説明

トリエチルホスフェート(TEPO)から微量砒素不純物を除去する方法

【課題】半導体製造業者らから求められる、TEPO中の砒素の低濃度化を達成する方法が必要とされる。
【解決手段】砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェート(TEPO)からの砒素含有不純物の除去方法は以下の方法を含む:トリエチルホスフェートと比べて砒素含有不純物を選択的に吸着する吸着剤を準備すること;砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェートを吸着剤と接触させること;及び砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェートから砒素含有不純物を吸着して、減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートを作ること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トリエチルホスフェート(TEPO)は、マイクロエレクトロニクス産業において、PSG(ホスホシリケートガラス)またはBPSG(ボロホスホシリケートガラス)の製造用のリン含有源として一般に用いられる液体化学物質である。PSG及びBPSGは、金属または導電層間に堆積される絶縁層として半導体デバイスに用いられる。BPSGフィルムは概して高密度マイクロ電子デバイス用の優れたステップカバレッジを提供することができる平坦化膜として用いられる。BPSG膜中のボロン及びリンのパーセント濃度の存在が、シリケートガラスに比べてガラス転位温度を低減する効果を有し、したがって加工工程の熱量を低減し、一方でBPSG層がマイクロエレクトロニクス製造工程の要求を満たすことを可能とするギャップフィリング特性を提供する。
【背景技術】
【0002】
製造業者らは、例えば砒素及び他の金属のような特定の金属に関して極めて純粋である、例えばTEPOのようなリン源を必要とする。特定の金属不純物はデバイスに有害なものとして働く場合があり、また望まない毒性を有することがあり、特に砒素の場合においては、デバイスの通常のライフサイクルの際、例えば製造中または使用後の廃棄物処理の際に、重大な環境安全衛生問題を示し得る。
【0003】
上述の理由により、マイクロエレクトロニクス産業の製造業者らは、TEPOが特定の金属不純物の濃度に関して非常に厳格な規格を満たすことを必要とする。TEPOの代表的な濃度規格は、多くのアルカリ、アルカリ土類、希土類、遷移及び主族金属が、5ppb未満、あるいはさらに一般的には1〜3ppb未満であることを必要とする。
【0004】
しかしながら、粗製のTEPOは、特定のソース及び処理された方法に依存するが、50ppb(parts per billion)〜10,000ppbより多い砒素濃度を有する。5ppb未満、あるいはさらに一般的には1〜3ppb未満の砒素濃度を達成することは、特にリン含有金属中の一般的な不純物である砒素ついては大きな課題である。
【0005】
微量(痕跡量)濃度(約50ppb〜10,000ppb)の砒素不純物をTEPOから除去することは、一般的な分離技術では大抵達成できない。なぜならば、リン及び砒素化合物の化学的及び物理的特性が類似しているためである。
【0006】
例えばアセチレンまたはシランのような気体流、石油化学産業で用いられる液体炭化水素留分、水性システム、及びホスフェート系液体肥料流を含む様々な系から砒素含有不純物を除去することについては、従来技術において多くの例がある。処理の際に除去される砒素含有成分は、3価または5価のいずれか、並びに有機及び無機のいずれかである。
【0007】
先行研究の大多数は、処理された材料が1〜1000ppm(parts per million、1ppm=1000ppb)の最終の砒素含有量を有するような砒素の除去について説明している。従来技術においてみられた超微量濃度(10ppb以下)まで砒素を除去することについての記述は、マイクロエレクトロニクス用途に使用される高純度シランの調製についてであった。後者の場合、主な砒素汚染物質はガス状アルシンであり、砒素不純物が例えばトリエチルアルセネート(TEASAT)のような混和性液体または可溶化無機塩のいずれかとして考えられている本出願の開示とは対照的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上から、半導体製造業者らから求められる、TEPO中の砒素の低濃度化を達成する方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施態様によれば、砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェート(TEPO)からの砒素含有不純物の除去方法は以下の工程を含む:
トリエチルホスフェートと比べて砒素含有不純物を選択的に吸着する吸着剤を準備すること;
砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェートを吸着剤と接触させること;及び
砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェートから砒素含有不純物を吸着して、減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートを作ること。
【0010】
本発明の他の実施態様によれば、砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェートから砒素含有不純物を除去する方法は以下の工程を含む:
トリエチルホスフェートと比べて砒素含有不純物を選択的に吸着する吸着剤を準備すること;
砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェートを吸着剤と接触させること;
砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェートから砒素含有不純物を吸着して、減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートを作ること;及び
減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートを蒸留して、減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートから砒素含有不純物をさらに除去すること。
【0011】
本発明のさらに1つの他の実施態様によれば、砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェートから砒素含有不純物を除去する方法は以下の工程を含む:
トリエチルホスフェートと比べて砒素含有不純物を選択的に吸着する吸着剤を準備すること;
砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェートを吸着剤と接触させること;
砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェートから砒素含有不純物を吸着して、減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートを作ること;並びに
減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートを蒸留して砒素含有不純物をさらに除去すること、及び減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートから揮発性の有機副生成物及び不揮発性の残留金属不純物を除去すること。
【0012】
