説明

トリグリセリド組成物を作製する方法

50から80重量%のStOSt、及び5から20重量%のStOOを含むトリグリセリド組成物を調製する方法は、トリオレインをリゾプス・オリゼからの1,3-特異的リパーゼの存在下でステアリン酸と反応させてエステル交換グリセリドを形成し、そのエステル交換トリグリセリドを分別することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トリグリセリド組成物を作製する方法、及びその方法によって入手できる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トリグリセリドは、グリセロール骨格に結合している3つの脂肪酸部分を含む。トリグリセリドが2つ以上の異なる脂肪酸部分を含む場合、その物理的及び化学的特性、並びに生理特性を含むその特性は、分子中で脂肪酸の各々が結合するグリセロール骨格上の位置によって決まることができる。したがって、異なる脂肪酸残基がグリセロール骨格の異なる位置で選択的に結合するように、トリグリセリドを生成する方法を制御することが望ましいことがある。
【0003】
1,3-ジステアロイル2-オレオイルグリセリド(StOStとしても知られる)は、価値ある商品である。例えば、それは、単独で、又は1,3-ジパルミトイル2-オレオイルグリセリドなどの他のグリセリドと一緒に、カカオバター同等物又は代用品(CBE)として用いることができる。
【0004】
シアバターは、StOStの原料として商業的に用いられる。シアバターは、シアバター樹ブチロスペルマム・パルキー(Butyrospermum parkii)から得られる。シアバターの分別によって得られるより高融解性の分画であるシアステアリンは、StOStに富むが、StOO及びStLSt(Lはリノール酸を表す)などの他のトリグリセリドを含む。したがって、シアステアリンは、カカオバター同等物(CBE)を生成するために用いられる。シアステアリンの利用可能性は、シアナッツの供給量に依存する。
【0005】
欧州特許出願公開第0882797号は、1,3-選択性リパーゼを用いる、2-モノグリセリドからのABA対称性トリグリセリドの調製に関する。
【0006】
米国特許第5288619号は、低トランス酸及び低中鎖脂肪酸含量の両方を有するマーガリン油を調製するための、酵素エステル交換方法を記載する。この方法は、ステアリン酸原料物質及び食用液体植物油を含むエステル交換反応混合物を提供する段階、1,3位特異的リパーゼを用いてステアリン酸原料物質及び植物油をエステル交換する段階、次に、最後に脂肪酸混合物を水素化して、植物油との再利用反応のために再利用ステアリン酸原料物質を提供する段階を含む。
【0007】
米国特許第4268527号は、トリグリセリドの1,3位に反応特異性を有し、反応混合物の総重量に基づき0.18重量%以下の水を有するリパーゼの存在下で、2位にオレイル部分に富むグリセリドを含有する油脂の、ステアリン酸及び/又はパルミチン酸のアルコールエステルとのエステル交換反応によって、カカオバター代用品(CBE)を生成する方法を開示する。1,3-ジステアリル-2-オレイル化合物及び1-パルミチル-2-オレイル-3-ステアリル化合物に富むカカオバター代用品が得られると言われている。
【0008】
欧州特許出願公開第0245076号は、リパーゼの存在下での高オレイン酸ヒマワリ油とステアリン酸との反応による、食用脂の調製を記載する。生じた組成物は、湿式分別の後、そのStOSt及びStOO含量がシアステアリンとかなり異なる。
【0009】
Nakayaら、Biotechnology Techniques、12巻、12号、1998、881〜884頁は、超臨界CO2における、ムーコル・ミエヘイ(Mucor miehei)由来の固定化リパーゼを用いるトリオレインとステアリン酸の間のエステル交換反応を記載する。
【0010】
Seriburiら、JAOCS、75巻、4号、1998、511〜516頁は、リゾムーコル・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)又はカンジダ・アンタークチカ(Candida antarctica)に由来するリパーゼを用いるトリオレインとステアリン酸のエステル交換を開示する。
【0011】
米国特許第6090598号は、蒸留を用いる油脂のエステル交換のための酵素法を開示する。StOStを生成するための例の開示はなく、このトリグリセリドの生成への唯一の言及は、ステアリン酸エステルから開始している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0882797号
【特許文献2】米国特許第5288619号
