説明

トルクセンサおよびパワーステアリング装置

【課題】一対のレゾルバを有するトルクセンサにおいて、上記両レゾルバの特性をトルクセンサとして用いる上で好適なものとする。
【解決手段】トーションバー10の捩れ変形に基づく入力軸8と出力軸9との相対回転角度範囲をA°とし、入力軸8に設けられた入力側レゾルバ12の軸倍角をn1とし、出力軸9に設けられた出力側レゾルバ13の軸倍角をn2とした場合に、n1<360/Aの関係を満足するように入力側レゾルバ12を構成する一方、n2<360/Aの関係を満足するように出力側レゾルバ13を構成する。これにより、両レゾルバ12,13の出力から得られる電気角同士の差が相対回転角度範囲A内で同じ値をとることがなくなり、トルクの検出精度が高まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクセンサおよびパワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、自動車のパワーステアリング装置では、運転者がステアリングホイールを回転操作する操舵トルクをトルクセンサによって検出し、その操舵トルクに基づいて演算した操舵アシスト力を操舵系に付与するようになっている。特許文献1に記載のトルクセンサは、第1軸と第2軸とをトーションバーを介して連結するとともに、第1軸と第2軸とにそれぞれレゾルバを設け、上記両レゾルバをもって検出される第1軸と第2軸との相対回転量、すなわち上記トーションバーの捩れ量に基づいて、上記トーションバーを介して伝達されるトルクを演算する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−286310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、上記両レゾルバの特性をトルクセンサに用いる上で好適なものとすることについて考慮されておらず、なおも改善の余地を残している。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、特に、上記両レゾルバの特性を好適なものとしたトルクセンサおよびパワーステアリング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1,4に記載の発明は、特に、トーションバーの捩れ変形に基づく第1軸と第2軸との相対回転角度範囲をA°とし、第1軸に設けられた第1レゾルバの軸倍角をn1とし、第2軸に設けられた第2レゾルバの軸倍角をn2とした場合に、上記第1レゾルバがn1<360/Aの関係を満足している一方、上記第2レゾルバがn2<360/Aの関係を満足していることを特徴としている。
【0007】
つまり、請求項1,4に記載の発明では、第1軸と第2軸との相対回転角度が相対回転角度範囲A内で変化する過程で、両レゾルバの出力から得られる両電気角同士の差が同じ値をとることがない。
【0008】
また、請求項5に記載の発明は、ステアリングホイール側の第1軸と転舵輪側の第2軸とをトーションバーを介して相対回転可能に連結してなる回転軸と、上記転舵輪に操舵アシスト力を付与する電動機と、第1軸の回転位置に応じて第1レゾルバ出力信号を出力する第1レゾルバと、第2軸の回転位置に応じて第2レゾルバ出力信号を出力する第2レゾルバと、第1レゾルバ出力信号および第2レゾルバ出力信号に基づいて上記トーションバーに作用するトルクをマイクロコンピュータによって演算し、そのトルクの情報をトルク検出信号として出力するトルク演算部と、上記第1レゾルバおよび上記第2レゾルバから上記マイクロコンピュータを介して上記電動機駆動部に至るまでの電気回路上に設けられ、当該電気回路上の信号のうち所定のカットオフ周波数以上の周波数成分を除去するローパスフィルタと、を備えたパワーステアリング装置であることを前提としている。その上で、上記第1レゾルバの軸倍角をn1とし、上記第2レゾルバの軸倍角をn2とし、上記マイクロコンピュータのビット長をBビットとし、上記ローパスフィルタのカットオフ周波数をF(Hz)とした場合に、上記第1レゾルバがn1≧360×F/2Bの関係を満足している一方、上記第2レゾルバがn2≧360×F/2Bの関係を満足していることを特徴としている。
【0009】
つまり、請求項5に記載の発明では、上記トーションバーに作用するトルクが変化したときに、上記マイクロコンピュータによって演算されるトルクは、上記両レゾルバによる回転位置検出の分解能に基づいて段階的に変化することになるが、このトルクの段階的な変化を上記ローパスフィルタによって滑らかなものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1,4に記載の発明によれば、両軸の相対回転角度が相対回転角度範囲A内で変化する過程で、両レゾルバの出力から得られる両電気角同士の差が同じ値をとることがないため、トルクの検出精度を高めることができる。
【0011】
請求項5に記載の発明によれば、上記両レゾルバによる回転位置検出の分解能に基づく段階的なトルクの変化が上記ローパスフィルタによって滑らかなものとなり、ステアリングフィールを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態としてパワーステアリング装置の概略を示す図。
【図2】トルクセンサの概略を示す断面図。
【図3】両レゾルバロータの平面図。
【図4】トルク検出用ECUの機能を示す機能ブロック図。
