説明

トリガー式液体噴出器

【課題】噴出の向きを変更可能で、操作レバーを操作したときにノズルの位置が変化せず液体を正確な位置に噴出できるトリガー式液体噴出器を提案する。
【解決手段】ノズル5と、ポンプ機構3に下端側が接続され上端側はノズルと接続されると共に容器BTの口部に装着されるベース部2に上下動可能に配置してあるステム3stと、ベース部2に設けた支持体8に形成した枢支軸8prで回動してステムを移動させる操作レバー30とを有するトリガー式液体噴出器1で、ベース部2に固定された支持フレーム4にノズル5が支持され、ステムの移動方向と平行な軸を中心にノズル基部を回動しノズルの噴出向きを変更可能とする回動構造7、5aを備え、ステムに接続されると共に操作レバーと係合し、操作レバーの引き寄せ操作でステムに押下力を付与し更に該ステムと共に上昇可能な筒状の接続部材10を備え、ノズル5と接続部材10とは弾性の管状部材20で連結してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガーとなる操作レバーを引き寄せる(牽曳する)操作をすることで液体を噴出させるトリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー式液体噴出器は、内容物(液体)が収納されている容器の口部に装着するだけで、容器内の液体を均一に噴出させることができるので、多くの分野で広く利用されている。このようなトリガー式液体噴出器にあっては、従来から色々な形態のものが提案されている。
例えば特許文献1で開示するトリガー式液体噴出器は、この特許文献1より以前のトリガー式液体噴出器では操作レバーにノズルが固定された構造であったので、その不都合を解消するための改善構造を提案している。
【0003】
特許文献1は、シリンダー内に摺動可能に設けた円筒状ピストンの上端部をトリガーの操作レバーの中央部を貫通して上方に突出せしめると共に、その円筒状ピストンの先端部にノズルを転向自在に嵌着せしめて液体注出装置を形成してなるノズルが転向可能なトリガー式液体噴出器について開示している。このトリガー式液体噴出器の構造は、簡潔に説明すると、シリンダー内を摺動する円筒状のピストンが配置されている。このピストンの上側に容器内の液体を上方へ圧送する筒状流路構造(以下、本明細書ではこの構造に対応する構成を「ステム」と称して説明する)が設けてある。このステムは上方に向けて立ち上がっており、その先端部は操作レバーの中央部を貫通して突出している。この先端部にノズルが転向自在に嵌着されている。
よって、特許文献1のトリガー式液体噴出器によれば、液体(容器の内容物)を噴出される方向を簡単に自由に選択することができるので、整髪剤その他を収容した容器を自分自身に向けて使用するような場合であっても、ノズルの向きを変えるだけでよいので使い勝手が良く、或いは従来のトリガー式の注出容器では噴射し難いような場所であって適用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−37301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記で説明した特許文献1によるトリガー式液体噴出器では、ステムに外側へ突出する係止部が設けられている。この係止部は、操作レバーを引き寄せ操作したときに、この操作レバーに設けた貫通孔に係止させるための構造体である。よって、操作レバーを握るようにする引き寄せ動作(牽曳動作)をすると、操作レバーの貫通孔が係止部に係止するのでステムが押し下げられる。そして、その後に操作レバーの握りを放す(開放する)とシリンダー内に配備してあるバネ部材の反力を受けてステムが押戻される(押し上げられる)。よって、操作レバーの握りと開放に基づく、引き寄せと離間の繰り返しにより、液体をノズル側に圧送して噴出させることができる。
【0006】
ところで、特許文献1によるトリガー式液体噴出器では、前述のようにステムの先端部にノズルが支持されている。そのため、液体を噴出させるべく操作レバーを手前に引き寄せる操作をしてステムを下降させると、これに伴ってその上のノズル位置も降下する。このように、ノズルの位置が上下動しても、噴出させる液体が広範囲に噴霧することを目的とする薬剤などであればあまり問題とはならない。
しかしながら、噴出する液体、すなわち容器に収納している内容物によっては正確な位置に向けて噴出させたいという要請もある。例えば、液体が化粧料や頭髪料であり狭い範囲に正確に噴霧したい場合、内容物が所定箇所に噴出したい液体薬剤などの場合がある。このような場合に、噴出動作に伴ってノズルの位置が変動すると操作者の意図した所からずれた所に液体が付着するという不都合がある。
