説明

ドラム式濾過装置及びこれを用いた紙料再生システム

【課題】 紙料スラリが塊になりにくく洗浄作業の際に大量のシャワー水を使用しなくてよいドラム式濾過装置及びこれを用いた紙料再生システムを提供すること。
【解決手段】 古紙、損紙などの紙料を離解させて希釈させた紙料スラリから異物を除去するものであって、横向きの状態で回転可能に設置されたドラムスクリーン33と、その横向きドラムスクリーン33の低部が浸かるように希釈水を貯える希釈撹拌槽42とを有し、ドラムスクリーン33の外側には、希釈撹拌槽42内の流体を撹拌させるための径方向に突出した撹拌羽根47が複数形成され、希釈撹拌槽42内には、撹拌羽根47によって起きる流れに変化を与えるための突起部材46がドラムスクリーン33の軸方向に沿って形成されたドラム式濾過装置30。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
パルパーでつくられた紙料スラリから異物を取り除くためのドラムスクリーンを有するドラム式濾過装置及びこれを用いた紙料再生システムに関し、特に紙料スラリが塊になりにくく洗浄作業の際に大量のシャワー水を使用しなくてよいドラム式濾過装置及びこれを用いた紙料再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源や地球環境保全の要求が高まり、古紙および損紙のリサイクル率が高くなってきており、これまで脱墨や異物除去が困難であった雑誌の他、ラミネート処理された紙容器なども紙料として用いられるようになってきている。
そうした古紙や損紙などの紙料について資源サイクルを行うために紙料スラリを作るパルパーは、これまで容器内に水と薬剤を混合した溶液と紙料を投入し、一定期間混合撹拌して離解が完了した後、排出口を開放して紙料スラリを全量取り出す、いわゆるバッチ式のものや、紙料スラリを連続して取り出すものとしは、本出願人が提案した特開2003−193383に開示された連続式パルパーがある。
【0003】
例えば、そうした連続式パルパーでは、縦型円筒容器内に水や薬品が注入された溶液中に破砕紙料が投入されて溶け込み、ロータの撹拌によって破砕紙料の離解が徐々に進んで均質な紙料スラリが作られることになる。こうして縦型円筒容器内で作られた紙料スラリは、取出管から希釈撹拌槽に送り出され、そこには白水が注入されて希釈された紙料スラリが撹拌機によって撹拌されて濃度が薄められる。
【0004】
そうした紙料スラリはスクリーンによって除塵され、異物が除去されて一旦蓄積され、その後は後続の処理工程へと搬送される。パルパーから取り出された紙料スラリ内には異物が混入しており、例えばドラムスクリーンを通して希釈された紙料スラリが濾過されて異物が取り除かれる。ドラムスクリーンでは、回転する円筒形状のスクリーン内に紙料スラリが投入され、更に白水が注入されて希釈された紙料スラリがスクリーン内に異物を残して濾過されたものが取り出される。
【特許文献1】特開平6−285308号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ドラムスクリーンは横置きされ回転するドラム内に紙料スラリが投入され、回転する中でスクリーンによって濾過されて異物が取り除かれる。ドラムスクリーン内では紙料スラリ自身が回転しないため塊になりやすく、リジェクト内に残留しやすい。するとドラムスクリーンを通して紙料スラリの濾過を繰り返した場合、除かれた異物がドラム内に残ってスクリーンの目孔に嵌り込んで目詰まりを引き起こしてしまう。そこで目詰まり防止のための洗浄作業が必要となる。従来の洗浄作業は大量のシャワー水が供給され、それによって目孔の異物が洗い流されていた。