ドレンアップ配管ユニット
【課題】主に、施工上の問題を少なくすると共に、保守点検や漏水試験を支障なく行い得るようにする。
【解決手段】断熱可撓管5と、断熱可撓管5の両端に対してそれぞれ予め固定された一対の継手部材(断熱継手6,7)とを一体に備え、一方の継手部材(断熱継手6)が空調装置1のドレン口1aの側に接続されると共に、他方の継手部材(断熱継手7)が、ドレン口1aよりも高い位置に設置されたドレン配管2の固定部分に接続されることにより、上方迂回部4の少なくとも一部を構成し得るようにしている。
【解決手段】断熱可撓管5と、断熱可撓管5の両端に対してそれぞれ予め固定された一対の継手部材(断熱継手6,7)とを一体に備え、一方の継手部材(断熱継手6)が空調装置1のドレン口1aの側に接続されると共に、他方の継手部材(断熱継手7)が、ドレン口1aよりも高い位置に設置されたドレン配管2の固定部分に接続されることにより、上方迂回部4の少なくとも一部を構成し得るようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドレンアップ配管ユニットに関するものである。より詳しくは、空調装置のドレン口と、ドレン配管の固定部分との間を接続するためのドレンアップ配管ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、大型の空調装置などには、内部に溜まったドレンを排出するためのドレン配管が接続されている。このドレン配管は、所要の排水勾配を有してほぼ横方向へ延びる勾配管部によって主に構成される。そして、この勾配管部と空調装置との間には、ドレン配管の一部としての上方迂回部が設けられている。この上方迂回部は、勾配管部の入口部を空調装置のドレン口よりも高い位置に持上げると共に、勾配管部から空調装置のドレン口へのドレンの逆流を防止し得るようにするためのものであり、ドレンアップ配管と称されている。
【0003】
この上方迂回部は、少なくとも、空調装置のドレン口から勾配管部の入口部よりも高い位置へ向けてほぼ上方へ延びる上行部と、上行部の上端部から勾配管部の入口部へ向けてほぼ下方へ延びる下行部とを有している。
【0004】
なお、空調装置の内部には、ドレンを強制的に排出するためのポンプが設けられている。また、上記した勾配管部と上方迂回部とは、通常、全体が固定配管として構成されると共に、結露を防止するために、その外周全体が断熱材で覆われている。
【0005】
このような構成によれば、空調装置の内部に溜まったドレンは、空調装置の内部に設けられたポンプによって強制的にドレン配管へ排出される。ドレン配管へ送出されたドレンは、ポンプの圧力により上方迂回部を乗り越えて勾配管部に到達する。勾配管部に到達したドレンは、重力によって勾配管部内を自然流下され、外部へと排出される。この際、ドレンは温度が低いため、ドレン配管を構成する勾配管部と上方迂回部との全体を断熱材で覆うことにより、ドレン配管の外周面に結露が発生することが防止される。
【0006】
なお、上記したドレン配管の上方迂回部に対して、断熱可撓管を用いることも行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3150922号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記したドレン配管には、以下のような問題があった。
【0009】
即ち、ドレン配管全体を固定配管によって構成する場合、空調装置のドレン口と勾配管部の入口部との間を接続する上方迂回部を現場で作成しなければならないため、施工に手間がかかる。また、結露防止のために勾配管部および上方迂回部の外周全体を断熱材で覆わなければならないので、施工に手間がかかる。この断熱材の施工の手間は、形状が単純な勾配管部よりも、形状が複雑な上方迂回部の方が特に問題となる。
【0010】
しかも、勾配管部および上方迂回部の施工と、これらに対する断熱材の施工とは、施工業者が異なるため、両施工を別々に分けて行うのは効率的でなく、また、両施工完了後の確認作業も複雑になる。更に、保守点検時には、断熱材を取り外したり取り付けたりしなければならないため、煩わしい。
【0011】
よって、これらの問題を少しでも軽減することが望まれている。
【0012】
そこで、特許文献1のように、上方迂回部全体を断熱可撓管を用いて構成することにより、上方迂回部を現場合せで作成する際の手間や、最も形状が複雑な上方迂回部に対する断熱材の施工を省略し得るようにすることなどが行われているが、このようにした場合、新たに以下のような問題が生じる。
【0013】
即ち、上記した断熱可撓管を使用して上方迂回部を構成する場合、コイル状などに巻き取られた(或いは、数十メートル単位で巻かれた)長尺の断熱可撓管を長めに切断して施工現場へ持ち込み、施工現場の状況に合わせて断熱可撓管を最適長さに切断したり、更に長さを微調整したりする必要があり、断熱可撓管に無駄が生じると共に、微調整の手間が生じる。
【0014】
次に、施工現場で最適長さに調整された断熱可撓管の両端と、空調装置のドレン口および勾配管部の入口部との間を、それぞれ現場で確実に接続して水漏れなどを生じないようにする必要があり、施工に手間がかかる。
【0015】
そして、断熱可撓管の両端と、空調装置のドレン口および勾配管部の入口部との接続部分については断熱材で部分的に覆う必要がある。即ち、断熱可撓管の接続部分に対する断熱材の施工の問題が解決せずに残されたままとなる。このように、断熱材の部分的な施工が残ってしまうと、上記と同様の問題に加えて、接続部分に対する断熱材の施工し忘れなどを生じる可能性がある。
【0016】
更に、ドレン配管の施工完了後には、上方迂回部を水で満たして漏水試験または満水試験を行う必要があるが、断熱可撓管の両端部を空調装置のドレン口および勾配管部の入口部へ直接接続して上方迂回部を形成する場合には、漏水試験のために上方迂回部に水を入れる手段または上方迂回部を水で満たす手段がなくなってしまう。即ち、漏水試験をうまく行うことができない。
【0017】
また、上方迂回部を断熱可撓管で構成する場合、断熱可撓管は柔軟で形状保持性が無いため、または、形状保持性が低いため、断熱可撓管の保持手段を現場で調達しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、断熱可撓管と、該断熱可撓管の両端に対してそれぞれ予め固定された一対の継手部材とを一体に備えて、一方の継手部材が空調装置のドレン口の側に接続されると共に、他方の継手部材が、前記ドレン口よりも高い位置に設置されたドレン配管の固定部分に接続されることにより、ドレンの逆流を防止可能な上方迂回部の少なくとも一部を構成し得るようにしたことを特徴としている。
請求項2の発明は、前記ドレン配管の固定部分が、前記上方迂回部の下行部を有し、前記他方の継手部材が、前記下行部の上端部に接続されることにより、ドレン口から下行部の上端部へ向かう上行部を構成し得るようにしたことを特徴としている。
請求項3の発明は、前記ドレン配管の固定部分が、前記ドレン配管の勾配管部を有し、前記他方の継手部材が、前記勾配管部の入口部に接続され、前記断熱可撓管が上方迂回形状とされることにより、ドレン口と勾配管部の入口部との間に介在される上方迂回部を構成し得るようにしたことを特徴としている。
請求項4の発明は、少なくともいずれか一つの前記継手部材が、断熱継手であることを特徴としている。
請求項5の発明は、前記一方の継手部材に、吊具を取付可能な吊具取付部を設けたことを特徴としている。
請求項6の発明は、前記一方の継手部材のドレン口への取付口の周縁部に、接着剤を塗布可能な接着剤塗布用突出部を設けたことを特徴としている。
請求項7の発明は、前記接着剤塗布用突出部に、接着剤塗布確認用切込部を設けたことを特徴としている。
請求項8の発明は、少なくともいずれか一つの前記継手部材が、内部に断熱層を有する断熱層付管に対して接続可能な断熱層付管用継手とされたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、断熱可撓管と、一対の継手部材とを予め一体化してユニット部品としておくことにより、空調装置のドレン口と、ドレン配管の固定部分との間を簡単に接続して上方迂回部の少なくとも一部を構成可能なドレンアップ配管ユニットを得ることができる。
請求項2の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、ドレンアップ配管ユニットを、上方迂回部の上行部のみを構成するものとすることにより、断熱可撓管を短くすると共に、断熱可撓管に無理な曲げなどが与えられないようにすることができるため、ドレンアップ配管ユニットを安定して設置することが可能となり、ドレンアップ配管ユニットの端部や中間部などを固定する必要をなくすことができる。
請求項3の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、ドレンアップ配管ユニットを、上方迂回部全体を構成し得るものとすることにより、上方迂回部の少なくとも一部を固定配管で作成する手間を無くすことができて、上方迂回部を容易に構成することが可能となると共に、施工の容易化を図ることが可能となる。
請求項4の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、少なくともいずれか一つの継手部材を断熱継手とすることにより、継手部材に対して部分的に断熱材を施工する手間をなくすことができる。 請求項5の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、一方の断熱継手に、吊具取付部を設けることにより、空調装置のドレン口に自己形状保持が難しい断熱可撓管が取付けられたような場合であっても、断熱可撓管を支障なく安定して吊下支持することができる。
請求項6の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、一方の継手部材のドレン口などへの取付口の周縁部に、接着剤塗布用突出部を設けたことにより、接着剤の塗布領域を増やして現場で確実に接着を行い得るようにすることができる。
請求項7の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、接着剤塗布用突出部に接着剤塗布確認用切込部を設けたことにより、接着剤塗布用突出部に塗布した接着剤が接着剤塗布確認用切込部からはみ出すことで、接着剤の塗布状況を目視確認することができる。これにより、接着剤の塗布忘れなどを防止することができる。
