説明

トリミング装置

【課題】 打ち抜いたシート片を安定した姿勢で後段の搬送装置へ移し替え、供給をすること
【解決手段】 昇降移動する複数のパンチ11と、そのパンチに対向する下方位置に配置されたダイ12と、を備える。パンチの内部に吸着ノズル30を昇降可能に配置し、ダイは上下に貫通する貫通孔12aを有する。吸着ノズルは、下降移動した際に貫通孔内を通過してダイの下方に至る、吸着ノズルは、パンチとダイとでPTPシート65をカットする前のPTPシートを吸着し、カット後のシート片を吸着したまま下降移動し、ダイの下方の搬送装置に搬出するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばPTP(Press Through Package)から所定数ずつ錠剤を収納するポケット部を打ち抜いて分離するなど、シートからシート片を打ち抜くトリミング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PTPシートは、容器(ポケット部)側から中身を押し出して上蓋を破壊し、中身を取り出すようにした包装形態であり、薬品包装における錠剤やカプセルの包装に良く使われる。そして、係るPTPシートを製造するPTP包装機は、原反ロールから樹脂製の容器フィルムを連続して引き出して搬送し、その搬送途中で容器フィルムを加熱後、容器フィルムの所定位置に凹状のポケット部を成型し、そのポケット部内に錠剤等の被包装物を供給後、容器フィルムの上に蓋フィルムを被せ、次いで両フィルムを熱シールして密封し、所定位置をカットすることによりPTPシートを製造するようになっている。
【0003】
このPTPシートの包装形態の1つとして特許文献1に開示されたカード型包装体がある。このカード型包装体は、例えば図1に示すように全体が矩形の厚紙からなるカード型包装材1の間に錠剤5のPTPシート2を挟み込んで封止した構造からなる。カード型包装材1の表紙1aと裏紙1bとは、その中心線1cを対称にして互いに向き合うように折り込まれ、表紙1aと裏紙1bとの間にPTPシート2が挟持される。PTPシート2は、錠剤5を収容するポケット部3aが適宜位置に形成された容器フィルム3と、ポケット部3aの開口側を閉塞するように容器フィルム3にシールされた蓋フィルム4とを備え、ポケット部3a内に錠剤5が密封収納された構成となる。
【0004】
表紙1aと裏紙1bの所定位置には孔部1d,1eが設けられている。この孔部1d,1eは、ポケット部3aに対向する位置に設定されて、PTPシート2を挟み込んだ状態では、表紙1aの孔部1dからはポケット部3aが突出し、裏紙1bの孔部1eにはポケット部3aに対向する蓋フィルム4(容器フィルム3との未シール部位)が臨むようになっている。これにより、ポケット部2aを押して中身の錠剤5を押し出すと、錠剤5は裏紙1bの孔部1eからカード型包装体の外へ取り出すことができる。
【0005】
このカード型包装材1を構成する表紙1a,裏紙1bの所定位置には、各種の情報が記載されている。一例を挙げると、多種多様な使用上の注意、服薬履歴、症状のメモ等の各種情報がある。係る情報をカード型包装材1に記載することで、確実に患者、医師、薬剤師、その他消費者等に伝達することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−248545号公報
【特許文献2】特許第3739712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、PTPシート2に形成するポケット部3aの配置ピッチや設置数と、カード型包装材1に形成する孔部1d,1eの配置ピッチや設置数は一致させておく必要がある。従って、例えばPTPシート2側の配置ピッチ等と、カード型包装材1側の配置ピッチ等が相違する場合には、PTPシート2を個々のポケット部単位に切断し、切断したポケット部(外周囲には容器フィルムと蓋フィルムがシールされたフィルム部位が存在する)をそれぞれ孔部1dに装着することで対応できる。
【0008】
係る個々のポケット部単位に切断するためには、例えば特許文献2に開示されるPTPシートを製造するためのシート打抜装置を利用することが考えられる。このシート打抜装置は、図1に示すPTPシートのように複数個(2列×5個)のポケット部を備えたものを打ち抜くものであり、打ち抜かれたPTPシートが下方に用意した完成用ホッパに落下供給されて貯留される。
