説明

ドラム支持構造

【課題】 貯留ドラム内に収集物を収容する際に、貯留ドラムが有する送りブレードと閉塞体が有する固定ブレードとの間における鬩ぎ合いなどで貯留ドラムの後端部が浮き上がるのを効果的に阻止して、貯留ドラムの回転を安定させる。
【解決手段】 車両の車台1に回転可能に搭載される貯留ドラム2の前端が回転手段4を介して車台1に支持される一方で、貯留ドラム2の後端部21bが外周に有するドラムリング5を車台1の後端部1aにおける左右に配設のローラ6に支持させてなるドラム支持構造において、ドラムリング5の外周に一つ以上となる上方ローラ7が車台1の後端部1aにおける左右に配設のローラ6に対向するように隣接されると共に、ドラムリング5に一箇所以上でライナ8が近隣されあるいは隣接されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドラム支持構造に関し、特に、内周に螺旋状に形成の送りブレードを有して回転することで収集物たる塵芥の収容および排出を可能にする貯留ドラムを搭載する塵芥収集車におけるドラム支持構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
内周に螺旋状に形成の送りブレードを有して回転することで収集物たる塵芥の収容および排出を可能にする貯留ドラムを搭載する塵芥収集車におけるドラム支持構造としては、従来から種々の提案がある。
【0003】
その中で、たとえば、特許文献1に開示の提案は、車台に搭載する貯留ドラムをダンプさせずして支持するドラム支持構造についてであるが、貯留ドラムは、運転席裏の前端が駆動源および支持枠を介して車台に支持され、後端部が外周に連設のドラムリングを台車に配設の下方のローラに載置させて支持されている。
【0004】
それゆえ、この特許文献1に開示の提案によれば、たとえば、特開平8‐225104号公報に開示の提案のように、貯留ドラムがダンプされることもあって、貯留ドラムの後端部が旋回ベアリングの介在下に車台に立設の門形フレームに支持される場合に比較して、ドラム支持構造を簡素化し、コスト面で有利になる。
【特許文献1】特開2001‐335110号公報(明細書中の段落0014から同0017,図1,図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の提案にあっては、ドラム支持構造を簡素化して、塵芥収集車におけるコスト面を有利にする点で問題はないが、利用の実際にあって、些か不具合があると指摘される可能性がある。
【0006】
すなわち、貯留ドラムの後端部に連設のドラムリングを下方のローラで支持して貯留ドラムをダンプさせないドラム支持構造の提案にあっても、貯留ドラム内に収集物を収容する場合には、貯留ドラムの後端開口を開放可能に閉塞する閉塞体が有するインナーパイプを介して投入された収集物を貯留ドラムが有する送りブレードの旋回で奥へと送り込む。
【0007】
ところが、この送りブレードによる収集物の送り込みの際に、たとえば、貯留ドラム内に収集物が満杯状態に収容されている場合には、貯留ドラムの送りブレードと、閉塞体が有するインナーパイプの外周に連設されている固定ブレードとの間で、螺旋方向が互いに反対になるが故にいわゆる鬩ぎ合いが発現される。
【0008】
そして、この鬩ぎ合いが甚だしくなると、貯留ドラムの後端部がドラムリングを介してローラの上に載置されている状況にあるから、浮き上がる傾向になり、実際に浮き上がる場合には、貯留ドラムの回転を不安定にする危惧がある。
【0009】
この発明は、このような現状を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、コスト面の優位さを活かしながら貯留ドラムの安定した回転を保障して、その汎用性の向上を期待するのに最適となるドラム支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するために、この発明によるドラム支持構造の構成を、基本的には、車両の車台に回転可能に搭載される貯留ドラムの前端が回転手段を介して車台に支持される一方で、貯留ドラムの後端部が外周に有するドラムリングを車台の後端部における左右に配設のローラに支持させてなるドラム支持構造において、ドラムリングの外周に一つ以上となる上方ローラが車台の後端部における左右に配設のローラに対向するように隣接されると共に、ドラムリングに一箇所以上でライナが近隣されあるいは隣接されてなるとする。
【発明の効果】
【0011】
