ドライペットフード

【課題】 ペット類による嗜好性に優れ、且つペット類の歯に生成した歯垢や歯石の除去並びにペット類の歯への歯垢や歯石の生成の防止に有効なドライペットフードの提供。
【解決手段】 キサンタンガムを配合したドライペットフード、並びにキサンタンガムを配合したペットフード用原料および水を押出機に供給して加熱混練した後、押し出し、切断し、乾燥して当該ドライペットフードを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドライペットフードに関する。より詳細には、本発明は、ペット類により嗜好性が良好でペット類が好んで食し、しかもペット類の歯に生成している歯垢および歯石を除去してペット類の口腔内を清潔にする作用を有するドライペットフード、その製造方法、並びに当該ドライペットフードをペット類に給与してペット類の歯に生成している歯垢および歯石を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市販のペットフードは、水分含量が通常50重量%以上のモイストタイプ、水分含量が通常約20〜40重量%程度であるセミモイストタイプおよび水分含量が通常約10重量%以下のドライタイプに大別される。そのうちで、ドライタイプは、一般に粒状、ペレット状、フレーク状、ステック状、ドーナツ状、星形などの固形状の形態で生産、販売されているが、取り扱い易さ、保存性の良さなどの点から近年その需要がますます増加している。
しかし、水分含量の低いドライタイプのペットフードは、缶詰などのモイストタイプのペットフード、生肉や生魚などの生のペットフードに比べて、一般にペットによる嗜好性が低く、ペットに与えても充分に摂取されないことが多い。
【0003】
かかる点から、ドライタイプのペットフードの嗜好性を向上させることが従来から試みられており、従来技術として、(1)粒状物を内部に包含し、当該粒状物が外層で被覆されているドライペットフード(特許文献1)、(2)硬タンパク質、食餌成分および難揮散性液体を混合した後、固化し且つ加熱処理したペットフード(特許文献2)などが知られている。
しかしながら、上記(1)のドライペットフードは、粒状のドライペットフードを予め製造すると共に、押出機の先端部に粒状のドライペットフードと外層用飼料材料を1つのフードに組み合わせるための構造を有する特別のアダプターを取り付けておき、粒状のドライペットフードと外層用飼料材料を当該アダプターに同時に供給して粒状のドライペットフードの外周を外層用飼料材料で被覆しながら押し出しを行うため、製造工程および製造装置が複雑になり、嗜好性に優れるドライペットフードを簡単な操作および装置で製造することができない。
そして、上記(2)のペットフードは、ドライペットフードには通常用いられないコラーゲンなどの高価な硬タンパク質を多く用いるため、得られるドライペットフードの価格高くなり易い。
【0004】
また、犬や猫などのペット類の歯には歯垢や歯石が生成し易い。歯垢の中で繁殖した細菌は、毒素などを出して歯肉を蝕んで歯肉炎を起こし、歯肉炎が進行すると歯周炎となり、歯根膜や歯槽骨が蝕まれる。しかも、犬や猫などのペット類では、歯垢は、唾液中の石灰分を取り込んで短期間のうちに歯石になり、特に犬は、人間や猫などに比べて唾液のアルカリ度が高く、歯垢がわずか数日で歯石になるとされている。ペット類の歯の表面が茶色の歯石で覆われると、歯と歯肉との間の隙間が深くなって歯肉から出血し、歯肉が後退し歯根膜や歯槽骨が蝕まれる。ペット類の歯の歯根膜や歯槽骨が蝕まれると、歯がぐらぐらしたり、歯が抜けたりして、歯茎からの出血などが生じ易くなり、しかも歯の噛み合わせが悪くなって、物を噛む力が弱くなることによる咀嚼能力の低下、食欲の低下、口臭が強くなるなどの種々の問題が生じ、場合によっては、歯周菌が血液などによって体内にまで運ばれて、心臓、腎臓、肝臓、肺、胃腸などの内蔵の疾患をもたらす。
【0005】
上記の点から、犬や猫などのペット類、特に犬に対しては、毎日歯磨きを行う必要があるといわれている。
ペット類の歯に歯垢や歯石が生成しないようにするために、またペット類の歯に生成した歯垢を除くために、ペットなどの動物用の歯ブラシが従来から提案されている(特許文献3、4などを参照)。
しかしながら、歯ブラシを用いてのペット類の歯磨きは、通常、鋭い歯を有する犬や猫などのペット類の口をこじ開けて、人間が行わなければならないことから、手間および時間がかかって面倒であり、しかも場合によって鋭い歯で噛まれるなどの危険が伴う。
【0006】
かかる点から、ペット類の歯を人間が歯ブラシで磨いてやるのではなく、ペット類に餌として給与することで、ペット類の歯を清浄化するペットフードが従来から提案されており、そのような従来技術として、(i)飼料原料からなるマトリックス中に横方向に並んだ繊維を含有する膨化・乾燥した動物食品(特許文献5)、(ii)変性タンパク源、ゼラチン系炭水化物源、不溶性繊維および十分量の湿潤剤を含むマトリックスからなる乾燥ペットフード(特許文献6)、(iii)デキストラナーゼおよびウーロン茶抽出物を含有する動物用オーラルケア製品(特許文献7)などが知られている。
【0007】
しかしながら、上記(i)の従来技術は、動物の歯に対する清掃作用を付与するために、動物食品(ペットフードなど)中に10〜25重量%という多量の繊維を含有させる一方で、多量の繊維の配合に伴う嗜好性の低下を補うために、膨化・乾燥して得られた動物食品(ペットフードなど)の表面に、後から動植物性油脂を塗布して嗜好性を向上させている(特許文献3の段落[0027]、実施例など)。そのため、上記(i)の従来技術は、動物食品(ペットフード)の製造に手間および時間がかかり、嗜好性に優れ且つペット類の歯の清浄化が可能なドライペットフードを簡単に生産性よく製造することが困難である。しかも、上記(i)の従来技術では、繊維を多量に配合した原料混合物を混練して押出機からスムーズに押し出すために、押出機の排出通路の内壁にポリテトラフロエチレンなどのフッ素化ポリマーのコーティング層を設けて内壁の摩擦係数を0.2以下にしており(特許文献3の請求項7、段落[0031]、実施例など)、通常の押出装置をそのまま使用することができない。
【0008】