【0009】
この特許文献2に開示された装置を用い、ポケット部を1個ずつ打ち抜くことを考えた場合、打ち抜かれたシート片は落下する際に反転したり、傾いたりして姿勢が安定せず、完成用ホッパ内にはその向き・姿勢がランダムの状態で貯留される。従って、例えば打ち抜かれたシート片を後段の搬送装置で搬送することを考えた場合、向き・姿勢がランダムであると安定的に搬送装置に供給できないという問題がある。
【0010】
打ち抜いたシート片を安定した姿勢で後段の搬送装置へ移し替え、供給をしたいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明は、(1)シート材から所定形状のシート片を打ち抜くための、パンチとそのパンチに対向する下方位置に配置されたダイと、を備え、 前記パンチ及びダイは少なくともいずれかが昇降移動し、前記パンチの内部に吸着ノズルを昇降可能に配置し、前記ダイは上下に貫通する貫通孔を有し、前記吸着ノズルは、下降移動した際に前記パンチの先端から突出し前記ダイの貫通孔内を通過して前記ダイの下方に至るように構成し、前記吸着ノズルは、前記パンチと前記ダイとで前記シート材から打ち抜く前の前記シート片を吸着し、打ち抜き後のシート片を吸着したまま下降移動し、前記ダイの下方の搬送手段に搬出するように構成した。実施形態では、パンチとダイの両方が昇降移動するようにしたが、少なくとも一方が昇降すれば良い。
【0012】
シート材(実施形態ではPTPシート)を吸着ノズルで吸着した状態でパンチとダイで打ち抜いてカットするため、シートずれが発生せず、シート材を所望の位置でトリミングしてシート片を形成することができる。カットされたシート片は、吸着ノズルで保持されたままダイの貫通孔内を通過してダイの下方に至り、そのダイの下方に設置される搬送手段に受け渡すことができる。よって、シート材から分離されたシート片は、搬送手段に受け渡されるまで吸着ノズルで保持されているので、その姿勢が傾いたりすること無く、スムーズに搬送手段に供給される。また、シート片の搬出は吸着ノズルの下降移動により行われるので、パンチとダイの相対移動(パンチがダイの内部へ進入)はシートを打ち抜くのに足りる距離だけで済み、必要以上に押し込む必要がないので刃部の摩耗を抑えることができる。
【0013】
(2)前記パンチの周囲に抑え部材を配置し、その抑え部材は、前記パンチと前記ダイが接触する前にダイの上面に接触して前記シートを挟み込むようにするとよい。パンチとダイによる打ち抜き前に抑え部材ダイとの間で抑えることでより安定してカットできる。
【0014】
(3)前記ダイは昇降移動するように構成し、前記ダイが上昇移動して前記パンチと前記ダイの間に供給された前記シート材に接触するようにするとよい。例えばシート材がPTPシートで錠剤・タブレット等の物品を収納するポケット部が下向きの状態で、PTPシートがパンチとダイとの間に供給されるようにした場合、ダイが上昇することでPTPシートの供給は水平方向の移動を行うだけでもダイの上面がPTPシートに接触し支持できる。その結果機PTPシートを供給する機構が簡単にすることができる。
【0015】
(4)前記シート材がPTPシートであって、前記パンチと前記ダイは、物品が収納されるポケット部を1つずつカットするものとするとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、シートから所望の位置で打ち抜いてシート片を分離・トリミングすることができるとともに、打ち抜いたシート片を安定した姿勢で後段の搬送装置へ移し替え、供給をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】カード型包装体の一例を示す図である。
【図2】本発明に係るトリミング装置の好適な一実施形態を示す正面図である。
【図3】(a)は図2におけるA−A線矢視断面図であり、(b)は図2におけるB−B線矢視断面図である。
【図4】要部を示す拡大図である。
【図5】その作用を説明する図である。
【図6】その作用を説明する図である。
【図7】その作用を説明する図である。
【図8】その作用を説明する図である。
【図9】その作用を説明する図である。
【図10】その作用を説明する図である。
【図11】その作用を説明する図である。