それゆえ、この発明にあっては、貯留ドラムにおける後端部の外周に配設されて車台の後端部における左右に配設のローラに支持されるドラムリングが上方ローラの外周への隣接で上記の言わば下方となる左右のローラとの間に挟持されてこのローラから離脱すること、すなわち、浮き上がることが阻止され、貯留ドラムの回転を安定させる。
【0012】
そして、この貯留ドラムが有するドラムリングには、一箇所以上でライナが近隣されあるいは隣接されるから、ドラムリングがその回転位置から貯留ドラムの軸線方向に変位し得なくなり、貯留ドラムの回転を一層安定させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるドラム支持構造は、図示するところでは、シュレッダ車に、すなわち、収集した書類をシュレッダ処理すると共にシュレッダ処理した結果物たるシュレッダ屑を収容して搬送し、搬送先でシュレッダ屑を排出する収集車に具現化される。
【0014】
そのため、このシュレッダ車は、図1に示すように、車両における車台1に回転可能に搭載される貯留ドラム2を有すると共に、この貯留ドラム2における後端開口2aを開放可能に閉塞する閉塞体3を有してなる。
【0015】
車両は、図示するところでは、走行用エンジンEを有して自走するトラックからなるが、この発明が意図するところからすると、車台1を有する限りには、トラックに限定されず、たとえば、図示しないが、トラクタなどに牽引されるトレーラからなるとしても良い。
【0016】
ただ、貯留ドラム2を回転させる回転手段4を構成する駆動源41の駆動を保障する上からは、車両が走行用エンジンEを有するトラックからなる方が有利であろう。
【0017】
貯留ドラム2は、有頭筒状に形成のドラム本体21を有し、このドラム本体21の回転軸でもある図1中に仮想線で示す貯留ドラム2の回転軸2bが車両の軸線方向に沿うとするが、この発明が意図するところからすると、図示しないが、この回転軸2bが車両の幅方向に沿うとしても良い。
【0018】
貯留ドラム2の回転軸2bを車両の軸線方向に沿わせることで、貯留ドラム2の後端開口2aをいわゆる後向きに設定でき、したがって、開閉体3の開閉作業やシュレッダ作業などを車両の横側から行わせる場合に比較して、いわゆる作業の安全性を保障し易くなる。
【0019】
一方、貯留ドラム2は、ドラム本体21の内周に螺旋状に形成されて一対となる送りブレード22を有し、この送りブレード22は、ドラム本体21が、たとえば、車両の後方側から看て、時計方向に回転されるとき、収集物たるシュレッダ屑を図中で左側となるドラム本体21内の奥側に送り込む。
【0020】
そして、このドラム本体21は、上記と反対に反時計方向に回転されるとき、収集物たるシュレッダ屑をドラム本体21の、すなわち、貯留ドラム2の後端開口2aに向けて送り出し、後端開口2aが閉塞体3の開放作動で開放されているとき、シュレッダ屑をいわゆる車外へ排出する。
【0021】
ところで、貯留ドラム2の回転を保障する態勢についてだが、図示するところでは、貯留ドラム2を構成するドラム本体21の前端を形成する頭部21aが回転手段4を介して車台1に支持される一方で、同じくドラム本体21の後端部21bが外周に一体に有するドラムリング5を車台1の後端部1aにおける左右に配設のローラ6(図2参照)に載置される状態に支持されている。
【0022】
回転手段4は、前記した駆動源41を有すると共に、この駆動源41を支える支持機構42を有し、この支持機構42は、詳しくは図示しないが、貯留ドラム2におけるドラム本体21の径が変更されることで、回転軸2bの位置が、すなわち、駆動源41の位置が上下されることに対応できるように形成されている。
【0023】
なお、駆動源41としては、駆動力を保障する上からは、油圧ポンプ41aで駆動される油圧モータが採用されるのが良いが、近年のエコ思想からは、電動モータが採用されるとしても良い。
【0024】
ドラムリング5は、ドラム本体21に比較して高い機械的強度を有する強度部材とされ、文字通りリング状に形成されて(図2参照)、ドラム本体21における後端部21bの外周に一体的に設けられている。
【0025】
それゆえ、このドラムリング5にあっては、ドラム本体21の後端部21bを補強しながら、このドラムリング5が位置決められるところにドラム本体21の後端部21bを位置決めることになる。
【0026】
このことからすると、この発明にあって、ドラムリング5の回転を安定させることでドラム本体21の、すなわち、貯留ドラム2の回転を安定させることが可能になる。
【0027】
