J.M., Yukht, A., Saghizadeh, M., Simsolo, R.B., Pauer, A., and Kern, P.A. (1995) J. Biol. Chem. 270, 7149-7155)。
【0004】
C) 生理学的過程
脂質の代謝は、脂質、アポタンパク質、リポタンパク質及び酵素の相互作用と関連する。
肝性リパーゼ及びリポタンパク質リパーゼは、リポタンパク質及びリン脂質の結合、取りこみ、異化及び再構築を媒介する多機能性タンパク質である。リポタンパク質リパーゼ及び肝性リパーゼは、それぞれ末梢組織及び肝臓の内皮細胞の管腔表面に結合している間、機能する。両方の酵素は逆方向のコレステロール輸送に関与する。それは、体内からの排泄のため又は再利用のための末梢組織から肝臓へのコレステロールの移動である。肝性リパーゼ及びリポタンパク質リパーゼの両方の遺伝子の欠陥は、リポタンパク質代謝の家族性障害の原因であることが公知である。リポタンパク質代謝の欠陥は、高コレステロール血症、高脂血症及びアテローム性動脈硬化症を含む重篤な代謝障害を引き起こす。
アテローム性動脈硬化症は、血管壁、特に大きい動脈(大動脈、冠状動脈、頸動脈)における脂質及びその他の血液血液誘導体の沈澱物(脂質又はフィブロリピド(fibrolipid)プラーク)により組織学用語として定義される、複雑な、多遺伝子性の病気である。これらのプラーク(これらは多かれ少なかれアテローム性動脈硬化過程の進行の程度に従って石灰化されている)は、障害に結びつくか、又は本質的にコレステロールエステルからなる脂肪沈澱物の血管における蓄積と関連する。これらのプラークは、血管壁の肥厚、平滑筋の肥大、泡沫細胞(補充されたマクロファージによるコレステロールの制御できない取りこみにより生じる脂質を大量に有する(lipid-laden)細胞)の出現及び繊維組織の蓄積を伴う。アテローム性プラークは壁から顕著に突出し、(最も影響を受けている患者において起こる)アテローム、血栓症又は塞栓症による血管閉塞の原因となる狭窄特性(stenosing character)を与える。これらの障害は、重篤な心臓血管の病理、例えば梗塞形成、突然死、心不全及び脳卒中を誘導することができる。
アテローム性動脈硬化症のような血管病理におけるトリアシルグリセロールリパーゼの役割については、熱心な研究領域であった(Olivecrona, G., and Olivecrona, T. (1995) Curr. Opin. Lipid. 6,291-305においてレビュー)。一般に、トリアシルグリセロールの作用はアテローム生成性ではないと考えられている。なぜなら、この酵素は血清中のトリアシルグリセロールレベルを低下させ、HDL形成を促進するからである。ヒトのリポタンパク質リパーゼ又は肝性リパーゼを発現しているトランスジェニック動物は、血漿トリグリセリドレベルを減少させ、高密度リポタンパク質(HDL)のレベルを増加させた(Shimada, M., Shimano, H., Gotoda, T., Yamamoto, K., Kawamura, M., Inaba, T., Yazaki, t., and Yamada, N. (1993) J. Biol. Chem. 268, 17924-17929; Liu, M.-S., Jirik, F. R., LeBoeuf, R. C., Henderson, H., Castellani, L.W., Lusis, A. J., ma, Y., Forsythe, I.J., Zhang, H., Kirk, E., Brunzell, J.D., and Hayden, M.R. (1994) J. Biol. Chem. 269, 11417-11424)。リポタンパク質リパーゼ活性の減少されたレベルを生じる遺伝子欠陥を有するヒトは、高トリグリセリド血症を有するが、環状動脈性心疾患の増加したリスクは有しないことが見出された。これは、内皮下スペースに蓄積する中間の大きさのアテローム生成性リポタンパク質の生成の不足によるものであると報告されている(Zilversmit, D.B. (1973) Circ. Res. 33,633-638)。
しかしながら、アテローム性動脈硬化の局在化された領域においては、リパーゼ活性の増加したレベルがアテローム形成過程を促進すると仮定されている(Zilversmit, D.B. (1995) Clin. Chem. 41,153-158; Zambon, A., Torres, A., Bijvoet, S., Gagne, C., Moojani, S., Lupien, P.J., Hayden M.R., and Brunzell, J.D. (1993) Lancet 341, 1119-1121)。これは、リパーゼによって媒介される血管組織によるポタンパク質の結合及び取りこみの増加によるものであろう(Eisenberg, S., Sehayek, E., Olivecrona, T. Vlodavsky, I. (1992) J. Clin. Invest. 90,2013-2021; Tabas, I., Li, I., Brocia R.W., Xu, S.W., Swenson T.L. Williams, K.J. (1993) J.Biol. Chem. 268,20419-20432; Nordestgaard, B.G., and Nielsen, A.G. (1994) Curr. Opin. Lipid. 5,252-257; Williams, K.J., and Tabas, I. (1995) Art. Thromb. and Vasc. Biol. 15,551-561)。加えて、リパーゼ活性の高い局所的レベルは、細胞障害レベルの脂肪酸及びアテローム性障害の前駆体において生じるリソホスファチジルコリンを生成するだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
脂質ホメオスタシスにおけるリパーゼ活性の役割に関しての発展した理解にもかかわらず、脂質代謝を制御するタンパク質をコードする追加の遺伝子を識別する技術は当該技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
本発明は、リパーゼ様遺伝子(LLG)、発現したポリペプチド産物及び組成物及びそれらの使用方法に関する。LLGポリペプチドはヘパリンと結合し、ヒトのリポタンパク質リパーゼ及び肝性リパーゼとホモロジーを有し、トリアシルグリセロールリパーゼファミリーの39kD触媒ドメインを含んでいる。更なる実施態様において、ポリペプチドはホスホリパーゼA活性を有する。
本発明は、配列番号10の配列を含む単離したポリペプチドを提供する。
更に本発明は、配列番号8の配列を含み、10% SDS-PAGEゲル中で約55kD又は68kDのみかけの分子量を有する単離したポリペプチドを提供する。
更に本発明は、配列番号6の配列を含み、10% SDS-PAGEゲル中で約40kDのみかけの分子量を有する単離したポリペプチドを提供する。
更に本発明は、LLGポリペプチドの抗原性断片を提供する。
本発明の別の態様は、前述の配列を有するポリペプチドをコードしている単離した核酸である。
本発明の別の態様は、調節領域(例えばプロモーター)に、操作可能な状態で結合した前記ポリペプチドをコードしている前記の核酸を含むベクターである。
本発明の別の態様は、前記ベクターを含む組換え細胞である。
本発明の別の態様は、前記ポリペプチドの発現を許容する条件下で、前記ポリペプチドをコードしている核酸を含んでいる組換え細胞を培養する工程を含むことを特徴とするポリペプチド製造方法である。
本発明の別の態様は、本発明のポリペプチドの生物学的活性に特異的に結合及び/又は中和することができる抗体である。実際には、本発明のポリペプチドの更なる特徴は、それが本発明の抗体、すなわちLLGポリペプチドに特異的な抗体に特異的に結合するということである。
本発明の別の態様は、ポリペプチド、核酸、ベクター、アンチセンス核酸又は本発明の抗体及び薬学的に許容し得る担体を含む組成物である。
本発明の別の態様は、本発明のポリペプチドにより示される酵素活性のアゴニスト又はアンタゴニストをスクリーニングする方法であって、可能性のあるアゴニスト又はアンタゴニストと、前記ポリペプチド及びその基質とを接触させる工程、及び、前記可能性のあるアゴニスト又はアンタゴニストの活性増強又は活性阻害能力を測定する工程を含むことを特徴とする方法である。
本発明の別の態様は、ホスファチジルコリンエステルと本発明のポリペプチドとを接触させる工程を含むことを特徴とする、ホスファチジルコリンエステルの酵素的加水分解方法である。
本発明の別の態様は、望ましくない脂質プロフィールを有するヒト又はその他の動物の血清脂質プロフィールを改善するための治療方法であって、本発明の組成物有効量を前記ヒト又はその他の動物に投与する工程を含むことを特徴とする方法である。。
本発明の別の態様は、ヒト又はその他の動物のアテローム性動脈硬化症の治療又は予防方法であって、本発明の組成物有効量を前記ヒト又はその他の動物に投与する工程を含むことを特徴とする方法である。
【0007】
より詳細には、本発明は以下に関するものである。
1.リパーゼ様遺伝子によりコードされる単離したポリペプチドであって、該ポリペプチドが、
(a)ヘパリンに結合し、
(b)ヒトリポタンパク質リパーゼ及び肝性リパーゼと相同性を有し、及び、
(c)トリアシルグリセロールリパーゼファミリーの39kD触媒ドメインを含んでいることを特徴とするポリペプチド。
2.トリアシルグリセロールリパーゼファミリーの39kD触媒ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を有する、前記1記載の単離したポリペプチド。
3.ポリペプチドが配列番号8のアミノ酸配列及び10% SDS-PAGEゲル中における約55kDのみかけの分子量を有する、前記1記載の単離したポリペプチド。
4.ポリペプチドが配列番号8のアミノ酸配列及び10% SDS-PAGEゲル中における約68kDのみかけの分子量を有する、前記1記載の単離したポリペプチド。
5.ポリペプチドがホスホリパーゼA活性を有する、前記1〜4のいずれかに記載の単離したポリペプチド。
6.ポリペプチドが配列番号6のアミノ酸配列及び10% SDS-PAGEゲル中における約40kDのみかけの分子量を有する、前記1記載の単離したポリペプチド。
7.ポリペプチドがヒト起源である、前記1〜6のいずれかに記載の単離したポリペプチド。
8.前記1〜7のいずれかに記載のポリペプチド及び生物学的に適合する溶液を含む組成物。
9.前記1〜7のいずれかに記載のポリペプチド及び薬学的に許容しうる担体含む医薬組成物。
10.前記1〜7のいずれかに記載の単離したポリペプチドの抗原性断片。
11.前記1〜7のいずれかに記載のポリペプチドをコードしている単離した核酸。
12.cDNAである前記11に記載の単離した核酸。
13.ヌクレオチド配列が配列番号5、7及び9からなる群より選ばれる前記12に記載の単離した核酸。
14.配列番号7のヌクレオチド252〜1754を含む、前記13に記載の単離した核酸。
15.配列番号3、5及び7からなる群より選ばれる配列を有する核酸と高いストリンジェンシーでハイブリダイズする単離した核酸。
16.20のヌクレオチドを含む、前記15に記載の単離した核酸。
17.アンチセンス核酸である、前記15に記載の単離した核酸。
18.アンチセンス核酸配列が操作可能な状態で遺伝子発現調節領域に結合している、前記17に記載の単離した核酸。
19.配列番号3のヌクレオチド44〜79及び配列番号5のヌクレオチド1036〜1065からなる群より選ばれる標的と高いストリンジェンシーでハイブリダイズする、前記15に記載の単離した核酸。
20.前記17に記載の核酸及び生物学的に適合する溶液を含む組成物。
21.前記17に記載の核酸及び薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物。
22.操作可能な状態で調節領域に結合している前記11〜14のいずれかに記載の単離した核酸を含むベクター。
23.調節領域が異種源に由来する、前記22に記載のベクター。
24.ウィルスベクターである、前記22又は23に記載のベクター。
25.アデノウイルスベクターである、前記24に記載のベクター。
26.前記22〜25のいずれかに記載のベクターを含む組換え細胞。
27.細胞が真核細胞である、前記26に記載の組換え細胞。
28.細胞がCOS-7細胞である、前記27に記載の組換え細胞。
29.前記22〜25のいずれかに記載のベクター及び生物学的に適合する溶液を含む組成物。
30.前記22〜25のいずれかに記載のベクター及び薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物。
31.前記26〜28のいずれかに記載の組換え細胞を、ポリペプチドの発現を許容する条件下で培養する工程を含む、ポリペプチド製造方法。
32.前記31に記載の方法にしたがい製造されるポリペプチド。
33.前記1〜7又は32のいずれかに記載のポリペプチドに特異的に結合することができる抗体。
34.前記5に記載のポリペプチドに特異的に結合し、該ポリペプチドのホスホリパーゼ活性を中和することができる抗体。
35.モノクローナル抗体である前記33又は34に記載の抗体。
36.ポリクローナル抗体である前記33又は34に記載の抗体。
37.前記35に記載の抗体を産生するハイブリドーマ細胞。
38.前記33〜36のいずれかに記載の抗体及び生物学的に適合する溶液を含む組成物。
39.前記33〜36のいずれかに記載の抗体及び薬学的許容しうる担体を含む医薬組成物。
40.LLG活性のアゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング方法であって、
(a) 可能性のあるアゴニスト又はアンタゴニストと、LLG及びLLGの基質とを接触させる工程、及び、
(b) 可能性のあるアゴニスト又はアンタゴニストのLLG活性を増強又は阻害する能力を測定する工程、
を含み、LLGが前記1記載のポリペプチドであることを特徴とする方法。
41.ホスファチジルコリンエステルと前記1〜5のいずれかに記載のポリペプチドとを接触させる工程を含む、ホスファチジルコリンエステルの酵素的加水分解方法。
42.前記9又は21に記載の医薬組成物の有効量を投与する工程を含む、望ましくない脂質プロフィールを有するヒト又は他の動物の血清脂質プロフィールを改善する方法。
43.前記39に記載の組成物の有効量を投与する工程を含む,望ましくない脂質プロフィールを有するヒト又は他の動物の血清脂質プロフィールを改善する方法。
44.ポリペプチドがウサギ起源である、前記1に記載の単離したポリペプチド。
45.配列番号12のアミノ酸配列を有する、前記45に記載の単離したポリペプチド。
46.前記45に記載のポリペプチドをコードする単離した核酸。
47.配列番号11の核酸配列を有する、前記47に記載の核酸。
48.前記1〜5のいずれかに記載のポリペプチドを発現するトランスジェニックマウス。
【0008】
本発明の他の態様及び利点は、更に図面において、及び、以下の好ましい実施例の詳細な説明において記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、例示したPCR増幅において使用したプライマーの配列(配列番号17〜31)を示している。
【図2】図2は、リパーゼ様遺伝子のcDNAを含んでいるディファレンシャルディスプレイRT-PCR産物の核酸配列(配列番号1)及び推定アミノ酸配列(配列番号2)を示している。増幅に使用した2つのプライマーに対応する配列に下線を引いた。終止コドン及びポリアデニル化シグナルを四角で囲んだ。GAATTCモチーフ及びフランキング配列は、産物をクローニングするpCRIIベクターに由来する。
【図3】図3は、LLGのcDNAの5'RACE伸長物の核酸配列(配列番号3)及び推定アミノ酸配列(配列番号4)を示している。増幅に使用した2つのプライマーに対応する配列に下線を引いた。GAATTCモチーフ及びフランキング配列は、産物をクローニングするpCRIIベクターに由来する。