【特許文献3】米国特許第4268527号
【特許文献4】欧州特許出願公開第0245076号
【特許文献5】米国特許第6090598号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Nakayaら、Biotechnology Techniques、12巻、12号、1998、881〜884頁
【非特許文献2】Seriburiら、JAOCS、75巻、4号、1998、511〜516頁
【非特許文献3】Schmidら、「Highly selective synthesis of 1,3-oleoyl-2-palmitoylglycerol by lipase catalysis」、Biotechnology and Bioengineering、1999、64巻、6号、678〜684頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
StOStトリグリセリド、特にそれらが含有するトリグリセリドに関してシアステアリンに類似している組成物の形成方法の必要性が残されている。生成物から除去する必要がある望ましくない副生成物の形成を含まない方法の必要性もある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は、50から80重量%のStOSt、及び5から20重量%のStOOを含むトリグリセリド組成物を調製する方法であって、トリオレインをリゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)からの1,3-特異的リパーゼの存在下でステアリン酸と反応させてエステル交換グリセリドを形成し、そのエステル交換トリグリセリドを分別することを含む方法を提供する。
【0016】
本発明は、本発明の方法によって得られる50から80重量%のStOSt及び20重量%までのStOOを含むトリグリセリド組成物も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
驚くべきことに、シアステアリンに類似しているトリグリセリド組成物を生成することが可能であることが見出された。この効果は、トリオレインとステアリン酸との反応のためにリゾプス・オリゼからの1,3-特異的リパーゼを用い、生成物をその後分別することによって達成される。
【0018】
トリオレインとステアリン酸の間の反応は、一般的に45から85℃の温度で実施される。好ましくは、トリオレインをステアリン酸と反応させる段階は、65から80℃、より好ましくは65から75℃、さらにより好ましくは68から73℃の温度で実施される。予想外にも、これらの比較的より高い反応温度で意外に良好な結果が得られることが見出された。リパーゼがこれらの高い温度で反応を効果的に触媒するために十分な活性を保持することは、驚くべきことであった。これらの高い温度で反応を実施する能力は、その方法のための出発物質として、より低い融点を有するそのエステルではなくステアリン酸を用いることを可能にする。これは、次に、反応の間にステアロイルエステルから生成される副生成物を回避することができることを意味する。
【0019】
トリオレインとステアリン酸との反応は、好ましくは大気圧で、すなわち非加圧系で実施される。反応は、充てん層反応器で実施することができる。反応は、好ましくは連続法で実施される。
【0020】
好ましくは、トリオレインとステアリン酸との反応は、有機溶媒、例えば1から6個の炭素原子を有するアルコール及び/又はケトンの完全又は実質的無添加で実施される。一般的に、1から6個の炭素原子を有するアルコール及び/又はケトンは反応混合物中に存在しないか、又は、存在するとしても、それらは反応混合物の重量に基づき1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、例えば0.1重量%未満の量で存在する。
【0021】
本発明で用いられるリパーゼは、リゾプス・オリゼからのものである。リパーゼは、リゾプス・オリゼ自体で、又は異なる宿主細胞を用いて組換えで生成することができる。リパーゼは、例えばリパーゼ活性を失わずに酵素中のアミノ酸残基の最高10%の置換又は欠失によって改変することができる(すなわち、リパーゼは野生型酵素との少なくとも90%の同一性を有することができる)が、それは好ましくは野生型酵素である。リゾプス・オリゼからのリパーゼは、リパーゼDとしてAmanoから市販されている。
【0022】
