説明

トンネルの照明装置

【課題】極めて簡単な回路構成としながら、多数のLEDを効率よく点灯して、メンテナンスを簡単にして、ランニングコストを著しく低減する。
【解決手段】トンネルの照明装置は、入力される三相交流電源9を全波整流して直流に変換して出力する整流回路1と、この整流回路1の出力側に接続してなる複数のLED13を直列に接続してなるLED直列回路3と、このLED直列回路3と直列に接続してなるオンオフに切り換えられてLED13の電流を調整するスイッチング素子4と、このスイッチング素子4と直列に接続してなるコイル5と、スイッチング素子4をオンオフに切り換えるタイミングを制御するコントロール回路6とを備えている。トンネルの照明装置は、整流回路1の出力側に、LED直列回路3とスイッチング素子4とコイル5との直列回路を接続しており、コントロール回路6がスイッチング素子4をオンオフに切り換えてLED13を点灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内に設けられる照明装置に関し、とくに光源を発光ダイオード(本明細書においてLEDと記載)とするトンネルの照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDを光源に使用するトンネルの照明装置は開発されている(特許文献1参照)。
この公報のトンネルの照明装置は、赤色光を発するLEDと緑色光を発するLEDと青色光を発するLEDとの3種類のLEDを備え、赤色、緑色、青色のLEDを点灯、消灯、及び調光して、LEDの色温度を変化させるようにしている。この照明装置は、LEDの色温度を調整してドライバーが安全又は快適に運転することができる特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−142116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のトンネルの照明装置は、長い領域を均等な明るさとするために、三相交流の電源を配線して、蛍光灯やナトリウム灯などを点灯している。トンネルの照明装置は、たとえば、光源を蛍光灯とするトンネルにあっては、一般的には、6kW/kmの電力を消費する。したがって、長さを1kmとするトンネルは、約6kWの電力を消費する。電源の電圧が低くなると、同じ電力を供給するための電流が大きくなって、電力ロスが大きくなるので、トンネルの照明装置は、たとえば240Vの三相交流を供給している。
【0005】
蛍光灯やナトリウム灯を光源とする照明装置は、電流が増加して電気抵抗が小さくなるので、電流が増加するのを制限するためにチョークコイルを直列に接続している。したがって、この照明装置を三相交流に接続すると、チョークコイルによって力率が低下して電力効率が悪くなる欠点がある。また、LEDを光源に使用する照明装置は、LEDを点灯するために、入力される商用電源を、LEDを点灯する直流の電圧と電流に変換する電源回路を必要とする。この電源回路は、入力される交流を直流に変換するために、交流を整流する整流回路と、整流回路の出力を平滑化するための電解コンデンサを必要とする。この電源回路は、電解コンデンサで平滑化された直流をLEDに供給している。さらに、この電源回路は、LEDに流す電流を一定にコントロールする定電流回路を内蔵しており、この定電流回路でLEDの電流を一定にコントロールして、LEDを一定の電流で点灯している。
【0006】
ところで、LEDの1個の消費電力は、数W以下と、蛍光灯やナトリウム灯に比較して極めて小さい。このため、LEDを光源に使用するトンネルの照明装置は、多数のLEDを使用して、トンネル内を所定の明るさとする必要がある。
【0007】
多数のLEDを点灯するトンネルの照明装置は、トンネル内に所定の間隔で電源回路を配置して、各々の電源回路で複数のLEDを点灯する。この回路構成によると、トンネルに多数の電源回路を設けるので、電源回路のコストが相当に高くなる。さらに、各々の電源回路は、整流回路の出力を平滑化する電解コンデンサを設けているので、この電解コンデンサが経時的に劣化して、電源回路の寿命を短くする原因となる。LEDを点灯する簡単な回路の電源回路は、入力される交流を、LEDの点灯電圧にトランスで変換し、トランスの出力を整流回路のダイオードで整流した後、電解コンデンサで平滑化して直流とするものである。この電源回路は、回路構成を簡単にできるが、大きなトランスを必要とするので、部品コストが高く、かつ重くて簡単に設置できない欠点がある。この回路構成によらず、電源回路をスイッチング電源とすることもできる。スイッチング電源は、入力される交流をダイオードで整流して直流に変換し、この直流をスイッチング素子でオンオフにスイッチングして交流に変換し、変換された交流をトランスでLEDの点灯電圧とし、トランスの出力を整流回路で整流した後、電解コンデンサで平滑化し、さらに出力電流を一定とするように出力電流をフィードバックしてスイッチング素子をオンオフに切り換えるデューティーを制御している。このスイッチング電源は、電解コンデンサを必要とすることに加えて、回路構成が極めて複雑で高価になる欠点がある。