【0007】
上記のように、特許文献1によるトリガー式液体噴出器は内容物を任意の向きに噴出できる構造を備える点においては使い勝手のよい噴出器となっているものの、意図する箇所に正確な噴出する必要がある内容物である場合には、未だ改善すべき余地がある。
【0008】
よって、本発明の目的は、噴出の向きを変更可能というだけでなく、操作レバーを操作したときにノズルの位置を変化せずに意図した位置に確実に液体を噴出できるトリガー式液体噴出器を提案することにある。
なお、本発明におけるノズルは、噴出動作に伴って容器内の液体(内容物)を外界に噴出させる吐出口を備えるものであればよく、噴出させる液体の状態などは特に限定する必要はない。すなわち、本発明のノズルは液体を霧状にして噴出するもの、液体を液滴状にして噴出するもの、更に液柱状で直線的に噴出するものなど、いずれの形態で噴出させてもよいものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、容器の口部に装着されて該容器内の液体を噴出させるための噴出器であり、
前記液体を噴出するノズルと、吸引、加圧した液体を供給するポンプ機構に下端側が接続され更に上端側は前記ノズルと接続され前記液体が流通可能とされていると共に前記容器の口部に装着されるベース部に対して上下動可能に配置してあるステムと、前記ベース部に設けた支持体に形成した枢支軸を中心に回動可能とされて引き寄せ操作で前記ステムを移動させる操作レバーとを有するトリガー式液体噴出器であって、
前記ベース部に固定された支持フレームに前記ノズルが支持されると共に、前記ステムの移動方向と平行に設定した軸を中心に前記ノズルの基部を回動して該ノズルの噴出向きを変更可能とする回動構造を備え、前記ステムに接続されると共に前記操作レバーと係合しており、前記操作レバーの引き寄せ操作に基づいて前記ステムに押下力を付与しさらに該ステムと共に上昇可能としてある筒状の接続部材を更に備え、前記ノズルと前記接続部材とは、前記液体を流通させる弾性を備えた管状部材で連結してある、ことを特徴とするトリガー式液体噴出器により達成される。
【0010】
また、前記支持フレームには、前記管状部材のノズル側の先端部を挿嵌する挿嵌凹部と、前記挿嵌凹部の一部を画成している壁部に設けた貫通孔が筒内部に存在している位置にて立設してある嵌合用円筒基部が設けてあり、
前記挿嵌凹部に前記管状部材の先端部が挿嵌され、前記嵌合用円筒基部には前記ノズルが回動可能に嵌合されている構造とすることができる。
【0011】
また、前記管状部材の前記挿嵌凹部側の先端部には、前記液体が前記貫通孔側へ流れることを許容する切欠き部を設けるのが好ましい。
【0012】
また、前記接続部材と前記管状部材とを一体に形成してもよい。
そして、前記管状部材はゴム材及び合成樹脂材から選択された弾性を備えたチューブとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、液体を噴出させる向きを自由に選択できるというだけでなく、意図した位置に確実に液体を噴出させることができる使い勝手の良いトリガー式液体噴出器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るトリガー式液体噴出器の主要構成を確認可能に示した一部断面図であり、操作レバーが初期位置にあるときの様子を示した図である。
【図2】図1のトリガー式液体噴出器について、操作レバーを引き寄せ操作した後の位置ある状態の様子を示した図である。
【図3】図1のトリガー式液体噴出器に用いる管状部材について示した図である。
【図4】図1に示した構造の一部を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係るトリガー式液体噴出器について、好適な実施の形態を具体的に説明する。
図1は本発明に係るトリガー式液体噴出器の操作レバーが初期位置にあるときの主要構成を示した一部断面図、図2は操作レバーを引き寄せ操作した後の位置にあるときの様子を示した図である。また、図3はトリガー式液体噴出器に用いる管状部材を取り出して示した図である。
【0016】
図1、2において、トリガー式液体噴出器1は、容器BTの口部に装着され、その内部に収納している液体を噴出する際に使用されるものである。トリガー式液体噴出器1の下側には噴出器の基部となるベース部2が設けてある。このベース部2は下側に開口する空間を備えており、その内周壁面には例えば容器BT側の口部に設けたネジ部と相互に螺合するネジ部が形成されて、容器BTに装着可能としてある。
