ドキュメントデータ編集装置、ドキュメントデータ編集方法及び情報記憶媒体
【課題】ドキュメントデータを表示し、ユーザの操作によって一部のデータをコピーし管理するドキュメントデータ編集装置において、不正なドキュメントデータのコピーを防ぎつつ、データを復号化しなくてもデータ種別を把握することが可能な方法が必要。
【解決手段】ドキュメントデータ編集装置は、ユーザの操作によってドキュメントデータの一部をコピーし管理する際、データを暗号化して管理する。その際に元のドキュメントデータと一部コピーされたドキュメントデータの関連情報を相互に参照可能な関連情報リストで管理し、ドキュメントデータのデータ種別情報を管理リスト内の情報に含めることによって、ドキュメントデータの復号化などの処理を行わなくても、高速に相互のドキュメント情報を把握でき、元ドキュメントデータの種別を把握することが可能となる。
【解決手段】ドキュメントデータ編集装置は、ユーザの操作によってドキュメントデータの一部をコピーし管理する際、データを暗号化して管理する。その際に元のドキュメントデータと一部コピーされたドキュメントデータの関連情報を相互に参照可能な関連情報リストで管理し、ドキュメントデータのデータ種別情報を管理リスト内の情報に含めることによって、ドキュメントデータの復号化などの処理を行わなくても、高速に相互のドキュメント情報を把握でき、元ドキュメントデータの種別を把握することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ドキュメントデータの編集をユーザが行えるための編集・入力機能を備えている、ドキュメントデータ編集方法、ドキュメントデータ再生方法、情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【０００２】
パソコン、携帯電話端末、スマートフォンなど、各種モバイル用途の情報処理装置で文庫本・単行本・まんが・新聞・雑誌などのデータを電子化した所謂電子書籍データ（以降、ドキュメントデータと呼ぶ）を閲覧することができるようになっている。またさらに、表示装置として電子ペーパーと呼ばれる、表示時に電力を消費せず、視認性の高いデバイスを搭載した、ドキュメントデータを閲覧することに特化した電子書籍端末と呼ばれる端末も多く流通してきている。これらの端末では、従来、紙に印字されていたドキュメントデータを読むのと同じ感覚で読むことが可能である一方で、何冊分ものドキュメントデータを格納し、紙の書籍よりも軽く、また、通信網を介していつでも、どこでも、ドキュメントデータを入手することが可能になる、などの特徴がある。
【０００３】
一方、紙に印字されているドキュメントデータの一種としての新聞・雑誌などでは、読んでいる最中、あるいは、一旦それらを読んだ後に、お気に入りの記事や重要な記事だけを切り抜いて、別に集めおくような所謂スクラップするなど、個人的に部分的なドキュメントデータを収集することも多い。このようなドキュメントデータのスクラップを作成する操作を、デジタルデータとしてのドキュメントデータを表示している各種情報処理装置で行う場合には、ディスプレイなどに表示されているドキュメントデータの中から、ユーザのお気に入りの部分を別のデータとしてコピーして保持しておく方法が考えられる。しかし、このような方法を単純に端末での機能として実現すると、著作権が含まれているドキュメントデータの不正な複製が容易になってしまうことになる。そのため、ドキュメントデータを暗号化して格納しておき、ディスプレイなどに表示したドキュメントデータのコピー操作は行えないようにしておく方法がある。
【０００４】
例えば、ドキュメントデータの不正な複製を制限する方法として、下記のような方法が開示されている。特許文献１ではドキュメントデータ中のデータを予め定められた正規表現したルールリストに従って、特定の文字（単語）を暗号化した情報に置き換え、ユーザに閲覧できないようにする装置、方法、システムについて開示されている。また、特許文献２では各種のＤＲＭ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｒｉｇｈｔｓ Ｍａｎａｇｅｍｅｎｔ）と呼ばれるデジタル著作権管理によって、ドキュメントデータの不正な複製を管理する方法の一種として、サーバとの認証を行うシステムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００９−７５７２２号公報
【特許文献２】国際公開第９８／２７４９４号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
特許文献１、特許文献２のような方法によって、ドキュメントデータの不正な複製を防ぐことが可能になる。一方、前述のようにドキュメントデータのスクラップを作成するような操作を行う際に、部分的に抽出したドキュメントデータの暗号化を行うと、不正な複製は防ぐことが可能となるが、ドキュメントデータの復号化を行わなければ、そのデータの中身がわからないといった問題も生じる。
【０００７】
例えば、ドキュメントデータの拡大表示を行う際に、ドキュメントデータが所定のドキュメントフォーマットで構成されている場合、予めその情報が判明している場合には、文字のレンダリングを行うための初期化等の処理を行いつつ、データの復号化処理と並行して行うこともでき、表示するまでの時間を短縮することができる。また、スクラップデータが画像データとして格納され、拡大表示を行う際に、切出し元のデータに文字コードが含まれる場合には、切出し元データを利用して再レンダリングして拡大表示することが可能だが、その際に、切出し元に文字コードが含まれるか否かの情報があれば、データの復号化が必要なく、高速に処理することができる。
【０００８】
そこで、本発明では、上記問題点に鑑み、ドキュメントデータ表示機能を備える装置において、ドキュメントデータの暗号化などによって不正な複製を防ぎつつ、再生時にデータを復号化しなくてもデータの種別を把握することが可能な情報記録媒体、ドキュメントデータ編集装置、ドキュメントデータ編集方法、ドキュメントデータ再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本出願における情報記憶媒体は、ドキュメントデータと、ドキュメントデータの一部を抽出した部分ドキュメントデータと、ドキュメントの情報と前記ドキュメントに対する部分ドキュメントデータの抽出情報を含んだ切出し元情報管理リストと、抽出された部分ドキュメントの情報と該部分ドキュメントが抽出された元ドキュメントの情報とを含んだ切出し先情報管理リストと、を記録する。
【００１０】
上記の情報記憶媒体において、ドキュメントデータと部分ドキュメントデータはそれぞれ暗号化されており、切出し元情報管理リストと切出し先情報管理リストには双方の対応するエントリを識別する識別情報を含んでいる、ものであってもよい。
【００１１】
また、本出願のドキュメント編集装置は、ドキュメントデータに対するユーザの操作入力を受け付ける入力部と、入力部によりドキュメントデータの指定された一部の領域を特定する情報を生成するドキュメントデータ切出し部と、ドキュメントデータと前記ドキュメントデータ切出し部により特定された一部の領域に該当する部分ドキュメントデータとドキュメントのデータ種別情報を含み部分ドキュメントデータの抽出情報を含んだ切出し元情報管理リストと抽出された部分ドキュメントの情報と該部分ドキュメントが抽出された前記ドキュメントの情報とを含んだ切出し先情報管理リストとを記録した情報記録部と、
を備える。
【００１２】
上記情報記録部は、ドキュメントデータと部分ドキュメントデータとは暗号化されて記録されており、切出し元情報管理リストと切出し先情報管理リストには双方の対応するエントリを識別する識別情報が含まれたものである、ものを記録したものであってもよい。
【００１３】
また、本出願におけるドキュメント編集方法は、ドキュメントデータに対するユーザの操作入力を受け付ける入力ステップと、入力ステップによりドキュメントデータの指定された一部の領域を特定する情報を生成するドキュメントデータ切出しステップと、ドキュメントデータとドキュメントデータ切出しステップにより特定された前記一部の領域に該当する部分ドキュメントデータとドキュメントのデータ種別情報を含み前記部分ドキュメントデータの抽出情報を含んだ切出し元情報管理リストと抽出された部分ドキュメントの情報と該部分ドキュメントが抽出されたドキュメントの情報とを含んだ切出し先情報管理リストとを記録する情報記録ステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【００１４】
ドキュメントデータ編集装置は、ユーザの好みによって表示しているドキュメントデータの一部のデータを切出し・コピーし、別管理するような編集操作を可能とすることによって、ユーザの使い勝手を向上させることが可能となる。
【００１５】
また、切出し・コピーすることで編集・収集されたドキュメントデータは暗号化されるため不正な複製を防ぐことができる一方で、切出し元、切出し先の相関情報などをリストで管理することによって、拡大表示などする際に再レンダリング可能か否かなどを高速に判断することができ、表示を高速に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の構成例を示した図
【図２】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の画面構成例を示した第１の図
【図３】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の編集操作の処理例を示したフローチャート
【図４】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の暗号鍵生成の処理例を示すフローチャート
【図５】実施の形態１に於ける情報管理リストの構成例図
【図６】実施の形態１に於ける切出し元情報管理リストの構成例を示した図
【図７】実施の形態１に於ける切出し先情報管理リストの構成例を示した図
【図８】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の画面構成例を示した第２の図
