説明

トンネル火災告知設備

【課題】トンネル内での火災発生を走行中の運転者に確実に知らせて二次災害を防止し、安全に避難させることを可能とする。
【解決手段】トンネル10内の走行方向に所定間隔で発煙装置18を配置し、火災検出時に、制御装置20により火災発生区画及びその進入側の区画に設置した発煙装置18を作動して発煙させる。また、トンネル内の走行方向に所定間隔で配置したフラッシュライトや旋回警告灯を設置し、火災検出時に、制御装置は火災発生区画及びその進入側の区画に設置したフラッシュライトまたは旋回警告灯を作動させても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内の火災を通行車両に知らせて緊急停止させるトンネル火災告知設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路等のトンネルには、トンネル内で発生する火災事故から人身及び車両を守るため、非常用設備が設置されている。このような非常用設備としては、火災の監視と通報のため火災検知器や非常電話が設けられ、また交通量が多く距離の長いトンネルにあっては、火災の消火や延焼防止のために消火栓装置やトンネル防護のための水噴霧ヘッドから水を散布させる水噴霧設備が設けられている。
【0003】
非常用設備のうち、火災を知らせる装置としては、センサにより火災を検知する火災検知器と、人が火災を発見した時に操作する発信機が設けられており、例えば発信機から火災検出信号を防災受信盤で受信すると、トンネル内に所定間隔で設置している火災表示灯を点滅するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−318972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように火災時に点滅する火災表示灯を設けた従来のトンネル火災告知設備にあっては、火災表示灯が点滅していてもトンネル内を走行中の運転者には火災が発生したかどうかの判断が難しく、また火災に気付いてもトンネル内での火災の発生場所が分からないため、車両を停止しないまま火災現場に向かって行く可能性があり、火災現場に近づきすぎることで急ブレーキを掛けてもそのまま進入してしまい、追突などの2次災害を誘発し、また避難時に火災により発生したNOxやSOxといった有害ガスを吸込んで健康被害を受ける可能性がある。
【0006】
本発明は、トンネル内での火災発生を走行中の運転者に確実に知らせて二次災害を防止し、安全に避難させることを可能とするトンネル火災告知設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はトンネル火災告知設備に於いて、
トンネル内の走行方向に所定間隔で配置した発煙装置と、
火災発生時に、火災発生区画の進入側の区画に設置した発煙装置を作動して発煙させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする。
【0008】
発煙装置は、消火成分を含む煙を発生させる。または発炎筒である。
【0009】
本発明によるトンネル火災告知設備の他の形態にあっては、
トンネル内の走行方向に所定間隔で配置した閃光灯と、
火災発生時に、火災発生区画の進入側の区画に設置した閃光灯を閃光させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明によるトンネル火災告知設備の他の形態にあっては、
トンネル内の走行方向に所定間隔で配置した旋回警告灯と、
火災発生時に、火災発生区画の進入側の区画に設置した旋回警告灯を作動させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする。
【0011】
本発明によるトンネル火災告知設備の他の形態にあっては、
トンネル内の走行方向に配置した照明設備と、
火災発生時に、火災発生区画の進入側の区画に設置した照明設備を消灯もしくは点滅させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明によるトンネル火災告知設備の他の形態にあっては、
トンネル内の走行方向に所定間隔で配置した音響警報装置と、
火災発生時に、火災発生区画の進入側の区画に設置した音響警報装置を作動して警報音を出力させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする。
【0013】
本発明によるトンネル火災告知設備の他の形態にあっては、
トンネル内の走行方向に所定間隔で配置され、車両に搭載されたETC装置と無線通信するETC無線装置と、
