ドッキングステーションのスタンド装置、及びドッキングステーションシステム
【課題】ドッキングステーションを良好にかつ簡単な操作で保持することのできるスタンド装置を提供する。
【解決手段】このスタンド装置は、ドッキングステーションを厚み方向に対して直交する方向に挿抜可能とされ、挿入された前記ドッキングステーションを厚み方向の両側から押さえつつ保持することが可能な一対のホルダ壁部を有するホルダ本体と、ホルダ本体を弾性的に支持する弾性部材と、ホルダ本体に挿入されたドッキングステーションの荷重により弾性部材の反発力に逆らう方向にホルダ本体を移動させ、この移動に伴って、ホルダ本体内にドッキングステーションを拘束状態にするように一対のホルダ壁部を変位させる変位操作部とを具備する。
【解決手段】このスタンド装置は、ドッキングステーションを厚み方向に対して直交する方向に挿抜可能とされ、挿入された前記ドッキングステーションを厚み方向の両側から押さえつつ保持することが可能な一対のホルダ壁部を有するホルダ本体と、ホルダ本体を弾性的に支持する弾性部材と、ホルダ本体に挿入されたドッキングステーションの荷重により弾性部材の反発力に逆らう方向にホルダ本体を移動させ、この移動に伴って、ホルダ本体内にドッキングステーションを拘束状態にするように一対のホルダ壁部を変位させる変位操作部とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型のパーソナルコンピュータなどの携帯型の情報処理装置のための機能拡張ユニットであるドッキングステーションを縦置き姿勢で保持するスタンド装置、及びドッキングステーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドッキングステーションとは、ノート型のパーソナルコンピュータなどの携帯型の情報処理装置のための機能拡張ユニットである。ドッキングステーションは、例えば、光学ドライブ、ハードディスクドライブなどのドライブ類、無線LANなどの無線通信部、シリアルポートやパラレルポートなどの接続端子、情報処理装置との電気的な接続をとるためのコネクタなどを備える。携帯型の情報処理装置に搭載されない様々な機能をドッキングステーションにより補うことで、携帯型の情報処理装置の携帯性と機能性の両面の充実を図れる。ドッキングステーションに関する公知の文献には、例えば、特許文献1、特許文献2などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−02478号公報
【特許文献2】特開2002−108521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドッキングステーションは、その上面などにノートパソコンを平置き姿勢で搭載するものが多い。この種のドッキングステーションはノートパソコンと同等のサイズ及び同様の矩形形状をもつものが主流である。したがって、ノートパソコンの小型化が進むに連れてドッキングステーションも小型になる傾向がある。ところで、ドッキングステーションは、ノートパソコンそのものに比較して利用の頻度がどうしても低くなる。したがって、ドッキングステーションが小型であることと利用頻度の低さとが相俟って、いざ利用しようとした際にドッキングステーションがなかなか見つからないというケースがあり得る。また、ドッキングステーションの未使用時の収容方法にこれといったものが実現されていなかった。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、ドッキングステーションを良好にかつ簡単な操作で保持することのできるドッキングステーションのスタンド装置、ドッキングステーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るスタンド装置は、ドッキングステーションを厚み方向に対して直交する方向に挿抜可能とされ、挿入された前記ドッキングステーションを前記厚み方向の両側から押さえつつ保持することが可能な一対の壁部を有するホルダ本体と、前記ホルダ本体を弾性的に支持する弾性部材と、前記ホルダ本体に挿入された前記ドッキングステーションの荷重により前記弾性部材の反発力に逆らう方向に前記ホルダ本体を移動させ、この移動に伴って、前記ホルダ本体内に前記ドッキングステーションを拘束状態にするように前記一対の壁部の少なくとも一方を変位させる変位操作部とを具備する。
【0007】
本発明では、ドッキングステーションがホルダ本体に挿入されたとき、変位操作部がドッキングステーションの荷重により弾性部材の反発力に逆らう方向にホルダ本体を移動させ、この移動に伴ってホルダ本体の壁部を変位させてドッキングステーションをホルダ本体内に拘束状態にする。ドッキングステーションがホルダ本体から抜かれる際には、ドッキングステーションの荷重がかからなくなることで、弾性部材の反発力の方向にホルダ本体が移動し、ホルダ本体の壁部の変位が解消される。この結果、ドッキングステーションのホルダ本体内での拘束状態が解除される。したがって、このスタンド装置によれば、ドッキングステーションを縦置きの姿勢で安定に保持することができる。また、ドッキングステーションの着脱を、ドッキングステーションをホルダ本体に上から差し込む操作と、ホルダ本体から上に引き出す操作によって、それぞれ1アクションで容易に行うことができる。
【0008】
前記ホルダ本体は、前記ドッキングステーションの筐体において吸排気穴が設けられた部位を保持する部分を有し、この部分に前記吸排気穴と連通可能な流通穴を有するものであってもよい。このようにスタンド装置のホルダ本体に流通穴を設けることで、ドッキングステーションが使用された後、直ぐにスタンド装置に装着されても、ドッキングステーションの筐体内に熱が長時間こもることを防止することができ、ドッキングステーション内の拡張デバイスの熱破壊などを防止することができる。
【0009】
本発明のスタンド装置は、前記ホルダ本体に保持された前記ドッキングステーションの筐体と係合して、当該ドッキングステーションの挿抜方向及び厚み方向に対して直交する方向での位置決めを行う位置決め部をさらに具備するものであってもよい。このように、ドッキングステーションの挿抜方向及び厚み方向に対して直交する方向でドッキングステーションを位置決めして保持することによって、ドッキングステーションの吸排気穴とホルダ本体の流通穴との位置的な整合性を確保することができるとともに、ドッキングステーションがスタンド装置に偏った位置で保持されるのを防止できる。
【0010】
