説明

トルクリミッタ

【課題】トルクリミッタにより回転を制限する設定トルクを可及的にし、内輪やコイルばねの使用耐久性を向上し、しかもトルクリミッタの周辺で液体潤滑剤による汚損を防止する。
【解決手段】コイルばね3の両端はそれぞれ外輪2または外輪2と一体に回転する締付力調整リング4に係止し、内輪1の外輪2に対する相対回転の方向に応じてコイルばね3を縮径または拡径させて相対回転を停止または回転力を制限するトルクリミッタAであり、内輪1は樹脂素材で形成し、内輪1の外径面のコイルばね3との接触部に耐摩耗性金属を含有するめっき皮膜5を設ける。内輪1が樹脂素材で形成されているので軽量化され、そのためにばねに所要の締付け力も小さく設定でき、まためっき皮膜5の耐摩耗性の良い潤滑作用により、コイルばね3と内輪1との摺動による摩耗損傷は小さくなり、トルクリミッタAの使用耐久性を充分に高められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機やプリンタなどにおける給紙部のローラトルクなどを調整可能なトルクリミッタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、複写機やプリンタなどにおける給紙部のローラトルクなどを調整するために、コイルばねを用いたトルクリミッタが用いられている。
【0003】
トルクリミッタの一般的構造について図1、5の一部を参照して説明すれば、内輪1とその外側に回転自在に設けられた外輪2との間にコイルばね3を組込み、そのコイルばね3に内輪1の外径面を締付ける小径コイル部3aを設け、コイルばね3の両端に形成された折曲片3c、3dの一方3dを外輪2の閉塞端の穴6に挿入して係止し、他方の折曲片3cを外輪2の開口端部に回転可能に圧入した締付力調整リング4の穴7に挿入して係止している。
【0004】
このようなトルクリミッタでは、外輪2が固定状態にあるとき、軸及びこれに係合された内輪1にコイルばね3の巻き方向と同一方向に一定以下の回転力が加わったとすると、コイルばね3の小径コイル部3aの締付力により回転せず、すなわち内輪1の回転力をそのまま外輪に伝達するが、前記と逆方向に回転する場合は、折曲片3c,3dが穴6,7に係止されているため、小径コイル部3aの巻付きが妨げられ、コイルの拡径作用によって締付力が減少して内輪1の回転力は摺動回転によって一部失われ、外輪2は内輪の回転力以下の一定トルクで回転する。
【0005】
上記トルクリミッタにおいては、トルク伝達時に内輪1と小径コイル部3aは摺動状態で接触するため、内輪1と小径コイル部3aとの接触部に摩耗が生じ易く、その摩耗を防止するために、内輪1と小径コイル部3aとの接触部をグリース等で液体潤滑している。その場合、トルクリミッタの耐久性を向上させるために内輪に可及的に多くの潤滑油を保持できるように、内輪材質として焼結金属を採用し、これに含油されたものが知られている(特許文献1)
【0006】
また、図5に示すように、トルクリミッタは、プリンタや複写機の給紙部における紙さばきローラ9の一端部で軸12を支持する態様で使用され、シート紙11の重送りを防止する(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−108077号公報
【特許文献2】特開2006−170307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記した従来のトルクリミッタでは、内輪が金属製であり、内輪の回転には内輪の重量に応じた大きなトルクを要するので、その回転を制御するばねの縮径力も強く設定する必要があり、それだけ摺動する際の摩擦力も大きくて部品の耐久性を充分に高められなかった。
【0009】
また、このようにトルクリミッタの設定トルクが大きければ、対接するローラとのニップ圧などの負荷も高まるため、周囲の部品の耐久性(寿命)も低下する場合がある。
【0010】
また、潤滑油などの液体潤滑剤を焼結金属などの多孔性部材に染み込ませた状態で保持すると、過剰に染み出した油にローラで搬送されるシートなどが触れる機会が生じ、トルクリミッタに触れた紙などの搬送品などが汚損しやすいという問題もある。
