トレイのローディング機構及びそれを備えた記録媒体再生装置
【課題】トレイの進退位置における動作状態を認識し異常時の原因究明に寄与する。
【解決手段】CD等を載置可能なトレイ2と、モータ3と、このモータ3による回転運動を直線運動に変換しつつそれをトレイ2に伝達する伝達機構4とを備え、伝達機構4によってトレイ2を本体シャーシ1に対して進退させるためのものであって、モータ3が回転駆動されることによってトレイ2の進退方向と直交する方向に移動されるカムプレート6と、カムプレート6が当接することによってオン、オフ動作される第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2と、トレイ2が本体シャーシ1に収納されて停止された第1の状態、トレイ2が低速度で進退される第2の状態、トレイ2が高速度で進退される第3の状態、及びトレイ2が本体シャーシ1から進出されて停止された第4の状態のいずれかの状態であるかを、第1及び第2スイッチSW1,SW2におけるオン状態及びオフ状態の組み合わせに基づいて判別するCPU31とを備える。
【解決手段】CD等を載置可能なトレイ2と、モータ3と、このモータ3による回転運動を直線運動に変換しつつそれをトレイ2に伝達する伝達機構4とを備え、伝達機構4によってトレイ2を本体シャーシ1に対して進退させるためのものであって、モータ3が回転駆動されることによってトレイ2の進退方向と直交する方向に移動されるカムプレート6と、カムプレート6が当接することによってオン、オフ動作される第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2と、トレイ2が本体シャーシ1に収納されて停止された第1の状態、トレイ2が低速度で進退される第2の状態、トレイ2が高速度で進退される第3の状態、及びトレイ2が本体シャーシ1から進出されて停止された第4の状態のいずれかの状態であるかを、第1及び第2スイッチSW1,SW2におけるオン状態及びオフ状態の組み合わせに基づいて判別するCPU31とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えばCD等を再生する記録媒体再生装置に設けられ、CD等を載置可能なトレイを記録媒体再生装置に対して進退させるための、トレイのローディング機構、及びそれを備えた記録媒体再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばCD(compact disc)やDVD(digital versatile disc)等の記録媒体を再生するための再生装置では、トレイ収納部としての本体シャーシに対してトレイを進退させるためのローディング機構が設けられている(例えば、特許文献1参照)。ユーザがCD等を再生させる際、このローディング機構によってトレイを本体シャーシから出し入れし、CD等をトレイに載置したり、トレイからCD等を取り除いたりする。
【0003】
【特許文献1】特開2004−118991号公報
【0004】
再生装置は、種々の機能が搭載されているか否かによって、価格が異なる複数の機種が製作されている。例えば比較的安価な機種では、トレイの本体シャーシからの進出速度及び本体シャーシへの退入速度は、ほぼ一定とされている。これに対し、比較的高級な機種では、トレイの本体シャーシからの進出速度及び本体シャーシへの退入速度に変化がつけられていることが多い。例えば、トレイは、本体シャーシから進出される場合、進出開始直後は低速で、次いで高速になり、トレイが十分進出した後の停止直前に再び低速で、というような手順で変位される。このようなトレイの進退制御によって、より高級感を醸し出すことができる。
【0005】
ここで、上記トレイは、トレイの片面に形成されたラックと、本体シャーシに回転可能に支持された歯車(ピニオン)とによる、いわゆるラック&ピニオン方式が採用されて本体シャーシに対して進退される。歯車は、本体シャーシに備えられたモータの回転駆動によって回転され、このモータは、例えばマイクロコンピュータによって駆動制御される。そのため、上記したトレイの進退制御は、マイクロコンピュータによるモータの回転速度を、トレイが低速で進退する時間及び高速で進退する時間に応じて変化させることによって行われる。
【0006】
トレイの進退速度を変化させるタイミングは、トレイの進退速度の変化位置を検出する検出スイッチによって設定される。すなわち、トレイの速度が減速から高速に移るとき、及び高速から低速に移るときのトレイの位置を検出スイッチによって検出し、その出力に基づいて、トレイの低速及び高速の進退制御を行う。この進退制御によれば、トレイの進退速度に関係なく、進退速度を変化させるべき適切な位置で確実にトレイの進退速度を変化させることができる。
【0007】
ところで、上記再生装置では、トレイの進退中に何らかの異常が生じ、例えば電源供給が停止するといった不具合があり、その後、その異常の原因を究明しようとした場合、例えばトレイの進退時にトレイがどの位置で不具合が発生したのかを判別することはできなかった。
【0008】
すなわち、上記再生装置の検出スイッチは、単にトレイの進退速度の変化位置を検出するものであり、その検出出力を取得するマイクロコンピュータも単にその検出出力をトレイの進退速度を変化させるためだけに用いているため、マイクロコンピュータは、トレイの進退位置における動作状態を認識するものではない。したがって、上記再生装置は、異常の原因を究明しようとした場合、トレイに異常が生じたときにどのような動作状態であったのかを検証することができないものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、トレイの進退位置における動作状態を認識し異常時の原因究明に寄与することのできる、トレイのローディング機構を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0011】
本願発明の第1の側面によって提供されるトレイのローディング機構は、記録媒体を載置可能なトレイと、第1の回転速度及びこれと異なる第2の回転速度で回転駆動可能なモータと、このモータによる回転運動を直線運動に変換しつつそれを前記トレイに伝達する伝達手段と、前記モータを駆動することにより前記伝達手段を介して前記トレイをトレイ収納部に対して進退させるための、トレイのローディング機構であって、前記モータが回転駆動されることによって前記伝達手段を介して前記トレイの進退方向と直交する方向に移動される支持プレートと、前記トレイの進退位置における動作状態を検出するための検出手段とを備え、前記検出手段は、前記支持プレートの移動直線上に配置され、かつ前記支持プレートが当接することによってオン、オフ動作される第1スイッチ手段と、前記支持プレートの移動直線上の前記第1スイッチ手段の配置位置とは異なる位置に配置され、かつ前記支持プレートが当接することによってオン、オフ動作される第2スイッチ手段と、前記トレイが前記トレイ収納部に収納されて停止された第1の状態、前記モータが第1の回転速度で回転駆動されることにより前記トレイが第1の所定速度で進退される第2の状態、前記モータが前記第1の回転速度と異なる第2の回転速度で回転駆動されることにより前記トレイが前記第1の所定速度と異なる第2の所定速度で進退される第3の状態、及び前記トレイが前記トレイ収納部から進出されて停止された第4の状態のいずれかの状態であるかを、前記第1スイッチ手段及び前記第2スイッチ手段におけるオン状態及びオフ状態の組み合わせに基づいて判別する判別手段と、によって構成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0012】
この構成によれば、モータが回転駆動されることにより、その回転運動が伝達手段によって直線運動に変換され、トレイは、この直線運動によってトレイ収納部(本体シャーシ)に対して進退可能とされる。また、モータが回転駆動されることにより、支持プレートは、トレイの進退方向と直交する方向に移動される。第1スイッチ手段及び第2スイッチ手段は、支持プレートの移動延長線上に配置されているため、この支持プレートの移動によって、支持プレートが第1及び第2スイッチ手段に当接することによりオン、オフ動作される。
【0013】
そのため、第1スイッチ手段及び第2スイッチ手段が支持プレートの移動延長線上の異なる適当な位置に配置されておれば、第1スイッチ手段及び第2スイッチ手段のオン、オフ状態の組み合わせに基づいて、トレイがトレイ収納部に収納されて停止された第1の状態、モータが第1の回転速度で回転駆動されることによりトレイが第1の所定速度で進退される第2の状態、モータが第1の回転速度と異なる第2の回転速度で回転駆動されることによりトレイが第1の所定速度と異なる第2の所定速度で進退される第3の状態、及びトレイがトレイ収納部から進出されて停止された第4の状態のいずれかの状態であるかを判別することができる。
【0014】
したがって、第1スイッチ手段及び第2スイッチ手段のオン、オフ状態を例えば不揮発性メモリに記憶させておけば、このローディング機構が適用される再生装置に何らかの異常が発生して電源供給ができなくなって停止し、その後、異常の原因を究明しようとした場合、異常時にトレイがどのような動作状態であったのかを検証することができる。
【0015】
好ましい実施の形態によれば、前記第1スイッチ手段は、前記支持プレートの一端部が当接することによってオン、オフ動作されるものであり、前記第2スイッチ手段は、前記支持プレートの側面に形成された突起が当接することによってオン、オフ動作されるものであるとよい(請求項2)。
【0016】
他の好ましい実施の形態によれば、前記第1スイッチ手段及び前記第2スイッチ手段におけるオン状態及びオフ状態を記憶する記憶手段を備えるとよい(請求項3)。
【0017】
本願発明の第2の側面によって提供される記録媒体再生装置は、本願発明の第1の側面によって提供されるトレイのローディング機構を備えたことを特徴としている(請求項4)。
【0018】
本願発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1は、本願発明の実施形態に係るトレイのローディング機構を適用した記録媒体再生装置の一部切欠平面透視図であり、図2は、図1に示す記録媒体再生装置の正面透視図である。図3は、トレイを裏面側から見た斜視図である。
【0021】
この記録媒体再生装置は、CDやDVD等の記録媒体を再生するための装置であり、CD等を載置可能なトレイ2と、トレイ2を収納するためのトレイ収納部として機能する本体シャーシ1とによって大略構成されている。ローディング機構は、記録媒体再生装置に組み込まれて適用され、トレイ2を本体シャーシ1に対して前後方向に進退させるためのものである。
【0022】
本体シャーシ1は、モータ3と、このモータ3の回転運動を直線運動に変換しつつそれをトレイ2に伝達するための伝達機構4と、本体シャーシ1の内部に設けられ、CD等の内容を読み取るための読取部5(図4参照)と、本体シャーシ1の短手方向(トレイ2の進退方向と直交する方向)に沿って移動自在に支持されているカムプレート6と、トレイ2の進退位置における動作状態を検出するための第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2とを備えている。なお、図1中、1aは本体シャーシカバーを示す。
【0023】
トレイ2は、平面視略矩形状に形成され、その一端部寄りの上面にCD等を載置するための凹陥部2aが形成されている。トレイ2の下面(裏面)には、図3に示すように、その長手方向の両側端、及び短手方向の片側端に沿って枠片2bが形成されている。両側端の一方の枠片2bの内側近傍には、トレイ2の長手方向に沿って略波状に延び、後述する第4ギア17と歯合されるラック2cが形成されている。
【0024】
一方の枠片2bとは反対側の他方の枠片2bの近傍には、平面視略L字状の案内溝9が形成されている。この案内溝9は、略蛇行するように形成され、カムプレート6に設けられた突起片22(図1参照)を案内するためのものである。
【0025】
案内溝9は、トレイ2の一端部近傍であって中央部分からその短手方向に沿って延びる第1溝部9aと、この第1溝部9aに連設され、斜め方向に折り曲げられて延びる第2溝部9bと、この第2溝部9bに連設され、トレイ2の長手方向に沿って延びる第3溝部9cと、この第3溝部9cに連設され、トレイ2の内側に向かって斜め方向に折り曲げられて延びる第4溝部9dと、この第4溝部9dに連設され、トレイ2の長手方向に沿って延びる第5溝部9eと、この第5溝部9eに連設され、トレイ2の外側に向かって斜め方向に折り曲げられて延びる第6溝部9fと、この第6溝部9fに連設され、トレイ2の長手方向に沿って延びる第7溝部9gと、この第7溝部9gに連設され、トレイ2の外側に向かって斜め方向に折り曲げられて延びる第8溝部9hと、この第8溝部9hに連設され、トレイ2の長手方向に沿って延びる第9溝部9iとによって構成されている。
【0026】
モータ3は、図1及び図2に示すように、本体シャーシ1の一端部近傍であって、その下部に設けられた基板10に実装されることによって本体シャーシ1に内装されている。モータ3は、後述するCPU31(図5参照)からの制御信号に基づいて回転駆動される。モータ3は、CPU31によって例えば比較的回転速度が大きい「高速」と、「高速」より回転速度が小さい「低速」とに回転速度が段階的に切り換えられて回転駆動される。モータ3には、その回転駆動力を、トレイ2に伝達するための伝達機構4が接続されている。
【0027】
伝達機構4は、図1に示すように、第1及び第2プーリ11,12、ベルト13、並びに第1ないし第5ギア14〜18によって概略構成されている(第5ギア18は図2参照)。第1プーリ11は、モータ3の軸心と同心円状に設けられ、モータ3の回転が直接的に伝達される。モータ3の近傍には、第2プーリ12が配置されており、第1プーリ11及び第2プーリ12には、無端状のベルト13が掛け渡されている。第2プーリ12には、同心円状に第1ギア14が固着されている。
【0028】
第1ギア14には、直径がそれより大とされた第2ギア15が歯合されている。第2ギア15には、同心円状であって、直径がそれより小とされた第3ギア16及び第5ギア18が固着されている。すなわち、第2ギア15、第3ギア16及び第5ギア18は、それらでいわゆる3段ギアを構成している。
【0029】
第3ギア16には、直径がそれより大とされた第4ギア17が歯合されている。第4ギア17は、上記したトレイ2に形成されたラック2cに歯合されることにより、ラック2cとでラック&ピニオンを構成し、トレイ2を本体シャーシ1の長手方向に進退させる。また、第4ギア17は、トレイ2の収納時に、図1に示すように、ラック2cに歯合されていない状態を保持する。
【0030】
カムプレート6は、図4に示すように、断面視略L字状に形成され、水平方向に延びかつ矩形状の水平面部19と、その一端から直交方向に延びた略矩形状の垂直面部20とを有している。水平面部19の一端部の中央には、上記第5ギア18に歯合するラック21が所定の長さにわたって形成されている。カムプレート6は、モータ3が回転駆動されることにより、その回転力が第1及び第2プーリ11,12、第1、第2及び第5ギア14,15,18を介して伝達され、第5ギア18がラック21に歯合されることにより移動される。
【0031】
水平面部19の適所には、トレイ2の片面に形成された案内溝9に案内される突起片22が設けられている。突起片22は、案内溝9に案内されることにより、トレイ2が本体シャーシ1に対して進退する状態を支持するものである。
【0032】
垂直面部20には、略Z字状のカム孔23が形成されている。このカム孔23には、読取部5を構成するスピンドルやサーボ(いずれも図示せず)を収納する内部ケース25の一端部に設けられた凸部26が遊嵌されている。凸部26は、カムプレート6による本体シャーシ1の短手方向における移動にともなって、カム孔23内を移動されるようになっており、この凸部26のカム孔23内の移動によって、読取部5を上下方向に変位させる。読取部5の内部ケース25は、凸部26が形成された一端部とは反対側の他端部において、本体シャーシ1に対して傾き可能に支持されている。
【0033】
これらの構成により、カム孔23の上部に凸部26が存在するときには(トレイ2の収納時)、内部ケース25の一端部側が上昇し、読取部5がトレイ2に載置されたCD等に接近してCD等の内容が読取可能な状態とされる。一方、カム孔23の下部に凸部26が存在するときには(トレイ2の進出時)、内部ケース25の一端部側が下降し、読取部5がトレイ2に載置されたCD等に対して離間した状態とされる。
【0034】
また、垂直面部20の下端には、第2スイッチSW2をオン、オフ動作させるための第1突起27及び第2突起28が形成されている。第1突起27及び第2突起28は、垂直面部20から本体シャーシ1の手前側に向かって延びるように、かつ所定の間隔を有して形成されている。例えば、カムプレート6が左方向に移動された場合には、第1突起27が第2スイッチSW2の可動部2A(後述)に当接し、それをオン動作させる。一方、カムプレート6が右方向に移動された場合には、第2突起28が第2スイッチSW2の可動部2Aに当接し、それをオン動作させる。
【0035】
第1突起27は、第2スイッチSW2との摩擦を抑制する目的で第2スイッチSW2の可動部2Aと当接する左端下面部がテーパ状に形成されている。また、第2突起28は、第2スイッチSW2との摩擦を抑制する目的で第2スイッチSW2の可動部2Aと当接される右端下面部がテーパ状に形成されている。
【0036】
第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、図2に示すように、本体シャーシ1の下部に配置された、モータ3が実装された基板10上に実装されている。第1スイッチSW1は、トレイ2の進退位置における動作状態を検出するためのものであり、可動部1Aが押下されない状態のときには可動部1Aが自動復帰するいわゆるモーメンタリスイッチとされている。第1スイッチSW1は、基板10の左端部であって、上記カムプレート6の移動延長線上に実装されている。