しかしながら、従来は大量のシャワー水が供給され洗浄作業が行われていたため節水の要望があった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、紙料スラリが塊になりにくく洗浄作業の際に大量のシャワー水を使用しなくてよいドラム式濾過装置及びこれを用いた紙料再生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るドラム式濾過装置は、古紙、損紙などの紙料を離解させて希釈させた紙料スラリから異物を除去するものであって、横向きの状態で回転可能に設置されたドラムスクリーンと、その横向きドラムスクリーンの低部が浸かるように希釈水を貯える希釈撹拌槽とを有し、前記ドラムスクリーンの外側には、前記希釈撹拌槽内の流体を撹拌させるための径方向に突出した撹拌羽根が複数形成され、前記希釈撹拌槽内には、撹拌羽根によって起きる流れに変化を与えるための突起部材が前記ドラムスクリーンの軸方向に沿って形成されたものであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るドラム式濾過装置は、前記突起部材が、前記希釈撹拌槽の底部から前記ドラムスクリーンの低部に向けて上昇する流れをつくる斜面をもった三角形状の突起であることが好ましい。
また、本発明に係るドラム式濾過装置は、前記ドラムスクリーンが、前記希釈撹拌槽を挟むようにして配置された複数のローラによって軸方向両端付近が支持され、当該ローラの回転を受けて回転するようにしたものであり、前記希釈撹拌槽には、前記ドラムスクリーンが通るように軸方向の側壁に切欠きが形成され、前記ドラムスクリーンには径方向に貫くようにした環状の止水プレートが一対形成され、その止水プレートが前記希釈撹拌槽を外側から挟むように側壁に摺接するようにしたものであることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るドラム式濾過装置は、前記希釈撹拌槽の外側には外容器が形成され、その外容器には前記希釈撹拌槽からオーバーフローした紙料スラリを流す排水溝及び排水口が形成されたものであることが好ましい。
また、本発明に係るドラム式濾過装置は、前記ドラムスクリーンには、内側にスクリュウ羽根が連続して形成され、そのスクリュウ羽根の間には中心軸と平行に複数の撹拌バーが形成されたものであることが好ましい。
【0010】
一方、本発明に係る紙料再生システムは、紙料を溶液と混合撹拌して離解させることによって所定濃度の紙料スラリを作るパルパーと、その縦型連続式パルパーから取り出された紙料スラリに希釈水を加えつつ異物を取り除くドラム式濾過装置とを有するものであって、前記ドラム式濾過装置は、横向きの状態で回転可能に設置されたドラムスクリーンと、その横向きドラムスクリーンの低部が浸かるように希釈水を貯える希釈撹拌槽とを有し、前記ドラムスクリーンの外側には、前記希釈撹拌槽内の流体を撹拌させるための径方向に突出した撹拌羽根が複数形成され、前記希釈撹拌槽内には、撹拌羽根によって起きる流れに変化を与えるための突起部材が前記ドラムスクリーンの軸方向に沿って形成されたものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る紙料再生システムは、前記ドラム式濾過装置の希釈撹拌槽に形成された突起部材が、前記希釈撹拌槽の底部から前記ドラムスクリーンの低部に向けて上昇する流れをつくる斜面をもった三角形状の突起であることが好ましい。
また、本発明に係る紙料再生システムは、前記ドラム式濾過装置のドラムスクリーンが前記希釈撹拌槽を挟むようにして配置された複数のローラによって軸方向両端付近が支持され、当該ローラの回転を受けて回転するようにしたものであり、前記希釈撹拌槽には、前記ドラムスクリーンが通るように軸方向の側壁に切欠きが形成され、前記ドラムスクリーンには径方向に貫くようにした環状の止水プレートが一対形成され、その止水プレートが前記希釈撹拌槽を外側から挟むように側壁に摺接するようにしたものであることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る紙料再生システムは、前記ドラム式濾過装置には前記希釈撹拌槽の外側に外容器が形成され、その外容器に前記希釈撹拌槽からオーバーフローした紙料スラリを流す排水溝及び排水口が形成されたものであることが好ましい。
また、本発明に係る紙料再生システムは、前記ドラム式濾過装置には、前記ドラムスクリーンの内側にスクリュウ羽根が連続して形成され、更にそのスクリュウ羽根の間には中心軸と平行に複数の撹拌バーが形成されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