【0011】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、トルクリミッタにより回転を制限する設定トルクを可及的に小さくできるようにして、内輪やコイルばねの使用耐久性が向上できるようにし、しかもトルクリミッタの周辺で液体潤滑剤による汚損を防止できるものとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、この発明においては、内輪の外側に外輪を回転自在に設け、これら両輪間に組み込まれたコイルばねで前記内輪の外径面を締付けると共に、前記コイルばねの両端はそれぞれ外輪または外輪と一体に回転する部品に係止し、前記内輪の外輪に対する相対回転の方向に応じた前記コイルばねの縮径または拡径により前記相対回転を停止または回転力を制限するトルクリミッタにおいて、前記内輪は樹脂素材で形成し、前記コイルばねと接触する内輪の外径面に耐摩耗性金属を含有するめっき皮膜を設けたことを特徴とするトルクリミッタとしたのである。
【0013】
上記したように構成されるこの発明のトルクリミッタは、軸及びこれに係合された内輪にコイルばねの巻き方向と同一方向に縮径する方向に一定以下の回転力が加わったとき、コイルばねの締付力が強められて回転せず、内輪の回転力をそのまま外輪に伝達する。
【0014】
前記と逆方向にコイルばねの巻きが解れて拡径する方向に回転する場合は、コイルばねの両端はそれぞれ外輪または外輪と一体に回転する部品に係止しているため、コイルばねは若干拡径して内輪に対する締付力が減少し、コイルばねの内側で内輪は摺動状態で回転する。このとき、内輪の回転力の一部は、摩擦熱等として失われ、残りの回転力が外輪に伝達されて、外輪は内輪の回転力以下の一定トルクで回転する。
【0015】
この発明のトルクリミッタでは、内輪が樹脂素材で形成されていることによって、金属材料に比べて軽量化され、そのためにばねに所要の締付け力も小さく設定でき、それだけトルクリミッタの設定トルクも小さくできるから、鋭敏にトルク制限機能を発揮する。
【0016】
また、この発明では、コイルばねと接触する内輪の外径面に耐摩耗性金属を含有するめっき皮膜を設けているので、この皮膜の耐摩耗性の良い潤滑作用により、コイルばねと内輪との摺動による摩耗損傷は小さくなり、トルクリミッタの使用耐久性を充分に高めることができる。
【0017】
耐摩耗性金属としては、NiまたはCrなどであり、たとえば、めっき皮膜が、無電解金属めっき層を下地とし、硬質クロムめっき層などのHv500以上の硬質金属めっき層を重ねた複合めっき皮膜であることが好ましい。
【0018】
または、めっき皮膜が、ニッケルを主成分としてリンまたは四フッ化エチレン樹脂粉末を含有する無電解ニッケル複合めっき皮膜であるものとすれば、耐摩耗性ばかりでなく、潤滑性も液体潤滑剤が欠乏した場合においても内輪、コイルばねの摩耗を防止し、異音の発生を防止できるものとなって好ましい。
【0019】
この発明では、耐摩耗性金属を含有するめっき皮膜によりグリースなどの液体潤滑剤の使用は必ずしも必要ではないが、必要に応じて少量の液体潤滑剤を使用してもよい。
その場合には、コイルばねと接触する内輪の外径面に軸方向に延びる保油溝を形成し、この保油溝に所要量の液体潤滑剤を保持しておくことが、コイルばねと内輪の摺動の安定性のために好ましい。
【0020】
なお、この発明では、液体潤滑剤をめっき皮膜による作用の補助的な構成要件とし、従来の焼結金属に保持されるような多量の液体潤滑剤は必要ないため、液体潤滑剤の過剰な染み出しによるローラや搬送シートなどの汚損は回避される。
【0021】
また、樹脂を素材とする内輪の軽量化によるトルクリミッタの設定トルクが小さいことにより、トルクリミッタを取り付けたローラに対接するローラとのニップ圧などの負荷も小さくなるため、これら周囲の部品の耐久性(寿命)も可及的に長期化することができる。
【0022】
このような軽量の内輪を構成する内輪の樹脂素材としては、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォンおよび変性ポリフェニレンエーテルから選ばれる1種以上の樹脂素材を採用することが、樹脂素材の熱膨張率を小さくし、トルク発生時の摩擦熱による内輪の膨張や変形を防止し、コイルばねの締付け力を安定させてトルク変化を防止するために好ましい。