【0037】
カムプレート6は、突起片22がトレイ2の案内溝9内を案内されることにより、本体シャーシ1の短手方向に沿って左方向に移動されるが、その移動にともなってカムプレート6の端部が第1スイッチSW1の可動部1Aに当接することにより、第1スイッチSW1はオン動作される。また、カムプレート6が右方向に移動されることにより、その移動にともなってカムプレート6の端部が第1スイッチSW1から離間されることにより、第1スイッチSW1はオフ動作されるようになっている。
【0038】
第2スイッチSW2は、トレイ2の進退位置における動作状態を検出するためのものであり、第1スイッチSW1と同様に、モーメンタリスイッチとされている。第1スイッチSW1と異なる点は、両端方向から可動部2Aが当接されることによってもオン動作されるものである。すなわち、第2スイッチSW2は、図5に示すように、第1及び第2突起27,28に可動部2Aが当接されない場合には(図5(a)参照)、オフ動作され、第1突起27が左方向から可動部2Aが当接される場合(図5(b)参照)、及び第2突起28が右方向から可動部2Aが当接される場合には(図5(c)参照)、オン動作されるものである。
【0039】
なお、図1及び図2に示す記録媒体再生装置は、詳細は後述するが、CD等が再生されている状態を示している。
【0040】
図6は、記録媒体再生装置の概略的な電気的構成を示す図である。本体シャーシ1の下面側には、電気制御を行なうための図示しない制御基板が設けられており、制御基板には、このローディング機構の全体動作を司る制御部30が備えられている。制御部30は、例えばマイクロコンピュータを有しており、マイクロコンピュータは、CPU31、ROM32、RAM33、EEPROM34及びI/F35等からなる。CPU31、ROM32、RAM33及びEEPROM34は、それぞれバスラインで接続されており、CPU31にはI/F35が接続されている。
【0041】
CPU31は、ROM32に格納されている制御プログラムに基づいて動作する。例えば、CPU31は、I/F35を介して入力される、操作部37(後述)からの操作信号及び図示しない各種センサからの検出信号等に応じて所定の制御処理を行い、その処理結果として、モータ3を回転駆動させたり、読取部5におけるCD等の内容の読取動作を制御したりする。
【0042】
CPU31は、上記第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ動作の状態を常時監視しており、両スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態の組み合わせに基づいてトレイ2の本体シャーシ1に対する進退位置を認識するようになっている。
【0043】
ROM32には、CPU31による操作制御、表示制御、及び音響制御を行なうための制御プログラムが記憶されている。
【0044】
RAM33は、各種の変数データが格納されるエリアと、CPU31が制御プログラムを実行するために用いられるワークエリアとを提供するものである。
【0045】
EEPROM34は、トレイ2の進退位置における動作状態を示す第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態を常時記憶しており、CPU31によって、必要に応じてその内容が書き換えられたり、読み出されたりする。
【0046】
I/F35には、第1及び第2スイッチSW1,SW2がCPU31に接続されている。第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の検出出力は、上記CPU31に伝達される。CPU31は、この両スイッチSW1,SW2からの検出出力、すなわちオン、オフ状態を認識しつつこれらをEEPROM34に常時記憶させるとともに、両スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態の組み合わせに基づいて、基板10上に実装されたモータ3を駆動制御する。CPU31は、モータ3の回転速度を「高速」、又は「高速」に比べて回転速度の低い「低速」の2段階に切り替え可能とされている。
【0047】
なお、上記制御基板には、基板10が例えばフレキシブルケーブルによって接続されている。したがって、このフレキシブルケーブルを通じて第1及び第2スイッチSW1,SW2による検出信号やモータ3への駆動信号が伝達される。
【0048】
I/F35には、上述したように、モータ3を回転駆動させるためのモータ駆動部36が接続されている。モータ3は、上記した第1プーリ11を直接的に回転させるためのものである。モータ駆動部36は、CPU31からの制御信号に基づいてモータ3に駆動パルス信号を出力させることによりそれを回転駆動させる。モータ3が回転駆動されることにより、第1プーリ11が回転される。
【0049】
I/F35には、読取部5、操作部37及び表示部38が接続されている。操作部37は、CD等の再生開始や停止、音量の増減等をユーザが設定するためのものであり、複数のボタン等を有している。表示部38は、CPU31によってこの記録媒体再生装置における動作状態を表示するものであり、LEDや液晶表示装置等を有する。
【0050】
次に、上記記録媒体再生装置における動作を、モータ3の駆動状態と第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ動作とを示す図(図7)並びにカムプレート6の移動状態を示す図(図1、図2、図8ないし図12)を参照して説明する。まず、トレイ2が本体シャーシ1から進出される場合の動作について説明する。なお、図8ないし図12に示す記録媒体再生装置では、伝達機構4の構成部分を省略している。
【0051】
図1及び図2は、トレイ2が本体シャーシ1に収納されて停止状態である第1の状態T1(図7参照)を示している。すなわち、図1及び図2には示していないが、読取部5の凸部26は、カムプレート6のカム孔23の上部に位置しており、これにより読取部5は上方に位置し、CD等は読取部5に接近されてCD等の内容が読み取り可能になっている。
【0052】
この第1の状態T1では、図1及び図2に示すように、第1スイッチSW1はオフ状態である一方、第2スイッチSW2は、カムプレート6の第1突起27に当接され、オン状態にある。第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ動作の状態は、CPU31に伝達される。CPU31は、第1スイッチSW1がオフ状態、第2スイッチSW2がオン状態であるため、読取部5によってCD等が再生状態であることを認識するとともに、第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態をEEPROM34に記憶させる。また、この場合、CPU31は、CD等が再生状態であるため、モータ3を停止させている(図7参照)。
【0053】
次いで、ユーザによって、CD等をこの記録媒体再生装置から取り出す(あるいは新たにCD等をトレイ2に載置させる)ための操作、すなわち操作部37を用いてトレイ2を本体シャーシ1から進出させるための操作が行われると、記録媒体再生装置は、第1の状態T1から第2の状態T2に移行される。
【0054】
第2の状態T2に移行すると、CPU31はモータ3を「高速」で回転駆動させる(図7参照)。このモータ3の回転にともなって、第1プーリ11が図1における反時計周りに回転する。この第1プーリ11の回転は、ベルト13を介して第2プーリ12に伝達され、第2プーリ12も反時計周りに回転する。この第2プーリ12の回転にともなって、第1ギア14が回転し、これに歯合された第2ギア15が図1における時計周りに回転する。そして、第2ギア15の回転にともなって、同心円状の第3ギア16及び第5ギア18が同方向に回転する。
【0055】
第5ギア18には、カムプレート6のラック21が歯合されているため、第5ギア18の時計回転周りの回転により、カムプレート6は、図1における左方向に移動する。これにともない、カムプレート6に形成された突起片22もトレイ2の案内溝9の第1溝部9aに沿って図1における左方向に案内される。また、カムプレート6の左方向への移動にともない、その移動によって垂直面部20のカム孔23内に沿って内部ケース25の凸部26が案内される。これにより、図8に示すように、内部ケース25(読取部5)が下方へ移動され、読取部5は、トレイ2に載置されたCD等と離間される。
【0056】
また、カムプレート6の移動にともない、第2スイッチSW2は、第1突起27との当接状態が外れ、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、ともにオフ状態となる。CPU31は、両スイッチSW1,SW2がともにオフ状態にあることが伝達されることにより、読取部5がCD等と離間された第2の状態T2であることを認識する。
【0057】