【図９】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の切出しデータ表示の処理例を示したフローチャート
【図１０】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の切出しデータの拡大表示の画面構成例を示した図
【図１１】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の切出しデータ表示の拡大処理例を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【００１７】
（実施の形態１）
図１は、本発明の実施の形態におけるドキュメントデータ編集装置１００の構成を示したブロック図である。ドキュメントデータ編集装置１００は、制御部１１０、情報記録部１２０、入力部１３０、出力部１４０を有する、例えば、携帯電話端末、スマートフォン、電子辞書、電子書籍専用端末をはじめとするドキュメントデータを扱うモバイル用途のデジタル機器である。
【００１８】
制御部１１０は、固有情報算出部１１１、暗復号部１１２、鍵算出部１１３、ドキュメントデータ切出し部１１４を有し、ドキュメントデータ編集装置１００内の各種動作制御を行う機能備えている。
【００１９】
固有情報算出部１１１は、ドキュメントデータ固有の情報乃至、ドキュメントデータの編集操作により選択された部分的なドキュメントデータに固有の情報、を算出する機能を備え、ハードウェア回路乃至ソフトフェアで構成される。
【００２０】
暗復号部１１２は、鍵データと平文データ乃至暗号化データを入力として、ＡＥＳ（Ａｄｖａｎｃｅｄ Ｅｎｃｒｙｐｔｉｏｎ Ｓｔａｎｄａｒｄ）などの各種暗号アルゴリズムにしたがって、暗号化データ乃至平文データを出力する機能を備える、ハードウェア回路乃至ソフトウェアで構成される。なお、ここでは各種暗号アルゴリズムの説明は割愛する。
【００２１】
鍵算出部１１３は、暗復号部１１２に入力するための鍵データを算出するため、情報記録部１２０に記録されている元データ暗号鍵１２４と、固有情報算出部１１１が算出する固有情報と、を基に演算処理を行うなどの機能備える、ハードウェア回路乃至ソフトウェアで構成される。
【００２２】
ドキュメントデータ切出し部１１４は、出力部１４０に表示されるドキュメントデータの一部をユーザが入力部１３０を介して選択したしたことを識別・特定し、元のドキュメントデータから該当する部分的なドキュメントデータをコピーする機能を備える。なお、このときのコピーはドキュメントデータそのものと同じコピーでも構わないし、別フォーマットに変換しても構わない。
【００２３】
情報記録部１２０は、切出しデータ暗号鍵１２１、暗号化切出しデータ１２２、切出し先情報管理リスト１２３、元データ暗号鍵１２４、暗号化元データ１２５、切出し元情報管理リスト１２６を格納する機能を備える、半導体メモリ、磁気媒体、光メディアなどの固定乃至着脱可能な情報記録媒体である。なお、詳細は記載していないが、これらのデータが同一の記録媒体に記録されていなくてもよく、また、別々の媒体に記録されていても構わない。また、各種の暗号鍵データはさらに別の鍵によって暗号化される、特殊な認証処理を経てアクセスできる、情報記録媒体の特別な領域に格納されるなどの構成でも構わない。
【００２４】
切出しデータ暗号鍵１２１は、入力部１３０からユーザ操作によって特定されたドキュメントデータの一部分（切出し部分）である切出しドキュメントデータを暗号化するための鍵の要素となる値である。値の利用手順は後述する。
【００２５】
暗号化切出しデータ１２２は、出力部１４０に表示されるドキュメントデータの一部をユーザが入力部１３０を介して選択し、その選択されたデータをドキュメントデータ切出し部１１４が識別・特定・コピー（以降、ユーザに選択されたドキュメントデータの部分的なデータを、切出しドキュメントデータと呼ぶ）し、その切出しドキュメントデータが暗号化されたデータである。
【００２６】
切出し先情報管理リスト１２３は、切出し元情報管理リスト１２６との相関情報などを管理するリストである。
【００２７】
元データ暗号鍵１２４は、ドキュメントデータを暗号化するために用いられる鍵の値である。
【００２８】
暗号化元データ１２５は、暗号化されたドキュメントデータである。なお、ここでのドキュメントデータとは、所定の文字コードで表現された文字を示すデータに画像データなども加えられたデータのことを示し、例えば、ＨＴＭＬ（ＨｙｐｅｒＴｅｘｔ Ｍａｒｋｕｐ Ｌａｎｇｕａｇｅ）やＸＭＬ（Ｅｘｔｅｎｓｉｂｌｅ Ｍａｒｋｕｐ Ｌａｎｇｕａｇｅ）などのマークアップ言語で記述されるデータ、各種アプリケーションソフトごとに決められている文字の種類（フォント）やサイズ、レイアウト情報も含めたフォーマットなどが含まれる。なお、ＪＰＥＧなどの画像データで構成されても構わない。コンテンツデータとしては、例えば、新聞、雑誌、マンガなどである。
【００２９】
切出し元情報管理リスト１２６は、切出し先や切出し領域などの情報や、切出し先情報管理リスト１２３との相関情報などを管理するリストである。
【００３０】
入力部１３０はユーザからの編集操作入力を受け付ける機能を備える、例えば、センサ機能を備える抵抗膜、静電容量などの各種タッチパネル装置、或いは、電磁誘導型の機能を備えたペン入力装置などの入力装置で構成される。
【００３１】
出力部１４０はユーザにドキュメントデータを表示する機能備える、例えば、液晶ディスプレイ、有機ＥＬディスプレイ、電子ペーパーなどの各種表示デバイスで構成される。なお、本実施の形態ではドキュメントデータを扱う場合を例として説明しているが、対象となるデータがドキュメントデータ以外の場合、例えば、画像データ、映像データ、音声データ等であった場合には、出力部１４０はそれぞれのデータ特性に対応した好適な出力方法を実現するものであればよい。例えば、音声データ等の場合には、出力部１４０はスピーカで実現される。
【００３２】
なお、ここでは詳細に図示していないが、その他、電池乃至電源、スイッチ、加速度センサなどの機能もドキュメント編集装置の構成に含まれる。
【００３３】
図２はドキュメントデータ編集装置１００でのユーザによる編集操作のイメージを示した図である。図２ではドキュメントデータ編集装置１００が２画面の出力部１４０で構成される例を示している。左側の画面２０１にはドキュメントデータが表示され、右側の画面２０２は、左側の画面に表示されているドキュメントデータの一部をコピーして貼りつけるための画面である。図２（Ａ）のように、ユーザは左側の画面２０１に表示されている各種ドキュメントデータのうち、あるドキュメントの領域を例えばペン形状等の入力部１３０を利用して指定する。図２（Ａ）ではユーザがペンによって選択した領域が点線によって示されている。図２（Ｂ）に示すように、ユーザがペンを右側の画面２０２に移動させると、選択した領域がコピーされ、右側の画面２０２に表示される。このような操作を繰り返すと、右側の画面にはユーザの好みに合わせたドキュメントデータだけを貼付けた（コピーした）画面を構成することができる。
【００３４】
次に、図３を用いてドキュメントデータ編集装置１００における、図２のようなユーザの好みのドキュメントデータの一部を切出してコピーするように見せる際のデータの処理シーケンスについて説明する。
【００３５】
（ステップＳ３０１）ユーザが、ドキュメントデータ編集装置１００の出力部１４０に表示されているドキュメントデータの一部分を、入力部１３０を使用して選択する。選択されたのがドキュメントデータのどの部分に該当するのかを、制御部１１０のドキュメントデータ切出し部１１４が判定し、内部に管理するバッファメモリなどに、判定されたドキュメントデータ分をコピーする。また、制御部１１０のドキュメントデータ切出し部１１４は、出力部１４０に、入力部１３０の動作軌跡に応じた、切出しドキュメントデータを表示させる。なお、ここでは詳細は記載していないが、情報記録部１２０に格納されているドキュメントデータは、対応する暗号鍵で復号化されて出力部１４０に表示されているものとする。
【００３６】
（ステップＳ３０２）次に、制御部１１０の固有情報算出部１１１が、固有情報を算出する。ここでの固有情報とは、出力部１４０に表示されているドキュメントデータを一意に特定できる情報、例えば、ドキュメントデータに一意に割振られたＩＤ値や、ドキュメントデータから一意に算出される情報、より具体的には、出力部１４０に表示されているドキュメントデータのハッシュ演算により算出される値などである。
【００３７】
（ステップＳ３０３）次に、制御部１１０の鍵算出部１１３が、切出しドキュメントデータを暗号化するための暗号鍵を算出する。暗号鍵の算出方法については、後で詳しく説明する。
【００３８】
（ステップＳ３０４）次に、ステップＳ３０３で算出された暗号鍵を用いて、制御部１１０の暗復号部１１２が、バッファメモリなどに格納されている切出しドキュメントデータをＡＥＳなどの所定の暗号アルゴリズムに従って暗号化する。
【００３９】
（ステップＳ３０５）次に、制御部１１０は、切出しドキュメントデータに関して、切出し先情報管理リスト１２３と、切出し元情報管理リスト１２６を作成する。リストの構成については後で詳しく説明する。
【００４０】
（ステップＳ３０６）次に、制御部１１０は、暗号化された切出しドキュメントデータと、ステップＳ３０３で算出される第一の暗号鍵を情報記録部１２０に記録する。記録する際には、ＦＡＴファイルシステムやＵＤＦなどの各種ファイルシステム構造に準拠する形で格納する、また、情報記録部１２０の備える特殊な認証処理を経て格納するなどの方法であってもよいが、ここでは詳細な記載を割愛する。
【００４１】
次に、図４を用いてドキュメントデータ編集装置１００における、鍵算出部１１３の詳細な処理として、前記ステップＳ３０３の詳しい処理シーケンスについて説明する。
【００４２】
（ステップＳ４０１）ドキュメントデータ編集装置１００の、制御部１１０の鍵算出部１１３は、ランダム値生成機能などを用いて、１２８ビット長のランダム値で構成される第一の鍵を生成する。
【００４３】