【図12】PTPシートをトリミング装置に供給する供給装置を説明する図である。
【図13】PTPシートをトリミング装置に供給する供給装置を説明する図である。
【図14】PTPシートをトリミング装置に供給する供給装置を説明する図である。
【図15】PTPシートをトリミング装置に供給する供給装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図2〜図4は、本発明係るトリミング装置10の好適な一実施形態を示している。図5以降はその作用を説明する図である。本実施形態のトリミング装置10は、複数(例えば2×2の4個)のポケット部を備えたPTPシートから、所定数(例えば1つ)ずつポケット部の周りでカットして分離するものである。更に本実施形態のトリミング装置10は、係る4つのポケット部を備えたPTPシートを複数個セットして一括して処理するようにしている。具体的な構成は、以下の通りである。
【0019】
トリミング装置10は、ともに適宜のタイミングで昇降移動するパンチ(雄型)11とダイ(雌型)12を備える。パンチ11は上方に配置し、ダイ12は下方に配置する。図2,図3に示すようにパンチ11とダイ12が離反した状態で、パンチ11とダイ12の間の空間内にPTPシートをセットした後、そのセットした状態でパンチ11とダイ12が接近移動し、パンチ11,ダイ12にてポケット部の周囲のフィルム部位を上下から挟み込んで打ち抜くようになっている。
【0020】
ダイ12を昇降させる機構は、以下のようになっている。すなわち、まずトリミング装置10のベース部材18上に第1シリンダ13を配置し、第1シリンダ13のシリンダロッド13aの先端に移動台14を連結し、その移動台14の上面所定位置に柱部15を起立状態で固定し、その柱部15の上に支持台16を配置し、その支持台16の上面にダイ12を設置する。これにより、図2〜図4に示すようにダイ12が下降位置に位置している状態から第1シリンダ13のシリンダロッド13aが前進移動して伸びると、一体となった移動台14,柱部15,支持台16とともにダイ12も上昇移動する(図7→図8参照)。
【0021】
図4に拡大して示すように、ダイ12は上下に貫通する貫通孔12aを備え、その貫通孔12aの上端の内周縁が刃部12bとなっている。刃部12bの下方は内寸を拡大した形になっており、仮にパンチ11が必要以上に押し込まれたとしても、刃部12とダイ12内面とのクリアランスによって磨耗が抑えられるようになっている。また、第12の上面における貫通孔12aの外周囲は、PTPシートを受ける抑え面12cとなる。図示省略するが、この個々の貫通孔12aの上端の内周縁は、略矩形(正方形)となり、各辺は1つのポケット部の外径より一回り大きくなっている。そして、各貫通孔12aの配置レイアウト(隣接する貫通孔12aの配置ピッチ)は、処理対象のPTPシートのポケット部の配置ピッチに一致させている。これにより、後述するようにPTPシートの供給装置により、ポケット部が下向きの状態でダイ12上にPTPシートがセットされると、各ポケット部は、それぞれ対向する貫通孔12a内に入り込むとともに、PTPシートのポケット部の未形成領域のフィルム部位は、抑え面12cに接触して支持される。
【0022】
また、支持台16には、ダイ12に形成した貫通孔12aに連続するように貫通孔16aが形成される。後述するように、ダイ12の上に配置されたPTPシートは、ダイ12の刃部12bの形状に合わせてポケット部の周囲を略矩形にカットされて分離したシート片が、貫通孔12a,16a内を移動して下方に排出される。
【0023】
一方、ベース部材18の上面所定位置に起立された一対の側壁19の両端には、両端がそれぞれの側壁19に連結される水平方向に伸びる連結板20が配置される。各連結板20の下面には第2シリンダ21が下向きに設けられる。第2シリンダ21の往復動作するシリンダロッド21aは、下に向けて伸びるようになっている。シリンダロッド21aの先端には、横長の移動台22が連結され、この移動台22の上面長手方向両端部に一対の柱部23を起立状態で固定し、その一対の柱部23の上に架け渡すようにして支持台24を配置し、その支持台24の下面にパンチ11を設置する。これにより、図2〜図4に示すようにパンチ11が上昇位置に位置している状態から第2シリンダ21のシリンダロッド21aが前進移動して伸びる(先端位置が下降する)と、一体となった移動台22,柱部23,支持台24とともにパンチ11も下降移動する(図7→図8参照)。なお、支持台24は四隅にある貫通孔にそれぞれガイド軸34が挿通された状態になっており、昇降時のぶれが防止されている。ガイド軸34は両側壁19の上端部を連結する天板37の下面に吊り下げられた状態で固定されている。
