説明

トンネルリングとその連結方法

【課題】セグメントの種類を少なくでき、キーセグメントの切羽側からの押し込みストロークも小さくできるようにする。
【解決手段】内外周面13,14が円弧面状に形成され、トンネル軸線X方向に対して互いに逆向きの傾斜線分に沿わせて形成したトンネル周方向継手面1k,1qを備えたセグメントK,Qの複数を、継手面どうしを隣り合わせて円筒状に連結してあり、継手面の夫々が内周面13との交差箇所の法線Lに対して外周面側ほどトンネル周方向中央寄りで、なおかつ、内周面側のトンネル周方向両端縁Uを夫々通る一対の互いに平行な線分W2よりは、外周面側ほど互いに遠ざかる傾斜面に形成した複数の第1セグメントと、継手面の夫々が法線に対して内周面側ほど中央寄りに傾斜している第2セグメントQとを、第1セグメントをキーセグメントKSにしてトンネル周方向で交互に隣り合わせて連結してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内周面側と外周面側とがトンネル周方向に沿って略同芯の円弧面状に形成され、かつ、トンネル周方向両端部に、トンネル軸線方向に対して互いに逆向きに傾斜している傾斜線分に沿わせて形成してあるトンネル周方向継手面を備えているトンネル用セグメントの複数を、前記トンネル周方向継手面どうしが互いに略並行な状態で対向するようにトンネル周方向で隣り合わせて、互いに円筒状に連結してあるトンネルリング、及び、複数のトンネル用セグメントをトンネル周方向に連結することにより形成される、少なくとも一方のトンネルリング継手面が、トンネル軸線に対して傾斜している傾斜継手面に形成されるトンネルリングを、隣り合うトンネルリングに対してトンネル軸線周りで所望角度相対回転させた姿勢で連結するトンネルリングの連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル周方向で隣り合うトンネル用セグメントを、各セグメントのトンネル周方向両端部に形成したトンネル周方向継手面どうしを突き合わせて互いに円筒状に連結してあるトンネルリングにおいては、一般に、トンネル周方向で隣り合うセグメントのうちの、左右の設置済み既設セグメント間に最後に設置するセグメント(以下、キーセグメントという)を、その左右の既設セグメント間に設置するにあたって、左右の既設セグメント間に入り込ませたキーセグメントが自重で落下しないように、キーセグメントのトンネル周方向継手面の夫々を左右の既設セグメントのトンネル周方向継手面に載置支持して、キーセグメントを既設セグメントに容易に連結できるようにしてある。
つまり、キーセグメントのトンネル周方向継手面の夫々を、そのトンネル周方向継手面とセグメント内周面との交差箇所における法線に対してセグメント外周面側ほどトンネル周方向でセグメント中央寄りで、なおかつ、内周面側のトンネル周方向両端縁を夫々通る一対の互いに平行な線分よりは、外周面側ほど互いに遠ざかる傾斜面に形成してあり、左右の既設セグメント側のトンネル周方向継手面の夫々は、キーセグメントのトンネル周方向継手面に対して略平行に対向させることができるように傾斜させてある。
このため、キーセグメントを左右の既設セグメント間に入り込ませるにあたって、そのキーセグメントを左右の既設セグメント間に切羽側から押し込む必要があるが、キーセグメントの抗口側部分を左右の既設セグメント間に予めトンネル径方向から入り込ませておいて、切羽側からの短い押し込みストロークで既設セグメント間に押し込めるように、キーセグメントにおける一対のトンネル周方向継手面どうしが抗口側ほど互いに近接するように、一対のトンネル周方向継手面をトンネル軸線方向に対して互いに逆向きに傾斜している傾斜線分に沿わせて形成してあるとともに、その継手面に突き合わせる左右の既設セグメント側の一対のトンネル周方向継手面どうしが抗口側ほど互いに近接するように、一対のトンネル周方向継手面をトンネル軸線方向に対して互いに逆向きに傾斜している傾斜線分に沿わせて形成してある。