モータ3の回転駆動が継続されると、第5ギア18の回転によって、カムプレート6は、図9に示すように、さらに左方向に移動し、図示しないが第5ギア18とカムプレート6のラック21とは歯合が解除される。これとほぼ同時に、今度は、第3ギア16に歯合されている第4ギア17が本体シャーシ1の長手方向に沿って設けられたトレイ2のラック2cと歯合される。また、カムプレート6の突起片22は、第2溝部9bを介して第3溝部9cに達する。これらにより、トレイ2は、進出方向(図9(a)における下方向)に進退される。
【0058】
さらに、カムプレート6が移動されることにより、基板10に実装された第1スイッチSW1がカムプレート6の端部によって押下され、オン状態となる(図9(b)の円内参照)。CPU31は、この第1スイッチSW1のオン状態及び第2スイッチSW2のオフ状態を認識すると、モータ3の回転速度を「高速」から「低速」に切り換える。すなわち、記録媒体再生装置は、第2の状態T2から第3の状態T3に移行され、第3の状態T3では、トレイ2は、低速度で穏やかに本体シャーシ1から進出される。
【0059】
次いで、CPU31によってモータ3が「低速」で回転駆動されると、カムプレート6の突起片22は、案内溝9の第3溝部9cを経て第4溝部9dに達する。ここで、第4溝部9dは、トレイ2の内側に向かって傾斜されているため、カムプレート6は、その分、図10(a)における右方向に戻るように移動する。これにより、第1スイッチSW1は、カムプレート6の端部による当接状態から外れ、オフ状態に戻る(図10(b)の円内参照)。
【0060】
CPU31は、この第1スイッチSW1のオフ状態及び第2スイッチSW2のオフ状態を認識すると、モータ3を再び「高速」で回転駆動させる。これにより、記録媒体再生装置は、第3の状態T3から第4の状態T4に移行され、第4の状態T4では、トレイ2は、高速度で進出するようになる。
【0061】
CPU31によってモータ3が「高速」で回転駆動されると、カムプレート6の突起片22は、図11(a)に示すように、案内溝9の第5溝部9eを経て第6溝部9fに達する。第6溝部9fは、トレイ2の外側に向かって斜め方向を向いているため、カムプレート6は、その分、図11(a)における左方向に再び移動する。これにより、第1スイッチSW1は、カムプレート6の端部によって再度当接され、オン状態になる(図11(b)の円内参照)。
【0062】
CPU31は、この第1スイッチSW1のオン状態及び第2スイッチSW2のオフ状態を認識すると、モータ3を再び「低速」で回転駆動させる。これにより、記録媒体再生装置は、第4の状態T4から第5の状態T5に移行され、第5の状態T5では、トレイ2は、再び低速度で穏やかに本体シャーシ1から進出するようになる。
【0063】
さらに、CPU31によってモータ3が「低速」で回転駆動されると、カムプレート6の突起片22は、図12(a)に示すように、案内溝9の第7溝部9gを経て第8溝部9hに達する。第8溝部9hは、第6溝部9fに比べてトレイ2の外側に向かってさらに斜め方向を向いているため、カムプレート6は、その分、図12(a)における左方向にさらに移動する。これにより、図12(b)に示すように、第2スイッチSW2は、第2突起28に当接され、オン動作する。
【0064】
CPU31は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がともにオン動作されることを認識すると、モータ3の回転を停止させる。これにより、記録媒体再生装置は、第5の状態T5から第6の状態T6に移行され、第6の状態T6では、トレイ2は、それ以上前方に進出されなくなり、トレイ2は停止される。ユーザは、このトレイ2の停止状態においてCD等を取り出したり、代わりのCD等を再度載置させたりすることができる。
【0065】
以上、トレイ2が本体シャーシ1から進出される場合の動作について説明したが、トレイ2が本体シャーシ1へ退入される場合は、上記した動作の反対の手順でトレイ2が退入される。すなわち、CPU31は、モータ3の回転方向を上記とは逆方向である、図1における時計周りに回転させ、これにより、カムプレート6が総じて右方向に移動し、トレイ2は退入方向(図1における上方向)に進退される。この場合も、トレイ2の進退開始直後、及び停止直前は、進退速度が小となるように進退され、より高級感を醸し出すことができる。この場合も、CPU31は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のオン、オフ状態を認識している。
【0066】
このように、本実施形態によれば、第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態が常時監視され、これら第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態の組み合わせに基づいて、トレイ2の進出位置における動作状態が認識される。また、第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態がEEPROM34に記憶される。そのため、例えばトレイ2の動作中に異常があり記録媒体再生装置の電源供給がされなくなった場合においても、その異常の原因を究明する際、第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態を読み出すことにより、異常時のおけるトレイ2の動作状態を把握することができ、異常時の原因究明に寄与することができる。
【0067】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、記録媒体としてCDやDVD等を対象に説明したが、これらに限らず、MD(mini disk)やFD(floppy disk)、あるいはカセットテープ等が対象とされるローディング機構に適用されてもよい。また、第1及び第2スイッチSW1,SW2の構成や第1及び第2スイッチSW1,SW2がオン、オフ動作される構成は、上記実施形態に限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本願発明の一実施形態に係る、トレイのローディング機構が適用される記録媒体再生装置を示す一部切欠平面透視図である。
【図2】図1に示す記録媒体再生装置の正面透視図である。
【図3】トレイを裏面側から見た斜視図である。
【図4】カムプレート及びその周辺部品の斜視図である。
【図5】第2スイッチの動作を説明するための図である。
【図6】図1に示す記録媒体再生装置の概略的な電気的構成を示す図である。
【図7】モータの動作状態と第1及び第2スイッチのオン、オフ状態とを示す図である。
【図8】図1に示す記録媒体再生装置の動作を説明するための図である。
【図9】図1に示す記録媒体再生装置の動作を説明するための図である。
【図10】図1に示す記録媒体再生装置の動作を説明するための図である。
【図11】図1に示す記録媒体再生装置の動作を説明するための図である。
【図12】図1に示す記録媒体再生装置の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0069】
1 本体シャーシ
2 トレイ
3 モータ
4 伝達機構
5 読取部
6 カムプレート
9 案内溝
10 基板
22 突起片
26 凸部
27 第1突起
28 第2突起
31 CPU
34 EEPROM
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えばCD等を再生する記録媒体再生装置に設けられ、CD等を載置可能なトレイを記録媒体再生装置に対して進退させるための、トレイのローディング機構、及びそれを備えた記録媒体再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばCD(compact disc)やDVD(digital versatile disc)等の記録媒体を再生するための再生装置では、トレイ収納部としての本体シャーシに対してトレイを進退させるためのローディング機構が設けられている(例えば、特許文献1参照)。ユーザがCD等を再生させる際、このローディング機構によってトレイを本体シャーシから出し入れし、CD等をトレイに載置したり、トレイからCD等を取り除いたりする。
【0003】
【特許文献1】特開2004−118991号公報
【0004】
再生装置は、種々の機能が搭載されているか否かによって、価格が異なる複数の機種が製作されている。例えば比較的安価な機種では、トレイの本体シャーシからの進出速度及び本体シャーシへの退入速度は、ほぼ一定とされている。これに対し、比較的高級な機種では、トレイの本体シャーシからの進出速度及び本体シャーシへの退入速度に変化がつけられていることが多い。例えば、トレイは、本体シャーシから進出される場合、進出開始直後は低速で、次いで高速になり、トレイが十分進出した後の停止直前に再び低速で、というような手順で変位される。このようなトレイの進退制御によって、より高級感を醸し出すことができる。
【0005】