【図5】同図(a)は入力側レゾルバロータの回転位置と入力側電気角との関係を示すグラフ、同図(b)は出力側レゾルバロータの回転位置と出力側電気角との関係を示すグラフ。
【図6】操舵時における両電気角の関係を示す説明図。
【図7】両電気角θ1,θ2と操舵方向との関係を示す表。
【図8】トルク演算部における操舵トルク演算処理の詳細を示すフローチャート
【図9】図1〜8に示した実施の形態の変形例を示す図であって、同図(a)は入力側レゾルバロータの回転位置と入力側電気角との関係を示すグラフ、同図(b)は出力側レゾルバロータの回転位置と出力側電気角との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の実施の好適な形態としてパワーステアリング装置の概略を示す図である。
【0014】
図1に示すパワーステアリング装置は、運転者によってステアリングホイールSWが回転操作されると、そのステアリングホイールSWの回転がステアリングシャフト1を介して回転軸たるピニオン軸2に伝達されるとともに、そのピニオン軸2の回転運動がラック軸3の直線運動に変換され、ラック軸3の両端に連結された左右の転舵輪W1,W2が転舵するようになっている。つまり、ピニオン軸2とラック軸3とをもって手動操舵用の第1ラックピニオン機構4が構成されている。
【0015】
ラック軸3には、操舵アシスト用ECU5および電動機駆動部としてのモータ駆動回路6によって駆動制御される電動機としての電動モータMが、操舵アシスト用の第2ラックピニオン機構7を介して連係されている。そして、操舵アシスト用ECU5は、ピニオン軸2に設けられたトルクセンサTSから入力した操舵トルクTに基づいてモータ駆動回路6へ駆動指令信号を出力し、モータ駆動回路6から電動モータMへ電力を供給することにより、操舵アシスト力としての電動モータMの回転駆動力を第2ラックピニオン機構7を介してラック軸3に付与することになる。
【0016】
図2はトルクセンサTSの概略を示す断面図である。
【0017】
図2に示すように、ピニオン軸2は、ステアリングホイールSWの回転が伝達される第1軸としての入力軸8と、ラック軸3と噛合する第2軸としての出力軸9とに軸方向で分割されているとともに、それらの入力軸8と出力軸9は、それぞれ中空状に形成され、両軸8,9の内周側に設けられたトーションバー10を介して互いに同軸連結されている。そして、図示は省略しているが、トーションバー10の軸方向両端部は、両軸8,9の内周面に対し、相対回転不能にそれぞれセレーション結合されている。これにより、入力軸8と出力軸9とがトーションバー10の捩れをもって相対回転可能になっている。
【0018】
入力軸8の出力軸9に対する相対回転角度範囲は、図示外のストッパ機構によって所定の範囲に規制されているとともに、入力軸8は、トーションバー10の捩れ量が零のとき、換言すればトーションバー10の自由状態において、上記相対回転角度範囲の中間位置に位置するようになっている。すなわち上記相対回転角度範囲をA°とし、トーションバー10が自由状態のときにおける出力軸9に対する入力軸8の相対回転位置を零とすれば、入力軸8は、−A/2°からA/2°の範囲で出力軸9に対して相対回転可能になっている。本実施の形態では、上記相対回転角度範囲を12°とし、入力軸8は、トーションバー10の自由状態から左右にそれぞれ6°の範囲で出力軸9に対して相対回転可能になっている。
【0019】
ピニオン軸2の外周側には、当該ピニオン軸2の外周側を囲繞するハウジング11が設けられていて、当該ハウジング11と入力軸8との間に入力軸8の回転位置を検出する入力側レゾルバ12が第1レゾルバとして設けられているとともに、出力軸9の回転位置を検出する出力側レゾルバ13がハウジング11と出力軸9との間に第2レゾルバとして設けられている。なお、ハウジング11は車体に固定されている。
【0020】
両レゾルバ12,13は、ステータにのみコイルが設けられ、ロータにはコイルが設けられていない周知の可変リラクタンス(VR)型のものであって、入力側レゾルバ12は、入力軸8の外周面に一体的に嵌着された第1レゾルバロータである環状の入力側レゾルバロータ12aと、その入力側レゾルバロータ12aの外周側に所定の径方向隙間を介して外挿され、ハウジング11に対して固定された第1レゾルバステータである環状の入力側レゾルバステータ12bと、を有している。一方、出力側レゾルバ13は、出力軸9の外周面に一体的に嵌着された第2レゾルバロータである環状の出力側レゾルバロータ13aと、その出力側レゾルバロータ13aの外周側に所定の径方向隙間を介して外挿され、ハウジング11に対して固定された第2レゾルバステータである環状の出力側レゾルバステータ13bと、を有している。
【0021】
周知のように、入力側レゾルバステータ12bは、入力側レゾルバロータ12aが一回転する毎にn1周期の入力側正弦波信号sinθ1および入力側余弦波信号cosθ1を第1レゾルバ出力信号としてそれぞれ出力する一方、出力側レゾルバステータ13bは、出力側レゾルバロータ13aが一回転する毎にn2周期の出力側正弦波信号sinθ2および出力側余弦波信号cosθ2を第2レゾルバ出力信号としてそれぞれ出力することになる。換言すれば、入力側レゾルバ12は軸倍角がn1となるように構成され、出力側レゾルバ13は軸倍角がn2となるように構成されている。
【0022】
図3は、両レゾルバロータ12a,13aを示す平面図である。
【0023】