【図4】図4は、リパーゼ様遺伝子LLGXLの完全読み枠を含んでいるcDNAの配列(配列番号7)を示している。開始コドン(ATG)及び終止コドン(TGA)を四角で囲んだ。発現ベクターの構築に使用したDraI部位(TTTAAA)及びSrfIサイト(GCCCGGGC)に下線を引いた。
【図5】図5は、LLGXLタンパク質の推定アミノ酸配列を示す(配列番号8)。予測されるシグナル配列に下線を引いた。
【図6A】図6Aは、トリアシルグリセロールリパーゼ遺伝子ファミリーメンバーのタンパク質配列の整列化を示す(配列番号13〜15)。陰にした残基はLLGXLタンパク質と同一である(配列番号8)。CLUSTALプログラムを使用して隙間を導入し、整列値を最大にした。
【図6B】図6Bは、トリアシルグリセロールリパーゼ遺伝子ファミリーメンバーのタンパク質配列の整列化を示す(配列番号13〜15)。陰にした残基はLLGXLタンパク質と同一である(配列番号8)。CLUSTALプログラムを使用して隙間を導入し、整列値を最大にした。
【図6C】図6Cは、トリアシルグリセロールリパーゼ遺伝子ファミリーメンバーのタンパク質配列の整列化を示す(配列番号13〜15)。陰にした残基はLLGXLタンパク質と同一である(配列番号8)。CLUSTALプログラムを使用して隙間を導入し、整列値を最大にした。
【図6D】図6Dは、トリアシルグリセロールリパーゼ遺伝子ファミリーメンバーのタンパク質配列の整列化を示す(配列番号13〜15)。陰にした残基はLLGXLタンパク質と同一である(配列番号8)。CLUSTALプログラムを使用して隙間を導入し、整列値を最大にした。
【図7】図7は、THP-1細胞のLLG mRNAのノーザン分析を示す。細胞を、PMA又はPMA及び酸化LDL(PMA + oxLDL)のいずれかで刺激した。左の数字は、RNA標準(kb)の位置を表す。
【図8】図8は、LLG、リポタンパク質リパーゼ(LPL)及びヒトのβアクチンcDNA用いた多数のヒト組織由来のmRNAのノーザン分析を示す。標準の4.4のkbRNAの位置は、LLG及びLPLパネルの左に示される。
【図9】図9は、培養したヒトの内皮細胞及びTHP-1細胞のLLG及びLPL発現のノーザン分析を示す。細胞は、未刺激(PMAに暴露せず)又はPMAで刺激した。
【図10】図10が、免疫化ペプチド配列(配列番号16)及びLLGXLタンパク質配列に対する関係を示す。ペプチドは陰をつけた四角内に示される。末端システインをキャリヤータンパク質に導入し、ペプチドのカップリングを援助した。
【図11】図11は、培養内皮細胞由来の上清からヘパリン−セファロース濃縮したタンパク質のウエスタン分析を示す。ブロットを抗LLG抗血清でプローブした。左の番号は、タンパク質標準の位置(kDa)を表す。
【図12】図12は、LLGN又はLLGXLのcDNAを含む又はDNAを含まない(Mock)発現ベクターで一時的にトランスフェクトしたCOS-7細胞由来の上清におけるヘパリン−セファロース結合タンパク質のウエスタン分析を示す。PMA刺激化内皮細胞(HCAEC + PMA)由来のタンパク質を、サイズ参照のために含めた。左の数字は、タンパク質標準との比較によって決定した主な免疫活性タンパク質のみかけの分子量を表す。
【図13】図13は、ウサギLLG PCR産物の配列(RLLG.SEQ、配列番号12)及びウサギLLG PCR産物とヒトcDNA(LLG7742A)における対応の配列との間の配列整列化を示す。同一のヌクレオチドには陰をつけた。
【図14】図14は、ホスファチジルコリン基質を使用したヒトのLPL、LLGN及びLLGXLのホスホリパーゼA活性を示す。
【図15】図15は、トリオレイン基質を使用したヒトのLPL、LLGN及びLLGXLのトリアシルグリセリドリパーゼ活性を示す。
【図16A】図16Aは、異なる種由来のゲノムDNAに対するLLG及びLPLプローブのハイブリダイゼーションを示す。
【図16B】図16Bは、異なる種由来のゲノムDNAに対するLLG及びLPLプローブのハイブリダイゼーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、リパーゼ様遺伝子(LLG)及びその発現したポリペプチド生成物の発見に関する。トリアシルグリセロールリパーゼファミリーのメンバーであるポリペプチド生成物は、トリアシルグリセロールリパーゼファミリーの約39kDの触媒ドメインを含み、例えば配列番号10の配列を有する。本発明の一態様は、354のアミノ酸を有するLLGNポリペプチドである。本発明の第2の態様はLLGXLポリペプチドである。これは、500のアミノ酸を有し、ヒトのリポタンパク質リパーゼに対し37%の類似性及びヒトの肝性リパーゼに対し43%の類似性を示す。LLGXLポリペプチドは、ホスホリパーゼA活性を有する。
本発明者等は、ホルボールエステル及び酸化LDLに暴露したTHP-1細胞のmRNAから部分的なcDNAを単離した。この部分的なcDNAの5'RACE伸長に続いて、より小さい代替のスプライスcDNAを単離した。第二のより大きいcDNAを、ヒトの胎盤のcDNAライブラリーから単離した。
ノーザン分析は、LLG遺伝子が内皮細胞で発現することを証明した。cDNAの読み枠から予測されるペプチドに対して生じた抗血清は、培養内皮細胞由来の培養上清内のLLGN及びLLGXLについての予測されたサイズを有するタンパク質を検出した。ホルボールエステルを用いた内皮細胞の処理により、mRNA及びタンパク質レベルでのLLGの生成増加が起こった。これは、内皮細胞により発現することが見出されたトリアシルグリセロールリパーゼファミリーの最初のメンバーである。
【0011】
A) 定義
以下の定義される用語が、本明細書の全体にわたって使われ、本発明の範囲及び実施を理解する際に役に立つだろう。
「ポリペプチド」は、共有結合したアミノ酸残基からなる高分子化合物である。アミノ酸は、以下の一般的な構造を有する。
H
|
R-C-COOH
|
NH2
アミノ酸は、側鎖Rを基礎として7つのグループに分類される。(1)脂肪族化合物の側鎖、(2)ヒドロキシル(OH)基を含んでいる側鎖、(3)硫黄原子を含んでいる側鎖、(4)酸性基又はアミド基を含んでいる側鎖、(5)塩基性基を含んでいる側鎖、(6)芳香環を含んでいる側鎖及び(7)プロリン(側鎖がアミノ基に融合しているイミノ酸)。
「タンパク質」は、生細胞で構造的又は機能的役割を演ずるポリペプチドである。
本発明のポリペプチド及びタンパク質は、グリコシル化されていてもよく又は非グリコシル化されていてもよい。
「相同性」は、共通の進化の起源を反映している配列の類似性を意味する。
ポリペプチド又はタンパク質のアミノ酸の相当数が(1)同一又は(2)化学的に類似したR側鎖を有する場合、前記ポリペプチド又はタンパク質は相同性又は類似性を有していると言われる。核酸のヌクレオチドの相当数が同一である場合、前期各さんは相同性を有するといわれる。
「単離したポリペプチド」又は「単離したタンパク質」は、天然状態では標準的に関連している化合物(例えば他のタンパク質又はポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質)を実質的に含まないポリペプチド又はタンパク質である。「単離した」は、他の化合物を有するか、生物学的活性に干渉しない不純物(例えば、不完全な精製、安定化剤の追加又は薬学的に許容しうる調製物への配合により存在してもよい)が存在する人工又は合成の混合物を除外することを意味しない。
ある分子が、免疫系の抗原認識分子、例えば免疫グロブリン(抗体)又はT細胞抗原受容体と特異的に相互作用することができるときに、その分子は「抗原性」である。抗原性ポリペプチドは、少なくとも約5、好ましくは少なくとも約10のアミノ酸を含む。ある分子の抗原性の部分は、抗体又はT細胞受容体認識について免疫優性である部分であるか、又は、免疫化のためのキャリヤー分子への抗原性部分の結合により前記分子に対する抗体の生成に使用する部分であることができる。抗原性分子自身が免疫原性である(キャリヤーなしに免疫反応を引き出すことができる)必要はない。
「LLGNポリペプチド」及び「LLGNタンパク質」は、配列番号6の配列を含むポリペプチドを意味する。前記ポリペプチドはグリコシル化されているか又は非グリコシル化されている。
「LLGXLポリペプチド」及び「LLGXLタンパク質」は、配列番号8の配列を含むポリペプチドを意味する。前記ポリペプチドはグリコシル化されているか又は非グリコシル化されている。
「LLGポリペプチド」は、通常、LLGNポリペプチド及びLLGXLポリペプチドの両者について記載している。
本発明のLLGポリペプチド又はタンパク質は、すべての類似体、断片、誘導体及び突然変異体(mutant)を含み、これらはLLGポリペプチドに由来し、かつ、LLGポリペプチドの少なくとも一つの生物学的特性を保持している。LLGポリペプチドの異なる変異体(variant)が天然に存在する。これらの変異体は、タンパク質をコードする構造遺伝子のヌクレオチド配列の違いによって特徴づけられる対立遺伝子変異(allelic variation)であるか、又は、差動的スプライシング若しくは翻訳後修飾を含んでいるだろう。当業者は、単一又は多数のアミノ酸置換、削除、付加又は置換を有する変異体を生産することができる。これらの変異体には、特に、(a)1以上のアミノ酸残基が保存的であるか非保存的なアミノ酸で置換されている変異体、(b)1以上のアミノ酸がLLGポリペプチドに付加されている変異体、(c)1以上のアミノ酸が置換基を含んでいる変異体及び(d)LLGポリペプチドが、血清アルブミンのような他のポリペプチドと融合している変異体が含まれるだろう。本発明の他のLLGポリペプチドには、1つの種由来のアミノ酸残基が他の種の(保存的又は非保存的位置の)対応する残基で置換されている変異体が含まれる。更に別の実施例では、非保存的位置のアミノ酸残基が、保存的であるか非保存的な残基で置換されている。遺伝子的(抑制、削除、突然変異等)、化学的及び酵素的技術を含むこれらの変異体を得るための技術は、当業者にとって公知である。
代替のmRNAスプライシング形態及び代替の翻訳後修飾形態を含むこの種の対立遺伝子変異体、類似体、断片、誘導体、突然変異体及び修飾体は、LLGポリペプチドの生物学的特性のいずれかを保持するLLGポリペプチドの誘導体を生じる。それらは本発明の範囲内で含まれる。
【0012】
「核酸」は、ヌクレオチドと呼ばれるサブユニットが共有結合したものからなる高分子化合物である。核酸にはポリリボ核酸(RNA)及びポリデオキシリボ核酸DNA)が含まれる。両者とも1本鎖又は2本鎖であってもよい。DNAには、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA及び半合成DNAが含まれる。タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、センス配列と呼ばれる。
「アンチセンス核酸」は、センス配列に相補的であるヌクレオチド配列である。アンチセンス核酸を使用して、前記センス鎖によってコードされるポリペプチドの発現をダウンレギュレートするか又はブロックすることができる。
「単離した核酸」とは、天然状態では標準的に関連している化合物を実質的に含まない核酸を意味する。「単離した」は、他の化合物を有するか、生物学的活性に干渉しない不純物(例えば、不完全な精製、安定化剤の追加又は薬学的に許容しうる調製物への配合により存在してもよい)が存在する人工又は合成の混合物を除外することを意味しない。
フレーズ「高いストリンジェンシー(stringency)でハイブリダイズする核酸」は、高ストリンジェント条件下での洗浄に耐えることが可能なハイブリダイズした核酸を意味する。DNA-DNAハイブリッドについての高ストリンジェント洗浄条件の例は、0.1×SSC、0.5%SDS、68°Cである。その他の高ストリンジェント洗浄条件は、当業者にとって公知である。
「調節領域」は、核酸の発現を制御する核酸配列を意味する。調節領域は、天然で特定の核酸(相同性領域)を発現することに対して責任がある配列を含んでいるか、又は、(異なるタンパク質又は合成のタンパク質さえ発現することに対して責任を有する)異なる起源の配列を含んでいるだろう。特に配列は、真核性若しくはウィルス性の配列、又は、特異的又は非特異的な態様かつ誘導性又は非誘導性の態様で遺伝子の転写を刺激又は抑制する誘導性の配列であることができる。調節領域には、複製開始点、RNAスプライシング部位、エンハンサー、転写終結配列、ポリペプチドを標的細胞の分泌経路へ向けるシグナルの配列及びプロモーターが含まれる。
「異種源」由来の調節領域は、発現した核酸とは天然には関連しない調節領域である。異なる種由来の調節領域、異なる遺伝子由来の調節領域、ハイブリッド調節配列及び天然には生じないが当業者により設計される調節配列が異種調節領域の中に含まれる。
「ベクター」は、本発明の核酸を宿主へ転移させるためのあらゆる手段である。
「ベクター」という用語には、インビトロ、エキソビボ又はインビボで核酸を原核又は真核細胞に導入するためのウィルス性の及び非ウイルス性の手段の両者を含んでいる。
非ウィルス性ベクターには、プラスミド、リポソーム、帯電脂質(サイトフェクチン(cytofectin))、DNA-タンパク質複合体及び生体高分子が含まれる。ウィルス性ベクターには、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、水痘、バキュロウイルス、種痘疹、単純ヘルペス、EBウイルス及びアデノウイルスベクターが含まれる。本発明の核酸に加えて、ベクターは更に、一以上の調節領域及び/又は核酸転移結果(組織への転移、発現期間)の選択、測定及びモニターに有用な選択マーカーを含んでいてもよい。
「組換え細胞」は、天然では細胞に存在しない核酸を含む細胞である。「組換え細胞」には、高等真核細胞、例えば哺乳類細胞、下等真核細胞例えば酵母細胞、原核細胞及び古細菌細胞が含まれる。
「薬学的に許容しうる担体」には、投与方法に対して薬学的に許容され、無菌であり、適切な分散剤、湿潤剤及び懸濁剤の使用により製剤化した水性又は油性の懸濁液である、希釈剤及び賦形剤が含まれる。特定の薬学的に許容しうる担体及び担体に対する活性化合物の割合は、、組成物の溶解性及び化学特性、特定の投与態様及び標準的な薬学的慣習によって決定する。
「リパーゼ」は、脂質基質を酵素的に切断することができるタンパク質である。
「ホスホリパーゼ」は、リン脂質基質を酵素的に切断することができるタンパク質である。
「トリアシルグリセロールリパーゼ」は、トリアシルグリセリド基質を酵素的に切断することができるタンパク質である。
「ホスファチジルコリン」は、以下の構造を有するグリセロールリン脂質である。
【0013】
【化1】

(式中、R及びR'は、脂肪酸の炭化水素側鎖である。)
ホスファチジルコリンは、また、レシチンとして公知である。
「脂質プロフィール」は、ヒト又は他の動物の体内のコレステロール、トリグリセリド、リポタンパク質コレステロール及びその他の脂質の濃度の一組を意味する。
「望ましくない脂質プロフィール」とは、コレステロール、トリグリセリド又はリポタンパク質コレステロールの濃度が年齢及び性別に適合したレファレンスレンジの外側にある条件である。一般に、全コレステロール濃度は>200mg/dl、血漿トリグリセリド濃度は>200mg/dl、LDLコレステロール濃度は>130mg/dl、HDLコレステロール濃度は>39mg/dl、HDLコレステロールに対する全コレステロールの比率は4.0であると、望ましくない脂質プロフィールであるとみなす。望ましくない脂質プロフィールは、高脂血症、糖尿病性高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症及びその他の形式の冠状動脈疾患を含む種々の病的状態と関連する。
【0014】
B) ポリペプチド
本発明は、トリアシルグリセロールリパーゼファミリーのメンバーであり、かつ、トリアシルグリセロールリパーゼファミリーの39kDの触媒ドメイン、例えば配列番号10の配列を有するドメインを含むポリペプチドを提供する。本発明の一態様は、配列番号6の配列を含み、10% SDS-PAGEゲル上で約40kDのみかけの分子量を有する単離したLLGポリペプチドである。本発明の他の実施態様は、配列番号8の配列を含み、10% SDS-PAGEゲル上で約55kD又は68kDのみかけの分子量を有する単離したLLGポリペプチドである。
