説明

トレンドグラフ表示方法

【課題】1画面に複数のデータ表示と各データ別の目盛り表示に、データ表示領域と目盛り表示領域の大きさを変更することなく、各データとその目盛りの対応付けを容易にする。
【解決手段】GUI20は、ディスプレイ装置10のトレンドグラフ表示領域11に複数のトレンドグラフ表示を行い、目盛り表示領域12,13,14に目盛りを表示する際、目盛り選択制御部25は表示データ別のチェックボックスのチェック操作、またはラジオボタンの選択操作で選択された目盛りを表示データ別に選択し、目盛り位置制御部23は選択された目盛りを目盛り表示領域に1個または複数の目盛りを並べて表示し、目盛り順序制御部24は複数の目盛り表示にはそれらの表示順序および目盛りの変更に伴う表示順序を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視制御用トレンドグラフを表示するGUIに係り、特に複数の計測/記録チャンネルのトレンドグラフ表示における目盛り表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の監視制御システムでは、監視制御対象の計測データと制御データを監視画面に表示し、オペレータによる監視と操作を可能にしている。監視画面の表示制御にはGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)が採用され、計測データをリアルタイムでグラフ表示する計測トレンドグラフ表示やファイルロギングされたデータをヒストリカルにグラフ表示する記録トレンドグラフ表示を行う。
【0003】
これらトレンドグラフ表示において、監視制御状態の把握を容易にするため、複数のチャンネルデータを1画面にウィンドウ表示できる表示制御機能を備え、表示枠の縦軸と横軸には各データ別の目盛り(値と指示線)を表示してデータの大まかな値が読み取れるようにし、さらに枠外には表示データ別にその凡例(データのグループ名や属性)を一覧表示する(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−48603号公報
【特許文献2】特開平9−16135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1画面に複数のチャンネルデータを表示する場合、各データの値域(スケール、単位など)が異なる場合が多い。この場合、目盛り表示は各チャンネルデータ別の目盛りを重ねて表示するか、表示枠の左側と右側に分けて表示する。
【0005】
このような目盛り表示制御方法では、データとその目盛りの対応付けを難しくしてしまうこと、多数チャンネルのデータ別にした多数の目盛り表示をしようとするとトレンドグラフ表示枠を縮小してしまうなどの問題があった。
【0006】
本発明の目的は、1画面に複数のデータ表示と各データ別の目盛り表示に、データ表示領域と目盛り表示領域の大きさを変更することなく、各データとその目盛りの対応付けを容易にしたトレンドグラフ表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記の課題を解決するため、表示データ別の目盛りが選択されたとき、選択された表示データの目盛りの表示位置と表示順序を、他の目盛りとの共用、位置および順序に応じて制御するようにしたもので、以下の方法を特徴とする。
【0008】
(1)ディスプレイ装置にトレンドグラフ表示を行うGUIは、1画面のトレンドグラフ表示領域に複数のトレンドグラフ表示を行い、該トレンドグラフ表示領域の横軸と縦軸または円周方向に沿って各トレンドグラフ別の複数の目盛りを表示するトレンドグラフ表示方法であって、
前記GUIは、
表示データ別のチェックボックスのチェック操作、またはラジオボタンの選択操作で選択された目盛りを表示データ別に選択する目盛り選択制御ステップと、
前記選択された目盛りをトレンドグラフ表示領域の直近位置に配置した目盛り表示領域に1個または複数の目盛りを並べて表示する目盛り位置制御ステップと、
前記目盛り表示領域に複数の目盛りを表示する際、それらの目盛りの表示順序および目盛りの変更に伴う表示順序を制御する目盛り順序制御ステップと、
を有することを特徴とする。
【0009】
(2)前記目盛り選択制御ステップは、各表示データに対して同じ目盛りになる場合は、これら表示データの共用目盛りとして選択するステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のとおり、本発明によれば、表示データ別の目盛りが選択されたとき、選択された表示データの目盛りの表示位置と表示順序を、他の目盛りとの共用、位置および順序に応じて制御するため、1画面に複数のデータ表示と各データ別の目盛り表示に、データ表示領域と目盛り表示領域の大きさを変更することなく、各データとその目盛りの対応付けが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態を示すトレンドグラフ表示装置の要部構成図であり、監視制御システムを構築するコンピュータ資源とそれを利用したソフトウェアによって実現される。
【0012】
ディスプレイ装置10は、各種の監視画面を表示し、そのうちの1つとしてトレンドグラフ表示を行う。GUI20は、ディスプレイ装置10の表示制御を行い、この表示制御には操作入力部30のキーボード、マウス等の操作入力部30による操作入力に従った表示制御、およびデータ管理部40で収集するリアルタイムデータやデータベース等に格納するファイルデータを使った表示制御を行う。
【0013】
図示ではディスプレイ装置10にトレンドグラフを表示している画面を示す。この画面構成は、画面中央部に監視対象の電圧や周波数のトレンドグラフ表示領域11を配置し、その両側の縦軸に直近位置で目盛り表示領域12,13を配置し、下側の横軸に目盛り表示領域14を直近位置で配置し、目盛り領域13のさらに右側にデータ項目別にした凡例表示領域15を配置する。さらに、画面の上端部や下端部近くにコマンド入力ボタンやラジオボタンの表示領域16〜19を配置する。
