説明

トレーニング内容検出装置およびウエイトトレーニング器具

【課題】 構成が簡素であって低コストで構築できると共に、トレーニング内容を誤検出なく正確に検出できるトレーニング内容検出装置を提供する。
【解決手段】 RFIDタグ31〜34と、ウエイトトレーニング器具のうちのウエイトトレーニング中に、装着されたウエイトと同じ動きをする部位にそれぞれ取り付けられた、加速度センサ、ならびに、RFIDタグ31からの電波の電界強度を検出すると共にID情報が含まれた信号を受信するRFIDリーダとを有している。装着されたウエイト121の移動の有無および移動方向に基づいてレップ数を検出し、かつ、ウエイト121が動いている時に電界強度が不変のRFIDタグ31から受信したID情報に基づいてウエイトの合計重量を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエイトトレーニング器具やウエイトトレーニングマシンに適用され、ウエイトトレーニングにおけるユーザのトレーニング内容を検出するトレーニング内容検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンチプレス用バーベル等のウエイトトレーニング器具は、ユーザが把持するバーと、バーの両端に任意の枚数だけ取り外し可能に装着されるウエイトとを有している。また、ベンチプレスマシン等のウエイトトレーニングマシンは、ユーザが把持したり脚に掛けるなどするバーと、バーに一端が接続された滑車機構等と、滑車機構等の他端に任意の枚数だけ取り外し可能に装着されるウエイトとを有している。尚、ウエイトは、単位重量のものが器具の近傍やマシンのフレーム内などに複数個用意されており、その中からユーザやトレーナが所望の合計重量となるように選択し、バーに直接的に、もしくは、バーに滑車機構等を介して間接的に装着される。
【0003】
ウエイトトレーニング器具やウエイトトレーニングマシン(以後、一部を除いて、ウエイトトレーニング器具と総括して呼ぶ)を用いたウエイトトレーニングは、装着枚数に応じて合計重量が調整されたウエイトを初期位置から重力に逆らって移動させた後に初期位置に戻す一往復動作(レップ(repetition)と呼ばれる)を複数レップ連続して行うこと(セットと呼ばれる)を複数セット実施するようになっている。通常、ウエイトトレーニングは、怪我や事故なく、筋量増加等のトレーニング目標を達成するために、ウエイトの合計重量、レップ数、セット数、インターバル時間等の要素を予め定めたトレーニング内容(トレーニングメニュー)に沿って行われる。そのトレーニング内容を実施後は、筋量の増加などトレーニング結果と照らし合わせることによって次のトレーニング目標を決め、この目標に応じてトレーニング内容を更新し、次のウエイトトレーニングが実施される。また、ウエイトトレーニングにおいては、複数部位の筋肉をバランスよく鍛えるために、トレーニング種目が複数あることが多い。このため、人によっては多数のトレーニング種目をこなす必要があり、これらトレーニング種目それぞれについてのトレーニング内容をユーザが全て覚えることは難しい。このような事情により、実施されたトレーニング内容を検出し、これを自動的に記録していくことが望まれる。
【0004】
ウエイトトレーニング器具やウエイトトレーニングマシンに適用され、ウエイトトレーニングにおけるユーザのトレーニング内容を検出する技術は、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
【0005】
特許文献1には、ウエイトトレーニングマシンの筐体等に光学センサを設ける一方、マシンに装着された複数のウエイトのうちの一個に被検出部材を取り付け、被検出部材の移動の有無を光学的に検出することにより、ウエイトの昇降をレップ数として検出する技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、ウエイトウエイトレーニングマシンの筐体やフレームのウエイト移動軌道に隣接する部位に光学センサを設ける一方、複数のウエイトそれぞれに被検出部材を取り付け、被検出部材の移動の有無を光学的に検出することにより、何個の被検出部材が移動の有無するかによってウエイトの合計重量を検出すると共に、ウエイトの昇降をレップ数として検出する技術が開示されている。
【0007】
特許文献3には、ウエイトトレーニングマシンの筐体やフレームのウエイト移動軌道に隣接する部位にウエイト移動軌道に沿って複数の高周波センサまたは静電容量センサを設け、マシンに装着された金属から成るウエイトの近接状態や移動の有無を電磁的または静電容量的に検出することにより、ウエイトの合計重量およびレップ数として検出する技術が開示されている。
【0008】
また、ウエイトトレーニング器具に適用されるものではないが、特許文献4には、サッカー競技のフィールドの周囲に複数のRFID(Radio Frequency IDentification)リーダを設置する一方、競技者およびサッカーボールにRFIDタグを取り付け、フィールドにおけるRFIDタグの位置変化を無線電波の送受信によって検出することにより、競技内容を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−89799号公報
【特許文献2】特開平10−230021号公報
【特許文献3】特開2005−198770号公報
【特許文献4】特開2008−48972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に開示された技術においては、トレーニング内容の重要な要素であるウエイトの合計重量を検出することができず、トレーニング内容を検出する目的上、不十分である。
【0011】
また、特許文献2、3に開示された技術は、トレーニングマシンの筐体やフレームのうちのウエイト移動軌道に隣接する部位にセンサを設ける必要があるため、構成が複雑である。このため、特許文献2、3に開示された技術を、トレーニング内容を検出しようとするウエイトトレーニング器具の全てに適用するにはコストもかかる。また、筐体やフレームを備えておらず、ウエイト移動軌道もはっきりと定まってはいないベンチプレス用バーベル等のウエイトトレーニング器具には、特許文献2、3に開示された技術は適用困難である。
【0012】
さらに、特許文献4に開示された技術を、ウエイトトレーニング器具に適用し、トレーニング内容検出装置を構築することを想定してみる。即ち、ウエイトトレーニング器具の近傍にRFIDリーダを設ける一方、複数のウエイトそれぞれにRFIDタグを取り付け、RFIDタグの位置変化等を無線電波の送受信によって検出することにより、ウエイトの合計重量およびレップ数を検出することを想定してみる。この場合、トレーニング内容検出装置とRFIDタグとの相対的な位置関係に自由度があるため、特許文献2、3に開示された技術の問題点は解消できると考えられる。
【0013】
しかし、特許文献4に開示された技術によってトレーニング内容検出装置を構築する場合、次のような問題がある。即ち、この想定される構成においては、複数のウエイト全てにRFIDタグが取り付けられるが、前述のごとく、当座使用しないウエイトもウエイトトレーニング器具の近傍に予め用意されているため、トレーニングに使用中のウエイトと、使用されていないウエイトとの距離は、さほど離れていないことになる。このため、トレーニングに使用中のウエイトであるのか、あるいは、不使用のウエイトであるのかを、RFIDリーダが判別できない虞がある。さらに、全てのウエイトに取り付けられるRFIDタグは、製造コストの都合上、特許文献4に開示されているサッカー競技適用時のように競技者個々に応じて一個ずつ異なるID情報が記録されているのではなく、重量が同じウエイトには同一のID情報が記録されるに過ぎない。このため、あるウエイトトレーニング器具に適用されたRFIDリーダが、隣接する別のウエイトトレーニング器具のウエイトに取り付けられたRFIDタグを、自器具のウエイトに取り付けられたものであると誤検出する虞がある。