また、上記(ii)の乾燥ペットフード(ドライペットフード)は、ドライペットフードには通常用いられないグルテンなどの高価な変性タンパク源を多く用いているためコストの上昇、それに伴うドライペットフードの価格の上昇などを招き易い。しかも、上記(ii)の乾燥ペットフード(ドライペットフード)は、グリセリンなどの湿潤剤を含むため、空気中に放置すると湿分を吸収して、べたつきや微生物の繁殖などが生じ易く、取り扱い性や保存性が十分でない。
また、上記(iii)の従来技術は、ペットフードには通常用いられないデキストラナーゼかという酵素を使用する必要があるため、製造コストの上昇およびそれに伴う製品価格の上昇などを招き易い。しかも、上記(iii)の従来技術では、デキストラナーゼおよびウーロン茶抽出物をペットフードに後から噴霧して塗布することによってペットフードに含有させており、そのため、オーラルケア用製品(ペットフード)の製造に時間および手間がかかる。
その上、上記(ii)および(iii)の従来技術では、ペットフードの嗜好性の向上については検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−60443号公報
【特許文献2】特開2001−136914号公報
【特許文献3】特開2007−151415号公報
【特許文献4】特開2007−151560号公報
【特許文献5】特開平6−62763号公報
【特許文献6】特開平11−187822号公報
【特許文献7】特開2006−55050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ペット類による嗜好性に優れていてペット類が好んで摂取し、且つペット類が好んで摂取しながら同時にペット類の歯に生成した歯垢および歯石の除去やペット類の歯への歯垢および歯石の生成防止を行うことができ、しかも特別な装置を用いずに汎用の製造装置を用いて簡単な工程で生産性よく製造することのできるドライペットフードを提供することである。
そして、本発明の目的は、ペット類による嗜好性に優れ且つペット類の歯に生成した歯垢および歯石の除去やペット類の歯への歯垢および歯石の生成防止に有効なドライペットフードを、特別な装置を用いたり複雑な工程を経ることなく、簡単に且つ生産性よく製造し得る方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記の目的を達成すべく種々検討を重ねてきた。その結果、ペットフード用原料中にキサンタンガムを配合してドライペットフードを製造すると、ペット類による嗜好性が良くてペット類が好んで摂取し、しかもペット類が好んで摂取しながら同時にペット類の歯に生成した歯垢および歯石を短期間で良好に除去できるドライペットフードが得られることを見出した。
また、本発明者らは、その当該ドライペットフードを特定の密度を有する膨化した小片状体とすると、ペット類による嗜好性がより良好になると共に、ペット類の歯に生成した歯垢および歯石の除去作用が一層高くなることを見出した。
特に、本発明者らは、キサンタンガムを配合してドライペットフードを製造すると、硬すぎず、弾性と硬さのバランスがとれた所定の硬さを有し、且つペット類が噛んだときに一度に砕けてしまわずに噛み進むうちに徐々に砕けるという破砕挙動を有するドライペットフードが得られること、そして当該ドライペットフードは前記した硬さ物性(破砕挙動)を有することにより、ペット類による嗜好性が良好であると共に、ペット類の歯に生成した歯垢および歯石の除去作用やペット類の歯への歯垢や歯石の生成防止作用により優れることを見出した。
そして、本発明者らは、キサンタンガムを配合したペットフード用原料および水を押出機に供給して加熱混練した後、膨化したストランド状に押し出し、それを切断し、乾燥することで、当該ドライペットフードが簡単に且つ生産性よく得られることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は、
(1) キサンタンガムを配合したことを特徴とするドライペットフードである。
そして、本発明は、
(2) キサンタンガムの配合量が、ドライペットフードの製造に用いた全原料の合計質量に基づいて、0.2〜2.0質量%である前記(1)のドライペットフード;および、
(3) 0.2〜0.5g/cm3の密度を有する膨化した小片状体である前記(1)または(2)のドライペットフード;
である。
【0013】
さらに、本発明は、
(4) クリープメーターを使用して、ドライペットフードの破砕試験を行ったときに、下記の要件(I)、(II)、(III)および(IV);
4000gf≧A≧500gf (I)
Ya≧10% (II)
Yb≧25% (III)
Yc≧30% (IV)
[上記式中、Aは、クリープメーターで測定される最大圧縮荷重値、Yaは最大圧縮荷重値が測定されたときの歪率(%)、Ybは圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の2.5分の1以下となるときの歪率(%)、Ycは圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の10分の1以下となるときの歪率(%)を示す。]
を満足する破砕特性を有する前記(1)〜(3)のいずれかのドライペットフードである。
【0014】
そして、本発明は、
(5) クリープメーターを使用して、ドライペットフードの破砕試験を行ったときに、下記の要件(i);
Ea/Et≦0.8 (i)
[上記式中、Eaは歪率1〜20%における圧縮荷重値の積算値(gf)、Etは歪率0〜100%における圧縮荷重値の積算値(gf)を示す。]
を満足する破砕特性を有する前記(1)〜(4)のいずれかのドライペットフード;および、
(6) クリープメーターを使用して、ドライペットフードの破砕試験を行ったときに、下記の要件(ii)および(iii);
Eb/Ea≧0.2 (ii)
Ec/Ea≧0.3 (iii)
[上記式中、Eaは歪率0%以上20%未満における圧縮荷重値の積算値(gf)、Ebは歪率20〜40%における圧縮荷重値の積算値(gf)、Ecは歪率20〜60%における圧縮荷重値の積算値(gf)を示す。]
を満足する破砕特性を有する前記(1)〜(5)のいずれかのドライペットフード;
である。
また、本発明は、
(7) ペット類のデンタルケア用である前記(1)〜(6)のいずれかのドライペットフードである。
【0015】
そして、本発明は、
(8) キサンタンガムを配合したペットフード用原料および水を押出機に供給して加熱混練した後、押し出し、切断し、乾燥することを特徴とするドライペットフードの製造方法;