【0008】
ところで、LEDの寿命は、蛍光灯やナトリウム灯に比較して相当に長いので、LEDを光源とする照明装置は、メンテナンスを簡単にして、メンテナンス費用を削減できる特徴がある。ただ、電解コンデンサは、経時的に劣化してその寿命がLEDよりも短いので、電解コンデンサのメンテナンスに手間と費用がかかる欠点がある。とくに、トンネルは長いので、多数の電源回路を一定の間隔で設けることから、高価な電源回路を使用すると、全体の設備コストが極めて高くなり、また各々の電源回路の電解コンデンサのメンテナンスにも極めて手間がかかる欠点がある。
【0009】
トンネルに設ける電源回路を少なくして、1組の電源回路で多数のLEDを点灯することで、電源回路を簡単にしてメンテナンスを簡素化できる。ただ、ひとつの電源回路で多数のLEDを点灯するほど、電源回路の電力効率が低下する弊害がある。それは、発光ダイオードを電源回路に接続するリード線の電圧降下が大きくなって電力損失が増加するからである。
【0010】
以上のように、トンネルの照明装置は、多数のLEDを点灯することから、多数のLEDを点灯する回路を簡素化して、メンテナンスを簡単かつ容易に、しかも経済的にすることが大切である。本発明は、このことを実現することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、極めて簡単な回路構成としながら、多数のLEDを効率よく点灯して、メンテナンスを簡単にして、ランニングコストを著しく低減できるトンネルの照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0011】
本発明のトンネルの照明装置は、入力される三相交流電源9を全波整流して直流に変換して出力する整流回路1と、この整流回路1の出力側に接続してなる複数のLED13を直列に接続してなるLED直列回路3と、このLED直列回路3と直列に接続してなるオンオフに切り換えられてLED13の電流を調整するスイッチング素子4と、このスイッチング素子4と直列に接続してなるコイル5と、スイッチング素子4をオンオフに切り換えるタイミングを制御するコントロール回路6とを備えている。トンネルの照明装置は、整流回路1の出力側に、LED直列回路3とスイッチング素子4とコイル5との直列回路を接続しており、コントロール回路6がスイッチング素子4をオンオフに切り換えてLED13を点灯する。
【0012】
以上のトンネルの照明装置は、極めて簡単な回路構成としながら、多数のLEDを効率よく点灯して、メンテナンスを簡単にし、ランニングコストを著しく低減して、長期間にわたってトンネルを明るく照射できる特徴がある。それは、以上の照明装置が、三相交流を全波整流して変動の少ない直流に変換し、電解コンデンサで平滑化することなく、全波整流された出力を、スイッチング素子とコイルとを介して、複数のLEDを直列に接続しているLED直列回路に供給して、LEDを点灯するからである。この照明装置は、三相交流として入力される商用電源を電圧調整することなく、スイッチング素子で電流をコントロールしながらLED直列回路に供給する。スイッチング素子をオンオフして、LED直列回路の電流変化を緩やかにするために、スイッチング素子と直列にコイルを接続している。したがって、スイッチング素子をオンオフに切り換えて、LEDに流れる平均電流をコントロールでき、また、LEDに流れる電流の急激な変化を防止できる。この照明装置は、スイッチング素子をオンオフに切り換える周波数を高くすることで、LEDの平均電流の変動を少なくできる。たとえば、スイッチング素子をオンオフに切り換える周波数を、20kHzないし1MHzとして、LEDの電流をほぼ一定に制御できる。
【0013】
本発明のトンネルの照明装置は、コントロール回路6が、LED直列回路3に流れる電流を定電流となるようにスイッチング素子4をオンオフに切り換えることができる。
以上のトンネルの照明装置は、スイッチング素子でLEDの電流を一定に制御するので、LEDの電流をコントロールするために専用のスイッチング素子を設けることなく、ひとつのスイッチング素子でもって、LEDの供給する電力を最適値にコントロールできる特徴がある。