本発明のポリペプチド及びタンパク質は、組換えポリペプチド、天然のポリペプチド又は合成のポリペプチドであってもよく、ヒト、ウサギ又は他の動物の起源のものであってもよい。ポリペプチドは、再現性のある分子量単独及び/又は分子量、クロマトグラフ応答及び溶出プロフィール、アミノ酸組成及び配列並びに生物学的活性の複合セットによって特徴づけられる。
本発明のポリペプチドは、当業者にとって公知の精製手順を使用することによる天然のソース(例えば胎盤抽出物、ヒトの血漿又はマクロファージ又は内皮細胞等の培養細胞からの培養上清)から分離するだろう。
代替として、本発明のポリペプチドを、組換えDNA技術を利用して調製されるだろう。この技術は、適切なベクターにポリペプチドをコードしている核酸を結合する工程、得られたベクターを適切な縮主細胞へ挿入する工程、得られた宿主細胞により生産されたポリペプチドを回収する工程、及び回収したポリペプチドを精製する工程を含んでいる。
【0015】
C) 核酸
本発明は、LLGポリペプチドをコードする単離した核酸を提供する。
更に本発明は、LLGポリペプチドの発現をインビトロ、エキソビボ又はインビホでダウンレギュレート又はブロックすることに使用可能なアンチセンス核酸を提供する。
組み換えDNA技術の技術は、当業者にとって公知である。組換え分子のクローニング及び発現のための一般的な方法は、Maniatis (Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratories, 1982), and in Ausubel (Current Protocols in Molecular Biology, Wiley and Sons, 1987)に記載されている。この文献は参照することにより本明細書に組み込まれる。
本発明の核酸は、1以上の調節領域に結合していてもよい。適切な調節領域の選択は、当業者のレベル内の、決まりきった事柄である。調節領域には、プロモーターが含まれていてもよく、エンハンサー、サプレッサー等が含まれていてもよい。
本発明で使用するプロモーターには、構成性プロモーター及び調節性(誘導性)プロモーターの両者が含まれる。プロモーターは、宿主に依存して原核性又は真核性でもよい。原核性(バクテリオファージを含む)プロモーターの中で、本発明の実施に役立つプロモーターは、lacI、lacZ、T3、T7、ラムダPr、Pl及びtrpプロモーターである。真核性(ウイルス性を含む)プロモーターの中で、本発明の実施に役立つプロモーターは、遍在するプロモーター(例えばHPRT、ビメンチン、アクチン、チューブリン)、中間フィラメントプロモーター(例えばデスミン、神経フィラメント、ケラチン、GFAP)、治療学的遺伝子プロモーター(例えばMDR型、CFTR、第VIII因子)、組織特異的プロモーター(例えば平滑筋細胞のアクチンプロモーター又は内皮細胞において活性なFlt及びFlkプロモーター)、細胞分裂において優先的に活性化されるプロモーター、刺激に応答するプロモーター(例えばステロイドホルモン受容体、レチノイン酸受容体)、テトラサイクリン-制御性転写モジュレーター、サイトメガロウイルスのimmediate-early、レトロウイルスのLTR、メタロチオネイン、SV-40、E1a及びMLPプロモーターである。テトラサイクリン-制御性ウ転写モジュレーター及びCMVプロモーターは、WO 96/01313、US 5,168,062及び5,385,839に記載されている。これらの文献の内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
好ましくは、遺伝子治療で使われるウイルス性ベクターは複製ができないもの、すなわち、標的細胞内で自律複製することができないものである。一般に本発明の範囲内で使用する複製欠陥ウイルス性ベクターのゲノムは、感染細胞におけるウイルスの複製に必須である少なくとも1つの領域を欠いている。これらの領域は、当業者にとって公知のすべての技術によって、(全体的にあるいは部分的に)除去されているか又は不機能性にされていることができる。これらの技術には、全除去、置換(その他の配列、特に挿入された核酸による)、部分的な削除又は1以上の塩基の(複製に)必須の領域への付加が含まれる。この種の技術は、遺伝子操作技術の使用又は突然変異誘発物質を用いた処理により、インビトロ(単離したDNAについて)又は原位置で行われるだろう。
好ましくは、複製ができないウイルスは、ウィルス粒子のカプシド形成に必須のゲノム配列を保持する。
【0016】
レトロウイルスは、分裂細胞に感染する組み込み型ウイルスである。レトロウイルスゲノムは、2つのLTR、カプシド形成配列及び3つのコーディング領域(gag、pol及びenv)を含む。組換えレトロウイルスベクターの構築は、特に、EP 453242、EP178220、Bernsteinら, Genet. Eng. 7 (1985) 235; McCormick, BioTechnology 3 (1985) 689ほかに記載されている。組換えレトロウイルスベクターにおいて、gag、pol及びenv遺伝子は、一般に、全体的にあるいは部分的に削除され、興味の対象となる異種核酸配列で置換されている。これらのベクターは、異なる種類のレトロウイルス、例えばMoMuLV(「マウスモロニー白血病ウイルス」)、MSV(「マウスモロニー肉腫ウイルス」)、HaSV(「ハービー肉腫ウイルス」)、SNV(「脾臓壊死ウイルス」)、RSV(「ラウス肉腫ウイルス」)及びフレンドウイルスから構築することができる。
一般に本発明のLLGをコードする配列を含んでいる組換レトロウイルスを構築するために、LTR、カプシド形成配列及びコード配列を含むプラスミドを構築する。この構造物を使用して、パッケージング(packaging)細胞系をトランスフェクトする。この細胞系は、プラスミドに欠けているレトロウイルス機能をトランスで(in trans)で供給することができる。一般に、パッケージング細胞系は、gag、pol及びenv遺伝子を発現することが可能である。この種のパッケージング細胞系は、従来技術に記載されており、特に、細胞系PA317(US4861719)、PsiCRIP細胞系(WO90/02806)及びGP+envAm-12細胞系(WO89/07150)である。それに加えて、組換えレトロウイルスベクターは、gag遺伝子(Bender et al., J. Virol. 61 (1987) 1639)の一部を含むことができる大規模なカプシド形成配列だけでなく転写活性を抑制するためのLTR内の修飾を含むことができる。組換えレトロウイルスベクターは、当業者にとって公知の標準の技術により精製する。
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、比較的サイズが小さいDNAウイルスであり、安定かつ位置特異的な態様で、感染する細胞のゲノムへ組み込むことができる。
それらは、細胞の増殖、形態又は分化に対してあらゆる効果を誘導することなしに、広範囲の細胞に感染することができ、ヒトの病理には関連しないと思われる。AAVゲノムは、クローニングされ、配列決定され、特徴付けられている。それは約4700塩基を含み、各末端に約145塩基の逆方向末端繰り返し(ITR)領域を含む。この領域はウイルスの複製開始点として役立つ。ゲノムの残りの部分は、2つ必須領域に分けられる。これはカプシド形成機能を有する領域であり、ゲノムの左側部分はウイルス複製及びウイルス遺伝子の発現に関連するrep遺伝子を含んでいる。ゲノムの右側はウイルスのカプシドタンパク質をコードするcap遺伝を含んでいる。
インビトロ及びインビホでの遺伝子転移用のAAVs由来ベクターの使用は文献に記載されている(WO 91/18088; WO 93/09239; US 4,797,368, US 5,139,941, EP 488 528を参照のこと)。これらの刊行物は、rep及び/又はcap遺伝子が削除され、興味の対象となる遺伝子により置換した種々のAAV由来構築物及び前記興味の対象となる遺伝子をインビトロ(培養細胞へ)又はインビボ(生物に直接)で転移するための前記構築物の使用を記載している。本発明の複製ができない組換えAAVは、2つのAAV逆方向末端繰り返し(ITR)領域が隣接している興味の対象となる核酸配列を含むプラスミド及びAAVカプシド形成遺伝子(rep及びcap遺伝子)を有するプラスミドを、ヒトヘルパーウイルス(例えばアデノウイルス)を用いて、感染させる細胞を同時トランスフェクトすることにより生産することができる。生産したAAV組換え体を標準的な技術により精製する。したがって、本発明は、2つのAAV ITRが隣接するLLGポリペプチドをコードしている配列を含むAAV由来組換えウイルスに関する。更に本発明は、AAV由来の2つのITRが隣接するLLGポリペプチドをコードしている配列を含むプラスミドに関する。この種のプラスミドは、プラスミドを用いて、必要に応じてリポソームベクター(擬似ウイルス)に組み込んで、LLG配列の転移にそのまま使用することができる。
【0017】
好適な実施例においては、ベクターはアデノウイルスベクターである。
アデノウイルスは、種々の細胞型に能率的に本発明の核酸を送達するために修飾することができる真核性DNAウイルスである。
種々の血清型のアデノウイルスが存在する。本発明の範囲内では、これらの血清型の中で、2型又は5型ヒトアデノウイルス(Ad 2又はAd 5)又は動物起源のアデノウイルス(WO94/26914参照)の使用が好ましい。本発明の範囲内で使用可能な動物起源のアデノウイルスには、イヌ、ウシ、マウス(例:Mav1, Beard et al., Virology 75 (1990) 81)、ヒツジ、ブタ、トリ及びサル(例:SAV)起源のアデノウイルスが含まれる。好ましくは、動物起源のアデノウイルスは、イヌのアデノウイルス、より好ましくは、CAV2アデノウイルス(例えばManhattan 又はA26/61株 (ATCC VR-800))である。
好ましくは、本発明の複製欠陥アデノウイルスベクターは、ITR、カプシド形成配列及び興味の対象となる核酸を含んでいる。より好ましくは、少なくともアデノウイルスベクターのE1領域は機能しない。E1領域の削除は、好ましくはAd5アデノウイルスの配列のヌクレオチド455から3329にわたる。他の領域、特に、E3領域(WO95/02697)、E2領域(WO94/28938)、E4領域(WO94/28152、WO94/12649及びWO95/02697)又は後期遺伝子L1-L5のいずれかを修飾してもよい。欠陥レトロウイルスのベクターは、WO95/02697において開示される。
好ましい態様において、アデノウイルスベクターは、E1及びE4領域の削除を有する。他の好ましい態様において、アデノウイルスベクターは、E1領域の削除を有し、そこにE4領域及びLLGをコードしている配列が挿入される(FR94 13355を参照)。
本発明の複製欠陥組換えアデノウイルスは、当業者にとって公知のどんな技術によってでも生産することができる(Levrero et al., Gene 101 (1991) 195, EP 185 573; Graham, EMBO J. 3 (1984) 2917)。特に、それらはアデノウイルスと興味の対象となるDNA配列を含むプラスミドとの間の相同的組換えによって生産することができる。前記アデノウイルス及びプラスミドの適切な細胞株への同時トランスフェクションの後に相同的組換えを行う。使用される細胞株は、好ましくは(i)前記要素によってトランスフォーム可能であり、(ii)複製欠陥アデノウイルスのゲノムの一部を補完することができる配列を、好ましくは組換えのリスクを避けるため組み込まれた(integrated)形態で含んでいるだろう。使われることができる細胞系の例は、ヒトの胎児の腎臓細胞系293である(Graham et al., J. Gen. Virol. 36 (1977) 59)。それはゲノムに組み込まれたAd5アデノウイルスのゲノムの左の一部(12%)を含み、E1及びE4機能を補完することできる(WO94/26914及びWO95/02697)。当業者に周知の標準的分子生物学的技術を使用して組換えアデノウイルスを回収し、精製する。
アンチセンス核酸を使用する遺伝子発現のダウンレギュレーションは、翻訳又は転写レベルで達成することができる。本発明のアンチセンス核酸は、好ましくはLLGをコードする核酸又は対応するmRNAの全部又は一部と特異的にハイブリダイズすることができる核酸断片である。これらのアンチセンス核酸は合成オリゴヌクレオチドであることが可能であり、適宜修飾して安定性及び選択性を改善することができる。それらは、また、細胞内での発現によりLLG mRNAの全部又は一部に相補的なRNAを生産するDNA配列でありえる。アンチセンス核酸は、EP 140308に記載されるようにして、配列番号2、配列番号3、配列番号7及び配列番号11からなる群より選ばれる配列の全部又は一部を逆方向で発現させることにより生産することができる。LLGの発現をダウンレギュレートするか又はブロックすることができる限り、あらゆる長さのアンチセンス配列が本発明の実施に適している。好ましくは、アンチセンスの配列は、長さが少なくとも20ヌクレオチドである。アンチセンス核酸、アンチセンスRNAをコードするDNAの生産及び使用並びにオリゴ及び遺伝子アンチセンスの利用はWO92/15680に開示されている。この文献は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0018】
D) 抗体
本発明は、LLGポリペプチドに対する抗体を提供する。これらの抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であってもよい。本発明には、Fab断片及びFab発現ライブラリーの生成物だけでなく、キメラ、1本鎖、ヒト化抗体が含まれる。
実施例 4Aにて説明するように、ポリクローナル抗体をLLGポリペプチドの抗原性断片に対して生産するだろう。更に抗体は、完全LLGタンパク質又はポリペプチドに対して、又はタンパク質又はポリペプチドの断片、誘導体又はエピトープに対して生成してもよい。抗体は、当該技術分野において既知の技術及び手順を使用して、動物にタンパク質、ポリペプチド、断片、誘導体又はエピトープを投与することにより得られるだろう。
モノクローナル抗体を、Mishell, B. B., et al., Selected Methods In Cellular Immunology, (W.H. Freeman, ed.) San Francisco (1980)の方法を使用して生産するだろう。要約すると、本発明のポリペプチドを使用して、Balb/Cマウスの脾臓細胞を免疫する。免疫化脾臓細胞を、骨髄腫細胞と融合する。脾臓及び骨髄腫細胞特性を含む融合細胞を、HAT培地中で増殖させることにより単離する。この培地は両方の親細胞を死滅させるが、融合細胞のみは生存し増殖することを許容する。
本発明のモノクローナル抗体は、宿主が抗体に対して免疫反応を開始することを防ぐために「ヒト化」してもよい。「ヒト化抗体」は、相補性決定領域(CDR)及び/又は軽及び/又は重可変ドメイン骨格は非ヒト免疫グロブリンに由来するが、分子の残りの部分は1以上のヒト免疫グロブリンに由来する抗体である。更にヒト化抗体には、ドナー又はアクセプターの未修飾軽鎖又はキメラ軽鎖と結合したヒト化重鎖(逆も同様)により特徴付けられる抗体が含まれる。抗体のヒト化は、公知技術である方法により達成されるだろう(G.E. Mark and E.A. Padlan, “Chapter 4. Humanization of Monoclonal Antibodies”, The Handbook of Experimental Pharmacology Vol. 113, Springer-Verlag, New York, 1994)。トランスジェニックの動物を使用して、ヒト化抗体を発現させてもよい。
1本鎖抗体の生産についての公知技術を適合させて、本発明の免疫原性ポリペプチド及びタンパク質に対する1本鎖抗体を生産することができる。