すなわち、図3に示すように、両レゾルバロータ12a,13aの外周面には、両レゾルバ12,13の軸倍角n1,n2に対応する数の突部14が周方向で等間隔に形成され、両レゾルバロータ12a,13aと両レゾルバステータ12b,13bとの間のギャップパーミアンスが、両レゾルバロータ12a,13aの回転位置に応じて正弦波状に変化するように形成されている。なお、本実施の形態では、両レゾルバロータ12a,13aを互いに同一形状のものとし、入力側レゾルバ12の軸倍角n1と出力側レゾルバ13の軸倍角n2を同一としている。
【0024】
そして、図2に示すように、両正弦波信号sinθ1,sinθ2および両余弦波信号cosθ1,cosθ2は、ビット長が12ビットのマイクロコンピュータによって後述する演算を行うトルク検出用ECU15に取り込まれ、トルク検出用ECU15は、両正弦波信号sinθ1,sinθ2および両余弦波信号cosθ1,cosθ2に基づいてトーションバー10に作用する操舵トルクTを演算するとともに、その操舵トルクTの情報をトルク検出信号として出力する。
【0025】
図4は、トルク検出用ECU15の機能を示す機能ブロック図である。
【0026】
図4に示すように、トルク検出用ECU15は、両レゾルバ12,13に励磁電圧を供給する励磁出力部16と、入力側正弦波信号sinθ1および入力側余弦波信号cosθ1に基づいて入力軸8の回転位置を示す第1電気角である入力側電気角θ1を演算する入力側角度演算部17と、出力側正弦波信号sinθ2および出力側余弦波信号cosθ2に基づいて出力軸9の回転位置を示す第2電気角である出力側電気角θ2を出力する出力側角度演算部18と、両電気角θ1,θ2に基づいてトーションバー10に作用する操舵トルクTを演算するトルク演算部19と、トーションバー10の自由状態における両電気角θ1,θ2の差に応じて操舵トルクTを補正する中立補正部20と、その中立補正部20にて補正された操舵トルクTのうち所定のカットオフ周波数F以上の周波数成分を除去するローパスフィルタ21と、を備えている。なお、本実施の形態では、ローパスフィルタ21のカットオフ周波数Fを100Hzに設定している。
【0027】
入力側角度演算部17は、入力側正弦波信号sinθ1および入力側余弦波信号cosθ1からアークタンジェントをとることで入力軸8の回転位置である入力側電気角θ1を演算し、その入力側電気角θ1を入力側位置検出信号としてトルク演算部19へ出力する。一方、出力側角度演算部18は、出力側正弦波信号sinθ2および出力側余弦波信号cosθ2からアークタンジェントをとることで出力軸9の回転位置である出力側電気角θ2を演算し、その出力側電気角θ2を出力側位置検出信号としてトルク演算部19へ出力する。
【0028】
ここで、入力側レゾルバロータ12aの回転位置と入力側電気角θ1との関係を図5の(a)に、出力側レゾルバロータ13aの回転位置と出力側電気角θ2との関係を図5の(b)にそれぞれ示す。なお、図5の(a)および(b)における横軸の0°とは、トーションバー10が自由状態であって、且つ転舵輪W1,W2が直進方向を向く位置を意味している。
【0029】
図5の(a)および(b)に示すように、入力側電気角θ1と出力側電気角θ2は、トーションバー10が自由状態のときに、互いに同一の値を示すようになっているとともに、入力側電気角θ1は、入力側レゾルバロータ12aが(360/n1)°回転する毎に同一の値を示すようになっている一方、出力側電気角θ2は、出力側レゾルバロータ13aが(360/n2)°回転する毎に同一の値を示すようになっている。
【0030】
そして、トルク検出用ECU15を構成するマイクロコンピュータのビット長をBとした場合、入力側レゾルバ12は下記の(1)式の関係を満足するように構成されているとともに、出力側レゾルバ13は下記の(2)式の関係を満足するように構成されている。
36000/2B≦n1<360/A … (1)
36000/2B≦n2<360/A … (2)
つまり、本実施の形態では、両軸8,9の相対回転角度範囲Aが12°、トルク検出用ECU15を構成するマイクロコンピュータのビット長が12ビットであるため、両レゾルバ12,13は、それらの軸倍角n1,n2がそれぞれ9以上であって且つ30未満となるように構成されており、図3に示す例では両レゾルバ12,13の軸倍角n1,n2がそれぞれ25となるように両レゾルバロータを形成している。
【0031】
上記(1)式および(2)式についてより詳しく説明するに、上記(1)式の36000/2B≦n1なる条件および上記(2)式の36000/2B≦n2なる条件は、滑らかな操舵フィーリングを得るべく、入力側レゾルバ12による回転位置検出の分解能である(360/n1)/2Bおよび出力側レゾルバ13による回転位置検出の分解能である(360/n2)/2Bをそれぞれ0.01°/digit以下とするための条件である。なお、操舵フィーリングをより滑らかなものとする上では、上記(1)式および(2)式のうち36000/2Bなる項を60000/2Bなる項にそれぞれ置き換え、マイクロコンピュータにおける両レゾルバ12,13による回転位置検出の分解能を0.006°/digit以下とすることが望ましい。
【0032】
