説明

トンネル防災設備における防災受信盤

【課題】 防災受信盤の表示部に表示される故障画面や履歴画面に表示される発生イベントのうちで、必要な発生イベントを容易に探し出すことができ、状況の把握が容易であるトンネル防災設備における防災受信盤を提供することを目的とするものである。

【解決手段】 防災受信盤の表示部に表示される故障画面や履歴画面に表示されている発生イベントのうちで、特定の日時や種別等に絞って発生イベントを表示するトンネル防災設備における防災受信盤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内の各部に配置されている複数の端末機器に、伝送線を介して接続され、上記複数の端末機器を監視制御するトンネル防災設備における防災受信盤に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来のトンネル防災設備における防災受信盤200における画面例を示す図である。
【0003】
従来の防災受信盤200は、現在発生している故障機器を表示する故障画面、過去に発生したイベントを表示する履歴画面を、CRT等の表示部220に表示し、それらのイベントは、その発生順に時系列で表示している。
【特許文献1】特開2002―233589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のトンネル防災設備では、防災受信盤200におけるCRT等の表示部220に表示する故障画面や履歴画面に表示される項目が、多数存在し、特に履歴画面では、総表示点数が16000点以上あり、発生イベントが時系列に表示されているので、この中で必要とする特定のイベントを、目視で探し出すことは、非常に困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、防災受信盤の表示部に表示される故障画面や履歴画面に表示される発生イベントのうちで、必要な発生イベントを容易に探し出すことができ、状況の把握が容易であるトンネル防災受信盤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、トンネル内の各部に配置されている複数の端末機器に、伝送線を介して接続され、上記複数の端末機器を監視制御するトンネル防災設備における防災受信盤において、上記複数の端末機器の監視制御に関するイベントと上記防災受信盤または上記トンネル防災設備全体の状態変化に関するイベントとによって構成される発生イベントを表示する表示手段と、上記発生イベントを所定数記憶する記憶手段と、上記記憶手段に記憶されている所定数の発生イベントのうちで、所定の種別または所定の日時に含まれている発生イベントを抽出するイベント抽出手段とを有することを特徴とするトンネル防災設備における防災受信盤である。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1において、上記イベント抽出手段が抽出した発生イベントを、所定の記憶媒体に書き出す書き出し手段を有することを特徴とするトンネル防災設備における防災受信盤である。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2において、上記イベント抽出手段は、日時、イベント種別、機器種別の少なくとも1つの項目を指定して、必要な発生イベントを抽出する手段であることを特徴とするトンネル防災設備における防災受信盤である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、防災受信盤の表示部に表示される故障画面や履歴画面に表示される発生イベントのうちで、特定の日時や種別等に絞って発生イベントを表示するので、必要な発生イベントを容易に探し出すことができ、状況の把握が容易であるという効果を奏する。
【0010】
また、請求項2記載の発明によれば、抽出した表示を所定のメディアに保存し、この保存されたメディアを現地から送ってもうことによって、発生事象の解析が容易であり、迅速な対応が可能であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例である。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1であるトンネル防災設備における防災受信盤100の内部構成を示すブロック図である。
【0013】
トンネル防災設備における防災受信盤100は、防災受信盤のCRTに発生イベントの故障表示や履歴表示を行い、また、所定の特定のイベントに限定して表示し、任意のメディアに保存する機能を有する。
【0014】
また、トンネル防災設備における防災受信盤100は、主制御部10と、表示・操作部20と、書込・読込装置30と、他設備通信部40と、端末機器伝送部50とを有する。
【0015】
主制御部10は、イベント抽出処理部11と、履歴表示処理部12と、故障表示処理部13と、保存制御部14とを有する。
【0016】
イベント抽出処理部11は、表示・操作部20に表示されている項目データから選択された抽出項目データと、履歴表示処理部12と故障表示処理部13とから渡された表示データとを比較し、該当する表示データを、表示・操作部20へ送信し、また、バッファリング(保存)する。
【0017】
また、履歴表示処理部12は、主制御部10の内部において、発生イベント情報を通信のデータ形式でバッファリングする。そのイベントデータを、内部の表示文字列データベースと照合し、発生日時、イベント名称、種別名称、機器種別名称等を文字列に変換し、この変換されたデータをイベント抽出処理部11へ渡す。
【0018】
また、故障表示処理部13は、その機能は、履歴表示処理部12の機能とほぼ同じであり、データ変換するが、故障イベントの発生をバッファリングし、復帰イベントによって故障データを削除する。この故障データ削除時には、イベント抽出処理部11へ表示消去データを渡す点が、履歴表示処理部12とは異なる。
【0019】