また、上記トンネルリングにおいては、トンネルの構築コストを安くする上で、トンネルリングを構成するセグメントの種類が少ないことが望ましい。
このため、従来のトンネルリングRでは、図12に例示するように、キーセグメントKSも、キーセグメントKS以外の残りのセグメントSも同じ寸法形状のセグメントTで構成して、円筒状に連結してある。
つまり、一対のトンネル周方向継手面1t(1s,1k)をトンネル軸線X方向に対して互いに逆向きに傾斜している傾斜線分に沿わせて形成してある同じ寸法形状のセグメントT(S,KS)の複数を、トンネル周方向継手面1t(1s,1k)どうしが互いに略並行に対向するようにトンネル周方向で隣り合わせて、互いに円筒状に連結できるように、トンネル周方向継手1t(1s,1k)の夫々を、そのトンネル周方向継手面1t(1s,1k)との交差箇所における内周面13又は外周面14の法線Lに沿わせて形成してある(例えば、特許文献1参照)。
また、トンネルリングの両端部に形成されるトンネルリング継手面どうしが互いに傾斜しているテーパトンネルリングは、隣り合うトンネルリングに対してトンネル軸線周りで所望角度相対回転させた姿勢で連結することにより、トンネルの曲線区間を構築したり、トンネルの延伸方向を微調整したりすることができる。
従来のテーパトンネルリングR(R1,R2)は、図13に例示するように、一対のトンネル周方向継手面1aをトンネル軸線Xに対して平行に形成してある複数のセグメントAと、一方のトンネル周方向継手面1b1をトンネル軸線Xに対して平行に形成してあり、かつ、他方のトンネル周方向継手面(以下、キーセグメント連結用継手面という)1b2をトンネル軸線Xに対して傾斜する方向に形成してある左右対称な2種類のセグメントB1,B2と、一対のトンネル周方向継手面1kをトンネル軸線X方向に対して互いに逆向きに傾斜している傾斜線分に沿わせて形成してあるキーセグメントKSとの4種類のセグメントA,B1,B2,KSをトンネル周方向で隣り合わせて円筒状に互いに連結してある。
つまり、複数のセグメントAどうしをトンネル周方向で隣り合わせて互いに連結して、トンネルリングRの下部を構築しておき、それらの連結してあるセグメントAのうちの、両端部に連結してあるセグメントAに、セグメントB1とセグメントB2とを、キーセグメント連結用継手面1b2どうしがトンネルリングの上部で互いに対向するように連結し、最後に、セグメントB1とセグメントB2のキーセグメント連結用継手面1b2にキーセグメントKSを連結してある。
そして、これら4種類のセグメントA,B1,B2,KSをトンネル周方向で順に隣り合わせて円筒状に連結することにより、各セグメントA,B1,B2,KSのトンネル軸線方向継手面2a,2b,2kどうしがトンネル周方向で隣り合うトンネルリング継手面15(15a,15b)をトンネル軸線方向両端部に形成して、そのトンネルリング継手面15を隣り合うトンネルリングRのトンネルリング継手面15に突き合わせた状態で、トンネルリングRどうしを連結可能に構成してあるとともに、少なくとも一方のトンネルリング継手面15(15a,15b)が、トンネル軸線Xに対して傾斜する方向に沿う傾斜継手面に形成されるように、各セグメントA,B1,B2,KSのトンネル軸線方向継手面2a,2b,2kを形成してある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平3−247898号公報
【特許文献2】特開平2−35195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、図12に例示する従来のトンネルリングRは、各セグメントT(S,KS)のトンネル周方向に沿う断面形状が、外周面14側のトンネル周方向長さが内周面13側のトンネル周方向長さよりも長い扇形となるので、図12(ロ)に例示するように、キーセグメントKSの抗口側部分を左右の既設セグメントS間に予めトンネル径方向から入り込ませるにあたって、キーセグメントKSの外周面14側が左右の既設セグメントSの内周面13側に接触しないように、キーセグメントKSを、その位置を切羽側にずらした姿勢でトンネル径方向から入り込ませる必要があり、その分、キーセグメントKSの切羽側からの押し込みストロークが長くなる欠点がある。
