説明

ドアロック装置

【課題】従来よりコンパクト化可能なドアロック装置を提供する。
【解決手段】本発明のドアロック装置10では、キーシリンダに対するキー操作力をアクティブレバー25に伝達するキー操作伝達部材32が、アクティブレバー25と共通の回動軸を中心に回動するように配置されている。また、キー操作伝達部材32とアクティブレバー25に力を伝達するための第1可動当接部31Tを有した第1扇形突部31Aと第2可動当接部32Tを有した第2扇形突部32Cとが、キー操作伝達部材32とアクティブレバー25の共通の回動軸回りに配置されているので、それら第1及び第2の可動当接部31T,32Tの回動スペースが共通の回動軸回りの円形領域内に納まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに内蔵されて、ドアに備えたキーシリンダに対するキー操作によってドアをロック及びロック解除可能なドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図14に示した従来のドアロック装置は、モータの動力によってアクティブレバー2をロック位置とアンロック位置とに回動して、ドアをロック及びロック解除することができるようになっている。このドアロック装置には、ドアに備えたキーシリンダ(図示せず)のキー操作によって回動する扇形のキー操作伝達部品3がアクティブレバー2の側方に設けられている。そして、キーシリンダのキー操作によってもアクティブレバー2がロック位置とアンロック位置とに切り替わるようにキー操作伝達部品3からアクティブレバー2にキー操作力が伝達される。また、キーシリンダがキー操作せずに中立位置から動くことがないようにするために、アクティブレバー2からキー操作伝達部品3へは力が伝達されないようになっている。具体的には、キー操作伝達部品3が有する1対の当接部突部4,4の間にアクティブレバー2から延びた係合アーム5の先端部が受容されている。そして、キー操作伝達部品3をキーシリンダに対するキー操作によってキーロック位置とキーアンロック位置とに回動すると、係合アーム5が何れかの当接部突部4に押されてアクティブレバー2がロック位置とアンロック位置とに回動する。一方、キー操作伝達部品3が中立位置に配置された状態で、アクティブレバー2がロック位置とアンロック位置とに回動しても、係合アーム5は当接部突部4,4を押さずにそれら当接部突部4,4の間で回動し、キー操作伝達部品3が中立位置に保持されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−138453号公報(図1、図8、段落[0067]〜[0069])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したドアロック装置では、横並びに配置されたアクティブレバー2とキー操作伝達部品3との設置スペースに、キー操作伝達部品3と係合アーム5の両回動スペースを足し合わせた広いスペースの確保が必要になり、ドアロック装置のコンパクト化の妨げになっていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来よりコンパクト化可能なドアロック装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るドアロック装置は、車両のドアに内蔵され、ドアの車内面に備えたロック操作部と一体に作動する線状部材が連結されて、ロック操作部に対する操作力を受けて回動すると共に、電気駆動源としてのモータからの動力を受けて回動し、ドアをロックするロック位置とドアをアンロックするアンロック位置との間を移動するアクティブレバーと、ドアに備えたキーシリンダに対するキー操作力を受けてキーロック位置とキーアンロック位置との間で回動し、キーロック位置まで回動したときにアクティブレバーをロック位置へと連動回動させる一方、キーアンロック位置まで回動したときにアクティブレバーをアンロック位置へと連動回動させるようにキー操作力をアクティブレバーに伝達するキー操作伝達部品とを備えたドアロック装置において、アクティブレバーとキー操作伝達部品とは、共通の回動軸を中心に回動するように配置され、アクティブレバー及びキー操作伝達部品の何れか一方に設けられて、それらの共通の回動軸回りに配置された第1可動当接部と、他方に設けられて、共通の回動軸回りで第1可動当接部に対して所定の回動隙間を介して配置された第2可動当接部とを備え、キー操作伝達部品がキーロック位置とキーアンロック位置との中間の中立位置に配置された状態で、アクティブレバーをロック位置とアンロック位置の何れに回動しても第1可動当接部が第2可動当接部との間の回動隙間の範囲で第2可動当接部に対して相対的に回動して、アクティブレバーからキー操作伝達部品への力の伝達が遮断される一方、キー操作伝達部品を中立位置からキーロック位置及びキーアンロック位置に回動したときには、第2可動当接部が第1可動当接部との間の回動隙間を超えて第1可動当接部に対して相対的に回動することで、キー操作伝達部品からアクティブレバーにキー操作の力が伝達されるところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明に係るドアロック装置は、車両のドアに内蔵され、ドアを車両に対して閉じた状態に保持可能なラッチユニットと、車両のドアに内蔵され、ラッチユニットに対して係合可能なロック位置と係合不能なアンロック位置とに移行することでドアをロックするオープンリンクとを備え、オープンリンクのロック位置とドアをアンロックするアンロック位置とを規定するアクティブレバーと、ドアに備えたキーシリンダに対するキー操作力を受けてキーロック位置とキーアンロック位置との間で回動し、キーロック位置まで回動したときにアクティブレバーをロック位置へと連動回動させる一方、キーアンロック位置まで回動したときにアクティブレバーをアンロック位置へと連動回動させるようにキー操作力をアクティブレバーに伝達するキー操作伝達部品とを備えたドアロック装置において、アクティブレバーとキー操作伝達部品とは、共通の回動軸を中心に回動するように配置され、アクティブレバー及びキー操作伝達部品の何れか一方に設けられて、それらの共通の回動軸回りに配置された第1可動当接部と、他方に設けられて、共通の回動軸回りで第1可動当接部に対して所定の回動隙間を介して配置された第2可動当接部とを備え、キー操作伝達部品がキーロック位置とキーアンロック位置との中間の中立位置に配置された状態で、アクティブレバーをロック位置とアンロック位置の何れに回動しても第1可動当接部が第2可動当接部との間の回動隙間の範囲で第2可動当接部に対して相対的に回動して、アクティブレバーからキー操作伝達部品への力の伝達が遮断される一方、キー操作伝達部品を中立位置からキーロック位置及びキーアンロック位置に回動したときには、第2可動当接部が第1可動当接部との間の回動隙間を超えて第1可動当接部に対して相対的に回動することで、キー操作伝達部品からアクティブレバーにキー操作の力が伝達されるところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のドアロック装置において、アクティブレバー及びキー操作伝達部品の何れか一方には、それらの共通の回動軸回りの180度離れた2位置に1対の第1扇形突部が設けられて、それら各第1扇形突部の両側面が第1可動当接部とされる一方、他方には、共通の回動軸回りの180度離れた2位置に1対の第2扇形突部が設けられて、それら各第2扇形突部の両側面が第2可動当接部とされ、共通の回動軸回りに第1扇形突部と第2扇形突部とが交互に配置されたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1及び2のドアロック装置では、キーシリンダに対するキー操作力をアクティブレバーに伝達するキー操作伝達部品が、そのアクティブレバーと共通の回動軸を中心に回動するように配置されているので、これらアクティブレバーとキー操作伝達部品とが異なる回動軸を中心に回動するように配置された従来のものに比べ、ドアロック装置のコンパクト化が可能になる。また、キー操作伝達部品とアクティブレバーに力を伝達するための第1可動当接部と第2可動当接部とが、キー操作伝達部品とアクティブレバーの共通の回動軸回りに配置されているので、それら第1可動当接部及び第2可動当接部の回動スペースが共通の回動軸回りの円形領域内に収まる。この点においても、ドアロック装置のコンパクト化が可能になる。
【0010】
また、請求項3の構成によれば、キー操作伝達部品をキーロック位置に回動したときには、1対の第1扇形突部の各一方の側面に配置された1対の第1可動当接部が、1対の第2扇形突部の各一方の側面に配置された1対の第2可動当接部にそれぞれ面当接し、キー操作伝達部品をキーアンロック位置に回動したときには、1対の第1扇形突部の各他方の側面に配置された1対の第1可動当接部が、1対の第2扇形突部の各他方の側面に配置された1対の第2可動当接部にそれぞれ面当接する。このように、本発明では、キー操作伝達部品からアクティブレバーにキー操作の力を伝達するために、1対の第1可動当接部と1対の第2可動当接部とが面当接するので、1つだけの第1可動当接部と1つだけの第2可動当接部とが面当接するものや、第1と第2の可動当接部が点当接や線当接するものに比べて、第1と第2の可動当接部にかかる負担が軽減され、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るドアロック装置の斜視図
【図2】アンラッチ状態のドアロック装置の側面図
【図3】フルラッチ状態のドアロック装置の側面図
【図4】ドアロック装置のカバーを外した状態の表側の斜視図
【図5】アンロック状態でアウトサイドオープンレバーが無作動位置に配置された状態のドアロック装置の正面図
【図6】アンロック状態でアウトサイドオープンレバーが作動位置に配置された状態のドアロック装置の正面図
【図7】ロック状態でアウトサイドオープンレバーが無作動位置に配置された状態のドアロック装置の正面図
【図8】ロック状態でアウトサイドオープンレバーが作動位置に配置された状態のドアロック装置の正面図
【図9】ワイヤーが結合した状態のドアロック装置の正面図
【図10】キー操作伝達部材とアクティブレバーの斜視図
【図11】ドアロック装置の側面側の斜視図
【図12】ドアロック装置の分解斜視図
【図13】ドアロック装置の分解斜視図
【図14】従来のドアロック装置における主要部品の正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図13に基づいて説明する。図1には、本発明のドアロック装置10の全体が示されている。ドアロック装置10は、例えば、略直角に屈曲した支持ボディ11に複数の部品を回動可能に支持してなる。そして、支持ボディ11のうち屈曲部分より一方側の第1外面11Aが、例えば、車両の右横に配置された回動式のドア(図示せず)における回動中心と反対側の端部壁に内面から宛われて固定される。
【0013】
支持ボディ11の第1外面11Aには、水平方向に延びたストライカ受容溝12が開口している。また、ストライカ受容溝12の一端のストライカ受容口12Kは、支持ボディ11のうち屈曲部分を挟んで第1外面11Aと反対側の第2外面11Bに開口している。そして、ドアに形成された切り欠き孔を通してストライカ受容溝12がドアの外部に露出し、車両本体のドア枠の内面に備えたストライカ15(図2参照)が、ドアを閉めた際に、ストライカ受容口12Kからストライカ受容溝12内に進入するようになっている。
【0014】