本発明の別の側面のドッキングステーションシステムは、上記目的を達成するため、情報処理装置の機能を拡張するデバイスを内蔵するドッキングステーションと、前記ドッキングステーションを保持可能なスタンド装置とを具備し、前記スタンド装置は、前記ドッキングステーションを厚み方向に対して直交する方向に挿抜可能とされ、挿入された前記ドッキングステーションを前記厚み方向の両側から押さえつつ保持することが可能な一対の壁部を有するホルダ本体と、前記ホルダ本体を弾性的に支持する弾性部材と、前記ホルダ本体に挿入された前記ドッキングステーションの荷重により前記弾性部材の反発力に逆らう方向に前記ホルダ本体を移動させ、この移動に伴って、前記ホルダ本体内に前記ドッキングステーションを拘束状態にするように前記一対の壁部の少なくとも一方を変位させる変位操作部とを具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ドッキングステーションを良好にかつ簡単な操作で保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る第1の実施形態のドッキングステーションシステムの構成を示す斜視図である。
【図2】図1のドッキングステーションシステムにおいてスタンド装置にドッキングステーションが装着された状態を示す斜視図である。
【図3】ドッキングステーションの4面図である。
【図4】図1のスタンド装置の平面図である。
【図5】図1のスタンド装置のY方向側面図である。
【図6】図1のスタンド装置のX方向側面図である。
【図7】図1のスタンド装置からハウジングの一部を外して内部構造を示した斜視図である。
【図8】図1のスタンド装置においてドッキングステーションが装着される前のホルダ部の状態を示す断面図である。
【図9】図1のスタンド装置においてドッキングステーションが装着された後のホルダ部の状態を示す断面図である。
【図10】図1のスタンド装置においてX軸方向でのドッキングステーションの保持位置について説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
図1及び図2は本発明に係る第1の実施形態のスタンド装置を含むドッキングステーションシステムを示す斜視図である。
ドッキングステーションシステムは、例えばノート型パーソナルコンピュータなどの携帯型の情報処理装置(図示せず)の機能を拡張するドッキングステーション10と、当該ドッキングステーション10の筐体の厚み方向(Y軸方向)の両側から抑えつつ、縦置きの姿勢で、挿抜自在に保持することのできるスタンド装置100とで構成される。
【0014】
[ドッキングステーション10]
図3はドッキングステーション10の4面図である。なお、図3に示すドッキングステーション10のX−Z面は図1及び図2に示すドッキングステーション10を裏側から見た図である。
【0015】
同図に示すように、ドッキングステーション10は、全体として略長方体の筐体11を有する。この筐体11の長方体において最も長い辺の方向をX軸方向、次に長い辺の方向をZ軸方向、最も短い辺の方向をY軸方向とする。筐体11の長方体におけるY軸方向の長さをドッキングステーション10の筐体11の厚みとする。このドッキングステーション10の筐体11内には、ノート型のパーソナルコンピュータなどの携帯型の情報処理装置の拡張機能として使用されるデバイス群が内蔵されている。デバイス群としては、例えば、光学ドライブ、ハードディスクドライブなどのドライブ類、無線LAN(Local Area Network)などの無線通信部、シリアルポートやパラレルポートなどのインタフェース、グラフィック処理のためのGPU(Graphics Processing Unit)などがある。また、ドッキングステーション10の筐体11内には、上記のデバイス群の機能の保全のために必要な部品、例えば、冷却ファンなども内蔵されている。筐体11には、冷却ファンにより起される気流を筐体11内外に流通させるための吸排気穴12a.12b,12c,12dが各所に設けられている。さらに、筐体11の一方のX−Z面には、スタンド装置100に保持されるときの位置決めのための係合部13が設けられている。
【0016】
[スタンド装置100]
図4はスタンド装置100の平面図、図5はY方向側面図、図6はX方向側面図、図7はハウジングの一部を外した斜視図、図8及び図9はスタンド装置100のホルダ部の詳細を説明するための断面図である。
これらの図に示すように、スタンド装置100の3軸(XYZ軸)方向が規定されているものとする。ここでZ軸方向はスタンド装置100が据え置かれたときの重力に沿った方向である。
【0017】
これらの図に示すように、スタンド装置100は、ボトムプレート101、ハウジング103、ドッキングステーションホルダ部(以下「ホルダ部」と呼ぶ。)110を有する。
【0018】
ボトムプレート101は、スタンド装置100を平らな面に設置したときに安定するように平坦な板で構成される。ハウジング103はボトムプレート101の一方面に設けられている。ハウジング103はボトムプレート101の面との間にウエイト120(図7−9)などの部品を収容可能なように中空構造にて作製される。
【0019】
また、ハウジング103のY軸方向の中央部分には、上記のホルダ部を設けるための断面U字型の溝部111(図7−図9参照)が設けられている。この溝部111はX軸方向に貫通している。このハウジング103の溝部111には、この溝部111の内部形状に適合するようにホルダ部110が設けられている。
【0020】
[ホルダ部110の詳細]
ホルダ部110は、ドッキングステーション10を当該ドッキングステーション10の筐体11の厚み方向(Y軸方向)に対して直交する方向であるZ軸方向に挿抜可能とされ、挿入されたドッキングステーション10を筐体11の厚み方向の両側から押さえつつ保持することが可能な部分である。ホルダ部110の深さD1(図6参照)は、ドッキングステーション10を縦置き姿勢で安定して保持できるとともに、ドッキングステーション10の挿抜時の操作性が低下しない程度、例えば30−50[mm]程度でよい。但し、この値はドッキングステーション10のサイズにも依存する。本実施形態で採用したドッキングステーション10のサイズは、例えば、X軸方向のサイズ=210[mm]、Z軸方向のサイズ=150[mm]、Y軸方向のサイズ(厚み)=15[mm]である。
【0021】
ホルダ部110は、具体的にはホルダ本体112からなる。ホルダ本体112は、ハウジング103の溝部111の断面形状に沿ったU字状の断面形状を有する。ホルダ本体112において、互いに向き合った壁の部分をホルダ壁部112a,112b、これら2つのホルダ壁部112a,112bどうしを連結する部分を連結部112cと呼ぶこととする。ホルダ壁部112a,112bの互いに対向する側の面にはクッション部113が、薄いシート状のクッション材の貼り付けなどによって設けられている。クッション部113は、ドッキングステーション10の筐体11の表面と直接接触される部分となるため、ドッキングステーション10の筐体11の表面を傷付けることなく、しかも安定に保持することができるように柔軟性を有する材料にて設けられる。
【0022】