上述の実施態様では、吸着剤はZxyで表される塩基促進アルミナ含有吸着剤であり、式中、
xは吸着剤中のZの質量パーセントで、30%〜99.999%の範囲であり;
yは吸着剤中のWの質量パーセントで、x+y=100%であり;
Zはアルミナ(Al23)、マグネシウム−アルミナ系の層状複水酸化物(MgO−Al23)、アルミナ−ゼオライト、及びそれらの混合物からなる群から選択され;並びに
Wは少なくとも1種の塩基性金属酸化物、少なくとも1種の塩基性金属炭酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0013】
上述の実施態様は、吸着剤が、接触工程の前に、真空下または乾燥不活性ガス雰囲気下で加熱を介して活性化されることをさらに含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
トリエチルホスフェート(TEPO)は、金属または導電層間に堆積される絶縁層として半導体デバイスに用いられるPSG(ホスホシリケートガラス)またはBPSG(ボロホスホシリケートガラス)の製造用の前駆体として用いられる重要な液体である。TEPOの純度は、特に最も需要があるエレクトロニクス用途において、そのTEPOから形成されるPSGまたはBPSGに適切な電気的特性を提供するために重要である。毒性不純物の最小化もまた、製品の使用及び全体のライフサイクルに関連した環境的な安全衛生問題について増加する関心に対処するために重要である。
【0015】
TEPO前駆体中の不純物がPSGまたはBPSG薄膜中に残るため、TEPO前駆体の純度は重要である。特定の不純物、すなわち砒素及びアルカリ金属は最終生成物の使用に特に有害である。というのは、半導体産業で一般に用いられるバルクの加工方法によって砒素及びアルカリ金属を除去することができないからである。マイクロエレクトロニクスデバイス製造業者らは、それらの膜の適切な性能を確保すること、及び残留砒素の高毒性に関連した環境的な安全衛生問題を最小化するために、これらの有害な金属が数ppb(part per billion)以下の濃度であることを必要とする。
【0016】
TEPO中の砒素汚染の原因を理解するためには、その全体の合成経歴を考慮しなければならない。TEPOは、エタノールをホスホリルクロライド(POCl3)と反応させて作られる。以下に概説される反応シーケンスにしたがい、ホスホリルクロライドは、ホスホラストリクロライド(PCl3)から作られるそのものであり、ホスホラストリクロライドは同様に白リン(P4)から作られ、白リンはリン鉱石から作られる。
i)Ca3(PO43+3SiO2+9C→3/4P4+3CaSiO3+9CO
ii)P4+6Cl2→4PCl3
iii)PCl3+1/2O2→POCl3
iv)POCl3+3CH3CH2OH→OP(OCH2CH33(TEPO)+3HCl
【0017】
リン鉱石は概してリンに対して0.01%〜0.1%の砒素を含む。砒素の化学的性質及び化学的反応性がリンのものと類似する。したがって、リン鉱石の原材料中に存在する低濃度の砒素は、容易に石黄(As4)、三塩化砒素(AsCl3)、アルセニックオキシクロライド(AsOCl3)、及び最後にTEASATとしても知られるトリエチルアルセネート(OAs(OCH2CH33)に転換される。結果として、粗製TEPOは、概してTEASATとして存在する高ppbまたはppm濃度の砒素不純物で常に汚染される。粗製TEPO中のTEASATの量は、最初のリン開始材料の砒素含有量、合成経歴、及び合成後の処理を含む多くの要因に依存する。
【0018】
粗製TEPOを精製する一般的な方法は分留による。蒸留は、揮発性の有機副生成物及び不揮発性の残留金属不純物からTEPOを非常に効果的に分離する。しかしながら、TEASAT、TEPOの砒素類似体、及び砒素不純物の主なソースの定量的除去を達成するには極めて効果に乏しい。TEASATは揮発性であり、そして216℃であるTEPOの沸点に対して、236℃の標準沸点を有する。沸点についてのこの類似性は、分留法によってTEPOからTEASATの定量的分離を達成することを著しく困難にする。たとえそうでも、非常に低濃度の砒素(すなわち<5ppb)が、粗製TEPOに多重の分留を施すことで実現され得ることが立証された。そのような処理方法は、マイクロエレクトロニクス産業の製造業者らから求められている所望の低ppb濃度の砒素を達成するために、2、3あるいはさらに4の連続的な蒸留を含み得る。これは多重の単位操作を含み、したがって、非常に時間を浪費し、そして極めてコストがかかることが多い。
【0019】
TEPO中の砒素を目標濃度水準まで低減するため、例えば吸着のような受動的精製方法の使用には明確な利点がある。本開示は、TEPOから砒素不純物を非常に低濃度まで除去するために利用され得る吸着剤及び方法を教示する。この目的のために非常に効果的に機能する多くの吸着剤及び吸着剤の種類が特定される。本明細書に記載される砒素の精製方法は塩基性吸着剤を用いて砒素含有成分の大部分を除去する。蒸留精製工程は、例えば無機砒素塩のような残留砒素成分を除去するために用いられ、超微量濃度の砒素を有するTEPOを製造することができる。
【0020】
本発明では、塩基促進アルミナ含有(BPAC)吸着剤が用いられTEPOから砒素不純物を除去することができる。吸着剤のこの種類はAl23としてまたは混合金属酸化物若しくは混合金属水酸化物としてのいずれかで存在するアルミナを含み、その際、前記アルミナ含有物は、例えば塩基性金属酸化物及び/または塩基性金属炭酸塩のような塩基性成分によって修飾される。
【0021】
BPAC吸着剤の組成はZxyで表され、式中、xは吸着剤中のZの質量パーセントで、30%〜99.999%の範囲であり、yは吸着剤中のWの質量パーセントで、x+y=100%であり、Zはアルミナ(Al23)、マグネシウム−アルミナ系の層状複水酸化物(MgO−Al23)、及びアルミナ−ゼオライトからなる群から選択され、並びにWは少なくとも1種の塩基性金属酸化物、少なくとも1種の塩基性金属炭酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。Wの例はMgO、CaO、Na2O、K2O、K2CO3、Na2CO3、及びそれらの混合物である。
【0022】
塩基促進アルミナ含有(BPAC)吸着剤はTEPO中の砒素含有量を低ppb濃度まで減少することに非常に効果的であることが示される。弱または強塩基性表面を有する高表面積のアルミナ吸着剤及び塩基性混合金属酸化物材料は、TEPO溶液から砒素種を除去することに最良の性能を示す。
【0023】
そのようなBPAC吸着剤の例は、以下の物質を含むがそれらのものに制限されるものではない:(1)MgO−Al23の混合物、(2)アルカリ金属炭酸塩で促進されたMgO−Al23の混合物、(3)微量濃度(10ppm〜100ppm)〜パーセント濃度(約20%以上)の例えばNa2OまたはK2Oのような塩基性アルカリ金属酸化物で修飾されたアルミナ、(4)微量濃度(10ppm〜100ppm)〜パーセント濃度(約20%以上)の例えばNa2CO3またはK2CO3のようなアルカリ金属炭酸塩で修飾されたアルミナ、及び(5)例えばアルカリ金属酸化物またはアルカリ金属炭酸塩のような塩基性成分で修飾されたアルミナ−ゼオライトの混合物。
【0024】
BPAC吸着剤は、多くの様々な方法によって調製されることができ、以下の方法を含むがそれらのものに制限されるものではない:(1)よく知られた浸漬またはスプレー式の含浸技術を用いて、溶解したアルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属炭酸塩の前駆体を含む水性溶液で多孔質アルミナ支持体を処理し、その後に適切な温度で焼成して所望のBPAC吸着剤を形成すること;または(2)前駆体材料の適正な配合物を共凝結または共堆積することによって所望のアルミナ/アルカリ金属炭酸塩またはアルミナ/アルカリ金属酸化物を共形成して、その後の焼成で、所望の共形成された混合金属酸化物または混合金属オキシカーボネートを生成する。