また、図13に例示する従来のテーパトンネルリングRは、例えば、図13(イ)に例示するトンネルリングR1に対して、トンネルリングR2をトンネル軸線X周りで所望角度相対回転させた姿勢で連結するにあたって、トンネルリングR1を構成しているセグメントA,B1,B2,KSと同じ寸法形状のセグメントA,B1,B2,KSで構成してあるトンネルリングR2を所望角度になるように相対回転させると、セグメントB1とセグメントB2のキーセグメント連結用継手面1b2をトンネルリング上部において互いに対向させることができず、その結果、キーセグメントKSをトンネルリング上部において連結できない場合は、図13(イ)に例示するトンネルリングR1を構成しているセグメントA,B1,B2,KSとは別の寸法形状のセグメントA,B1,B2,KSで構成してあるテーパトンネルリングR2、つまり、図13(ロ)に例示するように、トンネルの曲げ区間を所定の曲率で構築することができるように、或いは、トンネル延伸方向が所定の方向になるように微調整することができるように設置でき、しかも、キーセグメントKをトンネルリング上部において連結できるように、トンネルリングR1を構成しているセグメントA,B1,B2,KSとはトンネル軸線Xに沿う幅が異なるセグメントA,B1,B2,KSで構成してあるテーパトンネルリングR2を、図13(ハ)に示すように連結する必要があり、セグメントA,B1,B2,KSのトンネル軸線Xに沿う幅がテーパトンネルリングR1,R2毎に異なるので、セグメントの種類が増える欠点がある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、トンネルリングを構成するセグメントの種類を少なくすることができ、キーセグメントの切羽側からの押し込みストロークも小さくすることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、内周面側と外周面側とがトンネル周方向に沿って略同芯の円弧面状に形成され、かつ、トンネル周方向両端部に、トンネル軸線方向に対して互いに逆向きに傾斜している傾斜線分に沿わせて形成してあるトンネル周方向継手面を備えているトンネル用セグメントの複数を、前記トンネル周方向継手面どうしが互いに略並行な状態で対向するようにトンネル周方向で隣り合わせて、互いに円筒状に連結してあるトンネルリングであって、
前記トンネル周方向継手面の夫々が、そのトンネル周方向継手面と前記内周面との交差箇所における法線に対して外周面側ほどトンネル周方向でセグメント中央寄りで、なおかつ、内周面側のトンネル周方向両端縁を夫々通る一対の互いに平行な線分よりは、外周面側ほど互いに遠ざかる傾斜面に形成した複数の第1セグメントと、前記トンネル周方向継手面の夫々が前記法線に対して内周面側ほどトンネル周方向でセグメント中央寄りになるように傾斜している複数の第2セグメントとで構成し、前記第1セグメントの一つをキーセグメントにして、前記第1セグメントと前記第2セグメントとをトンネル周方向で交互に隣り合わせて連結してある点にある。
【0006】
〔作用及び効果〕
図2,図4,図5に例示するように、トンネル周方向継手面1kの夫々が、そのトンネル周方向継手面1kとセグメント内周面13との交差箇所における法線Lに対してセグメント外周面側ほどトンネル周方向でセグメント中央寄りで、なおかつ、内周面側のトンネル周方向両端縁Uを夫々通る一対の互いに平行な線分W2よりは、外周面側ほど互いに遠ざかる傾斜面に形成した複数の第1セグメントKと、トンネル周方向継手面1qの夫々が法線Lに対して内周面側ほどトンネル周方向でセグメント中央寄りになるように傾斜している複数の第2セグメントQとで構成してある。