ホルダ本体112はボトムプレート101上で板バネなどの弾性部材130(図7−図9参照)によって弾性的に支持される。ホルダ本体112は、ハウジング103の溝部111内においてZ軸方向に所定の範囲で移動自在とされている。その可動域は、例えば10[mm]程度、あるいはそれ以上、以下でよい。このホルダ本体112のZ軸方向の移動を可能にするために、ハウジング103の溝部111のY軸方向に対向する内壁面には、複数のガイド溝(図示せず)と複数の移動制限部114(図8、図9)が設けられている。一方、ホルダ本体112の互いに対向するホルダ壁部112a,112bの外側の面には、ハウジング103の溝部111に設けられた複数のガイド溝にそれぞれ係合される複数のガイドリブ115(図7参照)と、ハウジング103の溝部111に設けられた複数の移動制限部114にそれぞれ係合される複数の係合部116(図7−図9参照)が設けられている。
【0023】
ハウジング103の移動制限部114は、より具体的にはハウジング103に設けられた開口であり、ホルダ本体112の係合部116はその開口に挿入される突起部である。すなわち、ハウジング103の溝部111内でホルダ本体112は、係合部116としての突起部が、図8に示すように、ハウジング103に設けられた移動制限部114としての開口内の上端にあるときのトップ位置と、図9に示すように、突起部がハウジング103の開口内の下端にあるときのボトム位置との間で移動自在である。また、このハウジング103の溝部111内でのホルダ本体112の上下動は、ハウジング103の各ガイド溝(図示せず)とホルダ本体112のガイドリブ115との係合により移動方向が規制されることで、安定して行われることが可能である。
【0024】
上記のようにホルダ本体112は、例えば板バネなどの弾性部材130(図7−図9参照)によってボトムプレート101上に弾性的に支持されている。弾性部材130の反発力は、次のような条件を満たすように選定される。
1.ホルダ部110にドッキングステーション10が保持されていないとき、ホルダ本体112を持ち上げて上記のトップ位置に定位させる。
2.ホルダ部110にドッキングステーション10が保持されているとき(ドッキングステーション10の荷重が発生したとき)、ホルダ本体112が降下して上記のボトム位置に定位する。
【0025】
さらに、この実施形態のスタンド装置100では、ホルダ本体112のZ軸方向の移動に伴ってホルダ本体112のホルダ壁部112a,112bどうしの距離が可変するように構成される。次に、このようなホルダ本体112の操作を実現するための構成(変位操作部)について説明する。
【0026】
ホルダ本体112は、例えば合成樹脂など、ある程度の粘りと強度を有する材料で作製される。加えてホルダ本体112はU字型の断面形状を有することから、対向するホルダ壁部112a,112bどうしの距離が変化する方向に比較容易に弾性変形する。そこでホルダ本体112の一対のホルダ壁部112a,112bの外側面と、これに対向するハウジング103の溝部111の内壁面には、ホルダ本体112の上下動に応じて互いに干渉し合うことによって、それぞれのホルダ壁部112a,112bを弾性変形させてホルダ壁部112a,112bどうしの距離を変化させるための段差部160,170が変位操作部として設けられている。段差部160,170はそれぞれ、面の高さが異なる高所部161,171および低所部162,172と、高所部161,171と低所部162,172との間のテーパ部163,173とを有する。ここで、ホルダ壁部112a,112b側の段差部160を「ホルダ壁段差部160」、ハウジング103側の段差部170を「ハウジング段差部170」と呼ぶ。ホルダ壁段差部160においては、ホルダ部110の入口側から高所部161、テーパ部163、低所部162の順に設けられる。一方、ハウジング段差部170においては逆に、ホルダ部110の入口側から低所部172、テーパ部173、高所部171の順に設けられる。ホルダ壁段差部160及びハウジング段差部170の段差の高さとテーパの角度は共通もしくは略共通である。
【0027】
図8に示したように、ホルダ本体112がトップ位置にあるとき、ハウジング段差部170の低所部172、テーパ部173、高所部171がホルダ壁段差部160の高所部161、テーパ部163、低所部162とそれぞれ当接して干渉する。すなわち、この状態はハウジング段差部170とホルダ壁段差部160の凹凸をかみ合わせた状態にある。ホルダ本体112のトップ位置からボトム位置への移動が開始されると、ホルダ壁段差部160のテーパ部163とハウジング段差部170のテーパ部173とのテーパ作用によって、ホルダ壁段差部160の高所部161がハウジング段差部170の高所部171にのり上がる(図9参照)。
【0028】
これによりホルダ本体112の一対のホルダ壁部112a,112bは、連結部112c寄りの部位を支点に互いに接近する方向に弾性変形によって一定量傾く。この結果、ホルダ壁部112a,112bそれぞれの内面に設けられたクッション部113,113が、ホルダ部110に挿入されたドッキングステーション10の筐体11の厚み方向の両面にそれぞれ当接する。すなわち、ホルダ部110に挿入されたドッキングステーション10の筐体11が厚み方向の両側から一対のホルダ壁部112a,112bによって把持された状態になる。
【0029】
ドッキングステーション10がホルダ部110から抜かれる際には、弾性部材130の力によってホルダ本体112がボトム位置からトップ位置へ向けて浮き上がるとともに、一対のホルダ壁部112a,112bのホルダ壁段差部160とハウジング段差部170とが凹凸をかみ合わせた状態に戻る。
【0030】
ところで、ホルダ本体112の一対のホルダ壁部112a,112bどうしの距離は、ドッキングステーション10の厚みを基準に選定される。より詳細には、次のような条件を満足するように、ホルダ壁部112a,112bどうしの距離が選定される。
1.ホルダ部110にドッキングステーション10が保持されていないとき、ホルダ壁部112a,112bどうしの距離はドッキングステーション10の厚みサイズよりも若干大きい。
2.ホルダ部110へのドッキングステーション10の挿入を容易にするために、ドッキングステーション10が保持されていないときのホルダ壁部112a,112bどうしの距離は入口側で最大となるようにする。すなわち、ホルダ壁部112a,112bどうしの入口側での距離は奥側の距離よりも大きい。
3.ホルダ部110にドッキングステーション10が保持されているとき、対向するホルダ壁部112a,112bの内側にそれぞれ設けられたクッション部113でドッキングステーション10を厚み方向の両側から適切な力で押さえることができるようにする。
【0031】
以上のように、本実施形態のスタンド装置100は、ホルダ本体112の一対のホルダ壁部112a,112bによってドッキングステーション10を厚み方向の両側より押さえることによって、ドッキングステーション10を縦置きの姿勢で安定に保持することができる。さらに、本実施形態のスタンド装置100は、ドッキングステーション10の着脱を、ドッキングステーション10をスタンド装置100のホルダ部110に単に上から差し込む操作と、ホルダ部110から上に引き出す操作によって、それぞれ1アクションで容易に行うことができる。
【0032】
[ホルダ本体112のその他の構成]