なお、ベース部2の内側には、容器BT内の液体を吸い上げてノズル5へ供給するためのポンプ機構3が配備してある。ここでは、ポンプ機構3内の詳細な構造についての図示は省略するが、例えばポンプ機構3はシリンダー室、その内部を移動するピストン、そして液体がノズル5側へ向けて流動するように動作する逆止弁などを具備した構成とされる。このようなポンプ機構として、従来から種々提案されているものを適宜に選択して採用すればよい。また、図1、2ではポンプ機構3の下端から垂下されて、容器BTの液体に差し込まれる吸引管6を図示している。
【0017】
そして、図1で示すように、ベース部2の上面には開口2aが形成されており、この開口2aから下側に延びる空間SPは下側に位置する前述のポンプ機構3まで延在している。開口2aの中央にて立ち上がる部材は、ポンプ機構3側から延在するステム3stであり、上下動可能に配置されてポンプ機構3で加圧された液体をノズル5へ向けて供給する流路となる筒状部材である。
【0018】
上記ステム3st上には、筒状に形成されている接続部材10が被さるようにして接続されている。よって、接続部材10はステム3stと共に上下動し、図2で示す操作レバー30を引き寄せたときには下方へ移動する。このときには、図示のように、接続部材10がベース部2の空間SP内に収納される大きさに設計しておくのが望ましい。これによりステム3st上に接続部材10を接続してある場合でも、ステム3stの移動に際して障害とならずストローク量を確保できる。また、接続部材10は後述する操作レバー30に係合するもので、操作レバーの引き寄せ操作に基づいてステム3stに押下力を付与する。さらに接続部材10はステム3stと共にノズル5へ向けて上昇する液体の流通路を形成している。
なお、上記ステム3stは従来のトリガー式液体噴出器で採用されていた硬質の円筒状のパイプ部材と概ね同様であって、ベース部2に対して上下動可能に配設されているものであるが、上端が接続部材10と接続される点が従来とは異なる。
【0019】
そして、図1に示しているように、接続部材10の上端側開口10aは、液体を流通させる弾性(柔軟性)を備えた管状部材20を介してノズル5側と連結してある。なお、ここでの管状部材20は、液体を流通させることができる通路を内部に備えた管状、弾性を備えた部材であればよく、他に限定はない。例えば、その横断面形状は円形形状に限らず、楕円形状、また三角、四角、五角などの多角形状などでもよい。
このような管状部材20としては、液体をスムーズに流通させることができ、柔軟性を備えたチューブ等であればよく特に限定はない。例えば、引っ張るような力が作用したしたときには適度に伸び変形し、これとは逆に押し込むような力が作用したときには可撓性をもって湾曲するようなチューブが好ましく、ゴム材及び合成樹脂材から選択された弾性を備えたチューブから選択すればよい。
【0020】
図3は、図1、2で示した管状部材20を、接続部材10と共に示した図である。
上記したように、管状部材20は可撓性を備えた材料で形成されている。管状部材20の一端側の基部20aは接続部材10と接続されている。このような管状部材20と接続部材10とは、別体に形成したものをその後に接続してもよいが、図2で示すように管状部材20と接続部材10と一体に形成するのが好ましい。これにより部品点数を実質的に低減できる。
管状部材20の他端部(先端部20bと称する)は、後述する挿嵌凹部に挿嵌されるための加工が施されている。すなわち、この先端部20bには先端位置から長さLの位置に環状に突出している位置決め用のフランジ部20flが設けてある。このフランジ部20flより先端側には管状部材20の外周上に凹部20grが設けてある。この凹部20grは、例えば環状の溝部に形成してもよい。
さらに、先端部20bの一部に切欠き部20ntが形成してある。この切欠き部20ntは、管状部材20の先端部20bを後述する挿嵌凹部にセット(嵌合)したときに液体を円滑に流すための構造として形成してある。
【0021】
また、接続部材10には両側に突出する係合用の凸部10pr、10prが設けてある。この係合用の凸部は、後述する操作レバー30と係合する構造である。
【0022】
更に、図を参照して、トリガー式液体噴出器1が備えているノズル5を支持する構造、更にステムの移動方向(図1で上下方向)と平行に設定した軸を中心に噴出向きを変更可能(首振り自在)としている構造を説明する。
