説明

トルクリミッター

【課題】小型で効率の良いトルク調整が可能で、且つトルク調整時、左右の盤体間の間隔が変化しないトルクリミッターを提供する。
【解決手段】 外周部にギア4が設けられた第1の盤体2と外周部にギア12が設けられた第2の盤体10とが、互いの対向間隔を一定に保持して相対回転自在に支持されている。移動部材18が第2の盤体10に軸方向に設けられている。移動部材18はトルク調整手段により第2の盤体10に対して軸方向に移動調整可能となっている。第1の盤体2には、永久磁石6が保持され、移動部材18には半硬質磁性体20が保持されている。移動部材18の第2の盤体10に対する軸方向の移動により半硬質磁性体20と永久磁石6との対向間隔が変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面対向型磁気ヒステリシスカップリングのトルク調整可能なトルクリミッターに関する。
【背景技術】
【0002】
外周面に円筒状の永久磁石または半硬質磁性体を設けた内部回転軸と、内周面に円筒状の半硬質磁性体または永久磁石を設けた外部回転軸とからなり、前記永久磁石と半硬質磁性体とを対向配置したトルクリミッターで、外部回転軸の内周面上で前記半硬質磁性体または永久磁石の位置を軸方向に変更することによって、前記永久磁石と半硬質磁性体との対向面積を変える構成のものが従来知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、第1回転軸に固定されたヒステリシス板と第2回転軸に固定されたマグネット板とを対向配置せしめ、更にヒステリシス板にその径方向に移動するサブヨーク板を設け、サブヨーク板のある部分においてはマグネット板からの磁束がサブヨーク板に流れてしまう性質を利用して、磁束の変化をもたらし、これによってトルク調整をするようにしたものが従来知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−308209号公報
【特許文献2】特開平7−14254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示すように、永久磁石と半硬質磁性体との対向面積を変更し、トルクの調整を行う構成では、基本構造が軸方向に長い構成となってしまう上、永久磁石と半硬質磁性体との対向面積を変えるために、外部回転軸の内周面上で前記半硬質磁性体または永久磁石の位置を軸方向に変更する必要があり、その変更分、どうしても軸方向に長くなり、大型となってしまう欠点がある。また、上記特許文献2に示す構成では、基本構造としては軸方向に短くなり、軸方向には小型となるが、径方向にサブヨーク板を移動せしめる必要があり、その分どうしても径方向に大型となってまう欠点がある。
【0005】
即ち、従来技術では、永久磁石と半硬質磁性体との磁気対向面積を変化せしめる構成であったり、永久磁石と半硬質磁性体との磁気対向面積は同じであっても、サブヨークの作用によって磁力がトルクとして作用しないようにする構成であり、調整によって磁気の効力のない部分をつくり、その面積の大きさでトルク調整をするものであるから、どうしても無駄な構成部分が形成され、これが装置を大型にする原因となっていた。
本発明の目的は、永久磁石と半硬質磁性体との対向間隔を接離方向に調節する構成を採用することで従来技術の上記欠点を解消し、小型化に適した効率の良いトルク調整が可能なトルクリミッターを提供するとともにトルク調整手段の調整操作によって、すくなくとも一方側に動力伝達機構を備えた左右の盤体の対向間隔が変化しないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、永久磁石と半硬質磁性体とを互いの平面部を対向して配置し、これらを相対回転せしめる構成を採用し、永久磁石と半硬質磁性体との対向間隔をこれらの平面に対して垂直な軸方向に調整可能としたトルクリミッターであって、第1の盤体と、該第1の盤体に対して対向配置された第2の盤体と、前記第1の盤体と第2の盤体との間に構成され、前記第1の盤体と第2の盤体とを、互いの対向間隔を一定に保持して相対回転自在に支持する支持手段と、前記第2の盤体に係止され、該係止位置を軸方向に移動可能に前記第2の盤体に取り付けられた移動部材と、前記移動部材の係止位置を軸方向に移動調整するための調整手段と、前記第1の盤体と前記移動部材とのいずれか一方に設けられた永久磁石と、前記第1の盤体と前記移動部材とのいずれか他方に設けられた半硬質磁性体と、前記第1と第2の盤体の少なくとも一方に設けられた動力伝達機構とを備えたものである。