ここで、上記トレイは、トレイの片面に形成されたラックと、本体シャーシに回転可能に支持された歯車(ピニオン)とによる、いわゆるラック&ピニオン方式が採用されて本体シャーシに対して進退される。歯車は、本体シャーシに備えられたモータの回転駆動によって回転され、このモータは、例えばマイクロコンピュータによって駆動制御される。そのため、上記したトレイの進退制御は、マイクロコンピュータによるモータの回転速度を、トレイが低速で進退する時間及び高速で進退する時間に応じて変化させることによって行われる。
【0006】
トレイの進退速度を変化させるタイミングは、トレイの進退速度の変化位置を検出する検出スイッチによって設定される。すなわち、トレイの速度が減速から高速に移るとき、及び高速から低速に移るときのトレイの位置を検出スイッチによって検出し、その出力に基づいて、トレイの低速及び高速の進退制御を行う。この進退制御によれば、トレイの進退速度に関係なく、進退速度を変化させるべき適切な位置で確実にトレイの進退速度を変化させることができる。
【0007】
ところで、上記再生装置では、トレイの進退中に何らかの異常が生じ、例えば電源供給が停止するといった不具合があり、その後、その異常の原因を究明しようとした場合、例えばトレイの進退時にトレイがどの位置で不具合が発生したのかを判別することはできなかった。
【0008】
すなわち、上記再生装置の検出スイッチは、単にトレイの進退速度の変化位置を検出するものであり、その検出出力を取得するマイクロコンピュータも単にその検出出力をトレイの進退速度を変化させるためだけに用いているため、マイクロコンピュータは、トレイの進退位置における動作状態を認識するものではない。したがって、上記再生装置は、異常の原因を究明しようとした場合、トレイに異常が生じたときにどのような動作状態であったのかを検証することができないものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、トレイの進退位置における動作状態を認識し異常時の原因究明に寄与することのできる、トレイのローディング機構を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0011】
本願発明の第1の側面によって提供されるトレイのローディング機構は、記録媒体を載置可能なトレイと、第1の回転速度及びこれと異なる第2の回転速度で回転駆動可能なモータと、このモータによる回転運動を直線運動に変換しつつそれを前記トレイに伝達する伝達手段と、前記モータを駆動することにより前記伝達手段を介して前記トレイをトレイ収納部に対して進退させるための、トレイのローディング機構であって、前記モータが回転駆動されることによって前記伝達手段を介して前記トレイの進退方向と直交する方向に移動される支持プレートと、前記トレイの進退位置における動作状態を検出するための検出手段とを備え、前記検出手段は、前記支持プレートの移動直線上に配置され、かつ前記支持プレートが当接することによってオン、オフ動作される第1スイッチ手段と、前記支持プレートの移動直線上の前記第1スイッチ手段の配置位置とは異なる位置に配置され、かつ前記支持プレートが当接することによってオン、オフ動作される第2スイッチ手段と、前記トレイが前記トレイ収納部に収納されて停止された第1の状態、前記モータが第1の回転速度で回転駆動されることにより前記トレイが第1の所定速度で進退される第2の状態、前記モータが前記第1の回転速度と異なる第2の回転速度で回転駆動されることにより前記トレイが前記第1の所定速度と異なる第2の所定速度で進退される第3の状態、及び前記トレイが前記トレイ収納部から進出されて停止された第4の状態のいずれかの状態であるかを、前記第1スイッチ手段及び前記第2スイッチ手段におけるオン状態及びオフ状態の組み合わせに基づいて判別する判別手段と、によって構成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0012】
この構成によれば、モータが回転駆動されることにより、その回転運動が伝達手段によって直線運動に変換され、トレイは、この直線運動によってトレイ収納部(本体シャーシ)に対して進退可能とされる。また、モータが回転駆動されることにより、支持プレートは、トレイの進退方向と直交する方向に移動される。第1スイッチ手段及び第2スイッチ手段は、支持プレートの移動延長線上に配置されているため、この支持プレートの移動によって、支持プレートが第1及び第2スイッチ手段に当接することによりオン、オフ動作される。
【0013】
そのため、第1スイッチ手段及び第2スイッチ手段が支持プレートの移動延長線上の異なる適当な位置に配置されておれば、第1スイッチ手段及び第2スイッチ手段のオン、オフ状態の組み合わせに基づいて、トレイがトレイ収納部に収納されて停止された第1の状態、モータが第1の回転速度で回転駆動されることによりトレイが第1の所定速度で進退される第2の状態、モータが第1の回転速度と異なる第2の回転速度で回転駆動されることによりトレイが第1の所定速度と異なる第2の所定速度で進退される第3の状態、及びトレイがトレイ収納部から進出されて停止された第4の状態のいずれかの状態であるかを判別することができる。
【0014】
したがって、第1スイッチ手段及び第2スイッチ手段のオン、オフ状態を例えば不揮発性メモリに記憶させておけば、このローディング機構が適用される再生装置に何らかの異常が発生して電源供給ができなくなって停止し、その後、異常の原因を究明しようとした場合、異常時にトレイがどのような動作状態であったのかを検証することができる。
【0015】
好ましい実施の形態によれば、前記第1スイッチ手段は、前記支持プレートの一端部が当接することによってオン、オフ動作されるものであり、前記第2スイッチ手段は、前記支持プレートの側面に形成された突起が当接することによってオン、オフ動作されるものであるとよい(請求項2)。
【0016】
他の好ましい実施の形態によれば、前記第1スイッチ手段及び前記第2スイッチ手段におけるオン状態及びオフ状態を記憶する記憶手段を備えるとよい(請求項3)。
【0017】
本願発明の第2の側面によって提供される記録媒体再生装置は、本願発明の第1の側面によって提供されるトレイのローディング機構を備えたことを特徴としている(請求項4)。
【0018】
本願発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1は、本願発明の実施形態に係るトレイのローディング機構を適用した記録媒体再生装置の一部切欠平面透視図であり、図2は、図1に示す記録媒体再生装置の正面透視図である。図3は、トレイを裏面側から見た斜視図である。
【0021】
この記録媒体再生装置は、CDやDVD等の記録媒体を再生するための装置であり、CD等を載置可能なトレイ2と、トレイ2を収納するためのトレイ収納部として機能する本体シャーシ1とによって大略構成されている。ローディング機構は、記録媒体再生装置に組み込まれて適用され、トレイ2を本体シャーシ1に対して前後方向に進退させるためのものである。
【0022】
本体シャーシ1は、モータ3と、このモータ3の回転運動を直線運動に変換しつつそれをトレイ2に伝達するための伝達機構4と、本体シャーシ1の内部に設けられ、CD等の内容を読み取るための読取部5(図4参照)と、本体シャーシ1の短手方向(トレイ2の進退方向と直交する方向)に沿って移動自在に支持されているカムプレート6と、トレイ2の進退位置における動作状態を検出するための第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2とを備えている。なお、図1中、1aは本体シャーシカバーを示す。
【0023】
トレイ2は、平面視略矩形状に形成され、その一端部寄りの上面にCD等を載置するための凹陥部2aが形成されている。トレイ2の下面(裏面)には、図3に示すように、その長手方向の両側端、及び短手方向の片側端に沿って枠片2bが形成されている。両側端の一方の枠片2bの内側近傍には、トレイ2の長手方向に沿って略波状に延び、後述する第4ギア17と歯合されるラック2cが形成されている。
【0024】
一方の枠片2bとは反対側の他方の枠片2bの近傍には、平面視略L字状の案内溝9が形成されている。この案内溝9は、略蛇行するように形成され、カムプレート6に設けられた突起片22(図1参照)を案内するためのものである。
【0025】
案内溝9は、トレイ2の一端部近傍であって中央部分からその短手方向に沿って延びる第1溝部9aと、この第1溝部9aに連設され、斜め方向に折り曲げられて延びる第2溝部9bと、この第2溝部9bに連設され、トレイ2の長手方向に沿って延びる第3溝部9cと、この第3溝部9cに連設され、トレイ2の内側に向かって斜め方向に折り曲げられて延びる第4溝部9dと、この第4溝部9dに連設され、トレイ2の長手方向に沿って延びる第5溝部9eと、この第5溝部9eに連設され、トレイ2の外側に向かって斜め方向に折り曲げられて延びる第6溝部9fと、この第6溝部9fに連設され、トレイ2の長手方向に沿って延びる第7溝部9gと、この第7溝部9gに連設され、トレイ2の外側に向かって斜め方向に折り曲げられて延びる第8溝部9hと、この第8溝部9hに連設され、トレイ2の長手方向に沿って延びる第9溝部9iとによって構成されている。
