説明

ドレイン排水具

【課題】冬季に潜熱回収型給湯装置において生成されたドレインの排水用途に使用した際に、ドレイン用流路内に凍結が生じる虞を少なくし、凍結に起因する詰まりを生じ難くすることが可能なドレイン排水具を提供する。
【解決手段】内部にドレイン用流路18が形成された扁平状のドレインガイド1を備えており、潜熱回収型給湯装置において生成されたドレインの排水に利用されるドレイン排水具Aであって、ドレインガイド1は、このドレインガイド1よりも熱伝導率が高く、かつ主要部10の内側に設けられている補助層11を有しており、かつドレイン用流路18を囲む壁面18aの全体または一部は、補助層11により構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱回収型給湯装置において生成されたドレイン(凝縮水)を所望の排水箇所まで導くのに用いられるドレイン排水具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調機用のドレイン排水具の具体例として、特許文献1,2に記載されたものがある。これらの文献に記載されたドレイン排水具は、内部にドレイン用流路が形成された扁平状のドレインガイドを備えており、このドレインガイドは、たとえばマンションの共用廊下(開放廊下)の床面上に設置され、空調機から排出されたドレインを共用廊下の排水溝に導いて排水するのに利用される。このような構成によれば、共用廊下にドレインが垂れ流し状態となって、共用廊下が濡れることが防止される。また、ドレインガイドは、扁平状であるために、人の通行の妨げになることも極力防止される。
【0003】
しかしながら、前記従来のドレイン排水具は、次に述べるように、潜熱回収型給湯装置において生成されたドレインの排水用途には不向きとなって、不具合を生じる場合があった。
【0004】
すなわち、たとえば燃焼ガスから顕熱および潜熱を回収する潜熱回収型給湯装置は、潜熱回収時に燃焼ガス中の水蒸気が凝縮し、多くのドレインを発生させる。したがって、潜熱回収型給湯装置を、たとえばマンションのパイプスペースに設置した場合に、この潜熱回収型給湯装置から排出されるドレインの排水処理用途に、前記した従来のドレイン排水具を用いることが考えられる。ところが、冷暖房用の空調機においては、暖房を使用する冬季にはドレインが排出されず、または殆ど排出されないのに対し、潜熱回収型給湯装置においては、季節を問わず、給湯運転がなされる都度にドレインが排出される。このため、冬季においては、潜熱回収型給湯装置から排出されたドレインがドレイン排水具内で凍結する虞がある。
【0005】
より具体的には、前記従来のドレイン排水具は、それ全体がたとえば熱伝導性の悪い合成樹脂製とされているに過ぎない。このため、気温が低く、ドレイン排水具全体の温度も低温になっている条件下において、このドレイン排水具内にドレインが流入すると、このドレインがドレイン排水具と接触することにより冷却される。また、ドレイン排水具は、その内部に少量のドレインが流入しても容易には温度上昇しない。このため、大量のドレインが一気に流れてくる場合とは異なり、ドレイン排水具内にドレインがちょろちょろと少量ずつ間欠的に流れてくるような場合にはドレインが凍結し易くなり、凍結により詰まりを生じる。このような現象を生じたのでは、適切なドレイン排水が困難となり、潜熱回収型給湯装置に悪影響を及ぼす虞がある。
【0006】
【特許文献1】特許第2966352号公報
【特許文献2】特許第3340718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、冬季に潜熱回収型給湯装置において生成されたドレインの排水用途に使用した際に、ドレイン用流路内に凍結が生じる虞を少なくし、凍結に起因する詰まりを生じ難くすることが可能なドレイン排水具を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供されるドレイン排水具は、内部にドレイン用流路が形成された扁平状のドレインガイドを備えており、潜熱回収型給湯装置において生成されたドレインの排水に利用されるドレイン排水具であって、前記ドレインガイドは、このドレインガイドの主要部よりも熱伝導率が高く、かつ前記主要部の内側に設けられた補助層を有しており、かつ前記ドレイン用流路を囲む壁面の全体または一部は、前記補助層により構成されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、ドレイン用流路内にドレインが流入して通過する際に、このドレインは補助層に接触する。