請求項8の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、少なくともいずれか一つの継手部材を、内部に断熱層を有する断熱層付管に対して接続可能な断熱層付管用継手としたことにより、ドレン配管全体を断熱層付管によって構成することができるようになるため、ドレン配管をそれ自体で断熱性を備えたものとして簡単且つ確実に構築することが可能となる。これにより、ドレン配管やドレンアップ配管ユニットの外部を断熱材で被覆する必要をほぼ完全に無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1にかかる空調装置およびドレン配管を示す斜視図である。
【図2】図1のドレンアップ配管ユニットを示す図である。
【図3】図2のドレンアップ配管ユニットの一方の断熱継手の斜視図である。
【図4】図3の断面図である。
【図5】図2のドレンアップ配管ユニットの他方の断熱継手の断面図である。
【図6】本発明の実施例2にかかる空調装置およびドレン配管を示す斜視図である。
【図7】図6のドレンアップユニットを示す図である。
【図8】図7のジョイント継手の分解図である。
【図9】図8の断熱ジョイントの断面図である。
【図10】吊具取付部を有する図6の一方の断熱継手の断面図である。
【図11】接着剤塗布用突出部を有する図6の一方の断熱継手の断面図である。
【図12】図11の一方の断熱継手の、接着剤塗布確認用切込部を示す部分拡大斜視図である。
【図13】本発明の実施例3にかかるドレンアップユニットの断面図である。
【図14】図13の一方の断熱継手の断面図である。
【図15】図13の断熱可撓管のの断面図である。
【図16】図13のジョイント継手の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、主に、施工上の問題を少なくすると共に、保守点検や漏水試験などを支障なく行い得る構成を備えるようにしたものである。
以下、本発明を具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
<構成>以下、構成について説明する。
図1〜図5は、この実施例1を示すものである。
【0023】
図1は、空調装置1およびドレン配管2を示す斜視図である。図に示すように、大型の空調装置1などに対し、内部に溜まったドレンを排出するためのドレン配管2が接続される。このドレン配管2は、所要の排水勾配を有してほぼ横方向へ延びる勾配管部3によって主に構成される。そして、この勾配管部3と空調装置1との間に、ドレン配管2の一部としての上方迂回部4が設けられる。
【0024】
この上方迂回部4は、勾配管部3の入口部3aを空調装置1のドレン口1aよりも高い位置に持上げると共に、勾配管部3から空調装置1のドレン口1aへのドレンの逆流を防止し得るようにするためのものであり、ドレンアップ配管と称される。このように上方迂回部4を設けるのは、大型の空調装置1が、天井面に対して取付けられると共に、勾配管部3が、天井面よりも上側に配設されることによる。なお、図では、空調装置1のドレン口1aには、ほぼ水平な短い延長管(固定管)が取り付けられ、この延長管に対して上方迂回部4を間接的に取付けるようにしているが、ドレン口1aに対して直接上方迂回部4を取付けるようにしても良い。
【0025】
上記した上方迂回部4は、少なくとも、空調装置1のドレン口1aから勾配管部3の入口部3aよりも高い位置へ向けてほぼ上方へ延びる上行部4aと、上行部4aの上端部から勾配管部3の入口部3aへ向けてほぼ下方へ延びる下行部4bとを有する。下行部4bの下端部は、エルボなどの継手部材を介して勾配管部3の入口部3aに接続されている。
【0026】
なお、空調装置1の内部には、ドレンを強制的に排出するための図示しないポンプが設けられる。この実施例では、ドレン配管2のうち、上記した勾配管部3と上方迂回部4の下行部4bとを固定配管2aとして構成した場合について図示している。
但し、特に図示しないが、勾配管部3のみを固定配管2aとすることや、勾配管部3と上方迂回部4における下行部4bの一部を固定配管2aとすることや、勾配管部3と上方迂回部4における下行部4bと上行部4aの一部とを固定配管2aとすることなども構造的には可能である。これらの場合については、特に説明しないが、この実施例を一部変形して適用することが可能である。
そして、固定配管2aは、その外周に図示しない断熱材を施工して結露防止を行わせたものとしても良い、または、固定配管2aは、従来公知の断熱層付管(積水化学工業(株) エスロンACドレンパイプ)と断熱継手とで構成して断熱材の施工を不要としたものとしても良い。この場合には、後者としている。
【0027】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0028】
(構成1−1)
図2に示すように、断熱可撓管5と、この断熱可撓管5の両端に対してそれぞれ予め固定された一対の継手部材(断熱継手6,7)とを一体に備えたドレンアップ配管ユニット8を設ける。そして、一方の継手部材(断熱継手6)が空調装置1のドレン口1aの側に接続されると共に、他方の継手部材(断熱継手7)が、ドレン口1aよりも高い位置に設置されたドレン配管2の固定部分(上記した勾配管部3や上方迂回部4の下行部4bなどの固定配管2a)に接続されることにより、ドレンの逆流を防止可能な上方迂回部4の少なくとも一部を構成し得るようにする。
【0029】
(構成1−2)
例えば、ドレン配管2の固定部分(上記した固定配管2a)が、上方迂回部4の下行部4bを有している場合に、上記した他方の継手部材(断熱継手7)が、下行部4bの上端部に接続されることにより、ドレン口1aから下行部4bの上端部へ向かう上行部4aを構成し得るようにする。
【0030】
ここで、断熱可撓管5は、断熱性と可撓性とを兼ね備えた管部材とする。この断熱可撓管5は、例えば、軟質または比較的硬質な塩化ビニール製のホースの外周を発泡ウレタンで被覆して成る二層構造の被覆ホースなどによって構成することができる。
断熱可撓管5は、例えば、ドレン口1aと、下行部4bの上端部との間を若干の余裕を有して接続可能な長さとする。この際、断熱可撓管5は、決められた一定の長さを有するものとする(長さの一定化)。即ち、予め工場で上記一定の長さに切断することにより、規格長さを有するものとする(長さの規格化)。この場合には、上行部4aに必要な長さで規格化する。また、後述するように、上方迂回部4をドレンアップ配管ユニット8のみで構成する場合には、断熱可撓管5に、上方迂回部4全体を構成するのに必要な長さの規格を設けても良い。なお、上記した規格長さは、一種類に限らず、長さの異なる何通りかの規格を用意しても良い。そして、ドレン配管2の固定部分(上記した固定配管2a)は、使用するドレンアップ配管ユニット8に応じて現場で作成する。
【0031】
断熱可撓管5と継手部材(断熱継手6,7)とは、例えば、接着によって固定するようにする。断熱可撓管5に対する継手部材(断熱継手6,7)の固定は、予め工場にて行われるようにする。これにより、固定部分に対する接着性の検査や止水性の検査などの製品検査を行って不具合品を排除し、製品保証や、品質保証などを行うことが可能なものとなる。
以上により、ドレンアップ配管ユニット8は、規格部品として市場に供給可能な品質を有するユニット部品または複合部品となる。また、上行部4aを構成する短いドレンアップ配管ユニット8は、何らかの固定手段によって外部から固定する必要のないまたは固定する必要の低いものなどとなる。
【0032】
(構成1−3)
既に記載しているが、図3、図4、または、図5に示すように、少なくともいずれか一つの継手部材を断熱継手6,7とする。
【0033】
ここで、断熱継手6,7は、それ自体で断熱性を有する継手部材、および、断熱性の確保に有利な構造を有することにより、結果的に断熱性が得られる継手部材のことである。
【0034】
上記した断熱継手6,7には、後述するように、内部に断熱層9が封入されたもの(内部断熱継手)や、通常よりも十分に肉厚にしたもの(厚肉断熱継手)や、外周に予め断熱材が取付けられたもの(外周断熱継手)や、断熱可撓管5やドレン配管2の固定部分(固定配管2a)などが持つ断熱性を利用して断熱性を確保し得るようにしたもの(外部断熱材利用継手)などを用いることができる。
この場合には、両方の断熱継手6,7を、内部に断熱層9が封入されたもの(内部断熱継手)としている。
【0035】
このような断熱層9が封入された断熱継手6,7は、図示しない成形金型に対して成形空間の容積よりも少ない量の非発泡性樹脂を注入(ショートショット注入)し、成形空間の内部で非発泡性樹脂の表面がある程度固まった頃に、発泡性樹脂を注入して、更に圧力をかけることにより、発泡性樹脂の発泡の圧力によって非発泡性樹脂を成形空間の内部の隅々にまで行き渡らせると共に、発泡性樹脂の発泡によって非発泡性樹脂の内部に断熱層9を形成するようにして製造される。
【0036】
非発泡性樹脂は、発泡性樹脂の発泡の状況を外部から観察し得るようにするために、有色または無色の、透明または半透明のものとするのが好ましい。このように、非発泡性樹脂を外部から内部の様子が観察し得る透明または半透明のものとした場合には、特に、有色の接着剤を使用することで、断熱可撓管5との接着状態を外部から視認することが可能となる。
【0037】
ここで、先ず、図3、図4を用いて上記した一方の断熱継手6について説明する。この一方の断熱継手6は、屈曲管部6aと、この屈曲管部6aの両端の開口部に対してそれぞれ設けられた受口部6bおよび差口部6cを一体に有するエルボ部材とされている。ここで、上記した受口部6bは、空調装置1のドレン口1aの側へ外嵌固定するためのものとされ、差口部6cは、断熱可撓管5の下側端部に内挿固定するためのものとされる。
【0038】
そして、上記した断熱層9は、屈曲管部6aの肉厚内部に設けられている。
【0039】
また、一方の断熱継手6の受口部6bは、通常よりも肉厚の厚肉壁によって構成されている。
【0040】
更に、一方の断熱継手6の差口部6cの外周部分には、差口部6c自体およびこの差口部6cに外嵌固定された断熱可撓管5の下側端部を保護するための保護用周壁部6dが一体に形成されている。この保護用周壁部6dは、差口部6cの外周との間に、断熱可撓管5が丁度入る大きさの環状の凹部6eを有して設けられると共に、保護用周壁部6dの先端は、差口部6cの先端が外方へ突出し得るよう、差口部6cの先端よりも若干短く形成されている。この保護用周壁部6dは、通常よりも肉厚の厚肉壁によって構成されている。