そこで、この発明にあっては、このドラムリング5が前記した車台1の後端部1aにおける左右に配設のローラ6に載置される状態に支持されることに鑑み、この態勢を恒久的に維持し得るように構成することで、結果的に貯留ドラム2の回転を安定させ得ることに着目した。
【0028】
そして、その方策として、基本的には、図2に示すように、ドラムリング5の外周に一つ以上となる、すなわち、図示するところでは、二つの上方ローラ7が上記のローラ6、すなわち、車台1の後端部1aにおける左右に配設の言わば下方のローラ6に対向するように隣接されてなるとする。
【0029】
このとき、上方ローラ7は、その作動するところを鑑みると、ドラムリング5の回転中心を通過する水平線位置より上方に位置決められることで、後述するように、下方のローラ6との間にドラムリング5を挟み込む態勢を具現化できる。
【0030】
少し説明すると、図2に示すように、車台1の後端部1aにおける左右に配設の下方のローラ6は、詳しくは図示しないが、車台1の後端部1a上に固着されたブラケットなどに回動可能に保持されている(図6参照)。
【0031】
そして、この下方のローラ6は、ドラムリング5がドラム本体21の回転で回転するときに従動するもので、ドラムリング5の外周に対する接触を保障するために、図示しないが、ドラムリング5の外周における幅より大きい幅の外周を有している。
【0032】
このように、下方のローラ6における外周の幅をドラムリング5における外周の幅より大きく設定することで、ドラム本体21に連設されるドラムリング5の位置がドラム本体21の軸線方向にいわゆる許容誤差の範囲で異なることになってもこれに対応できる。
【0033】
このことからすると、後述する上方ローラ7についても、外周の幅が下方のローラ6と同様に構成されて、ドラムリング5の外周に対する接触が保障されるようにするのが良い。
【0034】
なお、ドラムリング5の外周の幅を各ローラ6,7の外周の幅より大きくしても、両者間における接触を保障し得るが、この場合には、ドラムリング5の重量をいたずらに大きくすることになり、好ましくない。
【0035】
以上からすると、前記した特許文献1に開示されているように、上方ローラ7が配設されずして、貯留ドラム2を構成するドラム本体21が、ドラムリング5を介してであるが、下方のローラ6で支持されるだけの場合には、ドラム本体21の後端部21bが何らかの理由で、たとえば、上昇するようになるとき、これを阻止し得ないことになる。
【0036】
すなわち、前記したように、貯留ドラム2をダンプさせない場合の収集車にあっては、貯留ドラム2を構成するドラム本体21の後端部21bが有するドラムリング5を車台1に保持された下方のローラ6に支持させるだけで足りる。
【0037】
しかしながら、同じく前記したように、貯留ドラム2内、すなわち、ドラム本体21内に収集物を収容する場合には、ドラム本体21が有する送りブレード22と、貯留ドラム2の後端開口2aを閉塞する閉塞体3が有するインナーパイプ31(図1参照)の外周に配設の固定ブレード32(図1参照)との間で鬩ぎ合いが発現されることがある。
【0038】
特に、収集物が書類をシュレッダ処理した後のシュレッダ屑となる場合には、薄くて細かいと言うシュレッダ屑の特性もあって、送りブレード22で容易に移送されない傾向がある。
【0039】
その上、閉塞体3側の固定ブレード32は、送りブレード22と逆向きの螺旋状に形成されているから、ドラム本体21内にシュレッダ屑が満杯状態に送り込まれている場合には、この固定ブレード32と、充分にシュレッダ屑を奥側に移送できない送りブレード22との間でシュレッダ屑を巡って著しい鬩ぎ合い現象を発現する。
【0040】
その結果、ドラム本体21は、両ブレード22,32間におけるの鬩ぎ合いの結果としての逃げを後端部21bにおける自らの上昇と言う形に変換するので、この発明にあっては、強度部材たるドラムリング5を上方ローラ7の配設という方策で下方のローラ6との間に言わばあらかじめ押さえ込むとする。
【0041】
それゆえ、この発明にあっては、貯留ドラム2におけるドラム本体21がドラムリング5を介して下方のローラ6と上方ローラ7との間に挟み込まれる状況になるから、ドラム本体21、すなわち、貯留ドラム2の回転が安定される。
【0042】
以上からすると、この発明にあっては、上方ローラ7を設けることに意義があるから、原理的には、その個数については、一つ以上で良く、したがって、図示する実施形態のように、二つ以上に限定されない。
【0043】
ただ、円形となるドラムリング5の外周に同じく円形となる一つの上方ローラ7を隣接させて下方となる二つのローラ6上にドラムリング5を挟み込むようにして安定させるのは容易ではない。
【0044】
