説明

トリガースプレー

【課題】本発明は、連結管を円滑に屈曲させ、使用する際、的を狙い易い上、液の飛び出し方向と指操作の方向を同一方向にでき且つ連結管にも無理な力が加わらないトリガースプレーを提供すること。
【解決手段】容器口部に取り付けられる蓋台11と該蓋台に取り付けられるベース体9と、該ベース体と一体となったシリンダー2と、該シリンダー内を摺動するピストン1と、該ベース体に回動可能に支持されており一方の端部をピストンに枢着した天秤アームと、且つ天秤アーム7に対して復帰力を与えるスプリング6と、天秤アームの他方の一端に当接し、水平方向に押すことにより天秤アーム7を回動させるスライダーと、ベース体に取り付け1を連結する連結管5を備え、該連結管が屈曲性を有し、スライダー3をノズル部側へ押し込んで移動させることによりピストン内の液を、連結管5を介してノズル部4から噴射させるトリガースプレーA。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガーを回動移動させることによりピストンを押し下げて容器に通じるシリンダー内の液体をノズルより噴射させるトリガースプレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤等の液体を吹き付けるためにスプレー容器が使用されている。
スプレー容器に取り付けられた吹き付け機構であるポンプディスペンサには、例えばトリガースプレーが使用されている(特許文献1参照)。
このトリガースプレーは、回動自在にベースに「く」の字に屈折したトリガー部材207と、ピストン201と、を接合し、且つトリガー部材207の自由端を水平移動可能なスライダー203に当接させた構造となっている(図8参照)。
【0003】
このような構造とすることで、スライダー203を引き込む動作が直線的になり、トリガースプレーを使用する者の操作が簡便になる。
また、スライダー203が容器の幅から突出しない形状となっているため、嵩張らず、携帯に便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−114103号公報
【特許文献2】特願2008−231415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載のトリガースプレーには、ピストン201と接合されたノズル部204がハウジング210に固定されていないため、スライダー203を引き込んでピストン201を降下させると、その運動に伴いノズル部204も降下するという問題があった。
そのため、トリガースプレーを使用する際、的を狙いにくく、定めた箇所に的確に液体を噴射させることが難しい。
【0006】
この問題を解決するために、ハウジングにノズル部を固定し、該ノズル部とピストンとを屈曲性を有する連結管で接続するという対応策が考えられる。
しかしながら、上記特許文献に記載されているトリガースプレーにこのような構造を取り入れても、ピストンとトリガー部材との接合部がトリガー部材の回動軸の位置より内側、すなわちスライダーとトリガー部材との接触部側の位置にあるため、連結管がピストンの上下運動に必ずしも十分追従できない。
換言すると、このような構造では連結管の長さが十分でないためピストンの上下運動によって無理な力が生じる結果、スライダーのスムースな運動にも悪影響を与えることとなる。
【0007】
このようなことから、発明者等は、使用する際、的を狙い易く、且つ連結管にも無理な力が加わらないトリガースプレーを既に開発している(特許文献2参照)。
しかし、このトリガースプレーにおいても、液の飛び出し方向と指操作の方向(指を押す方向)が反対であるため、必ずしも本来の人間工学的なユーザビリティの観点からはマッチイングしていない。
すなわち、特に、トリガースプレーを初めて扱う幼児等は、指操作の学習効果がなく液の飛び出し方向を間違える場合が多い。
力を入れる方向と液が飛び出る方向が異なるので不用意に顔に薬液を噴射してしまうことがある。
トリガーの動く方向とは逆方向に液が飛び出すからである。
【0008】
本発明は以上の課題を解決すべく開発されたものである。
すなわち、本発明の目的は、連結管を円滑に屈曲させ、使用する際、的を狙い易い上、液の飛び出し方向と指操作の方向を同一方向にでき且つ連結管にも無理な力が加わらないトリガースプレーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、以上のような課題背景をもとに鋭意研究を重ねた結果、スライダーの配置を変えることによって、上記の課題を解決できることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、(1)、容器口部に取り付けられる蓋台と該蓋台に取り付けられるベース体9と、該ベース体と一体となったシリンダーと、該シリンダー内を摺動するピストンと、該ベース体に回動可能に支持されており一方の端部(第1端部)をピストンに枢着した天秤アームと、且つ天秤アームに対して復帰力を与えるスプリングと、天秤アームの他方の一端(第2端部)に当接し、水平方向に押すことにより天秤アームを回動させるスライダーと、ベース体に取り付けられたハウジングと、該ハウジングに固定されたノズル部と、該ノズル部とピストンを連結する連結管を備え、該連結管が屈曲性を有し、スライダーをノズル部側へ押し込んで移動させることによりピストン内の液を、連結管を介してノズル部から噴射させるトリガースプレーに存する。