ところで、ホルダ本体112において、ドッキングステーション10の筐体11を実際に押さえる部分は、X軸方向の全長においてクッション部113が設けられた領域に限定される。この実施形態では、X軸方向の全長の片側部約2/3の領域をドッキングステーション10の筐体11を実際に押さえる部分として利用している。ホルダ本体112の残る1/3の領域には、ドッキングステーション10の筐体11に設けられた一部の吸排気穴12c,12dに連通する流通穴117(図4、図7参照)が設けられている。この流通穴117は、ドッキングステーション10の筐体11に設けられた一部の吸排気穴12c,12dに対して位置的に整合するように配置される。
【0033】
スタンド装置100のホルダ本体112に流通穴117を設けることで、ドッキングステーション10が使用された後、直ぐにスタンド装置100に装着されても、ドッキングステーション10の筐体11内に熱が長時間こもることを防止することができ、ドッキングステーション10内の拡張デバイスの熱破壊などを防止することができる。特に、光学ドライブ、ハードディスクドライブ、GPUなど、発熱量の大きい拡張デバイスが内蔵されたドッキングステーション10において冷却は重要である。
【0034】
ところで、スタンド装置100に上記のような流通穴117を設けても、装着されたドッキングステーション10の一部の吸排気穴12c,12dとホルダ本体112の流通穴117とが位置的に整合しなければ一定の効果を期待できない。そこで、このスタンド装置100には、ドッキングステーション10のX軸方向での装着位置を決めるための位置決め部118(図4、図6、図7参照)が設けられている。この位置決め部118は、より具体的には、ホルダ本体112の一方のホルダ壁部112bの内側の面に突出した突起部である。この突起部よりなる位置決め部118はZ軸方向に沿って長尺状に設けられる。一方、ドッキングステーション10には、スタンド装置100の上記の位置決め部118に係合可能な係合部13(図3、図10参照)が設けられている。この係合部13は、より具体的には長尺の溝である。この長尺の溝からなる係合部13は、ドッキングステーション10の筐体11の一方のX−Z面に設けられる。
【0035】
また、この係合部13は、図3、図10に示すように、ドッキングステーション10の筐体11のX軸方向の中心から偏った位置に設けられる。これにより、ドッキングステーション10がスタンド装置100に左右逆向きに装着されることを防止できる。同様に、係合部13は、スタンド装置100のホルダ部110に挿入される部分だけに設けられることで、ドッキングステーション10がスタンド装置100に上下逆向きに装着されることを防止できる。これにより、装着されたドッキングステーション10の吸排気穴12c,12dとホルダ本体112の流通穴117との位置的な整合性を確保することができる。
【0036】
また、図10に示すように、スタンド装置100においてドッキングステーション10は、ホルダ部110においてクッション部113が設けられた約2/3の領域のX軸方向における中心が、ドッキングステーション10のX軸方向における中心と一致するような位置関係で保持される。これによりドッキングステーション10を安定に保持できる。
【0037】
ハウジング103内に配置されたウエイト120は、ドッキングステーション10を保持した状態でスタンド装置100が転倒したり、スタンド装置100からドッキングステーション10を抜き取る際にスタンド装置100ごと持ち上げられたりしないようにするためのものである。ウエイト120は、例えば、鉄などの金属、その他の比重の高い材料で構成されたものである。ウエイト120は、例えば、ホルダ部110を挟んで左右のウエイト120の荷重が同一となるように配置されることが望ましい。
【0038】
<変形例>
1.ハウジング103には、空気の流通穴が設けられていてもよい。これにより、ドッキングステーション10の冷却効率の向上を期待できる。
2.スタンド装置100の位置決め部を突起部、ドッキングステーション10の係合部13を溝としたが、逆にスタンド装置100の位置決め部を溝、ドッキングステーション10の係合部13を突起部としてもよい。
3.上記のスタンド装置100では、Y軸方向を略垂直の向きにした姿勢でドッキングステーション10を保持するように構成したが、X軸方向を略垂直の向きにした姿勢でドッキングステーション10を保持するように構成してもよい。
4.上記のスタンド装置100では、ドッキングステーション10がホルダ部110に挿入されたとき、ホルダ本体112の一対のホルダ壁部112a,112bが動いて、ドッキングステーション10を厚み方向の両側から挟み込むことによってドッキングステーション10を保持するものとした。本発明は、これに限らず、ホルダ本体112の一方のホルダ壁部だけが動いて、ドッキングステーション10を厚み方向の両側から挟み込み、ドッキングステーション10を保持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…ドッキングステーション
11…筐体
12c.12d…吸排気穴
13…係合部
100…スタンド装置
101…ボトムプレート
103…ハウジング
110…ホルダ部
112…ホルダ本体
112a、112b…ホルダ壁部
112c…連結部
113…クッション部
114…移動制限部
115…ガイドリブ
116…係合部
117…流通穴
120…ウエイト
130…弾性部材
160、170…段差部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型のパーソナルコンピュータなどの携帯型の情報処理装置のための機能拡張ユニットであるドッキングステーションを縦置き姿勢で保持するスタンド装置、及びドッキングステーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドッキングステーションとは、ノート型のパーソナルコンピュータなどの携帯型の情報処理装置のための機能拡張ユニットである。ドッキングステーションは、例えば、光学ドライブ、ハードディスクドライブなどのドライブ類、無線LANなどの無線通信部、シリアルポートやパラレルポートなどの接続端子、情報処理装置との電気的な接続をとるためのコネクタなどを備える。携帯型の情報処理装置に搭載されない様々な機能をドッキングステーションにより補うことで、携帯型の情報処理装置の携帯性と機能性の両面の充実を図れる。ドッキングステーションに関する公知の文献には、例えば、特許文献1、特許文献2などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−02478号公報