よって、本発明に係るドラム式濾過装置及びこれを用いた紙料再生システムによれば、例えばパルパーで水や薬品を注入して満たされた溶液中に破砕済紙料が投入され所定濃度の紙料スラリが作られ、それをドラム式濾過装置では、希釈撹拌槽を設けて希釈水を貯めておき、そこにドラムスクリーン部が浸かるようにして、更に撹拌羽根と希釈撹拌槽内の突起部材によって希釈水がドラムスクリーンの目孔を通って出入りするような流れをつくるので、紙料スラリが塊になり難く目詰まりを起こし難くなり、そのため洗浄作業の際にも大量のシャワー水を使用しなくてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明にドラム式濾過装置及びこれを用いた紙料再生システムについて一実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。本実施形態のドラム式濾過装置は、パルパーでつくられた紙料スラリから異物を除去するものであり、図1は、パルパーの一例として縦型連続式パルパーの全体構成を示した図である。
【0015】
この縦型連続式パルパー1は、図示するように、架台11上に縦型円筒容器10が立設され、その上端には破砕済紙料9が投入される供給口12が、下端の側部には取出管13がそれぞれ形成されている。縦型円筒容器10内には、モータ15の駆動力が減速機16を介して垂直回転軸14に伝達されるよう構成され、その垂直回転軸14には螺旋状のパルピングロータ17と複数の撹拌ロータ18が上下多段に取り付けられている。また、縦型円筒容器10の内壁には、内部を流れる破砕済紙料9の撹拌が促進されるように、縦方向には複数の垂直リブ21が突設されるとともに、各段の撹拌ロータ18の中間高さに水平リブ22が突設されている。
【0016】
縦型円筒容器10には紙料を離解させるための薬品など(例えば、NaOH、脱墨剤、Na2SiO3 、H2O2、スチーム)が供給されるが、そのための配管が縦型円筒容器10に接続されている。縦型円筒容器10に配管が接続されてできた一のライン25には水が流され、他のライン26にはスチームが流されるようになっている。そのうちライン25は分岐して2方向に分かれ、それぞれの分岐ラインに電磁開閉弁27,28が接続され、他方のライン26には電磁開閉弁29が接続されている。そして、電磁開閉弁27の二次側には例えばNaOH、脱墨剤、Na2SiO3 が送り込まれ、電磁開閉弁28の二次側にはH2O2が送り込まれるようになっている。
【0017】
一方、縦型円筒容器10の底部には取出口13へ紙料スラリを取り出すためのスクリューフィーダ19が設けられ、モータ20の回転速度を制御することによって紙料スラリの吐出量を調整できるようになっている。そして、その取出管13の先には、縦型円筒容器10で作られた紙料スラリから異物を除去する、図2及び図3に示すドラム式濾過装置が設けられている。
【0018】
ここで図2及び図3は、本実施形態のドラム式濾過装置を概念的に示した図であり、図2はドラム式濾過装置の側部断面図であり、図3はドラム式濾過装置の軸方向端面図である。このドラム式濾過装置30は、支持台31上に装置本体32が取り付けられ、装置本体32内にドラムスクリーン33が回転可能に設けられている。ドラムスクリーン33は、その軸方向端部付近に位置するように装置本体32下部に設けられたローラ34a,34b(まとめて表現する場合には「ローラ34」とする)の上に搭載され、ローラ34aの回転を受けて回転するように構成されている。ローラ34a,34bは、それぞれ図2の図面を貫く方向に2個配置され、その上にドラムスクリーン33が置かれている。
【0019】
そして、ローラ34aは、そのシャフト35にプーリ36が固定され、更にそのプーリ36に不図示のVベルトが掛け渡されて駆動モータからの回転が伝達されるようになっている。ドラムスクリーン33は、そうしたローラ34aの回転を受けてローラ34上を回転するように構成されている。
