説明

ドラムスクリーン

【課題】 本発明は回転ドラム2におけるドラムスクリーンの総延長を長く形成することが可能で、かつロッド4の縦断面形状を異形とすることにより、篩い分け効果、解砕効果及び付着粉又は付着物の剥離効果を向上することを目的とする。
【解決手段】 機枠1に傾斜回転ドラム2を設け、該回転ドラム2の傾斜方向に上記ドラム2の傾斜中心線cを共有する円筒形スクリーン3を設け、上記円筒形スクリーン3が篩い間隙tを介在させた上記中心線c方向の複数のロッド4によって形成され、かつ該ロッド4の両端突出軸4’の外径を上記スクリーン3の上下端に設けた軸受フランジ5,5’に穿設した軸受孔6の内径より小に形成してなるドラムスクリーン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は残土等(汚泥、浚渫土を含む)の処理設備において、粘性土の篩分けに適した回転スクリーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のロッドを篩い間隙を介してドラムの中心線の回りに並列し、上記ロッドの両端軸支部の外径を軸受孔の内径より小となすことによって上記各ロッドを可動状態に支持したドラムスクリーンが開発された(例えば特許文献1)。
【0003】
しかし上記ドラムスクリーンはロッドの縦断面形状が円形であり、
かつ1個の回転ドラムの中央部に上記ドラムスクリーンが設けられたため該ドラムの両端部を支持ローラで支持し、一端部に駆動用スプロケットを設ける必要があり、回転駆動部が一端部に片寄るためスクリーンの長さに制約を受ける。
【0004】
そのため篩い分け効果、解砕効果及び原石の付着粉剥離効果に制約を受けた。
【0005】
【特許文献1】特開2002−113422号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は回転ドラムにおけるドラムスクリーンの総延長を長く形成することが可能で、かつロッドの縦断面形状を異形とすることにより、篩い分け効果、解砕効果及び付着粉又は付着物の剥離効果を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため本発明は
第1に機枠に傾斜回転ドラムを設け、該回転ドラムの傾斜方向に上記ドラムの傾斜中心線を共有する円筒形スクリーンを設け、上記円筒形スクリーンが篩い間隙を介在させた上記中心線方向の複数のロッドによって形成され、かつ該ロッドの両端突出軸の外径を上記スクリーンの上下端に設けた軸受フランジに穿設した軸受孔の内径より小に形成してなるドラムスクリーン、
第2に上記ロッドの縦断面が円、楕円又は角形である上記第1発明記載のドラムスクリーン、
第3に上記円筒形スクリーンの中程に上記ロッドの縦断面外周より大径の挿通孔を穿設した環状板を設け、該環状板の内周に環状堰板を突設した上記第1又は第2発明記載のドラムスクリーン、
第4に上記円筒形スクリーンを上記回転ドラムの傾斜方向両端に設けた上記第1〜第3発明のいずれかに記載のドラムスクリーン、
第5に上部円筒形スクリーン篩い間隙を大に、下部円筒形スクリーンの篩い間隙を小に形成した上記第4発明記載のドラムスクリーン、
によって構成される。
【0008】
従って上記回転ドラム及びその上下の円筒形スクリーンを傾斜中心線の回りに一方に回動させると、上下の円筒形スクリーンを構成するロッドがそれぞれ上記回動に伴ってガタガタと軸受孔内を微動し、上記篩い間隙が変動する。
【0009】
上部の円筒形スクリーンに投入された原料は小サイズのものが篩下(ふるい下)として排出されて篩上(ふるいうえ)が中央部の回転ドラムに入り、螺旋状に上昇・落下を繰返して付着粉を分離し、さらに下部の円筒形スクリーンに進入して付着粉及び中サイズのものが篩下(ふるい下)として排出され、大サイズのもの及びビニールシート、袋、木片等のゴミが排出口から排出される。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述のように構成したので投入原料は上部円筒形スクリーンで小サイズのものが篩下(ふるいした)として分離し、
その篩上(ふるいうえ)が中央部の回転ドラム内において螺旋状に上昇落下し、原石と付着粉を分離して下部の円筒形スクリーンに入る。
【0011】
下部円筒形スクリーンでは上部円筒形スクリーンと同サイズ若しくは篩い間隙tをかえて中サイズの原石を篩下(ふるいした)として回収し、大サイズの原石を篩上(ふるいうえ)として排出することもできる。
【0012】
上下の円筒形スクリーンの篩動作は上記各ロッドがそれぞれガタガタ振動又は微動して篩間隙が微動し、かつ縦断面角形の角(かど)が原石表面を削り、かつ衝接して付着粉を充分分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
傾斜機枠1の上面に傾斜回転ドラム2を配置し、該ドラム2の外周に2条の受レール2’,2’を設け、該受レール2’,2’の下部両側をそれぞれ支持ローラ2”,2”によって支持し、該ローラ2”,2”によって上記回転ドラム2を傾斜機枠1に傾斜状態に支持する(図1、図3)。
【0014】
又上記回転ドラム2の外周に従動スプロケット7を設け、該スプロケット7と該機枠1に設けた原動機8の駆動軸8’に設けた駆動スプロケット9との間に駆動用無端チエン10を掛回し、上記回転ドラム2を一方に回動させる。(図1、図2)。
【0015】
このように支持した上記回転ドラム2は鋼板によって形成され、傾斜中心線cの回りを回動する。
【0016】
上記回転ドラムの1端(図示していない)又は両端(図1)にL形金具11,11をボルト12で固定し、該L形金具11,11に内側軸受フランジ5,5を溶着固定し、該フランジ5,5に開き角90度位置に4個のロッド4”の一端を上記中心線cと平行に溶着固定し、該固定ロッド4”の他端に外側軸受フランジ5’,5’を固定して設ける(図1)。
