説明

ドライブレコーダ装置及び時刻修正方法

【課題】記録時刻に矛盾が生じることなく、信頼性の高い記録を行うことができるドライブレコーダ装置を提供する。
【解決手段】ドライブレコーダ1は、IGスイッチ31がオンになると、GPS受信器29からGPS時刻情報を受信したか否かを判別する(S2)。時刻情報を受信した場合、ドライブレコーダ1は、GPS時刻情報をもとに時刻IC13の時刻を修正する(S4)。さらに、ドライブレコーダ1は、この時刻修正ログを作成し、内部記録媒体11に記録する(S5)。この後、ドライブレコーダ1は、カメラ23を起動させ、撮影を開始する(S6)。ドライブレコーダ1は、撮影した画像の記録中でないときに時刻の修正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を撮影し、この撮影された画像を時刻とともに記録するドライブレコーダ装置及び時刻修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライブレコーダは、GPS(Global Positioning System)から時刻情報を取得し、この取得した時刻情報をもとに、内蔵する時刻ICで計時される時刻を修正していた。
【0003】
特許文献1には、GPSからの時刻情報に基づいて画像記録中に時刻を補正するドライブレコーダが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−199370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のドライブレコーダ装置では、画像記録中も、GPSから時刻情報を受信している間、時刻の補正が行われていたので、画像記録中に時刻補正が行われた場合、記録データの記録時刻に矛盾が生じる。例えば、画像データの記録順に対して時刻が前後する、あるいは撮影時刻の間隔が変化するといったことが起こり得る。この結果、記録データの信頼性が大きく低下してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録時刻に矛盾が生じることなく、信頼性の高い記録を行うことができるドライブレコーダ装置及び時刻修正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係るドライブレコーダ装置は、下記(1)〜(10)を特徴としている。
(1) 画像を撮影し、この撮影された画像を時刻とともに記録するドライブレコーダ装置であって、
前記記録される時刻を計時する計時手段と、
標準時刻を取得する取得手段と、
前記撮影された画像の記録中であるか否かを判別する判別手段と、
前記画像の記録中でない場合、前記取得手段によって取得された標準時刻をもとに、前記計時手段によって計時される時刻を修正する修正手段と、を備えたこと。
(2) 上記(1)の構成のドライブレコーダ装置であって、
動作指示手段によって前記ドライブレコーダ装置が動作を開始し、前記取得手段によって標準時刻が取得されている場合、前記修正手段は、前記計時手段によって計時される時刻を修正し、前記時刻が修正された後、前記画像の撮影を開始すること。
(3) 上記(2)の構成のドライブレコーダ装置であって、
前記撮影の開始後、前記計時手段によって計時される時刻が異常値であるか否かを判別する異常判別手段を備え、
前記異常判別手段によって時刻が異常値であると判別され、かつ、前記取得手段によって標準時刻が取得されている場合、前記修正手段は、前記撮影した画像を記録する前に前記計時手段によって計時される時刻を修正すること。
(4) 上記(3)の構成のドライブレコーダ装置であって、
前記撮影された画像の記録を指示する記録指示手段を備え、
前記記録指示手段によって画像の記録が指示された場合、前記修正手段は、前記計時手段によって計時される時刻を修正することなく、前記時刻が異常値であることを記録し、
前記記録指示手段によって前記画像の記録が指示されない場合、前記修正手段は、前記計時手段によって計時される時刻を修正し、前記時刻が修正されたことを記録すること。
(5) 上記(2)の構成のドライブレコーダ装置であって、
前記撮影の開始後、前記動作指示手段によって前記ドライブレコーダ装置が動作を開始してから一定時間が経過し、かつ、前記取得手段によって標準時刻が取得されている場合、前記修正手段は、前記計時手段によって計時される時刻を修正し、前記時刻が修正されたことを記録すること。
(6) 上記(2)の構成のドライブレコーダ装置であって、
前記画像の記録中でなく、かつ、前記取得手段によって標準時刻が取得されていない場合、前記修正手段は、その後、前記取得手段によって標準時刻が取得された場合、前記計時手段によって計時される時刻を修正し、前記時刻が修正されたことを記録すること。