【0014】
それ故、本発明の課題は、構成が簡素であって低コストで構築できると共に、トレーニング内容を誤検出なく正確に検出できるトレーニング内容検出装置を提供することである。
【0015】
本発明の他の課題は、そのようなトレーニング内容検出装置を有するトレーニング器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、ウエイトトレーニングの際にユーザに対する負荷として単位重量を持つ1枚以上のウエイトが取り外し可能に装着されるウエイトトレーニング器具に適用され、トレーニング内容としてウエイトの合計重量およびレップ数を検出するトレーニング内容検出装置において、全てのウエイトそれぞれに取り付けられ、当該ウエイトの単位重量を示すID情報が記録されたRFIDタグと、ウエイトトレーニング器具のうちのウエイトトレーニング中に、装着されたウエイトと同じ動きをする部位に取り付けられ、装着されたウエイトの移動の有無および移動方向を検出する加速度センサと、ウエイトトレーニング器具のうちのウエイトトレーニング中に、装着されたウエイトと同じ動きをする部位に取り付けられ、前記RFIDタグからの電波の電界強度を検出すると共にID情報が含まれた信号を受信するRFIDリーダとを有し、前記加速度センサによって検出した装着されたウエイトの移動の有無および移動方向に基づいてレップ数を検出し、かつ、前記RFIDリーダによって検出した電界強度に基づいてウエイトが動いている時に電界強度が不変の前記RFIDタグを、装着されたウエイトに取り付けられたものであると特定し、特定された該RFIDタグから受信したID情報に基づいてウエイトの合計重量を検出することを特徴とするトレーニング内容検出装置が得られる。
【0017】
前記加速度センサによってウエイトの移動方向の反転が検出されたときにのみ、前記RFIDリーダが動作するように構成されていてもよい。
【0018】
前記加速度センサは、装着されたウエイトの加速度をも検出するものであって、前記加速度センサによってウエイトに加速度が生じたことが検出されたときに、ウエイトの合計重量およびレップ数の検出を開始するものであってもよい。あるいは、ユーザからの入力音声の波形を、予め記憶された開始音声コマンドの波形見本と照合することによって開始音声コマンドを検出する音声認識ユニットをさらに有し、前記音声認識ユニットによって開始音声コマンドが検出されたときに、ウエイトの合計重量およびレップ数の検出を開始するものであってもよい。
【0019】
前記加速度センサは、装着されたウエイトの加速度をも検出するものであって、前記加速度センサによって検出されて一時的に記憶された加速度の経緯を、加速度の経緯見本とトレーニング種目との対応を表す予め記憶された加速度テンプレートによって照合することによってトレーニング種目をトレーニング内容として特定するものであってもよい。
【0020】
検出したウエイトの合計重量およびレップ数を記憶する記憶手段をさらに有していてもよい。
【0021】
本発明によればまた、前記加速度センサおよび前記RFIDリーダを含むトレーニング内容検出機と、前記RFIDタグとにより構成され、前記トレーニング内容検出機は、その動作電源としてのバッテリと、前記加速度センサ、前記RFIDリーダ、および前記バッテリを収容すると共に、ウエイトトレーニング器具のうちのウエイトトレーニング中に装着されたウエイトと同じ動きをする部位に取り付けられる筐体とをさらに有していてもよい。
【0022】
本発明によればさらに、前記トレーニング内容検出装置と、前記ウエイトと、装着されたウエイトと同じ動きをする前記部位とを有することを特徴とするウエイトトレーニング器具が得られる。
【0023】
前記トレーニング内容検出機は、前記加速度センサ、前記RFIDリーダ、前記バッテリ、および前記筐体を有する携帯電話機によって構成されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるトレーニング内容検出装置は、構成が簡素であって低コストで構築できると共に、トレーニング内容を誤検出なく正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1による、ウエイトトレーニング器具(バーベル)に適用されたトレーニング内容検出装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたトレーニング内容検出装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示されたトレーニング内容検出装置の動作を説明するための図であり、ウエイトの側面を示す図である。
【図4】図1に示されたトレーニング内容検出装置の動作を説明するための図であり、ウエイトの中心高さの時間変位を示す図である。
【図5】図1に示されたトレーニング内容検出装置の動作を説明するための図であり、他の器具用のRFIDタグとの距離を示す図である。
【図6】図1に示されたトレーニング内容検出装置の動作を説明するためのモード遷移図である。
【図7】図1に示されたトレーニング内容検出装置による検出待機シーケンスを示すフロー図である。
【図8】図1に示されたトレーニング内容検出装置による検出シーケンスを示すフロー図である。
【図9】本発明の実施例2による、ウエイトトレーニング器具(ベンチプレスマシン)に適用されたトレーニング内容検出装置を示す正面図である。
【図10】本発明の実施例3によるトレーニング内容検出装置の構成を示すブロック図である。
【図11】図3に示されたトレーニング内容検出装置による検出待機シーケンスを示すフロー図である。
【図12】本発明の実施例4によるトレーニング内容検出装置の動作を説明するための図であり、状態の遷移を概念的に示す図である。
【図13】本発明の実施例4によるトレーニング内容検出装置によるトレーニング種目候補リスト作成シーケンスを示すフロー図である。
【図14】本発明の実施例4によるトレーニング内容検出装置によるトレーニング種目特定シーケンスを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明によるトレーニング内容検出装置は、ウエイトトレーニングの際にユーザに対する負荷として単位重量を持つ1枚以上のウエイトが取り外し可能に装着されるウエイトトレーニング器具に適用され、トレーニング内容として、少なくともウエイトの合計重量およびレップ数を検出するものである。
【0027】
特に、本トレーニング内容検出装置は、RFIDタグと、加速度センサと、RFIDリーダとを有している。
【0028】
RFIDタグは、全てのウエイトそれぞれに取り付けられ、ウエイトの単位重量を示すID情報が記録されている。
【0029】
加速度センサは、ウエイトトレーニング器具のうちのウエイトトレーニング中に、装着されたウエイトと同じ動きをする部位に取り付けられ、少なくとも装着されたウエイトの移動の有無および移動方向を検出する。
【0030】