【0026】
モータ3は、図1及び図2に示すように、本体シャーシ1の一端部近傍であって、その下部に設けられた基板10に実装されることによって本体シャーシ1に内装されている。モータ3は、後述するCPU31(図5参照)からの制御信号に基づいて回転駆動される。モータ3は、CPU31によって例えば比較的回転速度が大きい「高速」と、「高速」より回転速度が小さい「低速」とに回転速度が段階的に切り換えられて回転駆動される。モータ3には、その回転駆動力を、トレイ2に伝達するための伝達機構4が接続されている。
【0027】
伝達機構4は、図1に示すように、第1及び第2プーリ11,12、ベルト13、並びに第1ないし第5ギア14〜18によって概略構成されている(第5ギア18は図2参照)。第1プーリ11は、モータ3の軸心と同心円状に設けられ、モータ3の回転が直接的に伝達される。モータ3の近傍には、第2プーリ12が配置されており、第1プーリ11及び第2プーリ12には、無端状のベルト13が掛け渡されている。第2プーリ12には、同心円状に第1ギア14が固着されている。
【0028】
第1ギア14には、直径がそれより大とされた第2ギア15が歯合されている。第2ギア15には、同心円状であって、直径がそれより小とされた第3ギア16及び第5ギア18が固着されている。すなわち、第2ギア15、第3ギア16及び第5ギア18は、それらでいわゆる3段ギアを構成している。
【0029】
第3ギア16には、直径がそれより大とされた第4ギア17が歯合されている。第4ギア17は、上記したトレイ2に形成されたラック2cに歯合されることにより、ラック2cとでラック&ピニオンを構成し、トレイ2を本体シャーシ1の長手方向に進退させる。また、第4ギア17は、トレイ2の収納時に、図1に示すように、ラック2cに歯合されていない状態を保持する。
【0030】
カムプレート6は、図4に示すように、断面視略L字状に形成され、水平方向に延びかつ矩形状の水平面部19と、その一端から直交方向に延びた略矩形状の垂直面部20とを有している。水平面部19の一端部の中央には、上記第5ギア18に歯合するラック21が所定の長さにわたって形成されている。カムプレート6は、モータ3が回転駆動されることにより、その回転力が第1及び第2プーリ11,12、第1、第2及び第5ギア14,15,18を介して伝達され、第5ギア18がラック21に歯合されることにより移動される。
【0031】
水平面部19の適所には、トレイ2の片面に形成された案内溝9に案内される突起片22が設けられている。突起片22は、案内溝9に案内されることにより、トレイ2が本体シャーシ1に対して進退する状態を支持するものである。
【0032】
垂直面部20には、略Z字状のカム孔23が形成されている。このカム孔23には、読取部5を構成するスピンドルやサーボ(いずれも図示せず)を収納する内部ケース25の一端部に設けられた凸部26が遊嵌されている。凸部26は、カムプレート6による本体シャーシ1の短手方向における移動にともなって、カム孔23内を移動されるようになっており、この凸部26のカム孔23内の移動によって、読取部5を上下方向に変位させる。読取部5の内部ケース25は、凸部26が形成された一端部とは反対側の他端部において、本体シャーシ1に対して傾き可能に支持されている。
【0033】
これらの構成により、カム孔23の上部に凸部26が存在するときには(トレイ2の収納時)、内部ケース25の一端部側が上昇し、読取部5がトレイ2に載置されたCD等に接近してCD等の内容が読取可能な状態とされる。一方、カム孔23の下部に凸部26が存在するときには(トレイ2の進出時)、内部ケース25の一端部側が下降し、読取部5がトレイ2に載置されたCD等に対して離間した状態とされる。
【0034】
また、垂直面部20の下端には、第2スイッチSW2をオン、オフ動作させるための第1突起27及び第2突起28が形成されている。第1突起27及び第2突起28は、垂直面部20から本体シャーシ1の手前側に向かって延びるように、かつ所定の間隔を有して形成されている。例えば、カムプレート6が左方向に移動された場合には、第1突起27が第2スイッチSW2の可動部2A(後述)に当接し、それをオン動作させる。一方、カムプレート6が右方向に移動された場合には、第2突起28が第2スイッチSW2の可動部2Aに当接し、それをオン動作させる。
【0035】
第1突起27は、第2スイッチSW2との摩擦を抑制する目的で第2スイッチSW2の可動部2Aと当接する左端下面部がテーパ状に形成されている。また、第2突起28は、第2スイッチSW2との摩擦を抑制する目的で第2スイッチSW2の可動部2Aと当接される右端下面部がテーパ状に形成されている。
【0036】
第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、図2に示すように、本体シャーシ1の下部に配置された、モータ3が実装された基板10上に実装されている。第1スイッチSW1は、トレイ2の進退位置における動作状態を検出するためのものであり、可動部1Aが押下されない状態のときには可動部1Aが自動復帰するいわゆるモーメンタリスイッチとされている。第1スイッチSW1は、基板10の左端部であって、上記カムプレート6の移動延長線上に実装されている。
【0037】
カムプレート6は、突起片22がトレイ2の案内溝9内を案内されることにより、本体シャーシ1の短手方向に沿って左方向に移動されるが、その移動にともなってカムプレート6の端部が第1スイッチSW1の可動部1Aに当接することにより、第1スイッチSW1はオン動作される。また、カムプレート6が右方向に移動されることにより、その移動にともなってカムプレート6の端部が第1スイッチSW1から離間されることにより、第1スイッチSW1はオフ動作されるようになっている。
【0038】
第2スイッチSW2は、トレイ2の進退位置における動作状態を検出するためのものであり、第1スイッチSW1と同様に、モーメンタリスイッチとされている。第1スイッチSW1と異なる点は、両端方向から可動部2Aが当接されることによってもオン動作されるものである。すなわち、第2スイッチSW2は、図5に示すように、第1及び第2突起27,28に可動部2Aが当接されない場合には(図5(a)参照)、オフ動作され、第1突起27が左方向から可動部2Aが当接される場合(図5(b)参照)、及び第2突起28が右方向から可動部2Aが当接される場合には(図5(c)参照)、オン動作されるものである。
【0039】
なお、図1及び図2に示す記録媒体再生装置は、詳細は後述するが、CD等が再生されている状態を示している。
【0040】
図6は、記録媒体再生装置の概略的な電気的構成を示す図である。本体シャーシ1の下面側には、電気制御を行なうための図示しない制御基板が設けられており、制御基板には、このローディング機構の全体動作を司る制御部30が備えられている。制御部30は、例えばマイクロコンピュータを有しており、マイクロコンピュータは、CPU31、ROM32、RAM33、EEPROM34及びI/F35等からなる。CPU31、ROM32、RAM33及びEEPROM34は、それぞれバスラインで接続されており、CPU31にはI/F35が接続されている。
【0041】
CPU31は、ROM32に格納されている制御プログラムに基づいて動作する。例えば、CPU31は、I/F35を介して入力される、操作部37(後述)からの操作信号及び図示しない各種センサからの検出信号等に応じて所定の制御処理を行い、その処理結果として、モータ3を回転駆動させたり、読取部5におけるCD等の内容の読取動作を制御したりする。
【0042】
CPU31は、上記第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ動作の状態を常時監視しており、両スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態の組み合わせに基づいてトレイ2の本体シャーシ1に対する進退位置を認識するようになっている。
【0043】
ROM32には、CPU31による操作制御、表示制御、及び音響制御を行なうための制御プログラムが記憶されている。
【0044】
RAM33は、各種の変数データが格納されるエリアと、CPU31が制御プログラムを実行するために用いられるワークエリアとを提供するものである。
【0045】
EEPROM34は、トレイ2の進退位置における動作状態を示す第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態を常時記憶しており、CPU31によって、必要に応じてその内容が書き換えられたり、読み出されたりする。
【0046】