(7) 上記(1)の構成のドライブレコーダ装置であって、
前記画像および前記時刻を記録可能な外部記録媒体が接続自在であり、
前記外部記録媒体が接続されている場合、前記修正手段は、前記計時手段によって計時される時刻を修正し、前記時刻が修正されたことを前記外部記録媒体に記録し、
前記外部記録媒体が接続されていない場合、前記修正手段は、前記計時手段によって計時される時刻を修正し、前記時刻が修正されたことを内部記録媒体に記録すること。
(8) 上記(1)の構成のドライブレコーダ装置であって、
前記撮影した画像の記録後、前記取得手段によって標準時刻が取得されている場合、前記修正手段は、前記計時手段によって計時される時刻を修正すること。
(9) 上記(2)の構成のドライブレコーダ装置であって、
前記動作指示手段によって前記ドライブレコーダ装置が動作を終了してから一定の遅延時間が経過しており、かつ、前記取得手段によって標準時刻が取得されている場合、前記修正手段は、前記計時手段によって計時される時刻を修正すること。
(10) 上記(9)の構成のドライブレコーダ装置であって、
前記動作指示手段によって前記ドライブレコーダ装置が動作を終了してから一定の遅延時間が経過する前に、前記動作指示手段によって前記ドライブレコーダ装置が動作を再開した場合、前記修正手段は、前記計時手段によって計時される時刻を修正しないこと。
【0008】
上記(1)の構成のドライブレコーダ装置によれば、これにより、画像の記録中でない場合、標準時刻をもとに、計時される時刻が修正されるので、記録時刻に矛盾が生じることなく、信頼性の高い記録を行うことができる。
上記(2)の構成のドライブレコーダ装置によれば、撮影開始前に時刻修正を行うことができる。
上記(3)の構成のドライブレコーダ装置によれば、撮影した画像の記録に先立って異常値となっている時刻を修正することができる。
上記(4)の構成のドライブレコーダ装置によれば、画像が記録されない期間を利用して異常値である時刻の修正が可能となる。また、異常値であることの記録を残しておくことで、記録データの解析時に時刻の修正が可能となる。
上記(5)の構成のドライブレコーダ装置によれば、撮影が開始されてから長期間に亘って時刻が修正されない状態を回避することができる。また、後から時刻が修正されたことを確認することができる。
上記(6)の構成のドライブレコーダ装置によれば、標準時刻が取得されると、速やかに時刻の修正に移行することができる。また、後から時刻が修正されたことを確認することができる。
上記(7)の構成のドライブレコーダ装置によれば、記録媒体が接続されていない場合でも、避難的に内部記録媒体に時刻が修正されたことを記録することができる。
上記(8)の構成のドライブレコーダ装置によれば、撮影した画像の記録後、速やかに時刻を修正することができる。
上記(9)の構成のドライブレコーダ装置によれば、遅延時間が経過し、画像が記録されなくなってから、時刻を修正することができる。
上記(10)の構成のドライブレコーダ装置によれば、必要としない時刻修正を省くことができる。
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係る時刻修正方法は、下記(11)を特徴としている。
(11) 画像を撮影し、この撮影された画像を時刻とともに記録する装置の時刻修正方法であって、
前記装置が標準時刻を取得する取得ステップと、
前記装置が前記撮影された画像の記録中であるか否かを判別する判別ステップと、
前記画像の記録中でない場合、前記装置が、前記取得ステップで取得された標準時刻をもとに、計時手段によって計時され、前記画像とともに記録される時刻を修正する修正ステップと、を有すること。
【0010】
上記(11)の構成の時刻修正方法によれば、画像の記録中でない場合、標準時刻をもとに、計時される時刻が修正されるので、記録時刻に矛盾が生じることなく、信頼性の高い記録を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像の記録中でない場合、標準時刻をもとに、計時される時刻が修正されるので、記録時刻に矛盾が生じることなく、信頼性の高い記録を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態におけるドライブレコーダ1の構成を示す図である。
【図2】レコーダ本体5およびGPS受信器29の外観を示す図である。
【図3】時刻修正動作手順を示すフローチャートである。
【図4】図3につづく時刻修正動作手順を示すフローチャートである。