【0025】
砒素の吸着除去は、砒素を含んだTEPOを静的条件下で吸着媒体に接触させること、または代わりに、動的暴露条件下で吸着媒体で満たされたカラム中にTEPO溶液を流すことによって前記TEPOを吸着剤と接触させること、のいずれかによって達成されることができる。砒素除去のための最適条件は、砒素不純物の化学的性質及び濃度並びに精製TEPO中の求められる砒素の含有量に依存するであろう。接触または滞留時間は、例えば吸着媒体で満たされたカラムのような動的条件を用いる実施態様では数分の短さから、または代わりに、静的吸着条件を利用する実施態様では最大数日まで変動するであろう。接触工程の際に用いられる温度は0℃〜140℃、あるいは20℃〜80℃の範囲であることができる。
【0026】
静的吸着は、所望の砒素濃度への削減を達成するために効果的な時間、あらかじめ決定した温度で、砒素を含んだTEPOを所定量の吸着材料にさらすことを含む。吸着剤の量は、吸着剤の質量及びTEPOの質量の合計である全質量を基準にして、わずかな割合から20質量%よりも多い範囲であってもよい。吸着温度は大気温度未満〜100℃を越える温度までの範囲であってもよい。より低い温度は、より高い砒素の平衡吸着容量をしばしば生じる改良された選択性を促進する傾向があり、一方でより高い温度は、砒素不純物の改良された吸着速度を促進する。静的吸着に必要な時間は数時間の短さから数日まで変化し得て、以下の要因を含む多くの要因に依存する:(1)吸着剤の充填質量%;(2)吸着温度;(3)投入流の砒素濃度;(4)砒素汚染物の化学的性質;及び(5)処理されたTEPOの所望の砒素濃度。砒素を除去する静的吸着方法の使用の多くの例は、本開示に提供される。
【0027】
動的吸着もまた、TEPO中の砒素を所望の低ppb濃度に低減することを達成するために使用することができる。これは、不所望な砒素を含有したTEPOを、塩基性部位を含む例えば多孔質アルミナのような固体の状態の吸着剤または塩基性混合金属酸化物の吸着剤に接触させることで達成することができる。この方法は概して吸着材料の固定床を含むカラムに対象の液体を通すことを含む。続いて砒素含有種は吸着床上の塩基性部位によって補足され、このようにして処理液の残留砒素を低ppb濃度とする。
【0028】
TEPOからの砒素含有不純物の除去に用いられる塩基促進アルミナ含有(BPAC)吸着剤を、それらの化学組成及び構造、参照名、並びにそれらの物理的形状に関して第1表にまとめた。代表的な材料の商業的供給源の例もまた第1表に示した。
【0029】
前記TEPOの砒素含有量は、20〜80℃の温度範囲で数時間〜数日間の期間、静的暴露条件下で様々な充填量の前記BPAC吸着剤にTEPOをさらすことによって、80ppbを越える量から1〜5ppbに低減されることができる。続いて、砒素含有量を1ppb未満にさらに低減、または他の不所望な金属不純物の濃度を低減するために、吸着剤で処理されたTEPOの蒸留が必要とされてもよい。
【0030】
いくつかの実施態様では、TEPOに接触させる前に最初に吸着剤が活性化されて砒素の除去を達成する。前記実施態様では、吸着剤は80℃以上の1以上の温度に加熱される。好ましくは、加熱工程は約80℃〜約600℃、あるいは約100℃〜約500℃、あるいは約200℃〜約400℃の範囲の1以上の温度に行われる。吸着剤前駆体の必要とされる活性化温度は吸着剤の特定の化学的及び物理的性質に依存する。最適活性化温度及び条件は熱重量分析(TGA)または他の手段によって確かめることができる。加熱は真空下、または代わりに、乾燥した、例えばN2、He、またはArのような不活性雰囲気中で行ってもよい。
【0031】
【表1】

【0032】
TEPO中の砒素含有成分または砒素含有成分の分解生成物が吸着剤表面と選択的に吸着または反応して、砒素種が吸着剤表面に物理吸着または化学吸着する。本発明の吸着剤は、供給される粗製TEPO液中の砒素量を約20ppb以下、好ましくは10ppb以下、さらに好ましくは3ppb以下、あるいは最も好ましくは1ppb以下に低減する。
【0033】
砒素を除去するためのTEPOの吸着処理に続いて、蒸留が用いられてもよい。蒸留は、揮発性の有機副生成物から及び不揮発性の残留金属不純物からTEPOを非常に効果的に分離する。蒸留はまた最終の精製工程としても用いられ、例えばTEPO液を固体吸着媒体と接触させた結果としてTEPO内に浸入した不純物のような残留金属不純物を除去する。低ppb濃度の例えばアルカリ、アルカリ土類、希土類、遷移及び主族金属のような特定の金属は、TEPO液を吸着媒体と接触させた結果として、溶存種または固体粒子のいずれかとしてTEPOから抽出され得る。金属成分を含み得る溶存または粒子種は不揮発性と考えられ、したがって代表的な蒸留方法によって元のTEPO溶液から容易に分離されることができる。この最終の蒸留精製工程は、固体吸着剤中に微量濃度で存在する金属が、許容できない濃度の前記金属でTEPOを汚染しないことを確保するために使用され得る。
【0034】
本発明のさらなる目的、利点、及び新規特徴が、限定を意図するものではない以下の本発明の例を精査することにより当業者に明確になるであろう。
【実施例】
【0035】
例1
吸着剤BPAC−1〜BPAC−8の活性化
吸着剤BPAC−1及びBPAC−2は出荷前に窒素下、600℃で製造業者によって活性化された。吸着剤BPAC−3〜BPAC−8は使用前に、実験用オーブン内で、窒素流下で20時間、200℃に加熱することによって現地で活性化された。これらの吸着剤の化学組成、構造、及び物理的形状についてのさらなる説明を第1表に示した。熱活性化後に、全ての吸着剤を、以下の例に説明される吸着剤の研究に必要になるまで、窒素パージしたグローブボックス中に保管した。
【0036】
例2
吸着剤BPAC−1を使用することによる、TEPOからの微量砒素の除去
MgO及びAl23が70:30の混合物からなる吸着剤がこの実験のために用いられた。この吸着剤はBPAC−1として本明細書に言及される。窒素グローブボックス内で作業して、45.0gのTEPO及び5.0gの吸着剤BPAC−1が2つの100mlのパイレックス(登録商標)ボトルのそれぞれの中に続けて置かれた。TEPOは、ICP−MS(誘導性結合プラズマ質量分析)によって76ppbの砒素を含むことが前もって分析された。BPAC−1は例1に説明されているように前もって活性化された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。1つのボトルが室温でグローブボックス内に残され、そして他のボトルがあらかじめ80℃に加熱したオーブン内に置かれた。室温で1日及び3日の保管後並びに80℃で1日及び2日の保管後に、砒素の分析のために小アリコート(4ml)を抜き取った。分析によって、TEPO中の砒素含有量が、室温で3日後に初期値の76ppbから19ppbに低下し、そして80℃で2日後に76ppbから25ppbに低下したことが分かった。データを第2表にまとめた。
【0037】
例3
吸着剤BPAC−1を使用することによる、TEASATが混ざったTEPOからの微量砒素の除去