RFIDリーダは、ウエイトトレーニング器具のうちのウエイトトレーニング中に、装着されたウエイトと同じ動きをする部位に取り付けられ、RFIDタグからの電波の電界強度を検出すると共にID情報が含まれた信号を受信する。
【0031】
そして、本トレーニング内容検出装置は、加速度センサによって検出した装着されたウエイトの移動の有無および移動方向に基づいて、つまり第1の方向への所定の距離以上の移動があった後に反対の第2の方向に反転したときにカウントアップすることによってレップ数を検出し、かつ、RFIDリーダによって検出した電界強度に基づいてウエイトが動いている時に電界強度が不変のRFIDタグを、装着されたウエイトに取り付けられたものであると特定し、特定されたRFIDタグから受信したID情報に基づいてウエイトの合計重量を検出する。
【0032】
即ち、ユーザがトレーニングを開始し、ウエイトが往復動されると、これに併せて加速度センサおよびRFIDリーダも移動する。
【0033】
本トレーニング内容検出装置は、加速度センサによって検出されたウエイトの移動の有無に基づいてトレーニング中であると判断し、加速度センサによって検出された加速度とそれから算出した速度、距離および測定開始位置からの相対位置を、必要に応じて記憶し続ける。
【0034】
一方、RFIDリーダは、読み取りのために電波を送信する。RFIDリーダからの電波を受信可能な範囲内にあるウエイトに取り付けられたRFIDタグは、その電波から電力を得て、この電力を用いて予め記憶されている少なくともウエイトの単位重量を示すID情報を電波で送信する。RFIDリーダは、RFIDタグから電波で受信したID情報に基づき、ウエイトの合計重量を検出する。ところが、このままでは、ウエイトトレーニング器具に装着していないウエイトに取り付けられたRFIDタグや、隣接する別のウエイトトレーニング器具に装着もしくは準備されたウエイトに取り付けられたRFIDタグまで反応し、それらからのID情報をも検出してしまう。そこで、本願発明によるトレーニング内容検出機においては、RFIDリーダを、ウエイトトレーニング器具のうちのウエイトトレーニング中に装着されたウエイトと同じ動きをする部位に取り付け、RFIDタグからの電波の電界強度を検出すると共にID情報が含まれた信号を受信するように構成し、この電界強度がウエイトトレーニング中に不変のRFIDタグを、ウエイトトレーニング器具に装着されたウエイトに取り付けられたものであると特定する。そして、特定されたRFIDタグからのID情報のみを用いてウエイトの合計重量を検出する。このウエイトの合計重量も、必要に応じて記憶する。
【0035】
このように、本トレーニング内容検出装置は、ユーザの行ったトレーニング内容として、少なくとも、使用したウエイトの合計重量ならびにレップ数を正確に、自動的に検出することができる。また、RFIDタグを使用するため、スポーツジムなどにおける、測定を行おうとするウエイトトレーニング器具の全てに適用したとしても、低コストに構築できる。
【実施例】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明によるトレーニング内容検出装置、本トレーニング内容検出装置を有するウエイトトレーニング器具のより具体的な実施例を詳細に説明する。
【0037】
[実施例1]
図1を参照すると、本発明の実施例1によるトレーニング内容検出装置は、ウエイトトレーニング器具としてのバーベル100に適用される。バーベル100は、ウエイトトレーニングの際にユーザに対する負荷として、それぞれ単位重量を持つ対のウエイト121〜124から任意の対数(図示の例は、ウエイト121の一対)が、バー110に取り外し可能に装着される。そして、本トレーニング内容検出装置は、トレーニング内容として、少なくとも、バー110に装着されたウエイトの合計重量およびレップ数を検出する。
【0038】
さらに図2をも参照すると、本トレーニング内容検出装置は特に、RFIDタグ31〜34と、加速度センサ16と、RFIDリーダ17とを有している。
【0039】
RFIDタグ31〜34は、バーベル100に用いられ得る全てのウエイト121〜124それぞれに取り付けられており、それぞれ取り付けられたウエイトの単位重量を示すID情報が予め記録されている。尚、バーベルの場合、ウエイトは同じ単位重量のものが左右で対に装着されるため、RFIDタグは、対の片方のみに取り付けられている。また、各RFIDタグに記録されているウエイトの単位重量としては、左右一対分の重量となっている。
【0040】
加速度センサ16およびRFIDリーダ17は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、操作ボタン14、ディスプレイ15、RFIDアンテナ18、バス19、および動作電源としての図示しない充電式バッテリと共に、筐体20に収容され、トレーニング内容検出機10を構成している。
【0041】
CPU11は、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウエアに基づき機器の動作全般を司る。ROM12は、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウエア等のソフトウエアや固定データが予め記録されている。RAM13は、動作中に一時的にデータを記録する。操作ボタン14は、入力ユーザーインターフェースである。ディスプレイ15は、出力ユーザーインターフェースである。RFIDアンテナ18は、RFIDリーダ17とRFIDタグとの間で電波を送受信するためのアンテナである。バス19は、CPU11ならびに各部との間でデータを送受信するためのラインである。尚、図示はしないが、本装置によって検出したトレーニング内容を記録するメディアリーダ/ライタや、トレーニング内容をトレーニングジムに備えられたホストコンピュータに送信するネットワークインターフェースをさらに有していてもよい。
【0042】
筐体20は、ウエイトトレーニング中に装着されたウエイト(図示の例は、ウエイト121)と同じ動きをする部位に、面ファスナ等によって取り外し可能に取り付けられる。
【0043】
加速度センサ16は、バーベル100のうちの、ウエイトトレーニング中に装着されたウエイト(図示の例は、ウエイト121)と同じ動きをする部位に取り付けられ、少なくとも装着されたウエイト121の移動の有無および移動方向を検出する。加速度センサ16はさらに、これにかかった加速度をX軸・Y軸・Z軸方向の成分に分けてCPU11に出力する。また、CPU11は、この方向成分毎の加速度に基づき、重力の方向を算出可能である。これは、重力加速度として常に同じ大きさの加速度が地球の中心方向にかかっているためである。重力の働く方向が分かれば、重力方向に対するトレーニング内容検出装置の傾きを算出できる。
【0044】
RFIDリーダ17は、加速度センサ16と同様に、バーベル100のうちの、ウエイトトレーニング中に装着されたウエイト(図示の例は、ウエイト121)と同じ動きをする部位に取り付けられ、RFIDタグ(図示の例は、RFIDタグ31)からの電波の電界強度を検出すると共に、ID情報が含まれた信号を受信する。即ち、RFIDリーダ17は、CPU11から読み取り要求があると、RFIDアンテナ18から読み取り命令を電波で送信する。近くにあるRFIDタグは、この電波を受信しそこから電力を得る。RFIDタグはその電力を用いてRFIDタグ自身に記録されている情報を電波で返信する。この返信された電波を、RFIDリーダ17はRFIDアンテナ18で受信し、電波に重畳されたRFIDタグからの情報を取得する。