【図5】動作終了手順を示すフローチャートである。
【図6】時刻修正の時期を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態におけるドライブレコーダ装置及び時刻修正方法について図面を参照しながら説明する。本実施形態のドライブレコーダ装置は、車両のフロントガラス上部に設置され、車両前方(進行方向)の画像を撮影するドライブレコーダに適用される。
【0014】
図1は実施形態におけるドライブレコーダ1の構成を示す図である。ドライブレコーダ1は、レコーダ本体5(図2参照)に、CPU10、内部記録媒体11、通信I/F12、時刻IC13、メモリI/F14、カメラI/F15、センサI/F16、速度I/F17、受信I/F18および入出力(I/O)I/F19を内蔵する。
【0015】
CPU10はドライブレコーダ1全体を制御する。内部記録媒体11は、制御プログラムや各種データを格納する読取専用の記録媒体(ROM)、および撮影画像、時刻情報、ログなどを一時的に記憶するRAMやハードディスク等の書き換え可能な記録媒体からなる。通信I/F12は、外部のデータ処理装置と有線もしくは無線でデータ通信を行うUSBやBluetooth等の通信モジュールである。時刻IC(時計IC)13は現在時刻を計時し、CPU10に時刻データを出力する。CPU10は、内蔵タイマ10aを有し、時刻ICから出力される時刻データをもとに内蔵タイマ10aの時刻を修正する。
【0016】
メモリI/F14には、撮影した画像および時刻を記録可能なメモリカード等の外部記録媒体(単に、記録媒体ともいう)21が接続自在である。カメラI/F15には、車両前方(進行方向)の画像を撮影するカメラ23が接続される。センサI/F16には、加速度を検知し、急ブレーキ等の衝撃を感知する加速度センサ(Gセンサ)25が接続される。速度I/F17には、後輪(駆動輪)のトランスミッション回転数に応じた数のパルス信号を発生するロータリーエンコーダからなり、車両の速度を検知する速度センサ27が接続される。
【0017】
また、受信I/F18には、車両の現在位置の座標(緯度、経度)を表す現在位置情報および標準時刻を表す時刻情報を受信するGPS受信器29が接続される。入出力(I/O)I/F19には、車両情報を検知するイグニッション(IG)スイッチ31、ウインカスイッチ32等の他、操作ボタン35が接続される。
【0018】
図2はレコーダ本体5およびGPS受信器29の外観を示す図である。レコーダ本体5の前面には、電源ボタン35aを含む各種の操作ボタン35や、メモリカード等の外部記録媒体21が挿入されて接続されるメモリI/F14等が設けられている。レコーダ本体5には、現在位置情報および時刻情報を受信するGPS受信器29が有線で接続されている。
【0019】
上記構成を有するドライブレコーダ1の時刻修正動作を示す。図3および図4は時刻修正動作手順を示すフローチャートである。この制御プログラムは、前述したように、内部記録媒体11に格納されており、電源ボタン35aが押下されると、CPU10によって実行される。
【0020】
まず、ドライブレコーダ1は、IGスイッチ31(動作指示手段)がオンになるまで待ち(ステップS1)、IGスイッチ31がオンになると、GPS受信器29が時刻情報(GPS時刻情報)を受信したか否かを判別する(ステップS2)。
【0021】
時刻情報を受信した場合、ドライブレコーダ1は、メモリI/F14に外部記録媒体21が挿入され、接続されているか否かを判別する(ステップS3)。外部記録媒体21が接続されている場合、ドライブレコーダ1は、GPS時刻情報をもとに時刻IC13の時刻を修正する(ステップS4)。さらに、ドライブレコーダ1は、この時刻が修正されたことを表す時刻修正ログを作成し、内部記録媒体11に記録する(ステップS5)。このように、時刻が修正されたことを表す時刻修正ログを残すことで、後から時刻の修正があったことを確認することができる。この後、ドライブレコーダ1は、カメラ23を起動させ、撮影を開始する(ステップS6)。
【0022】
一方、ステップS2でGPS受信器29から時刻情報を受信していない場合、ドライブレコーダ1は、時刻IC13の時刻を修正することなく、そのままステップS6に移行し、撮影を開始する。
【0023】
また一方、ステップS3で外部記録媒体21が挿入されていない場合、ドライブレコーダ1は、GPS時刻情報をもとに時刻IC13およびCPU内蔵タイマ10aの時刻を修正する(ステップS7)。さらに、ドライブレコーダ1は、この時刻修正ログを作成し、内部記録媒体11に記録する(ステップS8)。そして、ドライブレコーダ1は、入出力(I/O)I/F19に接続されるスピーカや表示器(図示せず)を介して外部記録媒体21が未挿入であることを警告した後(ステップS9)、ステップS6でカメラ23を起動させ、撮影を開始する。