リパーゼは、好ましくは支持体の上に固定される。支持体は、好ましくはポリマー、より好ましくは微孔性のポリプロピレンポリマー(例えば、ホモポリマー)などの微孔性のポリマーであり、例えば商標Accurelの下で売られている。支持体へのリパーゼの好ましい負荷量は、支持体の重量に基づき0.1から25重量%、より好ましくは0.3から10重量%、例えば0.5から5重量%の酵素である。理論的には(すなわち、固定化が酵素活性にいかなる影響も及ぼさないと仮定する)、固定化酵素(すなわち、酵素プラス支持体)の活性は、好ましくは10,000から10,000,000U/g、より好ましくは100,000から1,000,000U/gである。Uは、下記の例で記載されるような、リパーゼ活性の標準アッセイで測定されるリパーゼ単位を表す。
【0023】
支持体へのリパーゼの固定化は、当分野の公知技術を用いて実施することができる。支持体(ポリマー、例えばポリプロピレンなど)にリパーゼを固定する好ましい方法は、Schmidら、「Highly selective synthesis of 1,3-oleoyl-2-palmitoylglycerol by lipase catalysis」、Biotechnology and Bioengineering、1999、64巻、6号、678〜684頁に記載されている。
【0024】
理論によって束縛されることを欲しないが、支持体への酵素の固定化は、リパーゼの温度安定性に寄与することができると考えられている。
【0025】
トリオレインとステアリン酸の間の反応は、連続的に又はバッチごとに実施することができる。反応をバッチごとに実施する場合、油に対する支持体上の酵素の重量比は、好ましくは1:10から1:2000、より好ましくは1:20から1:1000である。
【0026】
この方法のための出発物質として用いられるステアリン酸は、遊離酸の形である(例えば、それはエステルでない)。ステアリン酸は一般的に比較的純粋であるが、より純粋でない脂肪酸混合物、例えば少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%のステアリン酸含量を有するものを用いることもできる。
【0027】
この方法のための出発物質としてステアロイルエステルではなくステアリン酸を用いることにより、望ましくない副生成物の形成が回避される。例えば、ステアリン酸メチルなどのステアリン酸のエステルを用いる先行技術の方法は、その過程でメタノールなどのアルコールを遊離させる。このメタノールは生成物から除去しなければならないので、さらなる蒸留段階が次に必要とされる。本発明は、その利点のうちの1つとして、蒸留段階を回避することができるか、回数を減少させることができるという可能性を有する。
【0028】
本発明の方法には好ましくはメタノールなどの望ましくないアルコールが存在せず、すなわちその過程での反応混合物中のそれらの最大レベルは、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、例えば0.1重量%未満である。
【0029】
反応のための出発物質として用いられるトリオレインは、比較的純粋なトリオレインであってよく、又は、少なくとも40重量%、例えば少なくとも50重量%の量のトリオレインを好ましくは含む、トリオレインと他のグリセリドとの混合物として提供されてもよい。好ましくは、トリオレインは、高オレイン酸ヒマワリ油の形で提供される。この比較的安価な出発物質を用いることは、組成がシアステアリンに類似する良好な生成物を提供することが分かっている。
【0030】
トリオレインを含む出発物質に対するステアリン酸の重量比は、好ましくは1:1から1:2である。
【0031】
トリオレインとステアリン酸との反応は、一般的に20から200時間、より好ましくは30から150時間実施される。
【0032】
トリオレインをステアリン酸と反応させた後、生成物が分別される。分別は乾式又は湿式でよいが、好ましくは、生成物は湿式で、すなわち溶媒の存在下で分別される。より好ましくは、湿式分別はアセトンを用いて実施される。
【0033】
分別方法は、1つの分別段階、又は異なる温度での2つ以上の分別段階を含むことができる。
【0034】
好ましくは、反応生成物は、2段階分別方法でアセトンを用いて分別される。第1段階のために用いられる分別温度は、好ましくは25℃から35℃、より好ましくは27℃から30℃である。第2段階のために用いられる分別温度は、好ましくは5℃から15℃、より好ましくは8℃から12℃である。
【0035】
1つ又は複数の湿式分別段階での溶媒に対する油の重量比は、好ましくは1:3から1:7である。
【0036】
この方法は、分別の前後に任意選択でさらなる段階を含む。例えば、反応生成物は、分別の前にある程度精製することができる。しかし、好ましくは、反応生成物はリパーゼから切り離され、次に直接に分別される。分別の後、組成物をさらに分別、精製及び/又は純化することができる。
【0037】
好ましくは、本発明の方法は、蒸留段階を含まない。