(9) キサンタンガムの配合量が、ペットフード用原料の合計質量に基づいて0.2〜2.0質量%である前記(8)のドライペットフードの製造方法;および、
(10) 膨化したストランド状に押し出して、切断し、乾燥する前記(8)または(9)のドライペットフードの製造方法;
である。
【0016】
さらに、本発明は、
(11) 前記(1)〜(7)のいずれかのドライペットフードをペット類に給与して、ペット類の歯に生成している歯垢および歯石を除去するか、および/またはペット類の歯への歯垢および歯石の生成を防止する方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のドライペットフードは、ペット類による嗜好性に優れていて、ペット類が好んで摂取する。
しかも、本発明のドライペットフードは、ペット類の歯に生成した歯垢および歯石の除去効果並びにペット類の歯への歯垢および歯石の生成防止効果を有している。そのため、本発明のドライペットフードをペット類に継続して給与することによって、歯ブラシによる歯磨きなどを行わなくても、ペット類の歯に生成した歯垢および歯石を除去し、更にペット類の歯への歯垢および歯石の生成を防止して、ペット類の口腔を衛生的に且つ健康に維持することができる。
特に、本発明ではドライペットフード中にキサンタンガムを配合していることによって、ドライペットフードを硬すぎず、粘弾性と硬さのバランスした特定の特性を有し、且つペット類が噛んだときに一度に砕けてしまわずに噛み進むうちに徐々に砕ける特定の硬さ物性(破砕挙動)を有するものにすることができ、それによって、ペット類による嗜好性を優れたものにすると共に、ペット類の歯に生成した歯垢および歯石の除去並びにペット類の歯への歯垢および歯石の生成の防止を良好に行うことができる。
本発明の製造方法により、上記した優れた特性および効果を有する本発明のドライペットフードを、簡単に且つ生産性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施例1で得られたドライペットフード(ドライドッグフード)の破砕試験を行って得られたグラフを示す。
【図2】図2は、比較例1で得られたドライペットフード(ドライドッグフード)の破砕試験を行って得られたグラフを示す。
【図3】図3は、試験例2において、実施例1のドライペットフード(ドライドッグフード)を給与する前の犬(ダッグスフンド)の歯の状態を撮影した写真である。
【図4】図4は、試験例2において、実施例1のドライペットフード(ドライドッグフード)を図3と同じ犬(ダッグスフンド)に1週間継続して給与した後の歯の状態(歯を閉じているとき)を撮影した写真である。
【図5】図5は、試験例2において、実施例1のドライペットフード(ドライドッグフード)を図3と同じ犬(ダッグスフンド)に1週間継続して給与した後の奥歯の状態(歯を開いた状態)を撮影した写真である。
【図6】図6は、試験例3において、比較例1のドライペットフード(ドライドッグフード)を給与する前の犬(ウエルシュコーギー)の歯の状態を撮影した写真である。
【図7】図7は、試験例3において、比較例1のドライペットフード(ドライドッグフード)を図6と同じ犬(ウエルシュコーギー)に1週間継続して給与した後の歯の状態(歯を閉じているとき)を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明のドライペットフードの給与対象であるペット(動物)としては、ペット(愛玩動物)として飼育される哺乳動物であれば特に限定されず、例えば、犬、猫、ウサギ、モルモットなどを挙げることができる。そのうちでも、本発明のペットフードは、犬および猫、特に犬用のドライペットフードとして好ましく用いられる。
【0020】
本発明のドライペットフードは、キサンタンガムを配合したペットフード用原料を用いて製造されており、それによってペット類に嗜好性が向上し、且つペット類の歯に生成している歯垢および歯石の除去、ペット類の歯への歯垢および歯石の生成防止が行われる。
キサンタンガムを配合した本発明のドライペットフードが、ペット類による嗜好性に優れ、しかもペット類の歯に生成している歯垢および歯石の除去効果並びにペット類の歯への歯垢および歯石の生成防止効果を有する理由は明確でないが、キサンタンガムを配合することで、ドライペットフードに適度な粘弾性と硬度が付与され、それによって、ペット類がドライペットフードを噛んだときに、一度で完全に破砕されてしまわずに噛み進むうちに徐々に破砕され、そのドライペットフード破砕片がペット類の歯と接触して、歯に生成している歯垢および歯石の掻き落としや、歯垢および歯石のドライペットフード破砕片側への移行が繰り返して行われるためであると推測される。
【0021】
キサンタンガムの配合量は、ドライペットフードの製造に用いる全原料の合計質量に基づいて、0.2〜2.0質量%であることが好ましく、0.05〜1.5質量%であることがより好ましく、0.7〜1.2質量%であることが更に好ましい。
キサンタンガムが前記範囲で配合されていることにより、ドライペットフードのペット類による嗜好性が良好になり、しかもペット類の歯に生成した歯垢および歯石の除去効果並びにペット類の歯への歯垢および歯石の生成防止効果が優れたものになる。しかも、ドライペットフードを製造する際の工程性が良好になる。
【0022】
キサンタンガムの配合量が少なすぎると、キサンタンガムを配合したことによるペット類による嗜好性の向上効果が小さくなり、しかもペット類の歯に生成した歯垢および歯石の除去効果並びにペット類の歯への歯垢および歯石の生成防止効果が小さくなる。
一方、キサンタンガムの配合量が多すぎると、ペット類による嗜好性の低下が低下し、しかもドライペットフードを製造する際の原料混練物の粘度が高くなり過ぎて、押し出しや膨化などが円滑に行われなくなる。
【0023】
本発明のドライペットフードにおける水分含量は、ドライペットフードの硬度、破砕特性、流動性、取り扱い性、ペット類による嗜好性などに点から、10質量%以下であることが好ましく、5〜9質量%であることがより好ましい。
ここで、本発明のドライペットフードの水分含量とは、以下の実施例に記載する方法で測定される水分含量をいう。
【0024】