【0024】
カメラ23の撮影が開始すると(撮影開始後)、ドライブレコーダ1は、時刻IC13およびCPU10の内蔵タイマ10aが計時する時刻は異常値であるか否かを判別する(ステップS10)。ここで、異常値とは、時刻IC(RTC)が対応している日時以外のとき日時、例えば、対応日時が2010年〜2028年である場合に2010以前あるいは2028以降の日時である。なお、ステップS10の処理は異常判別手段に相当する。
【0025】
時刻が異常値である場合、ドライブレコーダ1は、記録トリガの有無を確認する(ステップS11)。ここで、記録トリガ(記録指示手段)とは、加速度(G値)が例えば急ブレーキ等により記録を必要とする規定値を超え、記録の開始を指示する信号の発生である。
【0026】
ドライブレコーダ1は、記録トリガがある場合、撮影した画像を外部記録媒体21もしくは内部記録媒体11に記録する(ステップS12)。さらに、ドライブレコーダ1は、GPS受信器29から得られる危険位置情報、および内蔵タイマ10aまたは時刻IC13から得られる時刻とともに、ウインカスイッチ32等の車両情報を外部記録媒体21または内部記録媒体11に記録する(ステップS13)。
【0027】
ドライブレコーダ1は、時刻IC13および内蔵タイマ10aが異常値である場合、時刻が異常値であることを表す時刻異常ログを作成し、外部記録媒体21もしくは内部記録媒体11に記録する(ステップS14)。この時刻異常ログを残しておくことで、記録データの解析時に時刻の修正が可能となる。なお、ステップS14の処理は、時刻IC13および内蔵タイマ10aが異常値でない場合、そのままスキップされる。
【0028】
ドライブレコーダ1は、GPS受信器29からGPS時刻情報(標準時刻)を受信したか否かを判別する(ステップS15)。GPS受信器29から時刻情報を受信した場合、ドライブレコーダ1は、画像データ等の記録終了後(記録後)、GPS時刻情報をもとに時刻IC13の時刻を修正する(ステップS16)。そして、ドライブレコーダ1は、外部記録媒体21の挿入を確認した後、ステップS9で警告を出していた場合、未挿入の警告を停止し(ステップS28)、ステップS10の処理に戻る。
【0029】
一方、ステップS15でGPS受信器29から時刻情報を受信しなかった場合、ドライブレコーダ1は、時刻を修正する必要があるとして時刻修正フラグを作成して有効にし、外部記録媒体21もしくは内部記録媒体11に記録する(ステップS17)。この後、ドライブレコーダ1はステップS28の処理に進む。
【0030】
また一方、ステップS11で記録トリガがなかった場合、ドライブレコーダ1は、GPS受信器29から時刻情報を受信したか否かを判別する(ステップS18)。GPS受信器29からGPS時刻情報を受信した場合、ドライブレコーダ1は、GPS時刻情報をもとに時刻IC13およびCPU内蔵タイマ10aの時刻を修正する(ステップS19)。さらに、ドライブレコーダ1は、この時刻修正ログを作成し、内部記録媒体11に記録する(ステップS20)。さらに、ドライブレコーダ1は、時刻修正フラグを削除して無効にし(ステップS21)、この後、ステップS28の処理に進む。
【0031】
一方、ステップS18でGPS受信器29からGPS時刻情報を受信しなかった場合、ドライブレコーダ1は、時刻修正フラグを作成して有効にし、外部記録媒体21もしくは内部記録媒体11に記録する(ステップS22)。この後、ドライブレコーダ1はステップS28の処理に進む。このように、ステップS18でGPS時刻情報が受信されると、速やかに時刻の修正に移行することができる。
【0032】
一方、ステップS10で時刻IC13およびCPU内蔵タイマ10aが計時する時刻が異常値でないと判別された場合、ドライブレコーダ1は、時刻修正フラグが有効になっているか否かを判別する(ステップS23)。時刻修正フラグが有効になっている場合、ドライブレコーダ1は、ステップS11の処理に進む。一方、時刻修正フラグが無効になっている場合、ドライブレコーダ1は、イグニッション(IG)スイッチ31がオンになってから一定時間が経過したか否かを判別する(ステップS24)。この一定時間は、撮影が開始されてから定期的に時刻を修正する必要があると判断される時間であり、任意に設定可能である。これにより、撮影が開始されてから長期間に亘って時刻が修正されない状態を回避することができる。この一定時間が経過している場合、ドライブレコーダ1はステップS11の処理に進む。
【0033】