つまり、第1セグメントKは、トンネル周方向継手面1kの夫々が、そのトンネル周方向継手面1kとセグメント内周面13との交差箇所における法線Lに対してセグメント外周面側ほどトンネル周方向でセグメント中央寄りで、なおかつ、内周面側のトンネル周方向両端縁Uを夫々通る一対の互いに平行な線分W2よりは、外周面側ほど互いに遠ざかる傾斜面に形成してあるので、トンネル周方向に沿う断面形状を、図12に例示した従来の扇形断面形状のセグメントTに比べて、外周面14側のトンネル周方向長さが短く、かつ、内周面13側のトンネル周方向長さが長い形状にすることができる。
また、第2セグメントQは、トンネル周方向継手面1qの夫々が法線Lに対して内周面13側ほどトンネル周方向でセグメント中央寄りになるように傾斜しているので、トンネル周方向に沿う断面形状を、図12に例示した従来の扇形断面形状のセグメントTに比べて、外周面14側のトンネル周方向長さが長く、かつ、内周面13側のトンネル周方向長さが短い形状にすることができる。
そして、第1セグメントKの一つをキーセグメントKSにして、第1セグメントKと第2セグメントQとを、図1(イ)に例示するように、トンネル周方向継手面1k,1qどうしが互いに略並行に対向するようにトンネル周方向で交互に隣り合わせて円筒状に連結してあるので、図1(ロ)に例示するように、キーセグメントとしての第1セグメントK(KS)を、そのトンネル周方向継手面1kが抗口側ほど互いに近接する姿勢で、キーセグメントKSの外周面14が左右の設置済み既設第2セグメントQの内周面13に接触しないように、予めトンネル径方向から入り込ませるにあたって、キーセグメントKSの位置を従来よりも抗口側に近づけて、トンネル径方向から入り込ませることができる。
従って、連結するべきセグメントの種類を少なくすることができ、キーセグメントの切羽側からの押し込みストロークも小さくすることができる。
尚、第1セグメントKの端面の角度を外周面側ほど中央寄りにしていき、平行位置を越えた場合には、押し込みストロークが不要となるが、キーセグメントが自重にて落下してしまうため、近接角度は平行位置を越えないことが必要となる。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記第1セグメントと前記第2セグメントの夫々がトンネル軸線方向両端部にトンネル軸線方向継手面を備えていて、前記第1セグメントと前記第2セグメントとをトンネル周方向で交互に隣り合わせて円筒状に連結することにより、前記トンネル軸線方向継手面どうしがトンネル周方向で隣り合うトンネルリング継手面をトンネル軸線方向両端部に形成して、そのトンネルリング継手面を隣り合うトンネルリングのトンネルリング継手面に突き合わせた状態で、トンネルリングどうしを連結可能に構成してあり、少なくとも一方の前記トンネルリング継手面を、トンネル軸線に対して傾斜する方向に沿う傾斜継手面に形成してある点にある。
【0008】
〔作用及び効果〕
トンネルリングの両端部に形成されるトンネルリング継手面どうしが互いに傾斜しているテーパトンネルリングを構成して、隣り合うトンネルリングに対してトンネル軸線周りで所望角度相対回転させた姿勢で連結することにより、トンネルの曲線区間を所定の曲率で構築したり、トンネル延伸方向が所定の方向になるように微調整することができる。
そして、そのテーパトンネルリングを、前述の複数の第1セグメントと複数の第2セグメントとを、第1セグメントの一つをキーセグメントにして、トンネル周方向で交互に隣り合わせて連結してあるので、テーパトンネルリングでトンネルの曲線区間を所定の曲率で構築したり、トンネルの延伸方向が所定の方向になるように微調整したりするために、隣り合うトンネルリングに対してトンネル軸線周りで所望角度相対回転させた姿勢で連結するにあたって、図13(ロ),(ハ)に示したような別途製作した別寸法のセグメントでテーパトンネルリングを構築することなく、複数の第1セグメントのうちのいずれかをトンネルリングの上部において連結するキーセグメントとするテーパトンネルリングを設置することが可能になり、テーパトンネルリングを構成するセグメントの種類を少なくすることができる。