ベース部2上には支持フレーム4が固定されている。この支持フレーム4は、ノズル5を支持する支持ボディとなる。ここで、例示する支持フレーム4は前述したステム3st側から少しオフセットした位置から立ち上がる脚部4lgの上端に、ノズル5をセットする頭部4hdを備えた構造体である。頭部4hdは中心側へ突出するように(オフセットを戻すように)配置してあり、ステム3stの上方に頭部4hdが位置している配置となっている。このような配置構造とすることで、幅広の外形となるのを抑制しトリガー式液体噴出器のコンパクト化を図っている。
【0023】
支持フレーム4の頭部4hdには、ノズル5の噴出向きを変更可能とする構造が形成してある、更に、前掲図3で説明した管状部材のノズル側の先端部20bが挿嵌される挿嵌凹部が設けてある。なお、ここでは、図1、図2と共に、これらの図で示している頭部4hdの周辺を拡大した図4を参照して説明する。
図4で、頭部4hdには天面の支持板4tpが設けてある。この支持板4tpの上にノズル5が回動可能(首振り自在)にして支持され、この支持板4tpの下側には管状部材のノズル側の先端部20b(図3、参照)を挿嵌する挿嵌凹部21が設けてある。支持板4tpは挿嵌凹部の一部を画成している壁部となっている。
【0024】
図4は、挿嵌凹部21にノズル側の先端部20bを差し込み嵌合させた状態を示しているが、挿嵌凹部21の内部には先端部20bを差し込んだときに嵌合して抜けどめされるように構成してある。
挿嵌凹部21に、管状部材の先端部20bを挿嵌凹部21内に差し込むとフランジ部20flで位置規制される。この位置で、管状部材20の外周に設けた凹部20grと挿嵌凹部21の内壁に設けた凸部21prとが引き抜き不能に嵌合(アンダー嵌合)されるように形成してある。
【0025】
なお、図4では、挿嵌凹部21内には管状部材の先端部20bの内側に挿入される突起部21mtを設けた好適構造を例示している。この突起部21mtは、管状部材の先端部20bが差し込まれたときに案内部材として機能すると共に、最終の嵌合位置では管状部材の先端部20bが一定形状を保持するように補強構造としても機能しており、前述した嵌合が長期安定に保持できるように機能している。
また、ここでは図示していないがフランジ部20flと挿嵌凹部21の端部と間の21edには、Oリングなどの環状のシール部材を配置しておくのが望ましい。
【0026】
上記のようにノズル側の先端部20bが挿嵌凹部21内に嵌合された状態のとき、支持板4tpと対向、或いは接触する位置に切欠き部20nt(図2参照)が位置するようして、管状部材の先端部20bが形成してある。
そして、前記切欠き部20ntと対向する位置の支持板4tpには、貫通孔4hlが形成してある。更に、この貫通孔4hlが筒内部に位置するようにして、支持板4tp上に嵌合用円筒基部7が立設してある。
上記の説明から明らかであるが、管状部材20内を上昇してきた液体は、その先端部20bに切欠き部20ntが設けてあるので障害なく、貫通孔4hlを介して、ノズル5側へと供給される流通路が支持フレーム4の頭部4hdに配備されている。
ところで、例示ではノズル側の先端部20bに設ける切欠き部20ntは、上下で対向するように一対で設けてあるのが望ましい。下側(支持板4tpと対向しない側)は、液体の流通に殆ど寄与しないものであるが、先端部20bの構造が対称的となるので挿嵌凹部21内への挿嵌操作を円滑に行うようにでき、また嵌合後はその状態を安定に維持できるとう構造的なメリットがある。
【0027】
さらに、頭部4hd上でノズル5を回動可能としている構造を説明する。
前述した嵌合用円筒基部7に対して、ノズル5を回動可能に支持し、図2の矢印ARで示すように、ステムの移動方向と平行に設定した軸を中心に噴出向きを変更可能に設定してある。
ここで例示するノズル5は、外観形状をL字状として噴出口5spがステムの移動方向と垂直な方向に向けてある。また、円筒状であるノズル基部5aの開口側を嵌合用円筒基部7上に被せるように嵌合してあり、ノズル基部5aの中心を通る軸線はステムの移動方向と平行に設定してある。よって、ノズル基部5aを嵌合用円筒基部7に対して回動すると、ノズルの噴出向きを変更可能とする回動構造が実現されている。その結果、ノズル基部5aを中心として外側に向いている噴出口5spを360度自由に回転させて、噴出向きを任意に設定できる。