抗LLG抗体は、LLGレベルの検出又は定量用のアッセイにおいて有用である。1つの態様において、これらのアッセイは、種々の病気状態におけるLLGの臨床診断及び評価並びに処理効果をモニターする方法を提供する。
【0019】
E) アゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング方法
本発明は、LLGXL活性のアゴニスト(エンハンサー又はタンパク質性補活性化因子(co-activator)を含む補活性化因子)又はアンタゴニスト(阻害剤)について小分子ライブラリー又は天然物源をスクリーニングする方法を提供する。可能性のあるアゴニスト又はアンタゴニストと、LLGXLタンパク質及びLLGXLの基質とを接触させ、潜在的アゴニスト又はアンタゴニストのLLGXL活性を増強するか又は阻害する能力を測定する。
本発明の方法で使われるLLGXLタンパク質は、哺乳類細胞(実施例 7に示す)、バキュロウイルス感染昆虫細胞、酵母及び細菌を含む種々の宿主細胞において組換えにより生産することができる。安定してトランスフェクトされたCHO細胞のLLG発現は、細胞のメトトレキセート増幅によって最適化することができる。更にLLGXLタンパク質は、ヒト血漿、胎盤抽出物又は培養内皮細胞、THP-1細胞若しくはマクロファージの培養上清等の天然源から精製することができる。
pH、イオン濃度、温度、基質濃度及び乳化条件を含むアッセイパラメータの最適化は、当業者により経験的に決定する。
基質の脂肪酸置換基は、不飽和の程度及び位置と同様に鎖の長さにおいても変化するだろう。基質は、いくつかの位置のいずれにおいても放射性同位元素を使って標識してもよい。例えばホスファチジルコリン等のリン脂質基質を、Sn-1又はSn-2脂肪酸位置において又はグリセロール、リン酸塩又は極性頭部基(ホスファチジルコリンの場合コリン)において、放射性標識することができる。
放射性標識した基質に代わるものとして、他のクラスの標識化基質(例えば蛍光性の基質又はチオ含有基質等を、スクリーニング方法で使用することができる。
蛍光性の基質はスクリーニングアッセイにおいて特に有用である。なぜなら、酵素触媒作用を、基質からの生成物の物理的分離(抽出)なしに、蛍光強度を測定することによって連続的に測定することができるからである。
蛍光性のホスファチジルコリン基質の例は、C6NBD-PC{1-アシル-2-[6-(ニトロ-2,1,3-ベンズオキサジアゾール-4-イル)アミノ]カプロイルホスファチジルコリンである。
チオ含有基質には、1,2-ビス (ヘキサノイルチオ)-1,2-ジデオキシ-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリンが含まれる(L.J. Reynolds, W.N. Washburn, R.A. Deems, and E.A. Dennis, 1991. Methods in Enzymology 197: 3-23; L. Yu and E.A. Dennis, 1991. Methods in Enzymology 197: 65-75; L.A. Wittenauer, K. Shirai, R.L. Jackson, and J.D. Johnson, 1984. Biochem. Biophys. Res. Commun. 118: 894-901)。
【0020】
F) ホスファチジルコリンエステルの加水分解
本発明は、例えば工業的又は食品的方法用又は洗濯用洗剤におけるホスファチジルコリンエステルの酵素的加水分解法を提供する。本発明のポリペプチドを使って溶液中のホスファチジルコリンエステルを加水分解することができる。酵素を基質と接触させる固体担体に結合してもよい。この方法を使用して、リゾホスホリピド及び遊離脂肪酸を生産することができる。
【0021】
G) 組成物
本発明は、生物学的に適合する(生体適合性)溶液の組成物提供する。組成物は、本発明のポリペプチド、核酸、ベクター及び抗体を含んでいる。生物学的に適合する溶液とは、本発明のポリペプチド、核酸、ベクター又は抗体が、活性形態、例えば生物学的活性を奏することが可能な形態で維持される溶液である。例えば本発明の核酸は、ホスホリパーゼ活性を有し、核酸は複製し、メッセージを翻訳し、相補的な核酸とハイブリダイズすることができ、ベクターは標的細胞をトランスフェクトすることができ、抗体は本発明のポリペプチドに結合することができるだろう。一般に、この種の生物学的適合性溶液は水性緩衝液、例えば塩イオンを含むTris、リン酸塩又はHEPES緩衝液である。通常、塩イオンの濃度は、生理的レベルと同様である。特定の実施態様において、生体適合性溶液は、薬学的に許容される組成物である。生物学的適合性溶液は、安定化剤及び防腐剤を含むこともできる。
この種の組成物は、局所、経口、非経口、鼻腔内、皮下及び眼内投与用に製剤化することができる。非経口投与は、静脈注射、筋内注射、動脈内注射又は注入技術を含むことを意味する。組成物を、所望により標準的かつ周知の無毒の生理学的に許容しうる担体、アジュバント及びビヒクルを含んでいる製剤の投与単位で非経口的に投与してもよい。
好ましい無菌注射可能調製物は、無毒の非経口的に許容しうる溶媒又は希釈液中の溶液又は懸濁液でありえる。薬学的に許容しうる担体の例は、生理的食塩水、緩衝食塩水、等張食塩水(例えば1ナトリウム塩酸塩又は2ナトリウムリン酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム又は塩化マグネシウム又はこの種の塩の混合物)、リンガー溶液、デキストロース、水、滅菌水、グリセロール、エタノール及びこれらの組合せである。1,3-ブタンジオール及び無菌不揮発性油を、溶剤又は懸濁媒体として便利に使用する。すべての無菌不揮発性油を、合成のモノ−又はジグリセリドを含んで使用することができる。オレイン酸のような脂肪酸も、注射可能物質の調製における使用が見出される。
組成物媒体は、すべての生体適合性又は非細胞障害性(ホモ又はヘテロ)ポリマー、例えば薬物吸収スポンジとして使用可能な親水性のポリアクリル酸ポリマーから製造するヒドロゲルでありえる。この種のポリマーは、例えば出願WO93/08845に記載されていた、この文献の全ての内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。ポリマーの中のあるもの、例えば、特にエチレン及び/又はプロピレンオキシドから得られるポリマーは、商業的に入手可能である。ヒドロゲルを、例えば外科的干渉の間、治療する組織の表面の上へ直接置くことができる。
本発明の他の好ましい態様は、複製欠陥組換えウイルス及びポロキサマーを含む医薬組成物に関する。より詳しくは、本発明はLLGポリペプチドをコードしている核酸及びポロキサマーを含む複製欠陥組換えウイルスを含む組成物に関する。
好ましいポロキサマーは、ポロキサマー 407(商業的に入手可能(BASF、パーシッパニー、ニュージャージー)であり、これは無毒、生体適合性多価アルコールであり、最も好ましい。組換えウイルスに組み込まれるポロキサマーを、例えば外科的干渉の間、治療する組織の表面の上へ直接置くことができる。ポロキサマーは本質的にヒドロゲルとして同じ効果を所有するが、粘性は低い。
【0022】
H) 治療の方法
本発明は、本発明の組成物の有効量をヒト又は他の動物へ投与する工程を含む治療方法を提供する。
有効量は、年齢、治療する状態の型及び重症度、体重、所望の治療期間、投与方法及び他のパラメータにしたがい変化するだろう。有効量は、医者又は他の資格のある医学の専門家によって決定する。
本発明のポリペプチドは、通常1日あたり約0.01mg/kg体重〜約100mg/kg体重、好ましくは約0.1mg/kg体重〜約50mg/kg体重、最も好ましくは約1mg/kg体重〜約10mg/kgの投与量で投与する。
本発明の組換えウイルスは、通常約104〜約1014pfuの投与量形態で製剤化し投与する。AAV及びアデノウイルスの場合、約106〜約1011pfuの投与量を好ましく使用する。用語「pfu」(「プラーク形成単位」)は、ウイルス粒子懸濁液の感染力に対応する。これは適切な細胞培養物に感染させ、形成するプラークの数を測定することにより決定する。ウィルス溶液のpfu力価を決定する技術は、従来技術においてかなり文書化されている。
本発明は、LLGポリペプチド活性の過剰、異常又は不適当な発現の結果であるアテローム性動脈硬化症の治療方法を提供する。
更に本発明は、好ましくない脂質プロフィールを有するヒト又は他の動物の治療方法を提供する。
更に本発明は、異常に高い又は不適切なLLGポリペプチド活性の発現の結果である糖尿病、高脂血症、肝内性胆汁うっ滞又は他の代謝障害の治療法を提供する。
1) LLGポリペプチドの発現の増加と関連する好ましくない脂質プロフィールの治療
LLGポリペプチドの発現を減少させて、LLGポリペプチド活性が好ましくない脂質プロフィールと関連する疾患又は障害に寄与している状態を補正する方法には、アンチセンス核酸を含む組成物の投与、抗体のような細胞内結合タンパク質を含む組成物の投与、LLGNポリペプチド及びLLGの別の断片を含む組成物の投与及びLLGNポリペプチド又はLLGの別の断片をコードする核酸を含む組成物の投与を含むが、これに限定されるものではない。
1つの態様においては、アンチセンス核酸を含む組成物を使用して、LLGの発現をダウンレギュレートするか又はブロックする。1つの好ましい態様においては、核酸はアンチセンスRNA分子をコードする。本態様においては、核酸を核酸の発現を可能にするシグナルに操作可能に結合し、好ましくは組換えベクター構築物を利用する細胞へ導入する。この構築物は細胞に導入されるとアンチセンス核酸を発現するだろう。適切なベクターの例には、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス及びヘルペスウイルスが含まれる。好ましくは、ベクターはアデノウイルスである。最も好ましくは、ベクターは、ウイルスのE1及び/又はE3領域に削除を含んでいる複製欠陥アデノウイルスである。
別の態様においては、LLGと選択的に相互作用することができる細胞内結合タンパク質をコードしている核酸配列の発現により、LLGの発現をダウンレギュレート又はブロックする。WO 94/29446及びWO 94/02610(その内容は参照することにより本明細書に組み込まれる)は、細胞内結合タンパク質をコードしている遺伝子を用いた細胞のトランスフェクションを開示している。細胞内結合タンパク質には、それが発現する細胞内でLLGと選択的に相互作用又は結合することができ、結合LLGの機能を中和することができるすべてのタンパク質が含まれる。好ましくは、細胞内結合タンパク質は、抗体又は抗体の断片である。より好ましくは、細胞内結合タンパク質は、1本鎖抗体である。
WO 94/02610は、抗体の生産及び特定の抗体をコードしている核酸の同定を開示する。当業者に公知の技術によりLLG又はその断片を使用して、特定のモノクローナル抗体を生産する。
続いて、細胞内結合タンパク質又はその断片をコードし、宿主細胞で発現可能な核酸を含むベクターを、本発明の方法に使用するために生産する。
あるいは、中和抗体を循環系へ投与することにより、LLG活性をブロックすることができる。この種の中和抗体は、タンパク質として直接投与又は(分泌シグナルを用いて)ベクターから発現させることにより投与することができる。
【0023】
別の態様においては、LLGXL活性を、LLGNポリペプチド又はLLGの別の断片を含む組成物の投与により阻害する。この組成物は、適切な方法、例えば経口、局所、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内又は皮内経路により投与するだろう。組成物を直接投与してもよく又はカプセル(例えば、脂質系、アミノ酸ミクロスフェア又は球状デンドリマー(dendrimer))に包んでもよい。ある場合においては、ポリペプチドを別のポリマー、例えば血清アルブミン又はポリビニルピロリドンに結合してもよい。
別の態様においては、LLGXL活性を、小分子量化合物の使用により阻害する。この化合物は、酵素学的特性に干渉し、細胞結合部位による適切な認識を阻害する。
別の態様においては、LLGXL活性を遺伝子治療の使用により阻害する。すなわち、LLGNポリペプチド又はLLGの別の断片をコードし、その発現を指示する核酸を含む組成物の投与により阻害する。
特定の態様においては、本発明のLLG遺伝子はヘパリンに対して親和性を有する。LLGポリペプチドの血管管腔の細胞外ヘパリンへの結合は、LDLと細胞外ヘパリンとの間の架橋として作用することにより、LDLへの結合及びLDL取りこみの促進を許容する。アテローム性動脈硬化症病変の局部においては、リパーゼ活性の増加したレベルがアテローム生成過程を促進すると仮定されている(Zilversmit, D.B. (1995) Clin. Chem. 41,153-158; Zambon, A., Torres, A., Bijvoet, S., Gagne, C., Moojani, S., Lupien, P.J., Hayden M.R., and Brunzell, J.D. (1993) Lancet 341, 1119-1121)。これは、リパーゼにより媒介される血管組織によるリポタンパク質の結合及び取りこみの増加によるものであろう(Eisenberg, S., Sehayek, E., Olivecrona, T. Vlodavsky, I. (1992) J. Clin. Invest. 90,2013-2021; Tabas, I., Li, I., Brocia R.W., Xu, S.W., Swenson T.L. Williams, K.J. (1993) J.Biol. Chem. 268,20419-20432; Nordestgaard, B.G., and Nielsen, A.G. (1994) Curr. Opin. Lipid. 5,252-257; Williams, K.J., and Tabas, I. (1995) Art. Thromb. and Vasc. Biol. 15,551-561)。更に、リパーゼ活性の高い局所レベルは、アテローム性動脈硬化症病変の前駆体において生成する脂肪酸及びリゾホスファチジルコリンの細胞障害性レベルを生じるだろう。この特定のLLG活性は、アテローム性動脈硬化症の発生又は進行に、特に食事又は遺伝的要因による患者の過剰な脂質レベルの面で寄与するだろう。したがって、本発明は、LLGポリペプチドの発現又はリポタンパク質(例えばLDL)への結合を阻害することによるリポタンパク質蓄積の阻害を許容する。
【0024】
2) 不十分なLLGポリペプチド活性と関連する望ましくない脂質プロフィールの治療
LLGポリペプチドの発現を増加させて、LLGポリペプチド活性が好ましくない脂質プロフィールと関連する疾患又は障害に寄与している状態を補正する方法には、LLGXLポリペプチドを含む組成物の投与及びLLGXLポリペプチドをコードする核酸を含む組成物の投与を含むが、これに限定されるものではない。
1つの態様においては、LLGXL活性のレベルを、LLGXLポリペプチドを含む組成物の投与により増加させる。この組成物は、適切な方法、例えば経口、局所、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内又は皮内経路により投与するだろう。組成物を直接投与してもよく又はカプセル(例えば、脂質系、アミノ酸ミクロスフェア又は球状デンドリマー)に包んでもよい。ある場合においては、ポリペプチドを別のポリマー、例えば血清アルブミン又はポリビニルピロリドンに結合してもよい。
別の態様においては、LLGXL活性を、小分子量化合物の使用により増加させる。この化合物は、転写、翻訳又は転写後のレベルにおいてLLGXL発現をアップレギュレートすることができる。
別の態様においては、LLGXL活性を遺伝子治療の使用により増加させる。すなわち、LLGXLポリペプチドをコードし、その発現を指示する核酸を含む組成物の投与により増加させる。