【0014】
本発明のトンネルの照明装置は、コントロール回路6が、LED直列回路3の電流を調整してLED13の輝度をコントロールする調光回路16を備えて、この調光回路16でLED13の輝度をコントロールすることができる。
以上のトンネルの照明装置は、調光回路でLEDの輝度をコントロールできるので、たとえば昼間と夜間にLEDの輝度を最適な明るさに調整できる特徴がある。
【0015】
本発明のトンネルの照明装置は、調光回路16が、明るさを検出する明るさセンサ17を備えて、明るさセンサ17の信号でLED13の電流を調整して発光強度をコントロールすることができる。
以上のトンネルの照明装置は、明るさセンサでLEDの輝度がコントロールされるので、夜間に輝度を昼間よりも低くすることができ、ドライバーに安全なようにトンネルの輝度をコントロールできる。
【0016】
本発明のトンネルの照明装置は、コイル5のインダクタンスを100μHないし10mHとすることができる。
以上のトンネルの照明装置は、コイルのインダクタンスによって、LEDに流れる電流をほぼ一定にコントロールできる特徴がある。また、コイルのインダクタンスが小さいので、コイルを小型で安価にできる特徴もある。
【0017】
本発明のトンネルの照明装置は、コントロール回路6がスイッチング素子4をオンオフに切り換える周波数を、20kHzないし1MHzとすることができる。
以上のトンネルの照明装置は、スイッチング素子をオンオフに切り換える周波数を高くするので、LEDに流れる電流をほぼ一定に制御して、LEDを効率よく発光できる特徴がある。
【0018】
さらに、本発明のトンネル照明装置は、LED直列回路3を、複数のLED13を回路基板に固定してなる光源ユニット18とし、この光源ユニット18を脱着自在に連結するコネクタ19を設けて、コネクタ19に光源ユニット18を脱着できるように連結する構造とすることができる。
以上のトンネル照明装置は、三相交流電源を全波整流して直流に変換する整流回路を備えることから整流回路に電解コンデンサを設ける必要がなく、整流回路をLEDよりも長寿命にできるので、LEDを光源ユニットとして交換することで、照明装置のランニングコストを低減して、極めて長い時間にわたってトンネルを明るく照明できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例にかかるトンネルの照明装置の使用状態を示す断面斜視図である。
【図2】本発明の一実施例にかかるトンネルの照明装置の回路図である。
【図3】複数の光源部を備えるトンネルの照明装置のブロック図である。
【図4】三相交流を全波整流する整流回路の出力波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのトンネルの照明装置を例示するものであって、本発明はトンネルの照明装置を以下のものに特定しない。
【0021】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0022】
図1の斜視図に示すトンネルの照明装置は、トンネルに配線している三相交流の商用電源の電源ライン20に整流回路1を接続して、各々の整流回路1に複数のLEDからなる光源部2を接続して三相交流の電源で複数のLEDを点灯している。複数の光源部2は、トンネルの内側に均一に光を照射するように所定の間隔で固定されて、トンネル内を明るくに照射する。光源部2は、たとえば、1kmの距離に対する消費電力を6kW/kmとするように、トンネル内に所定の間隔で固定される。ただし、トンネルは、用途や場所、あるいは明るさなどによって要求される明るさが異なり、さらにLEDの発光効率も一定ではないので、光源部の1kmあたりの消費電力は、6kW/kmには特定されず、6kW/kmよりも大きく、あるいは小さくすることもできる。
【0023】
トンネルの照明装置の回路図を図2に示している。この照明装置は、トンネルに配線している三相交流の商用電源で複数のLED13を点灯する。照明装置は、入力される三相交流電源9を全波整流して直流に変換して出力する整流回路1と、この整流回路1の出力側に接続している光源部2とを備えている。照明装置は、図3のブロック図に示すように、整流回路1に複数の光源部2を並列に接続して、複数の光源部2のLED13を1組の整流回路1の出力で点灯する。
【0024】