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、複数のトンネル用セグメントをトンネル周方向に連結することにより形成される、少なくとも一方のトンネルリング継手面が、トンネル軸線に対して傾斜している傾斜継手面に形成されるトンネルリングを、隣り合うトンネルリングに対してトンネル軸線周りで所望角度相対回転させた姿勢で連結するトンネルリングの連結方法であって、請求項2記載の第1セグメントと第2セグメントとを交互に連結したトンネルリングを、隣り合うトンネルリングに対してトンネル軸線周りで所望角度相対回転させた姿勢で設置し、前記第1セグメントのうちのトンネル周方向で略上部に位置させる第1セグメントをキーセグメントにして、隣り合うトンネルリングを連結する点にある。
【0010】
〔作用及び効果〕
請求項2記載の第1セグメントと第2セグメントとを交互に連結したトンネルリング、つまり、テーパトンネルリングを隣り合うトンネルリングに対してトンネル軸線周りで所望角度相対回転させた姿勢で設置し、そのテーパトンネルリングを構成する第1セグメントのうちのトンネル周方向で略上部に位置させる第1セグメントをキーセグメントにして、隣り合うトンネルリングを連結するので、図13(ロ)例示したような別途製作した別寸法のセグメントでテーパトンネルリングを構築することなく、第1セグメントをトンネルリングの略上部において連結するキーセグメントとするテーパトンネルリングを、隣り合うトンネルリングに対してトンネル軸線周りで所望角度相対回転させた姿勢で連結することができる。
すなわち、トンネル最大曲率に合わせたテーパトンネルリングをトンネル軸線周りで相対的に回転させて組み合わせることで、直線から最大曲率までの略任意のカーブに対応させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
〔第1実施形態〕
図1〜図3は、本発明によるトンネルリングRを示し、内周面13側と外周面14側とがトンネル周方向に沿って略同芯の円弧面状に形成され、かつ、トンネル周方向両端部に、トンネル軸線X方向に対して互いに逆向きに傾斜している傾斜線分に沿わせて形成してあるトンネル周方向継手面1k,1qを備えている二種類のトンネル用セグメントK,Qの複数、つまり、第1セグメントKの三つと第2セグメントQの三つとを、トンネル周方向継手面1k,1qどうしが互いに略並行に対向するようにトンネル周方向で交互に隣り合わせて、トンネル周方向両端部のトンネル周方向継手面1k,1qどうしを互いに平行に突き合わせた状態で互いに円筒状に連結してある。
【0012】
前記セグメントK,Qの夫々は、図4,図5に示すように、トンネル軸線X方向両端部のトンネル軸線方向継手面2k,2q,3k,3qを形成する互いに平行な二枚の側板
4k,4q,5k,5qと、トンネル周方向継手面1k,1qを形成する二枚の端板6k,6qと、トンネル外周面側を形成する底板7k,7qとで、平面視で略等脚台形、かつ、トンネル軸線Xに沿う方向視で円弧状に形成した金属(ダクタイル鋳鉄)製セグメント本体8k,8qを設けて構成してある。
【0013】
前記側板4k,4q,5k,5qの夫々には、トンネル軸線X方向で隣り合うセグメントとのボルト連結用のボルト孔9を貫通形成してあるとともに、端板6k,6qの夫々には、トンネル周方向で隣り合うセグメントとのボルト連結用のボルト孔9を貫通形成してある。
【0014】
前記セグメント本体8k,8qのトンネル内周側は、トンネル軸線X方向に沿う桁板10とトンネル周方向に沿う桁板11とで格子状に区画してあり、ボルト孔9が臨んでいる区画空間部分を除いて、残りの区画空間部分にコンクリート12を充填して、内周面13側と外周面14側とをトンネル周方向に沿って略同芯の円弧面状に形成してある。