本発明のドライペットフードは、0.2〜0.5g/cm3の密度、更には0.2〜0.4g/cm3、特に0.25〜0.35g/cm3の密度(見掛け密度)を有する、膨化した小片状体であることが、ペット類による摂餌性、嗜好性、ペット類の歯に生成した歯垢および歯石の除去効果やペット類の歯への歯垢および歯石の生成防止効果が良好になる点から好ましい。
ここで、本発明のドライペットフードの密度とは、以下の実施例に記載する方法で測定される密度をいう。
【0025】
本発明のドライペットフードは、ペット類による嗜好性がより良好になり、且つペット類の歯に生成した歯垢および歯石の除去効果並びにペット類の歯への歯垢および歯石の生成防止効果がより高くなる点から、クリープメーターを使用して、ドライペットフードの破砕試験を行ったときに、下記の要件(I)、(II)、(III)および(IV);
4000gf(39.2N)≧A≧500gf(4.9N) (I)
Ya≧10% (II)
Yb≧25% (III)
Yc≧30% (IV)
[上記式中、Aは、クリープメーターで測定される最大圧縮荷重値、Yaは最大圧縮荷重値が測定されたときの歪率(%)、Ybは圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の2.5分の1以下となるときの歪率(%)、Ycは圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の10分の1以下となるときの歪率(%)を示す。]
を満足する破砕特性を有することが好ましい。
【0026】
そのうちでも、本発明のドライペットフードでは、測定される最大圧縮荷重値Aが500〜2000gf(4.9〜19.6N)、特に500〜1500gf(4.9〜14.7N)の範囲にあり、最大圧縮荷重値が測定されたときの歪率Yaが10〜40%の範囲内、特に10〜30%の範囲内にある(歪率が10〜40%の範囲にあるとき、特に10〜30%の範囲にあるときに圧縮荷重が最大になる)ことが好ましい。
また、本発明のドライペットフードでは、圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の2.5分の1以下となるときの歪率Ybが25〜60%である(歪率が25〜60%の範囲にある時点で、圧縮荷重の値が、その時点以降、常に最大圧縮荷重の2.5分の1以下になる)ことが好ましい。
また、本発明のドライペットフードでは、圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の10分の1以下となるときの歪率Ycが50〜80%である(歪率が50〜80%の範囲にある時点で、圧縮荷重の値が、その時点以降、常に最大圧縮荷重の10分の1以下になる)ことが好ましい。
【0027】
ここで、本明細書における「クリープメーターを使用しての破砕試験」は、株式会社山電製の「高分解能型クリープメーターRE2−33005B」を使用して、以下のように行われる。
(1) 高分解能型クリープメーターRE2−33005Bの試料載置台の上にドライペットフード(試料)を載せた後、試料載置台を上昇させて、載置台に載せたドライペットフード(試料)の上部を、試料に荷重がかからないようにして、クリープメーターに固定状態で取り付けたカッター(部品番号:No.21、型式P−21)の刃に接触させる[この時点ではドライペットフードに荷重がかかっていないためドライペットフードの変形(歪み)が生じておらず、歪率は0%である。]
(2) 次いで、カッターを固定したまま、載置台を、1mm/分の速度(等速)で上昇させながら、ドライペットフードの圧縮および粉砕を行い、載置台をもはやそれ以上、上昇しなくなったときに停止させる。その際に、ドライペットフードに加えられた荷重を縦軸とし、歪率を横軸とするグラフが自動的に記録される。
このクリープメーターでは、試験の開始時(試料載置台に載せたドライペットフードの上部にカッターの刃を最初に接触させた時点)における歪率が0%に、また載置台の上昇が停止した時点(一般に、ドライペットフードが完全に破砕されて、カッターの刃が試料載置台に接触した状態になった時点)における歪率が100%に設定されている。
(3) 上記(2)で得られたグラフから、最大圧縮荷重値A、最大圧縮荷重値が測定されたときの歪率Ya(%)、圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の2.5分の1以下となるときの歪率Yb(%)、および圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の10分の1以下となるときの歪率Yc(%)を求める。
【0028】
上記した「クリープメーターを使用しての破砕試験」では、Aの値が大きいほどドライペットフードの硬さが大きいことを示し、Yaの値が大きいほどドライペットフードが破砕されにくいことを示し、YbおよびYcの値が大きいほど、ドライペットフードが一度で完全に粉砕されずに、圧縮を繰り返すことによって徐々に破砕が進んで粉末状になることを示す。
【0029】
また、本発明のドライペットフードは、ペット類による嗜好性がより良好になり、且つペット類の歯に生成した歯垢および歯石の除去効果並びにペット類の歯への歯垢および歯石の生成防止効果がより高くなる点から、上記の要件(I)〜(IV)で表される要件とは別に[要件(I)〜(IV)で表される要件とは独立して]、或いは上記の要件(I)〜(IV)で表される要件に加えて、上記したクリープメーターを使用しての破砕試験を行ったときに、下記の要件(i);
Ea/Et≦0.8 (i)
[上記式中、Eaは歪率1〜20%における荷重値の積算値(gf)、Etは歪率0〜100%における荷重値の積算値(gf)を示す。]
を満足する破砕特性を有することが好ましい。
ここで、Ea/Etの値は、ドライペットフードに加えられた荷重を縦軸とし歪率を横軸とする上記(2)で得られるグラフにおいて、歪率0〜100%での荷重値の積算面積に対する、歪率0〜20%での荷重値の積算面積の比として求めることができる。
【0030】
Ea/Etの値が小さいほど、クリープメーターを使用しての破砕試験において、ドライペットフードが、歪率が0〜20%である最初の圧縮段階で一度に完全に粉砕されてしまわずに、さらに圧縮が加えられることによって徐々に破砕されるという粉砕特性を有する。
本発明のドライペットフードでは、Ea/Etの値は0.2〜0.75であることがより好ましく、0.3〜0.7であることが更に好ましい。