火災発生時に、火災発生区画よりも進入側に設置したETC無線装置から火災告知情報を送信して通行車両に搭載したETC装置から出力させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のトンネル火災告知設備によれば、火災発生時に、少なくとも火災発生区画よりも手前の区画に設置した発煙装置からの発煙、閃光灯(フラッシュランプ)や旋回警告灯(パトライト(R))の作動、照明設備の消灯又は点滅、スピーカからの音響警報、或いは車両搭載のETC装置に対し火災告知信号を送って火災告知情報の音声出力を行うことにより、走行車両の運転者に火災現場の手前で火災発生を告知し、火災発生現場の手前で停止させることができ、2次災害や非難時の健康被害の問題を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】発煙装置により告知する本発明によるトンネル火災告知設備の実施形態を示した説明図
【図2】フラッシュライトにより告知する本発明によるトンネル火災告知設備の他の実施形態を示した説明図
【図3】照明設備を利用して告知する本発明によるトンネル火災告知設備の他の実施形態を示した説明図
【図4】音響警報により告知する本発明によるトンネル火災告知設備の他の実施形態を示した説明図
【図5】ETCシステムを利用して告知する本発明によるトンネル火災告知設備の他の実施形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は発煙装置により火災を告知する本発明によるトンネル火災告知設備の実施形態を示した説明図であり、トンネルを平面断面として見た状態で示している。
【0017】
図1において、トンネル10はトンネル進入口12側を示しており、トンネル10を通過する道路の走行方向に沿ったトンネル壁面に一定間隔例えば50m間隔で消火栓装置14を設置している。消火栓装置14は扉内にノズル付ホースを収納しており、火災時に消火栓扉を開いてノズル付のホースを引き出し、消火栓弁開放レバーを操作することで放水を行う。消火栓装置14からのノズル付ホースは、トンネル走行方向の左右25mの範囲に放水できるように引き出すことができる。
【0018】
また消火栓装置14には、火災時に操作して火災検出信号を出力する発信機が設けられ、発信機の近くには発信機設置場所を示す火災表示灯と、発信機の押釦操作に対する応答表示を行う応答表示灯が設けられている。
【0019】
消火栓装置14の間には25m間隔で火災検出器16が設置されている。火災検出器16は例えば炎センサを使用しており、車両等の火災に伴う炎を検出して火災検出信号を出力する。消火栓装置14に設けている発信機及び応答表示灯並びに火災検出器16は、信号線により、防災センタなどに設置されている防災受信盤22に信号線接続されている。防災受信盤22は消火栓装置14に設けている発信機からの火災検出信号または火災検出器16による火災検出信号を受信した際に、火災警報を出すようにしている。
【0020】
このような消火栓装置14、火災検出器16及び防災受信盤22からなる非常用設備に加え、本実施形態にあっては、例えば消火栓装置14の近傍または消火栓装置14内に発煙装置18を設けている。発煙装置18としては例えば発煙材とヒータなどの点火装置で構成されており、点火装置は信号線により制御装置20に接続されている。
【0021】
制御装置20は防災受信盤22で火災検出信号を受信した際に、火災移報信号と火災発生場所を示す区画信号を受信し、火災発生場所を含む区画及びその前方の区画に設置している発煙装置18に点火信号を送って発煙材に点火することで、トンネル10内の走行区画に火災発生を告知するための煙を噴出させる。
【0022】
トンネル10における走行方向の区画は、例えば消火栓装置14を中心とした左右25mとなる50m単位の区画L1,L2,L3,L4,…に分けられている。このため、例えば区画L4で車両事故などにより火災が発生したとすると、その近傍に設置している火災検出器16で火災を検出するか、運転者などが近くの消火栓装置14に設けている発信機を操作することで、火災検出信号が防災受信盤22に送られ、防災受信盤22は火災検出器16または発信機からの火災検出信号を受信すると、火災警報を出すと共に、制御装置20に対し火災移報信号と火災発生場所を示す区画信号を出力する。
【0023】
これを受けて制御装置20は、火災発生場所を含む区画L4に設置している発煙装置18、及びその前方の区画L2,L3に設置している発煙装置18に点火信号を出力し、発煙装置18に設けている発煙材に点火して、トンネル10内に火災を告知するための煙18aを噴出させる。
【0024】
このような発煙装置18の作動による発煙により、トンネル進入口12から火災発生現場に侵入してくる車両の運転者は、火災発生現場より手前の区画の発煙装置18からの発煙に気付いてブレーキを掛け、火災発生現場に侵入する前に、その手前で確実に停止し、避難することができる。
【0025】