（ステップＳ４０２）次に、鍵算出部１１３は、固有情報算出部１１１から、１２８ビットの固有情報を取得する。固有情報の算出方法は、前記の通りであるためここでの説明は割愛する。
【００４４】
（ステップＳ４０３）次に、鍵算出部１１３は、ステップＳ４０１で算出した第一の鍵の値と、ステップＳ４０２で取得した固有情報の排他的論理和（ＸＯＲ演算）処理を行う。
【００４５】
（ステップＳ４０４）次に、鍵算出部１１３は、ステップＳ４０３の演算結果として第二の鍵を取得する。この第二の鍵がステップＳ３０３で示される暗号鍵に該当する。
【００４６】
次に、図５を用いて切出し元情報管理リスト１２３と、切出し先情報管理リスト１２６の構成について説明する。図５は、切出し元情報管理リスト１２３で管理される情報、切出し先情報管理リスト１２６で管理される情報、ドキュメントデータ、切出しデータの関係を示した図である。
【００４７】
切出し元情報管理リスト１２３には、切出し元ドキュメントデータ特定情報、切出し元ドキュメントデータ情報、切出し領域座標情報、切出し先ドキュメントデータ特定情報、切出し先情報管理リストエントリ番号、切出し先ドキュメントデータ情報、の組み合わせを、切出し領域毎に管理する。
【００４８】
切出し元ドキュメントデータ特定情報は、情報記録部１２０で管理するドキュメントデータのうち、どのドキュメントデータから切出しを行ったのかを特定するための情報であり、情報記録部１２０でのドキュメントデータの格納場所、該当ページ番号などを示す情報である。
【００４９】
切出し元ドキュメントデータ情報は、切出し元のドキュメントデータに、文字コードが含まれているか否かを示す情報、切出し元のドキュメントのフォーマット情報（各種アプリケーションソフトごとに決められているフォーマット情報など）、どの文字コードを使用しているのかを示す情報などの情報である。
【００５０】
切出し領域座標情報とは、切出した領域を示すストローク情報のような情報で管理するデータである。ストローク情報とは、（Ｘ１，Ｙ１）のようにＸ座標とＹ座標の複数の座標情報で構成さえる情報で、座標間を直線で結ぶことで領域を特定することができる。
【００５１】
切出し先ドキュメントデータ特定情報とは、情報記録部１２０で管理する切出しデータのうち、どこに切出しデータが含まれるのかを特定するための情報である。
【００５２】
切出し先情報管理リストエントリＮｏ．とは、切出しデータに関する情報が切出し先情報管理リスト１２６の何番目に格納されているのかを示す情報である。
【００５３】
切出し先ドキュメントデータ情報とは、切出し先ドキュメントデータに、文字コードが含まれているか否かを示す情報、切出し先のドキュメントのフォーマット情報（各種アプリケーションソフトごとに決められているフォーマット情報など）、どの文字コードを使用しているのかを示す情報などの情報である。
【００５４】
図６は、切出し元情報管理リスト１２３の具体的な構成例について示した図である。
【００５５】
切出し元ドキュメントデータ特定情報として、ドキュメントＩＤが０ｘ１２３４５ＡＢＣ、ドキュメントデータの格納場所として／ＤＯＣ／ＤＯＣ００１．ＢＯＫ、ページ番号として１０が格納されている。
【００５６】
切出し元ドキュメントデータ情報として、文字コードが切出し元データに含まれるか否かの情報１（＝文字コード有）が、ドキュメントフォーマット情報２（＝ＨＴＭＬデータ）、文字コード種別３（＝ＵＮＩＣＯＤＥ）が格納されている。
【００５７】
切出し領域座標情報として（３０、５０）、（３５、７０）、（４０、８０）、・・・、（２５、４５）といったストローク情報が格納されている。
【００５８】
切出し先ドキュメントデータ特定情報として、０ｘＡＢＣ１２３４５が格納されている。
【００５９】
切出し先情報管理リストエントリＮｏ．として１が格納されている。
【００６０】
切出し先ドキュメントデータ情報として、文字コードが切出し元データに含まれるか否かの情報１（＝文字コード有）、ドキュメントフォーマット情報２（＝ＨＴＭＬデータ）、文字コード種別３（＝ＵＮＩＣＯＤＥ）が格納されている。
【００６１】
次に、図５の切出し先情報管理リスト１２６の構成について説明する。切出し先情報管理リスト１２６は、切出し先ドキュメントデータ特定情報、貼付先領域中心座標の情報、切出し先ドキュメントデータ情報、切出し元ドキュメントデータ特定情報、切出し元情報管理リストエントリＮｏ．、切り出し元ドキュメントデータ情報、の組み合わせを切出し領域毎に管理する。
【００６２】
切出し先ドキュメントデータ特定情報とは、切出し先のドキュメントデータを一意に特定するための情報である。
【００６３】
貼付先領域中心座標は、Ｘ座標、Ｙ座標のように２つのパラメータで示させるような値である。任意の形で指定される領域情報のどの位置を中心座標とするのかの算出方法については、ここでの説明は割愛する。
【００６４】
切出し先ドキュメントデータ情報とは、切出し先のドキュメントデータに、文字コードが含まれているか否かを示す情報、切出し先のドキュメントのフォーマット情報（各種アプリケーションソフトごとに決められているフォーマット情報など）、どの文字コードを使用しているのかを示す情報などの情報である。
【００６５】
切出し元ドキュメントデータ特定情報は、情報記録部１２０で管理するドキュメントデータのうち、どのドキュメントデータから切出しを行ったのかを特定するための情報であり、情報記録部１２０でのドキュメントデータの格納場所、該当ページ番号などを示す情報である。
【００６６】
切出し元情報管理リストエントリＮｏ．とは、切出し元情報管理リスト１２３の何番目に切出し情報が格納されているのかを示す情報である。
【００６７】
切出し元ドキュメントデータ情報とは、切出し元のドキュメントデータに、文字コードが含まれているか否かを示す情報、切出し元のドキュメントのフォーマット情報（各種アプリケーションソフトごとに決められているフォーマット情報など）、どの文字コードを使用しているのかを示す情報などの情報である。
【００６８】
図７は、切出し先情報管理リスト１２６の具体的な構成例について示した図である。
【００６９】
切出し先ドキュメントデータ特定情報として０ｘＡＢＣ１２３４５が格納されている。
【００７０】
貼付先領域中心座標として（１００、２００）が格納されている。
【００７１】
切出し先ドキュメントデータ情報として文字コードが切出し先データに含まれるか否かの情報１（＝文字コード有）が、ドキュメントフォーマット情報２（＝ＨＴＭＬデータ）、文字コード種別３（＝ＵＮＩＣＯＤＥ）が格納されている。
【００７２】
切出し元ドキュメントデータ特定情報として、ドキュメントＩＤ（０ｘ１２３４５ＡＢＣ）、格納場所として／ＤＯＣ／ＤＯＣ００１．ＢＯＫ、ページ番号として１０が格納されている。切出し元情報管理リストエントリ番Ｎｏ．として１が格納されている。
【００７３】
切出し元ドキュメントデータ情報として、文字コードが切出し元データに含まれるか否かの情報１（＝文字コード有）、ドキュメントフォーマット情報２（＝ＨＴＭＬデータ）、文字コード種別３（＝ＵＮＩＣＯＤＥ）が格納されている。
【００７４】
これらの情報によって、切出し先データ０ｘＡＢＣ１２３４５で管理されるデータは、中心座標（１００、２００）に位置しており、／ＤＯＣ／ＤＯＣ００１．ＢＯＫの１０ページ目のデータで、切出し元情報管理リストエントリの１番目のエントリの情報で管理されているデータであることを示している。また、その切出し元データは、画像情報ではなく、ＵＮＩＣＯＤＥの文字コード情報を含んだ、ドキュメントフォーマットがＨＴＭＬのデータであることを示している。なお、ここではドキュメントデータ情報として上記のような例を示したが、その情報格納方法は制限されない。データ種別が判定できる情報であれば、どのようなもので構成されても構わない。
【００７５】
図８は、切出しドキュメントデータ情報を閲覧する際のドキュメントデータ編集装置１００の操作例を示した図である。図８（Ａ）では、ドキュメントデータ編集装置１００のメニューが左側の画面２０１に表示され、ペン型のデバイスを用いて切出しドキュメントデータ情報を選択している表示例を示している。右側の画面２０２には、切出しドキュメントデータ情報として、例えばファイル名などで分類された３つの情報がリストとして表示されている。図８（Ｂ）では、切出しドキュメントデータ情報が表示されている例を示している。左側の画面２０１には、以前の切出しドキュメントデータ情報として２つの切出しドキュメントデータの情報が表示され、さらにペンによる手書情報が表示されている画面構成例が示されている。
【００７６】
次に、図８のように、切出しドキュメントデータ情報が、ドキュメントデータ編集装置１００の出力部１４０に表示される際の、データ処理シーケンスについて、図９を用いて説明する。
【００７７】
（ステップＳ９０１）ドキュメントデータ編集装置１００の制御部１１０の入力部１３０が、ユーザからの入力を受け付け、出力部１４０に表示する切出しドキュメントデータを決定する。
【００７８】
（ステップＳ９０２）次に、制御部１１０は、情報記録部１２０に格納されている暗号化切出しデータ１２２と切出しデータ暗号鍵１２１を読み出す。
【００７９】
（ステップＳ９０３）次に、制御部１１０の固有情報算出部１１１が、固有情報を算出する。固有情報の算出方法は前記の通りであるためここでの説明は割愛する。
【００８０】
（ステップＳ９０４）次に、固有情報算出部１１１が、固有情報を算出できなかった場合には処理を終了する。ここで、固有情報が算出できない場合とは、一意に割振られたＩＤ値や、ドキュメントデータから一意に算出される情報が元となるドキュメントデータがないために算出できない場合などである。固有情報が算出できた場合には、ステップＳ９０５に進む。
【００８１】
（ステップＳ９０５）次に、制御部１１０の鍵算出部１１３は、固有情報算出部１１１が算出する固有情報と、情報記録部１２０から読み出した切出しデータ暗号鍵１２１から復号鍵を算出する。復号鍵の算出方法は前記の暗号鍵の算出方法と同様であるためここでの説明は割愛する。
【００８２】
（ステップＳ９０６）次に、制御部１１０の暗復号部１１２は、鍵算出部１１３で算出した復号鍵で、情報記録部１２０から読み出した暗号化切出しデータ１２２を復号し、データを平文化する。
【００８３】