そして、実際には、二つ以上の上方ローラ7をドラムリング5の外周に隣接させることで、このドラムリング5を下方の二つのローラ6との間に挟みこむようにして安定させるのが容易となる。
【0045】
そしてまた、この発明にあっては、貯留ドラム2の回転がドラムリング5への上方ローラ7の隣接で安定されるから、この上方ローラ7を保持する保持手段に貯留ドラム2の後端開口2aを開放可能に閉塞する閉塞体3を開閉動作可能に連繋させることが可能になる。
【0046】
ところで、前記したところであるが、この発明にあっては、上方ローラ7の配設で強度部材たるドラムリング5を下方のローラ6との間に押さえ込み、貯留ドラム2の回転を安定させることを意図している。
【0047】
このことからすると、上方ローラ7は、結果的に、言わば固定的に配設されて、その配設場所から移動しない態勢下にドラムリング5の外周に隣接すれば良く、したがって、この上方ローラ7を固定的に配設させる保持手段については任意の構成を選択できる。
【0048】
このような前提の下に、保持手段の実施形態についてみると、図3に示すところでは、ドラム本体21の軸線を横切る方向とされながらドラムリング5の上方に位置決められて上方ローラ7を両端部に保持する梁材71と、この梁材71を車台1の後端部1a側に牽引する縦材72とを有してなる。
【0049】
このとき、梁材71は、剛体からなるが、縦材72については、梁材71を車台1側に向けて牽引する構造に形成される限りには任意の構成とされて良く、図3に示すところでは、剛体たる柱状体からなり、下半側が上下にヒンジ72a,72bを有するリンク構造を呈している。
【0050】
この柱状体からなる縦材72が下半側にリンク構造を有することで、上方ローラ7の位置と車台1側の連結部とに間にドラム本体21の軸線方向に位置ずれが発現される場合にこれに対処できる。
【0051】
一方、縦材72については、梁材71を車台1側に向けて牽引する構造である以上、必ずしも剛体からなるとしなくても良く、たとえば、図4に示すように、縦材73が剛体から比較すれば可撓体となる鋼索やチェーンなどからなるとしても良い。
【0052】
この縦材73が可撓体となる鋼索やチェーンなどからなる場合には、ドラムリング5が真円に形成されず、したがって、ドラムリング5の回転に伴って上方ローラ7が梁材71と共にドラムリング5上でいわゆる変動するとき、これに対処できる。
【0053】
それゆえ、上記した実施形態の保持手段による場合には、二つの上方ローラ7を保持する構成が梁材71および縦材72,73を有してなるから、構成が簡素化され、いたずらな部品点数の増大を招来せず、シュレッダ車たる収集車における製造コストの高騰化を回避できる。
【0054】
ちなみに、上記した図3に示す保持手段は、前記した特開平8‐225104号公報に開示されている門形フレームに外観上類似するが、その機能するところからすると、全く別個のものであることが解る。
【0055】
すなわち、この発明では、上方ローラ7をドラムリング5に隣接させる状態を維持するために保持手段が設けられ、たまたまこの保持手段が上記の門形フレームに外観上類似するが、この保持手段は、上方ローラ7をドラムリング5の外周に隣接させた状態を維持するように機能することを主眼にする。
【0056】
このことから、保持手段にあって、縦材72は、前述したように、これが柱状体でなく、鋼索やチェーンなどからなるとしても良いとし、このことは、後述する図6および図7に示すフレーム74にあっても同様である。
【0057】
一方、この発明のドラム支持構造にあっては、貯留ドラム2が有するドラムリング5には、一箇所以上でライナ8が近隣されあるいは隣接されて、ドラムリング5の回転を保障しながら、その回転位置から貯留ドラム2の軸線方向に変位し得ないようにしている。
【0058】
すなわち、図5(A)に示すように、ライナ8は、原理的には、図中で左右方向となる貯留ドラム2の軸線方向に沿ってドラムリング5を挟持する態勢に配設されると共に、図5(B)に示すように、ドラムリングの軸線方向に沿ういわゆる左右にストッパ81が近隣もしくは隣接されて、このライナ8がドラムリング5に追随してドラムリング5の回転方向に位置ずれしないように配慮している。
【0059】
このライナ8がドラムリング5を挟持する態勢に配設されるとき、図5(A)中の左側に示すように、ライナ8がドラムリング5から離れても良く、また、図5(A)中の右側に示すように、ライナ8がドラムリング5に接触しても良い。
【0060】