この補助層は、熱伝導率が高いために、ドレインが接触したときには、このドレインの熱を吸収して迅速に温度上昇し、かつこの熱を蓄える蓄熱層として機能する。また、補助層は、この補助層よりも熱伝導率が低いドレインガイドの主要部の内側に設けられているために、前記主要部は、補助層から外部への放熱を防止する役割を果たすこととなって、補助層が蓄熱層として機能することがより促進される。このため、冬季の低温雰囲気下において、ドレイン用流路にドレインがちょろちょろと少量ずつ間欠的に流れてくるような場合であっても、このドレインが凍結し難くなる。その結果、凍結に起因する詰まりを抑制し、潜熱回収型給湯装置の運転状況に悪影響が及ぶことも好適に抑制される。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記主要部は、合成樹脂製またはゴム製であり、かつ前記補助層は、金属製のフィラを含む合成樹脂製とされ、前記ドレインガイドは、可撓性を有している。
【0012】
このような構成によれば、たとえば補助層を金属製にする場合と比較すると、補助層の形成などが容易となり、全体の製造コストを低減するのに好適となる。また、ドレインガイド全体が合成樹脂製とされて、可撓性を有していれば、このドレインガイドの設置床面の傾斜角度が途中で変化していても、この傾斜角度に対応させてドレインガイドを撓ませ、ドレインガイドの底面部を設置床面に体裁良く密着させることが可能となる。また、ドレインガイドが長尺状の場合には、未使用の際に、このドレインガイドをロール状に巻き取った状態で保管または運搬することも可能となる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記金属製のフィラは、銅であり、かつ前記ドレイン用流路を囲む壁面の略全体が前記補助層により構成され、この補助層の銅が前記ドレイン用流路内の滅菌作用を発揮するように構成されている。
【0014】
このような構成によれば、銅が本来的に有している滅菌作用を有効に利用し、ドレインガイド流路内の衛生状態を良くすることができる。また、銅は、比較的廉価でありながらも熱伝導率が高く、補助層の熱伝導率を高めるための素材として最適と考えられる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記主要部と前記補助層との間には、これらよりも熱伝導率が低い断熱層が設けられている。
【0016】
このような構成によれば、補助層からの放熱がより適切に抑制されることとなり、補助層が既述した蓄熱層として機能する効果がより高められる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ドレインガイドの一端に接続され、かつ前記潜熱回収型給湯装置のドレインホースとの連結が図られる連結具をさらに備えており、前記ドレインホースを通過したドレインが、前記連結具を介して前記ドレインガイドのドレイン用流路に導かれるように構成されている。
【0018】
このような構成によれば、ドレインホースを利用して排出されるドレインをドレインガイドのドレイン用流路に導くことを簡易な構造によって適切に行なわせることができる。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記連結具は、中空の扁平状に形成され、かつ前記ドレインガイドの一端に一部分が接続されるベース部と、このベース部から起立し、かつ上部に前記ドレインホースの接続口が形成された起立配管部と、を備えており、前記起立配管部は、この起立配管部の起立姿勢を変更可能とするフレキシブル性を有している。
【0020】
このような構成によれば、連結具のベース部とドレインガイドとを、たとえば集合住宅の共用廊下に設置し、かつ連結具の起立配管部の上部を集合住宅のパイプスペースに進入させるような態様で用いるのに好適となる。パイプスペースの前面部には、扉が設けられているのが通例であり、前記した態様の場合、起立配管部は、前記扉の下方の隙間からパイプスペース内に進入させられる。この場合、扉の下方の隙間の高さなどに対応して起立配管部の起立姿勢を変更することにより、扉の開閉時において、この扉と起立配管部とが互いに干渉しないようにすることができることとなる。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記連結具には、この連結具の内部を流通するドレインを直接または間接的に加熱可能な加熱手段と、この加熱手段から発せられた熱を前記ドレインガイドの補助層に伝達するように前記補助層に接触する伝熱部と、が設けられている。