ストライカ15全体は、例えば断面円形の線材を屈曲させた門形構造をなし、その門形構造の1対の脚部がドア枠の内面から突出しかつ内外方向に並べられている。そして、ストライカ15の1対の脚部のうち外寄りに配置された一方の脚部に、次述するラッチ13が係合する。なお、図2及び図3には、ストライカ15のうちラッチ13と係合する部分のみが示されている。
【0015】
図1に示すように、支持ボディ11の第1外面11Aには、蓋体11Fが備えられ、その蓋体11Fより内側に図2及び図3に示したラッチ13及びラチェット14(「ポール」と呼ばれることもある)が組み付けられている。図2に示すように、ラッチ13は、互いに平行になった第1と第2の係止爪13A,13Bを有し、それら第1と第2の係止爪13A,13Bの間がストライカ受容部13Cになっている。そして、ラッチ13のうち第1と第2の係止爪13A,13B同士を連絡する部分に備えたラッチ回動軸13Jが、支持ボディ11におけるストライカ受容溝12より上側部分に回動可能に支持されて、ラッチ13が支持ボディ11の第1外面11Aと平行な面内で回動する。
【0016】
また、ラッチ13は、支持ボディ11との間に設けた図示しないトーションバネによりアンロック方向(図2の時計回り方向)に付勢されている。そして、ドアを開けた状態では、ラッチ13に備えたストッパ当接部13Dと支持ボディ11に備えたストッパ11Xとの当接によりラッチ13がアンラッチ位置(図2に示した位置)に位置決めされる。
【0017】
そのアンラッチ位置では、第1係止爪13Aがストライカ受容溝12の上方に退避しかつ、第2係止爪13Bがストライカ受容溝12を横切った状態になり、ストライカ受容部13Cの開口端がストライカ受容溝12のストライカ受容口12K側を向く。そして、ストライカ受容溝12に進入したストライカ15がストライカ受容部13C内に受容されると共に、ストライカ15が第2係止爪13Bを押してラッチ13がロック方向(図2における反時計回り方向)に回動する。これにより、図3に示すように、ストライカ受容溝12のうちストライカ15よりストライカ受容口12K側が第1係止爪13Aによって塞がれて、ラッチ13がストライカ15と噛み合った状態になる。
【0018】
ラチェット14は、ラッチ13をストライカ15と噛み合った状態に保持するためのものであり、支持ボディ11のうちストライカ受容溝12より下方位置に配置されたラチェット回動軸14Jを中心にしてラッチ13と同じ平面内で回動する。また、ラチェット14は、ラチェット回動軸14Jからラッチ回動規制片14Aとストッパ片14Bとを相反する方向に突出させて備えている。さらに、ラチェット14は、支持ボディ11との間に取り付けられた図示しないトーションバネによってラチェット14が図2における反時計回り方向に付勢されている。これにより、ラチェット14は、通常は、ストッパ片14Bが支持ボディ11に備えたラチェットストッパ11Dに当接した原点位置に位置決めされている。この原点位置で、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aとラッチ13の第1係止爪13A及び第2係止爪13Bとが干渉し、ラチェット14が原点位置から時計回りに回動してリリース位置に至ると、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aとラッチ13の第1係止爪13A及び第2係止爪13Bとが干渉しなくなる。
【0019】
ドアを開いた状態から閉じると、以下のようにしてラチェット14がラッチ13に係合する。ドアが閉じられると、ストライカ15に押されて回動するラッチ13の第2係止爪13Bと第1係止爪13Aとが順次、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aを押し下げて通過する。そして、ドアがドア枠との間の防音部材を最大限に押し潰した位置に至ると、ラッチ13は、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aから第2係止爪13Bが僅かに離間したオーバーストローク位置に至り、これにより、ラチェット14は原点位置に戻る。そして、防音部材の弾発力でドアが押し戻されると、ラッチ13の第1係止爪13Aに対し、ストライカ受容部13Cの反対側からラチェット14のラッチ回動規制片14Aが突き当たり、ラッチ13がフルラッチ位置に位置決めされる。これにより、ラッチ13のロック解除方向への回動が規制されたラッチホールド状態になり、ドアが全閉状態に保持される。
【0020】
ラチェット14によるラッチ13の回動規制は、ドアの外面に備えた図示しないアウトサイドドアハンドルと、ドアの車内面に備えた図示しないインサイドドアハンドルとの何れかによって解除することができる。それらアウトサイドドアハンドル及びインサイドドアハンドルからの操作力をラチェット14に伝達するために、図4に示したリフトレバー16が、ラチェット回動軸14Jに一体回転可能に取り付けられている。
【0021】
具体的には、ラチェット回動軸14Jは、支持ボディ11のうち蓋体11Fと対向するベース壁11C(図2参照)を貫通した状態で支持ボディ11に回動可能に支持されていて、そのラチェット回動軸14Jのうちベース壁11Cの裏面側に突出した端部に図4に示したリフトレバー16が一体回転可能に固定されている。
【0022】
リフトレバー16は、ラチェット回動軸14Jからストライカ受容溝12(図2参照)のストライカ受容口12K側(以下、これを「前側」といい、その反対側を「後側」という)に延び、先端部がラチェット回動軸14Jの軸方向に折り曲げられて先端当接部16Bになっている。
【0023】
ラチェット回動軸14Jより下方には、ラチェット回動軸14Jと平行にアウトサイドオープンレバー回動軸17Jが設けられ、そのアウトサイドオープンレバー回動軸17Jにアウトサイドオープンレバー17が回動可能に支持されている。