そして、ストッパ81がライナ8の位置ずれを規制するとき、図5(B)中の左側に示すように、ストッパ81がライナ8から離れても良く、また、図5(B)中の右側に示すように、ストッパ81がライナ8に接触しても良い。
【0061】
ところで、ライナ8は、適宜の手段で所定位置に位置決められれば良く、その限りでは、ライナ8を保持する保持手段については、任意に設定できるが、図示するところでは、図6に示すように、保持手段たるフレーム74に保持されてなるとしている。
【0062】
少し説明すると、先ず、フレーム74は、前記した図3に示す梁材71に相当する梁部74aと、縦材72に相当する柱部74bを有してなり、図示するところでは、このフレーム74に前記した上方ローラ7を併せて保持させている。
【0063】
このとき、このフレーム74は、所定の機能を果す限りには任意の形状に形成されて良く、図示すところでは、梁部74aにおける上端角部を傾斜部74cとしているが、これに代えて、図示しないが、この傾斜部74cを有しないように形成されても良い。
【0064】
また、図示するところにあって、梁部74aおよび柱部74bは、それぞれ剛体からなるが、柱部74bについては、下半側が上下にヒンジ74d,74eを有するリンク構造に形成されている。
【0065】
このように、柱部74bが下半側をリンク構造にすることで、上方ローラ7の位置と車台1側の連結部とに間に図6中で左右方向となるドラム本体21の軸線方向に位置ずれが発現される場合にこれに対処できる。
【0066】
ちなみに、上記のドラム本体21の位置ずれに対処する観点からすれば、柱部74bが上記した剛体でなく、たとえば、前記した図4に示すように、可撓体たる鋼索やチェーンからなるとしても良い。
【0067】
一方、ライナ8は、図示するところでは、ホルダ82に保持されて配設されるとしており、このホルダ82は、断面コ字状にするアングル材からなり、ストッパ81を保持しながら適宜の手段で上記した梁部74aに配設されている。
【0068】
このとき、ホルダ82は、梁部74aに分離可能に配設されても良く、このホルダ82が分離可能に配設される場合には、ライナ8およびストッパ81の交換を含めたメンテを可能にする利点がある。
【0069】
また、ライナ8が配設される位置についてだが、上記した梁部74aの他に、左右の柱部74bにそれぞれ配設されるとしても良く、また、図示しないが、梁部74aの左右となる傾斜部74cにそれぞれ配設されるとしても良く、この場合には、複数のライナ8がドラムリング5に隣接などされるから、ドラムリング5がドラム本体21の軸線方向に変位することを確実に阻止できる。
【0070】
前記したように、この発明にあっては、強度部材とされるドラムリング5が下方のローラ6に支持されながら上方ローラ7の隣接およびライナ8の併設によってその回転位置に安定されるから、前記した図1に示す実施形態に戻って、この回転が安定されるドラムリング5に閉塞体3を保持させることが可能になる。
【0071】
このとき、閉塞体3は、図7にも示すように、シュレッダ装置Sを有し、したがって、収集車にあっては、このシュレッダ装置Sで収集した書類をシュレッダ処理すると共に、シュレッダ処理された結果のシュレッダ屑を閉塞体3に形成の投入口を介して内側に有するインナーパイプ31の内側に供給し、そこからドラム本体21内に落下させるように供給する。
【0072】
そして、閉塞体3は、この発明にあって、上方ローラ7を保持する保持手段に開閉動作可能に連繋されてなるとし、保持手段は、図7に示すところでは、前記したフレーム74からなる。
【0073】
それゆえ、この図7に示すところを説明するについて、フレーム74については、その構成が前記したところと同一となるので、図中に同一の符号を付するのみとして、その詳しい説明は省略する。
【0074】
閉塞体3は、保持手段たるフレーム74に保持されるのにあって、ヒンジ構造9およびシリンダ構造10の配在下にフレーム74に連繋されてなり、シリンダ構造10を構成するシリンダ11の伸長で、ヒンジ構造9を構成するピン91を回転中心にして、図中に矢印aで示す方向に回動する。
【0075】
ちなみに、ヒンジ構造9は、図7に示すところでは、一方が閉塞体3に連結されるのに対して、他方が上記のフレーム74における梁部74a、すなわち、傾斜部74cに連結されるが、このヒンジ構造9が機能するところからすれば、ヒンジ構造9の他方は、梁部74aの言わば水平部に連結されても良い。
【0076】
そして、シリンダ構造10を構成するシリンダ11は、その基端側が上記の傾斜部74cに連結され、先端側が閉塞体3に連結されるが、このシリンダ構造10の機能するところからすれば、シリンダ11の基端側が上記の梁部74aの水平部に連結されても良い。