また本発明は、前記第1と第2の盤体には、いずれにも動力伝達機構が設けられていることを特徴とするものである。
また本発明は、前記移動部材は、前記第2の盤体の内径部に係止機構を介して回転不能に係止され、該係止機構が解除可能であることを特徴とするものである。
また本発明は、前記調整手段は、前記移動部材と第2の盤体のいずれか一方の複数箇所に形成した嵌合凸部と、前記移動部材と第2の盤体のいずれか他方に形成した前記嵌合凸部を受け入れる複数種類の嵌合凹部とを備え、前記嵌合凸部は、選択した1種類の嵌合凹部に嵌合可能に構成されて該嵌合凸部と嵌合凹部とで前記移動部材を前記第2の盤体に回転不能に係止する係止機構を構成し、前記嵌合凹部は、種類ごとに前記嵌合凸部の側面と当接する底面の高さが異なる規制面を有し、前記永久磁石と半硬質磁性体間の吸引方向の磁気力によって前記嵌合凸部の側面が選択した1つの種類の嵌合凹部の規制面に密着するように成し、前記嵌合凸部と嵌合凹部との嵌合状態は、前記移動部材を磁気力に抗して軸方向に押動することで脱着可能とし、前記移動部材を前記第2の盤体に対して回転させることにより前記嵌合凸部を他の種類の嵌合凹部に嵌合可能とし、前記嵌合凸部の嵌合する嵌合凹部の規制面の高さによって前記永久磁石と半硬質磁性体との対向間隔が定まるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は小型で効率の良いトルク調整が可能なトルクリミッターを提供することができるとともに、トルク調整手段の調整操作によって、左右の盤体間の間隔が変化しないので、盤体に設けた動力伝達機構の位置を一定に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明の実施の形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図中、符号2は第1の盤体であり、その円盤部2aの外周部に入/出力用のギア4(動力伝達機構)が形成され、円盤部2aの中心に一体的に、軸方向に伸びる管状部2bが形成されている。前記円盤部2aの裏側には、永久磁石用の保持枠2cが形成されている。6は、穴付きの円盤状の永久磁石であり、その中心部の角穴が前記管状部2bの大径部に形成された角形外形部2dに嵌合され、該永久磁石6は、前記保持枠2c内に回転しないように嵌合配置されている。
【0009】
また、前記永久磁石6は、その一方の面が前記保持枠2cから若干突出するように、前記保持枠2cに嵌合配置されている。8は、支持部材であり、その内径部が前記盤体2の管状部2bの外周面に固着されている。前記支持部材8に形成された管状の係止用突起8aの端面が前記永久磁石6の中央部平面に当接し、これにより、前記永久磁石6を、盤体2の円盤部2aと前記係止用突起8aとで挟圧保持し、永久磁石6を保持枠2cに対して軸方向に移動しないように保持している。前記支持部材8の中心部には、管状部が形成され、該管状部の外周面が回転支持面8bを形成している。
【0010】
10は、第2の盤体であり、中心部に軸穴10aが形成された円形の底板部10bと、その周囲に一体的に形成され、外周面にタイミングベルト用のギア12(動力伝達機構)が形成された周壁部10cと、該周壁部10cの開口端縁に、中心方向に向かって所定長さ突出して一体的に形成された凸片部10dとを備え、前記軸穴10aの内周面が前記支持部材8の回転支持面8bに回転自在に嵌合している。前記凸片部10dには、等間隔に、3個所の切り欠き部10eが形成されている。前記切り欠き部10eは何カ所あっても良いが、周方向にバランス良く形成されるのが好ましい。
【0011】