【0031】
また、本発明のドライペットフードは、ペット類による嗜好性がより良好になり、且つペット類の歯に生成した歯垢および歯石の除去効果並びにペット類の歯への歯垢および歯石の生成防止効果がより高くなる点から、上記の要件(I)〜(IV)で表される要件および要件(i)で表される要件とは別に[要件(I)〜(IV)で表される要件および要件(i)で表される要件とは独立して]、或いは上記の要件(I)〜(IV)で表される要件および/または要件(i)で表される要件に加えて、クリープメーターを使用して上記した破砕試験を行ったときに、下記の要件(ii)および(iii);
Eb/Ea≧0.2 (ii)
Ec/Ea≧0.3 (iii)
[上記式中、Eaは歪率0%以上20%未満における圧縮荷重値の積算値(gf)、Ebは歪率20〜40%における圧縮荷重値の積算値(gf)、Ecは歪率20〜60%における圧縮荷重値の積算値(gf)を示す。]
を満足する破砕特性を有することが好ましい。
上記の要件(ii)および(iii)を満たすドライペットフードは、最初の圧縮段階で一度に完全に粉砕されてしまわずに、更に圧縮が加えられることによって徐々に破砕されるという粉砕特性を有する。
【0032】
本発明のドライペットフードでは、Eb/Eaの値は0.2〜3であることがより好ましく、0.25〜2.5であることが更に好ましい。
また、本発明のドライペットフードでは、Ec/Eaの値は0.3〜4であることがより好ましく、0.4〜3であることが更に好ましい。
ここで、Eb/Eaの値は、ドライペットフードに加えられた荷重を縦軸とし歪率を横軸とする上記(2)で得られたグラフにおいて、歪率0〜20%での荷重値のグラフの面積に対する歪率20〜40%での荷重値のグラフの面積の比として求めることができる。
また、Ec/Eaの値は、ドライペットフードに加えられた荷重を縦軸とし歪率を横軸とする上記(2)で得られたグラフにおいて、歪率0〜20%での荷重値のグラフの面積に対する歪率20〜60%での荷重値のグラフの面積の比として求めることができる。
【0033】
本発明のドライペットフードの形状は特に限定されず、例えば、ペレット状、粒状、スティク状、ドーナツ状、星形、ボーン形などの所望の形状を呈していることができる。
また、本発明のドライペットフードの大きさは特に制限されず、給与するペットの種類、年齢などに応じて決めることができ、一般的には、最大部分の寸法が10〜25mmの範囲にあり、最小部分の寸法が3〜10mmの範囲にあることが、ペット類による摂餌性、取り扱い性、製造の容易性などの点から好ましい。限定されるものではないが、例えば、ペレット状のものでは、直径を5〜10mm程度、長さを10〜15mm程度にすると、犬や猫などのペット類への給餌性が容易になり、当該ペット類による摂餌性および嗜好性が良好になり、生産性の点でも良好になる。
【0034】
本発明のドライペットフードでは、キサンタンガムと共に、ドライペットフードにおいて従来から用いられている他の原料(成分)の1種または2種以上を含有することができる。
本発明のドライペットフードが含有し得る他の原料としては、例えば、蛋白質材料、油脂類、炭水化物材料、栄養補強剤、健康増進剤、調味料(食塩、砂糖、グルタミン酸ソーダなど)、香辛料(バジル、グローブ、ローズマリーなど)、香味料(肉エキス、魚エキスなど)、増粘剤(ガム類など)、ゲル化剤、繊維成分などを挙げることができる。
上記した原料などのうちから、ペット類の種類や年齢(月齢)などに応じて、それぞれのペットに適した原料を選択して組み合わせて配合する。
【0035】
上記した蛋白質材料としては、例えば、鶏、カモ、うずら、七面鳥などの鳥類、牛、豚、馬、羊、ウサギなどの畜類、イワシ、マグロ、カツオ、サバ、タイ、ヒラメ、サケ、マス、カニ、エビ、イカ、タコなどの魚介類に由来する粉末状、ペースト状、フレーク状、塊状などの形態の肉類、副生物、加工品;卵製品(全卵、卵黄、卵白、粉末卵など);乳製品(チーズ、カゼインなどの乳蛋白)などの動物性蛋白質材料;オカラ、大豆粕、大豆粉、小麦蛋白質などの植物性蛋白質材料を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
本発明のドライペットフードは、ドライペットフードの製造に用いる原料の総質量(合計質量)に対して、蛋白質材料を、15〜40質量%、特に20〜35質量%の割合で含有することが、ペットフードの栄養バランス、ペット類の健康維持、成長促進、嗜好性(摂餌性)などの点から好ましい。
【0036】
また、上記した油脂類としては、例えば、牛脂、豚脂、魚油、乳脂などの動物性油脂、コーン油、サラダ油、大豆油、ゴマ油、綿実油、ナタネ油、亜麻仁油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマワリ油などの植物油を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
本発明のドライペットフードは、ドライペットフードの製造に用いる原料の総質量(合計質量)に対して、油脂類を、ドライペットフードの製造に用いる原料の総質量(合計質量)に対して、1〜20質量%、特に2〜12質量%の割合で含有することが、ドライペットフード製造時の成形・加工性、ドライペットフードの栄養バランス、ペット類へのエネルギー補強、嗜好性などの点から好ましい。
【0037】
また、上記した炭水化物材料としては、例えば、トウモロコシ粉砕物、トウモロコシ粉、小麦粉、大麦粉、米粉、イモ類などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
本発明のドライペットフードは、ドライペットフードの製造に用いる原料の総質量(合計質量)に対して、炭水化物材料を、ドライペットフードの製造に用いる原料の総質量(合計質量)に対して、30〜70質量%、特に40〜60質量%の割合で含有することが、ドライペットフード製造時の成形・加工性、ドライペットフードの栄養バランス、ペット類へのエネルギー補強、嗜好性などの点から好ましい。
【0038】
また、上記した栄養補強剤または健康増進剤としては、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、アミラーゼ阻害剤、リパーゼ阻害剤、小麦グルテン加水分解物、コンドロイチン硫酸、ポリフェノール含有素材、乳酸菌、γ−アミノ酪酸(GABA)、コエンザイムQ10、繊維成分などを挙げることができ、本発明のドライペットフードは、これらの1種または2種以上を含有することができる。
