説明

ドリップバッグ

【課題】飲料の抽出に伴う後処理の簡略化を図って、ドリップバッグ1の利用価値を向上させること。
【解決手段】袋体5の外側面に、袋体5をカップ3に懸架する一対の懸架部材9が袋体5を挟むように対向して設けられ、各懸架部材9に、カップ3の周縁に係止可能な係止爪13がそれぞれ形成され、一方の懸架部材9の下端部に、飲料の抽出後に一対の懸架部材9の立ち姿勢を底板として保持する姿勢保持部材19が設けられ、姿勢保持部材19の内側面に、飲料の抽出後に袋体5から漏出した水分を吸水する吸水シート部材21が設けられたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー等の飲料をドリップ式によりカップ内に抽出するドリップバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドリップ式のコーヒーメーカーを簡易にしたものとしてドリップバッグが広く市場に出回っており、ドリップバッグは、コーヒーをドリップ式によりカップ内に抽出するものであって、一般的なドリップバッグな構成等は、次のようになる。
【0003】
即ち、ドリップバッグは、抽出原料としてのコーヒー粉を封入する袋体を備えており、この袋体は、透水性の材料からなるものである。また、袋体は、上端側に、開放可能な注ぎ口を有している。そして、袋体の外側面には、袋体をカップに懸架する一対の懸架部材が袋体を挟むように対向して設けられており、各懸架部材には、カップの周縁に係止可能な係止爪がそれぞれ形成されている。
【0004】
従って、注ぎ口を開放した状態で、一対の懸架部材の係止爪をカップの周縁に係止することにより、一対の懸架部材によって袋体をカップに懸架して、ドリップバッグをカップにセットする。そして、注ぎ口から袋体内へお湯を注ぐことにより、コーヒーをカップ内に抽出することができる。
【0005】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1から特許文献3に示すものがある。
【特許文献1】特開2004−230143号公報
【特許文献2】特開2004−208906号公報
【特許文献3】実開平6−62939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、コーヒーの抽出後に、ドリップバッグをカップの近傍の皿等に一時的に置いたり又はドリップバッグをゴミ箱等に捨てたりする場合に、袋体に残った水分が袋体から漏出して、皿、床等に付着することになる。そのため、コーヒーの抽出に伴う後処理が煩雑化して、ドリップバッグの利用価値を十分に高めることができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成のドリップバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴(請求項1に記載の発明の特徴)は、飲料をドリップ式によりカップ内に抽出するドリップバッグにおいて、上端側に開放可能な注ぎ口を有し、透水性の材料により構成され、抽出原料を封入する袋体と、前記袋体の外側面に前記袋体を挟むように対向して設けられ、前記カップの周縁に係止可能な係止爪がそれぞれ形成され、前記袋体を前記カップに懸架する一対の懸架部材と、一方の前記懸架部材の下端部に設けられ、前記飲料の抽出後に一対の前記懸架部材の立ち姿勢を底板として保持する姿勢保持部材と、前記姿勢保持部材の内側面に設けられ、前記飲料の抽出後に前記袋体から漏出した水分を吸水する吸水シート部材と、を備えたことを要旨とする。
【0009】
第1の特徴によると、前記注ぎ口を開放した状態で、一対の前記懸架部材の前記係止爪を前記カップの周縁に係止することにより、前記懸架部材によって前記袋体を前記カップに懸架して、前記ドリップバッグを前記カップにセットする。そして、前記注ぎ口から前記袋体内へお湯を注ぐことにより、前記飲料を前記カップ内に抽出することができる。
【0010】
前記飲料の抽出後に、一対の前記懸架部材の前記係止爪による係止状態を解除して、前記ドリップバッグを前記カップから取外す。そして、前記姿勢保持部材によって一対の前記懸架部材の立ち姿勢を保持することにより、前記袋体から水分を迅速に漏出させつつ、漏出した水分を落下させて、前記吸水シート部材に吸水させる。これにより、前記ドリップバッグを前記カップの近傍の皿等に一時的に置いたり又は前記ドリップバッグをゴミ箱等に捨てたりする場合に、前記袋体に残った水分が前記袋体から漏出して、皿、床等に付着することを十分に抑えることができる。
【0011】
本発明の第2の特徴(請求項2に記載の発明の特徴)は、第1の特徴に加えて、前記姿勢保持部材の先端部が他方の前記懸架部材の下端部に係止可能になっていることを要旨とする。
【0012】
本発明の第3の特徴(請求項3に記載の発明の特徴)は、第1の特徴又は第2の特徴に加えて、前記吸水シート部材の輪郭縁に接着部が熱圧着によって形成され、前記接着部が前記吸水シート部材に吸水した水分の流出を阻止できるようになっていることを要旨とする。
【0013】