【0024】
さらに図4に拡大して示すように、パンチ11は上下に貫通する貫通孔11aを備え、その貫通孔11a内に吸着ノズル30を挿入配置している。パンチ11の下端の外周縁が刃部11bとなっている。このパンチ11の外周縁(刃部11b)の外形寸法形状は、ダイ12の貫通孔12aの内周縁(刃部12b)の内形寸法形状と等しくしている。これにより、両刃部11b,12bで挟み込まれたPTPシートのフィルム部位がその矩形状に切断・打ち抜かれる。
【0025】
また、パンチ11の外周には抑え部材31が配置される。この抑え部材31は、パンチ11を挿入配置するための筒状部31aを備え、その筒状部31aの下端面が抑え面31bとなる。抑え部材31は、その上面にガイドロッド32が起立形成される。ガイドロッド32は、ボルトから構成されており、ボルトのネジ部が抑え部材31に設けたねじ孔に締結されている。このガイドロッド32は、支持台24に設けた上下に貫通する貫通孔24a内に挿入配置されるとともに、貫通孔24aの内径よりも大きい寸法形状の頭部32aが支持台24の上方に位置するようにしている。さらに、ガイドロッド32の長さは支持台24の厚さよりも長くしている。これにより、ガイドロッド32は貫通孔24aに案内されて軸方向に移動可能となるので、そのガイドロッド32の下端に固定された抑え部材31も昇降移動可能となる。そして、ガイドロッド32の頭部32aが支持台24の上面に接触するとそれ以上の下降移動が阻止されるため、抑え部材31は支持台24に吊り下げられた状態で支持される。
【0026】
さらにガイドロッド32の外周囲にはコイルスプリング33が装着されている。このコイルスプリング33の両端は、それぞれ抑え部材31の上面と支持台24の下面(実際には、貫通孔24a内の段差部)に接触している。そして、スプリング33は圧縮状態となっており、抑え部材31を下方に付勢する。図4(b)に拡大して示すように、ガイドロッド32の頭部32aが支持台24の上面に接触した状態の抑え部材31が最下端位置にいるときには、抑え部材31の下端の抑え面31bはパンチ11の下端(刃部11b)よりも下方に位置している。抑え部材31の自重と、スプリング33による付勢力が相まって、抑え部材31は最下端位置で安定した状態となる。
【0027】
そして、上述したように第2シリンダ21の動作により移動台24が下降移動すると、一体となったパンチ11が下降するが、それとともに抑え部材31も移動台24に吊り下げられた状態のまま下降移動する。この下降移動中も、抑え部材31の下端の抑え面31bは、パンチ11の下端よりも下に所定量だけ突出した状態となっている。よって、パンチ11の刃部11bとダイ12の刃部12bが接触するより先に、抑え部材31の抑え面31bとダイ12の抑え面12cが接触し合う。実際の作業時は、PTPシートが介在するため両刃部11b,12bより先にPTPシートを上下から挟み込んで保持する。
【0028】
またその状態でさらにパンチ11が下降移動すると、抑え部材31はそれ以上下降移動しないので、刃部11bが抑え部材31の下面から下方に突出し、ダイ12の貫通孔12a内に入り込む。よって、パンチ11の刃部11bとダイ12の刃部12bとの間でPTPシート65をカット可能となる。これにより、PTPシート65は、刃部11b,12bの形状に合わせて打ち抜かれ、個々のシート片66が形成される。各シート片66は、PTPシート65のポケット部65aを1個備えた平面矩形状の形態となる。
【0029】
吸着ノズル30は、通常状態ではパンチ11の貫通孔11a内に収納された状態となり、下端の吸着面30aは、パンチ11の下端と面一あるいは若干上方に又は若干突出した状態で位置している。吸着ノズル30の上端には、中空の連結管36の下端が連結されている。連結管36は、上端にて連結ホース35の一端が取り付けられ、その連結ホース35を介して図外の吸引ポンプに連係される。つまり、吸着ノズル30は、連結管36,連結ホース35を介して吸引ポンプに連係され、所定のタイミングで吸着面30aにて吸引したり、吸引が解除したりする。