【0022】
このような構成によれば、加熱手段によるドレイン加熱作用に加え、ドレインガイドの補助層に加熱手段からの熱が伝達する作用により、ドレインの凍結防止がより確実に図られる。ドレインが万一凍結した場合には、その解凍にも利用することができる。加熱手段が連結具に設けられていれば、歩行者によって加熱手段が踏まれる虞を少なくできるばかりか、ドレインはドレイン流れの上流領域において加熱されこととなり、凍結防止効果がより高められる(たとえば、ドレイン流れの下流域においてドレインを加熱したのでは、それよりも上流域においてドレイン温度を上昇させることができず、この上流域において凍結する虞がある)。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ドレインと接触する箇所には、ホルムアルデヒド軽減用の処理、および抗菌処理の少なくとも一方の処理が施されている。
【0024】
このような構成によれば、環境・衛生を良くするのに好ましいものとなる。
【0025】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0027】
図1〜図4は、本発明が適用されたドレイン排水具の一例を示している。図1によく表われているように、本実施形態のドレイン排水具Aは、ドレインガイド1と、連結具2とを備えている。
【0028】
ドレインガイド1は、一定幅で直線状に延びた扁平状(帯状)であり、このドレインガイド1内には、長手方向の全長域にわたってドレイン用流路18が一連に形成されている。図2によく表われているように、このドレインガイド1は、このドレインガイド1の大部分を占める主要部10と、この主要部10の内側に設けられた補助層11とを有している。
【0029】
主要部10は、たとえば塩化ビニル樹脂製であり、ドレイン用流路18を内部に有する中空状である。この主要部10の幅方向(短手方向)両側縁部10aは、幅方向中央部よりも薄肉に形成されており、ドレインガイド1の上面ができる限りなだらかとなって、床面上への設置時に歩行者などの通行の妨げにならないようにされている。
【0030】
補助層11は、主要部10よりも熱伝導率が高く、熱伝導性に優れた合成樹脂製、たとえば銅製のフィラを含有したポリプロピレンまたはポリアミド樹脂製である。銅は、それ本来の特性として、滅菌効果を発揮する。補助層11は、扁平チューブ状に形成され、かつ主要部10内に挿入されている。このことにより、本実施形態においては、実質的に補助層11の内部の全域がドレイン用流路18となっており、ドレイン用流路18を囲む壁面18aの全体が補助層11により構成されている。補助層11の底面部には、上向きに突出した複数の凸部11aが設けられているが、これらの凸部11aは、ドレインガイド1が人により踏まれて圧縮変形した際に、ドレイン用流路18が全閉状態にならないようにするためのものである。
【0031】
主要部10および補助層11がともに可撓性を有する材質とされていることにより、ドレインガイド1全体も可撓性を有している。したがって、ドレインガイド1が比較的長尺状の場合には、未使用時においてロール状に巻き取るようなことが可能である。また、設置床面が非フラット状の場合には、ドレインガイド1を設置床面に対応させて曲げた格好とし、設置床面にドレインガイド1の下面を密着させることも可能となる。好ましくは、補助層11のうち、ドレインと接触する面には、ドレイン中に含まれるホルムアルデヒド軽減用の処理が施されている。この処理は、たとえば二酸化マンガンをコーティングすることにより行なわれる。ただし、このコーティング層を補助層11の内面の全体に設けると、銅製のフィラの滅菌効果が妨げられるために、補助層11の内面にストライプ状に設けるなど、部分的に設けられている。
【0032】
図3によく表われているように、連結具2は、中空構造の扁平状に形成されたベース部20と、このベース部20から上向きに起立した起立管体部21とを有している。これらの部分は、樹脂成形性に優れる合成樹脂製であり、たとえばドレインガイド1の主要部10と同材質である。ベース部20は、ドレイン用流路18の一端開口部に差し込み可能な差し込み部20aを有しており、この差し込みによりドレインガイド1と連結具2との接続がはかられる。
【0033】