ドラムスクリーン33は、所定の大きさの目孔が全体的に形成された筒状体であって、内部には螺旋状に形成されたスクリュウ羽根37が設けられている。スクリュウ羽根37は径方向に所定の高さで形成され、ドラムスクリーン33の軸心部は貫かれている。そして、軸方向に所定のピッチで形成されたスクリュウ羽根37同士の間に撹拌バー38が形成されている。撹拌バー38は、軸方向に沿って円周方向には所定の間隔で複数形成されている。
【0020】
装置本体32には、パルパーからの紙料スラリをドラムスクリーン33内に取り入れる供給口41が形成され、それがドラムスクリーン33の一端から中に挿入されている。また、装置本体32には、底部に希釈撹拌槽42が形成され、不図示のノズルからドラムスクリーン33に向けて放水されるシャワー水が貯まり、ドラムスクリーン33の低部がこの水に浸かるようになっている。この希釈撹拌槽42は、図3に示すように底面が42aがドラムスクリーン33の回転方向(反時計方向。従って図面右側)に傾斜して上がっている。
【0021】
更に装置本体32には、希釈撹拌槽42からオーバーフローした紙料スラリを受ける外容器43が構成されている。外容器43には、図3に示すように希釈撹拌槽42の図面左側に、その希釈撹拌槽42からオーバーフローした紙料スラリを受けるように排水溝51が形成され、その排水溝51の先に次工程へ紙料スラリを送るための排水口52が形成されている。外容器43は、両側のローラ34a,34bの間に固定して配置され、その外容器43に対してドラムスクリーン33が軸方向に位置ずれしないように構成されている。ドラムスクリーン33には、軸方向の両端付近において環状の位置決プレート44が3枚ずつ突設され、その中間の位置決プレート44が外容器43の軸方向側壁43aに外側から摺動可能に当てられている。従って、ドラムスクリーン33は、位置決プレート44が外容器43に当たって軸方向のいずれの方向にもずれないようになっている。
【0022】
また、希釈撹拌槽42は、ドラムスクリーン33が通るための切欠き42cが軸方向側壁bに形成されているが、希釈撹拌槽42内にドラムスクリーン33が浸かるだけの希釈水を貯める必要がある。そこで、希釈撹拌槽42の側壁42bには、ドラムスクリーン33を径方向に貫く形で環状に形成された止水プレート45が摺接されている。すなわち、一対の止水プレート45は、希釈撹拌槽42の軸方向両端部に外側から摺動部材を介して摺動可能に当接している。従って、希釈撹拌槽42の側壁42bが切欠き42cによって低くても漏れを抑えて止水プレート45の高さまで希釈水を貯めることができ、ドラムスクリーン33の下部が希釈水に浸かるようにすることができる。
【0023】
こうして、本実施形態のドラム式濾過装置30では、ドラムスクリーン33の低部が希釈水への浸漬しながら回転し、希釈撹拌槽42部分で紙料スラリの希釈と濾過が行われるようになっている。更に、その希釈撹拌槽42内には、底部に三角突起46が形成されている。この三角突起46は、ドラムスクリーン33の軸方向に沿って形成され、回転するドラムスクリーン33によって希釈撹拌槽42内にできる流体の流れに変化を与えるようにしたものであり、その頂部がほぼドラムスクリーン33の中心軸と重なるよう配置されている。そして、ドラムスクリーン33の外周には、希釈撹拌槽42内の希釈水をかき混ぜるための放射状に突設された複数の撹拌羽根47が形成されている。
【0024】
次に、本実施形態のドラム式濾過装置30及びこれを用いた紙料再生システムの作用について説明する。紙料再生システムでは、先ず図1に示した縦型連続式パルパー1によって紙料スラリが作られる。縦型連続式パルパー1では、電磁開閉弁27,28,29によって水や薬品を注入して溶液が満たされ、コンベア5で運ばれた破砕済紙料9が供給口12から投入される。投入された破砕済紙料9は溶液に溶け込み、パルピングロータ17によって下方へ誘導されて沈んでいく。そして、縦型円筒容器10の底部に到達する間にできた紙料スラリがスクリューフィーダ19によって取出管13から送り出される。こうして上から供給された破砕済紙料9は順に縦型円筒容器10内を下降し、刃数の多くなる下段の撹拌ロータ18によって離解が徐々に進んで紙料スラリとなっていく。
【0025】