TEASAT(トリエチルアルセネート)として30ppbの砒素が混ざったTEPOがこの例で用いられた。このTEPO試料は117ppbの砒素を含むことが分析された。窒素グローブボックス内で作業して、45.0gのTEPO及び5.0gの吸着剤BPAC−1が2つの100mlのパイレックス(登録商標)ボトルのそれぞれの中に続けて置かれた。BPAC−1は例1に説明されているように前もって活性化された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。1つのボトルが室温でグローブボックス内に残され、そして他のボトルがあらかじめ80℃に加熱したオーブン内に置かれた。室温で1日及び3日の保管後並びに80℃で1日及び2日の保管後に、砒素の分析のために小アリコートを抜き取った。分析によって、TEPO中の砒素含有量が、室温で3日後に初期値の117ppbから33ppbに低下し、そして80℃で2日後に117ppbから27ppbに低下したことが分かった。データを第2表にまとめた。
【0038】
例4
吸着剤BPAC−2を使用することによる、TEPOからの微量砒素の除去
微量濃度のいくつかの塩基性金属酸化物を有するAl23からなる吸着剤がこの実験で用いられた。この吸着剤はBPAC−2として本明細書に言及される。窒素のグローブボックス内で作業して、45.0gのTEPO及び5.0gの吸着剤BPAC−2が2つの100mlのパイレックス(登録商標)ボトルのそれぞれの中に続けて置かれた。TEPOは、ICP−MSによって76ppbの砒素を含むことが前もって分析された。BPAC−2は例1に説明されているように前もって活性化された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。1つのボトルが室温でグローブボックス内に残され、そして他のボトルがあらかじめ80℃に加熱したオーブン内に置かれた。室温で1日及び3日の保管後並びに80℃で1日及び2日の保管後に、砒素の分析のために小アリコートを抜き取った。分析によって、TEPO中の砒素含有量が、室温で3日後に初期値の76ppbから6.4ppbに低下し、そして80℃で2日後に76ppbから5.3ppbに低下したことが分かった。データを第2表にまとめた。
【0039】
例5
吸着剤BPAC−2を使用することによる、TEASATが混ざったTEPOからの微量砒素の除去
TEASATとして30ppbの砒素が混ざったTEPOがこの例で用いられた。このTEPO試料は117ppbの砒素を含むことが分析された。窒素グローブボックス内で作業して、45.0gのTEPO及び5.0gの吸着剤BPAC−2が2つの100mlのパイレックス(登録商標)ボトルのそれぞれの中に続けて置かれた。BPAC−2は例1に説明されているように前もって活性化された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。1つのボトルが室温でグローブボックス内に残され、そして他のボトルがあらかじめ80℃に加熱したオーブン内に置かれた。室温で1日及び3日の保管後並びに80℃で1日及び2日の保管後に、砒素の分析のために小アリコートを抜き取った。分析によって、TEPO中の砒素含有量が、室温で3日後に初期値の117ppbから10.5ppbに低下し、そして80℃で2日後に117ppbから8.3ppbに低下したことが分かった。データを第2表にまとめた。
【0040】
例6
吸着剤BPAC−3を使用することによる、TEPOからの微量砒素の除去
Al23上に9質量%のNa2Oからなる吸着剤がこの実験で用いられた。この吸着剤はBPAC−3として本明細書に言及される。窒素グローブボックス内で作業して、27.0gのTEPO及び3.0gの吸着剤BPAC−3が2つの100mlのパイレックス(登録商標)ボトルのそれぞれの中に続けて置かれた。TEPOは、ICP−MSによって76ppbの砒素を含むことが前もって分析された。BPAC−3は例1に説明されているように前もって活性化された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。1つのボトルが室温でグローブボックス内に残され、そして他のボトルがあらかじめ80℃に加熱したオーブン内に置かれた。ICP−MSによる砒素の分析のために、1日後及び2日後に、2つのボトルのそれぞれから小アリコートを抜き取った。分析によって、室温及び80℃でそれぞれ2日間、吸着剤にさらした試料について、TEPO中の砒素含有量が、初期値の76ppbから7.1ppb及び15.0ppbに低下したことが分かった。データを第2表にまとめた。
【0041】
例7
吸着剤BPAC−3を使用することによる、TEASATが混ざったTEPOからの微量砒素の除去
TEASATとして30ppbの砒素が混ざったTEPOがこの例で用いられた。このTEPO試料は117ppbの砒素を含むことが分析された。窒素グローブボックス内で作業して、27.0gのTEPO及び3.0gの吸着剤BPAC−3が2つの100mlのパイレックス(登録商標)ボトルのそれぞれの中に続けて置かれた。BPAC−3は例1に説明されているように前もって活性化された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。1つのボトルが室温でグローブボックス内に残され、そして他のボトルがあらかじめ80℃に加熱したオーブン内に置かれた。ICP−MSによる砒素の分析のために、1日後及び2日後に、2つのボトルのそれぞれから小アリコートを抜き取った。分析によって、室温及び80℃でそれぞれ2日間、吸着剤にさらした試料について、TEPO中の砒素含有量が、初期値の117ppbから8.5ppb及び16.3ppbに低下したことが分かった。データを第2表にまとめた。
【0042】
例8
吸着剤BPAC−4を使用することによる、TEPOからの微量砒素の除去
Al23上に5質量%のNa2Oからなる吸着剤がこの実験で用いられた。この吸着剤はBPAC−4として本明細書に言及される。窒素グローブボックス内で作業して、27.0gのTEPO及び3.0gの吸着剤BPAC−4が2つの100mlのパイレックス(登録商標)ボトルのそれぞれの中に続けて置かれた。TEPOは、ICP−MSによって76ppbの砒素を含むことが前もって分析された。BPAC−4は例1に説明されているように前もって活性化された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。1つのボトルが室温でグローブボックス内に残され、そして他のボトルがあらかじめ80℃に加熱したオーブン内に置かれた。ICP−MSによる砒素の分析のために、1日後及び2日後に、2つのボトルのそれぞれから小アリコートを抜き取った。分析によって、室温及び80℃でそれぞれ2日間、吸着剤にさらした試料について、TEPO中の砒素含有量が、初期値の76ppbから4.9ppb及び6.5ppbに低下したことが分かった。データを第2表にまとめた。
【0043】
例9
吸着剤BPAC−4を使用することによる、TEASATが混ざったTEPOからの微量砒素の除去
TEASATとして30ppbの砒素が混ざったTEPOがこの例で用いられた。このTEPO試料は117ppbの砒素を含むことが分析された。窒素グローブボックス内で作業して、27.0gのTEPO及び3.0gの吸着剤BPAC−4が2つの100mlのパイレックス(登録商標)ボトルのそれぞれの中に続けて置かれた。BPAC−4は例1に説明されているように前もって活性化された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。1つのボトルが室温でグローブボックス内に残され、そして他のボトルがあらかじめ80℃に加熱したオーブン内に置かれた。ICP−MSによる砒素の分析のために、1日後及び2日後に、2つのボトルのそれぞれから小アリコートを抜き取った。分析によって、室温及び80℃でそれぞれ2日間、吸着剤にさらした試料について、TEPO中の砒素含有量が、初期値の117ppbから5.9ppb及び7.8ppbに低下したことが分かった。データを第2表にまとめた。
【0044】
【表2】

【0045】
例10
吸着剤BPAC−5を使用することによる、TEPOからの微量砒素の除去