さらに、本発明のドライペットフードは、上記した成分以外にも、必要に応じて、野菜類、野菜類エキス、膨化剤、pH調整剤、保存料、色素などを含有することができる。
【0039】
本発明のドライペットフードの製造方法としては、上記したドライペットフード用原料の2種以上を混合した原料混合物にキサンタンガムを配合して押出機に供給し、それと同時に水を押出機に連続的に供給して、加熱混練した後、膨化したストランド状に大気中に押し出し、ストランド状の膨化物を切断し、乾燥する方法が好ましく採用される。
かかる製造方法を採用することによって、ペット類により嗜好性が良好で、しかもペット類の歯に生成した歯垢および歯石の除去効果並びにペット類の歯への歯垢および歯石の生成防止効果を有する本発明のドライペットフードを、簡単な工程で、円滑に生産性よく製造することができる。
【0040】
上記した方法で本発明のドライペットフードを製造するに当たっては、キサンタンガムを配合した原料混合物を、粉砕処理を行わずにそのまま押出機に直接供給してもよいが、粉砕処理を行って、粒径が350μmを超える粒子の割合が10質量%以下になるようにしてから押出機に供給することが、ペット類による嗜好性に優れ、しかも消化吸収性に優れるドライペットフードが得られることから好ましい。
その際に用いる粉砕機としては、原料混合物を円滑に粉砕し得る粉砕機であればいずれも使用することができ、例えば、ハンマーミル、ピンミル、パルベライザー、ターボ型ミルなどを挙げることができる。
【0041】
上記した押出方法で用いる押出機としては、ペットフードの製造に従来から用いられている押出機のいずれもが使用でき、例えば、一軸型押出機、二軸型押出機などを挙げることができ、そのうちでも二軸型押出機が剪断力、混練力、搬送能力などの点から好ましく用いられる。
【0042】
また、本発明のドライペットフードを上記した押し出し法で製造するに当たり、押出機へのキサンタンガムを配合したドライペットフード用原料混合物の供給量、押出機への水の供給量、押出機での混練温度、押出機のバレル先端の温度(押出温度)、バレル先端の圧力、押し出されたストランドを切断した後の乾燥温度などは、ドライペットフード用原料混合物を構成する原料成分の種類、原料混合物の配合組成、原料混合物の水分含量、原料混合物の粒度、押出機の種類、ドライペットフードを給与するペットの種類などに応じて調整することができる。
限定されるものではないが、例えば、キサンタンガムを配合して原料混合物の水分含量が5〜15質量%であって、それを押出機に供給してドライペットフードを製造する場合は、押出機へのキサンタンガムを配合した原料混合物:水の供給量を、質量比で、2:1〜5:1にし、押出機で100〜150℃の温度で加熱混練した後、押出機のバレル先端の温度(押出温度)を100〜150℃、バレル先端の圧力を10〜20Paの条件下で大気中に押し出して膨化したストランド状に押し出し、それを適当なサイズに切断して、水分含量が10質量%以下になるまで、70〜90℃で乾燥する方法が好ましく採用される。
【0043】
本発明のドライペットフードのペット類への給与方法や給与量は特に制限されず、ペット類の成長に必要な量、または体重維持や健康維持に必要な量を給与するのがよい。特に、本発明のドライペットフードを継続してペット類に給与すると、ペット類の歯に生成した歯垢および歯石を除去すると共に、ペット類の歯への歯垢および歯石の生成を防止して、ペット類の口腔を清潔で健康な状態に維持することができる。
【実施例】
【0044】
以下に本発明を実施例などによって具体的に説明するが、本発明は以下の例によって何ら限定されない。
以下の例において、ドライペットフードの水分含量および密度の測定並びにドライペットフードの破砕強度測定試験は、次のようにして測定した。
【0045】
[ドライペットフードの水分含量の測定方法]
秤量缶を予め135℃で2時間乾燥し、恒量(W0)を求めておく。コーヒーミルで粉砕処理したドライペットフード約2g(S)を秤量缶に精秤し、135℃で2時間乾燥する。30分以上放冷後、ドライペットフード入りの秤量缶の重量(W1)を測定し、下記の数式(1)から、ドライペットフードの水分含量を求める。
ドライペットフードの水分含量(質量%)=[{(S+W0)−W1}/S]×100 (1)
【0046】
[ドライペットフードの密度の測定方法]
ステンレス製の目盛付ビーカー(容量1000cm3、内径107mm、高さ125mm)の質量(Wa)(g)を測定しておく。ビーカーにステンレス製スコップ(皿幅67mm、全長235mm)でドライペットフードをビーカーの上部が平らになるまで投入して質量(Wb)(g)を測定し、下記の数式(2)から、ドライペットフードの密度(見かけ密度)(g/cm3)を求める。
ドライペットフードの密度(g/cm3)=(Wb−Wa)/1000 (2)
【0047】
[ドライペットフードのクリープメーターによる破砕試験]
株式会社山電製の「高分解能型クリープメーターRE2−33005B」を使用して、次のようにしてドライペットフードの破砕試験を行う。
(1) 高分解能型クリープメーターRE2−33005Bにカッター(部品番号No.21、型式P−21)を固定して取り付ける。
(2) 当該クリープメーターの試料載置台の中央に、ドライペットフード(試料)(直径×長さ=10mm×15mm)の1粒を倒した状態(ドライペットフードの側周壁が試料載置台に接した状態)で載せる。
(3) 試料載置台を徐々に上昇させて、載置台に載せたドライペットフードの上部を、ドライペットフードに荷重がかからないようにして、クリープメーターに固定状態で取り付けたカッターの刃に接触させる(このときの歪率=0%)。
(4) ドライペットフードを載せた載置台を、1mm/分の速度(等速)で上昇させながら、ドライペットフードの圧縮および粉砕を行い、載置台がもはやそれ上昇しなくなったときに停止させる。この際に、ドライペットフードに加えられた荷重を縦軸とし、歪率を横軸とするグラフが自動的に記録される。