（ステップＳ９０７）次に、制御部１１０の暗復号部１１２は、暗号化切出しデータ１２２が正しく復号化できたか否かの判定を行う。正しく復号化できない場合には処理を終了する。正しく復号化できない場合とは、復号化したデータが意図したデータになっていないことが確認された場合などである。正しく復号化できた場合にはステップＳ９０８に進む。
【００８４】
（ステップＳ９０８）次に、制御部１１０は、出力部１４０に復号化したデータを表示する。
【００８５】
次に、ユーザが拡大表示操作を行った際の操作例について図１０を用いて説明する。図１０（Ａ）では、ドキュメントデータ編集装置１００の右側の画面２０２に画面表示に関する操作メニューのような情報が表示され、そのうちの「拡大表示」を選択した表示例を示している。図１０（Ｂ）では、拡大されたデータの表示例を示している。左側の画面２０１には、切出しドキュメントデータが拡大されて表示されている。
【００８６】
このように、切出しデータがドキュメントデータ編集装置１００の出力部１４０に拡大されて表示される際の、データ処理シーケンスについて、図１１を用いて説明する。
【００８７】
（ステップＳ１１０１）ドキュメントデータ編集装置１００の制御部１１０の入力部１３０が、ユーザからの入力として、拡大表示要求の入力があったことを判定する。
【００８８】
（ステップＳ１１０２）次に、制御部１１０は、情報記録部１２０に格納されている切出し先情報管理リスト１２３を読み出す。
【００８９】
（ステップＳ１１０３）次に、制御部１１０は、出力部１４０に表示している切出しデータが画像データなのか、ドキュメントデータなのかをステップＳ１１０２で読み出した切出し先情報管理リスト１２３から判定する。ドキュメントデータであり、かつ、そのドキュメントデータの拡大処理を行える機能をドキュメントデータ編集装置１００が備える場合には、ステップＳ１１０６の処理に進む。そうでない場合には、ステップＳ１１０４に進む。
【００９０】
（ステップＳ１１０４）次に、制御部１１０は、ステップＳ１１０２で読み出した切出し先情報管理リスト１２３で管理されている情報から、切出し元のドキュメントデータが画像データなのか、ドキュメントデータなのかを判定する。ドキュメントデータである場合で、かつ、そのドキュメントデータの拡大処理を行える機能をドキュメントデータ編集装置１００が備える場合には、ステップＳ１１０５に進む。そうでない場合には、ステップＳ１１０８に進む。
【００９１】
（ステップＳ１１０５）次に、制御部１１０は、ステップＳ１１０２で読み出した切出し先情報管理リスト１２３から、切出し元情報管理リスト１２６のエントリ番号を参照し、ドキュメントデータ切出し領域などの情報を取得する。
【００９２】
（ステップＳ１１０６）次に、制御部１１０は、ドキュメントデータのレンダリング処理などを行い、切出しデータ部分に関する拡大データを生成する。
【００９３】
（ステップＳ１１０７）次に、制御部１１０は、ステップＳ１１０６、または、ステップＳ１１０８で生成されたデータを出力部１４０に表示する。
【００９４】
（ステップＳ１１０８）ステップＳ１１０４で、制御部１１０は、元ドキュメントデータを拡大表示するためのレンダリング処理が実施できない場合には、切出しデータを画像データとして認識し、拡大処理した画像データを生成する。
【００９５】
なお、上記のシーケンスでは、データの復号化処理などに関しては簡単のために、割愛している。
【００９６】
以上のように、切出し先情報管理リスト１２３と切出し元情報管理リスト１２６の構成を持つことによって、互いの情報を高速参照することが可能となり、また、情報管理リストにドキュメント種別などの情報を含めることによって、拡大等の表示変更を行うために、レンダリング処理のための初期化等の処理を行いつつ、データの復号化が行えるなど、機器の処理速度を向上させることができる。
【００９７】
なお、本実施の形態で、ドキュメントデータ編集装置の構成について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではないのはもちろんである。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施を変更することができる。例えば、以下のような場合も本発明に含まれる。
【００９８】
（１）本実施の形態では、切出しデータ暗号鍵は乱数値を生成しその値を利用する方法を示したが、元データ暗号鍵と同じ値を用いる、または、元データ暗号鍵の値を元として所定の演算処理にしたがって算出するなどの方法であっても構わない。
【００９９】
（２）本実施の形態では、固有情報算出部１１１が算出する固有情報として、ドキュメントデータに一意に割振られたＩＤ値や、ドキュメントデータから一意に算出される情報としてドキュメントデータのハッシュ演算値などを示したが、切出しドキュメントデータの前後のドキュメントデータ、ドキュメントのタイトルとそのページ番号から算出されるデータなど、切出し元のドキュメントに関する一意なデータであれば、どのような値を用いても構わない。
【０１００】
（３）本実施の形態では、固有情報算出部１１１が算出する固有情報として、ドキュメントデータに一意に割振られたＩＤ値や、ドキュメントデータから一意に算出される情報としてドキュメントデータのハッシュ演算値などを示したが、固有情報が装置ＩＤや各装置に固有に割り当てられた値などの、装置固有の情報であっても構わない。
【０１０１】
（４）本実施の形態では、データを暗号化する鍵長や固有情報長を１２８ビットとしたが、何ビットの値であっても構わない。また、同じビット長ではなく、異なるビット長の値でも構わない。
【０１０２】
（５）本実施の形態では、切出しデータを暗号化する鍵は、鍵値と固有情報の排他的論理輪（ＸＯＲ）演算で算出したが、その演算方法は限定されない。どのような演算方法であっても構わない。
【０１０３】
（６）本実施の形態では、データを暗号化する再に固有情報算出部１１１が算出する固有情報を使用して暗号化する例を示したが、固有情報を使用しなくても構わない。例えば、所定の値で暗号化される、情報記録部１２０特湯の暗号化データ保持機能に従って暗号化されるなどの方法であっても構わない。
【０１０４】
（７）本実施の形態で、切出し先情報管理リストの構成例を示したが、上記の通りでなくても構わない。ドキュメントフォーマットなどのデータに関する情報と、対応する切出し元情報管理リストの情報格納場所を示す情報が格納されていれば、どのような構成でも構わない。
【０１０５】
（８）本実施の形態で、切出し元情報管理リストの構成例を示したが、上記の通りでなくても構わない。ドキュメントフォーマットなどのデータに関する情報と対応する切出し先情報管理リストの情報格納場所を示す情報が格納されていれば、どのような構成でも構わない。
【産業上の利用可能性】
【０１０６】
本発明にかかるドキュメントデータ編集装置、ドキュメントデータ編集方法では、ユーザによって選択されたドキュメントデータの一部を、暗号化して保持することによって、ドキュメントの不正なコピーを防止しつつ、ドキュメント種別などの情報は別に管理するため、データ処理は高速にすることができる。そのため、ドキュメントデータを編集する機能を備える情報処理機器に適用することができる。
【符号の説明】
【０１０７】
１００ ドキュメントデータ編集装置
１１０ 制御部
１１１ 固有情報算出部
１１２ 暗復号部
１１３ 鍵算出部
１１４ ドキュメントデータ切出し部
１２０ 情報記録部
１２１ 切出しデータ暗号鍵
１２２ 暗号化切出しデータ
１２３ 切出し先情報管理リスト
１２４ 元データ暗号鍵
１２５ 暗号化元データ
１２６ 切出し元情報管理リスト
１３０ 入力部
１４０ 出力部
２０１ ドキュメントデータ編集装置の左側の画面
２０２ ドキュメントデータ編集装置の右側の画面
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ドキュメントデータの編集をユーザが行えるための編集・入力機能を備えている、ドキュメントデータ編集方法、ドキュメントデータ再生方法、情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【０００２】
パソコン、携帯電話端末、スマートフォンなど、各種モバイル用途の情報処理装置で文庫本・単行本・まんが・新聞・雑誌などのデータを電子化した所謂電子書籍データ（以降、ドキュメントデータと呼ぶ）を閲覧することができるようになっている。またさらに、表示装置として電子ペーパーと呼ばれる、表示時に電力を消費せず、視認性の高いデバイスを搭載した、ドキュメントデータを閲覧することに特化した電子書籍端末と呼ばれる端末も多く流通してきている。これらの端末では、従来、紙に印字されていたドキュメントデータを読むのと同じ感覚で読むことが可能である一方で、何冊分ものドキュメントデータを格納し、紙の書籍よりも軽く、また、通信網を介していつでも、どこでも、ドキュメントデータを入手することが可能になる、などの特徴がある。
【０００３】
一方、紙に印字されているドキュメントデータの一種としての新聞・雑誌などでは、読んでいる最中、あるいは、一旦それらを読んだ後に、お気に入りの記事や重要な記事だけを切り抜いて、別に集めおくような所謂スクラップするなど、個人的に部分的なドキュメントデータを収集することも多い。このようなドキュメントデータのスクラップを作成する操作を、デジタルデータとしてのドキュメントデータを表示している各種情報処理装置で行う場合には、ディスプレイなどに表示されているドキュメントデータの中から、ユーザのお気に入りの部分を別のデータとしてコピーして保持しておく方法が考えられる。しかし、このような方法を単純に端末での機能として実現すると、著作権が含まれているドキュメントデータの不正な複製が容易になってしまうことになる。そのため、ドキュメントデータを暗号化して格納しておき、ディスプレイなどに表示したドキュメントデータのコピー操作は行えないようにしておく方法がある。
【０００４】