Al23上に5質量%のK2CO3からなる吸着剤がこの実験で用いられた。この吸着剤はBPAC−5として本明細書に言及される。窒素グローブボックス内で作業して、27.0gのTEPO及び3.0gの吸着剤BPAC−5が2つの100mlのパイレックス(登録商標)ボトルのそれぞれの中に続けて置かれた。TEPOは、ICP−MSによって76ppbの砒素を含むことが前もって分析された。BPAC−5は例1に説明されているように前もって活性化された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。1つのボトルが室温でグローブボックス内に残され、そして他のボトルがあらかじめ80℃に加熱したオーブン内に置かれた。ICP−MSによる砒素の分析のために、1日後及び2日後に、2つのボトルのそれぞれから小アリコートを抜き取った。分析によって、室温及び80℃でそれぞれ2日間、吸着剤にさらした試料について、TEPO中の砒素含有量が、初期値の76ppbから9.0ppb及び14.1ppbに低下したことが分かった。データを第3表にまとめた。
【0046】
例11
吸着剤BPAC−5を使用することによる、TEASATが混ざったTEPOからの微量砒素の除去
TEASATとして30ppbの砒素が混ざったTEPOがこの例で用いられた。このTEPO試料は117ppbの砒素を含むことが分析された。窒素グローブボックス内で作業して、27.0gのTEPO及び3.0gの吸着剤BPAC−5が2つの100mlのパイレックス(登録商標)ボトルのそれぞれの中に続けて置かれた。BPAC−5は例1に説明されているように前もって活性化された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。1つのボトルが室温でグローブボックス内に残され、そして他のボトルがあらかじめ80℃に加熱したオーブン内に置かれた。ICP−MSによる砒素の分析のために、1日後及び2日後に、2つのボトルのそれぞれから小アリコートを抜き取った。分析によって、室温及び80℃でそれぞれ2日間、吸着剤にさらした試料について、TEPO中の砒素含有量が、初期値の117ppbから15.5ppb及び20.6ppbに低下したことが分かった。データを第3表にまとめた。
【0047】
例12
吸着剤BPAC−6を使用することによる、TEPOからの微量砒素の除去
Na2CO3で修飾されたAl23及びY型ゼオライトの混合物からなる吸着剤がこの実験で用いられた。この吸着剤はBPAC−6として本明細書に言及される。窒素グローブボックス内で作業して、27.0gのTEPO及び3.0gの吸着剤BPAC−6が2つの100mlのパイレックス(登録商標)ボトルのそれぞれの中に続けて置かれた。TEPOは、ICP−MSによって76ppbの砒素を含むことが前もって分析された。BPAC−6は例1に説明されているように前もって活性化された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。1つのボトルが室温でグローブボックス内に残され、そして他のボトルがあらかじめ80℃に加熱したオーブン内に置かれた。ICP−MSによる砒素の分析のために、1日後及び2日後に、2つのボトルのそれぞれから小アリコートを抜き取った。分析によって、室温及び80℃でそれぞれ2日間、吸着剤にさらした試料について、TEPO中の砒素含有量が、初期値の76ppbから8.1ppb及び7.2ppbに低下したことが分かった。データを第3表にまとめた。
【0048】
例13
吸着剤BPAC−6を使用することによる、TEASATが混ざったTEPOからの微量砒素の除去
TEASATとして30ppbの砒素が混ざったTEPOがこの例で用いられた。このTEPO試料は117ppbの砒素を含むことが分析された。窒素グローブボックス内で作業して、27.0gのTEPO及び3.0gの吸着剤BPAC−6が2つの100mlのパイレックス(登録商標)ボトルのそれぞれの中に続けて置かれた。BPAC−6は例1に説明されているように前もって活性化された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。1つのボトルが室温でグローブボックス内に残され、そして他のボトルがあらかじめ80℃に加熱したオーブン内に置かれた。ICP−MSによる砒素の分析のために、1日後及び2日後に、2つのボトルのそれぞれから小アリコートを抜き取った。分析によって、室温及び80℃でそれぞれ2日間、吸着剤にさらした試料について、TEPO中の砒素含有量が、初期値の117ppbから11.1ppb及び9.7ppbに低下したことが分かった。データを第3表にまとめた。
【0049】
例14
吸着剤BPAC−7を使用することによる、TEPOからの微量砒素の除去
8質量%のNa2CO3と共形成したAl23からなる吸着剤がこの実験で用いられた。この吸着剤はBPAC−7として本明細書に言及される。窒素グローブボックス内で作業して、27.0gのTEPO及び3.0gの吸着剤BPAC−7が2つの100mlのパイレックス(登録商標)ボトルのそれぞれの中に続けて置かれた。TEPOは、ICP−MSによって76ppbの砒素を含むことが前もって分析された。BPAC−7は例1に説明されているように前もって活性化された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。ボトルが室温でグローブボックス内に放置された。ICP−MSによる砒素の分析のために、1日後及び2日後に、小アリコートを抜き取った。分析によって、室温で2日間、吸着剤にさらした後、TEPO中の砒素含有量が、初期値の76ppbから10.0ppbに低下したことが分かった。データを第3表にまとめた。
【0050】
例15
吸着剤BPAC−8を使用することによる、TEPOからの微量砒素の除去
8質量%のK2CO3と共形成したAl23からなる吸着剤がこの実験で用いられた。この吸着剤はBPAC−8として本明細書に言及される。窒素グローブボックス内で作業して、27.0gのTEPO及び3.0gの吸着剤BPAC−8が100mlのパイレックス(登録商標)ボトルの中に続けて置かれた。BPAC−8は例1に説明されているように前もって活性化された。TEPOは、ICP−MSによって76ppbの砒素を含むことが前もって分析された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。ボトルが室温でグローブボックス内に放置された。ICP−MSによる砒素の分析のために、1日後及び2日後に、小アリコートを抜き取った。分析によって、室温で2日間、吸着剤にさらした後、TEPO中の砒素含有量が、初期値の76ppbから12.5ppbに低下したことが分かった。データを第3表にまとめた。
【0051】
【表3】

【0052】
例16
様々な充填濃度の吸着剤BPAC−2を使用することによる、TEPOからの微量砒素の除去
窒素グローブボックス内で作業して、45.0gのTEPO及び5.0gの吸着剤BPAC−2が100mlのパイレックス(登録商標)ボトルの中に続けて置かれ、10.0質量%の吸着剤を有するTEPOが調製された。5.0質量%の吸着剤試料が、28.5gのTEPO及び1.5gの吸着剤を用いて同様の方法で調製された。2.0質量%の吸着剤試料が、29.4gのTEPO及び0.6gの吸着剤を用いて調製された。1.0質量%の吸着剤試料が、29.7gのTEPO及び0.3gの吸着剤を用いて調製された。BPAC−2は例1に説明されているように前もって活性化された。TEPOは、ICP−MSによって76ppbの砒素を含むことが前もって分析された。4つのボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。ボトルが室温でグローブボックス内に放置された。ICP−MSによる砒素の分析のために、1、2、及び3日後に、ボトルから小アリコートを抜き取った。分析によって、3日間、10.0質量%の吸着剤にさらしたTEPOについて、TEPO中の砒素含有量が、初期値の76ppbから6.4ppbに低下したことが分かった。室温で2日間、5.0、2.0、及び1.0質量%の吸着剤にそれぞれさらした試料について、砒素含有量が、初期値の76ppbから9.2ppb、11.3ppb、及び14.6ppbに低下した。データを第4表にまとめた。