また、上記(1)式のうちn1<360/Aなる条件は、第1電気角θ1の一周期(360/n1)を入力軸8と出力軸9との相対回転角度範囲Aよりも大きくするための条件であって、(2)式のn2<360/Aなる条件は、第2電気角θ2の一周期(360/n2)を入力軸8と出力軸9との相対回転角度範囲Aよりも大きくするための条件である。したがって、上記(1)式および(2)式の関係を満足するように両レゾルバ12,13を構成することにより、入力軸8の出力軸9に対する相対回転角度が−A/2°からA/2°まで変化しても、両電気角θ1,θ2の位相差がそれら両電気角θ1,θ2の一周期を超えることがなく、また、入力軸8の出力軸9に対する相対回転角度が−A/2°からA/2°まで変化する過程で、両電気角θ1,θ2の差が同じ値をとることがない。
【0033】
図6は、トーションバー10が捩れ変形したとき、すなわち操舵時における両電気角θ1,θ2の関係を示す説明図、図7は、両電気角θ1,θ2と操舵方向との関係を示す表である。
【0034】
さらに詳細には、図6,7に示すように、トーションバー10の自由状態、すなわち運転者がステアリングホイールSWを操作する操舵トルクが零のときには入力側電気角θ1と出力側電気角θ2とが一致する。また、入力軸8が出力軸9に対して左操舵方向に相対回転したときには、θ1>θ2となる回転角度領域A1で|θ1−θ2|>180となる一方、θ1<θ2となる回転角度領域A2で|θ1−θ2|<180となる。さらに、入力軸8が出力軸9に対して右操舵方向に相対回転したときには、θ1>θ2となる回転角度領域A3で|θ1−θ2|<180となる一方、θ1<θ2となる回転角度領域A4で|θ1−θ2|>180となる。
【0035】
そして、図4に示すトルク演算部19は、両電気角θ1,θ2から図6に示した表を用いてトーションバー10に作用する操舵トルクの方向を判定するとともに、両電気角θ1,θ2の差の絶対値、すなわちトーションバー10の捩れ量に当該トーションバー10のばね定数kを乗じることでトーションバー10に作用する操舵トルクTの大きさを演算する。
【0036】
図8は、トルク演算部19における操舵トルク演算処理の詳細を示すフローチャートである。なお、図8では、左操舵方向の操舵トルクを正とし、右操舵方向の操舵トルクを負としている。
【0037】
図8に示すように、トルク演算部19は、まずステップS1でθ1>θ2であるか否かを判断し、θ1>θ2である場合にはステップS2で|θ1−θ2|>180であるか否かを判断する。そして、ステップS2で|θ1−θ2|>180である場合には、操舵トルクTが左操舵方向であると判断し、ステップS3でT=k|θ1−θ2|の式をもって操舵トルクTを演算し、処理を終了する。一方、ステップS2で|θ1−θ2|>180でない場合、すなわち|θ1−θ2|<180である場合には、操舵トルクTが右操舵方向であると判断し、ステップS4でT=−k|θ1−θ2|の式をもって操舵トルクTを演算し、処理を終了する。
【0038】
また、ステップS1でθ1>θ2でない場合には、ステップS5でθ1<θ2であるか否かを判断し、θ1<θ2である場合にはステップS6で|θ1−θ2|<180であるか否かを判断する。そして、ステップS6で|θ1−θ2|<180である場合には、操舵トルクTが左操舵方向であると判断し、ステップS7でT=k|θ1−θ2|の式をもって操舵トルクTを算出し、処理を終了する。一方、ステップS6で|θ1−θ2|<180でない場合、すなわち|θ1−θ2|>180である場合には、操舵トルクTが右操舵方向であると判断し、ステップS8でT=−k|θ1−θ2|の式をもって操舵トルクTを算出し、処理を終了する。
【0039】
さらに、ステップS5でθ1<θ2でない場合、すなわちθ1=θ2である場合には、操舵トルクTを零として処理を終了する。
【0040】
また、図4に示す中立補正部20は、トーションバー10が自由状態のときの両電気角θ1,θ2の差に基づく操舵トルク補正値を予め記憶していて、その操舵トルク補正値を操舵トルクTに加算することで操舵トルクTを補正する。つまり、両レゾルバロータ12a,13aの入力軸8または出力軸9に対する組付誤差のほか、両レゾルバステータ12b,13bのハウジング11に対する組付誤差により、トーションバー10が自由状態のときに両レゾルバ12,13から得られる電気角θ1,θ2に差が発生し、もってトルク演算部19にて算出される操舵トルクTに誤差が生じる虞があるため、この誤差を上記操舵トルク補正値として中立補正部20に予め記憶させ、上述したような演算を行うことにより、操舵トルクTの誤差を低減している。
【0041】
中立補正部20にて補正された操舵トルクTは、ローパスフィルタ21にて所定のカットオフ周波数Fを超える周波数成分が除去された上で、図1に示す操舵アシスト用ECU5に取り込まれる。なお、本実施の形態におけるローパスフィルタ21のカットオフ周波数Fは100Hzである。
【0042】
ここで、トーションバー10に作用する操舵トルクが変化すると、上記マイクロコンピュータによって演算される操舵トルクTは、両レゾルバ12,13による回転位置検出の分解能に基づいて段階的に変化することになるが、ステアリングホイールSWを1°/sec以上の速度で回転操作したとき、すなわち入力軸8と出力軸9とが1°/sec以上の速度で相対回転したときに、操舵トルクTの段階的な変化を滑らかなものとすべく、下記の(3)式および(4)式の関係をいずれも満足するようにローパスフィルタ21のカットオフ周波数Fを設定している。換言すれば、下記の(5)式の関係を満足するように入力側レゾルバ12を構成しているとともに、下記の(6)式の関係を満足するように出力側レゾルバ13を構成している。
F≦1/((360/n1)/2B) … (3)