整流回路1に複数の光源部2を並列に接続する照明装置は、整流回路1の許容電流を大きくして、並列に接続できる光源部2の個数を大きくできる。整流回路1から出力できる最大電流は、ダイオード12の許容電流で特定される。したがって、ダイオード12に許容電流の大きいものを使用して、整流回路1に並列に接続する光源部2の個数を多くできる。たとえば、負極電流を300mAとする光源部2を10組の並列に接続して、整流回路1の出力電流は3Aとなるので、整流回路1のダイオード12の許容電流を3Aよりも大きくして、10組の光源部2を並列に接続できる。たとえば、1組の光源部2に20個のLED13を直列する照明装置は、整流回路1に10組の光源部2を並列に接続して、1組の整流回路1で、200個のLED13を点灯できる。ダイオードは、大きな許容電流のものが低コストであるので、この照明装置は、整流回路に多数の光源部を並列に接続して、1組の整流回路で多数のLEDを点灯できる。とくに、本発明の照明装置は、LED13を点灯するために、入力される三相交流の電圧に変更するトランスを必要としないので、多数のLED13を点灯するために、製造コストが高くなる大出力のトランスを設けることなく、安価なダイオード12の許容電流を大きくして、多数のLED13を点灯できる。
【0025】
整流回路1は、2個のダイオード12を同じ方向に直列接続してなるダイオード直列回路11を3列に並列に接続しているダイオードブリッジ10からなる全波整流回路である。ダイオードブリッジ10は、3列のダイオード直列回路11の中間接続点に三相交流を入力して、ダイオード直列回路11のプラス側とマイナス側とに整流された直流を出力する。ダイオードブリッジ10の全波整流回路から出力される直流は、図4の実線で示すように、わずかに変動するリップルを含むものではあるが、鎖線で示すように、互いに120度位相のずれた三相交流を全波整流するので、リップルは少なく、電解コンデンサで平滑化することなく、LED13を点灯できる。図2の照明装置の整流回路1は、出力側にコンデンサー8を接続しているが、このコンデンサー8は、整流回路1の出力を平滑化するための電解コンデンサではなく、静電容量が小さくて寿命の長いコンデンサー、例えば、静電容量を0.1μF〜0.5μFとするフィルムコンデンサーやセラミックコンデンサー等である。このコンデンサー8は、必ずしも必要とするものではないが、これを設けることで雑音を少なくできるなどの特徴がある。
【0026】
光源部2は、整流回路1の出力側に接続してなる複数のLED13を直列に接続してなるLED直列回路3と、このLED直列回路3と直列に接続してなるオンオフに切り換えられてLED13の電流を調整するスイッチング素子4と、このスイッチング素子4と直列に接続してなるコイル5と、スイッチング素子4をオンオフに切り換えるタイミングを制御するコントロール回路6とを備えている。
【0027】
LED直列回路3は、直列に接続するLED13の個数で、供給する最低電圧が特定される。たとえば、定格電圧を3VとするLED13を20個直列に接続すると、LED直列回路3は、少なくとも60Vの電圧を供給して、スイッチング素子4で電流をコントロールする必要がある。460Vの三相交流は、整流回路1で整流して出力電圧が600Vを超える電圧となる。したがって、この整流回路1には、定格電圧を3VとするLED13を200個直列に接続して点灯することができる。ただ、LED直列回路に直列接続するLEDの個数を多くすると、いずれかひとつのLEDが断線すると、直列に接続している全てのLEDを点灯できなくなる。したがって、LED直列回路は、たとえば10個〜100個のLEDを直列に接続して、スイッチング素子でLED直列回路の電流をコントロールする。
【0028】
図2の光源部2は、複数のLED13を回路基板に固定してなるLED直列回路3を光源ユニット18としている。光源ユニット18は、回路基板に複数のLED13を固定して直列に接続して、コネクタ19を介して、整流回路1の出力側とコイル5との間に脱着できるようにしている。光源ユニット18は、LED13が劣化して輝度が低下すると新しいものに交換される。この構造の照明装置は、LEDが劣化するとこの部分のみを交換できるので、整流回路が劣化して使用できなくなるまで、全体を交換する必要がなく、ランニングコストを低減できる。
【0029】
スイッチング素子4は、FETやトランジスタ等の半導体スイッチング素子で、オンオフに切り換えるデューティーで、LED13に流れる平均電流を制御する。図2の光源部2は、スイッチング素子4を整流回路1のマイナス側に接続している。スイッチング素子4は、オフ時間に対するオン時間を長くして、LED13の平均電流を大きく、反対にオフ時間に対するオン時間を短くして、LED13の平均電流を小さくできる。