(5) 上記(4)で記録されたグラフから、最大圧縮荷重値A(gf)、最大圧縮荷重値が測定されたときの歪率Ya(%)、圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の2.5分の1以下となるときの歪率Yb(%)、圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の10分の1以下となるときの歪率Yc(%)、歪率1〜20%における圧縮荷重値の積算値Ea(gf)、歪率0〜100%における圧縮荷重値の積算値Et(gf)、歪率20〜40%における圧縮荷重値の積算値Eb(gf)、歪率20〜60%における圧縮荷重値の積算値Ec(gf)を求める。
【0048】
《実施例1》
(1) 下記の表1の実施例1の欄に示すドッグフード原料配合を採用して原料成分を混合し、それを粉砕機(ターボ工業株式会社製「Turbo Mill T−40−4型」)を用いて粉砕して粒径が350μm以下の粒子の含有割合が95質量%である粉砕物を調製した。
その際に、粉砕物における粒径が350μm以下の粒子の含有割合は、目開きが350μmの篩を用いて粉砕物を分級し、下記の数式(3)に従って求めた。
粒径が350μm以下の粒子の割合(質量%)={(Wc−Wd)/Wc}×100 (3)
(式中、Wcは目開き350μmの篩による分級処理に用いた粉砕物の質量、Wdは当該粉砕による分級処理を行ったときに、篩上に残留したものの質量を示す。)
(2) 押出機(ジョーダ鉄工株式会社製「EP−50」)に、上記(1)で得られた粉砕物を60kg/時の量で連続的に供給し、それと同時に水を13リットル/時の量で連続的に供給し、混練温度100〜120℃、バレル先端温度100〜120℃、バレル先端圧力10〜12Paの条件下に、膨化したストランド状に押し出し、それを切断した後、120℃で乾燥して、直径10mm、長さ15mmのペレット状のキサンタンガムを配合したドライドッグフードを製造した。
【0049】
(3) 上記(2)で得られたドライドッグフードの水分含量および密度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すように、水分含量は8.5質量%であり、密度(見掛け密度)は0.28g/cm3であった。
(4)(i) 上記(2)で得られたドライドッグフードについて、クリープメーター(株式会社山電製「RE2−33005B」)を使用して、上記した方法で破砕試験を行ったところ、図1に示すグラフを得た。
(ii) 上記(i)で得られた図1のグラフに基づいて、上記した方法で、最大圧縮荷重値A、最大圧縮荷重値が測定されたときの歪率Ya、圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の2.5分の1以下となるときの歪率Yb、圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の10分の1以下となるときの歪率Ycを求めた。
また、上記(i)で得られた図1のグラフに基づいて、上記した方法で、歪率1〜20%における圧縮荷重値の積算値Ea、歪率0〜100%における圧縮荷重値の積算値Et、歪率20〜40%における圧縮荷重値の積算値Ebは、歪率20〜60%における圧縮荷重値の積算値Ecの値を求めて、Ea/Etの値、Eb/Eaの値、Ec/Eaの値を算出したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0050】
《比較例1》
(1) 下記の表1の比較例1の欄に示すドッグフード原料配合を採用して以外は、実施例1の(1)および(2)と同じ操作を行って、直径10mm、長さ15mmのペレット状のキサンタンガムを配合しないドライドッグフードを製造した。
(2) 上記(1)で得られたドライドッグフードの水分含量および密度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すように、水分含量は9.0質量%であり、密度は0.32g/cm3であった。
(3)(i) 上記(1)で得られたドライドッグフードについて、クリープメーター(株式会社山電製「RE2−33005B」)を使用して、上記した方法で破砕強度測定試験を行ったところ、図2に示すグラフを得た。
(ii) 上記(i)で得られた図2のグラフに基づいて、上記した方法で、最大圧縮荷重値A、最大圧縮荷重値が測定されたときの歪率Ya、圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の2.5分の1以下となるときの歪率Yb、圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の10分の1以下となるときの歪率Ycを求めた。
また、上記(i)で得られた図1のグラフに基づいて、上記した方法で、歪率1〜20%における圧縮荷重値の積算値Ea、歪率0〜100%における圧縮荷重値の積算値Et、歪率20〜40%における圧縮荷重値の積算値Eb、歪率20〜60%における圧縮荷重値の積算値Ecの値を求めて、Ea/Etの値、Eb/Eaの値、Ec/Eaの値を算出したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0051】
【表1】

【0052】
図1のグラフおよび上記の表1にみるように、キサンタンガムを配合した実施例1のドライドッグフードは、最初の圧縮段階で一度に完全に粉砕されてしまわずに、圧縮が更に加えられることによって徐々に破砕されるという粉砕特性を有している。
それに対して、図2のグラフおよび上記の表1にみるように、比較例1のドライドッグフードは、最初の圧縮段階で一度にその大半が粉砕されるという粉砕特性を有している。
【0053】
《試験例1》[摂餌性試験]
小型犬13頭(犬の種類;マルチーズ、パピヨン、ヨークシャーテリア、ポメラニアン)(平均体重3.8kg/頭)を1頭ずつ別の檻に入れて、それぞれの檻の中に、1日ごとに、実施例1で得られたドライドッグフード200gを入れた皿と、比較例1で得られたドライドッグフード200gを入れた皿を置いて、4日間、自由に摂取させて、13頭の犬が4日間で摂取した実施例1のドライドッグフードの合計量および13頭の犬が4日間で摂取した比較例1のドライドッグフードの合計量を調べたところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0054】
【表2】

【0055】
上記の表2の結果にみるように、キサンタンガムを配合した実施例1のドライドッグフードは、キサンタンガムを配合しない比較例1のドライドッグフードに比べて、犬による嗜好性に優れている。