【特許文献2】特開2002−108521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドッキングステーションは、その上面などにノートパソコンを平置き姿勢で搭載するものが多い。この種のドッキングステーションはノートパソコンと同等のサイズ及び同様の矩形形状をもつものが主流である。したがって、ノートパソコンの小型化が進むに連れてドッキングステーションも小型になる傾向がある。ところで、ドッキングステーションは、ノートパソコンそのものに比較して利用の頻度がどうしても低くなる。したがって、ドッキングステーションが小型であることと利用頻度の低さとが相俟って、いざ利用しようとした際にドッキングステーションがなかなか見つからないというケースがあり得る。また、ドッキングステーションの未使用時の収容方法にこれといったものが実現されていなかった。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、ドッキングステーションを良好にかつ簡単な操作で保持することのできるドッキングステーションのスタンド装置、ドッキングステーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るスタンド装置は、ドッキングステーションを厚み方向に対して直交する方向に挿抜可能とされ、挿入された前記ドッキングステーションを前記厚み方向の両側から押さえつつ保持することが可能な一対の壁部を有するホルダ本体と、前記ホルダ本体を弾性的に支持する弾性部材と、前記ホルダ本体に挿入された前記ドッキングステーションの荷重により前記弾性部材の反発力に逆らう方向に前記ホルダ本体を移動させ、この移動に伴って、前記ホルダ本体内に前記ドッキングステーションを拘束状態にするように前記一対の壁部の少なくとも一方を変位させる変位操作部とを具備する。
【0007】
本発明では、ドッキングステーションがホルダ本体に挿入されたとき、変位操作部がドッキングステーションの荷重により弾性部材の反発力に逆らう方向にホルダ本体を移動させ、この移動に伴ってホルダ本体の壁部を変位させてドッキングステーションをホルダ本体内に拘束状態にする。ドッキングステーションがホルダ本体から抜かれる際には、ドッキングステーションの荷重がかからなくなることで、弾性部材の反発力の方向にホルダ本体が移動し、ホルダ本体の壁部の変位が解消される。この結果、ドッキングステーションのホルダ本体内での拘束状態が解除される。したがって、このスタンド装置によれば、ドッキングステーションを縦置きの姿勢で安定に保持することができる。また、ドッキングステーションの着脱を、ドッキングステーションをホルダ本体に上から差し込む操作と、ホルダ本体から上に引き出す操作によって、それぞれ1アクションで容易に行うことができる。
【0008】
前記ホルダ本体は、前記ドッキングステーションの筐体において吸排気穴が設けられた部位を保持する部分を有し、この部分に前記吸排気穴と連通可能な流通穴を有するものであってもよい。このようにスタンド装置のホルダ本体に流通穴を設けることで、ドッキングステーションが使用された後、直ぐにスタンド装置に装着されても、ドッキングステーションの筐体内に熱が長時間こもることを防止することができ、ドッキングステーション内の拡張デバイスの熱破壊などを防止することができる。
【0009】
本発明のスタンド装置は、前記ホルダ本体に保持された前記ドッキングステーションの筐体と係合して、当該ドッキングステーションの挿抜方向及び厚み方向に対して直交する方向での位置決めを行う位置決め部をさらに具備するものであってもよい。このように、ドッキングステーションの挿抜方向及び厚み方向に対して直交する方向でドッキングステーションを位置決めして保持することによって、ドッキングステーションの吸排気穴とホルダ本体の流通穴との位置的な整合性を確保することができるとともに、ドッキングステーションがスタンド装置に偏った位置で保持されるのを防止できる。
【0010】
本発明の別の側面のドッキングステーションシステムは、上記目的を達成するため、情報処理装置の機能を拡張するデバイスを内蔵するドッキングステーションと、前記ドッキングステーションを保持可能なスタンド装置とを具備し、前記スタンド装置は、前記ドッキングステーションを厚み方向に対して直交する方向に挿抜可能とされ、挿入された前記ドッキングステーションを前記厚み方向の両側から押さえつつ保持することが可能な一対の壁部を有するホルダ本体と、前記ホルダ本体を弾性的に支持する弾性部材と、前記ホルダ本体に挿入された前記ドッキングステーションの荷重により前記弾性部材の反発力に逆らう方向に前記ホルダ本体を移動させ、この移動に伴って、前記ホルダ本体内に前記ドッキングステーションを拘束状態にするように前記一対の壁部の少なくとも一方を変位させる変位操作部とを具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ドッキングステーションを良好にかつ簡単な操作で保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る第1の実施形態のドッキングステーションシステムの構成を示す斜視図である。
【図2】図1のドッキングステーションシステムにおいてスタンド装置にドッキングステーションが装着された状態を示す斜視図である。
【図3】ドッキングステーションの4面図である。
【図4】図1のスタンド装置の平面図である。
【図5】図1のスタンド装置のY方向側面図である。
【図6】図1のスタンド装置のX方向側面図である。
【図7】図1のスタンド装置からハウジングの一部を外して内部構造を示した斜視図である。
【図8】図1のスタンド装置においてドッキングステーションが装着される前のホルダ部の状態を示す断面図である。
【図9】図1のスタンド装置においてドッキングステーションが装着された後のホルダ部の状態を示す断面図である。
【図10】図1のスタンド装置においてX軸方向でのドッキングステーションの保持位置について説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
図1及び図2は本発明に係る第1の実施形態のスタンド装置を含むドッキングステーションシステムを示す斜視図である。
ドッキングステーションシステムは、例えばノート型パーソナルコンピュータなどの携帯型の情報処理装置(図示せず)の機能を拡張するドッキングステーション10と、当該ドッキングステーション10の筐体の厚み方向(Y軸方向)の両側から抑えつつ、縦置きの姿勢で、挿抜自在に保持することのできるスタンド装置100とで構成される。
【0014】
[ドッキングステーション10]
図3はドッキングステーション10の4面図である。なお、図3に示すドッキングステーション10のX−Z面は図1及び図2に示すドッキングステーション10を裏側から見た図である。
【0015】
同図に示すように、ドッキングステーション10は、全体として略長方体の筐体11を有する。この筐体11の長方体において最も長い辺の方向をX軸方向、次に長い辺の方向をZ軸方向、最も短い辺の方向をY軸方向とする。筐体11の長方体におけるY軸方向の長さをドッキングステーション10の筐体11の厚みとする。このドッキングステーション10の筐体11内には、ノート型のパーソナルコンピュータなどの携帯型の情報処理装置の拡張機能として使用されるデバイス群が内蔵されている。デバイス群としては、例えば、光学ドライブ、ハードディスクドライブなどのドライブ類、無線LAN(Local Area Network)などの無線通信部、シリアルポートやパラレルポートなどのインタフェース、グラフィック処理のためのGPU(Graphics Processing Unit)などがある。また、ドッキングステーション10の筐体11内には、上記のデバイス群の機能の保全のために必要な部品、例えば、冷却ファンなども内蔵されている。筐体11には、冷却ファンにより起される気流を筐体11内外に流通させるための吸排気穴12a.12b,12c,12dが各所に設けられている。さらに、筐体11の一方のX−Z面には、スタンド装置100に保持されるときの位置決めのための係合部13が設けられている。