F≦1/((360/n2)/2B) … (4)
360F/2B≦n1 … (5)
360F/2B≦n2 … (6)
つまり、本実施の形態では、両レゾルバ12,13の軸倍角n1,n2が25、マイクロコンピュータのビット長が12ビットであるため、ローパスフィルタ21のカットオフ周波数Fは284.4Hz以下であればよい。
【0043】
そして、図1に示す操舵アシスト用ECU5は、上述したように操舵トルクTに基づく駆動指令信号をモータ駆動回路6に出力し、そのモータ駆動回路6が電動モータMに電力を供給することにより、ラック軸3に操舵アシスト力を付与することになる。
【0044】
したがって、本実施の形態によれば、両レゾルバ12,13における電気角θ1,θ2の一周期を入力軸8と出力軸9との相対回転角度範囲Aよりもそれぞれ大きくしているため、入力軸8の出力軸9に対する相対回転角度が−A/2°からA/2°まで変化する過程で、入力側電気角θ1と出力側電気角θ2との差が同じ値をとることがなくなり、操舵トルクTの誤検出を抑制してその操舵トルクTの検出精度を向上させることができる。
【0045】
しかも、トーションバー10が自由状態のときの両電気角θ1,θ2の差に基づいて中立補正部20が操舵トルクTを補正するようになっているため、操舵トルクTの検出精度をより一層向上させることができる。
【0046】
その上、トーションバー10が自由状態のときには両電気角θ1,θ2が互いに略等しくなるように設定することにより、トーションバー10に作用する操舵トルクTに比例して両電気角θ1,θ2の差が変化するようになっているため、トルク演算部19における操舵トルクTの方向および大きさの演算を容易に行えるようになる。
【0047】
また、両レゾルバ12,13による回転位置検出の分解能が0.01°/digit以下もしくは0.006°/digit以下となるため、電動モータMによって発生する操舵アシスト力の変化がより滑らかなものとなり、操舵フィーリングを向上させることができる。
【0048】
さらに、両レゾルバ12,13の回転位置検出の分解能に基づく段階的な操舵トルクTの変化をローパスフィルタ21によって滑らかにしているため、電動モータMによって発生する操舵アシスト力の変化がより一層滑らかなものとなり、操舵フィーリングをさらに向上させることができる。
【0049】
なお、上述した実施の形態では、図4に示すように、トルク演算部19とローパスフィルタ21との間に中立補正部20を設けているが、かかる中立補正部を他の位置に設けることも可能である。具体的には、入力側角度演算部17とトルク演算部19との間および出力側角度演算部18とトルク演算部19との間のうち少なくとも一方に中立補正部を設けてもよい。この場合、中立補正部は、両電気角θ1,θ2のうち少なくとも一方を、トーションバー10が自由状態のときに両電気角θ1,θ2同士が互いに等しくなるように補正することになる。これにより、上述した実施の形態と同様の効果を得られる。
【0050】
また、入力側レゾルバ12と入力側角度演算部17との間および出力側レゾルバ13と出力側角度演算部18との間のうち少なくとも一方に中立補正部を設けてもよい。この場合、中立補正部は、入力側正弦波信号sinθ1と出力側正弦波信号sinθ2のうち少なくとも一方、および入力側余弦波信号cosθ1と出力側余弦波信号cosθ2のうち少なくとも一方を、入力側正弦波信号sinθ1および入力側余弦波信号cosθ1がトーションバー10が自由状態のときに出力側正弦波信号sinθ2および出力側余弦波信号cosθ2とそれぞれ一致するように補正することになる。これにより、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0051】
他方、上述した実施の形態では、トルク演算部19にて演算した操舵トルクTに対してローパスフィルタ21が作用するようになっているが、両電気角θ1,θ2に対してローパスフィルタ21が作用するように構成しても上述した実施の形態と同様の効果を得られることは言うまでもない。
【0052】
さらに、上述した実施の形態では、トーションバー10が自由状態のときに両電気角θ1,θ2が一致するように両レゾルバ12,13を構成しているが、上述した実施の形態の変形例として図9の(a)および(b)に示すように、トーションバー10が自由状態のときに両電気角θ1,θ2が互いに相違するように両レゾルバ12,13を構成してもよい。なお、図9の(a)および(b)における横軸の0°とは、トーションバー10が自由状態であって、且つ転舵輪W1,W2が直進方向を向く位置を意味している。
【0053】
図9の(a)および(b)に示す変形例は、トーションバー10が自由状態のときにおける両電気角θ1,θ2の位相が機械角でD°ずれるように両レゾルバ12,13を構成するとともに、下記の(7)式および(8)式の関係を満足するように両レゾルバ12,13を構成したものであって、他の部分は上述した実施の形態と同様である。
36000/2B≦n1<360/(A+D) … (7)
36000/2B≦n2<360/(A+D) … (8)
したがって、この変形例では、上述した実施の形態と同様に、入力軸8の出力軸9に対する相対回転角度が−A/2°からA/2°まで変化しても、両電気角θ1,θ2の位相差がそれら両電気角θ1,θ2の一周期を超えることがなく、また、入力軸8の出力軸9に対する相対回転角度が−A/2°からA/2°まで変化する過程で、両電気角θ1,θ2の差が同じ値をとることがない。つまり、この変形例においても、上述した実施の形態と略同様の効果が得られる。