【0024】
アウトサイドオープンレバー17には、アウトサイドオープンレバー回動軸17Jから前側に突出した支持アーム17Aと、アウトサイドオープンレバー回動軸17Jから後側に突出した操作アーム17Dとが備えられている。そして、アウトサイドオープンレバー17は、図示しないストッパによって回動範囲を規制され、図4、図5及び図7に示された無作動位置と、その無作動位置より所定角だけ支持アーム17Aを上昇させる方向に回動した作動位置(図6及び図8参照)との間を回動する。また、アウトサイドオープンレバー17は、図4に示したトーションバネ18によって、無作動位置側に付勢されている。
【0025】
図4に示すように、操作アーム17Dにおける先端の上縁部からは、ロッド係止片17Eがアウトサイドオープンレバー回動軸17Jの軸方向に折り曲げられて突出している。そして、このロッド係止片17Eに接続された図示しないロッドがアウトサイドドアハンドルに接続され、アウトサイドドアハンドルが操作されると、ロッド係止片17Eが下方に引っ張られてアウトサイドオープンレバー17が無作動位置から作動位置へと回動する。
【0026】
支持アーム17Aの中間部には、アウトサイドオープンレバー回動軸17Jの軸方向に屈曲したクランク状屈曲部17Fが備えられている。図5に示すように、支持アーム17Aのうちクランク状屈曲部17Fより先端側部分は、第2外面11B(図1参照)側から見た支持ボディ11における左右方向の中央に配置されると共に、上下に2分割され、その上側部分が係合突片17Kをなし、下側部分が受圧部17Cになっている。係合突片17Kは、アウトサイドオープンレバー回動軸17Jと直交する方向に突出した平板状の突片形状をなしている。一方、受圧部17Cは、下方側に膨らむように湾曲した形状になっている。
【0027】
図5に示すように、アウトサイドオープンレバー17の係合突片17Kには、オープンリンク19が連結している。オープンリンク19は、上下方向に延びたリンク主部19Lと、リンク主部19Lから同図の左側方に張り出した結合片19Pとを備えている。結合片19Pには、リンク主部19Lと略平行に延びた長孔19Rが形成されている。また、リンク主部19Lの下端部には、係合孔19Kが貫通形成されている。その係合孔19Kは、円形孔の内周面における180度離れた2位置から互いに接近する側に1対の山形突部を突出させた形状になっている。また、係合孔19Kには、アウトサイドオープンレバー17の係合突片17Kが挿入されて1対の山形突部の先端部間に挟まれた状態になっている。これにより、オープンリンク19が、係合突片17Kに連結されて、支持ボディ11における第2外面11Bと略平行な面内で回動し、リンク主部19Lが係合突片17Kの鉛直上方に延びたアンロック位置(図4〜図6参照)と、そのアンロック位置から図5左側に傾斜したロック位置(図7及び図8参照)との間を移動する。
【0028】
オープンリンク19がアンロック位置に配置されると、リンク主部19Lの上端がリフトレバー16における先端当接部16Bの真下に位置し、オープンリンク19がロック位置に配置されると、リンク主部19Lの上端がリフトレバー16における先端当接部16Bの真下から側方にずれる。これにより、オープンリンク19がアンロック位置に配置された状態でアウトサイドオープンレバー17が無作動位置から作動位置に回動すると、図5から図6の変化に示すように、リフトレバー16の先端当接部16Bがオープンリンク19によって押し上げられて、リフトレバー16がラチェット14(図3参照)と共に原点位置からリリース位置へと回動し、ラチェット14とラッチ13との係合が解除されて、ドアが開かれる。
【0029】
一方、オープンリンク19がロック位置に配置された状態でアウトサイドオープンレバー17が無作動位置から作動位置に回動すると、図7から図8の変化に示すように、リフトレバー16の先端当接部16Bがオープンリンク19によって押し上げられることがなくなる。即ち、オープンリンク19がロック位置に配置されたときには、アウトサイドドアハンドルを操作してもドアを開くことができないロック状態になる。
【0030】
上記したラッチ13,ラチェット14,リフトレバー16,アウトサイドオープンレバー17は、支持ボディ11の第1外面11A(図1参照)と直交する方向を向いた回動中心軸回りを回動するように支持ボディ11に支持されていたが、以下、説明する、インサイドオープンレバー20,アクティブレバー25、キー操作伝達部材32等は、図1に示した支持ボディ11の第2外面11Bと直交する方向を向いた回動中心の回りを回動するように支持ボディ11に支持され、上記したオープンリンク19と同様に、支持ボディ11の第2外面11Bと略平行な面内で回動する。
【0031】
インサイドオープンレバー20は、図5においてアウトサイドオープンレバー17の係合突片17Kに対して左側方位置に配置されたインサイドオープンレバー回動軸20Jを中心に回動するようになっている。また、インサイドオープンレバー20は、オープンリンク19側の斜め上方に延びた連結アーム20Aと、斜め下方に延びかつ途中から水平側に屈曲した押上アーム20Bとを備えている。そして、連結アーム20Aの先端部に、ワイヤーW1(図9参照)を介してインサイドドアハンドルが接続されている。
【0032】
また、インサイドオープンレバー20は、ワイヤーW1が組み付けられることで無作動位置に通常は位置決めされている。そして、インサイドドアハンドルが操作されると、ワイヤーW1を介してインサイドオープンレバー20の連結アーム20Aが図5における左側に引っ張られて、インサイドオープンレバー20が作動位置まで同図における反時計回りに回動する。その間、インサイドオープンレバー20の押上アーム20Bがアウトサイドオープンレバー17の受圧部17Cを押し上げ、アウトサイドオープンレバー17も無作動位置から作動位置まで回動する。このとき、オープンリンク19がアンロック位置に配置されていれば、前述したようにドアが開き、オープンリンク19がロック位置に配置されていれば、ドアは開かない。