【0030】
スイッチング素子4と直列に接続しているコイル5は、スイッチング素子4がオンに切り換えられた瞬間にLED13に流れる電流の立ち上がりを緩慢にして、LED13に流れる電流を平滑化する。コイル5がLED13の電流の立ち上がりを緩慢にする程度は、コイル5のインダクタンスで特定される。コイル5のインダクタンスを大きくして、電流の立ち上がりをより緩慢にできる。LED13の電流の立ち上がりは、スイッチング素子4をオンオフに切り換える周波数で特定される。スイッチング素子4をオンオフに切り換える周波数を低くして、オン時間を長くするほど、コイル5のインダクタンスを大きくして、電流の立ち上がりを緩慢にする必要がある。したがって、コイル5のインダクタンスは、スイッチング素子4をオンオフに切り換える周波数で最適な値に設定される。たとえば、スイッチング素子をオンオフに切り換える周波数を50kHzとする光源部にあっては、コイルのインダクタンスを1mHないし2mHとする。コイルは、インダクタンスを100μHないし10mHとして、20kHzないし1MHzの周波数でオンオフに切り換える電流を平均化できる。
【0031】
さらに、図2に示す光源部2は、スイッチング素子4とコイル5との接続点を、バイパスダイオード7を介して整流回路1のプラス側に接続している。バイパスダイオード7は、スイッチング素子4がオフに切り換えられた瞬間に、コイル5に流れていた電流を整流回路1のプラス側にバイパスしてLED13を点灯する。したがって、この光源部2は、スイッチング素子4をオフに切り換えた瞬間に、コイル5に蓄えていた電流のエネルギーでLED13を点灯でき、LED13を効率よく発光できる。コイル5に蓄えられる電流のエネルギーは、スイッチング素子4をオフに切り換える前に流れていた電流の二乗とコイル5のインダクタンスの積に比例して大きくなる。このことから、インダクタンスの大きいコイルは、蓄える電流のエネルギーが大きく、スイッチング素子をオフに切り換えた後の長い時間、LEDに電流を流して点灯する。このことは、スイッチング素子をオンオフに切り換える周波数を低くする光源部にあっては、コイルのインダクタンスを大きくすることに好都合である。すなわち、スイッチング素子の切り換え周波数を低くする光源部は、LEDを点滅する周期が長くなるので、スイッチング素子のオフ時間が長く、すなわちLEDに通電されない時間が長くなるが、大きいインダクタンスのコイルで、LEDに通電してLEDの点灯時間を長くできるからである。
【0032】
以上のように、バイパスダイオード7を備える光源部2は、スイッチング素子4をオフに切り換えた後も、コイル5に蓄える電流のエネルギーでLED13に電流を流すことができるので、LED13の電流をより平均化できる特徴がある。さらに、スイッチング素子4をオフに切り換えた直後に、コイル5に蓄えている電流のエネルギーを速やかに消費できるので、オフに切り換えた瞬間にスイッチング素子4に印加されるスパイク電圧を低くして、スイッチング素子4に耐圧の低い低コストをFETやトランジスタを使用できる。また、FETやトランジスタ等のスイッチング素子が、オフに切り換えた瞬間に発生するスパイク電圧で破損するのも防止できる。
【0033】
コントロール回路6は、スイッチング素子4を所定の周波数でオンオフに切り換えるデューティーを変更して、LED13の電流をコントロールする。コントロール回路6がスイッチング素子4をオンオフに切り換える周波数は50kHzとする。ただし、この周波数は、人間の可聴周波数よりも高く、たとえば20kHzないし1MHzとすることができる。この周波数が可聴周波数よりも低いと、騒音の原因となり、反対に高すぎるとスイッチング素子に、高い周波数に使用できる高価なものを使用する必要があって部品コストが高くなり、また電力効率も低くなる。したがって、スイッチング素子4をオンオフに切り換える周波数は、騒音とコストと効率を考慮して前述の範囲に設定される。
【0034】
コントロール回路6は、LED直列回路3に流れる電流を、あらかじめ設定している一定の電流に制御するように、スイッチング素子4をオンオフに切り換える。コントロール回路6は、LED直列回路3の電流を一定にするために、LED直列回路3の電流を検出する電流検出回路14と、この電流検出回路14の検出電流をフィードバックするフィードバック回路15を備えている。フィードバック回路15は、検出電流があらかじめ設定してる電流となるように、スイッチング素子4をオンオフに切り換えるデューティーをコントロールする。
【0035】