【0041】
(構成1−4)
そして、図5に示すように、上記した他方の継手部材(断熱継手7)は、点検口11を有するものとされる。
【0042】
この点検口11を有する他方の断熱継手7は、T字状の分岐管部7aと、この分岐管部7aの中間および両端の開口部に対してそれぞれ設けられた受口部7b、受口部7cおよび点検口11を一体に有するチーズ部材とされている。ここで、上記した中間の受口部7bは、断熱可撓管5の上側端部に外嵌固定するためのものとされ、下端の受口部7cは、ドレン配管2の固定部分に外嵌固定するためのものとされる。この場合には、下端の受口部7cは、下行部4bの上端部に外嵌固定されるようにしている。
そして、上記した断熱層9は、分岐管部7aの内部に設けられる。
【0043】
また、他方の断熱継手7の受口部7bおよび受口部7cは、一方の断熱継手6の受口部6bと同じ構造とすることができる。また、他方の断熱継手7の受口部7bおよび受口部7c(特に、受口部7b)は、一方の断熱継手6の差口部6cおよび保護用周壁部6dと同じ構造にすることもできる。
【0044】
また、上記した上端の点検口11には、蓋部材12が開閉可能に取付けられるようになっている。蓋部材12は、点検口11の端面に当接閉止可能な平板状の蓋本体12aと、この蓋本体12aを外部から手動操作可能な把持部12bとを有している。更に、点検口11に対して蓋部材12を密閉および着脱可能とするために、点検口11の内周面には、雌ネジ部11aが刻設形成され、蓋部材12の裏面側には、雌ネジ部11aに螺着可能な雄ネジ部12cが設けられる。雌ネジ部11aと雄ネジ部12cとの間には、図示しないが、シール部材を介装することが可能である。
【0045】
(構成1−5)
上記の変形例として、特に図示しないが、ドレン配管2の固定部分(上記した固定配管2a)が、ドレン配管2の勾配管部3(のみ)を有している場合に、上記した他方の継手部材(断熱継手7)が、勾配管部3の入口部3aに接続され、断熱可撓管5が上方迂回形状とされることにより、ドレン口1aと勾配管部3の入口部3aとの間に介在される上方迂回部4を構成し得るようにしても良い。
この場合には、断熱可撓管5を上記のほぼ倍の長さとして、上行部4aと下行部4bとの両方を構成し得るようにする。
そして、上記した他方の継手部材(断熱継手7)は、受口部7bを上方へ向けて、受口部7cを勾配管部3の入口部3aへ接続させるようにする。これにより、ドレンアップ配管ユニット8のみで上方迂回部4を構成することが可能となる。なお、この場合には、ドレンアップ配管ユニット8の少なくとも中間部を、図示しない固定手段(図6の吊具21参照)などによって固定させるようにする。
【0046】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0047】
空調装置1の内部に溜まったドレンは、空調装置1の内部に設けられたポンプによって強制的にドレン配管2へ排出される。ドレン配管2へ排出されたドレンは、ポンプの圧力によって上方迂回部4を乗り越え、勾配管部3に到達する。勾配管部3に到達したドレンは、重力によって勾配管部3内を自然流下され、外部へと排出される。この際、ドレンは温度が低いため、ドレン配管2を構成する固定配管2aを断熱構造を有するものとすることにより、ドレン配管2の上記部分における結露発生が防止される。
【0048】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0049】
(効果1−1)
断熱可撓管5と、一対の継手部材(断熱継手6,7)とを予め一体化してユニット部品としておくことにより、空調装置1のドレン口1aと、ドレン配管2の固定部分との間を簡単に接続して上方迂回部4の少なくとも一部を構成可能なドレンアップ配管ユニット8を得ることができる。
この際、断熱可撓管5と、一対の継手部材(断熱継手6,7)とが予め一体化されてユニット化されているので、施工時に現場で、断熱可撓管5の長さ調整や微調整を行ったり、断熱可撓管5と継手部材(断熱継手6,7)とを組立てたりする手間を無くすことができると共に、断熱可撓管5と断熱継手6,7との取付部分から水漏れが生じないように確実に接続固定して検査などを行っておくことが可能となり、現場で断熱可撓管5に一対の継手部材(断熱継手6,7)を接着固定して使用する場合と比べて格段に信頼性が高く品質の良いものとするこができる。
【0050】
そして、この場合、ドレンアップ配管ユニット8は、断熱可撓管5と一対の断熱継手6,7とによって構成されていることから、それ自体で断熱性能(または結露防止性能)を有しているので、配管に取付けるだけでその部分の断熱施工が全て完了し、後工程で外周に別の断熱材を取付ける作業や、その後に配管と断熱材の施工に対する施工確認を行う必要をなくすことができる。また、上記ドレンアップ配管ユニット8は、別の断熱材によって覆う必要がないので、保守点検も容易に行うことができる。
【0051】
(効果1−2)
また、ドレンアップ配管ユニット8を、上方迂回部4の上行部4aのみを構成するものとすることにより、断熱可撓管5を短くすると共に、断熱可撓管5に無理な曲げなどが与えられないようにすることができるため、ドレンアップ配管ユニット8を安定して設置することが可能となり、ドレンアップ配管ユニット8の端部や中間部などを固定する必要をなくすことができる。
【0052】
(効果1−3)
継手部材を断熱継手6,7とすることにより、継手部材に対して部分的に断熱材を施工する手間をなくすことができる。特に、継手部材として、内部に断熱層9が封入された断熱継手6,7を用いることにより、高い断熱性を得ることができる。また、施工時や保守点検時の断熱継手6,7の取扱いを容易化することができる。
【0053】
(効果1−4)
他方の断熱継手7が点検口11を有することにより、ドレン配管2内部の点検や清掃を、点検口11を用いて随時行うことができるようになる。また、ドレン配管2の施工完了後の漏水試験を、この点検口11を利用して簡単且つ確実に行うことができる。
【0054】
(効果1−5)
変形例として、ドレンアップ配管ユニット8を、上方迂回部4全体を構成し得るものとすることにより、上方迂回部4の少なくとも一部を固定配管2aで作成する手間を無くすことができて、上方迂回部4を容易に構成することが可能となると共に、施工の容易化を図ることが可能となる。
【実施例2】
【0055】
図6〜図12は、この発明の実施例2を示すものである。
なお、この実施例2は、実施例1と多くの部分が同じであるため、共通の部分については説明を省略する。但し、必要な場合には、実施例1の記載をこの実施例2の記載とすることができるのは勿論である。
【0056】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
まず、この実施例と、上記実施例1との構造的な違いについて説明する。
先ず、上記実施例1では、ドレンアップ配管ユニット8の他方の端部に対してチーズ形状をした継手部材(断熱継手7)を取付けるようにしているが、この実施例では、図6に示すように、上記断熱継手7と同様のチーズ形状の継手部材15(断熱継手)を、下行部4bの上端部に対して取付けるようにしている。即ち、継手部材15を固定配管2aの側に設けるようにしている。
【0057】
次に、上記実施例1では、空調装置1のドレン口1aに対して、直接、或いは、短い延長管(固定管)を介して間接的に、ドレンアップ配管ユニット8の一方の断熱継手6を取付けるようにしているが、この実施例では、空調装置1のドレン口1aに対し、断熱可撓管5と同様の短い断熱可撓管1bを取付けるようにしている。この断熱可撓管1bは、それ自体で断熱性を有しているので断熱材で被覆する必要がないという利点を有する反面、柔軟であるため形状保持性が低い、或いは、自己形状保持ができないという欠点を有している。なお、この構造は、実施例1に適用しても良い。反対に、実施例1の構造をこの実施例2に適用しても良い。
【0058】
そして、上記のような設備構造に対するものとして、この実施例のドレンアップ配管ユニット8では、以下のような構成を備えるようにしている。
【0059】
(構成2−1)
まず、図7に示すように、ドレンアップ配管ユニット8の他方の端部に、継手部材(断熱継手7)として、上記継手部材15(の中間の受口部)に対して接続可能なジョイント継手7’を設ける。
このジョイント継手7’は、図8、図9に示すように、断熱ジョイント18と接続部材19とを有するものとされる。
上記断熱ジョイント18は、一端部に断熱可撓管5へ差込可能な差口部18aを有し、他端部に上記接続部材19を取付可能な受口部18bを有すると共に、受口部18bの外周部に予め断熱材18c(外周断熱材)を取付けられたもの(外周断熱継手)とされる。また、差口部18aの外周には、上記した保護用周壁部6dと同様の保護用周壁部18dが、断熱可撓管5が丁度入る大きさの環状の凹部18eを介して設けられる。
一方、上記接続部材19は、差口部19aと接続部19bとを有する段付形状を備えており、差口部19aは、上記した断熱ジョイント18の受口部18bに挿入固定される。また、接続部19bは、上記継手部材15(の中間の受口部)に取付けられる。接続部19bは差口部または受口部とすることができる。接続部19bを受口部とする場合には、上記継手部材15の中間の受口部に接続用の短管部を取付けるなどする。なお、断熱ジョイント18と接続部材19との間は、接着によって固定される。この接着は、予め工場で行われ、断熱継手6と同様に、接着性の検査や止水性の検査なども併せて行われる。
【0060】
(構成2−2)
次に、ドレンアップ配管ユニット8における一方の継手部材(断熱継手6)に、図6に示すような吊具21を取付可能な吊具取付部22を設ける。
この場合、吊具21は、断熱継手6における受口部6bの外周に沿って取付可能な一対の半割円弧状部と、各半割円弧状部の両端部に設けられた一対の締結面部とを有して、一対の半割円弧状部の両端部の締結面部どうしをボルトで連結して締付けることにより、断熱継手6の外周に対して締付固定可能なクランプ部材23を備えている。このクランプ部材23に、吊具21を構成する吊ロッドや吊ワイヤなど吊部材24の下端部が取付けられる。これに対し、吊具取付部22は、図10に示すように、断熱継手6における受口部6bの外周に設けられて、上記クランプ部材23とほぼ等しいか若干広い幅寸法で、クランプ部材23の厚みとほぼ等しいか若干深い深さ寸法を有して、周方向へ延びる凹溝部25などとされる。或いは、吊具取付部22は、上記クランプ部材23の幅寸法とほぼ等しいか若干広い間隔を有して一対設けられた突条などとしても良い。この場合には、クランプ部材23は、一対の突条の間に設置される。なお、吊具21には、クランプ部材23の代わりに、両端部に一対の締結面部を有するバンド部材や、フック部材などを用いても良い。