【0023】
また、樹脂素材の熱膨張率を小さくし、上記の作用をより充分に発揮させるために、内輪の樹脂素材が、ガラス繊維または炭素繊維からなる補強繊維を含有する樹脂素材であることは好ましい。
【発明の効果】
【0024】
この発明は、内輪の外輪に対する相対回転の方向に応じてコイルばねを縮径または拡径させるトルクリミッタにおいて、前記内輪を樹脂素材で形成すると共に、内輪外径面のコイルばねとの接触部に耐摩耗性金属を含有するめっき皮膜を設けたので、金属材料に比べて軽量化された内輪に掛かるばねによる負荷も小さくなり、トルクリミッタにより回転を制限する設定トルクが可及的に小さくなり、内輪やコイルばねが摩耗し難く、使用耐久性が高まる利点があり、またトルク制限機能を長時間安定して発揮できる利点もある。
【0025】
また、内輪表面のめっき皮膜による摺動状態の良好と安定化によって、多量の液体潤滑剤を保持する必要がないので、トルクリミッタの周辺での過剰な液体潤滑剤の染み出しによる汚損を防止でき、外径面に軸方向に延びる保油溝によって充分な液体潤滑ができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態のトルクリミッタを示す断面図
【図2】図1のII−II線断面図
【図3】図1のIII−III線断面図
【図4】実施形態の内輪を示す斜視図
【図5】トルクリミッタの使用状態を示す紙さばき機構の説明図
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の実施形態を以下に添付図面に基づいて説明する。
図1に示す実施形態のトルクリミッタAは、内輪1の外側に外輪2を回転自在に設け、これら両輪間に組み込まれたコイルばね3で内輪1の外径面を締付けると共に、コイルばね3の両端はそれぞれ外輪2または外輪と一体に回転する締付力調整リング4に係止し、内輪1の外輪2に対する相対回転の方向に応じてコイルばね3を縮径または拡径させて相対回転を停止または回転力を制限するトルクリミッタAであり、内輪1は樹脂素材で形成し、内輪1の外径面のコイルばね3との接触部に耐摩耗性金属を含有するめっき皮膜5を設けたものである。
【0028】
実施形態では、コイルばね3の一部に内輪1の外径面を締付ける小径コイル部3aを設け、それ以外の大径コイル部3b側の端部に形成された折曲片3c、小径コイル部3a側の端部に形成された折曲片3dのうち、一方の折り曲げ片3dを外輪2の閉塞端の穴6に挿入して係止し、他方の折曲片3cを外輪2の開口端部に回転可能に圧入した締付力調整リング4の穴7に挿入して係止している。
【0029】
このようなトルクリミッタAでは、外輪2が固定状態にあるとき、軸及びこれに係合された内輪1にコイルばね3の巻き方向と同一方向に一定以下のトルクが加わったとすると、コイルばね3の小径部3aの締付力により回転できないが、トルクが一定以上に大きい場合は、折曲片3c、3dが閉塞端の穴6に連結されているため、小径コイル部3aの巻付きが妨げられる。その結果、締付力が減少して内輪1が一定トルクで回転する。
【0030】
外輪2が自由であるとすれば、上記の一定以下のトルクの場合は、内輪1と外輪2とが一体化され、そのときのトルクが外輪2に伝達される。軸及び内輪1に加わるトルクが一定以上になると、内輪1と小径コイル部3aとの間で滑りが生じるため、一定のトルクが外輪2に伝達されるが、それ以上に大きいトルクは小径コイル部3aと内輪1との間の摩擦熱等として消費される結果、外輪2に伝達されるトルクが制限される。
【0031】
なお、軸(図1に一点鎖線で示す。)と内輪1が上記と逆方向に回転すると、小径コイル部3aの締付力が増大し、内輪1は外輪2に対し回り止め(ロック)される。
上述したように内輪1側から外輪2側へトルクを伝達する場合と同様に、逆に外輪2側から内輪1側に伝達する場合についても同様のトルク伝達が行なわれる。
【0032】