【0017】
上記固定ロッド4”,4”間には複数個の遊動ロッド4を篩い間隙tを介在させて上記中心線cの方向に配置し、
該遊動ロッド4の両端突出軸4’の外径を上記内外の軸受フランジ5,5’に穿設した軸受孔6の内径より小に形成する。
【0018】
上記固定ロッド4”の中程には1個又は複数の環状板13を配置し、上記4個の固定ロッド4”を該環状板13に挿通し、挿通部を溶着固定して上記内外の軸受フランジ5,5’、4個の固定ロッド4”,4”,4”,4”によって円筒形スクリーン3,3を上記回転ドラム2の両端(図1)又は一端(図示していない)に支持することができる。
【0019】
上記遊動ロッド4は上記環状板13に穿設した挿通孔13’を通過し、通過部においては上記遊動ロッド4の外径が小で挿通孔13’の内径が大であるため遊動ロッド4のガタ振動又はガタ微動が阻止されることはない(図4(イ)(ロ)図、図5)。
【0020】
上記固定及び遊動ロッド4,4”の縦断面は図7(イ)(ロ)(ホ)図に示すように円、3角、4角、5角、6角形又は楕円形であり、原料の種類又は性質によって使い分けられる。
【0021】
又上記ロッド4,4”と両端突出軸4’,4’との中心線c’は図7(イ)図のように偏心し、或は(ロ)〜(ホ)図に示すように共通であっても差支えない。
【0022】
又上記環状板13の内周には環状の堰板14を突設することによって供給原料を傾斜方向に一時留めることができ、それによって円筒形スクリーン3,3の原料通過時間を延長(稼ぐ)することができるから、原料を比較的長時間篩い分け、解砕し、さらに付着粉の剥離(分離)効果(時間)を高く(長く)し、篩い効率を向上させることができる。
【0023】
上記回転ドラム2及び上記円筒形スクリーン3,3に供給された原料は螺旋状に持ち上げられ、落下する際の落下衝撃によって特に角形のロッド4,4”では角部に衝突するため原料と付着物(粉鉱)との分離が良好である。
【0024】
上記遊動ロッド4に与える上記衝撃力によって該ロッド4は微動するため原料に微動を伝達し、それによって付着粉を分離する。
【0025】
勿論原料又は原石相互の擦れ合いや上記角形のロッド4,4”との衝撃による粉鉱分離が遂行される。
【0026】
従って本発明によると付着粉の剥離した良質な原石が得られる。
【0027】
篩い間隙tは上部円筒形スクリーン3で70mm、下部円筒形スクリーン3で100mmであるが、これに限定されることはない。
【0028】
尚図1中15で示すものは円筒形スクリーン3,3のカバー、16は該スクリーン3,3の篩下(ふるいした)排出口、17は最終篩上(ふるいうえ)の排出口、図1、図4(イ)(ロ)図中18は原料入口縁である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は傾斜回転ドラム2の両端に傾斜中心線cの方向に円筒形スクリーン3,3を設けることによってスクリーンの総延長を大とし、上記回転ドラム2によって一旦篩上(ふるいうえ)原料を回動落下させてこれを再度篩い分けることができるため残土等の分分を1機で効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のドラムスクリーンを示す縦断側面図である。
【図2】駆動部の縦断正面図である。
【図3】回転支持部の縦断正面図である。
【図4】(イ)図は図1A−A線による縦断正面図、(ロ)図は(イ)図の一部拡大図である。
【図5】環状板、遊動ロッド及び固定ロッドを示す斜視図である。
【図6】上記ロッドの突出軸と軸受孔との径差を示す一部縦断面図である。
【図7】(イ)〜(ホ)図は上記ロッドの縦断面の例示図である。
【符号の説明】
【0031】
1 機枠
2 傾斜回転ドラム
c 傾斜中心線
3 円筒形スクリーン
t 篩い間隙
4 ロッド
4’ 両端突出軸
5,5’ 軸受フランジ
6 軸受孔
13 環状板
13’ 挿通孔
14 環状堰板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠に傾斜回転ドラムを設け、該回転ドラムの傾斜方向に上記ドラムの傾斜中心線を共有する円筒形スクリーンを設け、
上記円筒形スクリーンが篩い間隙を介在させた上記中心線方向の複数のロッドによって形成され、
かつ該ロッドの両端突出軸の外径を上記スクリーンの上下端に設けた軸受フランジに穿設した軸受孔の内径より小に形成してなるドラムスクリーン。
【請求項2】
上記ロッドの縦断面が円、楕円又は角形である請求項1記載のドラムスクリーン。
【請求項3】
上記円筒形スクリーンの中程に上記ロッドの縦断面外周より大径の挿通孔を穿設した環状板を設け、該環状板の内周に環状堰板を突設した請求項1又は2記載のドラムスクリーン。
【請求項4】
上記円筒形スクリーンを上記回転ドラムの傾斜方向両端に設けた請求項1〜3のいずれかに記載のドラムスクリーン。
【請求項5】
上部円筒形スクリーン篩い間隙を大に、下部円筒形スクリーンの篩い間隙を小に形成した請求項4記載のドラムスクリーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−14914(P2007−14914A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201089(P2005−201089)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000227250)日鉄鉱業株式会社 (82)
【出願人】(503110266)株式会社幸袋テクノ (7)
【Fターム(参考)】