【0054】
その上、トーションバー10が自由状態のときにおける両電気角θ1,θ2の位相差Dに誤差が生じたとしても、両電気角θ1,θ2の大小関係が逆転することを抑制できることから、操舵トルクTが比較的小さくとも当該操舵トルクTの方向をより正確に判断できるようになり、操舵トルクTの検出精度がさらに向上するメリットがある。
【0055】
ここで、上述した実施の形態から把握される技術的思想であって、特許請求の範囲に記載した以外のものについて、その効果とともに以下に記載する。
【0056】
(1)上記マイクロコンピュータのビット長をBビットとした場合に、上記第1レゾルバがn1≧36000/2Bの関係を満足している一方、上記第2レゾルバがn2≧36000/2Bの関係を満足していることを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサ。
【0057】
(1)に記載の技術的思想によれば、両レゾルバによる回転位置検出の分解能がそれぞれ0.01°/digit以下となり、トルクの検出精度をより高めることができる。
【0058】
(2)上記第1レゾルバがn1≧60000/2Bの関係を満足している一方、上記第2レゾルバがn2≧60000/2Bの関係を満足していることを特徴とする(1)に記載のトルクセンサ。
【0059】
(2)に記載の技術的思想によれば、両レゾルバによる回転位置検出の分解能がそれぞれ0.006°/digit以下となり、トルクの検出精度をさらに高めることができる。
【0060】
(3)上記第1レゾルバは、上記トーションバーの捩れ量が零のときに、第1レゾルバ出力信号から演算される第1電気角が第2レゾルバ出力信号から演算される第2電気角と等しくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサ。
【0061】
(3)に記載の技術的思想によれば、上記両電気角の差が上記トーションバーに作用するトルクに比例して変化することになるから、トルク演算部におけるトルクの演算を容易に行えるようになる。
【0062】
(4)上記マイクロコンピュータは、上記トーションバーの捩れ量が零のときにおける第1レゾルバ出力信号と第2レゾルバ出力信号との位相のずれに基づいて、第1レゾルバ出力信号と第2レゾルバ出力信号および演算したトルクのうちいずれかを補正するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサ。
【0063】
(4)に記載の技術的思想によれば、トルクの検出精度をさらに一層高めることができる。
【0064】
(5)上記第1レゾルバは、上記トーションバーの捩れ量が零のときに、第1レゾルバ出力信号から演算される第1電気角が第2レゾルバ出力信号から演算される第2電気角と相違するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサ。
【0065】
(5)に記載の技術的思想によれば、上記トーションバーの捩れ量が比較的小さいときに、第1電気角と第2電気角との差を比較的大きくとることができ、トルクの検出精度が一層向上する。
【0066】
(6)上記トーションバーの捩れ量が零のときにおける第1電気角と第2電気角との位相差をD°とした場合に、上記第1レゾルバがn1<360/(A+D)の関係を満足している一方、上記第2レゾルバがn2<360/(A+D)の関係を満足していることを特徴とする(5)に記載のトルクセンサ。
【0067】
(6)に記載の技術的思想によれば、第1軸と第2軸とが相対回転角度範囲A内で相対回転しても、上記両電気角の位相差がそれら両電気角の一周期を超えることがなく、トルクの検出精度がさらに一層向上する。
【0068】
(7)上記マイクロコンピュータのビット長をBビットとした場合に、上記第1レゾルバがn1≧36000/2Bの関係を満足している一方、上記第2レゾルバがn2≧36000/2Bの関係を満足していることを特徴とする請求項4に記載のパワーステアリング装置。
【0069】
(7)に記載の技術的思想によれば、両レゾルバによる回転位置検出の分解能がそれぞれ0.01°/digit以下となり、トルクの検出精度をより高めることができる。
【0070】
(8)上記第1レゾルバがn1≧60000/2Bの関係を満足している一方、上記第2レゾルバがn2≧60000/2Bの関係を満足していることを特徴とする(7)に記載のパワーステアリング装置。
【0071】
(8)に記載の技術的思想によれば、両レゾルバによる回転位置検出の分解能がそれぞれ0.006°/digit以下となり、トルクの検出精度をさらに高めることができる。
【0072】
(9)上記第1レゾルバおよび上記第2レゾルバから上記マイクロコンピュータを介して上記電動機駆動部に至るまでの電気回路上に設けられ、当該電気回路上の信号のうち所定のカットオフ周波数以上の周波数成分を除去するローパスフィルタをさらに備えていて、
上記ローパスフィルタのカットオフ周波数をF(Hz)とした場合に、上記第1レゾルバがn1≧360×F/2Bの関係を満足している一方、上記第2レゾルバがn2≧360×F/2Bの関係を満足していることを特徴とする(8)に記載のパワーステアリング装置。
【0073】
(9)に記載の技術的思想によれば、上記両レゾルバによる回転位置検出の分解能に基づく段階的なトルクの変化が上記ローパスフィルタによって滑らかなものとなり、ステアリングフィールを向上させることができる。