【0077】
前記したところでは、この発明のドラム支持構造がシュレッダ車、すなわち、収集した書類をシュレッダ処理すると共にシュレッダ処理した結果物たるシュレッダ屑を収容して搬送し、搬送先でシュレッダ屑を排出する収集車に具現化される場合を例にして説明したが、この発明が意図するところからすると、この発明の具現化に向くのは、シュレッダ車に限定されず、凡そ塵芥を収集して搬送する収集車であれば、その名称の如何に拘わりなく具現化できる。
【0078】
また、前記したところでは、貯留ドラム2の後端開口2aを開放可能に閉塞する閉塞体3がシュレッダ装置を有するとしたが、この発明が意図するところからすると、シュレッダ装置を有せず、シュレッダ屑の投入口を有するのみとされても良いことはもちろんである。
【0079】
そして、前記したところでは、貯留ドラム2が車台1上に言わば剥き出しに搭載されているとして説明したが、この種の収集車にあっては、多くの場合に、カバー類で覆われていることを勘案すると、上記の貯留ドラム2がカバー類で覆われるとしても良く、その場合に、カバー類が梁材の一部とされても良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明によるドラム支持構造を具現化するシュレッダ車を示す概略図である。
【図2】車台側のローラに支持されたドラムリングに上方ローラが隣接された状態を原理的に示す図である。
【図3】上方ローラの保持手段の一実施形態を原理的に示す図である。
【図4】上方ローラの保持手段の他の実施形態を図3と同様に示す図である。
【図5】(A)は、ドラムリングにライナが隣設などされる状態を原理的に示す図であり、(B)は、ライナにストッパが隣設などされる状体を原理的に示す図である。
【図6】上方ローラおよびライナを保持する保持手段たるフレームを車両の後方側から看た部分拡大図である。
【図7】貯留ドラムの後端開口を閉塞体で閉塞している状態を側方から看た部分拡大図である。
【符号の説明】
【0081】
1 車台
1a 後端部
2 貯留ドラム
2a 後端開口
2b 回転軸
3 閉塞体
4 回転手段
5 ドラムリング
6 ローラ
7 上方ローラ
8 ライナ
9 ヒンジ構造
10 シリンダ構造
21 ドラム本体
21b 後端部
22 送りブレード
31 インナーパイプ
32 固定ブレード
71 保持手段を構成する梁材
72,73 保持手段を構成する縦材
74 保持手段たるフレーム
74a 梁部
74b 柱部
81 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車台に回転可能に搭載される貯留ドラムの前端が回転手段を介して車台に支持される一方で、貯留ドラムの後端部が外周に有するドラムリングを車台の後端部における左右に配設のローラに支持させてなるドラム支持構造において、ドラムリングの外周に一つ以上となる上方ローラが車台の後端部における左右に配設のローラに対向するように隣接されると共に、ドラムリングに一箇所以上でライナが近隣されあるいは隣接されてなることを特徴とするドラム支持構造。
【請求項2】
上方ローラがドラムリングの回転中心を通過する水平線位置より上方に位置決められてなる請求項1に記載のドラム支持構造。
【請求項3】
ライナが貯留ドラムの軸線方向に沿ってドラムリングを挟持する態勢に配設されてなる請求項1または請求項2に記載のドラム支持構造。
【請求項4】
上方ローラが保持手段に保持されてなる請求項1請求項2または請求項3に記載のドラム支持構造。
【請求項5】
ライナが上方ローラを保持する保持手段に保持されてなる請求項1、請求項2または請求項3に記載のドラム支持構造。
【請求項6】
保持手段が貯留ドラムの後端開口を開放可能に閉塞する閉塞体を連繋させてなる請求項4または請求項5に記載のドラム支持構造。
【請求項7】
保持手段がドラムリングの上方に配設される梁材を有すると共に、この梁材を車台に連結する縦材を有してなる請求項4、請求項5または請求項6に記載のドラム支持構造。
【請求項8】
保持手段における縦材が柱状体からなりながら下半側にリンク構造を有してなる請求項7に記載のドラム支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−196728(P2009−196728A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37412(P2008−37412)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】