ベース部20には、ヒータHおよび複数の伝熱部3も設けられている。ヒータHは、たとえば周囲の温度に対応してオン・オフを行なう自己温度制御型の電熱式のヒータであり、ベース部20の上面上に設けられている。ドレインに対する加熱効率を高める手段として、ヒータHをベース部20内に配置させた構成としてもよい。複数の伝熱部3は、たとえば帯状の銅板を用いて構成されており、その一部は、差し込み部20aの前方に突出している。この伝熱部3は、ヒータHから発せられた熱をドレインガイド1の補助層11に伝達するための部分である。図4に示すように、連結具2をドレインガイド1に接続した際には、伝熱部3の先端部3aが補助層11に比較的広い面積で面接触するようになっている。図3にその一部が表われているように、ベース部20内の底面部にも複数の上向き凸部20bが形成されており、圧縮変形した際に内部が全閉状態とならないように配慮されている。
【0034】
起立管体部21は、潜熱回収型給湯装置(図示略)のドレインホース4を接続するための接続口21aを上部に有している。ドレインホース4から起立管体部21内に流入したドレインは、その後にベース部20内を通過してからドレインガイド1のドレイン用流路18内に流入することとなる。起立管体部21は、たとえば複数の蛇腹部21b,21c、またはこれに類する構造部を有しており、この起立管体部21を蛇腹部21b,21cにおいて折り曲げて、その起立姿勢を適宜変更可能なフレキシブル性を有している。もちろん、起立管体部21の略全体を蛇腹構造にしてもよい。なお、図4に示すように、この起立管体部21の内部にも、複数の凸部21dが設けられており、この起立管体部21が誤って圧縮された際に内部が全閉状態となることが防止されている。起立管体部21は、横幅に比較して前後方向の厚みが小さい扁平状である。好ましくは、起立管体部21の内面、およびベース部20の内面のうち、ドレインとの接触領域には、ドレインガイド1と同様に、ホルムアルデヒド軽減用の処理が施されている。さらに好ましくは、抗菌剤がコーティングされ、または練り込まれた抗菌処理も施されている。
【0035】
次に、前記したドレイン排水具Aの一使用例ならびに作用について説明する。
【0036】
図4に示すように、ドレイン排水具Aは、マンションなどの集合住宅の共用廊下の床面5上に載置されて使用される。集合住宅のパイプスペースPSには、潜熱回収型給湯装置が設置されており、ドレイン排水具Aは、前記潜熱回収型給湯装置により生成されてドレインホース4を通過してきたドレインを、共用廊下の排水溝50に導いて排水させ得るように設定される。なお、共用廊下は、排水溝50への排水が円滑に行なわれるように、パイプスペースSP側よりも排水溝50側の方が高さが低くなるように傾斜しているのが通例であり、連結具2のベース部20およびドレインガイド1も、それに対応して排水溝50側が低くなる(ただし、図面においては略水平に示されている)。
【0037】
ドレイン排水具Aを前記したように設定する場合、起立管体部21については、パイプスペースPSの扉6の下方に形成されている隙間60に通す。起立管体部21は、前後方向の厚みが小さい扁平状であるために、隙間60の上下幅が小さい場合であっても、この起立管体部21の一部を寝かせた状態とすることにより、隙間60に通し易くなる。また、起立管体部21は、蛇腹部21b,21cの部分において曲げることによって、その起立姿勢を変更できるために、扉6を開閉する際に、この扉6との干渉を生じないように、適切に隙間60内に通すことが可能である。
【0038】
一方、ドレインホース4内を通過してきたドレインは、既述したように、連結具2の内部を通過した後にドレインガイド1のドレイン用流路18内に流入する。ドレイン用流路18内をドレインが流通する際には、このドレインは補助層11に接触する。この補助層11は、熱伝導率が高いために、ドレインが接触したときには、このドレインの熱を迅速に吸収して温度上昇し、この熱を蓄える蓄熱層となる。補助層11は、この補助層11よりも熱伝導率が低い主要部10によってその周囲が囲まれているために、補助層11からドレインガイド1の外部への放熱も抑制され、補助層11の温度は低下し難くなる。冬季の低温雰囲気下において、ドレイン用流路にドレインがちょろちょろと少量ずつ間欠的に流れてくる場合、ドレインはとくに凍結し易くなるが、本実施形態のドレイン排水具Aにおいては、前記した状況の際に、補助層11が熱を保有した蓄熱層として機能するために、ドレインが凍結し難くなり、詰まりを生じないようにすることができる。なお、ドレイン用流路18内の凍結防止は、ドレインがドレイン用流路18から排水溝50に排出される迄の期間において図られればよく、ドレイン用流路18内に少量で残留するドレインについては、仮にこれが凍結しても詰まりは生じないために、このような凍結は無視することができる。