一方、一定時間が経過していない場合、ドライブレコーダ1は、記録トリガの有無を判別する(ステップS25)。記録トリガがある場合、ドライブレコーダ1は、撮影した画像を外部記録媒体21もしくは内部記録媒体11に記録する(ステップS26)。さらに、ドライブレコーダ1は、GPS受信器29から得られる危険位置情報、および内蔵タイマ10aまたは時刻IC13から得られる時刻とともに、ウインカスイッチ32等の車両情報を外部記録媒体21または内部記録媒体11に記録する(ステップS27)。そして、ドライブレコーダ1は、ステップS28の処理に進む。
【0034】
一方、ステップS25で記録トリガがない場合、ドライブレコーダ1はそのままステップS28の処理に進む。
【0035】
図5は動作終了手順を示すフローチャートである。この制御プログラムは、前述したように、内部記録媒体11に格納されており、イグニッション(IG)スイッチ31がオンである場合に周期的にCPU10によって実行されるタイマ割り込み処理である。
【0036】
まず、ドライブレコーダ1は、イグニッション(IG)スイッチ31がオンからオフに切り替わったか否かを判別する(ステップS41)。IGスイッチ31がオンのままである場合、ドライブレコーダ1は本処理を終了する。
【0037】
一方、ステップS41でIGスイッチ31がオフである場合、ドライブレコーダ1は、ディレイ機能により、図3、図4で行われる動作を一定の遅延時間(ディレイ期間)維持する(ステップS42)。ディレイ機能は、IGスイッチのオフ後、一定の遅延時間撮影動作を維持してから終了する機能である。この機能はIGスイッチのオフ後の防犯等に役立つ。遅延時間は、IGスイッチのオフした後でも撮影を継続した方が良いと判断される時間であり、任意に設定可能である。
【0038】
ドライブレコーダ1は、遅延時間中、IGスイッチ31がオンになったか否かを判別する(ステップS43)。IGスイッチ31がオフである場合、ドライブレコーダ1は、遅延時間が経過したか否かを判別する(ステップS44)。遅延時間が経過していない場合、ドライブレコーダ1はステップS43の処理に戻る。
【0039】
一方、遅延時間が経過した場合、ドライブレコーダ1は、GPS受信器29によりGPS時刻情報を受信したか否かを判別する(ステップS45)。GPS時刻情報を受信した場合、ドライブレコーダ1は、GPS時刻情報をもとに時刻IC13およびCPU内蔵タイマ10aの時刻を修正する(ステップS46)。そして、ドライブレコーダ1は、図3、図4に示す動作を終了し(ステップS48)、本処理を終了する。
【0040】
一方、ステップS45でGPS時刻情報を受信していない場合、ドライブレコーダ1は、時刻修正フラグを作成し、外部記録媒体21もしくは内部記録媒体11に記録する(ステップS42)。そして、ドライブレコーダ1は、ステップS48で図3、図4に示す動作を終了し、本処理を終了する。
【0041】
また一方、ステップS43で遅延時間が経過する前にIGスイッチ31がオンになって動作を再開させる場合、ドライブレコーダ1は、図3、図4に示す動作を終了することなく継続させ(ステップS49)、本処理を終了する。
【0042】
図6は時刻修正の時期を示すタイミングチャートである。電源が投入された後、ステップS1でIGスイッチがオンになると(図中、符号a)、ステップS4もしくはS7において時刻の修正が行われる。その後、IGスイッチがオフになり(図中、符号b)、ディレイ期間(遅延時間)中、撮影動作が維持される。このディレイ期間中、IGスイッチがオンになっても(図中、符号c)、ステップS44でNO→ステップS43でYES→ステップS49の処理が行われるので、この時点では時刻の修正は行われない。一方、符号cに示すIGスイッチのオンの代わりに、ディレイ期間(遅延時間)経過後、IGスイッチがオンになると(図中、符号d)、既に撮影記録動作が終了した後にIGスイッチがオンになるのを待つステップS1の動作と同じ状態になる。したがって、符号dに示すIGスイッチのオン時点で時刻の修正が行われる。
【0043】