縦型円筒容器10内では、内側壁に付設された垂直リブ21や水平リブ22によって紙料の流動が阻止されるので撹拌ロータ18との連れ回りが防止される。撹拌ロータ18は刃数が上段では少ないので未離解な状態であっても下方への移動がスムーズであり、その一方で下段の撹拌ロータ18は刃数が多くなっているので撹拌力が増加し、均質な紙料スラリが作られることになる。また、下段では撹拌力が大きいので離解繊維に付着しているインク粒子を分離する能力も大きくなる。供給口12から投入された紙料は、こうした撹拌によって溶液内で離解しながら縦型円筒容器10内を下降し、水分中の濃度が15〜20パーセント程の均質な紙料スラリとなって取出管13から送り出される。
【0026】
縦型連続式パルパー1で作られた紙料スラリは、供給口41から回転するドラムスクリーン33内に供給される。ローラ34の上に搭載されたドラムスクリーン33は、ローラ34aが回転することにより、それに従って回転する。そのため、ドラムスクリーン33内に入れられた紙料スラリは、回転するスクリュウ羽根37によって供給口41から遠ざかる方向(図2の左側)へと送られていく。
【0027】
ドラム式濾過装置30では、装置本体32内にドラムスクリーン33に向けて不図示のノズルからシャワー水が出され、それが希釈水となって希釈撹拌槽42内に貯まることになる。そして、ドラムスクリーン33は、こうして希釈撹拌槽42内に貯められた希釈水をかき混ぜながら回転することになる。横向き配置されたドラムスクリーン33は、低部が希釈撹拌槽42内の希釈水に浸かっているため、そのドラムスクリーン33内に供給されて底部に落ちた紙料スラリも希釈撹拌槽42内で希釈水に浸かって希釈される。
【0028】
ドラムスクリーン33では、内部の紙料スラリが希釈水によって希釈され、目孔を通ったものが外へと出る。その際、異物は引っかかってドラムスクリーン33内部に残る。目孔を通った紙料スラリは、希釈撹拌槽42からオーバーフローして外容器43の排水溝51へと流れ出る。ところで、希釈撹拌槽42内の希釈水に浸かって回転するドラムスクリーン33では、その内部に希釈水が浸入して紙料スラリは希釈されている。そして、ドラムスクリーン33の回転によって撹拌バー38にかき上げられた紙料スラリは、水面よりも高く持ち上げられて落とされる。こうしてドラムスクリーン33内では、紙料スラリがかき混ぜられている。
【0029】
一方、ドラムスクリーン33の外では、撹拌羽根47が回転に従って希釈撹拌槽42内の希釈水をかき混ぜている。その際、撹拌羽根47によって作られた流れは、図3に矢印Aで示すように、三角突起46にぶつかってドラムスクリーン33内に入り込むような上昇する流れになる。そのため、ドラムスクリーン33内の紙料スラリが押し上げられるようにして撹拌される。その際、ドラムスクリーン33に対して外側からの流れが圧力となって作用するので、目孔に内側から詰まっているような異物が取り除かれ、目詰まりを防止することができる。一方、三角突起46の上流側(図3の左側)では上昇する流れができるが、下流側では矢印Bで示すように下方に向かって巻き込む流れができてドラムスクリーン33内の希釈された紙料スラリが引き出される。
【0030】
こうして本実施形態のドラム式濾過装置30では、ドラムスクリーン33内では撹拌バー38によってかき上げによる撹拌が行われ、ドラムスクリーン33の外側からは撹拌羽根47と三角突起46とによって内外を行き来する流れの撹拌が行われる。
ドラムスクリーン33内の紙料スラリは、スクリュウ羽根37によって軸方向に送られるが、その送られる間に希釈撹拌槽42内で希釈され、更に撹拌が繰り返され、目孔から外に出て希釈撹拌槽42からあふれ出る。オーバーフローした紙料スラリは外容器43に受け取られ、希釈撹拌槽42横の排水溝51を流れて排水口52から出て次工程へと送られる。
【0031】
スクリュウ羽根37によって送られ、止水プレート45を越えて希釈撹拌槽42から出た時点でドラムスクリーン33内に残っている紙料スラリは、ドラムスクリーン33の目孔を通って水分が落ちてしまい脱水状態となる。そうして残ったリジェクトは、そのままスクリュウ羽根によって更に送られて、図3の左側端部からドラムスクリーンを出て回収される。