また、断熱継手6は、上記した実施例1と同様、内部に断熱層9を有するものとするのが好ましいが、図10に示すように、全体を通常よりも十分に厚肉にして断熱性を持たせるようにしても良い(厚肉断熱継手)。
【0061】
(構成2−3)
更に、必要に応じて、図11に示すように、一方の継手部材(断熱継手6)の、ドレン口1a側への取付口(受口部6b)の周縁部に、接着剤を塗布可能な接着剤塗布用突出部27を設ける。
この接着剤塗布用突出部27は、内部にドレン口1aが挿入されるものであり、受口部6bの内周面と面一な内周面を有して、ほぼ全周に延びる、比較的薄肉のほぼ筒状をしたものとされる。
【0062】
(構成2−4)
加えて、この接着剤塗布用突出部27に、接着剤塗布確認用切込部29を設ける。この接着剤塗布確認用切込部29は、ドレン口1aなどに対する取付方向へ延びるものとされる。
この場合には、接着剤塗布確認用切込部29は、接着剤塗布用突出部27の上部にスリット状のものとして設けられる。但し、接着剤塗布確認用切込部29は、接着剤塗布用突出部27の上部以外の位置に設けることもできるし、孔部などスリット状以外の形状とすることもできる。
【0063】
なお、上記以外の構成については、実施例1とほぼ同じである。
また、「ドレン口1a」には、ドレン口1aに直接取付ける場合や、上記した延長管(固定管)や断熱可撓管1bなどを介して間接的に取付ける場合が含まれるものとする(上記実施例1においても同様である)。
更に、上記したドレンアップ配管ユニット8は、実施例1と同様に、上方迂回部4全体を構成するものとすることもできる。
【0064】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0065】
(効果2−1)
ドレンアップ配管ユニット8の他方の端部に、上記した継手部材15(上方迂回部4における下行部4bの上端部に対して取付けられた継手部材15)に対して接続可能なジョイント継手7’を設けることにより、ドレンアップ配管ユニット8の他方の端部の構成を簡略化すると共に、下行部4bの上端部に対してドレンアップ配管ユニット8簡単に取り付けることができる。
これに対し、上方迂回部4における下行部4bの上端部に継手部材15を取付けることにより、点検口11を固定配管2aの側に安定して設置することが可能となる。
【0066】
(効果2−2)
一方の断熱継手6(の外周)に、吊具取付部22を設けることにより、空調装置1のドレン口1aに自己形状保持が難しい断熱可撓管1bが取付けられたような場合であっても、断熱可撓管1bを支障なく安定して吊下支持することができる。なお、ドレンアップ配管ユニット8は、断熱可撓管5の中間部の1箇所以上の位置を、同様の吊具21で吊下支持するようにしても良い。
【0067】
(効果2−3)
一方の継手部材(断熱継手6)のドレン口1aなどへの取付口(受口部6b)の周縁部に、接着剤塗布用突出部27を設けたことにより、接着剤の塗布領域を増やして現場で確実に接着を行い得るようにすることができる。
【0068】
(効果2−4)
接着剤塗布用突出部27に接着剤塗布確認用切込部29を設けたことにより、接着剤塗布用突出部27に塗布した接着剤が接着剤塗布確認用切込部29からはみ出すことで、接着剤の塗布状況を目視確認することができる。これにより、接着剤の塗布忘れなどを防止することができる。
なお、上記以外の作用効果については、実施例1とほぼ同じであるため、省略すると共に、実施例1の記載を以てこの実施例の記載とする。
【実施例3】
【0069】
図13〜図16は、この発明の実施例3を示すものである。
なお、この実施例3は、実施例1、実施例2とほぼ同様の構成を備えているため、共通の部分については説明を省略する。但し、必要な場合には、実施例1、実施例2の記載をこの実施例3の記載とすることができるのは勿論である。
【0070】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0071】
(構成3)
少なくともいずれか一つの継手部材(断熱継手6,7)を、内部に断熱層を有する断熱層付管に対して接続可能な断熱層付管用継手とする。なお、実施例1、実施例2についても同様に、少なくともいずれか一つの継手部材(断熱継手6,7)を断熱層付管用継手とすることができる。
【0072】
ここで、断熱層付管とは、既に上記したように肉厚内部に断熱層を有する管部材であり、既に本出願人によって製品化されているものである(積水化学工業(株)エスロンACドレンパイプ)。断熱層付管は、肉厚内部に断熱層を有する分だけ、通常の配管部材と比べて厚肉で外径寸法の大きなものとされている。
【0073】
断熱継手6,7には、上記した断熱層付管の外径とほぼ等しい内径を有する受口部6b、31bや、断熱層付管の外径とほぼ等しい外径を有する差口部が設けられる。この実施例では、両方共受口部6b、31bとしているが、少なくとも一方を差口部としても良い。
そして、図14に示すように、一方の断熱継手6は、屈曲管部6aと受口部6bとの範囲全体に亘って、肉厚内部に断熱層9を設けるようにしている。この断熱層9は、肉厚の70%程度の部分を占めるように構成されている。
【0074】
また、図15に示すように、断熱可撓管5は、例えば、軟質または比較的硬質の塩化ビニール製のホース(芯材5a)の外周を、発泡ウレタンやで発泡ポリエチレンなどの軟質発泡断熱層5bで被覆し、更にその表面を軟質の塩化ビニール製の表皮材5cで被覆して成る三層構造の被覆ホースなどによって構成されている。断熱可撓管5は、例えば、1メートルなどの決められた長さを有するものなどとされる。但し、断熱可撓管5の長さについては、上記したように、これに限るのではない。
【0075】
更に、図16に示すように、他方の断熱継手7は、上記実施例2のジョイント継手7’における、断熱ジョイント18と接続部材19とを一体化したもの(ジョイント継手7”)とされている。即ち、この場合、このジョイント継手7”は、一端部に断熱可撓管5へ差込可能な差口部31aを有し、他端部に断熱層付管を取付可能な受口部31bを有するものとされる。差口部31aの外周には、上記した保護用周壁部6dと同様の保護用周壁部31dが、断熱可撓管5が丁度入る大きさの環状の凹部31eを介して設けられる。受口部31bの内部には、必要に応じてリング状のシール部材32などが挿入される。このジョイント継手7”は、それ自体で断熱性を有している訳ではないが、断熱可撓管5と断熱層付管とをほぼ突合せ状態で収容設置し得る構造とすることにより、断熱可撓管5と断熱層付管との断熱性を利用して断熱性を確保し得るようにした断熱継手7(外部断熱材利用継手)とされている。
【0076】
なお、上記した以外にも、実施例1や実施例2の構成を適用することが可能である。
【0077】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0078】
(効果3)
少なくともいずれか一つの継手部材(断熱継手6,7)を、内部に断熱層を有する断熱層付管に対して接続可能な断熱層付管用継手としたことにより、ドレン配管2全体を断熱層付管によって構成することができるようになるため、ドレン配管2をそれ自体で断熱性を備えたものとして簡単且つ確実に構築することが可能となる。これにより、ドレン配管2やドレンアップ配管ユニット8の外部を断熱材で被覆する必要をほぼ完全に無くすことができる。
【0079】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0080】
1 空調装置
1a ドレン口
1b 断熱可撓管
2 ドレン配管
2a 固定配管(ドレン配管の固定部)
4 上方迂回部
4b 下行部
4a 上行部
5 断熱可撓管
6 断熱継手(継手部材或いは断熱層付管用継手)
7 断熱継手(継手部材或いは断熱層付管用継手)
7’ ジョイント継手
7” ジョイント継手
8 ドレンアップ配管ユニット
9 断熱層
11 点検口
21 吊具
22 吊具取付部
27 接着剤塗布用突出部
29 接着剤塗布確認用切込部
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドレンアップ配管ユニットに関するものである。より詳しくは、空調装置のドレン口と、ドレン配管の固定部分との間を接続するためのドレンアップ配管ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、大型の空調装置などには、内部に溜まったドレンを排出するためのドレン配管が接続されている。このドレン配管は、所要の排水勾配を有してほぼ横方向へ延びる勾配管部によって主に構成される。そして、この勾配管部と空調装置との間には、ドレン配管の一部としての上方迂回部が設けられている。この上方迂回部は、勾配管部の入口部を空調装置のドレン口よりも高い位置に持上げると共に、勾配管部から空調装置のドレン口へのドレンの逆流を防止し得るようにするためのものであり、ドレンアップ配管と称されている。
【0003】
この上方迂回部は、少なくとも、空調装置のドレン口から勾配管部の入口部よりも高い位置へ向けてほぼ上方へ延びる上行部と、上行部の上端部から勾配管部の入口部へ向けてほぼ下方へ延びる下行部とを有している。
【0004】
なお、空調装置の内部には、ドレンを強制的に排出するためのポンプが設けられている。また、上記した勾配管部と上方迂回部とは、通常、全体が固定配管として構成されると共に、結露を防止するために、その外周全体が断熱材で覆われている。
【0005】
このような構成によれば、空調装置の内部に溜まったドレンは、空調装置の内部に設けられたポンプによって強制的にドレン配管へ排出される。ドレン配管へ送出されたドレンは、ポンプの圧力により上方迂回部を乗り越えて勾配管部に到達する。勾配管部に到達したドレンは、重力によって勾配管部内を自然流下され、外部へと排出される。この際、ドレンは温度が低いため、ドレン配管を構成する勾配管部と上方迂回部との全体を断熱材で覆うことにより、ドレン配管の外周面に結露が発生することが防止される。
【0006】