このように、本実施形態のドライブレコーダ装置によれば、撮影した画像の記録中に時刻修正が行われないので、記録時刻に矛盾が生じることなく、信頼性の高い記録を行うことができる。また、時刻修正を行った場合、時刻修正ログを外部記録媒体もしくは内部記録媒体に記録しておくので、後から時刻の確認が容易となる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、特許請求の範囲で示した機能、または本実施形態の構成が持つ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても適用可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態では、撮影記録動作を開始させるトリガは、IGスイッチのONであったが、これに限らず、車両が作動したことを示すバッテリ電圧の変化であってもよいし、レコーダ本体に設けられた開始ボタンのONであってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、記録トリガが発生した場合に記録動作が行われる記録トリガタイプのドライブレコーダを示したが、常時記録タイプのドライブレコーダであっても、IGスイッチのオン直後に時刻修正を行うことは可能である。このように、本発明はいずれのタイプのドライブレコーダに対しても適用可能である。
【0047】
また、上記実施形態では、標準時刻をGPS器で受信することにより取得したが、これに限らず、電波時計やインターネット経由で取得するようにしてもよい。標準時刻を計時するものとしては、原子時計が一般的に利用されるが、その他の時計が用いられてもよい。
【0048】
また、本発明の時刻修正方法は、車両に搭載されたドライブレコーダ以外の装置、例えば、監視カメラなどにも適用可能である。
【0049】
本発明は、画像を撮影し、この撮影された画像を時刻とともに記録するドライブレコーダ装置に適用することで、記録時刻に矛盾が生じることなく、信頼性の高い記録を行うことができ、有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 ドライブレコーダ
5 レコーダ本体
10 CPU
10a 内蔵タイマ
11 内部記録媒体
12 通信I/F
13 時刻IC
14 メモリI/F
15 カメラI/F
16 センサI/F
17 速度I/F
18 受信I/F
19 入出力(I/O)I/F
21 外部記録媒体
23 カメラ
25 加速度センサ(Gセンサ)
27 速度センサ(車速センサ)
29 GPS受信器
31 イグニッション(IG)スイッチ
32 ウインカスイッチ
35 操作ボタン
35a 電源ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮影し、この撮影された画像を時刻とともに記録するドライブレコーダ装置であって、
前記記録される時刻を計時する計時手段と、
標準時刻を取得する取得手段と、
前記撮影された画像の記録中であるか否かを判別する判別手段と、
前記画像の記録中でない場合、前記取得手段によって取得された標準時刻をもとに、前記計時手段によって計時される時刻を修正する修正手段と、を備えた
ことを特徴とするドライブレコーダ装置。
【請求項2】
動作指示手段によって前記ドライブレコーダ装置が動作を開始し、前記取得手段によって標準時刻が取得されている場合、前記修正手段は、前記計時手段によって計時される時刻を修正し、前記時刻が修正された後、前記画像の撮影を開始する
ことを特徴とする請求項1記載のドライブレコーダ装置。
【請求項3】
前記画像および前記時刻を記録可能な外部記録媒体が接続自在であり、
前記外部記録媒体が接続されている場合、前記修正手段は、前記計時手段によって計時される時刻を修正し、前記時刻が修正されたことを前記外部記録媒体に記録し、
前記外部記録媒体が接続されていない場合、前記修正手段は、前記計時手段によって計時される時刻を修正し、前記時刻が修正されたことを内部記録媒体に記録する
ことを特徴とする請求項1記載のドライブレコーダ装置。
【請求項4】
前記撮影した画像の記録後、前記取得手段によって標準時刻が取得されている場合、前記修正手段は、前記計時手段によって計時される時刻を修正する
ことを特徴とする請求項1記載のドライブレコーダ装置。
【請求項5】
画像を撮影し、この撮影された画像を時刻とともに記録する装置の時刻修正方法であって、
前記装置が標準時刻を取得する取得ステップと、
前記装置が前記撮影された画像の記録中であるか否かを判別する判別ステップと、
前記画像の記録中でない場合、前記装置が、前記取得ステップで取得された標準時刻をもとに、計時手段によって計時され、前記画像とともに記録される時刻を修正する修正ステップと、を有する
ことを特徴とする時刻修正方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−190399(P2012−190399A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55332(P2011−55332)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】