【0011】
また、本発明は、(2)、スライダーはベース体に沿って移動可能である上記(1)記載のトリガースプレーに存する。
【0012】
また、本発明は、(3)、ベース体にフック状の起立した掛止部を備え、該掛止部に天秤アームが支持されている上記(1)記載のトリガースプレーに存する。
【0013】
また、本発明は、(4)、 天秤アームは、スライダーの移動により第2端部が上方に移動し、第1端部が下方に移動する上記(1)記載のトリガースプレーに存する。
【0014】
また、本発明は、(5)、スプリングが基部と該基部からU字状に湾曲して突出し先端で連結された湾曲バネ部とよりなり、基部がベース体に形成された係止部に係止され、先端の連結部が天秤アームの第1端部に形成された掛止爪に掛止されている上記(1)記載のトリガースプレーに存する。
【0015】
また、本発明は、(6)、蓋台とベース体とが一体化されている上記(1)記載のトリガースプレーに存する。
【0016】
なお、本発明の目的に添ったものであれば上記の(1)から(6)を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のトリガースプレーにおいては、ハウジングに固定されたノズル部と、ピストンとが屈曲性を有する連結管で結合されているので、ピストンが上下移動してもノズル部は上下移動しない。その結果、本発明の使用者は狙った箇所に的確に液体を噴射させることができる。
【0018】
さらに、ピストンを上下移動させるために、ピストンと枢着している天秤アームの回動軸が、ピストンと天秤アームとの枢着部分と、天秤アームの第2端部とスライダーとの当接部分との間に位置しているため、連結管を長くすることができ、ピストンの上下移動に十分追従することができる。
そのため、スライダーもスムースに移動することができる。
スライダーをノズル部側へ押し込んで移動させることによりピストン内の液を、連結管を介してノズル部から噴射させるようにしたので、指を押す動きの方向と液の噴射方向が同じとなり、人間工学的に優れた操作が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本実施形態のトリガースプレーを示す断面図であり、スライダーを引く前の状態を示す。
【図2】図2は、本実施形態のトリガースプレーを示す断面図であり、図2(A)はスライダーを引く途中の状態、図2(B)は、スライダーを引いた後の状態を示す。
【図3】図3は、本実施形態のトリガースプレーの外観図であり、図3(A)は、斜め前方から見た図、図3(B)は後方から見た図、図3(C)は、トリガースプレーを手で握って噴射する状態の図である。
【図4】図4は、本実施形態のトリガースプレーを構成する部品の展開図である。
【図5】図5は、シリンダー、スプリング、天秤アーム、ベース体、及びスライダーの相互の組み込み状態を示す図である。
【図6】図6は、倒立バルブ装置を設けたトリガースプレーを示す断面図であり、図6(A)は正常時、また図6(B)は倒立時を示す。
【図7】図7は、スライダーが突出している例を示す外観図であり、図7(A)はスライダーが切欠き窓から突出された状態であり、図7(B)はハウジングの切欠き穴の下方の部分を窪んだカーブにし、その部分に親指を当てた状態を示す。
【図8】図8は、従来のトリガースプレーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0021】
図1及び図2は、本実施形態のトリガースプレーを示す断面図で内部構造を示したものである。
図1はスライダーを引き込む前を示す。
【0022】
図2は、スライダーを引き込んだ後を示す。
また図2(A)は、スライダーを引く途中、図2(B)はスライダーを引き終わった後を示す図である。
【0023】
図3は、本実施形態のトリガースプレーの外観図である。
図3(A)は、斜め前方から見た図、図3(B)は後方から見た図、図3(C)は、トリガースプレーを手で握って噴射する状態の図である。
【0024】
図4は、本実施形態のトリガースプレーを構成する部品の展開図である。
【0025】
図5は、スプリングと天秤アームとベース体とスライダーの相互の組み込み状態を示す図である。
本実施形態のトリガースプレーAは、消臭剤等の薬液を収容した容器Bの口部に取り付けられ、使用する場合は、これに備えられたスライダー3に指を当て内側に押し込むことによって、液体をノズル部4から噴射するものである。