【0032】
よって、本実施形態のドラム式濾過装置及びこれを用いた紙料再生システムによれば、希釈撹拌槽42を設けて希釈水を貯めておき、そこにドラムスクリーン33の低部が浸かるようにして紙料スラリを希釈・撹拌するようにしたので、紙料スラリが下で塊になり難くなった。従って、シャワー水を大量に噴射しなくても塊になった紙料スラリによって目孔を詰まらせてしまうようなことはなくなり、シャワー水の量を減らして節約することができるようになった。
また、本実施形態では、ドラムスクリーン33には希釈撹拌槽42内の希釈水をかき混ぜるようにした撹拌羽根47と希釈撹拌槽42内に三角突起46を設けることで、希釈撹拌槽42内の希釈水がドラムスクリーンの目孔を通って出入りするように流れをつくるようにしている。そのため、紙料スラリの希釈・撹拌を効率良く行いながら、更に異物によるドラムスクリーン33の目詰まりを防止することができるようになった。
【0033】
また、本実施形態では、ドラムスクリーン内ではスクリュウ羽根37の送りによって紙料スラリが軸方向に移動するが、その際、紙料スラリは撹拌バー38にかき上げられるようにしている。従って、ドラムスクリーン33内の紙料スラリは勢いよくかき混ぜられるので紙料スラリが塊になり難く、更には目詰まりの予防にもなる。
よって、こうした紙料スラリの塊防止や異物の目詰まり防止によって、洗浄による作業の中断を減らし、連続運転を可能したことにより、図1に示す縦型連続式パルパー1との組み合わせからなる紙料再生システムの連続運転も可能になる。
【0034】
以上、本発明に係るディスク式濾過装置及びこれを用いた紙料再生システムについて一実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、ドラム式濾過装置30を縦型連続式パルパー1に組み合わせた紙料再生システムを示したが、ドラム式濾過装置30を連続式パルパーとして別のものや、更にはバッチ式パルパーと組み合わせるようにした紙料再生システムであってもよい。いずれにしても目詰まりが生じにくく運転を停止させることなく連続運転が可能なディスク式濾過装置としての効果を奏することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】紙料再生システムの一実施形態における縦型連続式パルパーの全体構成を示した図である。
【図2】ドラム式濾過装置の一実施形態を概念的に示した側部断面図である。
【図3】ドラム式濾過装置の一実施形態を概念的に示した軸方向端面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 縦型連続式パルパー
10 縦型円筒容器
14 垂直回転軸
17 パルピングロータ
18 撹拌ロータ
30 ドラム式濾過装置
32 装置本体
33 ドラムスクリーン
34a,34b ローラ
37 スクリュウ羽根
38 撹拌バー
42 希釈撹拌槽
43 外容器
45 止水プレート
46 三角突起
47 撹拌羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙、損紙などの紙料を離解させて希釈させた紙料スラリから異物を除去するドラム式濾過装置において、
横向きの状態で回転可能に設置されたドラムスクリーンと、その横向きドラムスクリーンの低部が浸かるように希釈水を貯える希釈撹拌槽とを有し、
前記ドラムスクリーンの外側には、前記希釈撹拌槽内の流体を撹拌させるための径方向に突出した撹拌羽根が複数形成され、前記希釈撹拌槽内には、撹拌羽根によって起きる流れに変化を与えるための突起部材が前記ドラムスクリーンの軸方向に沿って形成されたものであることを特徴とするドラム式濾過装置。
【請求項2】
請求項1に記載するドラム式濾過装置において、
前記突起部材は、前記希釈撹拌槽の底部から前記ドラムスクリーンの低部に向けて上昇する流れをつくる斜面をもった三角形状の突起であることを特徴とするドラム式濾過装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載するドラム式濾過装置において、