コイルばね3は、小径コイル部3aとそれ以外の大径コイル部3bを2段の段差のある形態のものを示したが、小径コイル部3aと大径コイル部3bとの径差は、目的に応じて適切に設定し、前記段差状の形態に代えて、テーパ状に徐々に径差を変化させた形態のものであってもよい。
【0033】
このようなトルク伝達機構に用いる内輪1は、前述したように樹脂素材で形成し、内輪1の外径面の小径コイル部3aと接触する部分を含む外径面には、耐摩耗性金属を含有するめっき皮膜5を設けている。
【0034】
内輪の樹脂素材としては、例えばポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルフォン(PES)および変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)もしくはこれらの1種以上を混合した組成物からなる樹脂素材が挙げられるが、これらは軽量でありかつ樹脂素材の熱膨張率を小さくできるものとして好ましいものであり、このような特性のものであれば他の周知な樹脂を選択的に採用することができる。
【0035】
m−PPEは、芳香族ポリエーテル構造を持つポリフェニレンエーテル(PPE)を主成分とした熱可塑性樹脂に属する合成樹脂組成物であり、ポリアセタール(POM)とのポリマーアロイは摺動性や耐摩耗性が改善されたものであり、ポリフェニレンスルフィド(PPS)とのポリマーアロイは幅広い領域での耐熱安定性が改善されたものである。
【0036】
内輪の樹脂素材において、ガラス繊維または炭素繊維からなる補強繊維を含有する樹脂素材であることは熱膨張率を小さくし、トルク発生時の摩擦熱による内輪の膨張や変形を防止し、これによってコイルばねの締付け力を安定させてトルク変化を防止することができる。
【0037】
また、前記補強繊維がガラス繊維であれば、優れた耐熱性が得られるとともに、特に、靭性などの機械的特性も向上する。前記補強繊維が炭素繊維であれば、機械的強度が向上するとともに、熱伝導性が向上するので、軸受内部で発生する熱の放熱性が向上する。
【0038】
このような補強繊維の樹脂への配合割合は、5〜40質量%であることが、上記作用効果を充分に得るために好ましい。上記所定範囲未満の配合量では、上記作用効果を充分に発揮させるために充分とは言えず、樹脂が膨張した場合にはトルクの変化が起こるので好ましくない。また、補強繊維の配合割合が上記所定範囲を超えるような多量では、内輪の重量が増加して好ましくなく、成形金型も傷みやすく好ましくない。
【0039】
このような樹脂素材を用いて成形される内輪1は、円筒状を基本形とし、その外径面に凹凸のないものであってもよいが、外径面のコイルばね3との接触部に軸方向に延びる適当な数の保油溝8を周方向に間隔を空けて形成することが、液体潤滑剤の長時間に亘る内輪外径面への斑のない安定供給のために好ましい。
【0040】
また、内輪の表面に設けられる耐摩耗性金属を含有するめっき皮膜5は、所要の耐摩耗性を有するように適切な硬度の金属を選択的に用いて、周知のめっき手段により形成できる皮膜である。
【0041】
例えば、無電解金属めっき層を下地とし、Hv500以上の硬質金属めっき層を重ねて設けためっき皮膜であることが好ましく、また、防錆や防食効果もある硬質金属めっき層はより好ましいものである。
Hv500未満の硬さの金属めっき層では、ばね鋼などで形成されるコイルばねの硬度より低い硬度となるため、耐摩耗性金属としての所期した耐摩耗性を確実に得ることが困難になって好ましくない。
【0042】
適切な硬度の金属としては、硬質クロムめっき皮膜が挙げられ、電気めっきによる硬質金属めっきを行なうための下地面としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)からなる無電解金属めっき層を採用することが好ましい。
硬質クロムめっきは、一般的にHv750以上の硬度であるが、コイルばねの材質に対応し、より高硬度の800〜1000Hv程度であってもよい。
【0043】
また、ニッケルを主成分とし、リンを含むニッケル−リン(Ni−P)複合めっき皮膜またはニッケルを主成分とする四フッ化エチレン樹脂粉末を含有するNi−PTFEからなる無電解ニッケル複合めっき皮膜などは、この発明に適切な硬度のニッケルと潤滑性のある成分を含んでおり、この発明に用いるめっき皮膜として好ましいものである。