I/F35には、第1及び第2スイッチSW1,SW2がCPU31に接続されている。第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の検出出力は、上記CPU31に伝達される。CPU31は、この両スイッチSW1,SW2からの検出出力、すなわちオン、オフ状態を認識しつつこれらをEEPROM34に常時記憶させるとともに、両スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態の組み合わせに基づいて、基板10上に実装されたモータ3を駆動制御する。CPU31は、モータ3の回転速度を「高速」、又は「高速」に比べて回転速度の低い「低速」の2段階に切り替え可能とされている。
【0047】
なお、上記制御基板には、基板10が例えばフレキシブルケーブルによって接続されている。したがって、このフレキシブルケーブルを通じて第1及び第2スイッチSW1,SW2による検出信号やモータ3への駆動信号が伝達される。
【0048】
I/F35には、上述したように、モータ3を回転駆動させるためのモータ駆動部36が接続されている。モータ3は、上記した第1プーリ11を直接的に回転させるためのものである。モータ駆動部36は、CPU31からの制御信号に基づいてモータ3に駆動パルス信号を出力させることによりそれを回転駆動させる。モータ3が回転駆動されることにより、第1プーリ11が回転される。
【0049】
I/F35には、読取部5、操作部37及び表示部38が接続されている。操作部37は、CD等の再生開始や停止、音量の増減等をユーザが設定するためのものであり、複数のボタン等を有している。表示部38は、CPU31によってこの記録媒体再生装置における動作状態を表示するものであり、LEDや液晶表示装置等を有する。
【0050】
次に、上記記録媒体再生装置における動作を、モータ3の駆動状態と第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ動作とを示す図(図7)並びにカムプレート6の移動状態を示す図(図1、図2、図8ないし図12)を参照して説明する。まず、トレイ2が本体シャーシ1から進出される場合の動作について説明する。なお、図8ないし図12に示す記録媒体再生装置では、伝達機構4の構成部分を省略している。
【0051】
図1及び図2は、トレイ2が本体シャーシ1に収納されて停止状態である第1の状態T1(図7参照)を示している。すなわち、図1及び図2には示していないが、読取部5の凸部26は、カムプレート6のカム孔23の上部に位置しており、これにより読取部5は上方に位置し、CD等は読取部5に接近されてCD等の内容が読み取り可能になっている。
【0052】
この第1の状態T1では、図1及び図2に示すように、第1スイッチSW1はオフ状態である一方、第2スイッチSW2は、カムプレート6の第1突起27に当接され、オン状態にある。第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ動作の状態は、CPU31に伝達される。CPU31は、第1スイッチSW1がオフ状態、第2スイッチSW2がオン状態であるため、読取部5によってCD等が再生状態であることを認識するとともに、第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態をEEPROM34に記憶させる。また、この場合、CPU31は、CD等が再生状態であるため、モータ3を停止させている(図7参照)。
【0053】
次いで、ユーザによって、CD等をこの記録媒体再生装置から取り出す(あるいは新たにCD等をトレイ2に載置させる)ための操作、すなわち操作部37を用いてトレイ2を本体シャーシ1から進出させるための操作が行われると、記録媒体再生装置は、第1の状態T1から第2の状態T2に移行される。
【0054】
第2の状態T2に移行すると、CPU31はモータ3を「高速」で回転駆動させる(図7参照)。このモータ3の回転にともなって、第1プーリ11が図1における反時計周りに回転する。この第1プーリ11の回転は、ベルト13を介して第2プーリ12に伝達され、第2プーリ12も反時計周りに回転する。この第2プーリ12の回転にともなって、第1ギア14が回転し、これに歯合された第2ギア15が図1における時計周りに回転する。そして、第2ギア15の回転にともなって、同心円状の第3ギア16及び第5ギア18が同方向に回転する。
【0055】
第5ギア18には、カムプレート6のラック21が歯合されているため、第5ギア18の時計回転周りの回転により、カムプレート6は、図1における左方向に移動する。これにともない、カムプレート6に形成された突起片22もトレイ2の案内溝9の第1溝部9aに沿って図1における左方向に案内される。また、カムプレート6の左方向への移動にともない、その移動によって垂直面部20のカム孔23内に沿って内部ケース25の凸部26が案内される。これにより、図8に示すように、内部ケース25(読取部5)が下方へ移動され、読取部5は、トレイ2に載置されたCD等と離間される。
【0056】
また、カムプレート6の移動にともない、第2スイッチSW2は、第1突起27との当接状態が外れ、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、ともにオフ状態となる。CPU31は、両スイッチSW1,SW2がともにオフ状態にあることが伝達されることにより、読取部5がCD等と離間された第2の状態T2であることを認識する。
【0057】
モータ3の回転駆動が継続されると、第5ギア18の回転によって、カムプレート6は、図9に示すように、さらに左方向に移動し、図示しないが第5ギア18とカムプレート6のラック21とは歯合が解除される。これとほぼ同時に、今度は、第3ギア16に歯合されている第4ギア17が本体シャーシ1の長手方向に沿って設けられたトレイ2のラック2cと歯合される。また、カムプレート6の突起片22は、第2溝部9bを介して第3溝部9cに達する。これらにより、トレイ2は、進出方向(図9(a)における下方向)に進退される。
【0058】
さらに、カムプレート6が移動されることにより、基板10に実装された第1スイッチSW1がカムプレート6の端部によって押下され、オン状態となる(図9(b)の円内参照)。CPU31は、この第1スイッチSW1のオン状態及び第2スイッチSW2のオフ状態を認識すると、モータ3の回転速度を「高速」から「低速」に切り換える。すなわち、記録媒体再生装置は、第2の状態T2から第3の状態T3に移行され、第3の状態T3では、トレイ2は、低速度で穏やかに本体シャーシ1から進出される。
【0059】
次いで、CPU31によってモータ3が「低速」で回転駆動されると、カムプレート6の突起片22は、案内溝9の第3溝部9cを経て第4溝部9dに達する。ここで、第4溝部9dは、トレイ2の内側に向かって傾斜されているため、カムプレート6は、その分、図10(a)における右方向に戻るように移動する。これにより、第1スイッチSW1は、カムプレート6の端部による当接状態から外れ、オフ状態に戻る(図10(b)の円内参照)。
【0060】
CPU31は、この第1スイッチSW1のオフ状態及び第2スイッチSW2のオフ状態を認識すると、モータ3を再び「高速」で回転駆動させる。これにより、記録媒体再生装置は、第3の状態T3から第4の状態T4に移行され、第4の状態T4では、トレイ2は、高速度で進出するようになる。
【0061】
CPU31によってモータ3が「高速」で回転駆動されると、カムプレート6の突起片22は、図11(a)に示すように、案内溝9の第5溝部9eを経て第6溝部9fに達する。第6溝部9fは、トレイ2の外側に向かって斜め方向を向いているため、カムプレート6は、その分、図11(a)における左方向に再び移動する。これにより、第1スイッチSW1は、カムプレート6の端部によって再度当接され、オン状態になる(図11(b)の円内参照)。
【0062】
CPU31は、この第1スイッチSW1のオン状態及び第2スイッチSW2のオフ状態を認識すると、モータ3を再び「低速」で回転駆動させる。これにより、記録媒体再生装置は、第4の状態T4から第5の状態T5に移行され、第5の状態T5では、トレイ2は、再び低速度で穏やかに本体シャーシ1から進出するようになる。
【0063】
さらに、CPU31によってモータ3が「低速」で回転駆動されると、カムプレート6の突起片22は、図12(a)に示すように、案内溝9の第7溝部9gを経て第8溝部9hに達する。第8溝部9hは、第6溝部9fに比べてトレイ2の外側に向かってさらに斜め方向を向いているため、カムプレート6は、その分、図12(a)における左方向にさらに移動する。これにより、図12(b)に示すように、第2スイッチSW2は、第2突起28に当接され、オン動作する。
【0064】
CPU31は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がともにオン動作されることを認識すると、モータ3の回転を停止させる。これにより、記録媒体再生装置は、第5の状態T5から第6の状態T6に移行され、第6の状態T6では、トレイ2は、それ以上前方に進出されなくなり、トレイ2は停止される。ユーザは、このトレイ2の停止状態においてCD等を取り出したり、代わりのCD等を再度載置させたりすることができる。
【0065】