なお、ここで示した回動構造は単なる一例であり、これに限定するものではなく、従来公知の種々の回動手法を適宜に採用できる。例えば、図示では嵌合用円筒基部7の外側を覆うように外嵌合する形態であるが、嵌合用円筒基部7の内側面に接するように内嵌合する形態でもよい。また、嵌合後は回動可能であるが、引き抜きを不可とする嵌合形態(アンダーカット嵌合など)を採用するのが望ましい。
また、噴出口5spの向きはステムの移動方向と垂直であることは必須でなく、噴出口5spはノズル基部5aを中心にして半径方向で外側に向けてあればよい。すなわち、図示の場合はノズル基部5aに対して噴出口5spがL字状(略垂直に接続した形状)であるが、噴出口5spを上向き、或いは下向き傾斜した姿勢でノズル基部5aに固定しもよい。
【0028】
次に、操作レバー30について説明する。
操作レバー30は前記ベース部2上に設けたレバー支持体8に設けた枢支軸8prを中心に回動可能に設定してある。
操作レバー30は概略形状が山形である板状部材30a、2枚を空間を持って対向配置して、その周縁部の一部を互いに接続したような構造で内側が中空で、その上方に開口32が形成されている形態である。この操作レバー30は、ベース部2上に固定されている前述の支持フレーム4の全体を内部にそっくり収納するようにし、更に開口32から上側にノズル5が顔を出すようにして配置される(図1、2参照)。よって、操作レバー30内に支持フレーム4の全体を収納したコンパクトな構造になる。
【0029】
上記操作レバー30には、回動したときに接続部材10に設けてある係合用の凸部10pr(図3参照)と係合する受け部33が設けてある。操作レバー30を構成している板状部材30aの内側面には、一部に長方形状に肉盛りした隆起部31が設けてある。この隆起部31の下端側には凹状の受け部33が形成してあり、この受け部33が接続部材10の凸部10prと係合させてある。
よって、操作レバー30を引き寄せの操作をしたとき、これに応じて接続部材10を移動させることができるので、接続部材10を介してステム3stを移動することができる。また、操作レバー30を引き寄せの操作に抗する(操作レバー30を押し戻すように作用する)付勢力を予め設定することにより、操作レバー30により繰り返しの液体噴出が可能となる。このような付勢力は、前述したポンプ機構3内にステム3stを上方へ押し戻すバネ部材などを配備することができる。
【0030】
次に、以上の構成を備えたトリガー式液体噴出器1を操作したときの様子を説明する。
図1は噴出操作前でトリガー式液体噴出器1の操作レバー30が初期位置にある様子を模式的に示した図、そして図2は噴出操作後でトリガー式液体噴出器1の操作レバー30を引き寄せ操作した後の位置にある様子を模式的に示した図である。
図1、2から明らかなように、本トリガー式液体噴出器1では、液体を噴出させるノズル5が、ベース部2上に固定された支持フレーム4に位置決めされている。よって、操作レバー30を操作したときに、ノズル5と接続部材10との位置に距離変化(位置ズレ)が発生しても、ノズル5の位置が変化することがない。これにより、本トリガー式液体噴出器1によると意図した狭い位置にも確実に液体を噴出させることができる。
更に、このトリガー式液体噴出器1は内容物である液体を任意の向きに噴出できるようにノズル5が回動可能に構成してあるので、好きな向きに首振りをさせて液体を正確な位置へ噴出させることができる。
【0031】
本トリガー式液体噴出器1で、従来のトリガー式液体噴出器と同様に接続部材10が上下動しても、ノズル5の位置を固定できるのは、ノズル5と接続部材10との間を弾性の管状部材20で連結してあることによる。すなわち、前記操作レバー30を操作したときに発生するノズル5と接続部材10との距離変化(第1の距離変化)を管状部材20の位置及び姿勢の変化によって対応(吸収)しているからである。よって、このように姿勢及び位置が変更する管状部材20の移動を許容するように操作レバー30内の空間を設計しておくのが好ましい。管状部材20の移動を許容するような空間を確保することで、姿勢や位置が変化しても管状部材20に無理な力が作用しないようにできる。これにより、耐久性の向上を図ることもできる。
【0032】
そして、引き寄せ操作した後の位置(図2)において、管状部材20に引っ張り力を発生させないように、操作レバーが初期位置にあるとき(図1)にあって管状部材20の長さに、いわゆる「遊び」を持たせおくのが好ましい。
この遊び(余分の長さ)は、図2で示す引き寄せ操作した後の位置において、管状部材20に引っ張り力による歪みを発生させないことを基準に設定することができる。また、引き寄せ操作した後の位置において管状部材20の内径(D)が狭くなるなどの変化が生じると、液体の安定な噴出に影響が出てしまう。そこで、図2で示す引き寄せ操作した後の位置において管状部材20の内径(D)が変化して狭径化していないなどを基準に上記遊びを設定するようにしもよい。
