説明

トリガースイッチ

【課題】制御基板に取り付けられているリード線の近傍位置にケースと連設して片腕形状のリード線巻回部を備えた構造にして、リード線を巻回部に巻回するようにしたトリガースイッチを提供する。
【解決手段】トリガースイッチは、操作レバーの摺動操作に基いて可動接点をオンオフさせる接点機構と、該接点機構の接点状態を電気信号にして伝達する機能を備えた制御基板と、前記制御基板に取り付けたリード線と、を備え、前記制御基板に取り付けたリード線の基部側の近傍位置に前記リード線を巻回させるリード線巻回部を備えたことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリガースイッチに関し、詳しくは、電動工具用スイッチに使用されているスイッチから導出されているリード線が振動等により線自体の切断や外れ等を防止するためにリード線を緩衝できるようにして配置したトリガースイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術における電動工具用スイッチは、図4及び図5に示すように、操作レバー111の操作によりオン/オフする接点機構部を内部に備えたスイッチ本体112と、スイッチ本体112の側面壁に設けたリード線押さえ部125、スイッチ本体112の内部に設け、一部を外部に露出させた状態で配置されている制御基板113、露出されている制御基板113に設けてあるリード線接続部114にハンダ付けにより接続されているリード線115、リード線115の先端に取り付けたコネクタ116、とから大略構成されている。
【0003】
リード線押さえ部125は、複数のリブ126を整列状態に配置したもので、詳しくは、3つのリブ126を直線状に等間隔で配列し、隣接するリブとの間隔(図5においてW)はリード線の被覆径(図5においてV)に合わせた距離に形成されている。
【0004】
制御基板113のリード線接続部114に接続されているリード線115は、制御基板113のリード線接続部114に取り付けられているリード線115の途中の部分をリード線押さえ部125のリブ126の間に挟んでリード線115を固定することで、リード線115に加わる応力に対して、特にリード線接続部114のハンダ付部の部分のリード線115に対しての応力を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−62346
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術で説明したリード線に加わる応力を抑制する構造として複数のリブの間にリード線を挟みこむ構造のリード線押さえ部を設けたスイッチにおいて、そのリード線押さえ部を形成する複数のリブの間隔がリード線の被覆径(リード線の直径)に合わせた間隔になっている。そのため、リード線の被覆径によっては挟み込んで固定できないものもあり、構造的に決められたリード線しか使用することができないという問題がある。
また、複数のリブからなるリード線押さえ部においては、リード線を装着するときに、リード線を1本づつ、リブの間にだぶらないように挟み込む必要があり、そのため手間と時間がかかるという問題もある。
【0007】
従って、制御基板に取り付けられている信号用のリード線の引き回しに際して、そのリード線に応力がかかってもハンダ付けした側のリード線に影響を及ぼさない従来技術と異なった構造のリード線を緩衝及び固定する手段、例えば、引き回しが簡単で且つリード線の被覆径に関係せず、しかも手間と時間がかからないで装着固定できるような構造のリード線の途中で固定する構造に解決しなければならない課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明のトリガースイッチは、次に示す構成にすることである。
【0009】
(1)トリガースイッチは、操作レバーの摺動操作に基いて可動接点をオンオフさせる接点機構と、該接点機構の接点状態を電気信号にして伝達する機能を備えた制御基板と、前記制御基板に取り付けたリード線と、を備え、前記制御基板に取り付けたリード線の基部側の近傍位置に前記リード線を巻回させるリード線巻回部を備えたことである。
(2)前記リード線巻回部は、ケースに連設して片腕状に形成し、基部から起立させた起立部の先端を直交方向に延設させた延設部を設け、前記起立部の先端を突出させた基端ガイド部と、前記延設部の終端側を内方向及び外方向に突出させた内方向ガイド部及び外方向ガイド部を備えたことを特徴とする(1)に記載のトリガースイッチ。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るトリガースイッチは、制御基板に取り付けられているリード線の近傍位置にケースと連設して片腕形状のリード線巻回部を備えた構造にすることで、リード線を巻回部に巻回する、通常1ターン巻回して所望の箇所に引き込むことで、巻回した箇所でのリード線に加わる応力を緩和させることができる。単に、巻回するだけであるため、組み立てる際には組み立て作業が簡単で、しかもリード線の被覆径といった制約は全く考慮する必要がないため、部品精度が極めて緩やかにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るトリガースイッチの平面図である。