【0016】
[スタンド装置100]
図4はスタンド装置100の平面図、図5はY方向側面図、図6はX方向側面図、図7はハウジングの一部を外した斜視図、図8及び図9はスタンド装置100のホルダ部の詳細を説明するための断面図である。
これらの図に示すように、スタンド装置100の3軸(XYZ軸)方向が規定されているものとする。ここでZ軸方向はスタンド装置100が据え置かれたときの重力に沿った方向である。
【0017】
これらの図に示すように、スタンド装置100は、ボトムプレート101、ハウジング103、ドッキングステーションホルダ部(以下「ホルダ部」と呼ぶ。)110を有する。
【0018】
ボトムプレート101は、スタンド装置100を平らな面に設置したときに安定するように平坦な板で構成される。ハウジング103はボトムプレート101の一方面に設けられている。ハウジング103はボトムプレート101の面との間にウエイト120(図7−9)などの部品を収容可能なように中空構造にて作製される。
【0019】
また、ハウジング103のY軸方向の中央部分には、上記のホルダ部を設けるための断面U字型の溝部111(図7−図9参照)が設けられている。この溝部111はX軸方向に貫通している。このハウジング103の溝部111には、この溝部111の内部形状に適合するようにホルダ部110が設けられている。
【0020】
[ホルダ部110の詳細]
ホルダ部110は、ドッキングステーション10を当該ドッキングステーション10の筐体11の厚み方向(Y軸方向)に対して直交する方向であるZ軸方向に挿抜可能とされ、挿入されたドッキングステーション10を筐体11の厚み方向の両側から押さえつつ保持することが可能な部分である。ホルダ部110の深さD1(図6参照)は、ドッキングステーション10を縦置き姿勢で安定して保持できるとともに、ドッキングステーション10の挿抜時の操作性が低下しない程度、例えば30−50[mm]程度でよい。但し、この値はドッキングステーション10のサイズにも依存する。本実施形態で採用したドッキングステーション10のサイズは、例えば、X軸方向のサイズ=210[mm]、Z軸方向のサイズ=150[mm]、Y軸方向のサイズ(厚み)=15[mm]である。
【0021】
ホルダ部110は、具体的にはホルダ本体112からなる。ホルダ本体112は、ハウジング103の溝部111の断面形状に沿ったU字状の断面形状を有する。ホルダ本体112において、互いに向き合った壁の部分をホルダ壁部112a,112b、これら2つのホルダ壁部112a,112bどうしを連結する部分を連結部112cと呼ぶこととする。ホルダ壁部112a,112bの互いに対向する側の面にはクッション部113が、薄いシート状のクッション材の貼り付けなどによって設けられている。クッション部113は、ドッキングステーション10の筐体11の表面と直接接触される部分となるため、ドッキングステーション10の筐体11の表面を傷付けることなく、しかも安定に保持することができるように柔軟性を有する材料にて設けられる。
【0022】
ホルダ本体112はボトムプレート101上で板バネなどの弾性部材130(図7−図9参照)によって弾性的に支持される。ホルダ本体112は、ハウジング103の溝部111内においてZ軸方向に所定の範囲で移動自在とされている。その可動域は、例えば10[mm]程度、あるいはそれ以上、以下でよい。このホルダ本体112のZ軸方向の移動を可能にするために、ハウジング103の溝部111のY軸方向に対向する内壁面には、複数のガイド溝(図示せず)と複数の移動制限部114(図8、図9)が設けられている。一方、ホルダ本体112の互いに対向するホルダ壁部112a,112bの外側の面には、ハウジング103の溝部111に設けられた複数のガイド溝にそれぞれ係合される複数のガイドリブ115(図7参照)と、ハウジング103の溝部111に設けられた複数の移動制限部114にそれぞれ係合される複数の係合部116(図7−図9参照)が設けられている。
【0023】
ハウジング103の移動制限部114は、より具体的にはハウジング103に設けられた開口であり、ホルダ本体112の係合部116はその開口に挿入される突起部である。すなわち、ハウジング103の溝部111内でホルダ本体112は、係合部116としての突起部が、図8に示すように、ハウジング103に設けられた移動制限部114としての開口内の上端にあるときのトップ位置と、図9に示すように、突起部がハウジング103の開口内の下端にあるときのボトム位置との間で移動自在である。また、このハウジング103の溝部111内でのホルダ本体112の上下動は、ハウジング103の各ガイド溝(図示せず)とホルダ本体112のガイドリブ115との係合により移動方向が規制されることで、安定して行われることが可能である。
【0024】
上記のようにホルダ本体112は、例えば板バネなどの弾性部材130(図7−図9参照)によってボトムプレート101上に弾性的に支持されている。弾性部材130の反発力は、次のような条件を満たすように選定される。
1.ホルダ部110にドッキングステーション10が保持されていないとき、ホルダ本体112を持ち上げて上記のトップ位置に定位させる。
2.ホルダ部110にドッキングステーション10が保持されているとき(ドッキングステーション10の荷重が発生したとき)、ホルダ本体112が降下して上記のボトム位置に定位する。
【0025】
さらに、この実施形態のスタンド装置100では、ホルダ本体112のZ軸方向の移動に伴ってホルダ本体112のホルダ壁部112a,112bどうしの距離が可変するように構成される。次に、このようなホルダ本体112の操作を実現するための構成(変位操作部)について説明する。
【0026】
ホルダ本体112は、例えば合成樹脂など、ある程度の粘りと強度を有する材料で作製される。加えてホルダ本体112はU字型の断面形状を有することから、対向するホルダ壁部112a,112bどうしの距離が変化する方向に比較容易に弾性変形する。そこでホルダ本体112の一対のホルダ壁部112a,112bの外側面と、これに対向するハウジング103の溝部111の内壁面には、ホルダ本体112の上下動に応じて互いに干渉し合うことによって、それぞれのホルダ壁部112a,112bを弾性変形させてホルダ壁部112a,112bどうしの距離を変化させるための段差部160,170が変位操作部として設けられている。段差部160,170はそれぞれ、面の高さが異なる高所部161,171および低所部162,172と、高所部161,171と低所部162,172との間のテーパ部163,173とを有する。ここで、ホルダ壁部112a,112b側の段差部160を「ホルダ壁段差部160」、ハウジング103側の段差部170を「ハウジング段差部170」と呼ぶ。ホルダ壁段差部160においては、ホルダ部110の入口側から高所部161、テーパ部163、低所部162の順に設けられる。一方、ハウジング段差部170においては逆に、ホルダ部110の入口側から低所部172、テーパ部173、高所部171の順に設けられる。ホルダ壁段差部160及びハウジング段差部170の段差の高さとテーパの角度は共通もしくは略共通である。