【0015】
そして、図1〜図3に示すように、トンネル周方向継手面1k,1qの内周面13及び外周面14に対する交差角が互いに異なる第1セグメントKと第2セグメントQとの二種類のセグメントを、第1セグメントKの一つを左右の第2セグメントQ間に切羽側から押し込むキーセグメントKSにして、トンネル周方向で交互に隣り合わせて円筒状に連結することにより、トンネル軸線方向継手面2k,2q,3k,3qどうしがトンネル周方向で隣り合うトンネルリング継手面15(15a,15b)をトンネル軸線X方向両端部に形成して、そのトンネルリング継手面15を隣り合うトンネルリングRのトンネルリング継手面15に突き合わせた状態で、トンネルリングRどうしを連結可能に構成してある。
【0016】
また、トンネル軸線X方向で隣り合うセグメントとのボルト連結用のボルト孔9を、各トンネル軸線方向継手面2k,2q,3k,3qにおいて隣り合うボルト孔9どうしのピッチPも、トンネル周方向継手面1k,1qを挟んで隣り合うボルト孔9どうしのピッチPも同じピッチPになるように形成して、トンネル軸線X方向で隣り合うトンネルリングRどうしをピッチP単位で相対回転させた状態で、互いに連結可能に構成してある。
【0017】
つまり、第1セグメントKは、トンネル周方向継手面1kの夫々を、図4(ロ)に示すように、トンネル軸線X方向に対して互いに逆向きに傾斜している傾斜線分に沿わせて左右対称に形成してあるとともに、図2,図4(イ)に示すように、そのトンネル周方向継手面1kとセグメント内周面13との交差箇所における法線Lに対してセグメント外周面側ほどトンネル周方向でセグメント中央寄りで、なおかつ、内周面側のトンネル周方向両端縁Uを夫々通る一対の互いに平行な線分W2よりは、外周面側ほど互いに遠ざかる傾斜面に形成してある。
【0018】
具体的には、トンネル周方向継手面1kの夫々を、内周面13側のトンネル周方向両端縁Uどうしを結ぶ線分W1に対して内周面13側のトンネル周方向両端縁Uの夫々において直交する線分W2よりも、外周面14側のトンネル周方向両端縁Vがトンネル周方向外方側に突出している形状に形成してある。
【0019】
前記第2セグメントQは、図5に示すように、トンネル周方向継手面1qの夫々を、トンネル軸線X方向に対して互いに逆向きに傾斜している傾斜線分に沿わせて左右対称に形成してあるとともに、そのトンネル周方向継手面1qと内周面13との交差箇所における法線Lに対して内周面13側ほどトンネル周方向でセグメント中央寄りになるように傾斜させてある。
【0020】
そして、第1セグメントKと第2セグメントQとを、第1セグメントKの一つをキーセグメントKSにして、図3に示すように、トンネル周方向継手面1k,1qどうしを互いに略並行に対向させて、第1セグメントKはそのトンネル周方向継手面1kが抗口側ほど互いに近接する姿勢で、また、第2セグメントQはそのトンネル周方向継手面1qが切羽側ほど互いに近接する姿勢でトンネル周方向で交互に隣り合わせて、円筒状にボルト連結してある。
【0021】
〔第2実施形態〕
図6は、第1実施形態の変形例を示し、第1セグメントKの一つに代えて、第1セグメントKよりも周方向長さが短いセグメントK’と平面視で略平行四辺形のセグメントSとを介在させて円筒状に連結してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0022】
〔第3実施形態〕
図7〜図10は、本発明によるトンネルリングの別実施形態を示し、第1セグメントK(K1,K2,K3)と第2セグメントQ(Q1,Q2,Q3)とを、第1セグメントKの一つをキーセグメントKSにして、トンネル周方向で交互に隣り合わせて円筒状に連結することによりトンネル軸線X方向両端部に形成されるトンネルリング継手面15(15a,15b)の双方が、図9に示すように、トンネル軸線Xに対して互いに対向する方向に同じ角度だけ傾斜する傾斜継手面に形成されるように、第1セグメントK(K1,K2,K3)と第2セグメントQ(Q1,Q2,Q3)のトンネル軸線方向継手面2k,2q,3k,3qを形成して、テーパトンネルリングRを構成してある。