【0033】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、前述した実施例では支持フレーム4の頭部4hdに挿嵌凹部21を設け、この挿嵌凹部21に管状部材の先端部20bを差し込んで接続して固定する構造例を示したがこれに限らない。本願発明に係るトリガー式液体噴出器は、要するに、支持フレーム4にノズル5が回動可能に支持され、このノズル5とステム上の接続部材10とが弾性を備えた管状部材20で接続される構成であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、液体を噴出する向きを自由に選択できるというだけでなく、意図した位置に確実に液体を噴出できる使い勝手の良いトリガー式液体噴出器を提供できる。これにより、選択した向きで期待した位置に液体を正確に噴出させて確実な効果を得ることもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 トリガー式液体噴出器
2 ベース部
3 ポンプ機構
3st ステム
4 支持フレーム
5 ノズル
5a ノズル基部
7 嵌合用円筒基部
8 支持体
10 接続部材
10a 上端側開口
20 管状部材
20b 管状部材20の先端部
20fl フランジ部
20gr 凹部
20nt 切欠き部
21 挿嵌凹部
30 操作レバー
BT 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着されて該容器内の液体を噴出させるための噴出器であり、
前記液体を噴出するノズルと、吸引、加圧した液体を供給するポンプ機構に下端側が接続され更に上端側は前記ノズルと接続され前記液体が流通可能とされていると共に前記容器の口部に装着されるベース部に対して上下動可能に配置してあるステムと、前記ベース部に設けた支持体に形成した枢支軸を中心に回動可能とされて引き寄せ操作で前記ステムを移動させる操作レバーとを有するトリガー式液体噴出器であって、
前記ベース部に固定された支持フレームに前記ノズルが支持されると共に、前記ステムの移動方向と平行に設定した軸を中心に前記ノズルの基部を回動して該ノズルの噴出向きを変更可能とする回動構造を備え、
前記ステムに接続されると共に前記操作レバーと係合しており、前記操作レバーの引き寄せ操作に基づいて前記ステムに押下力を付与しさらに該ステムと共に上昇可能としてある筒状の接続部材を更に備え、
前記ノズルと前記接続部材とは、前記液体を流通させる弾性を備えた管状部材で連結してある、ことを特徴とするトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記支持フレームには、前記管状部材のノズル側の先端部を挿嵌する挿嵌凹部と、前記挿嵌凹部の一部を画成している壁部に設けた貫通孔が筒内部に存在している位置にて立設してある嵌合用円筒基部が設けてあり、
前記挿嵌凹部に前記管状部材の先端部が挿嵌され、前記嵌合用円筒基部には前記ノズルが回動可能に嵌合されている、ことを特徴とする請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記管状部材の前記挿嵌凹部側の先端部には、前記液体が前記貫通孔側へ流れることを許容する切欠き部が設けてある、ことを特徴とする請求項2にトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
前記接続部材と前記管状部材とが一体に形成してあることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項5】
前記管状部材はゴム材及び合成樹脂材から選択された弾性を備えたチューブである、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のトリガー式液体噴出器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−158336(P2012−158336A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17073(P2011−17073)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】