【0074】
(10)上記第1レゾルバは、上記トーションバーの捩れ量が零のときに、第1レゾルバ出力信号から演算される第1電気角が第2レゾルバ出力信号から演算される第2電気角と等しくなるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のパワーステアリング装置。
【0075】
(10)に記載の技術的思想によれば、上記両電気角の差が上記トーションバーに作用するトルクに比例して変化することになるから、トルク演算部におけるトルクの演算を容易に行えるようになる。
【0076】
(11)上記第1レゾルバは、上記トーションバーの捩れ量が零のときに、第1レゾルバ出力信号から演算される第1電気角が第2レゾルバ出力信号から演算される第2電気角と相違するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のパワーステアリング装置。
【0077】
(11)に記載の技術的思想によれば、上記トーションバーの捩れ量が比較的小さいときに、第1電気角と第2電気角との差を比較的大きくとることができ、トルクの検出精度が一層向上する。
【0078】
(12)上記第1レゾルバは、当該第1レゾルバの軸倍角n1が上記第2レゾルバn2の軸倍角と等しく、且つ上記トーションバーの捩れ量が零のときに、第1レゾルバ出力信号から演算される第1電気角が第2レゾルバ出力信号から演算される第2電気角と等しくなるように構成されているとともに、
第1軸は、上記トーションバーの捩れ量が零のときに、第2軸に対して左右にそれぞれA/2°の範囲で相対回転可能になっていて、
さらに、上記マイクロコンピュータは、第1電気角が第2電気角よりも大きく且つ第1電気角と第2電気角の差の絶対値が180°よりも大きいとき、および第1電気角が第2電気角よりも小さく且つ第1電気角と第2電気角の差の絶対値が180°よりも小さいときに、第1軸の第2軸に対する相対回転方向が第1の方向であると判断する一方、第1電気角が第2電気角よりも大きく且つ第1電気角と第2電気角の差の絶対値が180°よりも小さいとき、および第1電気角が第2電気角よりも小さく且つ第1電気角と第2電気角の差の絶対値が180°よりも大きいときに、第1軸の第2軸に対する相対回転方向が上記第1の方向とは逆向きの第2の方向であると判断することを特徴とする請求項4に記載のパワーステアリング装置。
【0079】
(12)に記載の技術的思想によれば、上記トーションバーに作用するトルクの方向を容易に判断できるようになる。
【0080】
(13)上記トーションバーの捩れ変形に基づく第1軸と第2軸との相対回転角度範囲がA°に規制されていて、上記第1レゾルバがn1<360/Aの関係を満足している一方、上記第2レゾルバがn2<360/Aの関係を満足していることを特徴とする請求項5に記載のパワーステアリング装置。
【0081】
(13)に記載の技術的思想によれば、第1軸の第2軸に対する相対回転角度が相対回転角度範囲A内で変化する過程で、両レゾルバの出力から得られる両電気角同士の差が同じ値をとることがないため、トルクの検出精度を高めることができる。
【0082】
(14)上記第1レゾルバは、上記トーションバーの捩れ量が零のときに、第1レゾルバ出力信号から演算される第1電気角が第2レゾルバ出力信号から演算される第2電気角と等しくなるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のパワーステアリング装置。
【0083】
(14)に記載の技術的思想によれば、上記両電気角の差が上記トーションバーに作用するトルクに比例して変化することになるから、トルク演算部におけるトルクの演算を容易に行えるようになる。
【0084】
(15)上記第1レゾルバは、当該第1レゾルバの軸倍角n1が上記第2レゾルバn2の軸倍角と等しく、且つ上記トーションバーの捩れ量が零のときに、第1レゾルバ出力信号から演算される第1電気角が第2レゾルバ出力信号から演算される第2電気角と等しくなるように構成されているとともに、
第1軸は、上記トーションバーの捩れ量が零のときに、第2軸に対して左右にそれぞれA/2°の範囲で相対回転可能になっていて、
さらに、上記マイクロコンピュータは、第1電気角が第2電気角よりも大きく且つ第1電気角と第2電気角の差の絶対値が180°よりも大きいとき、および第1電気角が第2電気角よりも小さく且つ第1電気角と第2電気角の差の絶対値が180°よりも小さいときに、第1軸の第2軸に対する相対回転方向が第1の方向であると判断する一方、第1電気角が第2電気角よりも大きく且つ第1電気角と第2電気角の差の絶対値が180°よりも小さいとき、および第1電気角が第2電気角よりも小さく且つ第1電気角と第2電気角の差の絶対値が180°よりも大きいときに、第1軸の第2軸に対する相対回転方向が上記第1の方向とは逆向きの第2の方向であると判断することを特徴とする請求項5に記載のパワーステアリング装置。
【0085】
(15)に記載の技術的思想によれば、上記トーションバーに作用するトルクの方向を容易に判断できるようになる。
【符号の説明】
【0086】
2…ピニオン軸(回転軸)
6…モータ駆動回路(電動機駆動部)
8…入力軸(第1軸)
9…出力軸(第2軸)
10…トーションバー
12…入力側レゾルバ(第1レゾルバ)
13…出力側レゾルバ(第2レゾルバ)
19…トルク演算部
21…ローパスフィルタ
TS…トルクセンサ
M…電動モータ(電動機)