【0039】
ドレイン排水具Aの周辺雰囲気温度がかなりの低温となり、所定温度を下回った際には、ヒータHがオンとなり、ドレイン排水具Aが加熱される。ヒータHは、連結具2に設けられているものの、このヒータHから発せられた熱は、既述したように、熱伝導率の高い伝熱部3を介してドレインガイド1の補助層11にも伝達される。補助層11は、熱伝導率が高いために、この補助層11の全体が効率良く温められ、排水溝50に近い末端部分についても、充分に温度上昇させることが可能となる。したがって、外気温などが氷点下以下のかなりの低温となった場合にも、ドレイン凍結を好適に防止することが可能となる。
【0040】
一方、補助層11は、滅菌作用を発揮する銅製のフィラを含む樹脂製であるために、夏場などにおいて、ドレイン用流路18内に雑菌類が繁殖することが好適に防止され、ドレイン用流路18内を衛生の良い状態に維持することができる。とくに、補助層11は、ドレイン用流路18の全周囲を囲んでいるために、その効果をより高めることができる。また、補助層11には、ホルムアルデヒド軽減用の処理が施されているために、ホルムアルデヒド濃度が低下したドレインが排水溝50に排出されることとなり、環境衛生の面においても好ましいものとなる。連結具2にも、ホルムアルデヒド軽減用の処理や抗菌処理が施された構成とされていれば、前記したような効果が一層高められ、環境衛生を良くするのに一層好ましいものとなる。
【0041】
図5および図6は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0042】
図5に示す実施形態においては、ドレインガイド1の主要部10と補助層11との間に、これらよりも熱伝導率が低い断熱層13が設けられている。この断熱層13は、補助層11の全周囲を囲む扁平チューブ状であり、その材質は、たとえば発泡ポリスチレンである。本実施形態によれば、補助層11からドレインガイド1の外部への放熱防止効果が高められるために、補助層11がドレインの熱を吸収した後に、この補助層11が温度低下をより生じ難くなり、ドレインの凍結防止効果も高められることとなる。
【0043】
図6に示す実施形態においては、ドレインガイド1が、上下に2分割された構成であり、係合部14a,14bを介して連結されるアッパ部1Aとロア部1Bとが組み合わされることによって全体が扁平チューブ状となる。本実施形態によれば、アッパ部1Aをロア部1Bから取り外すと、ドレイン用流路18を囲んでいた補助層11の上下部を分離させて、補助層11の内面を外部に晒すことができる。したがって、この部分の清掃などを容易に行なうことが可能となる。本実施形態から理解されるように、本発明でいうドレインガイドの主要部および補助層のそれぞれは、必ずしも単一部材により構成されていなくてもよく、複数の部材が組み合わされた構成とされていてもかまわない。
【0044】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係るドレイン排水具の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0045】
ドレイン排水具の各部の具体的な材質は、前記実施形態とは異なる材質とすることができる。たとえば、ドレインガイドの主要部10や連結具2は、塩化ビニルとは別の合成樹脂製あるいはゴム製などにすることができる。ドレインガイドの補助層については、銅製のフィラに代えて、アルミニウムやアルミニウム合金などの他の金属製のフィラを用いた場合にも熱伝導率を高めることができる。フィラとして、銀を用いれば、銅の場合と同様に、抗菌効果をもたせることも可能である。また、補助層として、あるいは補助層を補助するものとして、熱伝導性の良いたとえばアルミ箔シートを用いることもできる。
【0046】
ドレインガイドは、その一端部にドレインホースを直接連結できる場合には、連結具を用いることなく使用することが可能である。したがって、本発明でいうドレイン排水具は、ドレインガイドのみでも成立し得る。
【0047】