肝内性胆汁うっ滞は、増加する血清コレステロール及びリン脂質レベルによって特徴づけることができる。ラットにおけるファロイジン剤誘導肝内性胆汁うっ滞モデルが、コレステロール及びリン脂質の血清レベルの有意な増加示すことが最近示された(Ishizaki, K., Kinbara, S., Miyazawa, N., Takeuchi, Y., Hirabayashi, N., Kasai, H., and Araki, T. (1997) Toxicol. Letters 90, 29-34)。本発明の生成物を使用して、血清コレステロール及び/又はリン脂質が増加した患者の肝内性胆汁うっ滞を治療してもよい。更に、このラットモデルは、胆汁中コレステロール排出速度の激しい減少を示した。本発明のLLGポリペプチド及び核酸生成物を使用して、胆汁中排泄システム障害患者を治療してもよい。
肝内性胆汁うっ滞は、肝臓からの胆汁の流れの障害によっても特徴づけられる。最近、進行性家族性肝内性胆汁うっ滞(PFIC又はByler病)及び良性再発性肝内性胆汁うっ滞(BRIC)が18q21-q22に位置付けられた(それぞれ、Carlton, V.E.H., Knisely, A.S., and Freimer, N.B. (1995) Hum. Mol. Genet. 4, 1049-1053 and Houwen, R.H., Baharloo, S., Blankenship, K., Raeymaekers, P., Juyn, J., Sandkuijl, L.A., and Freimer, N.B. (1994) Nature Genet. 8, 380-386)。LLG遺伝子が18q21の染色体領域内に位置するとき、本発明のLLG遺伝子又はポリペプチド生成物を使用して、PFIC/BRIC病遺伝子の突然変異又は不完全な発現により起こる肝内性胆汁うっ滞患者を治療してもよい。
別の態様においては、本発明のLLG遺伝子又はポリペプチド生成物を使用して、18q21-q22のPFIC/BRIC病遺伝子の欠陥によらない肝内性胆汁うっ滞患者を治療してもよい。最近の研究は、18q21-q22領域の外部の位置する別の遺伝子座が、PFIC表現型を生ずることを示唆している(Strautnieks, S.S., Kagalwalla, A.F., Tanner, M.S., Gardiner, R.M., and Thompson, R.J. (1996) J. Med. Genet. 33, 833-836)。それにもかかわらず、直接又は遺伝子治療のいずれかを通してのLLGポリペプチドの投与はこの型の状態を軽減するだろう。
遺伝子治療においては、ポリペプチドをコードする1以上の核酸及びその発現を調節する調節領域を、ヒト又は他の動物の標的細胞に伝達する。この伝達は、研究室内で核酸を細胞へ伝達し、次いで修飾細胞をヒト又は他の動物へ投与する手順のエキソビボ、又は、核酸をヒト又は他の動物内で細胞へ直接伝達する手順のインビボのいづれかで達成する。核酸の伝達は、前記のウィルス性又は非ウィルス性ベクターのいずれかを使用して達成することができる。
非ウィルス性ベクターを、公知技術である方法のいずれかを使用して細胞に伝達してもよい。この方法には、リン酸カルシウム共沈、リポフェクション(合成のアニオン性及びカチオン性のリポソーム)、受容体媒介遺伝子送達、裸のDNA注入、エレクトロポレーション及びバイオバリステック(bioballistic)な粒子加速が含まれる。
【0025】
実施例
以下の実施例は、本発明を例示する。これらの実施例は単なる例示であり、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0026】
実施例1
差動的に発現したcDNAの同定
A) RNA調製
ヒトの単球THP-1細胞(Smith, P.K., Krohn, R.I., Hermanson, G.T., Mallia, A.K., Gartner, F.H. Provenzano, M.D., Fujimoto, E.K., Goeke, N.M., Olson, B.J., and Klenk, D.C. (1985) Anal. Biochem. 150,76-85)を、25mM HEPES、10%胎児ウシ胎仔血清、100単位/mlペニシリンGナトリウム及び100単位/mlストレプトマイシン硫酸塩を有するRPMI-1640媒体((GIBCO)ギブコ)中で培養した。細胞を、1.5x107細胞/プレートで15cm組織培養皿の上へ塗布し、細胞の分化を誘導するために40ng/mlホルボール12-ミリスタート13-酢酸塩((Sigma)シグマ)で48時間処理した。ヒト低密度リポタンパク質(LDL)を、カルバイオケム(Calbiochem)から購入し、4℃でPBS対して徹底的に透析した。LDLを、500mg/mlに希釈し、PBS中の5mM CuSO4に対して37℃で16時間透析した。酸化を止めるために、LDLを150mM NaCl、0.3mM EDTA対して徹底的に透析し、ろ過滅菌した。タンパク質濃度を、BCA方法により決定した(Schuh, J. Fairclough, G.F., and Haschemeyer, R.H. (1978) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75, 3173-3177) )(ピアース(Pierce))。酸化の程度を、TBARS(Chomczynski, P. (1993) Biotechniques 15,532-537)により決定したところ、25-30 nmol MDA 当量/mgタンパク質の間であった。分化したTHP-1細胞を、リポタンパク質を欠く10%ウシ胎仔血清(シグマ)を有するRPMI培地中、50μg/ml 酸化LDL又はNaCl-EDTA緩衝液のいずれかに24時間暴露した。RNAを集めるために、プレートを10mlのPBSで洗浄し、14mlのトリゾール(TRIZOL)(Liang, P. and Pardee, A.B. (1992) Science 257,967-971)(ギブコ)を各プレートに添加した。溶液を数回ピペットで取り混合し、同等のサンプルを遠心分離管に集め、プレートにつき3mlクロロホルムを添加し、混合した。管を12000×gで15分間遠心分離した。遠心分離後、上層を新しい管へ移し、プレートにつき7.5mlのイソプロパノールを添加し、混合した。管を12000×gで20分間遠心分離した。ペレットを、氷冷70%エタノールですすぎ、室温下で乾燥した。ペレットを、500ml TE(Tris-EDTA)中に再懸濁し、200単位のRnaseが存在しないDNAse及び200単位のRNasin胎盤Rnase阻害剤(プロメガ)で37℃で30分間処理した。RNAを、フェノール、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)、クロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)で連続抽出し、続いてエタノール沈殿した。
【0027】
B) cDNA合成
CDNA合成及びPCR増幅を、ディファレンシャルディスプレイキット バージョン1.0(システムズ・バイオテクノロジー(Systems Biotechnology, Inc.)のプロトコルを使用して達成した。、このシステムは、Liang及びPardee (Mead, D.A., Pey, N.K., Herrnstadt, C., Marcil, R.A., and Smith, L.M., (1991) Bio/Technology 9,657-663)に最初に記載された技術に基づいている。リパーゼ様遺伝子の第一の情報を含むcDNA断片を与えるプライマー対は、下流プライマー7及び上流プライマー15であった。増幅のためのcDNAは次のように合成した。緩衝液又は酸化LDLに暴露したPMA 処理THP-1細胞由来のRNAを使用して、25μM下流プライマー7の3μl及び7.5mlのジエチルピロカルボネート(DEPC)処理水を、THP-1 RNAのいずれかのサンプル由来の300ng(3.0μl)RNAに添加した。これを70℃で10分間加熱し、氷中で冷やした。この管に、3μlの5x PCR緩衝液(250mM Tris-HCl pH 8.3, 375mM KCl)(ギブコ)、3μlの25mM MgCl2、3μlの0.1M DTT、1.2μlの500μM dNTP、0.7ml RNasin及び5.6μl及びDEPC処理水を添加した。管を室温で2分間インキュベートし、その後、1.5μl(300単位)Superscript II Rnase H-逆転写酵素(ギブコ)を添加した。管を順に室温で2分間、37℃で60分間及び95℃で5分間インキュベートし、氷中で冷却した。PCR増幅を、117μlの10x PCR緩衝液(500mM KCl、100mM Tris-HCl pH 8.3、15mM MgCl2及び0.01%(w/v)ゼラチン)を含んでいるマスター混合物、70.2μlの25mM MgCl2、5.9μlのα-33P dATP(10m Ci/ml(デュポンNEN)(DuPont NEN))、4.7μlの500mM dNTP混合物、11μlのAmpliTaq DNAポリメラーゼ(5単位/ml、パーキンエルマー(Perkin-Elmer))及び493.3μlのDEPC処理水を使用して行った。各反応について、12mlのマスター混合物を、2mlの下流プライマー#7、1μlのcDNA及び5μlの上流プライマー#15に添加した。反応混合物を、94℃で1分間加熱し、次いで94℃で15秒間の変性工程、40℃で1分間のアニーリング工程及び72℃で30秒間の伸長工程の熱サイクルをを40回行った。40回のサイクルに続いて、反応物を72℃で5分間インキュベートし、10℃で保存した。PCR反応を、パーキンエルマー GeneAmpシステム9600サーモサイクラーで実行した。
4μlの増幅反応物を、等量の添加液(0.2%ブロムフェノールブルー、0.2% キシレンシアノール、10mM EDTA pH 8.0及び20%グリセロール)と混合した。この混合物の4μlを、非変性6%アクリルアミド・シークエンシング・フォーマット・ゲルに、1200ボルト(一定の電圧)で3時間かけて流した。ゲルを80℃で1.5時間乾燥し、コダックXARフィルムに暴露した。酸化LDLに暴露したTHP-1細胞由来のcDNAを含む反応物においてのみ見られた増幅生成物を、同定し、ゲルから切り取った。100mlのDEPC処理水を、切り取ったゲル断片を含んでいる微小遠心分離管に添加し、室温で30分間、95℃で15分間インキュベートした。
PCR産物を再増幅するために、26.5μlの溶離DNAを、5μlの10x PCR緩衝液、3μlの25mM MgCl2、5μlの500μl dNTP、5μlの2μM下流プライマー7、7.5μlの上流プライマー15及び0.5μl Amplitaqポリメラーゼを含む増幅反応物中で使用した。PCRサイクルのパラメータ及び手段は前記と同様であった。増幅後、20μlの再増幅物をアガロースゲル中で分析し、4μlを、TAクローニングしステム(Frohman, M.A., Dush, M.K., and Martin, G.R. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85,8998-9002)(インビトロゲン)を使用して、PCR産物をベクターpCRIIにサブクローニングした。14℃で一晩の結合後、結合生成物を使用して大腸菌を形質転換した。得られた形成転換体を選択し、一晩の培養物の3mlをプラスミドミニプレップ(minipreparation)に使用した。挿入物サイズを、プラスミドのEcoRI消化を使用して決定し、本来のPCR産物の適切なサイズの挿入物を含んでいるクローンを、蛍光色素ターミネーター試薬(terminator reagent)(プリズム(Prism)(アプライド・バイオシステムズ))及びアプライド・バイオシステムズ 373 DNAシーケンサーを使用して配列決定した。PCR産物の配列を図2に示す。増幅プライマーの配列に下線を引いた。
【0028】
C) 5'RACE反応
RT-PCRにより同定したcDNAの伸長を、5'RACEシステムを使用して達成した(Loh, E.Y., Eliot, J.F., Cwirla, S., Lanier, L.L., and Davis, M.M. (1989) Science 243, 217-219; Simms, D., Guan, N., and Sitaraman, K., (1991) Focus 13,99)(ギブコ)。ディファレンシャルディスプレイ反応に使用した1μgのTHP-1 RNA(酸化LDL処理)を、5'RACE手順の最初に使用した。
1μl(1μmg)のRNAを3μl(3pmol)のプライマー2a及び11μlのDEPC処理水と組み合せ、70℃で10分間加熱し、氷中に1分間置いた。2.5μlの10x反応緩衝液(200mM Tris-HCl pH 8.4, 500mM KCl)、3μlの25mM MgCl2、1μlの10mM dNTP混合物及び2.5μlの0.1M DTTを添加した。混合物を42℃で2分間インキュベートし、1μlのSuperscript II逆転写酵素を添加した。反応物を更に42℃で30分間、70℃で15分間、氷中で1分間インキュベートした。1μlのRnase H(2単位)を添加し、混合物を55℃で10分間インキュベートした。CDNAを、キット内に含まれるグラスマックス(GlassMax)カラムを使用して精製した(Sambrook, J. Fritsch, E.F., and Maniatis, T. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, second edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, NY)。CDNAを、50μl dH2Oのカラムから溶離し、凍結乾燥し、21μl dH2Oに再懸濁した。cDNAのテーリング(tailing)を以下の反応で達成した。7.5μlのdH2O、2.5μlの反応緩衝液(200mM Tris-HCl pH 8.4,500mM KCl)、1.5μlの25mM MgCl2、2.5μlの2mM dCTP及び10μlのcDNAを、94℃で3分間、氷中で1分間インキュベートした。1μl(10単位)の末端デオキシヌクレオチド転移酵素を添加し、混合物を37℃で10分間インキュベートした。70℃で10分間のインキュベーションによって酵素を熱不活性化し、混合物を氷中に置いた。cDNAのPCR増幅を以下の工程で行った。5μlのテール化(tailed)cDNA を、5μlの10x PCR緩衝液(500mM KCl、100mM Tris-HCl pH 8.3、15mM MgCl2及び0.01%(w/v)ゼラチン)、1μlの10mMテール化dNTP混合物、2μl(10pmol)のアンカープライマー、1μl(20pmol)のプライマー3a及び35μlのdH2Oを含む反応物中に含めた。反応物を95℃で1分間加熱し、0.9μl(4.5単位)のAmplitaqポリメラーゼを添加した。反応物を、以下の条件で40回サイクルに付した。94℃で5秒間、50℃で20秒間及び72℃で30秒間。この反応物の1μlをネスト再増幅(nested reamplification)に使用し、次の単離のための特定の産物のレベルを増加させた。再増幅物は、1μlの一次増幅物、5μlの10x PCR緩衝液、1μlの10mM dNTP混合物、2μl(20pmol)の汎用増幅プライマー、2μl(20pmol)のプライマー4a及び38μlのdH2Oを含んでいた。反応物を95℃で1分間加熱し、0.7μl(3.5単位)Amplitaqポリメラーゼを添加した。反応物を、以下の条件で40回サイクルに付した。94℃で5秒間、50℃で20秒間及び72℃で30秒間。増幅産物を、0.8%アガロースゲル電気泳動を通して分析した。約1.2kb塩基対の優勢な生成物を検出した。2μlの反応生成物を、TAクローニング・キット(インビトロゲン)からのpCRIIベクターにクローニングし、14℃で一晩インキュベートした。結合生成物を使用して大腸菌を形質転換した。得られた形成転換体の挿入物サイズを、EcoRI消化を使用して決定した。PCR産物の適切なサイズの挿入物を含んでいるクローンを、蛍光色素ターミネーター試薬(プリズム、アプライド・バイオシステムズ)及びアプライド・バイオシステムズ 373 DNAシーケンサーを使用して配列決定した。TAベクター由来のEcoRI部位を含むRACE生成物の配列を図3に示す。アンプリマー(amplimer)(汎用増幅プライマーかつ5'RACEプライマー4aの相補物)の配列に下線を引いた。