【0030】
この連結管36は細長な円筒形であり、パンチ11に対して相対的に昇降移動可能となる。すなわち、図2〜図4に示す上昇位置(待機位置)から連結管36が下降移動すると、それと一体となって吸着ノズル30も下降移動し、吸着ノズル30はパンチ11の下方に突出する。下方に突出した状態で吸引すると、吸着面30aに接触する部材(PTPシート)を吸着保持することができる。
【0031】
この連結管36を昇降移動させる機構は、以下のようになっている。まず、天板37の上面には、一対のガイド軸38を起立形成し、そのガイド軸38に支持板39を昇降移動可能に装着する。この支持板39に、連結管36の上端を固定する。また、支持板39は、両側壁19の上方に斜めに跨るようにして配置され、両端部が各側壁19に固定された第3シリンダ40のシリンダロッド40aに連結されており、シリンダロッド40aの往復動作に伴い支持板39が昇降する。この支持板39の昇降動作が、ガイド軸38に案内されて安定して(支持板39が水平状態を維持して)行われる。この支持板39の昇降移動に伴い、連結管36も昇降移動する。
【0032】
この連結管36の下降移動にともない、連結管36の下端に取りつれられた吸着ノズル30は、パンチ11の下方に突出し、さらにダイ12の貫通孔12a内を移動する。そして、天板39ひいては連結管36が最下端位置に至ると、吸着ノズル30はダイ12のさらに下方に突出した位置に至る。
【0033】
一方、ダイ12の下方には、打ち抜かれたPTPシート65のシート片66を受け取ると共に搬送する搬送装置が配置される。この搬送装置は、搬送ベルトコンベア50を備える。搬送ベルトコンベア50は、図では搬送面を構成するエンドレスベルトの部分のみ描画している。搬送ベルトコンベア50は、PTPシート65から打ち抜かれたシート片66を受け取るバケット60を搬送するものである。
【0034】
バケット60は、その上面にシート片66を受けるための凹部60aを備えている。凹部60aの内周面の寸法形状はシート片66の外周縁の寸法形状と等しいか一回り大きくしている。そして、各凹部60aの配置ピッチは、ダイ12の貫通孔12aの配置ピッチに合せている。これにより、バケット60がダイ12の下方の所定位置に位置すると、各凹部60aは、ダイ12の各貫通孔12aに対向する。また、バケット60の各凹部60aの中央には孔部60cが形成される。PTPシート65は、ポケット部65aが下に位置する姿勢でカットされるため、カットされたシート片66は、ポケット部が下向きの姿勢で搬出され、当該ポケット部が孔部60c内に収まった状態でシート片66が凹部60a内に収納される。更にバケット60の底面の左右両側中央部位には、位置決め用穴部60bが設けられている。
【0035】
ダイ12の下方には、搬送ベルトコンベア50で搬送途中のバケット60を所望の位置で一時停止する機構が設けられる。この一時停止する機構は、第4シリンダ51と、その第4シリンダ51のシリンダロッドに連携されたリフト台52と、リフトダイ52の上面中央に設けた位置決めピン53と、第5シリンダ54と、その第5シリンダ54のシリンダロッドに連携されたストッパ55を備える。さらに第4シリンダ51,リフト台52,位置決めピン53は、2組用意し、搬送ベルトコンベア50の左右両側に配置される。バケット60の横幅は、搬送ベルトコンベア50のベルト幅よりも長い設定とし、バケット60は、その左右両側がエンドレスベルトの両側縁よりも外側に突出した状態で搬送される。
【0036】
リフト台52は、その上面にてバケット60の下面両側縁に接触し、バケット60を支持可能となっている。すなわち、第4,第5シリンダ51,54は、シリンダロッドの先端が上に位置して上下に往復動作するものであり、最下端位置にあるときには、リフト台52とストッパ55は、搬送ベルトコンベア50のベルト面より下側に位置する。よって、搬送ベルトコンベア50のベルト面上に置かれたバケット60は、エンドレスベルトの回転に追従して前進移動する。一方、第4,第5シリンダ51,54のシリンダロッドが延びて最上端位置に至ると、リフト台52とストッパ55は、搬送ベルトコンベア50のベルト面より所定距離だけ上方に位置する。これによりストッパ55がバケット60の前面に接触し、前進移動が阻止される。つまり、バケット60は一時停止する。この一時停止したバケット60の凹部60aは、ダイ12の貫通孔12aの下方に位置する。更に、上昇移動したリフト台52により、バケット60が持ち上げられ、バケット60は搬送コンベア装置50から離反し、搬送力の伝達が解除される。更に、位置決めピン53がバケット60の位置決め用穴部60bに入り込み、持ち上げられたバケット60がリフト台52上で移動すること無く安定して保持される。