【0045】
そして、本トレーニング内容検出装置は、加速度センサ16によって検出したバーベル100に装着されたウエイト121の移動の有無および移動方向に基づいて、所定の距離以上の上昇があった後に下降方向に反転したときにカウントアップすることによってレップ数を検出し、かつ、RFIDリーダ17によって検出した電界強度に基づいてウエイト121が動いている時(ウエイトトレーニング中)に電界強度が不変のRFIDタグ31を、バーベル100に装着されたウエイト121に取り付けられたものであると特定し、特定されたRFIDタグ31から受信したID情報に基づいてウエイトの合計重量、即ち、ウエイト121の重量を検出する。
【0046】
検出したウエイトの合計重量およびレップ数は、RAM13または図示しない継続的記録可能な記憶手段に記録される。
【0047】
尚、RFIDリーダ17は、加速度センサ16によってウエイトの移動方向の反転が検出されたときにのみ、動作するように構成されていてもよい。
【0048】
さて、一般に、トレーニングジムにおいては、図3に示すようにユーザの自身の使用しているトレーニング器具(バーベル100)以外のトレーニング器具やウエイトが周りに多数存在することが多い。ユーザは、バーベル100でトレーニングを行い、トレーニング内容検出機10でトレーニング内容を検出するが、その周りには他者の使用している他のトレーニング器具であるバーベル100’が存在している。そのウエイトにはRFIDタグ31’が取り付けられているため、トレーニング内容検出機10のRFIDリーダ17は、RFIDタグの読出し処理を行うと、ユーザが使用しているウエイト121に取り付けられているRFIDタグ31のID情報だけではなく、使用していないウエイトに取り付けられたRFIDタグ31’からの情報も受信してしまう。
【0049】
このため、RFIDリーダ17でRFIDタグ31、31’から受信した時の電界強度を用い、ユーザが用いたウエイトに取り付けられたRFIDタグの記録情報か判別することにする。
【0050】
ここで、RFIDタグ31、31’が電波を返信し、RFIDアンテナ18が受信する場合の電界強度を考える。RFIDタグ31、31’のアンテナから電力P[W]の電波が送出される場合、アンテナから距離r[m]の地点における電力密度Pr[W/m]は、下記の式1となる:
【0051】
【数1】

【0052】
一方、アンテナから距離r[m]における電力密度Pr[W/m]は、距離rにおける電界強度Eを2乗し、それを自由空間のインピーダンスηで割った下記の式2で示される:
【0053】
【数2】

【0054】
上記の式1、式2から電界強度Eは、下記の式3となる:
【0055】
【数3】

【0056】
上記の式3から明らかなように、電界強度Eは、RFIDアンテナ18からの距離rに反比例する。即ち、RFIDアンテナ18から距離が遠くなるほど、電界強度は小さくなる。
【0057】
図3において、ユーザがバーベル100を動かしてトレーニングを行うと、トレーニング内容検出機10のRFIDリーダ17は、バーベル100に取り付けられているため、トレーニング内容検出機10とウエイト121との相対距離は変わらない。一方、他のトレーニング器具であるバーベル100’に取り付けられているウエイトとは、相対距離が変わる。例えば、測定点Paではトレーニング内容検出機10のRFIDリーダ17と他のトレーニング器具であるバーベル100’に取り付けられているRFIDタグ31’との距離はDaであるが、測定点Pbのときには距離Dbとなる。測定点Paと測定点Pbの電界強度をEa,Ebとすると、Da>Dbから、式3よりEa<Ebとなる。これから、他のトレーニング器具であるバーベル100’につけられたRFIDタグ31’から受信した電波の強度は、測定点Paと測定点Pbとで異なることになる。
【0058】
一方、トレーニング内容検出機10とウエイト121の距離は常に一定であるため、測定点Pa、測定点Pbどちらにおいても、ウエイト121に取り付けられているRFIDタグ31から受信した電波の強度は変わらない。以上から測定点の位置に関係なく受信した電波の強度が変わらないRFIDタグが、ユーザの使用しているウエイト121に取り付けられているものであると判断できる。この判断方法により、受信したRFIDタグのID情報の中からユーザが使用したウエイトに取り付けられたRFIDタグのID情報のみを選ぶことが可能となる。
【0059】
また、本実施例においては、加速度センサ16によって検出した加速度から算出したバーベル100の傾きを、次のように用いる。
【0060】
ユーザは、ウエイトトレーニング中にバーベル100を上下運動するため、それに取り付けられているトレーニング内容検出機10の加速度センサ16も上下に動く。
【0061】
このとき、バーベル100のバー110は床面(地面)と平行であり、昇降運動方向とは直角を成しているとする。これを傾いていない時と定義する。
【0062】
次に、このトレーニングの最中にユーザがバーベル100を傾けてしまい、そのまま傾いていない時と同じように上下方向への反復運動を行ったとする。この時にバーベル100に発生する加速度は傾いていない時と同じであるが、トレーニング内容検出機10の加速度センサ16が傾いている、即ち、加速度センサ16のX軸、Y軸、Z軸方向は傾いてしまっているため、加速度センサ16から出力される加速度は、傾いていない時の加速度とは異なることになる。
【0063】
ここで、トレーニング内容検出機10の傾きを知ることができれば、傾いている場合の加速度センサのX軸、Y軸、Z軸を傾いていない時の軸へ変換することが可能である。
【0064】
本実施例においては、加速度センサ16から得られる加速度に基づき重力の方向を求め、さらにそれに基づき、トレーニング内容検出機10の加速度センサ16の傾きを算出、それを使って加速度を補正し、傾きの影響を排除する。
【0065】
さらに、CPU11は、この補正した加速度値から、トレーニング内容検出機10の速度と相対位置を算出できる。ユーザがバーベル100を用いてウエイトトレーニングする場合のトレーニング内容検出機10の加速度センサ16の動きを、図4、図5を用いて説明する。
【0066】
ユーザのウエイトトレーニング中、ウエイト121は、図4の上矢印もしくは下矢印の方向へ移動する。
【0067】
トレーニング内容検出機10の加速度センサ16は、バーベル100に取り付けられているため、ウエイト121と共に移動する。
【0068】
ここで、ウエイトトレーニング中のウエイト中心120cの高さを時間変化で表すと、図5に示すグラフのように時間経過と共に上下に移動することとなる。CPU11は、取得した加速度から速度および相対位置を算出することにより、この動きを把握していく。
【0069】
以下、本発明の実施例1によるトレーニング内容検出装置の動作を、図1〜図5に加え、さらに図6〜図8を参照して説明する。
【0070】
トレーニング内容検出機10のCPU11は、図6に示されたモード遷移に従って動作する。即ち、CPU11は、加速度センサ16から得られるウエイトの位置変化の有無という遷移条件に応じて、「トレーニング待ちモード」および「トレーニング中モード」のどちらかのモードに入る。尚、現在のモードは、変数値としてRAM13に保持される。
【0071】