図1の実施形態で使用している発煙装置18としては、火災現場に対する発煙装置の設置場所の距離に応じて発煙量を変化させてもよい。例えば発煙装置18に複数個の発煙材を設けておき、火災現場から遠い区画L2の発煙装置18については例えば1個の発煙材筒を点火して少ない煙量とし、火災現場に近付く区画L3については例えば3個の発煙材に同時に点火して発煙量を増加し、更に火災発生現場の区画L4の発煙装置18についてはすべての発煙材に点火して最大の発煙量とするような煙量の制御を行う。
【0026】
また火災発生現場の手前となる発煙装置18を作動する区画としては、トンネル10について定めている所定の最高速度による制動停止距離だけ離れた区画の発煙装置18から火災発生現場を含む区画までの発煙装置18について点火して発煙させてもよい。これによって、最初に発煙装置18からの発煙に気付いて急制動をかけた場合に、確実に火災発生現場の手前で車両を緊急停止することが可能となる。
【0027】
運転者や避難者の視界確保のため、火災告知用の発煙は継続して発煙する必要はなく、視界の確保ができる程度に所定時間だけ発煙してもよく、間欠的に発煙させてもよい。区画の煙濃度を測定できる煙感知器を区画毎に備え、煙濃度を越えないように発煙して、視界が確保できる状態を維持するよう煙濃度を監視して煙の噴出と停止を行っても良い。
【0028】
火災発生区画に発煙することで火災の煙と一緒になって視界をより妨げてしまう恐れがある場合には、火災発生区画には発煙による火災告知を行わず、火災発生区画よりも前の区画にのみ発煙を行って、火災発生区画に向かう運転者に火災を知らせるようにしても良い。
【0029】
発煙の煙に色を付けたり、白煙に照明を照らすことにより、火災時に発生する煙の色と区別させて発煙することにより、運転者が誤って実火災の煙と判断して過剰に反応して二次災害が発生することを防ぐようにしても良い。
【0030】
発煙装置は、実火災時に消火用水を放出する水噴霧設備のヘッドから切り替えて発煙するようにしても良い。
【0031】
図1の実施形態においては、発煙する発煙装置を備えたが、これに限らず、水蒸気や、水と圧縮ガスを混合した微噴霧ヘッドで消火用水等を水噴霧設備よりも細かい粒子で噴出してもよい。水蒸気や微噴霧用のノズル等を利用して放出してから所定時間経過後に放出物が消滅して視界が確保される構成であってもよい。
【0032】
噴出する煙などは視界を確保するために例えばドライアイスのようなトンネル下面を這うように噴出して所定高さ以上に堆積させないようにしてもよい。例えばシートに座った運転者の視界高さや、車のライトの高さ以上に堆積しないよう排煙する手段を壁面の下方や道路面に設けても良い。もしくはトンネル上部にのみ堆積するよう煙を噴出させてもよく、この場合は、車の走行で噴出した煙が舞うことがなく視界の確保を継続でき、避難に支障を与えない。
【0033】
トンネル内に噴出する煙等は人体に悪影響を与えない成分のものが望ましい。
【0034】
図2はフラッシュライトにより火災を告知する本発明によるトンネル火災告知設備の他の実施形態を示した説明図である。図2において、トンネル10内に設けられた消火栓装置14及び火災検出器16は図1の実施形態と同じであり、これに対応して防災受信盤22が設けられている。
【0035】
図2の実施形態におけるトンネル火災告知設備としては、消火栓装置14の近傍、消火栓装置14の表面もしくは火災検知器16に、閃光灯としてフラッシュランプ24を設けている。フラッシュランプ24は制御装置20に信号線接続され、防災受信盤22で火災検出信号を受信した際の火災移報信号と火災発生場所を示す区画信号に基づき、対応するフラッシュランプ24を駆動して、トンネル内に閃光を間欠的に出して火災発生を告知する。
【0036】
火災発生時に作動するフラッシュランプ24としては、火災発生現場を含む区画及びその前方の1または複数の区画となる。例えば区画L4で火災が発生した場合、火災発生現場を含む区画L4のフラッシュランプ24、及びその前方の区画L2,L3のフラッシュランプ24を作動して、トンネル10内を走行してくる車両の運転者に火災発生を告知する。
【0037】
なお図2の実施形態にあってはフラッシュランプ24により火災を告知しているが、フラッシュランプ24に代えて、旋回警告灯として知られたパトライト(R)を設置し、トンネル内での火災発生を運転者に告知するようにしてもよい。
【0038】
告知の程度は区画毎に異ならせても良く、例えば火災発生区画に近づくにつれフラッシュの点滅速度を速くしても良い。
【0039】
図3は照明設備を利用して火災を告知する本発明によるトンネル火災告知設備の他の実施形態を示した説明図である。図3において、トンネル10内には図1の実施形態と同様、消火栓装置14と火災検出器16が設けられ、それぞれ防災受信盤22に信号線接続されている。
【0040】