W1,W2…転舵輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸と第2軸とをトーションバーを介して相対回転可能に連結してなり、上記トーションバーの捩れ変形に基づく第1軸と第2軸との相対回転角度範囲がA°に規制された回転軸と、
第1軸の回転位置に応じて第1レゾルバ出力信号を出力するとともに、軸倍角n1がn1<360/Aの関係を満足する第1レゾルバと、
第2軸の回転位置に応じて第2レゾルバ出力信号を出力するとともに、軸倍角n2がn2<360/Aの関係を満足する第2レゾルバと、
第1レゾルバ出力信号および第2レゾルバ出力信号に基づいて上記トーションバーに作用するトルクをマイクロコンピュータによって演算し、そのトルクの情報をトルク検出信号として出力するトルク演算部と、
を備えていることを特徴とするトルクセンサ。
【請求項2】
上記トルク検出信号のうち所定のカットオフ周波数以上の周波数成分を除去するためのローパスフィルタをさらに備えていて、
上記ローパスフィルタのカットオフ周波数をF(Hz)とし、上記マイクロコンピュータのビット長をBビットとした場合に、上記第1レゾルバがn1≧360×F/2Bの関係を満足している一方、上記第2レゾルバがn2≧360×F/2Bの関係を満足していることを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項3】
上記第1レゾルバは、当該第1レゾルバの軸倍角n1が上記第2レゾルバn2の軸倍角と等しく、且つ上記トーションバーの捩れ量が零のときに、第1レゾルバ出力信号から演算される第1電気角が第2レゾルバ出力信号から演算される第2電気角と等しくなるように構成されているとともに、
第1軸は、上記トーションバーの捩れ量が零のときに、第2軸に対して左右にそれぞれA/2°の範囲で相対回転可能になっていて、
さらに、上記マイクロコンピュータは、第1電気角が第2電気角よりも大きく且つ第1電気角と第2電気角の差の絶対値が180°よりも大きいとき、および第1電気角が第2電気角よりも小さく且つ第1電気角と第2電気角の差の絶対値が180°よりも小さいときに、第1軸の第2軸に対する相対回転方向が第1の方向であると判断する一方、第1電気角が第2電気角よりも大きく且つ第1電気角と第2電気角の差の絶対値が180°よりも小さいとき、および第1電気角が第2電気角よりも小さく且つ第1電気角と第2電気角の差の絶対値が180°よりも大きいときに、第1軸の第2軸に対する相対回転方向が上記第1の方向とは逆向きの第2の方向であると判断することを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項4】
ステアリングホイール側の第1軸と転舵輪側の第2軸とをトーションバーを介して相対回転可能に連結してなり、上記トーションバーの捩れ変形に基づく第1軸と第2軸との相対回転角度範囲がA°に規制された回転軸と、
上記転舵輪に操舵アシスト力を付与する電動機と、
第1軸の回転位置に応じて第1レゾルバ出力信号を出力するとともに、軸倍角n1がn1<360/Aの関係を満足する第1レゾルバと、
第2軸の回転位置に応じて第2レゾルバ出力信号を出力するとともに、軸倍角n2がn2<360/Aの関係を満足する第2レゾルバと、
第1レゾルバ出力信号および第2レゾルバ出力信号に基づいて上記トーションバーに作用するトルクをマイクロコンピュータによって演算し、そのトルクの情報をトルク検出信号として出力するトルク演算部と、
上記トルク検出信号に基づいて上記電動機への通電を制御する電動機駆動部と、
を備えていることを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項5】
ステアリングホイール側の第1軸と転舵輪側の第2軸とをトーションバーを介して相対回転可能に連結してなる回転軸と、
上記転舵輪に操舵アシスト力を付与する電動機と、
第1軸の回転位置に応じて第1レゾルバ出力信号を出力する第1レゾルバと、
第2軸の回転位置に応じて第2レゾルバ出力信号を出力する第2レゾルバと、
第1レゾルバ出力信号および第2レゾルバ出力信号に基づいて上記トーションバーに作用するトルクをマイクロコンピュータによって演算し、そのトルクの情報をトルク検出信号として出力するトルク演算部と、
上記第1レゾルバおよび上記第2レゾルバから上記マイクロコンピュータを介して上記電動機駆動部に至るまでの電気回路上に設けられ、当該電気回路上の信号のうち所定のカットオフ周波数以上の周波数成分を除去するローパスフィルタと、
を備えていて、
上記第1レゾルバの軸倍角をn1とし、上記第2レゾルバの軸倍角をn2とし、上記マイクロコンピュータのビット長をBビットとし、上記ローパスフィルタのカットオフ周波数をF(Hz)とした場合に、上記第1レゾルバがn1≧360×F/2Bの関係を満足している一方、上記第2レゾルバがn2≧360×F/2Bの関係を満足していることを特徴とするパワーステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−225679(P2012−225679A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91153(P2011−91153)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(301041449)日立オートモティブシステムズステアリング株式会社 (44)
【Fターム(参考)】