【0053】
例17
様々な充填濃度の吸着剤BPAC−2を使用することによる、TEASATが混ざったTEPOからの微量砒素の除去
TEASATとして30ppbの砒素が混ざったTEPOがこの例で用いられた。このTEPO試料は117ppbの砒素を含むことが分析された。窒素グローブボックス内で作業して、45.0gのTEPO及び5.0gの吸着剤BPAC−2が100mlのパイレックス(登録商標)ボトルの中に続けて置かれ、10.0質量%の吸着剤を有するTEPOが調製された。5.0質量%の吸着剤試料が、28.5gのTEPO及び1.5gの吸着剤を用いて同様の方法で調製された。2.0質量%の吸着剤試料が、29.4gのTEPO及び0.6gの吸着剤を用いて調製された。1.0質量%の吸着剤試料が、29.7gのTEPO及び0.3gの吸着剤を用いて調製された。BPAC−2は例1に説明されているように前もって活性化された。4つのボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。ボトルが室温でグローブボックス内に放置された。ICP−MSによる砒素の分析のために、1、2、及び3日後に、ボトルから小アリコートを抜き取った。分析によって、3日間、10.0質量%の吸着剤にさらしたTEPOについて、TEPO中の砒素含有量が、初期値の117ppbから10.5ppbに低下したことが分かった。室温で2日間、5.0、2.0、及び1.0質量%の吸着剤にそれぞれさらした試料については、砒素含有量が、初期値の117ppbから5.2ppb、7.5ppb、及び21.4ppbに低下した。データを第4表にまとめた。
【0054】
【表4】

【0055】
例18
2段階の工程:(1)10.0質量%の吸着剤BPAC−2を使用した静的吸着;及び(2)フラッシュ蒸留を使用することによる、216gのTEPO試料からの微量砒素の除去
窒素グローブボックス内で作業して、216gのTEPO及び24.0gの吸着剤BPAC−2が500mlのパイレックス(登録商標)ボトルの中に続けて置かれた。BPAC−2は例1に説明されているように前もって活性化された。TEPOは、ICP−MSによって76ppbの砒素を含むことが前もって分析された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって数時間にわたって定期的に攪拌された。ボトルがグローブボックス内で室温に保たれた。3日後に液体が第2のパイレックス(登録商標)ボトルに静かに移され、吸着剤ビーズから液体を分離させた。静かに移されたTEPOは2つの均等な割合:割合A及び割合Bに分けられた。液体の小アリコートが砒素分析のために割合Aから抜き取られた。割合Bは回転蒸発器を用いてフラッシュ蒸留された。割合Bから蒸留液の小アリコートが砒素分析のために抜き取られた。吸着剤で処理された試料のフラッシュ蒸留前及び後の砒素含有量が測定され、それぞれ8.2ppb及び4.1ppbであった。
【0056】
例19
2段階の工程:(1)10.0質量%の吸着剤BPAC−2を使用した静的吸着;及び(2)フラッシュ蒸留を使用することによる、1070gのTEPO試料からの微量砒素の除去
窒素グローブボックス内で作業して、1070gのTEPO及び119gの吸着剤BPAC−2が、吸気口及び排気口のテフロン(登録商標)バルブ部分を備えた1.5リットルの石英バブラーの中に続けて置かれた。BPAC−2は例1に説明されているように前もって活性化された。TEPOは、ICP−MSによって76ppbの砒素を含むことが前もって分析された。バブラーは、吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって数時間にわたって定期的に攪拌された。バブラーがグローブボックス内で室温に保たれた。5日後に液体が第2のパイレックス(登録商標)ボトルに静かに移され、吸着剤ビーズから液体を分離させた。静かに移されたTEPOは2つの部分:割合A(〜770g)及び割合B(〜300g)に分けられた。液体の小アリコートが砒素分析のために割合Aから抜き取られた。割合Bは回転蒸発器を用いてフラッシュ蒸留された。割合Bから蒸留液の小アリコートが砒素分析のために抜き取られた。吸着剤で処理された試料のフラッシュ蒸留前及び後の砒素含有量が測定され、それぞれ8.5ppb及び2.5ppbであった。
【0057】
例20
2段階の工程:(1)10.0質量%の吸着剤BPAC−4を使用した静的吸着;及び(2)フラッシュ蒸留を使用することによる、216gのTEPO試料からの微量砒素の除去
窒素グローブボックス内で作業して、216gのTEPO及び24.0gの吸着剤BPAC−4が500mlのパイレックス(登録商標)ボトルの中に続けて置かれた。BPAC−4は例1に説明されているように前もって活性化された。TEPOは、ICP−MSによって76ppbの砒素を含むことが前もって分析された。ボトルは、テフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって数時間にわたって定期的に攪拌された。ボトルがグローブボックス内で室温に保たれた。3日後に液体が第2のパイレックス(登録商標)ボトルに静かに移され、吸着剤ビーズから液体を分離させた。静かに移されたTEPOは2つの均等な割合:割合A及び割合Bに分けられた。液体の小アリコートが砒素分析のために割合Aから抜き取られた。割合Bは回転蒸発器を用いてフラッシュ蒸留された。割合Bから蒸留液の小アリコートが砒素分析のために抜き取られた。吸着剤で処理された試料のフラッシュ蒸留前及び後の砒素含有量が測定され、それぞれ8.2ppb及び4.1ppbであった。
【0058】
例21
2段階の工程:(1)10.0質量%の吸着剤BPAC−4を使用した静的吸着;及び(2)フラッシュ蒸留を使用することによる、1070gのTEPO試料からの微量砒素の除去
窒素グローブボックス内で作業して、1070gのTEPO及び119gのDD−710ビーズが、吸気口及び排気口のテフロン(登録商標)バルブ部分を備えた1.5リットルの石英バブラーの中に続けて置かれた。吸着剤BPAC−4は例1に説明されているように前もって活性化された。TEPOは、ICP−MSによって76ppbの砒素を含むことが前もって分析された。バブラーは、吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって数時間にわたって定期的に攪拌された。バブラーがグローブボックス内で室温に保たれた。6日後に液体が第2のパイレックス(登録商標)ボトルに静かに移され、吸着剤ビーズから液体を分離させた。静かに移されたTEPOは2つの部分:割合A(〜770g)及び割合B(〜300g)に分けられた。液体の小アリコートが砒素分析のために割合Aから抜き取られた。割合Bは回転蒸発器を用いてフラッシュ蒸留された。割合Bから蒸留液の小アリコートが砒素分析のために抜き取られた。吸着剤で処理された試料のフラッシュ蒸留前及び後の砒素含有量が測定され、それぞれ4.7ppb及び0.5ppbであった。
【0059】
例22
吸着剤BPAC−10を使用することによる、TEPOからの微量砒素の除去