なお、上記したドレン配管の上方迂回部に対して、断熱可撓管を用いることも行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3150922号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記したドレン配管には、以下のような問題があった。
【0009】
即ち、ドレン配管全体を固定配管によって構成する場合、空調装置のドレン口と勾配管部の入口部との間を接続する上方迂回部を現場で作成しなければならないため、施工に手間がかかる。また、結露防止のために勾配管部および上方迂回部の外周全体を断熱材で覆わなければならないので、施工に手間がかかる。この断熱材の施工の手間は、形状が単純な勾配管部よりも、形状が複雑な上方迂回部の方が特に問題となる。
【0010】
しかも、勾配管部および上方迂回部の施工と、これらに対する断熱材の施工とは、施工業者が異なるため、両施工を別々に分けて行うのは効率的でなく、また、両施工完了後の確認作業も複雑になる。更に、保守点検時には、断熱材を取り外したり取り付けたりしなければならないため、煩わしい。
【0011】
よって、これらの問題を少しでも軽減することが望まれている。
【0012】
そこで、特許文献1のように、上方迂回部全体を断熱可撓管を用いて構成することにより、上方迂回部を現場合せで作成する際の手間や、最も形状が複雑な上方迂回部に対する断熱材の施工を省略し得るようにすることなどが行われているが、このようにした場合、新たに以下のような問題が生じる。
【0013】
即ち、上記した断熱可撓管を使用して上方迂回部を構成する場合、コイル状などに巻き取られた(或いは、数十メートル単位で巻かれた)長尺の断熱可撓管を長めに切断して施工現場へ持ち込み、施工現場の状況に合わせて断熱可撓管を最適長さに切断したり、更に長さを微調整したりする必要があり、断熱可撓管に無駄が生じると共に、微調整の手間が生じる。
【0014】
次に、施工現場で最適長さに調整された断熱可撓管の両端と、空調装置のドレン口および勾配管部の入口部との間を、それぞれ現場で確実に接続して水漏れなどを生じないようにする必要があり、施工に手間がかかる。
【0015】
そして、断熱可撓管の両端と、空調装置のドレン口および勾配管部の入口部との接続部分については断熱材で部分的に覆う必要がある。即ち、断熱可撓管の接続部分に対する断熱材の施工の問題が解決せずに残されたままとなる。このように、断熱材の部分的な施工が残ってしまうと、上記と同様の問題に加えて、接続部分に対する断熱材の施工し忘れなどを生じる可能性がある。
【0016】
更に、ドレン配管の施工完了後には、上方迂回部を水で満たして漏水試験または満水試験を行う必要があるが、断熱可撓管の両端部を空調装置のドレン口および勾配管部の入口部へ直接接続して上方迂回部を形成する場合には、漏水試験のために上方迂回部に水を入れる手段または上方迂回部を水で満たす手段がなくなってしまう。即ち、漏水試験をうまく行うことができない。
【0017】
また、上方迂回部を断熱可撓管で構成する場合、断熱可撓管は柔軟で形状保持性が無いため、または、形状保持性が低いため、断熱可撓管の保持手段を現場で調達しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、断熱可撓管と、該断熱可撓管の両端に対してそれぞれ予め固定された一対の継手部材とを一体に備えて、一方の継手部材が空調装置のドレン口の側に接続されると共に、他方の継手部材が、前記ドレン口よりも高い位置に設置されたドレン配管の固定部分に接続されることにより、ドレンの逆流を防止可能な上方迂回部の少なくとも一部を構成し得るようにしたことを特徴としている。
請求項2の発明は、前記ドレン配管の固定部分が、前記上方迂回部の下行部を有し、前記他方の継手部材が、前記下行部の上端部に接続されることにより、ドレン口から下行部の上端部へ向かう上行部を構成し得るようにしたことを特徴としている。
請求項3の発明は、前記ドレン配管の固定部分が、前記ドレン配管の勾配管部を有し、前記他方の継手部材が、前記勾配管部の入口部に接続され、前記断熱可撓管が上方迂回形状とされることにより、ドレン口と勾配管部の入口部との間に介在される上方迂回部を構成し得るようにしたことを特徴としている。
請求項4の発明は、少なくともいずれか一つの前記継手部材が、断熱継手であることを特徴としている。
請求項5の発明は、前記一方の継手部材に、吊具を取付可能な吊具取付部を設けたことを特徴としている。
請求項6の発明は、前記一方の継手部材のドレン口への取付口の周縁部に、接着剤を塗布可能な接着剤塗布用突出部を設けたことを特徴としている。
請求項7の発明は、前記接着剤塗布用突出部に、接着剤塗布確認用切込部を設けたことを特徴としている。
請求項8の発明は、少なくともいずれか一つの前記継手部材が、内部に断熱層を有する断熱層付管に対して接続可能な断熱層付管用継手とされたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、断熱可撓管と、一対の継手部材とを予め一体化してユニット部品としておくことにより、空調装置のドレン口と、ドレン配管の固定部分との間を簡単に接続して上方迂回部の少なくとも一部を構成可能なドレンアップ配管ユニットを得ることができる。
請求項2の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、ドレンアップ配管ユニットを、上方迂回部の上行部のみを構成するものとすることにより、断熱可撓管を短くすると共に、断熱可撓管に無理な曲げなどが与えられないようにすることができるため、ドレンアップ配管ユニットを安定して設置することが可能となり、ドレンアップ配管ユニットの端部や中間部などを固定する必要をなくすことができる。
請求項3の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、ドレンアップ配管ユニットを、上方迂回部全体を構成し得るものとすることにより、上方迂回部の少なくとも一部を固定配管で作成する手間を無くすことができて、上方迂回部を容易に構成することが可能となると共に、施工の容易化を図ることが可能となる。
請求項4の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、少なくともいずれか一つの継手部材を断熱継手とすることにより、継手部材に対して部分的に断熱材を施工する手間をなくすことができる。 請求項5の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、一方の断熱継手に、吊具取付部を設けることにより、空調装置のドレン口に自己形状保持が難しい断熱可撓管が取付けられたような場合であっても、断熱可撓管を支障なく安定して吊下支持することができる。
請求項6の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、一方の継手部材のドレン口などへの取付口の周縁部に、接着剤塗布用突出部を設けたことにより、接着剤の塗布領域を増やして現場で確実に接着を行い得るようにすることができる。
請求項7の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、接着剤塗布用突出部に接着剤塗布確認用切込部を設けたことにより、接着剤塗布用突出部に塗布した接着剤が接着剤塗布確認用切込部からはみ出すことで、接着剤の塗布状況を目視確認することができる。これにより、接着剤の塗布忘れなどを防止することができる。
請求項8の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、少なくともいずれか一つの継手部材を、内部に断熱層を有する断熱層付管に対して接続可能な断熱層付管用継手としたことにより、ドレン配管全体を断熱層付管によって構成することができるようになるため、ドレン配管をそれ自体で断熱性を備えたものとして簡単且つ確実に構築することが可能となる。これにより、ドレン配管やドレンアップ配管ユニットの外部を断熱材で被覆する必要をほぼ完全に無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1にかかる空調装置およびドレン配管を示す斜視図である。
【図2】図1のドレンアップ配管ユニットを示す図である。
【図3】図2のドレンアップ配管ユニットの一方の断熱継手の斜視図である。
【図4】図3の断面図である。
【図5】図2のドレンアップ配管ユニットの他方の断熱継手の断面図である。
【図6】本発明の実施例2にかかる空調装置およびドレン配管を示す斜視図である。
【図7】図6のドレンアップユニットを示す図である。
【図8】図7のジョイント継手の分解図である。
【図9】図8の断熱ジョイントの断面図である。
【図10】吊具取付部を有する図6の一方の断熱継手の断面図である。
【図11】接着剤塗布用突出部を有する図6の一方の断熱継手の断面図である。
【図12】図11の一方の断熱継手の、接着剤塗布確認用切込部を示す部分拡大斜視図である。
【図13】本発明の実施例3にかかるドレンアップユニットの断面図である。
【図14】図13の一方の断熱継手の断面図である。
【図15】図13の断熱可撓管のの断面図である。
【図16】図13のジョイント継手の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、主に、施工上の問題を少なくすると共に、保守点検や漏水試験などを支障なく行い得る構成を備えるようにしたものである。
以下、本発明を具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
<構成>以下、構成について説明する。
図1〜図5は、この実施例1を示すものである。
【0023】
図1は、空調装置1およびドレン配管2を示す斜視図である。図に示すように、大型の空調装置1などに対し、内部に溜まったドレンを排出するためのドレン配管2が接続される。このドレン配管2は、所要の排水勾配を有してほぼ横方向へ延びる勾配管部3によって主に構成される。そして、この勾配管部3と空調装置1との間に、ドレン配管2の一部としての上方迂回部4が設けられる。
【0024】