例えば、ドキュメントデータの不正な複製を制限する方法として、下記のような方法が開示されている。特許文献１ではドキュメントデータ中のデータを予め定められた正規表現したルールリストに従って、特定の文字（単語）を暗号化した情報に置き換え、ユーザに閲覧できないようにする装置、方法、システムについて開示されている。また、特許文献２では各種のＤＲＭ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｒｉｇｈｔｓ Ｍａｎａｇｅｍｅｎｔ）と呼ばれるデジタル著作権管理によって、ドキュメントデータの不正な複製を管理する方法の一種として、サーバとの認証を行うシステムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００９−７５７２２号公報
【特許文献２】国際公開第９８／２７４９４号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
特許文献１、特許文献２のような方法によって、ドキュメントデータの不正な複製を防ぐことが可能になる。一方、前述のようにドキュメントデータのスクラップを作成するような操作を行う際に、部分的に抽出したドキュメントデータの暗号化を行うと、不正な複製は防ぐことが可能となるが、ドキュメントデータの復号化を行わなければ、そのデータの中身がわからないといった問題も生じる。
【０００７】
例えば、ドキュメントデータの拡大表示を行う際に、ドキュメントデータが所定のドキュメントフォーマットで構成されている場合、予めその情報が判明している場合には、文字のレンダリングを行うための初期化等の処理を行いつつ、データの復号化処理と並行して行うこともでき、表示するまでの時間を短縮することができる。また、スクラップデータが画像データとして格納され、拡大表示を行う際に、切出し元のデータに文字コードが含まれる場合には、切出し元データを利用して再レンダリングして拡大表示することが可能だが、その際に、切出し元に文字コードが含まれるか否かの情報があれば、データの復号化が必要なく、高速に処理することができる。
【０００８】
そこで、本発明では、上記問題点に鑑み、ドキュメントデータ表示機能を備える装置において、ドキュメントデータの暗号化などによって不正な複製を防ぎつつ、再生時にデータを復号化しなくてもデータの種別を把握することが可能な情報記録媒体、ドキュメントデータ編集装置、ドキュメントデータ編集方法、ドキュメントデータ再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本出願における情報記憶媒体は、ドキュメントデータと、ドキュメントデータの一部を抽出した部分ドキュメントデータと、ドキュメントの情報と前記ドキュメントに対する部分ドキュメントデータの抽出情報を含んだ切出し元情報管理リストと、抽出された部分ドキュメントの情報と該部分ドキュメントが抽出された元ドキュメントの情報とを含んだ切出し先情報管理リストと、を記録する。
【００１０】
上記の情報記憶媒体において、ドキュメントデータと部分ドキュメントデータはそれぞれ暗号化されており、切出し元情報管理リストと切出し先情報管理リストには双方の対応するエントリを識別する識別情報を含んでいる、ものであってもよい。
【００１１】
また、本出願のドキュメント編集装置は、ドキュメントデータに対するユーザの操作入力を受け付ける入力部と、入力部によりドキュメントデータの指定された一部の領域を特定する情報を生成するドキュメントデータ切出し部と、ドキュメントデータと前記ドキュメントデータ切出し部により特定された一部の領域に該当する部分ドキュメントデータとドキュメントのデータ種別情報を含み部分ドキュメントデータの抽出情報を含んだ切出し元情報管理リストと抽出された部分ドキュメントの情報と該部分ドキュメントが抽出された前記ドキュメントの情報とを含んだ切出し先情報管理リストとを記録した情報記録部と、
を備える。
【００１２】
上記情報記録部は、ドキュメントデータと部分ドキュメントデータとは暗号化されて記録されており、切出し元情報管理リストと切出し先情報管理リストには双方の対応するエントリを識別する識別情報が含まれたものである、ものを記録したものであってもよい。
【００１３】
また、本出願におけるドキュメント編集方法は、ドキュメントデータに対するユーザの操作入力を受け付ける入力ステップと、入力ステップによりドキュメントデータの指定された一部の領域を特定する情報を生成するドキュメントデータ切出しステップと、ドキュメントデータとドキュメントデータ切出しステップにより特定された前記一部の領域に該当する部分ドキュメントデータとドキュメントのデータ種別情報を含み前記部分ドキュメントデータの抽出情報を含んだ切出し元情報管理リストと抽出された部分ドキュメントの情報と該部分ドキュメントが抽出されたドキュメントの情報とを含んだ切出し先情報管理リストとを記録する情報記録ステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【００１４】
ドキュメントデータ編集装置は、ユーザの好みによって表示しているドキュメントデータの一部のデータを切出し・コピーし、別管理するような編集操作を可能とすることによって、ユーザの使い勝手を向上させることが可能となる。
【００１５】
また、切出し・コピーすることで編集・収集されたドキュメントデータは暗号化されるため不正な複製を防ぐことができる一方で、切出し元、切出し先の相関情報などをリストで管理することによって、拡大表示などする際に再レンダリング可能か否かなどを高速に判断することができ、表示を高速に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の構成例を示した図
【図２】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の画面構成例を示した第１の図
【図３】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の編集操作の処理例を示したフローチャート
【図４】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の暗号鍵生成の処理例を示すフローチャート
【図５】実施の形態１に於ける情報管理リストの構成例図
【図６】実施の形態１に於ける切出し元情報管理リストの構成例を示した図
【図７】実施の形態１に於ける切出し先情報管理リストの構成例を示した図
【図８】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の画面構成例を示した第２の図
【図９】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の切出しデータ表示の処理例を示したフローチャート
【図１０】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の切出しデータの拡大表示の画面構成例を示した図
【図１１】実施の形態１に於けるドキュメントデータ編集装置の切出しデータ表示の拡大処理例を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【００１７】
（実施の形態１）
図１は、本発明の実施の形態におけるドキュメントデータ編集装置１００の構成を示したブロック図である。ドキュメントデータ編集装置１００は、制御部１１０、情報記録部１２０、入力部１３０、出力部１４０を有する、例えば、携帯電話端末、スマートフォン、電子辞書、電子書籍専用端末をはじめとするドキュメントデータを扱うモバイル用途のデジタル機器である。
【００１８】
制御部１１０は、固有情報算出部１１１、暗復号部１１２、鍵算出部１１３、ドキュメントデータ切出し部１１４を有し、ドキュメントデータ編集装置１００内の各種動作制御を行う機能備えている。
【００１９】
固有情報算出部１１１は、ドキュメントデータ固有の情報乃至、ドキュメントデータの編集操作により選択された部分的なドキュメントデータに固有の情報、を算出する機能を備え、ハードウェア回路乃至ソフトフェアで構成される。
【００２０】
暗復号部１１２は、鍵データと平文データ乃至暗号化データを入力として、ＡＥＳ（Ａｄｖａｎｃｅｄ Ｅｎｃｒｙｐｔｉｏｎ Ｓｔａｎｄａｒｄ）などの各種暗号アルゴリズムにしたがって、暗号化データ乃至平文データを出力する機能を備える、ハードウェア回路乃至ソフトウェアで構成される。なお、ここでは各種暗号アルゴリズムの説明は割愛する。
【００２１】
鍵算出部１１３は、暗復号部１１２に入力するための鍵データを算出するため、情報記録部１２０に記録されている元データ暗号鍵１２４と、固有情報算出部１１１が算出する固有情報と、を基に演算処理を行うなどの機能備える、ハードウェア回路乃至ソフトウェアで構成される。
【００２２】
ドキュメントデータ切出し部１１４は、出力部１４０に表示されるドキュメントデータの一部をユーザが入力部１３０を介して選択したしたことを識別・特定し、元のドキュメントデータから該当する部分的なドキュメントデータをコピーする機能を備える。なお、このときのコピーはドキュメントデータそのものと同じコピーでも構わないし、別フォーマットに変換しても構わない。
【００２３】
情報記録部１２０は、切出しデータ暗号鍵１２１、暗号化切出しデータ１２２、切出し先情報管理リスト１２３、元データ暗号鍵１２４、暗号化元データ１２５、切出し元情報管理リスト１２６を格納する機能を備える、半導体メモリ、磁気媒体、光メディアなどの固定乃至着脱可能な情報記録媒体である。なお、詳細は記載していないが、これらのデータが同一の記録媒体に記録されていなくてもよく、また、別々の媒体に記録されていても構わない。また、各種の暗号鍵データはさらに別の鍵によって暗号化される、特殊な認証処理を経てアクセスできる、情報記録媒体の特別な領域に格納されるなどの構成でも構わない。
【００２４】
切出しデータ暗号鍵１２１は、入力部１３０からユーザ操作によって特定されたドキュメントデータの一部分（切出し部分）である切出しドキュメントデータを暗号化するための鍵の要素となる値である。値の利用手順は後述する。
【００２５】
暗号化切出しデータ１２２は、出力部１４０に表示されるドキュメントデータの一部をユーザが入力部１３０を介して選択し、その選択されたデータをドキュメントデータ切出し部１１４が識別・特定・コピー（以降、ユーザに選択されたドキュメントデータの部分的なデータを、切出しドキュメントデータと呼ぶ）し、その切出しドキュメントデータが暗号化されたデータである。