【実施例2】
【0029】
実施例2
LLGXL遺伝子のクローニング及び染色体内の位置決定
A) cDNAライブラリーのスクリーニング
ヒトの胎盤のcDNAライブラリー(Oligo dT及びランダムプライム化(random primed),Cat #5014b, Lot #52033)を、クローンテック(Clontech)(パロアルト、カリフォルニア)より入手した。放射性標識したプローブを、前記5'RACE反応PCR産物を含んでいるプラスミドの挿入物を切り取ることによって作成した。プローブは、ランダムプライム技術を使用して放射性標識した。DNA断片(50-100ng)を、1μgのランダム6量体(ギブコ)とともに95℃で10分間、氷中で1分間インキュベートした。室温下で、3μlの10xクレノウ緩衝液(100mM Tris-HCl pH 7.5、50mM MgCl2、57mMジチオスレイトール、ニューイングランドバイオラボ(New England Biolabs)、3μlの0.5mM dATP、dGTP、dTTP、100μCi/-32PdCTP(3000Ci/mmol、ニューイングランドヌクレアー(New England Nuclear))及びDNAポリメラーゼIの1μlクレノウ断片(5単位、ギブコ)を添加した。反応物を室温下で2-3時間インキュベートし、次いで反応を、量をTE pH 8.0を用いて容積を100mlに増加させ、EDTAを1mMの終濃度にまで添加することにより停止させた。取りこまれなかったヌクレオチドを、反応物容積を100μlまで増加させ、G-50スピンカラムと通過させることにより除去した(ベーリンガーマンハイム(Bochringer Mannheim))。得られたプローブは、5x108cpm/μg DNAより大きい特異的活性を有した。
ライブラリーを、確立した方法(Walter, P., Gilmore, R., and Blobel, G. (1984) Cell 38,5-8)を使用して調査した。要約すると、フィルターを、4.8X SSPE(20X SSPE = 3.6M NaCl、0.2M NaH2PO4、0.02M EDTA、pH 7.7)、20mM Tris-HCl pH 7.6、1Xデンハルト溶液(100X= 2%フィコール400、2%ポリビニルピロリドン、2% BSA)、10%硫酸デキストラン、0.1%SDS、100μg/mlサケ精子DNA及び1x106cpm/mlの放射性標識プローブ中、65℃で24時間ハイブリダイゼーションした。フィルターを、2X SSC(1X SSC = 150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウムpH 7.0)、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)中、室温で15分間の洗浄を3回、続いて0.5X SSC、0.1%SDS中、65℃で15分間の洗浄を3回行った。プローブとハイブリダイズしたファージを単離し、増幅した。DNAを、ラムダソーブ(LambdaSorb)試薬(プロメガ)を製造業者の指示にしたがい使用して精製した。挿入物を、EcoRIを用いた消化によりファージDNAから切り取った。挿入物を、プラスミドベクター(ブルースクリプト II SK(ストラタジーン))のEcoRI部位にサブクローニングした。cDNAの2.6kb EcoRI断片内に含まれる読み枠配列を、前記の通りにして自動配列決定した。配列は、図4に示される。読み枠によってコードされる予測されたタンパク質のアミノ酸配列を、図5に示し、LLGXLと命名した。最初のメチオニンは、ヌクレオチド対252-254によってコードされると予測される。予測されたタンパク質は、長さの500のアミノ酸である。最初の18のアミノ酸は、分泌シグナルペプチド(Higgins, D.G., and Sharp, P.M. (1988) Gene 73, 237-244)に特有の配列を形成した。プロペプチドは、56,800ダルトンの分子量を有すると予測した。シグナルペプチドの部位18での切断を仮定すると、未修飾の成熟タンパク質は、54,724ダルトンの分子量を有していた。
このタンパク質と他の公知のトリアシルグリセロールリパーゼとの間の全体的な類似性を図6及び表1に示す。図6に示される整列において、LLGは、実施例1に記載されるcDNA(配列番号:5)によりコードされるポリペプチド(配列番号:6)であり、以降LLGNと呼ぶ。このタンパク質は、アミンの末端345残基においてLLGXLタンパク質と同一であった。9つの固有の残基の後に終止コドンが続き、これは39.3kDのプロポリペプチド及び37.3kDの成熟タンパク質を生じた。LLGN及びLLGXLに共通している配列は、配列番号9の核酸配列及び配列番号:10のアミノ酸配列であった。
興味深いことに、LLGN及びLLGXLタンパク質で異なる位置は、他のリパーゼの構造よりタンパク質のアミノドメインとカルボキシドメインとの間にあることが公知の領域に存在する。それゆえ、LLGNタンパク質は、トリアシルグリセロールリパーゼの2つのドメインのうちの1つだけから成っているらしい。この配列は、部位167-171に特徴的な「GXSXG」リパーゼモチーフを含み、更に部位169のSer193のAsp及び274のHisにおいて触媒三つ組残基残りを保存している。他のリパーゼにおいてジスルフィド結合と関係しているシステイン残基(部位64、77、252、272、297、308、311、316、463及び483)の保存は、LLGXLタンパク質が他の酵素と構造上の類似性を有することを示唆する。N結合グリコシル化について、5つのアミノ酸部位80、136、393、469及び491が予想される。比較に使用したタンパク質配列は、ヒトリポタンパク質リパーゼで(LPL;ジェンバンク受託番号#M15856(配列番号:13))、ヒト肝性リパーゼ(HL;ジェンバンク受託番号#J03540(配列番号:14))、ヒト膵性リパーゼ(PL;ジェンバンク受託番号# M93285(配列番号:15))、ヒト膵性リパーゼ関連タンパク質-1(PLRP-1;ジェンバンク受託番号# M93283)及びヒト膵性リパーゼ関連タンパク質-2(PLRP-2;ジェンバンク受託番号# M93284)であった。
【0030】
表1.トリアシルグリセロールリパーゼ遺伝子ファミリーの類似性


【0031】
類似性(パーセント)は、レーザージーン・バイオコンピューティング・ソフトウェア・スーツ(Lasergene Biocomputing Software Suite)(ダナスター(Dnastar))のメガライン(Megalign)プログラムにおけるクラスタル(Clustal)アルゴリズム(Camps, L., Reina, M., Llobera, M., Vilaro, S., and Olivecrona, T. (1990) Am. J. Physiol. 258,C673-C681)を使用した対整列化(pairwise alignment)に基づく。
【0032】
B) 染色体の位置決定
ゲノムLLG DNAを含んでいるP1クローン由来DNA(Sternberg, N., Ruether, J. and DeRiel, K. The New Biologist 2:151-62, 1990)を、ニックトランスレーションによりジゴキシゲニンUTPで標識した。標識プローブを、切断ヒトDNAと組み合わせ、50%ホルムアミド、10%硫酸デキストラン及び2X SSCを含む溶液中、男性ドナー由来のPHA刺激末梢血リンパ球とハイブリダイズさせた。特定のハイブリダイゼーションシグナルは、フルオレセイン標識抗ジゴキシゲニン抗体中でのハイブリダイズ細胞のインキュベート、続くDAPIを用いた対比染色により検出した。この最初の実験により、グスープE染色体の特定の標識化が起こった。これはDAPI染色に基づく18染色体であると考えられる。
第2の実験では、18染色体の動原体に特異的なビオチン標識プローブをLLGプローブと同時ハイブリダイズさせた。この実験は、18染色体の動原体を赤に及び18染色体の長腕を緑に特異的に標識した。11の特異的標識した18染色体の測定値は、LLGは0.67のフルター(Flter)(0.38のフランケ測定値)を有することを証明した。これは、バンド18q21に対応する。肝内胆汁うっ滞、コーンロッドジストロフィー(cone rod dystrophy)及び家族性拡張性骨溶解を含む、いくつかの遺伝病は、この染色体領域の欠陥に関係していると考えられる。
【実施例3】
【0033】
実施例3
LLG RNA分析
A) THP-1細胞のLLG RNAの発現
cDNAが由来するmRNAの分析を、THP-1 RNAのノーザン分析によって行った。これらの細胞由来のRNAを、前記の通りにして調製した。MRNAを、ポリ-dT-磁性ビーズシステム(ポリアトラクト(Polyattract)システム(プロメガ))の使用により全RNAから精製した。3μgのポリ(A)含有mRNAを、1% アガロース-ホルムアルデヒドゲル中で電気泳動した。ゲルを、dH2O中で30分間洗浄した。RNAを、アルカリ性の転移用緩衝液(transfer buffer)(3M NaCl、8mM NaOH、2mM サルコシル(sarkosyl))を使用してナイロン膜へ真空転移(vacuum tranfer)した。転移後、ブロットを200mMリン酸塩緩衝液pH 6.8中で5分間のインキュベートすることにより中和した。RNAを、紫外線架橋装置(ストラタジーン)を使用して膜に架橋した。
プローブを、前記した5'RACE反応PCR産物を含んでいるプラスミドの挿入物を切り取ることによって作成した。プローブを、実施例 2に記載されているランダムプライム技術を使用して放射性標識した。
フィルターを、クイックハイブ(QuikHyb)高速ハイブリダイゼーション溶液(ストラタジーン)中、65℃で30分間プレハイブリダイズした。放射性標識プローブ(1-2 x 106cpm/ml)及び超音波で破壊したサケ精子DNA(終濃度100μg/ml)を、95℃で10分間加熱することによって変性させ、氷中で急速冷却し、クイックハイブ中でフィルターへ添加した。ハイブリダイゼーションは、65℃で3時間行った。未ハイブリダイズプローブを、2X SSC、0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを用いて室温下で15分間の洗浄を2回、続く0.1X SSC、0.1%SDSを用いて62℃で15分間の洗浄を2回行うことにより除去した。洗浄後、フィルターは一時的に乾燥させ、-80℃での増感スクリーンを用いてコダックXAR-2フィルムに暴露した。結果を図7に示す。この図は、約4.5kbの主なmRNA種を示している。4.3及び1.6kbのマイナーな種も存在した。LLGN cDNAの予想されるサイズは、1.6kbである。LLGXL配列は、検出されたmRNAの主な種によってコードされているようである。
【0034】
B)種々のヒト組織におけるLLG RNAの発現
ヒトの組織(心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓及びすい臓)に由来するmRNAのそれぞれ3mgを含んでいる商業的に製造されたフィルターを、クローンテック(カタログ番号#7760-1)から入手した。このフィルターを前記の通りに調査し、処理した。放射性標識LLG断片を用いた調査及びオートラジオグラフィの後、プローブを、65℃のインキュベーター内で、沸騰している0.1X SSC、0.1%SDS中で15分間の洗浄を2回行うことによりはがした。次いで膜を、ヒトリポタンパク質リパーゼをコードしている1.4kb DNA断片で調査した。この断片は、図1に記載の5'LPL及び3'LPLプライマー及び前記RT-PCR 条件を使用したTHP-1 RNA(PMA及び酸化LDL処理)のRT-PCRにより得た。オートラジオグラフィの後、膜を再びはがし、ヒトのベータ・アクチンcDNAの放射性標識断片を用いて再調査し、RNA含量を基準化した。これらの分析の結果を、図8に示す。LLGメッセージの最も高いレベルが、胎盤のRNAで認められた。肺、肝臓及び腎臓組織に由来するRNAにおいては低レベルであった。他の過去の研究(Verhoeven, A.J.M., Jansen, H. (1994) Biochem. Biophys. Acta 1211,121-124)と一致して、リポタンパク質リパーゼメッセージは多くの組織において見られ、心臓及び骨格肉組織においては最も高いレベルであった。分析結果は、LLG発現の組織配布はLPLのそれと非常に異なることを示している。他に報告(Wang, C.-S., and Hartsuck, J.A. (1993) Biochem. Biophys. Acta 1166,1-19; Semenkovich, C.F., Chen, S.-W., Wims, M., Luo C.-C., Li, W.-H., and Chan, L. (1989) J. Lipid Res. 30,423-431; Adams, M.D., Kerlavage, A.R., Fields, C., and Venter, C. (1993) Nature Genet. 4,256-265)されているように、LLG発現のパターンも、肝性リパーゼ又は膵性リパーゼのそれとも異なる。
更なるヒトの組織における発現パターンを測定するために、別の商業的に製造された膜を、LLGXLcDNAで調査した。このドットブロット(Human RNA Master Blot, Clontech Cat. # 7770-1)は50の異なる組織からの100-500ng mRNAを含み、同等のハウスキーピング遺伝子発現について標準化されている(Chen, L., and Morin, R. (1971) Biochim. Biophys. Acta 231,194-197)。LLGXLcDNAの1.6kb DraI-SrfI断片を、ランダムオリゴヌクレオチドプライミングシステム(プライムイットII(Prime It II)(ストラタジーン))を製造者の指示にしたがい使用して32PdCTPで標識した。65℃で30分間のプレハイブリダイゼーション後、プローブを1.3x106cpm/mlでクイックハイブハイブリダイゼーション溶液に添加した。ハイブリダイゼーションを、65℃で2時間行った。未ハイブリダイズプローブを、2X SSC、0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを用いて室温下で15分間の洗浄を2回、0.1X SSC、0.1%SDSを用いて62℃で15分間の洗浄を2回行うことにより除去した。洗浄後、フィルターを一時的に乾燥させ、-80℃で増感スクリーンを用いてコダックXAR-2フィルムに異なる時間暴露した。得られたイメージをデンシトメトリーにより定量した。結果を、表2に示す。複数の組織ノーザンブロット及び複数の組織ドットブロットの両方で示される組織の相対発現レベルは、胎盤における最も高いレベル並びに肺、肝臓及び腎臓における低レベルという点で類似していた。胎児の肝臓、腎臓及び肺も、成人の組織とおおよそ同じレベル示した。驚いたことに、甲状腺の組織発現レベルは、全ての組織の中で最も高く、胎盤の組織のそれの122%の発現を示した。胎盤によるリパーゼ発現についての先例(Rothwell, J.E., Elphick, M.C. (1982) J. Dev. Physiol. 4,153-159; Verhoeven, A.J.M., Carling D., and Jansen H. (1994) J. Lipid Res. 35, 966-975; Burton, B.K., Mueller, H.W. (1980) Biochim. Biophys. Acta 618,449-460)が存在するが、甲状腺がリパーゼを発現することは今まで公知でなかった。これらの結果は、LLG発現が胎盤の維持に関係し、LLGはエネルギー源としてのリン脂質のような基質から遊離脂肪酸を遊離させることに役立っていることを示唆している。甲状腺において発現するLLGは、腺による生理活性分子合成の前駆体を提供するだろう。