【0026】
本実施形態のトリガースプレーAは、液の飛び出し方向と指操作の方向が同一方向となるような特殊な配設構造となっている。
スライダーはノズル部とは、離れた反対側の位置でハウジングに配設されている。
この点については後で詳しく述べる。
一方、本実施形態のトリガースプレーAは、スライダー3を押し込んでもノズル部4の位置(高さ)が変化しない構造となっている。
そのため、使用者は狙いを定めた箇所に的確に液体を噴射させることができる。
これはハウジング10に固定されたノズル部4と、ピストン1と、が屈曲性を有する連結管5を介して結合されることにより実現している。
【0027】
さらに、連結管5を長くしてピストン1の上下方向の移動に確実に追従できるようにするため、ピストン1を上下移動させるための天秤アーム7の連結軸72が、ピストン1と天秤アーム7との枢着部と、天秤アーム7の第2端部73とスライダー3との当接部と、の間に配置されている。
また、回動軸をこのような位置に配設することで、空間が大きくとれ連結管5を長くすることも可能となり、ピストン1の上下移動に十分追従することができる。
【0028】
そして、連結管5が長くなることにより、連結管自体の動きの自由度が大きくなり、ピストン1の動きにつられて連結管5が無理なく屈曲でき、連結管5に余計な力が加わらない。
【0029】
次に、トリガースプレーAについて具体的に説明する。
図1及び図2に示すように、トリガースプレーAは容器Bに取り付けられるものであって、ピストン1と、シリンダー2と、スライダー3と、ノズル部4と、連結管5と、スプリング6と、天秤アーム7と、吸上げチューブ部8と、ベース体9と、蓋台11と、ハウジング10と、を備える。そして、シリンダー2とベース体9とは一体に成形されている。
【0030】
ノズル部4はハウジング10の前方に内側から嵌り込んで固定されており、且つハウジング10に形成された切欠き穴10Aを通して外部に露出している。
また、ノズル部4とピストン1とは、連結管5を介して結合されている。
蓋台11が容器口部に取り付けられ、該台座11に該ベース体9が取り付けられる。
ここで、ノズル部4と連結管5とピストン1とは、一体に成形することも可能であり、その場合は、連結管5の部分を肉薄にして屈曲性を高める。
多色成形により連結管5の部分のみ別材料を使って屈曲性を与えることも可能である。
【0031】
このようにノズル部4がハウジング10の前方に固定され、且つノズル部4が屈曲性を有する連結管5を介してピストン1に結合されているため、スライダー3の移動に伴ってピストン1が下方へ移動しても、連結管5のみが屈曲することにより追従する。
そのためノズル部が従来のようにピストンの動きと共に下方へ移動せず、ノズル部4の位置(高さ)は変化しない。
なお、連結管5の外周には図示しない多数の環状のリブが形成されていることが好ましく、それにより屈曲しても連結管の断面が変形しないので液の通りが悪くならない。
【0032】
ところでスライダー3は、後述する天秤アーム7を回動させるものである。
すなわちノズル部4を吹き付け対象となる目標(通常は使用者と反対向き)に向けて、トリガースプレーAを使用する際、親指を当てる部分である。
ここに加えられた押し込み力は、スライダー3に当接する天秤アーム7によってピストン1を押し下げる力へと変換される。
なお、このようにノズル部4を使用者とは反対側に向けて使用するのが原則であるので、目標が手前にある場合は、手首を捻りノズル部4を手前に向けてスライダー3を使用することになる。
従来のように引いた方向とは逆方向に液が飛び出すようなことがなく、幼児、子供が誤って自分の顔に薬液を噴射するような危険がない。
【0033】
図4、図5に示すように、ピストン1の側面には互いに外方に延びた一対の係合突起1Aが形成されており、この係合突起1Aが天秤アーム7の係合部71(側壁7Aの内側に設けられている)に嵌め込まれることで、ピストン1と天秤アーム7とが枢着されている。
【0034】
また、天秤アーム7には左右一対の側壁7Aを連結するための連結軸72(図1参照)が形成されており、この連結軸72はベース体9と一体に設けられた掛止部91(この掛止部91は、ベース体9からフック状に起立している)に回動自在に支持される(図1及び図2参照)。
【0035】
天秤アーム7の左右一対の側壁7Aからは斜め上方に延びた延出部7Cが形成されている。
この延出部7Cの端部である第2端部73は、ベース体9に対して水平方向に移動自在に取り付けられたスライダー3に当接している。
第2端部73は曲面状に形成されているため、スライダー3が引き込まれた際の摩擦が極力少なくなっている。
【0036】
スライダー3がトリガースプレーAの内方に押し込まれると、スライダー3が第2端部73を押し、天秤アーム7は連結軸72を中心に上向き(図1で反時計回り)に回動する。
そして、天秤アーム7が上向きに動くと、ピストン1と天秤アーム7との枢着部(係合突起1A)は連結軸72を挟んでスライダー3とは反対側に位置するため、ピストン1は下方へ押し下げられる。