この上方迂回部4は、勾配管部3の入口部3aを空調装置1のドレン口1aよりも高い位置に持上げると共に、勾配管部3から空調装置1のドレン口1aへのドレンの逆流を防止し得るようにするためのものであり、ドレンアップ配管と称される。このように上方迂回部4を設けるのは、大型の空調装置1が、天井面に対して取付けられると共に、勾配管部3が、天井面よりも上側に配設されることによる。なお、図では、空調装置1のドレン口1aには、ほぼ水平な短い延長管(固定管)が取り付けられ、この延長管に対して上方迂回部4を間接的に取付けるようにしているが、ドレン口1aに対して直接上方迂回部4を取付けるようにしても良い。
【0025】
上記した上方迂回部4は、少なくとも、空調装置1のドレン口1aから勾配管部3の入口部3aよりも高い位置へ向けてほぼ上方へ延びる上行部4aと、上行部4aの上端部から勾配管部3の入口部3aへ向けてほぼ下方へ延びる下行部4bとを有する。下行部4bの下端部は、エルボなどの継手部材を介して勾配管部3の入口部3aに接続されている。
【0026】
なお、空調装置1の内部には、ドレンを強制的に排出するための図示しないポンプが設けられる。この実施例では、ドレン配管2のうち、上記した勾配管部3と上方迂回部4の下行部4bとを固定配管2aとして構成した場合について図示している。
但し、特に図示しないが、勾配管部3のみを固定配管2aとすることや、勾配管部3と上方迂回部4における下行部4bの一部を固定配管2aとすることや、勾配管部3と上方迂回部4における下行部4bと上行部4aの一部とを固定配管2aとすることなども構造的には可能である。これらの場合については、特に説明しないが、この実施例を一部変形して適用することが可能である。
そして、固定配管2aは、その外周に図示しない断熱材を施工して結露防止を行わせたものとしても良い、または、固定配管2aは、従来公知の断熱層付管(積水化学工業(株) エスロンACドレンパイプ)と断熱継手とで構成して断熱材の施工を不要としたものとしても良い。この場合には、後者としている。
【0027】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0028】
(構成1−1)
図2に示すように、断熱可撓管5と、この断熱可撓管5の両端に対してそれぞれ予め固定された一対の継手部材(断熱継手6,7)とを一体に備えたドレンアップ配管ユニット8を設ける。そして、一方の継手部材(断熱継手6)が空調装置1のドレン口1aの側に接続されると共に、他方の継手部材(断熱継手7)が、ドレン口1aよりも高い位置に設置されたドレン配管2の固定部分(上記した勾配管部3や上方迂回部4の下行部4bなどの固定配管2a)に接続されることにより、ドレンの逆流を防止可能な上方迂回部4の少なくとも一部を構成し得るようにする。
【0029】
(構成1−2)
例えば、ドレン配管2の固定部分(上記した固定配管2a)が、上方迂回部4の下行部4bを有している場合に、上記した他方の継手部材(断熱継手7)が、下行部4bの上端部に接続されることにより、ドレン口1aから下行部4bの上端部へ向かう上行部4aを構成し得るようにする。
【0030】
ここで、断熱可撓管5は、断熱性と可撓性とを兼ね備えた管部材とする。この断熱可撓管5は、例えば、軟質または比較的硬質な塩化ビニール製のホースの外周を発泡ウレタンで被覆して成る二層構造の被覆ホースなどによって構成することができる。
断熱可撓管5は、例えば、ドレン口1aと、下行部4bの上端部との間を若干の余裕を有して接続可能な長さとする。この際、断熱可撓管5は、決められた一定の長さを有するものとする(長さの一定化)。即ち、予め工場で上記一定の長さに切断することにより、規格長さを有するものとする(長さの規格化)。この場合には、上行部4aに必要な長さで規格化する。また、後述するように、上方迂回部4をドレンアップ配管ユニット8のみで構成する場合には、断熱可撓管5に、上方迂回部4全体を構成するのに必要な長さの規格を設けても良い。なお、上記した規格長さは、一種類に限らず、長さの異なる何通りかの規格を用意しても良い。そして、ドレン配管2の固定部分(上記した固定配管2a)は、使用するドレンアップ配管ユニット8に応じて現場で作成する。
【0031】
断熱可撓管5と継手部材(断熱継手6,7)とは、例えば、接着によって固定するようにする。断熱可撓管5に対する継手部材(断熱継手6,7)の固定は、予め工場にて行われるようにする。これにより、固定部分に対する接着性の検査や止水性の検査などの製品検査を行って不具合品を排除し、製品保証や、品質保証などを行うことが可能なものとなる。
以上により、ドレンアップ配管ユニット8は、規格部品として市場に供給可能な品質を有するユニット部品または複合部品となる。また、上行部4aを構成する短いドレンアップ配管ユニット8は、何らかの固定手段によって外部から固定する必要のないまたは固定する必要の低いものなどとなる。
【0032】
(構成1−3)
既に記載しているが、図3、図4、または、図5に示すように、少なくともいずれか一つの継手部材を断熱継手6,7とする。
【0033】
ここで、断熱継手6,7は、それ自体で断熱性を有する継手部材、および、断熱性の確保に有利な構造を有することにより、結果的に断熱性が得られる継手部材のことである。
【0034】
上記した断熱継手6,7には、後述するように、内部に断熱層9が封入されたもの(内部断熱継手)や、通常よりも十分に肉厚にしたもの(厚肉断熱継手)や、外周に予め断熱材が取付けられたもの(外周断熱継手)や、断熱可撓管5やドレン配管2の固定部分(固定配管2a)などが持つ断熱性を利用して断熱性を確保し得るようにしたもの(外部断熱材利用継手)などを用いることができる。
この場合には、両方の断熱継手6,7を、内部に断熱層9が封入されたもの(内部断熱継手)としている。
【0035】
このような断熱層9が封入された断熱継手6,7は、図示しない成形金型に対して成形空間の容積よりも少ない量の非発泡性樹脂を注入(ショートショット注入)し、成形空間の内部で非発泡性樹脂の表面がある程度固まった頃に、発泡性樹脂を注入して、更に圧力をかけることにより、発泡性樹脂の発泡の圧力によって非発泡性樹脂を成形空間の内部の隅々にまで行き渡らせると共に、発泡性樹脂の発泡によって非発泡性樹脂の内部に断熱層9を形成するようにして製造される。
【0036】
非発泡性樹脂は、発泡性樹脂の発泡の状況を外部から観察し得るようにするために、有色または無色の、透明または半透明のものとするのが好ましい。このように、非発泡性樹脂を外部から内部の様子が観察し得る透明または半透明のものとした場合には、特に、有色の接着剤を使用することで、断熱可撓管5との接着状態を外部から視認することが可能となる。
【0037】
ここで、先ず、図3、図4を用いて上記した一方の断熱継手6について説明する。この一方の断熱継手6は、屈曲管部6aと、この屈曲管部6aの両端の開口部に対してそれぞれ設けられた受口部6bおよび差口部6cを一体に有するエルボ部材とされている。ここで、上記した受口部6bは、空調装置1のドレン口1aの側へ外嵌固定するためのものとされ、差口部6cは、断熱可撓管5の下側端部に内挿固定するためのものとされる。
【0038】
そして、上記した断熱層9は、屈曲管部6aの肉厚内部に設けられている。
【0039】
また、一方の断熱継手6の受口部6bは、通常よりも肉厚の厚肉壁によって構成されている。
【0040】
更に、一方の断熱継手6の差口部6cの外周部分には、差口部6c自体およびこの差口部6cに外嵌固定された断熱可撓管5の下側端部を保護するための保護用周壁部6dが一体に形成されている。この保護用周壁部6dは、差口部6cの外周との間に、断熱可撓管5が丁度入る大きさの環状の凹部6eを有して設けられると共に、保護用周壁部6dの先端は、差口部6cの先端が外方へ突出し得るよう、差口部6cの先端よりも若干短く形成されている。この保護用周壁部6dは、通常よりも肉厚の厚肉壁によって構成されている。
【0041】
(構成1−4)
そして、図5に示すように、上記した他方の継手部材(断熱継手7)は、点検口11を有するものとされる。
【0042】
この点検口11を有する他方の断熱継手7は、T字状の分岐管部7aと、この分岐管部7aの中間および両端の開口部に対してそれぞれ設けられた受口部7b、受口部7cおよび点検口11を一体に有するチーズ部材とされている。ここで、上記した中間の受口部7bは、断熱可撓管5の上側端部に外嵌固定するためのものとされ、下端の受口部7cは、ドレン配管2の固定部分に外嵌固定するためのものとされる。この場合には、下端の受口部7cは、下行部4bの上端部に外嵌固定されるようにしている。
そして、上記した断熱層9は、分岐管部7aの内部に設けられる。
【0043】
また、他方の断熱継手7の受口部7bおよび受口部7cは、一方の断熱継手6の受口部6bと同じ構造とすることができる。また、他方の断熱継手7の受口部7bおよび受口部7c(特に、受口部7b)は、一方の断熱継手6の差口部6cおよび保護用周壁部6dと同じ構造にすることもできる。
【0044】
また、上記した上端の点検口11には、蓋部材12が開閉可能に取付けられるようになっている。蓋部材12は、点検口11の端面に当接閉止可能な平板状の蓋本体12aと、この蓋本体12aを外部から手動操作可能な把持部12bとを有している。更に、点検口11に対して蓋部材12を密閉および着脱可能とするために、点検口11の内周面には、雌ネジ部11aが刻設形成され、蓋部材12の裏面側には、雌ネジ部11aに螺着可能な雄ネジ部12cが設けられる。雌ネジ部11aと雄ネジ部12cとの間には、図示しないが、シール部材を介装することが可能である。
【0045】
(構成1−5)
上記の変形例として、特に図示しないが、ドレン配管2の固定部分(上記した固定配管2a)が、ドレン配管2の勾配管部3(のみ)を有している場合に、上記した他方の継手部材(断熱継手7)が、勾配管部3の入口部3aに接続され、断熱可撓管5が上方迂回形状とされることにより、ドレン口1aと勾配管部3の入口部3aとの間に介在される上方迂回部4を構成し得るようにしても良い。
この場合には、断熱可撓管5を上記のほぼ倍の長さとして、上行部4aと下行部4bとの両方を構成し得るようにする。
そして、上記した他方の継手部材(断熱継手7)は、受口部7bを上方へ向けて、受口部7cを勾配管部3の入口部3aへ接続させるようにする。これにより、ドレンアップ配管ユニット8のみで上方迂回部4を構成することが可能となる。なお、この場合には、ドレンアップ配管ユニット8の少なくとも中間部を、図示しない固定手段(図6の吊具21参照)などによって固定させるようにする。
【0046】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0047】