以上、トレイ2が本体シャーシ1から進出される場合の動作について説明したが、トレイ2が本体シャーシ1へ退入される場合は、上記した動作の反対の手順でトレイ2が退入される。すなわち、CPU31は、モータ3の回転方向を上記とは逆方向である、図1における時計周りに回転させ、これにより、カムプレート6が総じて右方向に移動し、トレイ2は退入方向(図1における上方向)に進退される。この場合も、トレイ2の進退開始直後、及び停止直前は、進退速度が小となるように進退され、より高級感を醸し出すことができる。この場合も、CPU31は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のオン、オフ状態を認識している。
【0066】
このように、本実施形態によれば、第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態が常時監視され、これら第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態の組み合わせに基づいて、トレイ2の進出位置における動作状態が認識される。また、第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態がEEPROM34に記憶される。そのため、例えばトレイ2の動作中に異常があり記録媒体再生装置の電源供給がされなくなった場合においても、その異常の原因を究明する際、第1及び第2スイッチSW1,SW2のオン、オフ状態を読み出すことにより、異常時のおけるトレイ2の動作状態を把握することができ、異常時の原因究明に寄与することができる。
【0067】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、記録媒体としてCDやDVD等を対象に説明したが、これらに限らず、MD(mini disk)やFD(floppy disk)、あるいはカセットテープ等が対象とされるローディング機構に適用されてもよい。また、第1及び第2スイッチSW1,SW2の構成や第1及び第2スイッチSW1,SW2がオン、オフ動作される構成は、上記実施形態に限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本願発明の一実施形態に係る、トレイのローディング機構が適用される記録媒体再生装置を示す一部切欠平面透視図である。
【図2】図1に示す記録媒体再生装置の正面透視図である。
【図3】トレイを裏面側から見た斜視図である。
【図4】カムプレート及びその周辺部品の斜視図である。
【図5】第2スイッチの動作を説明するための図である。
【図6】図1に示す記録媒体再生装置の概略的な電気的構成を示す図である。
【図7】モータの動作状態と第1及び第2スイッチのオン、オフ状態とを示す図である。
【図8】図1に示す記録媒体再生装置の動作を説明するための図である。
【図9】図1に示す記録媒体再生装置の動作を説明するための図である。
【図10】図1に示す記録媒体再生装置の動作を説明するための図である。
【図11】図1に示す記録媒体再生装置の動作を説明するための図である。
【図12】図1に示す記録媒体再生装置の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0069】
1 本体シャーシ
2 トレイ
3 モータ
4 伝達機構
5 読取部
6 カムプレート
9 案内溝
10 基板
22 突起片
26 凸部
27 第1突起
28 第2突起
31 CPU
34 EEPROM
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を載置可能なトレイと、第1の回転速度及びこれと異なる第2の回転速度で回転駆動可能なモータと、このモータによる回転運動を直線運動に変換しつつそれを前記トレイに伝達する伝達手段と、前記モータを駆動することにより前記伝達手段を介して前記トレイをトレイ収納部に対して進退させるための、トレイのローディング機構であって、
前記モータが回転駆動されることによって前記伝達手段を介して前記トレイの進退方向と直交する方向に移動される支持プレートと、
前記トレイの進退位置における動作状態を検出するための検出手段とを備え、
前記検出手段は、
前記支持プレートの移動直線上に配置され、かつ前記支持プレートが当接することによってオン、オフ動作される第1スイッチ手段と、
前記支持プレートの移動直線上の前記第1スイッチ手段の配置位置とは異なる位置に配置され、かつ前記支持プレートが当接することによってオン、オフ動作される第2スイッチ手段と、
前記トレイが前記トレイ収納部に収納されて停止された第1の状態、前記モータが第1の回転速度で回転駆動されることにより前記トレイが第1の所定速度で進退される第2の状態、前記モータが前記第1の回転速度と異なる第2の回転速度で回転駆動されることにより前記トレイが前記第1の所定速度と異なる第2の所定速度で進退される第3の状態、及び前記トレイが前記トレイ収納部から進出されて停止された第4の状態のいずれかの状態であるかを、前記第1スイッチ手段及び前記第2スイッチ手段におけるオン状態及びオフ状態の組み合わせに基づいて判別する判別手段と、によって構成されていることを特徴とする、トレイのローディング機構。
【請求項2】
前記第1スイッチ手段は、前記支持プレートの一端部が当接することによってオン、オフ動作されるものであり、
前記第2スイッチ手段は、前記支持プレートの側面に形成された突起が当接することによってオン、オフ動作されるものである、請求項1に記載のトレイのローディング機構。
【請求項3】
前記第1スイッチ手段及び前記第2スイッチ手段におけるオン状態及びオフ状態を記憶する記憶手段を備える、請求項1又は2に記載のトレイのローディング機構。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のトレイのローディング機構を備えたことを特徴とする、記録媒体再生装置。
【請求項1】
記録媒体を載置可能なトレイと、第1の回転速度及びこれと異なる第2の回転速度で回転駆動可能なモータと、このモータによる回転運動を直線運動に変換しつつそれを前記トレイに伝達する伝達手段と、前記モータを駆動することにより前記伝達手段を介して前記トレイをトレイ収納部に対して進退させるための、トレイのローディング機構であって、
前記モータが回転駆動されることによって前記伝達手段を介して前記トレイの進退方向と直交する方向に移動される支持プレートと、
前記トレイの進退位置における動作状態を検出するための検出手段とを備え、
前記検出手段は、
前記支持プレートの移動直線上に配置され、かつ前記支持プレートが当接することによってオン、オフ動作される第1スイッチ手段と、
前記支持プレートの移動直線上の前記第1スイッチ手段の配置位置とは異なる位置に配置され、かつ前記支持プレートが当接することによってオン、オフ動作される第2スイッチ手段と、
前記トレイが前記トレイ収納部に収納されて停止された第1の状態、前記モータが第1の回転速度で回転駆動されることにより前記トレイが第1の所定速度で進退される第2の状態、前記モータが前記第1の回転速度と異なる第2の回転速度で回転駆動されることにより前記トレイが前記第1の所定速度と異なる第2の所定速度で進退される第3の状態、及び前記トレイが前記トレイ収納部から進出されて停止された第4の状態のいずれかの状態であるかを、前記第1スイッチ手段及び前記第2スイッチ手段におけるオン状態及びオフ状態の組み合わせに基づいて判別する判別手段と、によって構成されていることを特徴とする、トレイのローディング機構。
【請求項2】
前記第1スイッチ手段は、前記支持プレートの一端部が当接することによってオン、オフ動作されるものであり、
前記第2スイッチ手段は、前記支持プレートの側面に形成された突起が当接することによってオン、オフ動作されるものである、請求項1に記載のトレイのローディング機構。
【請求項3】
前記第1スイッチ手段及び前記第2スイッチ手段におけるオン状態及びオフ状態を記憶する記憶手段を備える、請求項1又は2に記載のトレイのローディング機構。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のトレイのローディング機構を備えたことを特徴とする、記録媒体再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−21382(P2008−21382A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193786(P2006−193786)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLOPPY
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLOPPY
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】
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