【0037】
スプリング6はスライダー3の水平方向の移動によって押し下げられた天秤アーム7を元の位置へと戻すために復帰力を与えるもので、図4に示すように、基部62Bと、基部62BからU字状に突出した一対の湾曲バネ部61Aと、二つの湾曲バネ部の先端部同士を連結する連結部62Aと、で構成されている。
そして、基部62Bがベース体9に設けられた係止部92に嵌り込むことにより、スプリング6はベース体9に固定される(図5参照)。
【0038】
一方、連結部62Aは天秤アーム7の第1端部74に形成された一対の掛止爪74Aに掛止されており、スプリング6が天秤アーム7に与える復帰力は連結部62Aと一対の掛止爪74Aとの当接部分を通じて天秤アーム7に伝えられる。
本実施形態においては、連結部62Aの形状は丸棒となっているため、掛止爪74Aとの接触抵抗が極力小さくなり、スプリング6が与える復帰力が効率よく天秤アーム7に伝達される。
【0039】
スライダー3はノズル部4とは反対側の位置でベース体9に配設されている。
ハウジング10には切欠き窓10Bが形成されており、この切り欠き窓10Bにスライダー3の一部が露出している。
図に示すように、スライダー3は側壁部31と底壁部32とよりなり断面は円弧状に形成されており、その下方にはT字部材33を備えている(図4,図5参照)。
T字部材33は、ベース体9に形成されたT形の溝部94に嵌り込む。
このため、スライダー3は左右にグラつくことなく安定した状態でベース体9上を平行移動できる。
【0040】
吸上げチューブ部8はトリガースプレーAが取り付けられた容器内に収容された液体をシリンダー2へと流入させるための流路を構成するものである。
この吸上げチューブ部8は、シリンダー2と一体に形成されることも可能である。
シリンダー2には、液体の吸い上げを行い、また流入した液体が容器へと逆流することを防ぐためのファーストバルブFVが設けられている。
ファーストバルブFVは、通常の状態ではシリンダー2内に貯留された液体の水圧によって弁座に押し付けられているが、シリンダー2内の液体が噴射された後、ピストン1の戻りにより負圧になると弁座から離れ、通路を開放する。
【0041】
一方、ハウジング10はピストン1やスプリング6等を外部からの衝撃、または汚れから守るためのカバーとして機能するもので、ベース体9に装着固定されている。
【0042】
次に、本実施形態のトリガースプレーの作動について説明する。
まず、ノズル部4を外方に向け(すなわち使用者と反対側に向け)トリガースプレーを容器と共に手で掴み、ハウジング10の切欠き窓10Bに露出しているスライダー3に親指を当る。
そしてスライダー3をトリガースプレーAの内方に(すなわちノズル部側に)押し込むと、天秤アーム7の第2端部73がスライダー3の内側に形成された底壁部32に沿って上方に移動する。
この場合、底壁部32がカム面に相当する。
その結果、天秤アーム7は連結軸72を支点として上向き(図で反時計回り)に回動する。
このとき、第2端部73が曲面に形成されているため、スライダー3との摩擦が極力低減される。
【0043】
天秤アーム7の第2端部73が上向きに回動すると、天秤アーム7がピストン1を下方に押し込むため、シリンダー2内の液体が圧縮される。
この時、連結軸72が第2端部73と係合突起1Aの間に配設されているため、連結管5はピストン1の移動に十分追従できる。
更に詳しくいうと、連結軸72が、スライダー3と第2端部73との当接部分と、天秤アーム7とピストン1との枢着部分(係合突起1A)の間に配設されているため、連結管5はピストン1の移動に十分追従できるのである。
その結果、スライダー3はスムースに動くことができる。
【0044】
圧縮された液体はピストン1を通り、連結管5を経て、ノズル部4から外部に噴射される。
このように、液体の噴射方向とスライダー3を指で押す方向とが同じであり、目標に対して噴射方向を誤ることがない。
人間工学的にもユーザビリティに優れたものとなっている。
ノズル部4から液体が噴射された後は、スライダー3から親指が離され、スプリング6の復帰力により天秤アーム7が元の位置に戻る。
するとピストン1が上昇するためシリンダー2内の圧力が負圧になり、ファーストバルブFVが開放され容器内の液体が吸上げチューブ部8を通じて吸い上げられる。
【0045】
吸い上げられた液体でシリンダー2内が満たされると、またスライダー3が引き込まれ同様な操作が繰り返されるのである。
【0046】
〔他の実施の形態〕
本実施形態のトリガースプレーにおいては、容器を倒立させた場合にも液体の吸い上げを可能とするように設計変更することも可能である。
図6は倒立時にも液体の吸い上げを可能とするために、倒立バルブ装置12を設けた例を示す。
図6(A)は正常時であり、図6(B)は倒立時である。
倒立バルブ装置12はカップリング部12Aを備えており、シリンダー2と吸上げチューブ部8とを連結することができる。