【0023】
前記トンネルリングRの最大幅となる位置、及び、最小幅となる位置は、第1セグメントK或いは第2セグメントQの中央部になるようにし、夫々のセグメントK,Qが左右対称になるようにすることで、組立に際しての取り扱いを容易にしている。
【0024】
図11は、本実施形態のトンネルリング(テーパトンネルリング)R(R1,R2)どうしを隣り合わせて、トンネル軸線X周りで所望角度相対回転させた姿勢で連結するトンネルリングの連結方法を示し、第1セグメントK(K1,K2,K3)と第2セグメントQ(Q1,Q2,Q3)とを、第1セグメントKのうちの一つ(本実施形態では第1セグメントK1)をキーセグメントKSにして、トンネル周方向で交互に隣り合わせて円筒状に連結することにより、一方のテーパトンネルリングR1を先行して設置しておく。
【0025】
次に、後続して設置する他方のテーパトンネルリング(以下、後続テーパトンネルリングという)R2が、先行して設置してある一方のテーパトンネルリング(以下、先行テーパトンネルリングという)R1に対してトンネル軸線X周りでボルトピッチP単位で所望角度相対回転させた姿勢で連結されるように、後続テーパトンネルリングR2を構成する第1セグメントKと第2セグメントQを、第1セグメントK(K1,K2,K3)のうちのトンネル周方向で略上部に位置させ、切羽側より押し込むキーセグメントKSになる第1セグメントK2を残して、後続テーパトンネルリングR1の下部を構成するセグメントから順に、トンネル軸線Xに沿う向きが交互に逆向きになるように、かつ、先行テーパトンネルリングR1のセグメントQ,Kに対して千鳥状に配置して、先行テーパトンネルリングR1のトンネルリング継手面15aに連結する。
【0026】
そして、第1セグメントKのうちのキーセグメントKSになる第1セグメントK2を、トンネル周方向で互いに対向している第2セグメントQ1と第2セグメントQ3とに連結するとともに、後続テーパトンネルリングR1のトンネルリング継手面15aに連結して、後続テーパトンネルリングR2を先行テーパトンネルリングR1に連結する。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0027】
〔その他の実施形態〕
1.本発明によるトンネルリングは、コンクリート製トンネル用セグメントの複数を円筒状に連結してあっても良い。
2.本発明によるトンネルリングは、トンネル周方向で隣り合うセグメントどうしをコーンコネクターや水平コッター式継手金物などで連結してあっても良い。
3.本発明によるトンネルリングは、第1セグメントと第2セグメントとを、トンネル周方向両端部に、トンネル軸線方向に対して互いに逆向きで、かつ、非対称にに傾斜している傾斜線分に沿わせて形成してあるトンネル周方向継手面を備えたセグメントで構成してあっても良い。
4.第2特徴構成に対応する本発明によるトンネルリングは、トンネルリングの両端部に形成されるトンネルリング継手面のうちの一方が、トンネル軸線に対して傾斜する方向に沿って形成され、他方のトンネルリング継手面は、トンネル軸線に対して直交する方向に沿って形成される片テーパトンネルリングであっても良い。
5.第2特徴構成に対応する本発明によるトンネルリングは、トンネルリングの両端部に形成されるトンネルリング継手面の夫々が、トンネル軸線に対して直交する方向に沿って形成される平行トンネルリング(直線区間用のトンネルリング)に対してトンネル軸線周りで所望角度相対回転させた姿勢で連結するために使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】トンネルリングの斜視図
【図2】トンネルリングの切羽側から見た正面図
【図3】トンネルリングの展開図
【図4】(イ)第1セグメントの抗口側から見た正面図,(ロ)第1セグメントのトンネル内面側から見た平面図