空調装置1の内部に溜まったドレンは、空調装置1の内部に設けられたポンプによって強制的にドレン配管2へ排出される。ドレン配管2へ排出されたドレンは、ポンプの圧力によって上方迂回部4を乗り越え、勾配管部3に到達する。勾配管部3に到達したドレンは、重力によって勾配管部3内を自然流下され、外部へと排出される。この際、ドレンは温度が低いため、ドレン配管2を構成する固定配管2aを断熱構造を有するものとすることにより、ドレン配管2の上記部分における結露発生が防止される。
【0048】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0049】
(効果1−1)
断熱可撓管5と、一対の継手部材(断熱継手6,7)とを予め一体化してユニット部品としておくことにより、空調装置1のドレン口1aと、ドレン配管2の固定部分との間を簡単に接続して上方迂回部4の少なくとも一部を構成可能なドレンアップ配管ユニット8を得ることができる。
この際、断熱可撓管5と、一対の継手部材(断熱継手6,7)とが予め一体化されてユニット化されているので、施工時に現場で、断熱可撓管5の長さ調整や微調整を行ったり、断熱可撓管5と継手部材(断熱継手6,7)とを組立てたりする手間を無くすことができると共に、断熱可撓管5と断熱継手6,7との取付部分から水漏れが生じないように確実に接続固定して検査などを行っておくことが可能となり、現場で断熱可撓管5に一対の継手部材(断熱継手6,7)を接着固定して使用する場合と比べて格段に信頼性が高く品質の良いものとするこができる。
【0050】
そして、この場合、ドレンアップ配管ユニット8は、断熱可撓管5と一対の断熱継手6,7とによって構成されていることから、それ自体で断熱性能(または結露防止性能)を有しているので、配管に取付けるだけでその部分の断熱施工が全て完了し、後工程で外周に別の断熱材を取付ける作業や、その後に配管と断熱材の施工に対する施工確認を行う必要をなくすことができる。また、上記ドレンアップ配管ユニット8は、別の断熱材によって覆う必要がないので、保守点検も容易に行うことができる。
【0051】
(効果1−2)
また、ドレンアップ配管ユニット8を、上方迂回部4の上行部4aのみを構成するものとすることにより、断熱可撓管5を短くすると共に、断熱可撓管5に無理な曲げなどが与えられないようにすることができるため、ドレンアップ配管ユニット8を安定して設置することが可能となり、ドレンアップ配管ユニット8の端部や中間部などを固定する必要をなくすことができる。
【0052】
(効果1−3)
継手部材を断熱継手6,7とすることにより、継手部材に対して部分的に断熱材を施工する手間をなくすことができる。特に、継手部材として、内部に断熱層9が封入された断熱継手6,7を用いることにより、高い断熱性を得ることができる。また、施工時や保守点検時の断熱継手6,7の取扱いを容易化することができる。
【0053】
(効果1−4)
他方の断熱継手7が点検口11を有することにより、ドレン配管2内部の点検や清掃を、点検口11を用いて随時行うことができるようになる。また、ドレン配管2の施工完了後の漏水試験を、この点検口11を利用して簡単且つ確実に行うことができる。
【0054】
(効果1−5)
変形例として、ドレンアップ配管ユニット8を、上方迂回部4全体を構成し得るものとすることにより、上方迂回部4の少なくとも一部を固定配管2aで作成する手間を無くすことができて、上方迂回部4を容易に構成することが可能となると共に、施工の容易化を図ることが可能となる。
【実施例2】
【0055】
図6〜図12は、この発明の実施例2を示すものである。
なお、この実施例2は、実施例1と多くの部分が同じであるため、共通の部分については説明を省略する。但し、必要な場合には、実施例1の記載をこの実施例2の記載とすることができるのは勿論である。
【0056】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
まず、この実施例と、上記実施例1との構造的な違いについて説明する。
先ず、上記実施例1では、ドレンアップ配管ユニット8の他方の端部に対してチーズ形状をした継手部材(断熱継手7)を取付けるようにしているが、この実施例では、図6に示すように、上記断熱継手7と同様のチーズ形状の継手部材15(断熱継手)を、下行部4bの上端部に対して取付けるようにしている。即ち、継手部材15を固定配管2aの側に設けるようにしている。
【0057】
次に、上記実施例1では、空調装置1のドレン口1aに対して、直接、或いは、短い延長管(固定管)を介して間接的に、ドレンアップ配管ユニット8の一方の断熱継手6を取付けるようにしているが、この実施例では、空調装置1のドレン口1aに対し、断熱可撓管5と同様の短い断熱可撓管1bを取付けるようにしている。この断熱可撓管1bは、それ自体で断熱性を有しているので断熱材で被覆する必要がないという利点を有する反面、柔軟であるため形状保持性が低い、或いは、自己形状保持ができないという欠点を有している。なお、この構造は、実施例1に適用しても良い。反対に、実施例1の構造をこの実施例2に適用しても良い。
【0058】
そして、上記のような設備構造に対するものとして、この実施例のドレンアップ配管ユニット8では、以下のような構成を備えるようにしている。
【0059】
(構成2−1)
まず、図7に示すように、ドレンアップ配管ユニット8の他方の端部に、継手部材(断熱継手7)として、上記継手部材15(の中間の受口部)に対して接続可能なジョイント継手7’を設ける。
このジョイント継手7’は、図8、図9に示すように、断熱ジョイント18と接続部材19とを有するものとされる。
上記断熱ジョイント18は、一端部に断熱可撓管5へ差込可能な差口部18aを有し、他端部に上記接続部材19を取付可能な受口部18bを有すると共に、受口部18bの外周部に予め断熱材18c(外周断熱材)を取付けられたもの(外周断熱継手)とされる。また、差口部18aの外周には、上記した保護用周壁部6dと同様の保護用周壁部18dが、断熱可撓管5が丁度入る大きさの環状の凹部18eを介して設けられる。
一方、上記接続部材19は、差口部19aと接続部19bとを有する段付形状を備えており、差口部19aは、上記した断熱ジョイント18の受口部18bに挿入固定される。また、接続部19bは、上記継手部材15(の中間の受口部)に取付けられる。接続部19bは差口部または受口部とすることができる。接続部19bを受口部とする場合には、上記継手部材15の中間の受口部に接続用の短管部を取付けるなどする。なお、断熱ジョイント18と接続部材19との間は、接着によって固定される。この接着は、予め工場で行われ、断熱継手6と同様に、接着性の検査や止水性の検査なども併せて行われる。
【0060】
(構成2−2)
次に、ドレンアップ配管ユニット8における一方の継手部材(断熱継手6)に、図6に示すような吊具21を取付可能な吊具取付部22を設ける。
この場合、吊具21は、断熱継手6における受口部6bの外周に沿って取付可能な一対の半割円弧状部と、各半割円弧状部の両端部に設けられた一対の締結面部とを有して、一対の半割円弧状部の両端部の締結面部どうしをボルトで連結して締付けることにより、断熱継手6の外周に対して締付固定可能なクランプ部材23を備えている。このクランプ部材23に、吊具21を構成する吊ロッドや吊ワイヤなど吊部材24の下端部が取付けられる。これに対し、吊具取付部22は、図10に示すように、断熱継手6における受口部6bの外周に設けられて、上記クランプ部材23とほぼ等しいか若干広い幅寸法で、クランプ部材23の厚みとほぼ等しいか若干深い深さ寸法を有して、周方向へ延びる凹溝部25などとされる。或いは、吊具取付部22は、上記クランプ部材23の幅寸法とほぼ等しいか若干広い間隔を有して一対設けられた突条などとしても良い。この場合には、クランプ部材23は、一対の突条の間に設置される。なお、吊具21には、クランプ部材23の代わりに、両端部に一対の締結面部を有するバンド部材や、フック部材などを用いても良い。
また、断熱継手6は、上記した実施例1と同様、内部に断熱層9を有するものとするのが好ましいが、図10に示すように、全体を通常よりも十分に厚肉にして断熱性を持たせるようにしても良い(厚肉断熱継手)。
【0061】
(構成2−3)
更に、必要に応じて、図11に示すように、一方の継手部材(断熱継手6)の、ドレン口1a側への取付口(受口部6b)の周縁部に、接着剤を塗布可能な接着剤塗布用突出部27を設ける。
この接着剤塗布用突出部27は、内部にドレン口1aが挿入されるものであり、受口部6bの内周面と面一な内周面を有して、ほぼ全周に延びる、比較的薄肉のほぼ筒状をしたものとされる。
【0062】
(構成2−4)
加えて、この接着剤塗布用突出部27に、接着剤塗布確認用切込部29を設ける。この接着剤塗布確認用切込部29は、ドレン口1aなどに対する取付方向へ延びるものとされる。
この場合には、接着剤塗布確認用切込部29は、接着剤塗布用突出部27の上部にスリット状のものとして設けられる。但し、接着剤塗布確認用切込部29は、接着剤塗布用突出部27の上部以外の位置に設けることもできるし、孔部などスリット状以外の形状とすることもできる。
【0063】
なお、上記以外の構成については、実施例1とほぼ同じである。
また、「ドレン口1a」には、ドレン口1aに直接取付ける場合や、上記した延長管(固定管)や断熱可撓管1bなどを介して間接的に取付ける場合が含まれるものとする(上記実施例1においても同様である)。
更に、上記したドレンアップ配管ユニット8は、実施例1と同様に、上方迂回部4全体を構成するものとすることもできる。
【0064】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0065】
(効果2−1)
ドレンアップ配管ユニット8の他方の端部に、上記した継手部材15(上方迂回部4における下行部4bの上端部に対して取付けられた継手部材15)に対して接続可能なジョイント継手7’を設けることにより、ドレンアップ配管ユニット8の他方の端部の構成を簡略化すると共に、下行部4bの上端部に対してドレンアップ配管ユニット8簡単に取り付けることができる。
これに対し、上方迂回部4における下行部4bの上端部に継手部材15を取付けることにより、点検口11を固定配管2aの側に安定して設置することが可能となる。
【0066】
(効果2−2)
一方の断熱継手6(の外周)に、吊具取付部22を設けることにより、空調装置1のドレン口1aに自己形状保持が難しい断熱可撓管1bが取付けられたような場合であっても、断熱可撓管1bを支障なく安定して吊下支持することができる。なお、ドレンアップ配管ユニット8は、断熱可撓管5の中間部の1箇所以上の位置を、同様の吊具21で吊下支持するようにしても良い。