【0047】
以上、本発明をその一実施形態を例に説明したが、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、図7(A)に示すように、スライダー3を切欠き窓10Bから突出するようにすることも可能である。
突出した部分は指で押し込み易い利点がある。
また、ハウジング10の切欠き穴10Aの下方の部分10Cを図のような窪んだカーブにした場合は、図7(B)に示すように、その部分に親指を当て人差し指でスライダーを押すこともできる。
また例えばベース体は蓋台11を介して容器口部に取り付けられているが、台座11とベース体9とを一体化することも当然可能である。
【0048】
また、例えば、ノズル部の先端に、複数種の形状の噴射口を有するキャップを取り付け、トリガースプレーの使用時に噴射させる液体の形状を選択できるようにしてもよい。
【0049】
トリガースプレーの外形は、断面が矩形以外の形、例えば、楕円形、長円であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、トリガーを回動移動させることによりピストンを押し下げて容器に通じるシリンダー内の液体をノズルより噴射させるトリガースプレーに関するものであり、ピストンを上下移動させるために、ピストンと枢着している天秤アームの回動軸が、ピストンと天秤アームとの枢着部分と、天秤アームの第2端部とスライダーとの当接部分との間に位置しているため、連結管を長くすることができ、ピストンの上下移動に十分追従することができる。
そしてスライダーをノズル部側へ押し込んで移動させるので、液体の噴射方向と指を押す方向とが同一となり、目標に対して噴射方向を間違えることがない。
またこの原理を利用する限り、本発明以外の他のスプレー機構にも適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…ピストン
1A…係合突起
2…シリンダー
3…スライダー
31…側壁部
32…底壁部
33…T字部材
4…ノズル部
5…連結管
6…スプリング
61A…湾曲バネ部
62A…連結部
62B…基部
7…天秤アーム
7A…側壁部
7C…延出部
71…係合部
72…連結軸
73…第2端部
74…第1端部
74A…掛止爪
8…吸上げチューブ部
9…ベース体
91…掛止部
92…係止部
94…溝部
10…ハウジング
10A…切欠き穴
10B…切欠き窓
10C…下方の部分
11…蓋台
12…倒立バルブ装置
12A…カップリング部
201…ピストン
203…スライダー
204…ノズル部
207…トリガー部材
210…ハウジング
A…トリガースプレー
B…容器
FV…ファーストバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部に取り付けられる蓋台と該蓋台に取り付けられるベース体と、該ベース体と一体となったシリンダーと、
該シリンダー内を摺動するピストンと、
該ベース体に回動可能に支持されており一方の端部(第1端部)をピストンに枢着した天秤アームと、
且つ天秤アームに対して復帰力を与えるスプリングと、
天秤アームの他方の一端(第2端部)に当接し、水平方向に押すことにより天秤アームを回動させるスライダーと、
ベース体に取り付けられたハウジングと、該ハウジングに固定されたノズル部と、該ノズル部とピストンを連結する連結管を備え、
該連結管が屈曲性を有し、
スライダーをノズル部側へ押し込んで移動させることによりピストン内の液を、連結管を介してノズル部から噴射させることを特徴とするトリガースプレー。
【請求項2】
スライダーはベース体に沿って移動可能であることを特徴とする請求項1記載のトリガースプレー。
【請求項3】
ベース体にフック状の起立した掛止部を備え、該掛止部に天秤アームが支持されていることを特徴とする請求項1記載のトリガースプレー。
【請求項4】
天秤アームは、スライダーの移動により第2端部が上方に移動し、第1端部が下方に移動することを特徴とする請求項1記載のトリガースプレー。
【請求項5】
スプリングが基部と該基部からU字状に湾曲して突出し先端で連結された湾曲バネ部とよりなり、基部がベース体に形成された係止部に係止され、先端の連結部が天秤アームの第1端部に形成された掛止爪に掛止されていることを特徴とする請求項1記載のトリガースプレー。
【請求項6】
蓋台とベース体とが一体化されていることを特徴とする請求項1記載のトリガースプレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−178433(P2011−178433A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43906(P2010−43906)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(390028196)キャニヨン株式会社 (42)
【Fターム(参考)】