【００２６】
切出し先情報管理リスト１２３は、切出し元情報管理リスト１２６との相関情報などを管理するリストである。
【００２７】
元データ暗号鍵１２４は、ドキュメントデータを暗号化するために用いられる鍵の値である。
【００２８】
暗号化元データ１２５は、暗号化されたドキュメントデータである。なお、ここでのドキュメントデータとは、所定の文字コードで表現された文字を示すデータに画像データなども加えられたデータのことを示し、例えば、ＨＴＭＬ（ＨｙｐｅｒＴｅｘｔ Ｍａｒｋｕｐ Ｌａｎｇｕａｇｅ）やＸＭＬ（Ｅｘｔｅｎｓｉｂｌｅ Ｍａｒｋｕｐ Ｌａｎｇｕａｇｅ）などのマークアップ言語で記述されるデータ、各種アプリケーションソフトごとに決められている文字の種類（フォント）やサイズ、レイアウト情報も含めたフォーマットなどが含まれる。なお、ＪＰＥＧなどの画像データで構成されても構わない。コンテンツデータとしては、例えば、新聞、雑誌、マンガなどである。
【００２９】
切出し元情報管理リスト１２６は、切出し先や切出し領域などの情報や、切出し先情報管理リスト１２３との相関情報などを管理するリストである。
【００３０】
入力部１３０はユーザからの編集操作入力を受け付ける機能を備える、例えば、センサ機能を備える抵抗膜、静電容量などの各種タッチパネル装置、或いは、電磁誘導型の機能を備えたペン入力装置などの入力装置で構成される。
【００３１】
出力部１４０はユーザにドキュメントデータを表示する機能備える、例えば、液晶ディスプレイ、有機ＥＬディスプレイ、電子ペーパーなどの各種表示デバイスで構成される。なお、本実施の形態ではドキュメントデータを扱う場合を例として説明しているが、対象となるデータがドキュメントデータ以外の場合、例えば、画像データ、映像データ、音声データ等であった場合には、出力部１４０はそれぞれのデータ特性に対応した好適な出力方法を実現するものであればよい。例えば、音声データ等の場合には、出力部１４０はスピーカで実現される。
【００３２】
なお、ここでは詳細に図示していないが、その他、電池乃至電源、スイッチ、加速度センサなどの機能もドキュメント編集装置の構成に含まれる。
【００３３】
図２はドキュメントデータ編集装置１００でのユーザによる編集操作のイメージを示した図である。図２ではドキュメントデータ編集装置１００が２画面の出力部１４０で構成される例を示している。左側の画面２０１にはドキュメントデータが表示され、右側の画面２０２は、左側の画面に表示されているドキュメントデータの一部をコピーして貼りつけるための画面である。図２（Ａ）のように、ユーザは左側の画面２０１に表示されている各種ドキュメントデータのうち、あるドキュメントの領域を例えばペン形状等の入力部１３０を利用して指定する。図２（Ａ）ではユーザがペンによって選択した領域が点線によって示されている。図２（Ｂ）に示すように、ユーザがペンを右側の画面２０２に移動させると、選択した領域がコピーされ、右側の画面２０２に表示される。このような操作を繰り返すと、右側の画面にはユーザの好みに合わせたドキュメントデータだけを貼付けた（コピーした）画面を構成することができる。
【００３４】
次に、図３を用いてドキュメントデータ編集装置１００における、図２のようなユーザの好みのドキュメントデータの一部を切出してコピーするように見せる際のデータの処理シーケンスについて説明する。
【００３５】
（ステップＳ３０１）ユーザが、ドキュメントデータ編集装置１００の出力部１４０に表示されているドキュメントデータの一部分を、入力部１３０を使用して選択する。選択されたのがドキュメントデータのどの部分に該当するのかを、制御部１１０のドキュメントデータ切出し部１１４が判定し、内部に管理するバッファメモリなどに、判定されたドキュメントデータ分をコピーする。また、制御部１１０のドキュメントデータ切出し部１１４は、出力部１４０に、入力部１３０の動作軌跡に応じた、切出しドキュメントデータを表示させる。なお、ここでは詳細は記載していないが、情報記録部１２０に格納されているドキュメントデータは、対応する暗号鍵で復号化されて出力部１４０に表示されているものとする。
【００３６】
（ステップＳ３０２）次に、制御部１１０の固有情報算出部１１１が、固有情報を算出する。ここでの固有情報とは、出力部１４０に表示されているドキュメントデータを一意に特定できる情報、例えば、ドキュメントデータに一意に割振られたＩＤ値や、ドキュメントデータから一意に算出される情報、より具体的には、出力部１４０に表示されているドキュメントデータのハッシュ演算により算出される値などである。
【００３７】
（ステップＳ３０３）次に、制御部１１０の鍵算出部１１３が、切出しドキュメントデータを暗号化するための暗号鍵を算出する。暗号鍵の算出方法については、後で詳しく説明する。
【００３８】
（ステップＳ３０４）次に、ステップＳ３０３で算出された暗号鍵を用いて、制御部１１０の暗復号部１１２が、バッファメモリなどに格納されている切出しドキュメントデータをＡＥＳなどの所定の暗号アルゴリズムに従って暗号化する。
【００３９】
（ステップＳ３０５）次に、制御部１１０は、切出しドキュメントデータに関して、切出し先情報管理リスト１２３と、切出し元情報管理リスト１２６を作成する。リストの構成については後で詳しく説明する。
【００４０】
（ステップＳ３０６）次に、制御部１１０は、暗号化された切出しドキュメントデータと、ステップＳ３０３で算出される第一の暗号鍵を情報記録部１２０に記録する。記録する際には、ＦＡＴファイルシステムやＵＤＦなどの各種ファイルシステム構造に準拠する形で格納する、また、情報記録部１２０の備える特殊な認証処理を経て格納するなどの方法であってもよいが、ここでは詳細な記載を割愛する。
【００４１】
次に、図４を用いてドキュメントデータ編集装置１００における、鍵算出部１１３の詳細な処理として、前記ステップＳ３０３の詳しい処理シーケンスについて説明する。
【００４２】
（ステップＳ４０１）ドキュメントデータ編集装置１００の、制御部１１０の鍵算出部１１３は、ランダム値生成機能などを用いて、１２８ビット長のランダム値で構成される第一の鍵を生成する。
【００４３】
（ステップＳ４０２）次に、鍵算出部１１３は、固有情報算出部１１１から、１２８ビットの固有情報を取得する。固有情報の算出方法は、前記の通りであるためここでの説明は割愛する。
【００４４】
（ステップＳ４０３）次に、鍵算出部１１３は、ステップＳ４０１で算出した第一の鍵の値と、ステップＳ４０２で取得した固有情報の排他的論理和（ＸＯＲ演算）処理を行う。
【００４５】
（ステップＳ４０４）次に、鍵算出部１１３は、ステップＳ４０３の演算結果として第二の鍵を取得する。この第二の鍵がステップＳ３０３で示される暗号鍵に該当する。
【００４６】
次に、図５を用いて切出し元情報管理リスト１２３と、切出し先情報管理リスト１２６の構成について説明する。図５は、切出し元情報管理リスト１２３で管理される情報、切出し先情報管理リスト１２６で管理される情報、ドキュメントデータ、切出しデータの関係を示した図である。
【００４７】
切出し元情報管理リスト１２３には、切出し元ドキュメントデータ特定情報、切出し元ドキュメントデータ情報、切出し領域座標情報、切出し先ドキュメントデータ特定情報、切出し先情報管理リストエントリ番号、切出し先ドキュメントデータ情報、の組み合わせを、切出し領域毎に管理する。
【００４８】
切出し元ドキュメントデータ特定情報は、情報記録部１２０で管理するドキュメントデータのうち、どのドキュメントデータから切出しを行ったのかを特定するための情報であり、情報記録部１２０でのドキュメントデータの格納場所、該当ページ番号などを示す情報である。
【００４９】
切出し元ドキュメントデータ情報は、切出し元のドキュメントデータに、文字コードが含まれているか否かを示す情報、切出し元のドキュメントのフォーマット情報（各種アプリケーションソフトごとに決められているフォーマット情報など）、どの文字コードを使用しているのかを示す情報などの情報である。
【００５０】
切出し領域座標情報とは、切出した領域を示すストローク情報のような情報で管理するデータである。ストローク情報とは、（Ｘ１，Ｙ１）のようにＸ座標とＹ座標の複数の座標情報で構成さえる情報で、座標間を直線で結ぶことで領域を特定することができる。
【００５１】
切出し先ドキュメントデータ特定情報とは、情報記録部１２０で管理する切出しデータのうち、どこに切出しデータが含まれるのかを特定するための情報である。
【００５２】
切出し先情報管理リストエントリＮｏ．とは、切出しデータに関する情報が切出し先情報管理リスト１２６の何番目に格納されているのかを示す情報である。
【００５３】
切出し先ドキュメントデータ情報とは、切出し先ドキュメントデータに、文字コードが含まれているか否かを示す情報、切出し先のドキュメントのフォーマット情報（各種アプリケーションソフトごとに決められているフォーマット情報など）、どの文字コードを使用しているのかを示す情報などの情報である。
【００５４】
図６は、切出し元情報管理リスト１２３の具体的な構成例について示した図である。
【００５５】
切出し元ドキュメントデータ特定情報として、ドキュメントＩＤが０ｘ１２３４５ＡＢＣ、ドキュメントデータの格納場所として／ＤＯＣ／ＤＯＣ００１．ＢＯＫ、ページ番号として１０が格納されている。
【００５６】
切出し元ドキュメントデータ情報として、文字コードが切出し元データに含まれるか否かの情報１（＝文字コード有）が、ドキュメントフォーマット情報２（＝ＨＴＭＬデータ）、文字コード種別３（＝ＵＮＩＣＯＤＥ）が格納されている。
【００５７】
切出し領域座標情報として（３０、５０）、（３５、７０）、（４０、８０）、・・・、（２５、４５）といったストローク情報が格納されている。
【００５８】
切出し先ドキュメントデータ特定情報として、０ｘＡＢＣ１２３４５が格納されている。
【００５９】
切出し先情報管理リストエントリＮｏ．として１が格納されている。
【００６０】
切出し先ドキュメントデータ情報として、文字コードが切出し元データに含まれるか否かの情報１（＝文字コード有）、ドキュメントフォーマット情報２（＝ＨＴＭＬデータ）、文字コード種別３（＝ＵＮＩＣＯＤＥ）が格納されている。
【００６１】
次に、図５の切出し先情報管理リスト１２６の構成について説明する。切出し先情報管理リスト１２６は、切出し先ドキュメントデータ特定情報、貼付先領域中心座標の情報、切出し先ドキュメントデータ情報、切出し元ドキュメントデータ特定情報、切出し元情報管理リストエントリＮｏ．、切り出し元ドキュメントデータ情報、の組み合わせを切出し領域毎に管理する。
【００６２】
切出し先ドキュメントデータ特定情報とは、切出し先のドキュメントデータを一意に特定するための情報である。
【００６３】
貼付先領域中心座標は、Ｘ座標、Ｙ座標のように２つのパラメータで示させるような値である。任意の形で指定される領域情報のどの位置を中心座標とするのかの算出方法については、ここでの説明は割愛する。
【００６４】
切出し先ドキュメントデータ情報とは、切出し先のドキュメントデータに、文字コードが含まれているか否かを示す情報、切出し先のドキュメントのフォーマット情報（各種アプリケーションソフトごとに決められているフォーマット情報など）、どの文字コードを使用しているのかを示す情報などの情報である。
【００６５】
切出し元ドキュメントデータ特定情報は、情報記録部１２０で管理するドキュメントデータのうち、どのドキュメントデータから切出しを行ったのかを特定するための情報であり、情報記録部１２０でのドキュメントデータの格納場所、該当ページ番号などを示す情報である。
【００６６】
切出し元情報管理リストエントリＮｏ．とは、切出し元情報管理リスト１２３の何番目に切出し情報が格納されているのかを示す情報である。
【００６７】
切出し元ドキュメントデータ情報とは、切出し元のドキュメントデータに、文字コードが含まれているか否かを示す情報、切出し元のドキュメントのフォーマット情報（各種アプリケーションソフトごとに決められているフォーマット情報など）、どの文字コードを使用しているのかを示す情報などの情報である。
【００６８】
図７は、切出し先情報管理リスト１２６の具体的な構成例について示した図である。
【００６９】
切出し先ドキュメントデータ特定情報として０ｘＡＢＣ１２３４５が格納されている。
【００７０】
貼付先領域中心座標として（１００、２００）が格納されている。
【００７１】
切出し先ドキュメントデータ情報として文字コードが切出し先データに含まれるか否かの情報１（＝文字コード有）が、ドキュメントフォーマット情報２（＝ＨＴＭＬデータ）、文字コード種別３（＝ＵＮＩＣＯＤＥ）が格納されている。
【００７２】
切出し元ドキュメントデータ特定情報として、ドキュメントＩＤ（０ｘ１２３４５ＡＢＣ）、格納場所として／ＤＯＣ／ＤＯＣ００１．ＢＯＫ、ページ番号として１０が格納されている。切出し元情報管理リストエントリ番Ｎｏ．として１が格納されている。
【００７３】
切出し元ドキュメントデータ情報として、文字コードが切出し元データに含まれるか否かの情報１（＝文字コード有）、ドキュメントフォーマット情報２（＝ＨＴＭＬデータ）、文字コード種別３（＝ＵＮＩＣＯＤＥ）が格納されている。
【００７４】
これらの情報によって、切出し先データ０ｘＡＢＣ１２３４５で管理されるデータは、中心座標（１００、２００）に位置しており、／ＤＯＣ／ＤＯＣ００１．ＢＯＫの１０ページ目のデータで、切出し元情報管理リストエントリの１番目のエントリの情報で管理されているデータであることを示している。また、その切出し元データは、画像情報ではなく、ＵＮＩＣＯＤＥの文字コード情報を含んだ、ドキュメントフォーマットがＨＴＭＬのデータであることを示している。なお、ここではドキュメントデータ情報として上記のような例を示したが、その情報格納方法は制限されない。データ種別が判定できる情報であれば、どのようなもので構成されても構わない。
【００７５】
図８は、切出しドキュメントデータ情報を閲覧する際のドキュメントデータ編集装置１００の操作例を示した図である。図８（Ａ）では、ドキュメントデータ編集装置１００のメニューが左側の画面２０１に表示され、ペン型のデバイスを用いて切出しドキュメントデータ情報を選択している表示例を示している。右側の画面２０２には、切出しドキュメントデータ情報として、例えばファイル名などで分類された３つの情報がリストとして表示されている。図８（Ｂ）では、切出しドキュメントデータ情報が表示されている例を示している。左側の画面２０１には、以前の切出しドキュメントデータ情報として２つの切出しドキュメントデータの情報が表示され、さらにペンによる手書情報が表示されている画面構成例が示されている。
【００７６】
次に、図８のように、切出しドキュメントデータ情報が、ドキュメントデータ編集装置１００の出力部１４０に表示される際の、データ処理シーケンスについて、図９を用いて説明する。
【００７７】
（ステップＳ９０１）ドキュメントデータ編集装置１００の制御部１１０の入力部１３０が、ユーザからの入力を受け付け、出力部１４０に表示する切出しドキュメントデータを決定する。
【００７８】
（ステップＳ９０２）次に、制御部１１０は、情報記録部１２０に格納されている暗号化切出しデータ１２２と切出しデータ暗号鍵１２１を読み出す。
【００７９】
（ステップＳ９０３）次に、制御部１１０の固有情報算出部１１１が、固有情報を算出する。固有情報の算出方法は前記の通りであるためここでの説明は割愛する。
【００８０】
（ステップＳ９０４）次に、固有情報算出部１１１が、固有情報を算出できなかった場合には処理を終了する。ここで、固有情報が算出できない場合とは、一意に割振られたＩＤ値や、ドキュメントデータから一意に算出される情報が元となるドキュメントデータがないために算出できない場合などである。固有情報が算出できた場合には、ステップＳ９０５に進む。
【００８１】
（ステップＳ９０５）次に、制御部１１０の鍵算出部１１３は、固有情報算出部１１１が算出する固有情報と、情報記録部１２０から読み出した切出しデータ暗号鍵１２１から復号鍵を算出する。復号鍵の算出方法は前記の暗号鍵の算出方法と同様であるためここでの説明は割愛する。
【００８２】
（ステップＳ９０６）次に、制御部１１０の暗復号部１１２は、鍵算出部１１３で算出した復号鍵で、情報記録部１２０から読み出した暗号化切出しデータ１２２を復号し、データを平文化する。
【００８３】
（ステップＳ９０７）次に、制御部１１０の暗復号部１１２は、暗号化切出しデータ１２２が正しく復号化できたか否かの判定を行う。正しく復号化できない場合には処理を終了する。正しく復号化できない場合とは、復号化したデータが意図したデータになっていないことが確認された場合などである。正しく復号化できた場合にはステップＳ９０８に進む。
【００８４】
（ステップＳ９０８）次に、制御部１１０は、出力部１４０に復号化したデータを表示する。
【００８５】
次に、ユーザが拡大表示操作を行った際の操作例について図１０を用いて説明する。図１０（Ａ）では、ドキュメントデータ編集装置１００の右側の画面２０２に画面表示に関する操作メニューのような情報が表示され、そのうちの「拡大表示」を選択した表示例を示している。図１０（Ｂ）では、拡大されたデータの表示例を示している。左側の画面２０１には、切出しドキュメントデータが拡大されて表示されている。
【００８６】
このように、切出しデータがドキュメントデータ編集装置１００の出力部１４０に拡大されて表示される際の、データ処理シーケンスについて、図１１を用いて説明する。
【００８７】
（ステップＳ１１０１）ドキュメントデータ編集装置１００の制御部１１０の入力部１３０が、ユーザからの入力として、拡大表示要求の入力があったことを判定する。
【００８８】
（ステップＳ１１０２）次に、制御部１１０は、情報記録部１２０に格納されている切出し先情報管理リスト１２３を読み出す。
【００８９】
（ステップＳ１１０３）次に、制御部１１０は、出力部１４０に表示している切出しデータが画像データなのか、ドキュメントデータなのかをステップＳ１１０２で読み出した切出し先情報管理リスト１２３から判定する。ドキュメントデータであり、かつ、そのドキュメントデータの拡大処理を行える機能をドキュメントデータ編集装置１００が備える場合には、ステップＳ１１０６の処理に進む。そうでない場合には、ステップＳ１１０４に進む。
【００９０】
（ステップＳ１１０４）次に、制御部１１０は、ステップＳ１１０２で読み出した切出し先情報管理リスト１２３で管理されている情報から、切出し元のドキュメントデータが画像データなのか、ドキュメントデータなのかを判定する。ドキュメントデータである場合で、かつ、そのドキュメントデータの拡大処理を行える機能をドキュメントデータ編集装置１００が備える場合には、ステップＳ１１０５に進む。そうでない場合には、ステップＳ１１０８に進む。
【００９１】
（ステップＳ１１０５）次に、制御部１１０は、ステップＳ１１０２で読み出した切出し先情報管理リスト１２３から、切出し元情報管理リスト１２６のエントリ番号を参照し、ドキュメントデータ切出し領域などの情報を取得する。
【００９２】
（ステップＳ１１０６）次に、制御部１１０は、ドキュメントデータのレンダリング処理などを行い、切出しデータ部分に関する拡大データを生成する。
【００９３】
（ステップＳ１１０７）次に、制御部１１０は、ステップＳ１１０６、または、ステップＳ１１０８で生成されたデータを出力部１４０に表示する。
【００９４】
（ステップＳ１１０８）ステップＳ１１０４で、制御部１１０は、元ドキュメントデータを拡大表示するためのレンダリング処理が実施できない場合には、切出しデータを画像データとして認識し、拡大処理した画像データを生成する。
【００９５】
なお、上記のシーケンスでは、データの復号化処理などに関しては簡単のために、割愛している。
【００９６】
以上のように、切出し先情報管理リスト１２３と切出し元情報管理リスト１２６の構成を持つことによって、互いの情報を高速参照することが可能となり、また、情報管理リストにドキュメント種別などの情報を含めることによって、拡大等の表示変更を行うために、レンダリング処理のための初期化等の処理を行いつつ、データの復号化が行えるなど、機器の処理速度を向上させることができる。
【００９７】
なお、本実施の形態で、ドキュメントデータ編集装置の構成について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではないのはもちろんである。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施を変更することができる。例えば、以下のような場合も本発明に含まれる。
【００９８】
（１）本実施の形態では、切出しデータ暗号鍵は乱数値を生成しその値を利用する方法を示したが、元データ暗号鍵と同じ値を用いる、または、元データ暗号鍵の値を元として所定の演算処理にしたがって算出するなどの方法であっても構わない。
【００９９】
（２）本実施の形態では、固有情報算出部１１１が算出する固有情報として、ドキュメントデータに一意に割振られたＩＤ値や、ドキュメントデータから一意に算出される情報としてドキュメントデータのハッシュ演算値などを示したが、切出しドキュメントデータの前後のドキュメントデータ、ドキュメントのタイトルとそのページ番号から算出されるデータなど、切出し元のドキュメントに関する一意なデータであれば、どのような値を用いても構わない。
【０１００】
（３）本実施の形態では、固有情報算出部１１１が算出する固有情報として、ドキュメントデータに一意に割振られたＩＤ値や、ドキュメントデータから一意に算出される情報としてドキュメントデータのハッシュ演算値などを示したが、固有情報が装置ＩＤや各装置に固有に割り当てられた値などの、装置固有の情報であっても構わない。
【０１０１】
（４）本実施の形態では、データを暗号化する鍵長や固有情報長を１２８ビットとしたが、何ビットの値であっても構わない。また、同じビット長ではなく、異なるビット長の値でも構わない。
【０１０２】
（５）本実施の形態では、切出しデータを暗号化する鍵は、鍵値と固有情報の排他的論理輪（ＸＯＲ）演算で算出したが、その演算方法は限定されない。どのような演算方法であっても構わない。
【０１０３】
（６）本実施の形態では、データを暗号化する再に固有情報算出部１１１が算出する固有情報を使用して暗号化する例を示したが、固有情報を使用しなくても構わない。例えば、所定の値で暗号化される、情報記録部１２０特湯の暗号化データ保持機能に従って暗号化されるなどの方法であっても構わない。
【０１０４】
（７）本実施の形態で、切出し先情報管理リストの構成例を示したが、上記の通りでなくても構わない。ドキュメントフォーマットなどのデータに関する情報と、対応する切出し元情報管理リストの情報格納場所を示す情報が格納されていれば、どのような構成でも構わない。
【０１０５】
（８）本実施の形態で、切出し元情報管理リストの構成例を示したが、上記の通りでなくても構わない。ドキュメントフォーマットなどのデータに関する情報と対応する切出し先情報管理リストの情報格納場所を示す情報が格納されていれば、どのような構成でも構わない。
【産業上の利用可能性】
【０１０６】
本発明にかかるドキュメントデータ編集装置、ドキュメントデータ編集方法では、ユーザによって選択されたドキュメントデータの一部を、暗号化して保持することによって、ドキュメントの不正なコピーを防止しつつ、ドキュメント種別などの情報は別に管理するため、データ処理は高速にすることができる。そのため、ドキュメントデータを編集する機能を備える情報処理機器に適用することができる。
【符号の説明】
【０１０７】
１００ ドキュメントデータ編集装置
１１０ 制御部
１１１ 固有情報算出部
１１２ 暗復号部
１１３ 鍵算出部
１１４ ドキュメントデータ切出し部
１２０ 情報記録部
１２１ 切出しデータ暗号鍵
１２２ 暗号化切出しデータ
１２３ 切出し先情報管理リスト
１２４ 元データ暗号鍵
１２５ 暗号化元データ
１２６ 切出し元情報管理リスト
１３０ 入力部
１４０ 出力部
２０１ ドキュメントデータ編集装置の左側の画面
２０２ ドキュメントデータ編集装置の右側の画面
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ドキュメントデータと、
前記ドキュメントデータの一部を抽出した部分ドキュメントデータと、
前記ドキュメントの情報と、前記ドキュメントに対する前記部分ドキュメントデータの抽出情報を含んだ、切出し元情報管理リストと、
前記抽出された部分ドキュメントの情報と、該部分ドキュメントが抽出された元ドキュメントの情報と、を含んだ切出し先情報管理リストと、
を記録した情報記録媒体。
【請求項２】
前記ドキュメントデータと、前記部分ドキュメントデータは、それぞれ暗号化されており、
前記切出し元情報管理リストと、前記切出し先情報管理リストには、双方の対応するエントリを識別する識別情報を含んでいる、
請求項１に記載の情報記憶媒体。
【請求項３】
ドキュメントデータに対するユーザの操作入力を受け付ける入力部と、
前記入力部により、前記ドキュメントデータの指定された一部の領域を特定する情報を生成するドキュメントデータ切出し部と、
前記ドキュメントデータと、前記ドキュメントデータ切出し部により特定された前記一部の領域に該当する部分ドキュメントデータと、前記ドキュメントのデータ種別情報を含み前記部分ドキュメントデータの抽出情報を含んだ切出し元情報管理リストと、前記抽出された部分ドキュメントの情報と該部分ドキュメントが抽出された前記ドキュメントの情報とを含んだ切出し先情報管理リストと、を記録した情報記録部と、
を備えたドキュメント編集装置。
【請求項４】
前記情報記録部は、前記ドキュメントデータと、前記部分ドキュメントデータと、は暗号化されて記録されており、前記切出し元情報管理リストと、前記切出し先情報管理リストには、双方の対応するエントリを識別する識別情報が含まれたものである、請求項３に記載のドキュメント編集装置。
【請求項５】
ドキュメントデータに対するユーザの操作入力を受け付ける入力ステップと、
前記入力ステップにより、前記ドキュメントデータの指定された一部の領域を特定する情報を生成するドキュメントデータ切出しステップと、
前記ドキュメントデータと、前記ドキュメントデータ切出しステップにより特定された前記一部の領域に該当する部分ドキュメントデータと、前記ドキュメントのデータ種別情報を含み前記部分ドキュメントデータの抽出情報を含んだ切出し元情報管理リストと、前記抽出された部分ドキュメントの情報と該部分ドキュメントが抽出された前記ドキュメントの情報とを含んだ切出し先情報管理リストと、を記録する情報記録ステップと、
を備えたドキュメント編集方法。
【請求項１】
ドキュメントデータと、
前記ドキュメントデータの一部を抽出した部分ドキュメントデータと、
前記ドキュメントの情報と、前記ドキュメントに対する前記部分ドキュメントデータの抽出情報を含んだ、切出し元情報管理リストと、
前記抽出された部分ドキュメントの情報と、該部分ドキュメントが抽出された元ドキュメントの情報と、を含んだ切出し先情報管理リストと、
を記録した情報記録媒体。
【請求項２】
前記ドキュメントデータと、前記部分ドキュメントデータは、それぞれ暗号化されており、
前記切出し元情報管理リストと、前記切出し先情報管理リストには、双方の対応するエントリを識別する識別情報を含んでいる、
請求項１に記載の情報記憶媒体。
【請求項３】
ドキュメントデータに対するユーザの操作入力を受け付ける入力部と、
前記入力部により、前記ドキュメントデータの指定された一部の領域を特定する情報を生成するドキュメントデータ切出し部と、
前記ドキュメントデータと、前記ドキュメントデータ切出し部により特定された前記一部の領域に該当する部分ドキュメントデータと、前記ドキュメントのデータ種別情報を含み前記部分ドキュメントデータの抽出情報を含んだ切出し元情報管理リストと、前記抽出された部分ドキュメントの情報と該部分ドキュメントが抽出された前記ドキュメントの情報とを含んだ切出し先情報管理リストと、を記録した情報記録部と、
を備えたドキュメント編集装置。
【請求項４】
前記情報記録部は、前記ドキュメントデータと、前記部分ドキュメントデータと、は暗号化されて記録されており、前記切出し元情報管理リストと、前記切出し先情報管理リストには、双方の対応するエントリを識別する識別情報が含まれたものである、請求項３に記載のドキュメント編集装置。
【請求項５】
ドキュメントデータに対するユーザの操作入力を受け付ける入力ステップと、
前記入力ステップにより、前記ドキュメントデータの指定された一部の領域を特定する情報を生成するドキュメントデータ切出しステップと、
前記ドキュメントデータと、前記ドキュメントデータ切出しステップにより特定された前記一部の領域に該当する部分ドキュメントデータと、前記ドキュメントのデータ種別情報を含み前記部分ドキュメントデータの抽出情報を含んだ切出し元情報管理リストと、前記抽出された部分ドキュメントの情報と該部分ドキュメントが抽出された前記ドキュメントの情報とを含んだ切出し先情報管理リストと、を記録する情報記録ステップと、
を備えたドキュメント編集方法。
【図１】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図９】
【図１１】
【図２】
【図８】
【図１０】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図９】
【図１１】
【図２】
【図８】
【図１０】
【公開番号】特開２０１１−２３７９０４（Ｐ２０１１−２３７９０４Ａ）
【公開日】平成２３年１１月２４日（２０１１．１１．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１０６９７９（Ｐ２０１０−１０６９７９）
【出願日】平成２２年５月７日（２０１０．５．７）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１１月２４日（２０１１．１１．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年５月７日（２０１０．５．７）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
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