【0035】
表2.種々のヒト組織におけるLLG mRNAの発現


【0036】
値は、胎盤組織におけるレベルを任意に100%に設定したときの発現率である。
値は、2つのオートラジオグラフィ−暴露から得たデンシトメトリー測定値の平均である。N.D.=検出可能でない。
【0037】
C) 培養内皮細胞のLLG RNAの発現。
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)及びヒト冠状動脈内皮細胞(HCAEC)を、クローンティックス(Clonetics)より入手した。HUVECを、3mg/mlウシ脳抽出物を補充した商業的に製造された血管内皮細胞増殖培地(EGM、クローンティックス)中で増殖させた(Maciag, T., Cerundolo, J., Ilsley, S., Kelley, P.R., and Forand, R. (1979) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76, 5674-5678), Clonetics)。HCAECを3mg/mlウシ脳抽出物及び3%ウシ胎仔血清を補充した商業的に製造された血管内皮細胞増殖培地(EGM、クローンティックス)中で増殖させた。細胞をコンフルエントまで増殖させ、培地をウシ脳抽出物なしのEGMへ交換した。培養物を、100ng/mlのホルボール・ミリスタート(シグマ)を加えることによって刺激した。24時間のインキュベーションの後、RNAを、前記トリゾール法を通して細胞から抽出した。20μgの全RNAを電気泳動し、分析用膜へ移した。膜を、前記LLG及びLPLプローブを用いて調査した。結果を、図9に示す。PMA刺激THP-1細胞に由来する20μgの全RNAを、比較用にブロットに加えた。LLGプローブに対するRNAのハイブリダイズを、未刺激及びPMA刺激HUVEC細胞で検出した。対照的に、LLG mRNAの検出可能なレベルは、PMAによる刺激の後のHCAEC培養においてのみ見られた。他の過去の研究と一致して、検出可能なリポタンパク質リパーゼmRNAは内皮RNAにおいて全く検出されなかった(Verhoeven, A.J.M., Jansen, H. (1994) Biochem. Biophys. Acta 1211,121-124)。
【実施例4】
【0038】
実施例4
LLGタンパク質分析
A) 抗体の調製
抗血清を、LLG cDNA読み枠によってコードされる推定タンパク質の領域に対応する配列を有するペプチド対して生成した。その高い予測された抗原性インデックスのため、このペプチドを選択した(Jameson B.A., and Wolf, H. (1988) Comput. Applic. in the Biosciences 4,181-186)。免疫化ペプチドの配列は、ジェンバンクデータベースのいかなるタンパク質又は翻訳DNA配列においても見出されなかった。LLGタンパク質のその対応する位置を、図10に示す。ペプチドのカルボキシ末端システインは、LLG推定のタンパク質の残基には対応しないが、キャリヤータンパク質への結合を容易にするために導入した。ペプチドは、アプライド・バイオシステムズ モデル433Aペプチド合成機中で合成した。2mgのペプチドを、インジェクト・アクチベィティド・イムノゲン・コンジュゲーション・キット(Imject Activated Immunogen Conjugation Kit)(ピアース・ケミカル(Pierce Chemical))に含まれるプロトコルにしたがい、2mgのマレイミド活性化キーホール(keyhole)吸着ヘモシアニンに結合した。脱塩後、結合物の半分を、等量のフロインド完全アジュバント(ピアース)で乳化した。この乳化物を、ニュージランドホワイト種ウサギに注射した。初回接種4週間後、フロインド不完全アジュバント(ピアース)を使用したことを除いて、前記と厳密に同じくして作成した乳化物を用いてブースター接種を行った。追加免疫2週間後、試験的に採血し、特定の抗体の力価を、固定化ペプチドを使用したELISAを通して測定した。次のブースター接種を、初回ブースター接種1月後に行った。
【0039】
B) 内皮細胞培養物由来の培地のウエスタン分析
HUVEC及びHCEAC細胞を培養し、細胞をPMAで48時間刺激したことを除いて実施例 3Cと同様にしてPMAで刺激した。上清サンプル(9ml)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、150mM塩化ナトリウム、100mMリン酸ナトリウム、pH 7.2)中のヘパリン−セファロース CL-6Bの50%スラリーの500μlと共にインキュベートした。LLGXL配列中の残基の保存性はLPLのヘパリン結合活性に決定的であることが同定されているので、ヘパリン−セファロースを選択し、LLGタンパク質を部分的に精製し、濃縮した(Ma, Y., Henderson, H.E., Liu, M.-S., Zhang, H., Forsythe, I.J., Clarke-Lewis, I., Hayden, M.R., and Brunzell, J.D. J. Lipid Res. 35, 2049-2059; 及び図6)。4℃で1時間の回転後、サンプルを150×gで5分間遠心分離した。培地を吸引し、セファロースを14ml PBSで洗浄した。遠心分離及び吸引の後、ペレット化ヘパリン−セファロースを、200μl 2xSDS添加液(4%SDS、20%グリセロール、2% β-メルカプトエタノール、0.002%ブロムフェノールブルー及び120mM Tris pH 6.8)中に懸濁した。サンプルを95℃で5分間加熱し、40mlをTris-グリシン10% SDSゲルにロードした。140Vで約90分間の電気泳動後、タンパク質をノベックスエレクトロブロット装置(Novex electroblotting apparatus)(210V、1時間)を通して、ニトロセルロース膜へ移した。膜を、ブロッキング緩衝液(5%乾燥脱脂乳、0.1% Tween 20、150mM塩化ナトリウム、25mM Tris pH7.2)中で30分間ブロックした。抗ペプチド抗血清及び正常ウサギ血清を、ブロッキング緩衝液中で1:5000に希釈し、ゆっくり撹拌しながら、膜と共に、4℃で一晩インキュベートした。膜を、TBST(0.1% Tween 20、150mM塩化ナトリウム、25mM Tris pH 7.2)を用いて15分間の洗浄を4回行った。ヤギ抗ウサギペルオキシダーゼ結合抗血清(ベーリンガーマンハイム)を、ブロッキング緩衝液中1:5000に希釈し、膜と共に撹拌しながら1時間インキュベートした。前記と同様にして膜を洗浄し、ルネッサンス化学発光試薬(Renaissance chemiluminescent)(デュポンNEN)と反応させ、コダックXAR-2フィルムに暴露した。結果を図11に示す。2種の免疫活性タンパク質が、未刺激HUVEC及びHCAEC細胞由来のサンプルに存在した。未刺激HCAECサンプルの免疫活性タンパク質レベルは、対応するHUVECサンプルよりも非常に低かった。PMAで刺激したとき、3種の免疫活性なタンパク質が、内皮細胞培養より分泌された。PMA暴露は、HCAEC培養により産生されるLLGタンパク質のレベルを非常に増加させた。LLGタンパク質のPMA誘導は、HUVEC培養程劇的ではなかった。
【実施例5】
【0040】
実施例5
組換えLLGタンパク質産生
A)LLG発現構築物
LLGN及びLLGXLタンパク質をコードするcDNAを、哺乳類発現ベクターpCDNA3(インビトロゲン)にクローニングした。このベクターは、サイトメガロウイルス主要後期プロモーターの利用による多数の哺乳類細胞における外来遺伝子の発現を許容する。LLGN 5'RACE生成物を、pCDNA3のEcoRI部位にクローニングした。LLGXL cDNAを、DraI及びSrfIで切断し、1.55kb cDNAを得た(図4を参照)。ベクターを制限酵素EcoRVで切断し、ベクター及び挿入物を、T4 DNAリガーゼ及びラピッド・ライゲーション・キット(Rapid Ligation Kit)(ベーリンガーマンハイム)の試薬を製造業者の指示にしたがい使用して結合した。結合生成物を使用してコンピテント大腸菌を形質転換した。得られたコロニーを、制限分析によりスクリーニングし、発現ベクター内の挿入物の存在及び配向について配列決定した。
【0041】
B) COS-7細胞におけるLLGの一時的トランスフェクション
LLG発現ベクターを、リポフェクタミン(Lipofectamine)カチオン性脂質試薬(ギブコ)の使用によりCOS-7細胞に導入した。トランスフェクションの24時間前に、COS-7細胞を、60mm組織培養皿上へ2x105細胞/プレートの密度で塗布した。細胞を、10%ウシ胎仔血清、100のU/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンを補充したダルベッコに改変イーグル培地(DMEM;ギブコ)中で増殖させた。1μgのプラスミドDNAを、300μlのオプティメム(Optimem)I無血清培地(ギブコ)に添加した。10μlのリポフェクタミン試薬を300μlのオプティメムI培地中へ希釈し、これをDNA溶液と組み合せ、室温下で30分間静置した。培地をプレートから除去し、細胞を2mlのオプティメム培地ですすいだ。DNA-リポフェクタミン溶液を、2.7ml オプティメム培地とともにプレートに添加し、プレートを37℃で5時間インキュベートした。インキュベーション後、無血清培地を除去し、2% FBS及び抗生物質を補充したDMEMで置換した。トランスフェクション12時間後、いくつかの培養を、0.25mM ペファブロック(Pefabloc) SC(ベーリンガーマンハイム)(プロテアーゼ抑制剤)又は10のU/mlヘパリンで処理した。収集30分前に、ヘパリン処理サンプルを、追加の40のU/mlヘパリンで処理した。トランスフェクション60時間後、培地を細胞から除去した。ヘパリン−セファロース CL-4B(PBS pH 7.2中の50%スラリーの200μl)を1mlの培地に添加し、4℃で1時間混合した。セファロースを低速遠心分離によってペレット化し、1ml 冷PBSで3回洗浄した。セファロースをペレット化し、100μl 2x添加液中に懸濁した。サンプルを95℃で5分間加熱した。各サンプルの40μlは、10% SDS-PAGEゲルにロードした。電気泳動法及びウエスタン分析を、前記の通りにして抗LLG抗血清を使用して実行した。結果を図12に示す。HCAEC上清由来のタンパク質を、サイズ参照のために含めた。LLGNは約40kDに移動した。これは、HCAECの最も短いバンドに対応する。LLGXLcDNAでトランスフェクトしたCOS細胞からの培地は、68kD及び40kD種を含んでいた。これらの細胞をヘパリンで処理したとき、培地から回収される68kD及び40kDタンパク質の量は劇的に増加した。このことは、細胞表層からのプロテオグリカン結合タンパク質の放出又はヘパリンによるタンパク質の安定化を示している。細胞を、プロテアーゼ抑制剤ペファブロックで処理したとき、68kDタンパク質の量は40kD種と比較して増加した。これは、これらの細胞によって生成する低分子量タンパク質は、より大きい68kD形態のタンパク質分解生成物であることを示唆している。ディファレンシャルディスプレイにより同定された、より短い40kD種をコードするmRNAの役割は不明である。しかしながら、明らかに組織に特異的に発現し、切断型タンパク質を作成する肝性リパーゼの代替のスプライシングされた形態が報告されている。
【実施例6】
【0042】
実施例6
動物種のLLG
A) LLGのウサギ相同体のクローニング
市販のウサギ肺組織由来ラムダcDNAライブラリー(クローンテック、カタログ番号 #TL1010b)を使用して、LLG遺伝子のウサギ相同体の断片を単離した。5μlのストックライブラリーを45μlの水に添加し、95℃で10分間加熱した。以下に示すものを添加して最終容量を100μlにした。200μM dNTP、20mM Tris-HCl pH 8.4、50mM KCl、1.5mM MgCl2、それぞれ100μMのプライマーDLIP774及びLLGgen2a並びに2.5U Taqポリメラーゼ(ギブコ)。反応を、94℃で15秒間、50℃での20秒間及び72℃での30秒間のパラメータを有する熱サイクルを35回行った。反応物の10μlを、アガロースゲル電気泳動を通して分析した。約300塩基対の生成物を検出した。反応混合物の一部(4μl)を使用して、TAクローニングシステムにより生成物をクローニングした。得られたクローンの挿入物を配列決定した(配列番号11)。推定ウサギアミノ酸配列間(配列番号12)とヒトcDNAの対応の配列との間の整列化を図14に示す。どちらの増幅プライマーの部分でもないヌクレオチドの中で、ウサギとヒトのLLG配列間で85.8%の同一性があった。このウサギcDNAによってコードされる推定タンパク質は、ヒトのタンパク質と94.6%の同一性を共有した。ヌクレオチド置換のほとんどは、コドンの第三番目又は「ゆらぎ」部分におけるものであった。特に、この領域は、推定LLGタンパク質の「ふた(lid)」配列に広がり、リパーゼ遺伝子ファミリーにおける可変ドメインである。これは、種間におけるこの遺伝子の高度な保存性の証拠である。
【0043】
B) その他の種のLLG
他の種のLLG遺伝子の存在を示すために、多様な種由来のゲノムDNAを、EcoRIで切断し、アガロースゲルの電気泳動法により分離し、ニトロセルロース膜へブロットした。
膜を、2.5×106cpm/mlのランダムプライム32P-LLG又は32P-LPL(リポタンパク質リパーゼ)プローブと、6X SSC、10%硫酸デキストラン、5X デンハルト溶液、1%SDS及び5μg/mlサケ精子DNAのハイブリダイゼーション溶液中、65℃で一晩ハイブリダイズさせた。膜を、0.1X SSC、0.5%SDSを用いて室温で10分間、続いて、40°C、50°C及び55°Cで10分間洗浄した。ブロットのオートラジオグラムを図16に示す。
図16は、ラットDNAに対するLLGプローブではハイブリダイゼーションが見られなかったことを除いて、試験した全ての種においてLLG及びLPL遺伝子が存在したことを示している。ラットの例外的なデータは、LLG配列を含む異常な大きさの断片制限断片の生成により生じた人工産物を示しているのかもしれない。この種の断片は、アガロースゲルの分画範囲外にあるか又はブロットが非効率的であるのかもしれない。2つのプローブによって検出された異なるバンドは、LPL及びLLGが、別々の、進化的に保存された遺伝子であることを示している。
【実施例7】
【0044】
実施例7
LLGXLの酵素活性
A) ホスホリパーゼ活性
ヒトリポタンパク質リパーゼ(LPL)、LLGN又はLLGXLを一時的に発現するCOS-7細胞の培養上清を、ホスホリパーゼ活性について分析した。10% FBSを含んでいるMEM(MEM)をブランクとして使用し、アンチセンスLLGXLプラスミド(AS)でトランスフェクトしたCOS-7細胞の培養上清をネガティブコントロールとして使用した。
ホスファチジルコリン(PC)エマルジョンを、10μlホスファチジルコリン(10mM)、40μl 14C-ホスファチジルコリン、sn 1及び2部位を標識したジパルミトイル(2mCi)、100μl Tris-TCNB (100mM Tris、1%トリトン、5mM CaCl2、200mM NaCl、0.1% BSA)を使用して作成した。エマルジョンを10分間蒸発させ、最終容積をTris-TCNB中の1mlにした。反応は2重に行い、50μl PCエマルジョン及び950μl媒体を含んでいた。サンプルを、振盪水浴中、37℃で2-4時間インキュベートした。反応を1N 1ml HClを添加することにより停止させ、4mlの2-プロパノール:ヘキサン(1:1)を用いて抽出した。上部1.8mlヘキサン層をシリカゲルカラムに通過させ、貫流画分に含まれる遊離した14C-遊離脂肪酸をシンチレーションカウンタで定量した。これらのアッセイの結果を図14に示す。