【0033】
図5に示すように、インサイドオープンレバー回動軸20Jの上方であって、支持ボディ11における上下方向の略中央には、ロックリンク回転軸35Jが配置され、そのロックリンク回転軸35Jを中心にしてロックリンク35とキャンセルリンク36とが回動可能に備えられている。図7に示すように、キャンセルリンク36は、ロックリンク回転軸35Jからリフトレバー16における先端当接部16Bの上方位置まで延びた従動レバー36Bと、ロックリンク回転軸35Jからオープンリンク19におけるリンク主部19Lに左側方位置まで延びた押圧レバー36Aとを備えている。そして、オープンリンク19がロック位置に配置された状態でドアが閉められたときに、そのドアの閉塞過程でラチェット14(図2参照)と共に回動するリフトレバー16によってキャンセルリンク36の従動レバー36Bが押し上げられてキャンセルリンク36が回動し、押圧レバー36Aにオープンリンク19が押されてアンロック位置に移動する。即ち、本実施形態のドアロック装置10には、ロック状態にしてドアを閉めると、そのロック状態が解消されるというキャンセル機能が備えられている。
【0034】
ロックリンク35は、ロックリンク回転軸35Jから図5における斜め右下方に延びた第1係合アーム35Aと、ロックリンク回転軸35Jから斜め右上方に延びた第2係合アーム35Bとを備え、キャンセルリンク36とは別個に回動可能になっている。また、第1係合アーム35Aの先端部からは、ロックリンク回転軸35Jの軸方向と平行な方向に第1係合ピン35Pが突出している。そして、その第1係合ピン35Pが前述したオープンリンク19の長孔19Rに係合している。さらに、第2係合アーム35Bの先端部からは、ロックリンク回転軸35Jの軸方向と平行な方向に第2係合ピン35Cが突出している。そして、その第2係合ピン35Cが、次述するアクティブレバー25の長孔25Zに係合している。
【0035】
アクティブレバー25は、図5において支持ボディ11のうちロックリンク回転軸35Jの右上方位置に配置されたアクティブレバー回転軸25Yを中心に回動可能に備えられ、アクティブレバー回転軸25Yから左側に張り出した主板部25Aと、アクティブレバー回転軸25Yから斜め右上方に張り出した係合アーム25Rと、主板部25Aの一側縁部から下方に向かって延びたワイヤー結合片25Eとを備えている。
【0036】
位置決め係合アーム25Rの裏面には、図13に示すように、位置決め支柱25Gが突出形成され、この位置決め支柱25Gが支持ボディ11に取り付けられた異形バネ27に係合して、アクティブレバー25がロック位置とアンロック位置とに保持されるようになっている。なお、異形バネ27は、バネ線材の中間部をコイル状に巻回すると共に両端部を対向させかつ、それら対向部分の先端寄り位置を互いに接近させる側に山形状に屈曲させて1対の摺接突部を備えた構造になっている。そして、アクティブレバー25が図5及び図6に示したアンロック位置と、図7及び図8に示したロック位置との間を回動する際に、位置決め支柱25Gが、1対の摺接突部の間を押し広げながら通過することで、アクティブレバー25が、アンロック位置かロック位置の何れかに付勢されて、それらの中間位置で留まらないようになっている。
【0037】
図9に示すように、ワイヤー結合片25Eの先端部には、本発明に係る「線状部材」に相当するワイヤーW2を介してドアの内面に備えたロック操作部が接続されている。そして、ロック操作部を操作することで、アクティブレバー25をアンロック位置とロック位置とに切り替えることができる。
【0038】
図5に示すように、主板部25Aのうちワイヤー結合片25Eが立ち上がった部分には、長孔25Zが形成されている。長孔25Zは、アクティブレバー25の回動中心と直交する線に沿って延び、ここに前記したロックリンク35の第2係合ピン35Cが係合している。これにより、アクティブレバー25とロックリンク35とオープンリンク19とが連動して回動し、アクティブレバー25がロック位置に配置されたときにはオープンリンク19もロック位置に配置されると共に、アクティブレバー25がアンロック位置に配置されたときにはオープンリンク19もアンロック位置に配置される。
【0039】
図6に示すように、主板部25Aのうちアクティブレバー回転軸25Yから離れた外縁部からは、検知アーム25Fが突出している。一方、支持ボディ11には、検知アーム25Fの回動領域の側方検出スイッチ26が取り付けられ、その検出スイッチ26に備えた作動部が検知アーム25Fの回動領域内に突出している。そして、アクティブレバー25がアンロック位置に配置されると、検知アーム25Fの先端が検出スイッチ26の作動部から側方にずれて検出スイッチ26がオフになり、アクティブレバー25がロック位置に配置されると、検知アーム25Fの先端が検出スイッチ26の作動部を押圧して検出スイッチ26がオンする。この検出スイッチ26に係るオン・オフ信号を車両が取得して、アクティブレバー25がアンロック位置とロック位置の何れかに位置しているかを認識することができる。
【0040】
アクティブレバー25は、ドアの内面のロック操作部以外にも車内の集中ロックや無線キーによってアンロック位置とロック位置とに切り替えることができる。そのために、図5に示したモータ22が支持ボディ11に取り付けられている。モータ22は、支持ボディ11のうちアクティブレバー回転軸25Yの上方に配置され、モータ22の回転出力軸は第2外面11B(図1参照)と平行になって斜め下方に延び、その回転出力軸にウォームギヤ23が固定されている。また、ウォームギヤ23に噛合するウォームホイール24は、ホイール回転軸24Jを中心に回転し、そのホイール回転軸24Jは、ロックリンク回転軸35Jの上方に配置され、ウォームホイール24の一部が支持ボディ11と主板部25Aとの間に位置して、主板部25Aに備えた円弧孔25Sにホイール回転軸24Jが突入している。