【図5】(イ)第2セグメントの抗口側から見た正面図,(ロ)第2セグメントのトンネル内面側から見た平面図
【図6】第2実施形態を示すトンネルリングの展開図
【図7】第3実施形態を示すトンネルリングの斜視図
【図8】第3実施形態を示すトンネルリングの切羽側から見た正面図
【図9】第3実施形態を示すトンネルリングの側面図
【図10】第3実施形態を示すトンネルリングの展開図
【図11】第3実施形態のトンネルリングの連結方法を示す斜視図
【図12】従来技術の説明図
【図13】従来技術の説明図
【符号の説明】
【0029】
1k 継手面
1q 継手面
13 内周面
14 外周面
K セグメント(第1セグメント)
KS キーセグメント
Q セグメント(第2セグメント)
L 法線
U 内周面側のトンネル周方向端縁
W2 線分
X トンネル軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面側と外周面側とがトンネル周方向に沿って略同芯の円弧面状に形成され、かつ、トンネル周方向両端部に、トンネル軸線方向に対して互いに逆向きに傾斜している傾斜線分に沿わせて形成してあるトンネル周方向継手面を備えているトンネル用セグメントの複数を、前記トンネル周方向継手面どうしが互いに略並行な状態で対向するようにトンネル周方向で隣り合わせて、互いに円筒状に連結してあるトンネルリングであって、
前記トンネル周方向継手面の夫々が、そのトンネル周方向継手面と前記内周面との交差箇所における法線に対して外周面側ほどトンネル周方向でセグメント中央寄りで、なおかつ、内周面側のトンネル周方向両端縁を夫々通る一対の互いに平行な線分よりは、外周面側ほど互いに遠ざかる傾斜面に形成した複数の第1セグメントと、
前記トンネル周方向継手面の夫々が前記法線に対して内周面側ほどトンネル周方向でセグメント中央寄りになるように傾斜している複数の第2セグメントとで構成し、
前記第1セグメントの一つをキーセグメントにして、前記第1セグメントと前記第2セグメントとをトンネル周方向で交互に隣り合わせて連結してあるトンネルリング。
【請求項2】
前記第1セグメントと前記第2セグメントの夫々がトンネル軸線方向両端部にトンネル軸線方向継手面を備えていて、
前記第1セグメントと前記第2セグメントとをトンネル周方向で交互に隣り合わせて円筒状に連結することにより、前記トンネル軸線方向継手面どうしがトンネル周方向で隣り合うトンネルリング継手面をトンネル軸線方向両端部に形成して、そのトンネルリング継手面を隣り合うトンネルリングのトンネルリング継手面に突き合わせた状態で、トンネルリングどうしを連結可能に構成してあり、
少なくとも一方の前記トンネルリング継手面を、トンネル軸線に対して傾斜する方向に沿う傾斜継手面に形成してある請求項1記載のトンネルリング。
【請求項3】
複数のトンネル用セグメントをトンネル周方向に連結することにより形成される、少なくとも一方のトンネルリング継手面が、トンネル軸線に対して傾斜している傾斜継手面に形成されるトンネルリングを、
隣り合うトンネルリングに対してトンネル軸線周りで所望角度相対回転させた姿勢で連結するトンネルリングの連結方法であって、
請求項2記載の第1セグメントと第2セグメントとを交互に連結したトンネルリングを、隣り合うトンネルリングに対してトンネル軸線周りで所望角度相対回転させた姿勢で設置し、
前記第1セグメントのうちのトンネル周方向で略上部に位置させる第1セグメントをキーセグメントにして、隣り合うトンネルリングを連結するトンネルリングの連結方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−46904(P2009−46904A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214792(P2007−214792)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】