また、保存制御部14は、表示・操作部20で保存が選択されると、イベント抽出処理部11へ、バッファリングしているデータを要求し、イベント抽出処理部11から渡されたデータを、所定のファイル形式(テキスト形式等)に変換し、この変換されたデータを書込・読込装置30へ送信する。
【0020】
表示・操作部20は、タッチパネルLCDまたはCRTおよびマウス等からなる状態表示や操作入力が行われるものである。
【0021】
書込・読込装置30は、記録媒体にイベントを書き込み、外部へ持ち出すことができるものであり、記憶媒体に応じて、フロッピー(登録商標)ドライブ、CD−Rドライブ、DVDドライバ等を使用する。
【0022】
他設備通信部40は、トンネル防災設備に関わる設備、たとえば、消火ポンプ設備、ITV設備、空調設備等、制御盤との間で通信し、情報を入出力するものである。
【0023】
端末機器伝送部50は、トンネル内端末機器としての火災検知器や信号変換器(消火栓や自動弁に付加される)等、伝送線Sを介して監視制御するものである。
【0024】
発生イベントの種別は、端末機器の監視制御に関連する設備、たとえば手動通報、火災検知器等であり、または、防災受信盤またはトンネル防災設備全体の状態変化に関連する設備、たとえば遠方監視制御装置、消火ポンプ等であり、それら全てが、動作、故障、操作、制御等の発生、復帰の全イベントを表示する履歴表示と、故障イベントのみを表示する故障表示として、表示・操作部20に、時系列で表示される。この時系列に表示された16000点のイベント表示の中から、必要とする発生イベントを簡単に見つけるために、イベント抽出処理部11が、特定の機器種別、日時に絞り込んで、発生イベントを表示させる。
【0025】
抽出項目は、トンネルのチューブ単位、または、動作、故障、操作、試験、伝送異常、幹線補償、その他履歴、防災盤、中継盤、中継増幅盤、検知器、変換器、手動通報、消火栓、水噴霧、その他機器、配水系の単位、日付等の項目である。
【0026】
抽出する項目を、表示・操作部20を介して、作業員が選択すると、イベント抽出処理部40が、表示に必要な項目を選別処理し、この選別処理された発生イベントを、表示・操作部20に表示する。
【0027】
たとえば、2004年8月16日に発生した火災検知器の動作イベントを抽出する場合、表示・操作部20に表示されているメニューの中から、「2004年8月16日」、「検知器」、「動作」を、抽出項目として選択すると、主制御部10は、その選択内容をイベント抽出処理部11に通知する。イベント抽出処理部11は、選択項目に該当する発生イベントを、履歴表示処理部12と故障表示処理部13とから選び出し、この選び出された情報を、主制御部10に通知することによって履歴表示され、必要なイベントを容易に得ることができる。
【0028】
また、抽出項目を選択中に、表示・操作部20を介して、保存操作を行うと、主制御部10が、現在抽出している情報を、イベント抽出処理部11に抽出させ、この抽出されたイベントだけを、保存制御部14が書込・読込装置30に出力させ、たとえばフロッピー(登録商標)ディスク等のメディアに保存する。
【0029】
なお、上記実施例では、発生イベントは、履歴表示処理部12と故障表示処理部13とに、それぞれ保存するが、どちらか一方のみに保存するようにしてもよく、たとえば、発生イベント全体を履歴表示処理部12に保存し、故障表示処理部13は、履歴表示処理部12内のイベント全体から故障に関するイベントを抽出して表示するようにしてもよい。また、表示処理部として一体にしてもよい。
【0030】
図2は、防災受信盤100において、抽出された発生イベントを、表示・操作部20の一例であるCRTに表示している状態の具体例を示す図である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1であるトンネル防災設備における防災受信盤100の内部構成を示すブロック図である。
【図2】防災受信盤100において、抽出された発生イベントを、CRTに表示している状態の具体例を示す図である。
【図3】従来のトンネル防災設備における防災受信盤200における画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
100…トンネル防災設備における防災受信盤、
10…主制御部、
11…イベント抽出処理部、
12…履歴表示処理部、
13…故障表示処理部、
14…保存制御部、
20…表示・操作部、
30…書込・読込装置、
40…他設備通信部、
50…端末機器伝送部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内の各部に配置されている複数の端末機器に、伝送線を介して接続され、上記複数の端末機器を監視制御するトンネル防災設備における防災受信盤において、
上記複数の端末機器の監視制御に関するイベントと、上記防災受信盤または上記トンネル防災設備全体の状態変化に関するイベントとによって構成される発生イベントを表示する表示手段と;
上記発生イベントを所定数記憶する記憶手段と;
上記記憶手段に記憶されている所定数の発生イベントのうちで、所定の種別または所定の日時に含まれている発生イベントを抽出するイベント抽出手段と;
を有することを特徴とするトンネル防災設備における防災受信盤。
【請求項2】
請求項1において、
上記イベント抽出手段が抽出した発生イベントを、所定の記憶媒体に書き出す書き出し手段を有することを特徴とするトンネル防災設備における防災受信盤。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
上記イベント抽出手段は、日時、イベント種別、機器種別の少なくとも1つの項目を指定して、必要な発生イベントを抽出する手段であることを特徴とするトンネル防災設備における防災受信盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−106835(P2006−106835A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288557(P2004−288557)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】