前記凸片部10dは、前記切り欠き部10eにより、図2に示すように、3つのセクションA,B,Cに分割され、各セクションA,B,Cの弧状に伸びる裏面には、図4に示すように、周方向に沿って時計方向に、係止凸部a、第1の規制面b、係止凸部c、第2の規制面d、係止凸部eが形成されている。前記係止凸部aと第1の規制面bと係止凸部cは、図3に示されるように、第1の嵌合凹部14を構成し、係止凸部cと第2の規制面dと係止凸部eは、第2の嵌合凹部16を構成している。前記係止凸部a,c,eは、同一平面上に形成され、第1の規制面bは、前記係止凸部a,c,eの高さより所定長さ低く設定され、両端の係止凸部a,cとの間に段差が形成されている。
【0012】
また、第2の規制面dは、前記第1の規制面bの高さよりも、前記凸片部10dの表面に対して、所定間隔低く設定され、第1の規制面bよりも深い凹入部を形成している。前記各セクションA,B,Cは、互いに同一形状に構成されている。前記第2の盤体10の底板部10bは、前記支持部材8の円板部8cに当接配置されている。前記底板部10bには、前記各セクションA,B,Cと対向する位置に弧状の穴10fが穿設されている。図4では底板部10b側からこの穴10fを通して、凸片部10dの裏側の嵌合凹部14,16が見えている。
【0013】
18は、移動部材であり、図5,7に示すように、リング状の部材により構成され、該移動部材18の内径面18aは、図6,7に示すように、多角形に形成され、この内径面18aに、外径部が多角形を有する半硬質磁性体20の外径部が図1に示すように嵌合し、移動部材18の内径部に形成されたリング状突起部18bに当接係止されている。前記移動部材18の外周面には、前記第2の盤体10の凸片部10dに形成された切り欠き部10eに対応するように、等間隔に、3個の嵌合凸部22が形成され、該各嵌合凸部22は、前記第2の盤体10の前記各セクションA,B,Cに形成される嵌合凹部14,16に嵌合するのに適した形状に構成されている。
【0014】
なお、1つの嵌合凸部22が1つの第1の嵌合凹部14に嵌合すると他の2つの嵌合凸部22も他の2つの第1の嵌合凹部14に嵌合し、1つの嵌合凸部22が1つの第2の嵌合凹部16に嵌合すると他の2つの嵌合凸部22も他の2つの第2の嵌合凹部16に嵌合するように、嵌合凹部と嵌合凸部が配置されている。
【0015】
また、前記3個の嵌合凸部22の外周面を含む円の直径は、前記第2の盤体10の周壁部10cの内周面に沿った円の直径と略同一に設定され、図1に示すように、移動部材18を第2の盤体10の周壁部10cの内側に挿入配置したとき、移動部材18の嵌合凸部22の外周面が、前記周壁部10cの内周面に嵌合するように構成されている。
【0016】
図5〜7に示す、移動部材18を、図2〜4に示す第2の盤体10に組み付ける場合には、先に、第1の盤体2に取り付ける前の単体状態の支持部材8を、第2の盤体10の内側に配置しておき、しかる後に、まず、半硬質磁性体20が装着された移動部材18の嵌合凸部22と、第2の盤体10の切り欠き部10eとを合わせて、移動部材18を所定の向きで、第2の盤体10の内側に挿入する。
【0017】
しかる後に、移動部材18を盤体10に対して相対回転させ、嵌合凸部22を凸片部10dの裏側の第1の嵌合凹部14又は、第2の嵌合凹部16に合わせ、これらに嵌合させる。第1の嵌合凹部14又は、第2の嵌合凹部16に嵌合した嵌合凸部22は、その円周方向の両側面f,gが係止凸部a,c又はc,eに対面し、該係止凸部a,c又はc,eに回転方向の移動が規制されるとともに、嵌合凸部22は、軸方向の一方の端面hが対応する第1の規制面b又はdに対面する。
【0018】
第2の盤体10の内側に、支持部材8と移動部材18を挿入配置した状態で、支持部材8を、図1に示すように、永久磁石6が取り付けられた第1の盤体2の管状部2bに嵌合し、該管状部2bの所定の位置に固定すると、半硬質磁性体20は、永久磁石6と対向し、この永久磁石6の磁気力により吸引される。この吸引力により、移動部材18の嵌合凸部22の、軸方向に垂直な端面hが対応する第1の規制面b又は第2の規制面dに密着し、且つ、第2の盤体10の底板部10bが、図1に示すように、支持部材8の円板部8cに密着して、半硬質磁性体20は、嵌合凸部22の位置する規制面b又はdの高さに応じた間隔を存して、永久磁石6と対向する。
【0019】
上記のように構成したトルクリミッターは、永久磁石6と半硬質磁性体20との間に生じるヒステリシストルクにより、第1の盤体2と、第2の盤体10との相対回転が規制されているが、盤体2,10の中の一方の入力側の盤体のギア4又は12から入力される回転トルクが、所定の大きさを超えると、盤体2と10とが相対回転し、過大な負荷が、他方の出力側の盤体のギア4又は12に作用しないようにしている。