さらに、図2のコントロール回路6は、LED直列回路3の電流を調整してLED13の輝度をコントロールする調光回路16を備えている。調光回路16は、入力される信号で、LED直列回路3の電流を調整して、LED13の輝度をコントロールする。図の調光回路16は、明るさを検出する明るさセンサ17を備えており、この明るさセンサ17の信号でLED13の電流を調整して発光強度をコントロールしている。明るさセンサ17は、トンネルの入り口や出口の明るさを検出する。この調光回路16は、トンネルの入り口や出口が明るいときに、LED13の輝度を高くして、トンネルの内部を明るくし、反対にトンネルの入り口や出口が暗いときに、LED13の輝度を低くしてトンネルの内部の輝度を低くする。このトンネルの照明装置は、トンネルの内部と外部の明るさの変化を少なくできるので、ドライバーにトンネル内を見やすくして安全運転できる特徴がある。すなわち、昼間にトンネルの内部を明るくしてドライバーに見やすくし、夜間にはトンネルの照明を暗くして、消費電力を削減しながら、ドライバーにトンネル内を見やすくできる。
【符号の説明】
【0036】
1…整流回路
2…光源部
3…LED直列回路
4…スイッチング素子
5…コイル
6…コントロール回路
7…バイパスダイオード
8…コンデンサー
9…三相交流電源
10…ダイオードブリッジ
11…ダイオード直列回路
12…ダイオード
13…LED
14…電流検出回路
15…フィードバック回路
16…調光回路
17…明るさセンサ
18…光源ユニット
19…コネクタ
20…電源ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される三相交流電源(9)を全波整流して直流に変換して出力する整流回路(1)と、この整流回路(1)の出力側に接続してなる複数のLED(13)を直列に接続してなるLED直列回路(3)と、このLED直列回路(3)と直列に接続してなるオンオフに切り換えられてLED(13)の電流を調整するスイッチング素子(4)と、このスイッチング素子(4)と直列に接続してなるコイル(5)と、前記スイッチング素子(4)をオンオフに切り換えるタイミングを制御するコントロール回路(6)とを備えており、
前記整流回路(1)の出力側に、前記LED直列回路(3)と前記スイッチング素子(4)と前記コイル(5)との直列回路を接続しており、前記コントロール回路(6)がスイッチング素子(4)をオンオフに切り換えてLED(13)を点灯するようにしてなるトンネルの照明装置。
【請求項2】
前記コントロール回路(6)が、LED直列回路(3)に流れる電流を定電流となるようにスイッチング素子(4)をオンオフに切り換える請求項1に記載されるトンネルの照明装置。
【請求項3】
前記コントロール回路(6)が、前記LED直列回路(3)の電流を調整してLED(13)の輝度をコントロールする調光回路(16)を備えており、この調光回路(16)でLED(13)の輝度をコントロールするようにしてなる請求項1又は2に記載されるトンネルの照明装置。
【請求項4】
前記調光回路(16)が、明るさを検出する明るさセンサ(17)を備えており、明るさセンサ(17)の信号でLED(13)の電流を調整して発光強度をコントロールするようにしてなる請求項3に記載されるトンネルの照明装置。
【請求項5】
前記コイル(5)のインダクタンスが100μHないし10mHである請求項1ないし4のいずれかに記載されるトンネルの照明装置。
【請求項6】
前記コントロール回路(6)が前記スイッチング素子(4)をオンオフに切り換える周波数が20kHzないし1MHzである請求項1ないし5のいずれかに記載されるトンネルの照明装置。
【請求項7】
前記LED直列回路(3)が、複数のLED(13)を回路基板に固定してなる光源ユニット(18)で、この光源ユニット(18)を脱着自在に連結するコネクタ(19)を備えており、このコネクタ(19)に光源ユニット(18)を脱着自在に連結してなる請求項1ないし6のいずれかに記載されるトンネル照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−77009(P2011−77009A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230391(P2009−230391)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(591104295)藤崎電機株式会社 (13)
【出願人】(501497264)西日本高速道路エンジニアリング四国株式会社 (17)
【Fターム(参考)】