【0056】
《試験例2》[実施例1のドライドッグフードを用いた歯垢および歯石の除去試験]
(1) 供試犬として、ダックスフンド(5歳、メス)1頭を使用した。このダックスフンドの歯の状態を撮影した写真を図3に示す。
(2) 上記(1)のダックスフンドに、実施例1のドライドッグフードを1週間にわたって継続して給与し(1日当たりの平均摂取量140g)、1週間後の歯の状態を写真撮影したところ、図4および図5の写真のとおりであった。
(3) 実施例1のドライドッグフードを給与する前の写真(図3)と、実施例1のドライドッグフードを1週間給与した後の写真(図4および図5)を対比すると、図3ではダックスフンドの歯に歯垢および歯石が多く生成していて歯が黒かったのに対して、図4および図5ではダックスフンドの歯に生成していた歯垢および歯石が除去されて歯が顕著に白くなっている。
かかる結果から、キサンタンガムを配合した実施例1のドライドッグフードは、犬の歯に生成した歯垢および歯石の除去に優れた効果を有することがわかる。
【0057】
《試験例3》[比較例1のドライドッグフードを用いた歯垢および歯石の除去試験]
(1) 供試犬として、試験例3で用いたのとは別の犬であるウエルシュコーギー(7歳、メス)1頭を使用した。このウエルシュコーギーの歯の状態を撮影した写真を図6に示す。
(2) 上記(1)のウエルシュコーギーに、比較例1のドライドッグフードを1週間にわたって継続して給与し(1日当たりの平均摂取量230g)、1週間後の歯の状態を写真撮影したところ、図7の写真のとおりであった。
(3) 比較例1のドライドッグフードを給与する前の写真(図6)と、比較例1のドライドッグフードを1週間給与した後の写真(図7)を対比すると、図5および図6の両方で、ウエルシュコーギーの歯に歯垢および歯石が多く生成していて歯が黒い状態である。
かかる結果から、キサンタンガムを配合しない比較例1のドライドッグフードは、犬の歯に生成した歯垢および歯石の除去効果を示さないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のドライペットフードは、ペット類による嗜好性に優れ、しかもペット類の歯に生成した歯垢および歯石の除去並びにペット類の歯への歯垢および歯石の生成の防止に優れた効果を有するので、犬、猫、その他のペット類に給与するための餌として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キサンタンガムを配合したことを特徴とするドライペットフード。
【請求項2】
キサンタンガムの配合量が、ドライペットフードの製造に用いた全原料の合計質量に基づいて、0.2〜2.0質量%である請求項1に記載のドライペットフード。
【請求項3】
0.2〜0.5g/cm3の密度を有する膨化した小片状体である請求項1または2に記載のドライペットフード。
【請求項4】
クリープメーターを使用して、ドライペットフードの破砕試験を行ったときに、下記の要件(I)、(II)、(III)および(IV);
4000gf≧A≧500gf (I)
Ya≧10% (II)
Yb≧25% (III)
Yc≧30% (IV)
[上記式中、Aは、クリープメーターで測定される最大圧縮荷重値、Yaは最大圧縮荷重値が測定されたときの歪率(%)、Ybは圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の2.5分の1以下となるときの歪率(%)、Ycは圧縮荷重の値がそれ以降常に最大圧縮荷重値の10分の1以下となるときの歪率(%)を示す。]
を満足する破砕特性を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のドライペットフード。
【請求項5】
クリープメーターを使用して、ドライペットフードの破砕試験を行ったときに、下記の要件(i);
Ea/Et≦0.8 (i)
[上記式中、Eaは歪率1〜20%における圧縮荷重値の積算値(gf)、Etは歪率0〜100%における圧縮荷重値の積算値(gf)を示す。]
を満足する破砕特性を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のドライペットフード。
【請求項6】
クリープメーターを使用して、ドライペットフードの破砕試験を行ったときに、下記の要件(ii)および(iii);
Eb/Ea≧0.2 (ii)
Ec/Ea≧0.3 (iii)
[上記式中、Eaは歪率0%以上20%未満における圧縮荷重値の積算値(gf)、Ebは歪率20〜40%における圧縮荷重値の積算値(gf)、Ecは歪率20〜60%における圧縮荷重値の積算値(gf)を示す。]
を満足する破砕特性を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のドライペットフード。
【請求項7】
ペット類のデンタルケア用である請求項1〜6のいずれか1項に記載のドライペットフード。
【請求項8】
キサンタンガムを配合したペットフード用原料および水を押出機に供給して加熱混練した後、押し出し、切断し、乾燥することを特徴とするドライペットフードの製造方法。
【請求項9】
キサンタンガムの配合量が、ペットフード用原料の合計質量に基づいて0.2〜2.0質量%である請求項8に記載のドライペットフードの製造方法。
【請求項10】
膨化したストランド状に押し出して、切断し、乾燥する請求項8または9に記載のドライペットフードの製造方法。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のドライペットフードをペット類に給与して、ペット類の歯に生成している歯垢および歯石を除去するか、および/またはペット類の歯への歯垢および歯石の生成を防止する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−217381(P2012−217381A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86015(P2011−86015)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(398008974)日清ペットフード株式会社 (6)
【Fターム(参考)】