【0045】
B) トリアシルグリセロールリパーゼ活性
ヒトリポタンパク質リパーゼ(LPL)、LLGN又はLLGXLを一時的に発現しているCOS-7細胞の培養上清を、トリグリセロールリパーゼ活性についての分析した。10% FBSを含んでいるMEMをブランクとして使用し、アンチセンスLLGXLプラスミド(AS)でトランスフェクトしたCOS-7細胞の培養上清をネガティブコントロールとして使用した。
濃縮した基質を、標識化トリオレイン、[9,10-3H(N)]及び未標識トリオレインの無水のエマルジョン(最終全トリオレイン= 6.25×108cpmを有する150mg)として調製した。これを、100%グリセロール中のレシチン9mgを添加することにより安定化した。0.56mlの3H-トリオレイン(0.28mCi)を、0.17mlの未標識トリオレイン及び90μlのレシチン(9mg)と混合した。混合物を、窒素流下で蒸発させた。乾燥脂質混合物を、2.5mlの100%グリセロール中、超音波処理により乳化した(30秒間のパルスレベル2、続く2秒間の冷却サイクルを5分間)。
アッセイ用基質を、3% w/v脂肪酸を含まないウシ血清アルブミン含有0.2M Tris-HCl緩衝液(pH 8.0)の4容量で1容量の濃縮基質を希釈することにより調製した。希釈した基質を、5秒間激しくボルテックスした。
反応を、0.1mlのアッセイ用基質及び示した培養上清0.1mlを含む総量0.2mlで2重に行った。反応物を、37℃で90分間インキュベートした。反応を、3.25mlのメタノール−クロロホルム−ヘプタンの1.41:1.25:1(v/v/v)及び炭酸カリウム-ホウ酸塩0.1M緩衝液(pH 10.5)の1.05mlを添加することにより終了させた。15秒間激しく混合した後、サンプルを1000rpm/分で5分間遠心分離した。上部の水性層の1.0mlのアリコートを、シンチレーションカウンタで計数した。これらのアッセイの結果を図15に示す。
【実施例8】
【0046】
実施例8
アゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニングのためのLLGポリペプチドの使用
組換えLLGを、バキュロウイルス感染昆虫細胞で生成した。組換えLLGを血清含有又は血清を含まない上清培地から、ヘパリン−セファロース上のクロマトグラフィ、続く陽イオン交換樹脂上のクロマトグラフィにより精製した。必要な場合、第3のクロマトグラフィ工程、例えば分子ふるいをLLGの精製に使用する。精製の間、抗ペプチド抗体を使用してLLGタンパク質をモニターし、ホスホリパーゼアッセイを使用してLLG活性を追求した。
蛍光アッセイにおいて、最終的なアッセイ条件は、約10mM Tris-HCl(pH 7.4)、100mM KCl、2mM CaCl2、5μM C6NBD-PC{1-アシル-2-[6-(ニトロ-2,1,3-ベンズオキサジアゾール-4-イル)アミノ] カプロイルホスファチジルコリン及びLLGタンパク質(約1-100ng)であった。反応物を、470nmにおける蛍光励起にに付し、540nmにおける蛍光発光により測定する酵素活性を連続的にモニターした。LLG活性の刺激及び/又は阻害について試験する化合物及び/又は物質を、ジメチルスルホキシドの10-200mM溶液として添加した。LLG活性を刺激するか又は阻害する化合物を、540nmで増加又は減少した蛍光発光を引き起こすとものとして同定した。
チオアッセイ(thio assay)において、最終的なアッセイ条件は、約25mM Tris-HCl(pH 8.5)、100mM KCl、10mM CaCl2、4.24mMトリトンX-100、0.5mM 1,2-ビス (ヘキサノイルチオ)-1,2-ジデオキシ-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン、5mM 4,4'-ジチオビスピリジン(エタノールの50mM貯蔵液から)及び1-100ng組換えLLGであった。ホスホリパーゼ活性を、342nmでの吸光度の増加を計ることによって決定した。LLG活性の刺激及び/又は阻害について試験する化合物及び/又は物質を、ジメチルスルホキシドの10-200mM溶液として添加した。LLG活性を刺激するか又は阻害する化合物を、342nmにおける増加又は減少した吸光度を引き起こすものとして同定した。
【実施例9】
【0047】
実施例9
ヒトLLGを発現するトランスジェニックマウス
更にLLGの生理的役割を研究するために、ヒトのLLGを発現するトランスジェニックのマウスを生成した。
LLGXLをコードしている1.53kb DraI/SrfI制限断片(図4参照)を、プラスミドベクター(pHMG)中の偏在性で発現する3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A(HMG Co-A)レダクターゼ遺伝子のためのプロモーターの下流にクローニングした。ヒトのLLGXLの異なるレベルを発現するトランスジェニックマウスを、標準的な方法(例えば、G.L. Tromp et al. Gene 1565:199-205, 1995)を使用して生成した。トランスジェニックマウスを使用して、脂質プロフィール、脈管病理学、発達速度及びアテローム性動脈硬化症の重症度及び他の生理的パラメーターに対するLLGXL過剰発現の衝撃を測定した。
【実施例10】
【0048】
実施例10
アテローム性動脈硬化症組織におけるLLGの発現
アテローム性動脈硬化症におけるLLGXL発現を、アテローム性動脈硬化症を有する4人の患者から脈管の生検から単離したmRNAを使用して逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を実行することによって試験した。組織サンプルは、大動脈壁(1つのサンプル)、腸骨動脈(2つのサンプル)及び頸動脈(1つのサンプル)に由来した。
アテローム性動脈硬化症の生検物は、グロスターシア・ロイヤル・ホスピタル(英国)より受け取り、polyA+mRNAを調製し、ジエチルピロカルボネート(DEPC)処理水中に0.5μg/μl mRNAの濃度で再懸濁した。逆転写酵素反応は、第一の鎖(First Strand)のcDNA合成用スーパースクリプト・プレアンプリフィケーション・システム(Superscript Preamplification System)についてのギブコBRLプロトコルに従って行った。要約すると、cDNAは次のように合成した。各mRNAの2μlを、1μl オリゴ(dT)12-18プライマー及び9μl DEPC水に添加した。管を、70℃で10分間インキュベートし、1分間の氷中に置いた。各管に、以下の成分を添加した。2μl 10X PCR緩衝液、2μl 25mM MgCl2、1μl 10mM dNTP混合物及び、2μl 0.1M DTT。42℃で5分後、スーパースクリプト(Super Script)II逆転写酵素の1μl(200ユニット)を添加した。反応物を穏やかに混合し、42℃で50分間インキュベートした。反応を、70℃で15分間のインキュベーション、続いて氷中に置くことにより終了させた。残りのmRNAを、1μlのRNアーゼHを各管へ添加し、37℃で20分間インキュベートすることにより破壊した。
PCR増幅を、cDNA反応物の2mlを使用して行った。各管に、以下の物質を添加した。5μl 10X PCR緩衝液、5μl 2mM dNTP、1μl hllg-gsp1プライマー(20pmol/ml、図1参照)、1μl hllg-gsp2aプライマー(20pmol/ml、図1参照)、1.5μl 50mM MgCl2、0.5μl Taqポリメラーゼ(5U/ml)及び34μlの水。95℃で2分間反応を保った後、30サイクルのPCRを、次のように行った。94℃で15秒間、52℃で20秒間、72℃で30秒間。終了した反応物を、72℃で10分間保持し、アガロースゲル電気泳動によって分析した。hllg-gspプライマーは、LLGに特有で、300bp.の予想される生成物を生じた。CDNA合成反応が成功していたことを示すパラレルPCRにおいて、ハウスキーピング遺伝子、G3PDH(ヒトのグリ細胞アルデヒド3-リン酸塩脱水素酵素)特異的プライマーを使用した(それぞれ20pmol/mlの1μl)。
G3PDHプライマー(図1参照)は、4つ全てのの脈管の生検サンプルにおいて983bpの予想される生成物を与えた。LLG発現が、4つのサンプルのうちの3つに認められたが、頸動脈サンプルにおいては発現が認められなかった。
【0049】
本明細書において検討した全ての文献は参照することにより本明細書に組み込まれる。
当業者は、本明細書に記載した固有のものだけではなく、本発明の目的を実行し、本発明の結果及び利点を得るために本発明を適合させことは容易であると認めるだろう。本明細書に記載したペプチド、ポリヌクレオチド、方法、手順及びここで技術は、好ましい態様の代表として示されるものであり、例示を意図しており、本発明の範囲の限定を意図するものではない。添付の請求の範囲により定義される発明の精神に含まれる変化及び他の使用が、当業者によって行われるだろう。
【0050】
配列表


































































【特許請求の範囲】
【請求項1】
リパーゼ様遺伝子によりコードされる単離したポリペプチドであって、該ポリペプチドが、
(a)ヘパリンに結合し、
(b)ヒトリポタンパク質リパーゼ及び肝性リパーゼと相同性を有し、及び、
(c)トリアシルグリセロールリパーゼファミリーの39kD触媒ドメインを含んでおり、
該トリアシルグリセロールリパーゼファミリーの39kD触媒ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含む
ことを特徴とするポリペプチド。
【請求項2】
ポリペプチドがホスホリパーゼA活性を有する、請求項1に記載の単離したポリペプチド。
【請求項3】
ポリペプチドが配列番号6のアミノ酸配列を含み、及び10% SDS-PAGEゲル中における約40kDのみかけの分子量を有する、請求項1記載の単離したポリペプチド。
【請求項4】
ポリペプチドがヒト起源である、請求項1〜3のいずれかに記載の単離したポリペプチド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のポリペプチド及び生物学的に適合する溶液を含む組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載のポリペプチド及び薬学的に許容しうる担体含む医薬組成物。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の単離したポリペプチドの抗原性断片。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載のポリペプチドをコードしている単離した核酸。
【請求項9】
cDNAである請求項8に記載の単離した核酸。
【請求項10】
ヌクレオチド配列が配列番号5、7及び9からなる群より選ばれる請求項9に記載の単離した核酸。
【請求項11】
配列番号7のヌクレオチド252〜1754を含む、請求項10に記載の単離した核酸。
【請求項12】
配列番号3、5及び7からなる群より選ばれる配列を含む核酸と高いストリンジェンシーでハイブリダイズする単離した核酸。
【請求項13】
20のヌクレオチドを含む、請求項12に記載の単離した核酸。
【請求項14】
アンチセンス核酸である、請求項12に記載の単離した核酸。
【請求項15】
アンチセンス核酸配列が操作可能な状態で遺伝子発現調節領域に結合している、請求項14に記載の単離した核酸。
【請求項16】
配列番号3のヌクレオチド44〜79及び配列番号5のヌクレオチド1036〜1065からなる群より選ばれる標的と高いストリンジェンシーでハイブリダイズする、請求項12に記載の単離した核酸。
【請求項17】
請求項14に記載の核酸及び生物学的に適合する溶液を含む組成物。
【請求項18】
請求項14に記載の核酸及び薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物。
【請求項19】
操作可能な状態で調節領域に結合している請求項8〜11のいずれかに記載の単離した核酸を含むベクター。
【請求項20】
調節領域が異種源に由来する、請求項19に記載のベクター。
【請求項21】
ウィルスベクターである、請求項19又は20に記載のベクター。
【請求項22】
アデノウイルスベクターである、請求項21に記載のベクター。
【請求項23】
請求項19〜22のいずれかに記載のベクターを含む組換え細胞。
【請求項24】
細胞が真核細胞である、請求項23に記載の組換え細胞。
【請求項25】
細胞がCOS-7細胞である、請求項24に記載の組換え細胞。
【請求項26】
請求項19〜22のいずれかに記載のベクター及び生物学的に適合する溶液を含む組成物。
【請求項27】
請求項19〜22のいずれかに記載のベクター及び薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物。
【請求項28】
請求項23〜25のいずれかに記載の組換え細胞を、ポリペプチドの発現を許容する条件下で培養する工程を含む、ポリペプチド製造方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法にしたがい製造されるポリペプチド。
【請求項30】
請求項1〜4又は29のいずれかに記載のポリペプチドに特異的に結合することができる抗体。
【請求項31】
請求項2に記載のポリペプチドに特異的に結合し、該ポリペプチドのホスホリパーゼ活性を中和することができる抗体。
【請求項32】
モノクローナル抗体である請求項30又は31に記載の抗体。
【請求項33】
ポリクローナル抗体である請求項30又は31に記載の抗体。
【請求項34】
請求項32に記載の抗体を産生するハイブリドーマ細胞。
【請求項35】
請求項30〜33のいずれかに記載の抗体及び生物学的に適合する溶液を含む組成物。
【請求項36】
請求項30〜33のいずれかに記載の抗体及び薬学的許容しうる担体を含む医薬組成物。
【請求項37】
請求項36に記載の組成物の有効量を投与する工程を含む,望ましくない脂質プロフィールを有する非ヒト動物の血清脂質プロフィールを改善する方法。
【請求項38】
ポリペプチドがウサギ起源である、請求項1に記載の単離したポリペプチド。
【請求項39】
配列番号12のアミノ酸配列を含む、請求項38に記載の単離したポリペプチド。
【請求項40】
請求項39に記載のポリペプチドをコードする単離した核酸。
【請求項41】
配列番号11の核酸配列を含む、請求項40に記載の核酸。
【請求項42】
請求項1〜2のいずれかに記載のポリペプチドを発現するトランスジェニックマウス。
【請求項43】
以下の(a)又は(b)の単離したポリペプチド及び薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物の有効量を投与する工程を含む、望ましくない脂質プロフィールを有する非ヒト動物の血清脂質プロフィールを改善する方法。
(a)配列番号8のアミノ酸配列を含むポリペプチド
(b)(a)のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつホスホリパーゼA活性を有するポリペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【公開番号】特開2010−284171(P2010−284171A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181426(P2010−181426)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【分割の表示】特願平10−525822の分割
【原出願日】平成9年12月5日(1997.12.5)
【出願人】(500137976)アベンティス・ファーマスーティカルズ・インコーポレイテツド (76)
【Fターム(参考)】