これに加え、図3の実施形態のトンネル火災告知設備にあっては、トンネル10の走行方向天井面両側に一定間隔で設置されている警報灯などの照明装置26を利用して火災発生の告知を行う。照明装置26は例えば区画L1,L2,L3,l4,L5・・・単位に照明制御装置28に信号線接続され、区画単位に消灯または点滅といった制御ができるようにしている。
【0041】
制御装置20は、防災受信盤22から火災検出信号の受信に伴う火災移報信号及び火災発生場所を示す区画信号を受信した際に、照明制御装置28の火災発生現場を含む区画及びその前方の1または複数の区画に設置している照明装置26を消灯または点滅させて、火災発生を走行車両の運転者に告知する。
【0042】
例えば区画L4で火災が発生した場合、制御装置20は照明制御装置28に対し、区画L4の照明装置及びその前方の区画L2,L3の照明装置の点滅を指示する。これによって、区画L4の火災発生現場に侵入してくる車両の運転者は、区画L2に入ると、照明装置26による照明が点滅あるいは消灯していることで異常に気付いてブレーキをかけ、これによって火災発生現場に侵入する前に確実に停止することができる。
【0043】
図4は音響警報により火災を告知する本発明によるトンネル火災告知設備の他の実施形態を示した説明図である。図4において、トンネル10の走行方向壁面に沿って消火栓装置14と火災検出器16が設置され、それぞれ防災受信盤22に接続されている点は図1の実施形態と同じである。これに加えて図4の実施形態にあっては、消火栓装置14の表面や近傍あるいは火災検出器16などに音響警報装置としてスピーカ30を設置している。スピーカ30は制御装置20に接続されている。
【0044】
制御装置20は防災受信盤22から火災移報信号及び火災発生場所を示す区画信号を受信すると、例えば火災が発生した区画L4及びその前方の区画L2,L3に設置しているスピーカ30に対し火災発生を知らせるための音響警報信号を出力して、警報音をトンネル10内に出力させる。
【0045】
スピーカ30から出力する警報音としては、通常時では聴くことのない例えば破裂音、ブザー音、水が流れる音、サイレン音など、適宜の異常を知らせる音響出力を行う。また警報音として火災発生を示す音声メッセージの出力を行うようにしてもよい。火災区画までの距離をメッセージに含ませても良い。
【0046】
図5はETCシステムを利用して火災告知を行う本発明によるトンネル火災告知設備の他の実施形態を示した説明図である。図5において、トンネル10には一定間隔で消火栓装置14と火災検出器16が設置されており、それぞれ防災受信盤22に信号線接続されている。
【0047】
本実施形態にあっては、トンネル10内の天井側の走行方向に沿って消火栓装置14で決まる区画L1,L2,L3,L4,…ごとに、車両検知器32と路側無線装置32を設置し、それぞれETC処理装置36に信号線接続している。
【0048】
車両検知器32はトンネル10内を走行する車両を例えば0.5mといった高精度で検出する。車両検知器32による車両検出信号はETC処理装置36に送られ、この車両検出信号を受けてETC処理装置36は、路側無線装置34に車両搭載ETC装置に送信する電文を出力し、路側無線装置34がETC処理装置36から受信した電文を通過車両に対し送信し、車両搭載ETC装置で必要な処理を行わせる。
【0049】
ETC処理装置36は制御装置20に接続されている。制御装置20は防災受信盤22で火災検出信号を受信したときの火災移報信号と火災発生場所を示す区画信号を受信すると、ETC処理装置36に告知制御情報として告知区画を示す信号を出力する。
【0050】
これを受けてETC処理装置36は、火災発生場所例えば区画L4及びその前方の区画L2,L3に設置している車両検知器32から車両検出信号を受けた際に、路側無線装置34に対し火災告知電文を出力し、この火災告知電文は路側無線装置34から無線送信されて、車両検出器32で検出された通過車両のETC装置に受信させ、車両搭載ETC装置で火災告知電文を復調し、トンネル内の前方で火災が発生していることを音声メッセージにより運転者に知らせる。
【0051】
ここで火災発生現場に対する車両検知器32の設置場所がある程度特定できていることから、例えば区画L2の車両検出器32で通過車両を検出した際の路側制御装置34からの火災告知電文には、火災発生場所として約300m先を示す距離情報を含め、路側無線装置34からの火災告知電文を受信した車両搭載ETC装置では、例えば「前方約300mで火災が発生しています。緊急停止してください」といった音声メッセージを出力する。
【0052】
また車両搭載ETC装置としては、路側無線装置34からの火災告知情報を示すコード番号に対応して火災告知の音声メッセージを予めメモリに記憶しており、火災告知コードを受信解読すると、メモリから火災告知メッセージを呼出再生して音声出力するようになる。