第3の特徴によると、前記接着部が前記吸水シート部材に吸水した水分の流出を阻止できるようになっているため、前記ドリップバッグを前記カップの近傍の皿等に一時的に置いたり又は前記ドリップバッグをゴミ箱等に捨てたりする場合に、前記袋体に残った水分が前記袋体から漏出して、皿、床等に付着することを確実に防止できる。
【0014】
本発明の第4の特徴(請求項4に記載の発明の特徴は)は、第1の特徴から第3の特徴のうちのいずれかの特徴に加えて、前記吸水シート部材は、不織布シートと、該不織布シートを両側から挟むように設けられたチタンを含有の一対のポリエチレンシートとからなることを要旨とする。
【0015】
第4の特徴によると、前記吸水シート部材が前記不織布シートの他にチタンを含有の一対の前記ポリエチレンシートからなるため、前記吸水シート部材の吸水性を十分に確保しつつ、吸水した水分による汚れを目立たなくすることができる。
【0016】
本発明の第5の特徴(請求項5に記載の発明の特徴)は、第1の特徴から第4の特徴のうちのいずれかの特徴に加えて、前記抽出原料は、コーヒー粉又は茶葉であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1から請求項5のうちのいずれかの請求項に記載の発明によれば、前記ドリップバッグを前記カップの近傍の皿等に一時的に置いたり又は前記ドリップバッグをゴミ箱等に捨てたりする場合に、前記袋体に残った水分が前記袋体から漏出して、皿、床等に付着することを十分に抑えることができるため、前記飲料の抽出に伴う後処理の簡略化を図って、前記ドリップバッグの利用価値を十分に向上させることができる。特に、前記袋体から水分を迅速に漏出させつつ、漏出した水分を前記吸水シート部材に吸水させることができるため、前記飲料を抽出してから前記後処理を開始するまでの時間を短くでき、前述の効果を更に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態について図1から図5を参照して説明する。
【0019】
ここで、図1及び図2は、本発明の実施形態に係るドリップバッグの斜視図、図3は、本発明の実施形態に係るドリップバッグの展開図、図4は、本発明に実施形態に係るドリップバッグをカップにセットした状態を示す斜視図、図5は、コーヒーの抽出後における本発明の実施形態に係るドリップバッグの斜視図である。
【0020】
図1から図3に示すように、本発明の実施形態に係るドリップバッグ1は、コーヒー(飲料の一例)をドリップ式によりカップ3内に抽出するものであって、抽出原料としてのコーヒー粉Mを封入する袋体5を備えており、この袋体5は、透水性の不織布又は不織紙等からなるものである。また、袋体5は、上端側に、開放可能な注ぎ口7を有している。
【0021】
袋体5の外側面には、袋体5をカップ3に懸架する一対の懸架部材9が袋体5を挟むように対向して設けられており、一対の懸架部材9は、複数の連結片11により一体的に連結されてあって、一対の懸架部材9及び複数の連結片11は、紙又はプラスチックシートからなるものである。また、各懸架部材9の中央部には、カップ3の周縁に係止可能な係止爪13がそれぞれ形成されている。更に、各懸架部材9における係止爪13の上側には、上部開口部15がそれぞれ形成されており、各懸架部材9における係止爪13の下側には、下部開口部17がそれぞれ形成されている。そして、一対の懸架部材9を開くと、袋体5の注ぎ口7が開放されるようになっている。
【0022】
一方の懸架部材9の下端部には、コーヒーの抽出後に一対の懸架部材9の立ち姿勢を底板として保持する姿勢保持部材19が一体に形成されており、この姿勢保持部材19は、一対の懸架部材9及び複数の連結片11と同様に、紙又はプラスチックシートからなるものである。また、姿勢保持部材19は、基端側に、折り曲げ可能な第1折り曲げ稜19aを有してあって、先端側に、折り曲げ可能な第2折り曲げ稜19bを有している。更に、姿勢保持部材19の先端部(第2折り曲げ稜19bよりも先端側部分)は、他方の懸架部材9の下端部に係止可能になっている。
【0023】
姿勢保持部材19の内側面には、コーヒーの抽出後に袋体5から漏出した水分を吸水する吸水シート部材21が設けられており、この吸水シート部材21は、不織布シートと、不織布シートを両側から挟むように設けられたチタンを含有の一対のポリエチレンシートとからなるものである。また、吸水シート部材21の輪郭縁には、接着部23が熱圧着によって形成されており、接着部23は、吸水シート部材21に吸水した水分の流出を阻止できるようになっている。なお、接着部23の熱接着には、ポリプロピレン樹脂が用いられている。
【0024】
次に、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0025】
一対の懸架部材9を開くことにより、袋体5の注ぎ口7を開放する。次に、図4に示すように、注ぎ口7を開放した状態で、一対の懸架部材9の係止爪13を周縁に係止することにより、一対の懸架部材9によって袋体5をカップ3に懸架して、ドリップバッグ1をカップ3にセットする。そして、注ぎ口7から袋体5内へお湯を注ぐことにより、コーヒーをカップ3内に抽出することができる。
【0026】