【0027】
図8に示したように、ホルダ本体112がトップ位置にあるとき、ハウジング段差部170の低所部172、テーパ部173、高所部171がホルダ壁段差部160の高所部161、テーパ部163、低所部162とそれぞれ当接して干渉する。すなわち、この状態はハウジング段差部170とホルダ壁段差部160の凹凸をかみ合わせた状態にある。ホルダ本体112のトップ位置からボトム位置への移動が開始されると、ホルダ壁段差部160のテーパ部163とハウジング段差部170のテーパ部173とのテーパ作用によって、ホルダ壁段差部160の高所部161がハウジング段差部170の高所部171にのり上がる(図9参照)。
【0028】
これによりホルダ本体112の一対のホルダ壁部112a,112bは、連結部112c寄りの部位を支点に互いに接近する方向に弾性変形によって一定量傾く。この結果、ホルダ壁部112a,112bそれぞれの内面に設けられたクッション部113,113が、ホルダ部110に挿入されたドッキングステーション10の筐体11の厚み方向の両面にそれぞれ当接する。すなわち、ホルダ部110に挿入されたドッキングステーション10の筐体11が厚み方向の両側から一対のホルダ壁部112a,112bによって把持された状態になる。
【0029】
ドッキングステーション10がホルダ部110から抜かれる際には、弾性部材130の力によってホルダ本体112がボトム位置からトップ位置へ向けて浮き上がるとともに、一対のホルダ壁部112a,112bのホルダ壁段差部160とハウジング段差部170とが凹凸をかみ合わせた状態に戻る。
【0030】
ところで、ホルダ本体112の一対のホルダ壁部112a,112bどうしの距離は、ドッキングステーション10の厚みを基準に選定される。より詳細には、次のような条件を満足するように、ホルダ壁部112a,112bどうしの距離が選定される。
1.ホルダ部110にドッキングステーション10が保持されていないとき、ホルダ壁部112a,112bどうしの距離はドッキングステーション10の厚みサイズよりも若干大きい。
2.ホルダ部110へのドッキングステーション10の挿入を容易にするために、ドッキングステーション10が保持されていないときのホルダ壁部112a,112bどうしの距離は入口側で最大となるようにする。すなわち、ホルダ壁部112a,112bどうしの入口側での距離は奥側の距離よりも大きい。
3.ホルダ部110にドッキングステーション10が保持されているとき、対向するホルダ壁部112a,112bの内側にそれぞれ設けられたクッション部113でドッキングステーション10を厚み方向の両側から適切な力で押さえることができるようにする。
【0031】
以上のように、本実施形態のスタンド装置100は、ホルダ本体112の一対のホルダ壁部112a,112bによってドッキングステーション10を厚み方向の両側より押さえることによって、ドッキングステーション10を縦置きの姿勢で安定に保持することができる。さらに、本実施形態のスタンド装置100は、ドッキングステーション10の着脱を、ドッキングステーション10をスタンド装置100のホルダ部110に単に上から差し込む操作と、ホルダ部110から上に引き出す操作によって、それぞれ1アクションで容易に行うことができる。
【0032】
[ホルダ本体112のその他の構成]
ところで、ホルダ本体112において、ドッキングステーション10の筐体11を実際に押さえる部分は、X軸方向の全長においてクッション部113が設けられた領域に限定される。この実施形態では、X軸方向の全長の片側部約2/3の領域をドッキングステーション10の筐体11を実際に押さえる部分として利用している。ホルダ本体112の残る1/3の領域には、ドッキングステーション10の筐体11に設けられた一部の吸排気穴12c,12dに連通する流通穴117(図4、図7参照)が設けられている。この流通穴117は、ドッキングステーション10の筐体11に設けられた一部の吸排気穴12c,12dに対して位置的に整合するように配置される。
【0033】
スタンド装置100のホルダ本体112に流通穴117を設けることで、ドッキングステーション10が使用された後、直ぐにスタンド装置100に装着されても、ドッキングステーション10の筐体11内に熱が長時間こもることを防止することができ、ドッキングステーション10内の拡張デバイスの熱破壊などを防止することができる。特に、光学ドライブ、ハードディスクドライブ、GPUなど、発熱量の大きい拡張デバイスが内蔵されたドッキングステーション10において冷却は重要である。
【0034】
ところで、スタンド装置100に上記のような流通穴117を設けても、装着されたドッキングステーション10の一部の吸排気穴12c,12dとホルダ本体112の流通穴117とが位置的に整合しなければ一定の効果を期待できない。そこで、このスタンド装置100には、ドッキングステーション10のX軸方向での装着位置を決めるための位置決め部118(図4、図6、図7参照)が設けられている。この位置決め部118は、より具体的には、ホルダ本体112の一方のホルダ壁部112bの内側の面に突出した突起部である。この突起部よりなる位置決め部118はZ軸方向に沿って長尺状に設けられる。一方、ドッキングステーション10には、スタンド装置100の上記の位置決め部118に係合可能な係合部13(図3、図10参照)が設けられている。この係合部13は、より具体的には長尺の溝である。この長尺の溝からなる係合部13は、ドッキングステーション10の筐体11の一方のX−Z面に設けられる。
【0035】
また、この係合部13は、図3、図10に示すように、ドッキングステーション10の筐体11のX軸方向の中心から偏った位置に設けられる。これにより、ドッキングステーション10がスタンド装置100に左右逆向きに装着されることを防止できる。同様に、係合部13は、スタンド装置100のホルダ部110に挿入される部分だけに設けられることで、ドッキングステーション10がスタンド装置100に上下逆向きに装着されることを防止できる。これにより、装着されたドッキングステーション10の吸排気穴12c,12dとホルダ本体112の流通穴117との位置的な整合性を確保することができる。
【0036】
また、図10に示すように、スタンド装置100においてドッキングステーション10は、ホルダ部110においてクッション部113が設けられた約2/3の領域のX軸方向における中心が、ドッキングステーション10のX軸方向における中心と一致するような位置関係で保持される。これによりドッキングステーション10を安定に保持できる。
【0037】