【0041】
ウォームホイール24のうち主板部25Aとの対向面には、ホイール回転軸24Jを間に挟んだ2位置に1対の回転押圧突部24A,24Aが突出形成されている。これに対し、主板部25Aのうち円弧孔25Sよりアクティブレバー回転軸25Yから離れた側は、ウォームホイール24側に向かって厚肉になっていて、その厚肉部分における周方向の中央に係合溝25Mが形成されている。そして、ウォームホイール24は、通常は、回転押圧突部24A,24Aが円弧孔25Sの周方向に沿って並んだ位置に保持されていて、集中ロックや無線キーをロック操作すると、ウォームホイール24が図5における反時計回り方向に180度回転する。すると、そのウォームホイール24の回転中に一方の回転押圧突部24Aが係合溝25Mに進入してから係合溝25Mにおける左側の溝内面25Nを押圧し、アクティブレバー25が反時計回り方向に回動して、図5に示したアンロック位置から図7に示したロック位置に切り替わる。
【0042】
一方、集中ロックや無線キーをアンロック操作すると、ウォームホイール24が図7における時計回り方向に180度回転する。すると、ウォームホイール24の回転中に一方の回転押圧突部24Aが係合溝25Mに進入してから係合溝25Mにおける右側の溝内面25Lを押圧し、アクティブレバー25が時計回り方向に回動して、図7に示したロック位置から図5に示したアンロック位置に切り替わる。
【0043】
アクティブレバー25は、ドアに備えたキーシリンダによってもアンロック位置とロック位置とに切り替えることができる。そのキーシリンダとアクティブレバー25とを連結するためのキー操作伝達部材32(図10参照)がアクティブレバー25に連結されている。
【0044】
具体的には、図10に示すようにアクティブレバー回転軸25Yは、円筒状になっていて、その一端面が端部壁31Bによって閉塞され、その端部壁31Bの中心に中心孔31Cが貫通形成されている。アクティブレバー回転軸25Yの内周面のうち180度離れた2位置には、1対の第1扇形突部31A,31Aが設けられている。これら各第1扇形突部31Aの内周面は、中心孔31Cの内周面と面一になっている。また、各第1扇形突部31Aの両側面が、本発明に係る第1可動当接部31T,31Tになっていて、それら第1扇形突部31Aの両側面を延長して交差したときの交線がアクティブレバー回転軸25Yの中心線と一致するようになっている。そして、アクティブレバー回転軸25Yのうち端部壁31Bを有しない側の端部が、図12に示すように支持ボディ11に設けられた支持リング11N内に嵌合して、アクティブレバー25が支持ボディ11に回転可能に支持されている。
【0045】
一方、キー操作伝達部材32は、円柱状のトルク伝達シャフト32Aの後端から側方にトルク伝達アーム32Bを張り出した構造をなしている。また、トルク伝達シャフト32Aの先端面の中心からはトルク伝達シャフト32Aより細い円柱状の先端シャフト32Fが突出している。先端シャフト32Fの外周面には、その周方向における180度離れた2位置に1対の第2扇形突部32C,32Cが備えられている。これら1対の第2扇形突部32C,32Cは、先端シャフト32Fのうち基端部から先端寄り位置に亘る部分と一体になっていて、先端シャフト32Fの先端部が第2扇形突部32C,32Cの端面より前方に突出している。また、各第2扇形突部32Cの両側面は、本発明に係る第2可動当接部32T,32Tになっていて、それら各第2扇形突部32Cの両側面を延長して交差したときの交線がトルク伝達シャフト32Aの中心線と一致するようになっている。さらに、第2扇形突部32C,32Cの外周面はトルク伝達シャフト32Aの外周面と面一になっている。
【0046】
そして、図12に示すように、トルク伝達シャフト32Aの先端部を支持ボディ11の前記した支持リング11Nに後方から挿入することで、先端シャフト32Fの先端部がアクティブレバー25における中心孔31Cに挿入され、図5の左下に示すように、先端シャフト32Fの回りに第2扇形突部32Cと第1扇形突部31Aとが交互に並んだ状態に組み付けられている。そして、トルク伝達アーム32Bが、図示しないリンクにてキーシリンダに連結され、これによりキー操作伝達部材32が、キーシリンダと連動して回動するようになっている。
【0047】
なお、図5〜図8の各図における左下には、それら各図に示したドアロック装置10の状態における第1扇形突部31Aと第2扇形突部32Cとの位置関係が拡大して示されている。
【0048】
キー操作伝達部材32を支持ボディ11に容易に組み付け可能とするために、図13に示すように、本実施形態のドアロック装置10は、ラッチ13、ラチェット14及びリフトレバー16(図4参照)を回動可能に支持して備えたラッチユニット10Aと、それらラッチ13等以外のアクティブレバー25、インサイドオープンレバー20等を回動可能に支持して備えた本体ユニット10Bとに分割可能になっている。具体的には、支持ボディ11のうちラッチ13等を回動可能に支持したベース壁11C(図2参照)を含む側壁部11Uがボディ本体部11Hから分割されている。また、ボディ本体部11Hには、ウォームホイール24、インサイドオープンレバー20、ロックリンク35等の回動軸を支持した主体壁11Lの後面から本体後面突壁11Mが突出していて、その本体後面突壁11Mの外縁部から側壁部11Uに向かって嵌合壁11Jが突出している。
【0049】
本体後面突壁11Mのうち前側の縁部からは、支持部11Gが突出していて、その支持部11Gに円筒状の支持リング11Nが形成され、前述したように円筒状のアクティブレバー回転軸25Yの一端部が支持リング11Nの内側に挿入されている。