【0037】
一方、図7以降に示すように、PTPシートの供給装置70は、PTPシート65の両端を挟み持つ挟持爪71を備え、その挟持爪71にてPTPシート65を保持した状態でパンチ11,ダイ12間にセットし、シート片66が打ち抜かれた残りを排出する。具体的な構成は、図12以降に示す通りである。すなわち、供給装置70は、受け渡しロボット68にて、上流側の搬送ラインで送られてくるPTPシート65を受け取り位置にて所定枚数(本例では6枚1列)受け取り、その所定枚数を搬出位置(パンチ11,ダイ12の間)まで搬送するものである。
【0038】
受け取り位置には、昇降移動する受け台73を配置する。受け台73は、図示省略する昇降装置(シリンダ等)により所定のタイミングで昇降する。また、受け台73の上面には、凹部73aが形成され、下向きに供給されるPTPシート65のポケット部65aを受けるようになっている。
【0039】
この受け台73の上方所定位置に一対の挟持爪71が配置され、受け台73は、下降位置では挟持爪71の下方に位置し上昇位置では受け台73の上面が挟持爪71の下側爪部71aとほぼ同じ高さ位置に至る。挟持爪71は、シリンダ72により水平方向に移動する下側爪部71aと、その下側爪部71aの上に配置され昇降する上側爪部71bを有する。上側爪部71bは、図示省略する駆動機構により昇降し、下側爪部71aに接触して(閉じて)PTPシート65を挟み込んだり、下側爪部71aと離反したり(開いたり)する。また上側爪部71bは、相対的に下側爪部71aに対して昇降するが、水平方向には下側爪部71aと一体となって移動する。よって一対のシリンダ72が同期した往復動作することで、一対の挟持爪71は互いに接近したり、離反したりする。
【0040】
また、一対のシリンダ72は、ベース枠体75上に設置されている。ベース枠体75は平面ロ字状であって、中央の空間部分に上記の受け台73が臨む配置としている。ベース枠体75の長辺の中間位置にシリンダ72が設置され、短辺の中間位置にスライダ77が設置される。このスライダ77は、ベース枠体75の短辺に平行な両サイドに配置されたガイドレール76に対して移動可能に連係される。さらにスライダ77は、ガイドレール76の外側に平行に配置された駆動ベルト78に連結されており、駆動ベルト78が正逆回転するのに追従してスライダ77がガイドレール76に沿って安定して前後進移動する。これに伴い、スライダ77に支持されるベース枠体75と共に挟持爪71も前後進移動する。
【0041】
次に、供給装置70,トリミング装置10,搬送装置の作用を説明しつつ、各装置の機能・構成を説明する。供給装置70は、図12(a)に示すように、ベース枠体75(挟持爪71,シリンダ72)を受け取り位置に位置させ、一対の挟持爪71間の空間下方に受け台73が位置する状態にする。この状態で、受け渡しロボット68のマニピュレータである吸着ノズルが、6枚のPTPシート65を一列に並んだ状態で蓋フィルム側を吸着保持する。よって、PTPシート65は、ポケット部65aが下に位置する姿勢で受け台73の上方に位置決め保持される(図14(a)参照)。また、図14から明らかなように、一対の挟持爪71は互いに離反した状態となっており、係る一対の挟持爪71間の距離は、PTPシート65の幅よりも広くしている。
【0042】
次いで、図14(b)に示すように、受け台73が上昇移動し、受け台73の上面が、挟持爪71の下側爪部71aとほぼ同じ高さ位置に至る。その後、図14(c)、12(b)に示すように、受け渡しロボット68の吸着ノズルが下降移動し、PTPシート65は受け台73の上に置かれる。また、PTPシート65のシート幅は、受け台73の幅よりも長く設定しており、受け台73上にPTPシート65がおかれた状態では、そのPTPシート65の両端が外側に突出する(即ち、PTPシート65の長手方向両端部が受け台73の外側に突出した状態になっている)。上述したように、一対の挟持爪71間の距離は、PTPシート65の幅よりも広くしているので、PTPシート65は、挟持爪71に接触することなく受け台73上まで下降移動する。