【0053】
なお、上記の実施形態にあっては、トンネル内を通過する車両の運転者に火災発生を告知する装置として、発煙装置18、フラッシュランプ24、パトライト(R)、照明装置26、スピーカ30またはETCシステムを用いる場合を例にとっているが、これらの告知のための装置の複数の組合せをトンネルに設置することで、更に確実に火災発生現場の手前で、侵入した車両を停止させることができる。
【0054】
また、図1の実施形態に示した発煙装置18としては、発煙材に代え固形消火剤を使用し、固形消火剤を点火装置により燃焼させて、消火成分を含むエアロゾルを煙として発生させるようにしてもよく、火災告知装置を消火装置として兼用しても良い。また、図1の発煙装置18としては、燃焼により光と煙を出す車両事故などで使用する発炎筒を使用しても良い。
【0055】
また、上記の実施形態はトンネル走行方向に沿って一定間隔で消火栓装置14と火災検出器16を設置した通行量及び距離の長いトンネルの設置例を例に取るものであったが、例えば2km以下で交通量の比較的少ない火災検知器が設置されていないトンネルについても同様に適用することができる。このような短い交通量の少ないトンネルにあっては、火災検出器16が設けられていないことから、消火器や火災発信機などの操作による火災検出信号により、発煙装置18、フラッシュランプ24、照明装置26、スピーカ30あるいはETCシステムを作動させて火災発生を告知することになる。
【0056】
また、水噴霧設備が設置された通行量の多い比較的長いトンネルについても、図1〜図5に示した火災告知設備を、水噴霧ヘッドからの放水に先立って行う放水予告のための設備として利用することもできる。これによって、火災発生により水噴霧が行われた火災発生現場の手前で走行車両を確実に停止させることが可能となる。
【0057】
また、図5の実施形態にあっては、車両検知器32と路側無線装置34を設けることで通過車両を検知してETC通信を行うようにしているが、車両検知器32は設けずに路側無線装置34のみとし、火災時には連続して火災告知電文を無線送信するようにしても良い。
【0058】
路側無線装置34は、トンネル内に限らず、トンネル入口もしくは入口より前方に設けて、トンネル内への進入を防ぐようにしても良い。
【0059】
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0060】
10:トンネル
12:トンネル進入口
14:道路
16:予告放水ヘッド
18:発煙装置
20:制御装置
22:防災受信盤
24:フラッシュランプ
26:照明装置
28:照明制御装置
30:スピーカ
32:車両検知器
34:路側無線装置
36:ETC処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内の走行方向に所定間隔で配置した発煙装置と、
火災発生時に、火災発生区画の進入側の区画に設置した前記発煙装置を作動して発煙させる制御装置と、
を設けたことを特徴とするトンネル火災告知設備。
【請求項2】
請求項1のトンネル火災告知設備に於いて、
前記発煙装置は、消火成分を含む煙を発生させることを特徴とするトンネル火災告知設備。
【請求項3】
請求項1のトンネル火災告知設備に於いて、
前記発煙装置は、発炎筒であることを特徴とするトンネル火災告知設備。
【請求項4】
トンネル内の走行方向に所定間隔で配置した閃光灯と、
火災発生時に、火災発生区画の進入側の区画に設置した前記閃光灯を閃光させる制御装置と、
を設けたことを特徴とするトンネル火災告知設備。
【請求項5】
トンネル内の走行方向に所定間隔で配置した旋回警告灯と、
火災発生時に、火災発生区画の進入側の区画に設置した前記旋回警告灯を作動させる制御装置と、
を設けたことを特徴とするトンネル火災告知設備。
【請求項6】
トンネル内の走行方向に配置した照明設備と、
火災発生時に、火災発生区画の進入側の区画に設置した前記照明設備を消灯もしくは点滅させる制御装置と、
を設けたことを特徴とするトンネル火災告知設備。
【請求項7】
トンネル内に所定間隔で配置した音響警報装置と、
火災発生時に、火災発生区画の進入側の区画に設置した前記音響警報装置を作動して警報音を出力させる制御装置と、
を設けたことを特徴とするトンネル火災告知設備。
【請求項8】
車両に搭載されたETC装置と無線通信するETC無線装置と、
火災発生時に、火災発生区画よりも進入側に設置した前記ETC無線装置から火災告知情報を送信して通行車両に搭載したETC装置から出力させる制御装置と、
を設けたことを特徴とするトンネル火災告知設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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