コーヒーの抽出後に、一対の懸架部材9の係止爪13による係止状態を解除して、ドリップバッグ1をカップ3から取外す。そして、図5に示すように、姿勢保持部材19の第1折り曲げ稜19a及び第2折り曲げ稜19bを折り曲げた状態で、姿勢保持部材19の先端部を他方の懸架部材9の下端部に係止させて、姿勢保持部材19によって一対の懸架部材9の立ち姿勢を保持することにより、袋体5から水分を迅速に漏出させつつ、漏出した水分を落下させて、吸水シート部材21に吸水させる。これにより、接着部23が吸水シート部材21に吸水した水分の流出を阻止することもあって、ドリップバッグ1をカップ3の近傍の皿等に一時的に置いたり又はドリップバッグ1をゴミ箱等に捨てたりする場合に、袋体5に残った水分が袋体5から漏出して、皿、床等に付着することを確実に防止することができる。
【0027】
また、吸水シート部材21が不織布シートの他にチタンを含有の一対のポリエチレンシートからなるため、吸水シート部材21の吸水性を十分に確保しつつ、吸水した水分による汚れを目立たなくすることができる。
【0028】
以上の如き、本発明の実施形態によれば、ドリップバッグ1をカップの近傍の皿等に一時的に置いたり又はドリップバッグ1をゴミ箱等に捨てたりする場合に、袋体5に残った水分が袋体5から漏出して、皿、床等に付着することを確実に防止できるため、コーヒーの抽出に伴う後処理の簡略化を図って、ドリップバッグ1の利用価値を向上させることができる。特に、袋体5から水分を迅速に漏出させつつ、漏出した水分を吸水シート部材21に吸水させることができるため、コーヒーを抽出してから前記後処理を開始するまでの時間を短くでき、前述の効果を更に高めることができる。
【0029】
また、吸水シート部材21の吸水性を十分に確保しつつ、吸水した水分による汚れを目立たなくすることができるため、コーヒーの抽出後におけるドリップバッグ1の外観品質を向上させることができる。
【0030】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、例えば袋体5に封入する飲料原料として、コーヒー粉の他に、紅茶葉、日本茶等の茶葉を用いる等、その他、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係るドリップバッグの斜視図であって、一対の懸架部材が開いた状態を示している。
【図2】本発明の実施形態に係るドリップバッグの斜視図であって、一対の懸架部材が閉じた状態を示している。
【図3】本発明の実施形態に係るドリップバッグの展開図である。
【図4】本発明に実施形態に係るドリップバッグをカップにセットした状態を示す斜視図である。
【図5】コーヒーの抽出後における本発明の実施形態に係るドリップバッグの斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
M コーヒー粉
1 ドリップバッグ
3 カップ
5 袋体
7 注ぎ口
9 懸架部材
11 連結片
13 係止爪
15 上部開口部
17 下部開口部
19 姿勢保持部材
19a 第1折り曲げ稜
19b 第2折り曲げ稜
21 吸水シート部材
23 接着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料をドリップ式によりカップ内に抽出するドリップバッグにおいて、
上端側に開放可能な注ぎ口を有し、透水性の材料により構成され、抽出原料を封入する袋体と、
前記袋体の外側面に前記袋体を挟むように対向して設けられ、前記カップの周縁に係止可能な係止爪がそれぞれ形成され、前記袋体を前記カップに懸架する一対の懸架部材と、
一方の前記懸架部材の下端部に設けられ、前記飲料の抽出後に一対の前記懸架部材の立ち姿勢を底板として保持する姿勢保持部材と、
前記姿勢保持部材の内側面に設けられ、前記飲料の抽出後に前記袋体から漏出した水分を吸水する吸水シート部材と、
を備えたことを特徴とするドリップバッグ。
【請求項2】
前記姿勢保持部材の先端部が他方の前記懸架部材の下端部に係止可能になっていることを特徴とする請求項1に記載のドリップバッグ。
【請求項3】
前記吸水シート部材の輪郭縁に接着部が熱圧着によって形成され、前記接着部が前記吸水シート部材に吸水した水分の流出を阻止できるようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のドリップバッグ。
【請求項4】
前記吸水シート部材は、不織布シートと、該不織布シートを両側から挟むように設けられたチタンを含有の一対のポリエチレンシートとからなることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれかの請求項に記載のドリップバッグ。
【請求項5】
前記抽出原料は、コーヒー粉又は茶葉であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載のドリップバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−77935(P2009−77935A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249594(P2007−249594)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(597075199)株式会社 陶 和 (6)
【Fターム(参考)】