【0043】
次いで、図15(a),図13(a)に示すように、シリンダ72が往動作をして両挟持爪71が接近移動する。これにより、下側爪部71aがPTPシート65の両端部位の下側に接触或いは近接状態で位置する。また、上側爪部71bは上昇した開いた位置にあるので、上側爪部71bはPTPシート65の両端部位の上方所定距離をおいて重なるように位置する。そして、受け渡しロボット68の吸着ノズルが上昇し、次のPTPシートを吸着すべく上流の搬送ライン側に移動する。よって、受け台73の上方空間には当該吸着ノズルが存在しない状態となる。
【0044】
図15(b)、13(b)に示すように、上側爪部71bが下降移動し、両挟持爪71にてPTPシート65の両側を挟み込む。これより、PTPシート65は、一対の挟持爪71にて支持される。この後、図15(c)に示すように、受け台73が下降移動する。すると、PTPシート65は、挟持爪71にしっかりと保持した状態となっている。
【0045】
よって、この後は駆動ベルト78が正回転移動し、ベース枠体75ひいては一対の挟持爪71は、PTPシート65を支持したまま駆動ベルト78の駆動力を受け、ガイドレール76に沿って前進移動することができる。そして、一対の挟持爪71間にパンチ11とダイ12が位置する。すなわち、PTPシート65の各ポケット部65aが、パンチ11とダイ12の間の空間であって、ポケット部65aがダイ12の貫通孔12aに対向する位置に至る(図7参照)。
【0046】
次に、トリミング装置10の作用を説明する。図7に示すように、パンチ11が上昇位置でダイ12が下降位置にあり、両者の間に形成された空間内に挟持爪71で挟持されたPTPシート65がセットされると、第1シリンダ13のシリンダロッド13aが延びる往動作によりダイ12が上昇位置に至るとともに第2シリンダ21が延びる往動作によりパンチ11,吸着ノズル30並びに抑え部材31が下降移動する。これにより、ダイ12の抑え面12cは、PTPシート65の下側に位置するフィルム部位(ポケット部65aの未形成領域)に接触する。また、抑え部材31の抑え面31bは、PTPシート65の上側に位置する蓋フィルムに接触する。図4に拡大して示すように、抑え部材31は、自重に加えてスプリング33により下方に付勢されているため、PTPシート65は抑え部材31とダイ12との間でしっかりと挟持されて固定される。このとき、挟持爪71による支持も継続して行われる。
【0047】
この状態からさらに第2シリンダ21のシリンダロッド21aが延びるとともにシリンダロッド40aが縮むと、支持台24,支持板39が下降し、それにともないパンチ11,吸着ノズル30が下降してその下端面がPTPシート65の蓋フィルムに接触する(図8参照)。これにより、吸着ノズル30が接触する蓋フィルムを吸引保持する。また抑え部材31はダイ12により下降移動が阻止される。
【0048】
この状態からさらに第2シリンダ21のシリンダロッド21aが延びると、図9に示すように、支持台24,支持板39が下降し、それにともないパンチ11,吸着ノズル30がさらに下降するが、抑え部材31はダイ12により下降移動が阻止されるため、パンチ11,吸着ノズル30が抑え部材31に対して相対的に下降し、その下端面は抑え部材31の抑え面31aよりも下方に突出する。よって、パンチ11,吸着ノズル30は、ダイ12の貫通孔12a内に入り込み、これに伴い、両刃部11b,12bによりPTPシート65がポケット部65aの周りでカットされる。カットされたシート片66は、吸着ノズル30により吸着保持されている。
【0049】
次に、第3シリンダ40のシリンダロッド40aが複動作により先端が下降し、それに伴い支持板39、連結管36も下降移動するため、吸着ノズル30は貫通孔12a内を下降移動する。そして最終的には、図10に示すように、吸着ノズル30は搬送ベルトコンベア50上のバケット60の上面近傍に至り、吸着ノズル30で吸着保持されているシート片66は、バケット60の凹部60a内に入り込み、ポケット部65aは孔部60c内に入り込む。
【0050】
なお、搬送装置は、このように吸着ノズル30が最下端位置に至る前の所定のタイミングで搬送ベルトコンベア50にてバケット60をダイ12の下方に搬送する。バケット60は、ストッパ55で位置決めされて一時停止するとともに、リフト台52で持ち上げられて搬送ベルトコンベア50からの搬送力が解除される状態にしている。