ハウジング103内に配置されたウエイト120は、ドッキングステーション10を保持した状態でスタンド装置100が転倒したり、スタンド装置100からドッキングステーション10を抜き取る際にスタンド装置100ごと持ち上げられたりしないようにするためのものである。ウエイト120は、例えば、鉄などの金属、その他の比重の高い材料で構成されたものである。ウエイト120は、例えば、ホルダ部110を挟んで左右のウエイト120の荷重が同一となるように配置されることが望ましい。
【0038】
<変形例>
1.ハウジング103には、空気の流通穴が設けられていてもよい。これにより、ドッキングステーション10の冷却効率の向上を期待できる。
2.スタンド装置100の位置決め部を突起部、ドッキングステーション10の係合部13を溝としたが、逆にスタンド装置100の位置決め部を溝、ドッキングステーション10の係合部13を突起部としてもよい。
3.上記のスタンド装置100では、Y軸方向を略垂直の向きにした姿勢でドッキングステーション10を保持するように構成したが、X軸方向を略垂直の向きにした姿勢でドッキングステーション10を保持するように構成してもよい。
4.上記のスタンド装置100では、ドッキングステーション10がホルダ部110に挿入されたとき、ホルダ本体112の一対のホルダ壁部112a,112bが動いて、ドッキングステーション10を厚み方向の両側から挟み込むことによってドッキングステーション10を保持するものとした。本発明は、これに限らず、ホルダ本体112の一方のホルダ壁部だけが動いて、ドッキングステーション10を厚み方向の両側から挟み込み、ドッキングステーション10を保持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…ドッキングステーション
11…筐体
12c.12d…吸排気穴
13…係合部
100…スタンド装置
101…ボトムプレート
103…ハウジング
110…ホルダ部
112…ホルダ本体
112a、112b…ホルダ壁部
112c…連結部
113…クッション部
114…移動制限部
115…ガイドリブ
116…係合部
117…流通穴
120…ウエイト
130…弾性部材
160、170…段差部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドッキングステーションを厚み方向に対して直交する方向に挿抜可能とされ、挿入された前記ドッキングステーションを前記厚み方向の両側から押さえつつ保持することが可能な一対の壁部を有するホルダ本体と、
前記ホルダ本体を弾性的に支持する弾性部材と、
前記ホルダ本体に挿入された前記ドッキングステーションの荷重により前記弾性部材の反発力に逆らう方向に前記ホルダ本体を移動させ、この移動に伴って、前記ホルダ本体内に前記ドッキングステーションを拘束状態にするように前記一対の壁部の少なくとも一方を変位させる変位操作部と
を具備するスタンド装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスタンド装置であって、
前記ホルダ本体は、前記ドッキングステーションの筐体において吸排気穴が設けられた部位を保持する部分を有し、この部分は前記吸排気穴と連通可能な流通穴を有する
スタンド装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスタンド装置であって、
前記ホルダ本体に保持された前記ドッキングステーションの筐体と係合して、当該ドッキングステーションの挿抜方向及び厚み方向に対して直交する方向での位置決めを行う位置決め部をさらに具備する
スタンド装置。
【請求項4】
情報処理装置の機能を拡張するデバイスを内蔵するドッキングステーションと、
前記ドッキングステーションを保持可能なスタンド装置とを具備し、
前記スタンド装置は、
前記ドッキングステーションを厚み方向に対して直交する方向に挿抜可能とされ、挿入された前記ドッキングステーションを前記厚み方向の両側から押さえつつ保持することが可能な一対の壁部を有するホルダ本体と、
前記ホルダ本体を弾性的に支持する弾性部材と、
前記ホルダ本体に挿入された前記ドッキングステーションの荷重により前記弾性部材の反発力に逆らう方向に前記ホルダ本体を移動させ、この移動に伴って、前記ホルダ本体内に前記ドッキングステーションを拘束状態にするように前記一対の壁部の少なくとも一方を変位させる変位操作部と
を具備するドッキングステーションシステム。
【請求項1】
ドッキングステーションを厚み方向に対して直交する方向に挿抜可能とされ、挿入された前記ドッキングステーションを前記厚み方向の両側から押さえつつ保持することが可能な一対の壁部を有するホルダ本体と、
前記ホルダ本体を弾性的に支持する弾性部材と、
前記ホルダ本体に挿入された前記ドッキングステーションの荷重により前記弾性部材の反発力に逆らう方向に前記ホルダ本体を移動させ、この移動に伴って、前記ホルダ本体内に前記ドッキングステーションを拘束状態にするように前記一対の壁部の少なくとも一方を変位させる変位操作部と
を具備するスタンド装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスタンド装置であって、
前記ホルダ本体は、前記ドッキングステーションの筐体において吸排気穴が設けられた部位を保持する部分を有し、この部分は前記吸排気穴と連通可能な流通穴を有する
スタンド装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスタンド装置であって、
前記ホルダ本体に保持された前記ドッキングステーションの筐体と係合して、当該ドッキングステーションの挿抜方向及び厚み方向に対して直交する方向での位置決めを行う位置決め部をさらに具備する
スタンド装置。
【請求項4】
情報処理装置の機能を拡張するデバイスを内蔵するドッキングステーションと、
前記ドッキングステーションを保持可能なスタンド装置とを具備し、
前記スタンド装置は、
前記ドッキングステーションを厚み方向に対して直交する方向に挿抜可能とされ、挿入された前記ドッキングステーションを前記厚み方向の両側から押さえつつ保持することが可能な一対の壁部を有するホルダ本体と、
前記ホルダ本体を弾性的に支持する弾性部材と、
前記ホルダ本体に挿入された前記ドッキングステーションの荷重により前記弾性部材の反発力に逆らう方向に前記ホルダ本体を移動させ、この移動に伴って、前記ホルダ本体内に前記ドッキングステーションを拘束状態にするように前記一対の壁部の少なくとも一方を変位させる変位操作部と
を具備するドッキングステーションシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−160008(P2012−160008A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19125(P2011−19125)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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