【0044】
すなわち、硬質クロムやNi−Pめっきは、高硬度であるために内輪表面の摩耗を防止し、トルクリミッタの長寿命化に貢献する。また、Ni−PTFEは、潤滑性を有するので、無潤滑や液体潤滑剤切れの状態でもトルクリミッタから異音(キーキー音)が発生せず、またコイルばねや内輪の摩耗を防止することができる。
【0045】
図5に示すように、上記した実施形態のトルクリミッタAは、複写機やプリンタなどの紙さばきローラ9を支持することができる。
【0046】
矢印方向に回転する軸12にトルクリミッタAを介して支持される紙さばきローラ9は、通常、負荷トルクがトルクリミッタAの規定トルク値以上であるため、矢印a方向に回転する。
すなわち、通常、トルクリミッタAの外輪2は、負荷側の給紙ローラ10からシート紙11を介して回転力を受けて図5の矢印a方向に回転し、シート紙11を送り出す。
【0047】
しかし、シート紙11の重送が発生すると、重送に伴う摩擦の低下によって負荷トルクがトルクリミッタAの設定トルク値より軽くなる。
【0048】
その場合、図1に示すトルクリミッタAの外輪2と紙さばきローラ9(図5)は、軸12に取り付けられた内輪1側からコイルばね3を介して逆方向(図5の一点鎖線矢印b方向)に回転され、紙さばきローラ9に接したシート紙11を押し戻して重送を解消する。
【0049】
このような重送は、複写機やプリンタにおいて、頻繁に起こる可能性があり、通常の回転ではコイルばね3と内輪1は摺動接触し、実施形態のものは、軽量化された内輪に掛かるばねに掛かる負荷も小さく、内輪やコイルばねが摩耗し難く、使用耐久性が高められたものになる。
【符号の説明】
【0050】
1 内輪
2 外輪
3 コイルばね
3a 小径コイル部
3b 大径コイル部
3c、3d 折曲片
4 締付力調整リング
5 めっき皮膜
6、7 穴
8 保油溝
9 紙さばきローラ
10 給紙ローラ
11 シート紙
12 軸
A トルクリミッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内輪の外側に外輪を回転自在に設け、これら両輪間に組み込まれたコイルばねで前記内輪の外径面を締付けると共に、前記コイルばねの両端はそれぞれ外輪または外輪と一体に回転する部品に係止し、前記内輪の外輪に対する相対回転の方向に応じた前記コイルばねの縮径または拡径により前記相対回転を停止または回転力を制限するトルクリミッタにおいて、
前記内輪は樹脂素材で形成し、前記コイルばねと接触する内輪の外径面に耐摩耗性金属を含有するめっき皮膜を設けたことを特徴とするトルクリミッタ。
【請求項2】
めっき皮膜が、無電解金属めっき層を下地とし、Hv500以上の硬質金属めっき層を重ねて設けためっき皮膜である請求項1に記載のトルクリミッタ。
【請求項3】
硬質金属めっき層が、硬質クロムめっき層である請求項2に記載のトルクリミッタ。
【請求項4】
めっき皮膜が、ニッケルを主成分とし、リンまたは四フッ化エチレン樹脂粉末を含有する無電解ニッケル複合めっき皮膜である請求項1に記載のトルクリミッタ。
【請求項5】
内輪の樹脂素材が、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォンおよび変性ポリフェニレンエーテルから選ばれる1種以上の樹脂素材である請求項1〜4のいずれかに記載のトルクリミッタ。
【請求項6】
内輪の樹脂素材が、ガラス繊維または炭素繊維からなる補強繊維を含有する樹脂素材である請求項5に記載のトルクリミッタ。
【請求項7】
内輪が、外径面に軸方向に延びる保油溝が形成された内輪である請求項1〜6のいずれかに記載のトルクリミッタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−97798(P2012−97798A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245238(P2010−245238)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】