前記ドラムスクリーンは、前記希釈撹拌槽を挟むようにして配置された複数のローラによって軸方向両端付近が支持され、当該ローラの回転を受けて回転するようにしたものであり、前記希釈撹拌槽には、前記ドラムスクリーンが通るように軸方向の側壁に切欠きが形成され、前記ドラムスクリーンには径方向に貫くようにした環状の止水プレートが一対形成され、その止水プレートが前記希釈撹拌槽を外側から挟むように側壁に摺接するようにしたものであることを特徴とするドラム式濾過装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載するドラム式濾過装置において、
前記希釈撹拌槽の外側には外容器が形成され、その外容器には前記希釈撹拌槽からオーバーフローした紙料スラリを流す排水溝及び排水口が形成されたものであることを特徴とするドラム式濾過装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載するドラム式濾過装置において、
前記ドラムスクリーンには、内側にスクリュウ羽根が連続して形成され、そのスクリュウ羽根の間には中心軸と平行に複数の撹拌バーが形成されたものであることを特徴とするドラム式濾過装置。
【請求項6】
紙料を溶液と混合撹拌して離解させることによって所定濃度の紙料スラリを作るパルパーと、その縦型連続式パルパーから取り出された紙料スラリに希釈水を加えて希釈しつつ異物を取り除くドラム式濾過装置とを有する紙料再生システムにおいて、
前記ドラム式濾過装置は、横向きの状態で回転可能に設置されたドラムスクリーンと、その横向きドラムスクリーンの低部が浸かるように希釈水を貯える希釈撹拌槽とを有し、前記ドラムスクリーンの外側には、前記希釈撹拌槽内の流体を撹拌させるための径方向に突出した撹拌羽根が複数形成され、前記希釈撹拌槽内には、撹拌羽根によって起きる流れに変化を与えるための突起部材が前記ドラムスクリーンの軸方向に沿って形成されたものであることを特徴とする紙料再生システム。
【請求項7】
請求項6に記載する紙料再生システムにおいて、
前記ドラム式濾過装置は、前記希釈撹拌槽に形成された突起部材が、前記希釈撹拌槽の底部から前記ドラムスクリーンの低部に向けて上昇する流れをつくる斜面をもった三角形状の突起であることを特徴とする紙料再生システム。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載する紙料再生システムにおいて、
前記ドラム式濾過装置は、前記ドラムスクリーンが前記希釈撹拌槽を挟むようにして配置された複数のローラによって軸方向両端付近が支持され、当該ローラの回転を受けて回転するようにしたものであり、前記希釈撹拌槽には、前記ドラムスクリーンが通るように軸方向の側壁に切欠きが形成され、前記ドラムスクリーンには径方向に貫くようにした環状の止水プレートが一対形成され、その止水プレートが前記希釈撹拌槽を外側から挟むように側壁に摺接するようにしたものであることを特徴とする紙料再生システム。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれかに記載する紙料再生システムにおいて、
前記ドラム式濾過装置は、前記希釈撹拌槽の外側に外容器が形成され、その外容器に前記希釈撹拌槽からオーバーフローした紙料スラリを流す排水溝及び排水口が形成されたものであることを特徴とする紙料再生システム。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれかに記載する紙料再生システムにおいて、
前記ドラム式濾過装置は、前記ドラムスクリーンの内側にスクリュウ羽根が連続して形成され、更にそのスクリュウ羽根の間には中心軸と平行に複数の撹拌バーが形成されたものであることを特徴とする紙料再生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−2354(P2007−2354A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−182499(P2005−182499)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】