【0020】
前記移動部材18の嵌合凸部22が第1の嵌合凹部14に嵌合していると仮定し、上記のトルクリミッターのヒステリシストルクを調整するには、工具を第2の盤体10の開放面から挿入して、工具の先端を移動部材18の嵌合凸部22の溝24に挿入し、永久磁石6の磁気力に抗して、嵌合凸部22を押動し、嵌合凸部22を、第1の嵌合凸部14から離して、係止凸部aと嵌合凸部cとの規制から解除し、工具によって、移動部材18を、図4中、反時計方向に回転して、嵌合凸部22を、第2の嵌合凹部16に嵌合させ、嵌合凸部22の両側面f,gを、第2の嵌合凹部16の両側の係止凸部c,eに係止させる。
【0021】
これにより、嵌合凸部22の各端面hが各第2規制面dに密着し、半硬質磁性体20と、永久磁石6間の対向間隔が軸方向に変化し、両者間に働くヒステリシストルクが変化する。前記移動部材18と、第1の盤体2は互いに軸方向に連動しないので、上記トルク調整前と調整後とで、第1の盤体2と第2の盤体10との対向間隔は変化しない。従って、図9に示すように、本発明に係るトルクリミッターTを、装置のフレーム24のシャフト26に回転自在に組み付け、駆動プーリ28と、第2の盤体のギア12間に無端状のタイミングベルト28を掛け渡し、装置側の歯車32と第1の盤体のギア4とを噛み合わせた構成において、上記トルク調整を行ってもギア4が軸方向に変位しないので、ギア4と相手歯車32との係合関係が変化することがない。
【0022】
もし、ギア4が軸方向に変位してしまうと、ギア4と歯車32との係合関係が変化してしまい。充分な係合関係を保つことができなくなってしまう。極端な場合には、非係合の状態となってしまうことがあり、そうでなくても、係合関係が不完全となることで、ギアが破損してしまうおそれがある。これに対して、本発明に係るトルクリミッターは、図1に示すように、半硬質磁性体20を保持する移動部材18の軸方向の変位と、永久磁石6を保持する第1の盤体2とを軸方向に連動させることなく、移動部材18のみが、第2の盤体10に対して軸方向に変位する構成としたので、トルク調整前と後とで、第1の盤体2が第2の盤体10に対して軸方向に変位することがない。
【0023】
本実施形態では、第1と第2の規制面b,dによる2段階のヒステリシストルクの調整が可能であるが、更に、凸片部10dの表面に対して高さの異なる第3、第4等の規制面を設けることで、調整範囲を拡大することができる。
尚、上記実施形態では、第2の盤体10は、支持部材8の回転支持面8bに案内されて相対回転する構成を採用したが、第1と第2の盤体2,10の対向間隔を一定に保持した状態で、これらの盤体2,10を相対回転自在に結合する支持手段は、種々の構成を採用することができ、図示する嵌め合わせ構造に限定されるものではない。
【0024】
図8は、盤体を回転自在に支持する支持手段にアンギュラベアリングを用いた実施形態を示し、第2の盤体10の底板部10bに玉溝34が形成され、支持部材8に玉溝36が形成されている。前記玉溝34と前記玉溝36との間には、複数個のボール38が配置され、これら、第2の盤体10の玉溝34、支持部材8の玉溝36、及び複数個のボール38は、アンギュラベアリングを構成し、支持手段となっている。そして該支持手段は、第1の盤体10と第2の盤体2とを互いに相対回転可能に支持し、当該回転部のスラスト方向及びラジアル方向の荷重を支持している。
【0025】
前記支持部材8の内径部は、図1の実施形態と同様、盤体2の管状部2bに嵌合し、これに固定されている。前記支持部材8の係止用突起8aが永久磁石6の中央部平面に当接し、これによって、突起8aと盤体2の円盤部2aとによって永久磁石6を挟持している。他の構成は図1に示す実施形態と同一であり、対応する部分に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0026】