「トレーニング待ちモード」および「トレーニング中モード」それぞれにおいては、実行条件と処理内容との対応テーブルが規定されている。実行条件は、Entry/Do/Exitの3つである。実行条件:Entryに対する処理は、そのモードに移行してきた時に実行される。実行条件:Do に対する処理は、そのモードに留まっている間実行される。また、実行条件:Exit に対する処理は、別のモードに移行する時に実行される。
【0072】
さて、電源投入後、CPU11は、「トレーニング待ちモード」にある。仮に、遷移条件:「ウエイトの位置変化なし」によって「トレーニング待ちモード」に移行してきた時(実行条件:Entry)の処理は、「なし」であり、何も実行されない。そして、「トレーニング待ちモード」に留まっている間(実行条件:Do)は、「検出待機シーケンス」が実行される。さらに、遷移条件:「ウエイトの位置変化の発生」によって「トレーニング中モード」に移行するとき(実行条件:Exit)の処理は、「なし」であり、何も実行されない。尚、「トレーニング中モード」についても、同様に、実行条件:Entry/Do/Exitに応じて、「なし」、「検出シーケンス」の実行、「なし」となる。
【0073】
次に、CPU11が、「トレーニング待ちモード」において実行する「検出待機シーケンス」、「トレーニング中モード」において実行する「検出シーケンス」について、さらに図7、図8のフロー図を用いて説明する。
【0074】
「検出待機シーケンス」
トレーニング内容検出機10のCPU11は、ROM12に格納された「検出待機シーケンス」プログラムに従って、「検出待機シーケンス」を実行する。「検出待機シーケンス」において、CPU11は、ユーザのウエイトトレーニング開始を判定する。ウエイトトレーニング中、ウエイトトレーニング器具であるバーベル100には、加速度が生じ続ける。加速度を測定することにより、ウエイトトレーニング開始を検出する。
【0075】
図7を参照すると、ステップS101において、CPU11は、トレーニング内容検出機10にかかっている加速度を加速度センサ16によって取得し、RAM13に記憶する。
【0076】
ステップS102において、CPU11は、取得した加速度をROM12に予め記録された判定基準と照合し、ウエイトトレーニングが開始されたか否かを判定する。即ち、取得した加速度が前回取得した値と異なる場合はトレーニングが開始されたと判断し、「検出待機シーケンス」は終了する。併せて、位置変化が発生したため、図6のモード遷移図でトレーニング中モードに移行することになる。一方、トレーニング開始と判断されなかった場合には、ステップS101に戻る。
【0077】
「検出シーケンス」
トレーニング内容検出機10のCPU11は、ROM12に格納された「検出シーケンス」プログラムに従って、「検出シーケンス」を実行する。「検出シーケンス」において、CPU11は、少なくとも、ウエイトの合計重量およびレップ数を検出する。
【0078】
図8を参照すると、ステップS201において、CPU11は、加速度センサ16からトレーニング内容検出機10にかかっている加速度を加速度センサ16によって取得する。
【0079】
ステップS202において、CPU11は、取得した加速度によってトレーニング内容検出機10の傾きを算出後に、前述のようにして傾きの影響を考慮しなくてもよいように加速度を補正した後に、加速度をRAM13に記憶する。
【0080】
次いで、ステップS203において、CPU11は、加速度に基づいて前回加速度を取得した地点からの相対位置を算出し、RAM13に記憶する。
【0081】
ステップS204において、CPU11は、ステップS202で得られた加速度に基づいてトレーニング内容検出機10の速度を算出し、トレーニング内容検出機10の動きが上方向から下方向もしくは下方向から上方向に反転(図5の測定点A〜E)したかを判別する。反転しなかった場合には、ステップS208に移行する。反転した場合は、ステップS205に移行する。
【0082】
ステップS205において、トレーニング内容検出機10の動きが上方向から下方向へ切反転した場合のみ、即ち、図5のA点、B点、C点をレップ数増加点として記録する。これは、ウエイトの移動が上方向から下方向へ切り替わったところがユーザがウエイトを上げ切ったことを示しているため、その時にユーザの行ったレップ数を増加し記録するためである。
【0083】
ステップS206において、CPU11は、RFIDリーダ17に読み取り要求を出す。この要求により、RFIDリーダ17は、通信可能範囲にあるRFIDタグ31〜34ならびに31’に記録されている少なくともウエイトの単位重量を示すID情報を取得、その受信時の電界強度と共にCPU11に引き渡す。
【0084】
ステップS207において、CPU11は、このRFIDタグ31〜34ならびに31’に記録されているID情報と、受信電界強度とをRAM13に記憶する。尚、RFIDタグのID情報の読み取りは、図5に示された測定点A〜Eの測定点で行われ、それ以外では行われない。これにより、RFIDタグ情報読出しを必要なところでのみ行うため、RFIDリーダ17を動作する時間が短くなり、消費電力を小さくできる。
【0085】
ステップS208において、トレーニング内容検出機10(バーベル100)が一定時間、移動していないかを判別する。CPU11は、ステップS203でRAM13に記憶した相対位置情報に基づいて、バーベル100が一定時間移動していないかを判断する。バーベル100が移動している場合は、依然としてウエイトトレーニング中であると判断し、ステップS201に戻る。一方、バーベル100が一定時間移動していない場合、即ち、バーベル100が一定時間動かされていない場合には、ウエイトトレーニングが終了したと判断し、S209に移行する。
【0086】
既にステップS207において、ウエイトに取り付けられたRFIDタグ31〜34ならびに31’から少なくともウエイトの単位重量を示すID情報をRAM13に記憶しているが、実際には、通信可能範囲内にあるものの、バーベル100に装着されていない予備のウエイト122〜124もしくは別のバーベル100’のウエイトに取り付けられたRFIDタグからの情報も受信している可能性がある。このため、以下のステップにおいて、ステップS207で記録した受信電界強度を用いて前述した方法により、バーベル100に装着されたウエイト121に取り付けられたRFIDタグ31に特定する。
【0087】
ステップS209において、CPU11は、ステップS207でRAM13に記憶した全てのRFIDタグについて、RFID情報と電界強度との組み合わせをRAM13から順次読み出す。
【0088】
ステップS210において、読み込んだRFIDタグの電界強度が時間経過に伴って不変であるか否かを判断する。電界強度が不変である場合には、ステップS211に以降してユーザが使用したウエイトとしてID情報に格納されているウエイトの単位重量をRAM13に記憶する。一方、電界強度が変化している場合には、ステップS212に移行し、RFID情報と電界強度との組み合わせを未だ読み出していないRFIDタグがあるか判別する。もしあればステップS209に移行する一方、無ければ「検出シーケンス」は終了する。
【0089】
以上のようにして、RFIDリーダ17による受信電界強度が測定点の位置に関係なく不変であるRFIDタグ31が、ユーザが使用しているバーベル100に装着されたウエイト121に取り付けられているものであると、特定される。この特定方法により、CPU11は、RFIDタグ31のID情報のみをRAM13に記憶する。尚、装着されたウエイトが複数である場合には、CPU11は、それらのID情報に基づいて装着された全てのウエイトの単位重量を合計し、RAM13に記憶する。