【0050】
嵌合壁11Jのうち支持リング11Nの中心軸を延長して交差する部分には、U字溝11Kが形成されている。そして、側壁部11Uとボディ本体部11Hとを分離した状態で、図12に示すように、キー操作伝達部材32のトルク伝達シャフト32Aの先端部が、支持リング11Nに挿入されると共に、トルク伝達シャフト32Aの後端部がU字溝11Kに側方から受容されて回転可能に支持される。この状態で、図11に示すように、ラッチユニット10Aが、嵌合壁11Jの内側に嵌合されて、図示しない螺子にてボディ本体部11Hに固定される。なお、図13に示すようにキー操作伝達部材32のトルク伝達シャフト32Aにおける後端寄り位置からラッチユニット10Aに向かって半円状のフランジ32Rが張り出されていて、そのフランジ32Rが側壁部11Uに備えた挟持壁11P,11Pに前後方向から挟まれて、キー操作伝達部材32が軸方向に前後しないように支持されている。
【0051】
本実施形態のドアロック装置10の構造の説明は以上である。次に、このドアロック装置10の作用効果について説明する。ドアロック装置10は、車両のドアに取り付けられて、ドアに備えた図示しないアウトサイドドアハンドル、インサイドドアハンドル、ロック操作部、キーシリンダに連結される。そのキーシリンダは、ドアロック装置10に備えたキー操作伝達部材32のトルク伝達アーム32Bに連結され、キーシリンダがキーロック位置にキー操作されたときには、キー操作伝達部材32もキーロック位置が配置され、キーシリンダがキーアンロック位置にキー操作されたときには、キー操作伝達部材32もキーアンロック位置が配置される。また、キーシリンダは、通常は、キーロック位置とキーアンロック位置との中間の中立位置に配置されていて、これに連動してキー操作伝達部材32も通常は、キーロック位置とキーアンロック位置との中間の中立位置に配置されている。
【0052】
そして、キー操作伝達部材32が中立位置に配置された状態で、アクティブレバー25がアンロック位置に配置されると、図5に示すように、各第1扇形突部31Aと、それら各第1扇形突部31Aに対して反時計回り方向の隣の第2扇形突部32Cとの間に比較的大きな回動隙間が形成される。これにより、アクティブレバー25が図5から図7の変化に示すようにロック位置に向かって反時計回り方向に回動したときは、第1扇形突部31Aが、第2扇形突部32Cとの間の回動隙間の範囲で回動する。また、キー操作伝達部材32が中立位置に配置された状態で、アクティブレバー25がロック位置に配置されると、図7に示すように、各第1扇形突部31Aと、それら各第1扇形突部31Aに対して時計回り方向の隣の第2扇形突部32Cとの間に比較的大きな回動隙間が形成される。これにより、アクティブレバー25が図7から図5の変化に示したロック位置に向かって時計回り方向に回動したとき、第1扇形突部31Aは、第2扇形突部32Cとの間の回動隙間の範囲で回動する。このようにして、アクティブレバー25からキー操作伝達部材32への力の伝達は遮断され、キー操作を行わない限りキーシリンダは中立位置に保持される。
【0053】
これに対し、図5に示すようにアクティブレバー25がアンロック位置に配置された状態でキー操作伝達部材32を中立位置からキーロック位置に回動したときには、第2扇形突部32Cが第1扇形突部31Aとの間の回動隙間を超えて同図における反時計回り方向に回動し、同図における各第2扇形突部32Cのうち反時計回り方向を向いた側面である第2可動当接部32Tが、各第1扇形突部31Aのうち時計回り方向を向いた側面である第1可動当接部31Tと面当接し、アクティブレバー25が図7に示したロック位置まで回動させる。また、図7に示すようにアクティブレバー25がロック位置に配置された状態でキー操作伝達部材32を中立位置からキーアンロック位置に回動したときには、第2扇形突部32Cが第1扇形突部31Aとの間の回動隙間を超えて同図における時計回り方向に回動し、同図における各第2扇形突部32Cのうち時計回り方向を向いた側面である第2可動当接部32Tが、各第1扇形突部31Aのうち反時計回り方向を向いた側面である第1可動当接部31Tと面当接して、アクティブレバー25が図5に示したロック位置まで回動させる。このようにして、キー操作伝達部材32からアクティブレバー25へとキー操作力が伝達され、キーシリンダに対するキー操作によってアクティブレバー25をロック位置とアンロック位置とに切り替えることができる。
【0054】
本実施形態のドアロック装置10は、キーシリンダに対するキー操作力をアクティブレバー25に伝達するキー操作伝達部材32が、そのアクティブレバー25と共通の回動軸を中心に回動するように配置されているので、これらアクティブレバー25とキー操作伝達部材32とが異なる回動軸を中心に回動するように配置された従来のものに比べ、ドアロック装置10のコンパクト化が可能になる。また、キー操作伝達部材32とアクティブレバー25に力を伝達するための第1可動当接部31Tを有した第1扇形突部31Aと第2可動当接部32Tを有した第2扇形突部32Cとが、キー操作伝達部材32とアクティブレバー25の共通の回動軸回りに配置されているので、それら第1及び第2の可動当接部31T,32Tの回動スペースが共通の回動軸回りの円形領域内に収まる。この点においても、ドアロック装置10のコンパクト化が可能になる。
【0055】
しかも、本実施形態のドアロック装置10では、キー操作伝達部材32からアクティブレバー25にキー操作の力を伝達するために、1対の第1可動当接部31T,31Tと1対の第2可動当接部32T,32Tが面当接するので、1つだけの第1可動当接部31Tと1つだけの第2可動当接部32Tとが面当接するものや、第1と第2の可動当接部31T,32Tが点当接や線当接するものに比べて、第1と第2の可動当接部31T,32Tにかかる負担が軽減され、耐久性が向上する。