アルミナ上に支持されるMgO・(K2CO32試料は、本明細書でBPAC−10として言及され、溶解したマグネシウムアセテートテトラハイドレート(Mg(OAc)2・4H2O)及び酢酸カリウム(KOAc)を含む水性溶液を多孔質アルミナ基板に含浸させることによって調製された。4:1のK:Mgのオキシカーボネートを調製するためには、約35wt%のMg(OAc)2・4H2Oと65wt%のKOAcの質量比率を用いて水性溶液を調製する必要がある。記載した方法で調製された含浸されたアルミナ基板は、続けて550℃で4時間焼成された。このように調製された約3.31gの吸着剤BP−10が、40mlのガラス薬瓶内の23.45gのTEPOに添加された。24時間の浸漬試験後に、処理されたTEPO試料を砒素分析用に確保した。事前及び事後分析によって、砒素が109ppbから85ppbに約20%低下したことが分かった。
【0060】
今度は含浸されたアルミナビーズを430℃で一晩中焼成して、吸着剤BPAC−10の他の試料が調製された。焼成は、Al23上にMgO・(K2CO32の近似組成の最終の支持材料を作る目的で、遊離水、結晶水を除去するために、並びにMg(OAc)2からMgO及びKOAcからK2CO3に転換するために、より長い時間行うことができる。他の浸漬試験は、質量比4.1:1のTEPO:アルミナ支持吸着剤を用いて行った。24時間後、TEPOがサンプリングされ、砒素が22ppbに約80%減少したことが分かった。
【0061】
例23
吸着剤IE−1、AC−1、及びSG−1を使用することによる、TEPOからの微量砒素の除去
代替吸着剤の追加の検査を、例22で用いられたものと同じTEPO未処理材料の供給原料(109ppbの砒素濃度)を用いて行った。TEPOは40mlのガラス薬瓶内に約半分の体積まで移された。薬瓶は、様々な質量比の割合を占める約15体積%の吸着剤であらかじめ満たされた。質量比13.27の吸着剤に対するTEPOを使用することによって、吸着剤IE−1が砒素を96ppbに12%低減した。質量比5.883の吸着剤に対するTEPOを使用することによって、吸着剤AC−1が砒素を62ppbに43%低減した。吸着剤SG−1(TEPO:ゲルの質量比が8.398:1)を使用した処理は砒素濃度に影響がなかった。吸着剤IE−1、AC−1、及びSG−1は全て非アルミナ吸着剤であり、第1表にさらに詳細に説明した。
【0062】
例24
BPAC−9を使用することによる、26gのTEPOからの微量砒素の除去
20:56:24のK2CO3:MgO:Al23の混合物からなる吸着剤をこの実験で用いた。この吸着剤は、本明細書でBPAC−9として言及される。この実験で用いられる粗製TEPOは117ppbの砒素を含むことが分析された。吸着剤BP−9はさらなる活性化を行わないで製造供給元から受け入れたままのものが用いられた。窒素グローブボックス内で作業して、26.5916gのTEPOが、ねじ蓋を備えた40mlのガラス薬瓶内に置かれた。薬瓶はグローブボックスから取りだされた。5.0572gのBP−9が大気条件下で薬瓶に添加され、〜5:1の質量比のTEPO:BPAC−9吸着剤に相当した。ガラス薬瓶は数分にわたって攪拌されて数回混合され、次いで一晩中静置された。約24時間後に、薬瓶がグローブボックスに戻され、4mlのTEPOがBPAC−9から分離され、0.45μmのシリンジフィルターで濾過して、砒素分析にかけた。分析結果によると、ろ過試料の砒素濃度は16.7ppbであり、したがって、砒素濃度が85%より多く減少したことが分かった。
【0063】
例25
BPAC−9を使用することによる、16kgのTEPOからの微量砒素の除去
85.2ppbの砒素濃度を有する未処理TEPOがこの例で用いられた。16kgのTEPOは、10:1の質量比であるTEPO:BPAC−9を得るように1.6kgのBPAC−9吸着剤を含む2つのステンレス製容器のそれぞれに移された。容器は真空下で充填され、そして減圧したヘッドスペース下に放置された。ペレットとのTEPOの接触を最適化するために容器を床上で回転させて簡単に攪拌された。充填してから3日目に(約72時間の接触時間)、2つの容器をサンプリングした。それぞれの容器から約50mlの溶液を含んでアンプルが引き抜かれた。2つのアンプルをグローブボックスの中に取り入れて、4mlのそれぞれのサンプルを0.45μmのフィルターでろ過した。2つの容器についての結果は、第1の容器が2.378ppbであり、第2の容器が0.982ppbであることを示した。この場合には、概ね全ての砒素がTEPOから除去されるが、残念ながら、TEPOはカリウム及びナトリウムの両方を顕著に増加した。カリウムは187ppb及び161ppbにそれぞれ増加し、そしてナトリウムは最大10.44及び8.64ppbに増加した。未処理材料中の両元素の代表的な濃度は1ppb未満である。
【0064】
例26
BPAC−2及びBPAC−4吸着剤を使用することによる、高濃度砒素を含むTEPOの精製
窒素グローブボックス内で作業して、18.0gのTEPO及び2.0gの吸着剤BPAC−2が50mlのパイレックス(登録商標)ボトルの中に続けて置かれた。18.0gのTEPO及び2.0gの吸着剤BPAC−4が第2のパイレックス(登録商標)ボトルの中に置かれた。BPAC−2及びBPAC−4は例1に説明されているように前もって活性化された。TEPOは、ICP−MSによって10,000ppbより多い砒素を含むことが前もって分析された。ボトルは、テフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。ボトルを、3日間、室温でグローブボックス内に放置し、その後に小アリコートをICP−MSによる砒素分析のために取り出した。分析によって、TEPO中の砒素含有量が、BPAC−2で処理されたTEPOについては10,000ppbより多い初期値から23ppbに低下し、そしてBPAC−4で処理されたTEPOについては97ppbに低下したことが分かった。これは、BPAC−2及びBPAC−4でそれぞれ処理された試料中の砒素が、99.8%及び99.0%除去されたことに対応する。
【0065】
例27
BPAC−2及びBPAC−4吸着剤を使用することによる、高濃度砒素を含むTEPOの精製
TEASAT(トリエチルアルセネート)として3,300ppbの砒素が混ざったTEPOがこの例で用いられた。窒素グローブボックス内で作業して、18.0gのTEPO及び2.0gの吸着剤BPAC−2が50mlのパイレックス(登録商標)ボトルの中に続けて置かれた。18.0gのTEPO及び2.0gの吸着剤BPAC−4が第2のパイレックス(登録商標)ボトルの中に置かれた。吸着剤BPAC−2及びBPAC−4は例1に説明されているように前もって活性化された。ボトルはテフロン(登録商標)コーティングされた蓋がかぶせられ、そして吸着剤のペレットが均一に濡れることを確保するために液体をかき混ぜることによって1時間にわたって定期的に攪拌された。ボトルを、3日間、室温でグローブボックス内に放置し、その後に小アリコートをICP−MSによる砒素分析のために取り出した。分析によって、TEPO中の砒素含有量が、BPAC−2で処理されたTEPOについては11ppbに低下し、そしてBPAC−4で処理されたTEPOについては20ppbに低下したことが分かった。これは、BPAC−2及びBPAC−4でそれぞれ処理された試料中の砒素が、99.7%及び99.4%除去されたことに対応する。
【0066】
実施例を含む上記の本発明の実施態様は、本発明によって作られ得る多くの実施態様の典型例である。多くの他の構成の方法が用いられることができ、その方法において用いられる材料は、具体的に開示した材料以外の多くの材料からも選ばれ得ることが考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェートから該砒素含有不純物を除去する方法であって:
トリエチルホスフェートと比べて該砒素含有不純物を選択的に吸着する吸着剤を準備すること;
該砒素含有不純物を有する該粗製トリエチルホスフェートを該吸着剤と接触させること;及び