【0090】
「検出シーケンス」終了後、CPU11は、トレーニング内容検出機10の状態を「トレーニング中モード」から「トレーニング待ちモード」に移行する。
【0091】
ユーザは、ウエイトトレーニング終了後、トレーニング内容検出機10に記録された、少なくともウエイトの合計重量およびレップ数を含むトレーニング内容をトレーニング内容検出機10の操作ボタン14を操作することにより、ディスプレイ15に表示させて確認する。
【0092】
[実施例2]
本発明の実施例2は、その適用対象であるウエイトトレーニング器具の構造が、図1等に示された実施例1と異なる。このため、実施例1と同一または同様の部分については、実施例1と同一または同等の符号を付すと共に、詳細な説明や図示を省略する。
【0093】
図9を参照すると、本発明の実施例2によるトレーニング内容検出装置は、ウエイトトレーニング器具としてのベンチプレスマシン200に適用される。ベンチプレスマシン200は、ユーザが把持したり脚に掛けるなどするバー210と、バー210に一端が接続された滑車機構230と、滑車機構230の他端に任意の枚数だけ取り外し可能にホールドピン240によって装着されるウエイト221〜228とを有している。即ち、ベンチプレスマシン200は、ウエイトトレーニングの際にユーザに対する負荷として、それぞれ単位重量を持つ対のウエイト221〜228から任意の枚数(図示の例は、ウエイト221〜224の四枚)が、滑車機構230を介してバー210にホールドピン240によって取り外し可能に装着される。そして、本トレーニング内容検出装置は、トレーニング内容として、少なくとも、バー210に装着されたウエイトの合計重量およびレップ数を検出する。
【0094】
本トレーニング内容検出装置は、RFIDタグ41〜48と、加速度センサおよびRFIDリーダを備え、図2に示された実施例1と同じ構成のトレーニング内容検出機10とを有している。
【0095】
RFIDタグ41〜48は、ベンチプレスマシン200に用いられ得る全てのウエイト221〜228それぞれに取り付けられており、それぞれ取り付けられたウエイトの単位重量を示すID情報が予め記録されている。
【0096】
トレーニング内容検出機10の筐体は、ウエイトトレーニング中に装着されたウエイト(図示の例は、ウエイト221〜224)と同じ動きをする部位としてウエイト221の天面に、面ファスナ等によって取り外し可能に取り付けられる。
【0097】
加速度センサは、ベンチプレスマシン200のうちの、ウエイトトレーニング中に装着されたウエイトと同じ動きをする部位に取り付けられ、少なくとも装着されたウエイト221〜224の移動の有無および移動方向を検出する。
【0098】
RFIDリーダは、加速度センサと同様に、ベンチプレスマシン200のうちの、ウエイトトレーニング中に装着されたウエイトと同じ動きをする部位に取り付けられ、RFIDタグからの電波の電界強度を検出すると共に、ID情報が含まれた信号を受信する。
【0099】
そして、本トレーニング内容検出装置は、加速度センサによって検出したベンチプレスマシン200に装着されたウエイト221〜224の移動の有無および移動方向に基づいて、所定の距離以上の上昇があった後に下降方向に反転したときにカウントアップすることによってレップ数を検出し、かつ、RFIDリーダによって検出した電界強度に基づいてウエイト221〜224が動いている時(ウエイトトレーニング中)に電界強度が不変のRFIDタグ41〜44を、ベンチプレスマシン200に装着されたウエイト221〜224に取り付けられたものであると特定し、特定されたRFIDタグ41〜44から受信したID情報に基づいてウエイトの合計重量、即ち、ウエイト221〜224の重量を検出する。
【0100】
[実施例3]
本発明の実施例3は、トレーニング内容としてのウエイトの合計重量およびレップ数の検出を開始するイベントがウエイトに生ずる加速度以外である点で、図2等に示された実施例1と異なる。このため、実施例1と同一または同様の部分については、実施例1と同一または同等の符号を付すと共に、詳細な説明や図示を省略する。
【0101】
図10を参照すると、本発明の実施例3によるトレーニング内容検出装置は、実施例1によるトレーニング内容検出装置と同様に、ウエイトトレーニング器具に適用され、トレーニング内容として、少なくとも、装着されたウエイトの合計重量およびレップ数を検出する。
【0102】
本トレーニング内容検出装置は特に、RFIDタグ31〜34と、加速度センサ16と、RFIDリーダ17とを有している。
【0103】
RFIDタグ31〜34は、ウエイトトレーニング器具に用いられ得る全てのウエイトそれぞれに取り付けられており、それぞれ取り付けられたウエイトの単位重量を示すID情報が予め記録されている。
【0104】
加速度センサ16およびRFIDリーダ17は、CPU11、ROM12、RAM13、操作ボタン14、ディスプレイ15、RFIDアンテナ18、バス19、および動作電源としての図示しない充電式バッテリと共に、筐体20に収容され、トレーニング内容検出機10’を構成している。筐体20は、ウエイトトレーニング中に装着されたウエイト(図示の例は、ウエイト121)と同じ動きをする部位に、面ファスナ等によって取り外し可能に取り付けられる。
【0105】
加速度センサ16は、ウエイトトレーニング器具のうちの、ウエイトトレーニング中に装着されたウエイトと同じ動きをする部位に取り付けられ、少なくとも装着されたウエイト121の移動の有無および移動方向を検出する。
【0106】
RFIDリーダ17は、加速度センサ16と同様に、ウエイトトレーニング器具のうちの、ウエイトトレーニング中に装着されたウエイトと同じ動きをする部位に取り付けられ、RFIDタグからの電波の電界強度を検出すると共に、ID情報が含まれた信号を受信する。
【0107】
そして、本トレーニング内容検出装置は、加速度センサ16によって検出したウエイトトレーニング器具に装着されたウエイトの移動の有無および移動方向に基づいて、所定の距離以上の上昇があった後に下降方向に反転したときにカウントアップすることによってレップ数を検出し、かつ、RFIDリーダ17によって検出した電界強度に基づいてウエイトが動いている時(ウエイトトレーニング中)に電界強度が不変のRFIDタグを、ウエイトトレーニング器具に装着されたウエイトに取り付けられたものであると特定し、特定されたRFIDタグ31から受信したID情報に基づいてウエイトの合計重量を検出する。
【0108】
特に、本実施例のトレーニング内容検出装置は、ユーザの音声を入力するマイクロフォン21と、マイクロフォン21によって得た、ユーザからの入力音声の波形を予め記憶された開始音声コマンドの波形見本と照合することによって開始音声コマンドを検出する音声認識ユニット22とをさらに有している。マイクロフォン21および音声認識ユニット22も、筐体20に内蔵されている。
【0109】
そして、本トレーニング内容検出装置は、音声認識ユニット22によって開始音声コマンドが検出されたときに、ウエイトの合計重量およびレップ数の検出を開始する。
【0110】
音声認識ユニット22は、マイクロフォン21から入力された音声を解析、その音声の意味する言葉が何であるかを識別する。音声認識の具体的な方法は既知のことであるし、また、本発明の主旨外であるため、説明は省略するが、音声認識ユニット22は、ユーザからの入力音声の波形を、予め記憶された開始音声コマンドの波形見本と照合することにより、合致もしくは予め定められた近似範囲内の場合、ユーザから開始音声コマンドが入力されたと、検出する(判断する)。