【0038】
本発明で生成される組成物は、50から80重量%のStOSt、及び5から20重量%のStOOを含む。トリグリセリド組成物のために規定される特定のグリセリド(例えば、StOSt、StOO、StLSt及びStStSt)のすべての重量百分率は、組成物中のトリグリセリドの総重量に基づく。
【0039】
好ましくは、組成物は60から80重量%のStOSt、さらにより好ましくは65から75重量%のStOStを含む。
【0040】
組成物は、好ましくは5から15重量%のStOO、より好ましくは8から12重量%のStOOを含む。
【0041】
組成物は、StLStを含むこともできる。好ましくは、組成物は2から8重量%のStLSt、例えば3から5重量%のStLStを含む。
【0042】
一般的に、組成物はStStStを含む。組成物は、一般的に0.01から5重量%のStStSt、より好ましくは2重量%未満、例えば0.1から1重量%のStStStを含む。
【0043】
本発明の1つの好ましい組成物は、以下のものを含む:
(i)65から75重量%のStOSt;
(ii)5から15重量%のStOO;
(iii)2から8重量%のStLSt;及び
(iv)0.01から5重量%のStStSt。
【0044】
本発明の別の好ましい組成物は、以下のものを含む:
(i)60から80重量%のStOSt;
(ii)8から12重量%のStOO;
(iii)2から8重量%のStLSt;及び
(iv)0.01から5重量%のStStSt。
【0045】
本発明のさらに別の組成物は、以下のものを含む:
(i)65から75重量%のStOSt;
(ii)8から12重量%のStOO;
(iii)2から8重量%のStLSt;及び
(iv)0.01から5重量%のStStSt。
【0046】
本発明の組成物は、StOSt、StOO、StLSt及びStStSt以外のトリグリセリドを一般に含有し、これらは組成物中のトリグリセリドを100%に均衡させる。
【0047】
本発明の組成物は、少量、一般的に組成物の20重量%未満の他の成分、例えばジグリセリド、モノグリセリド及び遊離脂肪酸(すなわち、C12〜C24の飽和又は不飽和直鎖カルボン酸)を含むことができる。本発明の組成物は、好ましくは少なくとも80重量%のトリグリセリド、より好ましくは少なくとも90重量%のトリグリセリド、例えば少なくとも95重量%のトリグリセリドを含む。
【0048】
好ましくは、本発明のトリグリセリド組成物をパームの中間分画(PMF)とブレンドしてCBE(カカオバター同等物)を得る。好ましくは、生じるブレンドを精製する。本発明の組成物から形成されるブレンドは、それらのN値によって示されるそれらの融解プロファイルを考慮すると、カカオバターのための代替物として特に役立つ。融解プロファイルは、CBEとして従来から用いられているPMFとのシアステアリンのブレンドの融解プロファイルに類似している。
【0049】
ブレンドは、カカオバターが一般的に用いられるあらゆる用途で用いることができる。例えば、ブレンドは、チョコレート又はチョコレート様製品で用いることができる。チョコレート又はチョコレート様製品は、それらの本来の製品、例えばチョコレートバー若しくはピースであってもよく、又は、それらは菓子類若しくはパン製品若しくはアイスクリームのための被覆物及び/又は封入物などの、別の製品の一部を形成してもよい。チョコレート又はチョコレート様製品は、通常他の成分、例えばココア粉末、カカオバター及び糖の1つ又は複数を含む。
【0050】
以下の非限定実施例は本発明を例示するものであり、いかなる形であれその範囲を制限しない。実施例及び本明細書全体で、すべての百分率、部及び比は、特に明記しない限り重量による。
【0051】
(実施例)
リパーゼ活性のためのアッセイ法
固定化前のリパーゼ活性は、以下の方法によって測定することができる。
【0052】
5mlのMcLain緩衝液(pH6.0、0.1M)、基質として1gのオリーブ油、及び1mlのリパーゼ溶液を含む反応混合物を、直径5mmの30個のガラスビーズの存在下で、振盪(振幅3cmで1分に140回の振動)させながら30℃で30分間インキュベートする。
【0053】
20mlのアセトン-エタノール(1:1)の添加によって反応を停止させ、指標としてフェノールフタレインを用いて0.1N KOHで放出される脂肪酸を滴定する。
【0054】
1単位(U)は、上記の条件下で1マイクロモル当量の脂肪酸を放出することができるリパーゼの量と定義される。
【0055】
(実施例1〜3)
高オレイン酸ヒマワリ油を、1,3特異的リパーゼの存在下でステアリン酸と反応させた。反応は、用いた酸対油の比が1.5である連続法(充てん層反応器)で実施した。反応では、触媒1kgにつき1200kgの油を使用した。反応は70℃で実施し、総反応時間は50〜100時間であった。以下の通りに定義される最も高い変換を得るために、用いたリパーゼに基づいてスループットを調節した:
変換(%)={([OOO]t - [OOO]o)÷([OOO]eq - [OOO]o)}×100
上式で、
[OOO]t=時間t時における油中のトリオレインの濃度
[OOO]o=出発物質中のトリオレインの濃度
[OOO]eq=平衡時のトリオレインの濃度
【0056】
以下の3つの異なるリパーゼを用いた:
【0057】
【表1】

【0058】
反応生成物は、2段階分別方法でアセトンを用いて湿式分別した。第1段階のために用いた分別温度は約28.5℃であり、第2段階については10℃であった。油対溶媒比は、1:5であった。ステアリン(より高融解性分画)を分析し、以下の組成を有していた:
【0059】
【表2】

【0060】
本発明によって生成される組成物は、シアステアリンに極似することを結果は示す。
【0061】
(実施例4)
カカオバター同等物(CBE)を生成するために、実施例1〜3で得られたステアリン分画を、パーム中間分画(PMF)とブレンドした。固体脂肪含量を測定し、以下の結果が得られた:
【0062】
【表3】

【0063】
実施例2とのブレンドのN30、N35及びN40値は、まだ入手されていない。
【0064】
本発明によって実施例1から形成されたブレンドは、その融解プロファイルに関してシアステアリンとのブレンドに最も極似し、最良のCBEを構成することを結果は示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
50から80重量%のStOSt、及び5から20重量%のStOOを含むトリグリセリド組成物を調製する方法であって、リゾプス・オリゼからの1,3-特異的リパーゼの存在下でトリオレインをステアリン酸と反応させて、エステル交換グリセリドを形成する段階、及びエステル交換トリグリセリドを分別する段階を含む方法。
【請求項2】
トリオレインをステアリン酸と反応させる段階が、65から80℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
トリオレインが、高オレイン酸ヒマワリ油として提供される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
湿式分別が、アセトンを用いて実施される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
リパーゼが、支持体の上に固定される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
組成物が、60から80重量%のStOStを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
組成物が、5から15重量%のStOOを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
組成物が、2から8重量%のStLStを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
トリグリセリド組成物をパーム中間分画とブレンドする段階をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ブレンドが精製される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ブレンドがカカオバター同等物(CBE)である、請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法によって得られる、50から80重量%のStOSt及び20重量%までのStOOを含むトリグリセリド組成物。
【請求項13】
請求項9から11のいずれか一項に記載の方法によって得られるカカオバター同等物。

【公表番号】特表2012−525857(P2012−525857A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510151(P2012−510151)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002865
【国際公開番号】WO2010/130395
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(503352660)ローダース・クロクラーン・ベスローテンフェンノートシャップ (10)
【住所又は居所原語表記】Hogeweg 1, NL−1521 AZ Wormerveer, Netherlands
【Fターム(参考)】