【0056】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、上記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 ドアロック装置
10A ラッチユニット
19 オープンリンク
25 アクティブレバー
31A 第1扇形突部
31T 第1可動当接部
32 キー操作伝達部材
32C 第2扇形突部
32T 第2可動当接部
W2 ワイヤー(線状部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアに内蔵され、前記ドアの車内面に備えたロック操作部と一体に作動する線状部材が連結されて、前記ロック操作部に対する操作力を受けて回動すると共に、電気駆動源としてのモータからの動力を受けて回動し、前記ドアをロックするロック位置と前記ドアをアンロックするアンロック位置との間を移動するアクティブレバーと、
前記ドアに備えたキーシリンダに対するキー操作力を受けてキーロック位置とキーアンロック位置との間で回動し、前記キーロック位置まで回動したときに前記アクティブレバーを前記ロック位置へと連動回動させる一方、前記キーアンロック位置まで回動したときに前記アクティブレバーを前記アンロック位置へと連動回動させるように前記キー操作力を前記アクティブレバーに伝達するキー操作伝達部品とを備えたドアロック装置において、
前記アクティブレバーと前記キー操作伝達部品とは、共通の回動軸を中心に回動するように配置され、
前記アクティブレバー及び前記キー操作伝達部品の何れか一方に設けられて、それらの前記共通の回動軸回りに配置された第1可動当接部と、他方に設けられて、前記共通の回動軸回りで前記第1可動当接部に対して所定の回動隙間を介して配置された第2可動当接部とを備え、
前記キー操作伝達部品が前記キーロック位置と前記キーアンロック位置との中間の中立位置に配置された状態で、前記アクティブレバーを前記ロック位置と前記アンロック位置の何れに回動しても前記第1可動当接部が前記第2可動当接部との間の回動隙間の範囲で前記第2可動当接部に対して相対的に回動して、前記アクティブレバーから前記キー操作伝達部品への力の伝達が遮断される一方、前記キー操作伝達部品を前記中立位置から前記キーロック位置及び前記キーアンロック位置に回動したときには、前記第2可動当接部が前記第1可動当接部との間の回動隙間を超えて前記第1可動当接部に対して相対的に回動することで、前記キー操作伝達部品から前記アクティブレバーに前記キー操作の力が伝達されることを特徴とするドアロック装置。
【請求項2】
車両のドアに内蔵され、前記ドアを前記車両に対して閉じた状態に保持可能なラッチユニットと、前記車両の前記ドアに内蔵され、前記ラッチユニットに対して係合可能なロック位置と係合不能なアンロック位置とに移行することで前記ドアをロックするオープンリンクとを備え、前記オープンリンクの前記ロック位置と前記ドアをアンロックする前記アンロック位置とを規定するアクティブレバーと、
前記ドアに備えたキーシリンダに対するキー操作力を受けてキーロック位置とキーアンロック位置との間で回動し、前記キーロック位置まで回動したときに前記アクティブレバーを前記ロック位置へと連動回動させる一方、前記キーアンロック位置まで回動したときに前記アクティブレバーを前記アンロック位置へと連動回動させるように前記キー操作力を前記アクティブレバーに伝達するキー操作伝達部品とを備えたドアロック装置において、
前記アクティブレバーと前記キー操作伝達部品とは、共通の回動軸を中心に回動するように配置され、
前記アクティブレバー及び前記キー操作伝達部品の何れか一方に設けられて、それらの前記共通の回動軸回りに配置された第1可動当接部と、他方に設けられて、前記共通の回動軸回りで前記第1可動当接部に対して所定の回動隙間を介して配置された第2可動当接部とを備え、
前記キー操作伝達部品が前記キーロック位置と前記キーアンロック位置との中間の中立位置に配置された状態で、前記アクティブレバーを前記ロック位置と前記アンロック位置の何れに回動しても前記第1可動当接部が前記第2可動当接部との間の回動隙間の範囲で前記第2可動当接部に対して相対的に回動して、前記アクティブレバーから前記キー操作伝達部品への力の伝達が遮断される一方、前記キー操作伝達部品を前記中立位置から前記キーロック位置及び前記キーアンロック位置に回動したときには、前記第2可動当接部が前記第1可動当接部との間の回動隙間を超えて前記第1可動当接部に対して相対的に回動することで、前記キー操作伝達部品から前記アクティブレバーに前記キー操作の力が伝達されることを特徴とするドアロック装置。
【請求項3】
前記アクティブレバー及び前記キー操作伝達部品の何れか一方には、それらの前記共通の回動軸回りの180度離れた2位置に1対の第1扇形突部が設けられて、それら各第1扇形突部の両側面が前記第1可動当接部とされる一方、他方には、前記共通の回動軸回りの180度離れた2位置に1対の第2扇形突部が設けられて、それら各第2扇形突部の両側面が前記第2可動当接部とされ、
前記共通の回動軸回りに前記第1扇形突部と前記第2扇形突部とが交互に配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のドアロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−233318(P2012−233318A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100908(P2011−100908)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】