【0051】
次いで、吸着ノズル30の吸引を停止し、第3シリンダ40のシリンダロッド40aが往動作により先端が上昇するのに伴い、吸着ノズル30も上昇移動する。これにより、図11に示すように、シート片66はバケット60内に置かれた状態となり、搬送装置へのPTPシート65から打ち抜かれたシート片66の受け渡しが完了する。
【0052】
搬送装置は、第4,第5シリンダ51,54を複動作させてリフト台52,ストッパ55を下降させ、バケット60を搬送コンベアベルト50上に戻す。これにより、シート片66を受け取ったバケット60は、搬出される。
【0053】
また、シート片66が打ち抜かれたPTPシート65は、挟持爪71にて支持されたままである。そこで、供給装置70は、駆動ベルト78を反転動作させて挟持爪71をパンチ11,ダイ12の復帰後後退移動させる。そして、その後退移動の途中で挟持爪71を開き、打ち抜かれたPTPシートを廃棄する。
【0054】
上述したように、PTPシート65から打ち抜かれたシート片66は、吸着ノズル30で保持された状態で下降移動し、下方に待機しているバケット60に受け渡すようにしているので、パンチ11(刃部11b)は、ダイ12(刃部12b)に対してPTPシート65を切断するに足りる距離だけ入り込めば(押し込めば)良く、刃部11b,12bの摩耗を抑えることができる。
【0055】
また、打ち抜かれたシート片66は、バケット60に受け渡されるまで吸着ノズル30にて吸着保持された状態で下降移動するので、ポケット部が下で水平状態を保持したまま安定した姿勢で下降移動する。よって、パケット60の適切な位置にシート片66を供給することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 トリミング装置
11 パンチ
11a 貫通孔
11b 刃部
12 ダイ
12a 貫通孔
12b 刃部
12c 抑え面
13 第1シリンダ
14 シャフト
16 支持台
21 第2シリンダ
24 支持台
30 吸着ノズル
30a 吸着面
31 抑え部材
31b 抑え面
33 コイルスプリング
36 連結管
38 ガイド軸
39 天板
40 第3シリンダ
65 PTPシート
65a ポケット部
66 シート片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材から所定形状のシート片を打ち抜くための、パンチとそのパンチに対向する下方位置に配置されたダイと、を備え、
前記パンチ及びダイは少なくともいずれかが昇降移動し、
前記パンチの内部に吸着ノズルを昇降可能に配置し、
前記ダイは上下に貫通する貫通孔を有し、
前記吸着ノズルは、下降移動した際に前記パンチの先端から突出し前記ダイの貫通孔内を通過して前記ダイの下方に至るように構成し、
前記吸着ノズルは、前記パンチと前記ダイとで前記シート材から打ち抜く前の前記シート片を吸着し、打ち抜き後のシート片を吸着したまま下降移動し、前記ダイの下方の搬送手段に搬出することを特徴とするトリミング装置。
【請求項2】
前記パンチの周囲に抑え部材を配置し、
その抑え部材は、前記パンチと前記ダイが接触する前にダイの上面に接触して前記シート材を挟み込むことを特徴とする請求項1に記載のトリミング装置。
【請求項3】
前記ダイは昇降移動するように構成し、
前記ダイが上昇移動して前記パンチと前記ダイの間に供給された前記シート材に接触するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載のトリミング装置。
【請求項4】
前記シート材がPTPシートであって、前記パンチと前記ダイは、物品が収納されるポケット部を1つずつ打ち抜くものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトリミング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−75336(P2013−75336A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215365(P2011−215365)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】