【0111】
CPU11は、音声認識ユニット22にアクセスすることで、ユーザの話した言葉が何であるかを取得できる。
【0112】
「検出待機シーケンス」
実施例1において図7を参照して説明した「検出待機シーケンス」はトレーニング開始の判定を加速度を用いて行ったが、本実施例においては、ユーザが発する音声を用いる。以下、本実施例の動作の要点を説明する。
【0113】
いま、ユーザがトレーニングを開始するに際し、その旨を意味する言葉を発し、それがマイクロフォン21を通して音声認識ユニット22に入力されたとする。
【0114】
図11を参照すると、ステップS501において、CPU11は、音声認識ユニット22にアクセスし、トレーニング開始を示す音声がユーザから発せられたかを取得する。音声認識ユニット22は、ユーザからの入力音声の波形を、予め記憶された開始音声コマンドの波形見本と照合する。合致または予め定められた近似範囲内か、あるいは、不一致かの照合の結果が、CPU11に伝えられる。
【0115】
ステップS502において、CPU11は、音声認識ユニット22による照合結果に基づき、合致または予め定められた近似範囲内の場合はトレーニング開始と判断し、「検出待機シーケンス」は終了する。一方、照合結果が不一致の場合は、ステップS501に戻る。
【0116】
この開始音声認識により、図6に示されたモード遷移図のトレーニング中モードに移行することになる。
【0117】
[実施例4]
本発明の実施例4は、トレーニング内容としてウエイトの合計重量およびレップ数に加えてさらにそれ以外の項目をも検出する点で、図8等を用いて説明された実施例1と異なる。このため、実施例1と同一または同様の部分については、実施例1と同一または同等の符号を付すと共に、詳細な説明や図示を省略する。
【0118】
基本的な構成は本実施例と同様である実施例1を示す図2を流用して参照すると、本発明の実施例4によるトレーニング内容検出装置において、加速度センサ16は、ウエイトトレーニング器具に装着されたウエイト(ウエイト121)の加速度をも検出するものである。そして、加速度センサ16によって検出されて一時的に記憶された加速度の経緯を、加速度の経緯見本とトレーニング種目との対応を表す予め記憶された加速度テンプレートによって照合することにより、本装置はトレーニング種目をもトレーニング内容として特定する。
【0119】
以下、本実施例の詳しい動作を説明する。
【0120】
CPU11は、図12に示されたモード遷移に従って動作する。即ち、CPU11は、加速度センサ16から得られるウエイトの位置変化の有無という遷移条件に応じて、「トレーニング待ちモード」および「トレーニング中モード」のどちらかのモードに入る。尚、現在のモードは、変数値としてRAM13に保持される。
【0121】
「トレーニング待ちモード」および「トレーニング中モード」それぞれにおいては、実行条件と処理内容との対応テーブルが規定されている。実行条件は、Entry/Do/Exitの3つである。実行条件:Entryに対する処理は、そのモードに移行してきた時に実行される。実行条件:Do に対する処理は、そのモードに留まっている間実行される。また、実行条件:Exit に対する処理は、別のモードに移行する時に実行される。
【0122】
CPU11は、遷移条件:「ウエイトの位置変化の発生」によって「トレーニング中モード」に移行してきたとき(実行条件:Entry)の処理は、「なし」であり、何も実行されない。また、「トレーニング待ちモード」に留まっている間(実行条件:Do)は、実施例1の際に説明した「検出シーケンス」が実行される。そして、遷移条件:「ウエイトの位置変化なし」によって「トレーニング待ちモード」に移行する直前(実行条件:Exit)の処理は、後述する「トレーニング(運動)種目候補リスト作成シーケンス」の実行である。
【0123】
「トレーニング中モード」についても、同様に、実行条件:Entry/Do/Exitに応じて、「なし」、「検出シーケンス」の実行、「なし」となる。
【0124】
一方、CPU11は、遷移条件:「ウエイトの位置変化なし」によって「トレーニング待ちモード」に移行してきた時(実行条件:Entry)の処理は、後述する「トレーニング種目選択シーケンス」の実行である。また、「トレーニング待ちモード」に留まっている間(実行条件:Do)は、実施例1の際に説明した「検出待機シーケンス」が実行される。さらに、遷移条件:「ウエイトの位置変化の発生」によって「トレーニング中モード」に移行するとき(実行条件:Exit)の処理は、「なし」であり、何も実行されない。
【0125】
次に、CPU11が、「トレーニング中モード」のExit時において実行する「トレーニング(運動)種目候補リスト作成シーケンス」、「トレーニング待ちモード」のEntry時において実行する「トレーニング種目選択シーケンス」について、さらに図13、図14のフロー図を用いて説明する。
【0126】
「トレーニング種目候補リスト作成シーケンス」
トレーニング内容検出機10のCPU11は、ROM12に格納された「トレーニング種目候補リスト作成シーケンス」プログラムに従って、トレーニング種目名の候補リストを作成する処理である「トレーニング種目候補リスト作成シーケンス」を実行する。
【0127】
図13を参照すると、ステップS301において、CPU11は、ステップS202でRAM13に記憶した、トレーニング時の加速度情報を取得する。
【0128】
ステップS302において、CPU11は、ROM12に予め記録してある、主なトレーニング実行時にトレーニング内容検出機10にかかる加速度の情報(以下、加速度テンプレート)の一つを読み出す。
【0129】
そして、ステップS303において、ステップS301で読み出した加速度情報と比べる。
【0130】
ステップS303にて、ユーザのトレーニングから取得した加速度情報と加速度テンプレートの一つが一致、もしくは、似ているとCPU11が判断した場合には、その加速度テンプレートのトレーニング種目名をユーザが行ったトレーニング種目名の候補とする。
【0131】
ステップS305に進み、その加速度テンプレートのトレーニング種目名を候補リストに追加、RAM13に記憶する。
【0132】
ステップS306において、候補リストが一杯になったか判断し、まだ空きがある場合には、ステップS302に戻る。
【0133】
一杯になったならば、「トレーニング種目候補リスト作成シーケンス」は終了となる。
【0134】
ステップS303において、ユーザのトレーニングから取得した加速度情報と加速度テンプレートが一致しない、もしくは似ていないと判断された場合には、ステップS304に進む。まだ他に比べていない加速度テンプレートがある場合には、ステップS302に戻る一方、無い場合にはこのシーケンスは終了する。
【0135】
このシーケンスは、図1に示されるバーベル等によるウエイトトレーニングの場合、ユーザが行うことのできるトレーニング種目が多種類であり、それを特定することが難しいために実行される。
【0136】
逆に、図9に示されたベンチプレスマシン等のウエイトトレーニング器具を用いる場合には、そのウエイトトレーニング器具でユーザが行うことのできるトレーニング種目は、多くとも数種類であるため、それらのトレーニング種目名をRFIDタグに記録しておき、「検出シーケンス」のステップS211でRFIDタグから取得した情報に基づいて使用ウエイトを記録する時に併せて、トレーニング種目名をも候補リストに記録することも可能である。