尚、本発明の実施に際しては、種々の変更が可能であり、移動部材18側に嵌合凹部14,16を設け、第2の盤体10側に嵌合凸部22を設けて、嵌合凸部と嵌合凹部の関係を逆の構成としても良い。また、第1と第2の盤体の両方を回転させる使用形態に特に限定されるものではなく、一方の盤体を固定して用いるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態を示すトルクリミッターの断面図である。
【図2】第2の盤体の一方から見た側面図である。
【図3】第2の盤体の断面図である。
【図4】第2の盤体の他方から見た側面図である。
【図5】移動部材の一方から見た側面図である。
【図6】移動部材の断面図である。
【図7】移動部材の他方から見た側面図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示すトルクリミッターの断面図である。
【図9】本発明の外観説明図である。
【符号の説明】
【0028】
2 第1の盤体
2a 円盤部
2b 管状部
2c 保持枠
2d 角形外形部
4 ギア
6 永久磁石
8 支持部材
8a 係止用突起
8b 回転支持面
8c 円板部
10 第2の盤体
10a 軸穴
10b 底板部
10c 周壁部
10d 凸片部
12 ギア
14 第1の嵌合凹部
16 第2の嵌合凹部
18 移動部材
18a 内径面
18b 突起部
20 半硬質磁性体
22 嵌合凸部
24 フレーム
26 シャフト
28 駆動プーリ
30 タイミングベルト
32 歯車
34 玉溝
36 玉溝
38 ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石と半硬質磁性体とを互いの平面部を対向して配置し、これらを相対回転せしめる構成を採用し、永久磁石と半硬質磁性体との対向間隔をこれらの平面に対して垂直な軸方向に調整可能としたトルクリミッターであって、第1の盤体と、該第1の盤体に対して対向配置された第2の盤体と、前記第1の盤体と第2の盤体との間に構成され、前記第1の盤体と第2の盤体とを、互いの対向間隔を一定に保持して相対回転自在に支持する支持手段と、前記第2の盤体に係止され、該係止位置を軸方向に移動可能に前記第2の盤体に取り付けられた移動部材と、前記移動部材の係止位置を軸方向に移動調整するための調整手段と、前記第1の盤体と前記移動部材とのいずれか一方に設けられた永久磁石と、前記第1の盤体と前記移動部材とのいずれか他方に設けられた半硬質磁性体と、前記第1と第2の盤体の少なくとも一方に設けられた動力伝達機構とを備えたことを特徴とするトルクリミッター。
【請求項2】
前記第1と第2の盤体には、いずれにも動力伝達機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のトルクリミッター。
【請求項3】
前記移動部材は、前記第2の盤体の内径部に係止機構を介して回転不能に係止され、該係止機構が解除可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトルクリミッター。
【請求項4】
前記調整手段は、前記移動部材と第2の盤体のいずれか一方の複数箇所に形成した嵌合凸部と、前記移動部材と第2の盤体のいずれか他方に形成した前記嵌合凸部を受け入れる複数種類の嵌合凹部とを備え、前記嵌合凸部は、選択した1種類の嵌合凹部に嵌合可能に構成されて該嵌合凸部と嵌合凹部とで前記移動部材を前記第2の盤体に回転不能に係止する係止機構を構成し、前記嵌合凹部は、種類ごとに前記嵌合凸部の側面と当接する底面の高さが異なる規制面を有し、前記永久磁石と半硬質磁性体間の吸引方向の磁気力によって前記嵌合凸部の側面が選択した1つの種類の嵌合凹部の規制面に密着するように成し、前記嵌合凸部と嵌合凹部との嵌合状態は、前記移動部材を磁気力に抗して軸方向に押動することで脱着可能とし、前記移動部材を前記第2の盤体に対して回転させることにより前記嵌合凸部を他の種類の嵌合凹部に嵌合可能とし、前記嵌合凸部の嵌合する嵌合凹部の規制面の高さによって前記永久磁石と半硬質磁性体との対向間隔が定まるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の中のいずれか1つの請求項に記載のトルクリミッター。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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