【0014】
これらの基本的な画面表示は、GUI20の画面表示制御部21により画面構成データを基にした画面表示部品の表示処理を行い、グラフ表示制御部22によりデータ管理部40から取得する計測/記録データのスケール調整などを行ってトレンドグラフ表示領域11に表示制御する。
【0015】
GUI20は、上記の画面表示制御部21、グラフ表示制御部22のほか、目盛り位置制御部23、目盛り順序制御部24および目盛り選択制御部25を設け、これら制御部23〜25によって目盛り表示領域での目盛り表示制御を行う。以下、目盛りの表示制御を詳細に説明する。
【0016】
(A)目盛り位置制御
目盛り位置制御部23は、トレンドグラフ表示領域の縦軸の直近位置に配置した目盛り表示領域12,13には縦長構造の目盛りを1個または複数の目盛りを横方向に並べて表示する位置制御を行い、この位置制御に際して表示領域12,13のどちらにするかも制御する。
【0017】
なお、横軸の目盛り表示領域14は各表示データに対して同じ目盛りになることが多く、この場合は1つの目盛りの選択と位置制御になるが、複数目盛り表示の場合はそれぞれの順序と位置制御を行う。
【0018】
(B)目盛り順序制御
目盛り順序制御部24は、目盛り表示領域12または13に複数の目盛りを表示する際、それらの目盛りの表示順序および目盛りの変更(削除、追加)に伴う表示順序を制御する。
【0019】
(C)目盛り選択制御
目盛り選択制御部25は、操作入力部30で表示データ別に選択操作された目盛りをデータ管理部40に格納する目盛りデータから選択する。なお、各表示データに対して同じ目盛り単位(電気量、位置、圧力など)とスケール(等間隔、対数)になる場合は、これら表示データをグループ分けしてグループ別の共用目盛りとして目盛りを選択する。
【0020】
この目盛り選択は、凡例表示領域15に表示されるデータ項目毎のチェックボックスを操作入力部30によりチェック操作すること、またはラジオボタンの選択操作で行う。
【0021】
以上の制御部23〜25による目盛り表示制御を以下の具体例で説明する。
【0022】
図2は、表示データを5個(DATA1〜DATA5)表示するのに対し、目盛り表示制御には縦軸に目盛りを3個(目盛1〜目盛3)表示する場合を示す。
【0023】
この場合、目盛り選択制御では、凡例表示領域15のチェックボックスによる選択に従って、DATA1,DATA4およびDATA5を同じ目盛りグループとして目盛1を割り当て、DATA2に目盛2を割り当て、DATA3に目盛3を割り当てる。また、目盛り位置制御と目盛り順序制御では、目盛2は表示位置をトレンドグラフ表示領域11の左側で表示順序を「2」としているため目盛1の左隣に表示し、目盛3は表示位置をトレンドグラフ表示領域11の右としているためトレンドグラフ表示領域11の右側に表示する。
【0024】
図2の表示状態で、DATA1,DATA4およびDATA5の目盛り表示の選択をオフ操作した場合、図3に目盛りの表示制御例を示すように、目盛り位置制御では割り当てている目盛1の表示が無くなることで、目盛2を右詰めで表示する。なお、目盛り表示の選択をオフ操作した場合であっても、他の目盛りが使用されている場合は「目盛り詰め」制御は行わない。
【0025】
また、目盛り表示領域12または13において、目盛り表示を1個だけとする場合、目盛り位置制御では、図4にラジオボタンによる目盛りの選択例を示すように、トレンドデータ表示領域11に最も近い位置を目盛り表示位置とする。
【0026】
なお、実施形態において、表示データとこの目盛りを同じ色とする表示色制御を行うことで、表示データと目盛りを対応付けた認識を一層容易にすることができる。
【0027】
また、実施形態では、縦軸と横軸をもつ四角形状のデータ表示領域とする場合を示すが、X、Y軸を目盛り表示領域または円周方向を目盛り表示領域とする円形のデータ表示領域とする場合に適用して同等の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態を示すトレンドグラフ表示装置の要部構成図。
【図2】目盛りの表示例。
【図3】目盛りの表示制御例。
【図4】ラジオボタンによる目盛りの選択例。
【符号の説明】
【0029】
10 ディスプレイ装置
20 GUI
30 操作入力部
40 データ管理部
11 トレンドグラフ表示領域
12,13,14 目盛り表示領域
15 凡例表示領域
23 目盛り位置制御部
24 目盛り順序制御部
25 目盛り選択制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ装置にトレンドグラフ表示を行うGUIは、1画面のトレンドグラフ表示領域に複数のトレンドグラフ表示を行い、該トレンドグラフ表示領域の横軸と縦軸または円周方向に沿って各トレンドグラフ別の複数の目盛りを表示するトレンドグラフ表示方法であって、
前記GUIは、
表示データ別のチェックボックスのチェック操作、またはラジオボタンの選択操作で選択された目盛りを表示データ別に選択する目盛り選択制御ステップと、
前記選択された目盛りをトレンドグラフ表示領域の直近位置に配置した目盛り表示領域に1個または複数の目盛りを並べて表示する目盛り位置制御ステップと、
前記目盛り表示領域に複数の目盛りを表示する際、それらの目盛りの表示順序および目盛りの変更に伴う表示順序を制御する目盛り順序制御ステップと、
を有することを特徴とするトレンドグラフ表示方法。
【請求項2】
前記目盛り選択制御ステップは、各表示データに対して同じ目盛りになる場合は、これら表示データの共用目盛りとして選択するステップを有することを特徴とする請求項1に記載のトレンドグラフ表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−169225(P2009−169225A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8843(P2008−8843)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】