【図2】同、背面図である。
【図3】同、後方側からみた斜視図である。
【図4】従来技術におけるトリガースイッチの斜視図である。
【図5】従来技術におけるリード線押さえ部を拡大して示した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本願発明に係るトリガースイッチの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
本発明に係るトリガースイッチは、図1乃至図3に示すように、操作レバー11の摺動操作により可動接点をオン/オフ動作させる接点機構をケース12内部に備え、このケース12に蓋をするカバー13とを備え、ケース12には制御基板14を内蔵させ、その制御基板14の一部が外部に突出させた状態で維持する構造となっている。
このケース12において、制御基板14の一部を突出させる近傍位置にリード線15を巻回させるリード線巻回部16を備えた構造となっている。
【0014】
リード線巻回部16は、ケース12の底部に連設させて一体的に設けたもので、全体が片腕形状に形成され、基部側から起立した起立部17、この起立部17の先端側が直交方向に延設した延設部18、延設部18の基端を更に外方向に突出形成した基端ガイド部19、延設部18の先端側で内方向に突出させて形成した内方向ガイド部21、外方向に突出形成した外方向ガイド部22、とを有する形状となっている。
【0015】
このような構造のリード線巻回部16においては、制御基板14にハンダ付けにて取り付けられている複数のリード線15、実施例においては4本のリード線15を束ねて片腕形状に形成された延設部18に1ターン巻回する。そうすると、基端ガイド部19と内方向ガイド部21及び外方向ガイド部22に挟まれた延設部18にリード線15の束が集約されて巻くことができる。
【0016】
巻かれたリード線15は少なくとも1ターン巻いて絡めるため、巻かれた部位で巻かれた同士を締め付けるため、ハンダ付けした側のリード線15には引っ張り等の外力がかからない。そのため、リード線15を引き回し等しても直接ハンダ付けした側のリード線15には影響を与えない。
【0017】
更に、絡めたリード線15においては、振動等による強弱な引っ張り或いは緩める等が発生しても絡めた部位のリード線15が引っ張り或いは緩める力を吸収することにより、他への影響、例えば、ハンダ付けしたリード線15の接続部位には直接影響しないようにすることができる。
【0018】
また、リード線15をリード線巻回部16に巻回するには、束ねたリード線15をリード線巻回部16の延設部18に巻回するときに、延設部18の周囲にはスペースが確保されているため、巻回するリード線15の被覆径の寸法にこだわることなく巻くことができ、リード線15の被覆径のバラツキに関係なく簡単に且つ容易に巻くことができるというものである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
制御基板に取り付けられているリード線の近傍位置にケースと連設して片腕形状のリード線巻回部を備えた構造にして、リード線を巻回部に巻回するようにしたトリガースイッチを提供する。
【符号の説明】
【0020】
11 操作レバー
12 ケース
13 カバー
14 制御基板
15 リード線
16 リード線巻回部
17 起立部
18 延設部
19 基端ガイド部
21 内方向ガイド部
22 外方向ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作レバーの摺動操作に基いて可動接点をオンオフさせる接点機構と、該接点機構の接点状態を電気信号にして伝達する機能を備えた制御基板と、前記制御基板に取り付けたリード線と、を備え、
前記制御基板に取り付けたリード線の基部側の近傍位置に前記リード線を巻回させるリード線巻回部を備えたことを特徴とするトリガースイッチ。
【請求項2】
前記リード線巻回部は、ケースに連設して片腕状に形成し、基部から起立させた起立部の先端を直交方向に延設させた延設部を設け、前記起立部の先端を突出させた基端ガイド部と、前記延設部の終端側を内方向及び外方向に突出させた内方向ガイド部及び外方向ガイド部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のトリガースイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−175829(P2011−175829A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38457(P2010−38457)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(301040796)佐鳥エス・テック株式会社 (26)
【Fターム(参考)】