該砒素含有不純物を有する該粗製トリエチルホスフェートから該砒素含有不純物を吸着して、減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートを作ること、
を含む砒素含有不純物の除去方法。
【請求項2】
該吸着剤がアルミナ含有吸着剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該アルミナ含有吸着剤が塩基促進アルミナ含有吸着剤である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
該塩基促進アルミナ含有吸着剤がZxyで表され、式中、
xは該吸着剤中のZの質量パーセントで、30%〜99.999%の範囲であり;
yは該吸着剤中のWの質量パーセントで、x+y=100%であり;
Zはアルミナ(Al23)、マグネシウム−アルミナ系の層状複水酸化物(MgO−Al23)、アルミナ−ゼオライト、及びそれらの混合物からなる群から選択され;並びに
Wは少なくとも1種の塩基性金属酸化物、少なくとも1種の塩基性金属炭酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該少なくとも1種の塩基性金属酸化物が少なくとも1種の塩基性アルカリ金属酸化物、及び該少なくとも1種の塩基性金属炭酸塩が少なくとも1種の塩基性アルカリ金属炭酸塩である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
WがMgO、CaO、Na2O、K2O、K2CO3、Na2CO3、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
該吸着剤がイオン交換樹脂または活性炭を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該接触が0℃〜140℃の温度範囲で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該接触が静的接触である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
該接触が動的接触であり、該粗製トリエチルホスフェートを該吸着剤が充填されたカラム中を通すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
該吸着剤が、該接触の前に、真空下または乾燥不活性ガス雰囲気下で加熱を介して活性化される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
該砒素含有不純物を有する該粗製トリエチルホスフェート中の該砒素含有不純物は50ppb〜10,000ppbの範囲であり、且つ該減少した砒素含有不純物を有する該製品トリエチルホスフェート中の該減少した砒素含有不純物は10ppb未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェートから該砒素含有不純物を除去する方法であって;
トリエチルホスフェートと比べて該砒素含有不純物を選択的に吸着する吸着剤を準備すること;
該砒素含有不純物を有する該粗製トリエチルホスフェートを該吸着剤と接触させること;
該砒素含有不純物を有する該粗製トリエチルホスフェートから該砒素含有不純物を吸着して、減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートを作ること;及び
該減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートを蒸留して、該減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートから該砒素含有不純物をさらに除去すること、
を含む砒素含有不純物の除去方法。
【請求項14】
該吸着剤がアルミナ含有吸着剤である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該アルミナ含有吸着剤が塩基促進アルミナ含有吸着剤である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
該塩基促進アルミナ含有吸着剤がZxyで表され、式中、
xは該吸着剤中のZの質量パーセントで、30%〜99.999%の範囲であり;
yは該吸着剤中のWの質量パーセントで、x+y=100%であり;
Zはアルミナ(Al23)、マグネシウム−アルミナ系の層状複水酸化物(MgO−Al23)、アルミナ−ゼオライト、及びそれらの混合物からなる群から選択され;並びに
Wは少なくとも1種の塩基性金属酸化物、少なくとも1種の塩基性金属炭酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該少なくとも1種の塩基性金属酸化物が少なくとも1種の塩基性アルカリ金属酸化物、及び該少なくとも1種の塩基性金属炭酸塩が少なくとも1種の塩基性アルカリ金属炭酸塩である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
WがCaO、MgO、Na2O、K2O、K2CO3、Na2CO3、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
該吸着剤がイオン交換樹脂または活性炭を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
該接触が0℃〜140℃の温度範囲で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
該接触が静的接触である、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
該接触が動的接触であり、該粗製トリエチルホスフェートを該吸着剤が充填されたカラム中を通すことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
該吸着剤が、該接触の前に、真空下または乾燥不活性ガス雰囲気下で加熱を介して活性化される、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
該粗製トリエチルホスフェート中の該砒素含有不純物は50ppb〜10,000ppbの範囲であり、且つ蒸留工程後の該製品トリエチルホスフェート中の該砒素含有不純物は10ppb未満である、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
砒素含有不純物を有する粗製トリエチルホスフェートから該砒素含有不純物を除去する方法であって:
トリエチルホスフェートと比べて該砒素含有不純物を選択的に吸着する吸着剤を準備すること;
該砒素含有不純物を有する該粗製トリエチルホスフェートを該吸着剤と接触させること;
該砒素含有不純物を有する該粗製トリエチルホスフェートから該砒素含有不純物を吸着して、減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートを作ること;並びに
該減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートを蒸留して、該砒素含有不純物をさらに除去すること、及び該減少した砒素含有不純物を有する製品トリエチルホスフェートから揮発性の有機副生成物及び不揮発性の残留金属不純物を除去すること、
を含む砒素含有不純物の除去方法。

【公開番号】特開2010−31009(P2010−31009A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172122(P2009−172122)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】