【0067】
(効果2−3)
一方の継手部材(断熱継手6)のドレン口1aなどへの取付口(受口部6b)の周縁部に、接着剤塗布用突出部27を設けたことにより、接着剤の塗布領域を増やして現場で確実に接着を行い得るようにすることができる。
【0068】
(効果2−4)
接着剤塗布用突出部27に接着剤塗布確認用切込部29を設けたことにより、接着剤塗布用突出部27に塗布した接着剤が接着剤塗布確認用切込部29からはみ出すことで、接着剤の塗布状況を目視確認することができる。これにより、接着剤の塗布忘れなどを防止することができる。
なお、上記以外の作用効果については、実施例1とほぼ同じであるため、省略すると共に、実施例1の記載を以てこの実施例の記載とする。
【実施例3】
【0069】
図13〜図16は、この発明の実施例3を示すものである。
なお、この実施例3は、実施例1、実施例2とほぼ同様の構成を備えているため、共通の部分については説明を省略する。但し、必要な場合には、実施例1、実施例2の記載をこの実施例3の記載とすることができるのは勿論である。
【0070】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0071】
(構成3)
少なくともいずれか一つの継手部材(断熱継手6,7)を、内部に断熱層を有する断熱層付管に対して接続可能な断熱層付管用継手とする。なお、実施例1、実施例2についても同様に、少なくともいずれか一つの継手部材(断熱継手6,7)を断熱層付管用継手とすることができる。
【0072】
ここで、断熱層付管とは、既に上記したように肉厚内部に断熱層を有する管部材であり、既に本出願人によって製品化されているものである(積水化学工業(株)エスロンACドレンパイプ)。断熱層付管は、肉厚内部に断熱層を有する分だけ、通常の配管部材と比べて厚肉で外径寸法の大きなものとされている。
【0073】
断熱継手6,7には、上記した断熱層付管の外径とほぼ等しい内径を有する受口部6b、31bや、断熱層付管の外径とほぼ等しい外径を有する差口部が設けられる。この実施例では、両方共受口部6b、31bとしているが、少なくとも一方を差口部としても良い。
そして、図14に示すように、一方の断熱継手6は、屈曲管部6aと受口部6bとの範囲全体に亘って、肉厚内部に断熱層9を設けるようにしている。この断熱層9は、肉厚の70%程度の部分を占めるように構成されている。
【0074】
また、図15に示すように、断熱可撓管5は、例えば、軟質または比較的硬質の塩化ビニール製のホース(芯材5a)の外周を、発泡ウレタンやで発泡ポリエチレンなどの軟質発泡断熱層5bで被覆し、更にその表面を軟質の塩化ビニール製の表皮材5cで被覆して成る三層構造の被覆ホースなどによって構成されている。断熱可撓管5は、例えば、1メートルなどの決められた長さを有するものなどとされる。但し、断熱可撓管5の長さについては、上記したように、これに限るのではない。
【0075】
更に、図16に示すように、他方の断熱継手7は、上記実施例2のジョイント継手7’における、断熱ジョイント18と接続部材19とを一体化したもの(ジョイント継手7”)とされている。即ち、この場合、このジョイント継手7”は、一端部に断熱可撓管5へ差込可能な差口部31aを有し、他端部に断熱層付管を取付可能な受口部31bを有するものとされる。差口部31aの外周には、上記した保護用周壁部6dと同様の保護用周壁部31dが、断熱可撓管5が丁度入る大きさの環状の凹部31eを介して設けられる。受口部31bの内部には、必要に応じてリング状のシール部材32などが挿入される。このジョイント継手7”は、それ自体で断熱性を有している訳ではないが、断熱可撓管5と断熱層付管とをほぼ突合せ状態で収容設置し得る構造とすることにより、断熱可撓管5と断熱層付管との断熱性を利用して断熱性を確保し得るようにした断熱継手7(外部断熱材利用継手)とされている。
【0076】
なお、上記した以外にも、実施例1や実施例2の構成を適用することが可能である。
【0077】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0078】
(効果3)
少なくともいずれか一つの継手部材(断熱継手6,7)を、内部に断熱層を有する断熱層付管に対して接続可能な断熱層付管用継手としたことにより、ドレン配管2全体を断熱層付管によって構成することができるようになるため、ドレン配管2をそれ自体で断熱性を備えたものとして簡単且つ確実に構築することが可能となる。これにより、ドレン配管2やドレンアップ配管ユニット8の外部を断熱材で被覆する必要をほぼ完全に無くすことができる。
【0079】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0080】
1 空調装置
1a ドレン口
1b 断熱可撓管
2 ドレン配管
2a 固定配管(ドレン配管の固定部)
4 上方迂回部
4b 下行部
4a 上行部
5 断熱可撓管
6 断熱継手(継手部材或いは断熱層付管用継手)
7 断熱継手(継手部材或いは断熱層付管用継手)
7’ ジョイント継手
7” ジョイント継手
8 ドレンアップ配管ユニット
9 断熱層
11 点検口
21 吊具
22 吊具取付部
27 接着剤塗布用突出部
29 接着剤塗布確認用切込部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱可撓管と、該断熱可撓管の両端に対してそれぞれ予め固定された一対の継手部材とを一体に備えて、一方の継手部材が空調装置のドレン口の側に接続されると共に、他方の継手部材が、前記ドレン口よりも高い位置に設置されたドレン配管の固定部分に接続されることにより、ドレンの逆流を防止可能な上方迂回部の少なくとも一部を構成し得るようにしたことを特徴とするドレンアップ配管ユニット。
【請求項2】
前記ドレン配管の固定部分が、前記上方迂回部の下行部を有し、
前記他方の継手部材が、前記下行部の上端部に接続されることにより、ドレン口から下行部の上端部へ向かう上行部を構成し得るようにしたことを特徴とする請求項1記載のドレンアップ配管ユニット。
【請求項3】
前記ドレン配管の固定部分が、前記ドレン配管の勾配管部を有し、
前記他方の継手部材が、前記勾配管部の入口部に接続され、前記断熱可撓管が上方迂回形状とされることにより、ドレン口と勾配管部の入口部とのあいだに介在される上方迂回部を構成し得るようにしたことを特徴とする請求項1記載のドレンアップ配管ユニット。
【請求項4】
少なくともいずれか一つの前記継手部材が、断熱継手であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のドレンアップ配管ユニット。
【請求項5】
前記一方の継手部材に、吊具を取付可能な吊具取付部を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のドレンアップ配管ユニット。
【請求項6】
前記一方の継手部材のドレン口への取付口の周縁部に、接着剤を塗布可能な接着剤塗布用突出部を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のドレンアップ配管ユニット。
【請求項7】
前記接着剤塗布用突出部に、接着剤塗布確認用切込部を設けたことを特徴とする請求項6記載のドレンアップ配管ユニット。
【請求項8】
少なくともいずれか一つの前記継手部材が、内部に断熱層を有する断熱層付管に対して接続可能な断熱層付管用継手とされたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の記載のドレンアップ配管ユニット。
【請求項1】
断熱可撓管と、該断熱可撓管の両端に対してそれぞれ予め固定された一対の継手部材とを一体に備えて、一方の継手部材が空調装置のドレン口の側に接続されると共に、他方の継手部材が、前記ドレン口よりも高い位置に設置されたドレン配管の固定部分に接続されることにより、ドレンの逆流を防止可能な上方迂回部の少なくとも一部を構成し得るようにしたことを特徴とするドレンアップ配管ユニット。
【請求項2】
前記ドレン配管の固定部分が、前記上方迂回部の下行部を有し、
前記他方の継手部材が、前記下行部の上端部に接続されることにより、ドレン口から下行部の上端部へ向かう上行部を構成し得るようにしたことを特徴とする請求項1記載のドレンアップ配管ユニット。
【請求項3】
前記ドレン配管の固定部分が、前記ドレン配管の勾配管部を有し、
前記他方の継手部材が、前記勾配管部の入口部に接続され、前記断熱可撓管が上方迂回形状とされることにより、ドレン口と勾配管部の入口部とのあいだに介在される上方迂回部を構成し得るようにしたことを特徴とする請求項1記載のドレンアップ配管ユニット。
【請求項4】
少なくともいずれか一つの前記継手部材が、断熱継手であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のドレンアップ配管ユニット。
【請求項5】
前記一方の継手部材に、吊具を取付可能な吊具取付部を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のドレンアップ配管ユニット。
【請求項6】
前記一方の継手部材のドレン口への取付口の周縁部に、接着剤を塗布可能な接着剤塗布用突出部を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のドレンアップ配管ユニット。
【請求項7】
前記接着剤塗布用突出部に、接着剤塗布確認用切込部を設けたことを特徴とする請求項6記載のドレンアップ配管ユニット。
【請求項8】
少なくともいずれか一つの前記継手部材が、内部に断熱層を有する断熱層付管に対して接続可能な断熱層付管用継手とされたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の記載のドレンアップ配管ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−233675(P2012−233675A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217598(P2011−217598)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]