【0137】
「トレーニング種目選択シーケンス」
トレーニング内容検出機10のCPU11は、ROM12に格納された「トレーニング種目選択シーケンス」プログラムに従って、ユーザが行うトレーニング種目名の選択処理である「トレーニング種目選択シーケンス」を実行する。
【0138】
図14を参照すると、ステップS401において、CPU11は、「トレーニング種目候補リスト作成シーケンス」のステップS305(図13)で記録された候補リストをRAM13から読み出す。候補が何も無い場合にはステップS402に移行する一方、候補があった場合にはステップS403に移行する。
【0139】
ステップS402において、CPU11は、ROM12から予め登録されているトレーニング種目名全てを読み出し、ディスプレイ11によって表示し、ステップS404に移行する。
【0140】
ステップS403において、候補リストに格納されているトレーニング種目名をディスプレイ11によって表示し、ステップS404に移行する。
【0141】
ステップS404において、ユーザはどのトレーニング種目を行ったかを操作ボタン14を操作して選択し入力する。
【0142】
ステップS405において、選択されたトレーニング種目はユーザが行ったトレーニング種目名であるとCPU11は判断し、RAM13に記憶する。
【0143】
以上の処理により、ユーザが行ったトレーニング種目名をトレーニング内容検出機10に検出および記録することができる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
以上説明した実施例に限定されることなく、本発明は、当該特許請求の範囲に記載された技術範囲内であれば、種々の変形が可能であることは云うまでもない。
【0145】
例えば、本発明によれば、以上説明してきたトレーニング内容検出装置と、バーやウエイトとを有し、トレーニング内容を検出する機能を持つウエイトトレーニング器具が得られる。
【0146】
本発明によればまた、トレーニング内容検出装置のRFIDタグを除くトレーニング内容検出機を、少なくとも加速度センサ、RFIDリーダ、バッテリ、および筐体を有する携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器によって兼用的に構成してもよい。
【符号の説明】
【0147】
10 トレーニング内容検出機
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 操作ボタン
15 ディスプレイ
16 加速度センサ
17 RFIDリーダ
18 RFIDアンテナ
19 バス
20 筐体
31〜34、31’ RFIDタグ
41〜48 RFIDタグ
100 バーベル
121〜124 ウエイト
200 ベンチプレスマシン
221〜228 ウエイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエイトトレーニングの際にユーザに対する負荷として単位重量を持つ1枚以上のウエイトが取り外し可能に装着されるウエイトトレーニング器具に適用され、トレーニング内容としてウエイトの合計重量およびレップ数を検出するトレーニング内容検出装置において、
全てのウエイトそれぞれに取り付けられ、当該ウエイトの単位重量を示すID情報が記録されたRFIDタグと、
ウエイトトレーニング器具のうちのウエイトトレーニング中に、装着されたウエイトと同じ動きをする部位に取り付けられ、装着されたウエイトの移動の有無および移動方向を検出する加速度センサと、
ウエイトトレーニング器具のうちのウエイトトレーニング中に、装着されたウエイトと同じ動きをする部位に取り付けられ、前記RFIDタグからの電波の電界強度を検出すると共にID情報が含まれた信号を受信するRFIDリーダとを有し、
前記加速度センサによって検出した装着されたウエイトの移動の有無および移動方向に基づいてレップ数を検出し、かつ、前記RFIDリーダによって検出した電界強度に基づいてウエイトが動いている時に電界強度が不変の前記RFIDタグを、装着されたウエイトに取り付けられたものであると特定し、特定された該RFIDタグから受信したID情報に基づいてウエイトの合計重量を検出することを特徴とするトレーニング内容検出装置。
【請求項2】
前記加速度センサによってウエイトの移動方向の反転が検出されたときにのみ、前記RFIDリーダが動作するように構成された請求項1に記載のトレーニング内容検出装置。
【請求項3】
前記加速度センサは、装着されたウエイトの加速度をも検出するものであって、
前記加速度センサによってウエイトに加速度が生じたことが検出されたときに、ウエイトの合計重量およびレップ数の検出を開始する請求項1または2に記載のトレーニング内容検出装置。
【請求項4】
ユーザからの入力音声の波形を、予め記憶された開始音声コマンドの波形見本と照合することによって開始音声コマンドを検出する音声認識ユニットをさらに有し、
前記音声認識ユニットによって開始音声コマンドが検出されたときに、ウエイトの合計重量およびレップ数の検出を開始する請求項1または2に記載のトレーニング内容検出装置。
【請求項5】
前記加速度センサは、装着されたウエイトの加速度をも検出するものであって、
前記加速度センサによって検出されて一時的に記憶された加速度の経緯を、加速度の経緯見本とトレーニング種目との対応を表す予め記憶された加速度テンプレートによって照合することによってトレーニング種目をトレーニング内容として特定する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトレーニング内容検出装置。
【請求項6】
検出したウエイトの合計重量およびレップ数を記憶する記憶手段をさらに有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトレーニング内容検出装置。
【請求項7】
前記加速度センサおよび前記RFIDリーダを含むトレーニング内容検出機と、前記RFIDタグとにより構成され、
前記トレーニング内容検出機は、その動作電源としてのバッテリと、前記加速度センサ、前記RFIDリーダ、および前記バッテリを収容すると共に、ウエイトトレーニング器具のうちのウエイトトレーニング中に装着されたウエイトと同じ動きをする部位に取り付けられる筐体とをさらに有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のトレーニング内容検出装置。
【請求項8】
前記トレーニング内容検出機は、前記加速度センサ、前記RFIDリーダ、前記バッテリ、および前記筐体を有する携帯電話機によって構成される請求項7に記載のトレーニング内容検出装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のトレーニング内容検出装置と、前記ウエイトと、装着されたウエイトと同じ動きをする前記部位とを有することを特徴とするウエイトトレーニング器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−136131(P2011−136131A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160(P2010−160)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】