本発明でいう加熱手段としては、電熱式のヒータに代えて、または加えて、たとえばドレインとの接触によって発熱する水和発熱体を用いた構成とすることもできる。より具体的には、水和発熱体をたとえば連結具内に配置して、通常時には、ドレインがこの水和発熱体に接触しないようにしておく。また、連結具内のドレイン流路の適所には、ドレイン凍結が生じた際にそれよりも上流側のドレインが前記ドレイン流路の外部に流出して前記水和発熱体の配置箇所に導かれるように構成しておく。このような構成によれば、ドレインが凍結を開始すると、ドレインとの接触によって水和発熱体が発熱し、この熱を利用して凍結ドレインの迅速な解凍、およびその後の凍結予防を図ることができる。加熱手段としては、潜熱回収型給湯装置によって発生される温水を利用することもできる本発明に係るドレイン排水具は、集合住宅の共用廊下以外の場所に設置して使用することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係るドレイン排水具の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図1に示すドレイン排水具の要部分解斜視図である。
【図4】図1に示すドレイン排水具の設置使用状態の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の他の例を示す断面図である。
【図6】本発明の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0049】
A ドレイン排水具
H ヒータ(加熱手段)
1 ドレインガイド
2 連結具
3 伝熱部
4 ドレインホース
10 主要部
11 補助層
13 断熱層
18 ドレイン用流路
18a ドレイン用流路を囲む壁面
20 ベース部
20a 差し込み部
21 起立管体部
21a ドレインホースの接続口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にドレイン用流路が形成された扁平状のドレインガイドを備えており、
潜熱回収型給湯装置において生成されたドレインの排水に利用されるドレイン排水具であって、
前記ドレインガイドは、このドレインガイドの主要部よりも熱伝導率が高く、かつ前記主要部の内側に設けられた補助層を有しており、かつ前記ドレイン用流路を囲む壁面の全体または一部は、前記補助層により構成されていることを特徴とする、ドレイン排水具。
【請求項2】
請求項1に記載のドレイン排水具であって、
前記主要部は、合成樹脂製またはゴム製であり、かつ前記補助層は、金属製のフィラを含む合成樹脂製とされ、前記ドレインガイドは、可撓性を有している、ドレイン排水具。
【請求項3】
請求項2に記載のドレイン排水具であって、
前記金属製のフィラは、銅であり、かつ前記ドレイン用流路を囲む壁面の略全体が前記補助層により構成され、この補助層の銅が前記ドレイン用流路内の滅菌作用を発揮するように構成されている、ドレイン排水具。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のドレイン排水具であって、
前記主要部と前記補助層との間には、これらよりも熱伝導率が低い断熱層が設けられている、ドレイン排水具。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のドレイン排水具であって、
前記ドレインガイドの一端に接続され、かつ前記潜熱回収型給湯装置のドレインホースとの連結が図られる連結具をさらに備えており、
前記ドレインホースを通過したドレインが、前記連結具を介して前記ドレインガイドのドレイン用流路に導かれるように構成されている、ドレイン排水具。
【請求項6】
請求項5に記載のドレイン排水具であって、
前記連結具は、中空の扁平状に形成され、かつ前記ドレインガイドの一端に一部分が接続されるベース部と、このベース部から起立し、かつ上部に前記ドレインホースの接続口が形成された起立配管部と、を備えており、
前記起立配管部は、この起立配管部の起立姿勢を変更可能とするフレキシブル性を有している、ドレイン排水具。
【請求項7】
請求項5または6に記載のドレイン排水具であって、
前記連結具には、この連結具の内部を流通するドレインを直接または間接的に加熱可能な加熱手段と、この加熱手段から発せられた熱を前記ドレインガイドの補助層に伝達するように前記補助層に接触する伝熱部と、が設けられている、ドレイン排水具。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のドレイン排水具であって、
前記ドレインと接触する箇所には、ホルムアルデヒド軽減用の処理、および抗菌処理の少なくとも一方の処理が施されている、ドレイン排水具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate